説明

画像形成装置および運転計画作成方法

【課題】消費電力の低減を図りつつ、操作者の希望する運転計画の提供が可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】液晶表示部71に表示される運転計画701には、操作者が指定した目標消費電力削減率の表示欄711と削減モードの表示欄712がある。目標消費電力削減率は、自装置の先月の総消費電力量に対する今月の削減目標率を示す。削減モードには、画像形成による消費電力量と定着部の温調制御による消費電力量との削減割合を均等にする均等モードと、画像形成よりも温調制御の削減割合を多くする印字枚数優先モードなどがある。操作者により指定された目標消費電力削減率を目標に、指定された削減モードに対して予め決められた電力削減の規則に従って、画像形成機能と温調制御に対して消費電力量に影響を与えるパラメータ(枚数や時間など)を先月の値から変更し、変更後のパラメータを運転計画701に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタなどの画像形成装置および運転計画作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー化の要請から、画像形成装置の分野でも消費電力の低減を図ることが求められている。従来からの消費電力の低減を図る技術として、特許文献1には、何も操作されない状態が継続すると、定着用のランプへの電力供給を遮断するスリープ機能に移行する画像形成装置において、1ヶ月の期間内において、1日毎に消費電力量を積算して、1ヶ月のある日に、積算電力量が予め定められた基準電力値を越えると、スリープ機能への移行時間を、その日までの設定時間(例えば、45分)よりも短い時間(例えば、15分)に変更する技術が開示されている。
【0003】
スリープ機能への移行時間が短い方が消費電力量を低減することができるので、1ヶ月の期間内における総消費電力量の上昇を抑えて、節電効果が高められるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−187562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1の技術では、スリープ機能の移行時間だけを節電対象としているので、スリープ機能とは別の機能の節電効果を期待することができない。
装置を管理する者には、例えばスリープ機能については節電による制限をあまり設けたくないがコピー等の機能についてはある程度の制限を設けても良いという考えを有する者や、これとは逆の考えを有する者などがある。
【0006】
このような様々の考えを有する者にとっては、自己の希望する方法に基づく運転計画が提供されることが望ましいが、特許文献1の技術は、上記のようにスリープ機能に特化した技術であり、管理者の希望に応えることができないという問題がある。
また、節電に限られず、例えばカラーやモノクロコピー、片面や両面コピーなどの画像形成機能毎にその機能の実行に応じて課金を行って所定期間における課金額を管理する機能を有する画像形成装置において、カラーとモノクロコピーのうち一方にはあまり制限を設けたくないが、他方にはある程度の制限を設けたいとの考えや、片面と両面コピーのうち、一方にはあまり制限を設けたくないが、他方にはある程度の制限を設けたいとの考えなどがあり得、これらの考えに基づく運転計画が提供されることが望ましい。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、消費電力の低減を図りつつ、管理者等の希望する運転計画の提供が可能な画像形成装置および運転計画作成方法を提供することを目的とする。また、課金額の管理を行いつつこれを管理する者の希望する運転計画の提供が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、画像形成機能の1つである第1機能と、これとは異なる第2機能とを実行可能な画像形成装置であって、削減すべき電力の大きさを示す情報の入力を操作者から受け付ける第1受付手段と、第1機能と第2機能に対する消費電力量の削減の割合を異なる値で規定する複数の削減モードのうち1つの削減モードの選択を操作者から受け付ける第2受付手段と、過去の所定期間内に実行された機能毎に、機能名と機能の実行による消費電力量の大きさに影響を与えたパラメータとを対応付けた情報を取得する取得手段と、前記削減すべき電力の大きさを目標に消費電力を削減するための規則として前記選択された削減モードに対し予め決められている規則に従って、前記情報に含まれるパラメータを可変させる可変手段と、前記機能名と可変後のパラメータとの対応を含む運転計画を作成する作成手段と、前記作成された運転計画を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記所定期間内に実行された各機能による合計の総消費電力量をWa、前記実行された各機能と同じ機能を前記可変後のパラメータに基づき実行すると仮定した場合に要するであろう合計の予想消費電力量をWbとしたとき、前記予想消費電力量Wbの、総消費電力量Waに対する比率を予想削減率Z1として算出する算出手段を備え、前記作成手段は、前記機能名と可変後のパラメータとの対応に加えて、前記算出された予想削減率Z1をも含む運転計画を作成することを特徴とする。
【0010】
さらに、前記運転計画に含まれるパラメータの変更を操作者から受け付ける第3受付手段と、前記運転計画に含まれるパラメータを前記変更された値に更新する更新手段と、を備えることを特徴とする。
また、前記第1機能は、シート上に画像を形成し、定着部のヒータにより定着温度に熱せられた定着部材を用いて画像をシートに熱定着する画像形成動作を行う機能であり、前記第2機能は、第1機能の実行時以外のときに、前記ヒータへの供給電力を第1機能の実行時よりも制限して、前記定着部材の温度を前記定着温度よりも低い温度であり、画像形成が実行できない節電温度まで下げる節電機能であり、前記複数の削減モードには、消費電力量の削減率が、第1機能と第2機能とで均等である均等モードと、第1機能よりも第2機能の方が大きい印字枚数優先モードと、第2機能よりも第1機能の方が大きい利便性優先モードの少なくとも2つが含まれ、前記均等モードに対して決められた第1規則は、前記目標まで電力を削減しようとするときの削減率と同じ率だけ第1機能と第2機能のそれぞれの消費電力量が削減されるように、第1機能と第2機能のそれぞれに対するパラメータを可変させるものであり、前記印字枚数優先モードに対して決められた第2規則は、第2機能に対するパラメータを、決められた量だけ可変させても消費電力の削減量が前記目標を達成しない場合に限り、第1機能に対するパラメータを可変させるものであり、前記利便性優先モードに対して決められた第3規則は、第1機能に対するパラメータを、決められた量だけ可変させても消費電力の削減量が前記目標を達成しない場合に限り、第2機能に対するパラメータを可変させるものであることを特徴とする。
【0011】
ここで、前記第1機能に対応するパラメータは、シート毎にシートの一方の面に画像を形成する動作を1回とした場合の画像形成回数であり、前記第2機能に対応するパラメータは、節電温度に維持される節電時間の長さと節電温度の値との少なくとも一方であることを特徴とする。
ここで、前記第1機能に対するパラメータの可変は、前記画像形成回数を前記所定の期間内に実行された画像形成に係る合計の画像形成回数よりも少なくすることにより行われ、前記第2機能に対するパラメータの可変は、前記節電時間の長さを前記所定の期間内に実行された節電機能における合計の節電時間よりも短くすることと、前記節電温度の値を前記所定の期間内に実行された節電機能における節電温度よりも下げることとの少なくとも一方により行われることを特徴とする。
【0012】
ここで、前記節電機能には、定着部材の温度を定着温度よりも低い第1温度に維持する待機温調機能と、定着部材の温度を第1温度よりも低い第2温度に維持するローパワー温調機能が含まれ、前記待機温調機能とローパワー温調機能のうち最初に待機温調機能が実行され、待機温調機能の実行中に所定のローパワー温調機能への移行条件が満たされると、ローパワー温調機能に移行されるように構成されており、前記節電時間には、待機温調機能により第1温度に維持される第1の時間とローパワー温調機能により第2温度に維持される第2の時間が含まれており、前記第2機能に対するパラメータの可変は、前記第2の時間の長さを第1所定時間に短縮したときに削減されるであろう消費電力量の削減により前記目標を達成しているか否かを判断し、目標を達成していないと判断すると、第1の時間の長さを第2所定時間だけ短くすることにより行われることを特徴とする。
【0013】
ここで、前記節電機能には、さらに前記ヒータへの電力を遮断するスリープ機能が含まれ、ローパワー温調機能の実行中に所定のスリープ機能への移行条件が満たされるとローパワー温調機能からスリープ機能に移行されるように構成されており、前記第1所定時間が0時間である場合には、ローパワー温調機能の実行を禁止して、待機温調機能の実行中に所定のローパワー温調機能への移行条件が満たされると、待機温調機能からスリープ機能に移行することを特徴とする。
【0014】
また、前記第2機能には、さらに、第1機能と節電機能とのそれぞれの実行時以外のときに、自装置の画像形成における画質を一定に維持するための画像安定化動作を実行するキャリブレーション機能が含まれており、前記第1機能に対応するパラメータは、シート毎にシートの一方の面に画像を形成する動作を1回とした場合の画像形成回数であり、前記第2機能に対応するパラメータは、節電機能については、節電温度に維持される節電時間の長さと節電温度の値との少なくとも一方であり、キャリブレーション機能については、画像安定化動作の回数であることを特徴とする。
【0015】
さらに、前記所定期間内に実行された各機能と同じ機能を前記更新後のパラメータに基づき実行すると仮定した場合に要するであろう予想消費電力量をWcとしたとき、前記算出手段は、前記予想消費電力量Wcの、総消費電力量Waに対する比率を予想削減率Z2として算出し直し、前記作成手段は、予想削減率Z2が算出された場合に、前記予想削減率Z1に代えて予想削減率Z2を含む運転計画を作成し直し、前記出力手段は、前記作成し直された運転計画をさらに出力することを特徴とする。
【0016】
また、前記出力手段は、前記運転計画を表示する表示手段であることを特徴とする。
さらに、制御手段を有し、前記取得された情報に含まれるパラメータは、これに対応する機能が過去の所定期間内において実行される毎に当該機能が1回実行されたことを示す量を積算した値に相当し、前記可変後のパラメータは、これに対応する機能を実行するときの上限値を示し、前記制御手段は、前記運転計画の作成後に、機能毎に当該機能の実行による前記量の積算値が、対応する可変後のパラメータで示される上限値に達すると、当該機能の実行を禁止すること、上限値に達した旨を前記出力手段により出力させること、および、前記量の積算値が前記対応する可変後のパラメータで示される上限値から所定値を差し引いた値に達した旨を前記出力手段により出力させることの少なくとも1つを実行することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る画像形成装置は、異なる第1と第2の画像形成機能を実行可能であり、画像形成機能毎にその実行により課金を行う画像形成装置であって、削減すべき課金額の大きさを示す情報の入力を操作者から受け付ける第1受付手段と、第1と第2の画像形成機能に対する課金額の削減の割合を異なる値で規定する複数の削減モードのうち1つの削減モードの選択を操作者から受け付ける第2受付手段と、過去の所定期間内に実行された機能毎に、機能名と機能の実行による課金額の大きさに影響を与えたパラメータとを対応付けた情報を取得する取得手段と、前記削減すべき課金額の大きさを目標に課金額を削減するための規則として前記選択された削減モードに対し予め決められている規則に従って、前記情報に含まれるパラメータを可変させる可変手段と、前記機能名と可変後のパラメータとの対応を含む運転計画を作成する作成手段と、前記作成された運転計画を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る運転計画作成方法は、画像形成機能の1つである第1機能と、これとは異なる第2機能とを実行可能な画像形成装置における運転計画作成方法であって、削減すべき電力の大きさを示す情報の入力を操作者から受け付ける第1ステップと、第1機能と第2機能に対する消費電力量の削減の割合を異なる値で規定する複数の削減モードのうち1つの削減モードの選択を操作者から受け付ける第2ステップと、過去の所定期間内に実行された機能毎に、機能名と機能の実行による消費電力量の大きさに影響を与えたパラメータとを対応付けた情報を取得する第3ステップと、前記削減すべき電力の大きさを目標に消費電力を削減するための規則として前記選択された削減モードに対して予め決められた規則に従って、前記情報に含まれるパラメータを可変させる第4ステップと、前記機能名可変後のパラメータとの対応を含む運転計画を作成する第5ステップと、を含むステップを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
このようにすれば、管理者等は、第1機能と第2機能のうち、例えば画像形成に要する消費電力量をより削減したいと思った場合には、画像形成に要する消費電力の削減割合の大きい削減モードを選択することにより、その削減モードによる削減規則に従って変更された後のパラメータが出力されるので、出力されたパラメータを確認することができる。
また、節電対象が画像形成機能の1つである第1機能と、これとは別の第2機能、例えばスリープ機能との複数になるので、従来のようにスリープ機能だけが節電対象になることがなく、管理者の希望する機能に対する節電による運転計画を提供することができる。
【0020】
また、管理者等は、第1の画像形成機能と第2の画像形成機能のうち、例えば第1の画像形成機能に対する課金額をより削減したいと思った場合には、第1の画像形成機能に対する課金額の削減割合の大きい削減モードを選択することにより、その削減モードによる削減規則に従って変更された後のパラメータが出力されるので、出力されたパラメータを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】複写機の全体の概略構成を示す図である。
【図2】複写機に設けられる制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】複写機が実行可能な機能の一覧を示す図である。
【図4】制御部に設けられる運転計画部により作成された運転計画の表示画面の例を示す図である。
【図5】運転計画部の構成例を示す図である。
【図6】動作履歴テーブルの構成例を示す図である。
【図7】画像形成動作テーブルの構成例を示す図である。
【図8】アイドル動作テーブルの構成例を示す図である。
【図9】キャリブレーション動作テーブルの構成例を示す図である。
【図10】画像形成消費電力算出用テーブルの構成例を示す図である。
【図11】アイドル消費電力算出用テーブルの構成例を示す図である。
【図12】キャリブレーション消費電力算出用テーブルの構成例を示す図である。
【図13】キャリブレーションタイミングテーブルの構成例を示す図である。
【図14】運転計画部が操作者から運転計画作成の指示を受け付けたときに実行する処理の内容を示すフローチャートである。
【図15】機能テーブルの生成処理におけるサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図16】各機能のパラメータの可変処理におけるサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図17】パラメータ可変処理1のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図18】目標消費電力削減率が10%であった場合における画像形成動作テーブルのパラメータ(枚数)の書き換え前後の様子の例を示す図である。
【図19】目標消費電力削減率が10%であった場合におけるアイドル動作テーブルのパラメータ(時間)の書き換え前後の様子の例を示す図である。
【図20】キャリブレーション電力削減のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図21】消費電力量更新処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図22】キャリブレーションタイミングテーブルとキャリブレーション動作テーブルのパラメータの書き換え前後の様子の例を示す図である。
【図23】パラメータ可変処理2のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図24】アイドル動作電力削減のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図25】アイドル動作テーブルにおけるパラメータと消費電力量の書き換え前後の様子の例を示す図である。
【図26】印字枚数優先モードが選択されている場合におけるキャリブレーション電力削減のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図27】画像形成動作電力削減のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図28】パラメータ可変処理3のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図29】利便性優先モードが選択されている場合におけるキャリブレーション電力削減のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図30】予想削減率の算出処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図31】印字枚数優先モードが選択されている場合の運転計画の例を示す図である。
【図32】パラメータ変更受付画面の表示例を示す図である。
【図33】警告表示を行う処理の内容を示すフローチャートである。
【図34】定着部の温調制御の内容を示すフローチャートである。
【図35】定着温度制御のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図36】待機温調制御のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図37】ローパワー温調制御のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図38】スリープ制御のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図39】別の温調制御の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を、タンデム型のカラーデジタル複写機(以下、単に「複写機」という。)を例にして説明する。
(1)複写機の全体構成
図1は、複写機10の全体の概略構成を示す図である。
同図に示すように複写機10は、大きく分けて原稿画像を読み取るスキャナ部11と、読み取った画像を記録用のシートとしての用紙S上にプリントして再現するプリンタ部12とから構成されており、複写(コピー)可能な状態で待機する通常モードと、通常モードよりも待機中の消費電力を削減する節電モードとを切り替え可能になっている。
【0023】
スキャナ部11は、ランプ13と第1ミラー14を有する第1スキャナ28と、第2ミラー15、第3ミラー16を有する第2スキャナ29を備える。原稿台ガラス19上に原稿が載置された状態で第1スキャナ28のランプ13が点灯されると、ランプ13から発せられる光により原稿が照射される。
原稿面からの反射光は、第1ミラー14、第2ミラー15および第3ミラー16により光路変更され、集光レンズ17を介してCCDセンサ18に至る。
【0024】
原稿読取時には、ランプ13が点灯した状態で第1スキャナ28が矢印Aで示す方向に移動され、この際、第2スキャナ29が第1スキャナ28と同方向に、その移動速度の半分の速度で移動するようになっており、これにより原稿面から集光レンズ17までの光路長が常に一定に保たれて、原稿の反射光は、CCDセンサ18の受光面で結像される。
なお、第1スキャナ28および第2スキャナ29は、原稿読取時以外のときには、同図の左側の端部に予め決められたホーム位置に位置しており、原稿読取が開始するとホーム位置から矢印Aで示す方向に移動して、原稿の読み取り(スキャン)を行い、読み取りが終了すると、矢印Aの反対の方向に移動して、ホーム位置に戻るようになっている。
【0025】
CCDセンサ18は、原稿の反射光を受光すると、これを電気信号に光電変換して、赤(R)色、緑(G)色、青(B)色成分の画像信号を得る。得られた画像信号は、制御部60に送られ、プリンタ部12におけるプリント動作に供される。
プリンタ部12は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであり、中間転写部20と、画像プロセス部30と、給送部40と、定着部50と、制御部60を備える。
【0026】
中間転写部20は、矢印Bで示す方向に周回駆動される中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21を張架するローラ群、ここでは駆動ローラ22、従動ローラ23、バックアップローラ24などを有する。
画像プロセス部30は、中間転写ベルト21に対向して中間転写ベルト21の周回方向上流から下流に向かって所定間隔で配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色用の作像部30Y、30M、30C、30Kを備える。
【0027】
作像部30Yは、像担持体の一例としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1を中心にその周囲に配された帯電部2、露光部3、現像部4、1次転写ローラ5、クリーナ6などからなる。他の作像部30M〜30Kについても作像部30Yと同様の構成であり、同図では符号を省略している。
給送部40は、用紙Sを収容する給紙カセット41と、給紙カセット41から用紙Sを繰り出すための繰り出しローラ42と、搬送ローラ対43と、タイミングローラ対44と、2次転写ローラ45などからなる。
【0028】
給紙カセット41に収容可能な用紙Sとしては、例えば普通紙、厚紙などがある。
タイミングローラ対44は、二次転写ローラ45に用紙Sを送出するタイミングをとる。二次転写ローラ45は、二次転写を行うための転写手段であり、転写電圧出力部80から出力される二次転写電圧が印加される。また、後述するキャリブレーション動作において、二次転写ローラ45のクリーニング時には、二次転写電圧とは逆極性の電圧が転写電圧出力部80から二次転写ローラ45に印加されるようになっている。
【0029】
定着部50は、筒状の定着ローラ51と、定着ローラ51に押圧される加圧ローラ52と、定着ローラ51に内挿され、定着ローラ51を熱するヒータ53と、定着ローラ51の表面温度を検出する定着部温度検出センサ54などを備える。
ヒータ53は、電力供給部90からの電力供給を受けて発熱し、電力供給部90は、制御部60からの指示によりヒータ53に電力を供給する。制御部60は、後述のように定着ローラ51の表面温度が通常モードのときには定着温度に維持され、節電モードのときには定着温度よりも低い温度に維持されるように電力供給制御を行う。
【0030】
制御部60は、スキャナ部11から送られて来る各色成分の画像信号に各種の補正等の処理を施した後、Y、M、C、Kの各再現色の画像データに変換し、画像メモリ106(図2参照)に再現色毎に格納し、用紙Sの供給と同期して、所定のタイミングで走査ライン毎に読み出して、作像部30Y〜30Kのそれぞれ(以下、「作像部毎」という。)の露光部3のレーザーダイオードを駆動するための駆動信号を生成する。生成された駆動信号により、作像部毎に露光部3のレーザーダイオードが駆動されてレーザービームが出射され、感光体ドラム1が露光走査される。
【0031】
この露光走査を受ける前に、作像部毎に、感光体ドラム1は、帯電部2により一様に帯電されており、レーザービームの露光により、感光体ドラム1に静電潜像が形成される。作像部毎に、各静電潜像は、現像部4によりトナーで現像され、各色のトナー像は、一次転写ローラ5と感光体ドラム1間に作用する静電力により中間転写ベルト21上に一次転写される。この際、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト21上の同じ位置に重ね合わせて転写されるようにタイミングをずらして実行される。中間転写ベルト21上で重ね合わされた各色トナー像は、中間転写ベルト21の周回によって、二次転写ローラ45が中間転写ベルト21に圧接される二次転写位置46に向かって移動する。
【0032】
上記作像動作のタイミングに合わせて、給送部40からは、タイミングローラ対44を介して用紙Sが給送されて来ており、その用紙Sは、周回駆動される中間転写ベルト21と、これに圧接される二次転写ローラ45の間に挟まれて搬送され、二次転写ローラ45と中間転写ベルト21間に作用する静電力により、中間転写ベルト21上のトナー像が二次転写位置46において一括して用紙S上に二次転写される。
【0033】
二次転写位置46を通過した用紙Sは、定着部50に搬送され、ここでトナー像が加熱、加圧されて用紙Sに定着された後、排出ローラ対47を介して機外に排出され、収容トレイ48に収容される。なお、作像部毎に、感光体ドラム1上に作像されたトナー像のうち、中間転写ベルト21に転写されずに感光体ドラム1に残ったトナー(残留トナー)は、クリーナ6により清掃される。また、中間転写ベルト21上の残留トナーなどの汚れは、クリーナ25により清掃される。
【0034】
上記では、フルカラーのコピージョブを実行する場合の動作を説明したが、モノクロ、例えばK色のコピーを実行する場合には、作像部30Kだけが駆動され、作像部30Y、30M、30Cのそれぞれの感光体ドラム1については中間転写ベルト21から離間される。この離間は、感光体ドラム1Y、1M、1Cと中間転写ベルト21とを接触または離間させるための接離機構(不図示)が駆動されることにより行われる。
【0035】
作像部30Kの感光体ドラム1の周面にK色のトナー像が作像され、作像されたK色のトナー像が中間転写ベルト21に一次転写され、中間転写ベルト21上に転写されたK色のトナー像が二次転写位置46において用紙S上に二次転写される。モノクロコピージョブが終了し、カラーコピージョブが実行される際には、作像部30Y〜30Cのそれぞれの感光体ドラム1が中間転写ベルト21に接触する位置まで戻される。
【0036】
また、スキャナ部11において原稿画像を読み取って原稿の画像データを得るスキャンジョブ、外部のパーソナルコンピュータなどの端末装置からのプリント指示をLANなどのネットワークを介して受け付けて、受け付けたプリント指示に基づいてプリンタ部12でプリントを実行するプリントジョブ、外部の端末装置とファクシミリ通信による送受信を実行するFAXジョブなどの各種ジョブを実行する機能を有する。
【0037】
スキャナ部11の装置正面側であり、ユーザ(操作者)の操作し易い位置には、操作部としての操作パネル70が配置されている。操作パネル70には、例えばコピー枚数やコピー濃度の設定、カラー/モノクロのコピーモードの切り替え、コピー、スキャン、プリント、FAXなどの各種ジョブの選択を行うためのキーや、LCDディスプレイの表面にタッチパネルが設けられてなる液晶表示部71などが備えられている。
【0038】
液晶表示部71には、ジョブの実行状況や装置の状態などの各種の画面の他に、装置の管理者(以下、「操作者」という。)の指示に基づき自装置の運転計画701(図4参照)が表示される。
運転計画701は、過去の所定期間、ここでは現在から過去1ヶ月遡った期間(先月)における実際の消費電力量を目標削減率(例えば、10%など)だけ削減した消費電力量を、今後1ヶ月間(現在から1ヶ月に亘る期間:今月)分の消費電力量とすると仮定したときに、今月分のコピージョブの枚数など各機能が電力削減によって、先月に対してどの程度の制限を受けるかを枚数の上限値などにより示した画面である。
【0039】
操作者は、運転計画701を確認することにより、自己の指定した目標削減率の大きさに基づき、今月ではコピーなどのジョブが節電との関係でどの程度、制限されるのかを知ることができる。運転計画701は、操作者により指定された目標削減率に応じて制御部60により生成され、液晶表示部71に表示される。
中間転写ベルト21の周囲であり、中間転写ベルト21の周回方向に作像部30Kと二次転写位置46の間の位置には、パターン検出センサ9が配設されている。このパターン検出センサ9は、後述する画像安定化動作の際に中間転写ベルト21上に形成された各色の基準パターンを検出するための反射型の光学センサであり、各色の基準パターンの検出信号を制御部60に送る。
(2)制御部の構成
図2は、制御部60の構成を示すブロック図である。
【0040】
同図に示すように制御部60は、主な構成要素として、通信インターフェース(I/F)部101、CPU102、ROM103、RAM104、画像処理部105、画像メモリ106、LD駆動部107、運転計画部108および積算時間記憶部109などを備え、各部は相互に通信可能になっている。
通信I/F部101は、ネットワークに接続するためのインターフェース、例えばLANカード、LANボードなどであり、例えば外部の端末装置からのプリント指示(プリントジョブのデータ)を受信して、受信したデータを画像処理部105に送る。また、公衆電話回線を介して外部のファクシミリ装置とファクシミリ送受信を行うインターフェースとしても機能する。
【0041】
画像処理部105は、スキャナ部11により得られた画像データ、通信I/F部101からのプリントジョブのデータ、ファクシミリ受信したデータをジョブ毎に、Y〜Kの再現色の画像データに変換して、変換した画像データを画像メモリ106に出力して、画像メモリ106内にジョブ単位で格納させる。また、ファクシミリ送信の場合には、スキャナ部11により得られた画像データをファクシミリ送信用のデータに変換した後、通信I/F部101に送り、通信I/F部101を介して宛先にファクシミリ送信される。
【0042】
LD駆動部107は、コピージョブ、プリントジョブの場合に、画像メモリ106に格納されている当該ジョブの画像データに基づき、作像部毎に露光部3の駆動信号を生成して、露光部3のレーザーダイオードを駆動させる。なお、ファクシミリ受信されたデータの駆動信号の生成もコピージョブ等と同様の方法で行われる。
CPU102は、ROM103から必要なプログラムを読み出して、画像処理部105での画像データの変換処理や、画像メモリ106における画像データの書き込み/読み出し、並びにスキャナ部11、画像プロセス部30、給送部40、定着部50などの動作をタイミングを取りながら制御して、円滑なコピー、プリント、スキャン、FAX等の各ジョブを実行させる。また、CPU102は、通常モードと節電モードの切り替えを行う。
(3)通常モードと節電モードについて
通常モードは、定着ローラ51の表面温度を、定着に必要な温度(画像形成を実行可能な温度)である定着温度(例えば、185℃)T1に維持するように制御するモードである。この温度制御は、CPU102により行われる。CPU102は、定着部温度検出センサ54からの検出信号を受信して、定着ローラ51の表面温度をモニターし、定着ローラ51の表面温度が、設定された目標温度、ここではT1に維持されるように、電力供給部90に指示してヒータ53への供給電力を制御、例えば電力供給路の断続等を行う。
【0043】
節電モードは、定着ローラ51の表面温度を、定着温度T1よりも低い節電温度(画像形成を実行できない温度)まで下げるように制御するモードであり、ここでは待機温調制御、ローパワー温調制御、スリープ制御の3つが含まれる。
待機温調制御は、目標温度をT2(例えば、150℃)に設定する制御であり、ローパワー温調制御は、目標温度をT2よりも低いT3(例えば、100℃)に設定する制御であり、それぞれ設定された温度に維持されるようにヒータ53の供給電力が制御される。スリープ制御は、ヒータ53への供給電力を遮断する制御である。スリープ制御では、ヒータ53による消費電力がゼロになる。
【0044】
通常モードから節電モードへの切り替えは、所定の節電移行条件が満たされた場合に行われる。節電モードに切り替えられると、待機温調制御に移行し、待機温調制御中に所定の節電解除条件が満たされない状態が所定時間継続すれば、次にローパワー温調制御に切り替わる。ローパワー温調制御中に所定の節電解除条件が満たされない状態が所定時間継続すると、次にスリープ制御に切り替わる。スリープ制御は、所定の節電解除条件が満たされない状態が継続する限り継続される。節電解除条件としては、コピー等のジョブの指示や操作パネル70への入力の少なくとも1つが受け付けられた場合などがある。
【0045】
節電モード中(待機温調制御中、ローパワー温調制御中、スリープ制御中)に節電解除条件が満たされて節電モードが解除されると、目標温度が定着温度T1に切り替えられてヒータ53により定着ローラ51の表面温度が定着温度T1まで昇温される。
待機温調制御とローパワー温調制御については、それぞれの制御が実行される毎に、温調制御が継続された時間が計測され、計測された時間が積算されて、その積算値が管理されるようになっている。ここでは、待機温調制御の積算時間t1とローパワー温調制御の積算時間t2は、不揮発性の積算時間記憶部109に記憶されている。
【0046】
例えば、待機温調制御が実行されると、待機温調制御が継続された時間が、積算時間記憶部109に現に記憶されている時間t1に加算されて、加算された値が新たな積算時間t1として記憶(更新)される。ローパワー温調制御についても同様である。この積算時間t1とt2は、運転計画が作成される毎に0にリセットされる。
上記では、節電モードにおいて所定の節電解除条件が満たされなければ、待機温調制御、ローパワー温調制御、スリープ制御の順に温調制御が段階的に切り替わることを説明したが、運転計画701の内容によっては、例えばローパワー温調制御をスキップして(行わずに)、待機温調制御とスリープ制御の順に切り替わる場合もあり得る。待機モードと節電モードの切り替え、温調制御の切り替えの内容については、後述する。
(4)画像安定化処理について
CPU102は、さらに、形成画像を長期に亘って高画質に保つための画像安定化処理を実行する。画像安定化処理は、ここでは色ずれを補正するためのレジスト補正と、二次転写クリーニングとが実行される。レジスト補正は、次の手順で実行される。
【0047】
すなわち、(a)中間転写ベルト21上にY〜Kの各色の基準パターンをベルト周回方向に沿って間隔をあけて形成し、形成された各基準パターンをパターン検出センサ9で検出する。(b)パターン検出センサ9の検出信号からK色のパターンの位置を基準に他の色のパターンとのベルト周回方向(副走査方向に相当)の距離を求める。
(c)求めた距離と、位置ずれが発生していない状態における距離との差分から副走査方向における各色の位置ずれ量を算出する。(d)算出された位置ずれ量を作像部毎にその露光部3における画像書き込み開始(露光開始)タイミングの制御変数として、不揮発性の記憶手段(不図示)に格納する。
【0048】
格納された位置ずれ量は、次のジョブ実行の際に読み出され、読み出された位置ずれ量に応じて、位置ずれ(色ずれ)が解消されるようにK色に対するY〜C色の露光開始タイミングが変更される。なお、レジスト補正に限られず、他の処理、例えば感光体ドラム1上の走査ラインの、主走査方向に対するスキューを補正するスキュー補正や、出力画像の濃度が入力画像の濃度に一致するようにレーザーダイオードの光量などを制御するγ補正などを実行するとしても良い。二次転写クリーニングの方法については、後述する。
【0049】
ROM103には、原稿読取や画像形成、画像安定化などの実行可能な各種動作に関する制御プログラムおよび運転計画作成に関する制御プログラムのほか、画像安定化処理のレジスト補正で形成される基準パターンの印字用データなどが格納されている。RAM104は、CPU102のワークエリアとして用いられる。
運転計画部108は、自装置(複写機10)における今月の運転計画を作成する。以下、図3を用いて自装置が実行可能な動作(機能)にどのようなものがあるかを説明した後に、図4以降の各図を用いて、運転計画部108の構成、運転計画の内容や作成方法などを具体的に説明する。
(5)複写機の実行可能な機能について
図3は、複写機10が実行可能な機能を一覧で示した図であり、大きく分けて画像形成、アイドル、キャリブレーションに分類される。
【0050】
画像形成には、コピージョブ、プリントジョブ、スキャンジョブ、FAXジョブが含まれ、アイドルには、待機温調制御、ローパワー温調制御、スリープ制御が含まれる。
キャリブレーションには、初期動作、画像安定化が含まれる。ここで、初期動作とは、電源オン時、カバー開閉、ジャムやトラブル解除の直後など、予め決められた時期に実行される動作であり、例えば第1スキャナ28と第2スキャナ29が本来のホーム位置に位置していない場合にホーム位置まで戻す動作や、中間転写ベルト21と感光体ドラム1の接離機構において両者が離間していれば接触位置まで移動させる動作などが含まれる。各動作は、図示しないモータなどが駆動源になる。
【0051】
画像安定化には、上記のようにレジスト補正と二次転写クリーニングがある。レジスト補正は、ロングとショートの2種類に分けられている。ロングとショートの違いは、レジスト補正において中間転写ベルト21上に形成される基準パターンの個数が異なることである。基準パターンの形成個数が異なる2種類に分けているのは、次の理由による。
すなわち、基準パターンの形成個数を多くすると、個数を少なくするよりも位置ずれ検出の精度を向上することができるが、その一方でパターン形成のために消費されるトナー量が多くなると共にパターン形成に要する時間も長くかかる。
【0052】
レジスト補正実行中は、コピー等のジョブを実行することができず、パターン形成に要する時間が長くなると、レジスト補正の開始から終了までに要する時間も長くなって、操作者の待ち時間が長くなる。
そこで、レジスト補正を実行する間隔として設定された期間が経過する毎に、ロングとショートのレジスト補正を交互に実行することにより、毎回ショートを実行する場合よりも画質向上を図りつつ、毎回ロングを実行する場合よりもトナー消費量と待ち時間の低減を図れるようにしている。実行間隔は、後述のキャリブレーションタイミングテーブル114(図13)において設定され、設定された間隔に従って、画像安定化が実行される。
【0053】
二次転写クリーニングは、二次転写クリーニングを実行する間隔として設定された期間が経過する毎に、二次転写ローラ45の表面の汚れを清掃する動作であり、ここでは中間転写ベルト21を周回駆動させつつ、転写電圧出力部80により二次転写ローラ45に対して画像形成時とは逆極性の電圧を印加させる。
逆極性の電圧とは、例えば、現像剤としてのトナーの帯電極性がマイナスであり、画像形成時の二次転写電圧がプラスであれば、これの逆であるマイナスの電圧になる。マイナスの電圧が印加されることにより、二次転写ローラ45に付着している残留トナーが中間転写ベルト21に移動して、中間転写ベルト21に移動した残留トナーは、中間転写ベルト21の周回駆動によりクリーナ25により清掃される。この二次転写クリーニングの実行間隔は、レジスト補正と同様にキャリブレーションタイミングテーブル114(図13)で設定され、設定された間隔に従って、二次転写クリーニングが実行される。なお、画像安定化としては、レジスト補正と二次転写クリーニング以外にも上記のようにγ補正などを実行できるが、形成画像の画質を一定に維持するためのものであれば良く、これらのうち、少なくとも1つとするとしても良い。
(6)運転計画について
図4は、運転計画部108により作成された運転計画701を示す画面の表示例を示す図であり、図5は、運転計画部108の構成を示す図である。
(6−1)運転計画701の内容
図4に示すように、運転計画701には、目標消費電力削減率を示す欄711と、削減モードを示す欄712と、枚数を示す欄713と、温調を示す欄714と、消費電力削減を示す欄715と、印刷画質を示す欄716が設けられている。
【0054】
欄711には、操作者により操作パネル70上で指定された目標消費電力削減率(以下、「目標削減率」という。)Zが表示される。目標削減率Zは、過去の所定期間、ここでは先月における総消費電力量Wa(実績値)に対する削減比率を示しており、例えば10〔%〕などの数値で表される。総消費電力量Waに(1−Z/100)を乗算した値が、今月における目標の総消費電力量Wcになる。
【0055】
欄712には、操作者により操作パネル70において選択された削減モードが表示される。削減モードには、異なる複数種類があり、ここでは均等モード、印字枚数優先モード、利便性優先モードがある。操作者により選択されたモードがハイライト表示(同図では、均等モードが選択された例を示している。)されるようになっている。
削減モードは、画像形成に係る第1機能(図3の画像形成機能に含まれるコピーやFAX等)の消費電力量と、画像形成以外の第2機能(図3のアイドル機能に含まれる待機温調やキャリブレーション機能に含まれる画像安定化等)の消費電力量をそれぞれ削減しようとする際の、第1機能と第2機能の削減割合を規定するモードである。
【0056】
(a)均等モードは、画像形成に係る第1機能の消費電力量と、画像形成以外の第2機能の消費電力量との削減割合を、第1機能と第2機能とで均等にするモードである。
具体的には、例えば目標削減率Zを10〔%〕とすると、均等モードでは、第1機能と第2機能のそれぞれについて、先月の消費電力量(実績)を一律に10〔%〕カットした電力量を目標にして、運転計画701が作成される。
【0057】
今月の消費電力量(目標)を先月の消費電力量(実績)よりも10〔%〕削減しようとすれば、削減される電力量の分、実行可能な機能が制限されることになる。
例えば、コピー機能が制限される場合には、コピージョブにより使用された先月の用紙枚数が10000枚であったとすると、先月よりも消費を許される電力量が10〔%〕少なくなった分だけ、コピージョブにおける今月の使用予定枚数が先月の10000枚よりも少ない枚数に制限されることになる。
【0058】
また、第2機能の待機温調が制限される場合いは、仮に待機温調制御の実行時間(積算)が先月では10時間であったが、10〔%〕の電力削減により今月では待機温調制御に9時間分の電力量しか充当できなくなるとすれば、今月の待機温調制御の実行予定時間が先月より1時間だけ少ない時間に制限されることになる。
均等モードは、第1機能と第2機能を一律に同じ削減割合で消費電力量を削減しようとするモードなので、第1機能と第2機能に対して消費電力の削減について特に優劣をつけないことを希望する操作者に選択されることが考えられる。
【0059】
なお、本実施の形態では、今月での待機温調制御の時間が、例えば9時間に制限された場合には、今月中に待機温調制御の積算時間が9時間に達すると待機温調制御を禁止して、これ以降には待機温調よりも低温のローパワー温調制御に切り替える制御を実行する。待機温調の継続により消費電力量が増大することを防止するためである。
なお、待機温調制御が禁止されると、節電モードではローパワー温調制御とスリープ制御だけになり、ローパワー温調制御は、待機温調制御よりも定着ローラ51の温度が低温に維持されるので、それだけ通常モードへの復帰(定着温度T1への昇温)に要する時間が長くなる。従って、操作者が節電モードを解除する操作を行った後、装置が通常モードに戻ってからコピー等を行おうとする場合、操作者にとって節電解除から通常モードに戻るまでの待ち時間が長くなり、その分、操作者の利便性が低下することになる。
【0060】
(b)印字枚数優先モードは、消費電力量の削減割合を第2機能よりも第1機能の方を小さくしたモードである。第1機能(コピーやプリントなど)の消費電力量の削減割合が小さいということは、コピーやプリントジョブなどに対して電力削減による制限がかかり難く、第2機能(待機温調など)に対しては電力削減による制限がかかり易くなることを意味する。このことから、印字枚数優先モードは、コピー等の画像形成を優先(画像形成の方に比重をおくこと)を希望する操作者に選択されることが考えられる。
【0061】
(c)利便性優先モードは、消費電力量の削減割合を第1機能よりも第2機能の方を小さくしたモードである。第2機能の消費電力量の削減割合が小さいということは、節電モード中における待機温調などの制御に対して電力削減による制限がかかり難く、コピー等の第1機能に対しては電力削減による制限がかかり易くなることを意味する。
例えば、上記のように待機温調制御に電力削減による制限がかかって待機温調制御が禁止されると、節電モードではローパワーとスリープだけになる。従って、待機温調制御が禁止されない場合に比べると、コピー等を行おうとする操作者による節電解除の操作から通常モードに復帰するまでに要する時間が長くなって、操作者にとって待ち時間も長くなる。これに対して、利便性優先モードでは待機温調制御に制限がかかり難くなるので、操作者の待ち時間が長くなることが抑制され易くなる。
【0062】
このことから、利便性優先モードは、待ち時間が長くなることの抑制による使い勝手を優先すること(待ち時間が少ないことによる利便性の方に比重をおくこと)を希望する操作者に選択されることが考えられる。
欄713には、コピー等の第1機能における今月分の計画枚数(上限に相当)を示す欄731と、第1機能の計画枚数に基づく予想消費電力量の、今月の予想消費電力量Wbに対する割合を示す欄732が設けられている。予想消費電力量Wbとは、今月に運転計画701の通りにコピー等の各ジョブが実行されると仮定したときの総消費電力量を示している。予想消費電力量Wbの算出方法については後述する。
【0063】
欄714には、今月分の温調時間や温調温度などを示す欄741と、アイドル機能による予想消費電力量の、今月の予想消費電力量Wbに対する割合を示す欄742と、ファーストプリントタイムを示す欄743が設けられている。
欄741には、待機温調時間(上限値に相当)を示す欄781、待機温調制御による目標温度を示す欄782、ローパワー温調時間(上限値に相当)を示す欄783、ローパワー温調制御による目標温度を示す欄784が含まれている。
【0064】
欄743のファーストプリントタイムは、自装置における先月分のファーストプリントタイムの実測値(平均値)を示しており、1枚目に給紙されたシートの給紙開始から当該1枚目のシートの後端が排出ローラ対47を通過するまでに要する時間に相当する。給紙開始から内部タイマーにより計時を開始し、排出ローラ対47の近辺に配されたセンサ(不図示)によりシート後端が検出されるまでの時間が計測されて、その平均値が内部メモリ(不図示)に記憶され、運転計画701の作成時に読み出される。
【0065】
欄715には、今月の予想消費電力量Wbを示す欄751、今月の、先月に対する予想削減率Z1を示す欄752が設けられている。予想削減率Z1は、今月の予想消費電力量Wbの、先月の総消費電力量Waに対する割合である。
また、欄715には、先月の総消費電力量Waと今月の予想消費電力量Wbとの大きさの関係を棒グラフで示す領域753が設けられている。
【0066】
欄716には、印刷画質が標準と低画質のうち、いずれかが選択されているのかを示す欄761と、キャリブレーション機能による予想消費電力量の、今月の予想消費電力量Wbに対する割合を示す欄762が設けられている。
印刷画質の低画質とは、画像安定化の実行間隔が標準用の設定間隔よりも目標削減率Zの大きさに応じて長い間隔に設定されるモードである。
【0067】
画像安定化は、コピー等の動作回数や時間が増えるに連れて作像部において徐々に再現画像の画質が低下していくのを、劣化と認められる画質にまで低下する前に元の高い画質まで戻すために実行される処理である。従って、前回から次の画像安定化までの間隔が長くなると、それだけ画質が低下され易くなるが、その一方で単位期間当たりの画像安定化の実行回数が少なくなるので、画像安定化の実行中のためにコピー等のジョブが実行できなくなることの発生頻度が減ることになる。
【0068】
このことから、低画質は、ある程度の画質低下を許容しつつ、画像安定化のためにコピー等の実行が制限されることを望まない操作者に選択されることが考えられる。操作者は、印刷画質の標準と低画質を操作パネル70への入力操作により選択することができる。選択結果を示す情報は、不揮発性の内部メモリ(不図示)に保存され、運転計画701の表示の際などに読み出されて、その情報に示される画質が欄716にハイライト表示で示される。図4は、標準が選択されている例を示している。
(6−2)運転計画部108の構成
図5に示すように、運転計画部108は、主な構成要素として、電力削減率受付部121と、削減モード選択受付部122と、運転計画作成指示受付部123と、運転計画表示指示部124と、動作履歴管理部125と、日時管理タイマー126と、機能テーブル生成部127と、機能テーブル記憶部128と、電力算出用テーブル記憶部129と、先月分消費電力量算出部130と、今月分目標電力量算出部131と、運転計画作成部132と、運転計画更新部133とを備える。
【0069】
電力削減率受付部121は、操作パネル70を介して操作者により指定された目標削減率Z(削減すべき電力の大きさに相当)を受け付ける。
削減モード選択受付部122は、異なる複数種類の消費電力の削減モード、ここでは均等モード、印字枚数優先モード、利便性優先モードのうち、いずれか1つのモードの、操作者による選択を操作パネル70を介して受け付ける。
【0070】
運転計画作成指示受付部123は、操作者により操作パネル70上において運転計画の作成の指示がキー入力等でなされると、その指示があった旨を操作パネル70から受け付け、運転計画を作成する処理(図14参照)を実行する。
運転計画表示指示部124は、運転計画作成部132により作成された運転計画表示用のデータに基づいて操作パネル70の液晶表示部71に運転計画を表示させる。
【0071】
動作履歴管理部125は、自装置における過去の動作履歴をテーブル形式で記憶、更新等を行って管理する。図6は、動作履歴テーブル120の構成例を示す図である。
同図に示すように、動作履歴テーブル120は、日時、機能名、パラメータの各欄が設けられてなる。日時欄には、実行された機能動作の開始と終了のそれぞれの日付と時刻が書き込まれている。機能名欄には、実行された機能を特定するための機能名が書き込まれている。パラメータ欄には、実行される機能に要する消費電力量の大きさに影響を与えたパラメータ、例えばコピーであればコピー枚数、待機温調であれば時間、画像安定化であれば回数などを示す情報が書き込まれている。
【0072】
各機能について動作の開始から終了までを1つの単位として、機能毎に日時欄、機能名欄、パラメータ欄の情報が対応付けされている。新たな機能が実行される毎に、その機能の日時、機能名、パラメータが対応付けされてなる履歴情報が動作履歴テーブル120に追加されていき、動作履歴テーブル120の内容が更新される。
現在、どのジョブや温調制御を実行しているのかは、CPU102によって管理されるので、動作履歴管理部125は、CPU102からジョブや温調制御の開始、終了の情報を取得して、履歴情報を更新していく。なお、待機温調、ローパワー温調、スリープについては、それぞれがパラメータ欄にその実行時間(日時欄の開始時刻から終了時刻までの時間)が書き込まれる。
【0073】
上記の履歴情報は、運転計画701の作成に用いられ、本実施の形態では先月分の履歴情報が利用されることから、少なくとも先月分の履歴情報があれば良く、例えば2ヶ月以前の履歴情報については期間経過毎に消去して行くとしても良い。
図5に戻り、日時管理タイマー126は、現在の日時を計時するために用いられると共に、各動作の実行開始時から終了時までの経過時間を計測するためにも用いられる。
【0074】
機能テーブル生成部127は、動作履歴管理部125の動作履歴テーブル120を参照して、図7に示す画像形成動作テーブル111、図8に示すアイドル動作テーブル112、図9に示すキャリブレーション動作テーブル113を生成する。
(6−3)画像形成動作テーブル111について
図7に示すように画像形成動作テーブル111には、機能名とパラメータ(枚数)と消費電力量の各欄が設けられている。機能名とパラメータ(枚数)は、動作履歴テーブル120の機能名とパラメータに対応している。
【0075】
機能テーブル生成部127は、現在の日時と動作履歴テーブル120に書き込まれている履歴情報の過去の日時とに基づいて、履歴情報の中から先月分に対応する履歴を特定し、特定した先月分の履歴のうち、機能名欄に書き込まれている複数の機能の中から、機能名が「コピー:カラー普通紙」であるものを検索する。検索により「コピー:カラー普通紙」の機能が見つかった場合には、見つかった「コピー:カラー普通紙」のそれぞれのパラメータ(コピー枚数)を合計する。この合計値は、自装置における先月の「コピー:カラー普通紙」のジョブで使用されたトータルのコピー枚数(実績値)を表している。
【0076】
機能テーブル生成部127は、合計値を画像形成動作テーブル111の機能名「コピー:カラー普通紙」に対応するパラメータ欄に書き込む。図7の例では、合計値が1000枚であることを示している。なお、検索により見つからなかった場合には、合計値としてゼロ(0)が書き込まれる。検索により見つからなかった場合に合計値にゼロが書き込まれるのは、後述する他の機能についても同じである。
【0077】
同様に、機能名が「コピー:モノクロ普通紙」〜「FAX受信」までの各機能について、機能毎に順次、上記の検索、パラメータの値の合計、画像形成動作テーブル111への書き込みの処理を実行する。これにより、各機能のパラメータ(枚数)欄に数値が書き込まれることになる。この意味で、パラメータ(枚数)を示す数値は、これに対応する機能が先月(過去の所定期間内)において実行される毎に当該機能が1回実行されたことを示す量を積算した値に相当するものといえる。
【0078】
そして、機能別に、先月分の消費電力量を計算し、計算値を画像形成動作テーブル111の当該機能名に対応する消費電力量の欄に書き込む。図7では、例えば「コピー:カラー普通紙」に対する先月分の消費電力量が100(kWh)であったことを示している。
消費電力量の計算は、パラメータ(枚数)欄に書き込まれている数値(枚数)に、用紙1枚当たりの処理に要する消費電力量(単位枚数当たりの消費電力量:kWh/枚)を乗算する方法がとられる。単位枚数当たりの消費電力量は、図10に示す画像形成消費電力算出用テーブル151を参照することにより取得される。
【0079】
なお、図10では、コピー動作に対する単位枚数当たりの消費電力量を示す情報だけを抜き出して示しているが、プリント〜FAXの機能の各動作に対する単位枚数当たりの消費電力量を示す情報も画像形成消費電力算出用テーブル151に書き込まれている。
単位枚数当たりの消費電力量は、予め実験などから当該機能を実行すれば消費されるであろう電力として求められ、画像形成消費電力算出用テーブル151に書き込まれたものである。画像形成消費電力算出用テーブル151は、電力算出用テーブル記憶部129に記憶されている。
(6−4)アイドル動作テーブル112について
図8に示すようにアイドル動作テーブル112には、機能名とパラメータと消費電力量の各欄が設けられている。機能名とパラメータは、動作履歴テーブル120の機能名とパラメータに対応している。
【0080】
機能テーブル生成部127は、画像形成動作テーブル111の生成と同様の方法を用いて、アイドル動作テーブル112を生成する。すなわち、動作履歴テーブル120に書き込まれている履歴情報(先月分)のうち、機能名欄に書き込まれている複数の機能の中から、機能名で「待機温調」を検索する。検索で「待機温調」が見つかった場合には、見つかった「待機温調」のそれぞれのパラメータ(時間)を合計する。この合計値は、自装置における先月の「待機温調」のトータルの実行時間(実績値)を表している。
【0081】
機能テーブル生成部127は、合計値をアイドル動作テーブル112の機能名の「待機温調」に対応するパラメータ(時間)欄に書き込む。図8は、10時間である例を示している。ローパワー温調制御とスリープ制御の各機能についても、待機温調と同様の方法で各機能のパラメータ(時間)が先月分の履歴情報に基づき書き込まれる。この意味で、パラメータ(時間)を示す数値は、これに対応する機能が過去の所定期間内において実行される毎に当該機能が1回実行されたことを示す量を積算した値に相当するものといえる。
【0082】
なお、待機温調とローパワー温調のパラメータ(温度)欄には、履歴情報とは関係なく、各温調の設定温度であるT2、T3を示す情報が書き込まれる。図8では、待機温調がT2=150(℃)、ローパワー温調がT3=100(℃)である例を示している。
そして、待機温調とローパワー温調の各機能について、先月分の消費電力量を計算し、その計算値を消費電力量の欄に書き込む。
【0083】
消費電力量の計算は、パラメータ(時間)欄に書き込まれている時間に、パラメータ(温度)欄に書き込まれている温度で温調制御する場合の単位時間当たりの消費電力量(kWh/時間)を乗算する方法がとられる。単位時間当たりの消費電力量は、図11に示すアイドル消費電力算出用テーブル152を参照することにより取得される。
この単位時間当たりの消費電力量は、予め実験などから当該温調制御を実行すれば消費されるであろう電力として求められ、アイドル消費電力算出用テーブル152に書き込まれたものである。アイドル消費電力算出用テーブル152は、電力算出用テーブル記憶部129に記憶されている。なお、スリープ制御については、上記のようにヒータ53への電力供給が遮断されるので、消費電力量は計算されない。
(6−5)キャリブレーション動作テーブル113について
図9に示すようにキャリブレーション動作テーブル113には、機能名とパラメータ(回数)と消費電力量の各欄が設けられている。機能名とパラメータは、動作履歴テーブル120の機能名とパラメータに対応している。
【0084】
機能テーブル生成部127は、上記と同様の方法によりキャリブレーション動作テーブル113を生成する。すなわち、動作履歴テーブル120に書き込まれている履歴情報(先月分)のうち、機能名欄に書き込まれている複数の機能の中から、機能名で「初期動作」を検索し、検索された「初期動作」のパラメータ(回数)を合計する。この合計値は、自装置における先月の「初期動作」のトータルの実行回数(実績値)を表している。
【0085】
機能テーブル生成部127は、合計値をキャリブレーション動作テーブル113の機能名の「初期動作」に対応するパラメータ(回数)欄に書き込む。図9は、25回である例を示している。画像安定化のレジスト補正、二次転写クリーニングの各動作についても同様に、パラメータ(回数)が先月分の履歴情報に基づいて書き込まれる。
そして、初期動作、レジスト補正(ロングとショート)、二次転写クリーニングの各機能について、先月分の消費電力量を計算し、その計算値を消費電力量の欄に書き込む。
【0086】
消費電力量の計算は、パラメータ(回数)欄に書き込まれている回数に、単位回数当たりの消費電力量(kWh/回数)を乗算する方法がとられる。単位回数当たりの消費電力量は、図12に示すキャリブレーション消費電力算出用テーブル153を参照することにより取得される。
この単位回数当たりの消費電力量は、予め実験などから当該動作を実行すれば消費されるであろう電力として求められ、キャリブレーション消費電力算出用テーブル153に書き込まれたものである。キャリブレーション消費電力算出用テーブル153は、電力算出用テーブル記憶部129に記憶されている。
【0087】
この意味で、画像形成動作テーブル111、アイドル動作テーブル112、キャリブレーション動作テーブル113は、過去の所定期間内に実行された機能毎に、機能名と機能の実行による消費電力量の大きさに影響を与えたパラメータとを対応付けた情報が書き込まれてなるテーブルであるといえる。
生成された画像形成動作テーブル111、アイドル動作テーブル112、キャリブレーション動作テーブル113は、機能テーブル記憶部128に記憶される。
【0088】
機能テーブル記憶部128には、画像安定化と二次転写クリーニングの実行間隔が書き込まれているキャリブレーションタイミングテーブル114が設けられている。
図13は、キャリブレーションタイミングテーブル114の構成例を示す図であり、同図の例では、レジスト補正の実行間隔が1000枚ごと、二次転写クリーニングの実行間隔が300枚毎にそれぞれ設定されていることが判る。なお、画像安定化は、画像形成が実行されていない期間に実行される。レジスト補正は、ロングとショートが設定間隔、同図の例では1000枚のシートに対する画像形成が実行される毎に実行される。例えば、画像形成動作の実行中に画像安定化の実行時期に到達した場合には、一時的に画像形成を中断して画像安定化が割り込まれ、画像安定化の終了後、中断された画像形成が再開される。二次転写クリーニングについても同様である。
(6−6)先月分消費電力量算出部130について
図5に戻って、先月分消費電力量算出部130は、画像形成動作の先月分の消費電力量P1、アイドル動作の先月分の消費電力量P2、キャリブレーション動作の先月分の消費電力量P3を算出して、算出したP1、P2、P3を足し合わせ、足し合わせた値を先月分の総消費電力量Waとして算出する。総消費電力量Waは、先月の実績値となる。
【0089】
消費電力量P1の算出は、画像形成動作テーブル111に書き込まれている各機能による消費電力量の全てを足し合わせることにより行われる(図7に記載の合計欄191のP1参照)。同様に、消費電力量P2(P3)の算出は、アイドル動作テーブル112(キャリブレーション動作テーブル113)に書き込まれている各機能による消費電力量の全てを足し合わせることにより行われる(図8に記載の合計欄192のP2、図9に記載の合計欄193のP3参照)。
(6−7)今月分目標電力量算出部131について
今月分目標電力量算出部131は、先月分消費電力量算出部130により算出された先月分の総消費電力量Waに(1−Z/100)を乗算して、今月の目標の総消費電力量Wcを求める。Zは、電力削減率受付部121で受け付けられた目標削減率〔%〕である。
(6−8)運転計画作成部132について
運転計画作成部132は、目標の総消費電力量Wcを目標に、今月の消費電力を削減できるように、削減モード選択受付部122で受け付けられた削減モード(均等、印字枚数優先、利便性優先のいずれか)に対して予め決められた電力削減の規則に従って、画像形成動作テーブル111、アイドル動作テーブル112、キャリブレーション動作テーブル113のそれぞれに書き込まれている先月分の各機能に対するパラメータを可変させ、可変後のパラメータを今月のコピー枚数や温調時間等の上限値で示す運転計画701を作成する。
【0090】
パラメータは、上記のように各機能の実行に要する消費電力量の大きさに影響を与えるものなので、消費電力量を削減する方向にパラメータを変更することにより、先月と同じ動作を今月も実行すると仮定した場合に、その機能の実行に要する消費電力量を削減して、今月の消費電力量を目標の総消費電力量Wcに近づけることができる。
また、運転計画作成部132は、可変後のパラメータに基づき今月の予想消費電力量Wbを算出し、算出した予想消費電力量Wbの、先月分の総消費電力量Waに対する比を予想削減率Z1として算出する。算出された予想削減率Z1は運転計画701に示される。
(6−9)運転計画更新部133について
運転計画更新部133は、運転計画作成部132において作成された運転計画701に示される各パラメータについて、操作者からの変更要求を受け付け、変更要求を受け付けると、画像形成動作テーブル111とアイドル動作テーブル112に現に書き込まれている値を、操作者により変更された値に書き換える(更新する)。
【0091】
運転計画作成部132は、パラメータが更新されると、更新後のパラメータに基づき、今月の予想消費電力量Wbを算出し直して、算出し直した予想消費電力量Wbの、先月分の総消費電力量Waに対する比を示す予想削減率を算出し直す。変更後のパラメータおよび算出し直した予想削減率Z2を含む運転計画701aを作成して、液晶表示部71の画面表示を、変更前の運転計画701から運転計画701aに切り替える旨の指示を、運転計画表示指示部124に指示して、画面表示を切り替えさせる。操作者は、自己の希望によりパラメータを変更した後の運転計画701aを確認することができる。
(6−10)運転計画作成の指示を受け付けたときに実行する処理について
図14は、運転計画部108が操作者から運転計画作成の指示を受け付けたときに実行する処理の内容を示すフローチャートである。
【0092】
同図に示すように、機能テーブルの生成を行う(ステップS1)。
図15は、機能テーブルの生成処理におけるサブルーチンの内容を示すフローチャートである。図15に示すように、先月分の画像形成動作テーブル111(図7)を生成する(ステップS21)。このテーブル生成は、機能テーブル生成部127により上記の方法により実行される。次のアイドル動作テーブル112とキャリブレーション動作テーブル113のそれぞれの生成についても同様である。
【0093】
ステップS22では、先月分のアイドル動作テーブル112(図8)を生成し、ステップS22では、先月分のキャリブレーション動作テーブル113(図9)を生成する。
そして、生成した各テーブル111〜113を機能テーブル記憶部128に記憶させて(ステップS24)、メインルーチンにリターンする。なお、機能テーブル記憶部128に既に同じ名称のテーブルが記憶されている場合には、上書きするとしても良いし、現時点で生成したテーブルを今月の運転計画用であることを識別する情報(日付など)を対応付けて記憶することにより、既に記憶されているテーブル(過去のもの)と区別して管理するとしても良い。
【0094】
図14に戻って、ステップS2では、先月の総消費電力量Waを算出する。この算出は、先月分消費電力量算出部130により行われる。具体的には、機能テーブル記憶部128に記憶されている画像形成動作テーブル111、アイドル動作テーブル112、キャリブレーション動作テーブル113を参照して、画像形成動作の消費電力量P1、アイドル動作の消費電力量P2、キャリブレーション動作の消費電力量P3を足し合わせた値を先月の総消費電力量Waとする処理を行う。求めた総消費電力量Waを示す情報は、内部メモリ(不図示:以下、「内部メモリ」と表記する。)に記憶され、後述のステップS64などで読み出されることにより利用される。
【0095】
ステップS3では、操作者が操作パネル70を用いて指定した今月の目標削減率Zの入力を受け付ける処理を行う。この処理は、電力削減率受付部121により実行される。ステップS4では、均等、印字枚数優先、利便性優先における3つの削減モードのうち、操作者が操作パネル70を用いて選択した削減モードの選択入力を受け付ける処理を行う。この処理は、削減モード選択受付部122により実行される。
【0096】
ステップS3、S4での操作者からの入力を受け付けは、操作パネル70の液晶表示部71に、操作者が目標削減率Zの指定と削減モードの選択を行うための画面(不図示)を表示させて、表示された画面から操作者による指定や選択の入力を受け付ける方法がとられる。なお、操作者による指定や選択等の操作入力を受け付けることができれば良く、他の方法、例えば指定等のためのキー押下の入力を受け付ける方法などを用いるとしても良い。受け付けた情報は、内部メモリに記憶されて、次のステップS5などで読み出されることにより利用される。
【0097】
ステップS5では、各機能のパラメータの可変処理を行う。
図16は、各機能のパラメータの可変処理におけるサブルーチンの内容を示すフローチャートである。同図に示すように、上記のステップS4で選択された削減モードが均等モードであるか否かを判断する(ステップS31)。
均等モードであることを判断すると(ステップS31で「YES」)、パラメータ可変処理1を実行して(ステップS32)、メインルーチンにリターンする。
(6−11)均等モード
図17は、パラメータ可変処理1のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0098】
同図に示すように、画像形成動作テーブル111において機能名毎にそのパラメータ(枚数)欄に書き込まれている枚数を、一律に目標削減率Zと同じ比率だけ削減した枚数を算出して、算出した枚数に書き換える処理を行う(ステップS101)。
図18は、目標削減率Zが10%であった場合における画像形成動作テーブル111のパラメータ(枚数)の書き換え前後の様子の例を示す図であり、図18(a)は書き換え前を、図18(b)は書き換え後をそれぞれ示している。
【0099】
図18(a)の書き換え前では、各機能名のうち、例えば「コピー:カラー普通紙」のパラメータが1000枚であったのに対して、図18(b)の書き換え後では、パラメータが900枚になっていることが判る。他の機能名のパラメータについても同様に、書き換えの前後で数値が10%だけ少なくなっている。なお、目標削減率Zと同じ比率だけ枚数を削減するとしたが、例えば、Zに所定値(例えば+1または−1)を足し合わせた値を用いることもできる。所定値は、予め設定されていても良いし、操作者が任意に操作パネル70等を用いて設定可能としても良い。
【0100】
図17に戻って、ステップS102では、機能名毎に、書き換え後のパラメータに基づいて消費電力量の算出を行い、画像形成動作テーブル111の消費電力量の欄に現に書き込まれている消費電力量を、算出された消費電力量に書き換える。パラメータの数値に基づく消費電力量の算出は、上記の方法と同じ方法により実行される。
図18(a)において、例えば機能名「コピー:カラー普通紙」では、書き換え前では、パラメータが1000枚、消費電力量が100〔kWh〕であったのに対して、図18(b)の書き換え後では、パラメータが900枚に少なくなったことにより、消費電力量が90〔kWh〕に低減されていることが判る。他の機能名における消費電力量についても同様に、パラメータの削減により消費電力量が低減されていることが判る。これにより合計の総消費電力量P1の大きさも、パラメータの書き換えにより10%削減されることになる。なお、パラメータ可変後における合計の総消費電力量P1の算出と書き換えは、後述の予想削減率Z1の算出処理(ステップS6)において実行される。このことは、次に説明するアイドル動作テーブル112(図19)、キャリブレーション動作テーブル113(図22)について同様である。
【0101】
従って、コピー〜FAXのそれぞれの機能について、その機能で使用されるべきシート枚数の今月分の上限を、書き換え後のパラメータとして、今月の使用枚数がそのパラメータの数値を超えなければ、先月に対して10%の消費電力を削減できることになる。
なお、図18では、画像形成動作テーブル111の右端に「割合」欄が記載されているが、この「割合」とは、各機能名における消費電力量の、合計欄191に記載の消費電力量P1に対する割合を示している。この「割合」欄は、P1に対する消費電力量の目安を示すために記載したものであり、実際にはテーブル構成に含まれなくても構わない。
【0102】
図17に戻って、ステップS103では、アイドル動作テーブル112において機能名毎にそのパラメータ(時間)欄に書き込まれている時間を、一律に目標削減率Zと同じ比率だけ削減した時間を算出して、算出した時間に書き換える処理を行う。
図19は、目標削減率Zが10%であった場合におけるアイドル動作テーブル112のパラメータ(時間)の書き換え前後の様子の例を示す図であり、図19(a)は書き換え前を、図19(b)は書き換え後をそれぞれ示している。
【0103】
図19に示すように、各機能名のうち、例えば「待機温調」を見ると、図19(a)の書き換え前では、時間が10時間であったのに対して、図19(b)の書き換え後では、パラメータが10%の削減により9時間になっていることが判る。「ローパワー温調」についても同様に、書き換えの前後でパラメータ(時間)が10%だけ低減されている。なお、スリープは、ヒータ53への通電が遮断され、スリープの時間を削減しても電力量の削減にならないことから、パラメータの削減の対象にならず、数値は書き換えられない。
【0104】
図17に戻って、ステップS104では、機能名毎に、書き換え後のパラメータに基づいて消費電力量の算出を行い、アイドル動作テーブル112の消費電力量の欄に現に書き込まれている消費電力量を、算出された消費電力量に書き換える。パラメータの数値に基づく消費電力量の算出は、上記の方法と同じ方法により実行される。
図19(a)において、例えば機能名「待機温調」では、書き換え前では、消費電力量が35〔kWh〕であったのに対して、図19(b)の書き換え後では、温調温度が150〔℃〕で変わらず、パラメータ(時間)が10時間から9時間に少なくなったことにより、消費電力量が31.5〔kWh〕に低減していることが判る。ローパワー温調における消費電力量についても同様に、パラメータの削減により消費電力量が低減されている。
【0105】
これにより、待機温調とローパワー温調について、その温調時間(積算)の今月分の上限を、書き換え後のパラメータとして、今月の温調時間(積算)がそのパラメータの数値を超えなければ、先月に対して10%の消費電力を削減できることになる。
アイドル動作テーブル112に書き込まれているパラメータ(温度)が節電モードにおける待機温調制御の目標温度T2になり、ローパワー温調制御の目標温度T3になる。なお、上記では、温調時間だけを目標削減率Zと同じ比率だけ短縮するとしたが、これに代えて、例えば目標温度を、画像形成と均等に削減すべき消費電力量に相当する温度だけ下げるとすることもできる。また、温度と時間の両方を下げる(短縮する)としても良い。
【0106】
図17に戻って、ステップS105では、キャリブレーション電力削減を行って、メインルーチンにリターンする。
図20は、キャリブレーション電力削減のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。同図に示すように、印刷画質として標準と低画質のうち、低画質が選択されているか否かを判断する(ステップS111)。この判断は、上記の内部メモリに保存されている、操作者による画質の選択結果を示す情報を読み出すことにより行われる。なお、目標削減率Zの受け付けと同様に、操作者からの選択を現時点で操作パネル70を介して受け付ける方法をとるとしても構わない。
【0107】
低画質が選択されていない、すなわち標準が選択されていることを判断すると(ステップS111で「NO」)、そのままメインルーチンにリターンする。
低画質が選択されていることを判断すると(ステップS111で「YES」)、変数Q(百分率で示される値)を目標削減率Zの値に設定して、(ステップS112)、消費電力量更新処理(ステップS113)を実行した後、メインルーチンにリターンする。
【0108】
図21は、消費電力量更新処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、キャリブレーションタイミングテーブル114に書き込まれているレジスト補正の実行間隔Pxと、二次転写クリーニングの実行間隔Pyを、設定された変数Qの値だけ長く伸ばした値を算出し、現に書き込まれている実行間隔Px、Pyを、算出した値に書き換える(ステップS121)。
【0109】
図22(a)は、変数Qの値(=目標削減率Z)が10%であった場合におけるキャリブレーションタイミングテーブル114のパラメータ(間隔)の書き換え前後の様子の例を示す図であり、書き換え前では、例えばレジスト補正のパラメータ(間隔)Pxが1000枚ごとであったのに対して、書き換え後では1100枚になっていることが判る。実行間隔が長くなるということは、それだけ単位期間当たりに実行されるレジスト補正の回数が少なくなるので、単位期間当たりで見るとレジスト補正に要する消費電力量が低減されるが、その一方で上記のように画質面では基準の1000枚の場合に比べて、ある程度は低下することになる。このことは、二次転写クリーニングについても同様である。レジスト補正と二次転写クリーニングは、上記の実行間隔毎に実行されるように制御される。
【0110】
なお、印刷画質が操作者の操作により、低画質から標準に切り替えられると、レジスト補正と二次転写クリーニングのパラメータ(間隔)がそれぞれ基準値、ここでは1000枚ごと、300枚ごと(図13で示す状態)に自動的に戻されるようになっている。
図21に戻り、ステップS122では、パラメータ可変後のコピー機能、プリント機能、FAX受信機能におけるシートの総枚数Pzを算出する。この算出は、画像形成動作テーブル111におけるコピー機能、プリント機能、FAX受信機能のパラメータ(枚数)欄に現に書き込まれている枚数(パラメータ可変後の枚数)を足し合わせることにより行われる。
【0111】
そして、ステップS121で書き換えられた実行間隔Px、Pyと、ステップS122で算出された総枚数Pzとから、レジスト補正の今月の実行予定回数Paと、二次転写クリーニングの今月の実行予定回数Pbを算出する(ステップS123)。この算出は、総枚数Pzを実行間隔Px、Pyでそれぞれ除することにより行われる。例えば、総枚数Pzが6600枚、レジスト補正の実行間隔Pxが1100枚であったと仮定すると、実行予定回数Paは6回になる。なお、レジスト補正は、ロングとショートが交互に実行されるので、実行予定回数Paが6回であれば、ロング3回、ショート3回になる。
【0112】
キャリブレーション動作テーブル113のパラメータ欄に現に書き込まれている回数の値を、算出された実行予定回数Pa、Pbに書き換える(ステップS124)。図22(b)は、パラメータ(回数)の書き換え前後の様子の例を示す図であり、パラメータ(回数)の書き換え前にはレジスト補正が8回(4回+4回)、二次転写クリーニングが25回であったのに対して、書き換え後にはレジスト補正がPa=6回(3回+3回)、二次転写クリーニングがPb=23回に減っていることが判る。
【0113】
図21に戻り、ステップS125では、レジスト補正と二次転写クリーニングについてパラメータ書き換え後の回数に基づく消費電力量を算出する。この算出は、上記のように回数に、1回当たりの消費電力を乗算する方法により行なわれる。ステップS126では、現にキャリブレーションタイミングテーブル114に書き込まれている消費電力量を、算出した値に書き換えて、リターンする。
【0114】
図22(b)の例では、パラメータ(回数)の書き換え前には合計値P3が24(kWh)であったのに対して、書き換え後には21(kWh)に低減しているのが判る。
この意味で、ステップS101、S103、S121、S124などによる電力削減の方法は、目標削減率Z(削減すべき電力の大きさ)を目標に消費電力を削減するための第1規則として均等モードに対して決められた規則といえる。また、制御部60は、上記のパラメータ可変処理1を実行する場合に、選択された均等モードに対応する第1規則に従って、過去の所定期間内に実行された機能による消費電力量の大きさに影響を与えたパラメータを可変させる可変手段としての機能を有しているといえる。
(6−12)印字枚数優先モード
図16に戻って、選択されたモードが均等モードではなく(ステップS31で「NO」)、印字枚数優先モードであることを判断すると(ステップS33で「YES」)、パラメータ可変処理2を実行する(ステップS34)。
【0115】
図23は、パラメータ可変処理2のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、アイドル動作電力削減(ステップS201)と、キャリブレーション電力削減(ステップS202)と、画像形成動作電力削減処理(ステップS203)を順番に実行して、リターンする。
(6−12−1)アイドル動作電力削減
図24は、アイドル動作電力削減のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0116】
同図に示すように、アイドル動作テーブル112においてローパワー温調のパラメータ欄に書き込まれている時間Taを確認する(ステップS211)。時間Taが0(ゼロ)であるか否かを判断する(ステップS212)。
時間Taが0でないことを判断すると(ステップS212で「NO」)、アイドル動作テーブル112におけるローパワー温調のパラメータ欄の時間Taを0に書き換えると共に(ステップS213)、ローパワー温調の消費電力量欄の消費電力量を0に書き換える(ステップS214)。
【0117】
図25は、アイドル動作テーブル112におけるパラメータと消費電力量の書き換え前後の様子の例を示す図であり、図25(a)は、書き換え前を、図25(b)は、書き換え後をそれぞれ示している。図25(a)に示すように、書き換え前には時間Taが10時間、消費電力量が10(kWh)になっているが、書き換え後には、図25(b)に示すように0時間、0(kWh)になっていることが判る。
【0118】
パラメータ(時間)は、ローパワー温調制御の実行時間の上限に相当するので、時間Taを0にすれば、ローパワー温調制御による消費電力量も0になるからである。時間Taが0になるということは、後述のようにローパワー温調制御が実行されなくなる。なお、時間Taを0に書き換える構成に限られず、設定値、例えば下限値、具体的には1時間などに書き換えるとしても良い。また、現在の時間から設定値だけ小さい値に書き換えるとしても良い。設定値は、予め設定されていても良いし、操作者が操作パネル70等を用いて設定可能としても良い。
【0119】
図24に戻り、ステップS215では、時間Taの書き換えにより目標を達成したか否かを判断する。具体的には、パラメータ書き換え後の電力削減率Za≧目標削減率Zの関係にあれば目標を達成し、電力削減率Za<目標削減率Zの関係にあれば目標を達成していないと判断する。この電力削減率Zaは、次のように求められる。
すなわち、(1)パラメータ(時間)の書き換え前に、先月のアイドル動作の消費電力量P2(実績値)を記憶しておき、書き換え後にアイドル動作の合計の消費電力量P2aを算出する。(2)P2aとP2の差P2bを算出する。差P2bは、アイドル動作の消費電力の削減量に相当する。(3)先月の総消費電力量をWa、WaからP2bを差し引いた値をP2cとすると、(1−P2c/Wa)の式から電力削減率Zaを求める。
【0120】
図25の例では、P2=21.5〔kWh〕、P2a=11.5〔kWh〕、P2b=10〔kWh〕、Wa=134〔kWh〕、P2c=124〔kWh〕であるので、Za=0.07、すなわち7(%)になる。操作者による目標削減率Zは、上記の例では10(%)であるので、目標を達成していないことになる。
図24に戻り、目標を達成したことを判断すると(ステップS215で「YES」)、リターンする。一方、目標を達成していないことを判断すると(ステップS215で「NO」)、アイドル動作テーブル112における待機温調のパラメータ欄の時間Tbを、N〔%〕だけ短縮した時間に書き換える(ステップS216)。ここで、N〔%〕は、目標削減率Zと同じ値に相当する。図25の例では、待機温調のパラメータ(時間)Tbが3〔時間〕になっているので、これを10〔%〕削減すると、図25(c)に示すように、2.7〔時間〕に書き換えられることになる。
【0121】
待機温調のパラメータ(時間)Tbが変われば、待機温調による消費電力量も変わることになる。そこで、ステップ217では、書き換え後のパラメータ(時間)に相当する消費電力量を計算して、待機温調の消費電力量欄に書き込まれている値を、計算した値に更新する(書き換える)処理を行う。消費電力量の計算には、図11のアイドル消費電力算出用テーブル152が参照される。図25(b)の例では、書き換え前の消費電力量が11.5〔kWh〕であったのに対して、図25(c)に示すように書き換え後では10.5〔kWh〕になっていることが判る。
【0122】
図24のステップS218では、時間Tbの書き換えによって、目標を達成したか否かを判断する。すなわち、パラメータ書き換え後の電力削減率Za≧目標削減率Zの関係を満たすか否かを判断する。この判断方法は、上記のステップS215と同様である。ここでは、書き換え後の消費電力量P2aとして、現在のアイドル動作テーブル112の消費電力量欄に書き込まれている消費電力量を合計した値を用いて、上記の式により算出する。図25(c)の例では、P2b=11〔kWh〕になるので、Za=8〔%〕になる。
【0123】
図24に戻り、目標を達成していないことを判断すると(ステップS218で「NO」)、待機温調のパラメータ欄に書き込まれている時間Tbが設定値、ここでは下限値に達しているか否かを判断する(ステップS219)。この下限値は、時間Tbを短縮する場合の下限値に相当する。この下限値は、予め装置に設定されているとしても良いし、操作者が操作パネル70等から設定可能であるとしても良い。例えば、待機温調の時間を可能な限り短縮しても良いと操作者が判断する場合には、下限値を0に設定することもできる。このことは、以下に説明する別の下限値についても同様である。
【0124】
下限値に達していないことを判断すると(ステップS219で「NO」)、ステップS216に戻り、現在のアイドル動作テーブル112における待機温調のパラメータ欄の時間Tbを、さらにN〔%〕だけ短縮した時間に書き換え(ステップS216)、書き換えた時間に相当する待機温調の消費電力量を算出して、算出した消費電力量に書き換える(ステップS217)。そして、時間Tbのさらなる短縮により目標を達成したか否かを判断する(ステップS218)。この判断方法は、上記のステップS215と同じである。
【0125】
目標を達成しておらず(ステップS218で「NO」)、下限値にも達していない場合には(ステップS219で「NO」)、ステップS216に戻って、再度、待機温調のパラメータ欄の時間TbをN〔%〕だけ短縮する。目標を達成せず、下限値にも達しなければ、ステップS216〜S219を経てS216に戻るまでの処理を繰り返し実行し、繰り返す毎に待機温調のパラメータ欄の時間TbがN〔%〕ずつ、短縮されていく。例えば、下限値が0であれば、短縮により時間Tbが0時間になる場合もあり得る。この場合、図25(c)の例では待機温調のパラメータ欄の時間Tbが2.7時間からN〔%〕ずつ、短縮されて、最終的に0時間が書き込まれることになる。0時間に設定されると、後述のように待機温調制御が実行されないことになる。
【0126】
目標を達成したことを判断すると(ステップS218で「YES」)、リターンする。この場合、電力削減率Za≧目標削減率Zの関係になる。
一方、目標を達成しておらず(ステップS218で「NO」)、下限値に達したことを判断すると(ステップS219で「YES」)、アイドル動作テーブル112における待機温調のパラメータ欄の温度Txを、N〔%〕だけ下げた温度に書き換える(ステップS220)。温度Txは、待機温調制御の目標温度T2に相当する。図25(c)の例では、待機温調のパラメータ(温度)Txが150〔℃〕になっているので、これを10〔%〕削減すると、図25(d)に示すように、135〔℃〕に書き換えられることになる。
【0127】
温度Txが変わるということは、待機温調制御の目標温度T2が変わることを意味するので、待機温調による消費電力量も変わることになる。そこで、ステップS221では、書き換え後のパラメータ(温度)に相当する消費電力量を計算して、待機温調の消費電力量欄に書き込まれている値を、計算した値に更新する処理を行う。消費電力量の計算には、図11のアイドル消費電力算出用テーブル152が参照される。
【0128】
図25(d)の例では、待機温調のパラメータ(温度)Tx=135〔℃〕、待機温調のパラメータ(時間)Tb=2.7〔時間〕であり、書き換え後における待機温調の消費電力量が7〔kWh〕になっていることが判る。
図24のステップS222では、温度Txの書き換えにより目標を達成したか否かを判断する。この判断方法は、上記のステップS215やS218と同様である。図25(d)の例では、P2b=13.5〔kWh〕になるので、Za=9〔%〕になる。
【0129】
目標を達成していないことを判断すると(ステップS222で「NO」)、温度Txが下限値に達しているか否かを判断する(ステップS223)。この下限値は、温度Txを下げる場合の下限値に相当する。
下限値に達していないことを判断すると(ステップS223で「NO」)、ステップS220に戻り、現在のアイドル動作テーブル112における待機温調のパラメータ欄の温度Txを、さらにN〔%〕だけ短縮した温度に書き換え(ステップS220)、書き換え後の温度に相当する待機温調の消費電力量を算出して、算出値に書き換え(ステップS221)、温度Txの再度の書き換えにより、目標を達成したか否かを判断する(ステップS222)。
【0130】
目標を達成しておらず(ステップS222で「NO」)、下限値にも達していない場合には(ステップS223で「NO」)、ステップS220に戻って、再度、待機温調のパラメータ欄の温度TxをN〔%〕だけ下げる。目標に達成せず、下限値にも達しなければ、ステップS220〜S223を経てS220に戻るまでの処理を繰り返し実行し、繰り返す毎に待機温調のパラメータ欄の温度TxがN〔%〕ずつ、下げられる。
【0131】
図25(d)において、待機温調の温度Txが下げられると、待機温調による消費電力量も下がるので、パラメータの書き換えを何度か行えば、電力削減率Za≦目標削減率Zの関係を満たすようになり、目標を達成する場合が生じ得る。
目標を達成したことを判断すると(ステップS222で「YES」)、リターンする。一方、目標を達成しておらず、下限値に達したことを判断すると(ステップS223で「YES」)、リターンする。この場合、電力削減率Za<目標削減率Zの関係になり、アイドル動作の消費電力量を削減するだけでは目標を達成できない場合もあり得る。
【0132】
なお、上記ではN〔%〕を目標削減率Zと同じ値としたが、これに限られず、例えばZの半分の値であっても良い。またN〔%〕の値は、予め装置に設定されているとしても良いし、操作者が操作パネル70等を用いて設定可能としても良い。また、ステップS216とS220におけるN〔%〕の値が、それぞれ異なる値であっても良い。
また、ステップS211〜S223の処理を実行するとしたが、これに限られない。上記に代えて、例えばS213〜S215の処理、S216〜S219の処理、S220〜S223の処理をそれぞれ1つの単位として、いずれか1つの単位の処理だけ実行する構成、2つの単位を組み合わせて実行する構成をとることもできる。また、各単位の実行順を上記に代えて、別の順で実行する構成とすることもできる。さらに、ステップS201のアイドル動作電力削減において上記に代えて、待機温調をローパワー温調に、ローパワー温調を待機温調にそれぞれ入れかえた制御を行うこともできる。
(6−12−2)キャリブレーション電力削減
図26は、印字枚数優先モードが選択されている場合におけるキャリブレーション電力削減のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0133】
同図に示すように、キャリブレーション電力削減は、均等モードにおけるキャリブレーション電力削減(図20)と基本的に同じであるが、図20のステップS112に代えて、図26ではステップS221、S222が実行されるとしており、この点が異なっている。以下、上記と同じ処理を行う部分には、同じステップ番号を付し、説明が重複する場合には、その説明を省略するものとする。
【0134】
同図に示すように、低画質が選択されている場合(ステップS111で「YES」)、先に実行したアイドル動作電力削減(S201)で目標が達成されたか否かを判断する(ステップS221)。目標が達成されたことを判断すると(ステップS221で「YES」)、リターンする。一方、目標が達成されていないことを判断すると(ステップS221で「NO」)、変数である比率Qの値を、目標削減率Zに所定値α(>0)を足し合わせた値である(Z+α)に設定する(ステップS222)。
【0135】
ここで、比率Qを(Z+α)に設定するのは、均等モード時に比率Q=Zに設定する場合に比べて、印字枚数優先モードではアイドル動作電力削減(ステップS201)で目標を達成できなかった分、ステップS113の消費電力量更新においてキャリブレーション動作における消費電力量がより多く削減されるようにするためである。
比率Q>Zに設定すれば、上記のように消費電力量更新では、比率Qが大きいほど、レジスト補正と二次転写クリーニングの実行間隔PxとPyが長くなり、単位期間当たりのキャリブレーション動作回数が少なくなってキャリブレーション動作の消費電力量を、均等モード時(Q=Z)よりも多く削減することができるようになる。
【0136】
比率Qの設定後、消費電力量更新(ステップS113)を行う。この消費電力量更新は、上記の図21の消費電力更新処理と同じであるが、ここでは設定された比率Qが(Z+α)であるので、この(+α)の大きさに応じた分、均等モードの場合よりもキャリブレーション動作の消費電力量P3が少ない値に算出される。算出された消費電力量P3の値が少なくなるということは、先月分からの消費電力量の削減がより多くなることを意味するので、キャリブレーション機能で、より多くの電力削減を図れることになる。
【0137】
算出された消費電力量がキャリブレーション動作テーブル113に書き込まれる。消費電力量更新を行うとリターンする。
(6−12−3)画像形成動作電力削減
図27は、印字枚数優先モードが選択されている場合における画像形成動作電力削減のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0138】
同図に示すように、目標が達成されているか否かを判断する(ステップS231)。この判断は、次の方法で行われる。すなわち、画像形成動作テーブル111とアイドル動作テーブル112とキャリブレーション動作テーブル113を参照して、現在のこれらテーブルに書き込まれている全ての機能の消費電力量を足し合わせて合計をとる。この合計値を先月の総消費電力量Waで除して得られる割合Z´が目標削減率Z以上である場合に目標が達成されたと判断し、Z´が目標削減率Zより小さい場合に未達成と判断される。
【0139】
目標が達成されていることを判断すると(ステップS231で「YES」)、リターンする。目標が未達成であることを判断すると(ステップS231で「NO」)、変数である比率Qの値を、目標削減率Zから所定値β(>0)を差し引いた値である(Z−β)に設定する(ステップS232)。但し、Q>0とする。この比率Qは、画像形成動作テーブル111に書き込まれているパラメータ(枚数)の値(上限)を減らして画像形成機能の消費電力量を削減しようとするときの削減率に相当する。比率Qが大きいほど、パラメータ(枚数)の値が減らされることになる。
【0140】
上記の均等モードでは、比率Qを目標削減率Zと同じ値に設定したが、印字枚数優先モードでは、比率Qを(Z−β)に設定している。このようにするのは、次の理由による。
すなわち、上記のステップS231で目標が未達成と判断されているので、さらに画像形成動作の上限枚数であるパラメータ(枚数)を減らして消費電力量を削減する必要がある。ところが、印字枚数優先モードは、今月分の印字枚数に対する制限を少なくしたい(換言すると、印字枚数よりもアイドル動作などの画像形成以外の動作に対する制限の方が多くなるようにしたい)と考える操作者が選択するモードである。印字枚数優先モードがこのようなモードであるにも関わらず、均等モードと同じ制限を課するとすれば、枚数制限を少なくしたいと考える操作者の希望に沿わないことになり得る。
【0141】
そこで、均等モード時の目標削減率Zを基準に、これよりも小さい値を比率Qに設定して今月分の画像形成機能の消費電力量を削減しつつ、枚数制限については均等モードよりも少なくするものである。
比率Qの設定後、画像形成動作テーブル111において機能名毎にそのパラメータ(枚数)欄に書き込まれている枚数を、比率Qだけ削減した枚数を算出して、算出した枚数に書き換える処理を行う(ステップS233)。なお、枚数算出の方法は、上記ステップS101と同じである。
【0142】
そして、機能名毎に、書き換え後のパラメータに基づいて消費電力量の算出を行い、画像形成動作テーブル111の消費電力量の欄に現に書き込まれている消費電力量を、算出された消費電力量に書き換えて(ステップS234)、リターンする。なお、消費電力量の算出方法は、上記のステップ102と同じである。
このように印字枚数優先モードでは、当該モードに対して予め決められた消費電力の削減方法を用いて、(1)まず、アイドル動作テーブル112のパラメータ(時間、温度)を書き換える。(2)消費電力削減の目標が達成されない場合には、次にキャリブレーション動作テーブル113のパラメータ(回数)、キャリブレーションタイミングテーブル114のパラメータ(実行間隔)を書き換える。(3)目標がまだ達成されていない場合に限って、画像形成動作テーブル111のパラメータ(枚数)を書き換える。
【0143】
消費電力削減の対象がアイドル、キャリブレーション、画像形成の順に遷移し、アイドル機能に対する電力削減により目標の達成が判断された場合、またはアイドル機能とキャリブレーション機能に対する電力削減により目標の達成が判断された場合には、画像形成機能に対する消費電力量の削減が行われない。
従って、今月の消費電力量の削減に当たり、画像形成機能の枚数制限をなるべく受けたくない(枚数を優先したい)と考える操作者にとって、印字枚数優先モードは、自己の希望に沿った運転計画の作成に適した削減モードということができる。
【0144】
この意味で、パラメータ可変処理2のステップS201〜S203などによる電力削減の方法は、目標削減率Zを目標に消費電力を削減するための第2規則として印字枚数優先モードに対して決められた規則といえる。また、制御部60は、パラメータ可変処理2を実行する場合に、選択された印字枚数優先モードに対応する第2規則に従って、過去の所定期間内に実行された機能による消費電力量の大きさに影響を与えたパラメータを可変させる可変手段としての機能を有しているといえる。
【0145】
なお、消費電力削減の対象をアイドル、キャリブレーション、画像形成の順に遷移するとしたが、例えばアイドルとキャリブレーションだけ、またはアイドルだけを電力削減する(画像形成機能を電力削減により制限しない)構成をとることもできる。
印字枚数優先モードにおけるパラメータ可変処理2では、待機温調の時間や温度の下限値の設定などにより、決められた削減方法に従ってパラメータを可変させても目標を達成できない場合もあり得る。この場合でも操作者は、運転計画701に含まれる予想削減率Z1を見ることにより、目標を達成していないことを確認することができる。
(6−13)利便性優先モード
図16に戻って、選択されたモードが印字枚数優先モードではないことを判断すると(ステップS33で「NO」)、選択されたモードが利便性優先モードであるとして、パラメータ可変処理3を実行する(ステップS35)。
【0146】
図28は、パラメータ可変処理3のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、変数である比率Qの値を、目標削減率Zに所定値γ(>0)を足し合わせた値である(Z+γ)に設定する(ステップS301)。この比率Qは、上記の印字枚数優先モードと同様に、画像形成動作テーブル111に書き込まれているパラメータ(枚数)の値(上限)を減らして画像形成機能の消費電力量を削減しようとするときの削減率に相当する。比率Qが大きいほどパラメータ(枚数)の値が減らされることになる。
【0147】
上記の印字枚数優先モードでは、比率Qを(Z−β)に設定したが、利便性優先モードでは、(Z+γ)に設定している。このようにするのは、次の理由による。
すなわち、利便性優先モードは、今月分のアイドル動作に対する制限を少なくしたい(換言すると、アイドル動作よりも画像形成動作に対する制限の方が多くなるようにしたい)と考える操作者が選択するモードである。そこで、均等モード時の目標削減率Zを基準に、これよりも大きい値を比率Qに設定して今月分の画像形成機能の消費電力量をより多く削減しつつ、画像形成機能に対する電力削減でも目標を達成できない場合に限り、アイドル動作に対する電力削減を行おうとするものである。
【0148】
比率Qの設定後、画像形成動作テーブル111において機能名毎にそのパラメータ(枚数)欄に書き込まれている枚数を、比率Qだけ削減した枚数を算出して、算出した枚数に書き換える処理を行う(ステップS302)。なお、枚数算出の方法は、上記ステップS101と同じである。
そして、機能名毎に、書き換え後のパラメータに基づいて消費電力量の算出を行い、画像形成動作テーブル111の消費電力量の欄に現に書き込まれている消費電力量を、算出された消費電力量に書き換える(ステップS303)。この消費電力量の算出方法は、上記のステップ102と同じである。
【0149】
画像形成機能に対する比率Qの消費電力削減により目標が達成されたか否かを判断する(ステップS304)。この判断は、上記のステップS231と同じ方法で実行される。目標が達成されていることを判断すると(ステップS304で「YES」)、リターンする。この場合、キャリブレーション電力削減とアイドル動作電力削減は行われない。
目標が達成されていないことを判断すると(ステップS304で「NO」)、キャリブレーション電力削減を行う(ステップS305)。
【0150】
図29は、利便性優先モードが選択されている場合におけるキャリブレーション電力削減のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように画質選択として低画質が選択されているか否かを判断する(ステップS321)。この判断方法は、上記ステップS111と同じである。低画質が選択されていないことを判断すると(ステップS321で「NO」)、このままリターンする。一方、低画質が選択されていることを判断すると(ステップS321で「YES」)、比率Qの値を、目標削減率Zと同じ値に設定する(ステップS322)。なお、比率Qを目標削減率Zと同じに設定したが、例えば比率Qを(Z+γ)や(Z−β)に設定する構成をとることもできる。
【0151】
そして、消費電力量更新を実行して(ステップS323)、リターンする。消費電力量更新は、上記ステップS113と同じ処理が実行される。
図28に戻り、キャリブレーション電力削減(ステップS305)の実行により、目標が達成されたか否かを判断する(ステップS306)。この判断は、上記のステップS304と同じ方法で実行される。目標が達成されていることを判断すると(ステップS306で「YES」)、リターンする。この場合、アイドル動作電力削減は行われない。
【0152】
目標が達成されていないことを判断すると(ステップS306で「NO」)、アイドル動作電力削減を行って(ステップS307)、リターンする。このアイドル動作電力削減は、上記のアイドル動作電力削減(ステップS201)と同じ処理が実行される。
このように利便性優先モードでは、当該モードに対して予め決められた消費電力の削減方法を用いて、(1)まず、画像形成動作テーブル111のパラメータ(枚数)を書き換える。(2)消費電力削減の目標が達成されない場合には、次にキャリブレーション動作テーブル113のパラメータ(回数)、キャリブレーションタイミングテーブル114のパラメータ(実行間隔)を書き換える。(3)目標がまだ達成されていない場合に限って、アイドル動作テーブル112のパラメータ(時間、温度)を書き換える。
【0153】
消費電力削減の対象が画像形成、キャリブレーション、アイドルの順に遷移し、画像形成機能に対する電力削減により目標の達成が判断された場合、または画像形成機能とキャリブレーション機能に対する電力削減により目標の達成が判断された場合には、アイドル機能に対する消費電力量の削減が行われない。
従って、今月の消費電力量の削減に当たり、アイドル機能の制限をなるべく受けたくない(待機温調制御の時間などを優先したい)と考える操作者にとって、利便性優先モードは、自己の希望に沿った運転計画の作成に適した削減モードということができる。
【0154】
なお、上記では、消費電力削減の対象を画像形成機能、キャリブレーション機能、アイドル機能の順に遷移させるとしたが、例えば画像形成機能とキャリブレーションだけ、または画像形成機能だけを電力削減する(アイドル機能を電力削減により制限しない)構成をとることもできる。
利便性優先モードのパラメータ可変処理3では、上記の印字枚数優先モードのパラメータ可変処理2と同様に、決められた削減方法に従ってパラメータを可変させても目標を達成できない場合もあり得る。この場合でも操作者は、運転計画701に含まれる予想削減率Z1を見ることにより、目標を達成していないことを確認することはできる。
【0155】
この意味で、パラメータ可変処理3のステップS301〜S303などによる電力削減の方法は、目標削減率Zを目標に消費電力を削減するための第3規則として利便性優先モードに対して決められた規則といえる。また、制御部60は、パラメータ可変処理3を実行する場合に、選択された利便性優先モードに対応する第3規則に従って、過去の所定期間内に実行された機能による消費電力量の大きさに影響を与えたパラメータを可変させる可変手段としての機能を有しているといえる。
(6−14)予想削減率Z1の算出
図14に戻り、ステップS6では、予想削減率Z1の算出を行う。
【0156】
図30は、予想削減率Z1の算出処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。同図に示すように、現在の画像形成動作テーブル111を参照して、画像形成動作の総消費電力量P11を算出する(ステップS61)。この算出は、画像形成動作テーブル111の各機能の消費電力量を全て足し合わせることにより行われる。算出値(合計値)は、画像形成動作テーブル111の合計欄191に現に書き込まれている値に上書きされる(図18(b)参照)。
【0157】
次に、現在のアイドル動作テーブル112を参照して、アイドル動作の総消費電力量P21を算出する(ステップS62)。この算出は、アイドル動作テーブル112の各機能の消費電力量を全て足し合わせることにより行われる。算出値(合計値)は、アイドル動作テーブル112の合計欄192に現に書き込まれている値に上書きされる(図19(b)参照)。
【0158】
そして、現在のキャリブレーション動作テーブル113を参照して、キャリブレーション動作の総消費電力量P31を算出する(ステップS63)。この算出は、キャリブレーション動作テーブル113のレジスト補正と二次転写クリーニングの消費電力量を足し合わせることにより行われる。算出値(合計値)は、キャリブレーション動作テーブル113の合計欄193に現に書き込まれている値に上書きされる(図22(b)参照)。
【0159】
続いて、予想消費電力量WbをP11とP21とP31を足し合わせて合計することにより求め、求めた予想消費電力量Wbと、先月の総消費電力量Waとの差分を、Waで除した値を予想削減率Z1として算出して(ステップS64)、メインルーチンにリターンする。例えば、図18、図19、図22の例のように、Wa(=P1+P2+P3)=726〔kWh〕、Wb(=P11+P21+P31)=652.9〔kWh〕とすれば、Z1=(Wa−Wb)/Wa=0.1になり、予想削減率Z1が10%で示される。
【0160】
予想消費電力量Wbは、先月の各機能と同じ機能を可変後のパラメータに基づき今月に実行すると仮定した場合に要するであろう合計の予想消費電力量であり、予想削減率Z1は、今月における総消費電力量を予想消費電力量Wbまで削減できたと仮定したときに、先月に対してどれだけ削減されたかの割合を示す予測値ということができる。
(6−15)運転計画表示画面の作成
図14に戻って、ステップS7では、運転計画表示画面を作成する。この運転計画表示画面の作成は、運転計画作成部132により、図4に示す運転計画701を画面表示するのに必要な画像データを生成することにより行われる。
【0161】
具体的には、運転計画701の表示用データが予め用意されており、その表示用データには、欄711の目標消費電力削減率、欄713の枚数、欄714の時間や温度、欄715の予想消費電力量Wb、予想削減率Z1など、ユーザにより選択された情報や今月分のパラメータとして算出された情報などに相当するデータ部分に所定値、例えば0などが予め書き込まれているので、その所定値を、選択された情報や算出されたパラメータなどに書き換えることにより実行される。
【0162】
例えば、欄711では、目標削減率Zの値を、ステップS3で受け付けられて内部メモリに記憶されている今月の目標削減率Zを読み出して、読み出した目標削減率Zの値が欄711に表示されるように、表示用データの、欄711を示す部分のデータをその読み出した値に書き換える。
欄713のコピー:カラーなどの機能の枚数、欄714の待機温調時間や温調温度なども同様である。すなわち、現在(パラメータ可変処理が終了した後)の画像形成動作テーブル111とアイドル動作テーブル112に書き込まれているパラメータ(枚数、時間、温度など)を機能毎に読み出して、表示用データの、欄713、714の枚数、時間や温調温度等を示す部分のデータを、その読み出したパラメータが示す値に書き換える。
【0163】
なお、欄712と716のハイライト表示は、ユーザにより選択されたモードや画質の表示部分がハイライト表示されるように表示用データが作成される。さらに、総消費電力量P11を予想消費電力量Wbで除した値(割合)がパーセント表示で欄732に表示され、総消費電力量P21を予想消費電力量Wbで除した値(割合)がパーセント表示で欄742に表示され、総消費電力量P31を予想消費電力量Wbで除した値(割合)がパーセント表示で欄762に表示されるように、各割合を計算し、計算した割合が、対応する欄に表示されるように、表示用データが作成される。グラフ753は、先月分の総消費電力量Waの棒グラフと今月の予想消費電力量Wbの棒グラフとがWaとWbの割合に応じた長さになるようにグラフ753に相当する部分のデータが作成される。また、ファーストプリントタイム743欄については、上記のようにファーストプリントタイムの測定値(平均値)が内部メモリ(不図示)に記憶されているので、これが読み出されて、欄743の数値の部分に書き込まれる。
【0164】
図4に示す運転計画701は、操作者により削減モードとして均等モードが選択された場合の例であり、図31に示す運転計画701は、印字枚数優先モードが選択された場合の例である。図4の均等モードの例では、枚数欄713の枚数(パラメータ)、温調欄714の時間(パラメータ)の両方が先月(図7、図8)よりも一律に10〔%〕だけ少なくなっている。
【0165】
これに対して、図31の印字優先モードの例では、枚数欄713の枚数が先月分と同じであり、温調欄714の時間と温度が均等モードよりもさらに低下している。これは、印字優先モードが上記のように画像形成機能の制限をできるだけ受けないように、画像形成機能よりもアイドル機能の方が電力削減の割合がより多くなるように各機能のパラメータを変更したからである。なお、利便性優先モードの例を図示していないが、アイドル機能の制限をできるだけ受けないように、画像形成機能の枚数が均等モードよりも少ない枚数に制限されることになる。
【0166】
なお、運転計画の表示用データの作成方法は、上記の方法に限られない。図4や図31に示す運転計画701に必要な情報(受け付けられた目標削減率Z、算出された予想削減率Z1、選択された削減モード、算出後のパラメータなど)を画面表示させるための画像データを作成できれば、どのような方法であっても構わない。なお、運転計画表示画面が作成されると、上記のように積算時間記憶部109に現に記憶されている積算時間t1とt2が0にリセットされる。運転計画作成後に開始された待機とローパワーの各温調制御が実行される毎に、実行された時間が積算されていくことになる。
(6−16)運転計画の表示
図14のステップS8では、作成された運転計画表示画面を操作パネル70の液晶表示部71に表示させる処理を実行する。この表示処理は、運転計画表示指示部124が、運転計画作成部132で生成された運転計画701の表示用データを液晶表示部71に送ることにより実行される。これにより、図4や図31に示すように液晶表示部71に今月の運転計画701が表示される。
【0167】
操作者は、目視で今月の運転計画701を見て、自己が選択した削減モードにおいて、今月の消費電力を削減するに際し、どの程度までコピー等の機能が制限されるのかを確認することができる。具体的には、欄713や欄714に示されるパラメータ(枚数や時間など)は、今月分の枚数や時間などの上限に相当するので、運転計画701に従って電力削減を行う場合、運転計画701に示される枚数や時間が今月分の上限としてその値に制限されることが判る。より具体的には、例えば欄713において「コピー カラー」の枚数が1000枚であれば、操作者は、月初めに、今月ではカラーコピーの枚数が1000枚までの範囲に収まるようにコピージョブの計画を立てることができる。
(6−17)運転計画のパラメータの変更
図14のステップS9では、操作者による運転計画701のパラメータの変更要求を受け付ける処理を行う。この処理は、運転計画更新部133により行われ、例えば操作者が、表示された運転計画701を見て、例えば今月の「コピー カラー 普通紙」の枚数をもう少し増やしたいと考えた場合などに、操作者の変更要求を受け付けるものである。
【0168】
具体的には、液晶表示部71に表示されている運転計画701のパラメータ(枚数や時間など)の表示部分が操作者によりタッチ入力されると、タッチ入力されたパラメータの変更を受け付けるための受付画面に画面表示を切り替える制御を行う。
図32は、コピー機能のパラメータ変更受付画面735の表示例を示す図であり、パラメータ欄には、機能毎に現在のパラメータ(枚数)が表示される。操作者は、パラメータ変更受付画面735に表示されている機能のうち、いずれかの機能、例えば同図の「コピー カラー普通紙」をタッチ入力などで選択し、選択した機能のパラメータの値を操作パネル70のテンキー入力などで変更、同図の例では1000(枚)を1200(枚)に変更することなどを行うことができるようになっている。
(6−18)運転計画の更新
操作者によりパラメータの値が画面上で変更され、同図のOKキーがタッチ入力されると、操作者によるパラメータの変更が確定したと判断して(ステップS10で「YES」)、変更要求されたパラメータの値を更新する処理を行う(ステップS11)。この更新は、運転計画更新部133により行われ、ここでは変更されたパラメータが属する動作テーブル(画像形成動作テーブル111またはアイドル動作テーブル112)のパラメータ欄の現在の値を、操作者により変更された値に書き換える(更新する)。上記の例では、画像形成動作テーブル111の「コピー カラー普通紙」のパラメータ欄の値が1000(枚)から1200(枚)に書き換えられることになる。
【0169】
他の機能のパラメータも同様であり、変更のための受付画面(不図示)から変更を受け付けると(変更の確定を判断すると)、画像形成動作テーブル111とアイドル動作テーブル112の現在の値を、操作者により変更された値に書き換える(更新する)。なお、パラメータは、1つ以上の機能について変更が可能であり、複数の機能についてパラメータを変更する場合には、各機能を1つずつそのパラメータの変更を受け付けるための受付画面を順次、切り替えて表示させていき、受付画面毎に操作者が変更したい値を入力可能なように構成することができる。操作者が自己の希望する値にパラメータの値の変更を入力することができると共に、操作者により入力された値に更新することができる方法であれば、上記の受付画面等を用いる方法に限られず、別の方法をとるとしても構わない。
【0170】
パラメータが1つでも更新されると、予想消費電力量Wbが変わり、ステップS6で算出した予想削減率Z1も変わってしまうので、予想削減率Z1を再計算すべく、ステップS6に戻る。
ステップS6の予想削減率Z1の算出処理では、図30に示すように、ステップS61において、現在(パラメータ更新後)の画像形成動作テーブル111を参照して、総消費電力量P11を算出し直し、ステップS62において、現在(パラメータ更新後)のアイドル動作テーブル112を参照して、総消費電力量P21を算出し直し、ステップS63において、現在(パラメータ更新後)のキャリブレーション動作テーブル113を参照して、総消費電力量P31を算出し直す。この算出方法は、上記の方法と同じである。算出し直した総消費電力量を、上記の最初に算出した値と区別するために、P11´、P21´、P31´と表記する。
【0171】
ステップS64では、算出されたP11´とP21´とP31´を足し合わせて合計した値を新たな予想消費電力量Wb1として求め、求めた予想消費電力量Wb1と先月の総消費電力量Waの差分を、Waで除した値を新たな予想削減率Z2として算出し直す。
算出し直した予想削減率Z2は、操作者により変更されたパラメータの値が加味されたものであり、操作者による変更値の大きさによって、最初に算出した予想削減率Z1(操作者による変更値が加味されていないもの)と異なることになる。
【0172】
なお、操作者によるパラメータの変更は、画像形成機能とアイドル機能であり、キャリブレーション機能は、変更の対象になっていないので、パラメータ変更による予想削減率Z2の算出では、総消費電力量P31´を算出し直すことを止めて、最初に算出されたP31の値を用いるとしても良い。また、パラメータ変更が、例えば画像形成機能とアイドル機能のうち、一方の機能だけであれば、他方の機能についてはパラメータが変更されていないことになるので、他方の機能について総消費電力量を算出し直すことを止めて、最初に算出された総消費電力量の値を用いるとしても良い。
【0173】
ステップS6による予想削減率Z2の算出が終了すると、図14に戻って、ステップS7では予想削減率Z2に対応する運転計画を作成し直し、ステップS8では、表示画面を最初に作成された運転計画701を、作成し直された運転計画701´に切り替え(運転計画701´を出力し)、ステップS9では、再度、パラメータの変更の受付を行う。ステップS7〜S9の処理方法は、上記の方法と同じである。
【0174】
これにより、操作者は、自己が変更を指示したパラメータの値が加味された運転計画701´を目視で確認することができる。パラメータの変更により、予想削減率Z2が最初の予想削減率Z1に対してどれだけ異なるかを知ることができる。
操作者によるパラメータの変更があることを判断すると(ステップS10で「YES」)、ステップS11を介してS6に戻り、ステップS6以降の処理を繰り返し行う。
【0175】
一方、操作者によるパラメータの変更がないことを判断すると(ステップS10で「NO」)、当該メインルーチンによる処理を終了する。パラメータの変更がないことの判断は、例えば操作者からの終了の指示を受け付けることなどにより行われる。
なお、上記の各テーブルに記載の数値が一例であることはいうまでもなく、また所定値α、β、γの大きさについては予め実験などから適正値を装置に設定しておくとしても良いし、操作者が任意に操作パネル70等を用いて設定可能にするとしても良い。また、α、β、γが同じ大きさであっても良い。
(7)運転計画作成後の画像形成機能について
操作者は、液晶表示部71に表示された運転計画(操作者によるパラメータ変更後に作成し直された運転計画を含む)を確認することにより、例えば今月のコピー枚数の上限値や待機温調時間の上限時間などを知ることができる。
【0176】
これにより、操作者は、例えば今月において複写機10で実行された画像形成機能によるコピーやプリント等の各機能の枚数値(積算値)を1日単位などで管理して、その枚数値が上限値に近づくと、複写機10を利用するユーザに対して、上限値を超えないように注意を喚起するなどの処置を上限値に達する前にとることができる。
また、画像形成機能について上限値に近づくと自動的に警告表示を出力する方法をとることもできる。
【0177】
図33は、警告表示を行う処理の内容を示すフローチャートである。この処理は、制御部60により所定時期、例えば画像形成機能(コピー〜FAX)が1回実行される毎や所定間隔、例えば1分毎などに不図示のメインルーチンにコールされて実行される。
同図に示すように、画像形成機能毎に積算枚数を取得する(ステップS71)。ここでは、図3に示す画像形成機能、具体的には「コピー カラー(普通紙)」〜「FAX受信」の機能毎に、運転計画の作成時以降に実行されたシート枚数を積算した値(今月の枚数に相当)を不揮発性の内部メモリに記憶、管理するように構成され、各機能の積算値を内部メモリから読み出すことにより取得される。
【0178】
機能毎に、取得された積算枚数と、画像形成動作テーブル111に書き込まれている上限値としてのパラメータ(枚数)とを比較する(ステップS72)。
比較結果から積算枚数が上限値に近づいている機能があるか否かを判断する(ステップS73)。この判断は、それぞれの機能毎に、積算枚数<パラメータ(枚数)であり、両者の差分が所定値以下であれば、上限値に近づいており、差分が所定値よりも大きければ近づいていないとすることにより行われる。所定値は、例えば100枚などとすることができる。また、機能毎に異なる値であるとしても良い。さらに、操作者が任意に設定可能としても良い。
【0179】
積算枚数が上限値に近づいている機能がないことを判断すると(ステップS73で「NO」)、そのままメインルーチンにリターンする。
積算枚数が上限値に近づいている機能があることを判断すると(ステップS73で「YES」)、上限値に近づいている旨の警告を操作パネル70の液晶表示部71に表示させる制御を行って(ステップS74)、メインルーチンにリターンする。
【0180】
例えば、「コピー カラー(普通紙)」機能の積算枚数が900枚であり、パラメータ(枚数)が1000枚であり、所定値が100であれば、「コピー カラー(普通紙)機能が今月の上限枚数に近づいています」などのメッセージが警告として表示される。なお、複数の機能について上限値に近づいていることが判断された場合には、各機能に対する警告を一覧表示または機能毎にその警告を順次切り替えて表示制御することもできる。
【0181】
上記では、上限枚数に近づいている旨を上限枚数に達する前に操作者などの利用者に警告するとしたが、例えば上限枚数に達した場合には、その旨のメッセージを警告表示するとしても良いし、または上限に達した機能だけを強制的に実行禁止にするとしても良い。これらの少なくとも1つを実行するとしても良い。さらに、警告は、表示による出力に限られず、例えばその旨を表す文章などが印刷されたプリントなどの出力としても良い。
(8)運転計画作成後の定着部50の温調制御について
(8−1)全体の制御フロー
図34は、定着部50の温調制御の内容を示すフローチャートであり、所定条件を満たしたとき、例えば電源オン時やジャム処理やトラブルからの復帰時などを契機に開始され、電源オフ、ジャムやトラブルなどヒータ53への電力供給を禁止すべき条件を満たさなければ継続され、当該禁止すべき条件が満たされると停止(ヒータ53への電力供給も同時に停止)する。そして、電源オン、ジャム等の復帰により再開される。なお、当該温調制御では、内部の温調F(フラグ)が0、1、2、3のいずれかの値に設定されるようになっているが、温調制御の開始時には0に設定されるものとする。
【0182】
同図に示すように、温調Fが0であるか否かを判断する(ステップS131)。ここでは、温調F=0であると判断して(ステップS131で「YES」)、定着温度制御を実行する(ステップS132)。
(8−2)定着温度制御
図35は、定着温度制御のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0183】
同図に示すように、定着ローラ51の表面の目標温度をT1に設定する(ステップS141)。温度T1は、定着に必要な温度である定着温度(例えば、185℃)である。
目標温度T1が設定されると、定着ローラ51の表面温度が目標温度T1に維持されるようにヒータ53への電力供給を制御する(ステップS142)。定着ローラ51の表面温度が定着温度T1に維持される状態が通常モードになる。
【0184】
ステップS143では、所定の節電移行条件を満たしたか否かを判断する。節電移行条件とは、ここでは通常モードにおいて操作者から何も操作されない状態やコピー等のジョブが実行されない状態が所定時間、例えば5分間継続したことである。
節電移行条件が満たされないことを判断すると(ステップS143で「NO」)、そのままリターンする。この場合、再度、図34のステップS131に戻るが、温調F=0のままであるから(ステップS131で「YES」)、定着温度制御が実行され(ステップS132)、目標温度がT1に設定されて(ステップS141)、節電モードへの移行条件が満たされなければ(ステップS143で「NO」)、再度、リターンする。従って、節電移行条件が満たされない状態が継続されると、定着ローラ51の表面温度が定着温度T1に維持される通常モードが継続されて、コピー等の画像形成が実行可能になる。
【0185】
節電移行条件が満たされたことを判断すると(ステップS143で「YES」)、待機温調積算時間t1が上限値以下であるか否かを判断する(ステップS144)。
この待機温調積算時間t1は、待機温調が継続している時間の今月の積算時間であり、後述の待機温調制御(ステップS134)において計測されて、積算時間記憶部109に記憶される。
【0186】
上限値は、アイドル動作テーブル112の待機温調欄に現に書き込まれているパラメータ(時間)、図8の例では10時間に相当する。なお、運転計画の内容によっては、例えば0時間の場合もあり得る。
上限値は、運転計画で設定されたパラメータであり、待機温調積算時間t1は今月の待機温調制御による合計の実行時間であるので、待機温調積算時間t1>上限値になると、運転計画による電力削減の目標から外れることになる。
【0187】
従って、待機温調積算時間t1≦上限値の関係であれば、待機温調制御の実行を制限(禁止)せず、逆に待機温調積算時間t1>上限値の関係であれば、待機温調制御の実行を制限(禁止)するように温調Fを設定している。なお、上限値が0であれば、必ず待機温調積算時間t1>上限値の関係になり、待機温調制御の実行が禁止される。
具体的には、待機温調積算時間t1≦上限値であることを判断すると(ステップS144で「YES」)、温調Fを1に設定して(ステップS145)、リターンする。温調F=1の場合、後述のように待機温調制御が実行される。
【0188】
一方、待機温調積算時間t1>上限値であることを判断すると(ステップS144で「NO」)、ローパワー温調積算時間t2が上限値以下であるか否かを判断する(ステップS146)。なお、ステップS144で「NO」が判断されたということは、待機温調制御が実行されない(禁止された)ことを意味する。
ローパワー温調積算時間t2は、ローパワー温調が継続している時間の積算時間であり、後述のローパワー温調制御(ステップS136)において計測されて積算時間記憶部109に記憶されている時間である。
【0189】
上限値は、アイドル動作テーブル112のローパワー温調欄に現に書き込まれているパラメータ(時間)の値、図8の例では30時間に相当する。上限値は、運転計画で設定されたパラメータであり、例えば0時間の場合もあり得る。
ローパワー温調積算時間t2は、今月のローパワー温調制御による合計の実行時間であるので、上記の待機温調制御と同様に、ローパワー温調積算時間t2>上限値になると、運転計画による電力削減の目標から外れることになる。
【0190】
そこで、ローパワー温調積算時間t2≦上限値の関係であれば、ローパワー温調制御の実行を制限(禁止)せず、逆にローパワー温調積算時間t2>上限値の関係であれば、ローパワー温調制御の実行を制限(禁止)するように温調Fを設定している。
具体的には、ローパワー温調積算時間t2≦上限値であることを判断すると(ステップS146で「YES」)、温調Fを2に設定して(ステップS147)、リターンする。温調F=2の場合、後述のようにローパワー温調制御が実行される。
【0191】
一方、ローパワー温調積算時間t2>上限値であることを判断すると(ステップS146で「NO」)、温調Fを3に設定して(ステップS148)、リターンする。この場合、ローパワー温調制御の実行が禁止され、後述のようにスリープ制御が実行される。
図34に戻り、温調Fが0に設定されておらず(ステップS131で「NO」)、温調Fが1に設定されていることを判断すると(ステップS133で「YES」)、待機温調制御(ステップS134)を実行する。
(8−3)待機温調制御
図36は、待機温調制御のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0192】
同図に示すように、定着ローラ51の表面の目標温度をT2に設定する(ステップS151)。温度T2は、上記のように定着温度T1よりも低い温度であり、アイドル動作テーブル112の待機温調欄に書き込まれているパラメータ(温度)が読み出されて、読み出した温度をT2に設定する。図8の例では、150〔℃〕に相当する。
定着ローラ51の表面温度が設定温度T2に維持されるように、ヒータ53への供給電力を制御する(ステップS152)。これにより、待機温調制御が開始される。例えば、通常モードから節電モード(待機温調制御)に移行される場合には、通常モード時よりもヒータ35への電力供給量がある程度、制限されることにより、定着ローラ51の表面温度が定着温度T1よりも低い温度T2に維持されるようになる。このことは、後述のローパワー温調について同様である。
【0193】
内部タイマー(不図示)による計時を開始する(ステップS153)。このタイマー計時の開始により、待機温調制御の開始からの経過時間を計測することができる。
ステップS154では、上限値から現在の待機温調積算時間t1を差し引いた値である差d1を算出する。現在の待機温調積算時間t1は、積算時間記憶部109に記憶されている時間が読み出される。上限値は、アイドル動作テーブル112の待機温調欄に書き込まれているパラメータ(時間)が読み出される。なお、上限値≧t1の場合には、d1≧0になるが、上限値<t1の場合には、d1=0とする。
【0194】
そして、ステップS155では、待機温調制御中において所定の節電解除条件(通常モードへの移行条件)を満たすか否かを判断する。この節電解除条件とは、ここでは節電モードにおいて操作者により節電解除のための操作がなされたことやコピーやプリント等のジョブの実行指示がなされたことである(節電解除の指示)。節電解除条件が満たされていないと判断すると(ステップS155で「NO」)、ステップS156に移る。
【0195】
ステップS156では、ローパワー温調への移行条件を満たすか否かを判断する。ローパワー温調への移行条件とは、待機温調制御中において待機温調制御の開始時から節電解除条件が満たされない状態が所定時間、例えば5分継続したことである。なお、この所定時間は、操作者により任意の値に設定されるとしても構わない。
ローパワー温調への移行条件を満たしていないことを判断すると(ステップS156で「NO」)、ステップS153によるタイマー計時開始からの経過時間(今回の待機温調制御の開始時からの経過時間)が差d1より大きいか否か(経過時間>差d1を満たしているか否か)を判断する(ステップS157)。経過時間>差d1ということは、今回の待機温調制御中に待機温調積算時間t1が上限値を超えたことを意味する。
【0196】
経過時間>差d1ではない、すなわち経過時間≦差d1であることを判断すると(ステップS157で「NO」)、ステップS155に戻る。待機温調制御中において節電解除条件もローパワー温調への移行条件も満たさず、経過時間≦差d1の場合には、待機温調制御が継続されることになる。
待機温調制御中に節電解除条件が満たされたことを判断すると(ステップS155で「YES」)、温調Fを0に設定して(ステップS158)、内部タイマーによる計時を終了する(ステップS159)。
【0197】
そして、積算時間記憶部109に現に記憶されている待機温調積算時間t1に、内部タイマーによる計時開始から終了までのカウント値(待機温調制御が継続されていた時間)を加算して(ステップS160)、加算後の値を新たな待機温調積算時間t1として積算時間記憶部109に記憶(更新)、すなわち現在の待機温調積算時間t1を、新たな待機温調積算時間t1に書き換えた後(ステップS161)、リターンする。
【0198】
また、待機温調制御中にローパワー温調への移行条件が満たされたことを判断すると(ステップS156で「YES」)、温調Fを2に設定して(ステップS162)、ステップS159に移る。さらに、待機温調制御中に経過時間>差d1であることを判断すると(ステップS157で「YES」)、温調Fを2に設定して(ステップS162)、ステップS159に移る。ステップS159以降の処理は、上記と同様である。
【0199】
ステップS157で経過時間>差d1であることを判断した場合、ステップS161において書き込まれる待機温調積算時間t1の値は、上限値よりも大きい値になるはずであるから、次に定着温度制御が実行される場合には、図35のステップS144で待機温調積算時間t1>上限値の関係を満たし(ステップS144で「NO」)、温調Fが1に設定されずに2または3に設定される(ステップS147またはS148)。
【0200】
温調Fが2または3に設定されると、通常モードから節電モードに移行するときには、待機温調制御が実行されず(禁止されて)、ローパワー温調またはスリープ制御が実行されることになる。今月の待機温調積算時間t1が上限値を超えているので、待機温調制御を制限することにより、運転計画による消費電力の削減目標から大きく外れないようにすることができる。
【0201】
図34に戻り、温調Fが0でも1でもなく(ステップS131で「NO」、S133で「NO」)、温調Fが2に設定されていることを判断すると(ステップS135で「YES」)、ローパワー温調制御(ステップS136)を実行する。
(8−4)ローパワー温調制御
図37は、ローパワー温調制御のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0202】
同図に示すように、定着ローラ51の表面の目標温度をT3に設定する(ステップS171)。温度T3は、温度T2よりも低い温度であり、アイドル動作テーブル112のローパワー温調欄に書き込まれているパラメータ(温度)が読み出されて、読み出した温度をT3に設定する。
定着ローラ51の表面温度が設定温度T3に維持されるように、ヒータ53への供給電力を制御する(ステップS172)。これにより、ローパワー温調制御が開始される。
【0203】
内部タイマーによる計時を開始する(ステップS173)。このタイマー計時の開始により、ローパワー温調制御の開始からの経過時間を計測することができる。
ステップS174では、上限値から現在のローパワー温調積算時間t2を差し引いた値である差d2を算出する。現在のローパワー温調積算時間t2は、積算時間記憶部109に記憶されている時間が読み出される。上限値は、アイドル動作テーブル112のローパワー温調欄に書き込まれているパラメータ(時間)が読み出される。なお、上限値≧t2の場合には、d2≧0になるが、上限値<t2の場合には、d2=0とする。
【0204】
そして、ステップS175では、ローパワー温調制御中において所定の節電解除条件を満たすか否かを判断する。この節電解除条件は、待機温調制御中における節電解除条件と同じである。節電解除条件が満たされていないことを判断すると(ステップS175で「NO」)、ステップS176に移る。
ステップS176では、スリープ制御への移行条件を満たすか否かを判断する。スリープ制御への移行条件とは、ローパワー温調制御中においてローパワー温調制御の開始時から節電解除条件が満たされない状態が所定時間、例えば10分継続したことである。なお、この所定時間は、操作者により任意の値に設定されるとしても構わない。
【0205】
スリープ制御への移行条件を満たしていないことを判断すると(ステップS176で「NO」)、ステップS173によるタイマー計時開始からの経過時間(今回のローパワー温調制御の開始時からの経過時間)が差d2より大きいか否か(経過時間>差d2を満たしているか否か)を判断する(ステップS177)。
経過時間>差d2ということは、今回のローパワー温調制御中にローパワー温調積算時間t2が上限値を超えたことを意味する。
【0206】
経過時間>差d2ではない、すなわち経過時間≦差d2であることを判断すると(ステップS177で「NO」)、ステップS175に戻る。ローパワー温調制御中に節電解除条件もスリープ制御への移行条件も満たさず、経過時間≦差d2である場合には、ローパワー温調制御が継続されることになる。
ローパワー温調制御中に節電解除条件が満たされたことを判断すると(ステップS175で「YES」)、温調Fを0に設定して(ステップS178)、内部タイマーによる計時を終了する(ステップS179)。
【0207】
そして、積算時間記憶部109に現に記憶されているローパワー温調積算時間t2に、内部タイマーによる計時開始から終了までのカウント値(ローパワー温調制御が継続されていた時間)を加算して(ステップS180)、加算後の値を新たなローパワー温調積算時間t2として積算時間記憶部109に記憶(更新)、すなわち現在のローパワー温調積算時間t2を、新たなローパワー温調積算時間t2に書き換えた後(ステップS181)、リターンする。
【0208】
また、ローパワー温調制御中にスリープ制御への移行条件が満たされたことを判断すると(ステップS176で「YES」)、温調Fを3に設定して(ステップS182)、ステップS179に移る。さらに、ローパワー温調制御中に経過時間>差d2であることを判断すると(ステップS177で「YES」)、温調Fを3に設定して(ステップS183)、ステップS179に移る。ステップS179以降の処理は、上記と同様である。
【0209】
ステップS177で経過時間>差d2であることを判断した場合、ステップS181において書き込まれるローパワー温調積算時間t2の値は、上限値よりも大きい値になるはずであるから、次に定着温度制御が実行される場合には、図35のステップS146でローパワー温調積算時間t2>上限値の関係を満たし(ステップS146で「NO」)、温調Fが2に設定されずに3に設定される(ステップS148)。
【0210】
温調Fが3に設定されると、通常モードから節電モードに移行するときには、待機温調制御もローパワー温調制御も実行されず(禁止されて)、スリープ制御が実行されることになる。今月の待機温調積算時間t1とローパワー温調積算時間t2がそれぞれ上限値を超えているので、待機温調制御とローパワー温調制御の両方を制限することにより、運転計画による消費電力の削減目標から大きく外れないようにすることができる。
【0211】
図34に戻り、温調Fが0、1、2のいずれでもないことを判断すると(ステップS135で「NO」)、温調Fが3に設定されているとして、スリープ制御(ステップS137)を実行する。
(8−5)スリープ制御
図38は、スリープ制御のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0212】
同図に示すように、ヒータ53への電力供給を遮断する(ステップS191)。そして、スリープ制御中において所定の節電解除条件を満たすか否かを判断する(ステップS192)。この節電解除条件は、上記の待機温調制御中における節電解除条件と同じである。節電解除条件を満たしていないことを判断すると(ステップS192で「NO」)、スリープ制御を継続し、節電解除条件が満たされたことを判断すると(ステップS192で「YES」)、温調Fを0に設定して(ステップS193)、リターンする。これにより、図34のステップS131でF=0が判断されると、ステップS132の定着温度制御によりヒータ53への電力供給が開始されて。通常モードに復帰する動作が実行される。
【0213】
このように節電モードでは、原則、待機温調、ローパワー温調、スリープ制御の順に段階的に切り替わるように構成されるが、作成された今月の運転計画の内容によっては、消費電力の削減目標を達成すべく、今月の末日までの間に、(a)ローパワー温調とスリープ制御だけを実行(待機温調を禁止)する制御、(b)スリープ制御だけを実行(待機温調とローパワー制御を禁止)する制御に切り替わる場合がある。
【0214】
また、(c)運転計画作成時に印字枚数優先モードが選択されていた場合、ローパワー温調制御のパラメータ(時間)が0に設定される(S213)。これにより、ステップS146では、ローパワー温調積算時間t2>上限値(=0)と判断されて、温調Fが2に設定されることがなくなってローパワー温調が禁止される。この場合、月初めから待機温調とスリープ制御だけを実行(ローパワーを禁止)する制御が行われることがあり得、さらに今月の末日までの間に待機温調積算時間t1>上限値になれば、待機温調も禁止されて、スリープ制御だけが実行されることもあり得る。
【0215】
このように定着部の温調制御を切り替えることにより、今月の運転計画の削減目標から大きく外れることがなくなって、操作者が希望する消費電力量の削減の実現を図れる。
なお、上記では、運転計画の作成後に、待機温調機能とローパワー温調機能のそれぞれについて、機能毎に当該機能の実行による時間の積算値が上限値に達すると、当該機能の実行を自動的に禁止するとしたが、これに限られない。上記の画像形成機能と同様に、上限値に達した旨を表示等により出力するとしても良いし、上限値に近づいている(上限値から所定値を差し引いた値に達した)旨を表示等させるとしても良い。
(8−6)操作者による手動切り替え
上記では待機温調やローパワー温調の禁止条件が満たされるとこれらを自動的に禁止する制御の例を説明したが、上記の制御に代えて、例えば温調制御の禁止を操作者が手動で指示する構成をとることも可能である。
【0216】
具体的には、制御部60において、待機温調制御(目標温度T2を維持しようとする制御)が実行される毎に、開始からの経過時間をタイマーで計測する。この計測時間を、例えば1秒単位で積算時間記憶部109に記憶されている温調積算時間t1に加算することにより時間t1を更新する。更新する毎に、現在の時間t1≧上限値であるか否かを判断する。時間t1≧上限値になったことを判断すると、待機温調制御が上限に達している旨の警告Aを液晶表示部71に表示させる。
【0217】
操作者は、警告Aを目視することで待機温調制御が上限に達したことを知ることができ、今月の消費電力量の削減目標を実現するには待機温調制御を禁止する必要があることが判る。操作者は、操作パネル70に設けられたキーAの操作により待機温調制御の禁止を指示することができる。キーAが操作されると、制御部60は、待機温調制御の禁止を示す禁止フラグAを立てる。
【0218】
ローパワー温調制御(目標温度T3を維持しようとする制御)についても上記の待機温調制御と同様に、制御が実行される毎に開始からの経過時間を計測する。この計測時間を例えば1秒単位で積算時間記憶部109に記憶されている温調積算時間t2に加算することにより時間t2を更新する。更新する毎に、現在の時間t2≧上限値であるか否かを判断し、時間t2≧上限値になったことを判断すると、ローパワー温調制御が上限に達している旨の警告Bを液晶表示部71に表示させる。
【0219】
操作者は、警告Bからローパワー温調制御が上限に達したこと、消費電力量の削減目標を実現するにはローパワー温調制御を禁止する必要があることが判る。操作者は、操作パネル70に設けられたキーBの操作によりローパワー温調制御の禁止を指示することができる。キーBが操作されると、制御部60は、ローパワー温調制御の禁止を示す禁止フラグBを立てる。
【0220】
このように構成において制御部60は、図39に示す処理により、禁止フラグAが立っている場合には待機温調制御を禁止し、禁止フラグBが立っている場合には待機温調制御とローパワー温調制御を禁止する制御を行う。
すなわち、図39に示すように、定着温度制御の実行中に(ステップS401)、節電移行条件が満たされた場合には(ステップS402で「YES」)、禁止フラグBが立てられているか否かを判断する(ステップS403)。禁止フラグBが立てられていない場合には(ステップS403で「NO」)、禁止フラグAが立てられているか否かを判断する(ステップS404)。禁止フラグAが立てられていない場合には(ステップS404で「NO」)、待機温調制御に移行する(ステップS405)。
【0221】
待機温調制御の実行中に節電解除条件が満たされた場合には(ステップS406で「YES」)、節電を解除して定着温度制御に移行する(ステップS401)。節電解除条件が満たされていない場合には(ステップS406で「NO」)、ローパワーへの移行条件が満たされているか否かを判断する(ステップS407)。ローパワーへの移行条件が満たされていない場合には(ステップS407で「NO」)、待機温調制御を継続する(ステップS405)。ローパワーへの移行条件が満たされている場合には(ステップS407で「YES」)、ローパワー温調制御に移行する(ステップS408)。
【0222】
ローパワー温調制御の実行中に、節電解除条件が満たされた場合には(ステップS409で「YES」)、節電を解除して定着温度制御に移行する(ステップS401)。節電解除条件が満たされていない場合には(ステップS409で「NO」)、スリープへの移行条件が満たされているか否かを判断する(ステップS410)。スリープへの移行条件が満たされていない場合には(ステップS410で「NO」)、ローパワー温調制御を継続する(ステップS408)。スリープへの移行条件が満たされている場合には(ステップS410で「YES」)、スリープ制御に移行する(ステップS411)。
【0223】
スリープ制御の実行中に、節電解除条件が満たされた場合(ステップS412で「YES」)、節電を解除して定着温度制御に移行する(ステップS401)。節電解除条件が満たされていない場合(ステップS412で「NO」)、スリープ制御を継続する。
禁止フラグAが立てられている場合には(ステップS404で「YES」)、ローパワー温調制御に移行する(ステップS408)。これにより、待機温調制御が禁止され、節電状態に移行すると最初にローパワー温調制御が実行されることになる。
【0224】
一方、禁止フラグBが立てられている場合には(ステップS403で「YES」)、スープ制御に移行する(ステップS411)。これにより、待機温調制御とローパワー温調制御の両方が禁止され、節電状態ではスリープ制御だけが実行されることになる。なお、禁止フラグA、Bは、一度立てられると、次に運転計画が作成されるまで、その状態が保持され、次に運転計画が作成される時点で、立てられる前の状態(立てられていない状態)に設定し直される。積算時間t1、t2についても同様に次の運転計画が作成される時点で0にリセットされる。
【0225】
本発明は、運転計画を作成する画像形成装置に限られず、運転計画を作成する運転計画作成方法などであるとしてもよい。さらに、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
【0226】
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、画像形成機能(第1機能)と、画像形成以外の機能(第2機能)に対する消費電力量の削減の割合を異なる値で規定する複数の削減モードとして、均等モード(第1機能に対する消費電力量の削減率Aと第2機能に対する消費電力量の削減率Bが均等)、印字枚数優先モード(削減率Aよりも削減率Bの方が大きい)、利便性優先モード(削減率Bよりも削減率Aの方が大きい)の3つがある構成例を説明したが、これら3つに限られない。いずれか2つであっても良いし、印字枚数優先モードと利便性優先モードのそれぞれについて、削減率の差がより大きいモードと少ないモードの2つに分けて、合計5つのモードの内から選択する構成とすることもできる。操作者にとって、自己の希望するモードの選択肢が広がり、細分化された削減割合に沿った運転計画701が作成されることになる。
【0227】
(2)上記実施の形態では、画像形成以外の第2機能として、アイドル機能(定着部の温調制御)とキャリブレーション機能(レジスト補正など)が含まれる例を説明したが、これに限られない。例えば、装置によってはキャリブレーション機能を実行できないものもあり得る。この場合には第2機能にアイドル機能が含まれ、キャリブレーション機能が含まれない構成がとられる。また、キャリブレーション機能を実行できる構成であっても、第2機能にキャリブレーション機能を含まない構成とすることもできる。この場合、消費電力量の削減は、画像形成機能である第1機能と温調制御である第2機能とに対して、異なる複数の削減モード別に、削減モードに対して予め決められた規則に従って各機能の消費電力量の削減(パラメータの変更)が実行されることになる。
【0228】
(3)上記実施の形態では、運転計画701に目標削減率Z、削減モード、枚数、温調、予想削減率Z1(Z2)、印刷画質の各項目が含まれるとしたが、操作者にとっては、少なくともコピー等の枚数や定着部の温調時間が判れば、この枚数や時間を今月における枚数等の上限の目安として知ることができる。この意味で運転計画701には、コピーや温調制御などの機能名と枚数や時間などのパラメータとを対応付けた情報が少なくとも含まれるように作成されれば良いといえる。
【0229】
なお、上記では消費電力量を削減するのに、各機能のパラメータである枚数や時間、温度を可変するとしたが、単位時間当たりの消費電力の電気料金による課金が通常であることを考えると、消費電力量の削減は電気料金の削減と同義といえる。上記の消費電力を電気料金に置き換えても、同様の運転計画を作成することができるので、消費電力量の削減という場合は、電気料金の削減をも意味するものと捉えることができる。
【0230】
(4)上記実施の形態では、第1機能を画像形成機能、第2機能を画像形成機能以外の機能としたが、例えば、複数の異なる画像形成機能のうち、1つを第1の機能(カラーコピーなど)、別の1つを、第1とは異なる第2の機能(モノクロコピーなど)として、これら両方の機能に対して異なる削減モード別に運転計画を作成することもできる。
異なる削減モードとしては、カラーコピーとモノクロコピーとでシート1枚当たりの消費電力が異なる場合に、例えば均等、カラー優先、モノクロ優先などとすることができる。カラー優先モードは、モノクロよりもカラーコピーの方が消費電力量の削減率が小さいモードであり、モノクロ優先モードは、カラーよりもモノクロコピーの方が消費電力量の削減率が小さいモードとすることができる。
【0231】
操作者が、例えばカラー優先モードを選択すれば、均等に比べると、先月に対してモノクロコピーのパラメータ(枚数)がより多く削減されつつ、カラーコピーのパラメータ(枚数)の削減がより少ないことを示す、操作者の意図に沿った運転計画の作成が可能になる。なお、第1と第2の機能の組み合わせは、カラーとモノクロコピーに限られず、例えばコピーとプリント、プリントとスキャンなどとすることもできる。
【0232】
(5)また、画像形成に係る機能毎にその機能の実行により課金を行う、具体的には機能毎にその機能の実行による1枚のシートに対して予め決められた利用料金を積算して管理する装置であれば、上記の消費電力の削減に基づく運転計画に代えて、次のような課金額を示す運転計画を作成することも可能である。
具体的には、上記のシート1枚当たりの消費電力量に代えて、シート1枚当たりの料金(課金額)からパラメータ(枚数)を計算するように計算方法を変更する。
【0233】
例えば、画像形成に係る機能をカラーコピーとモノクロコピーとして、機能毎に別々に課金を行う場合に、カラーコピーが1枚当たりでA〔円〕、モノクロコピーが1枚当たりでB〔円〕、先月でのカラーコピーの合計枚数が10000〔枚〕、モノクロコピーの合計枚数が5000〔枚〕とすると、先月の課金額は、カラーコピーで10000×A〔円〕、モノクロコピーで5000×B〔円〕になる。
【0234】
削減すべき課金額の大きさを示す情報の例として目標削減率Zの入力を操作者から受け付け、また、第1と第2の画像形成機能に対する課金額の削減の割合を異なる値で規定する複数の削減モードの例として、均等モード、カラー優先モード、モノクロ優先モードのうち、1つの削減モードの選択を操作者から受け付ける構成をとり、目標削減率Zを10〔%〕、選択された削減モードを均等モードとして、料金を10〔%〕削減する場合を想定すると、今月でのカラーコピーに対する料金が9000×A〔円〕、モノクロコピーに対する料金が4500×B〔円〕になる。この例の場合、パラメータ(枚数)は、カラーコピー=9000〔枚〕、モノクロコピー=4500〔枚〕になり、これらパラメータ(枚数)の値を示す運転計画が作成されることになる。
【0235】
均等モードではなく、カラー優先モードとして、例えばカラーコピーの方がモノクロコピーよりも削減率が少ないモードが選択されている場合には、その削減率と目標削減率Zの大きさに従って、カラーとモノクロの枚数(パラメータ)が計算される。
例えば、A=10(円/枚)、B=5(円/枚)であれば、上記の例において先月のトータルの課金額が125000円になり、今月の目標削減率Zを10%としたときの削減額が12500円になる。カラーの削減率が例えば5%と設定されているとすると、先月の1万枚に対する今月のカラーの削減枚数は、500枚になり、金額では5000円になる。カラーで5000円削減できることになるが、目標削減率Z=10%を達成するには、モノクロにおいて7500円の削減が必要になる。モノクロで7500円を削減するには、削減枚数を1500枚に設定すれば良い。この例の場合、カラーとモノクロに対する課金額の削減の割合が4:6になり、カラー優先モードは、カラーよりもモノクロの方が削減の割合が大きいモードであることが判る。
【0236】
これより、カラー優先モードにおける今月のパラメータ(枚数)は、カラーコピー=9500〔枚〕、モノクロコピー=3500〔枚〕になり、これらパラメータ(枚数)の値を示す運転計画が作成される。目標削減率Zまで今月の合計の課金額を削減するに際し、モノクロコピーの削減割合を大きくしたい場合に適している。
さらに、モノクロ優先モードとして、例えばモノクロコピーの方がカラーコピーよりも削減率が少ないモードが選択されている場合には、上記と同様にその削減率と目標削減率Zの大きさに従って、カラー優先モードとは課金額の削減の割合が逆の関係になるカラーとモノクロの枚数(パラメータ)が計算され、計算されたパラメータ(枚数)の値を示す運転計画が作成される。
【0237】
パラメータ(枚数)が画像形成に係る機能の実行による課金額の大きさに影響を与えるものになり、機能名(上記の例では、カラーコピーなど)と、過去の所定期間における各機能のパラメータ(上記の例では、10000枚など)とを取得して、削減モード別に、削減すべき課金額の大きさ(上記の例では、10%)を目標に課金額を削減するための規則として予め決められている規則に従って、前記情報に含まれるパラメータを可変させることにより(上記の例では、均等モードのときにカラーとモノクロのそれぞれの合計枚数を10%削減した枚数を計算するなど)、各機能に対するパラメータの大きさから、先月の課金額(合計額)に対し今月にどれだけの枚数が削減されるかを示す課金額をベースにした運転計画を、異なる削減モード別に作成することが可能になる。
【0238】
上記実施の形態のように消費電力の低減による節電効果を月単位で管理する場合に限られず、ユーザによる画像形成装置の利用に基づく課金額を管理者が管理する場合に、管理者にとって各機能の課金額が、その機能に対するパラメータの大きさ(先月からの変化量)から先月に対してどれだけ削減されるのかを運転計画から知ることができ、課金額に応じたコピー枚数等の管理を行い易くなる。
【0239】
なお、第1と第2の機能がカラーとモノクロに限られず、シートの片面にのみ画像形成を行う片面の画像形成モードとシートの両面(表面と裏面)に画像形成を行う両面の画像形成モードとすることもでき、また、他の機能であっても良いことや削減モードが上記の3つに限られないことも、上記の(4)と同様である。
(6)上記では、過去の所定期間を先月(現在から過去1ヶ月間)としたが、これに限られない。例えば、過去1週間、過去2週間、過去10日間、過去2ヶ月(先月と先々月)などとしても良い。過去の所定期間における総消費電力量(積算値)を元にして運転計画を作成するので、所定期間を例えば過去1週間とすると、過去1週間における総消費電力量を元に、今週における運転計画が作成されることになる。この場合、1週間単位で運転計画を作成して、1週間単位で電力削減の程度を決めることができる。さらに、過去の複数月における1ヶ月の平均をとって、この平均値を過去1ヶ月間における総消費電力量とみなすとしても良い。
【0240】
また、消費電力量の削減を、先月に対して今月の運転計画を作成することに限られず、例えば先月に対して来月の運転計画を作成する構成としても良い。この場合、作成された運転計画が来月分から適用されるとすれば良い。
(7)上記実施の形態では、運転計画を表示部に表示させる表示手段を出力手段の一例とする構成を説明したが、運転計画を出力させることにより操作者に運転計画を提供することができれば、表示手段に限られることはない。例えば、運転計画を示す画像をシートに形成してそのシートを出力するプリンタ部を出力手段とすることもできる。
【0241】
また、画像形成機能におけるパラメータの単位を、画像形成の対象とされるシートの枚数としたが、例えば1枚のシートにおける一方の面と他方の面に別々に画像形成を行う両面プリントを行う装置も存在することから、コピー、プリント、FAX受信などヒータによる定着を行う機能については、1枚のシート毎にシートの一方の面に画像を形成する動作を1回と規定した場合の画像形成回数と捉えることができる。
【0242】
(8)上記実施の形態では、本発明に係る画像形成装置をフルカラー画像を形成可能な複写機に適用した場合の構成例を説明したが、画像形成機能(第1機能)と定着部の温調機能(第2機能)を実行可能であれば、複写機であることやフルカラーやモノクロの画像形成に限られず、プリンタやファクシミリ装置等の画像形成装置一般に適用できる。また、画像形成装置が実行可能な機能も上記の各機能に限られない。さらに、上記各テーブルの枚数や温度などの数値が上記の値に限られないことはいうまでもない。
【0243】
また、上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0244】
本発明は、複写機やプリンタなどの画像形成装置および運転計画作成方法に関し、消費電力の低減を図りつつ、操作者の希望する運転計画を提供する技術として有用である。
【符号の説明】
【0245】
10 複写機
11 スキャナ部
12 プリンタ部
50 定着部
53 ヒータ
60 制御部
70 操作パネル
71 液晶表示部
102 CPU
108 運転計画部
111 画像形成動作テーブル
112 アイドル動作テーブル
113 キャリブレーション動作テーブル
121 電力削減率受付部
122 削減モード選択受付部
124 運転計画表示指示部
125 動作履歴管理部
130 先月分消費電力量算出部
131 今月分消費電力量算出部
132 運転計画作成部
133 運転計画更新部
701 運転計画
711 目標消費電力削減率表示欄
712 削減モード表示欄
713 枚数(パラメータ)表示欄
735 パラメータ変更受付画面
741 温調時間等(パラメータ)表示欄
752 予想削減率表示欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成機能の1つである第1機能と、これとは異なる第2機能とを実行可能な画像形成装置であって、
削減すべき電力の大きさを示す情報の入力を操作者から受け付ける第1受付手段と、
第1機能と第2機能に対する消費電力量の削減の割合を異なる値で規定する複数の削減モードのうち1つの削減モードの選択を操作者から受け付ける第2受付手段と、
過去の所定期間内に実行された機能毎に、機能名と機能の実行による消費電力量の大きさに影響を与えたパラメータとを対応付けた情報を取得する取得手段と、
前記削減すべき電力の大きさを目標に消費電力を削減するための規則として前記選択された削減モードに対し予め決められている規則に従って、前記情報に含まれるパラメータを可変させる可変手段と、
前記機能名と可変後のパラメータとの対応を含む運転計画を作成する作成手段と、
前記作成された運転計画を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所定期間内に実行された各機能による合計の総消費電力量をWa、前記実行された各機能と同じ機能を前記可変後のパラメータに基づき実行すると仮定した場合に要するであろう合計の予想消費電力量をWbとしたとき、前記予想消費電力量Wbの、総消費電力量Waに対する比率を予想削減率Z1として算出する算出手段を備え、
前記作成手段は、
前記機能名と可変後のパラメータとの対応に加えて、前記算出された予想削減率Z1をも含む運転計画を作成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記運転計画に含まれるパラメータの変更を操作者から受け付ける第3受付手段と、
前記運転計画に含まれるパラメータを前記変更された値に更新する更新手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1機能は、シート上に画像を形成し、定着部のヒータにより定着温度に熱せられた定着部材を用いて画像をシートに熱定着する画像形成動作を行う機能であり、
前記第2機能は、第1機能の実行時以外のときに、前記ヒータへの供給電力を第1機能の実行時よりも制限して、前記定着部材の温度を前記定着温度よりも低い温度であり、画像形成が実行できない節電温度まで下げる節電機能であり、
前記複数の削減モードには、消費電力量の削減率が、第1機能と第2機能とで均等である均等モードと、第1機能よりも第2機能の方が大きい印字枚数優先モードと、第2機能よりも第1機能の方が大きい利便性優先モードの少なくとも2つが含まれ、
前記均等モードに対して決められた第1規則は、
前記目標まで電力を削減しようとするときの削減率と同じ率だけ第1機能と第2機能のそれぞれの消費電力量が削減されるように、第1機能と第2機能のそれぞれに対するパラメータを可変させるものであり、
前記印字枚数優先モードに対して決められた第2規則は、
第2機能に対するパラメータを、決められた量だけ可変させても消費電力の削減量が前記目標を達成しない場合に限り、第1機能に対するパラメータを可変させるものであり、
前記利便性優先モードに対して決められた第3規則は、
第1機能に対するパラメータを、決められた量だけ可変させても消費電力の削減量が前記目標を達成しない場合に限り、第2機能に対するパラメータを可変させるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1機能に対応するパラメータは、シート毎にシートの一方の面に画像を形成する動作を1回とした場合の画像形成回数であり、
前記第2機能に対応するパラメータは、節電温度に維持される節電時間の長さと節電温度の値との少なくとも一方であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1機能に対するパラメータの可変は、
前記画像形成回数を前記所定の期間内に実行された画像形成に係る合計の画像形成回数よりも少なくすることにより行われ、
前記第2機能に対するパラメータの可変は、
前記節電時間の長さを前記所定の期間内に実行された節電機能における合計の節電時間よりも短くすることと、前記節電温度の値を前記所定の期間内に実行された節電機能における節電温度よりも下げることとの少なくとも一方により行われることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記節電機能には、
定着部材の温度を定着温度よりも低い第1温度に維持する待機温調機能と、定着部材の温度を第1温度よりも低い第2温度に維持するローパワー温調機能が含まれ、
前記待機温調機能とローパワー温調機能のうち最初に待機温調機能が実行され、待機温調機能の実行中に所定のローパワー温調機能への移行条件が満たされると、ローパワー温調機能に移行されるように構成されており、
前記節電時間には、
待機温調機能により第1温度に維持される第1の時間とローパワー温調機能により第2温度に維持される第2の時間が含まれており、
前記第2機能に対するパラメータの可変は、
前記第2の時間の長さを第1所定時間に短縮したときに削減されるであろう消費電力量の削減により前記目標を達成しているか否かを判断し、目標を達成していないと判断すると、第1の時間の長さを第2所定時間だけ短くすることにより行われることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記節電機能には、さらに前記ヒータへの電力を遮断するスリープ機能が含まれ、
ローパワー温調機能の実行中に所定のスリープ機能への移行条件が満たされるとローパワー温調機能からスリープ機能に移行されるように構成されており、
前記第1所定時間が0時間である場合には、
ローパワー温調機能の実行を禁止して、待機温調機能の実行中に所定のローパワー温調機能への移行条件が満たされると、待機温調機能からスリープ機能に移行することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2機能には、さらに、第1機能と節電機能とのそれぞれの実行時以外のときに、自装置の画像形成における画質を一定に維持するための画像安定化動作を実行するキャリブレーション機能が含まれており、
前記第1機能に対応するパラメータは、
シート毎にシートの一方の面に画像を形成する動作を1回とした場合の画像形成回数であり、
前記第2機能に対応するパラメータは、
節電機能については、節電温度に維持される節電時間の長さと節電温度の値との少なくとも一方であり、キャリブレーション機能については、画像安定化動作の回数であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記所定期間内に実行された各機能と同じ機能を前記更新後のパラメータに基づき実行すると仮定した場合に要するであろう予想消費電力量をWcとしたとき、
前記算出手段は、
前記予想消費電力量Wcの、総消費電力量Waに対する比率を予想削減率Z2として算出し直し、
前記作成手段は、
予想削減率Z2が算出された場合に、前記予想削減率Z1に代えて予想削減率Z2を含む運転計画を作成し直し、
前記出力手段は、
前記作成し直された運転計画をさらに出力することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記出力手段は、
前記運転計画を表示する表示手段であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
制御手段を有し、
前記取得された情報に含まれるパラメータは、これに対応する機能が過去の所定期間内において実行される毎に当該機能が1回実行されたことを示す量を積算した値に相当し、
前記可変後のパラメータは、これに対応する機能を実行するときの上限値を示し、
前記制御手段は、
前記運転計画の作成後に、機能毎に当該機能の実行による前記量の積算値が、対応する可変後のパラメータで示される上限値に達すると、当該機能の実行を禁止すること、上限値に達した旨を前記出力手段により出力させること、および、前記量の積算値が前記対応する可変後のパラメータで示される上限値から所定値を差し引いた値に達した旨を前記出力手段により出力させることの少なくとも1つを実行することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
異なる第1と第2の画像形成機能を実行可能であり、画像形成機能毎にその実行により課金を行う画像形成装置であって、
削減すべき課金額の大きさを示す情報の入力を操作者から受け付ける第1受付手段と、
第1と第2の画像形成機能に対する課金額の削減の割合を異なる値で規定する複数の削減モードのうち1つの削減モードの選択を操作者から受け付ける第2受付手段と、
過去の所定期間内に実行された機能毎に、機能名と機能の実行による課金額の大きさに影響を与えたパラメータとを対応付けた情報を取得する取得手段と、
前記削減すべき課金額の大きさを目標に課金額を削減するための規則として前記選択された削減モードに対し予め決められている規則に従って、前記情報に含まれるパラメータを可変させる可変手段と、
前記機能名と可変後のパラメータとの対応を含む運転計画を作成する作成手段と、
前記作成された運転計画を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
画像形成機能の1つである第1機能と、これとは異なる第2機能とを実行可能な画像形成装置における運転計画作成方法であって、
削減すべき電力の大きさを示す情報の入力を操作者から受け付ける第1ステップと、
第1機能と第2機能に対する消費電力量の削減の割合を異なる値で規定する複数の削減モードのうち1つの削減モードの選択を操作者から受け付ける第2ステップと、
過去の所定期間内に実行された機能毎に、機能名と機能の実行による消費電力量の大きさに影響を与えたパラメータとを対応付けた情報を取得する第3ステップと、
前記削減すべき電力の大きさを目標に消費電力を削減するための規則として前記選択された削減モードに対して予め決められた規則に従って、前記情報に含まれるパラメータを可変させる第4ステップと、
前記機能名と可変後のパラメータとの対応を含む運転計画を作成する第5ステップと、
を含むステップを実行することを特徴とする運転計画作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2012−68494(P2012−68494A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214041(P2010−214041)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】