説明

画像形成装置、画像形成方法、及びプログラム

【課題】用紙を無駄にすることなくさらにより精度を高くした画像形成装置、画像形成方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】転写ユニットの出力枚数に対する転写効率特性をあらかじめ保持しておき、その特性自体を濃度補正に組み込むことにより、実際に用紙上に印字して濃度補正を実施しなくても、より精度の高い濃度補正を実施できることに加え、2次色であるRGB(赤、緑、青)に個別のガンマカーブを適用させて補正を行うことにより、さらに精度の高い濃度補正を実施できるので、用紙を無駄にすることなくさらにより精度を高くした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、電源投入時や大量印刷後などで濃度変動が発生する。
そこで、感光体や中間転写ベルト上にパターンを描き、画像形成装置本体側に設けた濃度センサーによりそのパターンの濃度値を読み取り、読み取った濃度値を利用して補正処理を行い、濃度変動を補正する技術が既に知られている。
【0003】
また、電子写真のプロセスは一般的に以下のようなプロセスにより画像形成されるが、先述の感光体や中間転写ベルト上での補正処理では後に転写や定着のプロセスを経ることから、精度の高い補正を行うことができないとして、転写や定着時の濃度を読み取ることによる精度の高い補正技術に関しても知られている。
帯電→露光→現像→転写→定着
【0004】
また、本発明に関連する技術が特許文献1に開示されている。
特許文献1に記載の発明は、画像形成装置の色識別方法に関する発明であり、具体的には、転写材及び転写材上に形成されたパッチの色度を検知する色度検知手段と、転写材上にパッチを形成する画像形成手段と、パッチの色度検知手段の検知結果より画像処理部の画像形成条件を補正する手段を有する画像形成装置の色識別方法において、ブラック1色及びイエロー、マゼンダ、シアンの3色を混色した2種のグレーパッチを形成し、色度検知手段が検知した2種のグレーパッチの色度を相対比較し、一致した場合にイエロー、マゼンダ、シアンの3色を混色して形成したプロセスグレーパッチは無彩色であり、このプロセスグレーパッチの明度はブラックで形成したグレーパッチの明度と同じであると判断するものである。
【0005】
特許文献1に記載の発明によれば、カラーセンサのセンサー出力校正用の基準を用いることなくプロセスグレーパッチが無彩色であるかどうか判断でき、その明度のレベルを知ることができるため、前記基準が不要な分安価であり、なおかつ紙粉やトナー又はインクの飛び散りによるセンサー汚れの影響を受けず、センサーの温度特性の影響を受けず、センサーの分光特性のバラツキの影響を受けずに、高精度な濃度又は色度制御を行うのに十分なデータを出力することが可能となるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、より高精度に自動濃度補正を行うための今までの画像形成装置では、転写や定着後に濃度補正を行うために実際の用紙上にパターンを描く必要があり、精度は高くなるものの補正のたびに用紙が無駄になるという問題があった。
【0007】
上記問題を解決する手段として、本発明の出願人は、実際に用紙上に印字して濃度補正を実施しなくても、より精度の高い濃度補正を実施できる方法を出願したが(特願2007−161393)、その補正方法はCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の単色のガンマカーブに適用させることにより補正を行うものであり、例えばM(マゼンタ)とY(イエロー)とを混色させた場合のR(レッド)といった混色の精度については保証していない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、用紙を無駄にすることなくさらにより精度を高くした画像形成装置、画像形成方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、入力される画像データに対して濃度補正を実行して画像を形成する画像形成装置であって、設定された目標濃度値に対応する目標パラメータを使用して生成されたテストパターンデータからテストパターンを形成する作像部と、前記テストパターンの濃度を検出濃度値として検出する検出部と、前記画像を転写して出力する転写ユニットの転写効率データを格納する記憶部と、前記検出濃度値および前記転写効率データを使用して前記目標濃度値に対応する前記目標パラメータとして設定される補正パラメータを算出し、前記補正パラメータにより補正した前記画像データを前記作像部に与えて濃度補正された画像を形成させる制御部と、を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記目標濃度値と一致する前記検出濃度値を探索し、探索された前記検出濃度値に対応する前記目標パラメータを算出し、算出された前記目標パラメータを、前記転写ユニットが出力した用紙の出力枚数に対応した転写効率で除して前記補正パラメータを算出することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記制御部は、2次色であるRGB用の補正パラメータを別途保持し、CMYK用の補正パラメータと前記RGB用の補正パラメータとから新たに前記補正パラメータを算出することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記作像部は、異なる濃度の複数の前記テストパターンを形成することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記作像部は、CMYK各単色の前記テストパターンに加えてRGBの前記テストパターンを形成することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記検出部は、前記作像部により形成された前記複数のテストパターンの各前記濃度を各前記検出濃度値として検出し、前記制御部は、各前記目標濃度値に対応する前記各検出濃度値を、検出された前記検出濃度値間をスプライン補間することによって生成し、前記各目標濃度値に対応する各前記補正パラメータを、得られた前記補正パラメータ間をスプライン補間することによって生成することを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記制御部は、生成した前記複数の検出濃度値の中に、前記目標濃度値と一致するものがない場合、前記目標濃度値に最も近い値の前記検出濃度値を検索し、前記検出濃度値に対応する前記目標パラメータを算出し、得られた前記目標パラメータを使用して前記補正パラメータを算出することを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、入力される画像データに対して濃度補正を実行して画像を形成する画像形成方法であって、設定された目標濃度値に対応する目標パラメータを使用して生成されたテストパターンデータからテストパターンを形成するステップと、前記テストパターンの濃度を検出濃度値として検出するステップと、前記検出濃度値および前記画像データを転写して出力する転写ユニットの転写効率データを使用して前記目標濃度値に対応する前記目標パラメータとして設定される補正パラメータを算出し、前記補正パラメータにより補正した前記画像データに基づいて濃度補正された画像を形成させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成方法において、前記画像を形成させるステップでは、前記目標濃度値と一致する前記検出濃度値を探索し、探索された前記検出濃度値に対応する前記目標パラメータを算出し、算出された前記目標パラメータを、前記転写ユニットが出力した用紙の出力枚数に対応した転写効率で除して前記補正パラメータを算出することを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載の画像形成方法において、前記テストパターンを形成するステップでは、異なる濃度の複数の前記テストパターンを形成することを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項8または9に記載の画像形成方法において、前記テストパターンを形成するステップでは、CMYK各単色の前記テストパターンに加えてRGBの前記テストパターンを形成することを特徴とする。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項8から11のいずれか1項に記載の画像形成方法において、前記検出するステップでは、前記作像部により形成された前記複数のテストパターンの各前記濃度を各前記検出濃度値として検出し、前記画像を形成させるステップでは、各前記目標濃度値に対応する前記各検出濃度値を、検出された前記検出濃度値間をスプライン補間することによって生成し、前記各目標濃度値に対応する各前記補正パラメータを、得られた前記補正パラメータ間をスプライン補間することによって生成することを特徴とする。
【0021】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の画像形成方法において、前記画像を形成させるステップでは、生成した前記複数の検出濃度値の中に、前記目標濃度値と一致するものがない場合、前記目標濃度値に最も近い値の前記検出濃度値を検索し、前記検出濃度値に対応する前記目標パラメータを算出し、得られた前記目標パラメータを使用して前記補正パラメータを算出することを特徴とする。
【0022】
請求項14に記載の発明は、コンピュータに、画像形成装置が、入力される画像データに対して濃度補正を実行して画像を形成する手順を実行させる画像形成のプログラムあって、前記コンピュータに、作像部が、設定された目標濃度値に対応する目標パラメータを使用して生成されたテストパターンデータからテストパターンを形成する手順と、検出部が、前記テストパターンの濃度を検出濃度値として検出する手順と、制御部が、前記検出濃度値および記憶部に格納された前記画像データを転写して出力する転写ユニットの転写効率データを使用して前記目標濃度値に対応する前記目標パラメータとして設定される補正パラメータを算出し、前記補正パラメータにより補正した前記画像データを前記作像部に与えて濃度補正された画像を形成させる手順と、を実行させることを特徴とする。
【0023】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載のプログラムにおいて、前記画像を形成させる手順では、前記制御部が、前記目標濃度値と一致する前記検出濃度値を探索し、探索された前記検出濃度値に対応する前記目標パラメータを算出し、算出された前記目標パラメータを、前記転写ユニットが出力した用紙の出力枚数に対応した転写効率で除して前記補正パラメータを算出することを特徴とする。
【0024】
請求項16に記載の発明は、請求項14または15に記載のプログラムにおいて、前記テストパターンを形成する手順では、異なる濃度の複数の前記テストパターンを形成することを特徴とする。
【0025】
請求項17に記載の発明は、請求項14または15に記載のプログラムにおいて、前記テストパターンを形成する手順では、CMYK各単色の前記テストパターンに加えてRGBの前記テストパターンを形成することを特徴とする。
【0026】
請求項18に記載の発明は、請求項14から17のいずれか1項に記載のプログラムにおいて、前記検出する手順では、前記作像部により形成された前記複数のテストパターンの各前記濃度を各前記検出濃度値として検出し、前記画像を形成させるステップでは、各前記目標濃度値に対応する前記各検出濃度値を、検出された前記検出濃度値間をスプライン補間することによって生成し、前記各目標濃度値に対応する各前記補正パラメータを、得られた前記補正パラメータ間をスプライン補間することによって生成することを特徴とする。
【0027】
請求項19に記載の発明は、請求項18に記載のプログラムにおいて、前記画像を形成させる手順では、生成した前記複数の検出濃度値の中に、前記目標濃度値と一致するものがない場合、前記目標濃度値に最も近い値の前記検出濃度値を検索し、前記検出濃度値に対応する前記目標パラメータを算出し、得られた前記目標パラメータを使用して前記補正パラメータを算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、転写ユニットの出力枚数に対する転写効率特性をあらかじめ保持しておき、その特性自体を濃度補正に組み込むことにより、実際に用紙上に印字して濃度補正を実施しなくても、より精度の高い濃度補正を実施できることに加え、2次色であるRGB(赤、緑、青)に個別のガンマカーブを適用させて補正を行うことにより、さらに精度の高い濃度補正を実施できるので、用紙を無駄にすることなくさらにより精度を高くした画像形成装置、画像形成方法、及びプログラムの提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】一般的な画像形成装置での、入力から出力までのカラーパス構成を示す図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置のブロック図の一例である。
【図3】色空間の概念図である。
【図4】目標濃度値と検出濃度値を記憶するための目標テーブルの一例である。
【図5】出力枚数と転写効率との関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、一般的な画像形成装置での、入力から出力までのカラーパス構成を示す図である。
図1に示す画像形成装置は、アプリケーション13から受け取ったRGB信号を、CMYKに変換するカラーマッチングモジュール2、カラーマッチングする際のカラープロファイル3、カラープロファイル3が保持するLUT(ルックアップテーブル)4とIN/OUTPUTテーブル5、カラーマッチングされたCMYKのγ変換を行うプリンタγ変換モジュール6、γ変換する際利用するγテーブル7、γ変換されたCMYKの総量を決める総量規制モジュール8、その際利用する総量規制値9、総量規制されたCMYKに対して階調を表現する階調変換モジュール12、その際利用するディザパターン11、及び像を形成する作像部10で構成されている。
【0031】
図2は、本発明に係る画像形成装置のブロック図の一例である。
この画像形成装置は、所定濃度の画像および所定形状で所定濃度のテストパターンを、感光体、転写ベルト1、用紙上に形成する作像部10と、形成されたテストパターンの濃度を検出濃度値として検出する検出部20と、検出された検出濃度値等を使用して補正パラメータを算出し、補正パラメータにより補正した画像データを作像部10に与えて濃度補正された画像を形成させる制御部30と、制御部30に対して各種の指令を入力するプリンタパネル(UI)40とを備えている。
【0032】
この画像形成装置は、画像を用紙へ転写して出力する転写ユニットの転写効率データを格納する記憶部を備えている。この記憶部は、制御部30に含まれていてもよいし、外部記憶媒体として構成することもできる。また、この記憶部は、制御目標となる濃度を表す目標濃度値と、その目標濃度値と対応付けられ、目標濃度の画像を形成するために使用される目標パラメータとをさらに格納することができる。
【0033】
作像部10は、ユーザにより入力された画像データを受け取り、用紙上に画像を形成する。この作像部10は、露光装置、帯電器、感光体、現像ユニット、転写ベルト1、上記の転写ユニットを含む。露光装置は、画像データに応じた画像光を、帯電器によって予め帯電させた感光体上に露光する。現像ユニットは、露光によって潜像が形成された感光体に粉体現像剤(トナー)を供給し、そのトナーを付着させることにより現像する。転写ユニットは、それを転写ベルト1上に転写し、転写ベルト1との間に用紙が給紙されることにより、用紙上にトナー像を転写する。その後、そのトナー像は、定着ユニットにより用紙に定着される。
【0034】
また、作像部10は、制御部30からテストパターンデータを受け取り、転写ベルト1上に所定濃度のテストパターンあるいは一定の濃度刻みの複数のテストパターンを形成する。作像部10は、所定濃度になるように設定された目標濃度値に対応する目標パラメータを使用して生成されたテストパターンデータを受け取り、このデータから所定濃度のテストパターンを形成する。図1では、作像部10が、転写ベルト1上に、4個を1組として、一定の濃度刻みで3組の矩形のテストパターンを形成しているのが示されている。
【0035】
検出部20は、転写ベルト1上に形成されたテストパターンの濃度を検出濃度値として検出する。検出部20としては、濃度センサーを挙げることができる。濃度センサーは、光源と、受光センサーとを含み、光源から出射された光がテストパターンに反射し、その反射光を受光センサーで受光し、その受光量から濃度を検出する。光源としては、LED、LD(レーザダイオード)、EL、冷陰極管、電球等を挙げることができる。受光センサーとしては、PD(フォトダイオード)、CCD等を挙げることができる。
【0036】
制御部30は、検出部20により検出された検出濃度値がアナログ信号であるため、そのアナログ信号をデジタル信号へ変換するA/D変換部31と、補正を行うタイミングを制御するタイミング制御部32と、記憶されている補正アルゴリズムで濃度補正処理を実行するように制御する補正処理制御部33とを含む。また、制御部30は、プリンタパネル40からの入力信号およびプリンタパネル40への出力信号を制御するインタフェースとして機能するパネル制御部34と、所定形状で、所定濃度のテストパターンをパターンデータとして生成するパターンデータ生成部35と、濃度補正処理を実行する濃度域を記憶する許容濃度テーブル36とを含む。
【0037】
さらに、制御部30は、NVRAM37と、濃度補正処理を実行可能なプログラムを格納したROM38と、制御部30全体を制御するCPU39とを含む。上記の記憶部として、このNVRAM37を用いることができ、NVRAM37に、検出された検出濃度値、制御目標となる目標濃度値、目標濃度値に対応付けられた目標パラメータ、転写ユニットの転写効率データを記憶することができる。
【0038】
検出部20で検出される検出濃度値は、濃度変動がない場合、目標濃度値と一致した値となる。このように濃度変動がない場合は、目標濃度値に対応する目標パラメータを設定すれば、所望の濃度の画像を形成することができる。しかしながら、電源投入時や大量に印刷した後においては濃度変動が発生し、検出される検出濃度値と目標濃度値とは異なった値となる。このように濃度変動が生じる場合には、濃度補正が必要とされる。
【0039】
濃度補正は、初めに、パターンデータ生成部35がパターンデータを生成し、タイミング制御部32で制御されるタイミングに従ってパターンデータを作像部10へ送る。作像部10は、このパターンデータを受け取り、感光体および転写ユニット上に所定形状および所定濃度のテストパターンを形成する。
【0040】
検出部20は、形成されたテストパターンを検出し、A/D変換部31へ送り、A/D変換部31がアナログ信号からデジタル信号へ変換する。その後、CPU39が、デジタル信号とされた検出濃度値と、NVRAM37に記憶された目標濃度値および目標パラメータと、転写ユニットの転写効率データとを使用して、目標濃度値に対応する補正パラメータを算出する。この補正パラメータの算出の詳細については後述する。
【0041】
図3は、色空間の概念図である。
同図において、KからRへ向かう座標軸がR軸であり、KからGへ向かう座標軸がG軸であり、Kから斜めに向かう座標軸がB軸である。
<プログラム及び記憶媒体>
以上で説明した本発明にかかる画像形成装置は、コンピュータで画像形成処理を実行させるプログラムによって実現されている。コンピュータとしては、例えばパーソナルコンピュータやワークステーションなどの汎用的なものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。よって、一例として、プログラムにより本発明を実現する場合の説明を以下で行う。
【0042】
コンピュータに、画像形成装置が、入力される画像データに対して濃度補正を実行して画像を形成する手順を実行させる画像形成のプログラムあって、
コンピュータに、
(1)作像部が、設定された目標濃度値に対応する目標パラメータを使用して生成されたテストパターンデータからテストパターンを形成する手順と、
(2)検出部が、テストパターンの濃度を検出濃度値として検出する手順と、
(3)制御部が、検出濃度値および記憶部に格納された画像データを転写して出力する転写ユニットの転写効率データを使用して目標濃度値に対応する目標パラメータとして設定される補正パラメータを算出し、補正パラメータにより補正した画像データを作像部に与えて濃度補正された画像を形成させる手順と、
を実行させるプログラムが挙げられる。
【0043】
これにより、プログラムが実行可能なコンピュータ環境さえあれば、どこにおいても本発明にかかる画像形成装置を実現することができる。
このようなプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。
ここで、記憶媒体としては、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(CD Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)などのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、FeRAM(強誘電体メモリ)等の半導体メモリやHDD(Hard Disc Drive)が挙げられる。
【0044】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【実施例】
【0045】
目標濃度値と検出濃度値から補正γを算出する方法に関して以下に述べる。
図4は、目標濃度値と検出濃度値を記憶するための目標テーブルの一例である。
図4に示すように、負荷、目標濃度値、目標パラメータに対応する検出濃度値および第1補正パラメータを設定できるものとすることができる。例えば、負荷25%、目標濃度値0.37に設定してテストパターンを形成し、検出部20により検出したテストパターンの検出濃度値が0.35である場合、負荷25%、目標濃度値0.37に対応付けて、検出濃度値0.35、第1補正パラメータ60を記憶することができる。なお、検出濃度値の範囲は、目標濃度値の範囲と同じである。
【0046】
この目標テーブルを使用して第1補正パラメータを算出する処理を、図4を参照して説明する。まず、感光体および転写ベルト上に複数の異なる濃度のテストパターンを形成させる。これら複数の異なる濃度のテストパターンは、例えば、負荷0%、25%、50%、75%の目標濃度値に設定することで形成させることができる。短時間で処理を行うためには、同時に複数のテストパターンを形成することが好ましいが、テストパターンを形成するためのスペースが少ない場合には、テストパターンを1つずつ形成することもできる。
【0047】
次に、検出部20でそのテストパターンの濃度を検出する。目標テーブルの負荷、目標濃度値、目標パラメータに対応する検出濃度値を、検出部20により検出された濃度値から取得あるいは算出し、その目標テーブルの所定フィールド内に格納する。例えば、検出された複数の検出濃度値間を補間することで、各負荷等に対応する各検出濃度値を生成することができる。
【0048】
矢線(1)に示すように、任意の目標濃度値に一致する検出濃度値を探索する。目標テーブルに格納された複数の検出濃度値から、目標濃度値に一致する検出濃度値を探索する。
図4では、目標濃度値が0.37であり、それに一致する検出濃度値、すなわち0.37の検出濃度値を探索する。一致する検出濃度値がない場合には、その目標濃度値に最も近い値の検出濃度値を探索結果とすることができる。
【0049】
次に、矢線(2)に示すように、探索した検出濃度値に対応する目標パラメータを算出する。対応する目標パラメータが存在する場合には、目標テーブルから得ることができるが、ない場合には、目標パラメータ間を補間することによって算出することができる。
【0050】
同じ負荷において、目標濃度値と検出濃度値とが一致していれば、目標パラメータがそのまま第1補正パラメータになり、一致しない場合、目標パラメータを変更し、上記のようにして得られた目標パラメータが第1補正パラメータとなる。
【0051】
検出された検出濃度値間あるいは目標パラメータ間の各値は、検出された値あるいはパラメータをスムーズにつなぎ合わせた曲線から、その曲線に適合する多項式を求め、その多項式からその間の値を算出するスプライン補間により求めることができる。
【0052】
上記の方法では、高い精度の第1補正パラメータを得ることができる。第1補正パラメータは、この方法に限られるものではなく、例えば、次の方法によって得ることもできる。
【0053】
図4に示す負荷25%のときの、目標濃度値と検出濃度値の比率(目標濃度値/検出濃度値)を算出し、算出した比率に目標濃度値に対応する目標パラメータを乗じて第1補正パラメータを算出することができる。ここでは、負荷25%としたが、負荷50%や75%のときの各値を使用してもよい。
【0054】
ここで、用紙への出力枚数(枚)と、転写効率(%)との関係を、図5を参照して説明する。転写ユニットの寿命を100000枚と想定した場合の転写効率は、図5に示す実施形態では、出力枚数が10000枚までほぼ直線的に低下し、その後、緩やかに低下し、約17000枚からはほぼ一定となっている。
【0055】
この転写効率(%)は、一般に、用紙上に付着するトナー量と、感光体または転写ベルト上に付着するトナー量とを使用して、以下の式1から算出することができる。
【0056】
【数1】

【0057】
本発明では、この転写効率をデータとして使用して、転写効率を考慮した補正パラメータを算出し、その補正パラメータを使用して濃度補正を行う。このため、転写効率を考慮した補正パラメータを算出する方法を以下に説明する。
【0058】
上記のようにして得られた第1補正パラメータである補正パラメータγは、階調数nと用紙への出力枚数mとによって変化することから、nおよびmの関数として表すことができる。階調数nは、8ビットデータの場合、256階調である。
【0059】
転写効率k(%)は、上記式1から算出され、用紙への出力枚数mによって変化することから、mの関数として表すことができる。これらの補正パラメータγおよび転写効率kを使用して、転写効率を考慮した第2補正パラメータである補正パラメータγ2は、以下の式2から算出することができる。
【0060】
【数2】

【0061】
上式のように、補正パラメータγ2は、補正パラメータγを、これまでに出力された合計枚数に対応した転写効率の出力枚数0に対応した転写効率(通常、100%)に対する比率(k/100)で除することにより算出することができる。
【0062】
本発明の特徴は、プリンタガンマ変換をCMYK各単色だけでなくRGBにも適用させることを特徴とするので、その方法について以下説明する。
【0063】
本発明の出願人による特許出願(特願2007−161393)ではプリンタガンマ変換は一般的に図1のカラーマッチング後のCMYKに対して適用されるが、CMYKのガンマカーブのみでのプリンタガンマ変換だけでは、混色時の精度の保証ができるわけではないことが分かっている。
【0064】
つまり、CMYKのガンマカーブに対してのみで濃度補正を行う場合は当然CMYK各単色の濃度の補正自体は問題ないのであるが、例えばM(マゼンタ)とY(イエロー)とを使用するR(赤)を考えた場合には、補正γにより実際に適用されるハーフトーンのパターンが変わってしまうことからRの色自体はハーフトーンの重なり方の具合によっては意図されない色となっている可能性が高い。
【0065】
そこで、本発明では、CMYKの各色に対応するガンマテーブルに加えてRGBの各色にも別のガンマテーブルを保持し、補正γを適用させることにより、混色時の精度も保証できるようにする。
【0066】
【表1】

【0067】
目標濃度値と検出濃度値とから補正γを算出する方法に関しては、本発明の出願人による特許出願(特願2007−161393)と基本的には同じとなるが、表1に示す通り、ガンマテーブルとして従来の(1)〜(4)に加えてRGBの各色用として(5)〜(10)が追加されて合計10本のガンマテーブルを使用することとなるので、目標濃度値自体も相当する分の10個分保持することとなる。
【0068】
また、色空間は連続したものとなっていることから、RGB用のガンマテーブルを追加したことで色の連続性も考慮する必要がある。
【0069】
具体的には、図3には色空間を示すが、従来はRGBの混色に対しても(1)〜(3)のガンマテーブルがそのまま使用されていたわけであるが、本発明では(5)〜(10)のガンマテーブルを新たに保持することとなるので、中間の色(例えば、MとRとの間に関しては図3の斜線部分が相当)に関しては補間処理(例えば、MとRとの間に関しては(2)及び(5)のガンマカーブを使用して補間)にて連続性を保つこととする。
【0070】
<効果の説明>
上記のように、2次色であるRGBに対して、従来のCMYK単色用のものではなくRGB混色用のガンマカーブを適用させて補正を行うことにより、さらに精度の高い濃度補正を実施できる。
【符号の説明】
【0071】
1 転写ベルト
2 カラーマッチングモジュール
3 カラープロファイルモジュール
4 LUT
5 IN/OUTPUTテーブル
6 プリンタγ変換モジュール
7 γテーブル
8 総量規制
9 総量規制値
10 作像部
11 ディザパターン
12 階調変換
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2003−84532号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される画像データに対して濃度補正を実行して画像を形成する画像形成装置であって、
設定された目標濃度値に対応する目標パラメータを使用して生成されたテストパターンデータからテストパターンを形成する作像部と、
前記テストパターンの濃度を検出濃度値として検出する検出部と、
前記画像を転写して出力する転写ユニットの転写効率データを格納する記憶部と、
前記検出濃度値および前記転写効率データを使用して前記目標濃度値に対応する前記目標パラメータとして設定される補正パラメータを算出し、前記補正パラメータにより補正した前記画像データを前記作像部に与えて濃度補正された画像を形成させる制御部と、を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記目標濃度値と一致する前記検出濃度値を探索し、探索された前記検出濃度値に対応する前記目標パラメータを算出し、算出された前記目標パラメータを、前記転写ユニットが出力した用紙の出力枚数に対応した転写効率で除して前記補正パラメータを算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、2次色であるRGB用の補正パラメータを別途保持し、CMYK用の補正パラメータと前記RGB用の補正パラメータとから新たに前記補正パラメータを算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記作像部は、異なる濃度の複数の前記テストパターンを形成することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記作像部は、CMYK各単色の前記テストパターンに加えてRGBの前記テストパターンを形成することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記作像部により形成された前記複数のテストパターンの各前記濃度を各前記検出濃度値として検出し、
前記制御部は、各前記目標濃度値に対応する前記各検出濃度値を、検出された前記検出濃度値間をスプライン補間することによって生成し、前記各目標濃度値に対応する各前記補正パラメータを、得られた前記補正パラメータ間をスプライン補間することによって生成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、生成した前記複数の検出濃度値の中に、前記目標濃度値と一致するものがない場合、前記目標濃度値に最も近い値の前記検出濃度値を検索し、前記検出濃度値に対応する前記目標パラメータを算出し、得られた前記目標パラメータを使用して前記補正パラメータを算出することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
入力される画像データに対して濃度補正を実行して画像を形成する画像形成方法であって、
設定された目標濃度値に対応する目標パラメータを使用して生成されたテストパターンデータからテストパターンを形成するステップと、
前記テストパターンの濃度を検出濃度値として検出するステップと、
前記検出濃度値および前記画像データを転写して出力する転写ユニットの転写効率データを使用して前記目標濃度値に対応する前記目標パラメータとして設定される補正パラメータを算出し、前記補正パラメータにより補正した前記画像データに基づいて濃度補正された画像を形成させるステップと、を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項9】
前記画像を形成させるステップでは、前記目標濃度値と一致する前記検出濃度値を探索し、探索された前記検出濃度値に対応する前記目標パラメータを算出し、算出された前記目標パラメータを、前記転写ユニットが出力した用紙の出力枚数に対応した転写効率で除して前記補正パラメータを算出することを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記テストパターンを形成するステップでは、異なる濃度の複数の前記テストパターンを形成することを特徴とする請求項8または9に記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記テストパターンを形成するステップでは、CMYK各単色の前記テストパターンに加えてRGBの前記テストパターンを形成することを特徴とする請求項8または9に記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記検出するステップでは、前記作像部により形成された前記複数のテストパターンの各前記濃度を各前記検出濃度値として検出し、
前記画像を形成させるステップでは、各前記目標濃度値に対応する前記各検出濃度値を、検出された前記検出濃度値間をスプライン補間することによって生成し、前記各目標濃度値に対応する各前記補正パラメータを、得られた前記補正パラメータ間をスプライン補間することによって生成することを特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項13】
前記画像を形成させるステップでは、生成した前記複数の検出濃度値の中に、前記目標濃度値と一致するものがない場合、前記目標濃度値に最も近い値の前記検出濃度値を検索し、前記検出濃度値に対応する前記目標パラメータを算出し、得られた前記目標パラメータを使用して前記補正パラメータを算出することを特徴とする請求項12に記載の画像形成方法。
【請求項14】
コンピュータに、画像形成装置が、入力される画像データに対して濃度補正を実行して画像を形成する手順を実行させる画像形成のプログラムあって、
前記コンピュータに、
作像部が、設定された目標濃度値に対応する目標パラメータを使用して生成されたテストパターンデータからテストパターンを形成する手順と、
検出部が、前記テストパターンの濃度を検出濃度値として検出する手順と、
制御部が、前記検出濃度値および記憶部に格納された前記画像データを転写して出力する転写ユニットの転写効率データを使用して前記目標濃度値に対応する前記目標パラメータとして設定される補正パラメータを算出し、前記補正パラメータにより補正した前記画像データを前記作像部に与えて濃度補正された画像を形成させる手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
前記画像を形成させる手順では、
前記制御部が、前記目標濃度値と一致する前記検出濃度値を探索し、探索された前記検出濃度値に対応する前記目標パラメータを算出し、算出された前記目標パラメータを、前記転写ユニットが出力した用紙の出力枚数に対応した転写効率で除して前記補正パラメータを算出することを特徴とする請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
前記テストパターンを形成する手順では、
異なる濃度の複数の前記テストパターンを形成することを特徴とする請求項14または15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記テストパターンを形成する手順では、CMYK各単色の前記テストパターンに加えてRGBの前記テストパターンを形成することを特徴とする請求項14または15に記載のプログラム。
【請求項18】
前記検出する手順では、
前記作像部により形成された前記複数のテストパターンの各前記濃度を各前記検出濃度値として検出し、
前記画像を形成させるステップでは、各前記目標濃度値に対応する前記各検出濃度値を、検出された前記検出濃度値間をスプライン補間することによって生成し、前記各目標濃度値に対応する各前記補正パラメータを、得られた前記補正パラメータ間をスプライン補間することによって生成することを特徴とする請求項14から17のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項19】
前記画像を形成させる手順では、
生成した前記複数の検出濃度値の中に、前記目標濃度値と一致するものがない場合、前記目標濃度値に最も近い値の前記検出濃度値を検索し、前記検出濃度値に対応する前記目標パラメータを算出し、得られた前記目標パラメータを使用して前記補正パラメータを算出することを特徴とする請求項18に記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−197562(P2010−197562A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40500(P2009−40500)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】