画像形成装置の製造方法及び画像形成装置
【課題】複数の像担持体に単一の駆動源から駆動力を順次伝達する構成において、像担持体への駆動伝達と駆動伝達経路下流側の像担持体への駆動伝達とを兼ねた兼用ギヤの偏心に起因した色ズレを低コストで高精度に抑制する。
【解決手段】偏心量が互いに略同一の駆動ギヤ32を用い、各挟み角θiが「π−φ±e」となるように構成され、第nの駆動ギヤの最大偏心地点4の回転位置が、第1の駆動ギヤ32kの最大偏心地点4kの回転位置に対し、nが奇数である場合は「(n−1)φ」、nが偶数の場合は「θi+(n−1)φ」だけ、該第nの駆動ギヤの回転方向にずれるように、上記N個の駆動ギヤが組み付けられている。なお、「φ」は、「2π(Ls−u×Ld)/Ld」である。ただし、「Ls」は像担持体間の軸間距離、「Ld」は各駆動ギヤ一回転あたりの像担持体の表面移動距離、「u」はLsを被転写体が移動する間に駆動ギヤが回転する周回数である。
【解決手段】偏心量が互いに略同一の駆動ギヤ32を用い、各挟み角θiが「π−φ±e」となるように構成され、第nの駆動ギヤの最大偏心地点4の回転位置が、第1の駆動ギヤ32kの最大偏心地点4kの回転位置に対し、nが奇数である場合は「(n−1)φ」、nが偶数の場合は「θi+(n−1)φ」だけ、該第nの駆動ギヤの回転方向にずれるように、上記N個の駆動ギヤが組み付けられている。なお、「φ」は、「2π(Ls−u×Ld)/Ld」である。ただし、「Ls」は像担持体間の軸間距離、「Ld」は各駆動ギヤ一回転あたりの像担持体の表面移動距離、「u」はLsを被転写体が移動する間に駆動ギヤが回転する周回数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の像担持体上に形成した各可視像を転写紙等の記録材や中間転写体などの被転写体上で互いに重ね合わせて画像を形成する複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置の製造方法及びその画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置として、例えば、被転写体である中間転写ベルトの表面移動方向に沿って複数の像担持体である感光体ドラムを並べて配置し、各感光体ドラム上に形成されたトナー像(可視像)を中間転写ベルト上で互いに重ね合わせてカラー画像を形成するものが知られている。低コスト化や省スペース化が求められる近年においては、2以上の感光体ドラムの駆動モータを共用する構成が望まれている。このような構成としては、主に、以下の2つの構成に大別できる。
【0003】
第1の構成は、図13に示すように、例えば特許文献1に記載されている構成である。この第1の構成は、駆動モータの駆動力をアイドラギヤにより分岐して各感光体ドラムへ伝達するというものである。具体的には、駆動モータ333のモータギヤ334を第1アイドラギヤ335に接続し、第1アイドラギヤ335を2つの第2アイドラギヤ336A,336Bに接続する。そして、第2アイドラギヤ336Aには、2つのドラム駆動ギヤ332A,332Bを接続し、第2アイドラギヤ336Bには1つのドラム駆動ギヤ332Cを接続する。このような構成により、1つの駆動モータ333によって3つの感光体ドラムの駆動を実現している。
【0004】
第2の構成は、図14に示すように、例えば特許文献2に記載されている構成である。この第2の構成は、駆動モータの駆動力を1つの感光体ドラムに伝達し、そこからアイドラギヤを介して別の感光体ドラムへ駆動力を順次伝達するというものである。図14に示す具体的な構成において、4つの感光体ドラムの各ドラム駆動ギヤ432A,432B,432C,432Dには、それぞれ、大径ギヤ435a,436a,437a,438aと小径ギヤ435b,436b,437b,438bとを同一回転軸上で一体に備えた第1アイドラギヤ435,436,437,438の小径ギヤ435b,436b,437b,438bが接続されている。4つの感光体ドラムのうち感光体ドラム配列方向一端に位置する第1の感光体ドラム(第1の像担持体)に接続されている第1アイドラギヤ435の大径ギヤ435aには、駆動モータ433のモータギヤ434が接続されている。各感光体ドラムの第1アイドラギヤの大径ギヤ435a,436a,437a,438aの間は、第2アイドラギヤ476,477,478によって接続されている。このような構成により、1つの駆動モータ433によって4つの感光体ドラムの駆動を実現している。
【0005】
図13に例示した第1の構成は、駆動モータの回転駆動力を分岐するためのアイドラギヤ135が必要となる。そのため、同じ数の感光体ドラムを単一の駆動モータで駆動する場合、図14に例示した第2の構成と比較して、アイドラギヤの数が多くなる。よって、上記第1の構成は、上記第2の構成と比較して、部品点数が多くなるとともに、省スペースが困難であるという不具合がある。
逆に、図14に例示した第2の構成であれば、各感光体ドラムの第1アイドラギヤ435,436,437,438が、それぞれの感光体ドラムへの駆動伝達と、駆動伝達経路下流側に隣接する感光体ドラムへの駆動伝達とを兼ねたギヤ(以下「駆動伝達兼用ギヤ」という。)であるため、上述した第1の構成のように駆動モータの回転駆動力をアイドラギヤで分岐する構成よりも、アイドラギヤ数を少なくできる。よって、部品点数が少なく、低コストで省スペースな構成の実現が容易である。
【0006】
一般に、駆動モータから感光体ドラムへの駆動伝達経路上に存在するギヤに偏心があると、そのギヤの回転周期をもつサインカーブを描く回転速度変動が感光体ドラムに生じる。このような感光体ドラムの回転速度変動が生じると、本来の形状よりも伸縮した潜像が感光体ドラム上に形成されたり、感光体ドラム上の可視像が被転写体に対して伸縮して転写されたりする。その結果、被転写体上に転写された可視像の形状が本来よりも伸縮したものとなってしまう。そして、このようなギヤの偏心によって周期的に伸縮する各可視像の伸縮の位相や振幅が被転写体上で一致していないと、これらの可視像を互いに重ね合わせたときにズレが生じる。このズレは僅かであっても、画像上では色ズレとして顕著に視認されてしまう。そのため、複数の感光体ドラム上の可視像を互いに重ね合わせて画像形成を行う画像形成装置においては、このような色ズレを高精度に抑制することが要求される。
【0007】
上記特許文献2には、上述した第2の構成において、このような色ズレを抑制する方法として、次のような方法を開示している。
上記特許文献2に記載されている構成では、図14に示すように、各第1アイドラギヤ435,436,437,438の大径ギヤ435a,436a,437a,438aが駆動伝達経路上に存在しているので、その大径ギヤの偏心によって、その大径ギヤの回転周期(第1アイドラギヤの回転周期)をもった回転速度変動が各感光体ドラムに生じる。この回転速度変動による色ズレを防止するため、上記特許文献2では、各第1アイドラギヤ435,436,437,438の組み付け時の回転位置(鉛直方向真上を基準とした第1アイドラギヤの回転方向とは逆方向への回転角度)を、次のように設定する。すなわち、被転写体上の同一地点がそれぞれの感光体ドラムの転写位置に位置する時に、いずれの感光体ドラムも、これに対応する第1アイドラギヤ435,436,437,438の大径ギヤの最大偏心地点が同じ回転位置となるように設定している。
【0008】
この組み付け方法は、各大径ギヤに対して個別の駆動モータを接続する構成であれば、各大径ギヤ435a,436a,437a,438aの偏心に起因した色ズレを抑制することは可能である。しかしながら、上記特許文献2に記載の構成は、上述した第2の構成、具体的には、大径ギヤ435a,436a,437a,438aを駆動伝達兼用ギヤとして用いて単一の駆動モータ433の回転駆動力を各感光体ドラムへ伝達する構成である。そのため、大径ギヤ435a,436a,437a,438aの偏心に起因した色ズレの抑制効果は、以下の理由により不十分であり、この色ズレを高精度に抑制することはできない。
【0009】
上記特許文献2に記載の構成では、駆動伝達経路下流側の感光体ドラムに伝達される回転駆動力には、その上流側に配置されているすべての感光体ドラムの第1アイドラギヤの大径ギヤの偏心に起因した回転速度変動が含まれる。具体的には、例えば、駆動伝達経路最下流側に位置する感光体ドラムに生じる回転速度変動には、当該感光体ドラムに対応する第1アイドラギヤ438の大径ギヤ438aのみの偏心に起因した発生する回転速度変動だけでなく、その駆動伝達経路上流側に位置するすべての感光体ドラムの第1アイドラギヤ435,436,437の大径ギヤ435a,436a,437aの偏心に起因した回転速度変動が重畳する。よって、駆動伝達経路下流側の感光体ドラムに生じる回転速度変動(第1アイドラギヤの回転周期をもった回転速度駆動成分)の位相や振幅は、当該感光体ドラムに対応する第1アイドラギヤの大径ギヤのみの偏心に起因して発生する回転速度変動の位相や振幅とは異なったものとなる。上記特許文献2に記載の方法では、それぞれの感光体ドラムの大径ギヤのみの偏心に起因した回転速度変動だけを考慮して調整しているので、駆動伝達経路上流側に配置されている感光体ドラムの第1アイドラギヤの大径ギヤの偏心に起因した回転速度変動分の色ズレは抑制できない。
【0010】
一方、特許文献3にも、上述した第2の構成を採用し、感光体ドラム軸と同軸に配置されたドラム駆動ギヤが駆動伝達兼用ギヤである構成を採用した画像形成装置が開示されている。この特許文献3に記載の構成は、駆動伝達兼用ギヤとして、アイドラギヤではなくドラム駆動ギヤを用いているので、アイドラギヤの数を最小とすることができ、低コスト化や省スペース化の効果が高い。ただし、上記特許文献3の構成も、上述した第2の構成を採用しているため、駆動伝達経路下流側の感光体ドラムに伝達される回転駆動には、その上流側に配置されているすべての感光体ドラムのドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動が含まれる。よって、駆動伝達経路上流側のドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動分を考慮しなければ、ドラム駆動ギヤの偏心に起因した色ズレを高精度に抑制することはできない。
【0011】
上記特許文献3には、この色ズレを高精度に抑制するため、ドラム駆動ギヤの組み付け方法として。次のような方法を開示している。
すなわち、互いに隣接する2つの感光体ドラムに関し、各感光体ドラムが被転写体上の同一地点に対して可視像をそれぞれ転写する時に、各感光体ドラムの回転速度変動(ドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動成分)の位相が一致し、かつ、当該回転速度変動の振幅も一致するように、それらのドラム駆動ギヤ間における偏心量の比を調整した感光体ドラム駆動ギヤを用い、そのような感光体ドラム駆動ギヤを所定の回転位置で組み付けるという方法である。この方法によれば、それぞれの感光体ドラムのドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動による色ズレだけでなく、駆動伝達経路上流側に配置されている感光体ドラムのドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動による色ズレも抑制できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献3に記載の方法は、偏心量が互いに異なるドラム駆動ギヤを製造し、かつ、各感光体ドラムにそれぞれ取り付けられるドラム駆動ギヤの偏心量の比率が既定の比率となる組合せを実現するドラム駆動ギヤを選定する必要がある。この場合、画像形成装置の製造工程において、製造したドラム駆動ギヤの偏心量を計測し、既定の偏心量比率となる組合せを実現するドラム駆動ギヤを選定するという作業が必要となる。このような作業は、大幅なコストアップにつながる。
【0013】
また、近年、ドラム駆動ギヤやアイドラギヤは、例えば、溶融樹脂を射出することによって成形したプラスチックギヤを利用する場合が多い。この場合、ギヤの偏心は、主にプラスチックギヤの射出成形時の成形誤差によって生じる。この成形誤差は、成形時の周辺温度分布や樹脂の射出温度分布、金型の組付偏差などが原因で発生する。この成形方法であれば、近年の高精度成形技術により、同一金型で成形された同一ロットのギヤについては、その偏心量のばらつきが非常に少なく、どれも実質的に同一の偏心量となる。そのため、この成形方法で上記特許文献3のドラム駆動ギヤを製造する場合、既定の偏心量比率となる組合せを実現する感光体ドラム駆動ギヤを製造することが困難であり、実質的に上記特許文献3に記載の方法を採用できない。
【0014】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、上述した第2の構成における駆動伝達兼用ギヤとして、偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤを用い、低コストで、駆動伝達兼用ギヤの偏心に起因した色ズレを高精度に抑制することが可能な画像形成装置の製造方法及びその画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、被転写体の移動方向に沿って並んで配置される複数の像担持体のうちのN個(Nは2以上の自然数である。)の像担持体へ伝達される回転駆動力を発生させる単一の駆動モータと、該単一の駆動モータで発生した回転駆動力を該N個の像担持体へそれぞれ伝達するN個の駆動ギヤと、該単一の駆動モータの駆動力により回転駆動するとともに、該N個の駆動ギヤのうち、該N個の像担持体のうちの一端に配置される第1の像担持体へ回転駆動力を伝達する第1の駆動ギヤと噛み合って、該単一の駆動モータの駆動力を該第1の駆動ギヤへ伝達する駆動入力ギヤと、該N個の駆動ギヤの各ギヤ間に配置され、駆動伝達経路上流側に位置する駆動ギヤの回転駆動力を駆動伝達経路下流側に位置する駆動ギヤへ伝達する(N−1)個のアイドラギヤとを備え、該単一の駆動モータの回転駆動力を該第1の駆動ギヤから順次、該(N−1)個のアイドラギヤを介して第Nの駆動ギヤまで伝達して、該N個の像担持体を回転駆動させる像担持体駆動装置を有しており、該像担持体駆動装置によって回転駆動する上記複数の像担持体の表面上にそれぞれ可視像を形成し、各像担持体の表面に形成された可視像を上記被転写体上に互いが重なり合うように転写して画像を形成する画像形成装置の製造方法において、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が互いに略同一のギヤを用い、上記駆動入力ギヤと上記第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所と上記(N−1)個のアイドラギヤのうちの第1のアイドラギヤと該第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角、及び、第(n−1)(nは2以上(N−1)以下の自然数である。)のアイドラギヤと該第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所と第nのアイドラギヤと第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角が、いずれも、許容誤差をeとした場合に、下記の式(1)に示すθiとなるように、上記駆動入力ギヤ、上記N個の駆動ギヤ及び上記(N−1)個のアイドラギヤを配置し、第nの駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置が、上記第1の駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置に対し、nが奇数である第nの駆動ギヤについては以下の式(2)に示す角度θanだけ、nが偶数である第nの駆動ギヤについては以下の式(3)に示す角度θanだけ、該第nの駆動ギヤの回転方向にずれるように、上記N個の駆動ギヤを組み付けることを特徴とするものである。
【数1】
【数2】
【数3】
上記式(1)〜(3)の「φ」は、第1の像担持体から第Nの像担持体までの並び方向が、上記被転写体の移動方向と一致している場合には下記の式(4)に示すものであり、該被転写体の移動方向とは逆である場合には下記の式(5)に示すものである。ただし、「Ls」は上記N個の像担持体間の軸間距離であり、「Ld」は各駆動ギヤ一回転あたりの像担持体の表面移動距離であり、軸間距離Lsを被転写体が移動する間に駆動ギヤが回転する周回数(整数)がuである。
【数4】
【数5】
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置の製造方法において、上記N個の駆動ギヤには、同一の成形型を用いて成形したギヤを用いることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、被転写体の移動方向に沿って並んで配置される複数の像担持体を回転駆動させ、該複数の像担持体の表面上にそれぞれ可視像を形成し、各像担持体の表面に形成された可視像を被転写体上に互いが重なり合うように転写して画像を形成する画像形成装置において、上記複数の像担持体のうちのN個(Nは2以上の自然数である。)の像担持体へ伝達される回転駆動力を発生させる単一の駆動モータと、該単一の駆動モータで発生した回転駆動力を該N個の像担持体へそれぞれ伝達するN個の駆動ギヤと、該単一の駆動モータの駆動力により回転駆動するとともに、該N個の駆動ギヤのうち、該N個の像担持体のうちの一端に配置される第1の像担持体へ回転駆動力を伝達する第1の駆動ギヤと噛み合って、該単一の駆動モータの駆動力を該第1の駆動ギヤへ伝達する駆動入力ギヤと、該N個の駆動ギヤの各ギヤ間に配置され、駆動伝達経路上流側に位置する駆動ギヤの回転駆動力を駆動伝達経路下流側に位置する駆動ギヤへ伝達する(N−1)個のアイドラギヤとを備え、該単一の駆動モータの回転駆動力を第1の駆動ギヤから順次、該(N−1)個のアイドラギヤを介して第Nの駆動ギヤまで伝達して、該N個の像担持体を回転駆動させる像担持体駆動装置を有しており、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が互いに略同一のギヤを用い、上記駆動入力ギヤと該第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所と上記(N−1)個のアイドラギヤのうち第1のアイドラギヤと上記第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角、及び、第(n−1)(nは2以上(N−1)以下の自然数である。)のアイドラギヤと該第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所と第nのアイドラギヤと第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角が、いずれも、許容誤差をeとした場合に、上記式(1)に示すθiとなるように構成されており、第nの駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置が、第1の駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置に対し、nが奇数である第nの駆動ギヤについては上記式(2)に示す角度θanだけ、nが偶数である第nの駆動ギヤについては上記式(3)に示す角度θanだけ、該第nの駆動ギヤの回転方向にずれていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、回転駆動している上記N個の像担持体の表面に対して所定の潜像書込位置でそれぞれ潜像を書き込むとともに各潜像を現像することで可視像を形成する可視像形成手段を有し、上記N個の像担持体が、上記所定の潜像書込位置から上記被転写体と対向する転写位置まで回転する間に、上記駆動入力ギヤが概ね整数回、回転するように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3又は4の画像形成装置において、回転駆動している上記N個の像担持体の表面に対して所定の潜像書込位置でそれぞれ潜像を書き込むとともに各潜像を現像することで可視像を形成する可視像形成手段を有し、上記N個の像担持体が、上記所定の潜像書込位置から上記被転写体と対向する転写位置まで回転する間に、上記(N−1)個のアイドラギヤが概ね整数回、回転するように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記N個の駆動ギヤは、それぞれ対応する像担持体の回転軸と同軸に配置された像担持体駆動ギヤであることを特徴とするものである。
【0016】
本発明においては、上述した第2の構成のように、第1から第(N−1)までの駆動ギヤが、それぞれ対応する像担持体への駆動伝達だけでなく、その駆動伝達経路下流側に隣接する像担持体への駆動伝達を兼ねている駆動伝達兼用ギヤとして用いられる。そのため、低コストで省スペースな構成の実現が容易である。
また、本発明によれば、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤを用いるので、これらの駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動を抑制するために、製造した駆動ギヤの偏心量を計測したり、既定の偏心量比率の組合せを実現できる駆動ギヤを選定したりする作業が不要である。
そして、本発明によれば、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤを用いても、後述するように、各像担持体に対応する駆動ギヤの偏心に起因して当該像担持体にそれぞれ生じる回転速度変動だけでなく、駆動伝達経路上流側に配置されている駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動も抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上より、本発明によれば、上述した第2の構成を採用するので低コストで省スペースな構成の実現が容易であるとともに、その駆動伝達兼用ギヤとして偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤを用い、低コストで、駆動伝達兼用ギヤの偏心に起因した色ズレを高精度に抑制することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1における画像形成装置の主要構成を示す概略構成図である。
【図2】同画像形成装置に搭載された感光体ドラム駆動装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】同感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
【図4】色ズレを生じさせない各感光体ドラムの理想の回転速度変動の相対関係を示すグラフである。
【図5】比較例に係る感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
【図6】同比較例における各感光体ドラムの回転速度変動の相対関係を示すグラフである。
【図7】実施例に係る感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
【図8】同実施例における各感光体ドラムの回転速度変動の相対関係を示すグラフである。
【図9】同実施例において挟み角θi=170°とした場合の各感光体ドラムの回転速度変動を示すグラフである。
【図10】同実施例において、挟み角(設計値)を振ったときの挟み角と誤差率との関係を示すグラフである。
【図11】実施形態2の感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
【図12】実施形態3の感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
【図13】単一の駆動モータの回転駆動力により複数の像担持体を駆動するための第1の構成の一例を説明するための説明図である。
【図14】単一の駆動モータの回転駆動力により複数の像担持体を駆動するための第2の構成の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔実施形態1〕
以下、本発明を、中間転写方式のタンデム型画像形成装置に適用した一実施形態(以下、本実施形態を「実施形態1」という。)について説明する。
図1は、本実施形態1における画像形成装置の主要構成を示す概略構成図である。なお、本画像形成装置を複写機やプリンタなどの製品として用いる場合には、必要に応じて、図示の主要構成に加えて、用紙を大量に保持する給紙テーブルを設置したり、スキャナ部や原稿自動搬送装置(ADF)を設置したりする。
【0020】
図1に示すように、本実施形態1の画像形成装置は、被転写体としての中間転写体である無端状ベルトからなる中間転写ベルト10が設けられている。この中間転写ベルト10は、4つの支持回転体としての支持ローラ7,8,11,12に掛け渡されており、図中反時計回り方向に表面移動する。本実施形態1においては、これら4つの支持ローラのうち、支持ローラ8が駆動ローラである。また、図示しないが、これら4つの支持ローラのうち、支持ローラ7の図中左側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置が設けられている。また、4つの支持ローラのうち、支持ローラ11と支持ローラ12との間に張り渡したベルト部分には、そのベルト表面移動方向に沿って、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(K)の4つの画像形成ユニットが並べて配置されている。各画像形成ユニットには、図中時計方向に回転駆動する像担持体としての感光体ドラム2と、ドラム駆動ギヤ32と、バイアスローラ6とが設けられている。また、各画像形成ユニットは、感光体ドラム2の周りに、図示しない帯電装置、現像装置及びクリーニング装置なども備えている。これらの画像形成ユニットは、使用するトナーの色が異なる以外は互いに同一の構成となっている。
【0021】
バイアスローラ6は、中間転写ベルト10を挟んで感光体ドラム2の対向する位置に配置されており、中間転写ベルト10はバイアスローラ6によって各感光体ドラム2に当接されている。各ドラム駆動ギヤ32は、同一金型で同一ロットの成形ギヤであり、ギヤ側面の円周方向にすくなくとも1箇所のマーク4が成形されている。同一金型で同一ロットの成形ギヤにおいては、成形誤差がほぼ一致するため、マーク4を基準に各ギヤの偏心位相関係を調整することが可能となる。黒(K)のマーク4kはドラムポジションセンサ20によって検知される。ドラムポジションセンサ20kの検知結果に基づき、黒(K)の感光体ドラム2kの回転位相を把握できる。
【0022】
また、本画像形成装置には、4つの画像形成ユニットの下方に、潜像形成手段としての露光装置1が設けられている。
また、本画像形成装置には、中間転写ベルト10を挟んで駆動ローラ8と対向する位置に、第2転写手段としての二次転写ローラ13が設けられている。この二次転写ローラ13は、駆動ローラ8に向けて中間転写ベルト10へ押し当てられるように設けられている。二次転写ローラ13と中間転写ベルト10との間のニップ部(二次転写部)には図中下方から所定のタイミングで記録材としてのシートが搬送されてくる。そして、二次転写ローラ13の加圧力と印加電圧により中間転写ベルト10上の画像がシートに転写される。なお、第2転写手段としては、転写ベルトや非接触式のチャージャを利用したものであってもよい。
また、本画像形成装置には、この二次転写ローラの図中上方に、図示しない定着装置が設けられている。この定着装置は、シート上に転写された画像をシートへ定着するための定着処理を行うものである。
【0023】
次に、本画像形成装置の画像形成動作について説明する。
本画像形成装置を複写機として用いる場合、まず、原稿を、図示しない原稿自動搬送装置の原稿台上にセットするか、原稿自動搬送装置を開いてスキャナ部のコンタクトガラス上にセットして原稿自動搬送装置を閉じてそれで押さえるかする。その後、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置に原稿をセットした場合であれば、その原稿が搬送されてコンタクトガラス上へと移動した後、スキャナ部の走査ユニットが駆動する。
コンタクトガラス上に原稿をセットした場合であれば、スキャナ部の走査ユニットが駆動する。走査ユニットが走行すると同時に光源から光が原稿面に照射され、その反射光が結像レンズを通して読取センサによって受光されて原稿内容が読み取られる。そして、読み取った原稿内容に基づく画像情報を用いて以下の画像形成を行う。
また、本画像形成装置をプリンタとして用いる場合、パソコンやデジタルカメラ等の外部機器から画像情報を受信し、その画像情報を用いて以下の画像形成を行う。
【0024】
上述した原稿の読取処理や画像情報の受信処理に並行して、図示しない中間転写ベルト用のベルト駆動モータで駆動ローラ8を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中反時計回り方向に表面移動するとともに、この表面移動に伴って他の支持ローラ(従動ローラ)が連れ回り回転する。また、これと同時に、図示しない駆動モータにより各画像形成ユニットの感光体ドラム2が図中時計回り方向に回転する。そして、各感光体ドラム2上に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の色別情報を用いてそれぞれ露光して静電潜像を形成し、これらを各現像装置でそれぞれ現像することにより単色のトナー画像(可視像)を形成する。その後、各感光体ドラム2上の単色トナー画像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0025】
このような画像形成に並行して、二次転写部に対して所定のタイミングでシートを搬送する。詳しくは、給紙カセットからシートを繰り出し、分離ローラで1枚ずつ分離して給紙路に入れ、搬送ローラで搬送してレジストローラに突き当てて止める。または、給紙ローラを回転して手差しトレイ上のシートを繰り出し、分離ローラで1枚ずつ分離して手差し給紙路に入れ、同じくレジストローラに突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像が二次転写部に到達するタイミングを合わせてレジストローラを回転し、二次転写部へシートを送り込む。なお、レジストローラは一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加するようにしてもよい。二次転写部では、二次転写ローラ13に印加される二次転写バイアスの作用によって中間転写ベルト10上の合成カラー画像がシート上に転写される。画像転写後のシートは、定着装置へ送り込まれ、この定着装置で熱と圧力が加えられて転写画像が定着される。定着後のシートは、図示しない排出ローラから排紙トレイ上に排出されてスタックされる。
【0026】
なお、本画像形成装置を用いて、単色の画像を形成することもできる。例えば黒の単色画像を形成する場合には、図示しない接離手段により、イエロー、シアン、マゼンタのカラー3色の感光体ドラム2から中間転写ベルト10を離すようにし、これら3色の感光体ドラム2を一時的に駆動停止にしておくのが好ましい。
【0027】
本画像形成装置は、給紙から排紙までのシート搬送経路が短く、簡素化されているため、装置全体が小型化できる。また、生産性が向上し、紙詰まりの発生確率が低く抑えられている。
【0028】
次に、本実施形態1における感光体ドラム駆動装置について説明する。
図2は、本実施形態1における感光体ドラム駆動装置の概略構成を示す説明図である。
この感光体ドラム駆動装置は、画像形成装置本体に設けられた図示しない駆動部取付基板に固定されており、駆動モータ1個と歯車列を用いて、4個の感光体ドラム2へ駆動力を伝達する駆動系を構成している。本実施形態1では、駆動モータ33として、定速性に優れたDCブラシレスモータやステッピングモータ等を利用することができるが、他のモータを用いてもよい。
【0029】
駆動モータ33の駆動軸には駆動入力ギヤであるモータギヤ34が取り付けられており、このモータギヤ34は、K用感光体ドラム2kの回転軸と同軸に配置された第1駆動ギヤであるK用ドラム駆動ギヤ32kと噛合っている。K用ドラム駆動ギヤ32kは、K用感光体ドラム2kの回転軸とカップリングで連結されており、K用ドラム駆動ギヤ32kの回転駆動力がK用感光体ドラム2kへ伝達される。
K用感光体ドラム2kの隣に配置されたM用感光体ドラム2mの回転駆動力は、K用ドラム駆動ギヤ32kから第1アイドラギヤ76を介して第2駆動ギヤであるM用ドラム駆動ギヤ32mに伝達される。M用ドラム駆動ギヤ32mは、M用感光体ドラム2mの回転軸とカップリングで連結されており、M用ドラム駆動ギヤ32mの回転駆動力がM用感光体ドラム2mへ伝達される。
M用感光体ドラム2mの隣に配置されたC用感光体ドラム2cの回転駆動力は、M用ドラム駆動ギヤ32mから第2アイドラギヤ77を介して第3駆動ギヤであるC用ドラム駆動ギヤ32cに伝達される。C用ドラム駆動ギヤ32cは、C用感光体ドラム2cの回転軸とカップリングで連結されており、C用ドラム駆動ギヤ32cの回転駆動力がC用感光体ドラム2cへ伝達される。
C用感光体ドラム2cの隣に配置されたY用感光体ドラム2yの回転駆動力は、C用ドラム駆動ギヤ32cから第3アイドラギヤ78を介して第4駆動ギヤであるY用ドラム駆動ギヤ32yに伝達される。Y用ドラム駆動ギヤ32yは、Y用感光体ドラム2yの回転軸とカップリングで連結されており、Y用ドラム駆動ギヤ32yの回転駆動力がY用感光体ドラム2yへ伝達される。
【0030】
第1アイドラギヤ76は、K用ドラム駆動ギヤ32kとM用ドラム駆動ギヤ32mとに噛み合っており、K用ドラム駆動ギヤ32kの回転駆動力をM用ドラム駆動ギヤ32mへ伝達する。第2アイドラギヤ77は、M用ドラム駆動ギヤ32mとC用ドラム駆動ギヤ32cとに噛み合っており、M用ドラム駆動ギヤ32mの回転駆動力をC用ドラム駆動ギヤ32cへ伝達する。第3アイドラギヤ78は、C用ドラム駆動ギヤ32cとY用ドラム駆動ギヤ32yとに噛み合っており、C用ドラム駆動ギヤ32cの回転駆動力をY用ドラム駆動ギヤ32yへ伝達する。
【0031】
第1アイドラギヤ76は、電磁クラッチ付ギヤや揺動リンクで支持する機構を利用し、K用ドラム駆動ギヤ32kの回転駆動力の駆動伝達経路下流側への伝達をON/OFF制御できるように構成するのが好ましい。この構成によれば、例えば、黒の単色画像を形成する場合には、第1アイドラギヤ76による駆動伝達経路下流側への駆動伝達をON/OFF制御する制御手段によりOFFにし、Y、C、Mのカラー3色についてのドラム駆動ギヤ32y,32c,32mへの駆動伝達を行わないようにすることができる。これにより、当該画像形成には用いないカラー3色の感光体ドラム2y,2c,2mの不要な駆動を停止しておくことができる。
【0032】
各ドラム駆動ギヤ32には、自己の最大偏心地点に対応する回転位置が視認できるように、それぞれ、図2に示すようなマーク4が形成されている。なお、このマーク4は、それぞれのドラム駆動ギヤ32の偏心量の位相基準が把握できればよいので、最大偏心地点でなく、例えば最小偏心地点に形成してもよい。
本実施形態1では、詳しくは後述するが、各ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因した各感光体ドラム2の回転速度変動を抑制するために、各ドラム駆動ギヤ32の偏心位相が予め決められた相対関係となるように、すなわち、各ドラム駆動ギヤ32の最大偏心地点の回転位置が予め決められた相対関係となるように、設定される。
【0033】
ここで、本実施形態1においては、第1アイドラギヤ76による駆動伝達経路下流側への駆動伝達をON/OFF制御する機構を設けているため、そのON/OFF制御によって、K用ドラム駆動ギヤ32kとカラー3色(Y、C、M)のドラム駆動ギヤ32y,32c,32mとの偏心位相の相対関係が崩れてしまう。そこで、本実施形態1では、カラー3色のドラム駆動ギヤ32y,32c,32mの回転位置(偏心位相)を認識するために、図2に示すようにK用ドラム駆動ギヤ32kとM用ドラム駆動ギヤ32mの回転位置を検知するドラムポジションセンサ20k,20mが設置されている。なお、カラー3色は第2アイドラギヤ77及び第3アイドラギヤ78によって常に連結しているため、いずれか1つにドラムポジションセンサ20を設置すればよい。
【0034】
また、駆動モータ33のモータ軸には、速度センサが取り付けられている。この速度センサによって駆動モータ33の回転状態を検出し、その検出信号をコントローラ37を介して駆動モータ33のモータ駆動回路36にフィードバックし、駆動モータ33の回転速度が所望の速度となるように制御している。なお、モータ内蔵型の速度センサとしては、例えばプリントコイル式の周波数発電機(FG)やMRセンサ等を用いることができる。
【0035】
モータ駆動回路36は、駆動モータ33に所定の駆動電流を出力する。本実施形態1の駆動モータ33は、上記速度センサを有するDCブラシレスモータ、いわゆるDCサーボモータを採用している。このDCサーボモータは、U、V、Wの3相スター結線されたコイルとロータとを有する。さらに、ロータの位置検出部として、ロータの磁極を検知する3個のホール素子を備え、それらの出力端子はモータ駆動回路36に接続されている。また、MRセンサを内蔵したDCサーボモータの場合、ロータの周上に着磁した磁気的パターンとMRセンサとからなる回転速度検知部(速度情報検知部)を有し、その出力端子をコントローラ37に接続する。モータ駆動回路36は、ハイ側トランジスタとロー側トランジスタとを各3個備え、それぞれコイルのU、V、Wに接続されている。モータ駆動回路36はホール素子が発生するロータ位置信号により、ロータの位置を特定し、相切替信号を生成する。相切替信号は、モータ駆動回路36の各トランジスタをオンオフ制御し、励磁する相を順次切り替えることにより、ロータを回転させる。
【0036】
また、コントローラ37は、速度センサにより検知される回転速度情報と目標回転速度情報とを比較し、検出されたモータ軸の回転速度が目標回転速度となるように、PWM信号を生成して出力する。PWM信号はアンドゲートによりモータ駆動回路36の相切替信号とアンドされ、駆動電流のチョッピングを行い、駆動モータ33の回転速度を制御する。このようなコントローラ37は、速度センサの出力パルス信号と制御目標値出力部38の出力パルス信号の位相や周波数を比較する公知のPLL制御回路系で構成することができる。制御目標値出力部38は、予め設定された感光体ドラムの一回転周期の回転速度変動成分を補正する目標回転速度に応じて周波数変調したパルス信号を出力する。コントローラ37は、アナログ回路ではなくデジタル回路でもよい。デジタル処理の場合、速度センサの出力波形の周期を計測し、回転角速度を算出する。または、速度センサの出力パルス数をカウントし、任意の時間内に計測されたカウント値から回転角速度を算出する。なお、回転角速度ではなく回転角変位を制御する位置制御系を採用する場合、速度センサの出力パルス数をカウントし、回転角の変位量を算出する。そして、制御目標値出力部38からの目標データとの差分を算出し、その差分が小さくなるように駆動モータ33を駆動する。一般にPID制御器などが組み込まれ、駆動モータ33が目標回転速度に対して、偏差やオーバーシュート、発振が無いように調整されてモータ駆動回路36へPWM信号が出力される。
【0037】
次に、本発明の特徴部分である、ドラム駆動ギヤ32の組み付け方法について説明する。
各感光体ドラム2に回転駆動力を伝達する各ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因して、各感光体ドラム2には回転速度変動が発生する。このような感光体ドラム2の回転速度変動により、各感光体ドラム2から中間転写ベルト10上へ転写される各単色トナー画像は、本来の形状に対してドラム駆動ギヤ32の一回転周期で周期的に伸縮する。このとき、各単色トナー画像の周期的な伸縮の振幅及び位相が中間転写ベルト10上においてズレていると、いわゆる色ズレが生じ、顕著な画質劣化となる。そのため、本実施形態1では、各ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因して発生する各単色トナー画像の周期的な伸縮の振幅及び位相が中間転写ベルト10上において互いに一致するように、各ドラム駆動ギヤ32の偏心位相の相対関係を調整している。
【0038】
ここで、本実施形態1においては、K用ドラム駆動ギヤ32k、M用ドラム駆動ギヤ32m、C用ドラム駆動ギヤ32cは、それぞれ駆動伝達経路下流側のドラム駆動ギヤへ駆動力を伝達する機能も果たす駆動伝達兼用ギヤである。そのため、駆動伝達経路下流側のドラム駆動ギヤ32は、対応する感光体ドラム2に対し、自己の偏心に起因した回転速度変動だけでなく、その上流側のドラム駆動ギヤ32の偏心に起因した回転速度変動も生じることになる。具体的には、M用感光体ドラム2mには、M用ドラム駆動ギヤ32mの偏心に起因した回転速度変動に、K用ドラム駆動ギヤ32kの偏心に起因した回転速度変動が重畳した回転速度変動が生じる。同様に、C用感光体ドラム2cには、C用ドラム駆動ギヤ32cの偏心に起因した回転速度変動に、K用ドラム駆動ギヤ32k及びM用ドラム駆動ギヤ32mの偏心に起因した回転速度変動が重畳した回転速度変動が生じる。同様に、Y用感光体ドラム2yには、Y用ドラム駆動ギヤ32yの偏心に起因した回転速度変動に、K用ドラム駆動ギヤ32k、M用ドラム駆動ギヤ32m及びC用ドラム駆動ギヤ32cの偏心に起因した回転速度変動が重畳した回転速度変動が生じる。よって、M、C、Y用のドラム駆動ギヤ32m,32c,32yの偏心位相を調整するにあたっては、自己の偏心だけでなく、その駆動伝達経路上流側のドラム駆動ギヤの偏心も考慮する必要がある。
以下、ドラム駆動ギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動というときは、その感光体ドラムに対応するドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動に、その駆動伝達経路上流側に位置するドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動が重畳した回転速度変動を意味するものとする。
【0039】
本実施形態1におけるドラム駆動ギヤ32の組み付け方法では、まず、4つの感光体ドラム2を駆動するギヤ列のギヤ配置関係を決定する。この配置関係は、感光体ドラム2の直径Dと感光体ドラムの軸間距離Lsから導出される。次に、中間転写ベルト10上の同一地点が各感光体ドラムの転写位置を通過する時に、それぞれの感光体ドラムの回転速度変動(ドラム駆動ギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動)の振幅と位相が一致するように、各ドラム駆動ギヤ32の回転位置(偏心位相)の相対関係を調整して、各ドラム駆動ギヤ32を組み付ける。
【0040】
[ギヤ配置関係]
図3は、本実施形態1の感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
K用ドラム駆動ギヤ32kとモータギヤ34との噛み合い箇所を噛合ポイントp1kとする。また、K用ドラム駆動ギヤ32kと第1アイドラギヤ76との噛み合い箇所を噛合ポイントp2kとする。そして、噛合ポイントp1kを基準にK用ドラム駆動ギヤ32kの回転方向へ噛合ポイントp2kまでの中心角を挟み角θikとする。同様に、M用ドラム駆動ギヤ32mと第1アイドラギヤ76との噛み合い箇所を噛合ポイントp1mとする。また、M用ドラム駆動ギヤ32mと第2アイドラギヤ77との噛み合い箇所を噛合ポイントp2mとする。そして、噛合ポイントp1mを基準にM用ドラム駆動ギヤ32mの回転方向へ噛合ポイントp2mまでの中心角を挟み角θimとする。以下、C用ドラム駆動ギヤ32c、Y用ドラム駆動ギヤ32yにおいても同様である。
【0041】
本実施形態1では、各ドラム駆動ギヤにおける挟み角θik,θim,θicは、互いに同一となるように、各モータ駆動ギヤ32、各アイドラギヤ76,77,78を配置する。ここで、この挟み角θik,θim,θicの最適値は、以下に説明するように、感光体ドラム2の直径Dと感光体ドラムの軸間距離Lsから導出する。
【0042】
具体的には、まず、隣接する2つの感光体ドラムについて、感光体ドラムの回転速度変動の振幅及び位相がズレて発生する色ズレをキャンセルし得る当該2つの感光体ドラムの回転速度変動の最適な位相差を導出する。なお、各感光体ドラム2の直径Dはそれぞれ等しく、各感光体ドラム2の軸間距離Lsもそれぞれ等しく、中間転写ベルト10の線速と感光体ドラムの線速とが概ね等しいものとする。この最適な位相差φは、中間転写ベルト10の移動方向上流側に位置する感光体ドラムの回転速度が最大である時にその転写位置を通過した中間転写ベルト上の地点が、中間転写ベルト10の移動方向下流側に位置する感光体ドラムの転写位置を通過する時に、当該下流側の感光体ドラムの回転速度が最大となるように、中間転写ベルト10の移動方向上流側に位置する感光体ドラムの回転速度変動の位相を、中間転写ベルト10の移動方向下流側に位置する感光体ドラムの回転速度変動の位相よりも、感光体ドラム回転方向とは逆方向へずらすときの回転角で表すことができる。したがって、この最適位相差角φは、ドラム駆動ギヤ32の1回転あたりの感光体ドラム表面移動距離をLdとし、感光体ドラムの軸間距離をLsとし、軸間距離Lsを中間転写ベルト10が移動する間にドラム駆動ギヤ32が回転する周回数(整数)をuとすると、下記の式(5)に示すとおりである。また、下記の式(5)は、ドラム駆動ギヤ32は感光体ドラム2と同軸に配置されており、軸間距離Lsを中間転写ベルト10が移動する間に感光体ドラムが1周回ほど回転する場合では、感光体ドラムの直径Dを用いて、下記の式(6)のように表すこともできる。
【数6】
【数7】
【0043】
本実施形態1において、ドラム駆動ギヤ32は感光体ドラム2と同軸に配置されているため、ドラム駆動ギヤの1回転は感光体ドラムの1回転に相当する。この場合、各ドラム駆動ギヤにおける最適な挟み角θik,θim,θicは、許容誤差を考慮しなければ、上記最適位相差角φを用いて、下記の式(1’)に示すように表すことができる。
【数8】
【0044】
上記式(1’)により導出される最適な挟み角θik,θim,θicとなるように、モータギヤ34の配置及び各アイドラギヤ76,77,78の配置を決定する。そして、各ギヤが適切に噛み合うように、各ドラム駆動ギヤ32の直径(歯数)、各アイドラギヤ76,77,78の直径(歯数)を選定し、ギヤ配列が決定される。
このとき、モータギヤ34や各アイドラギヤ76,77,78の整数回転する時の感光体ドラム表面移動距離が、潜像書込位置から転写位置までの感光体ドラム表面移動距離に等しくなるように、設定してもよい。この場合、モータギヤ34及び各アイドラギヤ76,77,78の偏心による感光体ドラムの回転速度変動に起因した画像の伸縮をキャンセルできる。
【0045】
[ドラム駆動ギヤの偏心位相調整]
次に、上述したように決定されたギヤ配置関係において、各ドラム駆動ギヤ32の偏心位相が以下に説明する所定の相対関係となるように、各ドラム駆動ギヤ32の回転位置を調整する。
以下の説明では、各ドラム駆動ギヤ32の最大偏心地点(図3中のマーク4k,4m,4c,4yが位置する地点)を、それぞれのドラム駆動ギヤ32の入力側の噛合ポイントp1k,p1m,p1c,p1yから目標とする調整ポイントまで当該ドラム駆動ギヤの回転方向へ移動させるときの回転角度(以下「位相差調整角度」という。)を、それぞれ、θak、θam、θac、θayとする。この場合、各位相差調整角度θak,θam,θac,θayは、上述した最適位相差角φを用いて、下記の式(2’)に示すようになる。
【数9】
【0046】
したがって、本実施形態1においては、各ドラム駆動ギヤ32のマーク4k,4m,4c,4yの回転位置が、それぞれのドラム駆動ギヤ32の入力側の噛合ポイントp1k,p1m,p1c,p1yから当該ドラム駆動ギヤ32の回転方向へ各位相差調整角度θak,θam,θac,θay分だけ回転した位置である調整ポイントと一致するように、各ドラム駆動ギヤ32を組み付ける。このように組み付けることで、各ドラム駆動ギヤ32の偏心位相は、ドラム駆動ギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動の振幅及び位相のズレによって発生する色ズレをキャンセルできる所定の相対関係となる。
なお、ここでは、K用ドラム駆動ギヤの位相差調整角度θakは、便宜上ゼロとしたが、これがゼロでない場合は、そのθakの値を各ドラム駆動ギヤ32の位相差調整角度θam,θac,θayに加算すればよい。
【0047】
[効果確認]
次に、上述した本実施形態1におけるドラム駆動ギヤ32の組み付け方法により各ドラム駆動ギヤ32を組み付けた場合に、ドラム駆動ギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動の振幅及び位相のズレによって発生する色ズレをキャンセルできることを確認する。
まず、K用ドラム駆動ギヤ32kの偏心による回転速度変動は、モータギヤ34との噛合ポイントp1kで発生する。ギヤ偏心による速度変動特性は正弦関数で表現することができ、便宜上、振幅を1、噛合ポイントp1kを基準としたドラム駆動ギヤ32kのマーク4kの回転角度をθとしたとき、K用ドラム駆動ギヤ32kの回転速度変動Vkは、下記の式(7)に示す式で表現することができる。
【数10】
K用感光体ドラム2kに対して中間転写ベルト10の移動方向上流側に位置するM用感光体ドラム2mのドラム駆動ギヤ32mは、本実施形態1の組み付け方法によれば、K用ドラム駆動ギヤ32kとの偏心位相差を上述した最適位相差角φとしたい。したがって、M用ドラム駆動ギヤ32mの目標速度変動Vm_refは、下記の式(8)に示すようになる。なお、このM用ドラム駆動ギヤ32mの回転角度(θ+φ)は、噛合ポイントp1mを基準としたドラム駆動ギヤ32mのマーク4mの回転角度である。以下、C、Yについても同様であるので、C用ドラム駆動ギヤ32c及びY用ドラム駆動ギヤ32yの目標速度変動Vc_ref,Vy_ref,は、それぞれ、下記の式(9)及び(10)に示すようになる。
【数11】
【数12】
【数13】
【0048】
M用ドラム駆動ギヤ32mにおける実際の回転速度変動は、次のようなメカニズムで発生する。
まず、K用ドラム駆動ギヤ32kは、モータギヤ34との噛合ポイントp1kで、自己の偏心に起因して、上記式(7)で示した回転速度変動を生じる。
また、このような回転速度変動が生じているK用ドラム駆動ギヤ32kは、この噛合ポイントp1kからその回転方向へθiだけずれた回転位置にある第1アイドラギヤ76との噛合ポイントp2kで、自己の回転駆動力を第1アイドラギヤ76へ伝達する。この噛合ポイントp2kでは、K用ドラム駆動ギヤ32kの偏心に起因して、θi分だけ遅れた上記式(7)で示す回転速度変動を第1アイドラギヤ76に生じさせることになる。
さらに、第1アイドラギヤ76は、噛合ポイントp2kからその回転方向へθiだけずれた回転位置にあるM用ドラム駆動ギヤ32mとの噛合ポイントp1mで、自己の回転駆動力をM用ドラム駆動ギヤ32mへ伝達する。この噛合ポイントp1mでは、M用ドラム駆動ギヤ32mが、自己の偏心に起因して、回転速度変動を生じる。
これらの回転速度変動がすべて重畳してM用ドラム駆動ギヤ32mが回転駆動することになるので、M用ドラム駆動ギヤ32mの回転速度変動(M用ドラム駆動ギヤ32k,32mの回転周期をもつ回転速度変動成分)は、最終的に、下記の式(11)に示すようになる。
【数14】
【0049】
このように、M用ドラム駆動ギヤ32mを回転させる回転駆動力は、3個所の噛合ポイントp1k,p2k,p1mを経由して伝達されるため、それぞれで発生する伝達誤差が重畳して、M用ドラム駆動ギヤ32mには、上記式(11)に示す回転速度変動が生じる。
ここで、本実施形態1においては、挟み角θiが上記式(1’)に示した「π−φ」となるように、各ドラム駆動ギヤ32やアイドラギヤ76,77,78が組み付けられている。また、M用ドラム駆動ギヤ32mは、その偏心位相が、K用ドラム駆動ギヤ32kの偏心位相に対してθi+φ=πだけ回転した調整ポイントに組付けられている。これは、K用ドラム駆動ギヤ32kの偏心に起因して、噛合いポイントp1kで発生する伝達誤差と、M用ドラム駆動ギヤ32mの偏心に起因して、噛合いポイントp1mで発生する伝達誤差が、それぞれの偏心位相がπ(180°)異なることで相殺する組付け位相関係である。2箇所の噛合いポイントで発生する伝達誤差が相殺されて、残りのK用ドラム駆動ギヤ32kの偏心に起因して噛合いポイントp2kで発生する伝達誤差(上記式(11)の第2項の成分)は、挟み角θiが(π−φ)に設定されていることから、目標速度変動(伝達誤差)に一致する。実際に、上記式(11)の挟み角θiに、上記式(1’)に示した「π−φ」を代入すると、下記の式(12)が得られる。
【数15】
【0050】
この結果、挟み角θiを上記式(1’)に示した「π−φ」とする本実施形態1の組み付け方法によれば、M用ドラム駆動ギヤ32mの回転速度変動Vmが、上記式(8)に示した目標速度変動Vm_refに一致することが確認された。
【0051】
同様に、C用ドラム駆動ギヤ32cの回転速度変動Vcを求め、これに上記式(1’)に示した「π−φ」を代入すると、下記の式(13)が得られる。
また、Y用ドラム駆動ギヤ32yの回転速度変動Vyを求め、これに上記式(1’)に示した「π−φ」を代入すると、下記の式(14)が得られる。
いずれも場合も、実際の回転速度変動Vc,Vyが、上記式(9)及び(10)に示した目標速度変動Vc_ref,Vy_refに一致することがわかる。
【数16】
【0052】
また、本実施形態1の組み付け方法によれば、各感光体ドラム2を駆動するドラム駆動ギヤ32の偏心による回転速度変動の振幅は、それぞれ「1」で一致している。
そして、互いに隣接する2つのドラム駆動ギヤ32の回転速度変動の位相差は、ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因した各感光体ドラム2の回転速度変動の振幅及び位相のズレによって発生する色ズレをキャンセルできる最適位相差角φとなっていることも、上記式(12)〜(14)により確認できる。
したがって、中間転写ベルト10の同一地点が各感光体ドラム2の転写位置を通過する時に、ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因したすべての感光体ドラム2の回転速度変動の振幅及び位相が一致する。したがって、ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因した色ズレが解消される。
【0053】
〔実施例〕
次に、上述した実施形態1に基づく本発明の実施例について説明する。
本実施例において、各感光体ドラムの直径Dは30mmであり、各感光体ドラムの周長Ldは94.25mmであり、感光体ドラムの軸間距離Lsは100mmである。各感光体ドラム2は、モータギヤ34から入力される回転駆動力をK用ドラム駆動ギヤ32kによって1段減速して駆動される。
【0054】
本実施例における最適位相差角φは、上記式(6)より、φ=0.38rad(22°)となる。よって、挟み角θiは、上記式(1’)より、θi=2.76rad(158°)となる。この結果に基づき、まず、挟み角θi=158°となるドラム駆動ギヤ32とアイドラギヤ76,77,78の歯数を選定する。このとき、図1に示した感光体ドラム上の露光ポイントSPから中間転写ベルト10への転写ポイントTPまでの回転角は147°であり、アイドラギヤ76,77,78やモータギヤ34がこの回転角147°で整数回転することも条件に加えて選定する。その結果、本実施例では、4つのドラム駆動ギヤ32、3つのアイドラギヤ76,77,78、1つのモータギヤ34として、下記の表1に示すギヤ形状を選定した。
【表1】
【0055】
このようなギヤ列を採用することで、挟み角θiは159°となる。駆動モータ33のモータギヤ34は、すべての挟み角が同じθiとなるように配置する。
また、本実施例によれば、感光体ドラム2が露光ポイントSPから転写ポイントTPまでの回転角147°を回転する間にモータギヤ34は8.2回転し、アイドラギヤ76,77,78は3.1回転するので、概ね整数回転するように設定できている。なお、整数回転からのズレ量の許容範囲は、モータギヤ34やアイドラギヤ76,77,78の偏心に起因した色ズレの許容範囲によって決まってくる。
また、各ドラム駆動ギヤ32の位相差調整角度θak,θam,θac,θayは、上記式(2’)に従い、K用ドラム駆動ギヤ32kを0°とし、M用ドラム駆動ギヤ32mを180°とし、C用ドラム駆動ギヤ32cを44°とし、Y用ドラム駆動ギヤ32yを224°とした。
【0056】
次に、本実施例の具体的な効果について確認する。
図4は、色ズレを生じさせない各感光体ドラム2の理想の回転速度変動の相対関係を示すグラフである。
このグラフにおいて、横軸はK用感光体ドラム2kの回転角度(ラジアン)であり、縦軸は感光体ドラムの回転速度(最大回転速度(振幅)を1とする。)である。なお、横軸は時刻に変換することができる。各感光体ドラム2の理想の回転速度変動は、K用感光体ドラム2kを基準に、他の感光体ドラム2m,2c,2yについて、振幅を互いに同じとし、かつ、中間転写ベルト10の移動方向上流側に隣接する感光体の回転速度変動に対して最適位相差角φ(22°)分だけ位相が進んだ波形となっている。例えば、K用感光体ドラム2kの回転角度がTp1であるときにM用感光体ドラム2mから中間転写ベルト10へ転写されたMトナー画像は、その後、中間転写ベルト10の移動により感光体ドラムの軸間距離Ls(100mm)だけ移動して、K用感光体ドラム2kの転写位置へ到達し、そこにK用感光体ドラム2kからKトナー画像が重ねて転写される。この時、K用感光体ドラムの回転角度は、ドラム周長が94.25mmであるため、Tp1から1回転と22°回転した回転角度であるTp2となる。したがって、互いに重なり合うMトナー画像とKトナー画像は、いずれも感光体ドラムの回転速度が同じである時に中間転写ベルト10上へ転写されたものとなる。また、同様に、感光体ドラムの回転速度が同じである時に露光ポイントSPで書き込まれたものとなる。したがって、互いに重なり合うMトナー画像とKトナー画像との間で色ズレは生じない。このことは、他色のトナー画像との間でも同様の結果となる。
【0057】
次に、比較例として、上記特許文献2に記載された方法を採用して各ドラム駆動ギヤ32を組み付けた場合について説明する。
図5は、本比較例に係る感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
図6は、本比較例における各感光体ドラム2の回転速度変動の相対関係を示すグラフである。
この比較例では、各ドラム駆動ギヤ32の組み付け時の位相差調整角度は、K用ドラム駆動ギヤ32kが0°であるとき、M用ドラム駆動ギヤ32mが回転方向を正としてθam=22°であり、同様にC用ドラム駆動ギヤ32cがθac=44°であり、Y用ドラム駆動ギヤ32yがθay=66°となる。このように組み付けた場合、図4に示した理想の回転速度変動とは大きく異なる結果となり、大きな色ズレが発生してしまう。
【0058】
特に、本比較例においては、K用感光体ドラム2kの回転速度変動に対し、M用感光体ドラム2m、C用感光体ドラム2c、Y用感光体ドラム2yの回転速度変動が、順次増大してしまう。この原因は、以下のとおりである。
駆動伝達経路下流側の感光体ドラムの回転速度変動には、上述したとおり、当該感光体ドラムのドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動に対し、その駆動伝達経路上流側のドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動が重畳する。そのため、本比較例のように各ドラム駆動ギヤ32の偏心位相が近い関係で組み付けると、駆動伝達経路上流側のドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動の重畳により、回転速度変動がかえって増大してしまい、大きな色ずれが生じさせることになる。
【0059】
次に、本実施例の方法で各ドラム駆動ギヤ32を組み付けた場合について説明する。
図7は、本実施例に係る感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
図8は、本実施例における各感光体ドラム2の回転速度変動の相対関係を示すグラフである。
本実施例において、各ドラム駆動ギヤ32の組み付け時の位相差調整角度は、K用ドラム駆動ギヤ32kが0°であるとき、M用ドラム駆動ギヤ32mが回転方向を正としてθam=180°であり、同様にC用ドラム駆動ギヤ32cがθac=44°であり、Y用ドラム駆動ギヤ32yがθay=224°となる。このように組み付けた場合、図8に示すように、各感光体ドラムの回転速度変動は図4に示した理想の回転速度変動と一致し、色ズレが発生しない。
【0060】
次に、挟み角θiの重要性と設計誤差の許容範囲について説明する。
本実施形態1における色ズレ抑制効果は、挟み角θiとなるようなギヤ列の設計と、位相差調整角度θak,θam,θac,θayでのドラム駆動ギヤ32の組み付けによって得られる。上述した実施例では、理想の挟み角θi=158°に対し、設計ではギヤ形状も考慮してθi=159°とした。1°程度のズレであれば問題ないが、大きくずれると許容範囲を超える色ズレを生じさせる。
【0061】
ここで、上記実施例において挟み角θi=170°とした場合の各感光体ドラムの回転速度変動を図9に示す。この場合、各感光体ドラムの回転速度変動の振幅は同じであるが、挟み角θiが理論値よりも12°異なるため、各感光体ドラムの回転速度変動の位相の相対関係が、図4に示した理想値よりもズレていることがわかる。このズレによって色ずれが発生し、その誤差率は20%となる。ここでいう誤差率20%とは、画像上で最大100μmの転写位置ずれを生じさせ得るドラム駆動ギヤを用いた場合に、20μmの色ずれが発生することを示している。
【0062】
図10は、上記実施例において、挟み角(設計値)を振ったときの挟み角と誤差率との関係を示すグラフである。
実際には、製造工程での組付調整誤差、各ドラム駆動ギヤの製造誤差(振幅のずれ)があるため、誤差率は30%以下には抑える必要がある。したがって、図10に示すグラフより、挟み角の許容誤差eは、理論上の挟み角θiから±20°の範囲内とするのが望まれる。
【0063】
〔実施形態2〕
次に、本発明を、上記実施形態1と同様に、中間転写方式のタンデム型画像形成装置に適用した他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態2」という。)について説明する。
なお、本実施形態2における画像形成装置の基本構成は、上記実施形態1のものと同様であるので、以下の説明では上記実施形態1とは異なる部分についてのみ説明する。
【0064】
図11は、本実施形態2の感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
本実施形態2においては、駆動モータ33がM用ドラム駆動ギヤ32mとC用ドラム駆動ギヤ32cとの間に設置されている。よって、モータギヤ34は、M用ドラム駆動ギヤ32mとC用ドラム駆動ギヤ32cとに噛み合い、両ギヤ32m,32cへ回転駆動力を伝達する構成となっている。このようなギヤ配列であれば、上記実施形態1のギヤ配列と比較して、駆動伝達経路最上流側に位置するドラム駆動ギヤ32m,32c(実施形態1では32k)やモータギヤ34にかかる負荷トルクが低減され、耐久性が向上するという利点がある。
【0065】
駆動モータ33からC用ドラム駆動ギヤ32cを介してY用ドラム駆動ギヤ32yへ回転駆動力を伝達する駆動伝達経路に関しては、上記実施形態1の場合と同様、中間転写ベルト10の移動方向と駆動伝達方向とが逆の構成である。この場合、C用ドラム駆動ギヤ32cが第1の駆動ギヤとなり、Y用ドラム駆動ギヤ32yを第2の駆動ギヤとなって、上記実施形態1と同様の組み付け方法を用いることができる。したがって、最適位相差角φは、上記式(6)より、0.38rad(22°)となる。また、挟み角θiは、上記式(1’)より、2.76rad(158°)となる。この結果に基づき、C用ドラム駆動ギヤ32c、Y用ドラム駆動ギヤ32y、第1アイドラギヤ79について、挟み角θi=158°となる歯数を選定する。C用ドラム駆動ギヤ32c及びY用ドラム駆動ギヤ32yの位相差調整角度θac,θayは、上記式(2’)に示す式に従えば、C用ドラム駆動ギヤ32cは0°となり、Y用ドラム駆動ギヤ32yは180°となる。ただし、本実施形態2では、M用ドラム駆動ギヤ32mの位相差調整角度θamを図示のように0°に設定している。そのため、C用ドラム駆動ギヤ32cの位相差調整角度θacは、22°とする。また、これに対応して、Y用ドラム駆動ギヤ32yの位相差調整角度θayは、180°に22°を加算して202°とする。
【0066】
一方、駆動モータ33からM用ドラム駆動ギヤ32mを介してK用ドラム駆動ギヤ32kへ回転駆動力を伝達する駆動伝達経路に関しては、上記実施形態1の場合とは逆に、中間転写ベルト10の移動方向と駆動伝達方向とが一致する構成である。この場合、中間転写ベルト10の移動方向下流側に位置するドラム駆動ギヤ32kを上流側のドラム駆動ギヤ32mに対して回転方向へずれた位相差を最適位相差角φとすると、最適位相差角φは下記の式(15)で表現される。
【数17】
【0067】
よって、M用ドラム駆動ギヤ32m及びK用ドラム駆動ギヤ32kの駆動伝達経路における最適位相差角φは、上記式(15)より、φ=−0.38rad(−22°)となる。また、挟み角θiは、上記式(1’)より、3.53rad(202°)となる。この結果に基づき、M用ドラム駆動ギヤ32m、K用ドラム駆動ギヤ32k、第2アイドラギヤ80について、挟み角θi=202°となる歯数を選定する。このとき、駆動モータ33を挟んで中間転写ベルト10の移動方向上流側と下流側の駆動伝達経路間で、ドラム駆動ギヤ32とアイドラギヤ79,80の歯数を共通化したい場合には、図11に示すように、駆動モータ33のモータギヤ34との噛み合い箇所をM用ドラム駆動ギヤ32cの回転中心とC用ドラム駆動ギヤ32mの回転中心とを結んだ仮想線上に設定するとよい。M用ドラム駆動ギヤ32m及びK用ドラム駆動ギヤ32kの位相差調整角度θam,θakは、上記式(2’)に示す式に従い、M用ドラム駆動ギヤ32mは0°とし、K用ドラム駆動ギヤ32kは180°とする。
【0068】
本実施形態2においては、以上のようにドラム駆動ギヤ32を組み付けることで、上記実施形態1と同様にドラム駆動ギヤ32の偏心に起因した色ズレのない画像が得られる。
【0069】
〔実施形態3〕
次に、本発明を、上記実施形態1及び2と同様に、中間転写方式のタンデム型画像形成装置に適用した更に他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態3」という。)について説明する。
なお、本実施形態3における画像形成装置の基本構成は、上記実施形態1のものと同様であるので、以下の説明では上記実施形態1とは異なる部分についてのみ説明する。
【0070】
図12は、本実施形態3の感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
本実施形態3においては、駆動モータ33がM用ドラム駆動ギヤ32mとK用ドラム駆動ギヤ32kとの間に設置されており、モータギヤ34は、M用ドラム駆動ギヤ32mとK用ドラム駆動ギヤ32kとに噛み合っている第1アイドラギヤ76に噛み合った構成となっている。この構成により、駆動モータ33からの回転駆動力は、第1アイドラギヤ76によって分岐され、両ギヤ32m,32kへ伝達される。
【0071】
駆動モータ33から第1アイドラギヤ76を介して、M用ドラム駆動ギヤ32m、C用ドラム駆動ギヤ32c、Y用ドラム駆動ギヤ32yへと回転駆動力が伝達される駆動伝達経路に関しては、上記実施形態1の場合と同様、中間転写ベルト10の移動方向と駆動伝達方向とが逆の構成である。この場合、第1アイドラギヤ76が駆動入力ギヤとなり、M用ドラム駆動ギヤ32mが第1の駆動ギヤとなり、C用ドラム駆動ギヤ32cが第2の駆動ギヤとなり、Y用ドラム駆動ギヤ32yを第3の駆動ギヤとなって、上記実施形態1と同様の組み付け方法を用いることができる。したがって、最適位相差角φは、上記式(6)より、0.38rad(22°)となる。また、挟み角θiは、上記式(1’)より、2.76rad(158°)となる。この結果に基づき、M用ドラム駆動ギヤ32m、C用ドラム駆動ギヤ32c、Y用ドラム駆動ギヤ32y、アイドラギヤ76,77,78について、挟み角θi=158°となる歯数を選定する。M用ドラム駆動ギヤ32m、C用ドラム駆動ギヤ32c及びY用ドラム駆動ギヤ32yの位相差調整角度θam,θac,θayは、上記式(2’)に示す式に従えば、M用ドラム駆動ギヤ32mは0°となり、C用ドラム駆動ギヤ32cは180°となり、Y用ドラム駆動ギヤ32yは44°となる。ただし、本実施形態3では、K用ドラム駆動ギヤ32kの位相差調整角度θakを図示のように0°に設定している。そのため、M用ドラム駆動ギヤ32mの位相差調整角度θamは、22°とする。また、これに対応して、C用ドラム駆動ギヤ32cの位相差調整角度θacは、180°に22°を加算して202°とし、Y用ドラム駆動ギヤ32yの位相差調整角度θayは、44°に22°を加算して66°とする。
【0072】
本実施形態3においては、以上のようにドラム駆動ギヤ32を組み付けることで、上記実施形態1や上記実施形態2と同様にドラム駆動ギヤ32の偏心に起因した色ズレのない画像が得られる。
【0073】
以上、上述した実施形態1〜3に係る画像形成装置は、被転写体である中間転写ベルト10の移動方向に沿って並んで配置される4個の像担持体である感光体ドラム2のうちのN個(実施形態1ではN=4、実施形態2ではN=2、実施形態3ではN=3)の感光体ドラム2へ伝達される回転駆動力を発生させる単一の駆動モータ33と、単一の駆動モータ33で発生した回転駆動力をN個の感光体ドラム2へそれぞれ伝達するN個の駆動ギヤと、単一の駆動モータ33の駆動力により回転駆動するとともに、N個の駆動ギヤのうち、N個の感光体ドラム2のうちの一端に配置される第1の感光体ドラム(実施形態1ではK用感光体ドラム2k、実施形態2ではM用感光体ドラム2m及びC用感光体ドラム2c、実施形態3ではM用感光体ドラム2m)へ回転駆動力を伝達する第1の駆動ギヤ(実施形態1ではK用ドラム駆動ギヤ32k、実施形態2ではM用ドラム駆動ギヤ32m及びC用ドラム駆動ギヤ32c、実施形態3ではM用ドラム駆動ギヤ32m)と噛み合って、単一の駆動モータ33の駆動力を当該第1の駆動ギヤへ伝達する駆動入力ギヤ(実施形態1及び2ではモータギヤ34、実施形態3では第1アイドラギヤ76)と、N個の駆動ギヤの各ギヤ間に配置され、駆動伝達経路上流側に位置する駆動ギヤの回転駆動力を駆動伝達経路下流側に位置する駆動ギヤへ伝達する(N−1)個のアイドラギヤ(実施形態1ではアイドラギヤ76,77,78、実施形態2では第1アイドラギヤ79及び第2アイドラギヤ80、実施形態3ではアイドラギヤ77,78)とを備え、単一の駆動モータ33の回転駆動力を第1の駆動ギヤから順次、(N−1)個のアイドラギヤを介して第Nの駆動ギヤまで伝達して、N個の感光体ドラム2を回転駆動させる感光体ドラム駆動装置を有しており、この感光体ドラム駆動装置によって回転駆動する4個の感光体ドラム2の表面上にそれぞれ可視像を形成し、各感光体ドラム2の表面に形成された可視像を中間転写ベルト10上に互いが重なり合うように転写して画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置では、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が互いに略同一のギヤを用い、上記駆動入力ギヤと上記第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所(実施形態1ではp1k、実施形態2ではp2m及びp1c、実施形態3ではp1m)と上記(N−1)個のアイドラギヤのうちの第1のアイドラギヤ(実施形態1ではアイドラギヤ76、実施形態2では第1アイドラギヤ79及び第2アイドラギヤ80、実施形態3ではアイドラギヤ77)と第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角(実施形態1ではθik、実施形態2ではθim及びθic、実施形態3ではθim)、及び、第(n−1)(nは2以上(N−1)以下の自然数である。)のアイドラギヤと該第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所と第nのアイドラギヤと第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角(実施形態1ではθim、θic及びθiy、実施形態2ではθik及びθiy、実施形態3ではθic及びθiy)が、いずれも、許容誤差をeとした場合に、上記式(1)に示すθiとなるように、上記駆動入力ギヤ、上記N個の駆動ギヤ及び上記(N−1)個のアイドラギヤを配置している。そして、第nの駆動ギヤの最大偏心地点(マーク4が形成された地点)の回転位置が、上記第1の駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置に対し、nが奇数である第nの駆動ギヤについては上記式(2)に示す角度θanだけ、nが偶数である第nの駆動ギヤについては上記式(3)に示す角度θanだけ、該第nの駆動ギヤの回転方向にずれるように、上記N個の駆動ギヤが組み付けられている。これにより、第1から第(N−1)までの駆動ギヤが、それぞれ対応する感光体ドラム2への駆動伝達だけでなく、その駆動伝達経路下流側に隣接する感光体ドラム2への駆動伝達を兼ねている駆動伝達兼用ギヤとして用いられる。そのため、低コストで省スペースな構成の実現が容易である。しかも、本実施形態1〜3によれば、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤを用いるので、これらの駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動を抑制するために、製造した駆動ギヤの偏心量を計測したり、既定の偏心量比率の組合せを実現できる駆動ギヤを選定したりする作業が不要である。そして、本実施形態1〜3によれば、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤを用いても、上述したように、各感光体ドラム2に対応する駆動ギヤの偏心に起因して当該感光体ドラムにそれぞれ生じる回転速度変動だけでなく、駆動伝達経路上流側に配置されている駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動も抑制することができる。
特に、本実施形態1〜3においては、上記N個の駆動ギヤとして、同一の成形型を用いて成形したギヤを用いている。これにより、偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤの製造が容易となる。
また、本実施形態1〜3においては、回転駆動している上記N個の感光体ドラム2の表面に対して所定の潜像書込位置である露光ポイントSPでそれぞれ潜像を書き込むとともに各潜像を現像することで可視像を形成する可視像形成手段としての帯電装置、現像装置、露光装置1などを有しており、上記N個の感光体ドラム2が、上記露光ポイントSPから中間転写ベルト10と対向する転写位置である転写ポイントTPまで回転する間に、上記駆動入力ギヤが概ね整数回、回転するように構成されている。これにより、駆動入力ギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動を抑制することができる。
また、本実施形態1〜3においては、上記N個の感光体ドラム2が、上記露光ポイントSPから中間転写ベルト10と対向する転写位置である転写ポイントTPまで回転する間に、上記(N−1)個のアイドラギヤが概ね整数回、回転するように構成されている。これにより、上記(N−1)個のアイドラギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動を抑制することができる。
また、本実施形態1及び2においては、上記N個の駆動ギヤが、それぞれ対応する感光体ドラム2の回転軸と同軸に配置されたドラム駆動ギヤであるので、アイドラギヤの数を最小としたギヤ配列を実現できる。
【符号の説明】
【0074】
1 露光装置
2 感光体ドラム
4 マーク
10 中間転写ベルト
20 ドラムポジションセンサ
32,332A,332B,332C,432A,432B,432C,432D ドラム駆動ギヤ
33,133,233,333,433 駆動モータ
34,134,234,334,434 モータギヤ
36 モータ駆動回路
37 コントローラ
38 制御目標値出力部
76,77,78,79,80,335,336A,336B,435,436,437,438,476,477,478 アイドラギヤ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特開2007−65632号公報
【特許文献2】特開2007−78720号公報
【特許文献3】特開2006−85144号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の像担持体上に形成した各可視像を転写紙等の記録材や中間転写体などの被転写体上で互いに重ね合わせて画像を形成する複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置の製造方法及びその画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置として、例えば、被転写体である中間転写ベルトの表面移動方向に沿って複数の像担持体である感光体ドラムを並べて配置し、各感光体ドラム上に形成されたトナー像(可視像)を中間転写ベルト上で互いに重ね合わせてカラー画像を形成するものが知られている。低コスト化や省スペース化が求められる近年においては、2以上の感光体ドラムの駆動モータを共用する構成が望まれている。このような構成としては、主に、以下の2つの構成に大別できる。
【0003】
第1の構成は、図13に示すように、例えば特許文献1に記載されている構成である。この第1の構成は、駆動モータの駆動力をアイドラギヤにより分岐して各感光体ドラムへ伝達するというものである。具体的には、駆動モータ333のモータギヤ334を第1アイドラギヤ335に接続し、第1アイドラギヤ335を2つの第2アイドラギヤ336A,336Bに接続する。そして、第2アイドラギヤ336Aには、2つのドラム駆動ギヤ332A,332Bを接続し、第2アイドラギヤ336Bには1つのドラム駆動ギヤ332Cを接続する。このような構成により、1つの駆動モータ333によって3つの感光体ドラムの駆動を実現している。
【0004】
第2の構成は、図14に示すように、例えば特許文献2に記載されている構成である。この第2の構成は、駆動モータの駆動力を1つの感光体ドラムに伝達し、そこからアイドラギヤを介して別の感光体ドラムへ駆動力を順次伝達するというものである。図14に示す具体的な構成において、4つの感光体ドラムの各ドラム駆動ギヤ432A,432B,432C,432Dには、それぞれ、大径ギヤ435a,436a,437a,438aと小径ギヤ435b,436b,437b,438bとを同一回転軸上で一体に備えた第1アイドラギヤ435,436,437,438の小径ギヤ435b,436b,437b,438bが接続されている。4つの感光体ドラムのうち感光体ドラム配列方向一端に位置する第1の感光体ドラム(第1の像担持体)に接続されている第1アイドラギヤ435の大径ギヤ435aには、駆動モータ433のモータギヤ434が接続されている。各感光体ドラムの第1アイドラギヤの大径ギヤ435a,436a,437a,438aの間は、第2アイドラギヤ476,477,478によって接続されている。このような構成により、1つの駆動モータ433によって4つの感光体ドラムの駆動を実現している。
【0005】
図13に例示した第1の構成は、駆動モータの回転駆動力を分岐するためのアイドラギヤ135が必要となる。そのため、同じ数の感光体ドラムを単一の駆動モータで駆動する場合、図14に例示した第2の構成と比較して、アイドラギヤの数が多くなる。よって、上記第1の構成は、上記第2の構成と比較して、部品点数が多くなるとともに、省スペースが困難であるという不具合がある。
逆に、図14に例示した第2の構成であれば、各感光体ドラムの第1アイドラギヤ435,436,437,438が、それぞれの感光体ドラムへの駆動伝達と、駆動伝達経路下流側に隣接する感光体ドラムへの駆動伝達とを兼ねたギヤ(以下「駆動伝達兼用ギヤ」という。)であるため、上述した第1の構成のように駆動モータの回転駆動力をアイドラギヤで分岐する構成よりも、アイドラギヤ数を少なくできる。よって、部品点数が少なく、低コストで省スペースな構成の実現が容易である。
【0006】
一般に、駆動モータから感光体ドラムへの駆動伝達経路上に存在するギヤに偏心があると、そのギヤの回転周期をもつサインカーブを描く回転速度変動が感光体ドラムに生じる。このような感光体ドラムの回転速度変動が生じると、本来の形状よりも伸縮した潜像が感光体ドラム上に形成されたり、感光体ドラム上の可視像が被転写体に対して伸縮して転写されたりする。その結果、被転写体上に転写された可視像の形状が本来よりも伸縮したものとなってしまう。そして、このようなギヤの偏心によって周期的に伸縮する各可視像の伸縮の位相や振幅が被転写体上で一致していないと、これらの可視像を互いに重ね合わせたときにズレが生じる。このズレは僅かであっても、画像上では色ズレとして顕著に視認されてしまう。そのため、複数の感光体ドラム上の可視像を互いに重ね合わせて画像形成を行う画像形成装置においては、このような色ズレを高精度に抑制することが要求される。
【0007】
上記特許文献2には、上述した第2の構成において、このような色ズレを抑制する方法として、次のような方法を開示している。
上記特許文献2に記載されている構成では、図14に示すように、各第1アイドラギヤ435,436,437,438の大径ギヤ435a,436a,437a,438aが駆動伝達経路上に存在しているので、その大径ギヤの偏心によって、その大径ギヤの回転周期(第1アイドラギヤの回転周期)をもった回転速度変動が各感光体ドラムに生じる。この回転速度変動による色ズレを防止するため、上記特許文献2では、各第1アイドラギヤ435,436,437,438の組み付け時の回転位置(鉛直方向真上を基準とした第1アイドラギヤの回転方向とは逆方向への回転角度)を、次のように設定する。すなわち、被転写体上の同一地点がそれぞれの感光体ドラムの転写位置に位置する時に、いずれの感光体ドラムも、これに対応する第1アイドラギヤ435,436,437,438の大径ギヤの最大偏心地点が同じ回転位置となるように設定している。
【0008】
この組み付け方法は、各大径ギヤに対して個別の駆動モータを接続する構成であれば、各大径ギヤ435a,436a,437a,438aの偏心に起因した色ズレを抑制することは可能である。しかしながら、上記特許文献2に記載の構成は、上述した第2の構成、具体的には、大径ギヤ435a,436a,437a,438aを駆動伝達兼用ギヤとして用いて単一の駆動モータ433の回転駆動力を各感光体ドラムへ伝達する構成である。そのため、大径ギヤ435a,436a,437a,438aの偏心に起因した色ズレの抑制効果は、以下の理由により不十分であり、この色ズレを高精度に抑制することはできない。
【0009】
上記特許文献2に記載の構成では、駆動伝達経路下流側の感光体ドラムに伝達される回転駆動力には、その上流側に配置されているすべての感光体ドラムの第1アイドラギヤの大径ギヤの偏心に起因した回転速度変動が含まれる。具体的には、例えば、駆動伝達経路最下流側に位置する感光体ドラムに生じる回転速度変動には、当該感光体ドラムに対応する第1アイドラギヤ438の大径ギヤ438aのみの偏心に起因した発生する回転速度変動だけでなく、その駆動伝達経路上流側に位置するすべての感光体ドラムの第1アイドラギヤ435,436,437の大径ギヤ435a,436a,437aの偏心に起因した回転速度変動が重畳する。よって、駆動伝達経路下流側の感光体ドラムに生じる回転速度変動(第1アイドラギヤの回転周期をもった回転速度駆動成分)の位相や振幅は、当該感光体ドラムに対応する第1アイドラギヤの大径ギヤのみの偏心に起因して発生する回転速度変動の位相や振幅とは異なったものとなる。上記特許文献2に記載の方法では、それぞれの感光体ドラムの大径ギヤのみの偏心に起因した回転速度変動だけを考慮して調整しているので、駆動伝達経路上流側に配置されている感光体ドラムの第1アイドラギヤの大径ギヤの偏心に起因した回転速度変動分の色ズレは抑制できない。
【0010】
一方、特許文献3にも、上述した第2の構成を採用し、感光体ドラム軸と同軸に配置されたドラム駆動ギヤが駆動伝達兼用ギヤである構成を採用した画像形成装置が開示されている。この特許文献3に記載の構成は、駆動伝達兼用ギヤとして、アイドラギヤではなくドラム駆動ギヤを用いているので、アイドラギヤの数を最小とすることができ、低コスト化や省スペース化の効果が高い。ただし、上記特許文献3の構成も、上述した第2の構成を採用しているため、駆動伝達経路下流側の感光体ドラムに伝達される回転駆動には、その上流側に配置されているすべての感光体ドラムのドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動が含まれる。よって、駆動伝達経路上流側のドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動分を考慮しなければ、ドラム駆動ギヤの偏心に起因した色ズレを高精度に抑制することはできない。
【0011】
上記特許文献3には、この色ズレを高精度に抑制するため、ドラム駆動ギヤの組み付け方法として。次のような方法を開示している。
すなわち、互いに隣接する2つの感光体ドラムに関し、各感光体ドラムが被転写体上の同一地点に対して可視像をそれぞれ転写する時に、各感光体ドラムの回転速度変動(ドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動成分)の位相が一致し、かつ、当該回転速度変動の振幅も一致するように、それらのドラム駆動ギヤ間における偏心量の比を調整した感光体ドラム駆動ギヤを用い、そのような感光体ドラム駆動ギヤを所定の回転位置で組み付けるという方法である。この方法によれば、それぞれの感光体ドラムのドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動による色ズレだけでなく、駆動伝達経路上流側に配置されている感光体ドラムのドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動による色ズレも抑制できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献3に記載の方法は、偏心量が互いに異なるドラム駆動ギヤを製造し、かつ、各感光体ドラムにそれぞれ取り付けられるドラム駆動ギヤの偏心量の比率が既定の比率となる組合せを実現するドラム駆動ギヤを選定する必要がある。この場合、画像形成装置の製造工程において、製造したドラム駆動ギヤの偏心量を計測し、既定の偏心量比率となる組合せを実現するドラム駆動ギヤを選定するという作業が必要となる。このような作業は、大幅なコストアップにつながる。
【0013】
また、近年、ドラム駆動ギヤやアイドラギヤは、例えば、溶融樹脂を射出することによって成形したプラスチックギヤを利用する場合が多い。この場合、ギヤの偏心は、主にプラスチックギヤの射出成形時の成形誤差によって生じる。この成形誤差は、成形時の周辺温度分布や樹脂の射出温度分布、金型の組付偏差などが原因で発生する。この成形方法であれば、近年の高精度成形技術により、同一金型で成形された同一ロットのギヤについては、その偏心量のばらつきが非常に少なく、どれも実質的に同一の偏心量となる。そのため、この成形方法で上記特許文献3のドラム駆動ギヤを製造する場合、既定の偏心量比率となる組合せを実現する感光体ドラム駆動ギヤを製造することが困難であり、実質的に上記特許文献3に記載の方法を採用できない。
【0014】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、上述した第2の構成における駆動伝達兼用ギヤとして、偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤを用い、低コストで、駆動伝達兼用ギヤの偏心に起因した色ズレを高精度に抑制することが可能な画像形成装置の製造方法及びその画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、被転写体の移動方向に沿って並んで配置される複数の像担持体のうちのN個(Nは2以上の自然数である。)の像担持体へ伝達される回転駆動力を発生させる単一の駆動モータと、該単一の駆動モータで発生した回転駆動力を該N個の像担持体へそれぞれ伝達するN個の駆動ギヤと、該単一の駆動モータの駆動力により回転駆動するとともに、該N個の駆動ギヤのうち、該N個の像担持体のうちの一端に配置される第1の像担持体へ回転駆動力を伝達する第1の駆動ギヤと噛み合って、該単一の駆動モータの駆動力を該第1の駆動ギヤへ伝達する駆動入力ギヤと、該N個の駆動ギヤの各ギヤ間に配置され、駆動伝達経路上流側に位置する駆動ギヤの回転駆動力を駆動伝達経路下流側に位置する駆動ギヤへ伝達する(N−1)個のアイドラギヤとを備え、該単一の駆動モータの回転駆動力を該第1の駆動ギヤから順次、該(N−1)個のアイドラギヤを介して第Nの駆動ギヤまで伝達して、該N個の像担持体を回転駆動させる像担持体駆動装置を有しており、該像担持体駆動装置によって回転駆動する上記複数の像担持体の表面上にそれぞれ可視像を形成し、各像担持体の表面に形成された可視像を上記被転写体上に互いが重なり合うように転写して画像を形成する画像形成装置の製造方法において、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が互いに略同一のギヤを用い、上記駆動入力ギヤと上記第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所と上記(N−1)個のアイドラギヤのうちの第1のアイドラギヤと該第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角、及び、第(n−1)(nは2以上(N−1)以下の自然数である。)のアイドラギヤと該第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所と第nのアイドラギヤと第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角が、いずれも、許容誤差をeとした場合に、下記の式(1)に示すθiとなるように、上記駆動入力ギヤ、上記N個の駆動ギヤ及び上記(N−1)個のアイドラギヤを配置し、第nの駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置が、上記第1の駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置に対し、nが奇数である第nの駆動ギヤについては以下の式(2)に示す角度θanだけ、nが偶数である第nの駆動ギヤについては以下の式(3)に示す角度θanだけ、該第nの駆動ギヤの回転方向にずれるように、上記N個の駆動ギヤを組み付けることを特徴とするものである。
【数1】
【数2】
【数3】
上記式(1)〜(3)の「φ」は、第1の像担持体から第Nの像担持体までの並び方向が、上記被転写体の移動方向と一致している場合には下記の式(4)に示すものであり、該被転写体の移動方向とは逆である場合には下記の式(5)に示すものである。ただし、「Ls」は上記N個の像担持体間の軸間距離であり、「Ld」は各駆動ギヤ一回転あたりの像担持体の表面移動距離であり、軸間距離Lsを被転写体が移動する間に駆動ギヤが回転する周回数(整数)がuである。
【数4】
【数5】
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置の製造方法において、上記N個の駆動ギヤには、同一の成形型を用いて成形したギヤを用いることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、被転写体の移動方向に沿って並んで配置される複数の像担持体を回転駆動させ、該複数の像担持体の表面上にそれぞれ可視像を形成し、各像担持体の表面に形成された可視像を被転写体上に互いが重なり合うように転写して画像を形成する画像形成装置において、上記複数の像担持体のうちのN個(Nは2以上の自然数である。)の像担持体へ伝達される回転駆動力を発生させる単一の駆動モータと、該単一の駆動モータで発生した回転駆動力を該N個の像担持体へそれぞれ伝達するN個の駆動ギヤと、該単一の駆動モータの駆動力により回転駆動するとともに、該N個の駆動ギヤのうち、該N個の像担持体のうちの一端に配置される第1の像担持体へ回転駆動力を伝達する第1の駆動ギヤと噛み合って、該単一の駆動モータの駆動力を該第1の駆動ギヤへ伝達する駆動入力ギヤと、該N個の駆動ギヤの各ギヤ間に配置され、駆動伝達経路上流側に位置する駆動ギヤの回転駆動力を駆動伝達経路下流側に位置する駆動ギヤへ伝達する(N−1)個のアイドラギヤとを備え、該単一の駆動モータの回転駆動力を第1の駆動ギヤから順次、該(N−1)個のアイドラギヤを介して第Nの駆動ギヤまで伝達して、該N個の像担持体を回転駆動させる像担持体駆動装置を有しており、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が互いに略同一のギヤを用い、上記駆動入力ギヤと該第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所と上記(N−1)個のアイドラギヤのうち第1のアイドラギヤと上記第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角、及び、第(n−1)(nは2以上(N−1)以下の自然数である。)のアイドラギヤと該第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所と第nのアイドラギヤと第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角が、いずれも、許容誤差をeとした場合に、上記式(1)に示すθiとなるように構成されており、第nの駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置が、第1の駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置に対し、nが奇数である第nの駆動ギヤについては上記式(2)に示す角度θanだけ、nが偶数である第nの駆動ギヤについては上記式(3)に示す角度θanだけ、該第nの駆動ギヤの回転方向にずれていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、回転駆動している上記N個の像担持体の表面に対して所定の潜像書込位置でそれぞれ潜像を書き込むとともに各潜像を現像することで可視像を形成する可視像形成手段を有し、上記N個の像担持体が、上記所定の潜像書込位置から上記被転写体と対向する転写位置まで回転する間に、上記駆動入力ギヤが概ね整数回、回転するように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3又は4の画像形成装置において、回転駆動している上記N個の像担持体の表面に対して所定の潜像書込位置でそれぞれ潜像を書き込むとともに各潜像を現像することで可視像を形成する可視像形成手段を有し、上記N個の像担持体が、上記所定の潜像書込位置から上記被転写体と対向する転写位置まで回転する間に、上記(N−1)個のアイドラギヤが概ね整数回、回転するように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記N個の駆動ギヤは、それぞれ対応する像担持体の回転軸と同軸に配置された像担持体駆動ギヤであることを特徴とするものである。
【0016】
本発明においては、上述した第2の構成のように、第1から第(N−1)までの駆動ギヤが、それぞれ対応する像担持体への駆動伝達だけでなく、その駆動伝達経路下流側に隣接する像担持体への駆動伝達を兼ねている駆動伝達兼用ギヤとして用いられる。そのため、低コストで省スペースな構成の実現が容易である。
また、本発明によれば、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤを用いるので、これらの駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動を抑制するために、製造した駆動ギヤの偏心量を計測したり、既定の偏心量比率の組合せを実現できる駆動ギヤを選定したりする作業が不要である。
そして、本発明によれば、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤを用いても、後述するように、各像担持体に対応する駆動ギヤの偏心に起因して当該像担持体にそれぞれ生じる回転速度変動だけでなく、駆動伝達経路上流側に配置されている駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動も抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上より、本発明によれば、上述した第2の構成を採用するので低コストで省スペースな構成の実現が容易であるとともに、その駆動伝達兼用ギヤとして偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤを用い、低コストで、駆動伝達兼用ギヤの偏心に起因した色ズレを高精度に抑制することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1における画像形成装置の主要構成を示す概略構成図である。
【図2】同画像形成装置に搭載された感光体ドラム駆動装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】同感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
【図4】色ズレを生じさせない各感光体ドラムの理想の回転速度変動の相対関係を示すグラフである。
【図5】比較例に係る感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
【図6】同比較例における各感光体ドラムの回転速度変動の相対関係を示すグラフである。
【図7】実施例に係る感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
【図8】同実施例における各感光体ドラムの回転速度変動の相対関係を示すグラフである。
【図9】同実施例において挟み角θi=170°とした場合の各感光体ドラムの回転速度変動を示すグラフである。
【図10】同実施例において、挟み角(設計値)を振ったときの挟み角と誤差率との関係を示すグラフである。
【図11】実施形態2の感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
【図12】実施形態3の感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
【図13】単一の駆動モータの回転駆動力により複数の像担持体を駆動するための第1の構成の一例を説明するための説明図である。
【図14】単一の駆動モータの回転駆動力により複数の像担持体を駆動するための第2の構成の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔実施形態1〕
以下、本発明を、中間転写方式のタンデム型画像形成装置に適用した一実施形態(以下、本実施形態を「実施形態1」という。)について説明する。
図1は、本実施形態1における画像形成装置の主要構成を示す概略構成図である。なお、本画像形成装置を複写機やプリンタなどの製品として用いる場合には、必要に応じて、図示の主要構成に加えて、用紙を大量に保持する給紙テーブルを設置したり、スキャナ部や原稿自動搬送装置(ADF)を設置したりする。
【0020】
図1に示すように、本実施形態1の画像形成装置は、被転写体としての中間転写体である無端状ベルトからなる中間転写ベルト10が設けられている。この中間転写ベルト10は、4つの支持回転体としての支持ローラ7,8,11,12に掛け渡されており、図中反時計回り方向に表面移動する。本実施形態1においては、これら4つの支持ローラのうち、支持ローラ8が駆動ローラである。また、図示しないが、これら4つの支持ローラのうち、支持ローラ7の図中左側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置が設けられている。また、4つの支持ローラのうち、支持ローラ11と支持ローラ12との間に張り渡したベルト部分には、そのベルト表面移動方向に沿って、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(K)の4つの画像形成ユニットが並べて配置されている。各画像形成ユニットには、図中時計方向に回転駆動する像担持体としての感光体ドラム2と、ドラム駆動ギヤ32と、バイアスローラ6とが設けられている。また、各画像形成ユニットは、感光体ドラム2の周りに、図示しない帯電装置、現像装置及びクリーニング装置なども備えている。これらの画像形成ユニットは、使用するトナーの色が異なる以外は互いに同一の構成となっている。
【0021】
バイアスローラ6は、中間転写ベルト10を挟んで感光体ドラム2の対向する位置に配置されており、中間転写ベルト10はバイアスローラ6によって各感光体ドラム2に当接されている。各ドラム駆動ギヤ32は、同一金型で同一ロットの成形ギヤであり、ギヤ側面の円周方向にすくなくとも1箇所のマーク4が成形されている。同一金型で同一ロットの成形ギヤにおいては、成形誤差がほぼ一致するため、マーク4を基準に各ギヤの偏心位相関係を調整することが可能となる。黒(K)のマーク4kはドラムポジションセンサ20によって検知される。ドラムポジションセンサ20kの検知結果に基づき、黒(K)の感光体ドラム2kの回転位相を把握できる。
【0022】
また、本画像形成装置には、4つの画像形成ユニットの下方に、潜像形成手段としての露光装置1が設けられている。
また、本画像形成装置には、中間転写ベルト10を挟んで駆動ローラ8と対向する位置に、第2転写手段としての二次転写ローラ13が設けられている。この二次転写ローラ13は、駆動ローラ8に向けて中間転写ベルト10へ押し当てられるように設けられている。二次転写ローラ13と中間転写ベルト10との間のニップ部(二次転写部)には図中下方から所定のタイミングで記録材としてのシートが搬送されてくる。そして、二次転写ローラ13の加圧力と印加電圧により中間転写ベルト10上の画像がシートに転写される。なお、第2転写手段としては、転写ベルトや非接触式のチャージャを利用したものであってもよい。
また、本画像形成装置には、この二次転写ローラの図中上方に、図示しない定着装置が設けられている。この定着装置は、シート上に転写された画像をシートへ定着するための定着処理を行うものである。
【0023】
次に、本画像形成装置の画像形成動作について説明する。
本画像形成装置を複写機として用いる場合、まず、原稿を、図示しない原稿自動搬送装置の原稿台上にセットするか、原稿自動搬送装置を開いてスキャナ部のコンタクトガラス上にセットして原稿自動搬送装置を閉じてそれで押さえるかする。その後、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置に原稿をセットした場合であれば、その原稿が搬送されてコンタクトガラス上へと移動した後、スキャナ部の走査ユニットが駆動する。
コンタクトガラス上に原稿をセットした場合であれば、スキャナ部の走査ユニットが駆動する。走査ユニットが走行すると同時に光源から光が原稿面に照射され、その反射光が結像レンズを通して読取センサによって受光されて原稿内容が読み取られる。そして、読み取った原稿内容に基づく画像情報を用いて以下の画像形成を行う。
また、本画像形成装置をプリンタとして用いる場合、パソコンやデジタルカメラ等の外部機器から画像情報を受信し、その画像情報を用いて以下の画像形成を行う。
【0024】
上述した原稿の読取処理や画像情報の受信処理に並行して、図示しない中間転写ベルト用のベルト駆動モータで駆動ローラ8を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中反時計回り方向に表面移動するとともに、この表面移動に伴って他の支持ローラ(従動ローラ)が連れ回り回転する。また、これと同時に、図示しない駆動モータにより各画像形成ユニットの感光体ドラム2が図中時計回り方向に回転する。そして、各感光体ドラム2上に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の色別情報を用いてそれぞれ露光して静電潜像を形成し、これらを各現像装置でそれぞれ現像することにより単色のトナー画像(可視像)を形成する。その後、各感光体ドラム2上の単色トナー画像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0025】
このような画像形成に並行して、二次転写部に対して所定のタイミングでシートを搬送する。詳しくは、給紙カセットからシートを繰り出し、分離ローラで1枚ずつ分離して給紙路に入れ、搬送ローラで搬送してレジストローラに突き当てて止める。または、給紙ローラを回転して手差しトレイ上のシートを繰り出し、分離ローラで1枚ずつ分離して手差し給紙路に入れ、同じくレジストローラに突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像が二次転写部に到達するタイミングを合わせてレジストローラを回転し、二次転写部へシートを送り込む。なお、レジストローラは一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加するようにしてもよい。二次転写部では、二次転写ローラ13に印加される二次転写バイアスの作用によって中間転写ベルト10上の合成カラー画像がシート上に転写される。画像転写後のシートは、定着装置へ送り込まれ、この定着装置で熱と圧力が加えられて転写画像が定着される。定着後のシートは、図示しない排出ローラから排紙トレイ上に排出されてスタックされる。
【0026】
なお、本画像形成装置を用いて、単色の画像を形成することもできる。例えば黒の単色画像を形成する場合には、図示しない接離手段により、イエロー、シアン、マゼンタのカラー3色の感光体ドラム2から中間転写ベルト10を離すようにし、これら3色の感光体ドラム2を一時的に駆動停止にしておくのが好ましい。
【0027】
本画像形成装置は、給紙から排紙までのシート搬送経路が短く、簡素化されているため、装置全体が小型化できる。また、生産性が向上し、紙詰まりの発生確率が低く抑えられている。
【0028】
次に、本実施形態1における感光体ドラム駆動装置について説明する。
図2は、本実施形態1における感光体ドラム駆動装置の概略構成を示す説明図である。
この感光体ドラム駆動装置は、画像形成装置本体に設けられた図示しない駆動部取付基板に固定されており、駆動モータ1個と歯車列を用いて、4個の感光体ドラム2へ駆動力を伝達する駆動系を構成している。本実施形態1では、駆動モータ33として、定速性に優れたDCブラシレスモータやステッピングモータ等を利用することができるが、他のモータを用いてもよい。
【0029】
駆動モータ33の駆動軸には駆動入力ギヤであるモータギヤ34が取り付けられており、このモータギヤ34は、K用感光体ドラム2kの回転軸と同軸に配置された第1駆動ギヤであるK用ドラム駆動ギヤ32kと噛合っている。K用ドラム駆動ギヤ32kは、K用感光体ドラム2kの回転軸とカップリングで連結されており、K用ドラム駆動ギヤ32kの回転駆動力がK用感光体ドラム2kへ伝達される。
K用感光体ドラム2kの隣に配置されたM用感光体ドラム2mの回転駆動力は、K用ドラム駆動ギヤ32kから第1アイドラギヤ76を介して第2駆動ギヤであるM用ドラム駆動ギヤ32mに伝達される。M用ドラム駆動ギヤ32mは、M用感光体ドラム2mの回転軸とカップリングで連結されており、M用ドラム駆動ギヤ32mの回転駆動力がM用感光体ドラム2mへ伝達される。
M用感光体ドラム2mの隣に配置されたC用感光体ドラム2cの回転駆動力は、M用ドラム駆動ギヤ32mから第2アイドラギヤ77を介して第3駆動ギヤであるC用ドラム駆動ギヤ32cに伝達される。C用ドラム駆動ギヤ32cは、C用感光体ドラム2cの回転軸とカップリングで連結されており、C用ドラム駆動ギヤ32cの回転駆動力がC用感光体ドラム2cへ伝達される。
C用感光体ドラム2cの隣に配置されたY用感光体ドラム2yの回転駆動力は、C用ドラム駆動ギヤ32cから第3アイドラギヤ78を介して第4駆動ギヤであるY用ドラム駆動ギヤ32yに伝達される。Y用ドラム駆動ギヤ32yは、Y用感光体ドラム2yの回転軸とカップリングで連結されており、Y用ドラム駆動ギヤ32yの回転駆動力がY用感光体ドラム2yへ伝達される。
【0030】
第1アイドラギヤ76は、K用ドラム駆動ギヤ32kとM用ドラム駆動ギヤ32mとに噛み合っており、K用ドラム駆動ギヤ32kの回転駆動力をM用ドラム駆動ギヤ32mへ伝達する。第2アイドラギヤ77は、M用ドラム駆動ギヤ32mとC用ドラム駆動ギヤ32cとに噛み合っており、M用ドラム駆動ギヤ32mの回転駆動力をC用ドラム駆動ギヤ32cへ伝達する。第3アイドラギヤ78は、C用ドラム駆動ギヤ32cとY用ドラム駆動ギヤ32yとに噛み合っており、C用ドラム駆動ギヤ32cの回転駆動力をY用ドラム駆動ギヤ32yへ伝達する。
【0031】
第1アイドラギヤ76は、電磁クラッチ付ギヤや揺動リンクで支持する機構を利用し、K用ドラム駆動ギヤ32kの回転駆動力の駆動伝達経路下流側への伝達をON/OFF制御できるように構成するのが好ましい。この構成によれば、例えば、黒の単色画像を形成する場合には、第1アイドラギヤ76による駆動伝達経路下流側への駆動伝達をON/OFF制御する制御手段によりOFFにし、Y、C、Mのカラー3色についてのドラム駆動ギヤ32y,32c,32mへの駆動伝達を行わないようにすることができる。これにより、当該画像形成には用いないカラー3色の感光体ドラム2y,2c,2mの不要な駆動を停止しておくことができる。
【0032】
各ドラム駆動ギヤ32には、自己の最大偏心地点に対応する回転位置が視認できるように、それぞれ、図2に示すようなマーク4が形成されている。なお、このマーク4は、それぞれのドラム駆動ギヤ32の偏心量の位相基準が把握できればよいので、最大偏心地点でなく、例えば最小偏心地点に形成してもよい。
本実施形態1では、詳しくは後述するが、各ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因した各感光体ドラム2の回転速度変動を抑制するために、各ドラム駆動ギヤ32の偏心位相が予め決められた相対関係となるように、すなわち、各ドラム駆動ギヤ32の最大偏心地点の回転位置が予め決められた相対関係となるように、設定される。
【0033】
ここで、本実施形態1においては、第1アイドラギヤ76による駆動伝達経路下流側への駆動伝達をON/OFF制御する機構を設けているため、そのON/OFF制御によって、K用ドラム駆動ギヤ32kとカラー3色(Y、C、M)のドラム駆動ギヤ32y,32c,32mとの偏心位相の相対関係が崩れてしまう。そこで、本実施形態1では、カラー3色のドラム駆動ギヤ32y,32c,32mの回転位置(偏心位相)を認識するために、図2に示すようにK用ドラム駆動ギヤ32kとM用ドラム駆動ギヤ32mの回転位置を検知するドラムポジションセンサ20k,20mが設置されている。なお、カラー3色は第2アイドラギヤ77及び第3アイドラギヤ78によって常に連結しているため、いずれか1つにドラムポジションセンサ20を設置すればよい。
【0034】
また、駆動モータ33のモータ軸には、速度センサが取り付けられている。この速度センサによって駆動モータ33の回転状態を検出し、その検出信号をコントローラ37を介して駆動モータ33のモータ駆動回路36にフィードバックし、駆動モータ33の回転速度が所望の速度となるように制御している。なお、モータ内蔵型の速度センサとしては、例えばプリントコイル式の周波数発電機(FG)やMRセンサ等を用いることができる。
【0035】
モータ駆動回路36は、駆動モータ33に所定の駆動電流を出力する。本実施形態1の駆動モータ33は、上記速度センサを有するDCブラシレスモータ、いわゆるDCサーボモータを採用している。このDCサーボモータは、U、V、Wの3相スター結線されたコイルとロータとを有する。さらに、ロータの位置検出部として、ロータの磁極を検知する3個のホール素子を備え、それらの出力端子はモータ駆動回路36に接続されている。また、MRセンサを内蔵したDCサーボモータの場合、ロータの周上に着磁した磁気的パターンとMRセンサとからなる回転速度検知部(速度情報検知部)を有し、その出力端子をコントローラ37に接続する。モータ駆動回路36は、ハイ側トランジスタとロー側トランジスタとを各3個備え、それぞれコイルのU、V、Wに接続されている。モータ駆動回路36はホール素子が発生するロータ位置信号により、ロータの位置を特定し、相切替信号を生成する。相切替信号は、モータ駆動回路36の各トランジスタをオンオフ制御し、励磁する相を順次切り替えることにより、ロータを回転させる。
【0036】
また、コントローラ37は、速度センサにより検知される回転速度情報と目標回転速度情報とを比較し、検出されたモータ軸の回転速度が目標回転速度となるように、PWM信号を生成して出力する。PWM信号はアンドゲートによりモータ駆動回路36の相切替信号とアンドされ、駆動電流のチョッピングを行い、駆動モータ33の回転速度を制御する。このようなコントローラ37は、速度センサの出力パルス信号と制御目標値出力部38の出力パルス信号の位相や周波数を比較する公知のPLL制御回路系で構成することができる。制御目標値出力部38は、予め設定された感光体ドラムの一回転周期の回転速度変動成分を補正する目標回転速度に応じて周波数変調したパルス信号を出力する。コントローラ37は、アナログ回路ではなくデジタル回路でもよい。デジタル処理の場合、速度センサの出力波形の周期を計測し、回転角速度を算出する。または、速度センサの出力パルス数をカウントし、任意の時間内に計測されたカウント値から回転角速度を算出する。なお、回転角速度ではなく回転角変位を制御する位置制御系を採用する場合、速度センサの出力パルス数をカウントし、回転角の変位量を算出する。そして、制御目標値出力部38からの目標データとの差分を算出し、その差分が小さくなるように駆動モータ33を駆動する。一般にPID制御器などが組み込まれ、駆動モータ33が目標回転速度に対して、偏差やオーバーシュート、発振が無いように調整されてモータ駆動回路36へPWM信号が出力される。
【0037】
次に、本発明の特徴部分である、ドラム駆動ギヤ32の組み付け方法について説明する。
各感光体ドラム2に回転駆動力を伝達する各ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因して、各感光体ドラム2には回転速度変動が発生する。このような感光体ドラム2の回転速度変動により、各感光体ドラム2から中間転写ベルト10上へ転写される各単色トナー画像は、本来の形状に対してドラム駆動ギヤ32の一回転周期で周期的に伸縮する。このとき、各単色トナー画像の周期的な伸縮の振幅及び位相が中間転写ベルト10上においてズレていると、いわゆる色ズレが生じ、顕著な画質劣化となる。そのため、本実施形態1では、各ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因して発生する各単色トナー画像の周期的な伸縮の振幅及び位相が中間転写ベルト10上において互いに一致するように、各ドラム駆動ギヤ32の偏心位相の相対関係を調整している。
【0038】
ここで、本実施形態1においては、K用ドラム駆動ギヤ32k、M用ドラム駆動ギヤ32m、C用ドラム駆動ギヤ32cは、それぞれ駆動伝達経路下流側のドラム駆動ギヤへ駆動力を伝達する機能も果たす駆動伝達兼用ギヤである。そのため、駆動伝達経路下流側のドラム駆動ギヤ32は、対応する感光体ドラム2に対し、自己の偏心に起因した回転速度変動だけでなく、その上流側のドラム駆動ギヤ32の偏心に起因した回転速度変動も生じることになる。具体的には、M用感光体ドラム2mには、M用ドラム駆動ギヤ32mの偏心に起因した回転速度変動に、K用ドラム駆動ギヤ32kの偏心に起因した回転速度変動が重畳した回転速度変動が生じる。同様に、C用感光体ドラム2cには、C用ドラム駆動ギヤ32cの偏心に起因した回転速度変動に、K用ドラム駆動ギヤ32k及びM用ドラム駆動ギヤ32mの偏心に起因した回転速度変動が重畳した回転速度変動が生じる。同様に、Y用感光体ドラム2yには、Y用ドラム駆動ギヤ32yの偏心に起因した回転速度変動に、K用ドラム駆動ギヤ32k、M用ドラム駆動ギヤ32m及びC用ドラム駆動ギヤ32cの偏心に起因した回転速度変動が重畳した回転速度変動が生じる。よって、M、C、Y用のドラム駆動ギヤ32m,32c,32yの偏心位相を調整するにあたっては、自己の偏心だけでなく、その駆動伝達経路上流側のドラム駆動ギヤの偏心も考慮する必要がある。
以下、ドラム駆動ギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動というときは、その感光体ドラムに対応するドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動に、その駆動伝達経路上流側に位置するドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動が重畳した回転速度変動を意味するものとする。
【0039】
本実施形態1におけるドラム駆動ギヤ32の組み付け方法では、まず、4つの感光体ドラム2を駆動するギヤ列のギヤ配置関係を決定する。この配置関係は、感光体ドラム2の直径Dと感光体ドラムの軸間距離Lsから導出される。次に、中間転写ベルト10上の同一地点が各感光体ドラムの転写位置を通過する時に、それぞれの感光体ドラムの回転速度変動(ドラム駆動ギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動)の振幅と位相が一致するように、各ドラム駆動ギヤ32の回転位置(偏心位相)の相対関係を調整して、各ドラム駆動ギヤ32を組み付ける。
【0040】
[ギヤ配置関係]
図3は、本実施形態1の感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
K用ドラム駆動ギヤ32kとモータギヤ34との噛み合い箇所を噛合ポイントp1kとする。また、K用ドラム駆動ギヤ32kと第1アイドラギヤ76との噛み合い箇所を噛合ポイントp2kとする。そして、噛合ポイントp1kを基準にK用ドラム駆動ギヤ32kの回転方向へ噛合ポイントp2kまでの中心角を挟み角θikとする。同様に、M用ドラム駆動ギヤ32mと第1アイドラギヤ76との噛み合い箇所を噛合ポイントp1mとする。また、M用ドラム駆動ギヤ32mと第2アイドラギヤ77との噛み合い箇所を噛合ポイントp2mとする。そして、噛合ポイントp1mを基準にM用ドラム駆動ギヤ32mの回転方向へ噛合ポイントp2mまでの中心角を挟み角θimとする。以下、C用ドラム駆動ギヤ32c、Y用ドラム駆動ギヤ32yにおいても同様である。
【0041】
本実施形態1では、各ドラム駆動ギヤにおける挟み角θik,θim,θicは、互いに同一となるように、各モータ駆動ギヤ32、各アイドラギヤ76,77,78を配置する。ここで、この挟み角θik,θim,θicの最適値は、以下に説明するように、感光体ドラム2の直径Dと感光体ドラムの軸間距離Lsから導出する。
【0042】
具体的には、まず、隣接する2つの感光体ドラムについて、感光体ドラムの回転速度変動の振幅及び位相がズレて発生する色ズレをキャンセルし得る当該2つの感光体ドラムの回転速度変動の最適な位相差を導出する。なお、各感光体ドラム2の直径Dはそれぞれ等しく、各感光体ドラム2の軸間距離Lsもそれぞれ等しく、中間転写ベルト10の線速と感光体ドラムの線速とが概ね等しいものとする。この最適な位相差φは、中間転写ベルト10の移動方向上流側に位置する感光体ドラムの回転速度が最大である時にその転写位置を通過した中間転写ベルト上の地点が、中間転写ベルト10の移動方向下流側に位置する感光体ドラムの転写位置を通過する時に、当該下流側の感光体ドラムの回転速度が最大となるように、中間転写ベルト10の移動方向上流側に位置する感光体ドラムの回転速度変動の位相を、中間転写ベルト10の移動方向下流側に位置する感光体ドラムの回転速度変動の位相よりも、感光体ドラム回転方向とは逆方向へずらすときの回転角で表すことができる。したがって、この最適位相差角φは、ドラム駆動ギヤ32の1回転あたりの感光体ドラム表面移動距離をLdとし、感光体ドラムの軸間距離をLsとし、軸間距離Lsを中間転写ベルト10が移動する間にドラム駆動ギヤ32が回転する周回数(整数)をuとすると、下記の式(5)に示すとおりである。また、下記の式(5)は、ドラム駆動ギヤ32は感光体ドラム2と同軸に配置されており、軸間距離Lsを中間転写ベルト10が移動する間に感光体ドラムが1周回ほど回転する場合では、感光体ドラムの直径Dを用いて、下記の式(6)のように表すこともできる。
【数6】
【数7】
【0043】
本実施形態1において、ドラム駆動ギヤ32は感光体ドラム2と同軸に配置されているため、ドラム駆動ギヤの1回転は感光体ドラムの1回転に相当する。この場合、各ドラム駆動ギヤにおける最適な挟み角θik,θim,θicは、許容誤差を考慮しなければ、上記最適位相差角φを用いて、下記の式(1’)に示すように表すことができる。
【数8】
【0044】
上記式(1’)により導出される最適な挟み角θik,θim,θicとなるように、モータギヤ34の配置及び各アイドラギヤ76,77,78の配置を決定する。そして、各ギヤが適切に噛み合うように、各ドラム駆動ギヤ32の直径(歯数)、各アイドラギヤ76,77,78の直径(歯数)を選定し、ギヤ配列が決定される。
このとき、モータギヤ34や各アイドラギヤ76,77,78の整数回転する時の感光体ドラム表面移動距離が、潜像書込位置から転写位置までの感光体ドラム表面移動距離に等しくなるように、設定してもよい。この場合、モータギヤ34及び各アイドラギヤ76,77,78の偏心による感光体ドラムの回転速度変動に起因した画像の伸縮をキャンセルできる。
【0045】
[ドラム駆動ギヤの偏心位相調整]
次に、上述したように決定されたギヤ配置関係において、各ドラム駆動ギヤ32の偏心位相が以下に説明する所定の相対関係となるように、各ドラム駆動ギヤ32の回転位置を調整する。
以下の説明では、各ドラム駆動ギヤ32の最大偏心地点(図3中のマーク4k,4m,4c,4yが位置する地点)を、それぞれのドラム駆動ギヤ32の入力側の噛合ポイントp1k,p1m,p1c,p1yから目標とする調整ポイントまで当該ドラム駆動ギヤの回転方向へ移動させるときの回転角度(以下「位相差調整角度」という。)を、それぞれ、θak、θam、θac、θayとする。この場合、各位相差調整角度θak,θam,θac,θayは、上述した最適位相差角φを用いて、下記の式(2’)に示すようになる。
【数9】
【0046】
したがって、本実施形態1においては、各ドラム駆動ギヤ32のマーク4k,4m,4c,4yの回転位置が、それぞれのドラム駆動ギヤ32の入力側の噛合ポイントp1k,p1m,p1c,p1yから当該ドラム駆動ギヤ32の回転方向へ各位相差調整角度θak,θam,θac,θay分だけ回転した位置である調整ポイントと一致するように、各ドラム駆動ギヤ32を組み付ける。このように組み付けることで、各ドラム駆動ギヤ32の偏心位相は、ドラム駆動ギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動の振幅及び位相のズレによって発生する色ズレをキャンセルできる所定の相対関係となる。
なお、ここでは、K用ドラム駆動ギヤの位相差調整角度θakは、便宜上ゼロとしたが、これがゼロでない場合は、そのθakの値を各ドラム駆動ギヤ32の位相差調整角度θam,θac,θayに加算すればよい。
【0047】
[効果確認]
次に、上述した本実施形態1におけるドラム駆動ギヤ32の組み付け方法により各ドラム駆動ギヤ32を組み付けた場合に、ドラム駆動ギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動の振幅及び位相のズレによって発生する色ズレをキャンセルできることを確認する。
まず、K用ドラム駆動ギヤ32kの偏心による回転速度変動は、モータギヤ34との噛合ポイントp1kで発生する。ギヤ偏心による速度変動特性は正弦関数で表現することができ、便宜上、振幅を1、噛合ポイントp1kを基準としたドラム駆動ギヤ32kのマーク4kの回転角度をθとしたとき、K用ドラム駆動ギヤ32kの回転速度変動Vkは、下記の式(7)に示す式で表現することができる。
【数10】
K用感光体ドラム2kに対して中間転写ベルト10の移動方向上流側に位置するM用感光体ドラム2mのドラム駆動ギヤ32mは、本実施形態1の組み付け方法によれば、K用ドラム駆動ギヤ32kとの偏心位相差を上述した最適位相差角φとしたい。したがって、M用ドラム駆動ギヤ32mの目標速度変動Vm_refは、下記の式(8)に示すようになる。なお、このM用ドラム駆動ギヤ32mの回転角度(θ+φ)は、噛合ポイントp1mを基準としたドラム駆動ギヤ32mのマーク4mの回転角度である。以下、C、Yについても同様であるので、C用ドラム駆動ギヤ32c及びY用ドラム駆動ギヤ32yの目標速度変動Vc_ref,Vy_ref,は、それぞれ、下記の式(9)及び(10)に示すようになる。
【数11】
【数12】
【数13】
【0048】
M用ドラム駆動ギヤ32mにおける実際の回転速度変動は、次のようなメカニズムで発生する。
まず、K用ドラム駆動ギヤ32kは、モータギヤ34との噛合ポイントp1kで、自己の偏心に起因して、上記式(7)で示した回転速度変動を生じる。
また、このような回転速度変動が生じているK用ドラム駆動ギヤ32kは、この噛合ポイントp1kからその回転方向へθiだけずれた回転位置にある第1アイドラギヤ76との噛合ポイントp2kで、自己の回転駆動力を第1アイドラギヤ76へ伝達する。この噛合ポイントp2kでは、K用ドラム駆動ギヤ32kの偏心に起因して、θi分だけ遅れた上記式(7)で示す回転速度変動を第1アイドラギヤ76に生じさせることになる。
さらに、第1アイドラギヤ76は、噛合ポイントp2kからその回転方向へθiだけずれた回転位置にあるM用ドラム駆動ギヤ32mとの噛合ポイントp1mで、自己の回転駆動力をM用ドラム駆動ギヤ32mへ伝達する。この噛合ポイントp1mでは、M用ドラム駆動ギヤ32mが、自己の偏心に起因して、回転速度変動を生じる。
これらの回転速度変動がすべて重畳してM用ドラム駆動ギヤ32mが回転駆動することになるので、M用ドラム駆動ギヤ32mの回転速度変動(M用ドラム駆動ギヤ32k,32mの回転周期をもつ回転速度変動成分)は、最終的に、下記の式(11)に示すようになる。
【数14】
【0049】
このように、M用ドラム駆動ギヤ32mを回転させる回転駆動力は、3個所の噛合ポイントp1k,p2k,p1mを経由して伝達されるため、それぞれで発生する伝達誤差が重畳して、M用ドラム駆動ギヤ32mには、上記式(11)に示す回転速度変動が生じる。
ここで、本実施形態1においては、挟み角θiが上記式(1’)に示した「π−φ」となるように、各ドラム駆動ギヤ32やアイドラギヤ76,77,78が組み付けられている。また、M用ドラム駆動ギヤ32mは、その偏心位相が、K用ドラム駆動ギヤ32kの偏心位相に対してθi+φ=πだけ回転した調整ポイントに組付けられている。これは、K用ドラム駆動ギヤ32kの偏心に起因して、噛合いポイントp1kで発生する伝達誤差と、M用ドラム駆動ギヤ32mの偏心に起因して、噛合いポイントp1mで発生する伝達誤差が、それぞれの偏心位相がπ(180°)異なることで相殺する組付け位相関係である。2箇所の噛合いポイントで発生する伝達誤差が相殺されて、残りのK用ドラム駆動ギヤ32kの偏心に起因して噛合いポイントp2kで発生する伝達誤差(上記式(11)の第2項の成分)は、挟み角θiが(π−φ)に設定されていることから、目標速度変動(伝達誤差)に一致する。実際に、上記式(11)の挟み角θiに、上記式(1’)に示した「π−φ」を代入すると、下記の式(12)が得られる。
【数15】
【0050】
この結果、挟み角θiを上記式(1’)に示した「π−φ」とする本実施形態1の組み付け方法によれば、M用ドラム駆動ギヤ32mの回転速度変動Vmが、上記式(8)に示した目標速度変動Vm_refに一致することが確認された。
【0051】
同様に、C用ドラム駆動ギヤ32cの回転速度変動Vcを求め、これに上記式(1’)に示した「π−φ」を代入すると、下記の式(13)が得られる。
また、Y用ドラム駆動ギヤ32yの回転速度変動Vyを求め、これに上記式(1’)に示した「π−φ」を代入すると、下記の式(14)が得られる。
いずれも場合も、実際の回転速度変動Vc,Vyが、上記式(9)及び(10)に示した目標速度変動Vc_ref,Vy_refに一致することがわかる。
【数16】
【0052】
また、本実施形態1の組み付け方法によれば、各感光体ドラム2を駆動するドラム駆動ギヤ32の偏心による回転速度変動の振幅は、それぞれ「1」で一致している。
そして、互いに隣接する2つのドラム駆動ギヤ32の回転速度変動の位相差は、ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因した各感光体ドラム2の回転速度変動の振幅及び位相のズレによって発生する色ズレをキャンセルできる最適位相差角φとなっていることも、上記式(12)〜(14)により確認できる。
したがって、中間転写ベルト10の同一地点が各感光体ドラム2の転写位置を通過する時に、ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因したすべての感光体ドラム2の回転速度変動の振幅及び位相が一致する。したがって、ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因した色ズレが解消される。
【0053】
〔実施例〕
次に、上述した実施形態1に基づく本発明の実施例について説明する。
本実施例において、各感光体ドラムの直径Dは30mmであり、各感光体ドラムの周長Ldは94.25mmであり、感光体ドラムの軸間距離Lsは100mmである。各感光体ドラム2は、モータギヤ34から入力される回転駆動力をK用ドラム駆動ギヤ32kによって1段減速して駆動される。
【0054】
本実施例における最適位相差角φは、上記式(6)より、φ=0.38rad(22°)となる。よって、挟み角θiは、上記式(1’)より、θi=2.76rad(158°)となる。この結果に基づき、まず、挟み角θi=158°となるドラム駆動ギヤ32とアイドラギヤ76,77,78の歯数を選定する。このとき、図1に示した感光体ドラム上の露光ポイントSPから中間転写ベルト10への転写ポイントTPまでの回転角は147°であり、アイドラギヤ76,77,78やモータギヤ34がこの回転角147°で整数回転することも条件に加えて選定する。その結果、本実施例では、4つのドラム駆動ギヤ32、3つのアイドラギヤ76,77,78、1つのモータギヤ34として、下記の表1に示すギヤ形状を選定した。
【表1】
【0055】
このようなギヤ列を採用することで、挟み角θiは159°となる。駆動モータ33のモータギヤ34は、すべての挟み角が同じθiとなるように配置する。
また、本実施例によれば、感光体ドラム2が露光ポイントSPから転写ポイントTPまでの回転角147°を回転する間にモータギヤ34は8.2回転し、アイドラギヤ76,77,78は3.1回転するので、概ね整数回転するように設定できている。なお、整数回転からのズレ量の許容範囲は、モータギヤ34やアイドラギヤ76,77,78の偏心に起因した色ズレの許容範囲によって決まってくる。
また、各ドラム駆動ギヤ32の位相差調整角度θak,θam,θac,θayは、上記式(2’)に従い、K用ドラム駆動ギヤ32kを0°とし、M用ドラム駆動ギヤ32mを180°とし、C用ドラム駆動ギヤ32cを44°とし、Y用ドラム駆動ギヤ32yを224°とした。
【0056】
次に、本実施例の具体的な効果について確認する。
図4は、色ズレを生じさせない各感光体ドラム2の理想の回転速度変動の相対関係を示すグラフである。
このグラフにおいて、横軸はK用感光体ドラム2kの回転角度(ラジアン)であり、縦軸は感光体ドラムの回転速度(最大回転速度(振幅)を1とする。)である。なお、横軸は時刻に変換することができる。各感光体ドラム2の理想の回転速度変動は、K用感光体ドラム2kを基準に、他の感光体ドラム2m,2c,2yについて、振幅を互いに同じとし、かつ、中間転写ベルト10の移動方向上流側に隣接する感光体の回転速度変動に対して最適位相差角φ(22°)分だけ位相が進んだ波形となっている。例えば、K用感光体ドラム2kの回転角度がTp1であるときにM用感光体ドラム2mから中間転写ベルト10へ転写されたMトナー画像は、その後、中間転写ベルト10の移動により感光体ドラムの軸間距離Ls(100mm)だけ移動して、K用感光体ドラム2kの転写位置へ到達し、そこにK用感光体ドラム2kからKトナー画像が重ねて転写される。この時、K用感光体ドラムの回転角度は、ドラム周長が94.25mmであるため、Tp1から1回転と22°回転した回転角度であるTp2となる。したがって、互いに重なり合うMトナー画像とKトナー画像は、いずれも感光体ドラムの回転速度が同じである時に中間転写ベルト10上へ転写されたものとなる。また、同様に、感光体ドラムの回転速度が同じである時に露光ポイントSPで書き込まれたものとなる。したがって、互いに重なり合うMトナー画像とKトナー画像との間で色ズレは生じない。このことは、他色のトナー画像との間でも同様の結果となる。
【0057】
次に、比較例として、上記特許文献2に記載された方法を採用して各ドラム駆動ギヤ32を組み付けた場合について説明する。
図5は、本比較例に係る感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
図6は、本比較例における各感光体ドラム2の回転速度変動の相対関係を示すグラフである。
この比較例では、各ドラム駆動ギヤ32の組み付け時の位相差調整角度は、K用ドラム駆動ギヤ32kが0°であるとき、M用ドラム駆動ギヤ32mが回転方向を正としてθam=22°であり、同様にC用ドラム駆動ギヤ32cがθac=44°であり、Y用ドラム駆動ギヤ32yがθay=66°となる。このように組み付けた場合、図4に示した理想の回転速度変動とは大きく異なる結果となり、大きな色ズレが発生してしまう。
【0058】
特に、本比較例においては、K用感光体ドラム2kの回転速度変動に対し、M用感光体ドラム2m、C用感光体ドラム2c、Y用感光体ドラム2yの回転速度変動が、順次増大してしまう。この原因は、以下のとおりである。
駆動伝達経路下流側の感光体ドラムの回転速度変動には、上述したとおり、当該感光体ドラムのドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動に対し、その駆動伝達経路上流側のドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動が重畳する。そのため、本比較例のように各ドラム駆動ギヤ32の偏心位相が近い関係で組み付けると、駆動伝達経路上流側のドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動の重畳により、回転速度変動がかえって増大してしまい、大きな色ずれが生じさせることになる。
【0059】
次に、本実施例の方法で各ドラム駆動ギヤ32を組み付けた場合について説明する。
図7は、本実施例に係る感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
図8は、本実施例における各感光体ドラム2の回転速度変動の相対関係を示すグラフである。
本実施例において、各ドラム駆動ギヤ32の組み付け時の位相差調整角度は、K用ドラム駆動ギヤ32kが0°であるとき、M用ドラム駆動ギヤ32mが回転方向を正としてθam=180°であり、同様にC用ドラム駆動ギヤ32cがθac=44°であり、Y用ドラム駆動ギヤ32yがθay=224°となる。このように組み付けた場合、図8に示すように、各感光体ドラムの回転速度変動は図4に示した理想の回転速度変動と一致し、色ズレが発生しない。
【0060】
次に、挟み角θiの重要性と設計誤差の許容範囲について説明する。
本実施形態1における色ズレ抑制効果は、挟み角θiとなるようなギヤ列の設計と、位相差調整角度θak,θam,θac,θayでのドラム駆動ギヤ32の組み付けによって得られる。上述した実施例では、理想の挟み角θi=158°に対し、設計ではギヤ形状も考慮してθi=159°とした。1°程度のズレであれば問題ないが、大きくずれると許容範囲を超える色ズレを生じさせる。
【0061】
ここで、上記実施例において挟み角θi=170°とした場合の各感光体ドラムの回転速度変動を図9に示す。この場合、各感光体ドラムの回転速度変動の振幅は同じであるが、挟み角θiが理論値よりも12°異なるため、各感光体ドラムの回転速度変動の位相の相対関係が、図4に示した理想値よりもズレていることがわかる。このズレによって色ずれが発生し、その誤差率は20%となる。ここでいう誤差率20%とは、画像上で最大100μmの転写位置ずれを生じさせ得るドラム駆動ギヤを用いた場合に、20μmの色ずれが発生することを示している。
【0062】
図10は、上記実施例において、挟み角(設計値)を振ったときの挟み角と誤差率との関係を示すグラフである。
実際には、製造工程での組付調整誤差、各ドラム駆動ギヤの製造誤差(振幅のずれ)があるため、誤差率は30%以下には抑える必要がある。したがって、図10に示すグラフより、挟み角の許容誤差eは、理論上の挟み角θiから±20°の範囲内とするのが望まれる。
【0063】
〔実施形態2〕
次に、本発明を、上記実施形態1と同様に、中間転写方式のタンデム型画像形成装置に適用した他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態2」という。)について説明する。
なお、本実施形態2における画像形成装置の基本構成は、上記実施形態1のものと同様であるので、以下の説明では上記実施形態1とは異なる部分についてのみ説明する。
【0064】
図11は、本実施形態2の感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
本実施形態2においては、駆動モータ33がM用ドラム駆動ギヤ32mとC用ドラム駆動ギヤ32cとの間に設置されている。よって、モータギヤ34は、M用ドラム駆動ギヤ32mとC用ドラム駆動ギヤ32cとに噛み合い、両ギヤ32m,32cへ回転駆動力を伝達する構成となっている。このようなギヤ配列であれば、上記実施形態1のギヤ配列と比較して、駆動伝達経路最上流側に位置するドラム駆動ギヤ32m,32c(実施形態1では32k)やモータギヤ34にかかる負荷トルクが低減され、耐久性が向上するという利点がある。
【0065】
駆動モータ33からC用ドラム駆動ギヤ32cを介してY用ドラム駆動ギヤ32yへ回転駆動力を伝達する駆動伝達経路に関しては、上記実施形態1の場合と同様、中間転写ベルト10の移動方向と駆動伝達方向とが逆の構成である。この場合、C用ドラム駆動ギヤ32cが第1の駆動ギヤとなり、Y用ドラム駆動ギヤ32yを第2の駆動ギヤとなって、上記実施形態1と同様の組み付け方法を用いることができる。したがって、最適位相差角φは、上記式(6)より、0.38rad(22°)となる。また、挟み角θiは、上記式(1’)より、2.76rad(158°)となる。この結果に基づき、C用ドラム駆動ギヤ32c、Y用ドラム駆動ギヤ32y、第1アイドラギヤ79について、挟み角θi=158°となる歯数を選定する。C用ドラム駆動ギヤ32c及びY用ドラム駆動ギヤ32yの位相差調整角度θac,θayは、上記式(2’)に示す式に従えば、C用ドラム駆動ギヤ32cは0°となり、Y用ドラム駆動ギヤ32yは180°となる。ただし、本実施形態2では、M用ドラム駆動ギヤ32mの位相差調整角度θamを図示のように0°に設定している。そのため、C用ドラム駆動ギヤ32cの位相差調整角度θacは、22°とする。また、これに対応して、Y用ドラム駆動ギヤ32yの位相差調整角度θayは、180°に22°を加算して202°とする。
【0066】
一方、駆動モータ33からM用ドラム駆動ギヤ32mを介してK用ドラム駆動ギヤ32kへ回転駆動力を伝達する駆動伝達経路に関しては、上記実施形態1の場合とは逆に、中間転写ベルト10の移動方向と駆動伝達方向とが一致する構成である。この場合、中間転写ベルト10の移動方向下流側に位置するドラム駆動ギヤ32kを上流側のドラム駆動ギヤ32mに対して回転方向へずれた位相差を最適位相差角φとすると、最適位相差角φは下記の式(15)で表現される。
【数17】
【0067】
よって、M用ドラム駆動ギヤ32m及びK用ドラム駆動ギヤ32kの駆動伝達経路における最適位相差角φは、上記式(15)より、φ=−0.38rad(−22°)となる。また、挟み角θiは、上記式(1’)より、3.53rad(202°)となる。この結果に基づき、M用ドラム駆動ギヤ32m、K用ドラム駆動ギヤ32k、第2アイドラギヤ80について、挟み角θi=202°となる歯数を選定する。このとき、駆動モータ33を挟んで中間転写ベルト10の移動方向上流側と下流側の駆動伝達経路間で、ドラム駆動ギヤ32とアイドラギヤ79,80の歯数を共通化したい場合には、図11に示すように、駆動モータ33のモータギヤ34との噛み合い箇所をM用ドラム駆動ギヤ32cの回転中心とC用ドラム駆動ギヤ32mの回転中心とを結んだ仮想線上に設定するとよい。M用ドラム駆動ギヤ32m及びK用ドラム駆動ギヤ32kの位相差調整角度θam,θakは、上記式(2’)に示す式に従い、M用ドラム駆動ギヤ32mは0°とし、K用ドラム駆動ギヤ32kは180°とする。
【0068】
本実施形態2においては、以上のようにドラム駆動ギヤ32を組み付けることで、上記実施形態1と同様にドラム駆動ギヤ32の偏心に起因した色ズレのない画像が得られる。
【0069】
〔実施形態3〕
次に、本発明を、上記実施形態1及び2と同様に、中間転写方式のタンデム型画像形成装置に適用した更に他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態3」という。)について説明する。
なお、本実施形態3における画像形成装置の基本構成は、上記実施形態1のものと同様であるので、以下の説明では上記実施形態1とは異なる部分についてのみ説明する。
【0070】
図12は、本実施形態3の感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
本実施形態3においては、駆動モータ33がM用ドラム駆動ギヤ32mとK用ドラム駆動ギヤ32kとの間に設置されており、モータギヤ34は、M用ドラム駆動ギヤ32mとK用ドラム駆動ギヤ32kとに噛み合っている第1アイドラギヤ76に噛み合った構成となっている。この構成により、駆動モータ33からの回転駆動力は、第1アイドラギヤ76によって分岐され、両ギヤ32m,32kへ伝達される。
【0071】
駆動モータ33から第1アイドラギヤ76を介して、M用ドラム駆動ギヤ32m、C用ドラム駆動ギヤ32c、Y用ドラム駆動ギヤ32yへと回転駆動力が伝達される駆動伝達経路に関しては、上記実施形態1の場合と同様、中間転写ベルト10の移動方向と駆動伝達方向とが逆の構成である。この場合、第1アイドラギヤ76が駆動入力ギヤとなり、M用ドラム駆動ギヤ32mが第1の駆動ギヤとなり、C用ドラム駆動ギヤ32cが第2の駆動ギヤとなり、Y用ドラム駆動ギヤ32yを第3の駆動ギヤとなって、上記実施形態1と同様の組み付け方法を用いることができる。したがって、最適位相差角φは、上記式(6)より、0.38rad(22°)となる。また、挟み角θiは、上記式(1’)より、2.76rad(158°)となる。この結果に基づき、M用ドラム駆動ギヤ32m、C用ドラム駆動ギヤ32c、Y用ドラム駆動ギヤ32y、アイドラギヤ76,77,78について、挟み角θi=158°となる歯数を選定する。M用ドラム駆動ギヤ32m、C用ドラム駆動ギヤ32c及びY用ドラム駆動ギヤ32yの位相差調整角度θam,θac,θayは、上記式(2’)に示す式に従えば、M用ドラム駆動ギヤ32mは0°となり、C用ドラム駆動ギヤ32cは180°となり、Y用ドラム駆動ギヤ32yは44°となる。ただし、本実施形態3では、K用ドラム駆動ギヤ32kの位相差調整角度θakを図示のように0°に設定している。そのため、M用ドラム駆動ギヤ32mの位相差調整角度θamは、22°とする。また、これに対応して、C用ドラム駆動ギヤ32cの位相差調整角度θacは、180°に22°を加算して202°とし、Y用ドラム駆動ギヤ32yの位相差調整角度θayは、44°に22°を加算して66°とする。
【0072】
本実施形態3においては、以上のようにドラム駆動ギヤ32を組み付けることで、上記実施形態1や上記実施形態2と同様にドラム駆動ギヤ32の偏心に起因した色ズレのない画像が得られる。
【0073】
以上、上述した実施形態1〜3に係る画像形成装置は、被転写体である中間転写ベルト10の移動方向に沿って並んで配置される4個の像担持体である感光体ドラム2のうちのN個(実施形態1ではN=4、実施形態2ではN=2、実施形態3ではN=3)の感光体ドラム2へ伝達される回転駆動力を発生させる単一の駆動モータ33と、単一の駆動モータ33で発生した回転駆動力をN個の感光体ドラム2へそれぞれ伝達するN個の駆動ギヤと、単一の駆動モータ33の駆動力により回転駆動するとともに、N個の駆動ギヤのうち、N個の感光体ドラム2のうちの一端に配置される第1の感光体ドラム(実施形態1ではK用感光体ドラム2k、実施形態2ではM用感光体ドラム2m及びC用感光体ドラム2c、実施形態3ではM用感光体ドラム2m)へ回転駆動力を伝達する第1の駆動ギヤ(実施形態1ではK用ドラム駆動ギヤ32k、実施形態2ではM用ドラム駆動ギヤ32m及びC用ドラム駆動ギヤ32c、実施形態3ではM用ドラム駆動ギヤ32m)と噛み合って、単一の駆動モータ33の駆動力を当該第1の駆動ギヤへ伝達する駆動入力ギヤ(実施形態1及び2ではモータギヤ34、実施形態3では第1アイドラギヤ76)と、N個の駆動ギヤの各ギヤ間に配置され、駆動伝達経路上流側に位置する駆動ギヤの回転駆動力を駆動伝達経路下流側に位置する駆動ギヤへ伝達する(N−1)個のアイドラギヤ(実施形態1ではアイドラギヤ76,77,78、実施形態2では第1アイドラギヤ79及び第2アイドラギヤ80、実施形態3ではアイドラギヤ77,78)とを備え、単一の駆動モータ33の回転駆動力を第1の駆動ギヤから順次、(N−1)個のアイドラギヤを介して第Nの駆動ギヤまで伝達して、N個の感光体ドラム2を回転駆動させる感光体ドラム駆動装置を有しており、この感光体ドラム駆動装置によって回転駆動する4個の感光体ドラム2の表面上にそれぞれ可視像を形成し、各感光体ドラム2の表面に形成された可視像を中間転写ベルト10上に互いが重なり合うように転写して画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置では、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が互いに略同一のギヤを用い、上記駆動入力ギヤと上記第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所(実施形態1ではp1k、実施形態2ではp2m及びp1c、実施形態3ではp1m)と上記(N−1)個のアイドラギヤのうちの第1のアイドラギヤ(実施形態1ではアイドラギヤ76、実施形態2では第1アイドラギヤ79及び第2アイドラギヤ80、実施形態3ではアイドラギヤ77)と第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角(実施形態1ではθik、実施形態2ではθim及びθic、実施形態3ではθim)、及び、第(n−1)(nは2以上(N−1)以下の自然数である。)のアイドラギヤと該第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所と第nのアイドラギヤと第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角(実施形態1ではθim、θic及びθiy、実施形態2ではθik及びθiy、実施形態3ではθic及びθiy)が、いずれも、許容誤差をeとした場合に、上記式(1)に示すθiとなるように、上記駆動入力ギヤ、上記N個の駆動ギヤ及び上記(N−1)個のアイドラギヤを配置している。そして、第nの駆動ギヤの最大偏心地点(マーク4が形成された地点)の回転位置が、上記第1の駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置に対し、nが奇数である第nの駆動ギヤについては上記式(2)に示す角度θanだけ、nが偶数である第nの駆動ギヤについては上記式(3)に示す角度θanだけ、該第nの駆動ギヤの回転方向にずれるように、上記N個の駆動ギヤが組み付けられている。これにより、第1から第(N−1)までの駆動ギヤが、それぞれ対応する感光体ドラム2への駆動伝達だけでなく、その駆動伝達経路下流側に隣接する感光体ドラム2への駆動伝達を兼ねている駆動伝達兼用ギヤとして用いられる。そのため、低コストで省スペースな構成の実現が容易である。しかも、本実施形態1〜3によれば、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤを用いるので、これらの駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動を抑制するために、製造した駆動ギヤの偏心量を計測したり、既定の偏心量比率の組合せを実現できる駆動ギヤを選定したりする作業が不要である。そして、本実施形態1〜3によれば、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤを用いても、上述したように、各感光体ドラム2に対応する駆動ギヤの偏心に起因して当該感光体ドラムにそれぞれ生じる回転速度変動だけでなく、駆動伝達経路上流側に配置されている駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動も抑制することができる。
特に、本実施形態1〜3においては、上記N個の駆動ギヤとして、同一の成形型を用いて成形したギヤを用いている。これにより、偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤの製造が容易となる。
また、本実施形態1〜3においては、回転駆動している上記N個の感光体ドラム2の表面に対して所定の潜像書込位置である露光ポイントSPでそれぞれ潜像を書き込むとともに各潜像を現像することで可視像を形成する可視像形成手段としての帯電装置、現像装置、露光装置1などを有しており、上記N個の感光体ドラム2が、上記露光ポイントSPから中間転写ベルト10と対向する転写位置である転写ポイントTPまで回転する間に、上記駆動入力ギヤが概ね整数回、回転するように構成されている。これにより、駆動入力ギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動を抑制することができる。
また、本実施形態1〜3においては、上記N個の感光体ドラム2が、上記露光ポイントSPから中間転写ベルト10と対向する転写位置である転写ポイントTPまで回転する間に、上記(N−1)個のアイドラギヤが概ね整数回、回転するように構成されている。これにより、上記(N−1)個のアイドラギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動を抑制することができる。
また、本実施形態1及び2においては、上記N個の駆動ギヤが、それぞれ対応する感光体ドラム2の回転軸と同軸に配置されたドラム駆動ギヤであるので、アイドラギヤの数を最小としたギヤ配列を実現できる。
【符号の説明】
【0074】
1 露光装置
2 感光体ドラム
4 マーク
10 中間転写ベルト
20 ドラムポジションセンサ
32,332A,332B,332C,432A,432B,432C,432D ドラム駆動ギヤ
33,133,233,333,433 駆動モータ
34,134,234,334,434 モータギヤ
36 モータ駆動回路
37 コントローラ
38 制御目標値出力部
76,77,78,79,80,335,336A,336B,435,436,437,438,476,477,478 アイドラギヤ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特開2007−65632号公報
【特許文献2】特開2007−78720号公報
【特許文献3】特開2006−85144号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被転写体の移動方向に沿って並んで配置される複数の像担持体のうちのN個(Nは2以上の自然数である。)の像担持体へ伝達される回転駆動力を発生させる単一の駆動モータと、
該単一の駆動モータで発生した回転駆動力を該N個の像担持体へそれぞれ伝達するN個の駆動ギヤと、
該単一の駆動モータの駆動力により回転駆動するとともに、該N個の駆動ギヤのうち、該N個の像担持体のうちの一端に配置される第1の像担持体へ回転駆動力を伝達する第1の駆動ギヤと噛み合って、該単一の駆動モータの駆動力を該第1の駆動ギヤへ伝達する駆動入力ギヤと、
該N個の駆動ギヤの各ギヤ間に配置され、駆動伝達経路上流側に位置する駆動ギヤの回転駆動力を駆動伝達経路下流側に位置する駆動ギヤへ伝達する(N−1)個のアイドラギヤとを備え、
該単一の駆動モータの回転駆動力を該第1の駆動ギヤから順次、該(N−1)個のアイドラギヤを介して第Nの駆動ギヤまで伝達して、該N個の像担持体を回転駆動させる像担持体駆動装置を有しており、
該像担持体駆動装置によって回転駆動する上記複数の像担持体の表面上にそれぞれ可視像を形成し、各像担持体の表面に形成された可視像を上記被転写体上に互いが重なり合うように転写して画像を形成する画像形成装置の製造方法において、
上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が互いに略同一のギヤを用い、
上記駆動入力ギヤと上記第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所と上記(N−1)個のアイドラギヤのうちの第1のアイドラギヤと該第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角、及び、第(n−1)(nは2以上(N−1)以下の自然数である。)のアイドラギヤと該第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所と第nのアイドラギヤと第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角が、いずれも、許容誤差をeとした場合に、下記の式(1)に示すθiとなるように、上記駆動入力ギヤ、上記N個の駆動ギヤ及び上記(N−1)個のアイドラギヤを配置し、
第nの駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置が、上記第1の駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置に対し、nが奇数である第nの駆動ギヤについては以下の式(2)に示す角度θanだけ、nが偶数である第nの駆動ギヤについては以下の式(3)に示す角度θanだけ、該第nの駆動ギヤの回転方向にずれるように、上記N個の駆動ギヤを組み付けることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
【数1】
【数2】
【数3】
上記式(1)〜(3)の「φ」は、第1の像担持体から第Nの像担持体までの並び方向が、上記被転写体の移動方向と一致している場合には下記の式(4)に示すものであり、該被転写体の移動方向とは逆である場合には下記の式(5)に示すものである。ただし、「Ls」は上記N個の像担持体間の軸間距離であり、「Ld」は各駆動ギヤ一回転あたりの像担持体の表面移動距離であり、軸間距離Lsを被転写体が移動する間に駆動ギヤが回転する周回数(整数)がuである。
【数4】
【数5】
【請求項2】
請求項1の画像形成装置の製造方法において、
上記N個の駆動ギヤには、同一の成形型を用いて成形したギヤを用いることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
【請求項3】
被転写体の移動方向に沿って並んで配置される複数の像担持体を回転駆動させ、該複数の像担持体の表面上にそれぞれ可視像を形成し、各像担持体の表面に形成された可視像を被転写体上に互いが重なり合うように転写して画像を形成する画像形成装置において、
上記複数の像担持体のうちのN個(Nは2以上の自然数である。)の像担持体へ伝達される回転駆動力を発生させる単一の駆動モータと、該単一の駆動モータで発生した回転駆動力を該N個の像担持体へそれぞれ伝達するN個の駆動ギヤと、該単一の駆動モータの駆動力により回転駆動するとともに、該N個の駆動ギヤのうち、該N個の像担持体のうちの一端に配置される第1の像担持体へ回転駆動力を伝達する第1の駆動ギヤと噛み合って、該単一の駆動モータの駆動力を該第1の駆動ギヤへ伝達する駆動入力ギヤと、該N個の駆動ギヤの各ギヤ間に配置され、駆動伝達経路上流側に位置する駆動ギヤの回転駆動力を駆動伝達経路下流側に位置する駆動ギヤへ伝達する(N−1)個のアイドラギヤとを備え、該単一の駆動モータの回転駆動力を第1の駆動ギヤから順次、該(N−1)個のアイドラギヤを介して第Nの駆動ギヤまで伝達して、該N個の像担持体を回転駆動させる像担持体駆動装置を有しており、
上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が互いに略同一のギヤを用い、
上記駆動入力ギヤと該第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所と上記(N−1)個のアイドラギヤのうち第1のアイドラギヤと上記第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角、及び、第(n−1)(nは2以上(N−1)以下の自然数である。)のアイドラギヤと該第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所と第nのアイドラギヤと第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角が、いずれも、許容誤差をeとした場合に、下記の式(1)に示すθiとなるように構成されており、
第nの駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置が、第1の駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置に対し、nが奇数である第nの駆動ギヤについては以下の式(2)に示す角度θanだけ、nが偶数である第nの駆動ギヤについては以下の式(3)に示す角度θanだけ、該第nの駆動ギヤの回転方向にずれていることを特徴とする画像形成装置。
【数6】
【数7】
【数8】
上記式(1)〜(3)の「φ」は、第1の像担持体から第Nの像担持体までの並び方向が、上記被転写体の移動方向と一致している場合には下記の式(4)に示すものであり、該被転写体の移動方向とは逆である場合には下記の式(5)に示すものである。ただし、「Ls」は上記N個の像担持体間の軸間距離であり、「Ld」は各駆動ギヤ一回転あたりの像担持体の表面移動距離であり、軸間距離Lsを被転写体が移動する間に駆動ギヤが回転する周回数(整数)がuである。
【数9】
【数10】
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
回転駆動している上記N個の像担持体の表面に対して所定の潜像書込位置でそれぞれ潜像を書き込むとともに各潜像を現像することで可視像を形成する可視像形成手段を有し、
上記N個の像担持体が、上記所定の潜像書込位置から上記被転写体と対向する転写位置まで回転する間に、上記駆動入力ギヤが概ね整数回、回転するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3又は4の画像形成装置において、
回転駆動している上記N個の像担持体の表面に対して所定の潜像書込位置でそれぞれ潜像を書き込むとともに各潜像を現像することで可視像を形成する可視像形成手段を有し、
上記N個の像担持体が、上記所定の潜像書込位置から上記被転写体と対向する転写位置まで回転する間に、上記(N−1)個のアイドラギヤが概ね整数回、回転するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記N個の駆動ギヤは、それぞれ対応する像担持体の回転軸と同軸に配置された像担持体駆動ギヤであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
被転写体の移動方向に沿って並んで配置される複数の像担持体のうちのN個(Nは2以上の自然数である。)の像担持体へ伝達される回転駆動力を発生させる単一の駆動モータと、
該単一の駆動モータで発生した回転駆動力を該N個の像担持体へそれぞれ伝達するN個の駆動ギヤと、
該単一の駆動モータの駆動力により回転駆動するとともに、該N個の駆動ギヤのうち、該N個の像担持体のうちの一端に配置される第1の像担持体へ回転駆動力を伝達する第1の駆動ギヤと噛み合って、該単一の駆動モータの駆動力を該第1の駆動ギヤへ伝達する駆動入力ギヤと、
該N個の駆動ギヤの各ギヤ間に配置され、駆動伝達経路上流側に位置する駆動ギヤの回転駆動力を駆動伝達経路下流側に位置する駆動ギヤへ伝達する(N−1)個のアイドラギヤとを備え、
該単一の駆動モータの回転駆動力を該第1の駆動ギヤから順次、該(N−1)個のアイドラギヤを介して第Nの駆動ギヤまで伝達して、該N個の像担持体を回転駆動させる像担持体駆動装置を有しており、
該像担持体駆動装置によって回転駆動する上記複数の像担持体の表面上にそれぞれ可視像を形成し、各像担持体の表面に形成された可視像を上記被転写体上に互いが重なり合うように転写して画像を形成する画像形成装置の製造方法において、
上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が互いに略同一のギヤを用い、
上記駆動入力ギヤと上記第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所と上記(N−1)個のアイドラギヤのうちの第1のアイドラギヤと該第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角、及び、第(n−1)(nは2以上(N−1)以下の自然数である。)のアイドラギヤと該第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所と第nのアイドラギヤと第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角が、いずれも、許容誤差をeとした場合に、下記の式(1)に示すθiとなるように、上記駆動入力ギヤ、上記N個の駆動ギヤ及び上記(N−1)個のアイドラギヤを配置し、
第nの駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置が、上記第1の駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置に対し、nが奇数である第nの駆動ギヤについては以下の式(2)に示す角度θanだけ、nが偶数である第nの駆動ギヤについては以下の式(3)に示す角度θanだけ、該第nの駆動ギヤの回転方向にずれるように、上記N個の駆動ギヤを組み付けることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
【数1】
【数2】
【数3】
上記式(1)〜(3)の「φ」は、第1の像担持体から第Nの像担持体までの並び方向が、上記被転写体の移動方向と一致している場合には下記の式(4)に示すものであり、該被転写体の移動方向とは逆である場合には下記の式(5)に示すものである。ただし、「Ls」は上記N個の像担持体間の軸間距離であり、「Ld」は各駆動ギヤ一回転あたりの像担持体の表面移動距離であり、軸間距離Lsを被転写体が移動する間に駆動ギヤが回転する周回数(整数)がuである。
【数4】
【数5】
【請求項2】
請求項1の画像形成装置の製造方法において、
上記N個の駆動ギヤには、同一の成形型を用いて成形したギヤを用いることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
【請求項3】
被転写体の移動方向に沿って並んで配置される複数の像担持体を回転駆動させ、該複数の像担持体の表面上にそれぞれ可視像を形成し、各像担持体の表面に形成された可視像を被転写体上に互いが重なり合うように転写して画像を形成する画像形成装置において、
上記複数の像担持体のうちのN個(Nは2以上の自然数である。)の像担持体へ伝達される回転駆動力を発生させる単一の駆動モータと、該単一の駆動モータで発生した回転駆動力を該N個の像担持体へそれぞれ伝達するN個の駆動ギヤと、該単一の駆動モータの駆動力により回転駆動するとともに、該N個の駆動ギヤのうち、該N個の像担持体のうちの一端に配置される第1の像担持体へ回転駆動力を伝達する第1の駆動ギヤと噛み合って、該単一の駆動モータの駆動力を該第1の駆動ギヤへ伝達する駆動入力ギヤと、該N個の駆動ギヤの各ギヤ間に配置され、駆動伝達経路上流側に位置する駆動ギヤの回転駆動力を駆動伝達経路下流側に位置する駆動ギヤへ伝達する(N−1)個のアイドラギヤとを備え、該単一の駆動モータの回転駆動力を第1の駆動ギヤから順次、該(N−1)個のアイドラギヤを介して第Nの駆動ギヤまで伝達して、該N個の像担持体を回転駆動させる像担持体駆動装置を有しており、
上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が互いに略同一のギヤを用い、
上記駆動入力ギヤと該第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所と上記(N−1)個のアイドラギヤのうち第1のアイドラギヤと上記第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角、及び、第(n−1)(nは2以上(N−1)以下の自然数である。)のアイドラギヤと該第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所と第nのアイドラギヤと第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角が、いずれも、許容誤差をeとした場合に、下記の式(1)に示すθiとなるように構成されており、
第nの駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置が、第1の駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置に対し、nが奇数である第nの駆動ギヤについては以下の式(2)に示す角度θanだけ、nが偶数である第nの駆動ギヤについては以下の式(3)に示す角度θanだけ、該第nの駆動ギヤの回転方向にずれていることを特徴とする画像形成装置。
【数6】
【数7】
【数8】
上記式(1)〜(3)の「φ」は、第1の像担持体から第Nの像担持体までの並び方向が、上記被転写体の移動方向と一致している場合には下記の式(4)に示すものであり、該被転写体の移動方向とは逆である場合には下記の式(5)に示すものである。ただし、「Ls」は上記N個の像担持体間の軸間距離であり、「Ld」は各駆動ギヤ一回転あたりの像担持体の表面移動距離であり、軸間距離Lsを被転写体が移動する間に駆動ギヤが回転する周回数(整数)がuである。
【数9】
【数10】
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
回転駆動している上記N個の像担持体の表面に対して所定の潜像書込位置でそれぞれ潜像を書き込むとともに各潜像を現像することで可視像を形成する可視像形成手段を有し、
上記N個の像担持体が、上記所定の潜像書込位置から上記被転写体と対向する転写位置まで回転する間に、上記駆動入力ギヤが概ね整数回、回転するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3又は4の画像形成装置において、
回転駆動している上記N個の像担持体の表面に対して所定の潜像書込位置でそれぞれ潜像を書き込むとともに各潜像を現像することで可視像を形成する可視像形成手段を有し、
上記N個の像担持体が、上記所定の潜像書込位置から上記被転写体と対向する転写位置まで回転する間に、上記(N−1)個のアイドラギヤが概ね整数回、回転するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記N個の駆動ギヤは、それぞれ対応する像担持体の回転軸と同軸に配置された像担持体駆動ギヤであることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−237655(P2011−237655A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109903(P2010−109903)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]