説明

画像形成装置

【課題】現像ギャップをできるだけ小さくして高画質を得るようにしつつ、現像ローラの軸長を短くしかつスペーサの汚れを抑制して、現像ギャップを高精度に維持する。
【解決手段】現像ローラ4aのトナー非搬送面4eには、シート状のスペーサ8が固定されている。これらのスペーサ8が感光体2に圧接されることで、現像ローラ4aが感光体2に対して現像ギャップgを置いて対向配置される。トナー非搬送面4eおよびスペーサ8の外周面には、周面シール9がスペーサ8にオーバラップされて設けられている。したがって、現像ローラ4aの軸長を短くでき、現像ローラ4aの撓みを抑制することができる。これにより、現像ギャップを高精度に維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真、静電複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置の技術分野に関し、特に、像担持体と現像ローラとの間に所定の現像ギャップを有する非接触ジャンピング現像方式により非磁性一成分トナーを用いて像担持体の静電潜像を現像することで画像を形成する画像形成装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、非接触ジャンピング現像方式を用いた現像装置を備えた画像形成装置が多々知られている。この非接触ジャンピング現像方式は、像担持体である感光体と現像ローラとの間に所定の現像ギャップを設けるとともに、現像ローラ上のトナーを感光体にジャンピングさせて感光体上の静電潜像を現像する方式である。この非接触ジャンピング現像方式では、感光体と現像ローラとの間の現像ギャップを高精度に維持することが良好な現像を行う上で求められる。
【0003】
そこで、従来、現像ローラより半径の大きなコロからなるスペーサを現像ギャップ調整部材として現像ローラの両端部から突出する回転軸に設け、これらのコロを感光体の外周面に当接することで感光体と現像ローラとの間の現像ギャップを維持している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、現像ギャップ調整部材としてコロを用いた場合、コロと現像ローラとの同軸度やコロの真円度等の誤差が重なることで、現像ローラと感光体との間に適正な現像ギャップを確保することが難しい。また、非接触ジャンピング現像方式において高画質を得るためには現像ギャップを狭くする必要があるが、コロはある程度の厚みを有しているため、コロの厚みをきわめて薄く形成して現像ギャップを狭くすることは難しい。
【0005】
そこで、現像ギャップ調整部材としてシート状部材を用い、このシート状部材を現像ローラの両端部外周面と感光体の両端部外周面との間に介在させることで、現像ローラと感光体との間に適正な現像ギャップを容易に確保できるようにすることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に開示の画像形成装置によれば、前述の現像ギャップ調整部材としてコロを用いた場合の問題を解決することができる。
【0006】
一方、従来の画像形成装置における現像装置においては、現像ローラの両端部からトナーがこぼれるのを防止するために、現像ローラの両端部のトナー非搬送面をブラストしないで滑らかにするとともに、このトナー非搬送面に周面シールを設けている。(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−270928号公報。
【特許文献2】特開平5−27571号公報。
【特許文献3】特開2003−323407号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、非接触現像装置において、前述の特許文献2に開示されているように現像ローラの両端部にシート状のスペーサを設けて、現像ギャップを狭くして高画質を得るとともに現像ギャップの精度を向上することができるようにしつつ、特許文献3に開示されているように現像ローラの両端部に設けた周面シールによってこれらの両端部からトナーがこぼれるのを防止しようとすることが考えられる。
【0008】
しかしながら、そのために、現像ローラの両端部に周面シールを設けるとともに、これらの周面シールの外側にスペーサを設けると、現像ローラの軸方向長さが長くなってしまう。現像ローラの軸長が長くなると、現像ローラに撓みが生じてしまい、せっかくシート状のスペーサで現像ギャップの精度を向上させても、現像ギャップが変動して現像ギャップの精度が低下してしまう。そこで、スペーサを周面シールの内側に設けると、トナーこぼれによりスペーサが汚れてしまい、同様に現像ギャップが変動して現像ギャップの精度が低下してしまう。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、現像ギャップをできるだけ小さくして高画質を得ることができるようにしつつ、現像ローラの軸長を短くしかつスペーサの汚れを抑制して、現像ギャップを高精度に維持できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明は、像担持体と、トナー搬送面が前記像担持体に所定の現像ギャップを置いて対向するように設けられて前記像担持体にトナーを搬送する現像ローラと、この現像ローラの両端部に設けられて前記像担持体に当接することで前記現像ギャップを設定するギャップ調整部材とを少なくとも備え、非接触ジャンピング現像を行う画像形成装置において、前記ギャップ調整部材がシート状のスペーサで構成されており、前記現像ローラの両端部に、それぞれこれらの両端部からトナーがこぼれるのを防止する周面シールが前記スペーサおよび前記現像ローラの前記スペーサより内側の部分に、前記スペーサ上にオーバラップされて設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、前記周面シールが、前記スペーサのクリーニングを行うクリーニング部材として兼用されていることを特徴とする。
更に、請求項3の発明は、前記周面シールが、起毛材で形成されていることを特徴とする。
【0012】
更に、請求項4の発明は、前記像担持体をクリーニングするクリーニングブレードを備え、前記クリーニングブレードの幅が、前記現像ローラの両端部における前記スペーサの外側縁間の距離より大きく設定されていることを特徴とする。
更に、請求項5の発明は、前記像担持体の前記スペーサが当接するスペーサ当接部位に、このスペーサ当接部位をクリーニングするクリーニング部材が設けられていることを特徴とする。
【0013】
更に、請求項6の発明は、前記周面シール、前記トナー、前記スペーサの帯電列が、
+ > 周面シール > トナー > スペーサ > −
に設定されていることを特徴とする。
【0014】
更に、請求項7の発明は、前記像担持体を帯電する帯電部材を備えているとともに、前記像担持体をクリーニングするクリーニングブレードを備え、前記帯電部材の帯電幅が、前記スペーサの外側縁間の距離より大きく設定されており、前記周面シール、前記トナー、前記スペーサの帯電列が、
+ > トナー > 周面シール、スペーサ > −
に設定されていることを特徴とする。
【0015】
更に、請求項8の発明は、前記周面シールが前記スペーサの内側縁からオーバラップされており、前記像担持体を帯電する帯電部材を備えているとともに、前記像担持体をクリーニングするクリーニングブレードを備え、前記帯電部材の帯電幅が、前記スペーサの内側縁間の距離より小さく、かつ前記周面シールの内側縁間の距離より大きく設定されており、前記周面シール、前記トナー、前記スペーサの帯電列が、
+ > 周面シール、スペーサ > トナー > −
に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、現像ローラの両端部に固定されたシート状のスペーサの外周面に、周面シールをオーバーラップさせているので、現像ローラの両端部の外周面に周面シールを設けるとともにこの周面シールより外側の現像ローラの両端部にスペーサを設けた場合に比べて、現像ローラの軸方向長さを短くすることができる。したがって、現像ローラの撓み量を小さく抑制することができる。
【0017】
その結果、現像ローラの撓みによる現像ギャップの変動が抑制されて、現像ギャップを高精度に維持することができる。また、高画質化を目的としてシート状のスペーサを用いて現像ギャップを小さく設定した場合に、現像ギャップの変動による画質への影響を効果的に抑制することができる。
【0018】
特に、請求項2の発明によれば、周面シールがスペーサのクリーニング部材を兼ねるようにしているので、スペーサにトナー等の異物が付着して汚れが生じても、周面シールにより異物を除去して汚れを拭き取ることができる。したがって、スペーサの外周面が滑らかなきれいな面となるので、現像ギャップを常に高精度に保持でき、均一な所定の現像ギャップを常時維持することができる。しかも、スペーサの専用のクリーニング部材を設ける必要がないので、部品点数を削減できる。
また、請求項3の発明によれば、周面シールに起毛材を用いることで、スペーサに対するクリーニング効果をより向上させることができる。
【0019】
更に、請求項4の発明によれば、像担持体のクリーニングブレードの幅を現像ローラ両端部のスペーサの外側縁間の距離より大きく設定して、像担持体のスペーサ当接部位にクリーニングブレードを位置させているので、像担持体のスペーサ当接部位を常時クリーニングすることができる。また、請求項5の発明によれば、像担持体のスペーサ当接部位にクリーニング部材を配置しているので、像担持体のスペーサ当接部位を常時クリーニングすることができる。したがって、請求項4および5の発明では、像担持体とスペーサとが当接するとき、像担持体とスペーサとの間が、常にトナー等の異物汚れのないきれいな状態に保持することができる。これによっても、現像ギャップを常に高精度に保持でき、均一な所定の現像ギャップを常時維持することができる。請求項4の発明では、像担持体のクリーニングブレードを用いているので、部品点数を削減できる。
【0020】
更に、請求項6の発明によれば、請求項4または5の発明において、周面シール、トナー、およびスペーサの帯電列を、
+ > 周面シール > トナー > スペーサ > −
に設定しているので、空気中を飛散してスペーサに付着したトナーの帯電量が大きくならないようにすることができる。これにより、スペーサからトナーを容易にクリーニングすることができるようになる。
【0021】
更に、請求項7の発明によれば、帯電部材の帯電幅を、スペーサの外側縁間の距離より大きく設定し、周面シール、トナー、スペーサの帯電列を、
+ > トナー > 周面シール、スペーサ > −
に設定しているので、スペーサに付着したトナーが、例えばトナーの粒径が小さすぎて周面シールをすり抜けるなどしてスペーサと周面シールとの間に入ったトナーをプラス帯電させることができる。そして、帯電部材により、像担持体のスペーサ当接部位をマイナス帯電させることで、スペーサ上のトナーを像担持体に現像させることができる。したがって、周面シールでクリーニングできないようなスペーサ上のトナーも除去することができ、スペーサを確実にクリーニングすることができる。また、像担持体に現像されたトナーはクリーニングブレードによって除去し、回収することができる。
【0022】
更に、請求項8の発明によれば、帯電部材の帯電幅を、スペーサの内側縁間の距離より小さく、かつ周面シールの内側縁間の距離より大きく設定し、周面シール、トナー、スペーサの帯電列を、
+ > 周面シール、スペーサ > トナー > −
に設定しているので、スペーサに付着したトナーが、例えばトナーの粒径が小さすぎて周面シールをすり抜けるなどしてスペーサと周面シールとの間に入ったトナーをマイナス帯電させることができる。そして、像担持体のスペーサ当接部位を帯電させないことで、トナーの電位を現像ローラの電位よりプラス側にして、スペーサ上のトナーを像担持体に現像させることができる。したがって、周面シールでクリーニングできないようなスペーサ上のトナーも除去することができ、スペーサを確実にクリーニングすることができる。また、像担持体に現像されたトナーはクリーニングブレードによって除去し、回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的に示す図である。なお、本特許請求の範囲および本明細書において、内側は現像ローラの中央側を指し、外側は現像ローラの両端側を指す。
【0024】
図1に示すように、この例の画像形成装置1は、静電潜像およびトナー像が形成される像担持体である感光体2、この感光体2を帯電する帯電装置3、感光体2上に形成された静電潜像を非磁性一成分トナー(以下、単にトナーともいう)によって現像する現像装置4、現像装置4によって現像されたトナー像を中間転写体5に一次転写する一次転写装置6、および一次転写後に感光体2上に残留するトナーを除去し回収するクリーニング装置7を備えている。
【0025】
そして、帯電装置3の帯電ローラ3aによって像形成領域が一様帯電された感光体2上に、図示しない露光装置によって静電潜像が形成され、この感光体2上の静電潜像が現像装置4の現像ローラ4aによって搬送されてくる非磁性一成分トナーで現像されてトナー像が形成される。この感光体2上のトナー像は一次転写装置6の転写ローラ6aによって中間転写体5に一次転写されて転写像が形成される。そして、図示しないが、中間転写体5上の転写像が二次転写装置によって紙等の記録媒体に転写され、記録媒体上の転写像が定着装置によって定着されて画像が形成される。一次転写後に感光体2上に残留したトナーはクリーニング装置7のクリーニングブレード7aによって除去され回収される。
【0026】
現像装置4は、感光体2にトナーを搬送する現像ローラ4a、現像ローラ4aに圧接されてトナーを供給する供給ローラ4b、および現像ケース4cを備えており、現像ケース4c内に、トナー、現像ローラ4a、および供給ローラ4bが収容されている。そして、現像ケース4c内に収容された非磁性一成分トナーが、図示しないトナー攪拌搬送部材によって撹拌されながら供給ローラ4bの方へ搬送され、更に供給ローラ4bによって現像ローラ4aに供給される。現像ローラ4a上のトナーは、図示しない規制ブレードによって規制されて薄層化され、この薄層のトナーが現像ローラ4aによって感光体2の方へ搬送される。
【0027】
図2(a)に示すように、現像ローラ4aは、その中央部にトナー搬送面4dが形成されているとともに、両端部にはトナー非搬送面が形成されている(図2(a),(b)には、現像ローラ4aの図において左端側のトナー非搬送面4eのみが示されているが、右端側のトナー非搬送面も左右対称ではあるが同様にして設けられている。)
【0028】
トナー非搬送面4eには、シート状のスペーサ8が固定されている(同様に、現像ローラ4aの右端側のトナー非搬送面にも同じスペーサが固定されている。以下、説明の便宜上、現像ローラ4aの右端側についても左端側と同じ符号を付して説明する。)。シート状のスペーサ8としては、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイミド、エポキシ、アセテート、シリコーン、アクリル、ゴム等のようなプラスチックやゴムからなる、テープやチューブを用いることができる。その場合、絶縁体であることが好ましい。特に、スペーサ8としては、粘着テープあるいはシームレスの熱収縮チューブを用いることが好ましい。図2(b)に示すように、これらのスペーサ8が感光体2の像非担持面2aに圧接されることで、現像ローラ4aのトナー搬送面4dが、感光体2の像担持面2bに対して所定の現像ギャップgを置いて対向配置されている。
【0029】
そして、この現像ギャップgは、スペーサ8の厚みを適宜選択することで所望の大きさに調節される。これにより、この現像装置4は非磁性一成分現像剤であるトナーを用いた非磁性一成分現像剤非接触ジャンピング現像を行うようになっている。
【0030】
トナー非搬送面4eおよびスペーサ8の外周面には周面シール9が設けられており、この周面シール9はスペーサ8より内側のトナー非搬送面4e、スペーサ8の外周面および側面を覆うようにして設けられている。つまり、周面シール9はスペーサ8の外周面にスペーサ8の内側からオーバラップされて設けられている。周面シール9としては、従来公知のシール部材を用いることができ、特に、起毛材を用いることが好ましい。この周面シール9により、トナー搬送面4d上のトナーが現像ローラ4aの左端の方へ漏出するのが防止される(現像ローラ4aの右端側にも、同様の周面シール9が左右対称に設けられていて、トナーの現像ローラ4aの右端の方への漏出が同様に防止されている)。このように、周面シール9はスペーサ8の外周面にオーバラップすることで、スペーサ8のクリーニング部材としての機能も兼ねている。
【0031】
図2(b)に示すように、クリーニングブレード7aは感光体2の軸方向と平行な方向に延びていて、このクリーニングブレード7aの幅(感光体2の軸方向と平行な方向の長さ)が左右のスペーサ8の外側縁8a間の長さより大きく設定されている。その場合、クリーニングブレード7aの左右端は、それぞれ左右のスペーサ8の外側縁8aよりも外側に位置しており、したがって、感光体2のスペーサ当接部位2cにクリーニングブレード7aが位置している。
【0032】
更に、周面シール9、トナー、およびスペーサ8の帯電列は、
+ > 周面シール9 > トナー > スペーサ8 > −
に設定されている。この帯電列は、2つの部材を擦り合わせたとき、
+ > プラス(+)に帯電した方の部材 > マイナス(−)に帯電する方の部材 > −
として表される。
【0033】
このように構成されたこの例の画像形成装置1によれば、現像ローラ4aの両端部に固定されたシート状のスペーサ8の外周面に、周面シール9をオーバーラップさせているので、現像ローラ4aの両端部の外周面に周面シール9を設けるとともにこの周面シール9より外側の現像ローラ4aの両端部にスペーサ8を設けた場合に比べて、現像ローラ4aの軸方向長さを短くすることができる。したがって、現像ローラ4aの撓み量を小さく抑制することができる。
【0034】
その結果、現像ローラ4aの撓みによる現像ギャップgの変動が抑制されて、現像ギャップgを高精度に維持することができる。また、高画質化を目的としてシート状のスペーサ8を用いて現像ギャップgを小さく設定した場合に、現像ギャップgの変動による画質への影響を効果的に抑制することができる。
特に、スペーサ8として、熱収縮チューブを用いることが好ましい。この熱収縮チューブはシームレスでありかつ弾性体であるため、前述の各効果を十分に発揮でき現像ギャップ調整部材として適しているとともに、現像ローラ5への固定が比較的簡単になる。
【0035】
また、周面シール9がスペーサ8にオーバラップすることでスペーサ8のクリーニング部材を兼ねるようにしているので、スペーサ8にトナー等の異物が付着して汚れが生じても、周面シール9により異物を除去して汚れを拭き取ることができる。したがって、スペーサ8の外周面が滑らかなきれいな面となるので、現像ギャップgを常に高精度に保持でき、均一な所定の現像ギャップを常時維持することができる。特に、周面シール9に起毛材を用いることで、スペーサ8に対するクリーニング効果をより向上させることができる。
【0036】
更に、クリーニングブレード7aの幅を左右のスペーサ8の外側縁8a間の距離より大きく設定して、感光体2のスペーサ当接部位2cにクリーニングブレード7aを位置させているので、感光体2のスペーサ当接部位2cを常時クリーニングすることができる。したがって、感光体2とスペーサ8とが当接するとき、感光体2とスペーサ8との間が、常にトナー等の異物汚れのないきれいな状態に保持することができる。これによっても、現像ギャップgを常に高精度に保持でき、均一な所定の現像ギャップを常時維持することができる。
【0037】
更に、空気中を飛散してスペーサ8に付着したトナーの帯電量が大きくなると、鏡像力が大きくなってスペーサ8からトナーをクリーニングすることができなくなることがある。そこで、周面シール9、トナー、およびスペーサ8の帯電列を、
+ > 周面シール9 > トナー > スペーサ8 > −
に設定しているので、トナーの帯電量が大きくならないようにすることができる。これにより、スペーサ8からトナーを容易にクリーニングすることができるようになる。
【0038】
図3は、本発明の画像形成装置の実施の形態の他の例を示す、図2(b)と同様の図である。
前述の図2(b)で示す例では、感光体2のクリーニングブレード7aを感光体2のスペーサ当接部位2cまで延設しているが、図3に示すように、この例の画像形成装置1では、感光体2のクリーニングブレード7aに代えて、感光体2のスペーサ当接部位2cをクリーニングする専用のクリーニング部材10が設けられている。感光体2のスペーサ当接部位2cは現像領域の外側になるので、クリーニングブレード7aのように多くの残留トナーをクリーニングする必要はないので、このクリーニング部材10としては、起毛材やスポンジ等の部材を用いることができる。
この例の他の構成および作用効果は、前述の図2(a)および(b)に示す例と同じである。
【0039】
図4は、本発明の画像形成装置の実施の形態の更に他の例を示す、図2(b)と同様の図である。
前述の図2で示す例では、感光体2を帯電する帯電ローラ3aの帯電幅を感光体2の像形成領域幅に設定しているが、図4に示すように、この例の画像形成装置1では、帯電ローラ3aの帯電幅を左右のスペーサ8の外側縁8a間の距離より大きく設定して、感光体2のスペーサ当接部位2cに帯電ローラ3aを位置させている。これにより、帯電ローラ3aにより感光体2のスペーサ当接部位2cを帯電可能にしている。その場合、帯電ローラ3aにより、スペーサ当接部位2cを含む感光体2をマイナス帯電するようにしている。
また、この例では、周面シール9、トナー、およびスペーサ8の帯電列は、
+ > トナー > 周面シール9、スペーサ8 > −
に設定されている。
この例の他の構成は、前述の図2に示す例と同じである。
【0040】
ところで、スペーサ8に付着したトナーが、例えばトナーの粒径が小さすぎて周面シール9をすり抜けるなどで、周面シール9でスペーサ8上のトナーをクリーニングすることができない場合がある。しかし、この例では、周面シール9、トナー、およびスペーサ8の帯電列を前述のように設定しているので、スペーサ8と周面シール9との間に入ったトナーをプラス帯電させることができる。そして、帯電ローラ3aにより、感光体2のスペーサ当接部位2cをマイナス帯電させることで、スペーサ8上のトナーを感光体2に現像させることができる。したがって、周面シール9でクリーニングできないようなスペーサ8上のトナーも除去することができ、スペーサ8を確実にクリーニングすることができる。また、感光体2に現像されたトナーはクリーニングブレード7aによって除去され、回収される。
この例の他の作用効果は、前述の図2に示す例と同じである。
【0041】
図5は、本発明の画像形成装置の実施の形態の更に他の例を示す、図2(b)と同様の図である。
前述の図4で示す例では、感光体2のスペーサ当接部位2cに帯電ローラ3aを位置させているが、図5に示すように、この例の画像形成装置1では、帯電ローラ3aの帯電幅を、左右のスペーサ8の内側縁8b間の距離より小さくかつ左右の周面シール9の内側縁9a間の距離より大きく設定して、感光体2のスペーサ当接部位2cに帯電ローラ3aを位置させないようにしているので、感光体2のスペーサ当接部位2cを帯電させないようにしている。
【0042】
また、この例では、周面シール9、トナー、およびスペーサ8の帯電列は、
+ > 周面シール9、スペーサ8 > トナー > −
に設定されている。
この例の他の構成は、前述の図4に示す例と同じである。
【0043】
この例では、周面シール9、トナー、およびスペーサ8の帯電列を前述のように設定しているので、スペーサ8と周面シール9との間に入ったトナーをマイナス帯電させることができる。そして、感光体2のスペーサ当接部位2cを帯電させないことで、トナーの電位を現像ローラの電位よりプラス側にして、スペーサ8上のトナーを感光体2に現像させることができる。したがって、周面シール9でクリーニングできないようなスペーサ8上のトナーも除去することができ、スペーサ8を確実にクリーニングすることができる。また、感光体2に現像されたトナーはクリーニングブレード7aによって除去され、回収される。
【0044】
更に、帯電ローラ3aの帯電幅を左右の周面シール9の内側縁9a間の距離より大きく設定することで、感光体2の周面シール対向部位の電位をマイナスに大きくして、飛散したトナーが感光体2の周面シール対向部位に寄せ付け難くすることができる。
この例の他の作用効果は、前述の図4に示す例と同じである。
【0045】
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
実施例1では、画像形成装置として図1に示す画像形成装置と同様のセイコーエプソン社製のプリンタLP−9000Cを改造して用いた。このとき、図6に示すようにLP−9000Cの現像ローラ4aのトナー非搬送面に、テープ状のスペーサ8を巻き付けた。スペーサ8には、カプトンテープ(東レデュポン社製)を使用した。そして、スペーサ8および現像ローラ4aのトナー非搬送面に、周面シール9をスペーサ8にオーバラップさせて設けた。この周面シール9には、ウレタン素材を使用した。クリーニングブレード7aは、LP−9000Cのクリーニングブレードと同じ材質で、その幅を左右のスペーサ8の外側縁8a間の距離より大きく設定した。LP−9000Cのトナーを使用することで、周面シール9、トナー、およびスペーサ8の帯電列を、
+ > 周面シール9 > トナー > スペーサ8 > −
に設定した。この帯電列は、周面シール9、トナー、およびスペーサ8のうち、順次2つを選択し、これらの2つのものを擦り合わせ、表面電位計でプラスに帯電したか、マイナスに帯電したかを測定することで判断した。
【0046】
周面シール9をスペーサ8にオーバラップさせることで、現像ローラ4aの軸長が短くなるとともに、現像ローラ4aの感光体2への当接幅も短くできるので、現像ローラの撓みが低減した。そして、LP−9000Cにより6000枚の印字をした結果、スペーサ8の汚れがほとんどなく、この汚れを効果的に防止できることが確認された。これにより、現像ギャップgを常により正確に保持できることが分かった。
【0047】
(実施例2)
実施例2では、図7に示すようにLP−9000Cの現像ローラ4aのトナー非搬送面に巻き付けたスペーサ8には、アセテート系フィルムを使用した。また、帯電ローラ3aの幅を左右のスペーサ8の内側縁8b間の距離より小さく、かつ左右の周面シール9の内側縁9a間の距離より大きく設定した。LP−9000Cのトナーを使用することで、周面シール9、トナー、およびスペーサ8の帯電列を、
+ > 周面シール9 > スペーサ8 > トナー > −
に設定した。その他は、実施例1と同じである。
この実施例2でも、実施例1と同様のことが確認された。
【0048】
(実施例3)
実施例3では、図8に示すようにLP−9000Cの現像ローラ4aのトナー非搬送面に巻き付けたスペーサ8に、周面シール9をオーバラップさせて設けた。この周面シール9にはポリエチレン素材のスポンジを使用した。また、帯電ローラ3aの幅を左右のスペーサ8の外側縁8a間の距離より大きく設定した。LP−9000Cのトナーを使用することで、周面シール9、トナー、およびスペーサ8の帯電列を、
+ > トナー > 周面シール9 > スペーサ8 > −
に設定した。その他は、実施例1と同じである。
この実施例3でも、実施例1と同様のことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の画像形成装置は、電子写真、静電複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置において、現像ローラが像担持体に対して所定の現像ギャップを置いて配置されて非接触ジャンピング現像方式により非磁性一成分トナーを用いて像担持体の静電潜像を現像することで画像を形成する画像形成装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的に示す図である。
【図2】図1に示す例の画像形成装置の現像ローラの一端部にスペーサおよび周面シールを設けた状態を模式的に示し、(a)は現像ローラ、スペーサおよび周面シールの関係を示す図、(b)は現像ローラ、スペーサ、周面シールおよびクリーニングブレードの関係を示す図である。
【図3】本発明の画像形成装置の実施の形態の他の例を示す、図2(b)と同様の図である。
【図4】本発明の画像形成装置の実施の形態の更に他の例を示す、図2(b)と同様の図である。
【図5】本発明の画像形成装置の実施の形態の更に他の例を示す、図2(b)と同様の図である。
【図6】本発明の実施例1に使用した画像形成装置を模式的に示す図である。
【図7】本発明の実施例2に使用した画像形成装置を模式的に示す図である。
【図8】本発明の実施例3に使用した画像形成装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1…画像形成装置、2…感光体(像担持体)、3…帯電装置、3a…帯電ローラ、4…現像装置、4a…現像ローラ、4b…供給ローラ、7…クリーニング装置、7a…クリーニングブレード、8…スペーサ、8a…スペーサの外側縁、8b…スペーサの内側縁、9…周面シール、9a…周面シールの内側縁、10…クリーニング部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、トナー搬送面が前記像担持体に所定の現像ギャップを置いて対向するように設けられて前記像担持体にトナーを搬送する現像ローラと、この現像ローラの両端部に設けられて前記像担持体に当接することで前記現像ギャップを設定するギャップ調整部材とを少なくとも備え、非接触ジャンピング現像を行う画像形成装置において、
前記ギャップ調整部材がシート状のスペーサで構成されており、
前記現像ローラの両端部に、それぞれこれらの両端部からトナーがこぼれるのを防止する周面シールが前記スペーサおよび前記現像ローラの前記スペーサより内側の部分に、前記スペーサ上にオーバラップされて設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記周面シールは、前記スペーサのクリーニングを行うクリーニング部材として兼用されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記周面シールは、起毛材で形成されていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体をクリーニングするクリーニングブレードを備え、
前記クリーニングブレードの幅が、前記現像ローラの両端部における前記スペーサの外側縁間の距離より大きく設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像担持体の前記スペーサが当接するスペーサ当接部位に、このスペーサ当接部位をクリーニングするクリーニング部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記周面シール、前記トナー、前記スペーサの帯電列が、
+ > 周面シール > トナー > スペーサ > −
に設定されていることを特徴とする請求項4または5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体を帯電する帯電部材を備えているとともに、前記像担持体をクリーニングするクリーニングブレードを備え、
前記帯電部材の帯電幅が、前記スペーサの外側縁間の距離より大きく設定されており、
前記周面シール、前記トナー、前記スペーサの帯電列が、
+ > トナー > 周面シール、スペーサ > −
に設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記周面シールが前記スペーサの内側縁からオーバラップされており、
前記像担持体を帯電する帯電部材を備えているとともに、前記像担持体をクリーニングするクリーニングブレードを備え、
前記帯電部材の帯電幅が、前記スペーサの内側縁間の距離より小さく、かつ前記周面シールの内側縁間の距離より大きく設定されており、
前記周面シール、前記トナー、前記スペーサの帯電列が、
+ > 周面シール、スペーサ > トナー > −
に設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−106260(P2006−106260A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291442(P2004−291442)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】