説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】筋状のムラを抑制して画像品位のより高い画像を形成すること。
【解決手段】記録媒体上の同一領域に対して、記録ヘッドをN(Nは2以上の整数)回、走査運動させ、各走査運動毎に、ドットの形成処理を行うマルチパス処理を用いて、記録媒体上に階調画像を形成する画像形成装置100であって、各ドットが記録媒体上で互いに重ならないように、1パス目の走査の記録濃度を設定し、更に、2パス目からNパス目までの走査の各記録濃度を設定するパス分割部106と、パス分割部106で設定された記録濃度に応じて、各走査の記録データを生成する低階調化部107と、低階調化部107で生成された記録データに基づいて、記録媒体に階調画像を記録する記録ヘッド109と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体上に画像を形成する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録ヘッドの特性のばらつきに起因して発生する濃度ムラを抑制する種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1では、記録する画像データに応じてマルチスキャンの回数を設定することにより、記録速度を不必要に低下させることなく画像品位の高い記録画像を得る技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2では、ある同一の記録領域に対して、奇数番目の走査によって記録される記録量の比率の和を、偶数番目の走査における記録量の比率の和より小さくすることにより、1パス目の記録濃度を低く抑える技術が開示されている。
【特許文献1】特開平5−309874号公報
【特許文献2】特開2001−63015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、記録ヘッドの吐出口径や吐出方向等のばらつきによって、筋状のムラ(以下、筋ムラとも言う。)が記録画像中に現れる場合がある。また、同じパス内でドットが重なると、異なるパスでドットが重なる場合より顕著に筋ムラが現れることが多く、印刷品位を低下させる原因となり得る。このため、特許文献1及び2のように、マルチパス方式での記録の場合、マスクデータや濃度補正テーブルを用いて制御するだけでは、画像濃度が低い場合でもドットが重なってしまうため、濃度ムラや筋ムラ等が強調されてしまう可能性がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、筋状のムラを抑制して画像品位のより高い画像を形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては、記録媒体上の同一領域に対して、記録ヘッドをN(Nは2以上の整数)回、走査運動させ、各走査運動毎に、ドットの形成処理を行うマルチパス処理を用いて、前記記録媒体上に階調画像を形成する画像形成装置であって、各ドットが前記記録媒体上で互いに重ならないように、1パス目の走査の記録濃度を設定する第1の記録濃度設定手段と、2パス目以降からN−1パス目までの走査の各記録濃度を設定する第2の記録濃度設定手段と、Nパス目の走査の記録濃度を設定する第3の記録濃度設定手段と、前記第1、第2、及び第3の記録濃度設定手段で設定された記録濃度に応じて、各走査の記録データを生成する記録データ生成手段と、前記記録データ生成手段で生成された記録データに基づいて、前記記録媒体に前記階調画像を記録する記録手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0007】
また、本発明においては、記録媒体上の同一領域に対して、記録ヘッドをN(Nは2以上の整数)回、走査運動させ、各走査運動毎に、ドットの形成処理を行うマルチパス処理を用いて、前記記録媒体上に階調画像を形成する画像形成方法であって、各ドットが前記記録媒体上で互いに重ならないように、1パス目の走査の記録濃度を設定する第1の記録濃度設定工程と、2パス目以降からN−1パス目までの走査の各記録濃度を設定する第2の記録濃度設定工程と、Nパス目の走査の記録濃度を設定する第3の記録濃度設定工程と、前記第1、第2、及び第3の記録濃度設定工程で設定された記録濃度に応じて、各走査の記録データを生成する記録データ生成工程と、前記記録データ生成工程で生成された記録データに基づいて、前記記録媒体に前記階調画像を記録する記録工程と、を有することを特徴とする画像形成方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、筋状のムラを抑制して画像品位のより高い画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、従来技術及び本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
<従来技術>
複数の記録素子を備えた記録ヘッドを用いる装置の一例として、従来より、複数のインクの吐出口を備えた記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置が知られている。係る装置では、吐出口径や吐出方向等のばらつきによって、インク滴で形成されるドットの大きさや位置がばらつき、印刷された画像に濃度ムラが生じる場合がある。以下では、インク滴をドット、インク滴により紙上に形成されるドットの大きさをドット径と呼ぶ。
【0011】
特に、記録ヘッドをその複数の記録素子の配列方向と異なる方向(例えば、直交する方向)に走査させて記録するシリアル型の記録装置では、吐出口径や吐出方向等のばらつきに起因した濃度ムラが生じる。この濃度ムラは、筋ムラとなって印刷された画像中に現れるため、印刷された画像品位を低下させる可能性がある。
【0012】
係る濃度ムラを補正するため、インクジェット記録方式に従った記録ヘッドを用いて、低階調化処理(例えば、2値化処理)等を施した画像データを複数の異なる吐出口から吐出されるインクで記録ヘッドの1走査分の画素の画像を形成する方式が知られている。この方式は、例えば、記録ヘッドの幅未満の紙送りを行うことにより、1画像を複数の走査(スキャン、パス)で補完するいわゆるマルチパス方式である。
【0013】
マルチパス方式は、一度生成した記録データに対して、複数回に分けて画像を記録するために記録データを複数に分割する(以下、パス分割とも言う。)。このため、パス数に応じたマスクパターンを予め用意し、このマスクパターンと生成された記録データとの論理積を算出することで、実際の記録パターンを生成する方式である。また、マスクパターンは、マルチパスのパス分割を行うため、パス毎に記録可能なドットが排他的に決められ、かつ、全てのパスの記録可能なドットの論理和を算出すると全領域に等しくなるように定められている。
【0014】
マスクパターンと生成された記録データの論理積を算出することにより、実際に記録するデータをパス毎に生成するが、マスクパターンと生成された記録データは、もともと独立しているものである。マスクパターンは、記録データの全てのドットが生成された際に、記録データが各パスにランダムに割り振られるように設計されている。一方、生成された記録データは、入力された画像に依存し、明るい部分では単位面積当たりに形成されるドットの数は少なく、暗い部分では単位面積当たりに形成されるドットの数が多くなっている。このように、入力に依存する記録データと、記録データとは無関係に設計されたマスクパターンとの間で、論理積を算出してパス分割を行う際に、記録データとマスクパターンとの干渉により理想的なパス分割にはならず、画像の劣化を招く場合がある。
【0015】
次に、画像を形成するドットと出力濃度との関係を、図面を用いて説明する。図7は、記録媒体上での画素格子、ドット、及び記録デューティ(濃度)を示す図である。画素格子は、水平及び垂直方向に延びる破線で囲まれる格子で示し、ドットは、記録媒体上に着弾した様子を複数の円によって示している。また、画素格子の左側には、記録デューティを示す。ここでは、全ての画素格子にインクを吐出した状態が、記録デューティが100%である状態とする。なお、図7で示す各記録デューティに対するドットの形成位置は、一形態を示したものであり、必ずしも係る配置に限定されない。
【0016】
図7で示すように、ドット径は、画素格子の大きさよりも大きい。これは、画素格子が矩形であるのに対して、記録媒体上に着弾し、記録媒体に染み込んだドットがおおむね円形をしているために、100%の記録デューティで記録を行った際に、記録媒体の表面を全て埋め尽くす必要があるためである。このため、ドット径は、画素格子よりも大きく設定されている。しかし、実際に記録媒体上に画像が記録される際には、紙送り及びインクジェットヘッドの走査機構等のメカ機構があり、このメカ機構には制御誤差が含まれてしまう。更に、インクジェットヘッド自体も、吐出に伴う誤差要因を含んでいる。係る誤差要因を有しながら、安定した記録を行うためには、画素格子に対して、更にドット径を大きくする必要がある。係る理由により、図7で示すドット径は、画素格子の大きさより大きくされている。
【0017】
なお、記録媒体上に形成されるドットの径は、インクと記録媒体との組合せによって異なる。すなわち、ドット径は、同じインク量を吐出した場合であっても記録媒体によって異なる。通常のインクジェットプリンタにおいては、プリンタ本体にインクタンクをセットすることでインクタンクを固定し、記録媒体を普通紙から各種専用紙に至るまで印刷目的に応じて使い分けている。このため、記録媒体上に形成されるドットの径は、記録媒体の種類等によって変動すると考えてよい。なお、図7で示した画素格子とドット径との関係は、一形態を示したものであり、必ずしも係る比率に限定されない。
【0018】
このように、画素格子よりも大きな径のドットによって画像を記録する際に、記録デューティを徐々に増加させて、記録媒体上にドットを形成した場合の態様について、更に説明する。図中の左側に記載した記録デューティが、12.5%や25%の記録では、隣り合うドットと重なることなく印刷される。しかし、記録デューティが37.5%になるとドット同士が重なり、記録デューティが50%になると記録媒体上の大部分をドットが埋め尽くしてしまう。
【0019】
図8は、記録デューティと記録媒体上でのドットの被覆率との関係を示す図である。横軸が記録デューティを示し、縦軸が記録媒体上でのドットの被覆率を示す。ここで、図8は、画素格子とドット径の関係を例示した図であり、画素格子とドット径が実際にこの比率となるわけではない。また、記録媒体の種類にもよるが、ドットによる記録媒体の被覆率と出力濃度とは強い相関があるため、ここでは、出力濃度ではなく、記録媒体上でのドットの被覆率に基づいて説明する。
【0020】
図8で示すように、記録デューティが50%の状態で、記録媒体上での被覆率は90%を超えている。記録デューティが50%を超えると、残ったスペースが非常に小さいため、その後更にドットを形成しても、記録媒体上でのドットの被覆率は上昇しない。なお、記録媒体によっては、表面のインク受容層が厚く塗布されていて、被覆率が100%を超えて記録することが可能であり、記録量に応じて出力濃度が上昇するような記録媒体も存在する。しかし、係る記録媒体であっても、50%〜100%を超えた記録デューティに対して、0%〜50%程度の出力濃度の上昇は望めない。
【0021】
ドットによる記録媒体の被覆率と出力濃度とは強い相関があることを前述したが、出力濃度に関しては、記録媒体上でのドットの受容量により最大濃度が決まる。記録媒体(出力紙)の種類によっては、多くのドットを受容可能なコート層を記録媒体の表面に塗っているものがあり、これらは被覆率が100%を超えても、更に出力濃度が上昇するものもある。記録媒体の種類によって、出力特性が異なる理由は、この記録媒体によるインクの受容量、インクのにじみ、及び透過特性等に依存するためである。
【0022】
一般に、インクジェットプリンタ等では、記録する画素の大きさ(画素ピッチ)と記録媒体上に形成されるドットの大きさは等しくない。メカによる制御誤差、及びプリントヘッドの特性等を考慮し、一般には、図7に示すように、ドット径の方が、画素格子の大きさより大きくなるように設定されている。これは、インクジェットヘッドから吐出されたインクが記録媒体に着弾した形状がほぼ円形になることと、メカによる制御誤差等があること等による。このため、単位面積あたりに吐出するドットの数と、記録媒体上の出力濃度は、図8のように、線形にはならない。
【0023】
マルチパス記録を行う際に、各パスでの記録データを均等に割り振った場合には、出力濃度に対して第1パスの影響が最も大きくなり、第2パス以降の濃度の影響が小さくなる。例えば、入力画像の記録を4パスで行う際には、25%ずつ均等に4回に分けて記録することとする。第1パスで最初の25%を記録し、第2パスで次の25%を記録する。第1及び第2パスで理論上合計50%を記録したことになるが、記録媒体上では、ドット径にもよるものの、すでに90%以上の領域を覆うこととなる。これは、マルチパス記録を行うことで種々の誤差要因(メカの紙送り誤差及びインクジェットヘッドのノズルのばらつき等)を分散し、誤差要因に起因する画質劣化を目立たせなくしている。一方、各パスでの記録が均等に影響しているのではなく、第1パスでの記録の影響が最も大きいことを示している。
【0024】
図9は、ドットの重なりの状態を示す図である。符号901は、時間差をおいてドットが重なる場合を示し、符号902は、短時間にドットが重なる場合を示す。異なるパスでドットが記録された場合は、ドットが記録される時間に差があるため、前のパスで記録されたドットは、後のパスでドットが記録されるまでの間に定着し、符号901に示すように、各ドットの形状は保持される。しかし、符号902に示すように、同一パスで記録されたドットが重なって配置された場合は、先に吐出されたドットが定着する前にドットが重なるため、互いのドットは、吸い寄せられて1つのドットとして記録媒体に記録される。
【0025】
その結果、同一パスでの記録において、符号903に示すような均等な濃度ムラのないドットを記録することが理想的ではあるが、ノズル毎のばらつきにより、符号904で示す位置にドットが吐出されてしまう。このため、同一パスでドットが重なると、ドットが乾燥して定着しない間にドット同士が引き寄せられる。これにより、符号905に示すように、重なったドット同士が1つのドットとなり、筋ムラが発生してしまう。
【0026】
係る筋ムラ等を抑制して、画像品位のより高い画像を形成するため、1パス目でドットが重なることを抑制しながら、記録媒体に画像を記録する技術を以下の各実施形態について説明する。
【0027】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置100の機能的構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、記録媒体上の同一領域に対して、記録ヘッドをN(Nは2以上の整数)回、走査運動させ、各走査運動毎に、ドットの形成処理を行うマルチパス処理を用いて、記録媒体上に階調画像を形成する装置である。また、画像形成装置は、符号101乃至109の各機能部を備える。
【0028】
画像データ記憶装置101は、ホストコンピュータから転送された多値の画像データを記憶し、1バンド毎にデータを読み出し、入力γ変換部102に入力する。入力γ変換部102は、入力画像データに対して、γ変換を行い、輝度リニアな信号に変換される。色変換前段部103は、多値RGB→多値RGBのルックアップテーブルによりRGB→RGB色変換(カラーマッチング)を行う。色変換後段部104は、ルックアップテーブル(格子点データ)と補間部によりRGB→CMYK色変換(出力デバイス色分解)を行う。出力γ変換部105は、色変換後段部104でCMYK色変換された多値のデータに対して、出力γ補正処理を行う。
【0029】
パス分割部106は、色変換後段部104で形成された多値CMYKデータをマルチパス方式のパスデータに分割する。ドット径情報格納部110には、記録媒体上に形成されたドットの径に関する情報(ドット径情報)が格納される。ドット径の大きさは、記録ヘッドのインク吐出量や記録媒体やインクの浸透特性により決定される。着弾誤差情報格納部111は、ドットの着弾基準位置からの誤差に関する情報(着弾誤差情報)が格納される。なお、インクジェットプリンタに本発明を適用する場合には、ドット径情報及び着弾誤差情報は、インクタンクに設けられるメモリに格納されていてもよい。
【0030】
また、パス分割部106は、ドット径情報格納部110に格納されたドット径情報及び着弾誤差情報格納部111に格納された着弾誤差情報に基づいて、1パス目の最大濃度を設定し、2パス目以降は1パス目の最大濃度によってパス分割係数を設定する。パス分割部106は、各ドットが記録媒体上で互いに重ならないように、1パス目の走査の記録濃度を設定する第1の記録濃度設定手段と、2パス目以降からN−1パス目までの走査の各記録濃度を設定する第2の記録濃度設定手段として機能する。また、パス分割部106は、Nパス目の走査の記録濃度を設定する第3の記録濃度設定手段として機能する。
【0031】
低階調化部107は、誤差拡散法(random dithering)等により多値データを記録ヘッドで出力可能な階調数(例えば、2値データ)に変換する。低階調化部107は、第1、第2、及び第3の記録濃度設定手段で設定された記録濃度に応じて、各走査の記録データを生成する記録データ生成手段として機能する。なお、パス分割部106及び低階調化部107を合わせて、パス分割データ生成部112と呼ぶ。記録制御部108は、2値化された画像データを記録ヘッドの駆動データに変換する。記録ヘッド109は、例えば、インクジェットプリンタのヘッドであり、記録制御部108で変換された駆動データに基づいて、ノズルからインクを吐出させて記録する。記録ヘッド109は、記録データ生成手段で生成された記録データに基づいて、記録媒体に記録する記録手段として機能する。
【0032】
図2は、パス分割データ生成部112の詳細な機能的構成を示すブロック図である。1パス目最大濃度決定部201は、ドット径情報及び着弾誤差情報に基づいて、1パス目の最大濃度を決定する。分割係数決定部202は、1パス目最大濃度決定部201の判定結果に基づいて、2パス目以降の分割係数K2を決定する。乗算器203は、分割係数決定部202によって決定された分割係数K2を入力画像データに乗じる。
【0033】
リミッタ211は、入力画像データを1パス目最大濃度決定部201により決定された最大濃度以下に制限する。減算器204は、入力画像データから1パス目の濃度を減算する。リミッタ212は、減算器204の出力を乗算器203の出力濃度以下に制限する。減算器205は、減算器204の出力から2パス目の濃度を減算する。リミッタ213は、減算器205の出力を乗算器203の出力濃度以下に制限する。減算器206は、減算器205の出力から3パス目の濃度を減算する。低階調化部1071、1072、1073、1074は、各パスにおける画像信号を記録ヘッドが出力できる階調数に低階調化する。記録バッファ207、208、209、210は、各パスに対応する低階調化部1071、1072、1073、1074で低階調化処理を行った結果を、出力用として一時的に記録する。
【0034】
図1に示すドット径情報及び着弾誤差情報は、図示していないCPU等によって選択され、又は値が設定され、それらの情報に基づいて、1パス目最大濃度決定部201は、1パス目の最大濃度を決定する。
【0035】
ここで、1パス目最大濃度決定部201がドット径情報及び着弾誤差情報に基づいて、1パス目の最大濃度を決定する手順を説明する。
【0036】
図3(a)及び(b)は、画素格子とドットとの関係を示す図である。画素格子401は、1画素に対応する画素格子であり、ドット402は、画素格子401に対する理想的な位置に形成されたドットを表す。なお、前述したように、記録媒体上に形成された実際のドット径は、画素格子401の大きさより大きくなる。
【0037】
図3(a)で示すように、画素格子401が破線によって示され、ドット402が画素格子401に配置されている。また、図3(b)で示すように、画素格子401の対角線の交点が、ドットの中心を示す各画素格子の重心403となる。すなわち、重心403は、理想的な位置に形成されたドットの中心を表す。
【0038】
ドット402の大きさは、用いられる記録媒体やノズルから吐出される液滴量等によって異なるため、ドット径情報として予め記憶されている。本実施形態では、ドットは円であるものとし、ドット径情報は、半径rで与えられるものとする。
【0039】
図4は、ドット402が画素格子の重心403から最大誤差で形成される例を示す図である。ドットが形成される重心位置は、ノズルの特性やメカの精度によって異なるが、最大でも半径Eの円404内におさまることになる。この最大誤差Eを着弾誤差情報とする。着弾誤差情報は、製造時にインク吐出孔の位置の誤差を検出して、その段階で予め格納しておいてもよい。
【0040】
従って、円404上にドット402の中心が位置する場合(すなわち、最大誤差を有してドットが形成される場合)には、ドット402aに外接し、重心403を中心とした半径E+rの円405が、画素格子401に対して、ドットが着弾し得る範囲となる。以下、この範囲をドット着弾範囲405と言う。このドット着弾範囲の半径E+rに基づいて、1パス目の係数を決定する。
【0041】
図5は、ドット着弾範囲と探索方向との関係を示す図であり、図6(a)及び(b)は、ドット密度が最大となるドットの配置状態を示す図である。図5で示す各座標は、各画素格子に対応するドットの着弾基準位置を示している。半径rを有するドット402の着弾基準位置を原点(0,0)とする場合に、ドット402の着弾範囲は、半径E+rの円で与えられる。
【0042】
ここで、ドットが重ならないように、可能な限りドットを並べた場合、ドットの密度が最大となるパターンは、図6(a)及び(b)で示す2通りがある。即ち、図6(a)で示すように、ドットを正方格子状に整列させた場合と、図6(b)で示すように、中心点601を回転中心として、図6(a)で示す配置状態から45°回転させた場合とがある。従って、記録可能な座標の探索方向は、水平方向(X方向とする。)及び垂直方向(Y方向とする。)の4方向と、X又はY方向から45度傾斜した方向(X’及びY’方向とする。)の4方向との2種類となる。
【0043】
まず、X及びY方向でドット着弾範囲が重複しない格子点を探索する手順を説明する。座標(0,1)は、座標(0,0)を中心とするドット着弾範囲405に含まれるため、記録することができない。座標(0,2)を中心とするドット着弾範囲は、円501で示されるが、ドット着弾範囲405と重複し、ドットが重なる可能性があるため、記録することができない。座標(0,3)を中心とするドット着弾範囲は、円502で示されるが、ドット着弾範囲405と重複しないため、座標(0,3)は記録可能となる。この場合の円502の中心(0,0)と、X及びY方向で新たに記録可能な(0,0)と最も近い格子点(0,3)の距離をT1(図5では、T1=3)とする。
【0044】
同様にして、Y’方向でドット着弾範囲が重複しない格子点を探索すると、座標(2,2)を中心とする円504は、ドット着弾範囲405と重複し、ドットが重なる可能性があるため、記録することができない。座標(3,3)を中心とする円505は、ドット着弾範囲405と重複しないため、座標(3,3)は記録可能となる。この場合のドット着弾範囲405の中心(0,0)と、Y’方向で新たに記録可能な(0,0)と最も近い格子点(3,3)の距離をT2(図5では、T2=3√2)とする。また、X及びY方向のうちの他の3方向と、X’及びY’方向のうちの他の3方向は、上述と同様の距離となるため、1ヶ所ずつ距離を求めればよい。
【0045】
T1とT2とを比較して、小さい(より距離が近い)方が探索方向となる。ここでは、T1<T2であるため、X及びY方向に記録可能な格子点を探索する。ここでは、(0,0)、(0,3)、(3,3)、(3,0)の正方形が1単位となる。つまり、3×3の格子点内に1つのドットだけを吐出することができることとなる。この場合の濃度は、3×3の全格子点にドットを形成した場合の濃度を255とし、また、出力濃度はドット数と比例することとすると、ドットが重ならない条件での最大濃度は、255/(3×3)=28.33・・となる。つまり、28以下に濃度を制限すれば、着弾誤差がある場合でもドットは重ならないように配置できる。従って、1パス目最大濃度決定部201が出力する最大濃度は28となる。また、入力画像データの最大濃度が28以下の場合は、入力画像データ自体が1パス目の濃度となり、入力画像データの最大濃度が29以上の場合は、リミッタ211で最大濃度が28に制限され、この値が1パス目の濃度となる。
【0046】
なお、E+r=1.4≦√2の場合は、図6(b)の配置の場合に、ドット密度が最大となるため、ドット同士が重ならずに記録可能なドットの密度は、255/(2√2×2√2)=31.875である。このため、1パス目最大濃度決定部201が出力する最大濃度は31となる。
【0047】
このように、1パス目最大濃度決定部201は、ドット径情報及び着弾誤差情報に基づいて、重ならずに記録可能なドットの密度を算出し、1パス目の最大濃度を決定する。分割係数決定部202は、1パス目最大濃度決定部201より決定された1パス目の最大濃度から2パス目以降の分割係数を決定する。
【0048】
例えば、入力濃度の最大値をM、1パス目最大濃度決定部201の出力をK1、パス数をPとし、2パス目以降をほぼ均等な濃度にするとした場合、分割係数決定部202によって決定される係数K2は、次式(式1とする。)によって算出できる。
【0049】
K2=(M−K1)/(M×(P−1))・・・(式1)
例えば、M=255、K1=28、P=4とすると、K2=(255−28)/(255×(4−1))=0.2967・・となる。これを8ビット右シフト演算を行うと、0.2967・・×256=75.9633・・となり、分割係数決定部202からは76が出力される。乗算器203は、係数K2を入力画像データに乗じて、整数部(8ビット右シフト演算した結果)を取り出し、リミッタ212、231に入力する。リミッタ212は、入力画像データから1パス目の濃度を減算した結果である減算器204の出力を乗算器203の出力である76以下に制限した値を2パス目の濃度とする。同様に、リミッタ213は、入力画像データから1及び2パス目の濃度を減算した結果である減算器205の出力を乗算器203の出力である76以下に制限した値を3パス目の濃度とする。最終パスである4パス目の濃度は、入力画像データから1乃至3パス目の濃度を減じた残りが割り当てられる。
【0050】
なお、本実施形態では、各パスでは直前のパスのリミッタの入出力データの差分を用いたが、1パス目最大濃度決定部201の出力、分割係数決定部202の出力、及び入力画像データから直接生成しても構わない。実際には、記録ヘッドに直線上に並んだ複数のノズルに対応する各記録パスは、紙送り量に相当する領域毎に異なる上に、入力画像データもノズルによって異なるため、直接生成する方が有効な場合がある。この場合には、1乃至4パス目の記録バッファ207、208、209、210の容量を削減することができる。
【0051】
また、分割係数決定部202によって決定される係数K2は、上述の演算式(式1)で算出する手法に限られず、例えば、パス数の逆数を算出しても良い。特に、2のべき乗のパス数(例えば、2、4パス)の場合、乗算器203は、シフタで構成することができる。また、最終パスで累積ドット数に対する不足分のドットが形成されるため、切り捨て演算を行わなくても良い。
【0052】
また、リミッタの入出力データの差分が0となる場合は、そのパス以降のパスの濃度が0となるため、そのパス以降の記録を省略する。従って、パス数を記録ヘッドの走査毎に切り替えて、高速記録することも可能である。例えば、走査内の全ての画素において3パス目のリミッタ213の入出力データの差分が0となる場合は、4パス目は省略できる。同様にして、走査内の全ての画素において2パス目のリミッタ212の入出力データの差分が0となる場合は、3パス目以降は省略できる。更に、走査内の全ての画素において1パス目のリミッタ211の入出力データの差分が0となる場合は、2パス目以降は省略できる。つまり、減算器204、205、206の各出力が走査内の全ての画素で0になることを検出すれば、対応するパス以降の記録は省略することができる。従って、リミッタ211乃至214は、直前の走査までに全てのドットの形成を終了したことを検出する検出手段として機能することとなる。
【0053】
各パスに分割された濃度は、各々が低階調化部1071、1072、1073、1074により記録ヘッドで表現可能な階調数に変換され、記録バッファ207、208、209、210に格納される。記録バッファに格納された出力データは、記録ヘッドを搭載したキャリッジの走査に合わせて記録ヘッドを駆動し、記録媒体に画像が形成される。
【0054】
なお、本実施形態では、ドット径情報及び着弾誤差情報を用いた例を説明したが、係る実施形態に限らず、画像を記録する記録媒体に応じて、これらの情報を設定する構成としてもよい。通常、インク及び記録ヘッドは、頻繁に取り替えられるものではないため、ドット径は記録媒体のみに左右される。また、着弾誤差の最大値は、ヘッドの位置決め精度等によって定まるため、記録処理毎に大きく変動するものではなく、係る構成でも効果に大きな差はない。
【0055】
また、低階調化部1071、1072、1073、1074は、記録ヘッドで出力可能な階調数に変換するためのものである。従って、濃淡インクを用いたり、吐出量の異なる複数の液滴を用いる場合等、また、データ量削減のためのN値化(Nは2以上の整数)を含めるものであり、2値化に限定されるものではない。なお、この低階調化するための具体的な手法としては、誤差拡散やディザマトリックス等の手法がある。
【0056】
以上述べた通り、本実施形態によれば、ドット径情報及び着弾誤差情報に基づいて、1パス目のドットが重ならない最大濃度を算出し、1パス目の記録濃度をドットが重ならない最大濃度以下に制限することができる。これにより、最も画質に影響のある1パス目の記録で、筋ムラや濃度低下の原因となるドットの重なりを避けることができ、画質を向上させることができる。また、1走査の入力画像データの最大値が、1パス目最大濃度決定部201により決定された最大濃度以下の場合は、1パス目のみで記録可能となり、記録速度を高速化することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、記録パスを4回走査させて記録することとしたが、マルチパス方式であれば、記録するパス数によらず、減算器、リミッタ、低階調化部、及び記録バッファ等の数を増減することにより本発明を適用することができる。
【0058】
<第2の実施形態>
図10は、本発明の第2の実施形態に係るパス分割データ生成部112の機能的構成を示すブロック図である。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0059】
分割係数設定部301は、入力画像データを各パスの濃度に分割する。乗算器302、303、304、305は、入力画像データに分割係数決定部202によって決定された分割係数を入力画像データに乗算する。加算器306は、減算器204の出力を乗算器305の出力に加算する。低階調化部307、308、309、310は、各パスの画像信号を記録ヘッドが出力可能な階調数に低階調化する。
【0060】
分割係数設定部301及び乗算器302、303、304、305は、本実施形態では、入力画像データを各パスの濃度に分割する。例えば、4パス均等分割の場合は、入力画像データの濃度の1/4が分割係数設定部301から各乗算器302、303、304、305に入力される。1パス目に割り当てられる濃度は、リミッタ211で決定された1パス目の最大濃度に制限される。一方、リミッタ211で制限され、溢れたデータは、リミッタ211の入出力の差分で検出できる。減算器204は、溢れたデータを算出し、加算器306に入力する。加算器306は、4パス目の濃度に溢れたデータを加算することにより、全パスの濃度の総和が入力画像データと等しくなるように補正する。
【0061】
各パスに分割された濃度は、低階調化部307、308、309、310によって、記録ヘッドで表現可能な階調数に変換され、記録バッファ207、208、209、210に格納され、記録ヘッドで記録される。
【0062】
なお、乗算器302、303、304、305には小数が入力されるため、小数点以下まで算出される。従って、誤差を防止するため、低階調化部307、308、309、310は、小数も入力できるように入力ビット数が拡張されている。例えば、分割係数設定部301の係数が1/4の場合は、乗算の代わりに、ビットシフトによって濃度分割可能であるが、下位2ビットが小数として低階調化部307、308、309、310に入力される。一方、ビットシフトによって整数部は、2ビット少なくなるため、乗算器302、303、304、305では何も操作されずにそのまま低階調化部に入力される。なお、リミッタ211、減算器204、及び加算器306では、装置を簡略化するため、整数部のみ処理され、小数部は処理されない。
【0063】
以上述べた通り、本実施形態によれば、入力画像データを各パスに濃度分割した後、1パス目では、ドットが重ならない濃度以下に制限し、濃度が制限されることにより不足する分を最終パスで補うことができる。これにより、最も画質に影響する1パス目でドットの重なりを避けることができるため、筋ムラや濃度低下等を抑制し、画質を向上させることができる。
【0064】
<第3の実施形態>
図11は、本発明の第3の実施形態に係るパス分割データ生成部112の機能的構成を示すブロック図である。なお、第1又は第2の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0065】
1パス目最大濃度設定部311は、図示しないCPU等によって決定された1パス目の最大濃度をリミッタ211に設定する。分割係数設定部312は、1パスと最終パスを除くパス(本実施形態では、2及び3パス目)の濃度分割係数を設定する。乗算器313、314は、入力画像データと1パス目の濃度の差分に分割係数設定部312に設定された分割係数を乗算する。減算器315、316は、1パス目で出力した濃度と入力画像データとの差分から2及び3パス目の濃度を各々減算する。
【0066】
まず、入力画像データをリミッタ211で制限することで1パス目の濃度データを得る。その後、分割係数設定部312に設定された値によって2及び3パス目の濃度を決定し、入力された画像データより1乃至3パス目までの濃度の総和を減算することで最終パスである4パス目の濃度を得る。
【0067】
これにより、入力画像データが1パス目最大濃度設定部311での設定値以下の濃度の場合には、1パスで画像が形成され、入力画像データが1パス目最大濃度設定部311での設定値を超える場合には、設定値を超えた分の濃度が各パスに分割される。
【0068】
例えば、1パス目最大濃度設定部に設定された値を30、分割係数設定部312に設定された値を各々1/4、3/8とすると、入力画像データが30以下の場合は、入力画像データ自体が1パス目の濃度となり、残りのパスの濃度は全て0となる。一方、入力画像データが30を超える場合、例えば、240の場合を想定する。この場合、1パス目の濃度は、30、2パス目の濃度は、(240−30)×1/4=52.5≒52、3パス目の濃度は、(240−30)×3/8=78.75≒78、4パス目の濃度は、240−30−52−78=80となる。実際の演算は、乗算器313では1/4倍であるため、2ビット右シフト演算をする。また、乗算器314では3/8倍であるため、3倍した後、3ビット右シフト演算をする。4パス目は、1乃至3パスの濃度を入力画像データより減算するため、乗算器313、314の小数部は切り捨てる。
【0069】
以上述べた通り、本実施形態によれば、入力画像データを1パス目最大濃度設定部311での設定値で制限することにより、1パス目の濃度データを得て、その残差に分割係数設定部312での設定値を乗じて2及び3パス目の濃度を決定する。その後、最終パスである4パス目は、入力画像データより1乃至3パス目の濃度の総和を減算して濃度を得る。これにより、簡易な構成で最も画質に影響のある1パス目でドットが重なることを抑制することができ、筋ムラや濃度低下等の画質劣化を防止することができる。また、1走査の入力画像データの最大値が1パス目最大濃度設定部311での設定値以下の場合には、1パス目のみで記録可能となり、記録速度を高速化することができる。
【0070】
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インターフェース機器、リーダ、プリンタ等)から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置(例えば、複写機、複合機、ファクシミリ装置等)に適用してもよい。
【0071】
また、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのコンピュータプログラムのコードを記憶したコンピュータ可読記憶媒体(又は記録媒体)を、システム又は装置に供給してもよい。また、そのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み込み実行することに適用してもよい。この場合、記憶媒体から読み込まれたプログラムコード自体が前述の実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記憶媒体は本実施形態を構成することになる。また、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0072】
さらに、記憶媒体から読み込まれたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も本発明に含まれることは言うまでもない。
【0073】
また、本実施形態を上述のコンピュータ可読記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、前述のフローチャートや機能構成に対応するコンピュータプログラムのコードが格納されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置100の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】パス分割データ生成部112の詳細な機能的構成を示すブロック図である。
【図3】(a)及び(b)は、画素格子とドットとの関係を示す図である。
【図4】ドットが画素格子の重心から最大誤差で形成される例を示す図である。
【図5】ドット着弾範囲と探索方向との関係を示す図である。
【図6】(a)及び(b)は、ドット密度が最大となるドットの配置状態を示す図である。
【図7】記録媒体上での画素格子、ドット、及び記録デューティを示す図である。
【図8】記録デューティと記録媒体上でのドットの被覆率との関係を示す図である。
【図9】ドットの重なりの状態を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るパス分割データ生成部112の機能的構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るパス分割データ生成部112の機能的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0075】
101 画像データ記憶装置
102 入力γ変換部
103 色変換前段部
104 色変換後段部
105 出力γ変換部
106 パス分割部
107 低階調化部
108 記録制御部
109 記録ヘッド
110 ドット径情報格納部
111 着弾誤差情報格納部
112 パス分割データ生成部
201 1パス目最大濃度決定部
202 分割係数決定部
203 乗算器
204、205、206 減算器
207、208、209、210 記録バッファ
211、212、213 リミッタ
1071、1072、1073、1074 低階調化部
301 分割係数決定部
302、303、304、305 乗算器
307、308、309、310 低階調化部
311 1パス目最大濃度設定部
312 分割係数決定部
313、314 乗算器
315、316 減算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上の同一領域に対して、記録ヘッドをN(Nは2以上の整数)回、走査運動させ、各走査運動毎に、ドットの形成処理を行うマルチパス処理を用いて、前記記録媒体上に階調画像を形成する画像形成装置であって、
各ドットが前記記録媒体上で互いに重ならないように、1パス目の走査の記録濃度を設定する第1の記録濃度設定手段と、
2パス目以降からN−1パス目までの走査の各記録濃度を設定する第2の記録濃度設定手段と、
Nパス目の走査の記録濃度を設定する第3の記録濃度設定手段と、
前記第1、第2、及び第3の記録濃度設定手段で設定された記録濃度に応じて、各走査の記録データを生成する記録データ生成手段と、
前記記録データ生成手段で生成された記録データに基づいて、前記記録媒体に前記階調画像を記録する記録手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の記録濃度設定手段は、前記記録媒体上に形成されるドットの径を示すドット径情報と、ドットの着弾基準位置からの最大誤差を示す着弾誤差情報とに基づいて、各ドットが前記記録媒体上で重ならない最大濃度を設定し、記録濃度を前記最大濃度以下に制限することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の記録濃度設定手段は、1パス目の走査からN−1パス目の走査までの係数の総和をSとした場合に、K+S<1を満たす正の係数Kを設定し、
前記第1の記録濃度設定手段は、入力された画像データと前記最大濃度以下に制限された値との差分に前記係数Kを乗じた濃度以下に記録濃度を制限することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第3の記録濃度設定手段は、1パス目の走査からN−1パス目の走査までの記録濃度の値の総和を入力された画像データから減じた値に設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
入力された画像データのドットの形成を終了したことを検出する検出手段を更に備え、
前記検出手段は、全てのドットの形成を終了したことを検出した場合には、残りの走査を省略することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
記録媒体上の同一領域に対して、記録ヘッドをN(Nは2以上の整数)回、走査運動させ、各走査運動毎に、ドットの形成処理を行うマルチパス処理を用いて、前記記録媒体上に階調画像を形成する画像形成方法であって、
各ドットが前記記録媒体上で互いに重ならないように、1パス目の走査の記録濃度を設定する第1の記録濃度設定工程と、
2パス目以降からN−1パス目までの走査の各記録濃度を設定する第2の記録濃度設定工程と、
Nパス目の走査の記録濃度を設定する第3の記録濃度設定工程と、
前記第1、第2、及び第3の記録濃度設定工程で設定された記録濃度に応じて、各走査の記録データを生成する記録データ生成工程と、
前記記録データ生成工程で生成された記録データに基づいて、前記記録媒体に前記階調画像を記録する記録工程と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
コンピュータが読み込み実行することで、請求項6に記載の各工程をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータプログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−154391(P2009−154391A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335058(P2007−335058)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】