説明

画像形成装置

【課題】 記録媒体が中間転写ベルトに吸着することに起因する搬送不良を防止する。
【解決手段】 接地されていない導電性部材301と、導電性部材301に離間して設けられ、接地されている除電部材303を有し、導電性部材301と除電部材303は保持部材305に保持されている。導電性部材301と除電部材303とは、導電性部材301に帯電した電荷が除電部材303に放電出来る位置で保持部材305上に保持させ、導電性部材301を中間転写ベルト125と転写ローラ135が接する2次転写領域からの記録媒体排出部に近接させて配置する。2次転写領域から排出された記録媒体Pに帯電した電荷と逆極性の鏡像電荷を導電性部材301に発生させ、記録媒体Pを導電性部材301方向に吸着させることにより、記録媒体Pの剥離不良を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に係り、特にトナー像が転写される記録媒体を良好に剥離させることができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
中間転写ベルトを備えた画像形成装置では、中間転写ベルト上のトナー像を転写ローラによって記録媒体に2次転写する。ここで中間転写ベルトと転写ローラが接する2次転写領域を記録媒体が抜け出した後、記録媒体に帯電した電荷と中間転写ベルト上に帯電した電荷が逆極性である場合、クーロン力により、記録媒体は中間転写ベルトに吸着してしまい剥離不良を起こす。
【0003】
従来、2次転写領域の記録媒体排出側に、先端部分が2次転写領域側へと傾斜された導電性部材を配置し、2次転写領域から排出された記録媒体が保持している電荷と逆極性の鏡像電荷を導電性部材に発生させ、この鏡像電荷により記録媒体を導電性部材が配置されている方向に吸着し、記録媒体が中間転写ベルトに吸着することを防止するものがあった。(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−39639(請求項3、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、2次転写ローラに帯電した電荷が導電性部材に放電するのを防ぐために、絶縁部材を2次転写ローラと導電性部材の間に設けていた。記録媒体を誘導させる導電性部材は2次転写領域に近い位置に配置するのがよいが、絶縁性部材を導電性部材と2次転写領域との間に設けなければならないため、絶縁性部材が配置された分距離が離れてしまうという問題がある。
【0005】
また、絶縁部材を設けることにより、絶縁部材に帯電した電荷が記録媒体上に転写されたトナー像に作用し、画像不良を起こすおそれがある。更に、導電性部材を保持している剥離プレートの構造上、記録媒体に鏡像力を与える導電性部材が記録媒体に面する箇所が小さくなり、記録媒体を誘導するのに十分な鏡像力を得られない。
【0006】
本発明は上記課題を解決するために成されたもので、記録媒体がトナー像形成媒体に吸着することに起因する剥離不良の防止を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による画像形成装置は、トナー像が形成されるトナー像形成媒体と、前記トナー像形成媒体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記トナー像形成媒体と前記転写装置による転写領域からの記録媒体排出部に近接させて配置された接地されていない導電性部材と、前記導電性部材に帯電した電荷を放電するように前記導電性部材と離間して設けられ、且つ接地されている除電部材と、を有することを特徴としている。
【0008】
また、本発明による画像形成装置は、トナー像が形成されるトナー像形成媒体と、前記トナー像形成媒体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記転写装置にバイアス電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段に接続され、前記トナー像形成媒体と前記転写装置との転写領域からの記録媒体排出部に近接させて配置され、前記転写装置と同電位になるように前記転写装置に電気的に接続された導電性部材と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録媒体がトナー像形成媒体に吸着することに起因する剥離不良を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
図1に本発明の実施の形態に係る画像形成装置として、中間転写方式を用いたカラー画像形成装置の概略断面図を示す。
【0012】
カラー画像形成装置101は、筐体109内にスキャナユニット103、プロセスユニット105、及び給紙ユニット107を収容している。スキャナユニット103は、原稿台にセットした図示しない原稿に光を照射し、原稿からの反射光を複数の光学部材を介して受光素子へ導き、光電変換して画像データを出力するものである。また、プロセスユニット105は、スキャナユニット103にて原稿から読み取った画像データ、もしくは図示しない外部装置から入力される画像データに基づく画像を記録媒体P上に出力するものである。更に、給紙ユニット107は、プロセスユニット105に記録媒体Pを供給する。
【0013】
筐体109には、両面ユニット111と、手差しユニット113が着脱自在に取り付けられている。両面ユニット111は、プロセスユニット105で片面に画像形成された記録媒体Pを反転させて、再びプロセスユニット105へ供給することにより残りの片面にも画像形成を行うものである。手差しユニット113は、手差しにより記録媒体Pをプロセスユニット105へ供給する。
【0014】
次にプロセスユニット105の詳細について説明する。プロセスユニット105は、カラー画像形成装置101の前後方向(図面の奥行方向)に延びた管軸を有する感光体ドラム115を有する。この感光体ドラム115の周囲には、帯電装置117、露光装置119、ブラック現像器121、カラー現像器であるリボルバー123、トナー像形成媒体である中間転写ベルト125、及びドラムクリーナー127が、感光体ドラム115の回転方向(図中矢印方向)に沿って設けられている。
【0015】
帯電装置117は、感光体ドラム115の外周面を所定の電位に帯電させるものである。露光装置119は、プロセスユニット105の下端近くに配設され、所定の電位に帯電された感光体ドラム115の表面を露光して画像データに基づく静電潜像を形成する。カラー画像を形成する場合、露光装置119は、色分解した画像データに基づいて感光体ドラム115の表面を露光し、感光体ドラム115表面に各色の静電潜像を形成する。
【0016】
ブラック現像器121は、感光体ドラム115と露光装置119との間、すなわち感光体ドラム115に対して下方から対向配置されている。ブラック現像器121は、露光装置119によって感光体ドラム115表面に形成されたブラック用の静電潜像にブラックトナーを付着させて現像し、感光体ドラム115表面にブラックトナー像を形成する。ブラック現像器121は、トナーを攪拌して供給するミキサー、及び感光体ドラム115表面に所定の現像ギャップを介して対向配置された現像ローラを有する。ブラック現像器121は、現像ローラを感光体ドラム115表面に対して離接させるように移動可能に設けられている。また、ブラック現像器121は、トナーカートリッジ121aから図示しない供給路を介してトナーが供給される。
【0017】
リボルバー123は、感光体ドラム115に隣接して時計回りに回転可能に設けられている。リボルバー123は、ブラック現像器121と同じ構造のイエロー現像器123Y、マゼンタ現像器123M、シアン現像器123Cを有する。各現像器は、リボルバー123の回転方向に並んで、リボルバー123内に着脱自在に収容されている。そして、各色の現像器123Y、123M、123Cは、リボルバー123を時計回り方向に回転させることにより、選択的に感光体ドラム115の側方から感光体ドラム115表面に対向配置される。
【0018】
ブラック現像器121は、使用頻度が他の色の現像器より高いため、他の色の現像器を収容したリボルバー123とは別体に設けられている。これにより、現像器及びトナーカートリッジのトナー収容量を他の色の現像器と異ならせることができ、トナー補給等のメンテナンス回数を減らすことが出来る。
【0019】
中間転写ベルト125は、感光体ドラム115に対して上方に配置されている。中間転写ベルト125は、カラー画像形成装置101の前後方向(図面の奥行方向)に延びた回転軸を有する駆動ローラ125a、転写前ローラ125b、転写対向ローラ125c、及びテンションローラ125dに巻回されて張設されている。駆動ローラ125aは、リボルバー123の上方で筐体109に対して固定的に設けられている。テンションローラ125dは、中間転写ベルト125に所定の張力を与えるように中間転写ベルト125内側から外側に向けて付勢されている。
【0020】
中間転写ベルト125の内側には、中間転写ベルト125を感光体ドラム115表面に当接させるとともに、感光体ドラム115表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト125に転写させるために1次転写ローラ131が設けられている。1次転写ローラ131は、中間転写ベルト125を所定圧力で感光体ドラム115表面に押圧するように、感光体ドラム115方向に付勢されている。
【0021】
中間転写ベルト125の周囲には、ベルトクリーナー133、及び2次転写ローラ135がそれぞれベルト表面に対して離接可能に設けられている。ベルトクリーナー133は、リボルバー123の上方で、中間転写ベルト125を介して駆動ローラ125aの外周上に設けられている。本実施例の2次転写ローラ135は、外径28mmφで、エピクロゴム製のスポンジの表面にエピクロゴムチューブを被膜した構成で、ゴム硬度25〜30度、体積抵抗10Ωのものを用いた。また、2次転写ローラ135は、中間転写ベルト125を介して、転写対向ローラ125cとの間で後述する縦搬送路137を挟む位置に設けられており、この部分で2次転写領域を形成している。また、2次転写ローラ135上方には、後述する記録媒体剥離装置139が配置されている。ドラムクリーナー127は、感光体ドラム115に対して接触配置されている。
【0022】
給紙ユニット107は2つの給紙カセット107a、107bを有する。各給紙カセット107a、107bの図中右上端には、カセット内に収容された最上端の記録媒体Pを取り出すピックアップローラ141(141a、141b)がそれぞれ設けられている。ピックアップローラ141による記録媒体取り出し方向下流側に隣接した位置には、それぞれ送りローラ143、分離ローラ145が対向して配置されている。また、各給紙カセット107a、107bの図中右側に隣接した位置には、上述した中間転写ベルト125と2次転写ローラ135とが当接した2次転写領域を通って略鉛直上方に延びた縦搬送路137が設けられている。縦搬送路137上には、記録媒体Pを挟持して回転する複数の搬送ローラ対149が設けられている。
【0023】
2次転写領域の記録媒体Pの排出部上方には縦搬送路137に沿って記録媒体剥離装置139が設けられている。この記録媒体剥離装置139を通ってさらに上方に延びた縦搬送路137上には、記録媒体P上に転写されたトナー像を加熱及び加圧して定着させる定着装置151が設けられている。
【0024】
また、画像形成された記録媒体Pを排紙トレイ151に排出する排紙ローラ153が設けられている。
【0025】
次に上記カラー画像形成装置によるカラー画像の形成動作について説明する。
初期動作として、ブラック現像器121が下方に移動して感光体ドラム115表面から離間し、リボルバー123が時計回り方向に回転してイエロー現像器123Yが感光体ドラム115表面に対向する。また、ベルトクリーナー133がその支持軸を中心に反時計回り方向に回動し中間転写ベルト125から離間し、2次転写ローラ135が縦搬送路137から離間する方向(図中右方向)に移動して中間転写ベルト125から離間する。
【0026】
そしてスキャナユニット103によって図示しない原稿から画像データを読み取られ、或いは図示しない外部装置から画像データが入力される。さらに、感光体ドラム115が時計回り方向に回転し感光体ドラム115表面が帯電装置117によって所定の電位に一様に帯電される。このとき、中間転写ベルト125も、感光体ドラム115の周速と同速で反時計回り方向に回転する。
【0027】
まず、色分解したイエロー用画像データに基づいて、露光装置119が動作し、感光体ドラム115表面上にイエロー用の静電潜像を形成する。このとき、露光タイミングは、中間転写ベルト125の内側に張り付けられた図示しない検出マークを図示しない検出器で検出することにより同期が取られる。
【0028】
イエロー現像器123Yによって感光体ドラム115表面上に形成されたイエロー用の静電潜像はイエロートナーが付着され、現像されて感光体ドラム115表面上にイエロートナー像が形成される。このようにして感光体ドラム115表面上に形成されたイエロートナー像は、感光体ドラム115の回転によって移動され、中間転写ベルト129に当接した1次転写領域を通過する。
【0029】
このとき、1次転写ローラ131にトナーの帯電電位と逆極性のバイアスが与えられ、感光体ドラム115表面上のイエロートナー像が中間転写ベルト125上に転写される。
【0030】
イエロートナー像が中間転写ベルト125上に転写された後、転写されずに感光体ドラム115表面に残留したイエロートナーがドラムクリーナー127によって除去される。このとき、同時に感光体ドラム115表面上の残留電荷も除電される。
【0031】
そして、感光体ドラム115上に次のマゼンタ用の静電潜像を形成する準備のため、感光体ドラム115表面が帯電装置117によって一様に帯電され、リボルバー123が回転してマゼンタ現像器123Mが感光体ドラム115表面に対向する。
【0032】
この状態で上述した一連のプロセス、すなわち露光、現像、中間転写ベルト125への1次転写がなされ、マゼンタトナー像が中間転写ベルト125上でイエロートナー像に重ねて転写される。
【0033】
同様にシアントナー像が転写された後、現像器123Y、123M、123Cは感光体ドラム115表面に対向しない位置にリボルバー123が回転し、代わりにブラック現像器121が上昇し、感光体ドラム115表面に対向する。この状態で、上述したプロセスと同様のプロセスが実行され、ブラックトナー像がイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像に重ねて中間転写ベルト125上に転写される。
【0034】
このようにして、全ての色のトナー像が中間転写ベルト125上で重ねられると、2次転写ローラ135が転写対向ローラ125c方向に移動し、中間転写ベルト125に当接する。また、ベルトクリーナー133も中間転写ベルト125に接触する。この状態で、中間転写ベルト125上で重合された全ての色のトナー像は、中間転写ベルト125の回転によって移動し、中間転写ベルト125と2次転写ローラ135とが接する2次転写領域を通過する。
【0035】
このとき、ピックアップローラ141a、141bによって給紙カセット107a、107bから取り出された記録媒体Pが、搬送ローラ149によって縦搬送路137を上方に搬送され、所定のタイミングで2次転写領域へ送り込まれる。
【0036】
そして、後述する電源により各色のトナー像の電位と逆極性のバイアス電圧が印加された2次転写ローラ135を介して、中間転写ベルト125上の各色のトナー像が、記録媒体P上に転写される。トナー像を記録媒体Pに転写した後、ベルトクリーナー133によって、中間転写ベルト125上に残留したトナーが除去される。各色のトナー像がまとめて転写された記録媒体Pは、この後記録媒体剥離装置139部分を通過し、定着装置151によって加熱、及び加圧され、各色のトナー像が記録媒体P上に定着され、カラー画像が形成される。カラー画像が形成された記録媒体Pは、定着装置151の下流側に設けられた排紙ローラ153を介して排紙トレイ155上に排出される。
【0037】
次に2次転写領域と、記録媒体剥離装置139について詳細に説明する。2次転写ローラ135により記録媒体Pに画像が転写され、2次転写領域を通過した記録媒体Pの先端は、中間転写ベルト125、2次転写ローラ135から剥離する。図2に示すように例えば記録媒体Pが−に帯電し、中間転写ベルト125が+に帯電する。記録媒体Pに帯電している電荷と、中間転写ベルト125の電荷が逆極性であると、クーロン力により記録媒体Pは中間転写ベルト125に引きつけられる。
【0038】
ここで記録媒体Pの腰とクーロン力とのバランスで、記録媒体Pの腰の方がクーロン力より強ければ、記録媒体Pは中間転写ベルト125に吸着されず縦搬送路137を通り定着装置151に搬送され、搬送不良を起こさないが、記録媒体Pの腰がクーロン力より弱い場合、記録媒体Pは中間転写ベルト125に吸着されて剥離できず、定着装置151に搬送されないという剥離不良を起こす。
【0039】
そこで本実施例のカラー画像形成装置では図3に示すように、記録媒体剥離装置139を記録媒体搬送路に沿って2次転写領域よりも記録媒体Pの排出部側に配置する。記録媒体剥離装置139は、導電性部材301と、除電部材303と、導電性部材301と除電部材303を保持する保持部材305から構成されている。また、導電性部材301の形状は記録媒体Pの搬送方向に伸びた面状となっている。
【0040】
2次転写領域を通過することで帯電した記録媒体Pの先端が導電性部材301の配置されている部分を通ると、導電性部材301には記録媒体Pに帯電している電荷と逆極性の電荷の鏡像電荷が発生する。このことにより、記録媒体Pはクーロン力により導電性部材301側へ引きつけられ、導電性部材301に接触しながら記録媒体Pは定着装置151に向かって搬送される。このことにより中間転写ベルト125に再吸着することを防止し、剥離不良を防ぐ。
【0041】
ここで、本実施例の記録媒体剥離装置139を更に詳細に説明をする。前述のように2次転写ローラ135は転写時に電源201によりトナーの帯電極性と逆極性のバイアス電圧が印加される。仮に接地した導電性部材301を2次転写ローラ135に近接させて設置すると、2次転写ローラ135に帯電した電荷が導電性部材301に放電してしまう。
【0042】
このことにより、十分な転写ができなくなり、画像不良の原因となる。このため、本実施例では導電性部材301を非接地としている。しかし、導電性部材301を非接地状態で使用し続けると問題が生じる。例えば、カラー画像形成装置が連続印刷をしていると、導電性部材301に帯電した電荷が溜まり過ぎ、記録媒体Pや2次転写ローラ135に放電してしまい画像形成が良好に行われない。
【0043】
そこで本実施例では導電性部材301に対し、接地された除電部材303を導電性部材301と所定の距離離間して設置する。例えば除電部材303は図4(a)のような鋸歯状のものとする。図4(a)の除電部材303は例えば歯のピッチを5mm、歯の長さを5mmとした鋸歯状のものを用いる。
【0044】
ここで図4(b)に示すように導電性部材301と除電部材303はその両方を保持する保持部材305により位置決めされている。除電部材303は、記録媒体Pの搬送方向と直交する方向に鋸歯状の部分が対向するように、保持板305に配置される。また、除電部材303の鋸歯部分が導電性部材301と等間隔になるように配置される。ここで導電性部材301は保持部材305の下方に突き出した状態で保持させる。このことにより導電性部材301を2次転写領域付近にまで延ばして配置することが出来る。
【0045】
除電部材303は導電性部材301との間に1〜2mm離間した位置で保持部材305に固定されている。
【0046】
図4(b)のように構成された記録媒体剥離装置139が2次転写ローラ135と中間転写ベルト125との2次転写領域の記録媒体Pの排出部に近接して配置される。ここで記録媒体剥離装置139の導電性部材301は2次転写領域からの距離が2mm乃至8mm程度離れた位置に配置するのが好ましい。導電性部材301を2次転写領域との距離が2mmより近い位置に配置すると、導電性部材301が2次転写ローラ135に接触してしまう可能性があり、導電性部材301が2次転写ローラ135に接触することにより、2次転写ローラ135を破損させてしまう。また、導電性部材301が2次転写領域より8mm以上離れた位置に配置すると、記録媒体Pが導電性部材301に接触する前に中間転写ベルト125側に再付着してしまう。
【0047】
次に、各装置の作用を図5を用いて詳細に説明すると、中間転写ベルト125上に形成されたトナー像は中間転写ベルト125と2次転写ローラ135の2次転写領域にて記録媒体Pに転写される。このとき、記録媒体Pが2次転写領域に入ると2次転写ローラ135に対して電源201からバイアス電圧が印加されることにより中間転写ベルト125から、記録媒体Pにトナーが吸着される。
【0048】
記録媒体Pは2次転写領域通過後、図5に示すように導電性部材301に発生した鏡像電荷に引きつけられ、導電性部材301に接触しながら定着装置151に向かって搬送される。記録媒体Pが導電性部材301と接触することにより、導電性部材301に電荷が移動する。移動した電荷は導電性部材301に溜まっていき、電荷が溜まった状態の導電性部材301に記録媒体Pが接触すると、記録媒体P上に形成されたトナー像に悪影響を与えるが、このような作用を与える前に導電性部材301に帯電した電荷は除電部材303に放電することにより除電される。除電部材303は接地されているので、除電部材303に放電された電荷は大地に逃がされる。
【0049】
以上のような記録媒体剥離装置139を用いることにより、記録媒体Pの剥離不良を防止することが出来る。
【実施例2】
【0050】
第2の実施例として、図6に示すように導電性部材301が2次転写ローラ135と同電位となるように、導電性部材301を2次転写ローラ135と電気的に接続する。実施例1では導電性部材301と2次転写ローラ135との距離を2〜8mm程度としたが、導電性部材301は2次転写領域に近い方が好ましい。
【0051】
しかし、実施例1では導電性部材301を2次転写領域からの距離を2mmより近くに配置すると、2次転写ローラ135からの放電が起こる問題があったが、本実施例では、導電性部材301と2次転写ローラ135が同電位になっているので両者での放電の心配はない。よって導電性部材301と2次転写ローラ135との距離を2mmより近接して配置することができ、導電性部材301が2次転写ローラ135に接触しない程度の距離まで近づけて配置できる。
【0052】
本実施例のように導電性部材301を2次転写ローラ135と同電位にした場合でも、2次転写領域を通過した記録媒体Pは、導電性部材301に発生する鏡像電荷に引きつけられることにより、導電性部材と接触しながら定着装置151に搬送される。このことにより、記録媒体Pの剥離不良を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施例の中間転写方式のカラー画像形成装置の概略図
【図2】記録媒体が中間転写ベルトに吸着する原理を説明する図
【図3】縦搬送路に沿って記録媒体剥離装置を配置した図
【図4】記録媒体剥離装置の構成を表す図
【図5】記録媒体剥離装置の作用を説明する図
【図6】第2の実施例の記録媒体剥離装置を説明する図
【符号の説明】
【0054】
101 カラー画像形成装置
103 スキャナユニット
105 プロセスユニット
107 給紙ユニット
107a 給紙カセット
107b 給紙カセット
109 筐体
111 両面ユニット
113 手差しユニット
115 感光体ドラム
117 帯電装置
119 露光装置
121 ブラック現像器
121a トナーカートリッジ
123 リボルバー
123Y イエロー現像器
123M マゼンタ現像器
123C シアン現像器
125 中間転写ベルト
125a 駆動ローラ
125b 転写前ローラ
125c 転写対向ローラ
125d テンションローラ
127 ドラムクリーナー
131 1次転写ローラ
133 ベルトクリーナー
135 2次転写ローラ
137 縦搬送路
139 記録媒体剥離装置
141 ピックアップローラ
143 送りローラ
145 分離ローラ
149 搬送ローラ
151 定着装置
153 排紙ローラ
155 排紙トレイ
201 電源
301 導電性部材
303 除電部材
305 保持部材
P 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成されるトナー像形成媒体と、
前記トナー像形成媒体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
前記トナー像形成媒体と前記転写装置による転写領域からの記録媒体排出部に近接させて配置された接地されていない導電性部材と、
前記導電性部材に帯電した電荷を放電するように前記導電性部材と離間して設けられ、且つ接地されている除電部材と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記導電性部材と前記除電部材は共通の保持部材に位置決めされることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記導電性部材の形状は記録媒体の搬送路方向に伸びた面状になっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記除電部材は記録媒体の搬送方向と直交する方向に連続した突出部を有し、それらの突出部が導電性部材と等間隔となるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
トナー像が形成されるトナー像形成媒体と、
前記トナー像形成媒体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
前記転写装置にバイアス電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段に接続され、前記トナー像形成媒体と前記転写装置との転写領域からの記録媒体排出部に近接させて配置され、前記転写装置と同電位になるように前記転写装置に電気的に接続された導電性部材と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記導電性部材の形状は記録媒体の搬送路方向に伸びた面状になっていることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−240548(P2007−240548A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58545(P2006−58545)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】