説明

画像形成装置。

【課題】プリント時間を長期化したり、専用の予備加熱手段を設けたりすることなく、記録紙の表面凹凸に対応した画像濃度ムラの発生を抑える。
【解決手段】2次転写電流の制御目標値を求めるためのアルゴリズムとして、互いに異なる湿度域に対応するものをROM200bに記憶させ、それら複数のアルゴリズムのうち、温湿度センサ85による湿度検知結果に応じたものを選択して、制御目標値を求めるためのアルゴリズムとして使用する処理より求めた制御目標値を制御部200から2次転写電源82に出力させ、2次転写電源82に対して制御目標値と同じ値の2次転写電流を出力させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写体とこれに当接して転写ニップを形成するニップ形成部材との間に流す転写電流をトナー像の面積率に応じて変化させる構成を具備する複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、転写ニップに流れる転写電流を所定の値にするように定電流制御する画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置において、記録紙として表面の凹凸の大きなざら紙などを用いると、記録紙表面の凹部に対応する領域の画像濃度を凸部に対応する領域の画像濃度に比べて薄くする画像濃度ムラを発生させ易い。
【0003】
かかる画像濃度ムラの発生を抑えることができる画像形成装置として、特許文献1に記載のものが知られている。この画像形成装置は、転写ニップに進入するトナー像箇所の画像面積率が高くなるほど、転写電流の制御目標値を高い値にするようになっている。転写電流をこのように制御するのは、次に説明する理由による。即ち、転写ニップ内において、中間転写体上のトナー像に対して多くの転写電流が流れ込むと、記録紙表面の凹部とこれに対向しているトナー像箇所との間の空隙で放電が発生して、そのトナー像箇所のトナーを逆帯電させてしまう。すると、そのトナー像箇所における殆どのトナーが記録紙表面の凹部に静電転移しなくなることから、上述した画像濃度ムラが顕著に発生する。このため、転写ニップ内においては、トナー像に対して過剰な転写電流を流さないようにすることが望ましい。ところが、転写電流を定電流制御する構成では、転写ニップ内に進入したトナー像箇所の画像面積率が変わるだけで、そのトナー像箇所に流れる電流量が大きく変化してしまう。具体的には、電源からの転写電流の出力値を一定に制御する条件下では、転写ニップ内に進入するトナー像箇所の画像面積率が低くなるほど、そのトナー像箇所に流れ込む転写電流の量が多くなって、上述した放電が発生し易くなってしまう。逆に、画像面積率が高くなるほど、トナー像箇所に流れ込む転写電流の量が少なくなって、記録紙表面の凹部における画像濃度を不足させ易くなってしまう。そこで、画像面積率が高くなるほどより多くの転写電流を出力することで、画像面積率にかかわらず、トナー像に適切な転写電流を流すようにするのである。
【0004】
また、特許文献1に記載の画像形成装置においては、転写ニップに送り込む前の記録紙を、次のように予備通紙するようになっている。即ち、記録紙を、トナー像の存在しない転写ニップと、定着装置とに通した後に、再送装置によって転写ニップの手前のレジストローラ対まで戻すのである。この予備通紙により、記録紙を定着装置で加熱して乾燥させてから再び転写ニップに送り込んで、トナー像の転写処理を行う。トナー像を転写する前の記録紙を乾燥させるのは、次に説明する理由による。即ち、転写ニップ内でトナー像に流れ込む転写電流の量は、画像面積率の他に、記録紙の電気抵抗によっても影響される。具体的には、多湿環境下での吸湿によって電気抵抗を大きく低下させた記録紙を用いる場合には、吸湿していない記録紙を用いる場合に比べて、中間転写体の非画像部と記録紙とが直接接触している領域に対して転写電流が流れ易くなる。このため、トナー像に流れ込む転写電流の量が少なくなってしまう。そこで、たとえ多湿環境下で吸湿した記録紙であっても、それを予備通紙によって吸湿していない状態に戻すのである。こうするとこで、記録紙の吸湿状態にかかわらず、転写ニップ内に進入したトナー像箇所に適切なの転写電流を流して、画像濃度ムラの発生を抑えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる構成においては、実質的なプリント動作の他に、上述した予備通紙が必要になることから、プリント時間を長期化してしまうという問題がある。また、かかる問題を回避するために、給紙カセットから転写ニップに至るまでの給紙路内に記録紙を予備加熱するための専用の予備加熱手段を設けると、装置イニシャルコストやランニングコストを増加させてしまう。
【0006】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プリント時間を長期化したり、専用の予備加熱手段を設けたりすることなく、記録指標面の凹凸に対応した画像濃度ムラの発生を抑えることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナー像を担持する像担持体と、自らの移動する表面に前記像担持体上のトナー像が転写せしめられる中間転写体と、前記中間転写体に当接して転写ニップを形成しながら、前記転写ニップで自らの表面を前記中間転写体と同じ方向に移動させるニップ形成部材と、前記中間転写体と前記ニップ形成部材との間に流す転写電流を出力する転写電流出力手段と、前記転写ニップにおけるトナー像面積率に応じた転写電流の目標値を求めるためのアルゴリズムを記憶している記憶手段と、前記転写ニップにおけるトナー像面積率を把握した結果と前記アルゴリズムとを用いて求めた目標値と同じ値にするように、前記転写電流出力手段からの出力値を制御する転写電流制御手段とを備え、前記転写ニップ内に送り込んだ記録シートの表面に、前記中間転写体上のトナー像を転写する画像形成装置において、記録シートの電気抵抗を検知する抵抗検知手段、又は前記電気抵抗と相関関係にある環境パラメータを検知する環境検知手段を設け、前記アルゴリズムとして、互いに異なる電気抵抗値又は環境パラメータ値に対応する複数のものを前記記憶手段に記憶させ、且つ、複数の前記アルゴリズムのうち、前記抵抗検知手段又は前記環境検知手段による検知結果に応じたものを選択して、前記目標値を求めるためのアルゴリズムとして使用する処理を実施するように、前記転写電流制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、複数の前記アルゴリズムのうち、比較的低い電気抵抗値、又は比較的高い環境パラメータ値、に対応する第1アルゴリズムとして、前記トナー像面積率が0[%]から所定の閾値[%]までの範囲にある場合には、前記トナー像面積率の増加に伴って前記目標値を低下させる一方で、前記トナー像面積率が前記閾値[%]を超える範囲にある場合には、前記トナー像面積率の増加に伴って前記目標値を増加させるものを、前記記憶手段に記憶させたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、複数の前記アルゴリズムのうち、比較的高い抵抗値、又は比較的低い環境パラメータ値、に対応する第2アルゴリズムとして、前記トナー像面積率と前記閾値との関係にかかわらず、前記トナー像面積率の増加に伴って前記目標値を増加させるものを、前記記憶手段に記憶させたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、複数の前記アルゴリズムのうち、中程度の電気抵抗値、又は中程度の環境パラメータ値、に対応する第3アルゴリズムとして、前記トナー像面積率が0[%]から前記閾値[%]までの範囲にある場合には、前記トナー像面積率の増加に伴って前記目標値を前記第2アルゴリズムよりも低い増加率で増加させるものを、前記記憶手段に記憶させたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、前記転写ニップから送り出された記録シートを加熱しながら、前記記録シートにトナー像を定着せしめる定着手段と、記録シートの第1面に加えて第2面にもトナー像を転写するために、前記定着手段から送り出された記録シートを上下反転させて前記転写ニップに再送する再送手段とを設けるとともに、前記再送手段によって再送された記録シートにトナー像を転写する際には、前記抵抗検知手段又は前記環境検知手段による検知結果にかかわらず、前記第2アルゴリズムを使用して前記目標値を求める処理を実施するように、前記転写電流制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかの画像形成装置において、前記転写ニップに送り込まれる記録シートの種類情報を取得する種類情報取得手段を設けるとともに、複数のシート種類についてそれぞれ、互いに異なる環境パラメータ値に対応する複数の前記アルゴリズムを前記記憶手段に記憶させ、且つ、複数の前記アルゴリズムのうち、前記種類情報取得手段による取得結果と、前記環境検知手段による検知結果との組み合わせに応じたものを選択して、前記目標値を求めるためのアルゴリズムとして使用する処理を実施するように、前記転写電流制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項2、3又は4の画像形成装置であって、前記閾値が90[%]以上、110[%]以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
これらの発明においては、記憶手段に記憶している複数のアルゴリズムの中から、抵抗検知手段又は環境検知手段による検知結果に応じたものを選択する。選択されたアルゴリズムは、記録シートの吸湿度に見合ったトナー像面積率と転写電流の目標値との関係を示すものである。このため、選択したアルゴリズムに基づいて、トナー像面積率に応じた目標値を求めて転写電流を定電流制御することで、記録シートの吸湿度や、転写ニップ内におけるトナー像面積率にかかわらず、転写ニップ内のトナー像に対して概ね一定の転写電流を流すことが可能になる。よって、記録シート乾燥のための予備通紙によってプリント時間を長期化したり、記録シートを予備加熱するための専用の予備加熱手段を設けたりすることなく、記録紙表面の凹凸に対応した画像濃度ムラの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタの中間転写ベルト上における10ライン区画を説明するための模式図。
【図3】ベタパターンの一例を示す模式図。
【図4】ベタパターンの他の例を示す模式図。
【図5】第1プリントテストによって得られた2次転写率と2次転写電流と画像面積率との関係を示すグラフ。
【図6】第1プリントテストによって得られた2次転写電流と2次転写バイアスと画像面積率との関係を示すグラフ。
【図7】第2プリントテストによって得られた2次転写率と2次転写電流と画像面積率との関係を示すグラフ。
【図8】第2プリントテストによって得られた2次転写電流と2次転写バイアスと画像面積率との関係を示すグラフ。
【図9】同プリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図。
【図10】第2アルゴリズムによって表される2次転写電流(制御目標値I)と画像面積率との関係を示すグラフ。
【図11】第3アルゴリズムによって表される2次転写電流(制御目標値I)と画像面積率との関係を示すグラフ。
【図12】第3アルゴリズムによって表される2次転写電流(制御目標値I)と画像面積率との関係を示すグラフ。
【図13】第2アルゴリズムによって表される2次転写電流(制御目標値I)と画像面積率との関係の第2例を示すグラフ。
【図14】第3アルゴリズムによって表される2次転写電流(制御目標値I)と画像面積率との関係の第2例を示すグラフ。
【図15】第3アルゴリズムによって表される2次転写電流(制御目標値I)と画像面積率との関係の第2例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を画像形成装置としてのタンデム型の画像形成部によってカラー画像を形成するカラープリンタ(以下、単にプリンタという)に適用した実施形態について説明する。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、図示しない光書込ユニット、タンデム画像形成部10、転写ユニット20、紙搬送ユニット39、定着装置40、再送装置50などを備えている。タンデム画像形成部10は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の各色トナー像を形成するための4つの画像形成ユニット1Y,M,C,Kを有している。これらは、画像を形成するための画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Bkトナーを用いるが、それ以外は互いに同様の構成になっている。
【0011】
転写ユニット20は、無端状の中間転写ベルト21、駆動ローラ22、従動ローラ23、2次転写対向ローラ24、4つの1次転写ローラ25Y,M,C,Kなどを有している。像担持体としての無端状の中間転写ベルト21は、側方からの眺めが逆三角形状の形状になる姿勢で、駆動ローラ22、従動ローラ23及び2次転写対向ローラ24に掛け回されている。そして、駆動ローラ22の回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。中間転写ベルト20のループ内側には、駆動ローラ22、従動ローラ23、及び2次転写対向ローラ24の他に、4つの1次転写ローラ25Y,M,C,Kも配設されている。なお、1次転写ローラ25Y,M,C,Kの役割については後述する。
【0012】
タンデム画像形成部10は、4つの画像形成ユニット1Y,M,C,Kを中間転写ベルト21の上張架面に沿って水平方向に並べる姿勢で、転写ユニット20の上方に配設されている。画像形成ユニット1Y,M,C,Kは、図中反時計回り方向に回転駆動されるドラム状の感光体2Y,M,C,Kと、現像ユニット3Y,M,C,Kと、帯電手段4Y,M,C,Kとを有している。また、図示しないY,M,C,K用のドラムクリーニング装置も有している。
【0013】
帯電手段4Y,M,C,Kは、感光体2Y,M,C,Kに対して接触あるいは近接するように配設された帯電ローラを有しており、帯電ローラは図示しない駆動手段によって回転駆動される。Y,M,C,K用の帯電ローラに対しては、帯電バイアス電源80Y,M,C,Kによって所定の帯電バイアスが印加される。これにより、Y,M,C,K用の帯電ローラと、感光体2Y,M,C,Kとの間で放電を発生させることで、感光体2Y,M,C,Kの表面を約−500[V]に一様帯電させる。このような帯電手段4Y,M,C,Kに代えて、スコロトロン帯電器などを採用してもよい。
【0014】
帯電手段4Y,M,C,Kによって一様に帯電せしめられた感光体2Y,M,C,Kの表面は、図示しない光書込ユニット90から発せられるレーザー光によって露光走査されてY,M,C,K用の静電潜像を担持する。本プリンタにおいては、レーザー光の照射により、感光体2Y,M,C,Kの電位を約−30[V]まで減衰させた静電潜像を形成する。
【0015】
感光体2Y,M,C,Kは、表面に有機感光層を被覆した直径30[mm]のドラムからなり、静電容量が9.5E−7[F/m]に調整されている。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動せしめられながら、それぞれ中間転写ベルト21の上張架面に当接してY,M,C,K用の1次転写ニップを形成している。
【0016】
現像装置3Y,M,C,Kは、Y,M,C,Kトナーと磁性キャリアとを含有する図示しない現像剤を収容している。現像装置3Y,M,C,Kのケーシングには開口が形成されており、この開口からは筒状の現像スリーブにおける周面の一部が露出して感光体2Y,M,C,Kの表面に対向している。現像スリーブは、自らと連れ回らないように内部に固定された図示しないマグネットローラの発する磁力により、ケーシング内の現像剤を担持する。そして、自らの回転駆動に伴って、現像剤を自らと感光体2Y,M,C,Kとが対向する現像領域に搬送する。現像領域では、現像スリーブに印加される現像バイアスと、感光体2Y,M,C,Kの静電潜像との間に、マイナス極性のY,M,C,Kトナーをスリーブ側から感光体側に移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、現像スリーブと感光体2Y,M,C,Kの非画像部との間に、マイナス極性のY,M,C,Kトナーを感光体側からスリーブ側に移動させる非画像ポテンシャルが作用する。現像剤中のY,M,C,Kトナーは、現像領域において、前述した現像ポテンシャルの作用によって感光体2Y,M,C,Kの静電潜像に転移する。これにより、感光体2Y,M,C,K上の静電潜像が現像されてY,M,C,Kトナー像になる。
【0017】
また、現像装置3Y,M,C,Kは、それぞれ内部の現像剤のトナー濃度を測定する図示しないトナー濃度センサを有している。このトナー濃度センサによる検知結果は、電圧信号として図示しない制御部に送られる。制御部はRAMを備えており、この中にY,M,C,K用のトナー濃度センサからの出力電圧の目標値を記憶している。そして、Y,M,C,K用のトナー濃度センサからの出力電圧の値と、ぞれぞれに対応する目標値とを比較し、図示しないY,M,C,K用のトナー供給装置を比較結果に応じた時間だけ駆動させる。この駆動により、現像に伴うY,M,C,Kトナー消費によってY,M,C,Kトナー濃度を低下させた現像剤に対し、適量のY,M,C,Kトナーが供給される。このため、現像装置3Y,M,C,K内の現像剤のトナー濃度が所定の範囲内に維持される。感光体2Y,M,C,Kにおいて、全面ベタ画像を形成したときの単位面積あたりのトナー付着量は0.45[mg/cm]程度である。
【0018】
プロセスユニット1Y,M,C,Kの上方には、無端状の中間転写ベルト21を図中時計回りに無端移動せしめながら、その上部張架面を感光体2Y,M,C,Kに当接させてY,M,C,K用の1次転写ニップを形成する転写ユニット20が配設されている。この転写ユニット20は、中間転写ベルト21の他、ベルトループ内に配設された1次転写ローラ25Y,M,C,K、駆動ローラ22、テンションローラ23、2次転写対向ローラ24などを有している。また、ベルトループ内に配設された2次転写ローラ26、図示しないベルトクリーニング装置28なども有している。
【0019】
中間転写ベルト21は、カーボンを分散した導電性ポリアミドイミド樹脂からなるベルト基体を有する厚さ80[μm]の無端状のベルトであり、その引っ張り弾性率は3.5[GPa]である。中間転写ベルト21の体積抵抗率は、温度25[℃]、湿度40[%]の環境(以下、実験室環境という)にて約3E11[Ω・cm]、温度27[℃]、湿度80[%]の環境(以下、HH環境という)にて約2E9[Ω・cm]である。何れも、三菱化学製ハイレスターUP MCP HT450にて100Vの電圧印加条件で測定した値である。中間転写ベルト21は、そして、ベルトループ内に配設された各ローラに掛け回されて張架された状態で、駆動ローラ22の回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。
【0020】
Y,M,C,K用の1次転写ニップの下方では、中間転写ベルト21のループ内で、1次転写ローラ25Y,M,C,Kが中間転写ベルト21を感光体2Y,M,C,Kに向けて押圧している。1次転写ローラ25Y,M,C,Kは、金属製の回転軸部材の周面に、イオン導電剤を分散せしめた樹脂からなる導電性スポンジローラ部を設けたものである。導電性スポンジローラ部の体積抵抗率は実験室環境で約4E8[Ω・cm]程度、HH環境で約1E8[Ω・cm]程度である。金属製の回転軸部材を、感光体の回転軸に対してベルト移動方向の下流側に3[mm]ずらした位置に配設している。
【0021】
1次転写ローラ25Y,M,C,Kには、1次転写電源81Y,M,C,Kにより、トナーの帯電極性とは逆極性の1次転写バイアスが印加される。これにより、1次転写ニップ内には、感光体上のトナー像を感光体側からベルト側に引き寄せる転写電界が形成される。中間転写ベルト21は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、その表面(おもて面)に感光体2Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト21上に4色重ね合わせトナー像が形成される。
【0022】
Y,M,C,K用の1次転写ニップを通過した後の感光体2Y,M,C,Kの表面に付着している転写残トナーは、プロセスユニット1Y,M,C,Kによって具備されている図示しないドラムクリーニングによって感光体表面から除去される。
【0023】
中間転写ベルト21のループ外側には、2次転写ローラ26が配設されており、中間転写ベルト21の周方向における全域のうち、2次転写対向ローラ24に対する掛け回し箇所に当接して2次転写ニップを形成している。2次転写対向ローラ24は、直径が16[mm]、体積抵抗率が1E4[Ω・cm]のローラであり、2次転写電源82によって2次転写バイアスが印加される。一方、2次転写ローラ26は、直径12[mm]の芯金の上に、実験室環境にて約5E8[Ω・cm]、HH環境にて約2E8[Ω・cm]の体積抵抗率のスポンジ層が被覆された、直径24[mm]のローラであり、アース線によって接地されている。
【0024】
本プリンタは、図示しない給紙カセットを備えている。この給紙カセット内には、記録シートとしての記録紙が複数枚重ねられた記録紙束の状態で収容されており、一番上の記録紙には、給紙ローラが当接している。給紙ローラが図示しない駆動手段によって回転駆動すると、給紙カセット内の一番上の記録紙が、給紙路に向けて送り出される。
【0025】
給紙路の末端には、レジストローラ対32が配設されている。レジストローラ対32は、記録紙をローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、記録紙を中間転写ベルト21上の4色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト21上の4色重ね合わせトナー像は、2次転写バイアスやニップ圧の作用により、2次転写ニップ内で記録紙Pに一括して2次転写される。そして、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
【0026】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト21には、記録紙に転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、図示しないベルトクリーニング装置によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニング装置は、クリーニングローラを中間転写ベルト21のおもて面に当接させており、ベルト上の転写残トナーをクリーニングローラに静電転移させて除去するものである。
【0027】
2次転写ニップの出口の近くには、無端状の紙搬送ベルト39aを、駆動ローラ39bと従動ローラ39cとによって水平方向に延在する横長の姿勢で張架しながら、駆動ローラ39bの回転駆動に伴って図中反時計回り方向に無端移動させる紙搬送ユニット39が配設されている。2次転写ニップで4色重ね合わせトナー像が2次転写された記録紙は、2次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト39aの表面に吸着された状態で、ベルトの移動に伴って図中右側から左側に向けて搬送される。そして、駆動ローラ39bによるベルト掛け回し領域に到達すると、ローラ周面に沿って進むベルトに追従することなく、ベルトから分離されて、定着装置40に受け渡される。
【0028】
定着装置40内では、記録紙が、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱定着ローラ41と、これに向けて押圧される加圧ローラ42との当接による定着ニップに挟み込まれる。そして、定着ニップ内で加圧や加熱処理によるトナー像の定着処理が施される。このようにしてトナー像が定着せしめられた記録紙は、図示しない排出ローラ対を経由して機外へと排出される。
【0029】
定着装置40から排出された記録紙については、そのまま排紙ローラ対に送る場合と、排紙ローラ対に送らずに、再送装置50に送る場合とがある。具体的には、記録紙の第1面だけに画像を形成する片面モードのプリントジョブを実施する際には、定着装置40から排出された記録紙を例外なく排紙ローラ対に送る。これに対し、記録紙の両面に画像を形成する両面モードのプリントジョブを実施する際において、定着装置40から排出された記録紙が第1面だけにトナー像を担持するものである場合には、それを排紙ローラ対に送らずに、再送装置50に送る。但し、両面モードであっても、定着装置40から排出された記録紙が両面にトナー像を担持するものである場合には、それを排紙ローラ対に送る。定着装置40を通過した後の記録紙を排紙ローラ対に送るのか、再送装置50に送るのかの切り換えは、図示しない切り換え爪による記録紙搬送先の切り換えによって行われる。
【0030】
再送装置50は、定着装置40から送られてくる記録紙をスイッチバック路51でスイッチバック搬送することで、その上下を反転させる。その後、記録紙をスイッチバック路52に送る。スイッチバック路52を通過した記録紙は、図示しない給紙カセットから2次転写ニップに搬送するための給紙路の途中に送り込まれる。これにより、記録紙は、上下を反転させた状態で、2次転写ニップに再送される。
【0031】
なお、給紙路の後半領域では、記録紙は、後述する抵抗測定ローラ対31とレジストローラ対32とを順次通過する。再送装置50は、記録紙を給紙路における抵抗測定ローラ対31よりも上流側の位置に送り込む。よって、記録紙は、給紙カセットから送り出された直後のものであるか、再送装置50によって再送されたものであるかにかかわらず、給紙路内において、抵抗測定ローラ対31とレジストローラ対32とを必ず経由することになる。
【0032】
また、本プリンタにおいては、感光体2Y,M,C,Kや中間転写ベルト21の線速であるプロセス線速を120[mm/sec]に設定している。
【0033】
2次転写対向ローラ24に対して2次転写バイアスを印加する2次転写電源82は、制御目標値と同じ値の2次転写電流を出力する。その制御目標値は、2次転写ニップ出口及びその近傍におけるベルト上のトナー像の主走査方向(感光体軸線方向)における画像面積率に基づいて決定される。中間転写ベルト21の表面は、副走査方向(ベルト表面移動方向)において、ページの先頭を基準にして、図2に示すように、10画素分ずつの領域毎に理論上の区分けがなされる。そして、区分けによる各区画(以下、「10ライン区画」という)には、それぞれ主走査方向に一直線上に並ぶ画素の集合からなる画素ラインが10ラインずつ含まれている。それぞれの画素ラインについては、全画素数に対する画像部の画素数の割合が画像面積率として求められる。そして、10個の画素ラインの画像面積率の平均値が、「10ライン区画」における平均画像面積率として、後述する制御部によって求められる。2次転写電流の制御目標値は、複数の「10ライン区画」のうち、2次転写ニップ出口を通過中の「10ライン区画」の平均画像面積率に応じたものが決定される。そして、その「10ライン区画」が2次転写ニップ出口を通過している最中には、制御部は、2次転写電源82からの出力電流値をその制御目標値と同じ値にするための制御信号を2次転写電源82に送る。その「10ライン区画」における最下流側の画素ラインが転写ニップ出口を通過すると、制御部は、2次転写電源82からの2次転写電流の目標値を、次の「10ライン区画」の平均画像面積率に応じたものに変更して、それに応じた制御信号を2次転写電源82に送る。
【0034】
2次転写ニップ出口の付近における平均画像面積率に基づいて2次転写電流の制御目標値を決定するのは、次に説明する理由からである。即ち、2次転写対向ローラ24と2次転写ローラ26との間で流れる2次転写電流の殆どは、ベルトと2次転写ローラ26とが離間する2次転写ニップ出口における両者間での剥離放電によるものである。2次転写ニップ出口において、2次転写電源82からの電流供給量が比較的少ないにもかかわらず、ベルト上トナー像の画像面積率が比較的低いと、2次転写電源から供給される2次転写電流の殆どがベルトの非画像部と2次転写ローラ26との間の剥離放電に使われてしまう。そして、ベルトの画像部には殆ど2次転写電流が流れないことによって転写不良が発生してしまう。2次転写ニップ出口の付近における平均画像面積率に応じた転写電流を流すことで、ベルト上トナー像に適度な2次転写電流を流して、ベルトの画像部と2次転写ローラ26との電位差を放電開始電圧よりも小さくすることが可能になるからである。
【0035】
次に、本発明者らが行った実験について説明する。本発明者らは、図1に示したプリンタと同様の構成のプリンタ試験機を用意した。そして、このプリンタ試験機を用いて、テスト画像のプリントテストを行った。記録紙のサイズとしては420[mm]×297[mm]のA3サイズを採用した。トナーとしては、常温常湿における帯電量が約−20[μC/g]となるものを用いた。また、テスト画像としては、例えば図3に示すような、副走査方向(記録紙搬送方向)に延びる帯状のベタパターンを採用し、長辺方向に沿って搬送しているA3サイズの記録シートに対してそのベタパターンを形成した。ベタパターンの画像面積率については、5[%]、100[%]、200[%]の3通りを採用した。画像面積率は、主走査方向(搬送方向と直交する方向)における記録紙サイズに対する各色画像サイズの総和の割合を示す数値である。例えば、図3に示したベタパターンは、黒トナーからなる帯状パターンを1つだけ具備するものであり、その主走査方向のサイズが29.7[mm]になっている。これは、主走査方向の記録紙サイズ(297mm)の10[%]に相当するので、図示のベタパターンは10[%]の画像面積率で形成されていることになる。また例えば、図4に示すベタパターンは、Kトナーからなる帯状パターンBと、Mトナーからなる帯状パターンBとを具備するものであり、主走査方向のサイズがそれぞれ29.7[mm]になっている。この場合、Kの帯状パターン、Mの帯状パターンのそれぞれの画像面積率が10[%]ずつであることになるので、画像面積率の総和は20[%]である。なお、図示のように複数の帯状パターンを互いにずらして形成した場合だけでなく、複数の帯状パターンを重ね合わせて形成した場合にも、画像面積率の総和はそれぞれの帯状パターンの画像面積率の加算によって求められる。よって、画像面積率の最大値は400[%]であり、これは、Y,M,C,Kトナー像としてそれぞれ全面ベタ画像を形成した場合の画像面積率である。
【0036】
[第1プリントテスト]
第1プリントテストでは、実験室の温湿度を空調によって「実験室環境」にした。また、A3サイズの記録紙として、NBSリコー社製の普通紙(マイペーパー)を用いた。2次転写バイアス電源82から出力される2次転写バイアスについては、定電流制御を行った。2次転写電流の制御目標値を様々に変化させながら、それぞれの条件でベタパターンをプリントアウトした。この第1プリントテストにおける2次転写率と、2次転写電流(制御目標値)と、画像面積率との関係を図5に示す。また、2次転写電流(制御目標値)と2次転写バイアスと画像面積率との関係を図6に示す。なお、2次転写率は、2次転写ニップ手前のベルト表面上のトナー量に対する、記録紙への転写トナー量の割合を示す数値である。また、画像面積率5[%]の条件では、K単色で且つ主走査方向サイズが14.85[mm]である帯状ベタパターンを出力した。また、画像面積率100[%]の条件では、K全面ベタ画像を出力した。また、画像面積率200[%]の条件では、M全面ベタ画像とK全面ベタ画像とを重ね合わせて出力した。
【0037】
図5に示すように、2次転写ニップ出口における画像面積率が高くなるほど、最大の2次転写率を得ることができる2次転写電流値(以下、最大転写率電流値という)が大きくなることがわかる。そして、2次転写電流値が最大転写率電流値よりも小さな条件下では、2次転写電流値の増加につれて2次転写率が増加するのに対し、2次転写電流値が最大転写率電流値よりも大きな条件下では、2次転写電流値の増加につれて2次転写率が低下する。つまり、最大転写率やそれに近い数値を確保して、記録紙表面の凹凸にならった濃淡パターンの発生を抑えるためには、小さすぎず且つ大きすぎない適切な2次転写電流を流す必要がある。そして、「実験室環境」では、2次転写ニップ出口の画像面積率が高くなるほど、適切な2次転写電流の値が大きくなる。
【0038】
図6に示すように、画像面積率にかかわらず、2次転写バイアスが高くなるにつれてより大きな2次転写電流が流れるが、その増加率があるバイアス値を境にして急激に高くなる(以下、急激に高くなるバイアス値を変曲点という)。特に、画像面積率=100[%]や画像面積率200[%]の場合には、その変曲点が顕著に現れる。また、変曲点に対応する2次転写電流値に着目すると、それは最大転写率電流値とほぼ同じ値であることがわかる。例えば、図6において、画像面積率=200[%]の条件における変曲点での2次転写電流値は2.5E−0.5[−A]であるのに対し、図5において、最大転写率電流値は2.5E−0.5[−A]であり、両者は一致する。また、図6において、画像面積率=100[%]の条件における変曲点での2次転写電流値は1.75E−0.5[−A]であるのに対し、図5において、最大転写率電流値は1.75E−0.5[−A]であり、両者は一致する。また、図6において、画像面積率=5[%]の条件における変曲点は解りにくいが、傾きが変化し始める位置を変曲点として曲線式から特定すると、変曲点での2次転写電流値は1.5E−0.5[−A]と求めることができ、これは図5から特定される最大転写率電流値と一致する。
【0039】
このように、画像面積率にかかわらず、上記変曲点における2次転写電流値と、最大転写率電流値とが一致するのは、次に説明する理由からである。即ち、2次転写ニップ内においては、基本的には、トナー像に対して大きな2次転写電流が流れるほど、トナー像の2次転写率が高くなる。このため、2次転写バイアスを高くしてより多くの2次転写電流を流すほど、トナー像の2次転写率が高くなる。しかし、記録紙表面の凹部と中間転写ベルト21との電位差を放電開始電圧よりも大きくするまで、2次転写バイアスを高めると、ベルトと記録紙表面の凹部との間で放電を発生させてトナーを逆帯電させてしまうので、2次転写率が急激に悪化する。また、放電によって2次転写電流値が急激に上昇する。この結果、上記変曲点における2次転写電流値と、最大転写率電流値とが一致するのである。
【0040】
[第2プリントテスト]
第2プリントテストでは、実験室の温湿度を空調によって「HH環境」にした。この点の他は、第2プリントテストと同様にしてベタパターンをプリントアウトした。この第2プリントテストにおける2次転写率と、2次転写電流(制御目標値)と、画像面積率との関係を図7に示す。また、2次転写電流(制御目標値)と、2次転写バイアスとの関係を図8に示す。
【0041】
図7に示されるように、「HH環境」において、画像面積率5、100、200[%]における最大転写率電流値は、2.3E−0.5[−A]、1.7E−0.5[−A]、2.7E−0.5[−A]である。「実験室環境」では画像面積率が高くなるにつれて最大転写率電流値が大きくなっていたが、「HH環境」では、画像面積率5[%]の条件と、画像面積率100[%]の条件とで、最大転写率電流値の最小関係が逆転している。ここで、変曲点での2次転写電流値に着目してみる。画像面積率5[%]の環境における変曲点での2次転写電流値は約2.3E−0.5[−A]であり、これは同環境における最大転写率電流値と一致する。また、画像面積率100[%]の環境における変曲点での2次転写電流値は約1.7E−0.5[−A]であり、これは同環境における最大転写率電流値と一致する。つまり、記録紙表面の凹部と中間転写ベルト21との間で放電を発生させてしまう2次転写バイアスよりも少し低めのバイアス値のときに、最大の2次転写率が得られている点は、「実験室環境」と同様である。すると、「実験室環境」では、画像面積率が5[%]から100[%]に増加するのにつれて放電開始電圧も増加したのに対し、「HH環境」では、画像面積率が5[%]から100[%]に増加するのにつれて放電開始電圧が低下したことになる。このような正反対の現象が起きたのは、記録紙の電気抵抗の違いが関与している。具体的には、「実験室環境」では、記録紙がそれほど吸湿しておらず、比較的高い電気抵抗値になっているため、記録紙表面に対して電流が比較的流れ難い状態になっている。これに対し、「HH環境」では、記録紙が吸湿によって電気抵抗値を低下させているため、記録紙表面に対して電流が比較的流れ易い状態になっている。画像面積率が100[%]未満である場合、2次転写ニップで記録紙表面と直接接触する領域が中間転写ベルト21に存在する(以下、その領域を「直接接触領域」という)。そして、「HH環境」では「直接接触領域」に2次転写電流が流れ易いため、「直接接触領域」の面積が大きくなるほど(=画像面積率が低くなるほど)、トナー像に流れる2次転写電流の量が少なくる。このため、トナー像に流れる2次転写電流を適切な値に維持するためには、「実験室環境」の場合とは逆に、画像面積率が高くなるほど(「直接接触領域」の面積が小さくなるほど)、2次転写電源82からの電流出力値を小さくしなければばらないのである。
【0042】
なお、たとえ「HH環境」であっても、画像面積率が100[%]以上である条件では、2次転写ニップにおいて「直接接触領域」が発生しないため、画像面積率が高くなるほど、トナー像に2次転写電流が流れ難くなる。このため、画像面積率が100[%]未満である場合とは逆に、画像面積率が高くなるほど、2次転写電源82からの電流出力値を大きくする必要がある。
【0043】
また、本発明者らは、追加の実験により、「HH環境」と「実験室環境」との間の環境では、画像面積率が100[%]未満の条件において、「実験室環境」のように、画像面積率が高くなるほどトナー像に2次転写電流が流れ難くなるが、画像面積率の増加に対する流れ難さの度合いが「実験室環境」ほど大きくないことも見出した。つまり、「HH環境」と「実験室環境」との間の環境においては、画像面積率の増加に対する2次転写電流(制御目標値)の増加の割合を「実験室環境」よりも小さくする必要がある。
【0044】
本発明者らの実験によれば、湿度が70[%]以上になると、画像面積率が100[%]未満である条件下において、最大転写率電流値を維持するために、画像面積率の増加につれて2次転写電源82からの電流出力値を低下させる必要があった。また、湿度が60[%]を超え且つ70[%]未満である場合には、画像面積率が100[%]未満である条件下において、最大転写率電流値を維持するために、画像面積率の増加につれて2次転写電源82からの出力電流値を増加させる必要があった。また、湿度が60[%]以下である場合には、画像面積率が100[%]未満である条件下において、最大転写率電流値を維持するために、画像面積率の増加につれて2次転写電源82からの出力電流値を増加させるが、その増加率を湿度60[%]超〜70[%]の場合に比べて大きくする必要があった。
【0045】
なお、湿度が高くなるほど、記録紙の吸湿量が増加し、それによって記録紙の電気抵抗が低下するので、湿度は、記録紙の電気抵抗と相関関係にある環境パラメータである。また、一般に、温度が高くなるほど、湿度が高くなるので、温度も、記録紙の電気抵抗と相関関係にある環境パラメータである。
【0046】
図9は、実施形態に係るプリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、制御手段たる制御部200は,演算手段たるCPU200a(Central Processing Unit)、不揮発性メモリたるRAM200c(Random Access Memory)、一時記憶手段たるROM200b(Read Only Memory)等を有している。制御部200は,装置全体の制御を司るものである。制御部200は、RAM200cやROM200b内に記憶している制御プログラムに基づいて、各機器の駆動を制御する。また、外部のパーソナルコンピューター等から送られてくる画像データ(露光時の書き込み信号)に基づいて、中間転写ベルト21上における「10ライン区画」の平均画像面積率を演算する。そして、演算結果に基づいて、2次転写電源82からの出力目標値Iを決定した後、その結果を2次転写電源82に出力する。2次転写電源82は、出力電流値が制御部200から送られてきた制御目標値Iと同じ値になるように、2次転写バイアスを制御する。
【0047】
制御部200には、温湿度センサ85が接続されている。制御部200は、制御目標値Iを、「10ライン区画」の平均画像面積率と、温湿度センサ85による湿度検知結果とに基づいて決定する。具体的には、図10のグラフに示すように、湿度が35[%]以上、60[%]未満であって、且つ「10ライン区画」の平均画像面積率xが100[%]未満である場合には、「制御目標値I=−0.0632x−13.684」という関数式を用いて、制御目標値I[μA]を決定する。また、湿度が35[%]以上、60[%]未満であって、且つ「10ライン区画」の平均画像面積率xが100[%]以上である場合には、「制御目標値I=−0.07x−13.00」という関数式を用いて、制御目標値I[μA]を決定する。なお、湿度60[%]未満は、比較的低い環境パラメータ値である。よって、図10に示した2つの関数式の組み合わせは、比較的低い環境パラメータ値に対応する第2アルゴリズムとして機能している。
【0048】
また、図11のグラフに示すように、制御部200は、湿度が60[%]以上、70[%]未満であって、且つ「10ライン区画」の平均画像面積率xが100[%]未満である場合には、「制御目標値I=−0.0105x−17.447」という関数式を用いて、制御目標値I[μA]を決定する。また、湿度が60[%]以上、70[%]未満であって、且つ「10ライン区画」の平均画像面積率xが100[%]以上である場合には、「制御目標値I=−0.085x−10.00」という関数式を用いて、制御目標値I[μA]を決定する。なお、湿度60[%]以上、70[%]未満は、中程度の環境パラメータ値である。よって、図10に示した2つの関数式の組み合わせは、中程度の環境パラメータ値に対応する第3アルゴリズムとして機能している。
【0049】
また、図12のグラフに示すように、制御部200は、湿度が70[%]以上、80[%]未満であって、且つ「10ライン区画」の平均画像面積率xが100[%]未満である場合には、「制御目標値I=0.0421x−21.211」という関数式を用いて、制御目標値I[μA]を決定する。また、湿度が70[%]以上、80[%]未満であって、且つ「10ライン区画」の平均画像面積率xが100[%]以上である場合には、「制御目標値I=−0.1x−7.00」という関数式を用いて、制御目標値I[μA]を決定する。なお、湿度70[%]以上、80[%]未満は、比較的高い環境パラメータ値である。よって、図11に示した2つの関数式の組み合わせは、比較的高い環境パラメータ値に対応する第1アルゴリズムとして機能している。
【0050】
以上のように、制御部200は、記憶手段たるROM200bに記憶している複数のアルゴリズムの中から、環境検知手段としての温湿度センサ85による湿度検知結果に応じたものを選択する。選択されたアルゴリズムは、記録紙の吸湿度に見合った平均画像面積率と2次転写電流の制御目標値Iとの関係を示すものである。このため、選択したアルゴリズムに基づいて、「10ライン区画」の平均画像面積率に応じた制御目標値Iを求めて2次転写電源82からの出力を定電流制御することで、記録紙の吸湿度や、2次転写ニップ内における画像面積率にかかわらず、2次転写ニップ内のトナー像に対して概ね一定の2次転写電流を流すことが可能になる。よって、記録紙乾燥のための予備通紙によってプリント時間を長期化したり、記録紙を予備加熱するための専用の予備加熱手段を設けたりすることなく、画像濃度ムラの発生を抑えることができる。
【0051】
湿度が35[%]以上、60[%]未満の環境下において使用する制御目標値Iと画像面積率との関係を示すアルゴリズムは、図10に示したような直線グラフ状のものに限られない。例えば、図13に示すような曲線グラフ状の関係を示すアルゴリズムでもよい。また、湿度が60[%]以上、70[%]未満の環境下において、図11に示したような直線グラフ状の関係を示すアルゴリズムに代えて、例えば、図14に示すような階段グラフ状の関係を示すアルゴリズムを用いてもよい。また、湿度が70[%]以上、80[%]未満の環境下において、図12に示したような直線グラフ状の関係を示すアルゴリズムに代えて、図15に示すような曲線グラフ状の関係を示すアルゴリズムを用いてもよい。
【0052】
また、通常は、画像面積率=100[%]の位置を境にして、アルゴリズムによって示されるグラフの傾きを変化させることが望ましいが、プリンタの構成によっては、その境を多少ずらした方がよい場合もあり得る。但し、90[%]以上、110[%]以下の範囲に設定することが、最大転写率電流値を適切に維持するためには望ましい。
【0053】
中間転写ベルト21としては、2.6[GPa]の引張り弾性率(JIS K 7127に準じた引張試験方法で測定)を発揮するポリイミドベルトを用いている。このようなベルトは、ベルト速度変動に起因する各色の重ね合わせずれ(色ずれ)の発生を抑えることができる。なお、記録紙表面の凹凸パターンに対応する濃度ムラについては、ゴム製ベルトよりも発生させ易くなる。従来では、濃度ムラの抑制を優先する場合にはゴム製ベルトを選択する一方で、重ね合わせずれの抑制を優先する場合にはポリイミドベルトを選択していたため、ムラ抑制とずれ抑制とを両立させることが困難であったが、本プリンタでは、ポリイミドベルトであっても濃度ムラの発生を効果的に抑えることができる。よって、ムラ抑制とずれ抑制とを両立させることが可能になった。
【0054】
また、本プリンタにおいては、2次転写電流だけでなく、1次転写電流も、画像面積率に応じて制御目標値を決定するように、制御部200を構成している。具体的には、Y,M,C,K用の1次転写ニップの出口についてそれぞれ、感光体2Y,M,C,Kの「10ライン区画」の平均画像面積率を求め、その結果に応じたY,M,C,K用の1次転写電流の制御目標値を決定する。そして、その結果を、1次転写電源81Y,M,C,Kに出力する。これにより、Y,M,C,K用の1次転写ニップにおいて、画像面積率にかかわらず、優れた1次転写率を維持することができる。
【0055】
両面プリントモードを実施する場合において、記録紙の第1面にトナー像を2次転写するときには、記録紙が湿度に応じた吸湿量になっているので、これまで説明してきたようにして2次転写電流の制御目標値Iを決定する必要がある。しかし、記録紙の第2面にトナー像を2次転写するときには、既に記録紙が定着装置40を通過していることで、吸湿量を大幅に低下させている。たとえ高湿環境下であっても、定着装置40を通過した後の記録紙の吸湿量は、トナー像に流れる2次転写電流の量に殆ど影響を与えないほど、低い吸湿量になっている。
【0056】
そこで、制御部200は、再送装置50によって再送された記録紙にトナー像を2次転写する際(第2面にトナー像を2次転写する際)には、温湿度センサ85による湿度検知結果にかかわらず、第2アルゴリズム(図10)を使用して制御目標値Iを求める処理を実施する。
【0057】
複数のアルゴリズムとして、互いに異なる湿度に対応する第2アルゴリズム、第3アルゴリズム、及び第1アルゴリズムを用いる例を示したが、次のようなアルゴリズムを採用していもよい。即ち、互いに異なる温度域についてそれぞれ、画像面積率と最大転写率電流値との関係を予めの実験によって調べ、それらの関係を個別に示す複数のアルゴリズムを採用してもよい。この場合、ROM200bに記憶させた複数のあるアルゴリズムの中から、温湿度センサ85による温度検知結果に対応するものを選択して、制御目標値を求めるためのアルゴリズムとして使用する処理を実施するように、制御部200を構成すればよい。
【0058】
また、次のようなアルゴリズムを採用してもよい。即ち、互いに異なる記録紙電気抵抗域についてそれぞれ、画像面積率と最大転写率電流値との関係を予めの実験によって調べ、それらの関係を個別に示す複数のアルゴリズムを採用してもよい。この場合、記録紙を図1に示した抵抗測定ローラ対31に通した際に、その記録紙の電気抵抗を測定する。具体的には、抵抗測定ローラ対31の一方のローラ31aから他方のローラ31bに向けては、抵抗測定電源83から出力した測定電流を流している。そして、その測定電流の値を、電流計34によって測定している。記録紙がローラ間のニップを通過する際における電流測定値と、電圧出力値とに基づいて、記録紙の電気抵抗を求めることが可能である。このようにして求めた電気抵抗に対応するアルゴリズムを選択して、制御目標値を求めるためのアルゴリズムとして使用する処理を実施するように、制御部200を構成すればよい。
【0059】
次に、実施形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した実施例のプリンタについて説明する。
一般にプリンタにおいては、ユーザーの意向により、様々な種類の記録紙が使用される。また、OHPシートなど、紙とは異なる材質の記録部材が使用されることもある。共通している点は、シート状に成形された記録シートになっているという点である。記録シートは、材質や表面処理などによって吸湿のし易さが異なってくる。このため、記録シートの電気抵抗と、湿度との関係は記録シートの種類によって異なる。よって、2次転写ニップに流れる2次転写電流を、より精度良く最大転写率電流値の付近に保つためには、記録シートの種類毎に、複数の湿度域について、それぞれ画像面積率と最大転写率電流値との関係を調べてアルゴリズムを構築することが望ましい。
【0060】
そこで、実施例に係るプリンタにおいては、複数種類の記録シートについてそれぞれ、前述のようにして構築した、互いに異なる湿度域に対応する複数のアルゴリズム(第2アルゴリズム、第3アルゴリズム及び第1アルゴリズム)を記憶させている。その一例について説明すると、例えば、NBSリコー社製の「タイプ6000 70W紙」は、上述したマイペーパーに比べて電気抵抗が低くなる傾向にある。このため、同じ湿度環境であれば、マイペーパーに比べて転写電流が流れ易くなる。そこで、「タイプ6000 70W紙」については、第1アルゴリズムとして、次の2つの関係式をROM200bに記憶させている。即ち、画像面積率xが0[%]以上、100[%]未満である場合に採用される関係式として、「制御目標値I[μA]=0.0632x−23.3158」という式を記憶させている。また、画像面積率が100[%]以上である場合に採用される関係式として、「制御目標値I[μA]=−0.1x−7.00」という式を記憶させている。
【0061】
また、OHPシートは、絶縁性であり、且つ吸湿性を有していないので、湿度の検知結果にかかわらず、同じアルゴリズムを用いるようにする。
【0062】
先に図9に示したように、外部のパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像データは、データ入力ポート300を介して制御部200に入力される。画像データは、画像そのものの他に、出力すべき記録紙のサイズの情報や、記録紙の種類の情報が含まれている。これらの情報は、パーソナルコンピュータ等にインストールされたプリンタドライバユーティリティソフトを用いたユーザーによって入力されたものである。実施例に係るプリンタにおいては、記録紙の種類の情報を含む画像データを取得するデータ入力ポート300が、記録シートの種類情報を取得する種類情報取得手段として機能している。
【0063】
制御部200は、画像データが送られてくると、その画像データに含まれる記録シートの種類情報に対応するアルゴリズムだけを抜き出す。更に、抜き出したものの中から、温湿度センサ85による湿度に対応するものを特定し、それを制御目標値Iを求めるためのアルゴリズムとして使用する。
【0064】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、ROM200bに記憶させている複数のアルゴリズムのうち、比較的高い湿度に対応する第1アルゴリズムとして、画像面積率が0[%]から所定の閾値である99[%]までの範囲にある場合には、画像面積率の増加に伴って制御目標値I(2次転写電流)を低下させる一方で、画像面積率が99[%]を超える範囲にある場合には、画像面積率の増加に伴って制御目標値I(2次転写電流)を増加させるものを、採用している(図12参照)。かかる構成においては、記録紙の電気抵抗を吸湿によってかなり低下させている場合であっても、2次転写ニップ内で中間転写ベルト21と記録紙とが直接接触する直接接触領域の面積が大きくなるほど、2次転写バイアスをより大きくすることで、トナー像に対して有効な2次転写電流を流して、画像濃度ムラの発生を抑えることができる。
【0065】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、ROM200bに記憶させている複数のアルゴリズムのうち、比較的高い抵抗値に対応する第2アルゴリズムとして、画像面積率が100[%]よりも低いか否かにかかわらず、画像面積率の増加に伴って制御目標値Iを増加させるものを採用している(図10参照)。かかる構成では、記録紙の電気抵抗が2次転写ニップにおいてトナー像に流れる2次転写電流にそれほど影響を与えないほど高くなっているという状況下で、画像面積率にかかわらず、トナー像に対して最大転写率電流値に近い2次転写電流を流すことができる。
【0066】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、ROM200bに記憶させている複数のアルゴリズムのうち、中程度の湿度に対応する第3アルゴリズムとして、画像面積率が0[%]から99[%]までの範囲にある場合には、画像面積率の増加に伴って制御目標値Iを第2アルゴリズムよりも低い増加率で増加させるものを採用している(図11参照)。かかる構成では、記録紙の電気抵抗を中程度の吸湿によってある程度低下させている状況下において、画像面積率にかかわらず、トナー像に対して最大転写率電流値に近い2次転写電流を流すことができる。
【0067】
また、実施形態に係る複写機においては、2次転写ニップから送り出された記録シートを加熱しながら、記録シートにトナー像を定着せしめる定着装置40と、記録シートの第1面に加えて第2面にもトナー像を転写するために、定着装置40から送り出された記録シートを上下反転させて2次転写ニップに再送する再送装置50とを設けている。そして、再送装置50によって再送された記録シートにトナー像を転写する際には、湿度の検知結果にかかわらず、第2アルゴリズムを使用して制御目標値Iを求める処理を実施するように、転写電流制御手段たる制御部200を構成している。かかる構成では、定着装置40を通過したことに起因して多湿環境下であるにもかかわらず記録シートの電気抵抗値をかなり高い値にしているにもかかわらず、かなり低い値に対応する第1アルゴリズムを使用してしまうことによる画像濃度ムラの発生を回避することができる。
【0068】
また、実施例に係るプリンタにおいては、2次転写ニップに送り込まれる記録シートの種類情報を取得する種類情報取得手段たるデータ入力ポートを設けるとともに、複数のシート種類についてそれぞれ、互いに異なる湿度域に対応する複数のアルゴリズムをROM200bに記憶させている。そして、複数のアルゴリズムのうち、シート種類情報の取得結果と、湿度検知結果との組み合わせに応じたものを選択して、制御目標値Iを求めるためのアルゴリズムとして使用する処理を実施するように、制御部200を構成している。かかる構成では、記録シートの種類にかかわらず、画像濃度ムラの発生を抑えることができる。
【符号の説明】
【0069】
2Y,M,C,K:感光体(像担持体)
21:中間転写ベルト(中間転写体)
26:2次転写ローラ(ニップ形成部材)
40:定着装置(定着手段)
50:再送装置(再送手段)
82:2次転写電源(転写電流出力手段)
85:温湿度センサ(環境検知手段)
200:制御部(転写電流制御手段)
200b:ROM(記憶手段)
300:データ入力ポート(種類情報取得手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2010−191088号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、自らの移動する表面に前記像担持体上のトナー像が転写せしめられる中間転写体と、前記中間転写体に当接して転写ニップを形成しながら、前記転写ニップで自らの表面を前記中間転写体と同じ方向に移動させるニップ形成部材と、前記中間転写体と前記ニップ形成部材との間に流す転写電流を出力する転写電流出力手段と、前記転写ニップにおけるトナー像面積率に応じた転写電流の目標値を求めるためのアルゴリズムを記憶している記憶手段と、前記転写ニップにおけるトナー像面積率を把握した結果と前記アルゴリズムとを用いて求めた目標値と同じ値にするように、前記転写電流出力手段からの出力値を制御する転写電流制御手段とを備え、前記転写ニップ内に送り込んだ記録シートの表面に、前記中間転写体上のトナー像を転写する画像形成装置において、
記録シートの電気抵抗を検知する抵抗検知手段、又は前記電気抵抗と相関関係にある環境パラメータを検知する環境検知手段を設け、
前記アルゴリズムとして、互いに異なる電気抵抗値又は環境パラメータ値に対応する複数のものを前記記憶手段に記憶させ、
且つ、複数の前記アルゴリズムのうち、前記抵抗検知手段又は前記環境検知手段による検知結果に応じたものを選択して、前記目標値を求めるためのアルゴリズムとして使用する処理を実施するように、前記転写電流制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
複数の前記アルゴリズムのうち、比較的低い電気抵抗値、又は比較的高い環境パラメータ値、に対応する第1アルゴリズムとして、前記トナー像面積率が0[%]から所定の閾値[%]までの範囲にある場合には、前記トナー像面積率の増加に伴って前記目標値を低下させる一方で、前記トナー像面積率が前記閾値[%]を超える範囲にある場合には、前記トナー像面積率の増加に伴って前記目標値を増加させるものを、前記記憶手段に記憶させたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
複数の前記アルゴリズムのうち、比較的高い電気抵抗値、又は比較的低い環境パラメータ値、に対応する第2アルゴリズムとして、前記トナー像面積率と前記閾値との関係にかかわらず、前記トナー像面積率の増加に伴って前記目標値を増加させるものを、前記記憶手段に記憶させたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
複数の前記アルゴリズムのうち、中程度の電気抵抗値、又は中程度の環境パラメータ値、に対応する第3アルゴリズムとして、前記トナー像面積率が0[%]から前記閾値[%]までの範囲にある場合には、前記トナー像面積率の増加に伴って前記目標値を前記第2アルゴリズムよりも低い増加率で増加させるものを、前記記憶手段に記憶させたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
前記転写ニップから送り出された記録シートを加熱しながら、前記記録シートにトナー像を定着せしめる定着手段と、
記録シートの第1面に加えて第2面にもトナー像を転写するために、前記定着手段から送り出された記録シートを上下反転させて前記転写ニップに再送する再送手段とを設けるとともに、
前記再送手段によって再送された記録シートにトナー像を転写する際には、前記抵抗検知手段又は前記環境検知手段による検知結果にかかわらず、前記第2アルゴリズムを使用して前記目標値を求める処理を実施するように、前記転写電流制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかの画像形成装置において、
前記転写ニップに送り込まれる記録シートの種類情報を取得する種類情報取得手段を設けるとともに、
複数のシート種類についてそれぞれ、互いに異なる環境パラメータ値に対応する複数の前記アルゴリズムを前記記憶手段に記憶させ、
且つ、複数の前記アルゴリズムのうち、前記種類情報取得手段による取得結果と、前記環境検知手段による検知結果との組み合わせに応じたものを選択して、前記目標値を求めるためのアルゴリズムとして使用する処理を実施するように、前記転写電流制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項2、3又は4の画像形成装置であって、
前記閾値が90[%]以上、110[%]以下であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−185252(P2012−185252A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47226(P2011−47226)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】