説明

画像形成装置

【課題】 反転テーブルから再給送路へ搬送するときの記録体ジャムを抑制するとともに、記録体を反転テーブルへ放出してから再給送路へ搬送するまでの時間が長くなるのを抑制することのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 記録体情報取得手段によって得られた記録体の情報に基づき、記録体を反転テーブル64へ放出するときの反転入り口ローラ61の回転速度を変更する。これにより、記録体によらず、放出距離をほぼ一定にすることができ、記録体を反転テーブルへ放出してから再給送路へ搬送するまでの時間が長くなるのを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ、プリンタ、複写機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、記録体の片面(表面)に画像を形成し、この一面に画像が形成された記録体を反転して再度給紙し、記録体の他面(裏面)に画像を形成するものが知られている(例えば特許文献1)。この種の画像形成装置は、片面に画像が形成された記録体を反転するため反転テーブルと、反転テーブルで反転された記録体を画像形成手段へ再給紙する再給送路とを有している。
【0003】
片面に画像が形成された記録体は、放出ローラたる反転入り口ローラと反転搬送爪との対によって反転テーブルへ放出される。反転テーブルに放出された記録体は、反転テーブル上を滑って停止する。反転テーブル上で停止した記録体は、ジョガーフェンス対によってジョギングされて姿勢を整えられた後、再給送路へ搬送せしめられる。
【0004】
【特許文献1】特開平11−143188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
記録体を反転テーブルへ放出するときの反転入り口ローラの回転速度(以下、放出速度)を低く設定しておけば、反転テーブルへ放出される記録体の勢いが弱く、記録体が反転入り口ローラから放出されてから、反転テーブル上で停止するまでの時間が短くなる。その結果、記録体を反転入り口ローラから放出してから、ジョガーフェンスによるジョギング開始までの待ち時間を短くすることができ、記録体搬送効率を向上させることができる。しかし、反転入り口ローラの放出速度を下げると、記録体サイズの大きい記録体や、厚さが厚いもののように重量の重い記録体は、反転入口ローラから放出されずに、反転入口ローラと反転搬送爪との対に記録体の後端の一部が引っ掛かってしまう不具合が生じる。これは、サイズの大きい記録体は反転テーブルとの接触面積が大きいため反転テーブルとの摩擦影響が大きく、反転テーブル上を滑りにくい。このため、反転テーブルへ放出される記録体の勢いが弱いと、反転テーブルと記録体との摩擦力の方が記録体を反転テーブルへ放出されるときの勢いより勝り、反転テーブル上を滑ることなく停止してしまう。その結果、反転入口ローラから記録体が放出されずに、反転入口ローラと反転搬送爪との対に記録体の後端の一部が引っ掛かってしまう不具合が生じる。また、厚さが厚く重量の重い記録体は反転テーブルとの摩擦力が高くなるため、放出される記録体の勢いが弱いと、反転テーブル上を滑ることなく停止してしまう。その結果、反転入口ローラから記録体が放出されずに、反転入口ローラと反転搬送爪との対に記録体の後端の一部が引っ掛かってしまう不具合が生じるのである。
このように、反転入口ローラと反転搬送爪との対に記録体の後端の一部が引っ掛かった状態で記録体をスイッチバックして、反転テーブルから再給送路へ搬送するとジャムが発生してしまうという問題があった。
【0006】
また、このようなジャムを抑制するために、反転入口ローラの放出速度を上げて、反転テーブルへ放出する記録体の勢いを強めることも考えられる。反転入口ローラの放出速度を上げて、反転テーブルへ放出する記録体の勢いを強めれば、サイズの大きい記録体や、厚さが厚く重量の重い記録体であっても、放出された記録体が反転テーブル上を滑って停止するようになる。これにより、サイズの大きい記録体や、厚さが厚く重量の重い記録体であっても、反転入口ローラから確実に反転テーブルへ放出することができる。しかし、厚さが薄く軽い紙や、サイズが小さい紙は、反転テーブルとの摩擦力が低いため、反転テーブルへ放出する記録体の勢いを強めると、反転テーブル上を滑ってなかなか停止せず、放出されてから停止するまでの時間が長くなってしまう。その結果ジョガーフェンスによるジョギング開始までの待ち時間を長く設定しなければならず、記録体搬送効率が下がり、生産性が低下してしまう。また、厚さの薄い記録体や、サイズが小さい記録体は、放出ローラから放出されてから止まるまでの記録体の移動距離(以下、放出距離)が長くなるため、反転テーブルを大きくする必要がある。また、反転テーブルの端部にストッパを設けて、放出距離の長い記録体は、このストッパに突き当てて止めることも考えられるが、記録体がストッパに突き当たることで、記録体が傷ついてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、反転テーブルから再給送路へ搬送するときの記録体ジャムを抑制するとともに、記録体を反転テーブルへ放出してから再給送路へ搬送するまでの時間が長くなるのを抑制することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、片面に画像を転写された記録体を反転するための反転テーブルと、該記録体を該反転テーブルへ放出する放出ローラと、反転テーブルで反転された記録体を画像形成手段へ再給紙する再給送路を有する画像形成装置において、該記録体の情報を取得する記録体情報取得手段と、該記録体情報取得手段によって得られた記録体の情報に基づき、該記録体を反転テーブルへ放出するときの該放出ローラの回転速度を変更する放出速度変更手段とを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記記録体情報取得手段は、上記記録体の厚さ情報を取得することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、上記記録体情報取得手段は、上記記録体のサイズ情報を取得することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかの画像形成装置において、上記記録体情報取得手段は、上記記録体の表面粗さ情報を取得することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1乃至4の発明によれば、記録体情報取得手段によって得られた記録体の情報に基づき、記録体を反転テーブルへ放出するときの放出ローラの回転速度を変更する。記録体情報取得手段によって得られた反転テーブルへ放出される記録体の情報が、反転テーブル上を滑りにくい記録体であるという情報の場合は、放出ローラの回転速度を上げて、反転テーブルへ放出するときの記録体の勢いを強める。これにより、反転テーブル上を滑りにくい記録体であっても、反転テーブルへ放出するときの記録体の勢いで、記録体が反転テーブル上を滑らせることができる。これにより、反転テーブル上を滑りにくい記録体であっても、確実に記録体を放出ローラから放出することができる。よって、反転テーブルから再給送路へ記録体を搬送するときに、紙ジャムが発生するのを抑制することができる。また、記録体情報取得手段によって得られた反転テーブルへ放出される記録体の情報が、反転テーブル上を滑りやすい記録体であるという情報の場合は、放出ローラの回転速度を下げて、反転テーブルへ放出するときの記録体の勢いを弱める。これにより、記録体が放出ローラから放出されてから反転テーブル上を滑って停止するまで時間を短くすることができ、反転テーブルから再給送路へ記録体を搬送するまでの待ち時間が長くなるのを抑制することができる。よって、記録体の搬送効率が低下するのを抑制することができ、両面印刷の生産性が低下するのを抑制することができる。また、記録体が放出ローラから放出されてから反転テーブル上を滑って停止するまで距離が短くなるので、反転テーブルの長さを短くしても記録体が反転テーブルから飛び出すことがない。これにより、反転テーブルを短くすることができ、装置の省スペース化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をカラー画像形成装置に適用した実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係るカラー画像形成装置であるプリンタ100の概略構成図である。このプリンタ100は、外部から入力される画像情報に基づいて画像情報を記録体上に印刷するものである。また、このプリンタ100に画像読み取り部を設け、原稿を走査して読み取り、デジタル化して記録体Pに複写するデジタルカラー複写機としての機能や、原稿の画像情報を遠隔地と送受信するファクシミリの機能も有する構成としてもよい。
【0011】
図1において、プリンタ100の略中央に画像形成手段たる画像形成部2が設けられている。この画像形成部2の下方には、多段状の給紙部3が配置されている。この給紙部3の各段には、普通紙やOHPシートなどの記録体束を積載した記録体収容部としての第1給紙段3a〜第4給紙段3dが配設されている。また、画像形成部2図中の右側には、給紙部3からの記録体を画像形成部2に供給する記録体供給部5がある。画像形成部2の図中左側には定着装置4、反転排紙切換部9、排紙部8があり、排紙部8の外部には画像が形成された記録体を排紙収納するための排紙収納部40が配設されている。さらに、画像形成部2と給紙部3との間には、反転装置6及び再給送路7が配設されている。
【0012】
画像形成部2には、4色のトナー像を個別に形成するための各色の作像部20が、記録体搬送部材として記録体搬送ベルト21の外周面に対向するように並列に配置されている。各作像部20K、M、C、Yは、像担持体としてのドラム状の感光体1K、M、C、Yを備えている。各感光体1K〜1Yの周囲には、図示してないが、帯電装置、現像装置及びクリーニング装置が配置されている。帯電装置は感光体の表面を一様に帯電する帯電処理を行う。現像装置は、感光体の表面に露光されて形成された静電潜像を可視化する。クリーニング装置は感光体に残留するトナーを除去回収する。また、図示は省略しているが各作像部20の上方には、画像情報に基づいて各色の感光体の表面にレーザ光で照射する露光装置を設ける。
【0013】
次に、プリンタ100の作像プロセスについて説明する。図1において、各作像部20では、周知の電子写真プロセスにより、各感光体上に所定のタイミングで4色のトナー像が形成される。
一方、各作像部20でのトナー像の画像形成動作を行いながら、給紙部3の選択された給紙段(ここでは第1給紙段3aを用いて説明する)から記録体が順次1枚ずつ分離給紙される。そして、1枚に分離された最上位の記録体は、レジスト駆動ローラ51とレジスト従動ローラ52の対へと搬送される。
【0014】
上述のようにして分離搬送された記録体Pは、レジスト駆動ローラ51とレジスト従動ローラ52の対のニップに突き当たることにより搬送が一時止められて待機される。レジスト駆動ローラ51は、各作像部20のトナー像と、記録体Pの先端との位置関係が所定の位置になるよう、タイミングをとって回転を開始するように制御される。このレジスト駆動ローラ51の回転により、待機されている記録体が再び給紙される。給紙された記録体Pは記録体搬送ベルト21により搬送され、各作像部20よりトナー像の転写を受け、その表面にフルカラートナー像が形成される。
【0015】
このようにしてフルカラートナー像が転写された記録体Pは、その搬送経路の下流側の定着装置4に搬送される。この定着装置4は、画像形成部2で記録体P上に転写されたフルカラートナー像を記録体P上に定着する。フルカラートナー像が定着された記録体は、排紙部8により排紙収納部40に排紙収納される。
ここで、記録体の両面に画像形成を行う際は、反転排紙切換部9で切換えられ、反転装置6を経由させることによりスイッチバックして反転され、再給送路7を通って、再び給紙される。この表裏が反転された記録体は、再び給紙され、裏面に画像形成部2で画像を転写され、定着装置4で画像を定着され、反転排紙切換部9、排紙部8を通って排紙され、片面への画像形成時と同様にして裏面への画像形成が行われる。
上述の説明では、第1給紙段3aに収容される記録体P1への作像プロセスについて説明したが、第2給紙段3b、第3給紙段3c及び第4給紙段3dに収容される記録体についても同様の作像プロセスによって画像形成が行われる。
【0016】
次に、反転装置6について詳細に説明する。図2は、反転装置6の概略構成図である。画像を転写、定着された記録体Pは、反転装置6に搬送される。反転装置6では、反転入り口ローラ61よりも記録体搬送方向上流側に設けられた紙端検知センサ63で、記録体の後端を検知したら、放出ローラたる反転入り口ローラ61の回転速度を、記録体搬送速度から記録体を反転テーブル64へ放出するための回転速度(以下、放出速度)に切替えて、記録体を反転テーブル64へ放出する。反転入口ローラ61と反転搬送爪62の対が記録体Pを反転テーブル64へ放出する。さらに、反転テーブル64上には記録体Pの位置や姿勢を整えるジョガーフェンス対65が設けられている。反転テーブル64上に放出された記録体Pを受入れるため記録体幅より広い位置で待機していたジョガーフェンス対65が記録体をガイドする位置まで移動するジョグ動作を行い、記録体Pの両側をガイドする。ジョガーフェンス65が記録体をガイドした状態で、上方に解除していた逆転従動コロ66が降下し、逆転する逆転駆動ローラ67に圧接して記録体をスイッチバックして両面ターンローラ91へと搬送する。その後、逆転従動コロ66は上昇して圧接を解除する。片面時、記録体Pを排紙部8へ送り、画像形成装置外へと排紙する。両面時、両面ターンローラ91が記録体をターンさせて、再給送路たる両面給送路7へと搬送する。両面給送路7は記録体を中継ローラ53へと搬送し、画像形成部2へ再給紙される。
【0017】
次に、本実施形態の特徴点について説明する。反転入口ローラ61と反転搬送爪62との対によって反転テーブル64へ放出された記録体は、反転テーブル上を滑って停止する。反転入り口ローラ61の放出速度を下げて、反転テーブル64へ放出する記録体の勢いを弱めておけば、記録体が放出されてから停止するまでの時間が短くなり、ジョグ動作までの待ち時間を短くすることができる。その結果、記録体搬送効率を向上させることができる。しかし、用紙サイズの大きい記録体や、厚さが厚いもの等の重量の重い記録体のように、反転テーブル上を滑りにくい記録体の場合、記録体を放出するときの勢いが弱いと、記録体が反転テーブル上を滑らずに停止してしまう。このとき、記録体が斜めになっていたり、シワがあったりして、反転入口ローラ61と反転搬送爪62の対とに引っ掛かりやすくなっていると、反転入口ローラ61と反転搬送爪62の対に記録体の後端の一部が引っ掛かって、記録体が反転テーブルに落下(放出)しない不具合が生じる。このような状態で記録体をスイッチバックして両面ターンローラ91へ搬送すると、用紙ジャムが発生してしまう。このため、従来では、反転入口ローラ61の放出速度を上げ、反転テーブル64へ放出する記録体の勢いを強めて、反転テーブル上を滑りにくい記録体であっても、反転テーブル上を滑らせるようにして、確実に記録体を転入口ローラ61と反転搬送爪62との対から離れる(放出)ようにしていた。これにより、記録体が斜めになっていたり、シワがあったりしても、確実に記録体の後端を反転テーブル上へ落下(放出)させることができる。しかし、反転入り口ローラの回転速度を上げて、勢い良く記録体を反転テーブルへ放出すると、厚さの薄い紙や、記サイズが小さい記録体のように、反転テーブル上を滑りやすい記録体の場合は、記録体が停止するまでの時間が長くなってしまう。その結果、ジョグ動作までの待ち時間が長くなり、記録体搬送効率が下がり、生産性が低下してしまう。また、放出されて反転テーブル上を滑って停止するまでの記録体の移動距離(以下、放出距離)が長くなるため、反転テーブル64を大きくする必要がある。また、反転テーブル64の端部にストッパを設けて、放出距離の長い記録体は、このストッパに突き当てて止めることも考えられるが、記録体がストッパに突き当たることで、記録体が傷つくおそれがある。
そこで、本実施形態においては、記録体の厚さやサイズを検知して、その検知結果に基づいて反転入口ローラ61の放出速度を変更するようにしている。これにより、記録体を確実に反転入口ローラ61と反転搬送爪62の対から放出することができ、ジョグ動作までの待ち時間が長くなるのを抑制し、記録体搬送効率が低下するのを抑制することができる。以下に、具体的に説明する。
【0018】
図3は、画像形成装置の制御ブロック図である。同図において、制御部101は、装置全体の制御を司っている。制御部101には、プリンタ内の様々な機器が接続されている。同図においては、それら機器の一部を示している。即ち、制御部101には、テンキー等などによって操作者から入力情報を受け付けて制御部101に送る操作部110、記録体の厚さを検知する紙厚検知手段120、各給紙段3a〜3dに収容されている記録体のサイズを検知する紙サイズ検知手段130が接続されている。本実施形態では、操作部110、紙厚検知手段120、紙サイズ検知手段130が、記録体情報取得手段としての機能を有している。また、制御部101には、各種制御プログラムを記憶したROM101cや、制御プログラムを実行するためのワーキングメモリーであるRAM101b、プログラムを実行するためのCPU101aなどを備えている。ROM101cには、上記記録体情報取得手段の情報に基づいて、反転入り口ローラ61の回転速度の変更を行う放出速度制御プログラムが記憶されている。この放出速度制御プログラムが、CPU101a、RAM101bを用いて実行され、反転入り口ローラ61の駆動源である反転入り口駆動モータ103を、ドライバ102を介して制御しており、制御部101が放出速度変更手段として機能している。
【実施例1】
【0019】
まず、実施例1について説明する。実施例1は、記録体の厚さによって、反転入口ローラ61の放出速度を変更するものである。記録体の厚さが厚いと、記録体重量が重くなり、普通紙に比べて反転テーブル64との摩擦力が大きくなり、反転テーブル上を滑りにくくなる。このため、厚さの厚い記録体の場合、普通紙と同じ放出速度とすると、反転テーブル上を滑らずに停止してしまうおそれがある。このため、記録体が斜めなっていたりすると、反転テーブル64に放出されずに反転入口ローラ61と反転搬送爪62の対に引っ掛かってしまうおそれがある。また、記録体の厚さが薄い場合は、普通紙に比べて反転テーブル64との摩擦力が低いため、反転テーブル上を滑りやすい。このため、記録体の厚さが薄い場合は、普通紙と同じ放出速度とすると、普通紙に比べて反転テーブル上を滑って、停止するまでの時間が長くなり、ジョグ動作までの待ち時間を長く設定しなければならなくなる。また、記録体の厚さが薄すぎると、反転入口ローラ61との接触圧が十分得られず、勢いよく反転テーブルへ放出されない場合がある。その結果、記録体が反転テーブル上を滑らずに停止してしまい、記録体の後端が反転入り口ローラ61と反転搬送爪62との対に引っ掛かってしまう場合もある。よって、反転入口ローラ61の放出速度を記録体の厚さによって変更することで、記録体の厚さによらずに放出されて反転テーブル上を滑って停止するまでの記録体の移動距離(放出距離)一定にすることができる。以下に、具体的に説明する。
【0020】
図4は、実施例1の反転入口ローラ61の放出速度変更の流れを説明する図である。
まず、ユーザが操作部110を操作して、各給紙トレイ3a〜3dに収容されている記録体の厚さ設定する。この設定された厚さ情報を、各給紙トレイ3a〜3dに対応した紙厚記憶値Y1〜Ynとして紙厚記憶手段32に記憶する。この実施例1の場合は、上記操作部110が、紙厚検知手段として機能している。
【0021】
次に、ユーザがスタートスイッチを押して、所定の給紙段から記録体が搬送されると、制御部101は、紙厚記憶手段32から、記録体が搬送された給紙段に対応する紙厚情報を読み出す。この読み出された紙厚情報に対応する反転入り口ローラ61の放出速度(V1〜Vn)を放出速度テーブル38から読み出す。そして、放出速度テーブル38から読み出された放出速度となるように、反転入り口ローラ61の放出速度を制御する。
【0022】
[実施例1の変形例1]
また、上記においては、ユーザの操作によって紙厚を検知しているが、自動的に紙厚を検知するようにしても良い。この場合は、図5に示すように、レジスト駆動ローラ51とレジスト従動ローラ52との対の前に、発光素子24と受光素子25で構成された光透過型センサ23を設け、この光透過型センサ23を紙厚検知手段120として機能させる。紙厚の薄い記録体は、発光素子24からの光を多く透過するため、受光素子25で検知される光の量が多くなる。一方、厚紙などの紙厚の厚い記録体は、透過する光の量が少ないため、受光素子25で検知される光の量が少なくなる。よって、この受光素子25で検知される光の透過量から、紙厚を検知する。
また、光透過型センサ23の配置としては各給紙段3a〜3dのそれぞれの搬送経路に一つずつ設けてもよいが、全ての搬送経路の合流位置よりも下流側のレジストローラ対の前に設ければ、光透過型センサ23は一つで済むため経済的である。
【0023】
図6は、光透過型センサによって、紙厚を検知する場合の反転入口ローラ9の反転速度変更の流れを説明する図である。
まず、給紙段が装置本体から着脱されたときや、ユーザの操作パネルの操作などによって、紙厚の検知動作が実行される。紙厚の検知動作が実行されたら、着脱された給紙段や、ユーザによって指定された給紙段から記録体が搬送される。この搬送されてきた記録体が、透過型光センサ上を通過したとき、受光素子25で透過光量を検知する。制御部101は、上記ROM101cなどの記憶手段に記憶されている各記録体毎の透過光量テーブルにより、透過型光センサ上を通過した記録体の紙厚を検知する。本実施形態においては、図6に示すように、透過光量によって、薄紙薄めから超厚紙まで8種類に分類している。そして制御部101は、記録体を搬送した給紙カセットに対応づけて、紙厚記録手段32に紙厚記憶値(Y1〜Yn)として記憶する。
また、上記では、透過型光センサ23で検知した紙厚情報を、記録体を搬送した給紙段に対応づけて紙厚記憶手段32に記憶しているが、紙厚記憶手段32を設けずに、記録体が搬送される度に、透過型光センサ23で紙厚を検知して、反転入り口ローラ61の放出速度を制御するようにしても良い。
【0024】
次に、ユーザがスタートスイッチを押して、所定の給紙カセットから記録体が搬送されると、制御部は、紙厚記憶手段32から、記録体が搬送された給紙段に対応する紙厚情報(紙厚記憶値)を読み出す。この読み出された紙厚情報に対応する反転入り口ローラ61の放出速度を放出速度テーブル38から読み出す。そして、放出速度テーブル38から読み出された放出速度となるように、反転入り口ローラ61の放出速度を制御する。
【実施例2】
【0025】
次に、実施例2について説明する。実施例2は、各給紙段3a〜3dに収容された記録体のサイズを検知して、この記録体のサイズに基づいて、反転入口ローラ61の放出速度を変更するものである。記録体のサイズが大きいと、反転テーブル64との接触面積が大きく、反転テーブルとの摩擦の影響が大きくなって、反転テーブル上を滑りにくい。このため、記録体のサイズが大きい場合は、普通紙と同じ放出速度とすると、反転テーブル上を滑らずに停止してしまい、反転入口ローラ61と反転搬送爪62の対に引っ掛かってしまうおそれがある。また、記録体のサイズが小さい場合は、反転テーブル64との接触面積が大きくなり、反転テーブルとの摩擦の影響が小さい。このため、記録体のサイズの小さいの場合は、普通紙と同じ放出速度とすると、停止するまでの時間が長くなり、ジョグ動作までの待ち時間を長く設定しなければならなくなる。よって、反転入口ローラ61の放出速度を記録体サイズによって変更することで、記録体サイズによらずに放出距離を一定にすることができる。以下に、具体的に説明する。
【0026】
図7は、実施例2の反転入口ローラ61の放出速度変更の流れを説明する図である。
各給紙段に収容された記録体のサイズを検知する紙サイズ検知手段130は、給紙段上に積載された記録体の給紙方向と直交する幅方向の端面に当接されるサイドフェンスの位置と、記録体の給紙方向の後端面に当接されるエンドフェンスの位置とを検知する。そして、サイドフェンスの位置とエンドフェンスの位置とから給紙段に収容されている記録体のサイズを判定する。
【0027】
ユーザがスタートスイッチを押して、所定の給紙段から記録体が搬送されると、制御部101は、紙サイズ検知手段130によって判定された記録体が搬送された給紙段の記録体サイズ情報(紙サイズ検出値Z1〜Zn)を参照する。制御部101は、参照した記録体サイズ情報に対応する放出速度を放出速度テーブル38から読み出し、反転入り口ローラ61の放出速度が読み出された放出速度となるように制御する。
【0028】
[実施例2の変形例1]
また、記録体のサイズを検知する紙サイズ検知手段130を操作部110としても良い。図8は、ユーザの操作によって記録体のサイズを検知するようにした場合の反転入口ローラ61の反転速度変更の流れを説明する図である。
この場合は、ユーザが操作パネルを操作して、各給紙カセットの記録体のサイズを設定する。この設定された記録体のサイズ情報を、各給紙段に対応した紙サイズ記憶値Z1〜Z2として記憶する。
【0029】
ユーザがスタートスイッチを押して、所定の給紙段から記録体が搬送されると、制御部101は、紙サイズ記憶手段40から、記録体が搬送された給紙段に対応する紙サイズ記憶値を読み出す。この読み出された紙サイズ記憶値に対応する反転入り口ローラ61の放出速度を放出速度テーブル38から読み出す。そして、放出速度テーブル38から読み出された放出速度となるように、反転入り口ローラ61の放出速度を制御する。
【0030】
[実施例2の変形例2]
また、記録体搬送経路上に紙サイズ検知手段130を設け、この紙サイズ検知手段130の検知結果に基づいて、反転入り口ローラ61の放出速度を決定するようにしても良い。紙サイズ検知手段130としては、図5に示す、透過型光センサ23を用いることができる。透過型センサ上に記録体があるときは、記録体がない場合に比べて受光素子25で検知される光の量が減少する。このため、光の量が減少している時間を計測することで、記録体のサイズを検知することができる。
【0031】
図9は、光透過型センサ23によって、記録体のサイズを検知する場合の反転入口ローラ61の反転速度変更の流れを説明する図である。
まず、給紙段3が装置本体から着脱されたときや、ユーザの操作パネルの操作などによって、紙サイズの検知動作が実行される。紙サイズの検知動作が実行されたら、着脱された給紙段や、ユーザによって指定された給紙段から記録体が搬送される。この搬送されてきた記録体の先端が、透過型光センサ上を通過してから、記録体の後端を検知するまでの時間を計測する。制御部101は、上記ROM101cなどの記憶手段に記憶されている各記録体毎の計測時間テーブルにより、透過型光センサ上を通過した記録体のサイズを検知する。そして制御部101は、記録体を搬送した給紙段に対応づけて、紙サイズ記憶値(Z1〜Zn)として記憶する。
また、上記では、透過型光センサ23で検知した紙サイズ情報を、記録体を搬送した給紙段に対応づけて紙サイズ記憶手段40に記憶しているが、紙サイズ記憶手段40を設けずに、記録体が搬送される度に、透過型光センサ23で紙サイズを検知して、反転入り口ローラ61の放出速度を制御するようにしても良い。
【0032】
次に、ユーザがスタートスイッチを押して、所定の給紙カセットから記録体が搬送されると、制御部101は、紙サイズ記憶手段40から、記録体が搬送された給紙段に対応する紙サイズ情報(紙サイズ記憶値)を読み出す。この読み出された紙サイズ情報に対応する反転入り口ローラ61の放出速度を放出速度テーブル38から読み出す。そして、放出速度テーブル38から読み出された放出速度となるように、反転入り口ローラ61の放出速度を制御する。
【実施例3】
【0033】
次に、実施例3について説明する。実施例3は、紙サイズ情報と紙厚情報とに基づいて反転入り口ローラ61の放出速度を制御するものである。
図10は、実施例3の反転入口ローラ61の放出速度変更の流れを説明する図である。実施例1で説明したのと同様な方法で各給紙段の紙厚を検知して、検知した紙厚情報を、各給紙段に対応した紙厚記憶値Y1〜Ynとして記憶する。また、実施例2で説明したのと同様な方法で各給紙段の紙サイズを検知して、検知した紙サイズ情報を、各給紙段に対応した紙サイズ記憶値(検出値)Z1〜Znとして記憶する。
【0034】
ユーザがスタートスイッチを押して、所定の給紙段から記録体が搬送されると、制御部101は、紙サイズ記憶手段32から、記録体が搬送された給紙段に対応する記録体サイズ情報を読み出す。また、これと同時に、制御部101は、紙厚記憶手段または紙サイズ検知手段130から、記録体が搬送された給紙カセットに対応する紙厚情報を読み出す。この読み出された記録体サイズ情報と紙厚情報とに対応する反転入り口ローラ61の放出速度を放出速度テーブル38から読み出す。そして、放出速度テーブル38から読み出された放出速度(V111〜V158)となるように、反転入り口ローラ61の放出速度を制御する。
【0035】
このように、紙サイズ情報と紙厚情報とに基づいて反転入り口ローラ61の放出速度を制御することで、より確実に記録体を一定の距離反転テーブル上を滑らせて停止させることができる。
【0036】
また、上記放出距離は、記録体の表面粗さによっても変動する。すなわち、表面の粗い記録体は、摩擦係数が高いため、反転テーブル上を滑らない。このため、放出速度が遅いと、記録体が放出されずに、反転入り口ローラ61と反転搬送爪62との対に挟まれてしまうおそれがある。一方、表面が滑らかな記録体の場合は、摩擦係数が低いため、反転テーブル上を滑り、放出されてから停止するまでの時間が長くなってしまう。このため、光沢紙など表面の滑らかな記録体などの場合は、反転入り口ローラの放出速度を落とすように制御しても良い。この場合は、上記同様に、操作部110に紙厚情報や紙サイズを入力するときに、光沢紙などの紙の種類情報を入力させる。ユーザによって、光沢紙が選択されている場合は、上記放出速度テーブル38から読み出された放出速度から所定の値を減算する。これにより、光沢紙などの表面の滑らかな種類の記録体であっても、放出されてから停止するまでの時間が長くなってしまうのを抑制することができる。また、同様に、表面の粗い紙の種類が選択されている場合は、上記放出速度テーブル38から読み出された放出速度から所定の値を加算する。これにより、表面の粗い種類の記録体であっても、確実に反転入り口ローラから放出され、記録体ジャムが生じることがない。
【0037】
(1)
以上、本実施形態の画像形成装置によれば、記録体情報取得手段によって得られた記録体の情報に基づき、記録体を反転テーブルへ放出するときの放出ローラたる反転入り口ローラ61の回転速度(放出速度)を変更させているので、記録体によらず、放出されて反転テーブル上を滑って停止するまでの距離(放出距離)をほぼ一定にすることができる。その結果、記録体後端が反転入り口ローラ61から放出されずに反転入り口ローラ61反転搬送爪62との対に引っ掛かってしまうことがなく、再給送路たる両面給送路7に記録体を搬送するときの紙ジャムを抑制することができる。また、放出距離が長くなることがないので、反転テーブルを短くしても、記録体が反転テーブルがはみ出すことがなく、装置の省スペース化を図ることができる。さらに、反転入り口ローラ61から放出されて止まるまでの時間が長くなるなることがないので、ジョギング動作開始までの待ち時間が長くなってしまうことを抑制することができる。よって、両面印刷の搬送効率が下がることがない。
(2)
また、実施例1によれば、上記記録体情報取得手段たる操作部または紙厚検知手段で、上記記録体の厚さ情報を取得し、この記録体たる記録体の紙厚情報に基づき、反転入り口ローラの放出速度を変更している。紙厚の厚い記録体は、普通紙に比べて重量が重いため反転テーブルとの摩擦力が高くなり、反転テーブル上を滑りにくい。紙厚の薄い記録体は、普通紙に比べて軽いため、反転テーブルとの摩擦力が低くなり、反転テーブル上を滑りやすい。よって、操作部または紙厚検知手段で、紙厚を検知して、紙厚に基づき、反転入り口ローラの放出速度を変更することで、記録体の紙厚によらずに放出されて反転テーブル上を滑って停止するまでの距離(放出距離)をほぼ一定にすることができる。
(3)
また、実施例2によれば、上記記録体情報取得手段たる操作部または紙サイズ検知手段で、上記記録体の紙サイズ情報を取得し、この記録体たる記録体の紙サイズ情報に基づき、反転入り口ローラの放出速度を変更している。紙サイズの大きい記録体は、反転テーブルとの接触面積が大きいため、反転テーブルとの摩擦の影響が大きい。このため、反転テーブル上を滑りにくい。一方、紙サイズの小さい記録体は、反転テーブルとの接触面積が小さいため、反転テーブルとの摩擦の影響が小さく、反転テーブル上を滑りやすい。よって、操作部または紙サイズ検知手段で、紙厚サイズを検知して、紙サイズに基づき、反転入り口ローラの放出速度を変更することで、記録体の紙サイズによらずに放出距離をほぼ一定することができる。
(4)
また、光沢紙などの表面の滑らかな記録体は、反転テーブルとの摩擦力が小さく反転テーブル上を滑りやすいため放出距離が長くなり、下級紙などの表面の粗い記録体は、反転テーブルとの摩擦力が大きく反転テーブル上を滑りやすいため
放出距離が短い。このように、紙の表面粗さによっても放出距離が異なる。よって、上記記録体情報取得手段たる操作部で、記録体の表面粗さ情報を取得して、この記録体の表面粗さ情報に基づき反転入り口ローラの放出速度を変更することで、記録体の表面粗さによらずに放出距離をほぼ一定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略図。
【図2】反転装置の概略構成図。
【図3】画像形成装置の制御ブロックの一部を示す図。
【図4】実施例1の反転入口ローラの放出速度変更の流れを説明する図である。
【図5】透過型センサの概略構成図。
【図6】実施例1の変形例を示す図。
【図7】実施例2の反転入口ローラの放出速度変更の流れを説明する図である。
【図8】実施例2の第1の変形例を示す図。
【図9】実施例2の第2の変形例を示す図。
【図10】実施例3の反転入口ローラの放出速度変更の流れを説明する図である。
【符号の説明】
【0039】
2 画像形成部
3 給紙部
4 定着装置
5 記録体供給部
6 反転装置
7 再給送路
8 排紙部
9 反転排紙切換部
24 発光素子
25 受光素子
51 レジスト駆動ローラ
52 レジスト従動ローラ
61 反転入り口ローラ
62 反転搬送爪
64 反転テーブル
65 ジョガーフェンス
66 逆転従動コロ
91 両面ターンローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面に画像を転写された記録体を反転するための反転テーブルと、該記録体を該反転テーブルへ放出する放出ローラと、反転テーブルで反転された記録体を画像形成手段へ再給紙する再給送路を有する画像形成装置において、
該記録体の情報を取得する記録体情報取得手段と、該記録体情報取得手段によって得られた記録体の情報に基づき、該記録体を反転テーブルへ放出するときの該放出ローラの回転速度を変更する放出速度変更手段とを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記記録体情報取得手段は、上記記録体の厚さ情報を取得することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置において、
上記記録体情報取得手段は、上記記録体のサイズ情報を取得することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかの画像形成装置において、
上記記録体情報取得手段は、上記記録体の表面粗さ情報を取得することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−41421(P2007−41421A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227313(P2005−227313)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】