説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】衝撃が予測された場合においても、ハードディスクドライブへのデータアクセス性能の劣化を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】HDD106のデータ転送中に、画像形成装置上で動作する制御プログラム200の受付部206は、位置センサ等の検知手段により、構成機器の状態変化が検知されたか否かを判定する。さらに、判定部208は、記憶部204に記憶されている対応関係を参照し、検知された構成機器に設定されている制御モードが第1のモードであるか否かを判定する。該制御モードが第1のモードである場合、HDD106のヘッドが退避され、ディスクの駆動が停止されて、HDD106はスリープ状態に移行する。該制御モードが第2のモードである場合、HDD106のヘッドが退避される。この場合、ディスクは駆動されたままである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置には、ハードディスクドライブ(HDD)が含まれる。一般に、一連のデータがHDDの記録媒体へ書き込まれている間にエラーが生じると、該当位置への書込みが取りやめられ、書き込みは別の位置に行われる。この場合、データの記録場所の連続性が失われる。このようなデータが読み込まれる場合、データ記録部位のばらつきにより、読み込み速度が低下し、システムの性能が劣化する。また、データ読み込み時に過度の衝撃が与えられると、データ記録位置の制御ができなくなることがある。この場合、リトライが繰り返され、読み込み速度が低下し、システムの性能が劣化する。
【0003】
特許文献1では、給紙カセットが開放状態である事を検知した場合、HDDのドライブ駆動を行わない手法が開示されている。この手法では、給紙カセット内の用紙残量が所定量以下であると検知した場合、HDDのドライブ駆動を行わない。
【0004】
【特許文献1】特開2002−052786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した背景からなされたものであり、衝撃が予測された場合においても、ハードディスクドライブへのデータアクセス性能の劣化を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、ハードディスクドライブと、前記ハードディスクドライブ以外の少なくとも1つの構成機器の状態を検知する検知手段と、前記検知手段により検知された構成機器の状態変化に基づいて、前記ハードディスクドライブを制御するハードディスクドライブ制御手段とを有する。本発明によれば、カバーの開閉、構成機器の挿抜など、ハードディスクドライブへの衝撃が予測された場合においても、ハードディスクドライブへのデータアクセス性能の劣化を防止することができる。
【0007】
好適には、前記ハードディスクドライブは、ヘッド及びディスクを有し、前記ハードディスクドライブ制御手段は、前記検知手段により第1の状態変化が検知された場合、前記ディスクの駆動を制御し、前記検知手段により第2の状態変化が検知された場合、前記ヘッドの位置を制御する。本発明によれば、復帰時間の異なる対衝撃モードを構成するので、より効果的な性能設定が可能となる。
【0008】
好適には、前記ハードディスクドライブ制御手段は、前記検知手段が第1の状態変化を検知した場合、前記ディスクの回転を停止する。本発明によれば、ハードディスクドライブに与える衝撃がより大きい操作による性能の劣化を防ぐことができる。
好適には、前記ハードディスクドライブ制御手段は、前記検知手段が第2の状態変化を検知した場合、前記ヘッドを退避する。本発明によれば、ハードディスクドライブに与える衝撃が小さい操作による性能の劣化を、より効果的に防ぐことができる。
【0009】
好適には、前記ハードディスクドライブ制御手段は、前記検知手段が構成機器が所定の状態に復帰したことを検知した場合、前記ハードディスクドライブをアクセス可能状態にする。本発明によれば、ハードディスクドライブに衝撃が加えられる可能性がある間、より効果的にデータを保護することができる。
【0010】
好適には、前記構成機器は複数であり、それぞれの構成機器と、それぞれの構成機器に設定された制御モードとの関係を記憶する記憶手段をさらに有する。
好適には、前記ハードディスクドライブ制御手段は、前記記憶手段に記憶されている関係にさらに基づいて前記ハードディスクドライブを制御する。
【0011】
好適には、前記ハードディスクドライブへのデータ転送の中断及び再開を制御するデータ転送制御手段をさらに有する。本発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、ハードディスクドライブに加えられる衝撃から、より効果的にデータを保護することができる。
【0012】
好適には、前記データ転送制御手段は、前記検知手段により検知された状態変化に基づいて、前記ハードディスクドライブへのデータ転送を制御する。
【0013】
好適には、前記データ転送制御手段は、前記検知手段が構成機器が所定の状態から移動されたことを検知した場合、前記ハードディスクドライブへのデータ転送を中断する。
好適には、前記データ転送制御手段は、前記検知手段が構成機器が所定の状態に復帰したことを検知した場合、前記ハードディスクドライブへのデータ転送を再開する。
好適には、前記データ転送制御手段は、構成機器が所定の状態から移動されている間、前記ハードディスクドライブへのデータ転送を停止する。
【0014】
好適には、前記データ転送制御手段は、DMA方式の制御装置である。
好適には、前記データ転送制御手段は、バスアービタである。
【0015】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータと、ハードディスクドライブと、前記ハードディスクドライブ以外の少なくとも1つの構成機器の状態を検知する検知手段とを含む画像形成装置において、前記検知手段により構成機器の状態変化が検知された旨を受け付ける受付ステップと、前記受け付けられた構成機器の状態変化に基づいて前記ハードディスクドライブを制御するハードディスクドライブ制御ステップとを前記画像形成装置のコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像形成装置によれば、衝撃が予測された場合においても、ハードディスクドライブへのデータアクセス性能の劣化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10の概要を示す図である。
図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成部12と、原稿読取装置14とを有する。画像形成部12は、例えばゼログラフィ方式のもので、シートが積載された例えば4段の給紙トレイ16a,16b,16c,16d及び手差しトレイ18とを有し、これら給紙トレイ16a〜16d又は手差しトレイ18からシート搬送路20に供給されたシートに画像を形成するようになっている。なお、給紙トレイ16a〜16dなど、複数ある構成部分のいずれかを特定せずに示すときには、単に給紙トレイ16などと略記することがある。
【0018】
画像形成部12は、像担持体である感光体22と、この感光体22を一様に帯電する帯電器24と、この帯電器24により一様に帯電された感光体22に潜像を形成する露光装置26と、この露光装置26により形成された感光体22上の潜像をトナーで可視化する現像器28と、この現像器28により形成されたトナー像をシートに転写する転写装置30と、感光体22に残ったトナーをクリーニングするクリーナ32とを有する。露光装置26は、例えばレーザ走査方式のもので、原稿読取装置14の読取センサ52で読み取った原稿の画像をレーザのオンオフ信号に変えて出力する。転写装置30は例えば転写ロールから構成され、この転写装置30によりトナー像が転写されたシートが定着装置34に送られ、この定着装置34によりトナー像がシートに定着され、このトナー像が定着されたシートが排出トレイ36に排出される。
【0019】
シート搬送路20には、複数のシート搬送ロール38が設けられている。このシート搬送ロール38の一つとして、転写装置30上流側近傍には、レジストロール40が配置されている。このレジストロール40は、供給されたシートを一時停止させ、感光体22に潜像が形成されるタイミングと同期してシートを転写装置30にシートを供給するように制御される。
【0020】
原稿読取装置14は、原稿を光学的に読み取る光学系42と、ADF(Auto Document Feeder)等の自動原稿送り装置44とを有する。光学系42は、原稿に光を照射するランプ46と、原稿からの光を反射する反射ミラー48a,48b,48cと、この反射ミラー48a〜48cからの光を収束させるレンズ50と、このレンズ50により収束した光を読み取る読取センサ52とを有する。読取センサ52は例えばCCDから構成されている。この光学系42は、反射ミラー48a〜48c等を端部付近に設けられた読取部固定して後述する自動原稿送り装置44により送られた原稿を流し読みする機能と、反射ミラー48a〜48c等を走査してプラテン54上に載置された原稿を読み取る機能とを備えている。
【0021】
自動原稿送り装置44は、多数の原稿が載置される原稿載置台56と、原稿を搬送する原稿搬送路58と、画像を読み取った後の原稿が排出される排出台59とを有する。なお、自動原稿送り装置44は、開閉可能であり、自動原稿送り装置44の下面は、原稿をプラテン54上に押圧するプラテンカバーとして機能する。
【0022】
画像形成装置10の例えば側面には、ジャム除去用カバー62が開閉可能に設けられている。給紙トレイ16から搬送されるシートによりジャムが生じた場合、ジャム除去用カバー62が開かれることにより、ジャムの除去が可能となる。
【0023】
また、給紙トレイ16a〜16dの近傍にはそれぞれ、位置センサ60a〜60dが設けられている。位置センサ60a〜60dは、給紙トレイ16a〜16dの状態を検知し、検出結果を後述する制御部に対して出力する。例えば、位置センサ60は、給紙トレイ16が挿入されて定常位置にある場合にオン信号を出力し、給紙トレイ16が引き出されて定常位置にない場合にオフ信号を出力する。このようにして、位置センサ60は、給紙トレイ16の状態を検知する検知手段を構成する。
【0024】
さらに、本実施形態係る画像形成装置10には、位置センサ60とは異なる図示しないセンサが設けられている。例えば、プラテンカバーの開閉、手差しトレイ18の開閉、図示しないトナーボトル及びトナー回収ボトルの挿抜など、カバーの開閉及び内部ユニットの挿抜を検知するセンサが設けられている。このようなセンサは、位置センサ60と同様に、構成機器の状態を検知する検知手段を構成する。
【0025】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10の制御部のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、画像形成装置10は、CPU100、メモリ102、このメモリ102に記憶されているデータの読み込み及び書き込みを行うメモリコントローラ104、ヘッド122及びディスク124を含むハードディスクドライブ(HDD)106、このHDD106に記憶されているデータの読み込み及び書き込みを行うHDDコントローラ108、HDD106へのデータ転送をDMA(Direct Memory Access)方式で制御する制御装置であるDMA110、図示しないネットワークを介して外部のコンピュータとデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IF)112、及びタッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UI)装置114を有する。これらの構成要素は、システムバス116を介して互いに接続されている。
【0026】
HDD106は通電すると、ヘッド122がロードされ、CPU100からの指令を待つ。ヘッド122がロードされると、ヘッド122は回転するディスク124上に移動され、HDD106はデータの読み込みや書き込みが可能な状態になる。ここで、ヘッド122がロードされている状態は、データを読み込みや書き込みを行っている状態、又は読み込みや書き込み等の動作をすぐに行える状態である。一方、ヘッド122がアンロードされると、ヘッド122はディスク124上から所定の場所に退避された状態となる。ヘッド122がアンロードされている場合、HDD106は、ディスク124が回転している状態(ドライブ駆動状態)及び回転を停止している状態(スリープ状態)のいずれかである。ディスク124の回転の停止は、例えば後述するDMA110がスリープコマンドを発行することにより実行される。
【0027】
なお、HDD106は、データアクセス動作を行ってから所定時間が経過すると、ヘッド122の位置を例えばディスク124の外に移動させる。この移動動作は、例えば図示しないファームウェアにより実行される。
【0028】
HDD106は、アクセス可能状態、第1のモードの状態及び第2のモードの状態のいずれかの制御モードの状態を取る。本例では、HDD106は、HDD106以外の少なくとも1つの構成機器の状態変化(カバーの開閉、構成機器の挿抜など)に基づいて、これらの状態の間を移行する。第1のモードの状態では、HDD106は、ヘッド122をディスク124上から退避させた上でスリープ状態となる。第2のモードの状態では、HDD106は、ヘッド122をディスク124上から退避させる。
【0029】
本実施形態において、DMA110は、HDD106と例えばメモリ102など他の構成要素との間において、HDD106へのデータ転送の中断及び再開を制御する。より具体的には、DMA110は、位置センサ60等の検知手段が構成機器の状態を検知した場合、構成機器の状態変化に基づいて、HDD106へのデータ転送を制御する。本例では、DMA110は、位置センサ60等が構成機器が所定の状態から移動されたことを検知した場合、HDD106へのデータ転送を中断し、位置センサ60等が構成機器が所定の状態に復帰したことを検知した場合、HDD106へのデータ転送を再開する。このようにして、DMA110は、データ転送制御手段を構成する。なお、DMA110は、HDD106側のデータ転送を止めてもよいし、システムバス116側のデータ転送を止めてもよい。
【0030】
したがって、HDD106は、該状態変化がデータの書き込み動作中もしくは読み込み動作中に検知された場合、例えばセクタ単位など動作を中断できる単位で動作を中止し、第1のモード又は第2のモードに移行する。この場合、位置センサ60等が該構成機器が正常位置に復帰したことを検知すると、HDD106は第1のモード又は第2のモードからデータアクセス可能なモードに移行し、HDDコントローラ108は中断した書き込み動作を再開する。
【0031】
また、HDD106は、構成機器の状態が変化したことが検知された後にHDDアクセス要求が発生した場合、書き込み動作もしくは読み込み動作をするためのドライブ駆動やヘッドロードを行わない。この場合、位置センサ60等が該構成機器が正常位置に復帰したことを検知した後に、HDD106は第1のモード又は第2のモードからデータアクセス可能なモードに移行し、HDDコントローラ108は、要求された書き込み動作もしくは読み込み動作を行う。即ち、HDD106が第1のモード及び第2のモードのいずれかである場合、HDDコントローラ108は、データの読み込み動作及び書き込み動作を行わない。
【0032】
図3は、各構成機器と、該各構成機器に設定されている制御モードとの関係を示す図である。
図3に示すように、各構成機器は、第1のモード(モード1)及び第2のモード(モード2)のいずれかに対応づけられている。本例では、トレイ1(図1に示される給紙トレイ16a)及びトレイ2(給紙トレイ16b)は、第1のモードに対応付けられており、トレイ3(給紙トレイ16c)、プラテンカバー、DADF及び後述する後処理装置は、第2のモードに対応付けられている。位置センサ60等は、第1のモードを設定されている構成機器の状態が変化した場合、第1の状態変化を検知し、第2のモードを設定されている構成機器の状態が変化した場合、第2の状態変化を検知する。
【0033】
例えば、トレイ1が定常状態から移動された場合、第1の状態変化がセンサにより検知され、画像形成装置10のHDD106は第1のモードに移行する。具体的には、HDD106は、ヘッド122をディスク124上から退避させ、ディスク124の回転を停止し、スリープ状態となる。
【0034】
また、例えば、プラテンカバーが定常状態から移動された場合、第2の状態変化がセンサにより検知され、HDD106は第2のモードに移行する。具体的には、HDD106は、ヘッド122をディスク124上から退避させる。なお、HDD106はドライブ駆動状態であり、ディスク124は回転したままである。
【0035】
図4は、各構成機器の制御モードを設定する設定画面を例示する図である。
図4に例示するように、設定画面には、各構成機器について、モード1を選択するための第1の選択ボタンと、モード2を選択するための第2の選択ボタンとが含まれる。例えば、トレイ1について、第1の選択ボタンが押下されると、第1の選択ボタンがいわゆるハイライト表示され、第2の選択ボタンの背景はグレー色に変化する。設定されたモードは、画像形成装置10の例えばメモリ102に記憶される。このような設定画面は、UI装置114に表示される。
【0036】
なお、設定画面は、図示しない外部のパーソナルコンピュータ(PC)などのディスプレイに表示され、各構成機器のモードは、PCのキーボードあるいはマウスにより設定されてもよい。この場合、設定された内容は、図示しないネットワーク等を介して画像形成装置10に対して送信され、画像形成装置10に記憶される。
【0037】
図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10において、HDD106の状態を制御する制御プログラム200の機能構成を示す図である。
図5に示すように、制御プログラム200は、設定部202、記憶部204、受付部206、判定部208及びHDD制御部210を有する。制御プログラム200は、これらの構成により、位置センサ60等の検知手段により構成機器の状態変化が検知された旨を受け付け、該受け付けられた状態変化に基づいてHDD106を制御する。なお、制御プログラム200の全部又は一部の機能は、画像形成装置10に設けられた例えばDMA110などのハードウェアにより実現されてもよい。
【0038】
制御プログラム200は、例えば、図示しないネットワークに接続された外部のコンピュータから通信IF112を介して供給され、メモリ102にロードされて、CPU100上で動作する図示しないOS上で、ハードウェアを具体的に利用して実行される。なお、制御プログラム200は、FD、CD又はDVDなどの記録媒体に格納されて画像形成装置10に供給されてもよい。
【0039】
制御プログラム200において、記憶部204は、それぞれの構成機器と、それぞれの構成機器に設定された制御モードの関係(図3)を記憶する。記憶部204は、例えば、メモリ102及びHDD106などの記憶装置の少なくともいずれかにより実現される。
【0040】
設定部202は、記憶部204に記憶されている対応関係を読み出して設定画面(図4)をUI装置114に表示し、UI装置114を介して入力される設定内容を受け付け、この設定内容を記憶部204に格納する。設定部202は、入力された設定内容に基づいて、記憶部204に記憶されている対応関係の登録、更新、削除等を行う。また、設定部202は、記憶部204に記憶されている対応関係に関するデータについて、通信IF112を介して外部のコンピュータと送信及び受信を行う。
【0041】
受付部206は、位置センサ60等から、給紙トレイ16等の構成機器の状態変化が検知された旨を受け付けて判定部208及びHDD制御部210に対して出力する。具体的には、受付部206は、構成機器が定常位置から移動されたことが検知されたことを示す信号、及び構成機器が定常位置に戻されたことが検知されたことを示す信号を受け付ける。例えば、受付部206は、給紙トレイ16が引き出された場合には位置センサ60からオフ信号を受け付け、給紙トレイ16が挿入されて定常位置に移動された場合には位置センサ60からオン信号を受け付ける。
【0042】
判定部208は、状態変化が検知された構成機器と、記憶部204に記憶されている対応関係とに基づいて、該構成機器に設定されている制御モードを判定する。具体的には、判定部208は、該構成機器に設定されている制御モードが第1のモードであるか又は第2のモードであるかを判定し、判定結果をHDD制御部210に対して出力する。
【0043】
HDD制御部210は、位置センサ60等の検知手段により検知された構成機器の状態変化に基づいて、HDD106を制御する。具体的には、HDD制御部210は、判定部208により判定された制御モードに基づいてHDD106、HDDコントローラ108及びDMA110を制御する。したがって、HDD制御部210は、記憶部204に記憶されている関係にさらに基づいてHDD106を制御する。
【0044】
本例では、制御モードとして第1のモードを設定された構成機器の状態変化が検知された場合、HDD制御部210は、ヘッド122をディスク124上から退避させ、さらにディスク124の回転を制御する。例えば、HDD制御部210は、ディスク124の駆動を停止する。制御モードとして第2のモードを設定された構成機器の状態変化が検知された場合、HDD制御部210は、ヘッド122の位置を制御する。例えば、HDD制御部210は、ヘッド122をディスク124上から退避させる。
【0045】
また、HDD制御部210は、位置センサ60等の検知手段が構成機器が所定の状態に復帰したことを検知した旨を受付部206から受け付けた場合、HDD106をアクセス可能状態にし、HDDコントローラ108及びDMA110を制御してデータアクセスを再開させる。具体的には、HDD制御部210は、HDD106のディスク124を駆動し、ヘッド122をロードして、HDD106を第1のモード又は第2のモードからデータアクセス可能なモードに移行させる。
【0046】
図6は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10のデータ転送中における制御処理(S10)のフローチャートを示す図である。
図6に示すように、ステップ100(S100)において、HDDコントローラ108は、HDD106とHDD106とは異なる他の構成要素との間でデータ転送を行う。例えば、HDDコントローラ108は、所定の単位でバースト転送を行う。
【0047】
ステップ102(S102)において、HDDコントローラ108は、データ転送が終了したか否かを判定する。HDDコントローラ108は、データ転送が終了した場合には処理を終了し、そうでない場合にはS104の処理に進む。
【0048】
ステップ104(S104)において、制御プログラム200の受付部206は、位置センサ60等の検知手段によりカバーの開閉、構成機器の挿抜、構成機器の移動など、構成機器(可動部)の状態変化が検知されたか否かを判定する。制御プログラム200は、構成機器の状態変化が検知されたばあいにはS106の処理に進み、そうでない場合にはS100の処理に戻る。
【0049】
ステップ106(S106)において、制御プログラム200の判定部208は、記憶部204に記憶されている関係を参照し、検知された構成機器に設定されている制御モードが第1のモードであるか否かを判定する。制御プログラム200は、検知された構成機器に設定されている制御モードが第1のモードである場合にはS108の処理に進み、そうでない場合(例えば、制御モードが第2のモードである場合)にはS112の処理に進む。
【0050】
ステップ108(S108)において、制御プログラム200のHDD制御部210は、HDD106を制御する。より具体的には、HDDコントローラ108のDMA110がデータ転送を中断する。さらに、HDD106は、ヘッド122をディスク124上から退避する。
さらに、ステップ110(S110)において、HDD106は、ディスク124の駆動を停止して、スリープ状態に移行する。
【0051】
一方、検知された構成機器に設定されている制御モードが第2のモードである場合、ステップ112(S112)において、S108の処理と同様にして、データ転送が中止され、ヘッド122が退避される。
【0052】
ステップ114(S114)において、制御プログラム200の受付部206は、位置センサ60等の検知手段が、状態変化のあった構成機器が定常状態に戻されたことを検知した旨の検知信号を受け付けたか否かを判定する。制御プログラム200は、受付部206が該検知信号を受け付けた場合にはS116の処理に進み、そうでない場合にはS114の処理に戻る。
【0053】
ステップ116(S116)において、制御プログラム200は、データ転送の再開処理を行う。具体的には、HDD106が第1のモードから復帰する場合、HDD制御部210は、ディスク124の駆動を開始し、ヘッド122をロードする。また、HDD106が第2のモードから復帰する場合、HDD制御部210は、ヘッド122を、回転するディスク124上にロードする。その後、制御処理は、S100の処理に戻る。
【0054】
図7は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10のデータ転送前における制御処理(S20)のフローチャートを示す図である。なお、図7に示された各処理のうち、図6に示された処理と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
図7に示すように、S104の処理において、制御プログラム200の受付部206は構成機器(可動部)の状態変化が検知されたか否かを判定し、状態変化が検知された場合にはS106の処理に進み、そうでない場合にはS104の処理に戻る。
【0055】
S106の処理において、判定部208は、検知された構成機器に設定されている制御モードが第1のモードであるか否かを判定し、制御プログラム200は、設定されている制御モードが第1のモードである場合にはS110の処理に進み、そうでない場合にはS114の処理に進む。
設定されている制御モードが第1のモードである場合、S110の処理で、HDD106は、ディスク124の駆動を停止して、スリープ状態に移行する。
【0056】
S114の処理において、制御プログラム200の受付部206は、検知手段が状態変化のあった構成機器が定常状態に戻されたことを検知した旨の検知信号を受け付けたか否かを判定し、制御プログラム200は、受付部206が該検知信号を受け付けた場合にはS200の処理に進み、そうでない場合にはS114の処理に戻る。
【0057】
ステップ200(S200)において、HDDアクセス要求が受け付けられると、HDD106のディスク124が駆動され、ヘッド122がロードされて、データ転送処理が実行される。
【0058】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る画像形成装置10は、給紙トレイ16等の構成機器の移動等、HDD106に対して衝撃を与えうるオペレーションがユーザにより実行された場合、HDD106を動作させず、該構成機器が定常状態に復帰した後にHDD106をアクセス可能状態に移行するので、書き込みデータを保護することができる。また、画像形成装置10は、同様にして、読み込み動作の性能低下を防止することができる。
【0059】
さらに、本発明の実施形態に係る画像形成装置10は、制御モードとして第1のモードを設定されている構成機器の状態変化が検知された場合にはヘッド122を退避させた上にディスク124の駆動を停止し、第2のモードを設定されている構成機器の状態変化が検知された場合にはヘッド122を退避させ、ディスク124は駆動したままにする。このため、衝撃が予測された場合においても、HDD106へのデータアクセス性能の劣化を防止することができる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置10を説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置10の制御部のハードウェア構成を示す図である。なお、図8に示された各構成のうち、図2に示された構成と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
図8に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10の制御部は、第1の実施形態に係る画像形成装置10の制御部に、バスアービタ118が付加された構成を有する。
【0061】
バスアービタ118は、システムバス116上のデータ転送を制御する。本例では、バスアービタ118は、HDD106と他の構成要素との間におけるデータ転送の中断及び再開を制御する。ここで、バスアービタ118は、転送中のデータを、所定の単位で中断及び再開する。このようにして、バスアービタ118は、データ転送制御手段を構成する。
【0062】
次に、本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置10を説明する。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置10の概要を示す図である。なお、図9に示された各構成のうち、図1に示された構成と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
図9に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10は、第1の実施形態に係る画像形成装置10に対して、外部シート供給装置64及び後処理装置68が付加された構成を有する。
【0063】
外部シート供給装置64は、例えば2段のオプショントレイ66a,66bを有する。オプショントレイ66a,66bの1つが選択されると、選択されたオプショントレイ66a,66bのいずれかからシート搬送路20にシートが供給される。外部シート供給装置64には、オプショントレイ66の近傍に検知手段としての図示しないセンサが設けられている。このセンサは、オプショントレイ66の状態を検知して、制御部に対して出力する。例えば、センサは、オプショントレイ66の開閉されたことを検知する。さらに、外部シート供給装置64には、図示しないジャム除去用カバー及びこのジャム除去用カバーの状態を検知するセンサが設けられている。
【0064】
後処理装置68は、例えばステープラ70などを有し、UI装置114の選択に応じて使い分けられる。ステープラ70が選択されなかった場合には、そのままシート排出トレイ72a,72bいずれかに排出される。後処理装置68には、ソート装置などが含まれてもよい。後処理装置68にも、外部シート供給装置64と同様に、ジャム除去用カバー及びジャム除去用カバーの状態を検知するセンサが設けられている。このセンサもまた、ジャム除去用カバーの状態を検知して、制御部に対して出力する。
【0065】
したがって、本実施形態に係る画像形成装置10は、外部シート供給装置64及び後処理装置68に設けられた例えばジャム除去用カバーの開閉など構成機器の状態を検知し、検知された状態変化に基づいてHDD106を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10の概要を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10の制御部のハードウェア構成を示す図である。
【図3】それぞれの構成機器と、それぞれの構成機器に設定されている制御モードとの関係を示す図である。
【図4】各構成機器の制御モードを設定する設定画面を例示する図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置10において、HDD106の状態を制御する制御プログラム200の機能構成を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置10のデータ転送中における制御処理(S10)のフローチャートを示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置10のデータ転送前における制御処理(S20)のフローチャートを示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置10の制御部のハードウェア構成を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置10の概要を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
10 画像形成装置
12 画像形成部
14 原稿読取装置
16 給紙トレイ
18 手差しトレイ
44 自動原稿送り装置
54 プラテン
56 原稿載置台
60 位置センサ
62 ジャム除去用カバー
64 外部シート供給装置
66 オプショントレイ
68 後処理装置
106 HDD
108 HDDコントローラ
118 バスアービタ
122 ヘッド
124 ディスク
200 制御プログラム
202 設定部
204 記憶部
206 受付部
208 判定部
210 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードディスクドライブと、
前記ハードディスクドライブ以外の少なくとも1つの構成機器の状態を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知された構成機器の状態変化に基づいて、前記ハードディスクドライブを制御するハードディスクドライブ制御手段と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記ハードディスクドライブは、ヘッド及びディスクを有し、
前記ハードディスクドライブ制御手段は、前記検知手段により第1の状態変化が検知された場合、前記ディスクの駆動を制御し、前記検知手段により第2の状態変化が検知された場合、前記ヘッドの位置を制御する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ハードディスクドライブ制御手段は、前記検知手段が第1の状態変化を検知した場合、前記ディスクの回転を停止する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ハードディスクドライブ制御手段は、前記検知手段が第2の状態変化を検知した場合、前記ヘッドを退避する
請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ハードディスクドライブ制御手段は、前記検知手段が構成機器が所定の状態に復帰したことを検知した場合、前記ハードディスクドライブをアクセス可能状態にする
請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記構成機器は複数であり、
それぞれの構成機器と、それぞれの構成機器に設定された制御モードとの関係を記憶する記憶手段をさらに有する
請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ハードディスクドライブ制御手段は、前記記憶手段に記憶されている関係にさらに基づいて前記ハードディスクドライブを制御する
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ハードディスクドライブへのデータ転送の中断及び再開を制御するデータ転送制御手段をさらに有する
請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記データ転送制御手段は、前記検知手段により検知された状態変化に基づいて、前記ハードディスクドライブへのデータ転送を制御する
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記データ転送制御手段は、前記検知手段が構成機器が所定の状態から移動されたことを検知した場合、前記ハードディスクドライブへのデータ転送を中断する
請求項8又は9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記データ転送制御手段は、前記検知手段が構成機器が所定の状態に復
帰したことを検知した場合、前記ハードディスクドライブへのデータ転送を再開する
請求項8乃至10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記データ転送制御手段は、構成機器が所定の状態から移動されている間、前記ハードディスクドライブへのデータ転送を停止する
請求項8乃至11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記データ転送制御手段は、DMA方式の制御装置である
請求項8乃至12のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記データ転送制御手段は、バスアービタである
請求項8乃至12のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
コンピュータと、ハードディスクドライブと、前記ハードディスクドライブ以外の少なくとも1つの構成機器の状態を検知する検知手段とを含む画像形成装置において、
前記検知手段により構成機器の状態変化が検知された旨を受け付ける受付ステップと、
前記受け付けられた構成機器の状態変化に基づいて前記ハードディスクドライブを制御するハードディスクドライブ制御ステップと
を前記画像形成装置のコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−117480(P2008−117480A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300266(P2006−300266)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】