説明

画像形成装置

【課題】カードに形成される画像の色確認にかかるコストの低下を図る。
【解決手段】カード発行装置100であって、カード収納部2には、ICチップ1aを具備しない確認用カードCがICチップを具備するIDカードに対して所定の割合で混入され、搬送機構4により搬送される確認用カードのカード識別部C1を検出して、確認用カード識別信号を出力するカード検出センサ8と、確認用カード識別信号の入力に基づいて、確認用画像及び確認用文字を取得し、取得した確認用画像及び確認用文字を確認用カードに対してカード情報形成部3により形成させる処理を行うCPUとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップを内蔵するIDカードの表面に画像や文字等のカード情報を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、社員証や各種免許証等のIDカードに顔画像や識別番号などの個人情報を形成して、当該IDカードを発行するカード発行装置が知られている。
かかるカード発行装置にあっては、例えば、IDカードを一定枚数発行する毎に、或いは、ランダムな所定のタイミングで、顔画像の確認をして色調整等を行うようになっている。具体的には、カード収納部に、未だ個人情報が形成されていないIDカードを複数収納しておき、当該複数のIDカードのうち、所定のタイミングで取り出された一枚のIDカードに対して色確認用の所定の標準画像を形成し、形成された標準画像を目視により確認したり色濃度を濃度検出装置により検出することで、色調整を行うようになっている。
【0003】
また、上記と同様に、プリンタの設定内容や機能確認等のセルフテスト印字を実行するセルフテスト印字制御装置や、商品に貼付されるラベルのテスト印字を行うラベルプリンタ等も知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平6−227097号公報
【特許文献2】特開平6−312541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、IDカードに、EEPROM等から構成される不揮発性のメモリ及びCPU等の制御部を有するICチップが内蔵されたものが開発されている。このIDカードは、ICチップを内蔵しない通常のIDカードに比べて、一枚あたりの単価が高いため、色確認用のためだけに当該IDカードを用いることはコストアップを招いてしまうといった問題がある。
なお、色確認を行う際に、カード収納部内のIDカードをICチップが内蔵されていないものに入れ替えるようにしても良いが、作業者にとって煩雑な作業であり、現実的とは言い難い。
【0005】
そこで、本発明の課題は、カードに形成される画像の色確認にかかるコストの低下を図ることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
ICチップを具備するICチップ有りカードが複数収納されたカード収納部と、前記カード収納部に収納された前記ICチップ有りカードの表面に所定の画像を含むカード情報を形成するカード情報形成部とを備える画像形成装置であって、
前記カード収納部には、前記ICチップを具備しないICチップ無しカードが前記ICチップ有りカードに対して所定の割合で混入され、
前記ICチップ無しカードには、前記ICチップ有りカードとの識別に係るカード識別部が設けられ、
前記ICチップ有りカードに形成される画像の色確認用の確認用画像を記録する確認用画像記録手段と、
前記カード収納部に収納された前記ICチップ有りカード及び前記ICチップ無しカードを前記カード情報形成部に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記ICチップ無しカードの前記カード識別部を検出して、無しカード識別信号を出力するカード識別部検出手段と、
前記カード識別部検出手段から出力された前記無しカード識別信号の入力に基づいて、前記確認用画像記録手段から前記確認用画像を取得し、取得した前記確認用画像を前記ICチップ無しカードに対して前記カード情報形成部により画像形成させる確認用画像形成制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記カード情報形成部により前記カード情報が形成された前記ICチップ有りカードが集積される有りカード集積部と、
前記カード情報形成部と前記有りカード集積部との間に設けられ、前記カード情報形成部により前記確認用画像が形成された前記ICチップ無しカードを前記ICチップ有りカードと分離して排出する分離排出手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記カード情報は、所定の文字を含み、
前記ICチップ有りカードに形成される文字の状態確認用の確認用文字を記録する確認用文字記録手段と、
前記カード識別部検出手段から出力された前記無しカード識別信号の入力に基づいて、前記確認用文字記録手段から前記確認用文字を取得し、取得した前記確認用文字を前記ICチップ無しカードに対して前記カード情報形成部により形成させる確認用文字形成制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記カード情報形成部により前記カード情報が形成された前記ICチップ有りカードのカード枚数を取得するカード枚数取得手段と、
前記カード識別部検出手段から出力された前記無しカード識別信号の入力に基づいて、前記カード枚数取得手段により取得された前記カード枚数を前記ICチップ無しカードに対して前記カード情報形成部により形成させるカード枚数形成制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記カード収納部は、前記ICチップ有りカードの種類に応じて複数設けられ、
前記複数のカード収納部における前記ICチップ無しカードの混入割合は、前記ICチップ有りカードの種類に応じて設定されていることを特徴としている。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記カード情報形成部は、昇華型熱転写方式により画像を形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、カード収納部にICチップ有りカードに対して所定の割合で混入されたICチップ無しカードが、当該カード収納部からカード情報形成部に搬送される際にカード識別部検出手段により検出されると、ICチップ有りカードに形成される画像の色確認用の確認用画像をICチップ無しカードに対してカード情報形成部により画像形成することができる。これにより、画像の色確認用のためだけに高価なICチップ有りカードを用いる必要がなくなって、ICチップ有りカードに形成される画像の色確認にかかるコストの低下を図ることができる。
また、カード収納部にICチップ有りカードとICチップ無しカードとを混入しておいても、ICチップ無しカードの検出を適正に行うことができるので、所定のタイミングで行う色確認の際に、ICチップ無しカードをカード収納部内に収納するといった煩雑な作業を行う必要がなく、画像の色確認を簡便に行うことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、有りカード集積部に集積されるICチップ有りカードと分けてICチップ無しカードを排出することができるので、有りカード集積部に集積される多数のICチップ有りカードの中にICチップ無しカードが埋もれてしまうといったことがなく、ICチップ無しカードの把握を容易に行うことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、カード識別部検出手段によるICチップ無しカードの検出に基づいて、ICチップ有りカードに形成される文字の状態確認用の確認用文字をICチップ無しカードに対してカード情報形成部により形成することができる。これにより、文字の状態確認用のために高価なICチップ有りカードを用いる必要がなくなって、ICチップ有りカードに形成される文字の状態確認にかかるコストの低下を図ることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、カード識別部検出手段によるICチップ無しカードの検出に基づいて、カード情報形成部によりカード情報が形成されたカード枚数をICチップ無しカードに対してカード情報形成部により形成することができる。これにより、画像の色確認を行うことができるだけでなく、カード情報形成部によりカード情報を形成することができる残りの枚数の把握を行うことができることとなって、より魅力的な画像形成装置を提供することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、複数のカード収納部におけるICチップ無しカードの混入割合は、ICチップ有りカードの種類に応じて設定されているので、画像の色確認のタイミングの調整を適正に行うことができることとなって、より魅力的な画像形成装置を提供することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、昇華型熱転写方式によりカード情報形成部にて画像を形成する画像形成装置であっても、画像の色確認を適正に行うことができ、ICチップ有りカードに形成される画像の色確認にかかるコストの低下を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
図1は、本発明に係る画像形成装置の好適な一実施形態として例示するカード発行装置の要部構成を模式的に示した図であり、図2は、カード発行装置の要部構成を示すブロック図である。
【0019】
本実施形態のカード発行装置(画像形成装置)100は、ICチップを内蔵するIDカード1(図2参照)の表面に顔画像や識別番号等の所定のカード情報を形成するとともにICチップ1aのメモリ(図示略)に所定のカード情報を記録してIDカード1を発行するものである。
具体的には、図1及び図2に示すように、カード発行装置100は、複数のIDカード1、…を収納するカード収納部2と、IDカード1の表面の所定位置に画像及び文字を含むカード情報を形成するカード情報形成部3と、カード収納部2に収納されたIDカード1をカード情報形成部3まで搬送する搬送機構4と、IDカード1のICチップ1aに所定情報を記録するICリーダライタ5と、IDカード1の表面に保護層を形成する保護層形成部6と、作成された発行済みのIDカード1が集積されるカード集積部7と、搬送機構4により搬送される確認用カードCを検出するカード検出センサ8と、確認用カードCをIDカード1と分離して排出する分離排出機構9と、吸引機構10と、操作パネル11と、記憶部12と、RAM13と、CPU14等を備えて構成されている。
【0020】
カード収納部2は、例えば、発行されるIDカード1の種類に応じて複数(例えば、3つ)設けられており、所定のカード収納部2からCPU14の制御下にて指示された所定の種類のIDカードが一枚ずつ取り出されるようになっている。例えば、当該カード発行装置100により各種の免許証を発行する場合にあっては、ペナルティーの有無、その量等により区分けされるカードの種類に応じて複数設けられている。
【0021】
また、カード収納部2には、例えば、当該カード情報形成部3によりIDカード1の表面に形成される顔画像や文字の確認用の確認用カードCがIDカード1に対して所定の割合で混入されている。
確認用カードCは、例えば、ICチップ1aを具備しないカード(ICチップ無しカード)から構成されている。また、確認用カードCの所定位置には、カード検出センサ8により検出され、IDカード1との識別に係るカード識別部C1が設けられている。
ここで、カード識別部C1としては、カード検出センサ8の構成に応じて所定の構成のものを適用することができ、例えば、カード検出センサ8が光透過センサである場合には当該確認用カードCを貫通して形成された貫通孔を適用することができ、カード検出センサ8が光反射センサである場合には当該確認用カードCの表面に形成された所定色のマーク等を適用することができる。
【0022】
また、各カード収納部2における確認用カードCの混入割合は、IDカード1の種類に応じて設定されていることが好ましい。即ち、一のカード収納部2に収納されたIDカード1に対して、発行頻度の高いIDカード1が収納された他のカード収納部2にあっては、当該他のカード収納部2における確認用カードCの混入割合が一のカード収納部2における混入割合よりも大きくなるように確認用カードCが混入されているのが好ましい。
これにより、発行頻度の異なる複数種類のIDカード1の発行を行うカード発行装置100であっても、画像の色確認のタイミング調整を適正に行うことができることとなって、より魅力的なカード発行装置100を提供することができる。
【0023】
搬送機構4は、例えば、CPU14の制御下にて、カード収納部2から取り出された一枚のIDカード1及び確認用カードCをカード情報形成部3まで搬送する搬送手段を構成している。具体的には、搬送機構4は、例えば、搬送ローラ、搬送ベルト等から構成され、搬送ローラの回転により搬送ベルト上の所定のカードをカード情報形成部3に搬送するようになっている。
【0024】
カード検出センサ8は、カード収納部2とカード情報形成部3との間に設けられ、搬送機構4により搬送される確認用カードCを検出するものである。即ち、カード検出センサ8は、カード識別部検出手段として、搬送機構4により搬送される確認用カードCのカード識別部C1を検出すると、確認用カード識別信号(無しカード識別信号)をCPU14に対して出力するようになっている。
なお、カード検出センサ8は、上記のように、カード識別部C1の構成に応じて適宜変更することができ、例えば、光透過センサ、光反射センサ等を適用することができる。
【0025】
カード情報形成部3は、例えば、昇華型熱転写方式により所定の画像や文字等を形成するものであり、具体的には、4種類のリボンカセット(Y,M,C,P)3a、…を有する画像形成部31と、1のリボンカセット(K)3aを有する文字形成部32を備えて構成されている。
画像形成部31及び文字形成部32を構成する各リボンカセット3aは、例えば、IDカード1の搬送方向と略直交する方向に沿って配列された複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、所定のインクが塗布されたインクリボンと、サーマルヘッドに対して供給されるインクリボンが格納されたリボン供給部と、インクリボンを巻き取るリボン巻取部等を備えている。
そして、画像形成部31及び文字形成部32は、CPU14の制御下にて駆動して、サーマルヘッドと、このサーマルヘッドにインクリボンを挟んで対向するようにして設けられたプラテンローラとの間に供給されるIDカード1及び確認用カードCの表面の所定位置に所定の画像や文字等を形成するようになっている。
【0026】
ICリーダライタ5は、例えば、CPU14の制御下にて駆動して、カード情報形成部3によりカード情報が形成されたIDカード1のICチップ1aと電磁誘導波を用いて非接触方式により通信して、顔画像情報や個人情報等の所定のカード情報をICチップ1aのメモリに記録させたり、メモリに記録されている各種の情報を消去したり読み取るためのものである。
【0027】
また、ICリーダライタ5よりも搬送方向の下流側には、例えば、保護層形成部6にIDカード1を落下させるための落下機構51が設けられている。
落下機構51により落下させられたIDカード1は、例えば、カード通過部52を通って保護層形成部6の所定位置に落とし込まれるようになっている。
【0028】
分離排出機構9は、例えば、カード通過部52の途中(カード情報形成部3とカード集積部7との間)に設けられており、CPU14の制御下にて駆動して、IDカード1と確認用カードCとを分離して、確認用カードCを確認用カード集積部91に排出する分離排出手段を構成している。
【0029】
保護層形成部6は、例えば、CPU14の制御下にて駆動して、落下機構51により落とし込まれたIDカード1の表面に所定の保護層を形成するものである。
なお、本実施形態では、第一の保護層形成部及び第二の保護層形成部によって2段階に分けて保護層を形成するようにしたが、例えば、一の保護層形成部によって保護層を形成しても良いし、3以上の保護層形成部により保護層を形成するようにしても良い。
【0030】
また、保護層形成部6により保護層が形成されたIDカード1は、カード集積部7に集積されるようになっている。
【0031】
吸引機構10は、例えば、図示は省略するが、CPU14の制御下にて駆動して、当該カード発行装置100内部の空気、水蒸気、塵、埃等を外側に排出するためのファンと、ファンにより排出される塵や埃などをトラップするためのフィルター等を備えて構成されている。
【0032】
操作パネル11は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示部とタッチパネル等からなる入力部とが一体となって形成されており、CPU14から出力されて入力される表示信号の指示に基づいて、表示部の画面上に所定の表示を行うとともに、タッチパネルのうちの押圧された力点のXY座標を検出して、検出された座標に係る位置信号を操作信号としてCPU14に出力するようになっている。
【0033】
CPU(Central Processing Unit)14は、カード発行装置100の各部を統括的に制御するものであり、記憶部12に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM13の作業領域に展開し、当該プログラムに従って各種処理を実行するようになっている。
具体的には、CPU14は、所定の制御プログラムの実行に基づいて、カード情報形成部3を制御してIDカード1の表面に顔画像や識別番号等の所定のカード情報を形成させ、さらに、ICリーダライタ5を制御してIDカード1のICチップ1aのメモリに所定のカード情報を記録させ、また、保護層形成部6を制御してIDカード1の表面に保護層を形成させるカード発行処理の実行を制御するようになっている。
【0034】
RAM(Random Access Memory)13は、例えば、書き換え可能なメモリであり、CPU14の制御下にて記憶部12から読み出されたプログラムや各種データ等の格納領域や作業領域等を構成している。
【0035】
記憶部12は、例えば、電気的にデータの書きこみ、及び消去が可能な読み出し専用のメモリであるEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等から構成されており、CPU14の制御下にて実行される各種プログラム、各プログラムの処理に係るデータ等を記憶している。
具体的には、記憶部12は、例えば、確認用画像形成制御プログラム12a、確認用文字形成制御プログラム12b、カード枚数取得プログラム12c、カード枚数形成制御プログラム12d等を記憶している。
【0036】
確認用画像形成制御プログラム12aは、CPU14に、確認用画像形成制御手段として、カード検出センサ8から出力された確認用カード識別信号の入力に基づいて、記憶部12の所定の記憶領域に記憶されている確認用画像d1を取得し、取得した確認用画像d1を確認用カードCの表面の所定位置に画像形成部31により画像形成させる確認用画像形成処理に係る機能を実現させるためのプログラムである。
【0037】
確認用文字形成制御プログラム12bは、CPU14に、確認用文字形成制御手段として、カード検出センサ8から出力された確認用カード識別信号の入力に基づいて、記憶部12の所定の格納領域に格納されている確認用文字d2を取得し、取得した確認用文字d2を確認用カードCの表面の所定位置に文字形成部32により形成させる確認用文字形成処理に係る機能を実現させるためのプログラムである。
【0038】
カード枚数取得プログラム12cは、CPU14に、カード枚数取得手段として、カード情報形成部3により所定のカード情報が形成されたIDカード1、即ち、IDカード1の発行枚数を取得するカード枚数取得処理に係る機能を実現させるためのプログラムである。
即ち、例えば、CPU14の制御下にて実行されるカード発行処理において、カード情報形成部3によりIDカード1にカード情報が形成される毎にカウントされるカード発行枚数d3を記憶部12の所定の格納領域に格納していくようになっており、カード検出センサ8から出力された確認用カード識別信号の入力に基づいて、CPU14は、カード枚数取得プログラム12cを実して、記憶部12からカード発行枚数d3を読み出して取得するようになっている。
【0039】
カード枚数形成制御プログラム12dは、CPU14に、カード枚数形成制御手段として、カード検出センサ8から出力された確認用カード識別信号の入力に基づいて、取得されたカード枚数を確認用カードCの表面の所定位置にカード情報形成部3(例えば、文字形成部32)により形成させるカード枚数形成処理に係る機能を実現させるためのプログラムである。
【0040】
また、記憶部12は、確認用画像記録手段として、IDカード1に形成される顔画像等の色確認用の所定の確認用画像d1を記録している。
ここで、確認用画像d1は、例えば、確認用カードCの表面に形成された状態で色濃度の確認や色合わせを適正に行うことができるような標準画像が好ましい。
【0041】
さらに、記憶部12は、確認用文字記録手段として、IDカード1に形成される識別番号等の文字の状態確認用の確認用文字d2を記録している。
ここで、確認用文字d2としては、例えば、「見本」、「サンプル」等が挙げられる。なお、これらの他にも、カード発行装置100の号機、印画日時、インクリボンのロット番号等のカード発行装置100に係る各種の情報を確認用文字d2として適用しても良く、これによって、文字形成部32により形成される文字の状態の確認を行うことができるだけでなく、カード発行装置100に係る情報の確認も行うことができる。
【0042】
次に、カード発行処理について図3を参照して説明する。
ここで、図3は、カード発行装置100によるカード発行処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【0043】
図3に示すように、カード発行装置100にあっては、カード収納部2から取り出されたIDカード1若しくは確認用カードCが搬送機構4によりカード情報形成部3まで搬送される際に、各カードの種類がカード検出センサ8により検出されるようになっている(ステップS1)。
ここで、搬送されるカードがIDカード1の場合、即ち、カード検出センサ8により確認用カードCが検出されない場合(ステップS1;NO)、CPU14は、所定の制御プログラムの実行に基づいてカード発行処理を実行する(ステップS2)。
そして、カード発行処理を実行中に、カード検出センサ8にて確認用カードCのカード識別部C1が検出されると(ステップS1;YES)、カード検出センサ8は、確認用カード識別信号をCPU14に対して出力する。
【0044】
CPU14は、カード検出センサ8から出力された確認用カード識別信号が入力されると、当該カード発行装置100のモードを確認用画像d1及び確認用文字d2を形成するモードに切り替え、カード情報形成部3を制御して確認用画像形成処理及び確認用文字形成処理を実行する(ステップS3,S4)。
即ち、CPU14は、確認用カード識別信号が入力されると、記憶部12から確認用画像形成制御プログラム12aを読み出してRAM13に展開し、この確認用画像形成制御プログラム12aの実行に基づいて、記憶部12から所定の確認用画像d1を取得し、取得した確認用画像d1を確認用カードCの表面の所定位置に画像形成部31により画像形成させる(ステップS3)。続けて、CPU14は、確認用文字形成制御プログラム12bを読み出してRAM13に展開し、この確認用文字形成制御プログラム12bの実行に基づいて、記憶部12から所定の確認用文字d2を取得し、取得した確認用文字d2を確認用画像d1が形成された確認用カードCの表面の所定位置に文字形成部32により形成させる(ステップS4)。
【0045】
そして、カード情報形成部3により所定の確認用画像d1及び確認用文字d2が形成された確認用カードCがICリーダライタ5まで送られると、CPU14は、記憶部12から読み出された所定の制御プログラムの実行に従って、ICリーダライタ5を制御して当該ICリーダライタ5によりカード情報を記録させずに、落下機構51の駆動を制御して確認用カードCを落下させる(ステップS5)。
このとき、CPU14は、記憶部12から読み出された所定の制御プログラムの実行に従って、分離排出機構9の駆動を制御して、落下する確認用カードCを確認用カード集積部91側へと導いて、当該カード発行装置100の外部に排出させる(ステップS6)。
【0046】
そして、確認用画像d1及び確認用文字d2が形成された確認用カードCは、作業者による目視若しくは所定の濃度測定装置等により画像の色確認及び文字の状態確認が行われた後、画像及び文字の状態に応じてカード情報形成部3の調整等が行われるようになっている。
なお、カード情報形成部3の調整等は、例えば、CPU14による所定の判定プログラムの実行に基づいて、予め記憶部12に記憶されている所定の濃度調整テーブル等と比較判定されて、判定結果に応じて自動的に所定の調整が行われるようにしても良い。
【0047】
また、ステップS6にて、確認用カードCが排出されると、ステップS1に移行して、それ以降の処理がCPU14により制御されるようになっている。
【0048】
以上のように、本実施形態のカード発行装置100によれば、カード収納部2にIDカード1に対して所定の割合で混入された確認用カードCが、当該カード収納部2から搬送機構4によりカード情報形成部3に搬送される際に、カード検出センサ8により検出されると、IDカード1に形成される画像の色確認用の確認用画像d1を確認用カードCに対して画像形成部31により画像形成することができる。また、IDカード1に形成される文字の状態確認用の確認用文字d2を確認用カードCに対して文字形成部32により形成することができる。
これにより、画像の色確認用及び文字の状態確認のために高価なIDカード1を用いる必要がなくなって、IDカード1に形成される画像の色確認及び文字の状態確認にかかるコストの低下を図ることができる。また、カード収納部2にIDカード1と確認用カードCとを混入しておいても、確認用カードCの検出を適正に行うことができるので、所定のタイミングで行う色確認の際に、カード発行処理を中断してまで確認用カードCをカード収納部2内に収納するといった煩雑な作業を行う必要がなく、画像の色確認を簡便に行うことができる。
このように、昇華型熱転写方式のカード情報形成部3にて画像や文字の形成を行うカード発行装置100であっても、確認用カードCを用いることにより、コストアップを招くことなく、IDカード1の画像の色確認を簡便に行うことができる。
【0049】
さらに、分離排出機構9によって確認用カードCをカード集積部7に集積されるIDカード1と分けて排出することができるので、カード集積部7に集積される多数のIDカード1の中に確認用カードCが埋もれてしまうといったことがなく、確認用カードCの把握を容易に行うことができる。これにより、確認用カードCを用いて画像の色確認を簡便に行うことができる。
【0050】
なお、上記実施形態の確認用文字形成処理にあっては、例えば、確認用文字d2として、CPU14によるカード枚数取得プログラム12cの実行に基づいて取得されたカード発行枚数d3を確認用カードCの表面の所定位置に形成するようにしても良い。即ち、カード検出センサ8から出力された確認用カード識別信号の入力に基づいて、CPU14は、記憶部12から読み出したカード枚数形成制御プログラム12dを実行して、カード発行枚数d3を確認用カードCの表面の所定位置に文字形成部32により形成させるようにしても良い。
これにより、文字の状態確認を行うことができるだけでなく、残りのカード発行枚数の把握を行うことができることとなって、より魅力的なカード発行装置100を提供することができる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施形態では、濃度測定装置等により測定された濃度等に応じてカード情報形成部3の調整を行うようにしたが、これに限られるものではなく、画像の濃度ムラが所定の基準値に対して大きくなった場合には、リボンカセット3aのサーマルヘッドの交換を行うようにしても良い。
【0052】
また、上記実施形態における、カード情報形成部3の調整にあっては、インクリボンのロット番号に応じて所定の補正を行うようにしても良い。即ち、リボンカセットの交換が行われた際に、交換前のリボンカセットと交換後のリボンカセットの各々のロット番号を比較して、これらのロット番号が等しい場合には、交換前後でカード情報形成部3の調整度合がほぼ等しくなるように補正するようにしても良い。
【0053】
また、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置としてカード発行装置100を例示したが、これに限られるものではなく、少なくともIDカード1の表面に所定の画像を含むカード情報を形成することができる構成のものであれば如何なるものであっても良い。
また、カード情報形成部3は、昇華型熱転写方式により画像を形成する構成のものに限られるものではなく、他の如何なる方式により画像を形成するものであっても良い。
【0054】
さらに、確認用カードCとIDカード1との厚さを異ならせるようにしても良く、例えば、当該確認用カードCとIDカード1との厚さをカード識別部としてカード検出センサ8により検出されるようにしても良い。
【0055】
また、複数のカード収納部2、…の何れかに、IDカード1よりも厚さの薄い確認用カードCのみを入れておくようにしても良い。
即ち、カードの厚さによっては、一のカード収納部2内に異なる厚さのカードを混入することができない場合がある。かかる場合には、カード収納部2のカードの取出構造を、所定のカードの厚さに応じて設定することにより、カードを一枚ずつ適正に取り出すことができるようにすることができる。
【0056】
さらに、複数のカード収納部2、…にそれぞれ厚さの異なる所定のIDカード1を収納しておくことにより、ユーザのニーズやカード規格の変更等に柔軟に対応することができることとなって、カード発行作業をより効率良く行うことができる。例えば、一のカード収納部2に現状の規格に対応した厚さのカードを収納し、且つ、他のカード収納部2に新しい規格に対応する厚さのカードを収納しておくことで、カード規格の変更に際して、カードが取り出されるカード収納部2を切り替えて使用することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る画像形成装置の好適な一実施形態として例示するカード発行装置の要部構成を模式的に示した図である。
【図2】図1のカード発行装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】図1のカード発行装置によるカード発行処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
100 カード発行装置(画像形成装置)
1 IDカード(ICチップ有りカード)
1a ICチップ
2 カード収納部
3 カード情報形成部
4 搬送機構(搬送手段)
7 カード集積部(有りカード集積部)
8 カード検出センサ(カード識別部検出手段)
9 分離排出機構(分離排出手段)
12 記憶部(確認用画像記録手段、確認用文字記録手段)
14 CPU(確認用画像形成制御手段、確認用文字形成制御手段、カード枚数取得手段、カード枚数形成制御手段)
C 確認用カード(ICチップ無しカード)
C1 カード識別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップを具備するICチップ有りカードが複数収納されたカード収納部と、前記カード収納部に収納された前記ICチップ有りカードの表面に所定の画像を含むカード情報を形成するカード情報形成部とを備える画像形成装置であって、
前記カード収納部には、前記ICチップを具備しないICチップ無しカードが前記ICチップ有りカードに対して所定の割合で混入され、
前記ICチップ無しカードには、前記ICチップ有りカードとの識別に係るカード識別部が設けられ、
前記ICチップ有りカードに形成される画像の色確認用の確認用画像を記録する確認用画像記録手段と、
前記カード収納部に収納された前記ICチップ有りカード及び前記ICチップ無しカードを前記カード情報形成部に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記ICチップ無しカードの前記カード識別部を検出して、無しカード識別信号を出力するカード識別部検出手段と、
前記カード識別部検出手段から出力された前記無しカード識別信号の入力に基づいて、前記確認用画像記録手段から前記確認用画像を取得し、取得した前記確認用画像を前記ICチップ無しカードに対して前記カード情報形成部により画像形成させる確認用画像形成制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カード情報形成部により前記カード情報が形成された前記ICチップ有りカードが集積される有りカード集積部と、
前記カード情報形成部と前記有りカード集積部との間に設けられ、前記カード情報形成部により前記確認用画像が形成された前記ICチップ無しカードを前記ICチップ有りカードと分離して排出する分離排出手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カード情報は、所定の文字を含み、
前記ICチップ有りカードに形成される文字の状態確認用の確認用文字を記録する確認用文字記録手段と、
前記カード識別部検出手段から出力された前記無しカード識別信号の入力に基づいて、前記確認用文字記録手段から前記確認用文字を取得し、取得した前記確認用文字を前記ICチップ無しカードに対して前記カード情報形成部により形成させる確認用文字形成制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カード情報形成部により前記カード情報が形成された前記ICチップ有りカードのカード枚数を取得するカード枚数取得手段と、
前記カード識別部検出手段から出力された前記無しカード識別信号の入力に基づいて、前記カード枚数取得手段により取得された前記カード枚数を前記ICチップ無しカードに対して前記カード情報形成部により形成させるカード枚数形成制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カード収納部は、前記ICチップ有りカードの種類に応じて複数設けられ、
前記複数のカード収納部における前記ICチップ無しカードの混入割合は、前記ICチップ有りカードの種類に応じて設定されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記カード情報形成部は、昇華型熱転写方式により画像を形成することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−334822(P2006−334822A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159477(P2005−159477)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】