説明

画像形成装置およびその冷却装置

【課題】用紙間のトナー融着を防ぐとともに、用紙からの放熱による原稿読み取り部の温度上昇を防止する画像形成装置の冷却装置を提供する。
【解決手段】本体1と、原稿読み取り部2と、画像形成部4と、用紙に形成された未定着画像を加熱により定着させる定着部14と、用紙収納部5と、原稿読み取り部2の下部でかつ画像形成部4の上部部分に位置し、本体1内に用紙取り出し用として開放された胴内排出部16と、を備える画像形成装置に設けられ、胴内排出部16の排出空間Hを冷却する画像形成装置の冷却装置であって、温度検知部17と、冷却部18と、制御部19とを備える。制御部19は、温度検知部17が検知した胴内排出部16の排出空間Hの雰囲気温度に応じて、冷却部18の駆動を制御し胴内排出部16の排出空間Hを冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に用紙に形成された未定着画像を加熱により定着させる定着部を備える画像形成装置およびその冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、スキャナ、複合機等、電子写真方式の画像形成装置には、一般的に定着装置が設けられている。電子写真方式の画像形成装置では、感光体ドラムの表面に形成されたトナー像を用紙に転写し画像形成を行うが、定着装置は、その転写されたトナー像を熱と圧力で用紙に定着させる。
【0003】
近年、画像形成装置に使用される用紙は、普通紙だけでなく、表面処理が施された厚紙やOHT等の特殊紙を含み、多種多様となっている。また、画像形成装置による印字枚数も増加する傾向にある。そこで、このような用紙の種類や印刷枚数の増加に関係なく安定した定着性を得るために、例えば定着装置の定着ニップ付近に温度センサを設け、定着後の用紙の表面温度を検知し、検知温度によって定着制御温度の変更を行う方法が提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−280447号公報
【特許文献2】特開2006−10753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
定着装置によってトナー像が用紙に定着される際、用紙は加熱されるために高温となる。そしてこのような高温の用紙が排出部に排出されて積載されると、排出部における用紙上のトナーは融点に近い状態となる。すると、排出部において重なり合う用紙のトナー同士が融着し、用紙が互いに接着するという問題が生じる。
【0005】
ここで、特許文献1および特許文献2に示された装置は、定着後の用紙の表面温度を検知する温度センサを備えている。従って、例えばこれらセンサに連動して定着装置を冷却する冷却装置を備えることにより、前述した用紙間のトナー溶着の問題には対応可能であると考えられる。
【0006】
一方、画像情報を読み取る原稿読み取り部の下部に、用紙が排出される胴内排出部を備える画像形成装置がある。このような画像形成装置の胴内排出部に高温の用紙が排出されると、用紙からの熱は拡散されにくいために、胴内排出部の温度は上昇する。すると、胴内排出部の上部に配置された原稿読み取り部の温度が上がることから、原稿読み取り部の読み取り精度の低下や電気部品の機能の低下という問題がさらに生じ得る。
【0007】
本発明の課題は、用紙間のトナー融着を防ぐとともに、用紙からの放熱による原稿読み取り部の温度上昇を防止する画像形成装置の冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る画像形成装置の冷却装置は、本体と、画像情報を読み取る原稿読み取り部と、原稿読み取り部で読み取られた原稿の画像情報に基づいて用紙に画像を形成する画像形成部と、用紙に形成された未定着画像を加熱により定着させる定着部と、画像形成部に供給する用紙を収納する用紙収納部と、原稿読み取り部の下部でかつ画像形成部の上部部分に位置し、本体内に用紙取り出し用として開放され、画像が記録された用紙が排出される胴内排出部と、を備える画像形成装置に設けられ、胴内排出部の排出空間を冷却する冷却装置であって、胴内排出部の排出空間の雰囲気温度を検知する温度検知部と、排出空間を冷却する冷却部と、雰囲気温度に応じて冷却部を駆動する制御部と、を備える。
【0009】
ここで、制御部は、温度検知部が検知した胴内排出部の排出空間の雰囲気温度に応じて、冷却部の駆動を制御し、胴内排出部の排出空間を冷却する。従って、胴内排出部に排出された用紙を冷却するとともに、胴内排出部上に配置された原稿読み取り部を冷却することができる。以上から、用紙間のトナー融着を防止できるだけでなく、原稿読み取り部の温度上昇を回避して温度上昇から生じ得る原稿読み取り装置の機能低下を防止することができる。
【0010】
請求項2に係る画像形成装置の冷却装置は、請求項1に記載の画像形成装置の冷却装置において、冷却部は冷却ファンを有する。
【0011】
ここでは、冷却部は冷却ファンを有することで胴内排出部の排出空間を冷却し、胴内排出部に排出された用紙を冷却するとともに、胴内排出部上に配置された原稿読み取り部を冷却する。従って、用紙間のトナー融着を防止できるだけでなく、原稿読み取り部の温度上昇を回避して温度上昇から生じ得る原稿読み取り装置の機能低下を防止することができる。
【0012】
請求項3に係る画像形成装置の冷却装置は、請求項1または2に記載の画像形成装置の冷却装置において、冷却部は本体内に配置され、冷却部による冷却風は胴内排出部への用紙の排出方向に沿って送出される。
【0013】
ここでは、冷却風は、冷却部から胴内排出部への用紙の排出方向に沿って送出されるため、排出空間を通り抜ける経路をとり、排出空間を冷却するとともに排出空間にある熱を本体外にはき出すことができる。従って、胴内排出部に排出された用紙を冷却するとともに、胴内排出部上に配置された原稿読み取り部を冷却することができる。以上から、用紙間のトナー融着を防止できるだけでなく、原稿読み取り部の温度上昇を回避して温度上昇から生じ得る原稿読み取り装置の機能低下を防止することができる。
【0014】
請求項4に係る画像形成装置の冷却装置は、請求項1または2に記載の画像形成装置の冷却装置において、冷却部は、原稿読み取り部の下部部分であって胴内排出部に対面する位置に配置される。
【0015】
ここでは、冷却部から送り出された冷却風が胴内排出部の排出空間を冷却することによって、胴内排出部に排出された用紙を冷却するとともに、胴内排出部上に配置された原稿読み取り部を冷却することができる。以上から、用紙間のトナー融着を防止できるだけでなく、原稿読み取り部の温度上昇を回避して温度上昇から生じ得る原稿読み取り装置の機能低下を防止することができる。
【0016】
請求項5に係る画像形成装置の冷却装置は、請求項1または4に記載の画像形成装置の冷却装置において、制御部は、雰囲気温度に応じて、定着部における定着温度をさらに制御する。
【0017】
ここでは、温度検知部によって検知された胴内排出部の排出空間の雰囲気温度に応じて、制御部は、冷却部の駆動を制御するとともに、さらに定着部の定着温度を制御する。よって、排出空間を冷却するだけでなく、温度がすでに低下している用紙を胴内排出部に排出することができる。従って、より効率よく用紙間のトナー融着の防止と、原稿読み取り部の温度上昇による機能低下の防止を実現することができる。
【0018】
請求項6に係る画像形成装置の冷却装置は、請求項1または5に記載の画像形成装置の冷却装置において、制御部は、雰囲気温度に応じて、用紙処理速度をさらに制御する。
【0019】
ここでは、制御部は、冷却ファンの駆動を制御するとともに、さらに画像形成装置における用紙処理枚数を制御する。従って、胴内排出部に排出された用紙の温度を低くすることができる。そして、さらに冷却部による胴内排出部の排出空間の冷却を同時に行うことで、より効率よく用紙間のトナー融着の防止と、原稿読み取り部の温度上昇による機能低下の防止とを実現することができる。
請求項7に係る画像形成装置は、本体と、画像情報を読み取る原稿読み取り部と、原稿読み取り部で読み取られた原稿の画像情報に基づいて用紙に画像を形成する画像形成部と、用紙に形成された未定着画像を加熱により定着させる定着部と、画像形成部に供給する用紙を収納する用紙収納部と、原稿読み取り部の下部でかつ画像形成部の上部部分に位置し、本体内に用紙取り出し用として開放され、画像が記録された用紙が排出される胴内排出部と、請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置の冷却装置と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
以上のような本発明によれば、胴内排出部に排出された用紙間のトナー融着を防ぐとともに、用紙からの放熱による温度上昇から生じる原稿読み取り装置の機能の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
1.第1実施形態
[全体構成]
図1は、本発明の第1実施形態が採用された画像形成装置としての複合機1の概略断面図である。
【0022】
複合機1は、原稿読み取り部2および本体3を備え、また本体3に設けられた画像形成部4、用紙収納部5、用紙収納部5からの用紙を搬送する用紙搬送部13、定着装置14、および胴内排出部16を備える。さらに複合機1は、冷却装置として、温度検知部17、冷却部18および制御部19を有する。なお、図1における矢印は、用紙の搬送経路を示す。
【0023】
原稿読み取り部2は、原稿の画像データを読み取るための部分であって、図示しないコンタクトガラス上の原稿の画像データを読み取ることが可能である。
【0024】
画像形成部4は、原稿読み取り部2で読み取られた原稿の画像データに基づいて用紙に画像を形成するための部分であって、感光体ドラム6、帯電装置7、露光装置8、現像装置9、転写ローラ10およびクリーニング装置11を有する。感光体ドラム6は、画像データに基づいて静電潜像が表面に形成される部材であって、円筒状の部材である。帯電装置7は、感光体ドラム6の表面を帯電させる部材である。露光装置8は感光体ドラム6上にレーザ光を照射するための部材である。現像装置9は、感光体ドラム6に近接して配置され、感光体ドラム6の表面にトナーを供給するものであり、その内部にはトナーが収納されている。転写ローラ10は、感光体ドラム6と対向して配置され、トナー像を用紙に転写する。クリーニング装置11は、残留トナーを回収する。
【0025】
定着装置14は、画像形成部4の上方に配置されており、用紙に形成されたトナー像を定着させるための部分である。定着装置14は、互いに対向して配置された定着ローラ141および加圧ローラ142を有する。そして、定着ローラ141には、ハロゲンランプ等の熱源が内蔵されている。この定着ローラ141および加圧ローラ142が対向するニップ部分に未定着トナーを載せた用紙を挿通させることによって定着が行われる。具体的には、加圧ローラ142による圧力によってトナー像を用紙に圧着し、かつ定着ローラ141による熱でトナー像を溶融して用紙にトナー像を定着させる。
【0026】
用紙収納部5は、画像形成部4に供給する用紙が収納されている。
【0027】
用紙搬送部13は、用紙収納部5から胴内排出部16まで延びて形成される。用紙搬送部13には、レジストローラ対12、搬送ローラ(図示せず)、および排出ローラ対15が配置されている。前述の用紙収納部5の用紙は、レジストローラ対12によって用紙搬送部13に搬入され、その後画像形成部4、定着装置14、胴内排出部16の順に用紙は搬送される。
【0028】
胴内排出部16は、画像形成された用紙が排出ローラ対15によって排出され積載される部分である。胴内排出部16は、原稿読み取り部2の下部でかつ画像形成部4の上部部分であって、本体3の一部が開口された位置に形成される。この胴内排出部16は、複合機1を平面視したとき本体3内部に収まるように形成されている。胴内排出部16では、排出ローラ対15が配置された側面以外の他の側面にはパネル等の障壁がなく、ユーザはこの開口部分から手を挿入して用紙を取り出すことが可能である。また、胴内排出部16の底部は、排出ローラ対15側から用紙の排出方向に向かって徐々に高くなるように傾斜している。従って、胴内排出部16へ排出された用紙の後端部は排出ローラ対15側で揃うようになる。
【0029】
温度検知部17は、胴内排出部16の排出空間Hの雰囲気温度を検知するためのものであり、例えばサーミスタを含む。この温度検知部17は、排出空間Hの雰囲気温度を精度良く検知出来る部分に配置されていればよい。本実施形態では、原稿読み取り部2の下部部分であって胴内排出部16に対面する位置であって、使用頻度の高い用紙、例えばA4サイズの用紙が積層される胴内排出部16の範囲内に対応する位置に配置される。
【0030】
冷却部18は、胴内排出部16の排出空間Hを冷却する。この冷却部18は、冷却ファン181、ダクト182、吐出口183および通風口184を有する。冷却ファン181は、取付け部材(図示せず)を介して、本体3内に取り付けられる。また、冷却ファン181は、取付け部材内に回動自在に支持されている。冷却ファン181は、後述する制御部19の制御により回転駆動され、本体3の外枠カバーに設けられた通風口184から外気を吸入し、冷却した空気をダクト182および吐出口183を介して胴内排出部16側に送出する。吐出口183は、排出ローラ対15の近傍に設けられ、冷却ファン181からの冷却空気を、用紙が排出される方向に向かって送出できる位置に配置されている。
【0031】
制御部19は、CPU、RAMおよびROMを含み、温度検知部17および冷却部18の冷却ファン181と電気的に接続されている。そして、温度検知部17が検知する胴内排出部16の排出空間Hの雰囲気温度に応じて、冷却部18の冷却ファン181の回転駆動を制御する。制御部19は、予めROMに記憶された所定温度と温度検知部17によって検知された雰囲気温度を比較して、例えば雰囲気温度が所定温度より高いと判断すると冷却ファン181の回転駆動を開始させ、雰囲気温度が所定温度より低いと判断すると冷却ファン181を駆動させない、又はその駆動を停止させるという制御を行う。
【0032】
このような構成を備える複写機1において、定着装置14によって定着された用紙は、定着ローラ141による加温により高温となった状態で排出ローラ対15から胴内排出部16へと排出される。ここで胴内排出部16は、前述のとおり原稿読み取り部2の下部かつ画像形成部4の上部部分に設けられているため、胴内排出部16に排出され積層された用紙の熱は放散されにくい。すると以下のような2つの問題が生じ得る。
【0033】
第1に、胴内排出部16に積層された用紙上のトナーは融点に近い状態となり、重なり合う用紙のトナー同士の融着が生じる。
【0034】
第2に、胴内排出部16に排出され積層された用紙の熱が上昇し、胴内排出部16の上部に配置された原稿読み取り部2の温度を上げる。従って、原稿読み取り部2の読み取り精度の低下や電気部品の機能の低下という問題が生じる。
【0035】
本実施形態では、胴内排出部16の排出空間Hの雰囲気温度を検知する温度検知部17を備え、温度検知部17の検知する雰囲気温度に応じて、制御部19が冷却部18の冷却ファン181を回転駆動し排出空間Hを冷却することにより、これら2つの問題の発生を抑えている。以下、冷却動作について詳述する。
【0036】
[冷却動作]
胴内排出部16の排出空間Hの冷却動作について、図2を参照して説明する。図2は、制御部19による冷却ファン181の制御を示すフローチャートである。
【0037】
冷却ファン181の回転駆動は、電気的に接続された制御部19によって制御される。具体的には、制御部19は、温度検知部17によって検知された排出空間Hの雰囲気温度と、ROMに予め記憶された所定温度と比較し、雰囲気温度が所定温度と同じ、あるいは高いか低いかを判断する(ステップS1)。ここでは、所定温度を、原稿読み取り部2の耐熱温度に応じて設定された危険温度とする。検知された雰囲気温度が危険温度と同じ、または危険温度より高いと判定した場合は、制御部19は、冷却ファン181を回転駆動させる(ステップS2)。回転駆動された冷却ファン181は、通風口184から外気を吸入し、冷却した空気をダクト182および吐出口183を介して胴内排出部16側に送出する。ここで、排出ローラ対15の近傍に設けられた吐出口183は、冷却ファン181からの冷却空気を用紙の排出方向に向かって送出する。従って、吐出口183から送り出された冷却空気の流れは、排出空間Hを通り抜ける経路をとる。よって、排出空間Hを冷却するとともに、排出空間Hにある熱を本体3外にはき出すことができる。
【0038】
冷却ファン181の回転駆動後も、制御部19は、温度検知部17によって検知された排出空間Hの雰囲気温度と危険温度とを比較する(ステップS3)。ここで、冷却により排出空間Hの雰囲気温度が危険温度より低くなったと判断した場合は、制御部19は、冷却ファン181の回転駆動を停止する(ステップS4)。一方、排出空間Hの雰囲気温度が危険温度より依然として高い場合は、所定の危険温度より雰囲気温度が低くなるまで胴内排出部16の排出空間Hへの送風を続ける。
【0039】
なお、本実施形態では、胴内排出部16の排出空間Hの雰囲気温度に応じて、制御部19は冷却ファン181を駆動または駆動停止する例を挙げて説明した。しかし、胴内排出部16の排出空間Hの雰囲気温度に応じて排出空間Hを冷却することができればよく、制御部19による冷却ファン181の制御方法はこれに限定されない。例えば、冷却ファン181は、複写機1の動作中は絶えず駆動された状態であって、胴内排出部16の排出空間Hの雰囲気温度が所定温度より高いと判定したときに、冷却ファン181の回転駆動速度をさらに速くするように制御してもよい。
【0040】
また、制御部19による冷却部18の駆動停止のタイミングは、この例に限定されない。例えば、冷却ファン181の駆動開始から所定の時間が経過した後に、冷却ファン181の回転を停止させるように制御してもよい。
【0041】
このように、本実施形態では、温度検知部17、冷却ファン181および制御部19を備える。そして、温度検知部17が検知する胴内排出部16の排出空間Hの雰囲気温度に応じて、制御部19は冷却ファン181の駆動を制御し、胴内排出部16の排出空間Hを冷却する。従って、胴内排出部16に排出された用紙を冷却するとともに、胴内排出部16上に配置された原稿読み取り部2を冷却することができる。以上から、本実施形態では、用紙間のトナー融着を防止するとともに、原稿読み取り部の温度上昇を回避して温度上昇から生じ得る原稿読み取り装置の機能低下を防止することができる。
【0042】
2.第2実施形態
第2実施形態は、冷却部を原稿読み取り部の下部部分に備え、それ以外は第1実施形態と同様の構成を有する。
【0043】
図3を参照して、第2実施形態における冷却部28を説明する。なお、第1実施形態と同様の構成ついては、第1実施形態と同じ符号を用いる。
【0044】
図3は、第2実施形態における複写機1の断面構成図を示す。第2実施形態の冷却部28は、原稿読み取り部2の下部であって、胴内排出部16に対面する位置に配置される。冷却部28は、冷却ファン281を有し、空気取り入れ口(図示せず)を備えた取付け部材282を介して、原稿読み取り部2に取り付けられる。また、冷却ファン281は、取付け部材内に回動自在に支持されている。
【0045】
冷却部28による冷却動作は、前述の第1実施形態と同様である。すなわち、制御部19は、温度検知部17によって検知された排出空間Hの雰囲気温度に応じて、冷却ファン281の回転制御を行う。例えば、ROMに予め記憶された所定の危険温度と比較して雰囲気温度が危険温度と同じまたは高いと判断したときは、制御部19は、冷却ファン281を回転駆動する。そして回転駆動された状態の冷却ファン281は、空気取り入れ口から外気を吸入し、胴内排出部16側に冷却風を送出し排出空間Hを冷却する。また、制御部19は、排出空間Hの雰囲気温度が危険温度より低いと判断した場合は、冷却ファン281を回転駆動させない、または停止するように制御する。
【0046】
このように本実施形態では、温度検知部17、冷却ファン281および制御部19を備える。そして、胴内排出部16の排出空間Hの雰囲気温度に応じて、制御部19は冷却ファン281の駆動を制御し、胴内排出部16の排出空間Hを冷却する。従って、胴内排出部16に排出された用紙を冷却するとともに、胴内排出部16上に配置された原稿読み取り部2を冷却することができる。以上から、本実施形態では、用紙間のトナー融着を防止できるだけでなく、原稿読み取り部2の温度上昇を回避して温度上昇から生じ得る原稿読み取り装置の機能低下を防止することができる。
【0047】
3.第3実施形態
第3実施形態では、温度検知部によって検知された胴内排出部の排出空間の雰囲気温度に応じて、制御部は、冷却ファンの駆動を制御するとともに、さらに定着装置の定着温度を制御する。それ以外は、第1実施形態と同様の構成を有し、以下、第1実施形態と同じ符号を用いて第3実施形態を説明する。
【0048】
第3実施形態では、制御部19は、さらに定着ローラ141に内蔵されたハロゲンランプ等の熱源(図示せず)と電気的に接続されている。そして、温度検知部17によって検知された胴内排出部16の排出空間Hの雰囲気温度に応じて、定着ローラ141の熱源の駆動を制御する。例えば、制御部19は、雰囲気温度がROMに予め記憶された所定の危険温度と同じまたは高いと判断すると、冷却ファン181を回転駆動するとともに、定着温度を下げるように定着ローラ141の熱源の駆動を制御する。ここで、定着温度の変更は、定着不良が発生しない範囲内で行われる。
【0049】
その後、制御部19は胴内排出部16の排出空間Hにおける雰囲気温度が所定の危険温度より低いと判断すると、冷却ファン181の回転駆動を停止するとともに、定着温度を元々設定されていた温度に戻すよう定着ローラ141の熱源の駆動を制御する。
【0050】
このように本実施形態では、温度検知部17によって検知された胴内排出部16の排出空間Hの雰囲気温度に応じて、制御部19は、冷却ファン181の駆動を制御するとともに、さらに定着装置14の定着温度を制御する。よって、排出空間Hを冷却するだけでなく、温度がすでに低下している用紙を胴内排出部16に排出することができる。従って、より効率よく用紙間のトナー融着の防止と、原稿読み取り部2の温度上昇による機能低下の防止を実現することができる。
【0051】
4.第4実施形態
第4実施形態は、温度検知部によって検知された胴内排出部の排出空間の雰囲気温度に応じて、制御部は、冷却部の駆動を制御するとともに、さらに画像形成装置における用紙処理枚数を制御する。それ以外は、第1実施形態と同様の構成を有し、以下第1実施形態と同じ符号を用いて第4実施形態を説明する。
【0052】
第4実施形態では、制御部19は、さらに画像形成部4およびレジストローラ対12と電気的に接続されている。そして、温度検知部17によって検知された胴内排出部16の排出空間Hにおける雰囲気温度に応じて、制御部19は、冷却ファン181の駆動を制御するとともに、画像形成部4における感光体ドラム6の回転速度等の画像形成速度およびレジストローラ対12の回転速度を制御する。具体的には、制御部19は、雰囲気温度がROMに予め記憶された所定の危険温度と同じまたは高いと判断すると、冷却ファン181の回転駆動を開始し冷却ファン181を回転駆動するとともに、画像形成速度やレジストローラ対12の回転速度が遅くなるように制御する。すると、画像形成部4においてトナー画像が形成される速度が遅くなるとともに、レジストローラ対12から用紙搬送部13を経て画像形成部4に搬入される用紙の搬入間隔、そして最終的には胴内排出部16に排出される用紙の排出間隔が大きくなる。このように胴内排出部16に排出される用紙の排出間隔を大きくなると、排出間隔が狭いときに比べて熱の拡散が促進される。従って、用紙間のトナー融着を防止することができる。
【0053】
その後、制御部19は、胴内排出部16の排出空間Hにおける雰囲気温度が所定の温度より低いと判断すると、冷却ファン181の回転駆動を停止するとともに、画像形成速度およびレジストローラ対12の回転速度を元の速さに戻すように制御する。
【0054】
このように本実施形態では、制御部は、冷却ファンの駆動を制御するとともに、さらに画像形成装置における用紙処理枚数を制御する。従って、まず胴内排出部16に排出された用紙の温度を低くすることができる。そして、さらに冷却部18による胴内排出部16の排出空間Hの冷却を同時に行うことで、より効率よく用紙間のトナー融着の防止と、原稿読み取り部の温度上昇による機能低下の防止とを実現することができる
[他の実施形態]
(a)本発明の温度検知部、冷却部および制御部の適用は、複写機に限定されるものではなく、他の画像形成装置においても同様に適用することができる。
【0055】
(b)冷却部および冷却ファンの形状、個数については、前述の実施形態に限定されるものではなく、胴内排出部の排出空間を冷却できる構成であれば種々の変形が可能である。
【0056】
(c)制御部のROMに記憶された所定温度は、原稿読み取り部の耐熱温度に応じて設定された危険温度に限定されず、他の温度としてもよい。例えば、用紙のトナーが融着する温度を所定温度として設定してもよい。
【0057】
(d)制御部のROMには、予め複数の所定温度を記憶させておいてもよい。例えば、所定温度として、前述の危険温度およびトナーの融着温度を、トナーの融着温度が危険温度より低いと設定して記憶させておいてもよい。
【0058】
ここで冷却ファンを、中速、高速という2段階で駆動可能に設定しておいてもよい。そして、例えば、排出空間の雰囲気温度がトナーの融着温度より高いが危険温度より低いときは、制御部は、冷却ファンを中速で駆動させ、雰囲気温度が危険温度より高くなると冷却ファンを高速で駆動させてもよい。
【0059】
さらには、排出空間の雰囲気温度がトナーの融着温度より高いが危険温度より低いとき、制御部は、前述の定着装置の定着温度や用紙処理枚数の制御を行い、雰囲気温度が危険温度より高いと判断した後に、初めて冷却ファンの回転駆動の制御を始めるとしてもよい。
【0060】
以上、異なる欄に述べた実施形態を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1実施形態による複写機の概略断面図。
【図2】制御部による冷却ファンの制御のプローチャート。
【図3】本発明の第2実施形態による複写機の概略断面図。
【符号の説明】
【0062】
1 複写機
2 原稿読み取り部
3 本体
4 画像形成部
5 用紙収納部
12 レジストローラ対
14 定着装置
15 排出ローラ対
16 胴内排出部
17 温度検知部
18 28 冷却部
181 282 冷却ファン
183 吐出口
19 制御部
H 排出空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、画像情報を読み取る原稿読み取り部と、前記原稿読み取り部で読み取られた原稿の画像情報に基づいて用紙に画像を形成する画像形成部と、用紙に形成された未定着画像を加熱により定着させる定着部と、前記画像形成部に供給する用紙を収納する用紙収納部と、前記原稿読み取り部の下部でかつ前記画像形成部の上部部分に位置し、前記本体内に用紙取り出し用として開放され、画像が記録された用紙が排出される胴内排出部と、を備える画像形成装置に設けられ、前記胴内排出部の排出空間を冷却する冷却装置であって、
前記胴内排出部の排出空間の雰囲気温度を検知する温度検知部と、
前記排出空間を冷却する冷却部と、
前記雰囲気温度に応じて前記冷却部を駆動する制御部と、
を備える画像形成装置の冷却装置。
【請求項2】
前記冷却部は冷却ファンを有する、請求項1に記載の画像形成装置の冷却装置。
【請求項3】
前記冷却部は前記本体内に配置され、前記冷却部による冷却風は前記胴内排出部への用紙の排出方向に沿って送出される、請求項1または2に記載の画像形成装置の冷却装置。
【請求項4】
前記冷却部は、前記原稿読み取り部の下部部分であって前記胴内排出部に対面する位置に配置される、請求項1または2に記載の画像形成装置の冷却装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記雰囲気温度に応じて、前記定着部における定着温度をさらに制御する、請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置の冷却装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記雰囲気温度に応じて、用紙処理速度をさらに制御する、請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置の冷却装置。
【請求項7】
本体と、
画像情報を読み取る原稿読み取り部と、
前記原稿読み取り部で読み取られた原稿の画像情報に基づいて用紙に画像を形成する画像形成部と、
用紙に形成された未定着画像を加熱により定着させる定着部と、
前記画像形成部に供給する用紙を収納する用紙収納部と、
前記原稿読み取り部の下部でかつ前記画像形成部の上部部分に位置し、前記本体内に用紙取り出し用として開放され、画像が記録された用紙が排出される胴内排出部と、
請求項1〜6のいずれかに記載の冷却装置と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−107603(P2010−107603A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277586(P2008−277586)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】