説明

画像形成装置

【課題】 感光体上に形成された静電潜像を現像することにより画像形成を行う画像形成装置において、感光体表面を帯電する時間を長くすることなく、感光体表面を一様に帯電できるようにする。
【解決手段】 プリンタは、帯電領域において感光体ドラム27表面との間で放電を行ない感光体ドラム27の表面を帯電させるための放電ワイヤ29bと、感光体ドラム27表面と放電ワイヤ29bとの間に配置され、両者間に流れる電流を制御するためのグリッド電極29aと、未帯電領域における感光体ドラム27表面の電位を検知するためのクリーニングブラシ51と、検知された感光体ドラム27表面の電位の検知結果に応じて、グリッド電極29aの電位を変動させ、感光体ドラム27の表面を帯電させるときの電荷量を補正する抵抗器95a〜95eと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電した感光体を露光することにより静電潜像を形成し、この静電潜像を現像することにより画像形成を行なう画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような画像形成装置には、感光体との間で放電を行なうための放電電極と、放電制御を行うためのグリッド電極とを備え、周囲の環境が変化した場合であっても形成する画像の濃淡が一定になるように、グリッド電極に印加するグリッド電圧を一定にするための装置を搭載したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この画像形成装置に搭載されたグリッド電圧を一定にするための装置は、グリッド電圧を固定抵抗により分圧する回路を備え、この回路により分圧された電圧が一定になるようグリッド電極を流れる電流量を制御する。
【特許文献1】特開平3−279973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記画像形成装置においては、グリッド電極に印加されるグリッド電圧は一定になるが、グリッド電圧が一定であっても、感光体表面の劣化や環境の変化等の理由により、放電電極により帯電される前の感光体表面の電位にばらつきがある場合には、感光体表面を一様に帯電することは困難である。
【0005】
具体的には、例えば、図5に示すように、グリッド電圧がXで一定であり、帯電前の感光体の表面電位がAである場合には、感光体表面の帯電が開始されると、感光体の表面電位は実線にて示すように上昇し、帯電終了時における感光体の表面電位は、帯電前の感光体の表面電位Aからグリッド電圧Xの間の電位であるCに到達する。また、帯電前の感光体の表面電位がAよりも低い電位Bであって、グリッド電圧が一定である場合には、感光体の表面電位は2点鎖線にて示すように上昇し、帯電後の感光体の表面電位はDまでしか上昇しない。このため、帯電前の感光体の表面電位がAの場合よりもδだけ低い電位となってしまい、感光体の表面を一様に帯電させることができない。
【0006】
この問題点を解決するためには、放電電極により感光体表面を帯電する時間を充分長くすればよく、具体的には、例えば、感光体の移動(回転)速度を遅くすることや、グリッド電極を大きくし、放電電極による帯電可能な面積を大きくすること等が考えられる。ところが、このような解決方法を実行した場合には、画像を形成するための時間が多くかかってしまったり、グリッド電極の配置が困難になったりしてしまうという問題点が発生する。
【0007】
そこで、このような問題点を鑑み、感光体上に形成された静電潜像を現像することにより画像形成を行う画像形成装置において、感光体表面を帯電する時間を長くすることなく、感光体表面を一様に帯電できるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために成された請求項1に記載の発明は、感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段とを備え、前記帯電手段により帯電された感光体に静電潜像を形成し、前記感光体に形成された静電潜像を現像剤により現像し、前記現像剤により現像された可視像を被記録媒体に転写する画像形成装置であって、前記帯電手段により帯電される前の感光体表面の電位に基づいて、前記帯電手段が前記感光体の表面を帯電させるときの電荷量を補正する電荷量補正手段を備えたことを特徴としている。
【0009】
従って、このような画像形成装置によれば、帯電手段による帯電前の感光体表面の電位にばらつきがある場合であっても、感光体表面を帯電する時間を長くすることなく、帯電手段による帯電後に感光体表面を均一に帯電することができる。
【0010】
また、請求項1に記載の画像形成装置において、感光体の表面は、所定の周長を有する無端構造であると共に、画像形成時に周方向に回転駆動される構成である場合には、請求項2に記載のように、帯電手段は、回転駆動される感光体表面が帯電手段により帯電可能な帯電領域を通過するときに感光体表面を帯電させ、電荷量補正手段は、帯電領域近傍であって感光体の回転方向上流側に位置する未帯電領域の電位に基づいて、帯電手段が感光体の表面を帯電させるときの電荷量を補正することが望ましい。
【0011】
このような画像形成装置によれば、帯電領域の近傍に未帯電領域が位置しているので、未帯電領域から帯電領域まで領域において、感光体表面に電気的な影響を与えないようにすることができる。このため、電荷量の補正を良好に行うことができる。
【0012】
さらに、請求項2に記載の画像形成装置において、帯電手段は、感光体の表面に接触し、感光体表面の帯電を行なうためのローラやブラシ等を備えていてもよいが、より好ましくは請求項3に記載のように構成することが好ましい。即ち、帯電手段は、帯電領域において感光体表面との間で放電を行ない感光体の表面を帯電させるための放電電極と、感光体表面と放電電極との間に配置され、両者間(感光体表面と放電電極との間)に流れる電流を制御するためのグリッド電極と、を備え、電荷量補正手段は、未帯電領域における感光体表面の電位を検知し、その検知結果に応じて、グリッド電極の電位を変動させるよう構成すればよい。
【0013】
このような画像形成装置によれば、グリッド電極の電位を変動させるだけで感光体表面に与える電荷量を制御することができるので、電荷量の制御を容易にすることができる。
また、請求項3に記載の画像形成装置において、帯電手段は、請求項4に記載のように、電荷量補正手段により検知される感光体表面の電位に応じてグリッド電極の電位が所定の値になるように制御することが好ましい。
【0014】
このような画像形成装置によれば、帯電前の感光体表面の電位がある値である場合には、感光体表面を帯電させる際に基準となるグリッド電極の電位を、帯電前の感光体表面の電位に対応した一定電位になるよう制御することができる。
【0015】
さらに、請求項3または請求項4に記載の画像形成装置において、電荷量補正手段は、請求項5に記載のように、未帯電領域において感光体表面に接触するよう配置された表面接触手段を備え、この表面接触手段を使用して感光体表面の電位を検知することが望ましい。
【0016】
このような画像形成装置によれば、表面接触手段により帯電前の感光体表面の電位を確実に検知することができる。
また、請求項5に記載の画像形成装置において、電荷量補正手段は、請求項6に記載のように、グリッド電極を流れる電流の一部を表面接触手段側に分流し、この表面接触手段側に分流させた電流量に応じて感光体表面の電位を検知することが好ましい。
【0017】
このような画像形成装置によれば、グリッド電極を流れる電流の一部を表面接触手段側に分流するので、表面接触手段に電流を供給するための電源を不要にすることができる。
さらに、請求項5または請求項6に記載の画像形成装置において、表面接触手段は、請求項7に記載のように、感光体表面をクリーニングするためのクリーニング手段であることが望ましい。
【0018】
このような画像形成装置によれば、表面接触手段は感光体表面の電位を検知するための機能と、クリーニング手段としての機能を兼ねることができるので、各機能を有する手段をそれぞれ配置する場合と比較して、部品の数を減らすことができる。
【0019】
請求項7に記載の画像形成装置において、被記録媒体は紙からなり、現像剤は正帯電性のトナーからなり、帯電手段は、放電電極、およびグリッド電極に、未帯電領域における感光体の表面の電位よりも高電位になるような電圧を印加するよう構成されている場合には、請求項8に記載のように、電荷量補正手段は、クリーニング手段に、未帯電領域における感光体の表面の電位よりも高電位になるような電圧を印加し、クリーニング手段により感光体表面に付着した紙粉を除去することが望ましい。
【0020】
つまり、紙という素材は、負帯電し易いという特性があるため、被記録媒体として紙が使用される場合に、放電電極、グリッド電極、およびクリーニング手段が感光体の表面よりも高電位になる構成(正帯電性トナーにより現像を行なう構成)にし、クリーニング手段が感光体表面に付着した紙粉を吸着できるようにしているのである。
【0021】
従って、このような画像形成装置によれば、クリーニング手段により感光体表面に付着した紙粉を良好に除去することができる。
また、請求項5〜請求項8の何れかに記載の画像形成装置において、電荷量補正手段は、請求項9に記載のように、グリッド電極の電位と予め定められた基準電位との電位差を表すグリッド電圧を分圧する分圧手段を備え、分圧手段の分圧点から表面接触手段に電流を供給することにより、グリッド電極の電位を変動させることが好ましい。
【0022】
このような画像形成装置によれば、表面接触手段に供給する電流が変動すると、自然にグリッド電極の電位が変動するよう構成することができ、電流を監視する装置等が不用となるので、画像形成装置を簡単な構成にすることができる。
【0023】
さらに、請求項9に記載の画像形成装置において、分圧手段は、請求項10に記載のように複数の抵抗からなることが望ましい。
このような画像形成装置によれば、分圧手段に複数の抵抗を用いているので、分圧手段の構成を簡単にすることができる。
【0024】
また、請求項3〜請求項10の何れかに記載の画像形成装置において、感光体の周回速度は、帯電領域通過後の感光体表面の電位が、グリッド電極の電位と略一致する電位に達するような速度に設定されていてもよいが、より好ましくは、請求項11に記載のように、帯電領域通過後の感光体表面の電位が、帯電領域通過前の電位とグリッド電極の電位との間の中間電位に達するような一定速度に設定されていることが望ましい。
【0025】
このような画像形成装置によれば、高速で感光体を回転させても、帯電後の感光体表面の電位を一定にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用されたプリンタ1を示す外観図である。
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1は、例えばレーザプリンタであって、給紙トレイ6と、排紙トレイ46と、通気孔62a、62bと、プリンタ1の状態を表示する表示部60と、プリンタ1の動作設定等を行う操作部61と、プリンタ1のメインスイッチである電源スイッチ63と、を備えている。
【0027】
給紙トレイ6は、本体ケーシング2内の底部に着脱可能に装着されており、この中に用紙3(被記録媒体:図2参照)を積層して収納するために用いられる。
また、排紙トレイ46は、プリンタ1により画像形成され、排出された用紙3を保持するために用いられる。
【0028】
そして、通気孔62a、62bは、本体ケーシング2内の熱を放出し易くするためのものであり、多数の長孔により構成されている。
また、操作部61には、プリンタ1の動作設定をするための種々の設定項目を選択するための「+」「−」キー、この「+」「−」キーにより選択された設定項目を決定するための「SET」キー等が備えられている。
【0029】
そして、表示部60は、例えば、液晶表示装置等からなり、プリンタ1による印字枚数(ページカウンタ)や、異常等のプリンタ1の動作状態を表示する。また、表示部60は、使用者により操作部61が操作された際には、各種モード(印字枚数を報知するページカウンタモード、エラーが発生した際にエラー位置を報知する位置報知モード、使用者による操作部61の操作時やエラー発生時にブザー(図示省略)を鳴らすブザーモード等)を設定するための画像(文字)を表示する。従って、使用者は、表示部60に表示された画像を見ながら操作部61を操作し、各種設定を行うことができる。
【0030】
次に、本体ケーシング2の内部について図2を用いて説明する。図2は、プリンタ1の要部側断面図である。
図2において、プリンタ1は、本体ケーシング2内に、用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に所定の画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0031】
フィーダ部4は、前述した給紙トレイ6と、給紙トレイ6内に設けられた用紙押圧板7と、給紙トレイ6の一端側端部の上方に設けられる給紙ローラ8および給紙パット9と、給紙ローラ8に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられる紙粉取りローラ10および11と、紙粉取りローラ10および11に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられるレジストローラ12とを備えている。
【0032】
用紙押圧板7は、給紙ローラ8に対して遠い方の端部において揺動可能に支持されることによって、近い方の端部が上下方向に移動可能とされており、また、その裏側から図示しないばねによって上方向に付勢されている。そのため、用紙押圧板7は、用紙3の積層量が増えるに従って、給紙ローラ8に対して遠い方の端部を支点として、ばねの付勢力に抗して下向きに揺動される。給紙ローラ8および給紙パット9は、互いに対向状に配設され、給紙パット9の裏側に配設されるばね13によって、給紙パット9が給紙ローラ8に向かって押圧されている。用紙押圧板7上の最上位にある用紙3は、用紙押圧板7の裏側から図示しないばねによって給紙ローラ8に向かって押圧され、その給紙ローラ8の回転によって給紙ローラ8と給紙パット9とで挟まれた後、1枚毎に給紙される。給紙された用紙3は、紙粉取りローラ10および11によって、紙粉が取り除かれた後、レジストローラ12に送られる。レジストローラ12は、1対のローラから構成されており、用紙3を所定のレジスト後に、画像形成部5に送るようにしている。
【0033】
なお、このフィーダ部4は、さらに、マルチパーパストレイ14と、マルチパーパストレイ14上に積層される用紙3を給紙するためのマルチパーパス側給紙ローラ15およびマルチパーパス側給紙パット25とを備えており、マルチパーパス側給紙ローラ15およびマルチパーパス側給紙パット25は、互いに対向状に配設され、マルチパーパス側給紙パット25の裏側に配設されるばね25aによって、マルチパーパス側給紙パット25がマルチパーパス側給紙ローラ15に向かって押圧されている。マルチパーパストレイ14上に積層される用紙3は、マルチパーパス側給紙ローラ15の回転によってマルチパーパス側給紙ローラ15とマルチパーパス側給紙パット25とで挟まれた後、1枚毎に給紙される。
【0034】
次に、画像形成部5は、スキャナユニット16、プロセスユニット17、定着ユニット18などを備えている。
スキャナユニット16は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示省略)、回転駆動されるポリゴンミラー19、レンズ20および21、反射鏡22、23および24などを備えており、レーザ発光部から発光される所定の画像データに基づくレーザビームを、鎖線で示すように、ポリゴンミラー19、レンズ20、反射鏡22および23、レンズ21、反射鏡24の順に通過あるいは反射させて、後述するプロセスユニット17の感光体としての感光体ドラム27の表面上に高速走査にて照射させている。
【0035】
プロセスユニット17は、スキャナユニット16の下方に配設され、図2に示すように、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されるドラムカートリッジ26内に、感光体ドラム27、現像カートリッジ28、スコロトロン型帯電器29、転写ローラ30、クリーニングブラシ51を備えている。
【0036】
現像カートリッジ28は、ドラムカートリッジ26に対して着脱自在に装着されており、現像ローラ31、層厚規制ブレード32、供給ローラ33およびトナーボックス34などを備えている。
【0037】
トナーボックス34内には、正帯電性の非磁性1成分のトナーが充填されている。このトナーとしては、重合体、例えば、スチレン等のスチレン系単量体や、アクリル(C1〜C4)アクリレート、アルキル(C1〜C4)メタアクリレート等のアクリル系単量体を、懸濁重合等の公知の重合方法によって共重合させることにより得られる重合トナーが使用されている。なお、このようなトナーには、カーボンブラック等の着色剤やワックス等が配合されている。そして、トナーボックス34内のトナーは、トナーボックス34の中心に設けられる回転軸35に支持されるアジテータ36の矢印方向(時計方向)への回転により、攪拌されて、トナーボックス34に設けられたトナー供給口37から放出される。なお、トナーボックス34の側壁には、トナーの残量検知用の窓38が設けられており、回転軸35に支持されたクリーナ39によって清掃される。
【0038】
トナー供給口37の側方位置には、供給ローラ33が矢印方向(反時計方向)に回転可能に配設されており、また、この供給ローラ33に対向して、現像ローラ31が矢印方向(反時計方向)に回転可能に配設されている。そして、これら供給ローラ33と現像ローラ31とは、そのそれぞれがある程度圧縮するような状態で互いに当接されている。
【0039】
供給ローラ33は、金属製のローラ軸に、導電性の発泡材料からなるローラが被覆されている。また、現像ローラ31は、金属製のローラ軸に、磁気特性を持たない導電性のゴム材料からなるローラが被覆されている。より具体的には、現像ローラ31のローラ部分は、カーボン微粒子などを含む導電性のウレタンゴムまたはシリコーンゴムからなるローラ本体の表面に、フッ素が含有されているウレタンゴムまたはシリコーンゴムのコート層が被覆されている。なお、現像ローラ31には、現像バイアスが印加される。
【0040】
また、現像ローラ31の近傍には、層厚規制ブレード32が配設されている。この層厚規制ブレード32は、金属の板ばね材からなるブレード本体の先端部に、絶縁性のシリコーンゴムからなる断面半円形状の押圧部40を備えており、現像ローラ31の近くにおいて現像カートリッジ28に支持されて、押圧部40がブレード本体の弾性力によって現像ローラ31上に圧接されるように構成されている。
【0041】
そして、トナー供給口37から放出されるトナーは、供給ローラ33の回転により、現像ローラ31に供給され、この時、供給ローラ33と現像ローラ31との間で正に摩擦帯電され、さらに、現像ローラ31上に供給されたトナーは、現像ローラ31の回転に伴って、層厚規制ブレード32の押圧部40と現像ローラ31との間に進入し、ここでさらに十分に摩擦帯電されて、一定厚さの薄層として現像ローラ31上に担持される。
【0042】
感光体ドラム27は、現像ローラ31の側方位置において、その現像ローラ31と対向するような状態で矢印方向(時計方向)に回転可能に配設されている。この感光体ドラム27は、ドラム本体が接地されるとともに、その表面部分が、ポリカーボネートなどから構成される正帯電性の感光層により形成されている。なお、この感光体ドラム27は、図示しないメインモータからの動力によって回転駆動されるように構成されている。
【0043】
スコロトロン型帯電器29は、グリッド電極29aと、放電電極としての放電ワイヤ29bとを備え、感光体ドラム27の上方に、感光体ドラム27に接触しないように、所定の間隔を隔てて配設されている。このスコロトロン型帯電器29は、タングステンなどの放電ワイヤ29bからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、グリッド電極29aの電位を調節することにより、感光体ドラム27の表面を一様に正極性に帯電させるように構成されている。また、このスコロトロン型帯電器29は、感光体表面を帯電可能な領域(帯電領域:図4参照)が限られており、角度にして概ね20度程度の領域を帯電させることができる。
【0044】
そして、感光体ドラム27の表面は、その感光体ドラム27の回転に伴って、まず、スコロトロン型帯電器29により一様に正帯電された後、スキャナユニット16からのレーザビームの高速走査により露光され、所定の画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0045】
次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31上に担持されかつ正帯電されているトナーが、感光体ドラム27に対向して接触する時に、感光体ドラム27の表面上に形成される静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光体ドラム27の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている露光部分に供給され、選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像が達成される。
【0046】
転写ローラ30は、感光体ドラム27の下方において、この感光体ドラム27に対向するように配置され、ドラムカートリッジ26に矢印方向(反時計方向)に回転可能に支持されている。この転写ローラ30は、金属製のローラ軸に、イオン導電性のゴム材料からなるローラが被覆されており、転写時には、転写バイアス(転写順バイアス)が印加されるように構成されている。そのため、感光体ドラム27の表面上に担持された可視像は、用紙3が感光体ドラム27と転写ローラ30との間を通る間に用紙3に転写される。
【0047】
クリーニングブラシ51は、織布に導電性の毛が多数織り込まれて形成されており、この多数の毛の先端が感光体ドラム27の表面に接触するよう配置されている。これらの毛には、帯電前の感光体ドラム27の表面電位よりも高電位となるクリーニングバイアスが印加され、多数の毛と感光体ドラム27との接触した領域(未帯電領域:図4参照)にて、感光体ドラム27に付着した紙粉が回収される。
【0048】
定着ユニット18は、プロセスユニット17の側方下流側に配設され、ギヤが形成された定着ローラ41、定着ローラ41を押圧する押圧ローラ42、および、これら定着ローラ41および押圧ローラ42の下流側に設けられる1対の搬送ローラ43を備えている。定着ローラ41は、金属製で、加熱のためのハロゲンランプを備えており、プロセスユニット17において用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が定着ローラ41と押圧ローラ42との間を通過する間に加熱および加圧することにより定着させ、その後、その用紙3を搬送ローラ43によって、排紙パス44に搬送するようにしている。排紙パス44に送られた用紙3は、排紙ローラ45に送られて、その排紙ローラ45によって排紙トレイ46上に排紙される。
【0049】
また、このプリンタ1には、用紙3の両面に画像を形成するために、反転搬送部47が設けられている。この反転搬送部47は、排紙ローラ45と、反転搬送パス48と、フラッパ49と、複数の反転搬送ローラ50とを備えている。
【0050】
排紙ローラ45は、1対のローラからなり、正回転および逆回転の切り換えができるように構成されている。この排紙ローラ45は、上記したように、排紙トレイ46上に用紙3を排紙する場合には、正方向に回転するが、用紙3を反転させる場合には、逆方向に回転する。
【0051】
反転搬送パス48は、排紙ローラ45から画像形成部5の下方に配設される複数の反転搬送ローラ50まで用紙3を搬送することができるように、上下方向に沿って設けられており、その上流側端部が、排紙ローラ45の近くに配置されるとともに、その下流側端部が、反転搬送ローラ50の近くに配置されている。
【0052】
フラッパ49は、排紙パス44と反転搬送パス48との分岐部分に臨むように、揺動可能に設けられており、図示しないソレノイドの励磁または非励磁により、排紙ローラ45によって反転された用紙3の搬送方向を、排紙パス44に向かう方向から、反転搬送パス48に向かう方向に切り換えることができるように構成されている。
【0053】
反転搬送ローラ50は、給紙トレイ6の上方において、略水平方向に複数設けられており、最も上流側の反転搬送ローラ50が、反転搬送パス48の後端部の近くに配置されるとともに、最も下流側の反転搬送ローラ50が、レジストローラ12の下方に配置されるように設けられている。
【0054】
そして、用紙3の両面に画像を形成する場合には、この反転搬送部47が、次のように動作される。すなわち、一方の面に画像が形成された用紙3が搬送ローラ43によって排紙パス44から排紙ローラ45に送られてくると、排紙ローラ45は、用紙3を挟んだ状態で正回転して、この用紙3を一旦外側(排紙トレイ46側)に向けて搬送し、用紙3の大部分が外側に送られ、用紙3の後端が排紙ローラ45に挟まれた時に、正回転を停止する。次いで、排紙ローラ45は、逆回転するとともに、フラッパ49が、用紙3が反転搬送パス48に搬送されるように、搬送方向を切り換えて、用紙3を前後逆向きの状態で反転搬送パス48に搬送するようにする。なお、フラッパ49は、用紙3の搬送が終了すると、元の状態、すなわち、搬送ローラ43から送られる用紙3を排紙ローラ45に送る状態に切り換えられる。次いで、反転搬送パス48に逆向きに搬送された用紙3は、反転搬送ローラ50に搬送され、この反転搬送ローラ50から、上方向に反転されて、レジストローラ12に送られる。レジストローラ12に搬送された用紙3は、裏返しの状態で、再び、所定のレジスト後に、画像形成部5に向けて送られ、これによって、用紙3の両面に所定の画像が形成される。
【0055】
なお、用紙3が通過する搬送経路には、用紙3の位置を検出するための位置センサ64〜67が配置されている。より具体的に述べると、位置センサ64はレジストローラ12の直前に配置されており、位置センサ65はレジストローラ12の直後に配置されている。また、位置センサ66は定着ローラ41の直後に配置されており、位置センサ67は排紙ローラ45の直前に配置されている。
【0056】
次にプリンタ1における制御系について図3を用いて説明する。図3は、プリンタ1に内蔵された制御装置70を中心として、その周辺に位置する各部との電気的な結合関係を示すブロック図である。
【0057】
この制御装置70には、前述の画像形成部5や操作部61、位置センサ64〜67、プリンタ1の用紙搬送系の動力源となるメインモータ等の各種モータ84等が接続されている。そして、この制御装置70は、各種モータ84等を介して入力される使用者からの指令、もしくは、ネットワークを介して入力される各種情報処理装置(パーソナルコンピュータ等)からの指令に従い画像形成部5や操作部61を制御する。
【0058】
また、この制御装置70は、CPU71、ROM72、RAM73、および、これら各部を接続するバスライン76を中心とする周知のマイクロコンピュータにて構成されている。
【0059】
さらに、制御装置70は、画像形成制御部79、モータ駆動部78、信号入力部81、ネットワークインターフェイス74(ネットワークI/F)等を備えている。
画像形成制御部79は、CPU71からの指令に従い画像形成部5を制御する。
【0060】
モータ駆動部78は、CPU71からの指令に従い、各種モータ84のそれぞれに駆動パルスを送信し、各種モータ84を駆動させる。
信号入力部81は、操作部61を介して入力される使用者からの指令信号や、位置センサ64〜67からの検出信号を制御装置70内に取り込み、これらの入力信号をCPU71により処理可能な信号に変換する。
【0061】
ネットワークインターフェイス74は、ネットワークを介して外部の情報処理装置(パーソナルコンピュータ等)との間でデータ通信を行うために使用される。
そして、画像形成制御部79、モータ駆動部78、信号入力部81、ネットワークインターフェイス74の各部は、バスライン76を介して、CPU71、ROM72、RAM73に接続されている。
【0062】
このようなプリンタ1において、CPU71は、外部の情報処理装置からネットワークを介してプリント要求を受けると、その後ネットワークを介して送信されてくるプリントデータ(画像形成データ)に従い、画像形成制御部79や各種モータ84を駆動制御し、用紙3を搬送しつつ用紙3上にプリントデータに基づく画像を形成する。
【0063】
また、画像形成中において、位置センサ64〜67は、各センサ位置において用紙3の有無を検出し、CPU71は、モータ駆動部78が各種モータ84に送信する駆動パルスと、位置センサ64〜67による検知とを関連付けて、用紙3が存在すべき位置に用紙3が存在しない場合や、用紙3が存在しないはずの位置に用紙3が存在する場合に、紙詰まり(用紙ジャム)として報知する。
【0064】
さらに、CPU71は、位置センサ64〜67による検知等に基づいて、各種エラーを検出した場合には、画像形成部5の動作を停止させて、画像形成動作を禁止する処理を実行する。
【0065】
特に、上述の画像形成部5は、スコロトロン型帯電器29により感光体ドラム27の表面の帯電量を制御するための電荷量補正部90(図3参照)を備えており、CPU71は、電荷量補正部90より入力される信号に応じて、画像形成制御部79に対して、電荷量補正部90にデューティ比が制御された信号を送るように指令を送る。
【0066】
次に、この電荷量補正部90について、図4を用いて詳しく説明する。図4は、電荷量補正部90およびその周辺に位置する各部を模式的に示す説明図である。
電荷量補正部90は、PWM信号平滑回路91、トランスドライブ回路92、昇圧・整流回路93、定電圧回路94、複数の抵抗器95a〜95e、ダイオード96を備えている。
【0067】
以下に電荷量補正部90を構成する各部について詳しく説明する。
PWM信号平滑回路91は、制御装置70からデューティ比が制御された信号を入力し、この信号を平滑し、この信号のデューティ比に比例した直流信号を出力する。
【0068】
トランスドライブ回路92は、PWM信号平滑回路91から出力された直流信号を入力し、この直流信号の電圧に応じた周波数の交流信号を出力する。
昇圧・整流回路93は、トランスドライブ回路92から出力された交流信号を入力し、この交流信号を昇圧すると共に、昇圧後の交流信号を整流および平滑することにより、高電圧(例えば7000V程度)を生成する。
【0069】
この昇圧・整流回路93により生成された高電圧の一部は、定電圧回路94に対して出力され、生成された高電圧の大部分は、スコロトロン型帯電器29の放電ワイヤ29bに放電電圧として印加される。
【0070】
定電圧回路94は、公知の定電圧回路であって、この定電圧回路94により生成された定電圧(帯電前の感光体ドラム27の表面電位よりも高電圧)は、現像ローラ31に現像バイアスとして印加される。
【0071】
複数の抵抗器95a〜95eは、分岐点97よりも、制御装置70側およびクリーニングブラシ51側に配置されている。
即ち、グリッド電極29aから制御装置70に至る経路上に抵抗器95c、95dが配置されており、グリッド電極29aからクリーニングブラシ51に至る経路上に抵抗器95aが配置されている。
【0072】
また、抵抗器95eは、一端が抵抗器95dおよび抵抗器95bの制御装置70側の端子に接続され、他端が接地されている。そして、抵抗器95bは、一端が抵抗器95dの制御装置70側の端子に接続され、他端が抵抗器95aのクリーニングブラシ51側の端子に接続されている。
【0073】
また、ダイオード96は、アノードが抵抗器95aと抵抗器95bとの接続点に接続されており、カソードがクリーニングブラシ51に接続されている。このダイオード96は、感光体ドラム27の表面の電位がクリーニングブラシ51よりも低くなったときに、感光体ドラム27からクリーニングブラシ51に電流が流れることを防止するために備えられている。
【0074】
電荷量補正部90は、PWM信号平滑回路91、トランスドライブ回路92、昇圧・整流回路93、および定電圧回路94により、放電ワイヤ29bおよび現像ローラ31に印加するバイアスを生成している。そして、電荷量補正部90は、放電ワイヤ29bから放電される電流のうち、感光体ドラム27の表面に流れる電流を除く電流(以下、グリッド電極29aを流れる電流(Ig)という)を、分岐点97にて、抵抗器95cおよび抵抗器95dに流れる電流(If)と、抵抗器95aに流れる電流(Ic)とに分流する。また、抵抗器95aと抵抗器95bとの接続点からクリーニングブラシ51に流れる電流をIc´とする。そして、制御装置70は、抵抗器95eに流れる電流(If+Ic−Ic´)が一定になるよう(正確には制御装置70に入力される信号の電位が一定になるよう)PWM信号平滑回路91に入力する信号を制御装置70により制御する。
【0075】
ここで、クリーニングブラシ51が接触している感光体ドラム27表面の電位が低くなった場合には、クリーニングブラシ51に流される電流(Ic´)が増加する。このため、抵抗器95eに流れる電流が減少しないように制御装置70がPWM信号を制御すると、これにより、電流(Ig)が増加し、グリッド電極29aの電位が上昇する。
【0076】
クリーニングブラシ51に流される電流(Ic´)が変化した場合であっても、その瞬間においては、グリッド電極29aを流れる電流(Ig)は一定であるので、例えば、感光体ドラム27表面の電位が低くなった場合において、抵抗器95eに流れる電流(If+Ic−Ic´)は減少することとなる。このとき、抵抗器95dと抵抗器95eとの接続点における電位は下降するが、この際、制御装置70は、抵抗器95dと抵抗器95eとの接続点における電位が一定になるように、PWM信号平滑回路91に入力する信号のデューティ比を制御する。
【0077】
次に、スコロトロン型帯電器29により帯電させられる感光体ドラム27の表面電位の変化について図5を用いて説明する。図5は、感光体ドラム27の表面電位と、スコロトロン型帯電器29による帯電時間との関係を示すグラフである。
【0078】
スコロトロン型帯電器29により感光体ドラム27表面の帯電が開始されると、図5に示すように、例えば、グリッド電極29aの電位がXであり、感光体ドラム27表面の電位がAである場合には、感光体ドラム27の表面電位は上昇し、充分長時間の帯電を行った場合には、感光体ドラム27の表面電位は、グリッド電極29aの電位に到達する。
【0079】
ところで、帯電時間が充分ではないため、帯電後の感光体ドラム27の表面電位は帯電前の感光体ドラム27の表面電位Aからグリッド電極29aの電位Xの間の電位であるCまでしか上昇しない。このため、帯電前の感光体ドラム27の表面電位がAよりも低い電位のBであって、グリッド電極29aの電位が一定である場合には、帯電後の感光体ドラム27の電位はDとなり、帯電前の感光体ドラム27の表面電位がAの場合よりもδだけ低い電位となってしまう。
【0080】
このため、本実施形態においては、複数の抵抗器95a〜95eにより、グリッド電極29aの電位を変化させることにより、帯電前の感光体ドラム27の表面電位が異なる場合であっても、帯電後の感光体ドラム27の表面電位が同じになるようにしている。
【0081】
即ち、帯電前の感光体ドラム27の表面電位が低い場合(例えば、電位がBである場合)には、グリッド電極29aの電位を上昇させて、より早く感光体表面の電位が上昇するようにするので、帯電後の感光体ドラム27の表面電位はCとなるのである。この結果、感光体ドラム27の表面を均一に帯電させることができる。
【0082】
ここで、本発明における帯電手段は、本実施形態における制御装置70、PWM信号平滑回路91、トランスドライブ回路92、昇圧・整流回路93、定電圧回路94、グリッド電極29a、および放電ワイヤ29bが該当する。
【0083】
また、電荷量補正手段は、抵抗器95a、95b、クリーニングブラシ51、および分岐点97からクリーニングブラシ51までの経路が該当する。
ここで、本発明における帯電手段は、本実施形態におけるグリッド電極29a、および放電ワイヤ29bが該当する。
【0084】
そして、分圧手段は、抵抗器95a、95bが該当する。
また、表面接触手段およびクリーニング手段は、クリーニングブラシ51が該当する。
以上のように詳述したプリンタ1においては、帯電領域において感光体ドラム27表面との間で放電を行ない感光体ドラム27の表面を帯電させるための放電ワイヤ29bと、感光体ドラム27表面と放電ワイヤ29bとの間に配置され、両者間(感光体ドラム27表面と放電ワイヤ29bとの間)に流れる電流を制御するためのグリッド電極29aと、未帯電領域における感光体ドラム27表面の電位を検知するためのクリーニングブラシ51と、検知された感光体ドラム27表面の電位の検知結果に応じて、グリッド電極29aの電位を変動させ、感光体ドラム27の表面を帯電させるときの電荷量を補正する抵抗器95a〜95eと、を備えている。ここで、グリッド電極29aを流れる電流の一部は、分岐点97によりクリーニングブラシ51側に分流されており、抵抗器95a〜95eは、このクリーニングブラシ51側に分流させた電流量に応じて感光体ドラム27表面の電位を自然に検知するよう構成されている。
【0085】
従って、スコロトロン型帯電器29による帯電前の感光体ドラム27表面の電位にばらつきがある場合であっても、感光体ドラム27表面を帯電する時間を長くすることなく、スコロトロン型帯電器29による帯電後に感光体ドラム27表面を均一に帯電することができる。
【0086】
また、電荷量補正部90は、分岐点97にてグリッド電極29aを流れる電流の一部をクリーニングブラシ51側に分流するので、クリーニングブラシ51に電流を供給するための電源を不要にすることができる。
【0087】
さらに、グリッド電極29aの電位を変動させるだけで感光体ドラム27表面に与える電荷量を制御することができるので、電荷量の制御を容易にすることができる。
次に、感光体ドラム27の表面は、所定の周長を有する無端構造であると共に、画像形成時に周方向に回転駆動される構成であって、スコロトロン型帯電器29は、回転駆動される感光体ドラム27表面がスコロトロン型帯電器29により帯電可能な帯電領域を通過するときに感光体ドラム27表面を帯電させる。そして、クリーニングブラシ51は、帯電領域近傍であって感光体ドラム27の回転方向上流側に位置する未帯電領域に接触して配置されている。
【0088】
従って、帯電領域の近傍に未帯電領域が位置しているので、未帯電領域から帯電領域まで領域において、感光体ドラム27表面に電気的な影響を与えないようにすることができる。このため、電荷量の補正を良好に行うことができる。
【0089】
また、制御装置70は、抵抗器95a〜95eにより検知される感光体ドラム27表面の電位に応じてグリッド電極29aの電位が所定の値になるように制御するよう構成されている。
【0090】
従って、帯電前の感光体ドラム27表面の電位がある値である場合には、感光体ドラム27表面を帯電させる際に基準となるグリッド電極29aの電位を、帯電前の感光体ドラム27表面の電位に対応した一定電位になるよう制御することができる。
【0091】
さらに、クリーニングブラシ51を使用して感光体ドラム27表面の電位を検知するよう構成されている。
従って、クリーニングブラシ51により帯電前の感光体ドラム27表面の電位を確実に検知することができる。
【0092】
さらに、クリーニングブラシ51は、感光体ドラム27の表面電位を検知するため、およびの感光体ドラム27表面をクリーニングするために使用されている。
従って、各機能を有する部品をそれぞれ配置する場合と比較して、部品の数を減らすことができる。
【0093】
また、放電ワイヤ29b、およびグリッド電極29aには、未帯電領域における感光体ドラム27の表面の電位よりも高電位になるような電圧が印加され、このプリンタ1は、現像剤として正帯電性のトナーを使用して画像を形成するよう構成されている。そして、電荷量補正部90は、クリーニングブラシ51に供給される電流に応じて、未帯電領域における感光体ドラム27の表面の電位よりも高電位になるような電圧を印加し、クリーニングブラシ51により感光体ドラム27表面に付着した紙粉を除去するよう構成されている。
【0094】
従って、クリーニングブラシ51により感光体ドラム27表面に付着した紙粉を良好に除去することができる。
また、感光体ドラム27の周回速度は、帯電領域通過後の感光体ドラム27表面の電位が、帯電領域通過前の電位とグリッド電極29aの電位との間の中間電位に達するような一定速度に設定されている。
【0095】
従って、高速で感光体ドラム27を回転させても、帯電後の感光体ドラム27表面の電位を一定にすることができる。
また、抵抗器95a〜95eは、グリッド電極29aの電位と予め定められた基準電位との電位差を表すグリッド電圧を分圧するよう構成されており、特に、抵抗器95aおよび96bの分圧点からクリーニングブラシ51に電流を供給することにより、グリッド電極29aの電位を変動させるよう構成されている。
【0096】
従って、クリーニングブラシ51に供給する電流が変動すると、自然にグリッド電極29aの電位が変動するよう構成することができ、電流を監視する装置等が不用となるので、プリンタ1を簡単な構成にすることができる。
【0097】
なお、本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
例えば、本実施形態では、感光体ドラム27とは非接触にて感光体ドラム27の表面を帯電させるスコロトロン型帯電器29を採用したが、感光体ドラム27の表面に接触して感光体ドラム27の表面の帯電させるよう構成してもよい。この場合には、ローラやブラシ等を感光体表面に接触させて感光体ドラム27を帯電させればよい。
【0098】
また、本実施形態においては、複数の抵抗器95a、95bに流れる電流が変化すれば、自然にグリッド電極29aの電位が変化するよう構成したが、特にこのように構成する必要はなく、例えば、帯電前の感光体ドラム27の表面電位をセンサにより検知し、この検知結果に基づいて、制御装置70がグリッド電極29aの電位を変化させるように構成してもよい。この場合には、制御装置70は、例えば、センサによる検知結果に基づいて、抵抗器95cや95d等の抵抗値を変化させる構成が考えられる。
【0099】
さらに、本実施形態においては、クリーニングブラシ51を感光体表面に接触させて、感光体ドラム27の表面電位を検知するよう構成したが、ブラシに限らず、ローラやブレード等であってもよい。また、非接触型のセンサにより感光体表面の電位を検知してもよい。
【0100】
また、複数の抵抗器95a〜95eの接続方法は、図4に記載のような接続方法に限られるものではなく、例えば、図6に示すようにしてもよい。
即ち、図6に示すように、抵抗器95f〜抵抗器95hを直列に接続し、抵抗器95f側の端子をグリッド電極29aに接続し、抵抗器95h側の端子を接地させる。この状態で、抵抗器95fと抵抗器95gとの接続点からクリーニングブラシ51へ流される電流を取り出し、抵抗器95gと抵抗器95hとの接続点から制御装置に帰還する電流を取り出すよう構成する。
【0101】
このようにしても、同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】レーザプリンタを示す概略断面図である。
【図2】レーザプリンタを構成するスキャナユニットの一部を示す模式図である。
【図3】プリンタに内蔵された各部の電気的な結合関係を示すブロック図である。
【図4】電荷量補正部およびその周辺に位置する各部を模式的に示す説明図である。
【図5】感光体ドラムの表面電位と、スコロトロン型帯電器による帯電時間との関係を示すグラフである。
【図6】抵抗器の接続方法の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0103】
1…プリンタ、5…画像形成部、16…スキャナユニット、17…プロセスユニット、18…定着ユニット、26…ドラムカートリッジ、27…感光体ドラム、28…現像カートリッジ、29…スコロトロン型帯電器、29a…グリッド電極、29b…放電ワイヤ、30…転写ローラ、31…現像ローラ、34…トナーボックス、51…クリーニングブラシ、70…制御装置、78…モータ駆動部、79…画像形成制御部、81…信号入力部、90…電荷量補正部、91…PWM信号平滑回路、92…トランスドライブ回路、93…昇圧・整流回路、94…定電圧回路、95a〜95e…抵抗器、96…ダイオード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段とを備え、
前記帯電手段により帯電された感光体に静電潜像を形成し、前記感光体に形成された静電潜像を現像剤により現像し、前記現像剤により現像された可視像を被記録媒体に転写する画像形成装置であって、
前記帯電手段により帯電される前の感光体表面の電位に基づいて、前記帯電手段が前記感光体の表面を帯電させるときの電荷量を補正する電荷量補正手段
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記感光体の表面は、所定の周長を有する無端構造であると共に、画像形成時に周方向に回転駆動される構成であって、
前記帯電手段は、前記回転駆動される感光体表面が前記帯電手段により帯電可能な帯電領域を通過するときに前記感光体表面を帯電させ、
前記電荷量補正手段は、前記帯電領域近傍であって前記感光体の回転方向上流側に位置する未帯電領域の電位に基づいて、前記帯電手段が前記感光体の表面を帯電させるときの電荷量を補正すること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記帯電手段は、
前記帯電領域において前記感光体表面との間で放電を行ない前記感光体の表面を帯電させるための放電電極と、
前記感光体表面と前記放電電極との間に配置され、両者間に流れる電流を制御するためのグリッド電極と、を備え、
前記電荷量補正手段は、前記未帯電領域における感光体表面の電位を検知し、その検知結果に応じて、前記グリッド電極の電位を変動させること
を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記帯電手段は、前記電荷量補正手段により検知される感光体表面の電位に応じて、前記グリッド電極の電位が所定の値になるように制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電荷量補正手段は、前記未帯電領域において感光体表面に接触するよう配置された表面接触手段を備え、前記表面接触手段を使用して前記感光体表面の電位を検知することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記電荷量補正手段は、前記グリッド電極を流れる電流の一部を前記表面接触手段側に分流し、前記表面接触手段側に分流させた電流量に応じて前記感光体表面の電位を検知することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記表面接触手段は、前記感光体表面をクリーニングするためのクリーニング手段であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記被記録媒体は紙からなり、
前記現像剤は正帯電性のトナーからなり、
前記帯電手段は、前記放電電極、および前記グリッド電極に、前記未帯電領域における感光体の表面の電位よりも高電位になるような電圧を印加し、
前記電荷量補正手段は、前記クリーニング手段に、前記未帯電領域における感光体の表面の電位よりも高電位になるような電圧を印加し、前記クリーニング手段により前記感光体表面に付着した紙粉を除去すること
を特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記電荷量補正手段は、前記グリッド電極の電位と予め定められた基準電位との電位差を表すグリッド電圧を分圧する分圧手段を備え、前記分圧手段の分圧点から前記表面接触手段に電流を供給することにより、前記グリッド電極の電位を変動させることを特徴とする請求項3〜請求項8の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記分圧手段は、複数の抵抗からなることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記感光体の周回速度は、前記帯電領域通過後の感光体表面の電位が、前記帯電領域通過前の電位と前記グリッド電極の電位との間の中間電位に達するような一定速度に設定されていることを特徴とする請求項3〜請求項10の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−3815(P2006−3815A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182681(P2004−182681)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】