説明

画像形成装置・プロセスカートリッジ

【課題】クリーニング工程下流における像担持体上の無機微粒子が増えてもそれによる像担持体の帯電機能の低下を抑制でき、良好な画像を得ることができるようにする。
【解決手段】画像形成装置は、感光体902の表面を一様に帯電する帯電チャージャ903と、感光体902の表面に潤滑剤を塗布する塗布機構6bと、その上流に配置されたクリーニングユニット922を有している。静電潜像を現像するトナーとして、無機微粒子を添加した体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲に、形状係数SF−1が100〜180の範囲に、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置、該画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年高画質(高精細化・高解像化)への要望とともにトナーは小粒径化の方向にある。こうした高精細、高解像度の画像を得るために、特許文献1、特許文献2、特許文献3では、平均粒径が小さく、かつ5μm以下のトナー粒子の含有量及びその分布を規定した現像剤が提案されている。ここでは、5μm以下のトナー粒子は高精細、高解像度の画像を形成するための必須成分であり、この粒径のトナーが潜像の現像時に円滑に供給される場合、潜像に忠実な、即ち、潜像からはみ出すことのない再現性に優れた画像が得られるとしている。
本出願人は、さらなる高精細化、高解像度化を図るべく、特許文献4にて、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲に、形状係数SF−1が100〜180の範囲に、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるトナーを用いることを提案した。
【0003】
しかしながら、トナーが小粒径化することで、転写後の感光体上のトナーを清掃するクリーニング装置の機能向上が必要となっている。
特許文献5、特許文献6、特許文献7や特許文献8に開示されているように、感光体表面に潤滑剤を塗布することや、特許文献9に開示されているように、潤滑剤をトナーに添加することで感光体表面からのトナー除去が容易になる発明が提案されている。
【0004】
また、塗布手段としては特許文献10に開示されているように、感光体からトナーを除去するクリーニングブラシが潤滑剤塗布手段を兼ねる構成が提案されている。
潤滑剤を塗付することでクリーニング装置のトナー阻止能力が向上し、クリーニング下流側へのトナー漏れを防止できる。
また、トナーには通常、平均一次粒径(以下、「平均粒径」という)50〜500nmの無機微粒子が添加されているが、添加することでトナーの表面に適切な特性の微粒子が存在することで、トナー粒子と対象体との間に適度な空隙が形成される。微粒子は、トナー粒子、感光体、帯電付与部材との接触面積が非常に小さく、均等に接触するので付着力低減効果が大きく、現像・転写効率の向上に有効である。
【0005】
帯電方式としては、感光体に接触する帯電ローラ方式(特許文献11等)や帯電ブラシ方式(特許文献12、13等)がある。
帯電ローラの清掃方法としては、特許文献14、特許文献15、特許文献16等に記載の構成がある。
【0006】
【特許文献1】特開平1−112253号公報
【特許文献2】特開平2−284158号公報
【特許文献3】特開平7−295283号公報
【特許文献4】特開2005−70277号公報
【特許文献5】特公平01−052745号公報
【特許文献6】特開2004−302422号公報
【特許文献7】特許第3330791号公報
【特許文献8】特開平03−170941号公報
【特許文献9】特開昭59−046654号公報
【特許文献10】特開2004−226685号公報
【特許文献11】特開昭63−149668号公報
【特許文献12】特開昭57−46265号公報
【特許文献13】特開平05−045724号公報
【特許文献14】特開平07−140762号公報
【特許文献15】特開平07−140868号公報
【特許文献16】特開平02−301777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような高精細化、高解像度化を実現できるトナーを用いる画像形成装置では、無機微粒子が感光体表面の潤滑剤に付着しクリーニング装置下流に漏れ出てしまうという問題がある。
クリーニング装置を通過する感光体上の無機微粒子が微量であっても、徐々に無機微粒子が帯電ローラ表面や帯電ブラシ表面に堆積し、経時で帯電性能の低下を招いてしまう。数万回程度の印字動作で帯電装置や帯電装置を含むプロセスカートリッジを交換する低速・普及層のプリンタやコピー機では問題ならないが、交換サイクルが数十万回印字動作以上の中・高速機のプリンタやコピー機においては清掃不良により経時での帯電能力低下を招いてしまう。
【0008】
本発明は、クリーニング工程下流における像担持体上の無機微粒子が増えてもそれによる像担持体の帯電機能の低下を抑制でき、良好な画像を得ることができる画像形成装置、該画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明においては、転写後の感光体上のトナーを清掃するクリーニング装置後における感光体上の無機微粒子が増えても、その微粒子が直接帯電装置に影響することは無く、帯電性能低下を招くことがないため、良好な画像を得ることができる。
ただし、帯電チャージャによる放電で無機微粒子の感光体上の付着力が弱まり、感光体の回転による遠心力や機内気流により、感光体から離脱する場合がある。この離脱した無機微粒子が帯電装置内の帯電ワイヤに付着すると、初期的には問題ないが、帯電ワイヤ上での付着量が増加するにつれて帯電ムラを引き起こす。特にこの傾向は材料を引き抜くことによって線材状に成形して形成するタングステンワイヤに現れる。
これはワイヤ表面の平滑性によるもので、加工による表面のミクロン単位の微少な凹凸(加工傷、マイクロクラック)に浮遊した無機微粒子が付着しやすい。一方、金または白金をメッキまたはスパッタリングした帯電ワイヤ(通常は素線としてタンブステンを使う)の表面は平滑性が向上し、加工傷、マイクロクラックなどがない。このように平滑な表面には浮遊した無機微粒子が付着しにくいため帯電ワイヤ上での付着量増加が少なく、経時においても帯電ムラが発生しにくい。
【0010】
また、その金または白金の膜厚であるが、膜厚が小さいと耐摩耗性が劣り、逆に膜厚が大きすぎるとコスト高になる割りには上記の効果は一定である。このようのことから、金または白金の膜厚を0.1〜1.5μmにする事が望ましい。
また、帯電ワイヤの直径を小さくすることで放電電圧を低くすることが可能となる。初期の放電電圧が低いため、経時で帯電ワイヤ付着物が増加し放電電圧が上昇しても、部分的・突発的なアーク放電(リーク)が発生しにくい。ただし、ワイヤ径が小さいことで引っ張り強度が低下し、ワイヤ組み付け時や交換時に容易に切れてしまう不具合もある。一方、帯電ワイヤ径を太くすれば機械的強度が増し、このような不具合は防げるが、放電電圧が高くなり経時で帯電ワイヤ付着物が増加し放電電圧が上昇すると部分的・突発的なアーク放電(リーク)、帯電ムラが発生しやすくなる。そこで経時での耐アーク放電・帯電ムラと機械的強度の両立は、帯電ワイヤの直径を30〜120μmとすることで可能になった。
【0011】
前記のように帯電ワイヤの表面に金または白金をメッキまたはスパッタリングする事で、浮遊した無機微粒子が付着しにくいため帯電ワイヤ上での付着量増加が少なく、経時においても帯電ムラが発生しにくいが、より一層ワイヤ表面をきれいに保つため、ワイヤ表面の付着物を機械的に除去するワイヤクリーナ搭載、効果的なクリーナ材質が提案されている(特開平7−175299号公報、特開平8−305135号公報参照)。
しかし、帯電ワイヤの表面に金または白金をメッキまたはスパッタリングした場合、通常のタングステンワイヤより表面の硬度が低いため、そのクリーニング行為によりミクロン単位の微少な凹凸(傷)を発生させてしまう場合がある。平均粒径が50〜500nmの無機微粒子は、そのミクロン単位の微少な凹凸に付着、クリーニング動作で埋め込まれ、そこを起点に帯電ムラ、アーク放電が発生しやすくなる。本発明では、帯電ワイヤの表面を清掃するクリーニングパッドとして、研磨剤を含まない弾性部材(たとえばフェルト、ネオプレーン等)を用いることでクリーニング行為によりミクロン単位の微少な凹凸(傷)を作ることなく、より一層ワイヤ表面をきれいに保つため、経時においても帯電ムラ・アーク放電(リーク)が発生しにくい。
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、帯電装置により一様に帯電された像担持体に静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーにより可視像化し、且つ、前記像担持体に潤滑剤を塗布する機能を有している画像形成装置において、前記トナーとして、無機微粒子を添加した体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲に、形状係数SF−1が100〜180の範囲に、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるものを用い、前記帯電装置は前記像担持体に対して非接触の構成を有していることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の画像形成装置において、前記帯電装置が、帯電ワイヤを有する帯電チャージャであることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の画像形成装置において、前記帯電ワイヤの表面に、金または白金をメッキまたはスパッタリングしたことを特徴とする。
請求項4記載の発明では、請求項3記載の画像形成装置において、金または白金の膜厚を0.1〜1.5μmとすることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明では、請求項3記載の画像形成装置において、前記帯電ワイヤの直径を30〜120μmとすることを特徴とする。
請求項6記載の発明では、請求項3記載の画像形成装置において、前記帯電ワイヤの表面を清掃するクリーニングパッドを有し、該クリーニングパッドとして、研磨剤を含まない弾性部材を用いることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明では、像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電装置と、無機微粒子を添加した体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲に、形状係数SF−1が100〜180の範囲に、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるトナーを収容した現像装置と、前記像担持体に潤滑剤を塗布する塗布機構と、を一体に有し、画像形成装置に対して着脱自在なプロセスカートリッジであって、前記帯電装置は前記像担持体に対して非接触の構成を有していることを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明では、請求項7記載のプロセスカートリッジにおいて、前記帯電装置が、帯電ワイヤを有する帯電チャージャであることを特徴とする。
請求項9記載の発明では、請求項8記載のプロセスカートリッジにおいて、前記帯電ワイヤの表面に、金または白金をメッキまたはスパッタリングしたことを特徴とする。
請求項10記載の発明では、請求項9記載のプロセスカートリッジにおいて、金または白金の膜厚を0.1〜1.5μmとすることを特徴とする。
【0017】
請求項11記載の発明では、請求項9記載のプロセスカートリッジにおいて、前記帯電ワイヤの直径を30〜120μmとすることを特徴とする。
請求項12記載の発明では、請求項9記載のプロセスカートリッジにおいて、前記帯電ワイヤの表面を清掃するクリーニングパッドを有し、該クリーニングパッドとして、研磨剤を含まない弾性部材を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、クリーニング装置後における感光体上の無機微粒子による帯電機能低下がなく、良好な画像を得ることができる。
また、帯電ワイヤ上での付着量増加が少なく、経時においても帯電ムラ・アーク放電が発生などの帯電機能低下がなく、良好な画像を得ることができる。
また、経時での耐摩耗性とコストの両立を図ることができる。
また、クリーニング行為によりミクロン単位の微少な凹凸(傷)を表面に作ることなく、より一層ワイヤ表面をきれいに保つため、経時においても帯電ムラ・アーク放電(リーク)が発生しにくく、経時においても帯電ムラ・アーク放電が発生などの帯電機能低下がなく、良好な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図1乃至図7を参照して説明する。
本発明が適用される画像形成装置の一例として、複写機の概略図を図1に示す。この複写機は原稿読み取りのためのスキャナー部90と、スキャナー部90よりデジタル信号として出力される画像信号を電気的に処理する画像処理部91と、画像処理部91からの画像記録情報に基づいて画像を転写紙上に形成するプリンタ部92とを有する。
スキャナー部90は原稿積載台93上の原稿を走査照射するランプ94(たとえば蛍光灯)を有する。ランプ94の照射により得られる原稿からの反射光は、ミラー95、96、97により反射され、結像レンズ98に入射される。この光は、結像レンズ98を通り画像光として受光器99(たとえばCCD)に入射する。CCD99は、入射した光をデジタル信号に変換して出力し、その出力は画像処理部91において必要な処理をほどこして、画像の記録形成用の信号に変換される。
【0020】
画像処理部91から出力される信号は、プリンタ部92に入力されレーザー光出射装置900に送られる。プリンタ部92には、記録装置901が設置されている。記録装置901は、レーザー光出射装置900のほかに感光体902(この例では感光体ドラム)を有する。感光体ドラム902の近傍には、感光体に近接し、感光体を均一に帯電させる帯電チャージャ903、レーザー光出射装置900による露光位置、現像装置904、転写チャージャ905が付設されている。
帯電した感光体902の表面には、レーザー光出射装置900による露光により、静電潜像が形成される。この潜像は、現像装置904により現像され、顕像、すなわちトナー像になる。給紙コロ906A、906Bにより給紙部907、たとえば2つの給紙カセットの何れかから供給される転写紙は、レジストローラ対908により先端をそろえられ、タイミングをあわせて顕像を形成された感光体902の転写部位に送られ、転写チャージャ905の作用によって、顕像を転写される。顕像が転写された転写紙は定着装置910により顕像を定着され、排紙ローラ対911により排紙される。
【0021】
画像処理部91にあるシステムコントローラ917は、スキャナー部90、画像処理部91、及びプリンタ部92の各モジュールを制御する。
スキャナー部90は、システムコントローラ917からのスタート信号により指定された変倍率に合った走査速度で原稿を走査し、光学系を通過してきた原稿像をCCD99で読み取り、画像データとして画像処理部91へ送る。
画像処理部91は、スキャナー部90のCCD99から送出された画像データに画像処理を施し、プリンタ部92へ送出する。またシステムコントローラ917からの指定により変倍処理、マスキング、トリミング、ミラーリング等の編集処理を行う。
画像処理部91にあるバッファメモリ918は、システムコントローラ917により制御され、画像データを、プリンタ部92の感光体902に照射するレーザー光出射装置900に送出する。
プリンタ部92は、画像処理部91からの画像データに従ってレーザー光出射装置900を変調し、電子写真プロセスにより転写紙上に転写画像を形成する。
【0022】
感光体ドラム周囲には、高電圧が印加される金または白金をメッキまたはスパッタリングした(膜厚:0.1〜1.5μm)タングステンワイヤ等の金属細線からなるチャージワイヤを感光体ドラムの主走査方向に張架し、露光処理に先行して感光体ドラムの表面をコロトロン方式で帯電する帯電装置としての帯電チャージャ903が設置されている。
本実施形態では帯電装置はコロトロンによるコロナ放電方式であるが、ワイヤと感光体との間にグリッドを設け、このグリッド電圧の制御により帯電電位をコントロールするスコロトロンによるコロナ放電方式の帯電チャージャでもよい。
【0023】
転写チャージャ905の下流位置には、クリーニングブレード920およびブラシローラ921を含んで構成されたクリーニングユニット922が設置されている。
クリーニングユニット922の下流位置には感光体に潤滑剤を塗布する塗布機構6bが設けられている。塗布機構6bは、潤滑剤成型体67と、潤滑剤成型体67に接触して潤滑剤を削り取り感光体902の表面に供給する塗布ローラ66を有している。潤滑剤成型体67は加圧スプリング68により塗布ローラ66に所定の圧力で押圧されている。
潤滑剤成型体67は直方体状に形成され、潤滑剤成型体ケース69に保持されている。潤滑剤成型体67の押圧は錘による自重方式でも良い。
【0024】
塗付機構6bに関してはプロセスカートリッジ(後述)の例に示したように、塗布機構をクリーニングユニット内に設け、トナー回収を目的として設置されているブラシローラを塗布ローラ兼用としても良い。
潤滑剤成型体67としては、例えば、オレイン酸鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸銅、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸鉄、ステアリン酸銅、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、リノレイン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類が挙げられる
塗布ローラ66は、ナイロン、アクリル等の樹脂にカーボンブラック等の抵抗制御材料を添加して体積抵抗率1×10〜1×10Ω・cmに調整した材料を用いて形成されたブラシが挙げられる。
【0025】
図2は潤滑剤塗布機構をクリーニングユニット内に有することを特徴とするプロセスカートリッジの概略図を示す。図2に示すように、プロセスカートリッジ10aは、プロセスカートリッジ枠体(以下、単に「枠体」ともいう)2内に潜像担持体である感光体3と各プロセス手段として帯電手段である帯電チャージャモジュール4、現像手段である現像モジュール5、クリーニング手段であるクリーニングモジュール6を備えることができる。なお、プロセスカートリッジ10aそのものも交換可能であり、プロセスカートリッジ10aを画像形成装置100本体から取り外した状態で、感光体3、帯電モジュール(帯電チャージャ)4、現像モジュール(現像装置)5、クリーニングモジュール(クリーニングユニット)6は、モジュール単位で新しいものと交換可能である。また、各モジュールはそれ自体でサービスマン、ユーザーによる取り扱いが可能である。
ただし、本発明に関しては各モジュールに分割されている必要はない。すなわち、枠体2に対して直接、帯電手段、現像手段、クリーニング手段、感光体が取り付けられていても良い。
【0026】
塗布機構6bは、潤滑剤成型体67と、潤滑剤成型体67に接触して潤滑剤を削り取り感光体3の表面に供給する塗布ローラ66と、潤滑剤成型体67を塗布ローラ66に所定の圧力で押圧する加圧スプリング68と、潤滑剤成型体67をガイドする潤滑剤成型体ケース69で構成されて、クリーニングモジュール6内に設置されている。
ここでは潤滑剤の塗布機構6bは、クリーニングモジュール6内に設けられているが、クリーニング機構6aと別体にして、クリーニング機構6aとは無関係に、独立して個別に交換可能にモジュール化してもよい。
【0027】
図3は、プロセスカートリッジ10aを複数備えた画像形成装置の構成を示す概略図である。ここでは、電子写真方式の画像形成装置100に適用した一実施形態について説明する。
ここではフルカラー複写機を例に挙げて説明する。画像形成装置100は画像形成部300、給紙部200、原稿読み取り部400、原稿搬送部500からなる。画像形成部300は、画像形成ユニット10、露光装置4、転写装置5、定着装置7からなる。
画像形成ユニット10は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の3色のトナー像を形成する3つのプロセスカートリッジ、ブラック(K)のトナー像を形成するプロセスカートリッジを並列して備える。
各プロセスカートリッジ10aの中央には、それぞれ感光体3Y、3C、3M、3Kが備えられている。
【0028】
露光装置4は、原稿読み取り部400で読み取ったデータ、又は図示しないPC等外部より送られた画像信号を変換し、ポリゴンモータでレーザー光をスキャンさせ、ミラーを通して読み取られた画像信号を基に感光体3上に静電潜像を形成する。
転写装置12は、各感光体3上に形成されたトナー像を順次重ね合わせて保持する無端ベルト状の中間転写ベルト50を含んで構成されており、中間転写ベルト50上に形成されたカラートナー像を記録紙に転写する構成となっている。
中間転写ベルト50は、ベース層を、例えばフッ素樹脂や帆布などの伸びにくい材料で作り、その上に弾性層を設けてなる。弾性層は、例えばフッ素ゴムやアクリロニトリル−ブタジェン共重合ゴムなどでつくる。その弾性層の表面は、例えばフッ素系樹脂をコーティングして平滑性のよいコート層で被ってなる。そして、複数の支持ローラに掛け回して時計回りに回転搬送可能となっている。また、画像転写後に中間転写ベルト50上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置53が設けられている。
【0029】
この他、転写搬送ベルトによって記録紙を搬送し、各感光体3上に形成されたトナー像を直接記録紙に転写する構成であってもよい。
中間転写ベルト50を挟んで感光体3に対向する位置には、1次転写手段(ここではローラ)54が備えられている。1次転写手段54は図示しない電源が接続されていて、感光体3上のトナー像を中間転写ベルト50に転写する際電圧が印加されて、感光体3と中間転写ベルト50の間に電界が形成され、静電気的にトナー像の転写が行われる。
一方、中間転写ベルト50を挟んで2次転写装置(ここではローラ)52が備えられている。
2次転写装置52の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置7が設けられている。定着装置7は、内部にハロゲンヒータ等を有するローラに張架されたベルトと加圧ローラとから構成されており両者によって形成されるニップ部にて記録紙上のトナーに熱と圧を加えてトナー像を定着させる。この他、一対のローラ、あるいは一対のベルトを用いるものであってもよい。
画像形成装置100は、この他に両面反転ユニット9、排紙トレイ8等を備えている。
【0030】
[トナーの説明]
600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましい。体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図4、5は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0031】
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)/AREA}×(100π/4) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0032】
[無機微粒子の説明]
無機微粒子としては、平均一次粒径(以下、平均粒径という)は、50〜500nmのものが用いられる。本発明の微粒子において、無機化合物としては、SiO、TiO、Al、MgO、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO、SrTiO等を例示することができ、好ましくは、SiO、TiO、Alがあげられる。特にこれら無機化合物は各種のカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン等で疎水化処理が施されていてもよい。
本発明の微粒子を、トナー表面に外添加し付着させる方法としては、トナー母体粒子と微粒子を各種の公知の混合装置を用いて、機械的に混合して付着させる方法や、液槽中でトナー母体粒子と微粒子を界面活性剤などで均一に分散させ、付着処理後、乾燥させる方法などがある。
【0033】
金または白金の膜厚と耐摩耗性、耐帯電ムラ・アーク放電、コストの関係についての実験結果を表1に示す。
表1において、※1は、1万枚作像動作毎にフェルトのワイヤクリーナを動作させ、30万枚作像させたときの耐摩耗性を示している。実施例1の膜厚0.08μmのワイヤは表面の金または白金の摩耗がみられ、下地のタングステン表面が露出していた。
※2は、30万枚作像させたときのアーク放電の有無を示している。帯電ムラは中間調の全面均一な画像を複写出力し、副走査方向(紙搬送方向)の濃度ムラの有無をみた結果である。
【0034】
【表1】

【0035】
帯電ワイヤ径と機械的強度、耐帯電ムラ・アーク放電の関係についての実験を表2に示す。
表2において、※1は帯電チャージャに組み付けた状態での張力:1.5〜3Nを想定し、3Nの張力を断続的に1000回かけたときのワイヤ切れの有無をみた結果である。
※2は、30万枚作像させたときの放電ムラ・アーク放電の有無の結果を示す。帯電ムラは中間調の全面均一な画像を複写出力し、副走査方向(紙搬送方向)の濃度ムラの有無をみた結果である。
【0036】
【表2】

【0037】
図6及び図7に基づいて、帯電装置及び帯電チャージャ(ワイヤが1本のタイプ)4の具体的構成を説明する。
図6は帯電装置の自動清掃装置の構成を示し、同図(a)が長手方向の断面図、同図(b)がクリーナ部分の断面図を示す。図において、符号101は帯電ワイヤ、101aおよび101cは帯電ワイヤ101からコロナ放電を行わせるための電極、101bは帯電ワイヤ101に一定の弾性を与えるためのバネ、102は帯電ワイヤ101をクリーニングするための自動ワイヤクリーナ(以下、クリーナと記載する)、103はクリーナ102を長手方向へ移動させるための雄ネジ、104はクリーナ102を支持すると共に、雄ネジ103の回転によってクリーナ102を移動させる雌ネジ、105および106は雄ネジ103を保持すると共に、雌ネジ104の移動範囲を規制するエンドブロック、105aおよび106aは雄ネジ103を回転可能に係止する止め輪、107は後述するモータ108の回転駆動を雄ネジ103に伝達するためにモータ108と雄ネジ103との間に配置された弾性部材、108は雄ネジ103を回転駆動するためのモータ、109はクリーナ102に取り付けられた帯電ワイヤ101を清掃するためのパッド、110はクリーナ102を雌ネジ104の軸部分に回転可能に取り付けるためのストッパ、111は帯電装置のシールドケースをそれぞれ示す。
【0038】
本発明では帯電ワイヤ101を清掃するためのクリーニングパッド109の材質として、研磨剤(たとえば粒径10〜40μmのアルミナ粉、セラミック粉、セウウム粉、シリカ粉等)を含まないフェルト等の不織布(弾性部材)を用いている。
シールドケース111の開口部はエンドブロック105および106近傍に段(広い部分)が設けられている。このシールドケース111の段の部分と、段の部分に係合するクリーナ102の爪部分とによって、クリーナ102のパッド109は、図7(a)の矢印方向へ移動するときには帯電ワイヤ101と接触し、逆に図7(b)の矢印方向へ移動するときには帯電ワイヤ101と離間している。
クリーナ102は、この1往復の動作によって帯電ワイヤ101を清掃する。なお、図中の一点破線を帯電ワイヤ101の存在する位置とする。
また、本実施形態では、雌ネジ104がエンドブロック105、106へ衝突した際に、モータ108に流れる電流値が通常動作時より大幅に上昇することを利用して、このモータ108の電流値の変化を検知することにより、雌ネジ104がエンドブロック105、106に到達したことを検知している。
【0039】
以上の構成において、その動作を説明する。図6において,モータ108が実線で示す矢印方向へ回転した場合に、雌ネジ104は図中の右方向へ移動し、モータ108が破線で示す矢印方向へ回転した場合に、雌ネジ104は図中の左方向へ移動する。
通常の帯電時には、雌ネジ104は左端あるいは右端(エンドブロック105あるいは106)の位置で待機しており、帯電ワイヤ101の清掃を行うときのみ、1往復して元の位置で停止する。
このとき、モータ108の回転数は、雌ネジ104がエンドブロック105、106に衝突した時の締まり過ぎを防止するために、換言すれば、雄ネジ103を含む駆動系の回転慣性エネルギーによって雌ネジ104と雄ネジ103が締まり過ぎるのを防止するために、雌ネジ104をエンドブロック105、106の間で移動させるのに必要な最低限度まで少なくする。
ただし、一般的には、コスト等の問題からDCモータを使用して、大きな減速比でモータ108の出力軸の回転数を落としている。従って、駆動系の回転慣性エネルギーはモータ108の出力軸までが、ほとんどを占めているといっても良い。
このため、雌ネジ104がエンドブロック105あるいは106に衝突してからモータ108が止まるまでの駆動系の持っている運動エネルギーを他の部分に蓄えるか、あるいは放出できれば、雌ネジ104の締まり過ぎを緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。
【図2】プロセスカートリッジの概要断面図である。
【図3】本発明を適用可能な他の画像形成装置の概要構成図である。
【図4】トナーの形状係数SF−1を説明するための模式図である。
【図5】トナーの形状係数SF−2を説明するための模式図である。
【図6】ワイヤの清掃手段を有する帯電装置の断面図で、(a)は感光体軸方向の断面図、(b)は感光体軸方向と直交する方向の断面図である。
【図7】帯電装置における清掃動作を示す平面図である。
【符号の説明】
【0041】
3、902 像担持体としての感光体
4、903 帯電装置としての帯電チャージャ
6b 塗布機構
10a プロセスカートリッジ
101 帯電ワイヤ
109 クリーニングパッド
904 現像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電装置により一様に帯電された像担持体に静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーにより可視像化し、且つ、前記像担持体に潤滑剤を塗布する機能を有している画像形成装置において、
前記トナーとして、無機微粒子を添加した体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲に、形状係数SF−1が100〜180の範囲に、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるものを用い、前記帯電装置は前記像担持体に対して非接触の構成を有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記帯電装置が、帯電ワイヤを有する帯電チャージャであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記帯電ワイヤの表面に、金または白金をメッキまたはスパッタリングしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
金または白金の膜厚を0.1〜1.5μmとすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3記載の画像形成装置において、
前記帯電ワイヤの直径を30〜120μmとすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3記載の画像形成装置において、
前記帯電ワイヤの表面を清掃するクリーニングパッドを有し、該クリーニングパッドとして、研磨剤を含まない弾性部材を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
像担持体と、
前記像担持体を帯電する帯電装置と、
無機微粒子を添加した体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲に、形状係数SF−1が100〜180の範囲に、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるトナーを収容した現像装置と、
前記像担持体に潤滑剤を塗布する塗布機構と、
を一体に有し、画像形成装置に対して着脱自在なプロセスカートリッジであって、前記帯電装置は前記像担持体に対して非接触の構成を有していることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項7記載のプロセスカートリッジにおいて、
前記帯電装置が、帯電ワイヤを有する帯電チャージャであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
請求項8記載のプロセスカートリッジにおいて、
前記帯電ワイヤの表面に、金または白金をメッキまたはスパッタリングしたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項9記載のプロセスカートリッジにおいて、
金または白金の膜厚を0.1〜1.5μmとすることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項11】
請求項9記載のプロセスカートリッジにおいて、
前記帯電ワイヤの直径を30〜120μmとすることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項12】
請求項9記載のプロセスカートリッジにおいて、
前記帯電ワイヤの表面を清掃するクリーニングパッドを有し、該クリーニングパッドとして、研磨剤を含まない弾性部材を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−275895(P2008−275895A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119528(P2007−119528)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】