説明

画像形成装置の消耗品カートリッジおよび画像形成装置

【課題】誤挿入の判別が早い段階で可能であるとともに,小さいスペースで多種類の形態に対応して確実に判別可能な判別手段を有する画像形成装置の消耗品カートリッジおよび画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明のプリンタ10のトナーカートリッジ11は,外形の一部をなす仕向判別キー3と,識別情報を格納したICチップ4とを有し,ICチップ4,接続部またはその間を接続するハーネスの少なくとも一部が仕向判別キー4に搭載されているものである。一方,プリンタ10の本体12には,仕向判別キー3に係合するキー受け部5が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像形成装置とその本体に着脱可能に装着される消耗品カートリッジに関する。さらに詳細には,交換時の誤挿入やそれによるマシントラブル等を防止した画像形成装置の消耗品カートリッジおよび画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コピー機やプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置では,感光体を含むプロセスカートリッジやトナーを収納するトナーカートリッジ等が着脱可能に装着されている。これらのカートリッジは一般に消耗品であり,適宜交換が必要である。専門のサービスパーソンが常時保守点検を行っている装置を別にすれば,ユーザが各自で交換作業を行う。専門家ではないユーザが行うため,場合によってはカートリッジの取り違えや挿入ミス等が発生するおそれがある。そこで,カートリッジやそれが取り付けられる本体部分に物理的な凹凸形状を形成したものがあった。これにより,カートリッジと本体とでこの凹凸形状が合致しない場合には,カートリッジが装着できないようにされていた。しかし,凹凸形状はスペースを取る上,多くの種類に分類することが難しい。
【0003】
これに対し,特許文献1には,カートリッジにヒューズを備え,ヒューズの導通によって新品かどうかの検知を行う画像形成装置が開示されている。さらにこの文献の装置では,カートリッジに抵抗素子を備え,その抵抗値によってカートリッジの種類等を判別できるとされている。また,特許文献2には,カートリッジにIC(集積回路)チップ等の記憶手段を備え,その記憶内容を画像形成装置本体によって読み出せるようにしたものが開示されている。この文献によれば,記憶手段を用いることにより,凹凸形状より省スペースで多種類の形態に対応することが容易であるとされている。
【特許文献1】特開平5−249777号公報
【特許文献2】特開2002−169428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,前記した従来の各画像形成装置では,抵抗素子の抵抗値を検出したり,記憶手段の内容を読み出すことができるのは,カートリッジを完全に挿入してカバーを閉め,本体に電源を入れてからのことになる。そのため,検出によって誤挿入であると認識された場合には,再び電源を落としてカバーを開け,カートリッジを取り出すという作業が必要となる。凹凸形状が,挿入しようとした段階ですぐに誤挿入が判別できるのと比較して,判別されるのが遅く,再挿入にも手間がかかるという問題点があった。
【0005】
一方で,凹凸形状を配置するには,スペース上の制約や成形精度等からあまり種類を増やすことは難しい。また,凹凸形状では,例えば凸部が脱落あるいは欠損した場合には,凹部の形状にかかわらず挿入できてしまう。このことから,凹凸形状のみでは誤挿入の判別が不可能となる場合がある。従って,脱落や欠損に対する安全策がさらに必要であるという問題点があった。
【0006】
本発明は,前記した従来の消耗品カートリッジおよび画像形成装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,誤挿入の判別が早い段階で可能であるとともに,小さいスペースで多種類の形態に対応して確実に判別可能な判別手段を有する画像形成装置の消耗品カートリッジおよび画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の画像形成装置の消耗品カートリッジは,画像形成装置における消耗品を収納し,画像形成装置に取り付けて使用される画像形成装置の消耗品カートリッジであって,外形の一部をなす仕向け判別形状部と,識別情報を格納した記憶媒体とを有し,記憶媒体またはそのアクセス経路の少なくとも一部が仕向け判別形状部に搭載されているものである。
【0008】
本発明の画像形成装置の消耗品カートリッジは,仕向け判別形状部と記憶媒体とを有している。仕向け判別形状部は外形の一部をなしているので,画像形成装置に取り付けられるときにその外形が適合しないものは取り付けることができない。従って,外形によって,誤挿入の判別が早い段階で可能である。さらに,記憶媒体を有しているので,小さいスペースで多種類の形態に対応できる。さらに,記憶媒体またはそのアクセス経路の少なくとも一部が仕向け判別形状部に搭載されているので,仕向け判別形状部の破損時には記憶媒体との情報の授受が不可能となる。従って,誤挿入が確実に判別可能な画像形成装置の消耗品カートリッジとなっている。なお,ここでのアクセス経路としては,記憶媒体と画像形成装置とを接続する接続端子及び記憶媒体と接続端子との間の配線を含む。
【0009】
さらに本発明では,仕向け判別形状部は,記憶媒体を内蔵していることが望ましい。あるいは,仕向け判別形状部が,記憶媒体の一部を搭載していてもよい。いずれにしても,仕向け判別形状部の破損時には,記憶媒体にアクセスできなくなる。
【0010】
またあるいは,記憶媒体を取り付け先装置に接続する接続端子を有し,その接続端子が仕向け判別形状部に搭載されていてもよい。またあるいは,記憶媒体を取り付け先装置に接続する接続端子と,記憶媒体と接続端子とを繋ぐ配線とを有し,配線の少なくとも一部が仕向け判別形状部に搭載されていてもよい。このようにしても,仕向け判別形状部の破損時には,記憶媒体にアクセスできなくなる。
【0011】
さらに本発明では,仕向け判別形状部に,取り付け先装置から機械的駆動の伝達を受ける被伝達部が含まれることが望ましい。このようなものであれば,仕向け判別形状の合致しないカートリッジは機械的に駆動されない。
【0012】
さらに本発明では,仕向け判別形状部は,画像形成装置に対する脱着方向に対する上下左右のいずれかの位置に,装着時の進行方向前向きに傾斜して設けられていることが望ましい。仕向け判別形状部が進行方向前向きに傾斜していれば,そこに搭載されている記憶媒体またはそのアクセス経路も傾斜されるので,取り付け先装置との接続が確実なものとなる。
【0013】
さらに本発明では,仕向け判別形状部が,画像形成装置に対する脱着経路の途中で取り付け先装置に係合しても良い。このようになっていても,仕向け判別形状の合致しないカートリッジは脱着できない。
【0014】
また本発明の画像形成装置は,消耗品を収納した消耗品カートリッジを取り付けて使用するものであって,消耗品カートリッジには,外形の一部をなす仕向け判別形状部と,識別情報を格納した記憶媒体とが設けられており,記憶媒体またはそのアクセス経路の少なくとも一部が仕向け判別形状部に搭載されているものである。本発明の画像形成装置によれば,消耗品カートリッジに仕向け判別形状部と記憶媒体とが設けられているので,誤挿入が確実に判別可能である。
【0015】
さらに本発明では,消耗品カートリッジを取り付ける取り付け先部位には,仕向け判別形状部に係合する係合部が設けられていることが望ましい。このようなものであれば,係合部を有しているので,消耗品カートリッジの仕向け判別形状部との係合が容易に判別できる。
【0016】
さらに本発明では,消耗品カートリッジを取り付ける取り付け経路途中には,仕向け判別形状部に係合する係合部が設けられていることが望ましい。このようなものであれば,係合部を有しているので,消耗品カートリッジの仕向け判別形状部との係合が容易に判別できる。
【0017】
さらに本発明では,消耗品カートリッジは,記憶媒体を取り付け先装置に接続するとともに,仕向け判別形状部に搭載された接続端子を有し,取り付け先部位の係合部には,接続端子に接触する本体側端子が設けられていることが望ましい。このようになっていれば,仕向け判別形状部と係合部とが正しく係合された場合に限り,消耗品カートリッジの接続端子と,画像形成装置の本体側端子とが接続される。従って,確実な判別が可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の画像形成装置の消耗品カートリッジおよび画像形成装置によれば,誤挿入の判別が早い段階で可能であるとともに,小さいスペースで多種類の形態に対応して確実に判別可能な判別手段を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下,本発明を具体化した各種の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,コピー機,プリンタ等の画像形成装置と,それに着脱されるイメージングカートリッジ等の消耗品カートリッジに本発明を適用したものである。
【0020】
「第1の形態」
本形態のプリンタ10は,図1に示すように,小型モノクロ機であり,トナーカートリッジ11が着脱可能に設けられている。このプリンタ10は,本体12に対して開閉可能なカバー13を有している。そして,このカバー13を開放して図中矢印Aで示す方向にトナーカートリッジ11が着脱される。この形態では,このトナーカートリッジ11が消耗品カートリッジに相当する。
【0021】
このプリンタ10はさらに,給紙部14,画像形成部15,定着部16等の画像形成のための各部を有している。さらに,各部の制御を行うコントローラ17も有している。そして,ユーザの指示に基づいて,給紙部14から給紙された転写紙に,画像形成部15によってトナー像が形成され,定着部16によって定着されて排出される。このとき,画像形成部15によってトナーカートリッジ11に収容されているトナーが使用され,収容量は次第に減少する。収容されているトナーが無くなったときには,トナーカートリッジ11を交換する必要がある。この画像形成動作に係る各部の構成は,一般的な装置と同様であり,ここでは説明を省略する。
【0022】
ここで,トナーカートリッジ11のような消耗品カートリッジの概略構成を,図2に示す。図2では,説明の都合上,トナーカートリッジ11の形状を実際より簡略化して描いている。消耗品カートリッジの一面の一部には,物理的な凸形状部である仕向判別キー3が設けられている。さらに,その仕向判別キー3の凸面にICチップ4が取り付けられている。また,本体12のうち,消耗品カートリッジがはめ込まれる部位にはキー受け部5が形成されている。キー受け部5は,仕向判別キー3の形状に合わせた凹形状部である。さらに,キー受け部5の凹部の内側には,トナーカートリッジ11のICチップ4と電気的に接続されるチップ接続部6が設けられている。後述するように,このトナーカートリッジ11とその本体12とは,仕向け判別キー3とキー受け部5との組み合わせによって物理的に誤挿入が判別される。さらに,ICチップ4とチップ接続部6との接続によって,さらに詳細に誤挿入が判別される。
【0023】
またあるいは,キー受け部5がチップ接続部6とは別に設けられていても良い。例えば,図1に示すトナーカートリッジ11では図中側部に仕向判別キー3が設けられ,本体12のトナーカートリッジ11を挿入する経路途中の対応する箇所にキー受け部5が設けられている。従って,挿入動作の途中に仕向け判別キー3とキー受け部5との物理的判別が行われる。この物理的判別をクリアしてトナーカートリッジ11が本体12に完全に挿入されると,ICチップ4とチップ接続部6とが接続可能となる。あるいは,トナーカートリッジ11を奥まで挿入したときにちょうど噛み合う位置に仕向け判別キー3とキー受け部5とを配置しても良い。
【0024】
プリンタ10の本体12に設けられているキー受け部5の配置や大きさは,プリンタ10の仕向等によって異なる。また,各プリンタ10に装着されるトナーカートリッジ11には,仕向等によって異なる配置や大きさで仕向判別キー3が形成されている。従って,本体12と仕向が異なるトナーカートリッジ11は,その仕向判別キー3がキー受け部5ではない部分に当接してしまうので,装着することはできない。仕向判別キー3の配置を変えた例を図3と図4に示す。配置の変更だけでなく,仕向判別キー3の形状や大きさ等を変更することもできる。
【0025】
トナーカートリッジ11に取り付けられているICチップ4には,そのトナーカートリッジ11の固有情報が格納されている。固有情報とは,例えば,シリアルナンバー,新品であることを示す新品情報,仕向を詳しく分類する仕向情報,収容されているトナーの色を示す色情報,トナー残量に関わる印字枚数情報等である。実際には,これらのうちから必要な情報が選択されて記憶されている。このICチップ4は本体12のチップ接続部6に接続されることにより,本体12のコントローラ17と情報のやりとりが可能である。
【0026】
すなわち,コントローラ17は,ICチップ4内に格納されている情報を読み取ることができる。また,コントローラ17は,新たな情報をICチップ4に書き込むこともできる。ICチップ4に読み出し専用エリアと書き換え可能エリアとがあり,書き換え不要の情報(シリアルナンバー,仕向け情報,色情報等)は読み出し専用エリアに,書き換えを要する情報(新品情報,印字枚数情報等)は書き換え可能エリアに,それぞれ記憶されている。そして,ICチップ4の新品情報や印字枚数情報等は,コントローラ17によって,トナーカートリッジ11内のトナーの使用状況に応じて書き換えられる。例えば,トナーカートリッジ11を使い始めたら新品情報を削除し,印字の実行に伴って印字枚数を加算する等である。
【0027】
このプリンタ10において,トナーカートリッジ11内のトナーが少なくなり交換時期が到来すると,コントローラ17は,本体12の表示装置等にそのことを表示してユーザの注意を喚起する。ユーザは,新たなトナーカートリッジ11を用意し,古いものを外して交換する。このとき,もし仕向判別キー3の異なるトナーカートリッジ11を装着しようとしたら,仕向判別キー3がキー受け部5に正しく入らないので装着できない。従って,誤挿入が早い段階で確実に防止される。
【0028】
またこのプリンタ10では,仕向判別キー3が適合したトナーカートリッジ11が装着された場合,ICチップ4の記憶内容によってより詳しい判断がなされる。トナーカートリッジ11が取り付けられ,カバー13が閉められて本体12に電源が投入されることにより,チップ接続部6とICチップ4とが電気的に接続される。そして,ICチップ4に記憶されている固有情報がコントローラ17によって読み出される。コントローラ17は,読み出された固有情報によって適切なトナーカートリッジ11かどうかを判断できる。
【0029】
例えば,印字枚数情報が所定枚数を超えている場合では,トナー残量がほとんどないことが判断される。また,新品情報が欠如していたり,印字枚数情報が0でない場合には,新品ではないトナーカートリッジ11が装着されたと判断される。このような場合には,コントローラ17はICチップ4の固有情報に応じた対応を行う。適切なトナーカートリッジ11でないと判断された場合には,本体12の表示装置等にその旨表示して画像形成動作を行わない。例えば,仕向け情報が合致していなかったり,トナー残量がないと判断された場合である。また,新品ではないが使用できると判断された場合には,表示装置に所定の警告表示をして画像形成動作を行う。
【0030】
また本プリンタ10は,凸形状部である仕向判別キー3が破損したトナーカートリッジ11が装着された場合にも対応できる。仕向判別キー3が脱落したトナーカートリッジ11は,たとえ形状が適合していないものであったとしても,突き当たる部分がないので挿入すること自体はできる。しかし,この状態でカバー13を閉めて電源を入れても,チップ接続部6に対応する位置にはICチップ4がない。そのため,コントローラ17は固有情報を読み出すことができない。このことから,コントローラ17は装着されたトナーカートリッジ11が適切なものではないと判断できる。従って,この場合には,本体12の表示装置等にその旨表示して画像形成動作を行わない。
【0031】
以上詳細に説明したように本形態のプリンタ10によれば,本体12にキー受け部5とチップ接続部6を有し,トナーカートリッジ11に仕向判別キー3とICチップ4とを有しているので,これらを合わせて判別することができる。すなわち,大まかな適合判断は仕向判別キー3とキー受け部5との位置合わせでできるので,トナーカートリッジ11の装着時に誤挿入がすぐに判る。さらに,ICチップ4の記憶内容から固有情報を得ることができるので,トナーカートリッジ11の状態のさらに詳しい判断が可能である。また,ICチップ4の有無から仕向判別キー3の破損を判断できる。従って,誤挿入の判別が早い段階で可能であるとともに,小さいスペースで多種類の形態に対応して確実に判別可能な判別手段を有するプリンタ10となっている。なお,ICチップ自体は内蔵されていて,図中の4の位置にその接続端子等が設けられているものでも良い。また,ICチップ4の外装体の外形を仕向判別キー3として使用することもできる。
【0032】
「第2の形態」
次に,第2の形態について説明する。本形態のカラープリンタ20は,図5に示すように,消耗品カートリッジ21が,本体22に対して図中矢印Bで示す方向に着脱される。この消耗品カートリッジ21は,4色のトナーカートリッジとプリントユニットとを含んで一体化されたものである。このカラープリンタ20は,本体22に対して開閉可能なカバー23を有し,このカバー23を開放して消耗品カートリッジ21を着脱する。また,本形態においても,給紙部24,画像形成部25,定着部26等の画像形成のための各部,および各部の制御を行うコントローラ27等を有している。
【0033】
本形態の消耗品カートリッジ21は,その概略を図6に示すように,カートリッジケース28に各色のトナーカートリッジ29a,29b,29c,29dが並べて配置されている。図6においても,消耗品カートリッジ21の形状を実際より簡略化して示している。カートリッジケース28には,図5に示すように,中間転写ベルト28pが組み込まれている。
【0034】
各色のトナーカートリッジ29a,29b,29c,29dには,図6に示すように,図中奥側の端部にそれぞれ仕向判別キー3が形成されている。また,各仕向判別キー3の図中上面にはICチップ4が取り付けられている。ここでは,仕向判別キー3は,板状の凸形状部であり,その図中上下方向高さが色ごとにそれぞれ異なるものである。図6では,図中右側のものほど高さが低く,左側のものほど高い。そして,各ICチップ4はその仕向判別キー3の上端に取り付けられているため,色ごとにICチップ4の高さ位置がそれぞれ異なるものとなっている。
【0035】
一方,本体22には,図5に示すように,それぞれ高さ位置の異なる4つのキー受け部5が設けられている。そして,各キー受け部5にはそれぞれチップ接続部6が設けられている。このチップ接続部6の配置は,装着されたときの各ICチップ4の位置に合致させてある。この消耗品カートリッジ21では,図5と図6に矢印Bで示すように,各色のトナーカートリッジ29a,29b,29c,29dの並び方向に沿って着脱される。そのため,着脱時には,各仕向判別キー3はいずれもほぼ同じ軌跡をたどる。装着時の移動方向は図6中右方向であり,高さの低い仕向判別キー3が先に本体22中へ入り込むようになっている。
【0036】
本形態のカラープリンタ20において,各色のトナーカートリッジやプリントユニットのいずれかに交換時期が到来したら,コントローラ27は,本体22の表示装置等にその旨表示してユーザに交換を促す。ユーザは,必要な交換部品を用意し,カバー23を開放して消耗品カートリッジ21を取り出す。そして,交換する部品を取り外して新しいものと取り替え,再び消耗品カートリッジ21を本体22に装着する。
【0037】
このとき,仕向判別キー3の形状がキー受け部5と合致していない場合には,消耗品カートリッジ21を適切に装着することができない。特に仕向判別キー3が大きすぎる場合や配置が異なる場合などでは,挿入途中で本体22に当接するので,すぐに判断できる。またあるいは,仕向判別キー3が小さすぎる場合や破損している場合では,ICチップ4とチップ接続部6とが適切に接続できない。これらの場合にはコントローラ27によって適切なカートリッジでないと判断される。ICチップ4とチップ接続部6とが接続できた場合でも,ICチップ4に記憶されている固有情報が適切でない場合には,画像形成動作は行わない。
【0038】
以上詳細に説明したように本形態のカラープリンタ20によっても,誤挿入の判別が早い段階で可能であるとともに,小さいスペースで多種類の形態に対応して確実に判別可能な判別手段を有するものとなっている。なお,本形態では,カートリッジケース28と各色のトナーカートリッジ29a,29b,29c,29dとの間にも,誤挿入防止のための凹凸形状等を設けても良い。また,高さ位置を変えた仕向判別キー3に代えて,図7に示すように,各トナーカートリッジ29a,29b,29c,29dの上面または側面に,それぞれ異なる位置あるいは異なる大きさとした仕向判別キー3を設けても良い。
【0039】
さらに,この形態のカラープリンタ20のように,ICチップ4の取り付け面と消耗品カートリッジ21の着脱方向とが略平行である場合には,ICチップ4の取り付け面をやや傾斜させて設けると良い。これは,ICチップ4の取り付け面が装着時進行方向の前方ではなく,上下左右のいずれかの位置に設けられている場合を意味する。ここで,上下左右のいずれかの位置とは,進行方向に対して側方のことであり,360°の範囲内のどこでも良い。この場合には,図8に示すように,キー受け部5を消耗品カートリッジ21の挿入方向に対してやや傾斜して形成する。この図では,装着時の進行方向(図中矢印B方向)に対して前向きに図中角度αだけ傾斜させている。このようにすることにより,ICチップ4とチップ接続部6との接続が確実なものとなる。また,ICチップ4も挿入方向に対してやや傾斜して取り付けても良い。また本形態でも,ICチップ自体は内蔵されていて,図中の4の位置にその接続端子等が設けられ,同様に傾斜されているものでも良い。
【0040】
「第3の形態」
次に,第3の形態について説明する。本形態のカラープリンタ30は,図9に示すように,4色のトナーカートリッジ31a,31b,31c,31dが,本体32にそれぞれ個別に着脱されるものである。図9では示されていないが,本体32の手前側に開閉可能な扉があり,これを開放してトナーカートリッジ31a,31b,31c,31dを図中奥行き方向へ着脱する。また,本形態においても,給紙部34,画像形成部35,定着部36等の画像形成のための各部,および各部の制御を行うコントローラ等を有している。
【0041】
本形態のトナーカートリッジ31a,31b,31c,31dは,その概略を図10に示すように,挿入時に手前側となる端部に仕向判別キー3が設けられている。図10においても,トナーカートリッジ31a,31b,31c,31dの形状を実際より簡略化して示している。この仕向判別キー3は,各トナーカートリッジ31a,31b,31c,31dの手前面に対して,それぞれ図中左右方向に異なる位置に配置されている。また,各仕向判別キー3の凸面(図中手前面)にはICチップ4が取り付けられている。図中の矢印Cは,各トナーカートリッジ31a,31b,31c,31dの着脱方向である。
【0042】
本形態のカラープリンタ30の本体32には,図11に簡略化して示すように,扉37が設けられている。図11は,カラープリンタ30を図9の左方向から見た概略断面図である。そして,扉37の内側面には,仕向判別キー3と合致する凹部を有するキー受け部5が形成されている。このキー受け部5は,図11中奥行き方向の4箇所に形成され,そのそれぞれが,各トナーカートリッジ31a,31b,31c,31dの仕向判別キー3と合致する。従って,各トナーカートリッジ31a,31b,31c,31dを装着して扉37を閉止することにより,各仕向判別キー3と各キー受け部5とが噛み合う。誤挿入があった場合には,扉37が正しく閉まらないのですぐに判断できる。さらに,扉37が正しく閉まったときには,キー受け部5の内部に設けられたチップ接続部6とICチップ4とが接続するようになっている。
【0043】
従って,本形態のカラープリンタ30によっても,誤挿入の判別が早い段階で可能であるとともに,小さいスペースで多種類の形態に対応して確実に判別可能な判別手段を有するものとなっている。また本形態でも,ICチップ自体は内蔵されていて,図中の4の位置にその接続端子等が設けられているものでも良い。
【0044】
「第4の形態」
次に,第4の形態について説明する。本形態の消耗品カートリッジ41a,41bは,図12に示すように,トナー収納部42と駆動伝達部43とを併せ持っている。そして,各消耗品カートリッジ41a,41bごとに個別で,本体に対して図中矢印D方向に着脱される。この図では2種類の消耗品カートリッジ41a,41bのみを示しているが,同様にして4色分のカートリッジを用意することもできる。
【0045】
駆動伝達部43には,駆動伝達ギア44と同軸に,円柱形状の仕向判別キー45や円環形状のICチップ接続端子46が形成されている。駆動伝達ギア44は,この消耗品カートリッジ41a,41bが本体に装着された状態では,本体の駆動装置から駆動供給されるものである。そして,この駆動力によって,駆動伝達部43の全体が一体的に回転するようにされている。
【0046】
本形態の消耗品カートリッジ41a,41bでは,仕向判別キー45は径の異なる軸部材である。本体側に設けられた径の異なる軸受け部材がキー受け部として機能する。キー受け部より大きい径の仕向判別キー45を有するカートリッジは取り付けることができない。なお,ここでは仕向判別キー45として所定の径の軸部材として図示しているが,途中で径の変化しているものでも良い。例えば,階段形状が形成されていても良い。このようになっていれば,さらに多様な仕向を判別できる。
【0047】
また,ICチップ接続端子46は,互いに径の異なる円環状の端子となっている。本体には,それぞれ対応する位置にチップ接続部6が設けられている。接点位置の合致しないカートリッジからは固有情報が得られない。ICチップ接続端子46を仕向判別キーとして用いることもできる。さらに,駆動伝達ギア44が,仕向判別キー45またはその一部を兼ねているものでも良い。駆動伝達ギア44の形状が本体の駆動装置と合致していない場合はカートリッジを取り付けることができない。あるいは,駆動力を伝達することができない。
【0048】
従って,本形態の消耗品カートリッジ41a,41bによっても,誤挿入の判別が早い段階で可能であるとともに,小さいスペースで多種類の形態に対応して確実に判別可能な判別手段を有するものとなっている。本形態の消耗品カートリッジ41a,41bでは,ICチップ自体は仕向判別キー45に直接載っていなくても良い。いずれも駆動伝達部43に含まれ,全体として一体にされている。なお,図12では駆動伝達ギア44もそれぞれ径が異なるものとして描いているが,図13に示すように,これらは等しい径のギアであっても良い。また,仕向判別キー45によって物理的判別が十分にできるのであれば,ICチップ接続端子46の径も互いに等しいものであっても良い。なお,ICチップ自体がICチップ接続端子46に含まれていても良い。
【0049】
さらに,上記の各形態において,ICチップ4は仕向判別キー3に対してある程度一体的であれば良く,仕向判別キー3の凸面にすべて載っている必要はない。例えば,仕向判別キー3の凸部の側面に設けられても良い。また,図14に示すように,ICチップ4の一部が仕向判別キー3に載っているものでも良い。あるいは,2つ以上のICチップを有し,その内の1つが仕向判別キー3に載っているものでも良い。また例えば図15に示すように,チップ接続部6と接続される接続部51がICチップ4とは別に設けられ,その間をつなぐハーネス52が仕向判別キー3に載っているものでも良い。すなわち,ICチップ4およびそのアクセス路(接続部51,ハーネス52等を含む)の少なくとも一部が仕向け判別キー3に搭載されていればよい。いずれの場合でも,仕向判別キー3が破損したり,無理な装着がなされた場合には,ICチップ4とチップ接続部6との電気的接続が不可能となればよい。
【0050】
なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
例えば,上記の各形態の消耗品カートリッジとしては,トナーカートリッジ,インクカートリッジ,感光体カートリッジ,廃トナーカートリッジ,ステープル針カートリッジ等どんなものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1の形態に係るプリンタの概略構成を示す断面図である。
【図2】トナーカートリッジとその取付部の概略構成を示す斜視図である。
【図3】トナーカートリッジの仕向による違いの例を示す概略斜視図である。
【図4】トナーカートリッジの仕向による違いの例を示す概略斜視図である。
【図5】第2の形態のプリンタの概略構成を示す断面図である。
【図6】第2の形態の消耗品カートリッジの概略構成を示す斜視図である。
【図7】第2の形態の消耗品カートリッジの概略構成を示す斜視図である。
【図8】第2の形態の消耗品カートリッジと本体とのなす角を示す説明図である。
【図9】第3の形態のプリンタの概略構成を示す断面図である。
【図10】第3の形態のトナーカートリッジの概略構成を示す斜視図である。
【図11】第3の形態のプリンタの概略構成を示す断面図である。
【図12】第4の形態の消耗品カートリッジの概略構成を示す斜視図である。
【図13】第4の形態の消耗品カートリッジの概略構成を示す斜視図である。
【図14】ICチップの取り付け方の別の例を示す斜視図である。
【図15】ICチップの取り付け方の別の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
3 仕向判別キー
4 ICチップ
5 キー受け部
6 チップ接続部
10 プリンタ
11 トナーカートリッジ
12 本体
20 カラープリンタ
21 消耗品カートリッジ
22 本体
28 カートリッジケース
29a,29b,29c,29d トナーカートリッジ
30 カラープリンタ
31a,31b,31c,31d トナーカートリッジ
32 本体
41a,41b 消耗品カートリッジ
45 仕向判別キー
52 ハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置における消耗品を収納し,画像形成装置に取り付けて使用される画像形成装置の消耗品カートリッジにおいて,
外形の一部をなす仕向け判別形状部と,
識別情報を格納した記憶媒体とを有し,
前記記憶媒体またはそのアクセス経路の少なくとも一部が前記仕向け判別形状部に搭載されていることを特徴とする画像形成装置の消耗品カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置の消耗品カートリッジにおいて,
前記仕向け判別形状部は,前記記憶媒体を内蔵していることを特徴とする画像形成装置の消耗品カートリッジ。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置の消耗品カートリッジにおいて,
前記仕向け判別形状部は,前記記憶媒体の一部を搭載していることを特徴とする画像形成装置の消耗品カートリッジ。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置の消耗品カートリッジにおいて,
前記記憶媒体を取り付け先装置に接続する接続端子を有し,
前記接続端子が前記仕向け判別形状部に搭載されていることを特徴とする画像形成装置の消耗品カートリッジ。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置の消耗品カートリッジにおいて,
前記記憶媒体を取り付け先装置に接続する接続端子と,
前記記憶媒体と前記接続端子とを繋ぐ配線とを有し,
前記配線の少なくとも一部が前記仕向け判別形状部に搭載されていることを特徴とする画像形成装置の消耗品カートリッジ。
【請求項6】
請求項1に記載の画像形成装置の消耗品カートリッジにおいて,
前記仕向け判別形状部に,取り付け先装置から機械的駆動の伝達を受ける被伝達部が含まれることを特徴とする画像形成装置の消耗品カートリッジ。
【請求項7】
請求項1に記載の画像形成装置の消耗品カートリッジにおいて,
前記仕向け判別形状部は,
画像形成装置に対する脱着方向に対する上下左右のいずれかの位置に,
装着時の進行方向前向きに傾斜して設けられていることを特徴とする画像形成装置の消耗品カートリッジ。
【請求項8】
請求項1に記載の画像形成装置の消耗品カートリッジにおいて,
前記仕向け判別形状部は,画像形成装置に対する脱着経路の途中で取り付け先装置に係合することを特徴とする画像形成装置の消耗品カートリッジ。
【請求項9】
消耗品を収納した消耗品カートリッジを取り付けて使用する画像形成装置において,
前記消耗品カートリッジには,
外形の一部をなす仕向け判別形状部と,
識別情報を格納した記憶媒体とが設けられており,
前記記憶媒体またはそのアクセス経路の少なくとも一部が前記仕向け判別形状部に搭載されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成装置において,
前記消耗品カートリッジを取り付ける取り付け先部位には,前記仕向け判別形状部に係合する係合部が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項9に記載の画像形成装置において,
前記消耗品カートリッジを取り付ける取り付け経路途中には,前記仕向け判別形状部に係合する係合部が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の画像形成装置において,
前記消耗品カートリッジは,前記記憶媒体を取り付け先装置に接続するとともに,前記仕向け判別形状部に搭載された接続端子を有し,
前記係合部には,前記接続端子に接触する本体側端子が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項9に記載の画像形成装置において,前記消耗品カートリッジは,
前記仕向け判別形状部が,前記記憶媒体を内蔵しているものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項9に記載の画像形成装置において,前記消耗品カートリッジは,
前記仕向け判別形状部が,前記記憶媒体の一部を搭載しているものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項9に記載の画像形成装置において,前記消耗品カートリッジは,
前記記憶媒体を取り付け先装置に接続する接続端子を有し,
前記接続端子が前記仕向け判別形状部に搭載されているものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項9に記載の画像形成装置において,前記消耗品カートリッジは,
前記記憶媒体を取り付け先装置に接続する接続端子と,
前記記憶媒体と前記接続端子とを繋ぐ配線とを有し,
前記配線の少なくとも一部が前記仕向け判別形状部に搭載されているものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項9に記載の画像形成装置において,前記消耗品カートリッジは,
前記仕向け判別形状部に,取り付け先装置から機械的駆動の伝達を受ける被伝達部が含まれるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
請求項9に記載の画像形成装置において,前記消耗品カートリッジは,
前記仕向け判別形状部が,
画像形成装置に対する脱着方向に対する上下左右のいずれかの位置に,
装着時の進行方向前向きに傾斜して設けられているものであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−218975(P2007−218975A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36355(P2006−36355)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】