説明

画像形成装置

【課題】着脱可能なトナーカートリッジを用いる画像形成装置であって、輸送する際の不具合を防止することを可能とする画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーを収容する現像ユニットが着脱可能に装着され、前記現像ユニットに収容されたトナーを用いて画像形成を行う画像形成装置が、当該画像形成装置の輸送のための輸送モードの要求を受け取る受付手段と、当該輸送モードの要求を受け取った際に、取り外すべき前記現像ユニットを決定する判断手段と、当該決定された現像ユニットが取り外されるように、前記画像形成装置のユーザに対するガイド情報を出す出力手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真技術を用いて画像を形成するプリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に関し、特に、輸送する際の不具合を防止することのできる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真技術を用いて画像を形成するプリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置においては、画像データに応じた静電潜像を形成し、その静電潜像に現像剤であるトナーを供給してトナー像に現像し、そのトナー像を転写対象の媒体に転写させることによって画像形成を行う。このような装置では、上記トナーを収容するトナーカートリッジが着脱可能に保持されるようになっており、通常、モノクロで画像形成を行う装置では黒のトナーカートリッジが、また、カラーで画像形成を行う装置では、複数色のトナーカートリッジ、例えば4色(イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックK)のトナーカートリッジが装着される。
【0003】
このような画像形成装置は設置場所の変更などにより輸送されることがあり、その際には、前述したトナーカートリッジが装着されている状態であると、その中に収容されるトナーが輸送中にこぼれてしまう可能性があるため、輸送する際にはトナーカートリッジを取り外すことが好ましい。
【0004】
そのため、従来は、通常、画像形成装置のマニュアルに、輸送する際にはトナーカートリッジを取り外すべき旨の記載がなされていた(例えば、下記非特許文献1参照)。
【非特許文献1】キャノンレーザビームプリンタLBP5800/5700ユーザーズガイド、p.4−57
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像形成装置を輸送、移動する際の作業はそれほど複雑なものではなく、ユーザはかかる作業の際にマニュアルを見ることはあまり行なわれない。そのため、トナーカートリッジを取り外すことをしないで輸送してしまい、トナーがこぼれてしまうことが起こりやすい。また、トナーカートリッジを取り外したつもりでも、ユーザのケアレスミスにより何本か残った状態で輸送してしまうことも起こりうる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、着脱可能なトナーカートリッジを用いる画像形成装置であって、輸送する際の不具合を防止することを可能とする画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、トナーを収容する現像ユニットが着脱可能に装着され、前記現像ユニットに収容されたトナーを用いて画像形成を行う画像形成装置が、当該画像形成装置の輸送のための輸送モードの要求を受け取る受付手段と、当該輸送モードの要求を受け取った際に、取り外すべき前記現像ユニットを決定する判断手段と、当該決定された現像ユニットが取り外されるように、前記画像形成装置のユーザに対するガイド情報を出す出力手段とを有することである。従って、本発明によれば、画像形成装置の輸送時には現像ユニットが全て取り外された状態となり、従来よりも、輸送中にトナーをこぼしてしまうという不具合を少なくすることができる。
【0008】
更に、上記の発明において、好ましい態様は、更に、前記出力手段から出力されたガイド情報を表示する表示手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記の発明において、一つの態様は、前記判断手段は、前記輸送モードの要求を受け取った際の前記現像ユニットの装着状態に基づいて、前記取り外すべき現像ユニットの決定を行なうことを特徴とする。
【0010】
また、上記の発明において、別の態様は、前記判断手段は、前記輸送モードの要求を受け取った際に設定されている起動モードに基づいて、前記取り外すべき現像ユニットの決定を行なうことを特徴とする。
【0011】
更に、上記の発明において、好ましい態様は、更に、前記判断手段によって決定された現像ユニットが取り外されるように、当該現像ユニットを前記ユーザが取り外すことが可能な位置へ移動させる移動手段を有することを特徴とする。これにより、ユーザは、現像ユニットの取り外し作業を効率的に行うことができる。
【0012】
更に、上記の発明において、好ましい態様は、前記画像形成装置の輸送後、電源が投入された際に、前記判断手段は、装着すべき前記現像ユニットを決定し、前記出力手段は、当該決定された現像ユニットが装着されるように、前記ユーザに対するガイド情報を出すことを特徴とする。これにより、輸送後の起動時の作業を効率的に正確に行うことができるようになる。
【0013】
更に、上記の発明において、一つの態様は、前記判断手段による装着すべき現像ユニットの決定は、前記輸送モードの要求を受け取った際の起動モードに対応するように行われることを特徴とする。
【0014】
本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0016】
図1は、本発明を適用した画像形成装置であるプリンタの実施の形態例にかかる構成図である。図1に示すプリンタ2が本発明を適用した画像形成装置であり、ホストコンピュータ1からの印刷要求等に基づいて、所定の印刷媒体(用紙)に対して画像の形成を行なう装置である。かかるプリンタ2は、輸送する際の輸送モードを備え、当該輸送モードの要求を受けた際に、取り外すべきトナーカートリッジ611(現像ユニット)を検出し、それらトナーカートリッジ611の取り外しについてユーザにガイドを出力することにより、輸送前に確実にトナーカートリッジ611が取り外されて輸送中の不具合が生じないようにしようとするものである。
【0017】
図1に示すホストコンピュータ1は、プリンタ2に対して印刷要求を行なうホスト装置であり、ユーザ操作等に基づいて画像データと制御コマンドを含む印刷データをプリンタ2に送信する。なお、ホストコンピュータ1は、所謂パーソナルコンピュータなどで構成することができる。ホストコンピュータ1内のプリンタドライバ3は、ホストコンピュータ1内のアプリケーション(図示せず)などからのデータを受け取って、プリンタ2に送信する上記印刷データを生成する部分である。なお、プリンタドライバ3は、上記機能に関する処理をホストコンピュータ1に実行させるプログラムであり、上記機能は、当該プログラムに従ってホストコンピュータ1の制御装置(図示せず)が処理を実行することによって達成される。
【0018】
次に、プリンタ2は、図1に示すように、コントローラ部4、エンジン制御部5、エンジン6、及び操作部7などで構成される、いわゆる4サイクルのレーザプリンタである。かかるプリンタ2では、カラーモード、モノクロ4本モード、及びモノクロ1本モードの3つの起動モードと共に輸送のための輸送モードを有している。
【0019】
カラーモードとは、カラー印刷を行うためのモードであり、後述する現像装置61にYMCK各1つのトナーカートリッジ611が、それぞれ定められた箇所に装着されるモードである。また、モノクロ4本モードとは、モノクロ印刷を行うためのモードであり、Kのトナーカートリッジ611が現像装置61の全ての(4つの)装着箇所に装着されるモードである。また、モノクロ1本モードも、モノクロ印刷を行うためのモードであるが、このモードでは、Kのトナーカートリッジ611が所定の箇所に1つ装着される。さらに、本プリンタ2の特徴である輸送モードでは、全てのトナーカートリッジ611が取り外された状態になるように導かれる。
【0020】
そして、これらの各モードで使用できるようにするために、Kのトナーカートリッジ611のみ現像装置61のどの装着箇所にも装着することができるように構成されている。
【0021】
コントローラ部4は、前記ホストコンピュータ1から送信される印刷データを受信し、当該データに含まれる制御コマンドを解釈すると共に、当該データに含まれる画像データに対して所定の処理を施してエンジン6側へ提供するデータを生成する。コントローラ部4には、図1に示すように、I/F41、CPU42、ROM43、RAM44、エンジンI/F45、及びEEPROM46が備えられる。
【0022】
I/F41は、ホストコンピュータ1から送信される前記印刷データを受信する部分であり、ROM43は、プリンタ2を制御するための各種プログラムを記憶する部分である。RAM44は、前記受信した印刷データ等を格納するメモリであり、エンジン6で印刷処理が行われる各ページの画像データは、ここからエンジンI/F45に引き渡される。
【0023】
また、EEPROM46は不揮発性メモリであり、プリンタ2の電源がOFFにされた際にも消えずに残しておきたい情報を格納する。例えば、前述した3つの起動モードのうちのどのモードに設定されているかという情報などが収められる。
【0024】
CPU42は、本プリンタ2において行われる各種処理を制御する部分であるが、特に、前記受信した印刷データに含まれる画像データをRAM44に格納する処理、前記印刷データに含まれる制御コマンドを解釈してエンジン制御部5に対して適切な印刷処理を指示する処理、及び、ユーザとのインターフェースを形成する操作部7を制御する処理等を司る。本プリンタ2では、CPU42が行なう、輸送モード時の処理等に特徴があり、その具体的な内容については後述する。なお、CPU42が実行する処理は、主に前記ROM43に記憶されたプログラムに従って行われるものである。
【0025】
次に、エンジンI/F45は、エンジン6で印刷を実行する際に、所定のタイミングで前述したRAM44に格納されている画素データを読み出し、それらに所定の処理を施した後にエンジン6側に引き渡す、コントローラ5とエンジン6側とのインターフェースを司る部分である。なお、このエンジンI/F45には、図示していないが、データを一時的に格納するメモリ、解凍部、スクリーン処理部等が備えられ、RAM44から読み出した画素データに対して、圧縮されたデータの解凍、ドットのデータへ変換するスクリーン処理などがなされる。また、エンジンI/F45は、具体的には、ASICで構成されている。
【0026】
次に、エンジン制御部5は、図示されていないが、CPU、ROM、RAM等で構成され、後述するエンジン6各部の動作を制御する。なお、前述した輸送モード時などに、現像装置61の各箇所についてのトナーカートリッジ611の装着状態のチェックや、現像装置61の各装着箇所を着脱位置へ移動させる制御を行なう。
【0027】
次に、エンジン6は、帯電ユニット、露光ユニット、現像装置、転写ユニット等で構成されるが、図1においては、現像装置61とその他ユニット62という区分で表現している。図2は、本プリンタ2のエンジン6部分の機構を中心に示した構成図である。感光体ドラム621は、円筒状の導電性基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸に対して回転可能であり、矢印で示されるように時計方向に回転する。帯電ユニット622は、感光体ドラム621を帯電し、露光ユニット623は内蔵するレーザやLEDアレイなどの光源からのビームを帯電された感光体ドラム621に照射して静電気による潜像を形成する。露光ユニット623のビーム照射は、ホストコンピュータ1から入力される画像情報に基づいて変調された駆動信号により制御される。
【0028】
現像装置61は、現像材であるトナーを収容するトナーカートリッジ611A〜611Dが着脱可能に装着される装着部614A〜614Dを有し、中心軸613に対して回転可能な現像ロータリーである。現像装置61を回転させて必要なトナーカートリッジ611A〜611Dを感光体ドラム621に近接させ、現像材を潜像が形成された感光体ドラム621に供給することで、潜像が現像材による像に現像される。
【0029】
なお、現像装置61の装着部614A〜614Dには、前述した3つの起動モードに応じて、YMCKの現像材をそれぞれ収容するトナーカートリッジ611A〜611Dが装着されたり、全てKのトナーが収容されたトナーカートリッジ611A〜611Dが装着されたりする。また、前述したとおり、YMCのトナーカートリッジ611については、装着箇所が定められており、それぞれ、装着部614A〜614Cに装着される。また、モノクロ1本モードにおけるKのトナーカートリッジ611は、装着部614Dに装着される。なお、トナーカートリッジ611A〜611Dなどに付されているA〜Dは、現像装置61におけるトナーカートリッジ611の装着位置を識別する記号である。
【0030】
一次転写ユニット626は、感光体621に形成されたトナー像を中間転写体627に転写する。中間転写体627は、例えばPETフィルムの表面にアルミ蒸着層を形成しその表面に半導電塗料を形成したエンドレスのベルトであり、感光体ドラム621と同じ周速度で回転駆動される。そして、二次転写ユニット628が、中間転写体627に形成されたトナー像を紙などの印刷媒体に転写し、定着ユニット629が、印刷媒体上に転写されたトナー像を媒体に溶着させて永久像とし、その印刷媒体はプリンタ2外に排出される。
【0031】
クリーニングユニット624は、一次転写ユニット626と帯電ユニット622との間に設けられ、感光体ドラム621の表面に当接されるクリーニングブレード625を有し、一次転写された後に感光体ドラム621上に残存する現像材(トナー)がクリーニングブレード625により除去される。
【0032】
図1に示す操作部7は、ユーザがプリンタ2を操作するための部分であり、表示パネル71や操作パネル等で構成される。表示パネル71は、例えばLCDディスプレイなどで構成され、操作用のメニューやユーザに対するメッセージなどが表示される。また、操作パネルには、各種のボタン(スイッチ)やランプが備えられている。輸送モードや各起動モードの設定は、当該操作部7へのユーザ操作により行われ、また、輸送モード時などのユーザへのガイド情報は、表示パネル71等に表示される。
【0033】
以上説明したような構成を有する本実施の形態例に係るプリンタ2では、印刷時に、ホストコンピュータ1から所定の言語で記述された前記印刷データを供給され、感光体ドラム621への静電潜像の形成、対応するトナーカートリッジ611による現像、一次転写ユニット626による中間転写体627へのトナー像の転写が行なわれる。そして、さらに、二次転写ユニット628により紙などの印刷媒体に転写され、定着ユニット629により定着されて、プリンタ2外に排出される。
【0034】
主にこのような内容でプリンタ2は動作するが、本プリンタ2では、前述した輸送モード時の処理、すなわちユーザがプリンタ2を輸送する際の処理、及び、輸送後の起動時の処理に特徴があり、以下、これらの点について具体的に説明する。
【0035】
図3は、CPU42が行う輸送モード時の処理を例示したフローチャートである。以下、図3に基づいて、輸送モード時の処理について説明する。
【0036】
まず、ユーザが当該プリンタ2を輸送したい場合には、操作部7において輸送モードを選択する操作を行い、輸送モードとする要求を行なう。当該輸送モード、すなわちトナーカートリッジ611が装着されていない状態とするモード、の要求は、CPU42で受け取られる(ステップS1)。
【0037】
当該要求を受け付けると、CPU42は、現在起動モードがモノクロ1本モードであるか否かをチェックする(ステップS2)。かかるチェックは、前述したEEPROM46に記憶されているその時点での設定モードの情報を読み出して行ってもよいし、あるいは、その時点での現像装置61における実際のトナーカートリッジ611の装着状況を検出して行ってもよい。後者の検出を行う場合には、CPU42が、エンジン制御部5に対してその旨の指示を出し、指示を受けたエンジン制御部5が、現像装置61にアクセスし、あるいは、自らが保有するトナーカートリッジ611の装着状況に関する情報から、その時点のトナーカートリッジ611の装着状況を把握して、その情報をCPU42に返す。
【0038】
そして、EEPROM46に記憶されている設定モードがモノクロ1本モードである場合には、あるいは、現像装置61のKのトナーカートリッジ611を装着すべき位置(以下、K位置と称す)にKのトナーカートリッジ611が装着され、他の位置にはトナーカートリッジ611が装着されていない状況であれば、CPU42は、モノクロ1本モードであると判断し(ステップS2のYes)、K位置がカートリッジの着脱位置へ移動するようにエンジン制御部5に指示を出す(ステップS3)。
【0039】
当該指示を受けたエンジン制御部5は、現像装置61を中心軸613に対して回転させて、K位置、すなわち、この例では装着部614Dをユーザがカートリッジの着脱を行なう場所に移動させる。その間、CPU42は、操作部7の表示パネル71に「Please Wait」というメッセージを表示し(ステップS4)、ユーザに対して、前記移動が終わるのを待つように促す。
【0040】
そして、CPU42も前記移動を待ち(ステップS5)、移動が終わると、表示パネル71に「Remove Toner」というメッセージを表示する(ステップS6)。当該メッセージの表示を受けて、ユーザは、プリンタ2のカバーを開け、着脱位置に移動されているトナーカートリッジ611を取り外し、その後、前記カバーを閉じる。CPU42は、当該ユーザの動作を待って(ステップS7)、具体的には、カバーが閉じられたのを検知し、その後、K位置のトナーカートリッジ611が取り外されたか否かをチェックする(ステップS8)。かかるチェックは、前記ステップS2において示した、その時点での現像装置61におけるトナーカートリッジ611の装着状況を検出する処理と同様に、エンジン制御部5に対して指示を出して行なう。
【0041】
その結果、K位置に未だトナーカートリッジ611が装着されている場合には(ステップS8のNo)、再度ステップS3からの処理を繰り返す。一方、取り外しが行なわれて、K位置にトナーカートリッジ611が装着されていない場合には(ステップS8のYes)、処理が後述するステップS18に移行する。
【0042】
次に、前述したステップS2に戻って、その時点でモノクロ1本モードではない場合には(ステップS2のNo)、CPU42は、4箇所全てのトナーカートリッジ611の装着位置についてトナーカートリッジ611を取り外すように処理を行なう。
【0043】
具体的には、まず、トナーカートリッジ611の装着位置を示す変数Xを、はじめの位置に設定する(ステップS9)。前述したように、YMCのトナーカートリッジ611と、カラーモード時及びモノクロ1本モード時のKのトナーカートリッジ611の現像装置61における装着位置は予め定められており、前述したK位置と同様に、YMCの各トナーカートリッジ611が装着されるべき位置を、それぞれ、Y位置、M位置、C位置と称することとする。従って、この例では、Y位置、M位置、及びC位置は、それぞれ、装着部614A、614B、及び614Cに相当する。前述したはじめの位置を、例えば、Y位置とすると、前記ステップS9において、X=Yと設定されたことになる。
【0044】
その後、CPU42は、X位置が(実際には、Y位置が)カートリッジの着脱位置へ移動するように指示を出し(ステップS10)、合わせて、表示パネル71に「Please Wait」というメッセージを表示する(ステップS11)。その後、当該移動が終了するのを待って(ステップS12)、移動が終了後、表示パネル71に「Remove Toner」というメッセージを表示する(ステップS13)。なお、前記着脱位置への移動処理は、前述したステップS3における内容と同様である。
【0045】
その後、メッセージの表示を受けて、ユーザは、プリンタ2のカバーを開け、着脱位置に移動されているトナーカートリッジ611を取り外し、その後、前記カバーを閉じる。CPU42は、当該ユーザの動作を待って(ステップS14)、その後、前述したステップS8と同様に、X位置の(ここではY位置の)トナーカートリッジ611が取り外されたか否かをチェックする(ステップS15)。
【0046】
その結果、X位置に未だトナーカートリッジ611が装着されている場合には(ステップS15のNo)、再度ステップS10からの処理を繰り返す。一方、取り外しが行なわれて、X位置にトナーカートリッジ611が装着されていない場合には(ステップS15のYes)、全ての装着位置についてトナーカートリッジ611の取り外し処理(ステップS10〜S15のYes)が完了していなければ(ステップS16のNo)、変数Xを次の位置に設定する(ステップS17)。
【0047】
換言すれば、取り外しが行なわれて、X位置に(Y位置に)トナーカートリッジ611が装着されていない場合には(ステップS15のYes)、はじめの位置であるY位置についての取り外し処理を終了し、処理がM位置に移行する。
【0048】
その後、次の位置(M位置)について、ステップS10からステップS15のYesまで同様にトナーカートリッジ611の取り外しのための処理が行なわれる。その後、更に、同様に、C位置、K位置についても、ステップS10からステップS15のYesまでトナーカートリッジ611の取り外しのための処理が行なわれて、全ての装着位置についてトナーカートリッジ611の取り外し処理が完了すると(ステップS16のYes)、処理がステップS18に移行する。
【0049】
かかる場合においても、また、前述したステップS8のYesの場合においても、ステップS18に移行した時点では、プリンタ2にトナーカートリッジ611が装着されていない状態となっている。
【0050】
その後、CPU42は、表示パネル71に「Please Wait」というメッセージを表示し(ステップS18)、エンジン6が停止するのを待つ(ステップS19)。そして、エンジン6が停止すれば、表示パネル71に「Please Shutdown」というメッセージを表示し(ステップS20)、ユーザに電源をOFFにすることを促す。これに応じて、ユーザが電源をOFFにするとプリンタ2を輸送できる状態となり、当該輸送モード時の処理が完了する。
【0051】
なお、前述した例では、輸送モードの要求を受けた際に、その時点での起動モードがモノクロ1本モードであるか否かの判定を行ない、モノクロ1本モードであればK位置についてのみトナーカートリッジ611の取り外しを行なわせる処理をし、モノクロ1本モードでなければ、4つの位置全てについて取り外しを行なわせる処理をしたが、他の方法を用いることもできる。
【0052】
例えば、輸送モードの要求を受けた際に、その時点で設定されている起動モードに関わらず、その時点のトナーカートリッジ611の装着状態を検出し、トナーカートリッジ611が装着されている位置のみについて前述した取り外しを行なわせる処理を実行するようにしてもよい。例えば、起動モードに対して適切なトナーカートリッジ611の装着状況ではないが、2本のトナーカートリッジ611が装着されている場合には、装着されている2つの位置についてのみ、前述した図3のステップS10からステップS15のYesまでの処理を行なう。これにより、トナーカートリッジ611の取り外し時に無駄な動作を省くことができる。
【0053】
また、他の例としては、輸送モードの要求を受けた際に、起動モードがモノクロ1本モードであるか否かの判定を行なわずに、常に、4つの位置全てについて取り外しを行なわせる処理をするようにしてもよい。これにより、モードの判定やトナーカートリッジ611の装着状況のチェック処理を省くことができる。
【0054】
次に、プリンタ2が輸送されて新たな場所に設置された後、再び、起動される際の処理について説明する。図4及び図5は、その際の処理内容について例示したフローチャートである。まず、ユーザによって、プリンタ2の電源がONにされると、CPU42は、EEPROM46にアクセスし、設定されている起動モードの情報を読み出す(ステップS31)。
【0055】
次に、CPU42は、その読み出された起動モード、すなわち、前回電源をOFFにされた際の起動モード、でプリンタ2を起動すべく、当該起動モードに適したトナーカートリッジ611が装着されるように処理を進める。
【0056】
具体的には、読み出された起動モードがモノクロ1本モードである場合には(ステップS32のYes)、K位置がカートリッジの着脱位置へ移動するようにエンジン制御部5に指示を出し(ステップS33)、表示パネル71に「Please Wait」というメッセージを表示する(ステップS34)。そして、前記移動を待ち(ステップS35)、移動が終わると、表示パネル71に「Install K TnrCart」というメッセージを表示する(ステップS36)。このメッセージは、Kのトナーカートリッジ611を装着するように促すものである。
【0057】
当該メッセージの表示を受けて、ユーザは、プリンタ2のカバーを開け、着脱位置に移動されている装着位置(K位置)にKのトナーカートリッジ611をセットし、その後、前記カバーを閉じる。CPU42は、当該ユーザの動作を待って(ステップS37)、具体的には、カバーが閉じられたのを検知し、その後、K位置のトナーカートリッジ611がKのトナーカートリッジ611であるか否かをチェックする(ステップS38)。
【0058】
その結果、K位置に異なるトナーカートリッジ611が装着されている場合やトナーカートリッジ611が装着されていない場合には(ステップS38のNo)、再度ステップS33からの処理を繰り返す。一方、正しく装着が行われて、K位置にKのトナーカートリッジ611が装着された場合には(ステップS38のYes)、処理が後述する図5のステップS58に移行する。
【0059】
ステップS32に戻って、読み出された起動モードがモノクロ1本モードではなく(ステップS32のNo)、モノクロ4本モードであった場合には(ステップS39のYes)、トナーカートリッジ611の全ての装着位置にKのトナーカートリッジ611を装着させる処理を行う。
【0060】
具体的には、位置を表す変数Xをはじめのトナーカートリッジ611の装着位置、例えば、Y位置に設定する(ステップS40)。そして、X位置がカートリッジの着脱位置へ移動するようにエンジン制御部5に指示を出し(ステップS41)、表示パネル71に「Please Wait」というメッセージを表示する(ステップS42)。そして、前記移動を待ち(ステップS43)、移動が終わると、表示パネル71に「Install K TnrCart」というメッセージを表示する(ステップS44)。
【0061】
当該メッセージの表示を受けて、ユーザは、プリンタ2のカバーを開け、着脱位置に移動されている装着位置にKのトナーカートリッジ611をセットし、その後、前記カバーを閉じる。CPU42は、当該ユーザの動作を待って(ステップS45)、その後、X位置のトナーカートリッジ611がKのトナーカートリッジ611であるか否かをチェックする(ステップS46)。
【0062】
その結果、X位置に異なるトナーカートリッジ611が装着されている場合やトナーカートリッジ611が装着されていない場合には(ステップS46のNo)、再度ステップS41からの処理を繰り返す。一方、正しく装着が行われて、X位置にKのトナーカートリッジ611が装着された場合には(ステップS46のYes)、4つ全ての装着位置についてKのトナーカートリッジ611を装着する処理(ステップS41からS46のYesまで)が終了したかをチェックし(ステップS47)、終了していない場合には(ステップS47のNo)、Xを次の位置に設定して(ステップS48)、ステップS41からの処理を繰り返す。
【0063】
このようにして、Y位置、M位置、C位置、及びK位置の全てについて、Kのトナーカートリッジ611を装着する処理が終了すると(ステップS47のYes)、処理がステップS58に移行する。
【0064】
ステップS39に戻って、読み出された起動モードがモノクロ4本モードではない場合には(ステップS39のNo)、起動モードがカラーモードであるため、トナーカートリッジ611の各装着位置に、それぞれ、YMCKの各トナーカートリッジ611を適切に装着させる処理を行う。
【0065】
具体的には、位置を表す変数Xをはじめのトナーカートリッジ611の装着位置、例えば、Y位置に設定する(ステップS49)。そして、X位置がカートリッジの着脱位置へ移動するようにエンジン制御部5に指示を出し(ステップS50)、表示パネル71に「Please Wait」というメッセージを表示する(ステップS51)。そして、前記移動を待ち(ステップS52)、移動が終わると、表示パネル71に「Install X TnrCart」というメッセージを表示する(ステップS53)。XがYである場合には、Y位置にYのトナーカートリッジ611を装着することが促される。
【0066】
当該メッセージの表示を受けて、ユーザは、プリンタ2のカバーを開け、着脱位置に移動されている装着位置にXのトナーカートリッジ611をセットし、その後、前記カバーを閉じる。CPU42は、当該ユーザの動作を待って(ステップS54)、その後、X位置のトナーカートリッジ611がXのトナーカートリッジ611であるか否かをチェックする(ステップS55)。
【0067】
その結果、X位置に異なるトナーカートリッジ611が装着されている場合やトナーカートリッジ611が装着されていない場合には(ステップS55のNo)、再度ステップS50からの処理を繰り返す。一方、正しく装着が行われて、X位置にXのトナーカートリッジ611が装着された場合には(ステップS55のYes)、4つ全ての装着位置について適切なトナーカートリッジ611を装着する処理(ステップS50からS55のYesまで)が終了したかをチェックし(ステップS56)、終了していない場合には(ステップS56のNo)、Xを次の位置に設定して(ステップS57)、ステップS50からの処理を繰り返す。
【0068】
このようにして、Y位置、M位置、C位置、及びK位置の全てについて、適切なトナーカートリッジ611を装着する処理が終了すると(ステップS56のYes)、処理がステップS58に移行する。
【0069】
このステップS58に移行した時点では、何れの起動モードの場合においても、その起動モードに適したトナーカートリッジ611の装着状態となっており、CPU42は、表示パネル71に「Please Wait」というメッセージを表示し(ステップS58)、設定されている各起動モードでの動作を開始する(ステップS59)。そして、設定されている起動モードでの印刷準備が完了すると、表示パネル71に「Ready」というメッセージを表示する(ステップS60)。
【0070】
このようにして輸送後の起動処理が終了し、ユーザからの印刷処理の要求等を受けられる状態となる。
【0071】
なお、前述の処理では、EEPROM46に記憶されている起動モードで起動されるように処理が行なわれるが、輸送後、電源がONにされた時に、ユーザに起動モードの設定を促す表示を行い、それに応答してユーザが設定した起動モードで起動されるように処理を行ってもよい。かかる場合においても、各起動モードについてのトナーカートリッジ611の装着処理については同様に行なわれる。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態例に係るプリンタ2では、輸送モードというものを備え、輸送モードの要求があった場合には、全てのトナーカートリッジ611が取り外されるように、ユーザへのメッセージ(ガイド情報)の表示と現像装置61の移動動作等を行う。従って、プリンタ2の輸送時にはトナーカートリッジ611が全て取り外された状態となり、従来よりも、トナーカートリッジ611を装着したまま輸送してしまいトナーをこぼしてしまうという不具合を少なくすることができる。また、トナーカートリッジ611の取り外しは、その時点での起動モードやトナーカートリッジ611の装着状態に応じて効率的に行われる。
【0073】
さらに、輸送後の起動時には、設定されている起動モードに応じて適切なトナーカートリッジ611の装着がなされるように、ユーザへのメッセージ(ガイド情報)の表示と現像装置61の移動動作等を行う。従って、特に起動モードの種類が多い場合などに、誤ったトナーカートリッジ611の装着を行なってしまうというミスを防止することができる。また、ユーザにとっては、各色のトナーカートリッジ611の装着場所を自分で確認する必要がなく、作業を効率的に行うことができる。
【0074】
なお、本実施の形態例では、起動モードとして3つのモードを備えていたが、備える起動モードはこれらに限定されることはない。
【0075】
また、本実施の形態例では、輸送モードの要求とユーザへのメッセージの表示がプリンタ2の操作部7において行われたが、これらをホストコンピュータ1で行うようにしてもよい。すなわち、ユーザは、ホストコンピュータ1のプリンタドライバ3等が提供するインターフェース画面によって輸送モードの要求を行ない、その後のガイド情報は、プリンタ2からホストコンピュータ1に送られてホストコンピュータ1の表示装置に表示される。
【0076】
また、前記実施の形態例では、画像形成装置がプリンタであったが、本発明を複写機やファクシミリなど他の画像形成装置に適用することもできる。
【0077】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の実施の形態例にかかる構成図である。
【図2】本プリンタ2のエンジン6部分の機構を中心に示した構成図である。
【図3】CPU42が行う輸送モード時の処理を例示したフローチャートである。
【図4】輸送後の再起動時の処理内容について例示したフローチャートである。
【図5】輸送後の再起動時の処理内容について例示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
1 ホストコンピュータ、 2 プリンタ、 3 プリンタドライバ、 4 コントローラ部、 5 エンジン制御部(移動手段)、 6 エンジン、 7 操作部、 41 I/F、 42 CPU(受付手段、判断手段、出力手段)、 43 ROM、 44 RAM、 45 エンジンI/F、 46 EEPROM、 61 現像装置(移動手段)、 62 その他ユニット、 71 表示パネル(表示手段)、 611 トナーカートリッジ(現像ユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容する現像ユニットが着脱可能に装着され、前記現像ユニットに収容されたトナーを用いて画像形成を行う画像形成装置であって、
当該画像形成装置の輸送のための輸送モードの要求を受け取る受付手段と、
当該輸送モードの要求を受け取った際に、取り外すべき前記現像ユニットを決定する判断手段と、
当該決定された現像ユニットが取り外されるように、前記画像形成装置のユーザに対するガイド情報を出す出力手段とを有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1において、更に、
前記出力手段から出力されたガイド情報を表示する表示手段を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2において、
前記判断手段は、前記輸送モードの要求を受け取った際の前記現像ユニットの装着状態に基づいて、前記取り外すべき現像ユニットの決定を行なう
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1あるいは請求項2において、
前記判断手段は、前記輸送モードの要求を受け取った際に設定されている起動モードに基づいて、前記取り外すべき現像ユニットの決定を行なう
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、更に、
前記判断手段によって決定された現像ユニットが取り外されるように、当該現像ユニットを前記ユーザが取り外すことが可能な位置へ移動させる移動手段を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかにおいて、
前記画像形成装置の輸送後、電源が投入された際に、
前記判断手段は、装着すべき前記現像ユニットを決定し、
前記出力手段は、当該決定された現像ユニットが装着されるように、前記ユーザに対するガイド情報を出す
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記判断手段による装着すべき現像ユニットの決定は、前記輸送モードの要求を受け取った際の起動モードに対応するように行われる
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−178206(P2006−178206A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371686(P2004−371686)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】