説明

画像形成装置

【課題】画像形成処理のための設定を効率良く記憶すると共に煩雑な設定記憶を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿画像に対する印刷処理画像の出力状態を変えるための設定変更を操作パネル部11の操作によって可能とすると共に、操作パネル部11の操作による設定変更後に印刷処理が実行された場合にその設定条件がRAM26に一時的に記憶され、RAM26に一時的に記憶された設定条件に対して印刷部数のみが変更されたうえで印刷処理が実行されたか否かが制御部24に判断され、RAM26に一時的に記憶された設定条件に対して印刷部数のみが変更されたうえで印刷処理が実行されたと制御部24が判断した場合に、HDD27に一時的に記憶された設定条件に対して印刷部数のみが変更されたうえで印刷処理が実行された時若しくは印刷部数のみが変更される前の設定条件が有効な設定として格納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、画像形成データに対する種々の設定を行ったうえで画像形成を行うことができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機・プリンタ・スキャナー・ファクシミリ或いはこれらの機能を組み合わせた複合機といった画像形成装置では、例えば、複写機や複写機能を具備した複合機に代表されるように、用紙サイズ設定・拡大/縮小率設定・濃度設定・複写枚数設定といった種々の設定を行うことができる。
【0003】
また、このような各種設定を行うには、画像形成装置に設置の操作パネルを操作して予め各種設定を行ったうえで画像形成処理を行うが、例えば、拡大/縮小率設定や濃度設定に関しては、画像形成処理後の印刷シートをユーザーが確認し、所望の結果を得られるまで微調整の設定変更を行うような利用もある。
【0004】
一方、従来の複写機能にあっては、再起動、他の原稿に対する新たな設定、設定解除操作等が行なわれると、直前の画像形成処理に対する設定は解除される。また、同様に、所定時間経過しても複写機能が行なわれない場合に起動する省電モードやクリアモードが実行された場合にも、直前の画像形成処理に対する設定は自動的に解除される。
【0005】
このため、一度設定をして複写機能を利用したユーザーが、再び同じ設定若しくは同じ設定を利用した微調整の設定変更に基づいて複写機能を実行しようとした場合、既に前回の設定は解除されてしまっているため、設定を最初からやり直さなければならないといった問題が生じていた。
【0006】
そこで、このような不具合を解消するため、周知の割込モードを利用した直前設定の記憶の他、設定変更に伴う画像形成処理の実行毎の設定の記憶を可能としたものが知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【特許文献1】特開2005−033380号公報
【特許文献2】特開2004−206179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記の如く構成された画像形成装置にあっては、例えば、割込モードでは、直前の設定しか記憶されないため、複数種類の原稿や複数ユーザーが間に入った際に割込モードが人為的に解除されて設定記憶が消去されてしまう虞がある他、省電モードやクリアモードの起動で設定が自動的に消去されてしまうという問題は依然として残っていた。
【0008】
また、設定変更に伴う画像形成処理の実行毎の設定の記憶を可能としたものにあっては、上述した微調整の設定変更に対してもその都度設定記憶がなされるため、煩雑な設定記憶となってどの設定を利用すればよいのか等がわかり難いという問題が生じていた。
【0009】
さらに、設定変更に伴う画像形成処理の実行毎の設定の記憶数に上限を設けている場合、微調整の度に設定変更を記憶したのでは、前回ユーザー等による設定が短期間で消去されてしまうという問題が生じていた。
【0010】
しかも、設定変更後に画像形成処理が実行された時にその設定も記憶されるため、設定途中でメイン電源がOFFされたり停電が発生した時には、所望の設定完了に至る前に設定が消去されてしまうという問題が生じていた。
【0011】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、画像形成処理のための設定を効率良く記憶すると共に煩雑な設定記憶を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像形成装置は、原稿画像に対する印刷処理画像の出力状態を変えるための設定変更を操作パネル部の操作によって可能とした画像形成装置において、前記操作パネル部の操作による設定変更後に印刷処理が実行された場合にその設定条件を一時的に記憶する記憶手段と、該記憶手段に一時的に記憶された設定条件に対して印刷部数のみが変更されたうえで印刷処理が実行されたか否かを判断する判断手段と、を備え、前記記憶手段に一時的に記憶された設定条件に対して印刷部数のみが変更されたうえで印刷処理が実行されたと前記判断手段が判断した場合に、前記記憶手段は一時的に記憶された設定条件に対して印刷部数のみが変更されたうえで印刷処理が実行された時の設定条件若しくは印刷部数のみが変更される前の設定条件を有効な設定として記憶することを特徴とする。
【0013】
本発明の画像形成装置は、原稿画像に対する印刷処理画像の出力状態を変えるための設定変更を操作パネル部の操作によって可能とした画像形成装置において、前記操作パネル部の操作による設定変更後に印刷処理が実行された場合にその設定条件を一時的に記憶する記憶手段と、該記憶手段に一時的に記憶された設定条件と同一である設定条件下における印刷部数の累計値を記憶するカウント手段と、該カウント手段に記憶された印刷部数の累計値が所定部数以上か否かを判断する判断手段と、を備え、前記印刷部数の累計値が所定部数以上であると前記判断手段が判断した場合に、前記記憶手段は前記所定部数以上印刷した時の設定条件を有効な設定として記憶する。
【0014】
本発明の画像形成装置によれば、一時的に記憶された設定のうち、有効と判断したもののみを記憶することができ、煩雑な設定の記憶を防止することができる。
【0015】
本発明の画像形成装置は、前記所定部数は複数枚以上の印刷部数であることを特徴とする。
【0016】
本発明の画像形成装置は、前記記憶手段は、前記操作パネル部の操作による設定変更毎にその設定条件を一時的に記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像形成装置は、画像形成処理のための設定を効率良く記憶すると共に煩雑な設定記憶を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0019】
(画像形成装置の全体構成)
図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の斜視図、図2は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の説明図、図3は本発明の一実施形態に係る画像形成装置のブロック説明図、図4は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の制御例1のブロック説明図、図5は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の制御例2のブロック説明図、図6は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の制御例3のブロック説明図、図7は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の制御例のフロー図である。
【0020】
図1及び図2において、1は複写機・プリンタ・スキャナー・ファクシミリ等の各機能を具備した画像形成装置である。画像形成装置1は、装置本体2の側面上方寄りに設けられたメイン電源3と、装置本体2の前面から引き出し可能な複数段の用紙トレイユニット4,5,6と、装置本体2の側面に設けられた手差し用紙トレイ7と、複写機・ファクシミリ・スキャナーとして原稿を読み取る際の自動原稿送り装置(以下、「ADF」と称する。)8と、表示画面9及び操作キー10を備えた操作パネル部11と、ユーザーを特定するためのIDカードを挿入するIDカード読取装置12とを備えている。
【0021】
また、画像形成装置1は、手作業にて原稿をセットする場合のガラス板等の原稿載置読取部13と、ADF8を利用して原稿を読み取る場合の原稿通過読取部14と、常時は原稿通過読取部14の下方に位置し且つ原稿載置読取部13に載置された原稿を読み取る場合には図示を略する駆動装置を介して図2の右側へと平行移動する斜設駆動ミラー15と、斜設駆動ミラー15で反射された光束を反射する一対の固定斜設ミラー16,17と、これら各ミラー15,16,17で反射した光束に基づいて原稿画像を読み取るラインセンサー18と、このラインセンサー18から読み取りデータ等に基づいて画像データを生成する画像データ処理部19とを備えている。尚、固定斜設ミラー16,17は斜設駆動ミラー15と同期して平行移動しても良い。この際、固定斜設ミラー16,17の移動距離は、ラインセンサー18の配設位置を考慮して斜設駆動ミラー15の移動距離の1/2等と短くすることができる。
【0022】
さらに、画像形成装置1は、画像データ処理部19で生成した画像データに基づいて用紙トレイユニット4,5,6又は手差し用紙トレイ7から送られてきた搬送シート(図示せず)の表面に画像を形成する画像形成部20と、その画像を搬送シートの表面に定着する定着部21と、画像定着済みの印刷シートを排出トレイ22の上方に排出する排出部23とを備えている。
【0023】
尚、画像形成装置1の形状や構成・機能(複写機機能やファクシミリ機能等)は図示例のものに限定されるものではない。また、例えば、ソーター等のオプション機器等の設置を妨げるものではない。さらに、上述した各機器等の機能は周知の技術を採用しているが、操作パネル部11に関しては、複写機能等を利用する際に、用紙サイズ設定・拡大/縮小率設定・濃度設定・両面印刷・複写枚数設定・集約設定といった種々の設定を行うための機能も備えている。
【0024】
一方、これら各機器等の機能は、図3に示すように、判断手段としての制御部24によって制御されている。この制御部24は、後述する設定記憶処理のための判断部として機能すると共に、制御部24のプログラム等を記憶したROM25と、データ一時記憶用のRAM26とを備えている。また、制御部24には、画像データの一時記憶やこの画像データに設定されている出力形式等を記憶するハードディスク等の大容量記憶装置(以下、「HDD」と称する。)27との間でデータの入出力を行うことができるようになっている。
【0025】
(複写機能)
画像形成装置1は、ADF8に読み取り原稿をセットして、又はADF8を回動式に持ち上げて原稿載置読取部13上に原稿をセットして読み取った画像データに基づいて、予め操作パネル部11を用いて設定した設定情報に応じた印刷処理(画像形成処理)を行う。
【0026】
(プリンタ機能)
画像形成装置1は、図示を略するパーソナルコンピュータ等とケーブル接続(無線又は有線のネットワークLAN接続を含む)されており、そのパーソナルコンピュータ等から出力した画像データ(印刷指令データ)に基づいて所定の印刷処理(画像形成処理)を行う。この際、画像形成処理のための各種設定(例えば、拡大・縮小・集約等や印刷部数等)は、パーソナルコンピュータ(ネットワークサーバーを含む)等にインストールされた画像形成装置1用のプリンタドライバを利用して設定される。
【0027】
(スキャナー機能)
画像形成装置1は、図示を略するパーソナルコンピュータ等とケーブル接続(無線又は有線のネットワークLAN接続を含む)されており、ADF8に読み取り原稿をセットして、又はADF8を回動式に持ち上げて原稿載置読取部13上に読み取り原稿をセットして読み取った画像データをケーブル接続されたパーソナルコンピュータ等に出力する。この際、画像形成処理のための各種設定(例えば、解像度等)は、パーソナルコンピュータ(ネットワークサーバーを含む)等にインストールされた画像形成装置1用のスキャナドライバを利用して設定される。
【0028】
(ファクシミリ機能)
画像形成装置1は、ADF8に読み取り原稿をセットして、又はADF8を回動式に持ち上げて原稿載置読取部13上に読み取り原稿をセットして読み取った画像データを、操作パネル部11で操作・指定した相手先に電気通信回線を通じてファクシミリ送信する。また、電気通信回線を通じて受信した画像データに基づいて印刷処理(画像形成処理)を行う。この際、画像形成処理のための各種設定(例えば、送信先設定等)は、操作パネル部11での操作・指定の他、パーソナルコンピュータ(ネットワークサーバーを含む)等にインストールされた画像形成装置1用のファクシミリドライバ(又はプリンタドライバ)を利用して設定される。尚、パーソナルコンピュータ等によるファクシミリ機能を利用することも可能である。
【0029】
(各種設定処理)
一方、上述した各種設定のうち、例えば、複写機能のために操作パネル部11を操作して設定した場合、その設定情報はRAM26又はHDD27にテンポラリファイルとして一時的に記憶されると共に、HDD27に本履歴として格納される。
【0030】
尚、記憶手段としてのRAM26とHDD27とを併用しないで何れか一方のみを設定情報の記憶・格納用の記憶手段として用いることも可能であるが、RAM26にのみテンポラリファイルを格納し、HDD27にテンポラリファイルを格納しない場合には、HDD27に本履歴が格納される前に、例えば不測にも電源OFFされた場合にはRAM26内のテンポラリファイルは消去されてしまうため仮履歴は保存されない。また、HDD27にのみテンポラリファイルを格納し、RAM26にテンポラリファイルを格納しない場合には、仮履歴を参照する場合にHDD27から読み出す必要があるため時間がかかる。
【0031】
以下、制御部24の制御例を図4乃至図6のブロック説明図並びに図7のフロー図を参照しつつ説明する。
【0032】
尚、この画像形成装置1の利用形態の一例として、ここでは図4乃至図6に示すように、同一ユーザー(実際には同一原稿)に対して3回の微調整に伴うテストプリント(ジョブ1〜ジョブ3)を行った後に、実際に所望する画像を得る(ジョブ4)場合として説明する。
【0033】
(ステップS1)
ステップS1では、メイン電源3の電源が投入されている状態で、画像形成装置1の使用を許可しているユーザーであるか否かを識別するために、IDカード読取装置12にIDカードが挿入されているか否かと同時に挿入されたIDカードが正規のものであるか否かが判断される。挿入されたIDカードの識別コードと予めHDD27に格納された識別コードとが一致した場合にはステップS2へと移行し、IDカードが挿入されていない場合及び挿入されたIDカードの識別コードと予めHDD27に格納された識別コードとが一致しない場合には継続してこのステップS1を監視する。尚、挿入されたIDカードの識別コードと予めHDD27に格納された識別コードとが一致しない場合には表示画面9又はIDカード読取装置12に設けた表示画面(図示せず)にその旨のメッセージが表示される。
【0034】
尚、IDカードを使用許可識別用として利用しない場合にはステップS1,S2を省略することができる。また、IDカードを使用許可識別用としては使用せずにHDD27に格納された設定の呼出用としてのみ利用することもできる。さらに、IDカードに磁気やICチップ等の書き込み可能な記憶媒体が設けられている場合、RAM26及びHDD27に替えてこの記憶媒体を設定記憶用として利用することも可能である。
【0035】
(ステップS2)
ステップS2では、IDカード読取装置12にIDカードを挿入したユーザーに対してパスワードの入力を指示するメッセージ並びにパスワード入力用の数字やアルファベット等を表示画面9に表示すると共に、予めHDD27に格納されたパスワードと入力パスワードとを比較して適正であるか否かが判断される。パスワードが一致した場合にはステップS3へと移行し、パスワードが不一致の場合には再度の入力指令に関するメッセージ等を表示画面9に表示してパスワードが適正に入力されるのを待機する。
【0036】
尚、所定回数(例えば、3回)のパスワード入力が不適正の場合にはユーザーに使用許可を与えない旨等のメッセージを表示画面9に表示した後にルーチンを終了してステップS1へとループする。また、パスワードの入力は、操作キー10の一部を構成するテンキー等を利用しても良い。
【0037】
(ステップS3)
ステップS3では、既にHDD27に格納した過去の設定を利用するか否かを選択するメッセージを表示画面9に表示する。過去の設定を利用する旨の指示が操作パネル部11から入力された場合にはステップS4へと移行し、過去の設定を利用しない旨の指示が操作パネル11から入力された場合にはステップS8へと移行する。
【0038】
(ステップS4)
ステップS4では、ステップS1,S2によって識別されたIDカード情報に基づいて、予めHDD27に格納した設定のうち所定の(IDカードに関連する)設定を最新順に呼び出して表示画面9に表示し、以後、ユーザーの操作パネル部11の操作に応じて順次過去の設定情報を表示画面9に表示してステップ5へと移行する。
【0039】
尚、この際の表示画面9での表示は、IDカード情報に基づくユーザー毎の過去の設定やIDカード情報に基づくユーザーの所属部署等のグループ毎の過去の設定を表示しても良い。また、表示画面9には、一画面中に複数の設定を時系列等で表示することも可能である。この際、表示画面9には、表示エリアの有効利用の観点から、標準設定に対する変更設定のみが表示される。
【0040】
(ステップS5)
ステップS5では、表示画面9に表示された設定に対する選択操作がなされたか否かが判断される。所望の設定が選択された場合にはステップS6へと移行し、設定が未選択の場合には引き続きこのステップ5を監視する。
【0041】
(ステップS6)
ステップS6では、選択された設定がユーザーの所望する設定であるか否かを確認するため、操作パネル部11に設けられたクリアキーやキャンセルキー(共に図示せず)等の所定操作に基づく設定の初期化(リセット操作)がなされたか否かが監視される。
【0042】
即ち、ステップS3で履歴を使用する旨を選択したものの、所望の履歴が存在しなかった場合等には設定をリセットして再び履歴を確認するか手動で設定を行うかの処理がなされるため、ここで履歴使用の再確認を行う。そして、リセット操作がなされた場合にはステップS3へとループし、リセット操作がなされなかった場合にはステップS7へと移行する。
【0043】
尚、上述したステップS5において履歴の検索処理の変わりにこのリセット操作を行うことも可能である。
【0044】
(ステップS7)
ステップS7では、ステップS3で履歴を使用しなかった場合やステップS6で履歴を選択した場合の何れにおいても、現在の設定がユーザーの所望する設定であるか否かを確認するため、設定変更操作がなされたか否かが監視される。
【0045】
ここで、例えば、縮小・拡大率の変更といった設定変更操作がなされた場合にはステップS8へと移行し、設定変更操作がなされなかった場合にはステップS9へと移行する。
【0046】
(ステップS8)
ステップS8では、設定変更操作の度毎に、その設定変更内容が設定情報(テンポラリ情報)としてRAM26に記憶されてステップS9へと移行する。
【0047】
尚、ここで、例えば、縮小・拡大率の設定変更において連続的な数値(%)の変更の場合には、その連続性が停止する度にRAM26に設定変更内容が記憶される(ステップS9を経由)こととなる。
【0048】
また、その連続性の判断には、パネル操作部11の操作間隔が所定時間(例えば、0.5秒)以上空いた場合には連続性が途切れたと判断する。また、その連続性が途切れてRAM26に新たな設定変更内容が記憶され、且つ、HDD27に新たな設定変更内容が仮履歴として格納された場合には、例えば、最新の二回分までがRAM26及びHDD27に記憶・格納され、それよりも古い設定の記憶は順次消去される。
【0049】
これにより、例えば、実際の複写機能を実行していない設定作業中において、例えば、停電・メイン電源13のOFF・IDカードの抜き取り等によって起電状態が強制的に停止されても、停電等の復旧と共にテンポラリ情報を呼び出すことによって最新及び最新の1つ前の設定を利用することが可能となる。
【0050】
即ち、HDD27への本履歴の格納と同時にOFFされる履歴保存フラグを設定し、テンポラリ情報(仮履歴)がHDD27に格納されている状態(後述するステップS12で本履歴がHDD27に格納される前に電源OFFされた場合等)では履歴保存フラグはONのままであり、HDD27にテンポラリ情報が存在していない場合(後述するステップS12で本履歴がHDD27に格納され、テンポラリ情報がHDD27から消去されている場合)には履歴保存フラグはOFFとなる。
【0051】
そして、電源ON時には、毎回この履歴保存フラグをチェックし、履歴保存フラグがON状態であればHDD27に格納されたテンポラリ情報をRAM26に記憶する。
【0052】
(ステップS9)
ステップS9では、実際の複写機能の実行がなされたか否かがパネル操作部11のスタートキー(図示せず)の操作によって監視される。スタートキーが操作された場合には、ステップS11へと移行し、スタートキーが操作されないときはステップS7へとループされる。
【0053】
(ステップS10)
ステップS10では、設定された情報に基づく印刷処理が実行(ジョブの実行)されてステップS11へと移行する。
【0054】
(ステップS11)
ステップS11では、この原稿に対する最終ジョブ(本番・最終設定)であったか否かが監視され、最終ジョブであった場合にはステップS12へと移行し、最終ジョブで無かった場合には同一原稿による微調整であると判断してステップS7へとループする。
【0055】
尚、最終ジョブであったか否かの判断材料としては、図4に示すように、RAM26に一時的に記憶された直前(例えば、ジョブ3)の設定に対して部数のみの変更があった場合に、その部数変更後の設定条件を最終ジョブとすることができる。また、図5に示すように、RAM26に一時的に記憶された直前(例えば、ジョブ3)の設定に対して部数のみの変更があった場合に、その部数変更前の設定条件を最終ジョブ(最終設定)とすることしても良い。さらに、図6に示すように、RAM26に一時的に記憶された直前(例えば、ジョブ3)の設定に対して設定変更がされない同一の設定条件下にて複数回(複数部数)のジョブの実行がなされた場合に、その複数回のジョブの実行をした設定条件を最終ジョブ(最終設定)とすることも可能である。
【0056】
具体的には、図4に示した最終ジョブの判断では、前原稿(又は前ユーザー)の設定に対して、ステップS1乃至図ステップS7を経由した何れかのルーチンによって設定が大きく変更されており、これによって新規の原稿に対する設定であるとする。
【0057】
この新規の原稿に対する設定変更(ステップS7・S8)により、その設定で所望の印刷結果を得ることができるか否かのテスト印刷(ジョブ1)として印刷処理(通常、ここでは1枚又は1部)を行い(ステップS9・S10)、その結果、所望の印刷結果が得られなかったために微小な設定変更(ステップS7・S8)を行ったうえで2度目の(ジョブ2)印刷処理(ステップS9・S10)を行う。
【0058】
この際、2度目の印刷処理においても、その設定によって所望の印刷結果を得ることができるか否かのテスト印刷であるため、通常は1枚(又は1部)の印刷処理が行われる。また、この2度目の印刷処理のための設定変更が行われた場合、1回目のテスト印刷(ジョブ1)のための設定は不要となるためにRAM26から消去される。
【0059】
そして、この2度目の印刷処理の結果、所望の印刷結果が未だ得られなかったために再度の微小な設定変更(ステップS7・S8)を行ったうえで3度目の(ジョブ3)印刷処理(ステップS9・S10)を行う。また、2回目のテスト印刷(ジョブ2)のための設定は不要となるために3回目の設定変更と同時にRAM26から消去される。
【0060】
この3回目の印刷処理により、ユーザーは所望の印刷結果を得ることができたので、この設定条件下にて所望枚数の印刷を行うために、設定条件中、印刷枚数(部数)のみを変更(ステップS7・S8)して所望部数の印刷処理(本番・ジョブ4)を行う(ステップS9・S10)。
【0061】
一方、1回目(ジョブ1)から3回目(ジョブ3)までの設定変更に伴う印刷処理では、印刷枚数(部数)のみの変更ではないことから、その設定変更は最終ジョブに対する設定変更ではなく(ステップS11)、テスト印刷のための設定変更(ステップS7)であると判断され、4回目(ジョブ)の印刷処理時に対して印刷枚数(部数)のみ変更が行われたため、その設定を最終ジョブ用として判断する。
【0062】
尚、部数変更のみが設定変更とされた場合、4回目(ジョブ4)用の設定を最終ジョブ用としても良いし(図4)、3回目(ジョブ3)用の設定を最終ジョブ用としても良い(図5)。さらに、これら3回目(ジョブ3)と4回目(ジョブ4)の双方を最終ジョブ用とすることも可能である。
【0063】
一方、他の具体例として、図6に示した最終ジョブの判断(1回目及び2回目は上記と同一)では、3度目の(ジョブ3)印刷処理(ステップS9・S10)を行った結果、ユーザーは所望の印刷結果を得ることができたので、この設定条件下にて所望枚数の印刷を行うために、設定条件はそのままで操作パネル部11のスタートキー(図示せず)を所望枚数分だけ押圧操作して順次、印刷処理(本番・ジョブ4)を行う(ステップS9・S10)。
【0064】
これにより、同一設定条件下にて、複数枚(複数部)の印刷処理が行われたとして、その印刷処理が最終ジョブであると判断し(ステップS11)、4回目(ジョブ)の印刷処理時に対する設定(ジョブ3用の設定)を最終ジョブ用とする。
【0065】
(ステップS12)
ステップS12では、大きな設定変更(印刷処理後のリセット処理を含む)前の設定が有効な設定であるとしてHDD27にIDコードと関連付けして本履歴として格納し、ルーチンを終了する。この際、必要に応じてRAM26に記憶したジョブ3及びジョブ4の設定を消去することも可能である。
【0066】
尚、念のため、その最終と判断した一つ前の設定情報をHDD27にIDコードと関連付けして本履歴として格納することも可能である。
【0067】
従って、3回目以降の微調整のための設定変更がなされた場合、最新の2回分の設定情報がRAM26及びHDD27に一時的に記憶・格納され、それ以前の情報はRAM26から順次消去される(図4参照)。
また、RAM26に記憶されてHDD27に本履歴として格納した設定情報は、HDD27に格納した時点でRAM26に記憶された設定情報は消去しても良い。
【0068】
このように、本発明の画像形成装置1では、印刷処理が実行された場合であっても、出力結果(印刷後のシート)を確認しつつ微調整等のための設定変更を行うなど、記憶する必要の無い設定に対しては、その設定変更毎にはHDD27に設定は格納せず、有効テンポラリ情報であると判断した場合にのみその有効テンポラリ情報を正式な設定情報としてHDD27に本履歴として格納するため、設定記憶される情報が煩雑とならず、有効利用に供することができる。
また、印刷処理を実行する前の設定をテンポラリ情報として仮にRAM26及びHDD27に記憶・格納する場合には、停電の発生、用紙追加作業等による省電モードの起動、作業途中での作業者への入電等に伴う作業中断のためのIDカードの抜き取り等によって設定が途中となっても、その復旧と共にテンポラリ情報を呼び出すことによって設定変更を継続することができ、汎用性を向上することができる。
【0069】
ところで、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置1を、複写機・プリンタ・スキャナー・ファクシミリの各機能を具備した複合機に適用して説明したが、画像データの処理に際して操作パネル部11を用いて各種設定を行ったうえで画像形成処理を施すものを含めばその機能の組み合わせは任意である。また、複写機の専用機に適用することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のブロック説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の制御例1のブロック説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の制御例2のブロック説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の制御例3のブロック説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の制御例のフロー図である。
【符号の説明】
【0071】
1…画像形成装置
11…操作パネル部
24…制御部(判断手段・カウント手段)
26…RAM(記憶手段)
27…大容量記憶装置(HDD:記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像に対する印刷処理画像の出力状態を変えるための設定変更を操作パネル部の操作によって可能とした画像形成装置において、
前記操作パネル部の操作による設定変更後に印刷処理が実行された場合にその設定条件を一時的に記憶する記憶手段と、
該記憶手段に一時的に記憶された設定条件に対して印刷部数のみが変更されたうえで印刷処理が実行されたか否かを判断する判断手段と、
を備え、前記記憶手段に一時的に記憶された設定条件に対して印刷部数のみが変更されたうえで印刷処理が実行されたと前記判断手段が判断した場合に、前記記憶手段は一時的に記憶された設定条件に対して印刷部数のみが変更されたうえで印刷処理が実行された時の設定条件若しくは印刷部数のみが変更される前の設定条件を有効な設定として記憶することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
原稿画像に対する印刷処理画像の出力状態を変えるための設定変更を操作パネル部の操作によって可能とした画像形成装置において、
前記操作パネル部の操作による設定変更後に印刷処理が実行された場合にその設定条件を一時的に記憶する記憶手段と、
該記憶手段に一時的に記憶された設定条件と同一である設定条件下における印刷部数の累計値を記憶するカウント手段と、
該カウント手段に記憶された印刷部数の累計値が所定部数以上か否かを判断する判断手段と、
を備え、前記印刷部数の累計値が所定部数以上であると前記判断手段が判断した場合に、前記記憶手段は前記所定部数以上印刷した時の設定条件を有効な設定として記憶することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記所定部数は複数枚以上の印刷部数であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記操作パネル部の操作による設定変更毎にその設定条件を一時的に記憶することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−336155(P2007−336155A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164581(P2006−164581)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】