説明

画像形成装置及びトナー容器

【課題】トナー容器のシャッターに付着したトナーによって装置の内外が汚されるのを防止する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置は、排出口31を開閉可能に閉止するシャッター32を有するトナー容器18と、トナー容器18を収納する収納部25と、を備え、トナー容器18には回転用ガイド部35が設けられ、収納部25には、回転用ガイド部35と対応する位置に設けられた被ガイド部58と、被ガイド部の手前側に設けられた支点部60と、被ガイド部58の奥側に設けられた清掃部62と、を備えた回転部材54が設けられ、トナー容器18をスライドさせると、シャッター32が排出口31を閉止した後、被ガイド部58が回転用ガイド部35に沿って案内されて回転部材54が支点部60を中心に回転し、清掃部62がシャッター32に摺接してシャッター32を清掃することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置及びこの画像形成装置に対して着脱可能に設けられるトナー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンター等の電子写真方式の画像形成装置には、装置本体に対して着脱可能に設けられ、必要に応じて交換される部品(以下、「交換部品」と称する。)が存在する。このような交換部品の一部にはトナーの排出口を備えたものが存在し、このようなトナーの排出口を備えた交換部品を交換する際には、排出口付近に付着したトナーが落下して、装置の内外を汚す虞が有る。
【0003】
このような問題を解決するため、特許文献1には、交換部品の排出口の直下にクリーニングローラーを設け、このクリーニングローラーで排出口付近を清掃してから交換部品を装置本体から取り出すことで、トナーが排出口付近に滞留しないようにする構成が開示されている(特許文献1の請求項3及び図7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−225352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した交換部品がトナー容器である場合、このトナー容器の排出口には通常シャッターが設けられており、トナー容器の装置本体からの取り外し時には、シャッターにより排出口が閉止されるようになっている。そのため、特許文献1の構成をトナー容器に適用すると、クリーニングローラーが排出口付近を清掃した後、排出口の閉止動作に伴ってシャッターにトナーが付着し、このトナーが装置の内外を汚す虞が有る。
【0006】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、トナー容器のシャッターに付着したトナーによって装置の内外が汚されるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、トナーを排出する排出口及び該排出口を開閉可能に閉止するシャッターを有するトナー容器と、該トナー容器を着脱可能に収納する収納部と、を備えた画像形成装置であって、前記トナー容器には、該トナー容器の前記収納部への装着方向と交差する方向に沿って回転用ガイド部が設けられ、前記収納部には、前記回転用ガイド部と対応する位置に設けられた被ガイド部と、該被ガイド部の前記装着方向奥側に設けられた清掃部と、前記被ガイド部の前記装着方向手前側に設けられた支点部と、を備えて該支点部を中心に回転可能な回転部材が設けられ、前記トナー容器の前記収納部からの取り外し時に、前記トナー容器を前記装着方向の奥側から手前側にスライドさせると、前記シャッターが前記排出口を閉止した後、前記被ガイド部が前記回転用ガイド部に沿って前記装着方向と交差する方向に案内されて前記回転部材が前記支点部を中心に回転し、この回転に伴って前記清掃部が前記シャッターに摺接して該シャッターを清掃することを特徴とする。
【0008】
このように、シャッターが排出口を閉止した後に清掃部がシャッターを清掃することで、排出口の閉止動作によってシャッターに付着したトナーを確実に除去することが可能となり、シャッターに付着したトナーによって装置の内外が汚されるのを防止することが可能となる。
【0009】
本発明の画像形成装置は、前記トナー容器には、前記回転用ガイド部の前記装着方向手前側に、該回転用ガイド部と連続する回転規制用ガイド部が前記装着方向に沿って設けられ、前記トナー容器の前記収納部からの取り外し時には、前記回転規制用ガイド部によって被ガイド部が前記回転用ガイド部へとガイドされても良い。
【0010】
このような構成を採用することにより、トナー容器を収納部から取り外す際に、回転部材の回転を規制しながら被ガイド部を確実に回転用ガイド部へとガイドすることが可能となる。
【0011】
本発明の画像形成装置は、前記トナー容器には、前記回転用ガイド部の前記装着方向奥側に、該回転用ガイド部と連続する誘導用ガイド部が前記装着方向奥側に向かって拡幅するように設けられ、前記トナー容器の前記収納部への装着時には、前記誘導用ガイド部によって被ガイド部が前記回転用ガイド部へと誘導されても良い。
【0012】
このような構成を採用することにより、トナー容器を収納部に装着する際に、回転部材が回転完了位置からずれてしまっているような場合であっても、誘導用ガイド部によって被ガイド部を確実に回転用ガイド部に誘導することが可能となる。
【0013】
本発明の画像形成装置は、前記清掃部は、前記トナー容器の前記収納部からの取り外し時に、前記装着方向と交差する方向に沿って回転しながら前記シャッターに摺接しても良い。
【0014】
このように装着方向と交差する方向に沿って清掃部を回転させることで、前記シャッターの前記装着方向の手前側又は奥側に段差や凹凸がある場合であっても、シャッターを清掃部で効率良く清掃することが可能となる。
【0015】
本発明の画像形成装置は、前記清掃部は、シート状部材により形成されても良い。
【0016】
このような構成を採用することで、簡易な構成で清掃部を形成することが可能となる。
【0017】
本発明の画像形成装置は、前記清掃部は、ブラシ状部材により形成されても良い。
【0018】
このような構成を採用することで、シャッターの周囲に段差や凹凸がある場合であっても、シャッターを清掃部で効率的に清掃することが可能となる。
【0019】
本発明のトナー容器は、トナーを排出する排出口及び該排出口を開閉可能に閉止するシャッターを備え、画像形成装置の収納部に着脱可能に収納されるトナー容器であって、該トナー容器には、該トナー容器の前記収納部への装着方向と交差する方向に沿って回転用ガイド部が設けられ、前記収納部には、前記回転用ガイド部と対応する位置に設けられた被ガイド部と、該被ガイド部の前記装着方向手前側に設けられた支点部と、前記被ガイド部の前記装着方向奥側に設けられた清掃部と、を備えて前記支点部を中心に回転可能な回転部材が設けられ、前記トナー容器の前記収納部からの取り外し時に、前記トナー容器を前記装着方向の奥側から手前側にスライドさせると、前記シャッターが前記排出口を閉止した後、前記被ガイド部が前記回転用ガイド部に沿って前記装着方向と交差する方向に案内されて前記回転部材が前記支点部を中心に回転し、この回転に伴って前記清掃部が前記シャッターに摺接して該シャッターを清掃することを特徴とする。
【0020】
このように、シャッターが排出口を閉止した後に清掃部がシャッターを清掃することで、排出口の閉止動作によってシャッターに付着したトナーを確実に除去することが可能となり、シャッターに付着したトナーによって装置の内外が汚されるのを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、トナー容器のシャッターに付着したトナーによって装置の内外が汚されるのを防止することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、収納部及びトナーコンテナを示す斜視図である。
【図3】本発明の一の実施形態に係るカラープリンターにおいて、トナーコンテナを示す下方からの斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、収納部を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナが収納部に装着された状態を示す斜視図であり、(b)は、トナーコンテナの収納部からの取り外し過程において、回転部材が回転する直前の状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナの収納部からの取り外し過程において、回転部材が回転した直後の状態を示す斜視図であり、(b)は、トナーコンテナの収納部からの取り外し過程において、回転部材が回転した後、トナーコンテナが僅かにスライドした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、図1を用いて画像形成装置としてのカラープリンター1の全体の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。
【0024】
カラープリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には転写紙(図示せず)を収納した給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上部には排紙トレイ4が設けられている。
【0025】
プリンター本体2の上部には、像担持体としての中間転写ベルト5が複数のローラー間に架設され、中間転写ベルト5の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器10が配置され、中間転写ベルト5の下部に沿って4個の画像形成部6がトナーの色ごとに設けられている。
【0026】
各画像形成部6には、感光体ドラム7が回転可能に設けられており、感光体ドラム7の周囲には、帯電器8と、現像器11と、一次転写部12と、クリーニング装置13と、除電器14とが、一次転写のプロセス順に配置されている。
【0027】
現像器11の下部には一対の攪拌ローラー15が設けられ、攪拌ローラー15の斜め上方には磁気ローラー16が設けられ、磁気ローラー16の斜め上方には現像ローラー17が設けられている。現像器11の上方には、各画像形成部6と対応する4個のトナー容器としてのトナーコンテナ18が、トナーの色ごとに設けられている。トナーコンテナ18の詳細については後述する。
【0028】
プリンター本体2の一側(図面上右側)には、転写紙の搬送経路20が設けられている。搬送経路20の上流端には給紙部21が設けられ、搬送経路20の中流部には中間転写ベルト5の一端(図面上右端)に二次転写部22が設けられ、搬送経路20の下流部には定着部23が設けられ、搬送経路20の下流端には排紙口24が設けられている。
【0029】
次に、このような構成を備えたカラープリンター1の画像形成動作について説明する。カラープリンター1に電源が投入されると、各種パラメータ−が初期化され、定着部23の温度設定等の初期設定が実行される。そして、カラープリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0030】
まず、帯電器8によって感光体ドラム7の表面が帯電された後、露光器10からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム7に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム7の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像器11がトナーにより対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部12において中間転写ベルト5の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部6が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト5上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム7上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング装置13及び除電器14によって除去される。
【0031】
一方、給紙部21によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された転写紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部22へと搬送され、二次転写部22において、中間転写ベルト5上のフルカラーのトナー像が転写紙に二次転写される。トナー像を二次転写された転写紙は、搬送経路20を下流側へと搬送されて定着部23に進入し、この定着部23において転写紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された転写紙は、排紙口24から排紙トレイ4の上に排出される。
【0032】
次に、図2〜図4を用いて、トナーコンテナ18及びその周辺部について説明する。以下、便宜上、図2における手前側を各部材の正面側として説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、収納部及びトナーコンテナを示す斜視図である。図3は、本発明の一の実施形態に係るカラープリンターにおいて、トナーコンテナを示す下方からの斜視図である。図4は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、収納部を示す平面図である。
【0033】
図2に示されるように、プリンター本体2の上部には、4個のトナーコンテナ18(図2では、左から2番目のトナーコンテナ18のみを表示)を着脱可能に収納する4個の収納部25が設けられている。
【0034】
各トナーコンテナ18には、それぞれ異なる色のトナーが収容されている。このトナーは、例えば磁性トナー及びキャリアにより構成される2成分現像剤である。各トナーコンテナ18は、上面が開口された容器本体26と、容器本体26の開口を閉止する蓋部材27と、を備えている。
【0035】
図3に最も良く示されるように、容器本体26は前後方向に沿って細長の形状を成しており、容器本体26の前端には取手28が設けられている。容器本体26の底部30の後端部右側には排出口31が設けられている。排出口31は、トナーコンテナ18を収納部25に装着していない状態において、スライド式のシャッター32により閉止されている。そして、トナーコンテナ18が収納部25に装着されるのに連動してシャッター32がスライドして排出口31が開放され、トナーコンテナ18の内部空間と現像器11の内部空間が連通するように構成されている。
【0036】
容器本体26の底部30の後端部には、排出口31及びシャッター32の左方にガイド部材33が設けられている。ガイド部材33は、容器本体26の底部30に立設された左右一対のリブ34a、34bによって形成されている。ガイド部材33の後部には、トナーコンテナ18の収納部25への装着方向(本実施形態では前側から後側に向かう方向。図3の矢印X参照)と交差する方向(本実施形態では、後右方に傾斜する方向)に沿って回転用ガイド部35が形成されている。回転用ガイド部35は、前端から後端まで略同一幅で形成されている。
【0037】
ガイド部材33には、回転用ガイド部35より前側(装着方向手前側)に、回転用ガイド部35と連続する回転規制用ガイド部36が装着方向に沿って設けられ、この回転規制用ガイド部36の前端部37において、左右一対のリブ34a、34bが連結されている。
【0038】
ガイド部材33には、回転用ガイド部35より後側(装着方向奥側)に、回転用ガイド部35と連続する誘導用ガイド部38が設けられている。誘導用ガイド部38に対応する部分の右側のリブ34aは、装着方向に沿って設けられている。これに対して、誘導用ガイド部38に対応する部分の左側のリブ34bには、その前部から後部に亘って、後左方に傾斜する傾斜部40が設けられている。そのため、誘導用ガイド部38の前部から後部は、後側に向かって拡幅している。誘導用ガイド部38の後端部には、後方に向かって開口部41が形成されている。
【0039】
容器本体26には、排出口31の上方に搬送スクリュー(図示せず)が回転可能に設けられ、搬送スクリューの左方には、攪拌パドル(図示せず)が回転可能に設けられている。そして、トナーコンテナ18が収納部25に装着されるのに連動して、収納部25の後方に設けられた駆動ユニット(図示せず)に搬送スクリュー及び攪拌パドルが接続され、搬送スクリュー及び攪拌パドルが回転可能となる。容器本体26の上端外周にはフランジ部42が設けられている。フランジ部42は、前後方向に長い方形枠状を成している。
【0040】
蓋部材27の外周にはフランジ部43が設けられている。そして、このフランジ部43が容器本体26のフランジ部42に超音波溶着されることで、容器本体26の上面の開口が閉止されている。以下、容器本体26のフランジ部42と蓋部材27のフランジ部43を合わせて、トナーコンテナ18のフランジ部42、43と称する。
【0041】
図2に示されるように、各収納部25は、プリンター本体2の上部に左右方向に並ぶようにして設けられている。各収納部25は、各画像形成部6に対応してトナーの色ごとに設けられている。各収納部25の上方は、排紙トレイ4によって被覆されている。
【0042】
各収納部25の前端には、トナーコンテナ18を収納部25に対して着脱するための取出口44が形成されている。各収納部25には左右両側壁45、46が設けられ、左右両側壁45、46の前端面には、取出口44の両側にガイド片47が設けられている。左右両側壁45、46の対向面の上部には横向きコ字状を成すガイドレール48が前後方向に沿って設けられている。そして、このガイドレール48にトナーコンテナ18のフランジ部42、43を係合させた状態で、トナーコンテナ18をガイドレール48に沿って前後方向にスライドさせることで、トナーコンテナ18を収納部25に対して着脱できるように構成されている。
【0043】
各収納部25の底壁50は、板金部材である本体フレーム51によって構成されている。図4に最も良く示されるように、各収納部25の底壁50の後部右側には、各トナーコンテナ18の排出口31と対応する位置に連通口52が設けられ、この連通口52を介して、トナーコンテナ18の排出口31から排出されたトナーが現像器11に供給されるようになっている。各収納部25の底壁50には、連通口52の前方に絞り部53が凹設されている。
【0044】
各収納部25の底壁50の左右方向中央には、連通口52よりも前方且つ絞り部53の左方に回転部材54が設けられている。回転部材54は、前後両端と左端に頂点を有する三角形状の支持板55と、この支持板55の後端右側から右方に向かって延設される略長方形状の取付板56と、から構成される基板部材57を備えている。基板部材57は、各収納部25の底壁50に沿って設けられており、各収納部25の底壁50に近接又は接触している。
【0045】
支持板55の左端の頂点部分には、突起状の被ガイド部58が上方に向かって設けられている。被ガイド部58は、トナーコンテナ18のガイド部材33の回転用ガイド部35と対応する左右方向位置に設けられている。支持板55の前端の頂点部分には、支点部60が設けられ、この支点部60を中心に回転部材54が回転するように構成されている(図4の二点鎖線参照)。支点部60は、被ガイド部58よりも前側に位置している。支持板55の左右両側には、一対のストッパー片61が設けられ、このストッパー片61により、回転部材54の回転範囲が規制されている。
【0046】
取付板56の上面にはシート状部材63が貼着されており、これにより清掃部62が形成されている。清掃部62を形成するシート状部材63には、例えば、スポンジシートや布シートを用いることが可能である。清掃部62は、被ガイド部58よりも後側に位置している。
【0047】
上記の如く構成されたものにおいて、トナーコンテナ18を収納部25から取り外す方法について、主に図5及び図6を用いて説明する。図5は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナが収納部に装着された状態を示す斜視図であり、(b)は、トナーコンテナの収納部からの取り外し過程において、回転部材が回転する直前の状態を示す斜視図である。図6は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナの収納部からの取り外し過程において、回転部材が回転した直後の状態を示す斜視図であり、(b)は、トナーコンテナの収納部からの取り外し過程において、回転部材が回転した後、トナーコンテナが僅かにスライドした状態を示す斜視図である。なお、図5、図6において取付板56の下面に付されている斜線は、その斜線部分に対応する取付板56の上面に、シート状部材63が貼着されていることを示している。
【0048】
図5(a)に示されるように、トナーコンテナ18が収納部25に装着された状態では、シャッター32がトナーコンテナ18の排出口31を開放している。また、ガイド部材33の回転規制用ガイド部36の前端部37に、回転部材54の被ガイド部58が係合している。
【0049】
この状態から、プリンター本体2の前面に設けられた前カバー(図示せず)を開放し、トナーコンテナ18の取手28を手前側に引く。これにより、図5(b)に示されるように、トナーコンテナ18が後側から前側にスライドし、これに伴って、シャッター32が排出口31を閉止する。このシャッター32による排出口31の閉止は、例えば、コイルスプリング等のバネ部材によりシャッター32を閉止方向に付勢しておき、トナーコンテナ18のスライドに伴ってバネ部材の付勢力でシャッター32を閉止方向にスライドさせることにより行っても良い。
【0050】
また、上記したトナーコンテナ18のスライドに伴って、回転規制用ガイド部36によって被ガイド部58を回転用ガイド部35へとガイドしながらガイド部材33が前進していき、図5(b)に示されるように、回転用ガイド部35に被ガイド部58が係合する。なお、回転規制用ガイド部36は装着方向に沿って設けられており、上記したガイド部材33の前進によって被ガイド部58が左方又は右方に誘導されることはないため、回転部材54の回転位置は一定に保たれる(回転部材54は停止している)。
【0051】
トナーコンテナ18をガイドレール48に沿って更に後側から前側にスライドさせると、ガイド部材33が前進していく。これに伴って、図6(a)に示されるように、被ガイド部58が回転用ガイド部35に沿って装着方向と交差する方向(本実施形態では右方)に案内され、回転部材54が支点部60を中心に右方に回転する。この回転に伴って、回転部材54の清掃部62が、装着方向と交差する方向(本実施形態では装着方向と略直角を成す方向)に沿って回転しながらシャッター32に摺接し、シャッター32を清掃する。
【0052】
トナーコンテナ18をガイドレール48に沿って更に後側から前側にスライドさせると、図6(b)に示されるように、誘導用ガイド部38に被ガイド部58が係合する。そして、開口部41を介して誘導用ガイド部38と被ガイド部58の係合状態が解除された後、トナーコンテナ18が収納部25から取り外される。
【0053】
本実施形態では上記のように、シャッター32が排出口31を閉止した後に清掃部62がシャッター32を清掃しているため、排出口31の閉止動作によってシャッター32に付着したトナーを確実に除去することが可能となり、シャッター32に付着したトナーによって装置の内外が汚されるのを防止することが可能となる。
【0054】
また、回転用ガイド部35より前側には回転用ガイド部35と連続する回転規制用ガイド部36が装着方向に沿って設けられているため、トナーコンテナ18を収納部25から取り外す際に、回転部材54の回転を規制しながら被ガイド部58を確実に回転用ガイド部35へとガイドすることが可能となる。
【0055】
また、清掃部62によるシャッター32の清掃時に、装着方向と交差する方向に沿って清掃部62を回転させているため、シャッター32の前側又は後側に段差や凹凸がある場合であっても、シャッター32を清掃部62で効率良く清掃することが可能となる。また、シート状部材63により清掃部62を形成しているため、簡易な構成で清掃部62を形成することが可能となる。
【0056】
また、上記の如く回転部材54を右方に回転させると、清掃部62が絞り部53の後方に移動するように構成されている(図4参照)。このような構成を採用することにより、清掃部62によってシャッター32の表面から除去されたトナーが収納部25の底壁50に落下したとしても、そのトナーが絞り部53に収容され易くなる。そのため、トナーの外部への持ち出しを効率的に抑制することが可能となり、トナーによって装置の外部が汚されるのを一層効果的に防止することが可能となる。
【0057】
また、トナーコンテナ18を収納部25に装着する際には、上記した取り外し時とは逆にトナーコンテナ18を前側から後側にスライドさせることで、開口部41を介して、誘導用ガイド部38と被ガイド部58の係合が開始されることになる(図6(b)参照)。この係合開始時に、回転部材54は回転完了位置(図6(b)の実線参照)に配置されているのが通常であるが、何らかの理由によって、回転部材54が回転完了位置からずれた位置(図6(b)の二点鎖線参照)に回転してしまっている場合が想定される。この点、本実施形態では、誘導用ガイド部38が設けられているため、たとえ回転部材54が回転完了位置からずれた位置にあったとしても、トナーコンテナ18のスライドに伴って、誘導用ガイド部38の傾斜部40に沿って被ガイド部58を回転用ガイド部35へと確実に誘導することが可能となる(図6(a)参照)。
【0058】
本実施形態では、シート状部材63により清掃部62を形成したが、他の異なる実施形態では、ファーブラシ等のブラシ状部材(図示せず)により清掃部62を形成しても良い。この場合には、シャッター32の周囲に段差や凹凸がある場合であっても、清掃部62がシャッター32の細部に行き届きやすくなり、シャッター32を清掃部62で効率的に清掃することが可能となる。
【0059】
本実施形態では、一対のリブ34a、34bをトナーコンテナ18の容器本体26の底部30に立設することで、回転用ガイド部35、回転規制用ガイド部36及び誘導用ガイド部38を形成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、トナーコンテナ18の容器本体26の底部30に溝を設けることで、回転用ガイド部35、回転規制用ガイド部36及び誘導用ガイド部38を形成しても良い。
【0060】
本実施形態では、略三角形状の支持板55と略長方形状の取付板56とを組み合わせて基板部材57を形成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、三角形状等の単純な形状により基板部材57を形成しても良い。
【0061】
本実施形態ではスライド式のシャッター32を用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、トナーコンテナ18が収納部25に装着されることでレバーのロックが解除された後、ユーザーのレバー操作に連動してシャッター32が回転して排出口30が開放される回転式のシャッター32を用いても良い。
【0062】
本実施形態では、トナーコンテナ18を直接現像器11に接続する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、トナーコンテナ18を中間ホッパー等の他のトナー容器を介して現像器11に接続しても良い。この場合には、中間ホッパー等の他のトナー容器に本発明の構成を適用しても良い。
【0063】
本実施形態では、タンデム式のカラープリンター1に本発明を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ロータリー式のカラープリンター、モノクロプリンター、複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等の他の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 カラープリンター(画像形成装置)
18 トナーコンテナ(トナー容器)
25 収納部
31 排出口
32 シャッター
35 回転用ガイド部
36 回転規制用ガイド部
38 誘導用ガイド部
54 回転部材
58 被ガイド部
60 支点部
62 清掃部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを排出する排出口及び該排出口を開閉可能に閉止するシャッターを有するトナー容器と、該トナー容器を着脱可能に収納する収納部と、を備えた画像形成装置であって、
前記トナー容器には、該トナー容器の前記収納部への装着方向と交差する方向に沿って回転用ガイド部が設けられ、
前記収納部には、前記回転用ガイド部と対応する位置に設けられた被ガイド部と、該被ガイド部の前記装着方向奥側に設けられた清掃部と、前記被ガイド部の前記装着方向手前側に設けられた支点部と、を備えて該支点部を中心に回転可能な回転部材が設けられ、
前記トナー容器の前記収納部からの取り外し時に、前記トナー容器を前記装着方向の奥側から手前側にスライドさせると、前記シャッターが前記排出口を閉止した後、前記被ガイド部が前記回転用ガイド部に沿って前記装着方向と交差する方向に案内されて前記回転部材が前記支点部を中心に回転し、この回転に伴って前記清掃部が前記シャッターに摺接して該シャッターを清掃することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー容器には、前記回転用ガイド部の前記装着方向手前側に、該回転用ガイド部と連続する回転規制用ガイド部が前記装着方向に沿って設けられ、
前記トナー容器の前記収納部からの取り外し時には、前記回転規制用ガイド部によって被ガイド部が前記回転用ガイド部へとガイドされることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー容器には、前記回転用ガイド部の前記装着方向奥側に、該回転用ガイド部と連続する誘導用ガイド部が前記装着方向奥側に向かって拡幅するように設けられ、
前記トナー容器の前記収納部への装着時には、前記誘導用ガイド部によって被ガイド部が前記回転用ガイド部へと誘導されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記清掃部は、前記トナー容器の前記収納部からの取り外し時に、前記装着方向と交差する方向に沿って回転しながら前記シャッターに摺接することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記清掃部は、シート状部材により形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記清掃部は、ブラシ状部材により形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
トナーを排出する排出口及び該排出口を開閉可能に閉止するシャッターを備え、画像形成装置の収納部に着脱可能に収納されるトナー容器であって、
該トナー容器には、該トナー容器の前記収納部への装着方向と交差する方向に沿って回転用ガイド部が設けられ、
前記収納部には、前記回転用ガイド部と対応する位置に設けられた被ガイド部と、該被ガイド部の前記装着方向手前側に設けられた支点部と、前記被ガイド部の前記装着方向奥側に設けられた清掃部と、を備えて前記支点部を中心に回転可能な回転部材が設けられ、
前記トナー容器の前記収納部からの取り外し時に、前記トナー容器を前記装着方向の奥側から手前側にスライドさせると、前記シャッターが前記排出口を閉止した後、前記被ガイド部が前記回転用ガイド部に沿って前記装着方向と交差する方向に案内されて前記回転部材が前記支点部を中心に回転し、この回転に伴って前記清掃部が前記シャッターに摺接して該シャッターを清掃することを特徴とするトナー容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−11782(P2013−11782A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145270(P2011−145270)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】