説明

画像形成装置、画像処理装置、およびプログラム

【課題】各種の用紙が使用される画像形成装置において画像に生じる色ずれを低減する。
【解決手段】画像処理部22は、各色画像データに基づき形成される静電潜像の副走査方向の位置毎に、この副走査方向の位置に形成された各色トナー像が中間転写ベルト41に保持される際の中間転写ベルト41の移動速度の変動量に対応させた列数の画素列を追加または削除する画像処理を各色画像データに施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー複写機やカラープリンタ等の画像形成装置においては、一般に、各色トナー像を例えば中間転写体上に順次重ねながら形成し、各色トナー像を中間転写体から用紙上に一括して転写するプロセスを経る。その際に、一括転写部と一括転写部の周辺に配置された用紙搬送部材との間に用紙の引っ張り合いが生じるのを抑えるため、通常、一括転写部の周辺に配置される用紙搬送部材は、上流側ほど用紙搬送速度が速く設定される。そのため、中間転写体には用紙から搬送方向への力が新たに加わることで中間転写体の搬送速度に変動が生じ、使用する用紙の種類によっては画像に色ずれ等が発生する場合がある。
【0003】
例えば特許文献1には、転写材を予め定められたタイミングで画像転写部へ搬送するレジストロールの線速を切り換えることで、転写ブレや色ずれ等を抑えるカラー画像形成装置が記載されている。
また特許文献2には、用紙の搬送方向の長さが転写ベルトから定着装置までの搬送パスよりも長い用紙を搬送する場合には、定着装置、搬送ベルト、レジストロールの少なくとも一方の線速を変更し、用紙に転写される画像の搬送方向(副走査方向)への伸び(倍率誤差)の発生を抑える画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−27514号公報
【特許文献2】特開2003−84643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで一般に、画像形成装置では、各種の用紙が様々な環境下で使用される。そして、使用される用紙の厚さ、長さ、および種類や、用紙が使用される際の温湿度環境等の要因によって、用紙から中間転写体等のトナー像保持部材に加わる負荷は異なる。そのために、使用する用紙や温湿度環境等によって画像に生じる色ずれ量は変動する。
本発明は、各種の用紙が使用される画像形成装置において画像に生じる色ずれを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、画像データを取得して画像処理を施し、各色毎の画像データである各色画像データを生成する画像処理手段と、前記画像処理手段にて生成された前記各色画像データに基づき主走査方向に画素が並んだ画素列を副走査方向に配列させた静電潜像を形成し、形成された静電潜像を現像して各色トナー像を各々形成する複数のトナー像形成手段と、前記トナー像形成手段各々にて形成された各色トナー像を保持しながら移動するトナー像保持部材とを備え、前記画像処理手段は、前記各色画像データに基づき形成される前記静電潜像の副走査方向の位置毎に、当該位置に形成された前記各色トナー像が前記トナー像保持部材に保持される際の当該トナー像保持部材の移動速度の変動量に対応させた列数の前記画素列を追加または削除する画像処理を当該各色画像データに施すことを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記画像処理手段は、追加または削除する画素の配置位置を予め定めた規則に従って設定する前記画像処理を前記各色画像データに施すことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記トナー像保持部材に保持された前記各色トナー像が転写される記録材の種類毎に、前記静電潜像の副走査方向の前記位置と追加または削除する前記画素列の列数との対応関係を記憶する記憶手段をさらに備え、前記画像処理手段は、前記記憶手段に記憶された前記対応関係に基づき、前記静電潜像の副走査方向の位置毎に前記画素列を追加または削除する画像処理を前記各色画像データに施すことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記記憶手段は、前記記録材の種類毎の前記対応関係を自装置内の湿度および温度の複数の組み合わせ毎に記憶することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項5に記載の発明は、画像データを取得する取得手段と、前記取得手段にて取得された前記画像データに画像処理を施し、各色毎の画像データである各色画像データを生成する画像処理手段と、前記各色画像データに基づき主走査方向に画素が並んだ画素列を副走査方向に配列させた静電潜像を形成し、形成された静電潜像を現像して各色トナー像をそれぞれ形成する複数のトナー像形成手段に画像処理が施された当該各色画像データを転送する転送手段とを備え、前記画像処理手段は、前記トナー像形成手段にて形成される前記静電潜像の副走査方向の位置毎に、当該位置に形成された前記各色トナー像が当該各色トナー像を保持しながら移動するトナー像保持部材に保持される際の当該トナー像保持部材の移動速度の変動量に対応させた列数の前記画素列を追加または削除する画像処理を前記各色画像データに施すことを特徴とする画像処理装置である。
【0009】
請求項6に記載の発明は、前記画像処理手段は、追加または削除する画素の配置位置を予め定めた規則に従って設定する前記画像処理を前記各色画像データに施すことを特徴とする請求項5記載の画像処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記トナー像保持部材に保持された前記各色トナー像が転写される記録材の種類毎に、前記静電潜像の副走査方向の前記位置と追加または削除する前記画素列の列数との対応関係を記憶する記憶手段をさらに備え、前記画像処理手段は、前記記憶手段に記憶された前記対応関係に基づき前記静電潜像の副走査方向の位置毎に前記画素列を追加または削除する画像処理を前記各色画像データに施すことを特徴とする請求項5記載の画像処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記記憶手段は、前記記録材の種類毎の前記対応関係を自装置内の湿度および温度の複数の組み合わせ毎に記憶することを特徴とする請求項7記載の画像処理装置である。
【0010】
請求項9に記載の発明は、コンピュータに、画像データを取得する機能と、取得された前記画像データから各色毎の画像データである各色画像データを生成する機能と、生成された前記各色画像データに基づき形成される主走査方向に画素が並んだ画素列を副走査方向に配列させた静電潜像の副走査方向の位置毎に、当該位置に形成された各色トナー像が当該各色トナー像を保持しながら移動するトナー像保持部材に保持される際の当該トナー像保持部材の移動速度の変動量に対応させた列数の当該画素列を追加または削除する画像処理を当該各色画像データに施す機能とを実現させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1によれば、本発明を採用しない場合に比べて、各種の用紙が使用される画像形成装置において画像に生じる色ずれを低減することができる。
本発明の請求項2によれば、本発明を採用しない場合に比べて、画素列を削除した場合に画像が消滅したり見難くなる部分が生じたり、画素列を追加した場合に画像に目立った部分が生じることを抑制することができる。
本発明の請求項3によれば、本発明を採用しない場合に比べて、使用する記録材の種類に対応させて画像に生じる色ずれを低減させることができる。
本発明の請求項4によれば、本発明を採用しない場合に比べて、変動する湿度および温度に対応させて画像に生じる色ずれを低減させることができる。
【0012】
本発明の請求項5によれば、本発明を採用しない場合に比べて、各種の用紙が使用される画像形成装置において画像に生じる色ずれを低減することができる。
本発明の請求項6によれば、本発明を採用しない場合に比べて、画素列を削除した場合に画像が消滅したり見難くなる部分が生じることを抑制し、画素列を追加した場合に画像に目立った部分が生じることを抑制することができる。
本発明の請求項7によれば、本発明を採用しない場合に比べて、使用する記録材の種類に対応させて画像に生じる色ずれを低減させることができる。
本発明の請求項8によれば、本発明を採用しない場合に比べて、変動する湿度および温度に対応させて画像に生じる色ずれを低減させることができる。
本発明の請求項9によれば、本発明を採用しない場合に比べて、各種の用紙が使用される画像形成装置において画像に生じる色ずれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の構成の一例を示した図である。
【図2】レジスト前搬送ロールから定着器に至るまでの用紙の搬送機構を示した図である。
【図3】(a)用紙の先端部が二次転写部に進入する前の状態と、(b)用紙の先端部が二次転写部に進入した際の状態とを示した図である。
【図4】(a)用紙が二次転写部を通過している途中であって用紙の先端部が定着器に進入する前の状態と、(b)用紙の先端部が定着器のニップ部に進入した際の状態とを示した図である。
【図5】(a)用紙がレジストロールと定着器との双方を通過している状態と、(b)用紙の後端部がレジストロールを通過した際の状態とを示した図である。
【図6】(a)用紙の後端部がレジストロールを通過した後の状態と、(b)用紙の後端部が二次転写部を通過した後の状態とを示した図である。
【図7】中間転写ベルトの移動速度の変動を示した図である。
【図8】画像に発生する色ずれを説明する図である。
【図9】同一の画像領域についての一次転写域での副走査方向の大きさが各色トナー像毎に異なるものとなることを概念的に示した図である。
【図10】同一の画像領域を構成する各色トナー像が中間転写ベルト上に一次転写された際の各色トナー像の副走査方向の一次転写域長さを比較した図である。
【図11】P領域での色ずれを低減するようにP領域の各色トナー像に設定される副走査方向の間引き量を説明する図である。
【図12】K色トナー像内の副走査方向の位置と間引き量との対応関係の一例を示した図である。
【図13】C色トナー像内の副走査方向の位置と間引き量との対応関係の一例を示した図である。
【図14】M色トナー像内の副走査方向の位置と間引き量との対応関係の一例を示した図である。
【図15】Y色トナー像内の副走査方向の位置と間引き量との対応関係の一例を示した図である。
【図16】画像における画素の追加(補間)処理を説明する図である。
【図17】画像における画素の削除(間引き)処理を説明する図である。
【図18】補間される画素のスクリーン角度を元の画像の画素のスクリーン角度と異なる設定として、画素の追加(補間)処理を行う場合を説明する図である。
【図19】間引きされる画素のスクリーン角度を元の画像の画素のスクリーン角度と異なる設定として、画素の削除(間引き)処理を行う場合を説明する図である。
【図20】画像処理部のハードウェア構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成装置の説明>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1の構成の一例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタであって、画像データに基づいてカラー画像を形成する画像形成プロセス部20、画像形成装置1全体の動作を制御する制御部60、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の画像生成装置やスキャナ等の画像読取装置等から受信した画像データに画像処理を施す画像処理手段(画像処理装置)の一例としての画像処理部22、および外部記憶部90を備えている。
また、画像形成装置1は、装置内の湿度を検出する湿度センサ66、装置内の温度を検出する温度センサ67を備えている。
【0015】
画像形成プロセス部20は、一定の間隔を置いて並列的に配置された、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナー像をそれぞれ形成する4つの画像形成ユニット30Y,30M,30C,30K(以下、「画像形成ユニット30」とも総称する)を備えている。なお、それ以外に、例えばライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、クリアトナーやコーポレートカラー等の各色トナー像を形成するものを加えて、5色以上の画像形成ユニットを備えた構成としてもよい。
画像形成ユニット30は、矢印A方向に回転しながら静電潜像が形成される感光体ドラム31、感光体ドラム31の表面を予め定めた電位で一様に帯電する帯電ロール32、感光体ドラム31上に形成された静電潜像を現像する現像器33、一次転写後の感光体ドラム31表面を清掃するドラムクリーナ34を備えている。各画像形成ユニット30に配置された現像器33は、トナー容器35Y,35M,35C,35Kから供給されるY,M,C,Kの各色トナーにより、感光体ドラム31上の静電潜像を現像する。
【0016】
また、画像形成プロセス部20は、各画像形成ユニット30に設けられた各感光体ドラム31を露光するレーザ露光器26(LEDや有機EL等の発光素子アレイを用いたものでもよい)、各画像形成ユニット30の各感光体ドラム31上に形成された各色トナー像が多重転写され、多重転写された各色トナー像を保持しながら搬送するトナー像保持部材の一例としての中間転写ベルト41、各画像形成ユニット30の各色トナー像を一次転写部Tr1にて中間転写ベルト41に順次転写(一次転写)する一次転写ロール42、中間転写ベルト41上に転写された重畳トナー像を二次転写部Tr2にて記録材(記録紙)である用紙P(P1,P2)に一括転写(二次転写)する二次転写ロール40、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着器80を備えている。
【0017】
レーザ露光器26は、光源としての半導体レーザ27、レーザ光を感光体ドラム31に走査露光する走査光学系(不図示)、例えば正六角面体で形成された回転多面鏡(ポリゴンミラー)28、半導体レーザ27の駆動を制御するレーザドライバ29を備えている。レーザドライバ29は、画像処理部22から画像データや制御部60から光量制御信号等を取得し、半導体レーザ27の点灯制御や出力光量制御等を行う。
一次転写ロール42は、一次転写電源(不図示)から一次転写バイアス電圧の供給を受け、中間転写ベルト41上に各色トナー像を一次転写する。また、二次転写ロール40は二次転写電源(不図示)から二次転写バイアス電圧の供給を受け、用紙P上に各色トナー像を二次転写する。
定着器80は、内部に加熱源を備える定着ロール82と、この定着ロール82に対して圧接配置される加圧ロール83とを備えている。そして、定着ロール82と加圧ロール83との間に形成されたニップ部Fnipに未定着トナー像を保持した用紙Pを通過させて、用紙Pにトナー像を定着する。
【0018】
このような画像形成装置1では、画像処理部22は、取得手段の一例としての画像データ入力部(不図示)にてPCやスキャナ等から送信された画像データを取得し、取得した画像データに対して予め定められた画像処理を施し、各色毎に分解された画像データ(各色画像データ)を生成する。そして、画像処理部22は、転送手段の一例としての画像データ転送部(不図示)から各色画像データを画像形成プロセス部20のレーザ露光器26に供給する。
一方、感光体ドラム31は帯電ロール32により一様に帯電される。そして、レーザ露光器26は、各画像形成ユニット30にて一様帯電された感光体ドラム31を、画像処理部22から送られた各色画像データに基づき点灯制御されたレーザ光で走査露光する。それにより、感光体ドラム31各々には各色の静電潜像が形成される。形成された静電潜像は各現像器33により現像され、各感光体ドラム31上には各色トナー像が形成される。
このように、レーザ露光器26および画像形成ユニット30、さらには必要に応じて他の構成部がトナー像形成手段として機能する。
【0019】
各画像形成ユニット30で形成された各色トナー像は、駆動ロール49により図1の矢印B方向に循環移動する中間転写ベルト41上に、予め定められた一次転写バイアス電圧が印加された一次転写ロール42により順次一次転写される。それにより、中間転写ベルト41上には各色トナー像が重ね合わされた重畳トナー像が形成される。重畳トナー像は、中間転写ベルト41の移動に伴って二次転写ロール40と駆動ロール49とが配置された二次転写部Tr2に向けて搬送される。
一方、画像形成装置1には複数の例えば用紙保持部71A,71Bが配置されている。そして、例えば操作入力部(不図示)を用いたユーザからの指示入力に基づき、例えば用紙保持部71Aに保持された用紙P1がピックアップロール72により取り出される。取り出された用紙P1は搬送経路R1に沿って1枚ずつ搬送され、レジスト前搬送ロール73によりレジストロール74の位置まで搬送される。
【0020】
レジストロール74は、中間転写ベルト41上を重畳トナー像が二次転写部Tr2に搬送されるタイミングに合わせて、用紙P1を二次転写部Tr2に供給する。そして、予め定められた二次転写バイアス電圧が印加された二次転写ロール40と駆動ロール49との間に形成された転写電界の作用により、重畳トナー像は用紙P1上に一括して二次転写される。
なお、二次転写部Tr2への用紙Pの搬送は、用紙保持部71A,71Bに保持された用紙P1,P2が搬送される搬送経路R1の他に、用紙Pへの両面印刷時に使用される両面搬送路R2や用紙Pを手差しする際に使用される手差し用用紙保持部75からの搬送経路R3からも行われる。
【0021】
その後、二次転写部Tr2にて各色トナー像が静電転写された用紙P1は、中間転写ベルト41から剥離され、定着器80に向けて搬送される。定着器80では、用紙P1が定着器80のニップ部Fnipを通過することにより、各色トナー像が用紙P1に定着される。そして定着画像が形成された用紙P1は、画像形成装置1の排出部に設けられた用紙積載部91に搬送される。一方、二次転写後に中間転写ベルト41に付着しているトナー(転写残トナー)は、中間転写ベルト41に接触して配置されたベルトクリーナ45によって除去され、次の画像形成サイクルに備えられる。
このようにして、画像形成装置1での画像形成は、指定された枚数分だけ繰り返して実行される。
【0022】
<画像形成装置の用紙搬送機構の説明>
次に、本実施の形態の画像形成装置1でのレジスト前搬送ロール73およびレジストロール74から二次転写部Tr2を経て定着器80に至るまでの用紙Pの搬送機構について説明する。
図2は、レジスト前搬送ロール73から定着器80に至るまでの用紙Pの搬送機構を示した図である。図2に示したように、レジスト前搬送ロール73は、不図示の駆動機構により搬送速度Vaで用紙Pをレジストロール74に向けて搬送する。レジストロール74は、重畳トナー像が二次転写部Tr2に搬送されるタイミングに合わせて、不図示の駆動機構により搬送速度Vrで用紙Pを二次転写部Tr2に向けて搬送する。一方、中間転写ベルト41を駆動する駆動ロール49は、周速が予め定められた設計値Vbに設定され、中間転写ベルト41を移動速度Vbで循環移動させる。また、定着器80では、定着ロール82および加圧ロール83が周速Vfで回転する。
【0023】
二次転写部Tr2の上流側では、レジスト前搬送ロール73による用紙Pの搬送速度Vaと、レジストロール74による用紙Pの搬送速度Vrと、駆動ロール49による中間転写ベルト41の移動速度Vbとは、Va≧Vr≧Vbの関係を満たすように設定される。
すなわち、重畳トナー像が転写される二次転写部Tr2においては、二次転写部Tr2での用紙Pの搬送速度は、中間転写ベルト41の移動速度Vbと一致するのが理想的である。用紙Pの搬送速度と中間転写ベルト41の移動速度Vbとが一致すれば、重畳トナー像は中間転写ベルト41上に保持された状態と1対1で用紙Pに転写されるので、重畳トナー像に用紙P搬送方向の倍率ずれが発生しないからである。
【0024】
しかし、実際の画像形成装置1では、中間転写ベルト41や用紙Pの搬送機構を構成する構成要素等における製造上の寸法誤差や組み立て誤差、またこれらを動作させる際の駆動モータの回転ムラ等が存在する。そのため、用紙Pの搬送速度と中間転写ベルト41の移動速度Vbとを誤差無く正確に一致させることは難しい。そのことから、通常、用紙Pの搬送速度と中間転写ベルト41の移動速度Vbとは正確に一致しないことを前提として、Va、Vr、Vbの関係が設定される。具体的には、Vr≧Vbと設定し、二次転写部Tr2の上流側に用紙Pの弛みが生じるように構成している。それにより、二次転写部Tr2では二次転写部Tr2の上流側に配置されたレジストロール74等の搬送機構からの駆動の影響が緩和され、用紙Pは中間転写ベルト41の移動に倣って移動し易い。同様に、レジスト前搬送ロール73とレジストロール74との間ではVa≧Vrと設定され、レジスト前搬送ロール73とレジストロール74との間に用紙Pの弛みが生じるように構成している。
【0025】
また、二次転写部Tr2の下流側では、上記と同様の理由から、中間転写ベルト41の移動速度Vbと定着器80の周速Vfとは、Vb≧Vfの関係を満たすように設定される。そのため、二次転写部Tr2と定着器80との間には用紙Pの弛みが生じる。それにより、二次転写部Tr2の下流側に配置された定着器80の駆動の影響が緩和され、用紙Pは中間転写ベルト41の移動に倣って移動し易くなる。
このようなことから、二次転写部Tr2や二次転写部Tr2の上下流側の用紙P搬送経路に構成された搬送機構各々には、用紙Pの搬送速度がVa≧Vr≧Vb≧Vfの関係で設定されている。
【0026】
このように、搬送機構各々の速度にVa≧Vr≧Vb≧Vfといった速度差を設けたことで、用紙Pは二次転写部Tr2において中間転写ベルト41の移動に倣って搬送され易くなる。そのため、用紙Pに転写された重畳トナー像は中間転写ベルト41上に保持された状態からのずれ量が小さく抑制される。しかし、二次転写部Tr2や二次転写部Tr2の上下流側に設けられた搬送機構各々に速度差が設定されたことにより、中間転写ベルト41自体の移動速度Vbが影響を受けることとなる。
例えば、レジストロール74から搬出された用紙Pは、中間転写ベルト41の移動速度Vbよりは速い搬送速度Vrのレジストロール74により搬送される。そのため、用紙Pが二次転写部Tr2を通過する際には、中間転写ベルト41は用紙Pとの接触により用紙Pからの押し込み力(加速力)を受けることとなる。それにより、中間転写ベルト41は移動方向に加速される。
【0027】
また、例えば二次転写部Tr2を通過した用紙Pが定着器80のニップ部Fnipに進入した後には、二次転写部Tr2の下流側での用紙Pの搬送速度は中間転写ベルト41の移動速度Vbよりは遅い周速Vfの定着器80により減速される。そのため、二次転写部Tr2と定着器80との間に用紙Pの弛みが形成されるまでは、中間転写ベルト41は用紙Pの減速による押し返し力(ブレーキ力)を受けることとなる。それにより、中間転写ベルト41は減速される。
さらに、例えば用紙Pの後端がレジストロール74を通過した後には、中間転写ベルト41の移動速度Vbより速い搬送速度Vrに設定されたレジストロール74からの搬送力が無くなる。そのため、中間転写ベルト41は用紙Pの減速によるブレーキ力を受けることとなり、減速される。
このような加速や減速による中間転写ベルト41の移動速度の変動は、用紙Pと中間転写ベルト41との摩擦力に比例して大きくなる。特に、押圧された二次転写部Tr2のニップ圧を高める厚紙や表面性の粗い用紙P等では、中間転写ベルト41が用紙Pから受ける押し込み力やブレーキ力が大きくなり、中間転写ベルト41の移動速度の変動量は大きくなる。
【0028】
<中間転写ベルトの移動速度の変動に関する説明>
続いて、レジストロール74と中間転写ベルト41と定着器80との間にVr≧Vb≧Vfとなる速度差を設けたことにより、中間転写ベルト41に生じる移動速度の変動について説明する。
図3は、(a)用紙Pの先端部が二次転写部Tr2に進入する前の状態と、(b)用紙Pの先端部が二次転写部Tr2に進入した際の状態とを示した図である。図4は、(a)用紙Pが二次転写部Tr2を通過している途中であって用紙Pの先端部が定着器80に進入する前の状態と、(b)用紙Pの先端部が定着器80のニップ部Fnipに進入した際の状態とを示した図である。図5は、(a)用紙Pがレジストロール74と定着器80との双方を通過している状態と、(b)用紙Pの後端部がレジストロール74を通過した際の状態とを示した図である。また図6は、(a)用紙Pの後端部がレジストロール74を通過した後の状態と、(b)用紙Pの後端部が二次転写部Tr2を通過した後の状態とを示した図である。
【0029】
まず、図3(a)に示した用紙Pの先端部が二次転写部Tr2に進入する前の状態では、中間転写ベルト41は用紙Pから何らの力も受けていない。そのため、中間転写ベルト41は設計値の移動速度Vb0で移動している。
次に、図3(b)に示した用紙Pの先端部が二次転写部Tr2に進入した際には、用紙Pの搬送速度はレジストロール74に設定された搬送速度Vr(≧Vb0)であるため、中間転写ベルト41は用紙Pとの接触により用紙Pから押し込み力を受け始める。それにより、中間転写ベルト41の移動速度Vbは設計値Vb0からの加速を開始する。
【0030】
続く図4(a)に示した用紙Pが二次転写部Tr2を通過している途中であって用紙Pの先端部が定着器80に進入する前の状態では、レジストロール74の搬送速度Vrで搬送される用紙Pからの押し込み力により、中間転写ベルト41の移動速度Vbは設計値Vb0から徐々に加速されて移動速度Vb1に達する。
その後、図4(b)に示した用紙Pの先端部が定着器80のニップ部Fnipに進入した際には、二次転写部Tr2の下流側での用紙Pの搬送速度は定着器80に設定された周速Vf(≦Vb0)に減速される。そのため、中間転写ベルト41は用紙Pからブレーキ力を受け始める。それにより、中間転写ベルト41の移動速度Vbは移動速度Vb1から減速を開始する。
【0031】
そして、図5(a)に示した用紙Pがレジストロール74と定着器80との双方を通過している状態では、二次転写部Tr2と定着器80との間に用紙Pの弛みが生じるまでは、中間転写ベルト41は用紙Pからのブレーキ力により減速される。それにより、二次転写部Tr2と定着器80との間に用紙Pの弛みが生じるまでに、中間転写ベルト41の移動速度Vbは移動速度Vb2(≦Vb1)となる。その後、二次転写部Tr2と定着器80との間に用紙Pの弛みが生じた後には、中間転写ベルト41が用紙Pから受けるブレーキ力は小さくなる。そのため、レジストロール74の搬送速度Vrで搬送される用紙Pからの押し込み力により、中間転写ベルト41は再び移動速度Vb2から徐々に加速される。そして、中間転写ベルト41の移動速度Vbは移動速度Vb1に達する。
【0032】
その後、図5(b)に示した用紙Pの後端部がレジストロール74を通過した際には、中間転写ベルト41はレジストロール74の搬送速度Vrで搬送される用紙Pからの押し込み力が無くなる。それにより、中間転写ベルト41は用紙Pからブレーキ力を受け、中間転写ベルト41の移動速度Vbは移動速度Vb1から減速を開始する。
続く図6(a)に示した用紙Pの後端部がレジストロール74を通過した後には、中間転写ベルト41は移動速度Vb1から徐々に減速され、中間転写ベルト41の移動速度Vbは設計値Vb0に戻る。
そして、中間転写ベルト41の移動速度Vbが設計値Vb0に戻った状態で、図6(b)に示した用紙Pの後端部が二次転写部Tr2を通過する。
【0033】
次の図7は、中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動を示した図である。図7に示したように、レジストロール74からの用紙Pの搬送が開始され(t0)、用紙Pの先端部が二次転写部Tr2に進入する時点t1までは(図3(a),(b))、中間転写ベルト41の移動速度Vbは設計値Vb0が維持される。続く用紙Pの先端部が定着器80に進入する時点t2までは(図4(a),(b))、レジストロール74の搬送速度Vrで搬送される用紙Pからの押し込み力により、中間転写ベルト41の移動速度Vbは設計値Vb0から徐々に加速されて移動速度Vb1に達する。
次に、用紙Pの先端部が定着器80に進入した時点t2(図4(b))の後、二次転写部Tr2と定着器80との間に用紙Pの弛みが生じる時点t3までは(図5(a))、中間転写ベルト41は用紙Pからのブレーキ力により減速され、中間転写ベルト41の移動速度Vbは移動速度Vb2(≦Vb1)となる。二次転写部Tr2と定着器80との間に用紙Pの弛みが生じた時点t3の後には(図5(a))、中間転写ベルト41が用紙Pから受けるブレーキ力は小さくなる。そのため、中間転写ベルト41は再び移動速度Vb2から徐々に加速される。
そして、用紙Pの後端部がレジストロール74を通過する時点t4までには(図5(b))、中間転写ベルト41の移動速度Vbは再び移動速度Vb1に達する。
【0034】
続いて用紙Pの後端部がレジストロール74を通過した時点t4の後には(図6(a))、中間転写ベルト41はレジストロール74の搬送速度Vrで搬送される用紙Pからの押し込み力が無くなるため、中間転写ベルト41は用紙Pからブレーキ力を受ける。それにより、中間転写ベルト41は移動速度Vb1から徐々に減速され、時点t4の後の時点t5には中間転写ベルト41の移動速度Vbは設計値Vb0に戻る。
そして、中間転写ベルト41の移動速度Vbが設計値Vb0に戻った時点t5の後に、用紙Pの後端部が二次転写部Tr2を通過する(図6(b))。
【0035】
このように、中間転写ベルト41の移動速度Vbは、例えば図7に示すように変動する。そのため、画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kにて形成されたY,M,C,Kの各色トナー像が中間転写ベルト41に一次転写される際には、用紙Pの先端部が二次転写部Tr2に進入する時点t1から中間転写ベルト41の移動速度Vbが設計値Vb0に戻る時点t5までの間、中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動分に応じた一次転写ずれが発生する。
その一方で、各画像形成ユニット30は、中間転写ベルト41に沿って異なる位置に配置されていることから、Y,M,C,Kの各色トナー像を形成するタイミングに時間差がある。例えば、各画像形成ユニット30相互が等間隔Dずつ離れて配置されているとする。その場合には、各画像形成ユニット30は、同一の画像領域に関してそれぞれD/Vbの時間差で各色トナー像を形成し、一次転写する。すなわち、画像形成ユニット30Kを基準に考えると、同一の画像領域に関しては、画像形成ユニット30Yは画像形成ユニット30Kよりも時間3D/Vb前にY色トナー像を一次転写している。画像形成ユニット30Mは画像形成ユニット30Kよりも時間2D/Vb前にM色トナー像を一次転写している。画像形成ユニット30Cは画像形成ユニット30Kよりも時間D/Vb前にC色トナー像を一次転写している。それにより、用紙Pの先端部が二次転写部Tr2に進入する時点t1から中間転写ベルト41の移動速度Vbが移動速度Vb0に戻る時点t5までの間においては、各画像形成ユニット30はそれぞれが異なる画像領域に関する画像形成を行い、トナー像を中間転写ベルト41に一次転写している。そのため、同一の画像領域における各色トナー像の中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動分に応じた一次転写ずれは、各色トナー像毎に異なることとなる。その結果、画像には色ずれが発生する。
【0036】
図8は、画像に発生する色ずれを説明する図である。図8では、中間転写ベルト41上での1枚目の用紙域および2枚目の用紙域と、各画像形成ユニット30が各色トナー像を一次転写する中間転写ベルト41上での領域(各色トナー像一次転写域)と、中間転写ベルト41上の二次転写が行われる領域(二次転写部Tr2)とを示している。上記の図7に示したように、1枚目用紙域の先端が二次転写部Tr2に進入した時点t1から、中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動が始まる。そして、その時点t1以降には、画像形成ユニット30Kでは、K色トナー像一次転写域よりも下流側の中間転写ベルト41上の領域で、中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動量に応じた一次転写ずれが発生する。同様に、画像形成ユニット30C、画像形成ユニット30M、および画像形成ユニット30Y各々では、C色トナー像一次転写域、M色トナー像一次転写域、およびY色トナー像一次転写域各々よりも下流側の中間転写ベルト41上の領域で、中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動量に応じた一次転写ずれが発生する。そのため、図8に示したように、各色トナー像には、各画像形成ユニット30相互の配置位置のずれに対応して、中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動パターンに応じた一次転写ずれが発生する。その結果、同一の画像領域上での各色トナー像の一次転写ずれ量は異なることとなり、画像には色ずれが生じる。2枚目用紙域以降においても、同様である。
【0037】
すなわち、このような画像の色ずれは、各画像形成ユニット30の感光体ドラム31上では副走査方向に同一の大きさ(長さ)で形成されていた各色トナー画像が、中間転写ベルト41の移動速度Vbに変動が生じるために、一次転写時に中間転写ベルト41上で伸長・圧縮され、中間転写ベルト41上における副走査方向の大きさが揃わなくなる(副走査方向に同一の大きさではなくなる)ことより生じる。
【0038】
<画像に色ずれが発生するメカニズムの説明>
画像に色ずれが発生するメカニズムをさらに図を用いて説明する。
図9は、中間転写ベルト41の移動速度Vbが変動するために、同一の画像領域についての一次転写域での副走査方向の大きさが各色トナー像毎に異なるものとなることを概念的に示した図である。二次転写部Tr2において中間転写ベルト41が用紙Pからの影響を受けず、中間転写ベルト41が設計値Vb0(設計速度)で移動している場合には、同一の画像領域を構成する各色トナー像に割り当てられる中間転写ベルト41上での一次転写域は、図9の左端に示したように、各色トナー像ともに副走査方向に設計上の大きさ(長さ)L0の領域(本来の一次転写域長さ)となる。そのため、各画像形成ユニット30の感光体ドラム31上に副走査方向に大きさ(長さ)L0の領域として形成された各色トナー像は、副走査方向に大きさL0の領域で、すなわち等倍で中間転写ベルト41上に一次転写される。そのために、画像に発生する色ずれは軽微である。
【0039】
ところが、上記の図8を用いて説明したように、中間転写ベルト41に生じる移動速度Vbの変動量が各色トナー像の一次転写域毎に異なるために、同一の画像領域を構成する各色トナー像に割り当てられる中間転写ベルト41上での一次転写域の長さ(各色トナー像の一次転写域長さ)は、副走査方向に異なる大きさ(長さ)の領域となる。例えば、同一の画像領域を構成するK色トナー像に割り当てられる一次転写域の大きさ(K色トナー像の一次転写域長さ)は、副走査方向に長さL0+L1となる。同様に、C色トナー像の一次転写域長さは、副走査方向に長さL0+L2、M色トナー像の一次転写域長さは、副走査方向に長さL0+L3、Y色トナー像の一次転写域長さは、副走査方向に長さL0+L4となる。ここで、L1,L2,L3,L4は、それぞれ中間転写ベルト41の移動速度Vbが変動することによる一次転写域の伸長量(△L)であり、本実施の形態では中間転写ベルト41が設計値Vb0よりも速くなるため、L1,L2,L3,L4≧0である。なお、中間転写ベルト41が設計値Vb0よりも遅くなる他の実施の形態では、L1,L2,L3,L4<0となる場合もある。
そのため、各画像形成ユニット30の感光体ドラム31上に形成された各色トナー像は、中間転写ベルト41上に一次転写される際に、副走査方向にそれぞれ(L0+L1)/L0倍、(L0+L2)/L0倍、(L0+L3)/L0倍、(L0+L4)/L0倍だけ伸長される。そして、この一次転写時の各色トナー像の伸長倍率が異なるために、画像には色ずれが生じる。
【0040】
ここで図10は、同一の画像領域を構成する各色トナー像が中間転写ベルト41上に一次転写された際の各色トナー像の副走査方向の一次転写域長さを比較した図である。なお、図10は、上記した図8のP領域における各色トナー像に割り当てられた一次転写域長さを例示している。上記の図9を用いて説明したように、中間転写ベルト41の移動速度Vbが変動するため、同一の画像領域を構成する各色トナー像に割り当てられた一次転写域長さは、副走査方向に異なる大きさを持つこととなる。そのため、各画像形成ユニット30の感光体ドラム31上では副走査方向に同一の大きさ(長さ)L0で形成されていた各色トナー像は、中間転写ベルト41上での各色トナー像一次転写域において同一の大きさ(長さ)ではなくなる。すなわち、図10に示したように、感光体ドラム31上では副走査方向に大きさL0で形成されていた各色トナー像は、中間転写ベルト41上ではK色トナー像が副走査方向に大きさL0+L1、C色トナー像が副走査方向に大きさL0+L2、M色トナー像が副走査方向に大きさL0+L3、Y色トナー像が副走査方向に大きさL0+L4となる。
なお、図10では、中間転写ベルト41の移動速度Vbが設計値Vb0である場合の各色トナー像の一次転写域長さを「本来の一次転写域長さ」としている。また、中間転写ベルト41の移動速度Vbが変動した場合の各色トナー像の一次転写域での副走査方向の大きさを「実際の一次転写域長さ」としている。
【0041】
具体的には、図10に例示した図8のP領域のY色トナー像では、中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動量は小さいため、「本来の一次転写域長さ」と「実際の一次転写域長さ」との差(L4)は小さい。それに対して、図10に例示した図8のP領域のC色トナー像、M色トナー像、およびK色トナー像では、中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動量は比較的大きいため、「本来の一次転写域長さ」と「実際の一次転写域長さ」との差(L1,L2,L3)は大きい。そのために、図8のP領域では、例えばY色トナー像と、C色トナー像、M色トナー像、およびK色トナー像との間において中間転写ベルト41上での副走査方向の画像領域にずれが大きく生じ、画像に色ずれが生じる。
【0042】
<画像処理部が行う画像処理の説明>
そこで、本実施の形態の画像形成装置1では、中間転写ベルト41上における同一の画像領域を構成する各色トナー像の副走査方向の大きさ(一次転写域長さ)が一致または近似するように、例えば図7に示した中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動量に対応させた列数の画素列を、各画像形成ユニット30の感光体ドラム31上に形成される各色静電潜像(各色トナー像)において、各色静電潜像の副走査方向の位置毎に追加(補間)または削減(間引き)する。ここでの「画素列」とは、主走査方向の画素の並びをいい、画素列が副走査方向に配列されて各色静電潜像が構成される。
具体的には、本実施の形態では、例えば図7に示したように、二次転写部Tr2に進入する用紙Pからの押し込み力を受けて中間転写ベルト41の移動速度Vbが設計値Vb0(設計速度)よりも速くなる。そのため、本実施の形態の画像処理手段(画像処理装置)の一例としての画像処理部22は、各画像形成ユニット30の感光体ドラム31上に形成する各色静電潜像に関し、副走査方向の画素列を例えば図7に示した中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動量に対応させた画素列数(列数)だけ削減(間引き)する間引き処理を施す。例えば、画像処理部22は、中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動量が大きい場合には、静電潜像に関して副走査方向に間引きする列数を移動速度Vbの変動量に比例させて多く設定する画像処理を施す。他方、中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動量が小さい場合には、静電潜像に関して副走査方向に間引きする列数を移動速度Vbの変動量に比例させて少なく設定する画像処理を施す。
【0043】
それにより、一次転写域にて伸長されるトナー像は、画像処理部22による副走査方向に関する画素列数(列数)の間引きにより、感光体ドラム31上では副走査方向に圧縮された静電潜像が形成される。そのため、一次転写域では、副走査方向に圧縮されて形成された感光体ドラム31上のトナー像が中間転写ベルト41上において副走査方向に伸長されるので、中間転写ベルト41が設計値Vb0(設計速度)で移動している状態での本来の一次転写域長さで一次転写されることとなる。その際に、静電潜像にて間引きする副走査方向における画素列数は、本来の一次転写域長さで一次転写されるように、各色トナー像の一次転写域における中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動量に対応させて設定する。さらには、中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動量は、同一の画像領域であっても各色トナー像の一次転写域によって異なるため、各色トナー像毎に別個に設定する。それによって、各画像形成ユニット30に形成された各色トナー像が中間転写ベルト41上に一次転写される際には、中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動に対応して、中間転写ベルト41上における同一の画像領域上での各色トナー像の副走査方向の大きさは、一致または近似する。それによって、画像に生じる色ずれが低減される。
【0044】
<各色トナー像に設定される間引き量の説明>
図10に例示した図8のP領域の各色トナー像に設定される副走査方向の間引き量について説明する。図11は、P領域での色ずれを低減するようにP領域の各色トナー像に設定される副走査方向の間引き量を説明する図である。
上記したように、各色トナー像が中間転写ベルト41上に一次転写される際に、K色トナー像、C色トナー像、M色トナー像、Y色トナー像それぞれは、副走査方向に(L0+L1)/L0倍、(L0+L2)/L0倍、(L0+L3)/L0倍、(L0+L4)/L0倍だけ伸長される。そこで、画像処理部22は、図11に示したように、感光体ドラム31上にK色トナー像を形成する際に、図8のP領域の静電潜像の副走査方向における画素列数をP領域の本来の副走査方向の画素列数のL0/(L0+L1)倍に設定する。すなわち、画像処理部22は、K色の静電潜像において(L0−L0/(L0+L1))×副走査方向の画素密度pの画素列数を間引き処理する。
そうすると、感光体ドラム31上には、副走査方向にL0×L0/(L0+L1)の大きさを持ったK色トナー像が形成される。これが中間転写ベルト41上に一次転写される際には、(L0+L1)/L0倍だけ伸長される。すなわち、中間転写ベルト41上には、副走査方向にL0×L0/(L0+L1)×(L0+L1)/L0=L0の大きさを持ったK色トナー像が形成されることとなる。
【0045】
同様に、画像処理部22は、感光体ドラム31上にC色トナー像、M色トナー像、およびY色トナー像を形成する際に、図8のP領域の静電潜像の副走査方向における画素列数をP領域の本来の副走査方向の画素列数のL0/(L0+L2)倍、L0/(L0+L3)倍、およびL0/(L0+L4)倍に設定する。すなわち、画像処理部22は、C色の静電潜像において(L0−L0/(L0+L2))×副走査方向の画素密度pの画素列数、M色の静電潜像において(L0−L0/(L0+L3))×副走査方向の画素密度pの画素列数、Y色の静電潜像において(L0−L0/(L0+L4))×副走査方向の画素密度pの画素列数を間引き処理する。それにより、中間転写ベルト41上のP領域には、副走査方向にL0の大きさを持ったC色トナー像、M色トナー像、およびY色トナー像が形成される。
それにより、本来は感光体ドラム31上にて副走査方向に大きさL0で形成される各色トナー像は、ともに、中間転写ベルト41上のP領域において副走査方向にL0の大きさを持った各色トナー像として一次転写される。そのため、中間転写ベルト41上における同一の画像領域上における各色トナー像の副走査方向の大きさが一致または近似し、色ずれが低減される。
【0046】
このように、中間転写ベルト41に移動速度Vbの変動が発生する場合に、本実施の形態の画像処理部22は、副走査方向に関して、中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動量に対応させて副走査方向における画素列数を間引き処理する。それにより、中間転写ベルト41上における同一の画像領域(例えば、図8のP領域)上における各色トナー像の副走査方向の大きさが一致または近似し、色ずれが低減される。
その場合に、各色トナー像に施される間引き量は、各色トナー像に割り当てられる中間転写ベルト41上での一次転写域の伸長量(△L)に対応して設定される。例えば、図8のP領域ではL1,L2,L3,L4に対応させて、P領域において各色トナー像(静電潜像)に施す間引き量を設定する。
なお、中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動量が負である場合、すなわち中間転写ベルト41の移動速度Vbが設計値Vb0よりも遅くなった場合には、画像処理部22は、副走査方向に画素列を補間する画像処理を行う。
【0047】
次に、各色トナー像内の副走査方向の位置に対応して設定される間引き量について説明する。
上記したように、本実施の形態の画像処理部22は、例えば図8のP領域では一次転写域の伸長量(L1,L2,L3,L4)に対応させて、P領域における各色トナー像に施す間引き量を設定する。ところが、一次転写域の伸長量は、各色トナー像内の副走査方向の位置によって異なるプロファイル(各色トナー像内の副走査方向の位置と一次転写域の伸長量との対応関係)を有している。そのため、一次転写域の伸長量(例えば図8のP領域でのL1,L2,L3,L4)は、各色トナー像毎に各色トナー像内の副走査方向の位置によって異なる。さらには、使用する用紙Pの種類、画像形成装置1内の湿度や温度によっても異なる。
そのため、本実施の形態では、予め使用する用紙Pの種類(紙種)毎、さらには画像形成装置1内の湿度や温度毎に、各色トナー像内の副走査方向の位置での一次転写域の伸長量のプロファイル(例えば図7参照)を計測しておく。さらには、計測されたプロファイルに基づいて各色トナー像毎に各色トナー像内の副走査方向の位置に対応して設定する間引き量を算出しておく。そして、本実施の形態の画像処理部22において、算出した間引き量を記憶手段の一例としてのメモリ(後段の図20の不揮発性メモリ104)に記憶させる。それにより、各色画像データについての画像処理を実施する際に、画像処理部22は各色静電潜像の副走査方向における画素列についてメモリに記憶された間引き量の間引き処理を施す。
【0048】
ここで、図12は、K色トナー像内の副走査方向の位置(領域)zと間引き量との対応関係の一例を示した図である。図13は、C色トナー像内の副走査方向の位置zと間引き量との対応関係の一例を示した図である。図14は、M色トナー像内の副走査方向の位置zと間引き量との対応関係の一例を示した図である。図15は、Y色トナー像内の副走査方向の位置zと間引き量との対応関係の一例を示した図である。図12〜図15における各色トナー像内の副走査方向の位置zと間引き量との対応関係は、例えば紙種P1、画像形成装置1内の特定の湿度(例えば湿度H1)、特定の温度(例えば温度T1)でのものである。
そして、画像処理部22のメモリには、各色トナー像(静電潜像)内での副走査方向の位置zと間引き量との対応関係が、用紙Pの複数の紙種P1〜Pn(n:整数)毎にテーブルとして記憶されている。さらには、その紙種P1〜Pn各々における画像形成装置1内の湿度および温度の複数の組み合わせ毎のテーブルとして記憶されている。画像処理部22は、使用する紙種や、湿度センサ66にて検出された湿度、および温度センサ67にて検出された温度に基づいて、各色トナー像に関して使用するテーブルをメモリから読み出す。そして、画像処理部22は、メモリから読み出したテーブルを用いて、各色トナー像内における副走査方向の位置zに対応した間引き量での副走査方向の間引き処理を行いながら、各色の画像処理を実施する。
【0049】
なお、中間転写ベルト41の移動速度Vbが設計値Vb0よりも遅くなった場合には、画像処理部22は、副走査方向に画素列を補間する画像処理を行う。その場合にも、画像処理部22のメモリには、各色トナー像に関する副走査方向の位置zと補間量との対応関係を示したテーブルが記憶される。画像処理部22は、使用する紙種や、湿度センサ66にて検出された湿度、および温度センサ67にて検出された温度に基づいて、各色トナー像に関して使用するテーブルをメモリから読み出す。そして、画像処理部22は、メモリから読み出したテーブルを用いて、各色トナー像内における副走査方向の位置zに対応した補間量での副走査方向の補間処理を行いながら、各色の画像処理を実施する。
【0050】
<補間・間引き処理される画素の配列の説明>
ところで、画像処理部22が副走査方向の位置zに対応した副走査方向の補間処理を各色トナー像に施した場合に、例えば画像の一部等が目立って表現されることがある。また、画像処理部22が副走査方向の間引き処理を各色トナー像に施した場合に、例えば細線等のような画像が消滅し、または見え難くなることがある。
そこで、画像処理部22は、副走査方向の位置zに対応した副走査方向の補間・間引き処理を各色トナー像に施す場合には、予め定めた規則に従った位置の画素を追加または削除する。
【0051】
図16は、画像における画素の追加(補間)処理を説明する図である。図16では、副走査方向に1画素追加する場合を示している。また、図16(a)は画素の補間処理が行われる前の画像、(b)は補間される画素の配置位置、(c)は画素の補間処理が行われた後の画像をそれぞれ示している。
図16(b)に示したように、補間される画素は、主走査方向に予め定めた画素数毎の周期を持って副走査方向に1画素ずつずれて配置されている。また、この場合のスクリーン角θ1は、画像のスクリーン角θ1と等しく設定されている。
そして、図16(c)に示したように、図16(b)に示した配置位置の画素が補間されると、補間された画素よりも副走査方向下流側の画素は、それぞれ副走査方向下流側に1画素ずれて配置される。なお、図16(c)の矢印(→)は、元の画像の画素の移動方向を示している。
このように、図16(b)に示したような副走査方向に1画素ずつずれて配置された画素を補間することで、画素の追加領域が副走査方向の広い領域に分散される。そのため、画素が補間された領域が目立って表現されることが抑制される。
【0052】
次の図17は、画像における画素の削除(間引き)処理を説明する図である。図17では、副走査方向に1画素削除する場合を示している。また、図17(a)は画素の間引き処理が行われる前の画像、(b)は間引きされる画素の配置位置、(c)は画素の間引き処理が行われた後の画像をそれぞれ示している。
図17(b)に示したように、間引きされる画素は、図16で示した場合と同様に、主走査方向に予め定めた画素数毎の周期を持って副走査方向に1画素ずつずれて配置されている。また、この場合のスクリーン角θ1は、画像のスクリーン角θ1と等しく設定されている。
そして、図17(c)に示したように、図17(b)に示した配置位置の画素が間引きされると、間引きされた画素よりも副走査方向下流側の画素は、それぞれ副走査方向上流側に1画素ずれて配置される。なお、図17(c)の矢印(→)は、元の画像の画素の移動方向を示している。
このように、図17(b)に示したような副走査方向に1画素ずつずれて配置された画素を間引きすることで、画素の削除領域が副走査方向の広い領域に分散される。そのため、画素が削除された領域が消滅し、または見え難くなることが抑制される。
【0053】
上記の図16および図17に示した例では、補間・間引きされる画素の配置位置は、画像のスクリーン角θ1と等しくなるように設定されている。ところが、このような設定を用いた場合に、補間・間引きされる画素と元の画像の画素とが干渉して、補間・間引き処理が行われた後の画像に例えば干渉縞が生じる場合がある。
そこで、補間・間引きされる画素について、スクリーン角度、スクリーン周期、スクリーン線数、スクリーンの種類等を元の画像の画素とは異なるように設定してもよい。
【0054】
図18は、補間される画素のスクリーン角度θ2を元の画像の画素のスクリーン角度θ1と異なる設定として、画素の追加(補間)処理を行う場合を説明する図である。
図18でも、副走査方向に1画素追加する場合を示している。また、図18(a)は画素の補間処理が行われる前の画像、(b)は補間される画素の配置位置、(c)は画素の補間処理が行われた後の画像をそれぞれ示している。
図18(b)に示したように、補間される画素は、主走査方向に予め定めた画素数毎の周期を持って副走査方向に1画素ずつずれて配置されている。また、この場合のスクリーン角θ2は、画像のスクリーン角θ1とは異なるように設定されている。
そして、図18(c)に示したように、図18(b)に示した配置位置の画素が補間されると、補間された画素よりも副走査方向下流側の画素は、それぞれ副走査方向下流側に1画素ずれて配置される。なお、図18(c)の矢印(→)は、元の画像の画素の移動方向を示している。
このように、図18(b)に示したような副走査方向に1画素ずつずれて配置された画素を補間することで、画素の追加領域が副走査方向の広い領域に分散される。そのため、画素が補間された領域が目立って表現されることが抑制される。また、スクリーン角が異なることにより、補間処理が行われた後の画像に干渉縞が発生することが抑制される。
【0055】
図19は、間引きされる画素のスクリーン角度θ2を元の画像の画素のスクリーン角度θ1と異なる設定として、画素の削除(間引き)処理を行う場合を説明する図である。
図19では、副走査方向に1画素削除する場合を示している。また、図19(a)は画素の間引き処理が行われる前の画像、(b)は間引きされる画素の配置位置、(c)は画素の間引き処理が行われた後の画像をそれぞれ示している。
図19(b)に示したように、間引きされる画素は、図18で示した場合と同様に、主走査方向に予め定めた画素数毎の周期を持って副走査方向に1画素ずつずれて配置されている。また、この場合のスクリーン角θ2は、画像のスクリーン角θ1とは異なるように設定されている。
そして、図19(c)に示したように、図19(b)に示した配置位置の画素が間引きされると、間引きされた画素よりも副走査方向下流側の画素は、それぞれ副走査方向上流側に1画素ずれて配置される。なお、図19(c)の矢印(→)は、元の画像の画素の移動方向を示している。
このように、図19(b)に示したような副走査方向に1画素ずつずれて配置された画素を間引きすることで、画素の削除領域が副走査方向の広い領域に分散される。そのため、画素が削除された領域が消滅し、または見え難くなることが抑制される。また、スクリーン角が異なることにより、補間処理が行われた後の画像に干渉縞が発生することが抑制される。
【0056】
<画像処理部のハードウェア構成の説明>
次の図20は、画像処理部22のハードウェア構成を示した図である。図20に示したように、画像処理部22は、各色静電潜像(各色トナー像)に副走査方向の画素を追加(補間)または削減(間引き)する画像処理を実行するに際して、予め定められたプログラムに従ってデジタル演算処理を実行するCPU101、CPU101により実行されるプログラム等が格納されるRAM102、CPU101により実行されるプログラム等にて用いられる設定値等のデータが格納されるROM103、書き換え可能で電源供給が途絶えた場合にもデータを保持できるEEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ(NVM:Non-Volatile Memory)104、画像処理部22に接続される各部との信号の入出力を制御するインターフェース部105を備えている。
上記の各色トナー像内での副走査方向の位置zと間引き量との対応関係が記述されるテーブルは、記憶手段の一例としてのNVM104に記憶される。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1においては、中間転写ベルト41上における同一の画像領域を構成する各色トナー像の副走査方向の大きさが一致または近似するように、中間転写ベルト41の移動速度Vbの変動量に対応させて、各画像形成ユニット30の感光体ドラム31上に形成される各色トナー像において副走査方向における画素列を追加(補間)または削減(間引き)する。それにより、各種の用紙Pが使用される画像形成装置1において画像上での色ずれが低減される。
なお、以上はトナー像保持部材の一例としての中間転写ベルト41を用いた画像形成装置のケースで記述したが、上記したように、トナー像保持部材の一例としての例えばベルト状の感光体上に各色のトナー像を順次重ねて現像し、用紙に一括転写する所謂IOI(Image On Image)方式の画像形成装置でも、同じように適用される。
【符号の説明】
【0058】
1…画像形成装置、20…画像形成プロセス部、22…画像処理部、30(30Y,30M,30C,30K)…画像形成ユニット、31…感光体ドラム、41…中間転写ベルト、42…一次転写ロール、49…駆動ロール、60…制御部、66…湿度センサ、67…温度センサ、73…レジスト前搬送ロール、74…レジストロール、80…定着器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを取得して画像処理を施し、各色毎の画像データである各色画像データを生成する画像処理手段と、
前記画像処理手段にて生成された前記各色画像データに基づき主走査方向に画素が並んだ画素列を副走査方向に配列させた静電潜像を形成し、形成された静電潜像を現像して各色トナー像を各々形成する複数のトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段各々にて形成された各色トナー像を保持しながら移動するトナー像保持部材とを備え、
前記画像処理手段は、前記各色画像データに基づき形成される前記静電潜像の副走査方向の位置毎に、当該位置に形成された前記各色トナー像が前記トナー像保持部材に保持される際の当該トナー像保持部材の移動速度の変動量に対応させた列数の前記画素列を追加または削除する画像処理を当該各色画像データに施すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、追加または削除する画素の配置位置を予め定めた規則に従って設定する前記画像処理を前記各色画像データに施すことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー像保持部材に保持された前記各色トナー像が転写される記録材の種類毎に、前記静電潜像の副走査方向の前記位置と追加または削除する前記画素列の列数との対応関係を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記画像処理手段は、前記記憶手段に記憶された前記対応関係に基づき、前記静電潜像の副走査方向の位置毎に前記画素列を追加または削除する画像処理を前記各色画像データに施すことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記記録材の種類毎の前記対応関係を自装置内の湿度および温度の複数の組み合わせ毎に記憶することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段にて取得された前記画像データに画像処理を施し、各色毎の画像データである各色画像データを生成する画像処理手段と、
前記各色画像データに基づき主走査方向に画素が並んだ画素列を副走査方向に配列させた静電潜像を形成し、形成された静電潜像を現像して各色トナー像をそれぞれ形成する複数のトナー像形成手段に画像処理が施された当該各色画像データを転送する転送手段とを備え、
前記画像処理手段は、前記トナー像形成手段にて形成される前記静電潜像の副走査方向の位置毎に、当該位置に形成された前記各色トナー像が当該各色トナー像を保持しながら移動するトナー像保持部材に保持される際の当該トナー像保持部材の移動速度の変動量に対応させた列数の前記画素列を追加または削除する画像処理を前記各色画像データに施すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理手段は、追加または削除する画素の配置位置を予め定めた規則に従って設定する前記画像処理を前記各色画像データに施すことを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記トナー像保持部材に保持された前記各色トナー像が転写される記録材の種類毎に、前記静電潜像の副走査方向の前記位置と追加または削除する前記画素列の列数との対応関係を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記画像処理手段は、前記記憶手段に記憶された前記対応関係に基づき前記静電潜像の副走査方向の位置毎に前記画素列を追加または削除する画像処理を前記各色画像データに施すことを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記記憶手段は、前記記録材の種類毎の前記対応関係を自装置内の湿度および温度の複数の組み合わせ毎に記憶することを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
画像データを取得する機能と、
取得された前記画像データから各色毎の画像データである各色画像データを生成する機能と、
生成された前記各色画像データに基づき形成される主走査方向に画素が並んだ画素列を副走査方向に配列させた静電潜像の副走査方向の位置毎に、当該位置に形成された各色トナー像が当該各色トナー像を保持しながら移動するトナー像保持部材に保持される際の当該トナー像保持部材の移動速度の変動量に対応させた列数の当該画素列を追加または削除する画像処理を当該各色画像データに施す機能と
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−217691(P2010−217691A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66181(P2009−66181)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】