説明

画像形成装置および定着装置制御方法

【課題】電源投入後、定着加熱部へ迅速に電力供給することにより、画像形成装置の生産性を向上させると共に、定着装置に異常状態が発生しても安全に制御できるようにする。
【解決手段】電源投入後、全体を制御するCPU13aが立ち上がる前は、ハードウェア構成による電力供給信号発生回路12が生成する電力供給信号によって、定着装置を加熱する定着加熱部22aに電力が供給される。定着加熱部22aが所定温度になって、CPU13aが立ち上がった後は、プログラムにより定着制御を行う電力供給発生部13からの電力供給信号に切り替えて、定着加熱部22aへ電力供給する。CPU13aが立ち上がっている間に定着装置に異常状態が発生しても、不揮発性記憶部21と異常記憶部17に記憶・保持させ、その定着異常信号や保持信号を出力することによって、電力供給信号を無効化する無効化回路16を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー画像を定着させる定着装置を備えた画像形成装置および定着装置制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置としては、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびそれらの機能を複合化した複合機(MFP)等が開発されている。このような画像形成装置では、パソコン並に多機能化され、制御する対象も増え、これを制御するメモリ容量も増大の一途を辿っている。このため、複数のCPUが設けられ、全体を制御するCPUと各部を制御するCPUとで機能を分散させ、相互に通信を行いながら画像形成装置の種々の機能を達成している。
【0003】
画像形成装置の多くは、SDメモリカードなどからプログラムをダウンロードし、全体を制御するCPUが周辺デバイスの初期設定を行って、ダウンロードしたプログラムに基づいて周辺回路、周辺機器の初期設定、およびバスの開通処理を行い、バス開通後にようやく各部を制御するCPUを立ち上げることができる。このように、画像形成装置の各部が制御できるようになるには、多くの時間を要する。
【0004】
そして、このような画像形成装置には、画像形成部によって記録媒体上に形成されたトナー画像を加圧し加熱することにより、記録媒体にトナー画像を定着する定着装置を備えている。この定着装置は、記録媒体を加圧し加熱するための定着ローラを備えている。この様な画像形成装置では、まず、画像形成装置全体を制御するCPUが立ち上がり、全体のCPUと定着装置のCPUのバスが開通した後、定着装置のCPUの指示によって定着加熱部定着ローラの温度が制御されながら、商用電源(AC電源)からの電力が供給されて所定の温度まで加熱される。このように、電源投入後から定着ローラが所定の温度になり、画像形成可能になるまでは大変時間がかかるため、生産性を低下させる原因となっていた。
【0005】
そこで、画像形成装置の生産性を向上させるため、特許文献1では、定着加熱部に電力供給する回路と、定着加熱部に低温検知回路とが設けられ、定着加熱部の温度が所定の温度よりも低下すると、定着装置のCPUに関らず定着加熱部に電力を供給するようにし、また、定着加熱部が高温になり過ぎたら強制的に電力供給を停止するように制御する技術を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、画像形成装置に異常が発生して電源OFFされた後に立ち上がった場合、まだCPUが制御可能な状態になる前に定着加熱部に電力供給されることになるため、画像形成装置の異常内容によっては、定着加熱部の温度が必要以上に上昇して定着ローラが溶融したり、最悪の場合には定着装置が焼損したりするという問題があった。
【0007】
また、コピー動作中に定着装置の異常がCPUによって検出されると、コピー動作が禁止されて、操作部の表示が使用できないという警告表示となり、主電源がOFFされる。この状態で、電源が再投入されると、CPUが立ち上がる前にCPUと異なるハード回路によって電力供給が行われる。しかし、定着加熱部の温度を検知するサーミスタが断線するか、浮いた状態になった場合は、ハード回路によって電力供給が継続して行われるため、定着ローラが溶融する可能性があり、最悪の場合には定着装置が焼損するという問題があった。
【0008】
さらに、上記特許文献1の構成によれば、商用電源をヒータに電力供給する時間が確定していないため、最悪の場合には位相が90度、270度の時に電力供給されることがあった。この場合、特に定着加熱部が低温の時には、瞬時的に大きな電流が加熱ヒータに流れることから、照明のチラツキが発生したり、商用電源の電圧低下が発生したりして、他の電子機器に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、定着加熱部への電力供給を迅速に行うことにより、画像形成装置の生産性を向上させると共に、定着装置の安全性を向上させることができる画像形成装置および定着装置制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、トナー画像が形成された媒体を加圧および加熱して前記トナー画像を定着させる定着装置の制御を行う第1の制御部を備えた画像形成装置において、前記定着装置を加熱する定着加熱手段と、前記定着加熱手段の温度を検出する温度検出手段と、電源からの電力発生を検出する電力検出手段と、前記第1の制御部が立ち上がる前に、前記電力検出手段による検出信号と、前記温度検出手段による検出信号とに基づいて、前記定着加熱手段に電力供給する信号を生成する第1の電力供給信号発生手段と、前記第1の制御部が立ち上がった後に、プログラムにより前記第1の電力供給信号発生手段からの電力供給信号に替えて、前記電力検出手段による検出信号と、前記温度検出手段による検出信号とに基づいて、前記定着加熱手段に対し電力供給する信号を生成する第2の電力供給信号発生手段と、前記第1の電力供給信号発生手段および前記第2の電力供給信号発生手段からの電力供給信号により前記定着加熱手段に電力を供給する電力供給手段と、前記定着装置の異常を検出して異常検出信号を出力する異常検出手段と、前記第1の制御部が立ち上がっている間に、前記異常検出手段による異常検出信号を記憶させると、次に前記第1の制御部から解除指示が来るまで異常検出信号を出し続ける異常記憶手段と、前記異常記憶手段または前記異常検出手段からの異常検出信号によって、前記第1の電力供給信号発生手段および前記第2の電力供給信号発生手段のうち、少なくとも前記第1の電力供給信号発生手段が生成する電力供給信号を無効化する無効化手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記画像形成装置で実行される定着装置制御方法であって、前記画像形成装置は、定着装置の制御を行う第1の制御部、定着加熱手段、温度検出手段、電力検出手段、第1の電力供給信号発生手段、第2の電力供給信号発生手段、電力供給手段、異常検出手段、異常記憶手段、および無効化手段を備え、前記定着加熱手段が、前記定着装置を加熱する工程と、前記温度検出手段が、前記定着加熱手段の温度を検出する工程と、前記電力検出手段が、電源からの電力発生を検出する工程と、前記第1の電力供給信号発生手段が、前記第1の制御部が立ち上がる前に、前記電力検出手段による検出信号と、前記温度検出手段による検出信号とに基づいて、前記定着加熱手段に電力供給する信号を生成する工程と、前記第2の電力供給信号発生手段が、前記第1の制御部が立ち上がった後に、プログラムにより前記第1の電力供給信号発生手段からの電力供給信号に替えて、前記電力検出手段による検出信号と、前記温度検出手段による検出信号とに基づいて、前記定着加熱手段に対し電力供給する信号を生成する工程と、前記電力供給手段が、前記第1の電力供給信号発生手段および前記第2の電力供給信号発生手段からの電力供給信号により前記定着加熱手段に電力を供給する工程と、前記異常検出手段が、前記定着装置の異常を検出して異常検出信号を出力する工程と、前記異常記憶手段が、前記第1の制御部が立ち上がっている間に、前記異常検出手段による異常検出信号を記憶させると、次に前記第1の制御部から解除指示が来るまで異常検出信号を出し続ける工程と、前記無効化手段が、前記異常記憶手段または前記異常検出手段からの異常検出信号によって、前記第1の電力供給信号発生手段および前記第2の電力供給信号発生手段のうち、少なくとも前記第1の電力供給信号発生手段が生成する電力供給信号を無効化する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、定着加熱手段が定着装置を加熱し、温度検出手段が定着加熱手段の温度を検出し、電力検出手段が電源からの電力発生を検出して、第1の制御部が立ち上がる前は、第1の電力供給信号発生手段が定着加熱手段への電力供給信号を生成する。第1の制御部が立ち上がった後は、プログラムによる第2の電力供給信号発生手段が第1の電力供給信号発生手段に代わる電力供給信号を生成し、その電力供給信号によって電力供給手段が定着加熱手段に電力を供給するため、電源投入後に定着加熱部に対する電力供給を迅速に行うことができ、画像形成装置の生産性を向上させることができるという効果を奏する。そして、定着装置の異常を異常検出手段が検出し、第1の制御部が立ち上がっている間に異常記憶手段に異常検出信号を記憶させると、次に第1の制御部から解除指示が来るまで異常検出信号を出し続けるので、異常記憶手段または異常検出手段からの異常検出信号が無効化手段に入力されると、第1および第2の電力供給信号発生手段が生成する電力供給信号が無効化されるため、定着装置の安全性を向上させることができるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明によれば、定着加熱手段が定着装置を加熱し、温度検出手段が定着加熱手段の温度を検出し、電力検出手段が電源からの電力発生を検出して、第1の制御部が立ち上がる前は、第1の電力供給信号発生手段が定着加熱手段への電力供給信号を生成する。第1の制御部が立ち上がった後は、プログラムによる第2の電力供給信号発生手段が第1の電力供給信号発生手段に代わる電力供給信号を生成し、その電力供給信号によって電力供給手段が定着加熱手段に電力を供給するように制御するため、電源投入後に定着加熱部に対する電力供給を迅速に行うことができ、画像形成装置の生産性を向上させることができるという効果を奏する。そして、定着装置の異常を異常検出手段が検出し、無効化手段に異常検出信号を出力すると、第1および第2の電力供給信号発生手段が生成する電力供給信号を無効化するように制御するため、画像形成装置の定着装置の安全性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の定着装置制御回路を示す機能ブロック図である。
【図2】図2は、ゼロクロス信号発生回路の一構成例を示す図である。
【図3】図3は、図1の異常記憶部であるラッチングリレーの概略構成図である。
【図4】図4は、図1の定着装置制御回路の回路構成をより具体化した構成図である。
【図5】図5は、図4各部の信号波形例を示すタイミングチャートである。
【図6−1】図6−1は、定着装置の制御動作を説明するフローチャートである。
【図6−2】図6−2は、定着装置の制御動作を説明するフローチャートである。
【図6−3】図6−3は、定着装置の制御動作を説明するフローチャートである。
【図6−4】図6−4は、定着装置の制御動作を説明するフローチャートである。
【図7】図7は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置の定着装置制御回路を示す機能ブロック図である。
【図8】図8は、第3の実施の形態にかかる画像形成装置の定着装置制御回路を示す機能ブロック図である。
【図9】図9は、第4の実施の形態にかかる画像形成装置の定着装置制御回路を示す機能ブロック図である。
【図10】図10は、図9各部の信号波形例を示すタイミングチャートである。
【図11】図11は、第5の実施の形態にかかる画像形成装置の定着装置制御回路を示す機能ブロック図である。
【図12】図12は、第6の実施の形態にかかる画像形成装置の定着装置制御回路を示す機能ブロック図である。
【図13−1】図13−1は、第4の実施の形態にかかる動作を説明するフローチャートである。
【図13−2】図13−2は、第5の実施の形態にかかる動作を説明するフローチャートである。
【図13−3】図13−3は、第4の実施の形態にかかる動作を説明するフローチャートである。
【図13−4】図13−4は、第5の実施の形態にかかる動作を説明するフローチャートである。
【図13−5】図13−5は、第4の実施の形態にかかる動作を説明するフローチャートである。
【図13−6】図13−6は、第5の実施の形態にかかる動作を説明するフローチャートである。
【図13−7】図13−7は、第4の実施の形態にかかる動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置および定着装置制御方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の定着装置制御回路を示す機能ブロック図であり、図2は、ゼロクロス信号発生回路の一構成例を示す図であり、図3は、図1の異常記憶部であるラッチングリレーの概略構成図である。図1に示す定着装置制御回路は、電力検出手段としてのゼロクロス信号発生回路11、第1の電力供給信号発生手段としての電力供給信号発生回路(ハードウェア構成)12、第2の電力供給信号発生手段としての電力供給信号発生部(ソフトウェア構成)13、第1の制御部としてのCPU13a、第1の切り替え手段としての切り替え回路14、AND回路14a、OR回路14b、電力供給手段としての電力供給回路15、無効化手段としての無効化回路16、トランジスタ16a、異常記憶手段としての異常記憶部17、温度検出手段としての定着加熱部温度検出回路18、異常検出手段の一部としての高温検知回路19、異常検出手段の一部としてのサーモスタット開閉回路20、不揮発性記憶手段としての不揮発性記憶部21、定着装置22、定着加熱手段としての定着加熱部(ヒータ)22a、温度検出手段の一部としての温度検出センサ(サーミスタ)22b、商用電源(AC電源)23、バッファ回路24、インバータ回路25、および第2の制御部としての他のCPU回路26を備えている。
【0017】
ゼロクロス信号発生回路11は、交流信号が0Vを交叉するのを検出する回路であり、交流信号を電子回路でON/OFFする場合に使われる。交流電圧のゼロ近傍でスイッチをON/OFFすることにより、突入電流および過渡電圧を抑え、スイッチングの際の雑音を少なくして、電波障害を抑制するものである。例えば、図2に示すゼロクロス信号発生回路11は、フォトトランジスタ11bとフォトダイオード11cからなるフォトカプラ11aを使用しており、商用電源11dの交流電圧が高くなると、抵抗11eを通してフォトダイオード11cに電流が流れ、フォトトランジスタ11bがONすることにより、抵抗11fを通って電流が流れる。なお、この第1の実施の形態では、ゼロクロス信号発生回路11を用いて実施しているが、必ずしもゼロクロス信号を用いる必要はなく、電源からの電力発生の有無が検出できるものとして、AC電圧検出回路であっても良い。
【0018】
また、商用電源11dの交流電圧が低くなると、フォトダイオード11cの電流が低下し、フォトトランジスタ11bをOFFすることにより、抵抗11fを通る電流が遮断される。このように、抵抗11fを流れる電流の出力波形は、図2の二点鎖線で囲った波形となり、この出力波形をインバータ11gにより反転させたものが、図2の一点鎖線で囲ったゼロクロス信号発生回路11の出力波形となる。
【0019】
電力供給信号発生回路12は、プログラムを有しないハードウェア構成により電力供給信号を発生する回路であり、定着加熱部22aの検出温度が設定温度以下の場合は信号を出力し、設定温度を超えた場合は信号出力を停止して、温度検出信号とゼロクロス信号発生回路11の信号とに基づいて、電力供給信号を生成する回路である。例えば、主電源が投入されるか、省エネルギーモードが解除されることによりDC電源が立ち上がり、定着加熱部22aの検出温度が設定温度以下で、ゼロクロス信号が発生すると、電力供給信号を生成する。このように、後述するCPU13aによる定着制御動作が可能になる前に、定着加熱部22aに対して電力供給を行うことが可能になる。この電力供給信号は、切り替え回路14のAND回路14aに入力される。
【0020】
CPU13aがソフトウェアを用いて行う電力供給信号発生部13は、CPU13aの他、図示しないプログラムを記憶したROM、プログラムの動作を行うRAM、後述するタイマ手段としてのタイマ、定着加熱部22aの温度等を検出するA/Dコンバータ、ゼロクロス信号を入力とする割り込み制御回路、画像形成装置の入出力制御を行うI/Oポート等を備えている。CPU13aの出力ポートは、主電源の投入、または、省エネルギーモードの解除によってDC電源が供給され、初期設定を行うまでは、ハイ・インピーダンスになるので、AND回路14a、インバータ回路25への入力は「High」となり、ハードウェア構成による電力供給信号発生回路12の電力供給信号がOR回路14bを介してオープンコレクタのバッファ回路24に出力される。
【0021】
切り替え回路14は、ハードウェア構成による電力供給信号発生回路12と、CPU13aがソフトウェアを用いて行う電力供給信号発生部13とが発生する電力供給信号を切り替える回路である。ハードウェア構成による電力供給信号発生回路12からの電力供給信号は、AND回路14aの入力をCPU13aが「Low」を出力することにより、電力供給信号が出力されるのを禁止することができる。この状態で、CPU13aは、「Low」の電力供給信号をインバータ回路25に出力して、OR回路14bから電力供給信号をオープンコレクタのバッファ回路24に出力することができる。
【0022】
電力供給回路15は、ここではフォトトライアックで構成されており、オープンコレクタのバッファ回路24の出力により、商用電源(AC電源)23による定着加熱部22aへの電力供給をON/OFF制御する。
【0023】
無効化回路16は、トランジスタ16aを具備し、何れかの抵抗R1〜R4を介して異常信号が入力されると、トランジスタ16aはON動作して、オープンコレクタのバッファ回路24の出力が「Low」となり、電力供給信号を無効化することにより、電力供給を禁止する。
【0024】
異常記憶部17は、不揮発性記憶部21とは異なる記憶手段であり、第1の実施の形態では、図3に示すようなラッチングリレーを採用している。図3に示すように、電力供給信号発生部13のCPU13aが第1のコイル17aに電流を流すと、電磁石の鉄心17cが磁化され、鉄片17dが鉄心17cに吸引され(破線の位置へ移動)、可動接点17eが閉じられる。この状態で、第1のコイル17aの通電を停止したとしても、半硬質磁性材料による残留磁束により鉄片17dは鉄心17cに吸着した状態を維持する。
【0025】
続いて、電力供給信号発生部13のCPU13aが第1のコイル17aと逆方向に巻かれた第2のコイル17bに電流を流すと、半硬質磁性材料の残留磁束が減少し、吸引力が減少することにより、鉄片17dを吸引する力が弱くなって、復帰バネ17fの力が打ち勝つことにより、鉄片17dは実線の位置まで復帰し、可動接点17eが開いて休止状態となる。例えば、CPU13aが定着装置22の異常を検出すると、第1のコイル17aに通電することで可動接点17eが閉じ、この状態で主電源がOFFされても状態は保持される。再び主電源がONされてもこの状態は保持されるので、この保持信号を入力とする無効化回路16により、電力供給信号発生回路12および電力供給信号発生部13からの電力供給信号を無効化することができる。
【0026】
また、CPU13aは、不図示の操作部からの特殊な操作によって解除信号が入力されると、第2のコイル17bに通電することによって、定着装置22の異常を解除することができる。
【0027】
定着加熱部温度検出回路18は、定着加熱部22aの所定箇所に設けられた温度検出センサ22bにより、定着加熱部22aの温度を検出する回路である。
【0028】
高温検知回路19は、定着加熱部22aの温度が予め設定された温度を超えると、信号を出力する回路である。この検出温度は、当然電力供給を停止する温度よりも高い温度に設定されている。この高温検知信号は、CPU13aが制御する電力供給信号発生部13に入力されると、CPU13aが不揮発性記憶部21に対して高温検知信号を記憶させると共に、異常記憶部17にも記憶させることにより、無効化回路16に対して保持信号を出力し続ける。
【0029】
サーモスタット開閉回路20は、定着加熱部22aに設けられ、バイメタル方式を利用したサーモスタットで構成された回路であり、定着装置22内の定着ローラが溶融する温度になると、サーモスタット開閉回路20内に設けられたスイッチ部が開放される。なお、このサーモスタット開閉回路20は、一度開放されると温度が低下しても開放状態を保持するタイプのサーモスタットを採用している。このサーモスタット開閉回路10の出力は、無効化回路16、およびCPU13aを備えた電力供給信号発生部13に入力される。サーモスタット開閉回路20内のスイッチ部が開放されると、無効化回路16のトランジスタ16aは、ON動作して、電力供給信号を無効化する。そして、CPU13aは、サーモスタット開放情報を不揮発性記憶部21に記憶させると共に、異常記憶部17に異常状態を保持させる。
【0030】
不揮発性記憶部21は、RAMを電池によりバックアップした記憶手段、あるいはEEPROM等であって、CPU13aによって直接読み出しと書き込みを行うことができる。この不揮発性記憶部21には、定着装置の異常情報、定着装置の調整情報、あるいは、プログラム制御情報等が記憶されている。
【0031】
定着装置22は、記録紙上に形成されたトナー画像を定着ローラによって加熱し加圧することにより、記録紙上にトナー画像を定着させるものである。定着装置22内の定着ローラには、定着加熱部22aを構成するヒータが設けられ、その近傍には温度が上昇すると抵抗値が低下するサーミスタ22bが設けられて、温度が計測できるようになっている。
【0032】
他のCPU回路26は、複数のCPUを有する場合であって、ここでは定着装置22の異常発生をCPU13aと共に二重に監視することができる。
【0033】
図4は、図1の定着装置制御回路の回路構成をより具体化した構成図であり、図5は、図4各部の信号波形例を示すタイミングチャートである。図4において、図1と同じ機能ブロックには、同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0034】
定着加熱部温度検出回路18は、オープンコレクタのコンパレータ18aと、抵抗R5に直列に接続されたサーミスタ22bと、その分圧電圧がコンパレータ18aの−端子側に入力され、コンパレータ18aの+端子側には、抵抗R6と抵抗R7との分圧電圧が入力されている。また、コンパレータ18aは、定着加熱部22aの温度が設定温度よりも低い場合、電力供給信号発生回路12のラッチ回路12aに温度検出信号を出力するが、定着加熱部22aの温度が上昇して、予め設定された温度になると、温度検出信号出力を停止する。この動作が可能なように、抵抗R5、抵抗R6、抵抗R7、およびサーミスタ22bの値が選定される。なお、この温度検出信号出力を停止する温度は、CPU13aにより温度制御され、電力供給を停止する温度より低い温度となるように、抵抗R5、抵抗R6、抵抗R7、およびサーミスタ22bが選定される。
【0035】
また、この定着加熱部温度検出回路18の分圧電圧は、電力供給信号発生部13のCPU13aにおいて定着加熱部22aの温度等を検出するA/Dコンバータに入力されている。CPU13aは、このA/Dコンバータの入力電圧を検知して、電力供給信号を生成している。
【0036】
また、電力供給信号発生回路12は、ラッチ回路12aと、リセット回路12bと、AND回路12cとを備えている。ラッチ回路12aは、定着加熱部温度検出回路18のコンパレータ18aからの出力をクロック端子に入力し、ゼロクロス信号発生回路11から入力されるゼロクロス信号の立ち上がりエッジでラッチする。従って、ラッチ回路12aの出力はゼロクロス信号に同期して出力される。また、リセット回路12bは、電源投入時にCPU13aをハード的に初期設定する回路であって、AND回路12cを介してラッチ回路12aのリセット端子に入力されるよう構成されている。
【0037】
さらに、高温検知回路19は、コンパレータ19aと、抵抗R8および抵抗R9とを備えている。コンパレータ19aの+端子側には、定着加熱部温度検出回路18の抵抗R5に直列に接続されたサーミスタ22bの分圧電圧が入力され、コンパレータ19aの−端子側には、抵抗R8と抵抗R9との分圧電圧が入力されている。このため、高温検知回路19は、定着加熱部22aの温度が予め設定された温度を超えると、高温異常であることを知らせる検知信号を無効化回路16とCPU13aによる電力供給信号発生部13に出力する。高温検知回路19の温度検出抵抗R8とR9は、コンパレータ19aが電力供給信号出力を停止する温度以上であり、CPU13aが電力供給を停止する温度以上を検出する抵抗値に予め選定されている。それ以外の構成については、図1と同様であるので説明を省略する。
【0038】
また、図5に示すように、図4各部の波形図は、商用電源23が正弦波による交流波形である。ゼロクロス信号発生回路11が出力するゼロクロス信号は、商用電源23の交流信号が0Vを交叉するのを検出する信号である。そして、定着加熱部温度検出回路18のコンパレータ18aからの出力は、電力供給信号発生回路12のラッチ回路12aのクロック端子に入力され、ゼロクロス信号発生回路11からのゼロクロス信号の立ち上がりエッジでラッチされている。
【0039】
図6−1〜図6−4は、定着装置の制御動作を説明するフローチャートである。まず、図6−1において、主電源が投入されるか、省エネルギーモードが解除されてDC電源が立ち上がると、CPU13aによって以下の動作が行われる。
【0040】
すなわち、CPU13aは、電源ON時の初期設定として、CPU、周辺デバイスの初期設定、メモリクリア、メモリの初期設定、OS起動、周辺CPUとの通信確認、周辺機器の初期設定を行う(ステップS100)。
【0041】
次に、CPU13aは、不揮発性記憶部21に定着装置関連の異常を検出したサービスマンコール(以下、SCともいう)コードがあるか否かを確認する(ステップS101)。この不揮発性記憶部21には、前記した異常を検出したSCコードの他に、サーミスタ断線、定着リロードせず、ヒータ連続点灯等の情報も記憶されている。
【0042】
CPU13aは、何れかのSCコードが記憶されていることを確認した場合は(ステップS101でYES)、図6−2に移り、異常記憶部17(図3のラッチングリレー)をセットする信号をポートより出力し、異常記憶部17に定着装置異常を記憶させる(ステップS102)。
【0043】
続いて、CPU13aは、電力供給信号発生回路12からの電力供給信号を無効化する信号を、切り替え回路14のAND回路14aに出力する(ステップS103)。
【0044】
また、CPU13aは、電力供給信号を無効化する信号を無効化回路16にも出力する(ステップS104)。
【0045】
そして、CPU13aは、電力供給回路15を開閉する電力供給リレー(図示せず)を開放する信号を出力して(ステップS105)、図6−2のフローチャートが終了する。この動作により、SCコードが解除されていない場合は、電源が再投入されても、定着加熱部22aへの電力供給は禁止される。
【0046】
また、図6−1のステップS101において、CPU13aが不揮発性記憶部21に何れのSCコードも記憶されていないことを確認した場合は(ステップS101でNO)、画像形成装置内に複数のCPUを有し、定着装置22の異常発生を二重に監視している他のCPU回路26からのSCコード出力があるか否かを確認する(ステップS106)。
【0047】
CPU13aは、他のCPU回路26からのSCコード出力があると確認すると(ステップS106でYES)、そのSCコードを不揮発性記憶部21に記憶させた後(ステップS107)、上記した図6−2のステップS102〜ステップS105の処理が行われる。
【0048】
また、ステップS106において、CPU13aは、他のCPU回路26からのSCコード出力が無いことを確認すると、サーモスタット開閉回路20からの開放信号があるか否かを入力ポートで確認する(ステップS108)。サーモスタット開閉回路20からの開放信号がある場合は、不揮発性記憶部21にサーモスタット開放のSCコードを記憶させた後(ステップS109)、上記した図6−2のステップS102〜ステップS105の処理が行われる。
【0049】
また、ステップS108において、CPU13aは、サーモスタット開閉回路20からの開放信号が無いことを確認すると、高温検知回路19から高温検知信号の出力があるか否かを確認する(ステップS110)。高温検知信号の出力がある場合は、不揮発性記憶部21に高温SCコードを記憶させた後(ステップS111)、上記した図6−2のステップS102〜ステップS105の処理が行われる。
【0050】
また、ステップS110において、CPU13aは、高温検知回路19から高温検知信号の出力が無いことを確認すると、サーミスタ22bが断線しているか否かを確認するため、電力供給した状態でサーミスタ22bの抵抗値が変化するかについて、CPU13aのA/Dコンバータのポート電圧を一定期間確認する(ステップS112)。A/Dコンバータのポート電圧に変化が無い場合は、サーミスタ22bが断線しているとして、不揮発性記憶部21にサーミスタ断線SCコードを記憶させた後(ステップS113)、上記した図6−2のステップS102〜ステップS105の処理が行われる。
【0051】
また、ステップS112において、サーミスタ22bが断線してない場合は(ステップS112でNO)、図6−3のステップS120に移行する。すなわち、CPU13aは、自ら定着装置22の電力制御を行うため、電力供給信号発生回路12からの電力供給信号を無効化する切り替え信号を切り替え回路14のAND回路14aに出力する(ステップS120)。これにより、定置装置22の電力制御は、電力供給信号発生回路12から、CPU13aによる電力供給信号発生部13に切り替わる。
【0052】
続いて、CPU13aは、A/Dコンバータのポート電圧を確認し、定着加熱部22aの温度が設定値以下であるか否かを確認する(ステップS121)。定着加熱部22aの温度が設定値以下の場合、CPU13aは、ポートより電力供給信号をインバータ回路25に出力する(ステップS122)。
【0053】
続いて、CPU13aは、定着加熱部22aの温度が設定値以上か否かを確認する(ステップS123)。定着加熱部22aの温度が設定値以上の場合、CPU13aは、ポートより電力供給を停止する電力供給OFF信号をインバータ回路25に出力する(ステップS124)。
【0054】
その後の動作は、図6−1の(C)に戻り、他のCPU回路26からのSCコード出力があるか否かを確認する前記ステップS106以下の動作が繰り返される。
【0055】
以上説明した動作を行うことによって、定着装置22の定着加熱部22aの温度を一定温度の範囲に制御することができる。
【0056】
なお、CPU13aのポートより電力供給信号をインバータ回路25に出力する動作(ステップS122)は、ゼロクロス信号発生回路11からのゼロクロス信号割り込みルーチンの中で行われる。
【0057】
次に、図6−4のフローチャートは、定着装置22の定着加熱部22aの温度が予め設定された温度に上昇するまで、電力供給信号発生回路12によって電力供給を行い、定着加熱部22aの温度が予め設定された温度まで上昇すると、電力供給をCPU13aによる電力供給信号発生部13に切り替える動作を説明するものである。
【0058】
すなわち、図6−1のフローチャートのステップS112において、サーミスタ22bが断線してない場合に、図6―4のステップS130に移行する。ここで、CPU13aは、定着装置22の定着加熱部22aの温度が設定値以上になったか否かを判断する。定着加熱部22aの温度が設定値以上になった場合、CPU13aは、自ら定着装置22の電力制御を行うために、電力供給信号発生回路12の電力供給信号を無効化する切り替え信号を切り替え回路14のAND回路14aに出力する(ステップS131)。これにより、定置装置22の電力制御は、電力供給信号発生回路12から、CPU13aによる電力供給信号発生部13に切り替わる。
【0059】
続いて、CPU13aは、A/Dコンバータのポート電圧を確認し、定着加熱部22aの温度が設定値以下であるか否かを確認する(ステップS132)。定着加熱部22aの温度が設定値以下の場合、CPU13aは、ポートより電力供給信号をインバータ回路25に出力する(ステップS133)。
【0060】
続いて、CPU13aは、定着加熱部22aの温度が設定値以上か否かを確認する(ステップS134)。定着加熱部22aの温度が設定値以上の場合、CPU13aは、ポートより電力供給を停止する電力供給OFF信号をインバータ回路25に出力する(ステップS135)。
【0061】
その後の動作は、図6−3と同様に、図6−1の(C)に戻り、他のCPU回路26からのSCコード出力があるか否かを確認する前記ステップS106以下の動作が繰り返される。なお、図6−4のステップS130において、定着加熱部22aの温度が設定値以上になっていない場合も、同様に図6−1の(C)に戻り、前記ステップS106以下の動作が繰り返される。
【0062】
このように、第1の実施の形態によれば、CPU13aが立ち上がる前は、定着装置22の定着加熱部22aを予め設定された温度に上昇するまで、ハードウェア構成による電力供給信号発生回路12によって電力供給信号を電力供給回路15に供給し、定着加熱部22aを予め設定された温度まで上昇させる。CPU13aが立ち上がった後は、切り替え回路14を使って電力供給信号発生回路12からプログラムによる電力供給信号発生部13に切り替えるので、定着加熱部22aへの電力供給を迅速に行うことが可能となり、画像形成装置の生産性を向上させることができる。
【0063】
また、第1の実施の形態によれば、CPU13aが立ち上がる前に電力供給信号発生回路12により電力供給信号を電力供給回路15に供給する場合、異常記憶手段17が定着装置22の異常状態を記憶していたり、高温検知回路19やサーモスタット開閉回路20が定着装置の温度異常を検出したりすると、無効化回路16によって電力供給信号発生回路12の電力供給信号を無効化されるので、定着装置22が加熱するのを防止することができ、定着装置の安全性を向上させることができる。
【0064】
特に、第1の実施の形態によれば、CPU13aが立ち上がった後は、プログラムによる電力供給信号発生部13に切り替え、定着装置22をCPU13a、あるいは、他のCPU回路26によって監視することができ、定着装置に異常が発生すると異常発生を不揮発性記憶部21および異常記憶部17に記憶させて保持させる。このため、主電源がOFFとなって電源を再投入した後は、CPU13aが立ち上がる前であっても直ちに異常記憶部17によって電力供給信号発生回路12の生成する電力供給信号を無効化することが出来る。これにより、定着装置22に対する不要な電源供給を確実に防止することができる。
【0065】
(第2の実施の形態)
図7は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置の定着装置制御回路を示す機能ブロック図である。この第2の実施の形態の特徴は、上記第1の実施の形態の図1における無効化回路16を、電力供給信号発生回路12と切り替え回路14との間に配置することにより、電力供給信号発生回路12が生成する電力供給信号のみを無効化し、電力供給信号発生部13が生成する電力供給信号は、切り替え回路14を経由して電力供給回路15に入力される点が異なっており、それ以外の構成は、図1と同様であるので、構成説明は省略する。
【0066】
このように、第2の実施の形態よれば、CPU13aが立ち上がる前は、定着装置22の定着加熱部22aを予め設定された温度に上昇するまで、ハードウェア構成による電力供給信号発生回路12によって電力供給信号を電力供給回路15に供給し、定着加熱部22aを予め設定された温度まで上昇させる。CPU13aが立ち上がった後は、切り替え回路14を使って電力供給信号発生回路12からプログラムによる電力供給信号発生部13に切り替えるので、定着加熱部22aへの電力供給が迅速に行われることから、画像形成装置の生産性を向上させることができる。
【0067】
また、第2の実施の形態よれば、CPU13aが立ち上がる前に電力供給信号発生回路12により電力供給信号を電力供給回路15に供給する場合に、異常記憶手段17が定着装置22の異常状態を記憶していたり、高温検知回路19やサーモスタット開閉回路20が定着装置の温度異常を検出したりすると、無効化回路16によって電力供給信号発生回路12の電力供給信号が無効化されるので、定着装置22が必要以上に加熱されるのを防止することができ、定着装置の安全性を向上させることができる。
【0068】
また、第2の実施の形態よれば、CPU13aが立ち上がった後は、プログラムによる電力供給信号発生部13に切り替えて、無効化回路16を使うことなく、定着装置22を安全に制御することができる。そして、その間に定着装置に異常が発生した場合は、CPU13aがその異常発生を不揮発性記憶部21および異常記憶部17に記憶させて保持させる。このため、主電源がOFFとなって電源を再投入した後は、CPU13aが立ち上がる前であっても直ちに異常記憶部17によって電力供給信号発生回路12の生成する電力供給信号を無効化することが出来る。これにより、定着装置22に対する不要な電源供給を確実に防止することができる。
【0069】
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態にかかる画像形成装置の定着装置制御回路を示す機能ブロック図である。この第3の実施の形態の特徴は、図8に示すように、CPU13aとは別の制御部である画像形成装置の全体を制御する第2の制御部としてのシステムコントローラ27、およびそれを操作する操作部制御回路28が設けられ、さらに、定着装置22の定着加熱部22aの温度を検出する温度検出センサ(サーミスタ)22bとは別に、定着加熱部22aの温度を検出するサーミスタ29が設けられている点にある。それ以外の構成は、図1と同様であるので、構成説明は省略する。
【0070】
このように、第3の実施の形態よれば、CPU13aと並行して定着装置22を監視するシステムコントローラ27が独自のサーミスタ29の検出温度に基づいて、定着装置22の異常発生を二重に監視することにより、一方の監視システムがダウンしたとしても、もう一方のシステムによって定着装置22の異常を検出することができ、異常状態の発生を未然に防止できるため、上記第1および第2の実施の形態の効果に加えて、より一層安全に定着装置を制御することができる。
【0071】
(第4の実施の形態)
図9は、第4の実施の形態にかかる画像形成装置の定着装置制御回路を示す機能ブロック図であり、図10は、図9各部の信号波形例を示すタイミングチャートであり、図13−1、図13−3、図13−5、図13−7は、第4の実施の形態にかかる動作を説明するフローチャートである。この第4の実施の形態にかかる特徴は、第1の実施の形態にかかる図1または図4の定着装置制御回路の電力供給信号発生回路12に替えて、ハードウェア構成により位相制御信号を発生させる位相制御信号発生回路30を備えている点にある。
【0072】
この位相制御信号発生回路30は、ゼロクロス信号発生回路11からの信号により、トランジスタ30aがONすると、コンデンサC1に蓄電された電力が抵抗R11、トランジスタ30aを介して放電される。ゼロクロス信号発生回路11からの信号がOFFすると、抵抗R10によりコンデンサC1が充電され、次のゼロクロス信号によって再度放電されるように構成されている。
【0073】
そして、定着加熱部温度検出回路18を構成するオープンコレクタのコンパレータ2aの−端子側には、位相制御信号発生回路30からの充放電電圧が入力される。また、コンパレータ18aの+端子側には、定着加熱部22aの温度を検出するサーミスタ22bと直列に接続された抵抗R5による分圧電圧が入力される。このように、定着加熱部温度検出回路18は、サーミスタ22bと直列に接続された抵抗R5とコンパレータ18aとで構成されている。このサーミスタ22bの抵抗値は、定着加熱部22aの温度が低いと抵抗値が高くなる(図10のコンパレータ入力の+端子の電圧レベルも高くなる)ため、コンパレータ18aが出力する位相制御信号幅は狭くなる(図10のコンパレータ出力参照)。しかし、定着加熱部22aの温度が上昇するとサーミスタ22bの抵抗値が低くなる(図10のコンパレータ入力の+端子の電圧レベルも低くなる)ため、コンパレータ18aが出力する位相制御信号幅は徐々に広くなる(図10のコンパレータ出力参照)。
【0074】
この位相制御信号発生回路30から定着加熱部温度検出回路18を介して出力される電力供給信号は、切り替え回路14のAND回路14aに入力される。従って、主電源の投入、または省エネルギーモードの解除により、DC電源が立ち上がり、定着加熱部22aの検出温度が設定値以下で、ゼロクロス信号が発生すると、位相制御された電力供給信号を発生させることができる。このため、第4の実施の形態にかかる定着装置制御回路は、CPU13aによる定着制御動作が可能となる前に、定着加熱部22aへ迅速に電力供給できることから、画像形成装置の生産性を向上させることができる。
【0075】
図10に示す図9各部の波形図は、商用電源23が正弦波による交流波形と、商用電源23の交流信号が0Vを交叉するのを検出するゼロクロス信号と、定着加熱部温度検出回路18のコンパレータ18aの−端子に入力される電圧と、+端子に入力される電圧と、その比較結果であるコンパレータ18aの出力(位相制御期間信号)と、ヒータに供給される電力供給信号波形とが示されている。図10に示すように、コンパレータ出力である位相制御期間信号は、コンパレータ18aの−端子に入力される電圧と、+端子に入力される電圧の差分に応じて、ON時間(On−duty)が変化する。つまり、定着加熱部22aの温度が低温時に瞬時的に大きな電流が加熱ヒータに流れ易くなるため、コンパレータ出力である位相制御期間信号は、定着加熱部22aの温度が低い時には幅を狭くし、定着加熱部22aの温度が上昇すると幅を徐々に広くなるように自動調節される。この電力供給信号は、図10に示すように、コンパレータ出力(位相制御期間信号)のON時間における商用電源の交流波形を切り取って出力される。
【0076】
再び、図9に戻り、CPU13aの出力ポートは、主電源の投入、または省エネルギーモードの解除により、DC電源が立ち上がり、初期設定を行うまではハイ・インピーダンスになるので、切り替え回路14のAND回路14aと、インバータ回路25への入力はハイ(High)となり、ハードウェア構成による位相制御信号発生回路30からの電力供給信号がOR回路14bを介してオープンコレクタのバッファ回路24に出力される。
【0077】
切り替え回路14は、ハードウェア構成による位相制御信号発生回路30と、CPU13aによる電力供給信号発生部13とが生成する電力供給信号を切り替える回路であって、位相制御信号発生回路30が生成する電力供給信号は、AND回路14aの入力をCPU13aからの出力を(Low)にすることで、位相制御信号発生回路30が生成する電力供給信号の出力を禁止することができる。この状態でCPU13aは、電力供給信号発生部13によって生成される電力供給信号(Low)をインバータ回路25に出力すると、OR回路14bから電力供給信号がオープンコレクタのバッファ回路24に出力される。
【0078】
電力供給信号発生部13は、CPU13a、不図示のプログラムを記憶したROM、プログラムの動作を行うRAM、タイマ、定着加熱部22aの温度等を検出するA/Dコンバータ、ゼロクロス信号を入力とする割り込み制御回路、画像形成装置の入出制御を行うI/Oポート等を備えている。これ以外の構成については、上記図1、図4、図7、図8と同様であるので、構成説明を省略する。
【0079】
次に、第4の実施の形態にかかる動作について、図13−1、図13−3、図13−5、図13−7を使って説明する。まず、上記図6−1のステップS101において、不揮発性記憶部21にSCコードが記憶されている場合(ステップS101でYES)、あるいは、不揮発性記憶部21にSCコードを記憶させる異常状態が発生している場合(ステップS107、109、111、113)、CPU13aは、図13−1に示すように、異常記憶部17(図3のラッチングリレー参照)に定着装置異常を記憶させる信号をポートより出力する(ステップS140)。
【0080】
続いて、位相制御信号発生回路30の電力供給信号を無効化する信号を切り替え回路14のAND回路14aに出力すると共に(ステップS141)、電力供給信号を無効化する信号を、無効化回路16に出力し(ステップS142)、電力供給する回路を開閉するための不図示の電力供給リレーを開放する信号を出力して(ステップS143)、処理を終了する。
【0081】
操作部からの特殊入力によってSCコードが解除されて無い場合でも、この動作を行うことにより、画像形成装置の電源が再投入されたとしても、定着加熱部22aへの電力供給を禁止することができる。
【0082】
また、図6−1のステップS101において、不揮発性記憶部21にSCコードが記憶されておらず、他のCPUからのSCコード出力もなく(ステップS106)、サーモスタット開閉回路からの開放信号も無く(ステップS108)、高温検知信号の出力も無く(ステップS110)、サーミスタが断線していない場合(ステップS112)、つまり、定着装置に異常が発生していない場合は、図13−3に示すように、CPU13aが自ら定着制御を行うため、切り替え回路14を位相制御信号発生回路30からCPU13aによる電力供給信号発生部13に切り替える(ステップS160)。
【0083】
そして、CPU13aは、A/Dコンバータのポート電圧を確認し、定着加熱部22aの温度が設定置以下かどうかを確認する(ステップS161)。定着加熱部22aの温度が設定置以下の場合は、CPU13aがポートにより電力供給信号をインバータ回路25に出力する(ステップS162)。
【0084】
さらに、CPU13aは、定着加熱部22aの温度が設定値以上か否かを確認する(ステップS163)。定着加熱部22aの温度が設定置以上の場合には、CPU13aがポートより電力供給を停止する信号をインバータ回路25に出力する(ステップS164)。この動作により、定着加熱部22aの温度を一定温度範囲に収まるように制御することができる。その後の処理は、図16−1に戻って、ステップS106以下の処理が行われる。
【0085】
なお、CPU13aがポートにより電力供給信号をインバータ回路25に出力する動作については、ゼロクロス信号発生回路11からのゼロクロス信号割り込みルーチンの中で行われる。
【0086】
また、第4の実施の形態にかかる動作において、上記図6−1のステップS112でNOとなった場合、つまり、定着装置に異常が発生していない場合は、図13−5に示すように、CPU13aのタイマを使って、例えばヒータへの突入電流が低減される時間(N)をカウントする(ステップS180)。一定時間(N)が経過するとヒータへの突入電流が低減され、位相制御を行う必要がなくなるため、CPU13aは、位相制御信号発生回路30からの電力供給信号を無効化する信号を切り替え回路14に出力する(ステップS181)。
【0087】
その後のステップS182〜185は、上記ステップS161〜164と同様であって、定着加熱部22aの温度を一定温度範囲に収まるように制御が行われ、図6−1に戻って、ステップS106以下の処理が行われる。
【0088】
さらに、第4の実施の形態にかかる動作において、上記図6−1のステップS112でNOとなった場合、つまり、定着装置に異常が発生していない場合は、図13−7に示すように、定着加熱部22aの温度が設定値以上になったか否かを判断し(ステップS200)、温度が設定値以上の場合は、ヒータへの突入電流が低減され、位相制御を行う必要がなくなるため、CPU13aは、位相制御信号発生回路30からの電力供給信号を無効化する信号を切り替え回路14に出力する(ステップS201)。
【0089】
その後のステップS202〜205も、上記ステップS161〜164と同様であって、定着加熱部22aの温度を一定温度範囲に収まるように制御が行われ、図6−1に戻って、ステップS106以下の処理が行われる。
【0090】
このように、第4の実施の形態によれば、電源投入後、CPU13aが立ち上がる前に、位相制御信号発生回路30を用いて定着加熱部22aに電力供給を迅速に行うことによって、画像形成装置の生産性を向上させることができる。また、電力を供給する前の定着加熱部22aは、温度が低いためヒータへの突入電流のおそれがあったが、位相制御信号発生回路30により位相を制御した電力供給信号を生成することにより、安全性を向上させることができる。さらに、ヒータへの突入電流が低減される時間(N)が経過するか、あるいは、定着加熱部22aが設定温度になってから、位相制御信号発生回路30からCPU13aの電力供給信号発生部13へ電力供給信号を切り替えるので、ヒータへの突入電流が防止され、照明のチラツキ発生の防止、高調波規制対応、あるいは商用電源の電圧低下による他の電子機器への悪影響を防止することができる。
【0091】
(第5の実施の形態)
図11は、第5の実施の形態にかかる画像形成装置の定着装置制御回路を示す機能ブロック図であり、図13−2、図3−4、13−6は、第5の実施の形態にかかる動作を説明するフローチャートである。第5の実施の形態の特徴は、CPU13aが立ち上がる前に、第1の電力供給信号発生手段としての位相制御信号発生回路30が生成する電力供給信号により、定着加熱部22aへ電力供給を行い、定着加熱部22aの温度がある程度上昇すると、第3の電力供給信号発生手段としての電力供給信号発生回路32が生成する電力供給信号に切り替え、CPU13aが立ち上った後は、第2の電力供給手段としての電力供給信号発生部13が生成する電力供給信号に切り替えて定着装置の制御を行うようにした点にある。それ以外の構成は、図9と同様であり、同じ機能ブロックには同一符号を付して、構成説明を省略する。
【0092】
図11に示すように、第5の実施の形態では、位相制御信号発生回路30と電力供給信号発生回路32とが生成する電力供給信号を切り替える切り替え回路31が新たに設けられている。定着加熱部温度検出回路18のコンパレータ18aの+端子側には、定着加熱部22aの温度を検出するサーミスタ22bと直列に接続された抵抗R5による分圧電圧が入力され、−端子側には位相制御信号発生回路30からの出力信号が入力されている。
【0093】
そして、電力供給信号発生回路32の抵抗R12と直列に接続された抵抗R13の分圧電圧よりも、定着加熱部温度検出回路18のサーミスタ22bと直列に接続された抵抗R5による分圧電圧の方が低くなると(高い温度を検知した場合)、コンパレータ32dは電力供給信号をAND回路32fに出力する。このAND回路32fの出力は、ラッチ回路32aに入力される。この信号はゼロクロス信号の立ち上がりでラッチされ、ラッチ回路32aの出力(電力供給信号)は、切り替え回路31のOR回路31aに入力される。
【0094】
また、このコンパレータ32dの出力は、オープンコレクタのインバータ回路31bに入力され、インバータ回路31bの出力によって、位相制御信号発生回路30からの電力供給信号を無効化する。このように、定着加熱部22aが予め設定した温度まで上昇すると、位相制御信号発生回路30からの電力供給信号から、電力供給信号発生回路32の電力供給信号に自動的に切り替わる。切り替え回路31は、位相制御信号発生回路30の電力供給信号を、電力供給信号発生回路32の電力供給信号に切り替える回路である。
【0095】
さらに、定着加熱部22aの温度が上昇して、サーミスタ22bの抵抗値が低下し、コンパレータ32eの+端子に入力される、抵抗R14と直列に接続された抵抗15の分圧電圧が、定着加熱部温度検出回路10の分圧電圧より高くなると、コンパレータ32eの出力が反転する。この反転された電力供給停止信号は、AND回路32fに入力される。AND回路32fの出力は、ラッチ回路32aに入力されており、この電力供給停止信号はゼロクロス信号の立ち上がりでラッチされ、ラッチ回路32aの出力は切替え回路31のOR回路31aに入力される。これによって、定着加熱部22aの温度がさらに上昇すると、電力供給信号発生回路32の電力供給が停止される。
【0096】
電力供給が停止され、定着加熱部の温度が低下してサーミスタの抵抗値が大きくなり、抵抗R14と直列に接続された抵抗15の分圧電圧が、定着加熱部温度検出回路10の分圧電圧より低くなると、再び、コンパレータ32eの出力は反転し、AND回路32fに入力され、AND回路32fからラッチ回路32aに入力され、この電力供給信号はゼロクロス信号の立ち上がりでラッチされて、ラッチ回路32aの出力が切り替え回路31のOR回路31aに入力される。このような動作により、定着加熱部22aの温度は、一定の範囲で制御される。
【0097】
また、定着加熱部温度検出回路18の分圧電圧は、CPU13aのA/Dコンバータ入力にも接続されており、CPU13aはこのA/Dコンバータ入力電圧を検知して、電力供給信号を生成している。
【0098】
CPU13aは、A/Dコンバータの入力端子により予め設定された温度を検出すると、AND回路32bにラッチ回路32aをリセットするリセット信号をリセット回路32cが出力し、電力供給信号発生回路32の電力供給を停止する。
【0099】
また、CPU13aが立ち上がった後は、切り替え回路14のAND回路14aに対して、切り替え回路31からの電力供給信号を禁止する信号を出力し、電力供給信号発生部13からの電力供給信号に切り替えて、A/Dコンバータの入力端子により定着加熱部22aの温度検出を行い、インバータ回路25に電力供給信号を出力する。これ以外の構成と動作は、上記図1、図4、図7、図8、図9と同じであるため、重複説明を省略する。
【0100】
次に、第5の実施の形態にかかる動作について、図13−2、図3−4、13−6を使って説明する。まず、上記図6−1のステップS101において、不揮発性記憶部21にSCコードが記憶されている場合(ステップS101でYES)、あるいは、不揮発性記憶部21にSCコードを記憶させる異常状態が発生している場合(ステップS107、109、111、113)、CPU13aは、図13−2に示すように、異常記憶部17(図3のラッチングリレー参照)に定着装置異常を記憶させる信号をポートより出力する(ステップS150)。
【0101】
続いて、位相制御信号発生回路30の電力供給信号を無効化する信号を切り替え回路14のAND回路14aに出力すると共に(ステップS151)、電力供給信号発生回路32の電力供給信号を無効化する信号を電力供給信号発生回路32に出力し(ステップS152)、電力供給信号を無効化する信号を無効化回路16に出力して(ステップS153)、電力供給する回路を開閉するための不図示の電力供給リレーを開放する信号を出力して(ステップS154)、処理を終了する。
【0102】
また、図6−1のステップS112でNOとなった場合、つまり、定着装置に異常が発生していない場合は、図13−4に示すように、定着加熱部22aの温度が設定値以上になったか否かを判断し(ステップS170)、温度が設定値以上の場合は、ヒータへの突入電流が低減されて、位相制御を行う必要がなくなる。このため、CPU13aは、切り替え回路14によって、位相制御信号発生回路30あるいは電力供給信号発生回路32から電力供給信号発生部13側に切り替える(ステップS171)。
【0103】
その後のステップS172〜175は、上記ステップS161〜164と同様であって、定着加熱部22aの温度を一定温度範囲に収まるように制御を行った後、図6−1に戻って、ステップS106以下の処理が行われる。
【0104】
さらに、第5の実施の形態にかかる動作において、上記図6−1のステップS112でNOとなった場合、つまり、定着装置に異常が発生していない場合は、図13−6に示すように、CPU13aのタイマを使って、例えばヒータへの突入電流が低減される時間(N)をカウントする(ステップS190)。一定時間(N)が経過するとヒータへの突入電流が低減され、位相制御を行う必要がなくなるため、CPU13aは、位相制御信号発生回路30からの電力供給信号を無効化する信号を切り替え回路14に出力する(ステップS191)。また、電力供給信号発生回路32の電力供給信号を無効化する信号を電力供給信号発生回路32に出力する(ステップS192)。
【0105】
その後のステップS193〜196は、上記ステップS161〜164と同様であって、定着加熱部22aの温度を一定温度範囲に収まるように制御が行われ、図6−1に戻って、ステップS106以下の処理が行われる。
【0106】
このように、第5の実施の形態によれば、電源投入後、CPU13aが立ち上がる前に、まず、位相制御信号発生回路30の位相制御された電力供給信号を用いて定着加熱部22aへ電力供給を行い、定着加熱部が一定温度以上になると電力供給信号発生回路32に切り替え、さらに、定着加熱部22aの温度が設定値以上になるか、一定時間が経過すると、CPU13aによる電力供給信号発生部13に切り替えて、定着加熱部22aへの電力供給制御を行うようにする。これによって、画像形成装置の生産性を向上させることができる。また、電力を供給する前の定着加熱部22aは、温度が低いためヒータへの突入電流のおそれがあるが、位相制御信号発生回路30により位相を制御した電力供給信号を生成することにより、安全性を向上させることができる。さらに、ヒータへの突入電流が低減される時間(N)が経過するか、定着加熱部22aが設定温度になってから、位相制御信号発生回路30、あるいは電力供給信号発生回路32から、CPU13aの電力供給信号発生部13へ電力供給信号を切り替えるので、ヒータへの突入電流が確実に防止され、照明のチラツキ発生の防止、高調波規制対応、あるいは商用電源の電圧低下による他の電子機器への悪影響を防止することができる。
【0107】
(第6の実施の形態)
図12は、第6の実施の形態にかかる画像形成装置の定着装置制御回路を示す機能ブロック図である。第6の実施の形態の特徴は、CPU13aによって、位相制御信号発生回路30と電力供給信号発生回路32とで生成される電力供給信号を無効とする回路と、定着加熱部22aの温度検出用のサーミスタ29を、定着加熱部温度検出回路18のサーミスタ22bとは別に設け、それを用いてシステムコントローラ27および操作部制御回路28が、CPU13aとは別に定着措置の異常を監視する点にある。
【0108】
第6の実施の形態の場合は、システムコントローラ27の不図示のCPUから出力されるSCコードを不揮発性記憶部21、および異常記憶部17に記憶させることにより、CPU13aと共に、定着装置22を二重に監視することができる。
【0109】
以下に、第6の実施の形態に特徴的な部分についての説明を行う。まず、電力供給信号発生部13のCPU13aは、電力供給信号発生回路32のAND回路32bにラッチ回路32aをリセットする信号をリセット回路32cから出力すると、ラッチ回路32aからの電力供給信号の出力が禁止される。
【0110】
CPU13aは、切替え回路31のオープンコレックタのバッファ回路31cに位相制御信号発生回路30からの信号を無効にする信号を出力すると、位相制御信号発生回路30からの電力供給信号が無効化される。
【0111】
一方、定着加熱部22aには、サーミスタ22bとは別にサーミスタ29が設けられ、サーミスタ29によりシステムコントローラ27のCPUが定着装置の異常を検出すると、バスを介して電力供給信号発生部13に対して検出した異常のSCコードを出力する。CPU13aは、システムコントローラ27からの異常なSCコードを受け取ると、これを不揮発性記憶部21、および異常記憶部17に記憶させる。
【0112】
このように、第6の実施の形態によれば、第5の実施の形態における効果に加えて、CPU13aとは別のシステムコントローラ27により、固有のサーミスタ29を用いて定着装置を二重に監視しているため、一方のシステムがダウンしたとしても、その影響を受けることなく定着装置を適正に制御し続けることができるので、安全が向上する。
【符号の説明】
【0113】
11 ゼロクロス信号発生回路
12 電力供給信号発生回路
13 電力供給信号発生部
13a CPU
14 切り替え回路
15 電力供給回路
16 無効化回路
17 異常記憶部
18 定着加熱温度検出回路
19 高温検知回路
20 サーモスタット開閉回路
21 不揮発性記憶部
22 定着装置
22a 定着加熱部
22b サーミスタ(温度検知センサ)
23 商業電源
24 バッファ回路
25 インバータ
26 他のCPU回路
27 システムコントローラ
28 操作制御回路
29 サーミスタ(温度検知センサ)
30 位相制御信号発生回路
31 切り替え回路
32 電力供給信号発生回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0114】
【特許文献1】特開2006−58824号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像が形成された媒体を加圧および加熱して前記トナー画像を定着させる定着装置の制御を行う第1の制御部を備えた画像形成装置において、
前記定着装置を加熱する定着加熱手段と、
前記定着加熱手段の温度を検出する温度検出手段と、
電源からの電力発生を検出する電力検出手段と、
前記第1の制御部が立ち上がる前に、前記電力検出手段による検出信号と、前記温度検出手段による検出信号とに基づいて、前記定着加熱手段に電力供給する信号を生成する第1の電力供給信号発生手段と、
前記第1の制御部が立ち上がった後に、プログラムにより前記第1の電力供給信号発生手段からの電力供給信号に替えて、前記電力検出手段による検出信号と、前記温度検出手段による検出信号とに基づいて、前記定着加熱手段に対し電力供給する信号を生成する第2の電力供給信号発生手段と、
前記第1の電力供給信号発生手段および前記第2の電力供給信号発生手段からの電力供給信号により前記定着加熱手段に電力を供給する電力供給手段と、
前記定着装置の異常を検出して異常検出信号を出力する異常検出手段と、
前記第1の制御部が立ち上がっている間に、前記異常検出手段による異常検出信号を記憶させると、次に前記第1の制御部から解除指示が来るまで異常検出信号を出し続ける異常記憶手段と、
前記異常記憶手段または前記異常検出手段からの異常検出信号によって、前記第1の電力供給信号発生手段および前記第2の電力供給信号発生手段のうち、少なくとも前記第1の電力供給信号発生手段が生成する電力供給信号を無効化する無効化手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記異常記憶手段は、電源供給が無くなっても前記異常検出手段による異常検出信号を記憶しておくことができることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の制御部が立ち上がっている間に、前記第1の制御部が前記定着装置の異常を検出すると、その定着装置の異常検出信号を記憶させる不揮発性記憶手段をさらに備え、
前記第1の制御部は、検出した異常検出信号を前記不揮発性記憶手段に記憶させると共に、前記異常記憶手段にも記憶させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記定着装置の異常の発生を前記第1の制御部と並行して監視する第2の制御部をさらに備え、
前記第2の制御部は、検出した異常検出信号を前記不揮発性記憶手段に記憶させると共に、前記不揮発性記憶手段に記憶されている1つ以上の異常検出信号を1つにまとめて、前記異常記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電力供給手段に出力する電力供給信号を、前記第1の電力供給信号発生手段から前記第2の電力供給信号発生手段に切り替える第1の切り替え手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の制御部は、前記温度検出手段による検出結果に基づいて前記第1の切り替え手段に対し、前記電力供給手段に出力する電力供給信号を、前記第1の電力供給信号発生手段から前記第2の電力供給信号発生手段に切り替えることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記電力検出手段は、電源からの電力発生の検出に加えて、交流電源の電圧変化の位相が検出可能であって、
前記第1の電力供給信号発生手段は、前記第1の制御部が立ち上がる前に、前記電力検出手段による検出信号と、前記温度検出手段による検出信号とに基づいて、前記定着加熱手段に電力供給する信号を生成し、
前記第2の電力供給信号発生手段は、前記第1の制御部が立ち上がった後に、プログラムにより前記第1の電力供給信号発生手段からの電力供給信号に替えて、前記電力検出手段による検出結果と、前記温度検出手段による検出信号とに基づいて、前記定着加熱手段に対し電力供給する信号を生成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の制御部が立ち上がる前に、前記電力検出手段による検出信号と、前記温度検出手段による検出信号とに基づいて、前記定着加熱手段に電力供給する信号を生成する第3の電力供給信号発生手段と、
前記温度検出手段による検出信号に基づいて、前記第1の電力供給信号発生手段が生成する電力供給信号と、前記第3の電力供給信号発生手段が生成する電力供給信号とを切り替えて出力する第2の切り替え手段と、
をさらに備え、前記第1の切り替え手段は、前記第2の切り替え手段から出力される電力供給信号と、前記第2の電力供給信号発生手段が生成する電力供給信号とを切り替えて、前記電力供給手段に出力することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、時間を計測するタイマ手段を備え、
前記制御部が前記タイマ手段により予め設定された時間を計測すると、前記第1の切り替え手段によって、前記第1の電力供給信号発生手段または前記第3の電力供給信号発生手段の電力供給信号から、前記第2の電力供給信号発生手段の電力供給信号に切り替えることを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置で実行される定着装置制御方法であって、
前記画像形成装置は、定着装置の制御を行う第1の制御部、定着加熱手段、温度検出手段、電力検出手段、第1の電力供給信号発生手段、第2の電力供給信号発生手段、電力供給手段、異常検出手段、異常記憶手段、および無効化手段を備え、
前記定着加熱手段が、前記定着装置を加熱する工程と、
前記温度検出手段が、前記定着加熱手段の温度を検出する工程と、
前記電力検出手段が、電源からの電力発生を検出する工程と、
前記第1の電力供給信号発生手段が、前記第1の制御部が立ち上がる前に、前記電力検出手段による検出信号と、前記温度検出手段による検出信号とに基づいて、前記定着加熱手段に電力供給する信号を生成する工程と、
前記第2の電力供給信号発生手段が、前記第1の制御部が立ち上がった後に、プログラムにより前記第1の電力供給信号発生手段からの電力供給信号に替えて、前記電力検出手段による検出信号と、前記温度検出手段による検出信号とに基づいて、前記定着加熱手段に対し電力供給する信号を生成する工程と、
前記電力供給手段が、前記第1の電力供給信号発生手段および前記第2の電力供給信号発生手段からの電力供給信号により前記定着加熱手段に電力を供給する工程と、
前記異常検出手段が、前記定着装置の異常を検出して異常検出信号を出力する工程と、
前記異常記憶手段が、前記第1の制御部が立ち上がっている間に、前記異常検出手段による異常検出信号を記憶させると、次に前記第1の制御部から解除指示が来るまで異常検出信号を出し続ける工程と、
前記無効化手段が、前記異常記憶手段または前記異常検出手段からの異常検出信号によって、前記第1の電力供給信号発生手段および前記第2の電力供給信号発生手段のうち、少なくとも前記第1の電力供給信号発生手段が生成する電力供給信号を無効化する工程と、
を含むことを特徴とする定着装置制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図13−3】
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【図13−4】
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【図13−5】
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【図13−6】
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【図13−7】
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【公開番号】特開2010−217792(P2010−217792A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67107(P2009−67107)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】