説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】所望の階調特性を有する出力画像を容易に形成できる画像形成装置及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】階調補正データに基づいて階調補正を行う階調補正部を備える中間転写方式の画像形成装置において、画像形成部が、感光体上に有色トナー像を形成する複数の第1の画像形成部と、この複数の第1の画像形成部の間に配置され、感光体上に透明トナー像を形成する第2の画像形成部と、を有して構成される。そして、階調補正部による階調補正後の画像データに基づいて第1の画像形成部が中間転写体上に有色トナー像を形成した後、第2の画像形成部が有色トナー像に重ね合わせて透明トナー像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写方式の画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真プロセス技術を利用したカラー画像形成装置(複写機、プリンター、ファクシミリ等)においては、中間転写ベルト等の中間転写体を用いた中間転写方式が主流となっている。中間転写方式とは、感光体ドラム上に形成されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写体に転写(一次転写)させ、中間転写体上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に転写(二次転写)させる方式である。
【0003】
このような画像形成装置では、感光体ドラム、現像剤等の経時的な劣化や、装置周辺の環境(温湿度の変動)等によって、出力画像(用紙に形成された画像)の画質が低下するという問題がある。具体的には、入力画像の階調が出力画像に忠実に再現されないという現象が生じる。そこで、従来の画像形成装置では、入力画像の階調等を出力画像に安定して再現させるための画像安定化制御が行われるようになっている(例えば特許文献1)。
画像安定化制御としては、例えば、中間転写体に形成されたCMYKの各色トナーパターンの濃度を光センサーで検出し、この検出結果(階調特性)に基づいて階調補正データ(いわゆるガンマ補正曲線)を生成し、帯電電位、現像電位、露光量等の画像形成条件にフィードバックさせる階調補正等がある。
【0004】
また、特許文献1には、単色画像を形成する際、中間転写ベルトに有色トナー像の下地として透明トナー像を形成することにより、単色画像を形成する場合と多色画像を形成する場合とで、特定色のトナー濃度を均一にすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−42280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
中間転写方式の画像形成装置における画像安定化制御(階調補正)は、CMYKの各色トナーパターンの検出結果に基づいて実施される。そのため、階調補正を行うことにより、一次色(C、M、Y、Kの原色)の入力画像(単色画像)は忠実に出力画像に再現される(階調再現性が保証される)。
【0007】
各有色成分の単色画像を形成する場合のトナーの再転写状況を表1に示す。
表1に示すように、例えばイエロー(Y)の単色画像を形成する場合、Y成分用の感光体ドラム413Yから中間転写ベルト421に転写されたYトナーの一部は、M成分用の感光体ドラム413M、C成分用の感光体ドラム413C、K成分用の感光体ドラム413Kに再転写される(図1参照)。
また、マゼンタ(M)の単色画像を形成する場合は、M成分用の感光体ドラム413Mから中間転写ベルト421に転写されたMトナーの一部が、C成分用の感光体ドラム413C、K成分用の感光体ドラム413Kに再転写される(図2参照)。シアン(C)の単色画像を形成する場合は、C成分用の感光体ドラム413Cから中間転写ベルト421に転写されたCトナーの一部が、K成分用の感光体ドラム413Kに再転写される。
最下流にある感光体ドラム413Kを通過したときに中間転写ベルト421上に残存するトナーが、二次転写部において用紙Sに転写されることとなる。
【0008】
【表1】

【0009】
画像安定化制御において、下流側の感光体ドラム(イエローの単色画像を形成する場合は感光体ドラム413M、413C、413K)に再転写されるトナー量(再転写率)を考慮して、本来の画像形成に必要な適正量(所望の濃度(階調値)で画像を再現するために用紙Sに転写させるべき量)のトナーが中間転写ベルト421に転写されるように画像形成条件が制御される。この画像安定化制御を行うことにより、下流側の感光体ドラムにトナーの一部が転写されても、用紙Sには適正量のトナーが転写されるため、出力画像において設計通りの階調特性が得られる。
【0010】
一方、実際に画像形成の対象となる入力画像は、RGBやPk(プロセスブラック、混色で作られる黒)等の二次色、三次色を含む多色画像(複数の色トナーを重ね合わせて再現される画像)である場合も多い。
【0011】
多色画像を形成する場合のトナーの再転写状況を表2に示す。
表2に示すように、例えばイエローにマゼンタを重ね合わせたレッドの多色画像を形成する場合、Yトナーが中間転写ベルト421に転写された直後にMトナーが転写される(図3参照)。イエローの単色画像を形成する場合にはYトナーの再転写が3回生じるのに対して、レッドの多色画像を場合にはYトナーの再転写は生じないので、Yトナーの再転写量が異なる。
また、Mトナーが中間転写ベルト421に転写された後、その上に他の色のトナーは転写されないので、Mトナーの再転写が2回生じる(図3参照)。つまり、レッドの多色画像を形成する場合のMトナーの転写率は、マゼンタの単色画像を形成する場合と同じになる。
【0012】
【表2】

【0013】
このように、多色画像を形成する場合、画像形成されない色の一次転写部を通過するたびに、その色の感光体ドラムに最上層のトナーが再転写される。すなわち、二次転写時に最上層となっていないトナー(図3ではYトナー)については、そのトナーが最上層となっているときに、画像形成されない色の一次転写部を通過する回数に応じてトナーの再転写量が変化する。例えば、レッドの多色画像を形成する場合と、グリーンの多色画像を形成する場合とでも、Yトナーの再転写量は異なる。
【0014】
しかしながら、上述した画像安定化制御では、単色画像の階調再現性が保証されるように画像形成条件が設定されており、多色画像を形成する場合の各トナーの転写率の変化については考慮されていない。最終的に最上層とならないトナーについては、適正量より過剰なトナーが用紙に転写される(濃度が高くなる)ことになる。そのため、出力画像において所望の色合いが得られない。具体的には、最大濃度や中間調濃度が設計値からずれてしまい、設計通りの階調特性が得られない。
【0015】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、所望の階調特性を有する出力画像を容易に形成できる画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る画像形成装置は、入力画像データに基づいて、露光装置により感光体に静電潜像を形成させ、現像装置により前記感光体にトナーを付着させることにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成する画像形成部と、
前記感光体に形成された前記トナー像を中間転写体に転写させ、この中間転写体に転写されたトナー像を用紙に転写させる中間転写部と、
階調補正データに基づいて階調補正を行う階調補正部と、を備える中間転写方式の画像形成装置であって、
前記画像形成部が、前記感光体上に有色トナー像を形成する複数の第1の画像形成部と、この複数の第1の画像形成部の間に配置され、前記感光体上に透明トナー像を形成する第2の画像形成部と、を有し、
前記階調補正部による階調補正後の画像データに基づいて前記第1の画像形成部が前記中間転写体上に前記有色トナー像を形成した後、前記第2の画像形成部が当該有色トナー像に重ね合わせて前記透明トナー像を形成することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る画像形成方法は、感光体に形成されたトナー像を中間転写体に転写させ、この中間転写体に転写されたトナー像を用紙に転写させる中間転写方式の画像形成装置における画像形成方法であって、
階調補正データに基づいて階調補正を行う工程と、
前記階調補正後の画像データに基づいて前記中間転写体上に有色トナー像を形成する工程と、
前記有色トナー像に重ね合わせて透明トナー像を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、中間転写体上において、有色トナー像の上に透明トナー像が形成されるので、下流側にある画像形成されない色の一次転写部を通過する際に、その色成分用の感光体には透明トナーが転写されることとなる。したがって、すべての有色トナーの用紙への転写率が100%となるので、画像安定化制御において下流側の感光体への有色トナーの再転写を考慮する必要はなく、所望の階調特性を有する出力画像を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来の画像形成装置でイエローの単色画像を形成するときの中間転写ベルト上のトナー状態を示す模式図である。
【図2】従来の画像形成装置でマゼンタの単色画像を形成するときの中間転写ベルト上のトナー状態を示す模式図である。
【図3】従来の画像形成装置でレッドの多色画像を形成するときの中間転写ベルト上のトナー状態を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【図5】実施の形態に係る画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
【図6】階調補正データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】階調補正データ生成処理を行う際の感光体ドラムの圧接/離間状態の一例を示す図である。
【図8】実施の形態で採用される階調補正曲線を示す図である。
【図9】画像形成部における画像形成処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態に係る画像形成装置でイエローの単色画像を形成するときの中間転写ベルト上のトナー状態を示す模式図である。
【図11】実施の形態に係る画像形成装置でレッドの多色画像を形成するときの中間転写ベルト上のトナー状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図4は本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図で、図5は実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
図4、5に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体上に形成されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写体に転写(一次転写)し、中間転写体上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、CMYKの4色に対応する感光体を中間転写体の走行方向に直列配置し、中間転写体に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0021】
図4、5に示すように、画像形成装置1は、制御部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、搬送部50、定着部60、記憶部70、及び通信部80を備えている。
【0022】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13等を備えている。CPU11は、ROM12から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM13に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部70に格納されている各種データが参照される。記憶部70は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0023】
制御部10は、通信部80を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピュータ)との間で各種データの送受信を行う。制御部10は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙に画像を形成させる。通信部80は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0024】
また、制御部10は、画像処理部30を制御して階調補正データに基づく階調補正を行う階調補正部14、階調補正に用いられる階調補正データを生成する階調補正データ生成部15、透明トナー像を形成させるための透明画像データを生成する透明画像データ生成部16として機能する。
【0025】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部10から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部10に出力する。
【0026】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備えている。例えば、画像処理部30は、制御部10の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0027】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、透明成分のトナー(透明トナー)による画像を形成するための画像形成ユニット41CLR1〜41CLR3、中間転写ユニット42、及び濃度検出センサー43等を備えている。
【0028】
Y成分、M成分、C成分、K成分、及び透明成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、41CLR1〜41CLR3は、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、K又はCLR1〜CLR3を添えて示すこととする。図4では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41K、41CLR1〜41CLR3の構成要素については符号が省略されている。
【0029】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備えている。
【0030】
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
【0031】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成されることとなる。
現像装置412は、各色成分の現像剤(例えば、小粒径のトナーと磁性体とからなる二成分現像剤)を収容しており、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有する。一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーは、ドラムクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
【0032】
透明成分用の画像形成ユニット41CLR1〜41CLR3は、有色成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kの間に設けられる。すなわち、中間転写ベルト421上に形成されたY、M、Cの有色トナー像の上層として、透明成分用の画像形成ユニット41CLR1〜41CLR3により透明トナー像を形成できるようになっている。画像形成ユニット41CLR1〜41CLR3は、透明画像データ生成部16(制御部10)によって生成された透明画像データに基づいて透明トナー像を形成する。
【0033】
以下において、透明成分用の画像形成ユニット41CLR1〜41CLR3により形成される透明トナー像を区別する場合、画像形成ユニット41CLR1により形成される透明トナー像をCLR1トナー像、画像形成ユニット41CLR2により形成される透明トナー像をCLR2トナー像、画像形成ユニット41CLR3により形成される透明トナー像をCLR3トナー像と称する。
【0034】
中間転写ユニット42は、中間転写体となる中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、二次転写ローラー423、駆動ローラー424、従動ローラー425、及びベルトクリーニング装置426等を備えている。
【0035】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、駆動ローラー424及び従動ローラー425に張架される。中間転写ベルト421は、駆動ローラー424の回転により矢印A方向に一定速度で走行する。一次転写ローラー422によって、中間転写ベルト421が感光体ドラム413に圧接されると、中間転写ベルト421に各色トナー像が順次重ねて一次転写される。そして、中間転写ベルト421が二次転写ローラー423によって用紙Sに圧接されると、中間転写ベルト421に一次転写されたトナー像が用紙Sに二次転写される。
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接されるベルトクリーニングブレードを有する。二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーは、ベルトクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
【0036】
濃度検出センサー43は、トナー像が用紙Sに二次転写される二次転写位置よりも中間転写ベルト421の走行方向上流側に、中間転写ベルト421に対向して配置される。中間転写ベルト421から二次転写ローラー423を離間できるようになっている場合、濃度検出センサー43を二次転写位置よりも中間転写ベルト421の走行方向下流側に配置することもできる。
濃度検出センサー43は、階調補正データを生成する際に用いられ、中間転写ベルト421の非画像形成領域(例えば、連続して多数枚の用紙に画像が形成される場合の画像間の領域)に形成された階調補正用のトナーパターンの濃度を検出する。
【0037】
濃度検出センサー43には、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などの発光素子と、フォトダイオード(PD:Photodiode)などの受光素子を備え、トナーパターンの反射濃度を検出する反射型の光センサーを適用することができる。トナーパターンの反射濃度は、測定対象物への入射光量をI0、測定対象物からの反射光量をIとしたとき、−log(I/I0)で表される。
また、中間転写ベルト421が透光性の材料で構成されている場合には、濃度検出センサー43として、発光素子と受光素子が中間転写ベルト421を挟んで対向配置される透過型の光センサーを適用することができる。
【0038】
定着部60は、用紙Sを狭持して搬送するためのニップ部を形成する加圧部、トナー像が転写された用紙Sに接触して定着温度で加熱する加熱部等を備えている。定着部60には、公知の技術を適用することができる。定着部60は、搬送されてきた用紙Sをニップ部で加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。
【0039】
搬送部50は、給紙部51、搬送機構52、及び排紙部53等を備えている。給紙部51を構成する2つの給紙トレイユニット51a、51bには、用紙の坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙(規格用紙、特殊用紙)Sが予め設定された種類ごとに収容される。
【0040】
給紙トレイユニット51a、51bに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、レジストローラー52a等の複数の搬送ローラーを備えた搬送機構52により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー52aが配設されたレジスト部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。
そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー53aを備えた排紙部53により機外に排紙される。
【0041】
このように、画像形成装置1は、入力画像データに基づいて、露光装置411により感光体ドラム413に静電潜像を形成させ、現像装置412により感光体ドラム413にトナーを付着させることにより静電潜像を現像してトナー像を形成する画像形成ユニット41(画像形成部)と、感光体ドラム413に形成されたトナー像を中間転写ベルト421に転写させ、この中間転写ベルト421に転写されたトナー像を用紙Sに転写させる中間転写ユニット42(中間転写部)を備えている。また、階調補正データに基づいて階調補正を行う階調補正部14を備えている。
さらに、画像形成ユニット41は、感光体ドラム413Y、413M、413C、413K上にそれぞれ対応する有色トナー像を形成する複数の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K(第1の画像形成部)と、この複数の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kの間に配置され、感光体ドラム413CLR1、413CLR2、413CLR3上にそれぞれ透明トナー像を形成する画像形成ユニット41CLR1〜41CLR3(第2の画像形成部)と、を有している。
【0042】
図6は、階調補正データ生成処理の一例を示すフローチャートである。図6に示す階調補正データ生成処理は、例えば画像形成装置1の電源が投入されることに伴い、CPU11がROM12に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
また、この階調補正データ生成処理は、前回の階調補正データ生成後、所定時間経過したとき、所定枚数の画像形成が完了したとき、又は現像装置412のトナーが交換されたとき等、定期的に行われるのが望ましい。また、この階調補正データ生成処理は、有色トナーのそれぞれについて行われる。
【0043】
図6のステップS101において、制御部10は、階調補正対象色の感光体ドラム413だけを中間転写ベルト421に圧接させ、階調補正対象色以外の感光体ドラム413については中間転写ベルト421から離間させる。階調補正データ生成処理を行う際の、それぞれの感光体ドラム413の圧接/離間状態を表1に示す。
【0044】
【表3】

【0045】
表3に示すように、例えば、階調補正対象色がイエローの場合、Y成分用の感光体ドラム413Yだけが中間転写ベルト421に圧接され、その下流側に配置されている感光体ドラム413M、413C、413K及び413CLR1〜413CLR3は中間転写ベルト421から離間される(図7参照)。
なお、階調補正対象色がマゼンタ、シアン、ブラックである場合、階調補正対象色の感光体ドラム413の上流側に配置されている感光体ドラム413については、圧接状態となっていてもよいし、離間状態となっていてもよい。
【0046】
ステップS102において、制御部10は、階調補正用の画像データに基づいて、階調補正対象色のトナーパターンを、その色成分用の画像形成ユニット41により中間転写ベルト421上に形成させる。例えば、Y成分用の画像形成ユニット41Yにより中間転写ベルト421上に形成されたYトナーのパターンは、下流側の感光体ドラム413M、413C、413K及び413CLR1〜413CLR3に再転写されることなく、濃度検出センサー43の位置まで搬送される。階調補正用の画像データは、例えばROM12に記憶されている。
【0047】
階調補正対象色のトナーパターンは、例えば、中間転写ベルト421の走行方向に沿って連続して配列され、階調値が段階的に変化する複数のパッチ(例えば濃淡変化を256階調で表現したとき、階調値が0、30、60、90、120、150、180、210、240のパッチ)で構成される。トナーパターンを構成する1つのパッチの幅は、各パッチの濃度が濃度検出センサー43で精度良く検出されるように、濃度検出センサー43の検出幅以上に設定される。
【0048】
ステップS103において、制御部10は、濃度検出センサー43による検出結果に基づいて、トナーパターンを構成する各パッチの反射濃度を検出する。中間転写ベルト421上に形成されたトナーパターンは、濃度検出センサー43の検出領域を通過した後、ベルトクリーニング装置426で除去される。
【0049】
ステップS104において、制御部10は、各パッチの階調値(各パッチを形成するための入力画像の階調値、入力階調値)と、ステップS103で検出された反射濃度を対応付けて、階調特性曲線を生成する。この階調特性曲線は、例えば図8の曲線L1で表される。なお、検出された反射濃度を正規化(例えば256階調で正規化)して、入力階調値に対する出力階調値(出力画像の階調値)で階調特性曲線を表すこともできる。
【0050】
本実施の形態では、中間転写ベルト421上において、有色トナー像の上に透明トナー像が形成されるため、有色トナー像が下流側の感光体ドラム413に再転写されることはない。つまり、有色トナーの用紙Sへの転写率は100%となる。したがって、ステップS104で生成された階調特性曲線L1が、用紙S上に再現される出力画像の階調特性曲線となる。
【0051】
ステップS105において、制御部10は、ステップS104で生成された階調特性曲線L1に基づいて、入力画像の階調を出力画像に忠実に再現させる、すなわち図8に示す目標階調特性L0が得られるように入力画像の階調値を補正するための階調補正曲線(ガンマ補正曲線)L2を生成する。この階調補正曲線L2は、目標階調特性L0に関して階調特性曲線L1と線対称な曲線で表される。入力階調値をx、出力階調値をyとし、階調特性曲線L1をy=f(x)で表した場合、目標階調特性L0はy=xとなるので、階調補正曲線L2は階調特性曲線L1の逆関数(y=f-1(x))となる。
【0052】
ステップS106において、制御部10は、ステップS105で生成された階調補正曲線L2に基づいて、入力階調値と、この入力階調値が補正されるべき補正階調値を対応付けた階調補正データ(階調補正テーブル)を生成する。生成された階調補正データは、例えばRAM13に記憶される。
画像形成時には、階調補正データを参照して階調補正が行われ、補正階調値に基づいて画像形成条件が決定されることとなる。
【0053】
このように、本実施の形態では、画像安定化制御において下流側の感光体ドラム413への有色トナーの再転写を考慮する必要がないので、階調補正に用いる階調補正データを容易に生成することができる。また、この階調補正データは、正規トナーパターンの検出結果から直接的に求められるので、誤差の少ないものとなる。したがって、階調補正の精度が向上する。
【0054】
また、すべての感光体ドラム413を中間転写ベルト421に圧接させた状態でトナーパターンを形成し、このトナーパターンの濃度を濃度検出センサー43によって検出することにより、下流側の感光体ドラム413への1回当たりの再転写量を算出することができる。
例えば、Y成分用の画像形成ユニット41Yにより中間転写ベルト421上に形成されたYトナーのパターンは、下流側の感光体ドラム413M、413C、413K及び413CLR1〜413CLR3に6回再転写される。このときの濃度検出結果と、下流側の感光体ドラム413M、413C、413K及び413CLR1〜413CLR3を離間させたときに得られる濃度検出結果の差分から再転写総量が算出される。再転写総量を再転写回数で除することにより、1回当たりの再転写量が算出される。この1回当たりの再転写量は、透明トナー像を形成する際のトナー量を設定する際に参考とされる。
【0055】
図9は、画像形成部40における画像形成処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す画像形成処理は、例えば画像形成装置1に対して外部の機器から入力画像データとともに印刷指示命令が送信されてきたことに伴い、CPU11がROM12に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
なお、画像形成処理時においては、感光体ドラム413は、すべて中間転写ベルト421に圧接した状態とされる。
【0056】
図9のステップS201において、制御部10は、画像処理部30を制御して入力画像データの色変換処理を行う。この処理により、C、M、Y、Kのそれぞれに色分解された入力画像データ(階調値)が生成される。
【0057】
ステップS202において、制御部10は、画像処理部30を制御して階調補正を行う。具体的には、図6に示す階調補正データ生成処理により生成された階調補正データを参照して、1画素ごとに入力階調値が補正階調値となるように補正する。画素が一次色である場合も、二次色又は三次色である場合も、同じ階調補正データが参照される。
【0058】
ステップS203において、制御部10は、特定画素の画像データを取得する。具体的には、制御部10は、画素ごとに、Y画像データ、M画像データ、C画像データ、及びK画像データを取得する。
【0059】
ステップS204において、制御部10は、その特定画素にY画像データが含まれるか否かを判定する。そして、制御部10は、特定画素にY画像データが含まれると判定した場合にはステップS205の処理に移行する。一方、制御部10は、特定画素にイエロー画像データが含まれないと判定した場合には、下流側の感光体ドラム413Mへの再転写を防止すべき有色トナー像(Yトナー像)が中間転写ベルト421に形成されていないこととなり、CLR1トナー像を形成する必要はないので、ステップS208の処理に移行する。
【0060】
ステップS205において、制御部10は、ステップS202で階調補正された補正後の画像データ(補正階調値)に基づいてY成分用の画像形成ユニット41Yにおける画像形成条件を設定し、感光体ドラム413YにYトナー像を形成させる。感光体ドラム413Yに形成されたYトナー像は中間転写ベルト421上に一次転写される。
【0061】
ステップS206において、制御部10は、当該画素に対して画像形成ユニット41CLR1によりCLR1トナー像を形成するためのCLR1画像データを生成する。このとき、CLR1トナー像を形成するためのトナー量(階調値に相当)は、YトナーがM成分用の感光体ドラム413Mに再転写されないように設定されていればよい。
【0062】
例えば、CLR1トナーとYトナーの中間転写ベルト421への再転写率が同程度であれば、CLR1トナー像が形成されない場合にM成分用の感光体ドラム413Mに再転写されるYトナーの量、すなわち上述したYトナーの1回当たりの再転写量を参考にすることができる。また、CLR1トナーの量は、画像が形成される用紙の紙種や、画像形成が行われる環境(温度、湿度)に応じて適宜に変更されるようにしてもよい。
【0063】
ステップS207において、制御部10は、ステップS206で生成されたCLR1画像データに基づいて画像形成ユニット41CLR1を制御し、感光体ドラム413CLR1にCLR1トナー像を形成させる。感光体ドラム413CLR1に形成されたCLR1トナー像は中間転写ベルト421上のYトナー像に重ね合わせて一次転写される。
【0064】
ステップS208において、制御部10は、その特定画素にM画像データが含まれるか否かを判定する。そして、制御部10は、特定画素にM画像データが含まれると判定した場合にはステップS209の処理に移行し、特定画素にマゼンタ画像データが含まれないと判定した場合にはステップS210の処理に移行する。
【0065】
ステップS209において、制御部10は、ステップS202で階調補正された補正後の画像データ(補正階調値)に基づいてM成分用の画像形成ユニット41Mにおける画像形成条件を設定し、感光体ドラム413MにMトナー像を形成させる。感光体ドラム413Mに形成されたMトナー像は、中間転写ベルト421上のCLR1トナー像に重ね合わせて、又は中間転写ベルト421上に直接一次転写される。
【0066】
ステップS210において、制御部10は、特定画素にY画像データが含まれるか否かを判定する。特定画素にM画像データが含まれていない場合でも、Y画像データが含まれる場合には、Yトナーの再転写を防止すべくCLR2トナー像を形成する必要があるためである。
そして、制御部10は、特定画素にY画像データが含まれると判定した場合にはステップS211の処理に移行する。一方、制御部10は、特定画素にY画像データが含まれないと判定した場合には、下流側の感光体ドラム413Cへの再転写を防止すべき有色トナー像(Yトナー像又はMトナー像)が中間転写ベルト421に形成されていないこととなり、CLR2トナー像を形成する必要はないので、ステップS213の処理に移行する。
【0067】
ステップS211において、制御部10は、当該画素に対して画像形成ユニット41CLR2によりCLR2トナー像を形成するためのCLR2画像データを生成する。このとき、CLR2トナー像を形成するためのトナー量(階調値に相当)は、有色トナー(Yトナー又はMトナー)がC成分用の感光体ドラム413Cに再転写されないように設定されていればよい。
【0068】
ステップS212において、制御部10は、ステップS211で生成されたCLR2画像データに基づいて画像形成ユニット41CLR2を制御し、感光体ドラム413CLR2にCLR2トナー像を形成させる。感光体ドラム413CLR2に形成されたCLR2トナー像は、中間転写ベルト421上のCLR1トナー像又はMトナー像に重ね合わせて一次転写される。
【0069】
ステップS213において、制御部10は、その特定画素にC画像データが含まれるか否かを判定する。そして、制御部10は、特定画素にC画像データが含まれると判定した場合にはステップS214の処理に移行し、特定画素にシアン画像が含まれないと判定した場合にはステップS215の処理に移行する。
【0070】
ステップS214において、制御部10は、ステップS202で階調補正された補正後の画像データ(補正階調値)に基づいてC成分用の画像形成ユニット41Cにおける画像形成条件を設定し、感光体ドラム413CにCトナー像を形成させる。感光体ドラム413Cに形成されたCトナー像は、中間転写ベルト421上のCLR2トナー像に重ね合わせて、又は中間転写ベルト421上に直接一次転写される。
【0071】
ステップS215において、制御部10は、特定画素にY画像データ又はM画像データが含まれるか否かを判定する。特定画素にC画像データが含まれていない場合でも、Y画像データ又はM画像データが含まれる場合には、Yトナー又はMトナーの再転写を防止すべくCLR3トナー像を形成する必要があるためである。
そして、制御部10は、特定画素にY画像データ又はM画像データが含まれると判定した場合にはステップS216の処理に移行する。一方、制御部10は、特定画素にY画像データ又はM画像データが含まれないと判定した場合には、下流側の感光体ドラム413Kへの再転写を防止すべき有色トナー像(Yトナー像、Mトナー像、又はCトナー像)が中間転写ベルト421に形成されていないこととなり、CLR3トナー像を形成する必要はないので、ステップS218の処理に移行する。
【0072】
ステップS216において、制御部10は、当該画素に対して感光体ドラム413CLR3によりCLR3トナー像を形成するためのCLR3画像データを生成する。このとき、CLR3トナー像を形成するためのトナー量(階調値に相当)は、有色トナー(Yトナー、Mトナー又はCトナー)がK成分用の感光体ドラム413Kに再転写されないように設定されていればよい。
【0073】
ステップS217において、制御部10は、ステップS216で生成されたCLR3画像データに基づいて画像形成ユニット41CLR3を制御し、感光体ドラム413CLR3にCLR3トナー像を形成させる。感光体ドラム413CLR3に形成されたCLR3トナー像は中間転写ベルト421上のCLR2トナー像、又はCトナー像に重ね合わせて一次転写される。
【0074】
ステップS218において、制御部10は、その特定画素にK画像データが含まれるか否かを判定する。そして、制御部10は、特定画素にK画像データが含まれると判定した場合にはステップS219の処理に移行し、特定画素にK画像データが含まれないと判定した場合には処理を終了する。
【0075】
ステップS219において、制御部10は、ステップS202で階調補正された補正後の画像データ(補正階調値)に基づいてK成分用の画像形成ユニット41Kにおける画像形成条件を設定し、感光体ドラム413KにKトナー像を形成させる。感光体ドラム413Cに形成されたKトナー像は、中間転写ベルト421上のCLR3トナー像に重ね合わせて、又は中間転写ベルト421上に直接一次転写される。
【0076】
図9の画像形成処理に従って各有色成分の単色画像及び各有色成分を組み合わせてなる多色画像を形成する場合のトナーの再転写状況を表4に示す。
【0077】
【表4】

【0078】
表4に示すように、例えばイエロー(Y)の単色画像を形成する場合、M成分用の感光体ドラム413MにはCLR1トナーが再転写され、C成分用の感光体ドラム413CにはCLR2トナーが再転写され、K成分用の感光体ドラム413KにはCLR3トナーが再転写される。つまり、Y成分用の感光体ドラム413Yから中間転写ベルト421に転写されたYトナーは、画像形成されない色成分用の感光体ドラム413M、413C、413Kに一切再転写されない(図10参照)。
【0079】
また、例えばイエローにマゼンタを重ね合わせたレッドの多色画像を形成する場合、C成分用の感光体ドラム413CにはCLR2トナーが再転写され、K成分用の感光体ドラム413KにはCLR3トナーが再転写される。つまり、Y成分用の感光体ドラム413Yから中間転写ベルト421に転写されたYトナー及びM成分用の感光体ドラム413Mから中間転写ベルト421に転写されたMトナーは、画像形成されない色成分用の感光体ドラム413C、413Kに一切再転写されない(図11参照)。
この場合、画像形成ユニット41MではMトナー像が形成されるので、感光体ドラム413MへのCLR1トナーの再転写は生じない。ただし、CLR1トナー像を形成しなければ、Yトナーが感光体ドラム413CLR1に転写されてしまうので、CLR1トナー像の形成は必要となる。CLR1トナー像を形成する際、CLR1トナーの量を最小限に抑えることでランニングコストを低減することができる。
【0080】
制御部10は、入力画像を構成する全画素に対してステップS203〜S219の処理を行う。このようにして中間転写ベルト421上に形成されたトナー像(透明トナー像を含む)は、用紙Sに一括して二次転写される。何れの有色トナーも下流側の感光体ドラム413に再転写されないので、有色トナーは全色転写率100%で用紙Sに転写される。したがって、有色トナー像は、設計されたとおりの階調値(濃度)で用紙S上に形成される(入力画像が忠実に再現される)。なお、透明トナーが用紙Sに二次転写されても、出力画像の階調特性は何ら影響を受けない。
【0081】
上述したように、本実施の形態の画像形成装置1においては、階調補正部14による階調補正後の画像データに基づいて画像形成ユニット41Y、41M、又は41C(第1の画像形成部)が中間転写ベルト421(中間転写体)上にYトナー像、Mトナー像、又はCトナー像(有色トナー像)を形成した後(図9のステップS205、S209、S214)、画像形成ユニット41CLR1、CLR2、又はCLR3(第2の画像形成部)が当該有色トナー像に重ね合わせてCLR1トナー像、CLR2トナー像、又はCLR3トナー像(透明トナー像)を形成する(図9のステップS207、S212、S217)。
【0082】
画像形成装置1によれば、中間転写ベルト421上において、有色トナー像の上に透明トナー像が形成されるので、下流側にある画像形成されない色の一次転写部を通過する際に、その色成分用の感光体ドラム413には透明トナーが転写されることとなる。したがって、すべての有色トナーの用紙への転写率が100%となるので、画像安定化制御において下流側の感光体ドラム413への有色トナーの再転写を考慮する必要はなく、所望の階調特性を有する出力画像を容易に形成することができる。
【0083】
また、画像形成装置1は、階調補正用の画像データに基づいて複数の第1の画像形成部41Y、41M、41C、41Kのうちの一つが中間転写ベルト421(中間転写体)上に形成した、単色のトナーパターンの濃度を検出する濃度検出センサー43(濃度検出部)と、トナーパターンの形成に用いられない感光体ドラム413(階調補正対象色がイエローの場合、感光体ドラム413M、413C、413K、413CLR1〜413CLR3)を中間転写ベルト421から離間させた状態で、濃度検出センサー43により検出されたトナーパターンの濃度(図8の階調特性曲線L1)に基づいて、階調補正データを生成する階調補正データ生成部15(図6のフローチャート)と、を備えている。そして、階調補正部14は、階調補正データ生成部15により生成された階調補正データに基づいて階調補正を行う(図9のステップS202)。
【0084】
つまり、画像形成装置1においては、有色トナーの転写率が100%になるため、中間転写ベルト421上に形成されたトナーパターンの濃度を用紙S上の濃度とみなすことができる。したがって、適切な階調補正データを上記のように容易に生成することができる。また、多色画像を形成する場合において、何れの有色トナーについても適正なトナー量となる(従来のように最終的に最上層となる色以外のトナー量が過剰とならない)ので、所望の階調特性を有する出力画像を容易に形成できる。
【0085】
また、画像形成装置1においては、透明成分用の画像形成ユニット41CLR1〜CLR3(第2の画像形成部)が、当該画像形成ユニット41CLR1〜41CLR3により中間転写ベルト421上に形成される透明トナー像の、下流側の感光体413への再転写回数に応じて、当該透明トナー像のトナー量を設定する。例えば、透明トナー像の再転写が行われない場合はトナー量を最小限に抑える。
これにより、画像形成時のランニングコストを低減することができる。
【0086】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
実施の形態では、中間転写ベルト421上に有色トナー像が形成されている場合には、画像形成ユニット41CLR1〜41CLR3で都度透明トナー像が形成されるが、直前の画像形成ユニット41(画像形成ユニット41CLR2の場合、M成分用の画像形成ユニット41M)で画像形成が行われない場合は、透明トナー像を形成しないようにしてもよい。
例えば、イエローの単色画像を形成する場合、画像形成ユニット41M、41Cでは画像形成が行われない。したがって、Yトナーの再転写だけを防止できればよく、これはCLR1トナーだけで実現することができる。この場合、CLR1トナーは、下流側の感光体ドラム413M、413CLR2、413C、413CLR3、413Kに5回再転写されることとなる。したがって、CLR1トナーのトナー量は、5回分の再転写を考慮して設定される。
【0087】
また、一つの感光体ドラム上に有色トナー像を形成させた後、用紙に一括して転写させる画像形成装置、すなわち中間転写体が感光体ドラムで構成された画像形成装置に本発明を適用することもできる。さらにいえば、中間転写方式の画像形成装置であれば本発明を適用することができ、中間転写部の構成は特に制限されない。
【0088】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
1 画像形成装置
10 制御部
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 階調補正部
15 階調補正データ生成部
16 透明画像データ生成部
20 操作表示部
30 画像処理部
40 画像形成部
41 画像形成ユニット
41Y、41M、41C、41K 有色成分用の画像形成ユニット(第1の画像形成部)
41CLR1〜41CLR3 透明成分用の画像形成ユニット(第2の画像形成部)
411 露光装置
412 現像装置
413 感光体ドラム
414 帯電装置
415 ドラムクリーニング装置
42 中間転写ユニット
421 中間転写ベルト
422 一次転写ローラー
423 二次転写ローラー
424 駆動ローラー
425 従動ローラー
426 ベルトクリーニング装置
43 濃度検出センサー(濃度検出部)
50 搬送部
60 定着部
70 記憶部
80 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像データに基づいて、露光装置により感光体に静電潜像を形成させ、現像装置により前記感光体にトナーを付着させることにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成する画像形成部と、
前記感光体に形成された前記トナー像を中間転写体に転写させ、この中間転写体に転写されたトナー像を用紙に転写させる中間転写部と、
階調補正データに基づいて階調補正を行う階調補正部と、を備える中間転写方式の画像形成装置であって、
前記画像形成部が、前記感光体上に有色トナー像を形成する複数の第1の画像形成部と、この複数の第1の画像形成部の間に配置され、前記感光体上に透明トナー像を形成する第2の画像形成部と、を有し、
前記階調補正部による階調補正後の画像データに基づいて前記第1の画像形成部が前記中間転写体上に前記有色トナー像を形成した後、前記第2の画像形成部が当該有色トナー像に重ね合わせて前記透明トナー像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
階調補正用の画像データに基づいて前記複数の第1の画像形成部のうちの一つが前記中間転写体上に形成した、単色のトナーパターンの濃度を検出する濃度検出部と、
前記トナーパターンの形成に用いられない前記第1の画像形成部及び前記第2の画像形成部の前記感光体を前記中間転写体から離間させた状態で、前記濃度検出部により検出された前記トナーパターンの濃度に基づいて、階調補正データを生成する階調補正データ生成部と、を備え、
前記階調補正部は、前記階調補正データ生成部により生成された階調補正データに基づいて前記階調補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の画像形成部が、当該第2の画像形成部により前記中間転写体上に形成される透明トナー像の、下流側の前記感光体への再転写回数に応じて、当該透明トナー像のトナー量を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
感光体に形成されたトナー像を中間転写体に転写させ、この中間転写体に転写されたトナー像を用紙に転写させる中間転写方式の画像形成装置における画像形成方法であって、
階調補正データに基づいて階調補正を行う工程と、
前記階調補正後の画像データに基づいて前記中間転写体上に有色トナー像を形成する工程と、
前記有色トナー像に重ね合わせて透明トナー像を形成する工程と、を備えることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−20004(P2013−20004A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151931(P2011−151931)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】