説明

画像形成装置の安全装置

【課題】地震等により装置の設置姿勢に異常が発生した場合であっても、重大な二次災害を招くことの無いように安全性を確保しながらも、画像データの消失等の不都合を起こすことのない画像形成装置の安全装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置の安全装置に、電源トランスの一次側から画像処理に必要な特定熱源を含む第一の負荷に給電する一次側電源ラインと、前記電源トランスの二次側から第二の負荷に給電する二次側電源ラインに電源ラインが分岐され、前記第二の負荷により前記第一の負荷が制御される画像形成装置において、災害発生時に送信される緊急警報放送を受信する緊急警報放送受信手段18を備え、前記緊急警報放送が受信されるときに、前記一次側電源ラインへの給電を遮断すると共に前記二次側電源ラインへの給電を維持する電源遮断手段340aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置は単に原稿画像を複写する複写機能のみならず、ネットワーク接続されたデータ処理装置からのプリントデータに基づいてプリント出力するプリンタ機能、電話回線を通して受信された画像データをプリント出力するファクシミリ機能等の複合機能が備わっている。
【0003】
そのような画像形成装置は、通常、床上や専用デスクに設置されているが、地震による揺れによって転倒したり、専用デスクからはみ出したり落下する虞がある。そのようなときに大容量の一次側負荷やその周辺に異常が生じると重大な二次災害を引き起こす虞がある。例えば、画像形成動作中に装置が転倒してヒータにより加熱される定着器で紙詰まりが生じると火災に到る危険性があり、ヒータが破損すると感電する危険性がある。
【0004】
そこで、特許文献1には、地震レベルを認識するセンサを備え、所定レベルの振動を検出したときに電源をリモートオフするオートシャットオフ機能を実現する制御部を備えた画像形成装置が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、災害発生時に送信される緊急警報放送を受信する受信機を備え、前記緊急警報放送を受信したときに作動し、実行中のジョブを中断して待機状態にしてから熱源部への通電を停止する画像形成装置が提案されている。
【特許文献1】特開2000−19895号公報
【特許文献2】特開平10−143029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、所定レベルの振動が検出されたときに一律に電源がオフされる、または緊急警報放送が受信されたときに実行中のジョブを中断状態にして待機状態にしてから熱源部への通電が停止されると、処理中の動作が停止されるばかりか、処理中のデータが消失する虞もあった。特に複合機能を備えた画像形成装置の場合には、複写動作等ヒータを作動させる処理以外の処理、例えば、画像データを送信し、或いは受信するファクシミリ機能の作動中に電源がオフされると、重要なデータの送受信が完結しないまま失われ、プリンタ機能の作動中に電源がオフされると、その間にスプール中であったプリントデータが喪失されるため、重要なデータが損なわれるという問題等があった。
【0007】
また、地震以外の何らかの外力により画像形成装置に振動が与えられたような場合にも、地震と誤検出されて電源がオフされる虞があるという問題もあった。
【0008】
さらに、熱源部を使用しない該画像形成装置の機能については、地震等の災害発生時において、前記機能を使用可能な状態に維持しても火災等の重大な二次災害が発生する危険性は少なく、反対に前記機能を使用可能な状態に維持するほうが有利に働くものと考えられる。例えば、ファクシミリ機能は前記災害発生時の非常連絡の手段として用いることが可能であり、使用可能な状態に維持されることが望ましい。
【0009】
本発明は、地震等により装置の設置姿勢に異常が発生した場合であっても、重大な二次災害を招くことの無いように安全性を確保しながらも、画像データの消失等の不都合を起こすことのない画像形成装置の安全装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明による画像形成装置の安全装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、電源トランスの一次側から画像処理に必要な特定熱源を含む第一の負荷に給電する一次側電源ラインと、前記電源トランスの二次側から第二の負荷に給電する二次側電源ラインに電源ラインが分岐され、前記第二の負荷により前記第一の負荷が制御される画像形成装置において、災害発生時に送信される緊急警報放送を受信する緊急警報放送受信手段を備え、前記緊急警報放送が受信されるときに、前記一次側電源ラインへの給電を遮断すると共に前記二次側電源ラインへの給電を維持する電源遮断手段を備えてある点にある。
【0011】
上述の構成によると、地震等の災害発生時に送信される緊急警報放送を受信すると、ヒータ等の特定熱源への給電が遮断されるので、前記画像形成装置からの出火等の重大な二次災害の発生を排除しながら、前記熱源を使用しない機能は継続して実行することができる。
【0012】
同第二の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、画像形成装置の設置姿勢の異常を検出する姿勢検出スイッチを備え、前記電源遮断手段は、前記緊急警報放送受信手段が前記緊急警報放送を受信し、且つ前記姿勢検出スイッチが設置姿勢の異常信号を出力するときに、前記一次側電源ラインへの給電を遮断すると共に前記二次側電源ラインへの給電を維持する点にある。
【0013】
前記緊急警報放送は広範囲に放送されるため、前記画像形成装置を設置場所の属する地域において、前記緊急警報放送を受信しても実際に災害が発生するとは限らない。災害が発生しないときに前記一次側電源ラインへの給電を遮断すると、前記画像形成装置の作業効率を著しく低下させる。上述の構成によると、前記緊急警報放送が受信され、且つ前記画像形成装置の設置姿勢の異常が検出されたときに、ヒータ等の特定熱源への給電が遮断されるので、前記画像形成装置の不要な作業効率の低下を避けることができる。
【0014】
同第三の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項3に記載した通り、上述の第一または第二特徴構成に加えて、画像データを転送するデータ転送手段を備え、前記緊急警報放送が受信されると、少なくとも処理中の画像データがデータ処理装置に転送される点にある。
【0015】
上述の構成によると、画像形成装置に何らかの外力が働き、安全な動作環境が確保されていない可能性が高いときでも、少なくとも処理中の画像データの消失等の不都合の発生を防ぐことができる。
【0016】
同第四の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れか特徴構成に加えて、前記データ処理装置が、画像形成装置またはデータ記憶装置である点にある。
【0017】
処理中の画像データは、通常、一時記憶領域であるRAMに記憶され、処理が中断されると処理中の前記画像データは消失されるが、上述の構成によれば、内部に備えるハードディスク等のデータ記憶装置や、ネットワークや公衆回線などを介して接続される、安全な動作環境が確保された画像形成装置やまたは熱源を利用せずに画像形成を行うインクジェットプリンタ等の画像形成装置、またはパソコン等に、少なくとも処理中の前記画像データが転送されるため、万が一、給電が断たれても、前記処理中の画像データの消失等の不都合を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明した通り、本発明によれば、地震等により装置の設置姿勢に異常が発生した場合であっても、重大な二次災害を招くことの無いように安全性を確保しながらも、画像データの消失等の不都合を起こすことのない画像形成装置の安全装置を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明による画像形成装置の安全装置をデジタル複合機1に適用した場合の実施形態について説明する。
【0020】
図2に示すように、画像形成装置の一例であるデジタル複合機1は、複写機能、プリント機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を備え、各種の動作メニューを設定する複数のメニュー設定キーや、設定されたメニューで複写動作やファクシミリ動作等を起動するスタートキー等が配置された操作部10と、原稿載置部11にセットされた一連の原稿を順次読込んで電子データに変換する画像読取部12と、前記画像読取部12によって電子データに変換された画像データに基づいて用紙上にトナー像を形成して出力する電子写真方式の画像形成部13と、用紙が収容された給紙カセット14と、その1つに該デジタル複合機1の設置姿勢の異常を検出する姿勢検出スイッチが設置された、下側フレーム底面の四隅に設けられたゴム製の台座15と、公衆回線と接続してファクシミリ通信を行うためのFAX部16と、社内LAN等のネットワークと接続して外部機器との信号を送受信するネットワーク部17と、受信アンテナを内蔵し、災害発生時に送信される緊急警報放送を受信する緊急警報放送受信手段としての受信機18等を備えて構成されている。
【0021】
前記姿勢検出スイッチ150は、図3(a)、(b)に示すように、載置部150aとマイクロスイッチ150bからなり、前記台座15の1つに収容されている。
【0022】
該デジタル複合機1が載置面に対して正常な設置姿勢に維持されるときには、図3(a)に示すように、載置面からの押圧を受けて前記載置部150aの頭頂部は前記マイクロスイッチ150bの揺動レバーを上方へ押圧し、前記マイクロスイッチ150bにより該デジタル複合機1の設置姿勢が正常であることが信号出力される。該デジタル複合機1に何らかの外力が働き、該デジタル複合機1が載置面に対して異常な設置姿勢にあるときには、図3(b)に示すように、前記載置部150aはスプリングに下方向に付勢され、前記載置部150aの頭頂部は前記マイクロスイッチ150bの揺動レバーから離間し、前記マイクロスイッチ150bにより該デジタル複合機1の設置姿勢が異常であることが信号出力される。尚、前記姿勢検出スイッチ150は、上述によるものに限定するものではなく、複数の前記台座15に収容されていても良く、前記台座15とは別に該デジタル複合機1に設置される等、該デジタル複合機1の設置姿勢を検知して出力するものであれば良い。
【0023】
前記受信機18が受信する前記緊急警報放送は、マーク周波数を1024Hz、スペース周波数を640Hzとし、ボーレートが64bpsのFKS(FrequencyShift Keying)信号からなる前記緊急警報信号を放送するものであり、前記緊急警報信号は、大規模地震屋災害により警戒宣言が発せられたときと地方自治体(知事)からの放送の要請があったときに出力される「第一種開始信号」と、津波警報が発せられたときに出力される「第二種開始信号」と、前記緊急警報放送の放送終了を知らせるため、または前記緊急警報放送の試験放送時に出力される「終了信号」とからなり、夫々の信号には、前記緊急警報放送の対象地域と放送日時等の情報を組み込むことができる。
【0024】
前記受信機18は、図4に示すように、中波を受信する内蔵アンテナ180と、NHKの放送波を受信するための同調回路181と、前記放送波から音声信号を抽出する検波器182と、前記検波器182に抽出された音声信号から前記緊急警報放送の緊急警報信号を検出する検出回路183と、前記検出回路183により検出された前記緊急警報信号が前記「第1種開始信号」であり、前記緊急警報放送の対象地域が該デジタル複合機1の設置場所の属する地域であるときに信号を出力する出力回路184から構成される。
【0025】
尚、前記緊急警報放送はNHKの放送波から受信する構成としたが、前記緊急警報放送はNHKのみが放送するものではなく、前記同調回路181により前記緊急警報放送を放送する何れかの放送局を選局し、前記緊急警報放送を受信する構成としても良い。さらに、該デジタル複合機1の設置場所の属する地域については、該デジタル複合機1の設置時にサービスマンにより設定される構成でも良く、該デジタル複合機1の出荷時に適宜設定する、または予め設定される構成でも良く、該デジタル複合機1に地域設定手段を備え、操作者が前記地域設定手段により、任意に該デジタル複合機1の設置場所の属する地域を設定できる構成でも良い。
【0026】
次に、前記デジタル複合機1の電源回路について説明する。前記デジタル複合機1の電源回路は、図5に示すように、前記操作部10に配置され、スイッチ本体とリレーとスイッチ本体が押圧されたことを検知する押圧センサからなるメインスイッチ5を介して商用電源から給電される電源トランス4の一次側から画像形成処理に必要な特定熱源を含む第一の負荷2に給電する一次側電源ライン20と、前記電源トランス4の二次側から第二の負荷3に給電する二次側電源ライン30に電源ラインが分岐されて構成されている。
【0027】
前記一次側電源ライン20には、前記画像形成部13に備えられた定着器の熱源であるヒータや前記画像読取部12に備えられたランプ等の画像形成処理に必要な特定熱源が第一の負荷2として接続され、前記電源トランス4と前記第一の負荷2の間には、前記第一の負荷2への給電をオンオフするリレー6が設置されている。
【0028】
前記二次側電源ライン30には、前記電源トランス4で降圧されたAC電圧をDC電圧に変換するAC/CD変換器としての二次側電源回路31と、前記二次側電源回路31から24Vの直流電圧が給電される、前記受信機18や該デジタル複合機1による画像形成動作に関連するモータやクラッチ等の内蔵機器群35と、前記二次側電源回路31から5Vの直流電圧が給電され、前記第一の負荷2や前記内蔵機器群35を所定タイミングで駆動制御する制御部32等とからなる第二の負荷3が接続されている。
【0029】
前記制御部32は、図6に示すように、該デジタル複合機1の備える機能を実行する際に前記第一の負荷2を制御する重機能制御部33と、該デジタル複合機1の備える機能を実行する際に前記第一の負荷2を制御しない軽機能制御部34から構成され、前記重機能制御部33は、前記画像形成部13等による画像形成動作を制御するプリント制御部330と、前記画像読取部12等による画像読取動作を制御するスキャナ制御部331を備え、前記軽機能制御部34は、該デジタル複合機1の電源を制御する電源制御部340と、前記FAX部16等によるファクシミリ機能を制御するFAX制御部341と、前記操作部11の制御を行う操作制御部342と、ネットワーク部17等によるネットワーク通信を制御するネットワーク制御部343と、各部の統括制御を行うシステム制御部344からなる。
【0030】
前記電源制御部340は、図1に示すように、前記緊急警報放送から「第1種開始信号」を受信した前記受信機18が信号を出力し、且つ該デジタル複合機1の設置姿勢が異常であると判断されるときに、前記一次側電源ライン20への給電を遮断すると共に前記二次側電源ライン30への給電を維持する電源遮断手段340aと、前記リレー6と前記メインスイッチ5のリレーを制御するリレー制御手段340b等により構成される。
【0031】
前記電源遮断手段340aは、前記「第1種開始信号」を受信した前記受信機18からの信号出力を受け、且つ前記姿勢検出スイッチからの設置姿勢の異常の出力信号を受けるときに、プリントジョブやファクシミリ受信による画像データの印刷ジョブ等の画像データの処理中においては、前記システム制御部344に処理中の画像データの転送を指令し、前記システム制御部344は、前記画像データを自身に備えるRAMに記憶し、前記プリント制御部330と前記ネットワーク制御部343を制御して、ネットワーク接続された、データ処理装置としての前記特定熱源を備えないインクジェットプリンタ等に前記画像データを転送し、転送完了後に前記RAMから前記画像データを消去し、前記電源遮断手段340aへ信号出力する。つまり、前記システム制御部344はデータ転送手段としての役割を果たす。さらに、前記電源遮断手段340aは、前記システム制御部344が自身に備えるRAMに画像データを記憶した後、または処理中の画像データがないときには、前記リレー制御手段340bを介して前記一次側電源ライン20への給電を遮断すると共に、前記二次側電源ライン30への給電を維持する。
【0032】
前記リレー制御手段340bは、該デジタル複合機1のパワーオフ時に、前記メインスイッチ5のスイッチ本体が押圧されると、ハード的に前記メインスイッチ5の接点が閉じることで前記第二の負荷3の備える制御部32の1つである、前記電源制御部340へ給電が行われることで作動し、前記内蔵機器群35の1つであるリレー6及び前記メインスイッチ5のリレーを閉じて、前記メインスイッチ5をオン状態に維持すると共に、前記第一の負荷2への給電を可能として、該デジタル複合機1を正常動作が開始される正常状態とする。
【0033】
該デジタル複合機1のパワーオン時に、前記メインスイッチ5のスイッチ本体が押圧されると、前記メインスイッチ5の備える押圧センサ(図示せず)が出力した信号を受信し、前記リレー制御手段340bは、前記メインスイッチ5のリレーを開き、該デジタル複合機1をパワーオフする。
【0034】
前記リレー制御手段340bは、該デジタル複合機1が前記正常状態にあるときに、前記電源遮断手段340aからの前記第一の負荷2への給電遮断の信号入力を受けると、前記リレー6を開いて前記第一の負荷2への給電を遮断し、前記システム制御部344へ前記第一の負荷2への給電を遮断した旨を信号出力し、該デジタル複合機1は各部への給電が正常に行われていない非常状態で動作する。前記システム制御部344は、前記第一の負荷2への給電を遮断した旨の信号出力を受け、前記重機能制御部33の各部が異常信号を出力しないように、前記重機能制御部33に前記第一の負荷2への給電が遮断されている旨を信号出力する。
【0035】
前記非常状態での動作中においては、特定熱源を使用しない該デジタル複合機1の機能は使用可能である。具体的にはファクシミリ送信が可能であり、ファクシミリ受信に関しては、前記システム制御部344が前記ネットワーク制御部343を制御して、ネットワーク接続された、データ処理装置としての前記特定熱源を備えないインクジェットプリンタ等に受信した画像データを転送するように構成されている。
【0036】
該デジタル複合機1が前記非常状態で動作中に、安全な動作環境が確保されたときには、操作者は前記メインスイッチ5を押圧して該デジタル複写機1をパワーオフし、再び前記メインスイッチ5を押圧することで前記第一の負荷2への給電を再開し、該デジタル複合機1を前記正常状態で動作させることができる。
【0037】
以下に、該デジタル複合機1が前記緊急警報放送を受信したとき、または何らかの外力が働いた該デジタル複合機1の動作について、図7に示すフローチャートに沿って説明する。
【0038】
該デジタル複合機1がパワーオフ状態にあるときに(S1)、前記メインスイッチ5が押圧されると(S2)、該デジタル複合機1は正常状態で動作する(S3)。
【0039】
該デジタル複合機1が正常状態にあるときに(S3)、前記受信機18により前記「第一種開始信号」が受信され(S4)、且つ該デジタル複合機1の設置姿勢に異常が検出されるときに(S5)、処理中の画像データがないときには(S6)、該デジタル複合機1は前記非常状態で動作し(S9)、処理中の画像データがあるときには(S6)、前記処理中の画像データが前記システム制御部344の備えるRAMに記憶された後、ネットワーク接続されたインクジェットプリンタ等に転送され(S7)、前記画像データの転送が完了すると(S8)、該デジタル複合機1は前記非常状態で動作する(S9)。
【0040】
該デジタル複合機1が前記非常状態にあるときに(S9)、前記メインスイッチ5が押圧されるまでは(S10)、前記非常状態が維持され(S9)、前記メインスイッチ5が押圧されると(S10)、該デジタル複合機1はパワーオフ状態となる(S1)。
【0041】
以下に、別実施形態を記載する。
【0042】
上述の構成では、処理中の画像データがあるときには、受信機が緊急警報放送の第一種開始信号を受信し、且つ前記姿勢検出スイッチが設置姿勢の異常信号を出力するときに処理中の画像データを転送し、一次側電源ラインへの給電を遮断すると共に二次側電源ラインへの給電を維持したが、受信機が緊急警報放送の第二種開始信号を受信し、且つ前記姿勢検出スイッチが設置姿勢の異常信号を出力するときにも、処理中の画像データを転送し、前記一次側電源ラインへの給電を遮断すると共に前記二次側電源ラインへの給電を維持する構成としても良く、この場合、津波の発生が予測される場合においても、前記処理中の画像データの喪失を防ぐことができる。
【0043】
上述の構成では、処理中の画像データがあるときには、受信機が緊急警報放送の第一種開始信号を受信し、且つ該デジタル複合機1の設置姿勢が異常であるときに、前記システム制御部が備えるRAMに前記画像データを記憶した後、前記画像データの転送を行い、一次側電源ラインへの給電を遮断すると共に二次側電源ラインへの給電を維持したが、システム制御部と重機能制御部が画像データを記憶するRAMを共有する構成とすることで、前記受信機が緊急警報放送の第一種開始信号を受信し、且つ該デジタル複合機1の設置姿勢が異常であるときに、直ちに一次側電源ラインへの給電を遮断すると共に二次側電源ラインへの給電を維持する構成としても良く、この場合、二次災害を発生させる可能性のある第一の負荷への給電をより早く遮断することができるため、より安全に配慮した画像形成装置の安全装置を提供することができる。
【0044】
上述の構成では、画像形成装置の設置姿勢の異常を検出する姿勢検出スイッチを備え、受信機が緊急警報放送の第一種開始信号を受信し、且つ前記姿勢検出スイッチが設置姿勢の異常信号を出力すると前記一次側電源ラインへの給電を遮断すると共に前記二次側電源ラインへの給電を維持する構成としたが、コストを重視するときには前記姿勢検出スイッチを備えない構成とすることで、装置のコストを抑える構成としても良い。
【0045】
上述の構成では、受信機が緊急警報放送の第一種開始信号を受信し、且つ該デジタル複合機1の設置姿勢が異常であるときに、処理中の画像データがあるときには、データ処理装置としてのインクジェットプリンタ等の特定熱源を備えない画像形成装置に処理中の画像データを転送する構成としたが、取り扱う画像データの重要度が高い場合は、データ処理装置への転送時におけるデータの消失等の危険を排除するため、処理中の画像データを内部に備えるハードディスク等のデータ記憶手段に記憶し、前記画像データの消失を防止する構成としても良い。さらに、前記画像データを特定熱源を備えない画像形成装置やデータ記憶装置等のデータ処理装置に転送すると共に、内部に備える記憶手段にも記憶する並列処理を実施する構成としても良く、この場合、より確実に前記画像データの消失を防止することができる。
【0046】
上述の構成では、受信機が緊急警報放送の第一種開始信号を受信し、且つ該デジタル複合機1の設置姿勢が異常であるときに、処理中の画像データがあるときには、データ処理装置として、インクジェットプリンタ等の特定熱源を備えない画像形成装置に前記処理中の画像データを転送する構成としたが、前記処理中の画像データが転送されるデータ処理装置は、安全な動作環境が確保されている前記特定熱源を備えた画像形成装置であってもよい。この場合、転送する側と転送される側の画像形成装置の夫々に、夫々の動作環境を送受信する手段を備え、前記転送する側の画像形成装置に転送される側の画像形成装置を優先順位を付与して複数指定する。前記転送する側の画像形成装置は、前記転送される側の画像形成装置の動作状況を優先順位に従って確認し、安全な動作環境が確保されている画像形成装置に前記処理中の画像データを転送する構成とすることで、前記処理中の画像データの喪失を防止することができる。また、前記転送される側の画像形成装置に特定熱源を備えない画像形成装置を加えることで、更に確実に、前記処理中の画像データの喪失を防止することができる。
【0047】
上述した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等を適宜変更設計できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】デジタル複合機の電源制御部に係る機能ブロック構成図
【図2】デジタル複合機の説明図
【図3】姿勢検出スイッチの説明図
【図4】受信機の説明図
【図5】デジタル複合機の電源回路の説明図
【図6】デジタル複合機の制御部の説明図
【図7】緊急警報放送の第一種開始信号を受信したときと何らかの外力が働いたときのデジタル複合機の動作の説明に用いるフローチャート
【符号の説明】
【0049】
5:メインスイッチ
6:リレー
15:姿勢検出スイッチ
18: 受信機
340:電源制御部
340a:電源遮断手段
340b:リレー制御手段
342:操作制御部
344:システム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源トランスの一次側から画像処理に必要な特定熱源を含む第一の負荷に給電する一次側電源ラインと、前記電源トランスの二次側から第二の負荷に給電する二次側電源ラインに電源ラインが分岐され、前記第二の負荷により前記第一の負荷が制御される画像形成装置において、災害発生時に送信される緊急警報放送を受信する緊急警報放送受信手段を備え、前記緊急警報放送が受信されるときに、前記一次側電源ラインへの給電を遮断すると共に前記二次側電源ラインへの給電を維持する電源遮断手段を備えてある画像形成装置の安全装置。
【請求項2】
画像形成装置の設置姿勢の異常を検出する姿勢検出スイッチを備え、前記電源遮断手段は、前記緊急警報放送受信手段が前記緊急警報放送を受信し、且つ前記姿勢検出スイッチが設置姿勢の異常信号を出力するときに、前記一次側電源ラインへの給電を遮断すると共に前記二次側電源ラインへの給電を維持する請求項1記載の画像形成装置の安全装置。
【請求項3】
画像データを転送するデータ転送手段を備え、前記緊急警報放送が受信されると、少なくとも処理中の画像データがデータ処理装置に転送される請求項1または2に記載の画像形成装置の安全装置。
【請求項4】
前記データ処理装置が、画像形成装置またはデータ記憶装置である請求項1から3の何れかに記載の画像形成装置の安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−271928(P2007−271928A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97449(P2006−97449)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】