画像形成装置および画像処理プログラム
【課題】 入力された画像を代表色のみで構成される画像に従来より高速に変換することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 複合機のボロノイ図作成手段は、代表色受付手段によって受け付けられた代表色である選択代表色に、代表色記憶手段によって記憶されている代表色である保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合(S161で「1色追加」)、選択代表色のうち追加された代表色と、ボロノイ図記憶手段によって記憶されているボロノイ図である保存ボロノイ図とに基づいてボロノイ図を作成する逐次添加法を実行し(S164)、代表色記憶手段は、選択代表色を保存代表色として記憶する(S165)ことを特徴とする。
【解決手段】 複合機のボロノイ図作成手段は、代表色受付手段によって受け付けられた代表色である選択代表色に、代表色記憶手段によって記憶されている代表色である保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合(S161で「1色追加」)、選択代表色のうち追加された代表色と、ボロノイ図記憶手段によって記憶されているボロノイ図である保存ボロノイ図とに基づいてボロノイ図を作成する逐次添加法を実行し(S164)、代表色記憶手段は、選択代表色を保存代表色として記憶する(S165)ことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に変換することができる画像形成装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エコロジーやコスト削減のために省エネルギーが重視されている。複写機やプリンター等の画像形成装置においても、省エネルギーのために、単色プリントや2色プリントなど、入力された画像を代表色のみで構成される画像に変換して印刷することが増加している。
【0003】
従来、入力された画像を代表色のみで構成される画像に変換して印刷する場合、ボロノイ図を用いて各画素を最も近い代表色に変換する方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−85251号公報
【特許文献2】特許第3492115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術においては、入力された画像を代表色のみで構成される画像に変換して印刷する度に、代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成するので、ボロノイ図の作成に時間がかかる。そのため、従来の技術においては、画像が入力されてから、入力された画像を代表色のみで構成される画像に変換するまでの速度が遅いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に従来より高速に変換することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、利用者によって選択された代表色を受け付ける代表色受付手段と、前記代表色を記憶する代表色記憶手段と、前記代表色を母点としたボロノイ図を作成するボロノイ図作成手段と、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図を記憶するボロノイ図記憶手段と、入力された画像の各画素の色を、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図に基づいて最も近い前記代表色に変換する色変換手段とを備えており、前記ボロノイ図作成手段は、前記代表色受付手段によって受け付けられた前記代表色である選択代表色に、前記代表色記憶手段によって記憶されている前記代表色である保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合、前記選択代表色のうち追加された代表色と、前記ボロノイ図記憶手段によって記憶されている前記ボロノイ図とに基づいて前記ボロノイ図を作成する逐次添加法を実行し、前記代表色記憶手段は、前記ボロノイ図作成手段が前記ボロノイ図を作成した場合、前記選択代表色を前記保存代表色として記憶することを特徴とする。
【0008】
この構成により、本発明の画像形成装置は、新たに受け付けた代表色に、予め記憶している代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合、新たに受け付けた代表色のうち追加された代表色と、予め記憶しているボロノイ図とに基づいて逐次添加法によってボロノイ図を作成するので、従来のように代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する構成と比較して、短時間でボロノイ図を作成することができる。したがって、本発明の画像形成装置は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に従来より高速に変換することができる。
【0009】
また、本発明の画像形成装置の前記ボロノイ図作成手段は、前記選択代表色に前記保存代表色からの変更があって、その変更が色の追加である場合、前記選択代表色のうち追加された代表色の数と、前記保存代表色の数とに基づいて、前記逐次添加法と、前記選択代表色に基づいて最初から前記ボロノイ図を作成する新規作成法とのうち計算量の少ない方を、前記ボロノイ図の作成方法として選択しても良い。
【0010】
この構成により、本発明の画像形成装置は、新たに受け付けた代表色に、予め記憶している代表色からの変更があって、その変更が色の追加である場合、逐次添加法および新規作成法のうち計算量の少ない方をボロノイ図の作成方法として選択するので、入力された画像を代表色のみで構成される画像に高速に変換することができる。
【0011】
また、本発明の画像形成装置は、前記選択代表色のうち追加された代表色の数と、前記保存代表色の数とに対する、前記逐次添加法および前記新規作成法のうち計算量の少ない方の情報である対応関係情報を記憶している対応関係記憶手段を備えており、前記ボロノイ図作成手段は、前記選択代表色のうち追加された代表色の数と、前記保存代表色の数と、前記対応関係記憶手段によって記憶されている前記対応関係情報とに基づいて、前記ボロノイ図の作成方法を選択しても良い。
【0012】
この構成により、本発明の画像形成装置は、逐次添加法および新規作成法のうち計算量の少ない方を選択するときに、対応関係情報を利用するので、逐次添加法および新規作成法の計算量を都度計算して比較する必要がない。したがって、本発明の画像形成装置は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に高速に変換することができる。
【0013】
また、本発明の画像形成装置の前記ボロノイ図作成手段は、前記選択代表色と、前記保存代表色とが同一である場合、前記ボロノイ図記憶手段によって記憶されている前記ボロノイ図を新たな前記ボロノイ図としても良い。
【0014】
この構成により、本発明の画像形成装置は、新たに受け付けた代表色と、予め記憶している代表色とが同一である場合、代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成することなく、予め記憶しているボロノイ図を新たなボロノイ図として使用するので、入力された画像を代表色のみで構成される画像に高速に変換することができる。
【0015】
本発明の画像処理プログラムは、利用者によって選択された代表色を受け付ける代表色受付手段、前記代表色を記憶する代表色記憶手段、前記代表色を母点としたボロノイ図を作成するボロノイ図作成手段、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図を記憶するボロノイ図記憶手段、および、入力された画像の各画素の色を、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図に基づいて最も近い前記代表色に変換する色変換手段として画像形成装置を機能させ、前記ボロノイ図作成手段は、前記代表色受付手段によって受け付けられた前記代表色である選択代表色に、前記代表色記憶手段によって記憶されている前記代表色である保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合、前記選択代表色のうち追加された代表色と、前記ボロノイ図記憶手段によって記憶されている前記ボロノイ図とに基づいて前記ボロノイ図を作成する逐次添加法を実行し、前記代表色記憶手段は、前記ボロノイ図作成手段が前記ボロノイ図を作成した場合、前記選択代表色を前記保存代表色として記憶することを特徴とする。
【0016】
この構成により、本発明の画像処理プログラムを実行するコンピューターは、新たに受け付けた代表色に、予め記憶している代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合、新たに受け付けた代表色のうち追加された代表色と、予め記憶しているボロノイ図とに基づいて逐次添加法によってボロノイ図を作成するので、従来のように代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する構成と比較して、短時間でボロノイ図を作成することができる。したがって、本発明の画像処理プログラムを実行するコンピューターは、入力された画像を代表色のみで構成される画像に従来より高速に変換することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像形成装置は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に従来より高速に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す複合機が起動されたときの制御部の動作のフローチャートである。
【図3】図2に示す動作において作成されたボロノイ図を示す図である。
【図4】利用者によってコピーの指示が与えられたときの図1に示す制御部の動作のフローチャートである。
【図5】図1に示すモニターに表示されるコピー動作画面を示す図である。
【図6】図4に示す代表色選択処理のフローチャートである。
【図7】図1に示すモニターに表示される代表色選択画面を示す図である。
【図8】図4に示すコピー処理のフローチャートである。
【図9】図8に示すボロノイ図作成処理のフローチャートである。
【図10】図9に示す逐次添加法実行処理のフローチャートである。
【図11】図10に示す逐次添加法実行処理によって扱われるボロノイ図の一例を示す図である。
【図12】図11に示す例の続きを示す図である。
【図13】図12に示す例の続きを示す図である。
【図14】図8に示す色変換処理のフローチャートである。
【図15】平面走査法および逐次添加法について、保存代表色に対する選択代表色の変更が1色の追加である場合における、保存代表色の数と、選択代表色を母点とするボロノイ図の作成のための計算量との関係を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る複合機の記憶部に記憶されている対応関係情報を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る複合機のボロノイ図作成処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る画像形成装置としての複合機の構成について説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る複合機10の構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、複合機10は、複合機10全体を制御するための制御部11と、種々の情報を記憶するための記憶部12と、利用者によって種々の操作が入力される図示していない操作パネル上の操作部13と、種々の情報を表示する操作パネル上のモニター14と、用紙に印刷を実行するプリンター部15と、原稿を読み込んで画像データを生成する読取デバイスであるスキャナー部16と、ホストコンピューターなどの図示していない外部の装置とLAN(Local Area Network)を介して通信を行うためのネットワークI/F(interface)部17とを備えている。
【0023】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)と、本発明の画像処理プログラムなどのプログラムや各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)となどによって構成されている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することによって制御部11を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0024】
ここで、制御部11は、画像処理プログラムを実行することによって、利用者によって選択された代表色を受け付ける代表色受付手段11a、代表色を記憶する代表色記憶手段11b、代表色を母点としたボロノイ図を作成するボロノイ図作成手段11c、ボロノイ図を記憶するボロノイ図記憶手段11d、および、入力された画像の各画素の色を、ボロノイ図作成手段11cによって作成されたボロノイ図に基づいて最も近い代表色に変換する色変換手段11eとして機能するようになっている。なお、以下においては、代表色記憶手段11bによって記憶されている代表色を「保存代表色」と呼び、ボロノイ図記憶手段11dによって記憶されているボロノイ図を「保存ボロノイ図」と呼ぶ。
【0025】
記憶部12は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性の記憶装置によって構成されている。
【0026】
操作部13は、モニター14とともにタッチパネルを形成するボタンや、操作パネル上のボタンなどの入力デバイスから構成されている。
【0027】
モニター14は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスから構成されている。
【0028】
プリンター部15は、図示していない外部の装置から後述するネットワークI/F部17を介して受信された印刷データのジョブや、スキャナー部16によって生成された画像データのジョブなどの各種のジョブを印刷する印刷デバイスである。
【0029】
ネットワークI/F部17は、例えば、スキャナー部16によって生成された画像データをLANを介して外部の装置に送信したり、プリンター部15で印刷されるための印刷データをLANを介して外部の装置から受信したりする。
【0030】
次に、複合機10の動作について説明する。
【0031】
複合機10が起動されると、複合機10の制御部11は、図2に示す初期化処理を開始する。
【0032】
図2は、複合機10が起動されたときの制御部11の動作のフローチャートである。
【0033】
図2に示すように、制御部11は、所定の代表色を設定する(S101)。ここで、S101において設定される代表色は、RGB空間上の任意の色であり、複数の色であっても良い。
【0034】
次いで、制御部11の代表色記憶手段11bは、S101において設定された代表色のRGB値を保存代表色のRGB値として記憶する(S102)。
【0035】
次いで、制御部11のボロノイ図作成手段11cは、S101において設定された代表色をRGB値からLCh値に変換し(S103)、S103においてLCh値に変換した代表色を母点としたボロノイ図40(図3参照。)を平面走査法によって均等色空間としてのLCh色空間上に作成する(S104)。
【0036】
なお、ボロノイ図とは、空間中に存在する各母点から最も近い空間を線や面などの超平面で区切った図である。つまり、ボロノイ図は、距離空間内の有限部分集合P={p1,p2,・・・,pn}に対するボロノイ領域{V(p1),V(p2),・・・,V(pn)}の集合と定義することができる。ここで、ボロノイ領域とは、距離関数dに対して次の式で構成される領域V(pi)のことである。
V(pi)={p|d(p,pi)≦d(p,pj),i≠j}
【0037】
図3は、S164において作成されたボロノイ図40を示す図であり、LCh色空間における何れかのh値に対するCL図である。
【0038】
図3に示すボロノイ図40において、S103においてLCh値に変換した代表色41は、ボロノイ図40の母点である。代表色41がそれぞれ含まれるボロノイ領域42は、ボロノイ辺43によって区切られている。ボロノイ辺43同士の交点は、ボロノイ点44と呼ばれている。なお、図3においては理解を容易にするために2次元のボロノイ図を表しているが、S104において作成されたボロノイ図40は、実際には3次元のボロノイ図である。以下の説明においても、理解を容易にするためにボロノイ図を2次元として説明するが、実際には3次元である。
【0039】
なお、平面走査法とは、平面において走査線を走査して近接する2つの代表色、すなわち母点の間の垂直2等分線であるボロノイ辺を求める方法である。すなわち、平面走査法は、代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する方法であって、本発明の新規作成法の1つである。平面走査法の計算量は、代表色がx個の場合、「x log2 x」であることが知られている。
【0040】
図2に示すように、ボロノイ図作成手段11cがS104の処理を実行すると、制御部11のボロノイ図記憶手段11dは、S104において作成されたボロノイ図の情報を保存ボロノイ図の情報として記憶する(S105)。ここで、ボロノイ図の情報は、ボロノイ図における各母点の座標と、各ボロノイ辺の始点および終点の座標とから構成されている。
【0041】
制御部11は、S105の処理が終了すると、図2に示す初期化処理を終了する。
【0042】
利用者は、操作部13によって複合機10にコピーの指示を与えることができる。利用者がコピーの指示を複合機10に与えると、複合機10の制御部11は、図4に示す処理を開始する。
【0043】
図4は、利用者によってコピーの指示が与えられたときの制御部11の動作のフローチャートである。
【0044】
図4に示すように、制御部11は、まず、図5に示すコピー動作画面をモニター14に表示させる(S111)。
【0045】
図5は、モニター14に表示されるコピー動作画面を示す図である。
【0046】
図5に示すように、コピー動作画面には、利用者が代表色を選択するときに押すための「代表色選択」ボタン21と、利用者が複合機10にコピーを開始させるときに押すための「コピー開始」ボタン22とが含まれている。利用者は、操作部13によって「代表色選択」ボタン21や「コピー開始」ボタン22を押すことができる。
【0047】
図4に示すように、制御部11は、S111の処理の後、コピー動作画面の「代表色選択」ボタン21が利用者によって押されたか否かを判断する(S112)。
【0048】
制御部11は、コピー動作画面の「代表色選択」ボタン21が利用者によって押されたとS112において判断すると、図6に示す代表色選択処理を実行する(S113)。
【0049】
図6は、代表色選択処理のフローチャートである。
【0050】
図6に示すように、制御部11は、代表色選択処理において、まず、図5に示すコピー動作画面に代えて図7に示す代表色選択画面をモニター14に表示させる(S121)。
【0051】
図7は、モニター14に表示される代表色選択画面を示す図である。
【0052】
図7に示すように、代表色選択画面には、利用者が代表色を選択するためのカラーパレット31と、利用者が選択した代表色が表示される代表色表示領域32と、利用者が代表色の選択を終了するときに押すための「OK」ボタン33とが含まれている。利用者は、操作部13によってカラーパレット31から任意の色を選択することや「OK」ボタン33を押すことができる。
【0053】
図6に示すように、制御部11は、S121の処理の後、代表色選択画面のカラーパレット31から利用者によって代表色が選択されたか否かを判断する(S122)。
【0054】
制御部11の代表色受付手段11aは、代表色選択画面のカラーパレット31から利用者によって代表色が選択されたとS122において判断すると、利用者によって選択された代表色のRGB値を記憶する(S123)。なお、以下においては、このように代表色受付手段11aによって受け付けられた代表色を「選択代表色」と呼ぶ。
【0055】
次いで、制御部11は、代表色選択画面の代表色表示領域32へ選択代表色をモニター14に表示させた後(S124)、再びS122の処理に戻る。したがって、利用者は、S122〜S124の処理を繰り返すことによって、複数の代表色を選択することができる。
【0056】
制御部11は、代表色選択画面のカラーパレット31から利用者によって代表色が選択されていないとS122において判断すると、代表色選択画面の「OK」ボタン33が利用者によって押されたか否かを判断する(S125)。
【0057】
制御部11は、代表色選択画面の「OK」ボタン33が利用者によって押されていないとS125において判断すると、再びS122の処理に戻る。
【0058】
一方、制御部11は、代表色選択画面の「OK」ボタン33が利用者によって押されたとS125において判断すると、図7に示す代表色選択画面に代えて図5に示すコピー動作画面をモニター14に表示させて(S126)、図6に示す代表色選択処理を終了する。
【0059】
図4に示すように、制御部11は、S113の代表色選択処理を終了すると、再びS112の処理に戻る。
【0060】
制御部11は、コピー動作画面の「代表色選択」ボタン21が利用者によって押されていないとS112において判断すると、コピー動作画面の「コピー開始」ボタン22が利用者によって押されたか否かを判断する(S114)。
【0061】
制御部11は、コピー動作画面の「コピー開始」ボタン22が利用者によって押されていないとS114において判断すると、再びS112の処理に戻る。
【0062】
一方、制御部11は、コピー動作画面の「コピー開始」ボタン22が利用者によって押されたとS114において判断すると、図8に示すコピー処理を実行する(S115)。
【0063】
図8は、コピー処理のフローチャートである。
【0064】
図8に示すように、制御部11は、コピー処理において、まず、図9に示すボロノイ図作成処理を実行する(S141)。
【0065】
図9は、ボロノイ図作成処理のフローチャートである。
【0066】
図9に示すように、制御部11のボロノイ図作成手段11cは、代表色受付手段11aによって受け付けられてS123において記憶されている選択代表色のRGB値と、保存代表色のRGB値とを比較する(S161)。
【0067】
ボロノイ図作成手段11cは、S161における比較の結果、選択代表色と、保存代表色とが同一である場合、保存ボロノイ図の情報に基づいてボロノイ図をLCh空間上に作成する(S162)。すなわち、ボロノイ図作成手段11cは、保存ボロノイ図を新たなボロノイ図とする。
【0068】
制御部11は、S162の処理が終了すると、図9に示すボロノイ図作成処理を終了する。
【0069】
ボロノイ図作成手段11cは、S161における比較の結果、選択代表色に保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合、選択代表色のうち追加された代表色をRGB値からLCh値に変換し(S163)、S163においてLCh値に変換した選択代表色と、保存ボロノイ図の情報とに基づいて逐次添加法によってボロノイ図をLCh空間上に作成する、図10に示す逐次添加法実行処理を実行する(S164)。
【0070】
図10は、逐次添加法実行処理のフローチャートである。図11は、図10に示す逐次添加法実行処理によって扱われるボロノイ図の一例を示す図である。図12は、図11に示す例の続きを示す図である。図13は、図12に示す例の続きを示す図である。
【0071】
図10に示すように、ボロノイ図作成手段11cは、逐次添加法実行処理において、まず、保存ボロノイ図の情報に含まれている母点の中から、S163においてLCh値に変換した選択代表色に最も近い母点を対象とする(S171)。図11〜図13に示す例においては、ボロノイ図作成手段11cは、保存ボロノイ図の情報に含まれている母点p1,p2,・・・,pnのボロノイ領域V(p1),V(p2),・・・,V(pn)の中から、選択代表色pn+1が含まれるボロノイ領域V(pn−1)を求め、そのボロノイ領域V(pn−1)の母点pn−1を、選択代表色pn+1に最も近い母点として対象とする(図11(a))。
【0072】
なお、選択代表色pn+1がボロノイ辺やボロノイ点上に存在するときは、ボロノイ図作成手段11cは、所定の規則に従って選択代表色pn+1が含まれるボロノイ領域を求める。例えば、ボロノイ図作成手段11cは、選択代表色pn+1がボロノイ辺上に存在する場合、そのボロノイ辺で区切られる複数のボロノイ領域の母点のうち、L値が最も高い母点が1つのみ存在するとき、L値が最も高い母点が含まれるボロノイ領域を、選択代表色pn+1が含まれるボロノイ領域とする。次いで、L値が最も高い母点が複数存在する場合には、そのL値が最も高い複数の母点のうちC値が最も高い母点が1つのみ存在するとき、そのC値が最も高い母点が含まれるボロノイ領域を、選択代表色pn+1が含まれるボロノイ領域とする。最後に、L値が最も高い複数の母点のうちC値が最も高い母点が複数存在する場合には、そのL値が最も高い複数の母点のうちのC値が最も高い複数の母点のうちh値が最も高い母点が含まれるボロノイ領域を、選択代表色pn+1が含まれるボロノイ領域とする。選択代表色pn+1がボロノイ辺上に存在するときについて説明したが、選択代表色pn+1がボロノイ点上に存在するときも同様である。
【0073】
次いで、ボロノイ図作成手段11cは、選択代表色と、対象としている母点との垂直二等分線を作成する(S172)。図11〜図13に示す例においては、ボロノイ図作成手段11cは、選択代表色pn+1と、対象としている母点pn−1との垂直二等分線l1を作成する(図11(b))。
【0074】
次いで、ボロノイ図作成手段11cは、S172において作成した垂直二等分線と、対象としている母点が含まれるボロノイ領域のボロノイ辺との交点のうち何れか1つの交点を求める(S173)。図11〜図13に示す例においては、ボロノイ図作成手段11cは、S172において作成した垂直二等分線l1と、対象としている母点pn−1が含まれるボロノイ領域V(pn−1)のボロノイ辺との交点のうち何れか1つの交点Q1を求める(図11(c))。
【0075】
次いで、ボロノイ図作成手段11cは、S173において求めた交点が含まれるボロノイ辺で区切られる複数のボロノイ領域のうち、直前に対象としていた母点が含まれるボロノイ領域以外のボロノイ領域を求め、そのボロノイ領域の母点を新たに対象とする(S174)。図11〜図13に示す例においては、ボロノイ図作成手段11cは、S173において求めた交点Q1が含まれるボロノイ辺で区切られる複数のボロノイ領域のうち、直前に対象としていた母点pn−1が含まれるボロノイ領域V(pn−1)以外のボロノイ領域V(pn)を求め、そのボロノイ領域V(pn)の母点pnを新たに対象とする(図11(c))。
【0076】
次いで、ボロノイ図作成手段11cは、対象としている母点がS171において対象とした母点であるか否かを判断する(S175)。
【0077】
ボロノイ図作成手段11cは、対象としている母点がS171において対象とした母点ではないとS175において判断すると、再びS172の処理に戻る。したがって、ボロノイ図作成手段11cは、図11〜図13に示す例においては、図12(a)〜図12(c)に示すように、垂直二等分線l2、交点Q2、垂直二等分線l3、交点Q3、垂直二等分線l4、交点Q4を順に得る。
【0078】
ボロノイ図作成手段11cは、対象としている母点がS171において対象とした母点であるとS175において判断すると、S173において求めた全ての交点を繋いだ多角形を作成する(S176)。図11〜図13に示す例においては、ボロノイ図作成手段11cは、S173において求めた全ての交点Q1〜Q4を繋いだ多角形を作成する(図13(a))。
【0079】
最後に、ボロノイ図作成手段11cは、S176において作成した多角形内にあるボロノイ辺や、S176において作成した多角形のうち領域外の線などの余分な線を消す(S177)ことによって、S163においてLCh値に変換した選択代表色を母点とする新たなボロノイ領域を作成し、図10に示す逐次添加法実行処理を終了する。図11〜図13に示す例においては、ボロノイ図作成手段11cは、S163においてLCh値に変換した選択代表色pn+1を母点とする新たなボロノイ領域V(pn+1)を作成する(図13(b))。つまり、ボロノイ図作成手段11cは、以上に説明した逐次添加法によってボロノイ図をLCh空間上に作成する。
【0080】
図9に示すように、代表色記憶手段11bは、S164の逐次添加法実行処理が終了すると、代表色受付手段11aによって受け付けられてS123において記憶されている選択代表色のRGB値を保存代表色のRGB値として上書き記憶する(S165)。
【0081】
次いで、ボロノイ図記憶手段11dは、S164において作成されたボロノイ図の情報を保存ボロノイ図の情報として上書き記憶する(S166)。
【0082】
制御部11は、S166の処理が終了すると、図9に示すボロノイ図作成処理を終了する。
【0083】
ボロノイ図作成手段11cは、S161における比較の結果、選択代表色に保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加以外の変更である場合、選択代表色をRGB値からLCh値に変換し(S167)、S167においてLCh値に変換した選択代表色に基づいて、平面走査法によってボロノイ図をLCh空間上に作成する(S168)。
【0084】
次いで、代表色記憶手段11bは、代表色受付手段11aによって受け付けられてS123において記憶されている選択代表色のRGB値を保存代表色のRGB値として上書き記憶する(S165)。
【0085】
次いで、ボロノイ図記憶手段11dは、S168において作成されたボロノイ図の情報を保存ボロノイ図の情報として上書き記憶する(S166)。
【0086】
制御部11は、S166の処理が終了すると、図9に示すボロノイ図作成処理を終了する。
【0087】
図8に示すように、制御部11は、S141のボロノイ図作成処理を終了すると、スキャナー部16によって原稿から1つの画素を読み込み(S142)、図14に示す色変換処理を実行する(S143)。
【0088】
図14は、色変換処理のフローチャートである。
【0089】
図14に示すように、制御部11は、色変換処理において、まず、S142において読み込まれた画素をRGB値からLCh値に変換する(S181)。
【0090】
次いで、制御部11の色変換手段11eは、S181においてLCh値に変換した画素を、S141で作成したボロノイ図40に基づいて、最も近い代表色に変換する(S182)。つまり、制御部11は、S141で作成したボロノイ図40の複数のボロノイ領域のうち、S181においてLCh値に変換した画素が含まれる1つのボロノイ領域を求め、S181においてLCh値に変換した画素をそのボロノイ領域に含まれる代表色に変換する。
【0091】
なお、画素がボロノイ辺やボロノイ点上に存在するときは、制御部11は、所定の規則に従って画素を代表色に変換する。例えば、制御部11は、画素がボロノイ辺上に存在する場合、そのボロノイ辺で区切られる複数のボロノイ領域の代表色のうち、L値が最も高い代表色が1つのみ存在するとき、L値が最も高い代表色に画素を変換する。次いで、L値が最も高い代表色が複数存在する場合には、そのL値が最も高い複数の代表色のうちC値が最も高い代表色が1つのみ存在するとき、そのC値が最も高い代表色に画素を変換する。最後に、L値が最も高い複数の代表色のうちC値が最も高い代表色が複数存在する場合には、そのL値が最も高い複数の代表色のうちのC値が最も高い複数の代表色のうちh値が最も高い代表色に画素を変換する。画素がボロノイ辺上に存在するときについて説明したが、画素がボロノイ点上に存在するときも同様である。
【0092】
そして、制御部11は、S182で代表色に変換した画素をLCh値からRGB値に変換して(S183)、図14に示す色変換処理を終了する。
【0093】
図8に示すように、制御部11は、S143の色変換処理を終了すると、予めROMに記憶されているカラールックアップテーブルに基づいて、S183においてRGB値に変換した画素をRGB値からCMYK値に変換する(S144)。
【0094】
次いで、制御部11は、スキャナー部16によって原稿の全ての画素の読み込みが終了したか否かを判断する(S145)。
【0095】
制御部11は、スキャナー部16によって原稿の全ての画素の読み込みが終了していないとS145において判断すると、未だ読み込みが終了していない画素の読み込みのために再びS142の処理に戻る。
【0096】
一方、制御部11は、スキャナー部16によって原稿の全ての画素の読み込みが終了したとS145において判断すると、S144においてCMYK値に変換した全ての画素に基づいてプリンター部15によって用紙に印刷を実行させ(S146)、図8に示すコピー処理を終了する。
【0097】
図4に示すように、制御部11は、S115のコピー処理を終了すると、図5に示すコピー動作画面をモニター14に閉じさせて(S116)、図4に示す処理を終了する。
【0098】
以上に説明したように、複合機10は、新たに受け付けた選択代表色に、予め記憶している保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合(S161で「1色追加」)、新たに受け付けた選択代表色のうち追加された代表色と、予め記憶している保存ボロノイ図とに基づいて逐次添加法によってボロノイ図を作成する(S164)。
【0099】
ここで、逐次添加法は、母点を1つ追加する度に、他の母点との交点を求める方法である。したがって、保存代表色に対する選択代表色の変更が1色の追加である場合、保存代表色の数をnとすると、選択代表色を母点とするボロノイ図を逐次添加法によって作成するときの計算量は、「n」で表すことができる。
【0100】
また、保存代表色に対する選択代表色の変更が1色の追加である場合、保存代表色の数をnとすると、選択代表色を母点とするボロノイ図を平面走査法によって作成するときの計算量は、「(n+1) log2 (n+1)」で表すことができる。
【0101】
したがって、平面走査法および逐次添加法について、保存代表色に対する選択代表色の変更が1色の追加である場合における、保存代表色の数と、選択代表色を母点とするボロノイ図の作成のための計算量との関係は、図15に示す関係になる。
【0102】
図15は、平面走査法および逐次添加法について、保存代表色に対する選択代表色の変更が1色の追加である場合における保存代表色の数と、計算量との関係を示す図である。
【0103】
図15に示すように、保存代表色に対する選択代表色の変更が1色の追加である場合、逐次添加法は、代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する平面走査法と比較して、選択代表色を母点とするボロノイ図を作成するときの計算量が、保存代表色の数に関わらず、常に少ない。
【0104】
複合機10は、新たに受け付けた選択代表色に、予め記憶している保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合(S161で「1色追加」)、新たに受け付けた選択代表色のうち追加された代表色と、予め記憶している保存ボロノイ図とに基づいて逐次添加法によってボロノイ図を作成する(S164)ので、従来のように代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する(S168)構成と比較して、短時間でボロノイ図を作成することができる。したがって、複合機10は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に従来より高速に変換することができる。
【0105】
また、複合機10は、新たに受け付けた選択代表色と、予め記憶している保存代表色とが同一である場合(S161で「同一」)、代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する(S168)ことなく、予め記憶している保存ボロノイ図を新たなボロノイ図として使用する(S162)ので、入力された画像を代表色のみで構成される画像に高速に変換することができる。
【0106】
(第2の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る画像形成装置としての複合機の構成について説明する。
【0107】
なお、本実施の形態に係る複合機の構成は、以下の構成を除いて、第1の実施の形態に係る複合機10(図1参照。)の構成と同様である。したがって、以下においては、本実施の形態に係る複合機の構成要素に、第1の実施の形態に係る複合機10の構成要素と同一の符号を付して説明する。
【0108】
本実施の形態に係る複合機の記憶部12(図1参照。)は、選択代表色のうち追加された代表色の数と、保存代表色の数とに対する、平面走査法および逐次添加法のうち計算量の少ない方の情報である対応関係情報(図16参照。)を記憶しており、本発明の対応関係記憶手段を構成している。
【0109】
ここで、逐次添加法は、母点を1つ追加する度に、他の母点との交点を求める方法である。したがって、保存代表色に対する選択代表色の変更が色の追加である場合、選択代表色のうち追加された代表色の数をpとし、保存代表色の数をnとすると、選択代表色を母点とするボロノイ図を逐次添加法によって作成するときの計算量は、「n+(n+1)+・・・+(n+p−2)+(n+p−1)」、すなわち「(2np+p2−p)/2」で表すことができる。
【0110】
また、保存代表色に対する選択代表色の変更が色の追加である場合、選択代表色のうち追加された代表色の数をpとし、保存代表色の数をnとすると、選択代表色を母点とするボロノイ図を平面走査法によって作成するときの計算量は、「(n+p) log2 (n+p)」で表すことができる。
【0111】
したがって、保存代表色に対する選択代表色の変更が色の追加である場合、選択代表色のうち追加された代表色の数pと、保存代表色の数nとに対する、平面走査法および逐次添加法のうち計算量の少ない方は、図16に示す通りである。
【0112】
図16は、記憶部12に記憶されている対応関係情報を示す図である。
【0113】
図16において、「逐」は、平面走査法および逐次添加法のうち計算量の少ない方が逐次添加法であることを示しており、「平」は、平面走査法および逐次添加法のうち計算量の少ない方が平面走査法であることを示している。図16によれば、例えば、保存代表色に対する選択代表色の変更が色の追加であって、選択代表色のうち追加された代表色の数pが2である場合、逐次添加法は、保存代表色の数nが8であるとき計算量が平面走査法と比較して多く、保存代表色の数nが9であるとき計算量が平面走査法と比較して少ない。
【0114】
次に、本実施の形態に係る複合機の動作について説明する。
【0115】
なお、本実施の形態に係る複合機の動作は、ボロノイ図作成処理を除いて、第1の実施の形態に係る複合機10の動作と同様である。
【0116】
図17は、本実施の形態に係る複合機のボロノイ図作成処理のフローチャートである。
【0117】
図17に示すボロノイ図作成処理は、図9に示すボロノイ図作成処理がS161に代えてS261およびS262を備えた処理と同様である。以下においては、S261およびS262についてのみ説明する。
【0118】
図17に示すように、制御部11のボロノイ図作成手段11cは、代表色受付手段11aによって受け付けられてS123(図6参照。)において記憶されている選択代表色のRGB値と、保存代表色のRGB値とを比較する(S261)。
【0119】
ボロノイ図作成手段11cは、S261における比較の結果、選択代表色と、保存代表色とが同一である場合、S162の処理を実行する。
【0120】
ボロノイ図作成手段11cは、S261における比較の結果、選択代表色に保存代表色からの変更があって、その変更が色の追加である場合、選択代表色のうち追加された代表色の数と、保存代表色の数と、記憶部12によって記憶されている対応関係情報とに基づいて、ボロノイ図の作成方法を選択する(S262)。ここで、ボロノイ図作成手段11cは、平面走査法と、逐次添加法とのうち計算量の少ない方を、ボロノイ図の作成方法として選択する。
【0121】
ボロノイ図作成手段11cは、S262における選択の結果、逐次添加法を選択した場合、S163の処理を実行する。
【0122】
一方、ボロノイ図作成手段11cは、S262における選択の結果、平面走査法を選択した場合、S167の処理を実行する。
【0123】
また、ボロノイ図作成手段11cは、S261における比較の結果、選択代表色に保存代表色からの変更があって、その変更が色の追加以外の変更である場合、S167の処理を実行する。
【0124】
以上に説明したように、本実施の形態に係る複合機は、新たに受け付けた選択代表色に、予め記憶している保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合(S261で「追加」およびS262で「逐次添加法」)、新たに受け付けた選択代表色のうち追加された代表色と、予め記憶している保存ボロノイ図とに基づいて逐次添加法によってボロノイ図を作成する(S164)ので、従来のように代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する(S168)構成と比較して、短時間でボロノイ図を作成することができる。したがって、本実施の形態に係る複合機は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に従来より高速に変換することができる。
【0125】
特に、本実施の形態に係る複合機は、新たに受け付けた選択代表色に、予め記憶している保存代表色からの変更があって、その変更が色の追加である場合(S261で「追加」)、平面走査法および逐次添加法のうち計算量の少ない方をボロノイ図の作成方法として選択する(S262)ので、保存代表色に対する選択代表色の変更が1色を超える追加であっても、入力された画像を代表色のみで構成される画像に高速に変換することができる。
【0126】
また、本実施の形態に係る複合機は、新たに受け付けた選択代表色と、予め記憶している保存代表色とが同一である場合(S261で「同一」)、代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する(S168)ことなく、予め記憶している保存ボロノイ図を新たなボロノイ図として使用する(S162)ので、入力された画像を代表色のみで構成される画像に高速に変換することができる。
【0127】
また、本実施の形態に係る複合機は、S262において平面走査法および逐次添加法のうち計算量の少ない方を選択するときに、対応関係情報を利用するので、平面走査法および逐次添加法の計算量を都度計算して比較する必要がない。したがって、本実施の形態に係る複合機は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に高速に変換することができる。本実施の形態に係る複合機は、S262において平面走査法および逐次添加法のうち計算量の少ない方を選択するときに、対応関係情報を利用するようになっているが、対応関係情報を利用することなく、平面走査法および逐次添加法の計算量を都度計算して比較するようになっていても良い。
【0128】
なお、上述した各実施の形態においては、コピーのジョブについて説明しているが、印刷を実行するジョブであれば他のジョブであっても良い。例えば、図示していない外部の装置からネットワークI/F部17を介して受信された印刷データのジョブであっても良い。
【0129】
また、上述した各実施の形態においては、入力される画像の色空間がRGB色空間であり、出力される画像の色空間がCMYK色空間であるが、入力される画像の色空間や出力される画像の色空間は、これらに限られるものではない。
【0130】
また、上述した各実施の形態においては、均等色空間としてLCh色空間が使用されているが、LCh色空間以外の均等色空間が使用されるようになっていても良い。例えば、均等色空間としてLab色空間やLuv色空間が使用されるようになっていても良い。
【0131】
また、上述した各実施の形態においては、選択代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する新規作成法として平面走査法が使用されているが、平面走査法以外の新規作成法が使用されるようになっていても良い。
【0132】
また、本発明の画像形成装置は、上述した各実施の形態において複合機について説明しているが、コピー機、プリンターなどの複合機以外の画像形成装置であっても良い。
【0133】
また、本発明の画像処理プログラムを実行するコンピューターとして、上述した各実施の形態において画像形成装置について説明しているが、画像形成装置以外のコンピューターであっても良い。例えば、汎用のパーソナルコンピューターに本発明の画像処理プログラムを実行させても良い。
【符号の説明】
【0134】
p1〜pn 母点
pn+1 選択代表色
10 複合機(画像形成装置)
11a 代表色受付手段
11b 代表色記憶手段
11c ボロノイ図作成手段
11d ボロノイ図記憶手段
11e 色変換手段
12 記憶部(対応関係記憶手段)
40 ボロノイ図
41 代表色
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に変換することができる画像形成装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エコロジーやコスト削減のために省エネルギーが重視されている。複写機やプリンター等の画像形成装置においても、省エネルギーのために、単色プリントや2色プリントなど、入力された画像を代表色のみで構成される画像に変換して印刷することが増加している。
【0003】
従来、入力された画像を代表色のみで構成される画像に変換して印刷する場合、ボロノイ図を用いて各画素を最も近い代表色に変換する方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−85251号公報
【特許文献2】特許第3492115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術においては、入力された画像を代表色のみで構成される画像に変換して印刷する度に、代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成するので、ボロノイ図の作成に時間がかかる。そのため、従来の技術においては、画像が入力されてから、入力された画像を代表色のみで構成される画像に変換するまでの速度が遅いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に従来より高速に変換することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、利用者によって選択された代表色を受け付ける代表色受付手段と、前記代表色を記憶する代表色記憶手段と、前記代表色を母点としたボロノイ図を作成するボロノイ図作成手段と、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図を記憶するボロノイ図記憶手段と、入力された画像の各画素の色を、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図に基づいて最も近い前記代表色に変換する色変換手段とを備えており、前記ボロノイ図作成手段は、前記代表色受付手段によって受け付けられた前記代表色である選択代表色に、前記代表色記憶手段によって記憶されている前記代表色である保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合、前記選択代表色のうち追加された代表色と、前記ボロノイ図記憶手段によって記憶されている前記ボロノイ図とに基づいて前記ボロノイ図を作成する逐次添加法を実行し、前記代表色記憶手段は、前記ボロノイ図作成手段が前記ボロノイ図を作成した場合、前記選択代表色を前記保存代表色として記憶することを特徴とする。
【0008】
この構成により、本発明の画像形成装置は、新たに受け付けた代表色に、予め記憶している代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合、新たに受け付けた代表色のうち追加された代表色と、予め記憶しているボロノイ図とに基づいて逐次添加法によってボロノイ図を作成するので、従来のように代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する構成と比較して、短時間でボロノイ図を作成することができる。したがって、本発明の画像形成装置は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に従来より高速に変換することができる。
【0009】
また、本発明の画像形成装置の前記ボロノイ図作成手段は、前記選択代表色に前記保存代表色からの変更があって、その変更が色の追加である場合、前記選択代表色のうち追加された代表色の数と、前記保存代表色の数とに基づいて、前記逐次添加法と、前記選択代表色に基づいて最初から前記ボロノイ図を作成する新規作成法とのうち計算量の少ない方を、前記ボロノイ図の作成方法として選択しても良い。
【0010】
この構成により、本発明の画像形成装置は、新たに受け付けた代表色に、予め記憶している代表色からの変更があって、その変更が色の追加である場合、逐次添加法および新規作成法のうち計算量の少ない方をボロノイ図の作成方法として選択するので、入力された画像を代表色のみで構成される画像に高速に変換することができる。
【0011】
また、本発明の画像形成装置は、前記選択代表色のうち追加された代表色の数と、前記保存代表色の数とに対する、前記逐次添加法および前記新規作成法のうち計算量の少ない方の情報である対応関係情報を記憶している対応関係記憶手段を備えており、前記ボロノイ図作成手段は、前記選択代表色のうち追加された代表色の数と、前記保存代表色の数と、前記対応関係記憶手段によって記憶されている前記対応関係情報とに基づいて、前記ボロノイ図の作成方法を選択しても良い。
【0012】
この構成により、本発明の画像形成装置は、逐次添加法および新規作成法のうち計算量の少ない方を選択するときに、対応関係情報を利用するので、逐次添加法および新規作成法の計算量を都度計算して比較する必要がない。したがって、本発明の画像形成装置は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に高速に変換することができる。
【0013】
また、本発明の画像形成装置の前記ボロノイ図作成手段は、前記選択代表色と、前記保存代表色とが同一である場合、前記ボロノイ図記憶手段によって記憶されている前記ボロノイ図を新たな前記ボロノイ図としても良い。
【0014】
この構成により、本発明の画像形成装置は、新たに受け付けた代表色と、予め記憶している代表色とが同一である場合、代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成することなく、予め記憶しているボロノイ図を新たなボロノイ図として使用するので、入力された画像を代表色のみで構成される画像に高速に変換することができる。
【0015】
本発明の画像処理プログラムは、利用者によって選択された代表色を受け付ける代表色受付手段、前記代表色を記憶する代表色記憶手段、前記代表色を母点としたボロノイ図を作成するボロノイ図作成手段、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図を記憶するボロノイ図記憶手段、および、入力された画像の各画素の色を、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図に基づいて最も近い前記代表色に変換する色変換手段として画像形成装置を機能させ、前記ボロノイ図作成手段は、前記代表色受付手段によって受け付けられた前記代表色である選択代表色に、前記代表色記憶手段によって記憶されている前記代表色である保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合、前記選択代表色のうち追加された代表色と、前記ボロノイ図記憶手段によって記憶されている前記ボロノイ図とに基づいて前記ボロノイ図を作成する逐次添加法を実行し、前記代表色記憶手段は、前記ボロノイ図作成手段が前記ボロノイ図を作成した場合、前記選択代表色を前記保存代表色として記憶することを特徴とする。
【0016】
この構成により、本発明の画像処理プログラムを実行するコンピューターは、新たに受け付けた代表色に、予め記憶している代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合、新たに受け付けた代表色のうち追加された代表色と、予め記憶しているボロノイ図とに基づいて逐次添加法によってボロノイ図を作成するので、従来のように代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する構成と比較して、短時間でボロノイ図を作成することができる。したがって、本発明の画像処理プログラムを実行するコンピューターは、入力された画像を代表色のみで構成される画像に従来より高速に変換することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像形成装置は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に従来より高速に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す複合機が起動されたときの制御部の動作のフローチャートである。
【図3】図2に示す動作において作成されたボロノイ図を示す図である。
【図4】利用者によってコピーの指示が与えられたときの図1に示す制御部の動作のフローチャートである。
【図5】図1に示すモニターに表示されるコピー動作画面を示す図である。
【図6】図4に示す代表色選択処理のフローチャートである。
【図7】図1に示すモニターに表示される代表色選択画面を示す図である。
【図8】図4に示すコピー処理のフローチャートである。
【図9】図8に示すボロノイ図作成処理のフローチャートである。
【図10】図9に示す逐次添加法実行処理のフローチャートである。
【図11】図10に示す逐次添加法実行処理によって扱われるボロノイ図の一例を示す図である。
【図12】図11に示す例の続きを示す図である。
【図13】図12に示す例の続きを示す図である。
【図14】図8に示す色変換処理のフローチャートである。
【図15】平面走査法および逐次添加法について、保存代表色に対する選択代表色の変更が1色の追加である場合における、保存代表色の数と、選択代表色を母点とするボロノイ図の作成のための計算量との関係を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る複合機の記憶部に記憶されている対応関係情報を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る複合機のボロノイ図作成処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る画像形成装置としての複合機の構成について説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る複合機10の構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、複合機10は、複合機10全体を制御するための制御部11と、種々の情報を記憶するための記憶部12と、利用者によって種々の操作が入力される図示していない操作パネル上の操作部13と、種々の情報を表示する操作パネル上のモニター14と、用紙に印刷を実行するプリンター部15と、原稿を読み込んで画像データを生成する読取デバイスであるスキャナー部16と、ホストコンピューターなどの図示していない外部の装置とLAN(Local Area Network)を介して通信を行うためのネットワークI/F(interface)部17とを備えている。
【0023】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)と、本発明の画像処理プログラムなどのプログラムや各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)となどによって構成されている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することによって制御部11を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0024】
ここで、制御部11は、画像処理プログラムを実行することによって、利用者によって選択された代表色を受け付ける代表色受付手段11a、代表色を記憶する代表色記憶手段11b、代表色を母点としたボロノイ図を作成するボロノイ図作成手段11c、ボロノイ図を記憶するボロノイ図記憶手段11d、および、入力された画像の各画素の色を、ボロノイ図作成手段11cによって作成されたボロノイ図に基づいて最も近い代表色に変換する色変換手段11eとして機能するようになっている。なお、以下においては、代表色記憶手段11bによって記憶されている代表色を「保存代表色」と呼び、ボロノイ図記憶手段11dによって記憶されているボロノイ図を「保存ボロノイ図」と呼ぶ。
【0025】
記憶部12は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性の記憶装置によって構成されている。
【0026】
操作部13は、モニター14とともにタッチパネルを形成するボタンや、操作パネル上のボタンなどの入力デバイスから構成されている。
【0027】
モニター14は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスから構成されている。
【0028】
プリンター部15は、図示していない外部の装置から後述するネットワークI/F部17を介して受信された印刷データのジョブや、スキャナー部16によって生成された画像データのジョブなどの各種のジョブを印刷する印刷デバイスである。
【0029】
ネットワークI/F部17は、例えば、スキャナー部16によって生成された画像データをLANを介して外部の装置に送信したり、プリンター部15で印刷されるための印刷データをLANを介して外部の装置から受信したりする。
【0030】
次に、複合機10の動作について説明する。
【0031】
複合機10が起動されると、複合機10の制御部11は、図2に示す初期化処理を開始する。
【0032】
図2は、複合機10が起動されたときの制御部11の動作のフローチャートである。
【0033】
図2に示すように、制御部11は、所定の代表色を設定する(S101)。ここで、S101において設定される代表色は、RGB空間上の任意の色であり、複数の色であっても良い。
【0034】
次いで、制御部11の代表色記憶手段11bは、S101において設定された代表色のRGB値を保存代表色のRGB値として記憶する(S102)。
【0035】
次いで、制御部11のボロノイ図作成手段11cは、S101において設定された代表色をRGB値からLCh値に変換し(S103)、S103においてLCh値に変換した代表色を母点としたボロノイ図40(図3参照。)を平面走査法によって均等色空間としてのLCh色空間上に作成する(S104)。
【0036】
なお、ボロノイ図とは、空間中に存在する各母点から最も近い空間を線や面などの超平面で区切った図である。つまり、ボロノイ図は、距離空間内の有限部分集合P={p1,p2,・・・,pn}に対するボロノイ領域{V(p1),V(p2),・・・,V(pn)}の集合と定義することができる。ここで、ボロノイ領域とは、距離関数dに対して次の式で構成される領域V(pi)のことである。
V(pi)={p|d(p,pi)≦d(p,pj),i≠j}
【0037】
図3は、S164において作成されたボロノイ図40を示す図であり、LCh色空間における何れかのh値に対するCL図である。
【0038】
図3に示すボロノイ図40において、S103においてLCh値に変換した代表色41は、ボロノイ図40の母点である。代表色41がそれぞれ含まれるボロノイ領域42は、ボロノイ辺43によって区切られている。ボロノイ辺43同士の交点は、ボロノイ点44と呼ばれている。なお、図3においては理解を容易にするために2次元のボロノイ図を表しているが、S104において作成されたボロノイ図40は、実際には3次元のボロノイ図である。以下の説明においても、理解を容易にするためにボロノイ図を2次元として説明するが、実際には3次元である。
【0039】
なお、平面走査法とは、平面において走査線を走査して近接する2つの代表色、すなわち母点の間の垂直2等分線であるボロノイ辺を求める方法である。すなわち、平面走査法は、代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する方法であって、本発明の新規作成法の1つである。平面走査法の計算量は、代表色がx個の場合、「x log2 x」であることが知られている。
【0040】
図2に示すように、ボロノイ図作成手段11cがS104の処理を実行すると、制御部11のボロノイ図記憶手段11dは、S104において作成されたボロノイ図の情報を保存ボロノイ図の情報として記憶する(S105)。ここで、ボロノイ図の情報は、ボロノイ図における各母点の座標と、各ボロノイ辺の始点および終点の座標とから構成されている。
【0041】
制御部11は、S105の処理が終了すると、図2に示す初期化処理を終了する。
【0042】
利用者は、操作部13によって複合機10にコピーの指示を与えることができる。利用者がコピーの指示を複合機10に与えると、複合機10の制御部11は、図4に示す処理を開始する。
【0043】
図4は、利用者によってコピーの指示が与えられたときの制御部11の動作のフローチャートである。
【0044】
図4に示すように、制御部11は、まず、図5に示すコピー動作画面をモニター14に表示させる(S111)。
【0045】
図5は、モニター14に表示されるコピー動作画面を示す図である。
【0046】
図5に示すように、コピー動作画面には、利用者が代表色を選択するときに押すための「代表色選択」ボタン21と、利用者が複合機10にコピーを開始させるときに押すための「コピー開始」ボタン22とが含まれている。利用者は、操作部13によって「代表色選択」ボタン21や「コピー開始」ボタン22を押すことができる。
【0047】
図4に示すように、制御部11は、S111の処理の後、コピー動作画面の「代表色選択」ボタン21が利用者によって押されたか否かを判断する(S112)。
【0048】
制御部11は、コピー動作画面の「代表色選択」ボタン21が利用者によって押されたとS112において判断すると、図6に示す代表色選択処理を実行する(S113)。
【0049】
図6は、代表色選択処理のフローチャートである。
【0050】
図6に示すように、制御部11は、代表色選択処理において、まず、図5に示すコピー動作画面に代えて図7に示す代表色選択画面をモニター14に表示させる(S121)。
【0051】
図7は、モニター14に表示される代表色選択画面を示す図である。
【0052】
図7に示すように、代表色選択画面には、利用者が代表色を選択するためのカラーパレット31と、利用者が選択した代表色が表示される代表色表示領域32と、利用者が代表色の選択を終了するときに押すための「OK」ボタン33とが含まれている。利用者は、操作部13によってカラーパレット31から任意の色を選択することや「OK」ボタン33を押すことができる。
【0053】
図6に示すように、制御部11は、S121の処理の後、代表色選択画面のカラーパレット31から利用者によって代表色が選択されたか否かを判断する(S122)。
【0054】
制御部11の代表色受付手段11aは、代表色選択画面のカラーパレット31から利用者によって代表色が選択されたとS122において判断すると、利用者によって選択された代表色のRGB値を記憶する(S123)。なお、以下においては、このように代表色受付手段11aによって受け付けられた代表色を「選択代表色」と呼ぶ。
【0055】
次いで、制御部11は、代表色選択画面の代表色表示領域32へ選択代表色をモニター14に表示させた後(S124)、再びS122の処理に戻る。したがって、利用者は、S122〜S124の処理を繰り返すことによって、複数の代表色を選択することができる。
【0056】
制御部11は、代表色選択画面のカラーパレット31から利用者によって代表色が選択されていないとS122において判断すると、代表色選択画面の「OK」ボタン33が利用者によって押されたか否かを判断する(S125)。
【0057】
制御部11は、代表色選択画面の「OK」ボタン33が利用者によって押されていないとS125において判断すると、再びS122の処理に戻る。
【0058】
一方、制御部11は、代表色選択画面の「OK」ボタン33が利用者によって押されたとS125において判断すると、図7に示す代表色選択画面に代えて図5に示すコピー動作画面をモニター14に表示させて(S126)、図6に示す代表色選択処理を終了する。
【0059】
図4に示すように、制御部11は、S113の代表色選択処理を終了すると、再びS112の処理に戻る。
【0060】
制御部11は、コピー動作画面の「代表色選択」ボタン21が利用者によって押されていないとS112において判断すると、コピー動作画面の「コピー開始」ボタン22が利用者によって押されたか否かを判断する(S114)。
【0061】
制御部11は、コピー動作画面の「コピー開始」ボタン22が利用者によって押されていないとS114において判断すると、再びS112の処理に戻る。
【0062】
一方、制御部11は、コピー動作画面の「コピー開始」ボタン22が利用者によって押されたとS114において判断すると、図8に示すコピー処理を実行する(S115)。
【0063】
図8は、コピー処理のフローチャートである。
【0064】
図8に示すように、制御部11は、コピー処理において、まず、図9に示すボロノイ図作成処理を実行する(S141)。
【0065】
図9は、ボロノイ図作成処理のフローチャートである。
【0066】
図9に示すように、制御部11のボロノイ図作成手段11cは、代表色受付手段11aによって受け付けられてS123において記憶されている選択代表色のRGB値と、保存代表色のRGB値とを比較する(S161)。
【0067】
ボロノイ図作成手段11cは、S161における比較の結果、選択代表色と、保存代表色とが同一である場合、保存ボロノイ図の情報に基づいてボロノイ図をLCh空間上に作成する(S162)。すなわち、ボロノイ図作成手段11cは、保存ボロノイ図を新たなボロノイ図とする。
【0068】
制御部11は、S162の処理が終了すると、図9に示すボロノイ図作成処理を終了する。
【0069】
ボロノイ図作成手段11cは、S161における比較の結果、選択代表色に保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合、選択代表色のうち追加された代表色をRGB値からLCh値に変換し(S163)、S163においてLCh値に変換した選択代表色と、保存ボロノイ図の情報とに基づいて逐次添加法によってボロノイ図をLCh空間上に作成する、図10に示す逐次添加法実行処理を実行する(S164)。
【0070】
図10は、逐次添加法実行処理のフローチャートである。図11は、図10に示す逐次添加法実行処理によって扱われるボロノイ図の一例を示す図である。図12は、図11に示す例の続きを示す図である。図13は、図12に示す例の続きを示す図である。
【0071】
図10に示すように、ボロノイ図作成手段11cは、逐次添加法実行処理において、まず、保存ボロノイ図の情報に含まれている母点の中から、S163においてLCh値に変換した選択代表色に最も近い母点を対象とする(S171)。図11〜図13に示す例においては、ボロノイ図作成手段11cは、保存ボロノイ図の情報に含まれている母点p1,p2,・・・,pnのボロノイ領域V(p1),V(p2),・・・,V(pn)の中から、選択代表色pn+1が含まれるボロノイ領域V(pn−1)を求め、そのボロノイ領域V(pn−1)の母点pn−1を、選択代表色pn+1に最も近い母点として対象とする(図11(a))。
【0072】
なお、選択代表色pn+1がボロノイ辺やボロノイ点上に存在するときは、ボロノイ図作成手段11cは、所定の規則に従って選択代表色pn+1が含まれるボロノイ領域を求める。例えば、ボロノイ図作成手段11cは、選択代表色pn+1がボロノイ辺上に存在する場合、そのボロノイ辺で区切られる複数のボロノイ領域の母点のうち、L値が最も高い母点が1つのみ存在するとき、L値が最も高い母点が含まれるボロノイ領域を、選択代表色pn+1が含まれるボロノイ領域とする。次いで、L値が最も高い母点が複数存在する場合には、そのL値が最も高い複数の母点のうちC値が最も高い母点が1つのみ存在するとき、そのC値が最も高い母点が含まれるボロノイ領域を、選択代表色pn+1が含まれるボロノイ領域とする。最後に、L値が最も高い複数の母点のうちC値が最も高い母点が複数存在する場合には、そのL値が最も高い複数の母点のうちのC値が最も高い複数の母点のうちh値が最も高い母点が含まれるボロノイ領域を、選択代表色pn+1が含まれるボロノイ領域とする。選択代表色pn+1がボロノイ辺上に存在するときについて説明したが、選択代表色pn+1がボロノイ点上に存在するときも同様である。
【0073】
次いで、ボロノイ図作成手段11cは、選択代表色と、対象としている母点との垂直二等分線を作成する(S172)。図11〜図13に示す例においては、ボロノイ図作成手段11cは、選択代表色pn+1と、対象としている母点pn−1との垂直二等分線l1を作成する(図11(b))。
【0074】
次いで、ボロノイ図作成手段11cは、S172において作成した垂直二等分線と、対象としている母点が含まれるボロノイ領域のボロノイ辺との交点のうち何れか1つの交点を求める(S173)。図11〜図13に示す例においては、ボロノイ図作成手段11cは、S172において作成した垂直二等分線l1と、対象としている母点pn−1が含まれるボロノイ領域V(pn−1)のボロノイ辺との交点のうち何れか1つの交点Q1を求める(図11(c))。
【0075】
次いで、ボロノイ図作成手段11cは、S173において求めた交点が含まれるボロノイ辺で区切られる複数のボロノイ領域のうち、直前に対象としていた母点が含まれるボロノイ領域以外のボロノイ領域を求め、そのボロノイ領域の母点を新たに対象とする(S174)。図11〜図13に示す例においては、ボロノイ図作成手段11cは、S173において求めた交点Q1が含まれるボロノイ辺で区切られる複数のボロノイ領域のうち、直前に対象としていた母点pn−1が含まれるボロノイ領域V(pn−1)以外のボロノイ領域V(pn)を求め、そのボロノイ領域V(pn)の母点pnを新たに対象とする(図11(c))。
【0076】
次いで、ボロノイ図作成手段11cは、対象としている母点がS171において対象とした母点であるか否かを判断する(S175)。
【0077】
ボロノイ図作成手段11cは、対象としている母点がS171において対象とした母点ではないとS175において判断すると、再びS172の処理に戻る。したがって、ボロノイ図作成手段11cは、図11〜図13に示す例においては、図12(a)〜図12(c)に示すように、垂直二等分線l2、交点Q2、垂直二等分線l3、交点Q3、垂直二等分線l4、交点Q4を順に得る。
【0078】
ボロノイ図作成手段11cは、対象としている母点がS171において対象とした母点であるとS175において判断すると、S173において求めた全ての交点を繋いだ多角形を作成する(S176)。図11〜図13に示す例においては、ボロノイ図作成手段11cは、S173において求めた全ての交点Q1〜Q4を繋いだ多角形を作成する(図13(a))。
【0079】
最後に、ボロノイ図作成手段11cは、S176において作成した多角形内にあるボロノイ辺や、S176において作成した多角形のうち領域外の線などの余分な線を消す(S177)ことによって、S163においてLCh値に変換した選択代表色を母点とする新たなボロノイ領域を作成し、図10に示す逐次添加法実行処理を終了する。図11〜図13に示す例においては、ボロノイ図作成手段11cは、S163においてLCh値に変換した選択代表色pn+1を母点とする新たなボロノイ領域V(pn+1)を作成する(図13(b))。つまり、ボロノイ図作成手段11cは、以上に説明した逐次添加法によってボロノイ図をLCh空間上に作成する。
【0080】
図9に示すように、代表色記憶手段11bは、S164の逐次添加法実行処理が終了すると、代表色受付手段11aによって受け付けられてS123において記憶されている選択代表色のRGB値を保存代表色のRGB値として上書き記憶する(S165)。
【0081】
次いで、ボロノイ図記憶手段11dは、S164において作成されたボロノイ図の情報を保存ボロノイ図の情報として上書き記憶する(S166)。
【0082】
制御部11は、S166の処理が終了すると、図9に示すボロノイ図作成処理を終了する。
【0083】
ボロノイ図作成手段11cは、S161における比較の結果、選択代表色に保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加以外の変更である場合、選択代表色をRGB値からLCh値に変換し(S167)、S167においてLCh値に変換した選択代表色に基づいて、平面走査法によってボロノイ図をLCh空間上に作成する(S168)。
【0084】
次いで、代表色記憶手段11bは、代表色受付手段11aによって受け付けられてS123において記憶されている選択代表色のRGB値を保存代表色のRGB値として上書き記憶する(S165)。
【0085】
次いで、ボロノイ図記憶手段11dは、S168において作成されたボロノイ図の情報を保存ボロノイ図の情報として上書き記憶する(S166)。
【0086】
制御部11は、S166の処理が終了すると、図9に示すボロノイ図作成処理を終了する。
【0087】
図8に示すように、制御部11は、S141のボロノイ図作成処理を終了すると、スキャナー部16によって原稿から1つの画素を読み込み(S142)、図14に示す色変換処理を実行する(S143)。
【0088】
図14は、色変換処理のフローチャートである。
【0089】
図14に示すように、制御部11は、色変換処理において、まず、S142において読み込まれた画素をRGB値からLCh値に変換する(S181)。
【0090】
次いで、制御部11の色変換手段11eは、S181においてLCh値に変換した画素を、S141で作成したボロノイ図40に基づいて、最も近い代表色に変換する(S182)。つまり、制御部11は、S141で作成したボロノイ図40の複数のボロノイ領域のうち、S181においてLCh値に変換した画素が含まれる1つのボロノイ領域を求め、S181においてLCh値に変換した画素をそのボロノイ領域に含まれる代表色に変換する。
【0091】
なお、画素がボロノイ辺やボロノイ点上に存在するときは、制御部11は、所定の規則に従って画素を代表色に変換する。例えば、制御部11は、画素がボロノイ辺上に存在する場合、そのボロノイ辺で区切られる複数のボロノイ領域の代表色のうち、L値が最も高い代表色が1つのみ存在するとき、L値が最も高い代表色に画素を変換する。次いで、L値が最も高い代表色が複数存在する場合には、そのL値が最も高い複数の代表色のうちC値が最も高い代表色が1つのみ存在するとき、そのC値が最も高い代表色に画素を変換する。最後に、L値が最も高い複数の代表色のうちC値が最も高い代表色が複数存在する場合には、そのL値が最も高い複数の代表色のうちのC値が最も高い複数の代表色のうちh値が最も高い代表色に画素を変換する。画素がボロノイ辺上に存在するときについて説明したが、画素がボロノイ点上に存在するときも同様である。
【0092】
そして、制御部11は、S182で代表色に変換した画素をLCh値からRGB値に変換して(S183)、図14に示す色変換処理を終了する。
【0093】
図8に示すように、制御部11は、S143の色変換処理を終了すると、予めROMに記憶されているカラールックアップテーブルに基づいて、S183においてRGB値に変換した画素をRGB値からCMYK値に変換する(S144)。
【0094】
次いで、制御部11は、スキャナー部16によって原稿の全ての画素の読み込みが終了したか否かを判断する(S145)。
【0095】
制御部11は、スキャナー部16によって原稿の全ての画素の読み込みが終了していないとS145において判断すると、未だ読み込みが終了していない画素の読み込みのために再びS142の処理に戻る。
【0096】
一方、制御部11は、スキャナー部16によって原稿の全ての画素の読み込みが終了したとS145において判断すると、S144においてCMYK値に変換した全ての画素に基づいてプリンター部15によって用紙に印刷を実行させ(S146)、図8に示すコピー処理を終了する。
【0097】
図4に示すように、制御部11は、S115のコピー処理を終了すると、図5に示すコピー動作画面をモニター14に閉じさせて(S116)、図4に示す処理を終了する。
【0098】
以上に説明したように、複合機10は、新たに受け付けた選択代表色に、予め記憶している保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合(S161で「1色追加」)、新たに受け付けた選択代表色のうち追加された代表色と、予め記憶している保存ボロノイ図とに基づいて逐次添加法によってボロノイ図を作成する(S164)。
【0099】
ここで、逐次添加法は、母点を1つ追加する度に、他の母点との交点を求める方法である。したがって、保存代表色に対する選択代表色の変更が1色の追加である場合、保存代表色の数をnとすると、選択代表色を母点とするボロノイ図を逐次添加法によって作成するときの計算量は、「n」で表すことができる。
【0100】
また、保存代表色に対する選択代表色の変更が1色の追加である場合、保存代表色の数をnとすると、選択代表色を母点とするボロノイ図を平面走査法によって作成するときの計算量は、「(n+1) log2 (n+1)」で表すことができる。
【0101】
したがって、平面走査法および逐次添加法について、保存代表色に対する選択代表色の変更が1色の追加である場合における、保存代表色の数と、選択代表色を母点とするボロノイ図の作成のための計算量との関係は、図15に示す関係になる。
【0102】
図15は、平面走査法および逐次添加法について、保存代表色に対する選択代表色の変更が1色の追加である場合における保存代表色の数と、計算量との関係を示す図である。
【0103】
図15に示すように、保存代表色に対する選択代表色の変更が1色の追加である場合、逐次添加法は、代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する平面走査法と比較して、選択代表色を母点とするボロノイ図を作成するときの計算量が、保存代表色の数に関わらず、常に少ない。
【0104】
複合機10は、新たに受け付けた選択代表色に、予め記憶している保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合(S161で「1色追加」)、新たに受け付けた選択代表色のうち追加された代表色と、予め記憶している保存ボロノイ図とに基づいて逐次添加法によってボロノイ図を作成する(S164)ので、従来のように代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する(S168)構成と比較して、短時間でボロノイ図を作成することができる。したがって、複合機10は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に従来より高速に変換することができる。
【0105】
また、複合機10は、新たに受け付けた選択代表色と、予め記憶している保存代表色とが同一である場合(S161で「同一」)、代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する(S168)ことなく、予め記憶している保存ボロノイ図を新たなボロノイ図として使用する(S162)ので、入力された画像を代表色のみで構成される画像に高速に変換することができる。
【0106】
(第2の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る画像形成装置としての複合機の構成について説明する。
【0107】
なお、本実施の形態に係る複合機の構成は、以下の構成を除いて、第1の実施の形態に係る複合機10(図1参照。)の構成と同様である。したがって、以下においては、本実施の形態に係る複合機の構成要素に、第1の実施の形態に係る複合機10の構成要素と同一の符号を付して説明する。
【0108】
本実施の形態に係る複合機の記憶部12(図1参照。)は、選択代表色のうち追加された代表色の数と、保存代表色の数とに対する、平面走査法および逐次添加法のうち計算量の少ない方の情報である対応関係情報(図16参照。)を記憶しており、本発明の対応関係記憶手段を構成している。
【0109】
ここで、逐次添加法は、母点を1つ追加する度に、他の母点との交点を求める方法である。したがって、保存代表色に対する選択代表色の変更が色の追加である場合、選択代表色のうち追加された代表色の数をpとし、保存代表色の数をnとすると、選択代表色を母点とするボロノイ図を逐次添加法によって作成するときの計算量は、「n+(n+1)+・・・+(n+p−2)+(n+p−1)」、すなわち「(2np+p2−p)/2」で表すことができる。
【0110】
また、保存代表色に対する選択代表色の変更が色の追加である場合、選択代表色のうち追加された代表色の数をpとし、保存代表色の数をnとすると、選択代表色を母点とするボロノイ図を平面走査法によって作成するときの計算量は、「(n+p) log2 (n+p)」で表すことができる。
【0111】
したがって、保存代表色に対する選択代表色の変更が色の追加である場合、選択代表色のうち追加された代表色の数pと、保存代表色の数nとに対する、平面走査法および逐次添加法のうち計算量の少ない方は、図16に示す通りである。
【0112】
図16は、記憶部12に記憶されている対応関係情報を示す図である。
【0113】
図16において、「逐」は、平面走査法および逐次添加法のうち計算量の少ない方が逐次添加法であることを示しており、「平」は、平面走査法および逐次添加法のうち計算量の少ない方が平面走査法であることを示している。図16によれば、例えば、保存代表色に対する選択代表色の変更が色の追加であって、選択代表色のうち追加された代表色の数pが2である場合、逐次添加法は、保存代表色の数nが8であるとき計算量が平面走査法と比較して多く、保存代表色の数nが9であるとき計算量が平面走査法と比較して少ない。
【0114】
次に、本実施の形態に係る複合機の動作について説明する。
【0115】
なお、本実施の形態に係る複合機の動作は、ボロノイ図作成処理を除いて、第1の実施の形態に係る複合機10の動作と同様である。
【0116】
図17は、本実施の形態に係る複合機のボロノイ図作成処理のフローチャートである。
【0117】
図17に示すボロノイ図作成処理は、図9に示すボロノイ図作成処理がS161に代えてS261およびS262を備えた処理と同様である。以下においては、S261およびS262についてのみ説明する。
【0118】
図17に示すように、制御部11のボロノイ図作成手段11cは、代表色受付手段11aによって受け付けられてS123(図6参照。)において記憶されている選択代表色のRGB値と、保存代表色のRGB値とを比較する(S261)。
【0119】
ボロノイ図作成手段11cは、S261における比較の結果、選択代表色と、保存代表色とが同一である場合、S162の処理を実行する。
【0120】
ボロノイ図作成手段11cは、S261における比較の結果、選択代表色に保存代表色からの変更があって、その変更が色の追加である場合、選択代表色のうち追加された代表色の数と、保存代表色の数と、記憶部12によって記憶されている対応関係情報とに基づいて、ボロノイ図の作成方法を選択する(S262)。ここで、ボロノイ図作成手段11cは、平面走査法と、逐次添加法とのうち計算量の少ない方を、ボロノイ図の作成方法として選択する。
【0121】
ボロノイ図作成手段11cは、S262における選択の結果、逐次添加法を選択した場合、S163の処理を実行する。
【0122】
一方、ボロノイ図作成手段11cは、S262における選択の結果、平面走査法を選択した場合、S167の処理を実行する。
【0123】
また、ボロノイ図作成手段11cは、S261における比較の結果、選択代表色に保存代表色からの変更があって、その変更が色の追加以外の変更である場合、S167の処理を実行する。
【0124】
以上に説明したように、本実施の形態に係る複合機は、新たに受け付けた選択代表色に、予め記憶している保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合(S261で「追加」およびS262で「逐次添加法」)、新たに受け付けた選択代表色のうち追加された代表色と、予め記憶している保存ボロノイ図とに基づいて逐次添加法によってボロノイ図を作成する(S164)ので、従来のように代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する(S168)構成と比較して、短時間でボロノイ図を作成することができる。したがって、本実施の形態に係る複合機は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に従来より高速に変換することができる。
【0125】
特に、本実施の形態に係る複合機は、新たに受け付けた選択代表色に、予め記憶している保存代表色からの変更があって、その変更が色の追加である場合(S261で「追加」)、平面走査法および逐次添加法のうち計算量の少ない方をボロノイ図の作成方法として選択する(S262)ので、保存代表色に対する選択代表色の変更が1色を超える追加であっても、入力された画像を代表色のみで構成される画像に高速に変換することができる。
【0126】
また、本実施の形態に係る複合機は、新たに受け付けた選択代表色と、予め記憶している保存代表色とが同一である場合(S261で「同一」)、代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する(S168)ことなく、予め記憶している保存ボロノイ図を新たなボロノイ図として使用する(S162)ので、入力された画像を代表色のみで構成される画像に高速に変換することができる。
【0127】
また、本実施の形態に係る複合機は、S262において平面走査法および逐次添加法のうち計算量の少ない方を選択するときに、対応関係情報を利用するので、平面走査法および逐次添加法の計算量を都度計算して比較する必要がない。したがって、本実施の形態に係る複合機は、入力された画像を代表色のみで構成される画像に高速に変換することができる。本実施の形態に係る複合機は、S262において平面走査法および逐次添加法のうち計算量の少ない方を選択するときに、対応関係情報を利用するようになっているが、対応関係情報を利用することなく、平面走査法および逐次添加法の計算量を都度計算して比較するようになっていても良い。
【0128】
なお、上述した各実施の形態においては、コピーのジョブについて説明しているが、印刷を実行するジョブであれば他のジョブであっても良い。例えば、図示していない外部の装置からネットワークI/F部17を介して受信された印刷データのジョブであっても良い。
【0129】
また、上述した各実施の形態においては、入力される画像の色空間がRGB色空間であり、出力される画像の色空間がCMYK色空間であるが、入力される画像の色空間や出力される画像の色空間は、これらに限られるものではない。
【0130】
また、上述した各実施の形態においては、均等色空間としてLCh色空間が使用されているが、LCh色空間以外の均等色空間が使用されるようになっていても良い。例えば、均等色空間としてLab色空間やLuv色空間が使用されるようになっていても良い。
【0131】
また、上述した各実施の形態においては、選択代表色に基づいて最初からボロノイ図を作成する新規作成法として平面走査法が使用されているが、平面走査法以外の新規作成法が使用されるようになっていても良い。
【0132】
また、本発明の画像形成装置は、上述した各実施の形態において複合機について説明しているが、コピー機、プリンターなどの複合機以外の画像形成装置であっても良い。
【0133】
また、本発明の画像処理プログラムを実行するコンピューターとして、上述した各実施の形態において画像形成装置について説明しているが、画像形成装置以外のコンピューターであっても良い。例えば、汎用のパーソナルコンピューターに本発明の画像処理プログラムを実行させても良い。
【符号の説明】
【0134】
p1〜pn 母点
pn+1 選択代表色
10 複合機(画像形成装置)
11a 代表色受付手段
11b 代表色記憶手段
11c ボロノイ図作成手段
11d ボロノイ図記憶手段
11e 色変換手段
12 記憶部(対応関係記憶手段)
40 ボロノイ図
41 代表色
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者によって選択された代表色を受け付ける代表色受付手段と、前記代表色を記憶する代表色記憶手段と、前記代表色を母点としたボロノイ図を作成するボロノイ図作成手段と、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図を記憶するボロノイ図記憶手段と、入力された画像の各画素の色を、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図に基づいて最も近い前記代表色に変換する色変換手段とを備えており、
前記ボロノイ図作成手段は、前記代表色受付手段によって受け付けられた前記代表色である選択代表色に、前記代表色記憶手段によって記憶されている前記代表色である保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合、前記選択代表色のうち追加された代表色と、前記ボロノイ図記憶手段によって記憶されている前記ボロノイ図とに基づいて前記ボロノイ図を作成する逐次添加法を実行し、
前記代表色記憶手段は、前記ボロノイ図作成手段が前記ボロノイ図を作成した場合、前記選択代表色を前記保存代表色として記憶することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ボロノイ図作成手段は、前記選択代表色に前記保存代表色からの変更があって、その変更が色の追加である場合、前記選択代表色のうち追加された代表色の数と、前記保存代表色の数とに基づいて、前記逐次添加法と、前記選択代表色に基づいて最初から前記ボロノイ図を作成する新規作成法とのうち計算量の少ない方を、前記ボロノイ図の作成方法として選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記選択代表色のうち追加された代表色の数と、前記保存代表色の数とに対する、前記逐次添加法および前記新規作成法のうち計算量の少ない方の情報である対応関係情報を記憶している対応関係記憶手段を備えており、
前記ボロノイ図作成手段は、前記選択代表色のうち追加された代表色の数と、前記保存代表色の数と、前記対応関係記憶手段によって記憶されている前記対応関係情報とに基づいて、前記ボロノイ図の作成方法を選択することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ボロノイ図作成手段は、前記選択代表色と、前記保存代表色とが同一である場合、前記ボロノイ図記憶手段によって記憶されている前記ボロノイ図を新たな前記ボロノイ図とすることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
利用者によって選択された代表色を受け付ける代表色受付手段、前記代表色を記憶する代表色記憶手段、前記代表色を母点としたボロノイ図を作成するボロノイ図作成手段、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図を記憶するボロノイ図記憶手段、および、入力された画像の各画素の色を、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図に基づいて最も近い前記代表色に変換する色変換手段としてコンピューターを機能させ、
前記ボロノイ図作成手段は、前記代表色受付手段によって受け付けられた前記代表色である選択代表色に、前記代表色記憶手段によって記憶されている前記代表色である保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合、前記選択代表色のうち追加された代表色と、前記ボロノイ図記憶手段によって記憶されている前記ボロノイ図とに基づいて前記ボロノイ図を作成する逐次添加法を実行し、
前記代表色記憶手段は、前記ボロノイ図作成手段が前記ボロノイ図を作成した場合、前記選択代表色を前記保存代表色として記憶することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項1】
利用者によって選択された代表色を受け付ける代表色受付手段と、前記代表色を記憶する代表色記憶手段と、前記代表色を母点としたボロノイ図を作成するボロノイ図作成手段と、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図を記憶するボロノイ図記憶手段と、入力された画像の各画素の色を、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図に基づいて最も近い前記代表色に変換する色変換手段とを備えており、
前記ボロノイ図作成手段は、前記代表色受付手段によって受け付けられた前記代表色である選択代表色に、前記代表色記憶手段によって記憶されている前記代表色である保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合、前記選択代表色のうち追加された代表色と、前記ボロノイ図記憶手段によって記憶されている前記ボロノイ図とに基づいて前記ボロノイ図を作成する逐次添加法を実行し、
前記代表色記憶手段は、前記ボロノイ図作成手段が前記ボロノイ図を作成した場合、前記選択代表色を前記保存代表色として記憶することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ボロノイ図作成手段は、前記選択代表色に前記保存代表色からの変更があって、その変更が色の追加である場合、前記選択代表色のうち追加された代表色の数と、前記保存代表色の数とに基づいて、前記逐次添加法と、前記選択代表色に基づいて最初から前記ボロノイ図を作成する新規作成法とのうち計算量の少ない方を、前記ボロノイ図の作成方法として選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記選択代表色のうち追加された代表色の数と、前記保存代表色の数とに対する、前記逐次添加法および前記新規作成法のうち計算量の少ない方の情報である対応関係情報を記憶している対応関係記憶手段を備えており、
前記ボロノイ図作成手段は、前記選択代表色のうち追加された代表色の数と、前記保存代表色の数と、前記対応関係記憶手段によって記憶されている前記対応関係情報とに基づいて、前記ボロノイ図の作成方法を選択することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ボロノイ図作成手段は、前記選択代表色と、前記保存代表色とが同一である場合、前記ボロノイ図記憶手段によって記憶されている前記ボロノイ図を新たな前記ボロノイ図とすることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
利用者によって選択された代表色を受け付ける代表色受付手段、前記代表色を記憶する代表色記憶手段、前記代表色を母点としたボロノイ図を作成するボロノイ図作成手段、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図を記憶するボロノイ図記憶手段、および、入力された画像の各画素の色を、前記ボロノイ図作成手段によって作成された前記ボロノイ図に基づいて最も近い前記代表色に変換する色変換手段としてコンピューターを機能させ、
前記ボロノイ図作成手段は、前記代表色受付手段によって受け付けられた前記代表色である選択代表色に、前記代表色記憶手段によって記憶されている前記代表色である保存代表色からの変更があって、その変更が1色の追加である場合、前記選択代表色のうち追加された代表色と、前記ボロノイ図記憶手段によって記憶されている前記ボロノイ図とに基づいて前記ボロノイ図を作成する逐次添加法を実行し、
前記代表色記憶手段は、前記ボロノイ図作成手段が前記ボロノイ図を作成した場合、前記選択代表色を前記保存代表色として記憶することを特徴とする画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−182516(P2012−182516A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42043(P2011−42043)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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