説明

画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】コロナ帯電装置の放電により発生する放電生成物に起因する像担持体の汚染を抑制することができる画像形成装置及びこれに使用されるプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】制御部15でゼオライト粉体供給手段10から感光体1の表面に供給されて所定幅で形成されるゼオライト粉体層Z1の回転角及びゼオライト粉体層Z1の先端位置がコロナ帯電装置2の直下位置に到達するまでの回転角を算出する。これらの回転角に基づいて、感光体1を回転させて、ゼオライト粉体供給手段10からゼオライト粉体Zを感光体1の表面1aに供給して所定幅のゼオライト粉体層Z1を形成する。ゼオライト粉体層Z1をコロナ帯電装置2の直下位置まで搬送して感光体1の回転を停止し、ゼオライト粉体層Z1がコロナ帯電装置2の直下領域の感光体1の表面部分を被覆する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置に係り、像担持体の表面を一様に帯電するコロナ帯電装置を搭載した画像形成装置及びこれに使用されるプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、一様に帯電された像担持体である感光体上に画像データにより変調された書込光を照射して、感光体上に静電潜像を形成し、この静電潜像の形成された感光体に現像装置によりトナーを供給してトナー画像を感光体上に形成して現像する。続いて、画像形成装置は、この感光体上のトナー画像を転写部で転写紙、或いは中間転写体等の転写材に転写する。そして、転写紙にトナー像が転写された場合には、直接、又、中間転写体に転写した場合には、2次転写部で中間転写体上のトナー像を転写紙に転写した後、定着装置で転写紙上に転写したトナー像を加熱・加圧して定着させる。その後、感光体表面に残留したトナーをクリーニング装置のクリーニングブレードにより掻き取る等の方法により回収する。画像形成装置は、以上のような画像形成プロセスが採られる。
【0003】
この場合に、感光体表面を一様に帯電する帯電手段としてコロナ帯電装置が用いられる場合がある。コロナ帯電装置で使用されるコロナ放電は、不均一な電界中で行われる局所的な空気の絶縁破壊によって生じる持続的な放電である。一般には、微小径のワイヤをアルミなどのシールドケース中に引張し、そのシールドケースの一辺を開放したような構造をしており、その開放された領域からコロナイオンが放出される構成となっている。コロナワイヤに印加する電圧を増加していくと、ワイヤの周囲に局所的な強い電場が形成され、部分的な空気の絶縁破壊が起こり、放電が持続する。これがコロナ放電である。
【0004】
コロナ放電の放電形態は、印加電圧の極性により大きく左右される。正コロナ放電の場合は、コロナワイヤ面に均一な放電が形成される。負コロナ放電の場合は、ストリーマ放電が点在する形の放電形態となる。正コロナ放電は帯電の均一性がかなり良いが、負コロナでは放電ムラが発生するため、正コロナより劣る。また、放電による発生するオゾンの量は負コロナのほうが正コロナよりも一桁程度多く、環境に対する負荷も大きい。
【0005】
このようなコロナ帯電装置を、画像形成装置の感光体の表面を一様に帯電する帯電手段として使用すると、放電による空気中の物質が反応して窒素酸化物等の放電生成物と呼ばれる物質が生成されることが知られている。このような放電生成物は、画像形成時に画像品質にも悪影響を与えることがあり、長時間放電後の放置によるコロナ帯電装置の直下の感光体において濃度ムラを発生する場合がある。このようなコロナ帯電装置で発生する窒素酸化物による感光体表面の変質は、異常画像を生じる要因である。特にスコロトロン型コロナ帯電装置においては、長期に渡って使用されることでグリッド電極上に蓄積された放電生成物が、感光体上に降り注ぎ、感光体表面の変質を促進するという問題を有しており、放電生成物に起因する、異常画像の抑制に対し解決手段として様々な検討がなされてきた。
【0006】
特許文献1〜5では、感光体表面に付着した放電生成物を除去するため、感光体表面上にゼオライト等の放電生成物の除去粒子を塗布することで、異常画像の発生を防止している。しかしながら、これらの特許文献1〜5記載のものでは、放電生成物の除去粒子を画像形成時に感光体の表面に塗布するものである。そのため、放電生成物の除去粒子の塗布時期が放電生成物が感光体表面に付着し易い画像形成が終了した時期と異なるために放電生成物の除去を効果的に行われていなかった。しかも、一度感光体表面に付着した放電生成物は容易に脱離することは困難であることから、効果は不十分であった。
【0007】
また、特許文献6においては、現像剤を利用し、現像剤の掻き取り動作を実施することによって感光体表面に付着した放電生成物を除去する方法が提案されている。しかしながら、現像剤の掻き取りによって、感光体の寿命が短くなってしまう不具合や、感光体の最表面より内部まで浸透した放電生成物は、現像剤の掻き取りによっても効果が不十分であるという問題を有していた。
【0008】
また、特許文献7〜8では、帯電装置にエアーを吹き付ける方法により放電生成物を取り除く方法が提案されている。しかしながら、本方法はエアーの吹き付け時には放電生成物を像担持体へ付着を抑制する効果を得られるものの、エアーを停止することで放電生成物の像担持体への付着を抑制ができなくなるため、夜間や休日等、長時間使用しない場合においても、常時エアーを吹き付ける必要があるという点で問題を有していた。
【0009】
また、特許文献9では、帯電部、転写部等のチャージャ付近で発生する放電生成物であるオゾン及びNOxの濃度低下を効率よく行える画像形成装置を提供するため、放電ワイヤに対向する面上に放電生成物を分解するための光触媒物質(酸化チタン等の半導体)を有するようにしている。このように放電ワイヤに対向する面上に放電生成物を分解するための光触媒物質を配設することで、帯電部等の放電個所付近で発生する放電生成物であるオゾンやNOxを効率よく分解し、その濃度を低下させることを可能にしているが、長期に渡る使用において、放電生成物の分解能力が不十分であることが予想される。
【0010】
また、特許文献10では、帯電装置を加熱することで、帯電装置に付着している放電生成物を除去する手段が提案されている。しかしながら高温での加熱が必要であるため、帯電装置の加熱を行う際に、隣接している感光体も加熱されてしまい、感光体の劣化を引き起こしてしまうという問題を有していた。
【0011】
【特許文献1】特開2002−268488号公報
【特許文献2】特開2003−005603号公報
【特許文献3】特開2003−029587号公報
【特許文献4】特開2003−029593号公報
【特許文献5】特開2003−076237号公報
【特許文献6】特開平10−186853号公報
【特許文献7】特開2004−109538号公報
【特許文献8】特開2004−287316号公報
【特許文献9】特開2001−075338号公報
【特許文献10】特開2001−312122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は以上の事情に鑑み、コロナ帯電装置の放電により発生する放電生成物に起因する像担持体の汚染を抑制することができる画像形成装置及びこれに使用されるプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、移送させて表面に静電潜像が形成される像担持体と、当該像担持体の表面を帯電するコロナ放電電極を有するコロナ帯電装置とを備えた画像形成装置において、
前記コロナ帯電装置に対して前記像担持体の移送方向の上流側で前記像担持体の表面にゼオライト粉体を供給するゼオライト供給手段を有し、
前記像担持体の画像形成動作の終了時に、当該像担持体の画像形成動作の終了を検知して前記ゼオライト供給手段から前記像担持体の表面にゼオライト粉体を供給すると共に、前記像担持体を移送させて、前記像担持体の表面にゼオライト粉体層を形成し、当該ゼオライト粉体層が前記コロナ帯電装置に対向する領域に到達したときに、像担持体の移送を停止させるように制御する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、
前記コロナ帯電装置は、前記コロナ放電電極と、当該コロナ放電電極と前記像担持体との間に配設される帯電グリッドを備えたコロナ帯電装置であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の画像形成装置において、
前記ゼオライト粉体が、A型結晶型を有するゼオライト粉体、X型結晶型を有するゼオライト粉体及びY型の結晶型を有するゼオライト粉体の少なくとも1種の結晶型を有するゼオライト粉体であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置において、
前記像担持体は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層を有する感光体であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、
前記感光体は、前記感光層の表面に架橋表面保護層を有する感光体であることを特徴とする。
【0018】
また、請求項6の発明は、請求項5記載の画像形成装置において、
前記架橋表面保護層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物との反応物から構成されていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項7の発明は、表面に静電潜像が形成される像担持体と、少なくとも当該像担持体の表面を帯電するコロナ放電電極を有するコロナ帯電装置と、当該コロナ帯電装置に対して前記像担持体の移送方向の上流側で前記像担持体の表面にゼオライト粉体を供給するゼオライト供給手段とを一体に連結し、画像形成装置本体に脱着可能に設置されるプロセスカートリッジにおいて、
前記画像形成装置は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像形成装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、像担持体の画像形成動作の終了時に、当該像担持体の画像形成動作の終了を検知してゼオライト供給手段から前記像担持体の表面にゼオライト粉体を供給すると共に、前記像担持体を移送させて、前記像担持体の表面にゼオライト粉体層を形成し、当該ゼオライト粉体層がコロナ帯電装置に対向する領域に到達したときに、像担持体の移送を停止させるように制御する制御装置を備えたことによって、コロナ帯電装置の放電により発生する放電生成物に起因する像担持体の汚染を抑制することができる画像形成装置及びこれに使用されるプロセスカートリッジを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明による一実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置の概略構成を示す模式図である。本実施形態に係る画像形成装置は、像担持体であるドラム状の感光体1を中心としてその周囲に、感光体1の表面の後述する感光層を一様に帯電するコロナ帯電装置2、感光体1の感光層に画像データにより変調された書き込み光Lを照射して、静電潜像を形成する露光装置3、当該露光装置3によって形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像を感光体1の表面に形成する現像装置4を備えている。さらに、画像形成装置は、図示しない給紙装置から1枚ずつ搬送される転写紙Pに感光体1の表面に形成されたトナー像を転写する転写装置5、転写紙Pにトナー像を転写後に感光体1の表面に残存するトナーを感光体1の表面から除去するクリーニング装置6及び、クリーニング後に残存する感光体1の表面電荷を除電する除電装置7を備えている。
【0023】
また、画像形成装置は、図示しない給紙装置から1枚ずつ搬送される転写紙Pの搬送を停止し、所定のタイミングで転写紙Pを転写装置5と感光体1との間に搬送するレジストローラ8と、転写装置5で転写紙P上に転写されたトナー像を加熱、加圧して、転写紙P上にトナー像を定着する定着装置9とを備えている。
【0024】
このような画像形成装置によって転写紙P上に画像形成する方法について説明する。先ず、最初に、コロナ帯電装置2により感光体1の表面電位が(±)600〜1400Vになるように電荷を付与して感光体1の表面を一様に帯電する。このような電荷の付与(荷電)が行われた後、露光装置3により潜像形成が行われる。アナログ複写機の場合、露光ランプで照射された原稿像がミラーにより逆像の形で感光体1に可視光投影され結像されるが、デジタル複写機の場合にはCCD(電荷結合素子)で読み取られた原稿像はデジタル信号に変換されて、波長400〜780nmの光を発光するLDやLEDによって感光体上に結像される。従って、アナログとデジタルの波長域は異なる。結像によって後述する感光体1の感光層では電荷分離が行われ、感光体1に静電潜像が形成される。
【0025】
原稿に応じた静電潜像の形成が行われた感光体1は、現像装置4で現像剤により現像が行われ、原稿像は顕像化(トナー像)される。次に、感光体1上のトナー像は転写装置5に電圧を印加することにより転写紙Pに転写される。転写で印加される電圧は感光体1に流れる電流が一定となるよう定電流制御となっている。一方、感光体1は、転写後、クリーニングブラシ6a及び弾性ゴムクリーニングブレード6bを有するクリーニング装置105でトナー像が転写された後に感光体1上に残存ずるトナーが清掃され清浄化される。クリーニング後の感光体1にはトナー像を形成されたあとの潜像(原稿像)が多少なりとも保持されているため、消去し均一化するために除電装置(一般に赤色光が使用される)7で除電された後、次の複写プロセスが繰り返される。
【0026】
また、本実施形態に係る画像形成装置においては、このような複写プロセスが終了して、感光体1の回転(移送)が停止された場合、後述するように、感光体1の表面にゼオライト粉体供給手段10によってゼオライト粉体Zが供給されて感光体1を回転させて感光体1の表面1aにゼオライト粉体層Z1を形成するようになっている。そして、図2に示すように、ゼオライト粉体層Z1がコロナ帯電装置2に対向する領域に到達したときに、感光体1の回転を停止させてコロナ帯電装置2に対向する領域の感光体1の表面1aをゼオライト粉体層Z1で被覆するようになっている。その結果、コロナ帯電装置2から落下する放電生成物がコロナ帯電装置2に対向する領域の感光体1の表面1aに付着することを抑制することが可能となっている。
【0027】
上記、本実施形態に係る画像形成装置においては、感光体1と、コロナ帯電装置2、現像装置4、クリーニング装置6、除電装置7及びゼオライト粉体供給手段10を一体に連結し、画像形成装置本体に脱着可能に取り付けられたプロセスカートリッジを構成している。従って、このプロセスカートリッジを画像形成装置本体から引き出せば、これらの装置の保守、点検及び交換を容易且つ確実に行うことが可能となっている。コロナ帯電装置2、現像装置4、クリーニング装置6、除電装置7及びゼオライト粉体供給手段10は、それぞれ独立して画像形成装置本体に組み込んでも良いが、上記のように、プロセスカートリッジとする場合には、これらの装置の保守、点検及び交換を容易且つ確実に行うことが可能となるので好ましい。この場合に、プロセスカートリッジとしては、少なくとも感光体1とコロナ帯電装置2及びゼオライト粉体供給手段10とを一体に連結したプロセスカートリッジであれば充分である。
【0028】
次に、コロナ帯電装置を使用した場合の問題点について説明する。
【0029】
[放電生成物が引き起こす課題]
(コロナ帯電装置の対向部分で生じる直下濃度ムラ)
コロナ帯電装置2から発生する放電生成物により起こる課題としては、まず長時間放電後の放置によるコロナ帯電装置2の直下濃度ムラがある。これは画像形成動作中のコロナ帯電装置2の放電時に発生し、コロナ帯電装置2の内壁に付着した放電生成物が、画像形成装置が停止している間に徐々に被帯電体である感光体1の表面1aを汚染し、コロナ帯電装置2と対向する領域の感光体1の表面部分(以下直下部という)とそれ以外の部分での表面電位に差が生じ、結果として画像濃度ムラが発生するという課題である。この課題は20%RH程度の低湿環境下でより顕著に発生し、常温常湿環境下に置かれることで次第に回復する。そして、感光体表面1aが放電生成物と可逆的に反応し、静電容量が増大または抵抗が低下しているために電位差が生じることが確認されている。
【0030】
いずれの感光体においても発生が確認されているが、特に保護層として表面に架橋性の硬化膜を設けた感光体1では、感光体1の最表面が、後述する高分子樹脂膜を主体に形成される電荷輸送層に比べ、膜のガス透過性が高く、放電生成物による内部への浸透が大きい。そのため、濃度ムラの発生が顕著であるという問題を有していた。
【0031】
図3(a)はコロナ帯電装置直下濃度ムラが生じた場合の画像の様子を示す図であり、図3(b)は該画像に対応する感光体表面電位を示す図である。この図3(a)から明らかなように、転写紙Pの搬送方向(通紙方向)において、所定間隔で画像濃度が異なるライン状の異常画像APが発生し、この異常画像が発生した個所の感光体1の表面電位が上昇した凹部Xが発生していることが理解される。
【0032】
(コロナ帯電装置直下の課題)
機外に排出する放電生成物を削減するには排出までの経路にフィルター等に担持させた形態で効果を発揮するが、放電生成物により最も汚染されるのはコロナ帯電装置直下にある感光体であり、コロナ帯電装置と感光体間は安定した帯電が行われるために1〜2mm程度の一定間隔を設けて固定されていることが多い。そのため放電生成物による感光体の汚染を抑制するためには、前述のようにコロナ帯電装置に付着している放電生成物を加熱手段やエアー等で除去する方法や感光体に付着した放電生成物を後から除去する方法が提案されているが、それぞれ、課題や効果が不十分であるなどの問題を有していた。
【0033】
従って、本発明では放電生成物が感光体停止時に付着することを事前に防ぐため、感光体による画像形成動作を終了した後に、前記図2で説明したように、ゼオライト粉体供給手段10から感光体1の表面にゼオライト粉体を供給付着させながら感光体1を回転させて感光体1の表面1aにゼオライト粉体層Z1を形成する。そして、このゼオライト粉体層Z1が帯電装置2の直下部に到達、配設されたときに、感光体1の回転を停止するような制御機構を採用することで、画像形成動作の終了後に帯電装置放2の直下で発生し易い電生成物の感光体1の表面への付着を効果的に抑制することを可能にしている。
【0034】
ゼオライト粉体は放電生成物の吸着能力が高いことから、上記のような本発明の構成を採用することによって、顕著な効果が得られる。更に、本構成においては、付与されるゼオライト粉体は、画像形成動作の開始と共に、クリーニング装置6によって除去され、画像形成動作終了と共にゼオライト供給手段10から供給されるようになっている。従って、画像形成動作終了後の帯電装置2の直下部分の感光体表面部分は、常時新しいゼオライト粉体で被覆されることになるため、ゼオライト吸着能力が劣化する問題がない。また、帯電装置2が繰返使用され、帯電装置2内の放電生成物量が増加した際にも、ゼオライトが高い吸着能力を示すため、感光体1の汚染を抑制することができる。また、放電生成物が付着する帯電装置2直下部のみにゼオライト粉体を設ければ良いので、感光体1全面に付与する方法に比べ、より効率的な方法であり、長期に渡って交換作業がなくメンテナンス性にも優れた特徴を有する。
【0035】
[ゼオライト粉体について]
本発明では、放電生成物除去にゼオライト粉体を利用している。ゼオライトは水晶のような結晶で、主にアルミニウムとケイ素から構成されている。結晶は非常に小さく、目視では形や大きさを見ることはできない。拡大して見ると、細孔と呼ばれる孔が多く存在することが確認できる。この独自の構造を持つゼオライトは、今まで自然界に40種類以上発見されている。そして、下記に示す吸着・分解機能に代表されるゼオライトの特徴をさらに活かすため、工業的に作られたものを合成ゼオライトと呼ぶ。合成ゼオライトは、能力が高く天然ゼオライトにはない種類のものが多数存在するが、コストが高いことが欠点である。第3のゼオライトとして登場したのが人工ゼオライトである。石炭灰などの廃棄物と考えられていた物質を処理することで、地球と人類に有益なゼオライトに変える。しかも低コストであるため、現在、大きな注目を集めている材料である。
【0036】
・吸着機能
ゼオライトは様々なものを吸着する働きがあり、そのメカニズムは脱臭剤や乾燥剤と類似している。この機能を活かすことで、有害物質の吸着や悪臭の除去が可能である。
・陽イオン交換機能
ゼオライトは天然ゼオライトの約2〜3倍という高い陽イオン交換機能を持っており、この機能を活かすことで、酸性を中和する土壌改良や汚水・排水中のアンモニウムイオンの除去などが可能である。
・触媒機能
ゼオライトには触媒としての機能があり、この機能を利用して、窒素酸化物(NOx)の分解等が研究されている。
【0037】
また、ゼオライト粉体は結晶形と陽イオンの種類により細孔の大きさが変化するため吸着できる分子が異なる。そのため目的物質により結晶形と陽イオン種を選択すると効果的な除去が可能である。結晶形にはA型・X型・Y型・L型・モルデナイト型・フェリエライト型・ZSM−5型・ベータ型などがあり、陽イオン種にはカリウム・ナトリウム・カルシウム・アンモニウム・水素などがある。また、ゼオライトを構成するアルミニウムとケイ素の比率により吸着能や触媒能は変化し、最適な比率とすることで目的物質の除去が効率的に行うことができる。これらの各種ゼオライトのなかで、A型、X型、Y型は特に優れた吸着能力を示すことから、特に望ましい。
【0038】
(ゼオライト粉体供給方法)
10〜50mm幅のコロナ帯電装置2の直下部の感光体1の表面部分にゼオライト粉体を付与する方法としては、画像形成動作が終了して感光体1の回転を停止させる直前にゼオライト粉体供給手段10によって、回転している感光体1の表面1a上にゼオライト粉体Zを前記コロナ帯電装置2の幅W0(図2参照)と等幅かそれより広幅の幅W1で供給、付与してゼオライト粉体層Z1を形成した後、図2に示すように、ゼオライト粉体層Z1が帯電装置2の直下位置に移動したときに、感光体1の回転を停止させるように、ゼオライト粉体供給手段10及び感光体1の回転を制御する方法がある。また、他の方法としては、感光体1の回転が停止した後、ゼオライト粉体供給手段10によって、感光体1の表面1a上にゼオライト粉体Zを供給しながら感光体1を再度回転させて、所定幅のゼオライト粉体層Z1を形成し、ゼオライト粉体層Z1が帯電装置2の直下位置に移動した際に、感光体1の回転を停止させて、ゼオライト粉体層Z1を帯電装置2の直下位置に配設するように、ゼオライト粉体供給手段10及び感光体1の回転を制御する方法のいずれの手段も取ることが可能である。なお、この場合において、画像形成動作終了とは、一連の画像形成動作が終了した場合に限らず、例えば、画像形成装置の使用当日の使用終了時等の所定時間、画像形成動作が行われない場合も包含している。
【0039】
また、感光体1の表面1a上にゼオライト粉体を供給する方法としては、ゼオライト粉体固形物からブラシローラ等でゼオライト粉体を削り取り、前記ブラシローラを感光体1の表面1aに接触させて削り取ったゼオライト粉体を感光体1の表面1aに供給する接触式の方法や、ゼオライト粉体をエアースプレーを用いて感光体1の表面1aに吹きつけにより供給させる非接触式方法のいずれの方法も取ることが可能である。上記特定された箇所におけるゼオライト粉体の付着量は例えば5〜80mg/cmが適当である。
【0040】
次に、ゼオライト粉体層を、コロナ帯電装置2の直下の感光体の表面部分に配設する具体的な制御方法について、図4及び図5に基づいて説明する。図4は、本発明による一実施形態に係る画像形成装置で使用される制御装置の概略構成を示す模式図である。図5は、図4のA−A線上で切断した断面図である。
【0041】
本実施形態に係る制御装置は、図4に示すように、感光体1の回転軸1bに回転軸1bと共に回転するエンコーダディスク11と、エンコーダディスク11の外周部分に形成された基準孔11aと所定間隔で形成された透孔11bを検知する光学センサ12とを備えている。そして、エンコーダディスク11と光学センサ12とから感光体1の回転の停止や感光体1の回転角度を検知する感光体回転角検知手段13を備えている。従って、感光体回転角検知手段13によって、感光体1の回転停止位置を検知すると共に、感光体1の回転停止位置からゼオライト粉体供給手段10及びコロナ帯電装置2に対向する感光体1の表面1aの位置を検知することが可能となっている。
【0042】
さらに、制御装置は、画像形成装置の画像形成動作終了を検知する画像形成動作終了検知手段14を備えている。この画像形成動作終了検知手段14は、一連の画像データに基づく画像形成動作の終了や一連の画像データの画像形成動作が終了して所定時間次の画像形成動作が行われないとき等の予め設定された画像形成動作終了時を検知して出力信号が出力されるようになっている。
【0043】
これらの感光体回転角検知手段13からの検知出力及び画像形成動作終了検知手段14からの検知出力によって、感光体1を回転駆動する駆動モータ16を作動させて感光体1を所定角度回転させたり、ゼオライト粉体供給手段10からのゼオライト粉体の感光体表面1aへの供給動作を制御部15で制御するようになっている。即ち、感光体回転角検知手段13からの検知出力によって制御部15で感光体1の回転を停止した際の回転体の基準位置を検知し、この基準位置からゼオライト粉体供給手段10及びコロナ帯電装置2までの回転角度を算出する。さらに、制御部15でゼオライト粉体供給手段10から感光体1の表面に供給されて所定幅で形成されるゼオライト粉体層Z1の終端位置と先端位置との間の回転角及び、ゼオライト粉体層Z1の先端位置がコロナ帯電装置2の直下位置に到達するまでの回転角を算出する。そして、制御部15では、これらの回転角に基づいて、感光体1を回転させて、ゼオライト粉体供給手段10からゼオライト粉体Zを感光体1の表面1aに供給して所定幅のゼオライト粉体層Z1を形成する。さらに、このようにして形成されたゼオライト粉体層Z1をコロナ帯電装置2の直下位置まで搬送して感光体1の回転を停止し、ゼオライト粉体層Z1がコロナ帯電装置2の直下領域の感光体1の表面部分を被覆するようになっている。この場合、ゼオライト粉体層Z1がコロナ帯電装置2の直下位置になるようにするためには、感光体1を1回転以上回転して、所定位置となるように制御部15で制御しても良い。
【0044】
また、本実施形態においては、像担持体として、ドラム状の感光体を使用しているが、無端状の感光体ベルトを使用し、この感光体ベルトを張架し、移送駆動する支持ローラに前記エンコーダディスクス11や光センサ12を取り付けて感光体ベルトの移送距離を検知するものであっても良い。
【0045】
また、本発明で使用されるコロナ帯電装置としては、コロトロン型コロナ帯電装置及びスコロトロン型コロナ帯電装置のいずれで使用することが可能であるが、安定した帯電性能を発揮するスコロトロン型帯電装置が好適である。図6及び図7にコロトロン型コロナ帯電装置及びスコロトロン型コロナ帯電装置の概略構成およびその帯電特性を示す。
【0046】
<コロナ帯電装置とその特徴>
(1)コロトロン型コロナ帯電装置
コロトロン型コロナ帯電装置2Aの概略構成とそれを用いた場合の帯電状態について図6に示す。図6(a)は、コロトロン型コロナ帯電装置の概略構成を示し、帯電装置2Aは直径50〜100umのタングステンワイヤ2aを1cm程度離して金属シールドケース2bでシールドした構成である。シールドケース2bの開口面2cを感光体1に対向して配置した状態で、コロナワイヤ2aに5〜10kVの高電圧を印加し、これによって発生した正または負イオンを感光体1の表面1aに移動させて帯電する。図6(b)は、帯電装置2Aの帯電時間と感光体1の表面電位との関係を示すグラフで、図6(b)に示すようにコロトロン型コロナ帯電装置2Aは一定量の電荷発生を行うので、感光体1の表面1aを均一に一定電位に帯電するまでに比較的長時間を要する。従って、感光体1の表面を短時間で一定電位にする帯電装置としては必ずしも得意ではない。しかし、構造が簡単であり、安価であるという利点がある。そのため、一定電荷を転写紙に与えることを目的とする転写用の帯電装置としては特に有効である。
【0047】
(2)スコロトロン型コロナ帯電装置
スコロトロン型コロナ帯電装置2Bは、感光体1の表面1aの帯電電位のムラを少なくするために考案されたものである。図7(a)コロトロン型コロナ帯電装置の概略構成を示し、帯電装置2は直径50〜100umのタングステンワイヤ2aを1cm程度離して金属シールドケース2bでシールドしている。さらに、図7(a)に示すように、コロトロンの開口面2cに数本〜30本程度のワイヤ或いはメッシュをグリッド電極2dとして配置した構成である。このスコロトロン型帯電装置の開口面2cを感光体1に対向させ、グリッド電極にバイアス電圧を印加する。
【0048】
スコロトロン型コロナ帯電装置2Bの帯電特性を図7(b)に示す。スコロトロン型コロナ帯電装置2の特徴は帯電時間が長くなってもグリッド電極に印加された電圧によって帯電電位が規制され、表面電位が飽和することである。この飽和値はグリッド印加電圧により制御できる。従って、比較的短時間で感光体1の表面を安定して所望の表面電位にすることができる利点を有する。しかし、スコロトロン型コロナ帯電装置2Bは、コロトロン型2Aに比べて構造が複雑で帯電効率も劣るが、帯電電位の均一性に優れ、広く使用される。電子写真方式の画像形成装置におけるグリッド電極2dは帯電グリッドと呼ばれる。
【0049】
[感光体の構成]
次に、本発明で使用される電子写真感光体の部分について図面に基づいて説明する。
図8は、本発明に用いる一実施形態に係る電子写真感光体を表わす断面図である。図8は、導電性支持体31上に、中間層33、電荷発生機能を有する電荷発生層35と、電荷輸送物機能を有する電荷輸送層37が積層された積層構造の感光体の断面構造を示している。図9は、本発明に用いる他の実施形態に係る電子写真感光体を表わす断面図である。図9は図8で示す感光体の電荷輸送層37上に保護層39が積層された感光体の断面構造を示している。
【0050】
<導電性支持体について>
導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭58−86547号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、導電性支持体31として用いることができる。
【0051】
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0052】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、導電性支持体31として良好に用いることができる。
【0053】
<中間層について>
導電性支持体31上から感光層への電荷注入の防止や、干渉縞防止の目的のために設けることができる中間層33の構成は、結着樹脂や結着樹脂中に粒子を分散したものが用いられ、結着樹脂としてはポリビニルアルコール、ニトロセルロース、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン、アルキッド−メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂などを利用することができる。中間層に分散させる粒子としては酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、シリカ及びそれらの表面処理品が用いられ、酸化チタンが分散性、電気的特性においてより好ましく、ルチル型とアナターゼ型いずれのものも用いることが可能である。中間層を形成するには、例えば上述の結着樹脂を有機溶剤中に溶解し、その溶液中に上述の粒子をボールミル、サンドミル等の手段で分散し、支持体上に塗布、乾燥すれば良い。中間層の厚みは10μm以下、好ましくは0.1〜6μmである。
【0054】
<感光層について>
(電荷発生層)
電荷発生層35は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダ樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
【0055】
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
【0056】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0057】
電荷発生層35に必要に応じて用いられるバインダ樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらのバインダ樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層のバインダ樹脂として上述のバインダ樹脂の他に、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料やポリシラン骨格を有する高分子材料等を用いることができる。
【0058】
また、電荷発生層35には低分子電荷輸送物質を含有させることができる。電荷発生層35に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0059】
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0060】
電荷発生層35を形成する方法には、真空薄膜作製法や溶液分散系からのキャスティング法等が挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダ樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0061】
(電荷輸送層)
電荷輸送層37は電荷輸送機能を有する層で、電荷輸送機能を有する電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層35上に塗布、乾燥することにより形成させる。 電荷輸送物質としては、前記電荷発生層35で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質を用いることができる。
【0062】
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独でも結着樹脂との併用も可能である。電荷輸送層の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。また、電荷輸送層37の形成には電荷発生層35と同様な塗工法が可能である。
【0063】
また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。電荷輸送層に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。電荷輸送層の膜厚は、5〜50μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
【0064】
(保護層)
本発明で使用できる電荷発生層35、電荷輸送層37などの感光層上に形成される架橋表面層39としては、少なくとも重合性化合物を重合することにより形成されることが望ましい。機械的耐久性の観点から重合性官能基の数は分子内に3つ以上有している重合性化合物が好ましく用いられる。つまり3官能以上の重合性化合物を重合することで3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度且つ高弾性な表面層が得られ、かつ均一で平滑性も高く、高い耐摩耗性、耐傷性が達成される。架橋表面層39は、1μm以上、15μm以下の膜厚、より好ましくは2μm以上、10μm以下の膜厚を設けることで、クラックや膜剥がれが発生せず、且つ非常に高い耐摩耗性が達成される。
【0065】
この様に感光体表面の架橋密度すなわち単位体積あたりの架橋結合数を増加させることが重要であるが、重合反応において瞬時に多数の結合を形成させるため体積収縮による内部応力が発生する。この内部応力は架橋型保護層の膜厚が厚くなるほど増加するため架橋表面層全層を硬化させると、クラックや膜剥がれが発生しやすくなる。この現象は初期的に現れなくても、電子写真プロセス上で繰り返し使用され帯電、現像、転写、クリーニングのハザード及び熱変動の影響を受けることにより、経時で発生しやすくなることもある。
【0066】
また、本発明の架橋表面層の形成においては、重合性化合物に加え、電荷輸送性化合物(重合性官能基の有無は問わないが、機械的耐久性の観点からは重合性官能基を有するものの方が好ましく使用できる)を含有することも可能である。重合性官能基を有する電荷輸送性化合物としては硬化樹脂構造の歪みや、架橋表面層の内部応力の観点から官能基数が少ない方が好ましく、1官能の電荷輸送性化合物が良好に用いることが出来る。
【0067】
次に、本発明の架橋表面層塗布液の構成材料について説明する。
本発明に用いられる重合性化合物のうち、電荷輸送性構造を有しない重合性化合物としては、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つ重合性官能基を有するモノマーを指す。この重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、重合可能な基であれば何れでもよい。これら重合性官能基としては、例えば、下記(10)式に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
【0068】
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の(10)式で表される官能基が挙げられる。
CH2=CH−X1− ・・・・(10)
(ただし、(10)式中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。)
【0069】
これらの官能基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
【0070】
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の(11)式で表される官能基が挙げられる。
CH2=C(Y)−X2− ・・・・(11)
(ただし、(11)式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR1213(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、X2は上記式10のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y、X2の少なくとも何れか一方が、オキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの官能基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
【0071】
なお、これらX、X、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらの重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、アクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中にある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、メタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、重合性官能基を2個以上有する単量体中の重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
【0072】
電荷輸送性構造を有しない重合性化合物としては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマー、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
【0073】
また、本発明に用いられる重合性化合物のうち、電荷輸送性構造を有しない重合性化合物としては、架橋表面層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、この割合が250より大きい場合、架橋型架橋表面層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下する傾向が出てくるため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプロラクトン等の変性基を有する化合物においては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。また、架橋表面層に用いられる電荷輸送性構造を有しない重合性モノマーの成分割合は、架橋表面層全量に対し20重量%以上、好ましくは30重量%以上である。モノマー成分が20重量%未満では架橋表面層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が望めない傾向がある。また、80重量%を超えると電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気特性の劣化が生じる傾向がある。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の架橋表面層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30重量%以上が最も好ましい。
【0074】
本発明の架橋表面層に用いられる電荷輸送性化合物には重合性官能基を有しないもの及び有するものいずれも良好に用いることができる。また電気特性的には光エネルギー照射時には電荷輸送性化合物は含まないことが好まれるが、さらなら機械的耐久性の向上等の高機能化を目的としては、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物も同時に光硬化してもよい。重合性官能基を有しない電荷輸送性化合物としては電荷輸送層の部分で記載した電荷輸送材料が良好に用いられる。また重合性官能基を有するものとしては従来から知られているもの(特開2005−107401、特開2006−011014、特開2006−154796)が良好に用いられるが、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つ重合性官能基を有する化合物を指す。この重合性官能基としては、先の電荷輸送性構造を有しない重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造が高い効果を有し、中でも下記一般式(1)又は(2)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
【0075】
【化1】

【0076】
{式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR89(R8及びR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar1、Ar2は置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。}
【0077】
以下に、一般式(1)、(2)の具体例を示す。
前記一般式(1)、(2)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。R1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
【0078】
Ar3、Ar4は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
【0079】
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
【0080】
また、前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR2)であり、R2は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)下記式(12)で示す基が挙げられる。
【0081】
【化2】

【0082】
(式中、R3及びR4は各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R3及びR4は共同で環を形成してもよい。)
【0083】
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
【0084】
前記Ar1、Ar2で表わされるアリーレン基としては、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基から誘導される2価基である。前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
【0085】
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
【0086】
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
【0087】
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、下記式(13)及び(14)が挙げられる。
【0088】
【化3】

【0089】
で表わされ、R5は水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
【0090】
前記Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。置換もしくは無置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン2価変性基が挙げられる。
また、本発明の電荷輸送性構造を有する重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(3)の構造の化合物が挙げられる。
【0091】
【化4】

【0092】
(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは下記の単結合、メチレン基、エチレン基、を表わす。)
【0093】
【化5】

【0094】
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(1)及び(2)特に(6)の重合性官能基を有する電荷輸送性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、電荷輸送性構造を有しない重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造をとりうるものと推測される。
【0095】
また本発明においては下記一般式(4)で示した特定のアクリル酸エステル化合物も重合性官能基を有する電荷輸送性化合物として良好に用いることができる。
【0096】
−Ar−CH=CH−Ar−B 一般式(4)
【0097】
Ar5は置換又は無置換の芳香族炭化水素骨格からなる一価基または二価基を表す。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、ビフェニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ベンジル基、ハロゲン原子が挙げられる。また、上記アルキル基、アルコキシ基は、さらにハロゲン原子、フェニル基を置換基として有していても良い。Ar6は、少なくとも1個の3級アミノ基を有する芳香族炭化水素骨格からなる一価基または二価基もしくは少なくとも1個の3級アミノ基を有する複素環式化合物骨格からなる一価基または二価基を表すが、ここで、3級アミノ基を有する芳香族炭化水素骨格とは下記一般式(A)で表される。
【0098】
【化6】

【0099】
(式中、R13、R14はアシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Ar7はアリール基を表す。wは1〜3の整数を表す。)
【0100】
13、R14のアシル基としてはアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。R13、R14の置換もしくは無置換のアルキル基はAr5の置換基で述べたアルキル基と同様である。R13、R14の置換もしくは無置換のアリール基は、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基に加えて下記一般式(B)で表される基を挙げることができる。
【0101】
【化7】

【0102】
[式中、Bは−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−及び以下の2価基から選ばれる。
【0103】
【化8】

【0104】
(ここで、R21は、水素原子、Ar5で定義された置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、R13で定義された置換もしくは無置換のアリール基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基を表し、R22は、水素原子、Ar5定義された置換もしくは無置換のアルキル基、R13で定義された置換もしくは無置換のアリール基を表し、iは1〜12の整数、jは1〜3の整数を表す。)]
【0105】
21のアルコキシ基の具体例としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。R21のハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。R21のアミノ基としては、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジベンジルアミノ基、4−メチルベンジル基等が挙げられる。
【0106】
Ar7のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基を挙げることができる。Ar7、R13、R14は、Ar5で定義されたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していても良い。
【0107】
また、3級アミノ基を有する複素環式化合物骨格としては、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ジオキサゾール、インドール、イソインドール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾイソキサジン、カルバゾール、フェノキサジン等のアミン構造を有する複素環化合物が挙げられる。これらは、Ar5で定義されたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していても良い。
【0108】
1、B2はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基又はビニル基を有するアルキル基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基又はビニル基を有するアルコキシ基を表す。アルキル基、アルコキシ基は、Ar5で述べたものが同様に適用される。
一般式(4)のアクリル酸エステル化合物においてより好ましい構造として下記一般式(5)の化合物を挙げることができる。
【0109】
【化9】

【0110】
式中、R8、R9は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子を表し、Ar7、Ar8は、置換もしくは無置換のアリール基またはアリーレン基、置換又は無置換のベンジル基をあらわす。アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子は前記Ar5で述べたものが同様に適用される。アリール基は、R13、R14で定義されたアリール基と同様である。アリーレン基は、そのアリール基から誘導される二価基である。B1〜B4は、一般式(4)におけるB1、B2と同様である。uは0〜5の整数、vは0〜4の整数を表す。
【0111】
特定のアクリル酸エステル化合物は次のような特徴を有する。スチルベン型共役構造を有した三級アミン化合物であり、発達した共役系を有している。こういった共役系の発達した電荷輸送性化合物を用いることで、架橋層界面部分での電荷注入性が非常に良好となり、さらに架橋結合間に固定化された場合でも分子間相互作用が阻害されにくく、電荷移動度に関しても良好な特性を有する。また、重合性の高いアクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基を分子中に有しており、重合時に速やかにゲル化するとともに過度な架橋歪を生じない。分子中のスチルベン構造部の二重結合が部分的に重合に参加し、しかもアクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基よりも重合性が低いために架橋反応に時間差が生じることで歪みを最大に大きくする事が無く、しかも分子中の二重結合を使用する為に分子量当りの架橋反応数を上げることが出来る為に、架橋密度を高めることができ、耐摩耗性のさらなる向上が実現可能となった。また、この二重結合は、架橋条件により重合度を調整することができ、容易に最適架橋膜を作製できる。この様な重合への架橋参加は、アクリル酸エステル化合物の特異的な特徴であり、前述したようなα−フェニルスチルベン型の構造では起こらない。
【0112】
以上のことから、一般式(4)特に一般式(5)に示した重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を用いることで良好な電気特性を維持しつつ、且つ、クラック等の発生を起さずに架橋密度の極めて高い膜を形成することができ、それにより感光体の諸特性を満足し、且つシリカ微粒子等が感光体に刺さることを防止し、白斑点等の画像欠陥を減らすことができる。
【0113】
以下に本発明において用いられる電荷輸送性構造を有する重合性化合物の具体例を示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】

【0116】
【表3】

【0117】
【表4】

【0118】
【表5】

【0119】
【表6】

【0120】
【表7】

【0121】
【表8】

【0122】
【表9】

【0123】
【表10】

【0124】
【表11】

【0125】
【表12】

【0126】
また、本発明に用いられる重合性官能基を有する電荷輸送性化合物は、架橋表面層の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は架橋表面層全量に対し80重量%以下、好ましくは70重量%以下になるように塗工液成分の含有量を調整する。この成分が80重量%を超えると電荷輸送構造を有しない重合性化合物の含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると70重量%以下の範囲が最も好ましい。
【0127】
本発明の感光体を構成する架橋表面層は、塗工時の粘度調整、架橋表面層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で機能性モノマー及び重合性オリゴマーを併用することができる。これらの機能性モノマー及び重合性オリゴマーとしては公知のものが利用できる。機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
【0128】
但し、官能基数の低い1官能及び2官能の機能性重合性モノマーや重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋表面層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらの含有量は架橋表面層全量に対して50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
【0129】
また、本発明の架橋表面層は必要に応じて重合時の反応効率向上を目的として架橋表面層塗布液中に重合開始剤を含有させても良い。重合開始剤としては従来から知られている熱重合開始剤および光重合開始剤が良好に使用できる。
【0130】
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパンなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
【0131】
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。
【0132】
例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
【0133】
更に、本発明の架橋表面層形成用塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、重合性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量%以下、好ましくは10重量%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量%以下が適当である。
【0134】
本発明の架橋表面層の塗工液は重合性化合物が液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
【0135】
本発明においては、架橋表面層の塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与え重合させ、架橋表面層を形成するものであるが、このとき用いられる外部エネルギーとしては熱、光、放射線がある。熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行なわれる。加熱温度は80℃以上、170℃以下が好ましく、80℃未満では反応速度が遅く、完全に反応が終了しない。170℃より高温では反応が不均一に進行し架橋表面層中に大きな歪みが発生する。重合反応を均一に進めるために、50℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。光エネルギーとしては主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は50mW/cm以上、好ましくは500mW/cm以上、より好ましくは1000mW/cm以上である。1000mW/cmより強い照射光を用いることで重合反応の進行速度が大幅に速くなり、より均一な架橋表面層を形成することが可能となる。放射線のエネルギーとしては電子線を用いるものが挙げられる。これらのエネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから熱と光のエネルギーを用いたものが有用である。
【実施例】
【0136】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、感光体作製例中において使用する「部」は、すべて重量部を表わす。
【0137】
<感光体作製例>
φ100mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、22μmの電荷輸送層を形成した。
【0138】
〔下引き層用塗工液〕
アルキド樹脂 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業社製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業社製)
酸化チタン 40部
(CR−EL、石原産業社製)
メチルエチルケトン 50部
【0139】
〔電荷発生層用塗工液〕
Y型チタニルフタロシアニン 6部
シリコーン樹脂溶液 70部
(KR5240、15%キシレン−ブタノール溶液:信越化学社製)
2−ブタノン 200部
【0140】
〔電荷輸送層用塗工液〕
電荷輸送物質(下記構造式A) 20部
ビスフェノールZ型ポリカーボネート 30部
(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製)
1,2−ジクロロエタン 200部
【0141】
【化10】

【0142】
続いて、電荷輸送層上に下記組成の架橋型表面保護層用塗工液をスプレー塗工し、20分自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm、照射時間:60秒の条件で光照射を行ない塗布膜を硬化させた。更に130℃で20分乾燥を加え5.2μmの架橋型表面保護層を設け感光体を作製した。
【0143】
〔架橋型表面保護層用塗工液〕
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(下記構造式B) 10部
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
テトラヒドロフラン 100部
【0144】
【化11】

【0145】
[実施例1]
10℃、15%RH環境下に置いたプロセスカートリッジを有するimagio Neo 1050pro(リコー社製プリンタ)を改造し、画像形成終了後にゼオライト粉体としてナトリウムイオン含有A型ゼオライト(A−4、東ソー社製)を感光体上に付着させ、ゼオライト付着部分が帯電装置直下部で停止するような機構を有するようにした。次にこの画像形成装置を用いて繰返し画像形成を行うことでコロナ帯電装置を24時間放電させ、その後画像形成終了後にゼオライト付着部分が帯電装置直下部で停止させて15時間放置した。その後、中間調(ハーフトーン)画像出力によりコロナ帯電装置直下の濃度ムラの発生有無を確認した。
◎・・・コロナ帯電装置直下濃度ムラ発生せず
○・・・コロナ帯電装置直下濃度ムラが発生するが、許容レベル
×・・・コロナ帯電装置直下濃度ムラがくっきり発生し、許容できないレベル
【0146】
[実施例2]
ゼオライト粉体として、ナトリウムイオン含有X型ゼオライト(F−9、東ソー社製)を用いた以外は実施例1と同様に評価を実施した。
【0147】
[実施例3]
ゼオライト粉体として、ナトリウム含有Y型ゼオライト(HSZ−320NAA、東ソー社製)を用いた以外は実施例1と同様に評価を実施した。
【0148】
[実施例4]
ゼオライト粉体として、Y型ゼオライト(HSZ−320HOA、東ソー社製)を用いた以外は実施例1と同様に評価を実施した。
【0149】
[実施例5]
ゼオライト粉体として、ナトリウム含有モルデナイト型ゼオライト(HSZ−642NAA、東ソー社製)を用いた以外は実施例1と同様に評価を実施した。
【0150】
[実施例6]
ゼオライト粉体として、水素イオン含有モルデナイト型ゼオライト(HSZ−690HOA、東ソー社製)を用いた以外は実施例1と同様に評価を実施した。
【0151】
[実施例7]
ゼオライト粉体として、水素イオン含有ベータ型ゼオライト(HSZ−940HOA 東ソー製)を用いた以外は実施例1と同様に評価を実施した。
【0152】
[実施例8]
ゼオライト粉体として、水素イオン含有ベータ型ゼオライト(HSZ−940HOA、東ソー社製)を用い、感光体の架橋型表面保護層用塗工液として、以下のものを用いた以外は同様にして、実施例1と同様に評価を実施した。
【0153】
〔架橋型表面保護層用塗工液〕
3官能アクリル樹脂(日本化薬社製、KAYARAD TMPTA) :5部
5.5官能アクリル樹脂(日本化薬社製、KAYARAD DPHA):5部
電荷輸送性構造を有する重合性化合物(前記構造式B):10部
重合開始剤(東京化成社製、2,4‐ジエチルチオキサントン) :1部
テトラヒドロフラン :50部
【0154】
[実施例9]
実施例1において、ゼオライト粉体として、水素イオン含有ベータ型ゼオライト(HSZ−940HOA 東ソー製)を用い、感光体に架橋型表面保護層を設けないものを用いた以外は同様に評価を実施した。
【0155】
[比較例1]
ゼオライト粉体付着機構を取り除き、帯電装置直下部にゼオライト粉体がない状態にした以外は実施例1と同様に、評価を行った。
【0156】
[比較例2]
ゼオライト粉体付着機構を取り除き、帯電装置直下部にゼオライト粉体がない状態にした以外は実施例8と同様に、評価を行った。
【0157】
[比較例3]
ゼオライト粉体付着機構を取り除き、帯電装置直下部にゼオライト粉体がない状態にした以外は実施例9と同様に、評価を行った。
【0158】
実施例及び比較例における評価結果を表13に示した。
【0159】
【表13】

【0160】
上記結果から、ゼオライト粉体を帯電装置直下部に具備した構成では、濃度ムラの抑制が可能となり、特にA型、X型、Y型の効果が高いことが確認できる。また濃度ムラが発生しやすい架橋保護層を設けた場合においても、本発明により濃度ムラの抑制することができることが確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本発明による一実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明による一実施形態に係る画像形成装置で使用されるゼオライト供給手段の概略構成を示す断面模式図である。
【図3】従来の画像形成装置で発生する濃度ムラを示す図で、(a)はコロナ帯電装置直下濃度ムラが生じた場合の画像の様子を示す図、(b)は該画像に対応する感光体表面電位を示す図である。
【図4】本発明による一実施形態に係る画像形成装置で使用される制御装置の概略構成を示す模式図である。
【図5】図4のA−A線上で切断した断面図である。
【図6】コロトロン型コロナ帯電装置の概略構成とそれを用いた場合の帯電状態を示す図で、(a)は、コロトロン型コロナ帯電装置の概略構成を示し、(b)帯電装置の帯電時間と感光体の表面電位との関係を示すグラフ図である。
【図7】スコロトロン型コロナ帯電装置の概略構成とそれを用いた場合の帯電状態を示す図で、(a)は、スコロトロン型コロナ帯電装置の概略構成を示し、(b)帯電装置の帯電時間と感光体の表面電位との関係を示すグラフ図である。
【図8】本発明に用いる一実施形態に係る電子写真感光体を表わす断面図である
【図9】本発明に用いる他の実施形態に係る電子写真感光体を表わす断面図である
【符号の説明】
【0162】
1 感光体
1a 表面
1b 回転軸
2 コロナ帯電装置
2a コロナワイヤ
2b シールドケース
2c 開口面
2d グリッド電極
2A コロトロン型コロナ帯電装置
2B スコロトロン型コロナ帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
6a クリーニングブラシ
6b 弾性ゴムクリーニングブレード
7 除電装置
8 レジストローラ
9 定着装置
10 ゼオライト供給手段
11 エンコーダディスク
11a 基準孔
11b 透孔
12 光学センサ
13 感光体回転角検知手段
14 画像形成動作終了検知手段
15 制御部
16 駆動モータ
31 導電性支持体
33 中間層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 架橋表面保護層
L 書き込み光
P 転写紙
AP 異常画像
X 凹部
Z ゼオライト粉体
Z1 ゼオライト粉体層
W0 コロナ帯電装置幅
W1 コロナ帯電装置より広幅の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送させて表面に静電潜像が形成される像担持体と、当該像担持体の表面を帯電するコロナ放電電極を有するコロナ帯電装置とを備えた画像形成装置において、
前記コロナ帯電装置に対して前記像担持体の移送方向の上流側で前記像担持体の表面にゼオライト粉体を供給するゼオライト供給手段を有し、
前記像担持体の画像形成動作の終了時に、当該像担持体の画像形成動作の終了を検知して前記ゼオライト供給手段から前記像担持体の表面にゼオライト粉体を供給すると共に、前記像担持体を移送させて、前記像担持体の表面にゼオライト粉体層を形成し、当該ゼオライト粉体層が前記コロナ帯電装置に対向する領域に到達したときに、像担持体の移送を停止させるように制御する制御装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記コロナ帯電装置は、前記コロナ放電電極と、当該コロナ放電電極と前記像担持体との間に配設される帯電グリッドを備えたコロナ帯電装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置において、
前記ゼオライト粉体が、A型結晶型を有するゼオライト粉体、X型結晶型を有するゼオライト粉体及びY型の結晶型を有するゼオライト粉体の少なくとも1種の結晶型を有するゼオライト粉体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置において、
前記像担持体は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層を有する感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記感光体は、前記感光層の表面に架橋表面保護層を有する感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像形成装置において、
前記架橋表面保護層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物との反応物から構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
表面に静電潜像が形成される像担持体と、少なくとも当該像担持体の表面を帯電するコロナ放電電極を有するコロナ帯電装置と、当該コロナ帯電装置に対して前記像担持体の移送方向の上流側で前記像担持体の表面にゼオライト粉体を供給するゼオライト供給手段とを一体に連結し、画像形成装置本体に脱着可能に設置されるプロセスカートリッジにおいて、
前記画像形成装置は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像形成装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−79129(P2010−79129A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249534(P2008−249534)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】