説明

画像形成装置

【課題】騒音の低減が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】側壁75は、第1ガイド部材71、第2ガイド部材72、第3ガイド部材73、第1対向部材74、第2対向部材76、および下部フレーム77との間に間隙をおいた状態で配設される。この結果、内側面75aとこれらの部材との間に、流路90が形成され、また、下部フレーム77との間であって画像形成装置の底部に開口95が形成される。第2引き込みロール53により搬送が開始され、第2捌き機構54により捌かれた用紙Pは、第2搬送ロール55まで搬送される。この際、用紙Pの周辺における空気が引きずられ、図中矢印Cに示す空気流が発生する。また、第2搬送ロール55まで搬送された用紙Pは、上方に搬送される。この場合も同様に、第2搬送ロール55の上方に形成された流路90に図中矢印Dに示す空気流(上昇流)が発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置において放熱が適切に行われない場合、動作が不安定となったり、画像の品位が低下したりするおそれがある。そこで、画像形成装置本体の上部に、排気手段等を設けた構成が提案されている(特許文献1参照)。また、筐体の外装カバーに換気用の開口を形成した場合、騒音が外部に漏れだしやすくなる。そこで、通気経路の上部を筐体内に通じさせるとともに、通気経路の下部を筐体の下側へ向けて開口させる構成が提案されている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平4−138475号公報
【特許文献2】特開平7−104633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、画像形成装置においては、画像形成装置の内部に外気を導入し内部の冷却を行うため、ファンが設けられるのが一般的である。しかしながら、ファンを設けた場合、ファンの動作音によって騒音が発生してしまう。また、近年、より静音化された画像形成装置等が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、騒音の低減が可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、装置本体に設けられ、記録材を搬送する搬送手段と、前記搬送手段による記録材の搬送により生じる空気流によって前記装置本体の内部に外部の空気を導入する導入手段と、を含む画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記導入手段は、前記画像形成装置の外部に通ずる開口と、当該開口からの空気を記録材の搬送路に案内する案内路とから少なくとも構成されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記開口は、前記画像形成装置の底部に設けられていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記開口は、前記画像形成装置の底部に設けられ、前記案内路は、前記記録材の搬送路の下方に設けられていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項5に記載の発明は、装置本体に備えられる開口と、前記開口から前記装置本体の内部に向けて形成される空気流通路と、前記空気流通路内に記録材を供給する記録材供給部と、前記記録材供給部により供給される記録材を前記空気流通路を用いて搬送する搬送部と、を含む画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記空気流通路は、前記搬送部より搬送される記録材をガイドするガイド面に、記録材の搬送方向に沿って設けられ当該記録材に接触可能に配置される突出部を複数備えることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、前記空気流通路は、一部に、他の部分よりも断面積が大きく形成された形成部を備えることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、前記空気流通路に形成される開口は、前記装置本体に備えられる前記開口を除き、前記画像形成装置の内部に通じていることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、本構成を採用しない場合に比べ、例えばファンの出力を低下させることが可能となり、騒音の低減を図ることが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、本構成を採用しない場合に比べ、装置本体内部への空気の導入を安定化させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、本構成を採用しない場合に比べ、騒音の更なる低減が可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、本構成を採用しない場合に比べ、装置本体内部への空気の導入を効率良く行うことができる。
【0009】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を採用しない場合に比べ、例えばファンの出力を低下させることが可能となり、騒音の低減を図ることが可能となる。
請求項6に記載の発明によれば、本構成を採用しない場合に比べ、画像形成装置の内部への空気の導入を促進させることができる。
請求項7に記載の発明によれば、本構成を採用しない場合に比べ、更なる騒音の低減が可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、本構成を採用しない場合に比べ、空気流通路から画像形成装置の外部への音漏れが抑制され、騒音の更なる低減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用された画像形成装置1の概略構成を示した概略構成図である。この画像形成装置1は、記録材としての用紙Pに画像を形成する装置本体70、積載された原稿束(不図示)から原稿を順次搬送する原稿送り装置100、およびスキャンによって画像を読み取るスキャナ装置200を有している。
そして、装置本体70には、用紙Pにトナー像を形成する画像形成部10、画像形成部10によって用紙P上に形成されたトナー像を加熱・加圧定着する定着部20、および画像形成部10に用紙Pを供給する用紙供給部30が設けられている。
【0011】
画像形成部10は、感光体ドラム11、帯電装置12、露光装置13、現像装置14、転写装置15、およびクリーニング装置16を備える。これらのうち、感光体ドラム11は、その外周面に感光層を備えており、図中矢印方向に回転する。帯電装置12は、回転する感光体ドラム11を所定の電位に帯電する。露光装置13は、帯電装置12によって所定の電位に帯電した感光体ドラム11を選択的に露光して静電潜像を形成する。
【0012】
また、現像装置14は、感光体ドラム11上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する。転写装置15は、感光体ドラム11上に形成されたトナー像を、用紙供給部30によって供給される用紙Pに静電転写する。クリーニング装置16は、転写後に感光体ドラム11上に残留するトナー等をクリーニングする。なお、感光体ドラム11と転写装置15との対向部であって、転写装置15を用いて感光体ドラム11上のトナー像を用紙Pに転写する位置を転写位置Tpと呼ぶ。
【0013】
一方、用紙供給部30は、記録材供給部の一例としての第1給紙部31、第2給紙部32、および第3給紙部33を備えている。そして、本実施の形態では、第3給紙部33が装置本体70の最下部に配設され、第2給紙部32が第3給紙部33の上部に、第1給紙部31が第2給紙部32の上部に、それぞれ配設される。また、用紙供給部30は、画像形成装置1の背面側であって後述する第1搬送ロール45の背後(図中A部における奥側)に、この第1搬送ロール45等を回転駆動させる駆動モータ(不図示)を備えている。なお、装置本体70には、外部から用紙Pを供給する手差し給紙部(不図示)を設けることもできる。
【0014】
第1給紙部31は、第1用紙収容部41、第1引き込みロール43、および第1捌き機構44を備えている。これらのうち、第1用紙収容部41は、上部が開口する直方体状の形状を有しており、その内部に用紙Pを収容する。また、第1用紙収容部41は、画像形成装置1に対して前面側(図中手前側)に引き出し可能に取り付けられている。これにより、用紙切れとなった場合などに、画像形成装置1から第1用紙収容部41を引き出し、用紙Pの補給を行うことが可能となっている。第1引き込みロール43は、第1用紙収容部41の上部に上下方向に移動可能に配設される。そして、第1引き込みロール43は、第1用紙収容部41に収容される用紙束のうち最上位の用紙Pに接触し、この最上位の用紙Pを第1捌き機構44側に向けて送り出す。
【0015】
第1捌き機構44は、第1引き込みロール43よりも用紙搬送方向下流側に設けられる。この第1捌き機構44は、例えば回転可能に配設されるフィードロールと回転が制限されたリタードロールとによって構成され、第1引き込みロール43にて送り出された用紙Pを一枚ずつに捌き、捌かれた一枚の用紙Pを後述する第1搬送ロール45に向けて送り出す。
【0016】
一方、第2給紙部32は、第2用紙収容部51、第2引き込みロール53、および第2捌き機構54を備えている。また、第3給紙部33は、第3用紙収容部61、第3引き込みロール63、および第3捌き機構64を備えている。
ここで、第2用紙収容部51および第3用紙収容部61は、第1給紙部31に設けられた第1用紙収容部41と同様であり、他の構成部材についても、第1給紙部31に設けられたものと同じ構成を有している。
【0017】
また、用紙供給部30は、後述する流路90(図2参照)に沿って、搬送手段、搬送部の一つとして機能する第1搬送ロール45、第2搬送ロール55、および第3搬送ロール65を備えている。
第1搬送ロール45は、一対のロール状部材から構成され、また、第1捌き機構44よりも用紙搬送方向下流側に設けられる。第1搬送ロール45は、第1捌き機構44から送られてくる用紙Pを一旦停止させた後、所定のタイミングを持って再送する。また、第2搬送ロール55も、一対のロール状部材から構成されている。この第2搬送ロール55は、第2捌き機構54よりも用紙搬送方向下流側に設けられ、第2捌き機構54から送られてくる用紙Pを一旦停止させた後、所定のタイミングを持って再送する。
【0018】
さらに、第3搬送ロール65も、一対のロール状部材から構成されている。この第3搬送ロール65は、第3捌き機構64よりも用紙搬送方向下流側に設けられ、第3捌き機構64から送られてくる用紙Pを一旦停止させた後、所定のタイミングを持って再送する。
なお、第1搬送ロール45および第2搬送ロール55は、より下段の第2給紙部32および第3給紙部33から用紙Pが供給される際に、用紙Pを用紙経路811に搬送するための搬送ロールとしても機能する。なお、用紙供給部30の詳細については、後述する。
【0019】
第1搬送ロール45の下流側に設けられた用紙経路811には、プレレジロール851およびレジストレーションロール(レジロール)852が取り付けられている。ここで、プレレジロール851は、第1搬送ロール45を介して搬送されてきた用紙Pをさらに下流側に向けて搬送するとともに、レジロール852と協同してループ形成を行う。また、レジロール852は、一旦停止することにより用紙Pの搬送を一時的に止め、タイミングを合わせて回転を再開することにより、転写位置Tpに対してレジストレーション調整を施しながら用紙Pを供給する。そして、用紙経路811は定着部20を通過するように構成されている。
【0020】
また、装置本体70には、両面モード選択時に、定着部20で片面定着済みの用紙Pを反転させて再度転写位置Tpに送り込むための反転搬送機構が設けられている。この反転搬送機構は、定着部20の用紙搬送方向下流側に設けられた排出経路812に対して下方に分岐する分岐経路813と、この分岐経路813からさらに下方に向かって延設された反転経路814とから構成される。また、反転搬送機構は、この反転経路814に接続して形成され、プレレジロール851の上流側の用紙経路811へと戻る戻し経路815から構成される。そして、排出経路812には排出ロール853が、分岐経路813には分岐ロール854が、反転経路814には反転ロール855が、戻し経路815には戻しロール856が、それぞれ配設される。
【0021】
ここで、反転経路814に設けられる反転ロール855は、正逆両方向に回転できるように構成されている。さらに、排出経路812と分岐経路813との間、分岐経路813、反転経路814、および戻し経路815の間には、それぞれ搬送経路を切り換えるための切換ゲート(図示せず)が設けられており、選択されたモードに応じて搬送経路が適宜切り換えられるようになっている。なお、排出経路812の用紙搬送方向下流側には、画像形成済みの用紙Pが排出される排紙部97が装着される。
【0022】
さらに、装置本体70には、PC(不図示)やスキャナ装置200等からの画像データを受信する受信部400と、受信部400にて受信された画像データに基づき、画像形成動作時における画像形成部10、定着部20、および用紙供給部30の動作全般を制御する制御部500とが設けられている。また、この装置本体70には、受信部400にて受信された画像データに画像処理を施した後に露光装置13に画像データを出力する画像処理部600が設けられている。なお、露光装置13は、画像処理部600から入力されてくるデジタル画像信号に基づいて、感光体ドラム11に対する露光動作すなわち静電潜像の書き込みを行う。さらに、この装置本体70には、ユーザからの指示を受け付けるとともに、ユーザに対してメッセージ等を表示するユーザインタフェース(UI)700が設けられている。
【0023】
ここで、用紙供給部30についてより詳細に説明する。
図2は、用紙供給部30の一部を拡大して示した説明図である。より詳細には、装置本体70の左方における用紙供給部30を拡大して示している。
本実施形態における用紙供給部30は、上述のとおり、第2用紙収容部51、第2引き込みロール53、第2捌き機構54、および第2搬送ロール55等を備えている。そして、本実施形態における用紙供給部30は、これらの構成に加え、同図に示すように、第2捌き機構54から搬送されてきた用紙Pを第2搬送ロール55に案内する第1ガイド部材71と、第3搬送ロール65を通過した用紙Pを第2搬送ロール55に案内する第2ガイド部材72とを備えている。
【0024】
また、用紙供給部30は、第3捌き機構64から搬送されてきた用紙Pを第3搬送ロール65に案内する第3ガイド部材73と、第3ガイド部材73の下方にて後述する側壁75に対向配置され、側壁75との間に後述する第2流路92を形成する第1対向部材74とを備えている。また、第1対向部材74よりも装置本体70の内部側且つ第1対向部材74よりも下方に配設され、側壁75に対向配置された第2対向部材76を備えている。さらに、第2対向部材76の下方にて略水平に配置され、第2対向部材76、装置本体70内に配置された各種装置、部材を支持する下部フレーム77を備えている。
【0025】
また、用紙供給部30は、第1ガイド部材71、第2ガイド部材72、第3ガイド部材73、第1対向部材74、第2対向部材76、および下部フレーム77との間に間隙をおいた状態で配置された側壁75を備えている。そして、この側壁75は、第1ガイド部材71、第2ガイド部材72等に対向配置された内側面75aを備えている。この結果、本実施形態では、この内側面75aとこれらの部材との間に、空気流通路の一例としての流路90が形成される。また、内側面75aと下部フレーム77との間であって画像形成装置1(図1参照)の底部に開口95が形成される。
【0026】
また、用紙供給部30は、装置本体70(図1参照)の手前側および奥側に、鉛直方向に沿って形成されるとともに、側壁75、第1ガイド部材71、第2ガイド部材72等に接合配置された第1の側部78および第2の側部79を備えている(図3参照)。この第1の側部78および第2の側部79は、側壁75等とともに流路90を形成する。なお、第2の側部79は、装置本体70の一部を構成する所謂フロントパネルにより構成することもできる。
【0027】
第1ガイド部材71は、第2捌き機構54の出口部から第2搬送ロール55の入口部に向かって形成され且つ側壁75側に湾曲して形成された第1ガイド面71aを備えている。第2捌き機構54から搬送されてきた用紙Pは、第1ガイド面71aによって第2搬送ロール55まで案内される。
また、第1ガイド部材71は、側壁75における内側面75aの対向位置に、鉛直方向にほぼ沿って配設され、内側面75aに略平行に配設された第2ガイド面71bを備えている。第3搬送ロール65により下方から搬送されてきた用紙Pは、この第2ガイド面71bおよび内側面75aによって第2搬送ロール55に案内される。
【0028】
第2ガイド部材72は、第1ガイド部材71の下方に配設され、また第3搬送ロール65の上方に配設されている。また、第2ガイド部材72は、第1ガイド部材71の下面に密着して配設されている。さらに、第2ガイド部材72は、側壁75における内側面75aの対向位置に、鉛直方向にほぼ沿って配設され内側面75aに略平行に配設されたガイド面72aを備えている。なお、このガイド面72aは、水平方向における位置が、上記第2ガイド面71bの水平方向における位置とほぼ一致するように配設されている。第3搬送ロール65により搬送されてきた用紙Pは、このガイド面72aおよび内側面75aにより、第2搬送ロール55方向へ案内される。
【0029】
第3ガイド部材73は、第3搬送ロール65の下方に配設されている。この第3ガイド部材73は、第1ガイド部材71と同様に第1ガイド面73aを備えている。この第1ガイド面73aは、第3捌き機構64の出口部から第3搬送ロール65の入口部に向かって形成され、また側壁75側に湾曲して形成されている。第3捌き機構64から搬送されてきた用紙Pは、この第1ガイド面73aによって第3搬送ロール65まで案内される。
【0030】
また、第3ガイド部材73は、第1ガイド部材71と同様に第2ガイド面73bを備えている。この第2ガイド面73bは、鉛直方向にほぼ沿って配設され、側壁75における内側面75aに略平行に配設されている。なお、この第2ガイド面73bは、水平方向における位置が、上記第2ガイド面71bの水平方向における位置とほぼ一致するように配設されている。
【0031】
第1対向部材74は、第3ガイド部材73の下方に、また下部フレーム77の上方であって下部フレーム77との間に間隙をおいた位置に配設されている。また、第1対向部材74は、第3ガイド部材73の下面に密着して配置されている。さらに、第1対向部材74は、側壁75における内側面75aの対向位置に、鉛直方向にほぼ沿って配設され内側面75aに略平行に配設された対向面74aを備えている。なお、この対向面74aは、水平方向における位置が、上記第2ガイド面71bの水平方向における位置とほぼ一致するように配設されている。また、第1対向部材74は、略水平に配設され、且つ対向面74aに交差(略直交)する関係で配設され、対向面74aから装置本体70の内方に向かって形成された下面74bを備えている。
【0032】
第2対向部材76は、上記のとおり、第1対向部材74よりも装置本体70の内部側且つ第1対向部材74よりも下方に配設されるとともに、側壁75に対向配置されている。さらに、第2対向部材76は、第1対向部材74および下部フレーム77に接合配置されている。また、第2対向部材76は、鉛直方向にほぼ沿って配設されるとともに、側壁75における内側面75aに対向配置され、且つ内側面75aに略平行に配設された対向面76aを備えている。この対向面76aは、水平方向における位置が、上記第2ガイド面71bの水平方向における位置よりも内側(装置本体70の内方側)となるように、配設されている。
【0033】
下部フレーム77は、上記のとおり、第2対向部材76の下方にて略水平に配置され、第2対向部材76や装置本体70内に配置された各種装置、部材を支持する。また、下部フレーム77は、第2対向部材76が接合配置されるとともに、第1対向部材74における下面74bに対向配置され略水平に形成された上面77aを備えている。また、下部フレーム77は、側壁75の内側面75aに対向配置されたフレーム側側壁77bを備えている。このフレーム側側壁77bは、鉛直方向にほぼ沿って形成されるとともに内側面75aに略平行に配設されている。また、フレーム側側壁77bは、水平方向における位置が、上記第2ガイド面71bの水平方向における位置とほぼ一致するように、配設されている。
【0034】
側壁75は、上記のとおり、第1ガイド部材71、第2ガイド部材72、第3ガイド部材73、第1対向部材74、第2対向部材76、および下部フレーム77との間に間隙をおいた状態で配設される。この結果、上記のとおり、この内側面75aとこれらの部材との間に、流路90が形成され、また、下部フレーム77との間であって画像形成装置1(図1参照)の底部に開口95が形成される。また、側壁75は、装置本体70(図1参照)の内外を通じさせる間隙や開口などが存在しない状態で形成されている。また、側壁75は、第2搬送ロール55における一方のロール状部材を、また第3搬送ロール65における一方のロール状部材を回転可能に支持している。
【0035】
ここで、本実施形態における流路90は、第1流路91〜第4流路94とから構成されている。
用紙Pの搬送路としても機能する第1流路91は、側壁75における内側面75a、第1ガイド部材71における第2ガイド面71b、第2ガイド部材72におけるガイド面72a、第1の側部78、および第2の側部79(図3参照)により囲まれた領域に形成されている。
【0036】
また、案内路の一例としての第2流路92は、側壁75における内側面75a、第3ガイド部材73における第2ガイド面73b、第1対向部材74における対向面74a、第1の側部78、および第2の側部79(図3参照)により囲まれた領域に形成されている。
【0037】
さらに、案内路の一例としての第3流路93は、側壁75における内側面75a、第2対向部材76における対向面76a、第1の側部78、および第2の側部79(図3参照)により囲まれた領域に形成されている。また、案内路の一例としての第4流路94は、側壁75における内側面75a、下部フレーム77におけるフレーム側側壁77b、第1の側部78、および第2の側部79(図3参照)により囲まれた領域に形成されている。
【0038】
ここで、本実施形態では、上記のとおり、第2ガイド部材72におけるガイド面72aの水平方向における位置が、上記第2ガイド面71bの水平方向における位置とほぼ一致している。また、第3ガイド部材73の第2ガイド面73b、第1対向部材74の対向面74a、および下部フレーム77のフレーム側側壁77bの水平方向における位置も、上記第2ガイド面71bの水平方向における位置とほぼ一致している。一方で、第2対向部材76における対向面76aは、水平方向における位置が、上記第2ガイド面71bの水平方向における位置よりも内側(装置本体70の内方側)となっている。
【0039】
このため、本実施形態では、第1流路91、第2流路92、および第4流路94は、ほぼ同一の断面積で形成され、第3流路93は、断面積が他の流路よりも大きい状態で形成されている。なお、本図では、第2搬送ロール55よりも上方の説明を省略しているが、第2搬送ロール55よりも上方は、第2給紙部32と同様の構成となっている。
【0040】
本実施形態では、第2引き込みロール53により搬送が開始され、第2捌き機構54により捌かれた用紙Pは、第1ガイド面71aによりガイドされた後、第2搬送ロール55まで搬送される。この際、用紙Pの搬送によって用紙Pの周辺における空気が引きずられ、図中矢印Cに示す空気流が発生する。また、第2搬送ロール55まで搬送された用紙Pは、第2搬送ロール55によって上方に搬送される。この場合も同様に、第2搬送ロール55の上方に形成された流路90に図中矢印Dに示す空気流(上昇流)が発生する。
【0041】
そして、この空気流の発生に伴い、第1流路91に矢印Eに示す空気流が、第2流路92〜第4流路94に矢印Fに示す空気流が発生する。この結果、用紙Pの搬送に伴い、開口95から装置本体70(図1参照)の内部に外気が導入される。この外気は、第4流路94、第3流路93、第2流路92、第1流路91を通過後、最終的にA部(図1参照)に設けられた駆動モータ(不図示)まで案内され、駆動モータを冷却する。なお、第1給紙部31(図1参照)、第3給紙部33から用紙Pが供給される際も、矢印D,E,Fに示す空気流が発生し、駆動モータに対して外気が供給される。
【0042】
ここで、用紙供給部30について、さらに詳細に説明する。
図3は、装置本体70の横断面図である。より詳細には、図2のB−B線における断面を示している。なお、本図では、第2用紙収容部51の図示を省略している。
同図(a)に示すように、本実施形態における側壁75は、内側面75aに、この内側面75aから第2ガイド部材72に向けて突出したリブ状の壁側突出部75bを複数備えている。また、本実施形態における第2ガイド部材72は、ガイド面72aに、このガイド面72aから側壁75に向かって突出したリブ状のガイド側突出部72bを複数備えている。なお、壁側突出部75bおよびガイド側突出部72bは、用紙Pの搬送方向に沿って設けられている。
【0043】
このため、用紙Pと内側面75aとの間、および、用紙Pとガイド面72aとの間に空隙が形成される。この結果、本実施形態における第1流路91は、ある程度の断面積が確保された状態となる。このため、空気の流れをスムーズにすることが可能となり、装置本体70(図1参照)への外気の導入も促進させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、装置本体70の奥側に第1の側部78が設けられ、装置本体70の手前側に第2の側部79が設けられている。この第1の側部78は、第1流路91の内部と装置本体70(図1参照)の外部とを直接的に通じさせる間隙や開口などが存在しない状態で形成されている。また、第2の側部79も、第1流路91の内部と装置本体70の外部とを直接的に通じさせる間隙や開口などが存在しない状態で形成されている。さらに、第1の側部78は、側壁75および第2ガイド部材72等に密着して配設されるとともに、第2の側部79も、側壁75および第2ガイド部材72等に密着して配設されている。
【0045】
なお、側壁75、第2ガイド部材72等は、同図(b)に示すように形成することもできる。
即ち、側壁75の内側面75aに突出部を形成することなく平坦に形成するとともに、第2ガイド部材72のガイド面72aに突出部を形成することなく平坦に形成し、内側面75aおよびガイド面72aを対向配置する構成とすることができる。しかしながら、このような構成の場合、第1流路91の断面積が低下するため、空気の流れを阻害するおそれがある。このため、図3(a)で示したように、内側面75aに壁側突出部75bを設け、ガイド面72aにガイド側突出部72bを設け、流路の断面積を確保する構成とすることが望ましい。なお、流路の断面積を確保するという観点からは、内側面75aやガイド面72aに、溝などの凹部を形成する構成とすることもできる。
【0046】
ところで、用紙Pが搬送される際、用紙供給部30等において、擦過音、衝突音、弾き音などの騒音が発生する。また、A部(図1参照)に配設された駆動モータ(不図示)などからも騒音が発生する。
そこで、本実施形態では、上記のとおり、側壁75、第1の側部78、第2の側部79に開口等を設けない構成とし、開口95(図2参照)を除き、流路90に、画像形成装置1(図1参照)の外部に直接通ずる開口を設けないようにしている。この結果、外部への騒音の漏れが抑制され静音化が可能となる。
【0047】
ここで、本実施形態では、開口95から騒音が漏れることとなるが、開口95はユーザの耳から最も離れた位置となるため、側部に開口が存在するものに比べ、騒音を低下させることが可能となる。なお、流路90には、第2搬送ロール55(図2参照)と第1ガイド部材71との間や、第3搬送ロール65と第3ガイド部材73との間に、開口が形成されている。しかしながら、この開口は画像形成装置1の外部に直接通ずる開口ではなく、画像形成装置1の内部に通ずる開口である。このため、画像形成装置1の外部に直接的に通ずる開口が存在するものに比べ、騒音の低下が可能となる。
【0048】
また、従来においては、画像形成装置1(図1参照)に冷却ファンを設け、この冷却ファンにより外気を導入するのが一般的であった。しかしながら、冷却ファンを設けると、冷却ファンの動作音により騒音が発生したり、電力消費量が増したりするなどの不具合が発生する。本実施形態では、用紙Pの搬送によって外気の導入が可能となるため、冷却ファンの出力を低下させる構成や、冷却ファンを用いない構成とすることが可能となる。この結果、従来に比べ、騒音の低下が可能となり、また、電力消費量を抑制することが可能となる。
【0049】
さらに、本実施形態では、上記のとおり、開口95を画像形成装置1の底部に設けるとともに、第2流路92〜第4流路94を、用紙Pの搬送が行われる第1流路91よりも下方に配置している。この結果、用紙Pの搬送による空気流のみならず上昇気流によっても空気流を生じさせることが可能となる。このため、本実施形態の構成は、画像形成装置1の内部に対して、より効率よく空気を流入させることが可能となる。
また、本実施形態では、開口95からの空気を用紙Pの搬送が行われる第1流路91に対して案内する第2流路92〜第4流路94を設ける構成としている。この結果、このような構成ではない場合に比べ、第1流路91に対する空気の供給をより安定化させることが可能となる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のとおり、第3流路93の断面積を、第1流路91、第2流路92、および第4流路94の断面積よりも大きくなるような構成としている。換言すれば、開口95に至る過程において流路90の断面積を部分的に大きくする構成としている。そして、このような構成により、音響的な低通過フィルタが構成され、高周波の騒音の外部への漏れを抑制することができる。この結果、騒音の低下がより可能となる。ここで、上記低通過フィルタについて説明する。
【0051】
図4は、低通過フィルタを説明するための図である。
本説明では、図4(a)に示すような管80を用いる。この管80は、断面積S,長さlの管81、断面積S,長さlの管82、断面積S,長さlの管83とから構成されている。なお、本図では、管82の両側に管81および管83が配置されるとともに、断面積S>断面積S,断面積S>断面積S、という関係となっている。このような構成とすることで、音響的な低域通過フィルタが構成される。
【0052】
ここで、管80の左端を入力端、右端を出力端とすれば、管80の寸法が波長よりも十分に短いという条件の下において、管83の入力端から右側を見たインピーダンスZは、次式(1)に示す通りとなる。そして、このインピーダンスZは、管82から見ると式(2)のようになる。
【0053】
【数1】

【0054】
【数2】

【0055】
次いで、管83の出力端の粒子速度V34と入力端の粒子速度V32の比は、管83の右端でZt=0であるから、下式(3)の関係となる。また、V32とV23の間には、体積速度の連続性からV32=V23の関係があるから、上の結果と合わせて、下式(4)が得られる。
【0056】
【数3】

【0057】
【数4】

【0058】
また、管82の左端から見たインピーダンスZ22は、l,lがともに短いことと、l≪l(S/S)であることから、下式(5)のように計算される。そして、これを管81の右端から見ると、次式(6)のようになる。
【0059】
【数5】

【0060】
【数6】

【0061】
さらに、管82の出力粒子速度V23と入力粒子速度V21の比は、klが十分に小さいという条件により、下式(7)のように計算される。そして、これを、管83の出力粒子速度V34と管81の入力粒子速度V11との比に書き換えると、下式(8)が得られる。
【0062】
【数7】

【0063】
【数8】

【0064】
また、管81の左端から見たインピーダンスZ11は、下式(9)のように計算される。そして、低周波では、分母第2項が1よりも十分に小さくなることから下式(10)のように簡単となる。
【0065】
【数9】

【0066】
【数10】

【0067】
そして、これは、図4(b)に示すようなLCのT形低域通過フィルタの出力短絡時の駆動点インピーダンスと同じ形となる。伝達特性もこの低域通過フィルタと同じである。そして、この結果は、断面積の異なる管の従属接続によって、気流は流れるが耳に聞こえる音は通さないという消音器ができることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施の形態が適用された画像形成装置の概略構成を示した概略構成図である。
【図2】用紙供給部の一部を拡大して示した説明図である。
【図3】装置本体の横断面図である。
【図4】低通過フィルタを説明するための図である。
【符号の説明】
【0069】
1…画像形成装置、31…第1給紙部、32…第2給紙部、33…第3給紙部、45…第1搬送ロール、55…第2搬送ロール、65…第3搬送ロール、70…装置本体、72a…ガイド面、72b…ガイド側突出部、75a…内側面、75b…壁側突出部、90…流路、91…第1流路、92…第2流路、93…第3流路、94…第4流路、95…開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に設けられ、記録材を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による記録材の搬送により生じる空気流によって前記装置本体の内部に外部の空気を導入する導入手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記導入手段は、前記画像形成装置の外部に通ずる開口と、当該開口からの空気を記録材の搬送路に案内する案内路とから少なくとも構成されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記開口は、前記画像形成装置の底部に設けられていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記開口は、前記画像形成装置の底部に設けられ、
前記案内路は、前記記録材の搬送路の下方に設けられていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
装置本体に備えられる開口と、
前記開口から前記装置本体の内部に向けて形成される空気流通路と、
前記空気流通路内に記録材を供給する記録材供給部と、
前記記録材供給部により供給される記録材を前記空気流通路を用いて搬送する搬送部と、
を含む画像形成装置。
【請求項6】
前記空気流通路は、前記搬送部より搬送される記録材をガイドするガイド面に、記録材の搬送方向に沿って設けられ当該記録材に接触可能に配置される突出部を複数備えることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記空気流通路は、一部に、他の部分よりも断面積が大きく形成された形成部を備えることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記空気流通路に形成される開口は、前記装置本体に備えられる前記開口を除き、前記画像形成装置の内部に通じていることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−299281(P2008−299281A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148396(P2007−148396)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】