説明

画像形成装置

【課題】装置本体と、これに着脱可能に装着される交換ユニットとを有する画像形成装置において、交換ユニットを地域間で共通化するとともに、この共通化による不利益を軽減する。
【解決手段】交換ユニット20は、その使用地域が登録されるユニット記憶部21を備え、装置本体10は、その使用地域が予め登録される本体記憶部12と制御部13とを備える。制御部13は、装着された交換ユニット20のユニット記憶部21に使用地域が既登録である場合、ユニット記憶部21に登録されている使用地域と本体記憶部12に登録されている使用地域とを比較し、両者が一致しないときには交換ユニット20は不適正であると判断する。一方、使用地域が未登録である場合、交換ユニット20が所定の登録条件を満たしたとき、本体記憶部12に登録されている使用地域をユニット記憶部21に登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体(以下、装置本体と称す)と、当該装置本体に着脱可能に装着される交換ユニットとを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタなどの画像形成装置として、ドラムカートリッジやトナーカートリッジといった交換ユニットが装置本体に着脱可能に装着されるものが知られている。
【0003】
また、画像形成装置は、様々な地域で使用される一方、特に電子写真方式では温度や湿度等の環境の影響を受け易い。そこで、画像形成装置では、その使用地域(あるいは仕向け地域)毎に、定着温度、帯電バイアス、転写バイアス、トナーの種類、交換寿命などの仕様が調整されている。このため、ある地域の装置本体で使用されていた交換ユニットを別の地域の装置本体に装着して使用した場合、様々な不具合が発生してしまう。
【0004】
例えば、感光体ドラムと接触帯電部材とクリーナとが一体化されたドラムカートリッジについて、粉砕トナーが用いられる地域で使用した後、重合トナーが用いられる地域で使用した場合、粉砕トナーと重合トナーとが混合されて接触帯電部材に付着することとなる。これは、感光体表面の傷や削れを促進する要因となる。また、ドラムカートリッジについて、トナーの融点および機内温度が低い地域(例えば低温地域)で使用した後、トナーの融点および機内温度が高い地域(例えば高温地域)で使用した場合、クリーナ内の低融点のトナーが高温環境に曝されることとなる。この結果、クリーナ内の廃トナーが凝固(パッキング)し、廃トナーの搬送機構の故障や感光体表面へのトナーの融着が発生してしまう。また、転写ロールについて、高温多湿地域で使用した後、低温低湿地域で使用する場合、高温多湿環境に馴染んだ転写ロールが低温低湿用の転写バイアス制御を受けることとなる。この結果、いわゆる転写メモリや転写リークなどが発生し、画像品質が低下してしまう。
【0005】
そこで、従来、上記の不具合を回避するため、次のような構成が採用されている。すなわち、装置本体には、その使用地域が予め登録された本体メモリが設けられ、交換ユニットには、その使用地域が予め登録されたユニットメモリが設けられる。装置本体は、その本体メモリに登録されている使用地域と、装着されている交換ユニットのユニットメモリに登録されている使用地域とを比較する。そして、両者が一致する場合には、交換ユニットは適正であるとして通常どおり動作し、両者が一致しない場合には、交換ユニットは不適正であるとして画像形成動作を禁止する。この構成により、交換ユニットの使用地域を限定することができ、ある地域で使用された交換ユニットが別の地域で使用されることを回避することができる。
【0006】
なお、特許文献1には、交換ユニットと装置本体とが適合するか否かを装置本体が判断できるように、交換ユニットに当該交換ユニットが装置本体に適合しているかどうかを示す情報を記憶させる技術が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−145170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記の構成では、ユニットメモリに予め使用地域を登録する必要があるので、仕向け地域毎に交換ユニットを製造しなければならない。このため、交換ユニットを地域間で共通とする場合に比べ、交換ユニットの在庫が増え、コストが増加するという問題がある。また、交換ユニットの輸送中にその仕向け地域を変更することができないといった問題もある。
【0009】
そこで、本発明は、交換ユニットを地域間で共通化でき、かつ、この共通化による不利益を軽減することができる画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、装置本体と、当該装置本体に着脱可能に装着される交換ユニットと、を有する画像形成装置であって、交換ユニットは、当該交換ユニットの使用地域が登録されるユニット記憶手段を備え、装置本体は、当該装置本体の使用地域が予め登録される本体記憶手段と、装着された交換ユニットのユニット記憶手段に使用地域が既登録である場合に、ユニット記憶手段に登録されている使用地域と本体記憶手段に登録されている使用地域とを比較し、両者が一致しないときには当該交換ユニットは不適正であると判断する判断手段と、装着された交換ユニットのユニット記憶手段に使用地域が未登録である場合に、当該交換ユニットが所定の登録条件を満たしたとき、本体記憶手段に登録されている使用地域を当該交換ユニットのユニット記憶手段に登録する登録手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の好適な態様では、前記登録条件は、累積使用量が所定値以上であることであり、前記累積使用量は、交換ユニットの累積稼動時間、累積印刷枚数、累積印刷面数、または累積印刷画素数である。
【0012】
また、本発明の好適な態様では、判断手段により不適正であると判断された場合には、画像形成機能を停止させる。
【0013】
また、本発明の好適な態様では、判断手段により不適正であると判断された場合には、画像形成機能を維持しつつ、当該画像形成装置の機能の一部を制限する。
【0014】
また、本発明の好適な態様では、判断手段により不適正であると判断された場合には、その旨を通知する。
【0015】
本発明に係る画像形成装置本体は、その使用地域が登録されるユニット記憶手段を備える交換ユニットが着脱可能に装着され、当該交換ユニットを用いて記録媒体に画像を形成する画像形成装置本体であって、当該画像形成装置本体の使用地域が予め登録される本体記憶手段と、装着された交換ユニットのユニット記憶手段に使用地域が既登録である場合に、ユニット記憶手段に登録されている使用地域と本体記憶手段に登録されている使用地域とを比較し、両者が一致しないときには当該交換ユニットは不適正であると判断する判断手段と、装着された交換ユニットのユニット記憶手段に使用地域が未登録である場合に、当該交換ユニットが所定の登録条件を満たしたとき、本体記憶手段に登録されている使用地域を当該交換ユニットのユニット記憶手段に登録する登録手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、交換ユニットを地域間で共通化でき、かつ、この共通化による不利益を軽減することができる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等のように、紙等の記録媒体に対して画像を形成する装置である。本実施の形態では、印刷方式として、電子写真方式を例にとって説明することとするが、印刷方式は、インクジェット方式など、他の方式であってもよい。図1において、画像形成装置1は、画像形成装置本体(装置本体)10と、この装置本体10に着脱可能に装着される交換ユニット20とを備えている。
【0019】
装置本体10は、画像形成装置1において実質的に固定的な部分であり、装着された交換ユニット20を用いて記録媒体に画像を形成する。交換ユニット20は、一般的には、消耗した場合に適宜交換される部品である。交換ユニット20としては、例えば、ドラムカートリッジ、現像ユニット、トナーカートリッジ、転写ユニット、定着ユニットなどが挙げられる。
【0020】
図1において、交換ユニット20には、不揮発性の記憶媒体であるユニット記憶部21が取り付けられている。このユニット記憶部21には、当該交換ユニット20の使用地域、すなわち使用されるべき地域が登録される。ここでは、交換ユニット20の使用地域を示す地域コードが登録される。この地域コードは、工場出荷時点では未登録であり、交換ユニット20が一定以上使用された後に登録される。また、ユニット記憶部21には、当該ユニット記憶部21に地域コードが登録されているか否かを示す登録フラグが格納される。この登録フラグは、地域コードが未登録の場合には「0」であり、既登録の場合には「1」である。さらに、ユニット記憶部21には、交換ユニット20を用いて印刷された記録媒体の累積枚数を示す累積印刷枚数が格納される。なお、ユニット記憶部21は、製造バラツキの補正値などの制御情報が格納されるメモリと兼用されることが好ましい。また、ユニット記憶部21は、ここでは、RFID(Radio Frequency Identification)タグ22に含まれる半導体メモリであり、無線によりデータの読み書きが行われる。ただし、ユニット記憶部21は、どのような種類の記憶媒体であってもよい。また、ユニット記憶部21は、有線でアクセスされるものであってもよい。
【0021】
一方、装置本体10は、リーダライタ11、本体記憶部12、および制御部13を備えている。
【0022】
リーダライタ11は、ユニット記憶部21に対して情報の読み書きを行う通信モジュールである。ここでは、リーダライタ11は、RFIDタグ22に近接して配置され、RFIDタグ22と非接触で通信を行うカプラである。
【0023】
本体記憶部12は、装置本体10の使用地域、すなわち使用されるべき地域が予め登録される不揮発性の記憶媒体であり、例えばNVRAM(Non Volatile RAM)やROM(Read Only Memory)などである。ここでは、本体記憶部12には、装置本体10の使用地域を示す地域コードが登録される。この地域コードは、装置本体10の工場出荷時点で仕向け地域として予め登録されていてもよいし、各地域の物流倉庫や営業拠点あるいは使用場所で登録されてもよい。また、地域の分け方は特に限定されないが、例えば、温度、湿度、気圧、気候、国などに基づいて分けることが可能である。
【0024】
制御部13は、リーダライタ11、本体記憶部12、および不図示のプリントエンジンを含む画像形成装置1全体を制御する。また、制御部13は、ある交換ユニット20を用いて印刷を行う場合、1枚印刷する毎に、その交換ユニット20のユニット記憶部21に保持される累積印刷枚数をカウントアップする。さらに、制御部13は、その機能ブロックとして、判断部13aと登録部13bとを有している。
【0025】
判断部13aは、装置本体10に装着されている交換ユニット20のユニット記憶部21に地域コードが既登録である場合に、ユニット記憶部21に登録されている地域コードと本体記憶部12に登録されている地域コードとを比較し、両者が一致しないときには当該交換ユニット20は不適正であると判断する。
【0026】
登録部13bは、装置本体10に装着されている交換ユニット20のユニット記憶部21に地域コードが未登録である場合に、当該交換ユニット20が所定の登録条件を満たしたとき、本体記憶部12に登録されている地域コードを当該交換ユニット20のユニット記憶部21に登録する。ここで、所定の登録条件は、好適には、交換ユニット20の累積使用量が所定条件を満たすことであり、より具体的には、交換ユニット20の累積使用量が所定値以上であることである。本実施の形態では、登録部13bは、交換ユニット20の累積印刷枚数が所定枚数以上となったとき、ユニット記憶部21に地域コードを登録する。ここで、所定枚数は、例えば100〜2000枚であり、好ましくは500〜1000枚である。なお、累積使用量は、累積印刷枚数に限られず、累積稼動時間、累積印刷面数、累積印刷画素数、累積装着時間、ユニット構成要素(感光体ドラム等)の磨耗度、あるいはユニット構成要素(トナー等)の消費量、またはこれらの組み合わせなどであってもよい。また、登録条件は、交換ユニット20の種類などに応じて適宜に設定されればよい。
【0027】
なお、制御部13は、ここではCPU(Central Processing Unit)、ROM、RAM(Random Access Memory)などが搭載された回路基板であり、上記各機能は、ROM等の記憶媒体に格納されたプログラムがCPUに実行されることによって実現される。ただし、上記各機能の実現態様は特に限定されず、例えば、専用のハードウェア回路により実現されても構わない。
【0028】
図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の動作手順を示すフローチャートである。以下、図2を用いて、画像形成装置1の動作について詳細に説明する。ただし、画像形成装置1の一般的な画像形成動作については、広く知られているので説明を省略する。図2に示される動作は、電源投入直後やジョブ開始直前などの適宜のタイミングで実行されればよいが、ここでは電源投入直後に実行されるものとする。また、以下の説明において、装置本体10は地域Aに設置されており、本体記憶部12には地域コード「A」が予め登録されているものとする。
【0029】
(新品の交換ユニットが装着された場合)
まず、装置本体10に新品の交換ユニット20が装着され、電源が投入された場合の動作について説明する。電源が投入されると(S11)、制御部13は、装着されている交換ユニット20に地域コードが登録されているか否かを判断する(S12)。具体的には、制御部13は、リーダライタ11を介して交換ユニット20のユニット記憶部21から登録フラグを読み出し、登録フラグが「1」であれば既登録と判断し、「0」であれば未登録と判断する。ここでは、交換ユニット20は新品であるので登録フラグは「0」であり、制御部13は、地域コードは未登録であると判断する(S12:NO)。
【0030】
そして、制御部13は、交換ユニット20が所定の登録条件を満たしているか否かを判断する(S13)。具体的には、制御部13は、リーダライタ11を介して交換ユニット20のユニット記憶部21から累積印刷枚数を読み出し、この累積印刷枚数が所定枚数(例えば1000枚)以上であれば満たしていると判断し、そうでなければ満たしていないと判断する。ここでは、交換ユニット20は新品であるので累積印刷枚数は「0」であり、制御部13は、交換ユニット20は登録条件を満たしていないと判断する(S13:NO)。
【0031】
そして、以後、制御部13は、交換ユニット20は適正なものであるとして、画像形成装置1を通常どおり動作させる(S14)。このとき、画像形成機能を含む、画像形成装置1のすべての機能が有効である。
【0032】
(交換ユニットの累積印刷枚数が所定枚数に到達した場合)
つぎに、上記交換ユニット20を用いた印刷が所定枚数以上行われた後に、電源が投入された場合の動作について説明する。電源が投入されると(S11)、制御部13は、装着されている交換ユニット20のユニット記憶部21から登録フラグを読み出し、登録フラグが「1」であるか否か、すなわち地域コードが既登録か否かを判断する(S12)。ここでは、登録フラグは「0」であるので、制御部13は、地域コードは未登録であると判断する(S12:NO)。
【0033】
そして、制御部13は、交換ユニット20のユニット記憶部21から累積印刷枚数を読み出し、この累積印刷枚数が所定枚数以上であるか否か、すなわち登録条件が満たされているか否かを判断する(S13)。ここでは、累積印刷枚数は所定枚数以上であり、制御部13は、登録条件が満たされていると判断する(S13:YES)。
【0034】
そして、制御部13は、本体記憶部12から地域コード「A」を読み出し、この地域コード「A」を交換ユニット20の使用地域としてユニット記憶部21に書き込むとともに、ユニット記憶部21の登録フラグを「0」(未登録)から「1」(既登録)に書き換える(S15)。そして、以後、制御部13は、交換ユニット20は適正なものであるとして、画像形成装置1を通常どおり動作させる(S16)。
【0035】
(地域Aで一定以上使用された交換ユニットが装着された場合)
つぎに、上記地域コード「A」が登録された交換ユニット20が装着されたまま電源がオフオンされた場合、または、地域Aの別の装置本体10により地域コード「A」が登録された別の交換ユニット20が装着されて電源が投入された場合の動作について説明する。電源が投入されると(S11)、制御部13は、装着されている交換ユニット20のユニット記憶部21から登録フラグを読み出し、登録フラグが「1」であるか否か、すなわち地域コードが既登録か否かを判断する(S12)。ここでは、登録フラグは「1」であるので、制御部13は、地域コードは既登録であると判断する(S12:YES)。
【0036】
そして、制御部13は、交換ユニット20が適正なものであるか否かを判断する(S17)。具体的には、制御部13は、ユニット記憶部21および本体記憶部12から地域コードを読み出し、ユニット記憶部21から読み出された地域コードと本体記憶部12から読み出された地域コードとを比較し、両者が一致する場合には交換ユニット20は適正であると判断し、一致しない場合には不適正であると判断する。ここでは、ユニット記憶部21および本体記憶部12のいずれにも地域コード「A」が登録されているので、制御部13は、装着されている交換ユニット20は適正なものであると判断する(S17:YES)。そして、以後、制御部13は、画像形成装置1を通常どおり動作させる(S18)。
【0037】
(地域Bで一定以上使用された交換ユニットが装着された場合)
つぎに、上記地域コード「A」の交換ユニット20が取り外された後、地域Bで一定以上使用され地域コード「B」が登録された交換ユニット20が装着され、電源が投入された場合の動作について説明する。電源が投入されると(S11)、制御部13は、装着されている交換ユニット20のユニット記憶部21から登録フラグを読み出し、登録フラグが「1」であるか否か、すなわち地域コードが既登録か否かを判断する(S12)。ここでは、登録フラグは「1」であるので、制御部13は、地域コードは既登録であると判断する(S12:YES)。
【0038】
そして、制御部13は、交換ユニット20が適正なものであるか否かを判断する(S17)。ここでは、ユニット記憶部21には地域コード「B」、本体記憶部12には地域コード「A」が登録されており、両者は一致しないので、制御部13は、装着されている交換ユニット20は不適正なものであると判断する(S17:NO)。
【0039】
そして、制御部13は、不適正な交換ユニットが装着された場合に対応する所定の処理を実行する(S19)。この所定の処理は、適宜に設定されればよいが、例えば次のような処理である。すなわち、制御部13は、当該画像形成装置1の画像形成機能を停止させる。または、制御部13は、画像形成機能を維持しつつ、当該画像形成装置1の機能の一部を制限する。また、制御部13は、上記の処理に加え、あるいは単独の処理として、不図示のコントロールパネルへの表示などにより、交換ユニットが不適正である旨をユーザ等に通知する。なお、上記の機能の一部の制限としては、例えば、連続印刷枚数の上限値の引き下げ、転写バイアスの最適制御の停止、または定着温度の引き下げなどがある。
【0040】
以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
【0041】
(1)交換ユニットには、その使用地域が登録されるユニット記憶部が設けられ、装置本体には、その使用地域が予め登録される本体記憶部が設けられる。判断部は、装置本体に装着されている交換ユニットのユニット記憶部に使用地域が既登録である場合に、当該ユニット記憶部に登録されている使用地域と本体記憶部に登録されている使用地域とを比較し、両者が一致しないときには当該交換ユニットは不適正であると判断する。登録部は、装置本体に装着されている交換ユニットのユニット記憶部に使用地域が未登録である場合に、当該交換ユニットが所定の登録条件を満たしたとき、本体記憶部に登録されている使用地域を当該交換ユニットのユニット記憶部に登録する。
【0042】
このように、交換ユニットには、その交換ユニットが所定の登録条件を満たすまでは使用地域が登録されない。このため、交換ユニットは、一定以上使用されるまで、どの地域の装置本体においても不適正であると判定されない。これにより、交換ユニットを複数の仕向け地域間で共通化することができる。この結果、交換ユニットの在庫を削減することができ、コストダウンを図ることができる。また、交換ユニットの輸送中であっても、その仕向け地域を変更することが可能となる。
【0043】
一方で、交換ユニットには、その交換ユニットが所定の登録条件を満たすと、装置本体の使用地域が登録される。このため、交換ユニットは、ある地域の装置本体で一定以上使用された後は、別の地域の装置本体では不適正であると判定される。これにより、ある地域の装置本体で使用された交換ユニットが別の地域の装置本体で使用されることに伴う不利益を軽減または回避することが可能となる。すなわち、交換ユニットの地域間での共通化による不利益を軽減または回避することが可能となる。
【0044】
(2)交換ユニットが不適正であると判断された場合に、画像形成機能を停止させる構成によれば、ある地域の装置本体で使用された交換ユニットが別の地域の装置本体で使用されることに伴う不利益をより確実に回避することができる。
【0045】
(3)交換ユニットが不適正であると判断された場合に、画像形成機能を維持しつつ、当該画像形成装置の機能の一部を制限する構成によれば、画像形成を行いたいというユーザの希望を満たしつつ、ある地域の装置本体で使用された交換ユニットが別の地域の装置本体で使用されることに伴う不利益を軽減することができる。
【0046】
(4)交換ユニットが不適正であると判断された場合に、その旨を通知する構成によれば、交換ユニットの交換などの適切な処置をとることが可能となる。また、ユーザは、画像不良や装置故障の原因を知ることができる。
【0047】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更することができる。
【0048】
例えば、交換ユニット20としては、上記実施の形態で列挙されたもの以外にも、バイアス印加ロール(BCR)、コロトロン、フィードロール、中間転写体、インクタンクなどが挙げられる。
【0049】
また、上記の登録フラグは省略可能である。例えば、地域コードを4ビットで表すこととし、「0001」〜「1111」が各地域を示し、「0000」が未登録を示すこととすれば、登録フラグは省略可能となる。
【0050】
また、所定の登録条件は、ユーザインタフェース等を介して変更可能であってもよい。この構成によれば、状況に応じた登録条件の調整が可能となる。
【0051】
また、交換ユニットの累積使用量は、上記の実施の形態では交換ユニット20側に記録されているが、装置本体10側に記録されてもよい。例えば、装置本体10において、交換ユニットの個体識別番号と累積使用量とを対応付けて保持することとすれば、交換ユニット毎の累積使用量を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る画像形成装置の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1 画像形成装置、10 画像形成装置本体(装置本体)、11 リーダライタ、12 本体記憶部、13 制御部、13a 判断部、13b 登録部、20 交換ユニット、21 ユニット記憶部、22 RFIDタグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体(以下、装置本体と称す)と、当該装置本体に着脱可能に装着される交換ユニットと、を有する画像形成装置であって、
交換ユニットは、当該交換ユニットの使用地域が登録されるユニット記憶手段を備え、
装置本体は、
当該装置本体の使用地域が予め登録される本体記憶手段と、
装着された交換ユニットのユニット記憶手段に使用地域が既登録である場合に、ユニット記憶手段に登録されている使用地域と本体記憶手段に登録されている使用地域とを比較し、両者が一致しないときには当該交換ユニットは不適正であると判断する判断手段と、
装着された交換ユニットのユニット記憶手段に使用地域が未登録である場合に、当該交換ユニットが所定の登録条件を満たしたとき、本体記憶手段に登録されている使用地域を当該交換ユニットのユニット記憶手段に登録する登録手段と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記登録条件は、累積使用量が所定値以上であることであり、
前記累積使用量は、交換ユニットの累積稼動時間、累積印刷枚数、累積印刷面数、または累積印刷画素数であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置であって、
判断手段により不適正であると判断された場合には、画像形成機能を停止させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の画像形成装置であって、
判断手段により不適正であると判断された場合には、画像形成機能を維持しつつ、当該画像形成装置の機能の一部を制限することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
判断手段により不適正であると判断された場合には、その旨を通知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
その使用地域が登録されるユニット記憶手段を備える交換ユニットが着脱可能に装着され、当該交換ユニットを用いて記録媒体に画像を形成する画像形成装置本体であって、
当該画像形成装置本体の使用地域が予め登録される本体記憶手段と、
装着された交換ユニットのユニット記憶手段に使用地域が既登録である場合に、ユニット記憶手段に登録されている使用地域と本体記憶手段に登録されている使用地域とを比較し、両者が一致しないときには当該交換ユニットは不適正であると判断する判断手段と、
装着された交換ユニットのユニット記憶手段に使用地域が未登録である場合に、当該交換ユニットが所定の登録条件を満たしたとき、本体記憶手段に登録されている使用地域を当該交換ユニットのユニット記憶手段に登録する登録手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置本体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−178212(P2006−178212A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371838(P2004−371838)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】