画像形成装置
【課題】べた画像とドット画像を濃度むら無く再現できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、第1の現像剤担持体34と第2の現像剤担持体12との間に電界を形成する電界形成部を備えている。電界形成部は、第1の現像剤担持体34と第2の現像剤担持体12との間に、現像剤32を第1の現像剤担持体34から第2の現像剤担持体12に向けて電気的に付勢する第1の電圧と、第1の現像剤担持体34と第2の現像剤担持体12との間に現像剤32を第2の現像剤担持体から第1の現像剤担持体に向けて電気的に付勢する第2の電圧を、交互に且つ周期的に出力する。第1の電圧の出力時間と第2の電圧の出力時間は、第2の電圧に基づいて第2の現像剤担持体34から第1の現像剤担持体12に向けて引き戻されても、再び第1の電圧に基づいて第1の現像剤担持体から第2の現像剤担持体に向けて付勢されるように決められている。
【解決手段】画像形成装置は、第1の現像剤担持体34と第2の現像剤担持体12との間に電界を形成する電界形成部を備えている。電界形成部は、第1の現像剤担持体34と第2の現像剤担持体12との間に、現像剤32を第1の現像剤担持体34から第2の現像剤担持体12に向けて電気的に付勢する第1の電圧と、第1の現像剤担持体34と第2の現像剤担持体12との間に現像剤32を第2の現像剤担持体から第1の現像剤担持体に向けて電気的に付勢する第2の電圧を、交互に且つ周期的に出力する。第1の電圧の出力時間と第2の電圧の出力時間は、第2の電圧に基づいて第2の現像剤担持体34から第1の現像剤担持体12に向けて引き戻されても、再び第1の電圧に基づいて第1の現像剤担持体から第2の現像剤担持体に向けて付勢されるように決められている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体現像剤を用いた電子写真式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式画像形成装置として、トナーを主成分とする現像剤を用いた画像形成装置が提案されている。この画像形成装置は、静電潜像担持体である感光体に間隔をあけて対向する現像ローラを備えており、この現像ローラの外周面に荷電トナーが保持されている。画像形成時、感光体の外周面には静電潜像が形成される。静電潜像は画像部と非画像部を備えており、静電潜像画像部と現像ローラとの電位差に基づいて、荷電トナーが静電潜像画像部に付着してトナー像が形成される。トナー像は、後に用紙等の媒体に転写されて定着されて、最終的な画像が得られる。
【0003】
また、一成分現像剤を使用する画像形成装置の他の形態として、現像ローラに交番電圧を印加し、これにより現像ローラから感光体へのトナーの移動を促進する技術が知られている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平5一11582公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、実際には、画像形成装置に組み込まれている感光体や現像ローラは、少なからず偏芯している。そのため、この偏芯によって、回転中の感光体と現像ローラの距離はわずかに変化し、感光体と現像ローラ間に形成されている電界の強さが変化する。その結果、現像ローラとの付着力に打ち勝って現像ローラ上の現像剤を引き剥がして飛翔させる力が周期的に変化し、それが画像に濃度むらが表れる傾向があった。このような画像濃度むらは、感光体や現像ローラの公差の許容範囲を狭めることによってある程度軽減できるものの、そのためには大幅なコストアップを招来するため、現実的な手段ではない。
【0005】
実際、画像濃度むらについて、本発明者らが実験によって詳しく検討したところ、交番電圧が低いときはドット画像に濃度むらが表れ、逆に、交番電圧が高いときはペた画像に濃度むらが表れる傾向が見られた。これは、以下の理由によるものと考えられる。
【0006】
べた画像とドット画像とを比べた場合、巨視的にみた潜像電界は、べた画像の潜像のほうが面積が広い分だけ強い。したがって、現像ローラ上のトナーが感光体へ向けて飛翔し易いのはべた画像の潜像に対してであり、逆にドット画像の潜像に対してトナーは飛翔しにくく、印加する交番電圧が低いときには現像ローラの偏芯による画像濃度むらが出やすいと考えられる。
【0007】
一方、交番電圧を大きくした場合、べた潜像とドット潜像の何れに対してもトナーの飛翔量は多く潜像を可視化するに充分な量が飛翔するものの、感光体から現像ローラへトナーを移動させる方向の電界も強くなってしまい、べた画像の潜像に付着していたトナーが剥ぎ取られてしまうと考えられる。なお、ドット画像の潜像の場合には、潜像のエッジ部の電界が回りこむ所謂エッジ効果が生じていることにより、回収方向の電界の影響を受けにくいため、べた画像の潜像ほど濃度むらは目立たないと考えられる。
【0008】
このように、べた画像の潜像とドット画像の潜像とで濃度むらの発生原因が異なることに起因して最適なバイアス設定値が異なっており、それらを両立した状態で濃度むらなく再現することは困難であった。
【0009】
本発明は、感光体あるいは現像ローラなどの回転体の偏芯によって感光体と現像ローラとの距離が変化する場合であっても、べた画像とドット画像を共に濃度むら無く再現できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置(10)は、第1の現像剤担持体(34)と第2の現像剤担持体(12)との間に電界を形成する電界形成部(40)を備えている。電界形成部(40)は、第1の現像剤担持体(34)と第2の現像剤担持体(12)との間に、現像剤(32)を第1の現像剤担持体(34)から第2の現像剤担持体(12)に向けて電気的に付勢する第1の電界(54)を形成する第1の電圧(V1)と、第1の現像剤担持体(34)と第2の現像剤担持体(12)との間に現像剤(32)を第2の現像剤担持体(12)から第1の現像剤担持体(34)に向けて電気的に付勢する第2の電界(56)を形成する第2の電圧(V2)を、交互に且つ周期的に出力する。第1の電圧(V1)の出力時間(t1)と第2の電圧(V2)の出力時間(t2)は、第1の電界(54)に基づいて第1の現像剤担持体(34)から第2の現像剤担持体(12)に向けて移動した現像剤(32)が第2の電界(56)に基づいて第2の現像剤担持体(12)から第1の現像剤担持体(34)に向けて引き戻されて第1の現像剤担持体(34)に保持されている現像剤(32)に衝突して弾き出し、第1の現像剤担持体(34)から弾き出された現像剤(32”)が第1の電界(54)に基づいて第1の現像剤担持体(34)から第2の現像剤担持体(12)に向けて付勢されるように決められている。
【0011】
本発明の他の形態の画像形成装置において、上記第2の現像剤担持体(12)は、上記第1及び第2の電圧(V1、V2)と協働して上記現像剤を上記第1の現像剤担持体(34)から上記第2の現像剤担持体(12)に電気的に付勢する第1の電圧部(VL)と、上記第1及び第2の電圧と協働して上記現像剤を上記第2の現像剤担持体(12)から上記第1の現像剤担持体(34)に電気的に付勢する第2の電圧部(V0)が形成されることを特徴とする。
【0012】
本発明の他の形態の画像形成装置において、
上記第1の電圧(V1)と第2の電圧(V2)の電位差VPPと、
上記第1の電圧(V1)と第2の電圧(V2)の平均電圧(VDC)のグランドに対する電位差VDCと、
上記第1の電圧部(VL)の電位と上記第2の電圧部(V0)の電位との平均電圧Vと、
上記第1の電圧(V1)の出力時間(t1)と第2の電圧(V2)の出力時間(t2)の合計出力時間(T=t1+t2)に対する上記第1の電圧(V1)の出力時間の比率Ds(%)が数式1,2
【数1】
【数2】
の関係を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、第1の電界に基づいて第1の現像剤担持体(34)から第2の現像剤担持体(12)に向けて移動した現像剤が第2の電界に基づいて第2の現像剤担持体(12)から第1の現像剤担持体(34)に向けて引き戻されて第1の現像剤担持体(34)に保持されている現像剤に衝突して弾き出し、第1の現像剤担持体(34)から弾き出された現像剤が第1の電界に基づいて第1の現像剤担持体(34)から第2の現像剤担持体(12)に向けて付勢されることから、第1の現像剤担持体(34)から第2の現像剤担持体(12)に対して効率的に現像剤が供給され、濃度むらの無い画像が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0015】
〔画像形成装置〕
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成をその画像形成動作と共に説明する。画像形成装置10は、静電潜像担持体および現像剤担持体(第2の現像剤担持体)として機能する感光体12を有する。実施形態では、感光体12は円筒体で形成されており、外周面に感光層が形成されている。ただし、本発明において、静電潜像担持体は円筒体からなる感光体に限るものでなく、ベルト形式の感光体も含む。図示するように、感光体12は、図示しない駆動源に駆動連結されており、時計周り方向に回転可能に支持されている。帯電装置14は感光体12の外周面に対向して配置されており、時計回り方向に回転する感光体12の外周面の画像形成領域を所定の電位に帯電する。帯電された感光体12の外周面は画像照射装置16から画像が照射されて静電潜像が形成される。静電潜像は、ほぼ帯電電位を維持する非画像部と、画像が照射されて電位が減衰している画像部を含む。したがって、画像部は再現すべき画像に対応しており、現像装置18から現像剤のトナーが供給されて可視像化される。可視像化されたトナー像は、転写装置20によって、感光体12と転写装置20の間を通過する記録媒体(例えば紙)22に転写される。転写されたトナー像は記録媒体22と共に定着装置24に搬送され、そこで記憶媒体22に定着される。トナー像が定着された記録媒体22は、例えば排出トレイに排出される。
【0016】
〔現像装置〕
現像装置18は、トナーを主成分とする現像剤(一成分現像剤)を収容するハウジング30と、ハウジング30に収容されているトナー32を感光体12の外周面に供給する現像剤担持体(第1の現像剤担持体)として機能する現像ローラ34を有する。現像ローラ34の背後には、現像ローラ34の外周面に接触し、現像ローラ34の外周面に所定量のトナー32を保持させると共に現像ローラ34に保持されたトナー32を所定の極性に帯電する帯電部材36を有する。現像ローラ34は電界形成部である電源40に接続されている。電源40は、現像ローラ34とグランド42の間に接続された直流電源44と交流電源46を有する。このように構成された現像装置18によれば、ハウジング30に収容されているトナー32は、現像ローラ34の外周面に保持され、帯電部材36の接触領域38で所定の極性に帯電される。また、帯電部材36により、帯電部材36の接触領域38を通過した現像ローラ34の外周面に保持されているトナー量が所定の値に調整される。接触領域38を通過したトナー32は、現像ローラ34と感光体12が対向する現像領域40に搬送され、ここで感光体12の静電潜像画像部に供給される。現像領域40を通過したトナー32は、現像ローラ34と共にハウジング30の内部に戻り、そこで消費した量に見合う量のトナーが補充される。
【0017】
図2を参照して、現像領域における現像の原理について説明する。本実施形態では、トナー32は負極性に帯電される。図において、実線50が感光体12上の静電潜像電位を表しており、そこには画像光が照射されて減衰した画像部電位VLを有する電位部(第1の電圧部)と、帯電電位にほぼ一致する非画像部電位V0を有する電位部(第2の電圧部)が含まれている。実線52は現像ローラ34の電位を表している。上述のように現像ローラ34は直流電源44と交流電源46に接続されており、直流電源44から供給される直流電圧と交流電源46から供給される交流電圧が印加される。直流電圧はVDCで表されている。交流電圧は、ピーク・ツー・ピーク電圧VPPを有する矩形波である。したがって、直流電圧と交流電圧が合成された電圧は、電圧(第1の電圧)V1(|VDC|−VPP/2)と電圧(第2の電圧)V2(VPP/2−|VDC|)を交互に繰り返す矩形波である。電圧V1の持続時間をt1、電圧V2の持続時間をt2とすると、電圧V1のデューティ比Ds(%)が〔t1/(t1+t2)〕×100で表される。以下、このデューティ比を「供給デューティ比」という。
【0018】
例えば、各電圧は以下の表1のように設定される。
【表1】
【0019】
この条件では、現像領域40において、負極性の電荷を有するトナー32には現像ローラ34から感光体12に向けてトナーを付勢する電界(供給電界)と感光体12から現像ローラ34に向けてトナー32を付勢する電界(回収電界)が交互に作用するが、平均的に見れば、概ね直流電圧VDC(−320ボルト)と静電潜像画像部電圧VL(−20ボルト)との電位差に基づき、負極性の電荷を有するトナー32は現像ローラ34から感光体12に吸引されて飛翔する。静電潜像非画像部はV0=−450ボルトの電位を有することから、現像ローラ34から静電潜像非画像部に負荷電トナーが飛翔することはない。
【0020】
〔トナー飛翔量〕
現像ローラ34から感光体12に飛翔するトナー量は、現像ローラ34に印加されている交流電圧、特に電圧V1,V2,及び供給デューティ比Dsの影響を受ける。図3を参照すると、現像ローラ34と感光体12との間に作用する交流電圧により現像ローラ34と感光体12の間には、電圧V1に基づいて現像ローラ34から感光体12に向かってトナー32を電気的に付勢する第1の電界(供給電界)54と、電圧V2に基づいて感光体12から現像ローラ34に向かってトナー32を電気的に付勢する第2の電界(回収電界)56が交互に作用する。第1の電界54と第2の電界56がトナー32の飛翔に最も効率良く作用する条件は、第1の電界54に基づいて現像ローラ32から感光体12に向けて飛翔したトナー32’が第2の電界56に基づいて感光体12から現像ローラ34に向けて引き戻され、現像ローラ34に保持されているトナー32”に衝突して該トナー32”を現像ローラ34から弾き出し、この弾き出されたトナー32”が第1の電界54に基づいて現像ローラ34から感光体12に向けて付勢されることである。以下、このようなトナーの往復運動を「ポンピング」という。この最適現像条件が満足されると、たとえ感光体12に対する現像ローラ34の位置設定、すなわち感光体12と現像ローラ34のギャップ調整に誤差があっても、すべての画像、例えば、べた画像やドット画像が濃度むら無く再現できると考えられる。
【0021】
〔最適現像条件〕
最適現像条件について検討する。なお、以下の説明では、トナーは負極の電荷を有し、感光体の画像部電位と非画像部電位の平均電圧(以下、「感光体電位」という。)と現像ローラに印加される直流電圧は負極を有するものとする。
【0022】
図4は、感光体電位と、現像ローラに印加される交番電圧の関係を示す。現像ローラには、交流電圧(ピーク・ツー・ピーク電圧VPP)と直流電圧(VDC)を合成した電圧(最大電圧Vmax、最小電圧Vmin)が印加されるものとする。Vmax,Vminは以下の数式3,4で与えられる。
【数3】
【数4】
【0023】
この条件で、供給電界に基づいてトナーが現像ローラから感光体に向けて飛翔するときの供給加速度(α1)と、回収電界に基づいてトナーが感光体から現像ローラに向けて飛翔するときの回収加速度(α2)は、以下の数式5,6で与えられる。
【数5】
【数6】
【0024】
供給電界に基づいて現像ローラから感光体に向けて飛翔したトナーが、次の回収電界に基づいて感光体から現像ローラに飛翔して現像ローラ上のトナーに衝突し、その衝突と同時に又は衝突直後に再びトナーに供給電界が作用する条件の運動方程式は、以下の数式7で与えられる。この数式7については、後に説明する。
【数7】
【0025】
数式7は、以下の数式8に書き換えることができる。
【数8】
【0026】
ピーク・ツー・ピーク電圧VPP、直流電圧VDCを以下の表2に示す値に設定し、ポンピングに最適な供給デューティ比(以下、「最適ポンピングデューティ比」〔t2・(t1+t2)〕(OPDR=という。)を計算した。計算結果を表3に示す。
【表2】
【表3】
【0027】
ピーク・ツー・ピーク電圧VPP、直流電圧VDCを種々の値に設定し、その設定値に対応する最適ポンピングデューティ比を計算した。計算結果を表4に示す。
【表4】
【0028】
図5〜7に示すように、表4に示す結果を用いて、各ピーク・ツー・ピーク電圧VPPごと(VPP:1300、1500,1700ボルト)に、各直流電圧VDCを(VDC:−320,−420,−520ボルト)について、感光体電位とそれに対応する最適ポンピングデューティ比をプロットし、各直流電圧に対応するプロット点を一次関数でフィッティングした。フィッティングした一次関数は以下の数式9.1〜9.9通りである。
【数9】
【0029】
図5〜7から明らかなように、最適ポンピングデューティ比は感光体電位の一次関数で表すことができる。そして、各グラフに表された3つのフィッティングラインはほぼ同一の傾き(一次係数)を有する。また、3つのグラフに表されたそれぞれフィッティングラインの傾きが異なることから、フィッティングラインの傾きはピーク・ツー・ピーク電圧VPPに依存することが分かる。さらに、3つのグラフに表れた、同一直流電圧に関する3つのフィッティングラインにおけるゼロ次(切片)の値は異なる値を有する。
【0030】
以上より、フィッティングラインの一次係数がピーク・ツー・ピーク電圧VPPに依存し、ゼロ次の値がピーク・ツー・ピーク電圧VPPと直流電圧VDCの両方に依存することから、最適ポンピングデューティ比は、以下の数式10に示す一次関数によって定義できることが分かる。
【数10】
【0031】
図5〜7のそれぞれに表された3つの一次関数の傾き(一次係数)f1(VPP)の平均値とゼロ次の値f2(VPP、VDC)を以下の表5に示す。
【表5】
【0032】
図8に示すように、表5における一次係数f1(VPP)の3つの値を、一次係数f1(VPP)とピーク・ツー・ピーク電圧VPPの関係図にプロットし、それらの3点を一次関数でフィッティングした。フィッティングした一次関数は以下の数式11で与えられる。
【数11】
【0033】
ゼロ次の値f2(VPP、VDC)を、以下の数式12に示す一次関数で定義した。
【数12】
次に、図9に示すように、表5に示す各VPPにおけるf2(VPP、VDC)の値を、f2(VPP、VDC)と直流電圧VDCの関係図にプロットし、各VPPのプロット点を一次関数でフィッティングした。フィッティングした一次関数は以下の数式13〜14で与えられる。
【数13】
これら3つの一次関数のゼロ係数値の平均値(39.19)を用いると、f2は以下の数式14で代表することができる。
【数14】
【0034】
次に、図10に示すように、表5に示す各VPPにおけるf2(VPP、VDC)の値を、f2(VPP、VDC)と直流電圧VDCの関係図にプロットし、各VPPのプロット点を一次関数でフィッティングした。フィッティングした一次関数は、以下の数式15で与えられる。
【数15】
【0035】
以上の数式10,11,14,15をまとめると、最適ポンピングデューティ比OPDRは以下の数式16で与えられる。
【数16】
【0036】
以上の計算は、感光体電位Vと直流電圧VDCが負極性を有し、トナーは負極性に帯電される場合について行ったが、これらの極性が逆の極性をとる画像形成プロセスを考慮すると、数式16は以下の普遍的な数式17に変換できる。
【数17】
【0037】
〔運動方程式〕
上述した数式7の運動方程式が導かれる理由を説明する。
初期位置X0にある粒子が、初速V0、加速度αをもって運動する場合、この粒子のt時間後の位置X(t)、速度V(t)は、以下の数式18,19で与えられる。
【数18】
【数19】
【0038】
時刻t=0の時点で現像ローラ表面に静止しているトナー粒子を想定する。このトナー粒子が、加速度α1が得られる供給電界の作用をt1時間受けた場合、供給電界終了時点におけるトナー粒子の位置X1と速度V1は、以下の数式20,21で与えられる。
【数20】
【数21】
【0039】
供給電界が終了した後、加速度α2が得られる回収電界の作用をt2時間受けた場合、回収電界終了時点におけるトナー粒子の位置X2は、以下の数式22で与えられる。
【数22】
この数式22に数式20のX1、数式21の速度V1を代入すると、以下の数式23が得られる。
【数23】
【0040】
このように、供給電界と回収電界の作用を受けた後のトナー粒子の位置が数式23で与えられる。この式21において、左辺のX2を「0」である条件(数式17に示す条件)が、供給電界に基づいて現像ローラから感光体に向けて移動したトナー粒子が、その後回収電界に基づいて現像ローラに向かって移動し、ちょうど回収電界が終了した時点で現像ローラの表面に衝突し、その衝突と同時に又は衝突直後に再びトナーに供給電界が作用する、最適なポンピングの得られる条件である。
【0041】
〔最適現像条件の検証〕
複数の条件で画像を形成し、上述の数式(17)によって得られる理論上の現像条件が正しいか検証実験を行った。具体的には、複数のトナーを用意し、トナーの現像ローラに対する付着力が異なった場合であっても、ポンピング作用によってトナーが良好に現像ローラから離脱できているかを検証した。まず、検証に必要な項目について、以下に説明する。
【0042】
〔1.トナーの機械的付着力〕
現像は現像ローラに保持されている荷電トナー粒子が現像ローラに電気的に吸引されて飛翔する現象を利用するものであるが、現像性を評価するためには、前提として感光体とトナーの機械的な付着力を把握しておくことが必要である。
【0043】
遠心分離法を用いて、トナーの現像ローラに対する付着力を求めた。図11は、遠心分離法を説明するための図である。
【0044】
図に示すように、現像ローラに見立てた基板60を用意した。基板60の表面62には現像ローラの表層と同じ材料からなる層が形成されている。また、平均粒子径と円形度が異なる複数のトナー64を用意した。用意したトナーは、円形度が0.96で且つ平均粒子径が12、8μmの2種類のトナーA、Bと、円形度が0.96、0.90で平均粒子径が8μmの2種類のトナーC,Dである。そして、基板表面62に電荷の無いトナー64を散布し、基板表面62とトナー64の機械的付着力に基づいて、基板表面62にトナー64を保持させた。遠心分離器(図示せず)を用いて、該遠心分離器の回転軸66を中心に基板60を回転してトナー64に遠心力Fcを作用し、基板60の径方向外側に配置した捕獲部材68で、基板60から分離したトナー64を捕獲し、各平均粒子径と遠心力Fcの関係と、円形度と付着力Faの関係を求めた。
【0045】
なお、トナー粒子に作用する遠心力は以下の数式24で表される。
【数24】
ここで、粒子径d、比重ρ、距離Lは既知である。回転数Nは、トナーが基板60から分離したときの回転数である。したがって、トナーが基板から分離した回転数(平均回転数)Nを求め、そのときトナーに作用した遠心力Fc、すなわち、トナー付着力Faを数式24から計算した。
【0046】
計測の結果、図12(a)に示すように、トナーA、Bの付着力はそれぞれ45、30nNであった。また、図12(b)に示すように、トナーC,Dそれぞれの付着力はそれぞれ39、30であった。これらの図を参照すれば、トナー粒子径が大きくなるほど、また、円形度が小さくなるほど、付着力が大きくなることが理解できる。
【0047】
〔2.静電潜像〕
静電潜像は、図13に示す2つの静電潜像−ハーフトーン潜像70とべた潜像71−を用意した。図中、網点で表した画素72がトナーの付着する潜像部分、無模様で表した画素73がトナーの付着しない潜像部分である。
【0048】
〔3.電圧条件〕
交流電圧のVPPは1500〜1800Vの範囲で設定した。供給デューティ比は10〜50%の範囲で設定した。交流電圧の周波数は2000Hzとした。その他の電圧条件は、表6のとおりである。
【表6】
【0049】
〔4.判定基準〕
ハーフトーン潜像とソリッド潜像をそれぞれ現像したハーフトーン画像とべた画像の濃度むらを判定した。濃度むらの判定は、視覚的判断に基づいて行った。
【0050】
〔5.理論計算結果〕
表6の条件と数式(17)に基づいて計算した理論上の現像条件は、表7の通りである。
【表7】
【0051】
〔6.実験の結果〕
トナーA〜Dを用いて各電圧条件で現像したハーフトーン画像とべた画像の濃度むらの判定結果を図14〜図17の表に示す。表において、記号「○」は濃度むらがなかったことを示す。また、図14(a)〜図17(a)はハーフトーン画像を現像した際の判定結果、図14(b)〜図17(b)はベタ画像を現像した際の判定結果、図14(c)〜図17(c)はハーフトーン画像とべた画像の両方について良好な結果が得られたものを示す。これらの図から明らかなように、数式(17)で得られた現像条件であれば、トナーの現像ローラに対する付着量が種々異なっていても、常に良好な画像が得られることが検証された。
【0052】
〔7.適正電圧条件〕
上述の数式(17)は最も好ましい現像条件を得るための式であり、最も好ましい1つの条件の組み合わせを示す。しかし、実際にはその組み合わせを中心としてある程度の範囲であれば十分に良好な結果を得ることができる。この範囲を特定するために次の実験を行った。
【0053】
具体的には、最適ポンピングデューティ比を±5%変化させて、その範囲で濃度むらの無いハーフトーン画像とべた画像が得られるか否か又適正画像濃度(0.9〜1.1の範囲の濃度)の画像が得られるかを確認した。この実験では、以下の表7に示すように、感光体電位Vを235ボルト、直流電圧VDCを320ボルトに固定し、ピーク・ツー・ピーク電圧VPPを1200〜1800ボルトの範囲で変化させて、作成されたハーフトーン画像、ベタ画像に濃度むらがあったか否か目視で確認するとともに、上述の濃度計を用いて画像濃度が適正画像濃度の範囲にあるか否か判定した。結果を表8に示す。表中、「○」はハーフトーン画像とべた画像のいずれにも濃度むらが無く、かつ、画像濃度が適正画像濃度の範囲にあったことを示す。
【表8】
【0054】
以上のことから、最適デューティ比(ADR)は、最適ポンピングデューティ比を中心とする±5%の範囲を含み、その範囲では確実に濃度むらの無いハーフトーン画像とべた画像が得られることがわかった。したがって、適正デューティ比(ADR)は、以下の数式25,26で与えられる。
【数25】
【数26】
【0055】
以上で説明したように、画像形成装置の電圧条件を式23、24が満足されるように設定することで、上述した最適条件又は適正条件が満足されているものと考えられ、濃度むらの無いハーフトーン画像とべた画像が得られると共に適正濃度が画像が得られる。
【0056】
以上、第1の現像剤担持体である現像ローラ第2の現像剤担持体である感光体の間の電圧条件について説明したが、上述の条件式は2つの現像剤担持体の一方から他方に現像剤を供給する形式のすべての画像形成装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図。
【図2】感光体上の電位と現像ローラに印加される電圧との関係を示す図。
【図3】現像領域におけるトナーの挙動を説明する図。
【図4】感光体電位と交番電圧の最大及び最小電圧との関係を示す図。
【図5】ピーク・ツー・ピーク電圧1300ボルトにおける感光体電位と最適ポンピングデューティ比との関係を示すグラフ。
【図6】ピーク・ツー・ピーク電圧1500ボルトにおける感光体電位と最適ポンピングデューティ比との関係を示すグラフ。
【図7】ピーク・ツー・ピーク電圧1700ボルトにおける感光体電位と最適ポンピングデューティ比との関係を示すグラフ。
【図8】最適ポンピングデューティ比を得るフィッティングを説明するグラフ。
【図9】最適ポンピングデューティ比を得るフィッティングを説明するグラフ。
【図10】最適ポンピングデューティ比を得るフィッティングを説明するグラフ。
【図11】遠心分離法を説明する図。
【図12】トナーの平均粒子径と付着力との関係、トナーの円形度と付着力との関係を示すグラフ。
【図13】ドット画像とべた画像に対応する静電潜像を説明する図。
【図14】トナーAを用いて現像した画像における濃度むら有無及び画像濃度を判定した結果を示す表。
【図15】トナーBを用いて現像した画像における濃度むら有無及び画像濃度を判定した結果を示す表。
【図16】トナーCを用いて現像した画像における濃度むら有無及び画像濃度を判定した結果を示す表。
【図17】トナーDを用いて現像した画像における濃度むら有無及び画像濃度を判定した結果を示す表。
【符号の説明】
【0058】
10:画像形成装置、12:感光体(第2の現像剤担持体)、18:現像装置、32:トナー、34:現像ローラ、40:電源、42:グランド、44:直流電源、46:交流電源。
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体現像剤を用いた電子写真式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式画像形成装置として、トナーを主成分とする現像剤を用いた画像形成装置が提案されている。この画像形成装置は、静電潜像担持体である感光体に間隔をあけて対向する現像ローラを備えており、この現像ローラの外周面に荷電トナーが保持されている。画像形成時、感光体の外周面には静電潜像が形成される。静電潜像は画像部と非画像部を備えており、静電潜像画像部と現像ローラとの電位差に基づいて、荷電トナーが静電潜像画像部に付着してトナー像が形成される。トナー像は、後に用紙等の媒体に転写されて定着されて、最終的な画像が得られる。
【0003】
また、一成分現像剤を使用する画像形成装置の他の形態として、現像ローラに交番電圧を印加し、これにより現像ローラから感光体へのトナーの移動を促進する技術が知られている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平5一11582公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、実際には、画像形成装置に組み込まれている感光体や現像ローラは、少なからず偏芯している。そのため、この偏芯によって、回転中の感光体と現像ローラの距離はわずかに変化し、感光体と現像ローラ間に形成されている電界の強さが変化する。その結果、現像ローラとの付着力に打ち勝って現像ローラ上の現像剤を引き剥がして飛翔させる力が周期的に変化し、それが画像に濃度むらが表れる傾向があった。このような画像濃度むらは、感光体や現像ローラの公差の許容範囲を狭めることによってある程度軽減できるものの、そのためには大幅なコストアップを招来するため、現実的な手段ではない。
【0005】
実際、画像濃度むらについて、本発明者らが実験によって詳しく検討したところ、交番電圧が低いときはドット画像に濃度むらが表れ、逆に、交番電圧が高いときはペた画像に濃度むらが表れる傾向が見られた。これは、以下の理由によるものと考えられる。
【0006】
べた画像とドット画像とを比べた場合、巨視的にみた潜像電界は、べた画像の潜像のほうが面積が広い分だけ強い。したがって、現像ローラ上のトナーが感光体へ向けて飛翔し易いのはべた画像の潜像に対してであり、逆にドット画像の潜像に対してトナーは飛翔しにくく、印加する交番電圧が低いときには現像ローラの偏芯による画像濃度むらが出やすいと考えられる。
【0007】
一方、交番電圧を大きくした場合、べた潜像とドット潜像の何れに対してもトナーの飛翔量は多く潜像を可視化するに充分な量が飛翔するものの、感光体から現像ローラへトナーを移動させる方向の電界も強くなってしまい、べた画像の潜像に付着していたトナーが剥ぎ取られてしまうと考えられる。なお、ドット画像の潜像の場合には、潜像のエッジ部の電界が回りこむ所謂エッジ効果が生じていることにより、回収方向の電界の影響を受けにくいため、べた画像の潜像ほど濃度むらは目立たないと考えられる。
【0008】
このように、べた画像の潜像とドット画像の潜像とで濃度むらの発生原因が異なることに起因して最適なバイアス設定値が異なっており、それらを両立した状態で濃度むらなく再現することは困難であった。
【0009】
本発明は、感光体あるいは現像ローラなどの回転体の偏芯によって感光体と現像ローラとの距離が変化する場合であっても、べた画像とドット画像を共に濃度むら無く再現できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置(10)は、第1の現像剤担持体(34)と第2の現像剤担持体(12)との間に電界を形成する電界形成部(40)を備えている。電界形成部(40)は、第1の現像剤担持体(34)と第2の現像剤担持体(12)との間に、現像剤(32)を第1の現像剤担持体(34)から第2の現像剤担持体(12)に向けて電気的に付勢する第1の電界(54)を形成する第1の電圧(V1)と、第1の現像剤担持体(34)と第2の現像剤担持体(12)との間に現像剤(32)を第2の現像剤担持体(12)から第1の現像剤担持体(34)に向けて電気的に付勢する第2の電界(56)を形成する第2の電圧(V2)を、交互に且つ周期的に出力する。第1の電圧(V1)の出力時間(t1)と第2の電圧(V2)の出力時間(t2)は、第1の電界(54)に基づいて第1の現像剤担持体(34)から第2の現像剤担持体(12)に向けて移動した現像剤(32)が第2の電界(56)に基づいて第2の現像剤担持体(12)から第1の現像剤担持体(34)に向けて引き戻されて第1の現像剤担持体(34)に保持されている現像剤(32)に衝突して弾き出し、第1の現像剤担持体(34)から弾き出された現像剤(32”)が第1の電界(54)に基づいて第1の現像剤担持体(34)から第2の現像剤担持体(12)に向けて付勢されるように決められている。
【0011】
本発明の他の形態の画像形成装置において、上記第2の現像剤担持体(12)は、上記第1及び第2の電圧(V1、V2)と協働して上記現像剤を上記第1の現像剤担持体(34)から上記第2の現像剤担持体(12)に電気的に付勢する第1の電圧部(VL)と、上記第1及び第2の電圧と協働して上記現像剤を上記第2の現像剤担持体(12)から上記第1の現像剤担持体(34)に電気的に付勢する第2の電圧部(V0)が形成されることを特徴とする。
【0012】
本発明の他の形態の画像形成装置において、
上記第1の電圧(V1)と第2の電圧(V2)の電位差VPPと、
上記第1の電圧(V1)と第2の電圧(V2)の平均電圧(VDC)のグランドに対する電位差VDCと、
上記第1の電圧部(VL)の電位と上記第2の電圧部(V0)の電位との平均電圧Vと、
上記第1の電圧(V1)の出力時間(t1)と第2の電圧(V2)の出力時間(t2)の合計出力時間(T=t1+t2)に対する上記第1の電圧(V1)の出力時間の比率Ds(%)が数式1,2
【数1】
【数2】
の関係を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、第1の電界に基づいて第1の現像剤担持体(34)から第2の現像剤担持体(12)に向けて移動した現像剤が第2の電界に基づいて第2の現像剤担持体(12)から第1の現像剤担持体(34)に向けて引き戻されて第1の現像剤担持体(34)に保持されている現像剤に衝突して弾き出し、第1の現像剤担持体(34)から弾き出された現像剤が第1の電界に基づいて第1の現像剤担持体(34)から第2の現像剤担持体(12)に向けて付勢されることから、第1の現像剤担持体(34)から第2の現像剤担持体(12)に対して効率的に現像剤が供給され、濃度むらの無い画像が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0015】
〔画像形成装置〕
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成をその画像形成動作と共に説明する。画像形成装置10は、静電潜像担持体および現像剤担持体(第2の現像剤担持体)として機能する感光体12を有する。実施形態では、感光体12は円筒体で形成されており、外周面に感光層が形成されている。ただし、本発明において、静電潜像担持体は円筒体からなる感光体に限るものでなく、ベルト形式の感光体も含む。図示するように、感光体12は、図示しない駆動源に駆動連結されており、時計周り方向に回転可能に支持されている。帯電装置14は感光体12の外周面に対向して配置されており、時計回り方向に回転する感光体12の外周面の画像形成領域を所定の電位に帯電する。帯電された感光体12の外周面は画像照射装置16から画像が照射されて静電潜像が形成される。静電潜像は、ほぼ帯電電位を維持する非画像部と、画像が照射されて電位が減衰している画像部を含む。したがって、画像部は再現すべき画像に対応しており、現像装置18から現像剤のトナーが供給されて可視像化される。可視像化されたトナー像は、転写装置20によって、感光体12と転写装置20の間を通過する記録媒体(例えば紙)22に転写される。転写されたトナー像は記録媒体22と共に定着装置24に搬送され、そこで記憶媒体22に定着される。トナー像が定着された記録媒体22は、例えば排出トレイに排出される。
【0016】
〔現像装置〕
現像装置18は、トナーを主成分とする現像剤(一成分現像剤)を収容するハウジング30と、ハウジング30に収容されているトナー32を感光体12の外周面に供給する現像剤担持体(第1の現像剤担持体)として機能する現像ローラ34を有する。現像ローラ34の背後には、現像ローラ34の外周面に接触し、現像ローラ34の外周面に所定量のトナー32を保持させると共に現像ローラ34に保持されたトナー32を所定の極性に帯電する帯電部材36を有する。現像ローラ34は電界形成部である電源40に接続されている。電源40は、現像ローラ34とグランド42の間に接続された直流電源44と交流電源46を有する。このように構成された現像装置18によれば、ハウジング30に収容されているトナー32は、現像ローラ34の外周面に保持され、帯電部材36の接触領域38で所定の極性に帯電される。また、帯電部材36により、帯電部材36の接触領域38を通過した現像ローラ34の外周面に保持されているトナー量が所定の値に調整される。接触領域38を通過したトナー32は、現像ローラ34と感光体12が対向する現像領域40に搬送され、ここで感光体12の静電潜像画像部に供給される。現像領域40を通過したトナー32は、現像ローラ34と共にハウジング30の内部に戻り、そこで消費した量に見合う量のトナーが補充される。
【0017】
図2を参照して、現像領域における現像の原理について説明する。本実施形態では、トナー32は負極性に帯電される。図において、実線50が感光体12上の静電潜像電位を表しており、そこには画像光が照射されて減衰した画像部電位VLを有する電位部(第1の電圧部)と、帯電電位にほぼ一致する非画像部電位V0を有する電位部(第2の電圧部)が含まれている。実線52は現像ローラ34の電位を表している。上述のように現像ローラ34は直流電源44と交流電源46に接続されており、直流電源44から供給される直流電圧と交流電源46から供給される交流電圧が印加される。直流電圧はVDCで表されている。交流電圧は、ピーク・ツー・ピーク電圧VPPを有する矩形波である。したがって、直流電圧と交流電圧が合成された電圧は、電圧(第1の電圧)V1(|VDC|−VPP/2)と電圧(第2の電圧)V2(VPP/2−|VDC|)を交互に繰り返す矩形波である。電圧V1の持続時間をt1、電圧V2の持続時間をt2とすると、電圧V1のデューティ比Ds(%)が〔t1/(t1+t2)〕×100で表される。以下、このデューティ比を「供給デューティ比」という。
【0018】
例えば、各電圧は以下の表1のように設定される。
【表1】
【0019】
この条件では、現像領域40において、負極性の電荷を有するトナー32には現像ローラ34から感光体12に向けてトナーを付勢する電界(供給電界)と感光体12から現像ローラ34に向けてトナー32を付勢する電界(回収電界)が交互に作用するが、平均的に見れば、概ね直流電圧VDC(−320ボルト)と静電潜像画像部電圧VL(−20ボルト)との電位差に基づき、負極性の電荷を有するトナー32は現像ローラ34から感光体12に吸引されて飛翔する。静電潜像非画像部はV0=−450ボルトの電位を有することから、現像ローラ34から静電潜像非画像部に負荷電トナーが飛翔することはない。
【0020】
〔トナー飛翔量〕
現像ローラ34から感光体12に飛翔するトナー量は、現像ローラ34に印加されている交流電圧、特に電圧V1,V2,及び供給デューティ比Dsの影響を受ける。図3を参照すると、現像ローラ34と感光体12との間に作用する交流電圧により現像ローラ34と感光体12の間には、電圧V1に基づいて現像ローラ34から感光体12に向かってトナー32を電気的に付勢する第1の電界(供給電界)54と、電圧V2に基づいて感光体12から現像ローラ34に向かってトナー32を電気的に付勢する第2の電界(回収電界)56が交互に作用する。第1の電界54と第2の電界56がトナー32の飛翔に最も効率良く作用する条件は、第1の電界54に基づいて現像ローラ32から感光体12に向けて飛翔したトナー32’が第2の電界56に基づいて感光体12から現像ローラ34に向けて引き戻され、現像ローラ34に保持されているトナー32”に衝突して該トナー32”を現像ローラ34から弾き出し、この弾き出されたトナー32”が第1の電界54に基づいて現像ローラ34から感光体12に向けて付勢されることである。以下、このようなトナーの往復運動を「ポンピング」という。この最適現像条件が満足されると、たとえ感光体12に対する現像ローラ34の位置設定、すなわち感光体12と現像ローラ34のギャップ調整に誤差があっても、すべての画像、例えば、べた画像やドット画像が濃度むら無く再現できると考えられる。
【0021】
〔最適現像条件〕
最適現像条件について検討する。なお、以下の説明では、トナーは負極の電荷を有し、感光体の画像部電位と非画像部電位の平均電圧(以下、「感光体電位」という。)と現像ローラに印加される直流電圧は負極を有するものとする。
【0022】
図4は、感光体電位と、現像ローラに印加される交番電圧の関係を示す。現像ローラには、交流電圧(ピーク・ツー・ピーク電圧VPP)と直流電圧(VDC)を合成した電圧(最大電圧Vmax、最小電圧Vmin)が印加されるものとする。Vmax,Vminは以下の数式3,4で与えられる。
【数3】
【数4】
【0023】
この条件で、供給電界に基づいてトナーが現像ローラから感光体に向けて飛翔するときの供給加速度(α1)と、回収電界に基づいてトナーが感光体から現像ローラに向けて飛翔するときの回収加速度(α2)は、以下の数式5,6で与えられる。
【数5】
【数6】
【0024】
供給電界に基づいて現像ローラから感光体に向けて飛翔したトナーが、次の回収電界に基づいて感光体から現像ローラに飛翔して現像ローラ上のトナーに衝突し、その衝突と同時に又は衝突直後に再びトナーに供給電界が作用する条件の運動方程式は、以下の数式7で与えられる。この数式7については、後に説明する。
【数7】
【0025】
数式7は、以下の数式8に書き換えることができる。
【数8】
【0026】
ピーク・ツー・ピーク電圧VPP、直流電圧VDCを以下の表2に示す値に設定し、ポンピングに最適な供給デューティ比(以下、「最適ポンピングデューティ比」〔t2・(t1+t2)〕(OPDR=という。)を計算した。計算結果を表3に示す。
【表2】
【表3】
【0027】
ピーク・ツー・ピーク電圧VPP、直流電圧VDCを種々の値に設定し、その設定値に対応する最適ポンピングデューティ比を計算した。計算結果を表4に示す。
【表4】
【0028】
図5〜7に示すように、表4に示す結果を用いて、各ピーク・ツー・ピーク電圧VPPごと(VPP:1300、1500,1700ボルト)に、各直流電圧VDCを(VDC:−320,−420,−520ボルト)について、感光体電位とそれに対応する最適ポンピングデューティ比をプロットし、各直流電圧に対応するプロット点を一次関数でフィッティングした。フィッティングした一次関数は以下の数式9.1〜9.9通りである。
【数9】
【0029】
図5〜7から明らかなように、最適ポンピングデューティ比は感光体電位の一次関数で表すことができる。そして、各グラフに表された3つのフィッティングラインはほぼ同一の傾き(一次係数)を有する。また、3つのグラフに表されたそれぞれフィッティングラインの傾きが異なることから、フィッティングラインの傾きはピーク・ツー・ピーク電圧VPPに依存することが分かる。さらに、3つのグラフに表れた、同一直流電圧に関する3つのフィッティングラインにおけるゼロ次(切片)の値は異なる値を有する。
【0030】
以上より、フィッティングラインの一次係数がピーク・ツー・ピーク電圧VPPに依存し、ゼロ次の値がピーク・ツー・ピーク電圧VPPと直流電圧VDCの両方に依存することから、最適ポンピングデューティ比は、以下の数式10に示す一次関数によって定義できることが分かる。
【数10】
【0031】
図5〜7のそれぞれに表された3つの一次関数の傾き(一次係数)f1(VPP)の平均値とゼロ次の値f2(VPP、VDC)を以下の表5に示す。
【表5】
【0032】
図8に示すように、表5における一次係数f1(VPP)の3つの値を、一次係数f1(VPP)とピーク・ツー・ピーク電圧VPPの関係図にプロットし、それらの3点を一次関数でフィッティングした。フィッティングした一次関数は以下の数式11で与えられる。
【数11】
【0033】
ゼロ次の値f2(VPP、VDC)を、以下の数式12に示す一次関数で定義した。
【数12】
次に、図9に示すように、表5に示す各VPPにおけるf2(VPP、VDC)の値を、f2(VPP、VDC)と直流電圧VDCの関係図にプロットし、各VPPのプロット点を一次関数でフィッティングした。フィッティングした一次関数は以下の数式13〜14で与えられる。
【数13】
これら3つの一次関数のゼロ係数値の平均値(39.19)を用いると、f2は以下の数式14で代表することができる。
【数14】
【0034】
次に、図10に示すように、表5に示す各VPPにおけるf2(VPP、VDC)の値を、f2(VPP、VDC)と直流電圧VDCの関係図にプロットし、各VPPのプロット点を一次関数でフィッティングした。フィッティングした一次関数は、以下の数式15で与えられる。
【数15】
【0035】
以上の数式10,11,14,15をまとめると、最適ポンピングデューティ比OPDRは以下の数式16で与えられる。
【数16】
【0036】
以上の計算は、感光体電位Vと直流電圧VDCが負極性を有し、トナーは負極性に帯電される場合について行ったが、これらの極性が逆の極性をとる画像形成プロセスを考慮すると、数式16は以下の普遍的な数式17に変換できる。
【数17】
【0037】
〔運動方程式〕
上述した数式7の運動方程式が導かれる理由を説明する。
初期位置X0にある粒子が、初速V0、加速度αをもって運動する場合、この粒子のt時間後の位置X(t)、速度V(t)は、以下の数式18,19で与えられる。
【数18】
【数19】
【0038】
時刻t=0の時点で現像ローラ表面に静止しているトナー粒子を想定する。このトナー粒子が、加速度α1が得られる供給電界の作用をt1時間受けた場合、供給電界終了時点におけるトナー粒子の位置X1と速度V1は、以下の数式20,21で与えられる。
【数20】
【数21】
【0039】
供給電界が終了した後、加速度α2が得られる回収電界の作用をt2時間受けた場合、回収電界終了時点におけるトナー粒子の位置X2は、以下の数式22で与えられる。
【数22】
この数式22に数式20のX1、数式21の速度V1を代入すると、以下の数式23が得られる。
【数23】
【0040】
このように、供給電界と回収電界の作用を受けた後のトナー粒子の位置が数式23で与えられる。この式21において、左辺のX2を「0」である条件(数式17に示す条件)が、供給電界に基づいて現像ローラから感光体に向けて移動したトナー粒子が、その後回収電界に基づいて現像ローラに向かって移動し、ちょうど回収電界が終了した時点で現像ローラの表面に衝突し、その衝突と同時に又は衝突直後に再びトナーに供給電界が作用する、最適なポンピングの得られる条件である。
【0041】
〔最適現像条件の検証〕
複数の条件で画像を形成し、上述の数式(17)によって得られる理論上の現像条件が正しいか検証実験を行った。具体的には、複数のトナーを用意し、トナーの現像ローラに対する付着力が異なった場合であっても、ポンピング作用によってトナーが良好に現像ローラから離脱できているかを検証した。まず、検証に必要な項目について、以下に説明する。
【0042】
〔1.トナーの機械的付着力〕
現像は現像ローラに保持されている荷電トナー粒子が現像ローラに電気的に吸引されて飛翔する現象を利用するものであるが、現像性を評価するためには、前提として感光体とトナーの機械的な付着力を把握しておくことが必要である。
【0043】
遠心分離法を用いて、トナーの現像ローラに対する付着力を求めた。図11は、遠心分離法を説明するための図である。
【0044】
図に示すように、現像ローラに見立てた基板60を用意した。基板60の表面62には現像ローラの表層と同じ材料からなる層が形成されている。また、平均粒子径と円形度が異なる複数のトナー64を用意した。用意したトナーは、円形度が0.96で且つ平均粒子径が12、8μmの2種類のトナーA、Bと、円形度が0.96、0.90で平均粒子径が8μmの2種類のトナーC,Dである。そして、基板表面62に電荷の無いトナー64を散布し、基板表面62とトナー64の機械的付着力に基づいて、基板表面62にトナー64を保持させた。遠心分離器(図示せず)を用いて、該遠心分離器の回転軸66を中心に基板60を回転してトナー64に遠心力Fcを作用し、基板60の径方向外側に配置した捕獲部材68で、基板60から分離したトナー64を捕獲し、各平均粒子径と遠心力Fcの関係と、円形度と付着力Faの関係を求めた。
【0045】
なお、トナー粒子に作用する遠心力は以下の数式24で表される。
【数24】
ここで、粒子径d、比重ρ、距離Lは既知である。回転数Nは、トナーが基板60から分離したときの回転数である。したがって、トナーが基板から分離した回転数(平均回転数)Nを求め、そのときトナーに作用した遠心力Fc、すなわち、トナー付着力Faを数式24から計算した。
【0046】
計測の結果、図12(a)に示すように、トナーA、Bの付着力はそれぞれ45、30nNであった。また、図12(b)に示すように、トナーC,Dそれぞれの付着力はそれぞれ39、30であった。これらの図を参照すれば、トナー粒子径が大きくなるほど、また、円形度が小さくなるほど、付着力が大きくなることが理解できる。
【0047】
〔2.静電潜像〕
静電潜像は、図13に示す2つの静電潜像−ハーフトーン潜像70とべた潜像71−を用意した。図中、網点で表した画素72がトナーの付着する潜像部分、無模様で表した画素73がトナーの付着しない潜像部分である。
【0048】
〔3.電圧条件〕
交流電圧のVPPは1500〜1800Vの範囲で設定した。供給デューティ比は10〜50%の範囲で設定した。交流電圧の周波数は2000Hzとした。その他の電圧条件は、表6のとおりである。
【表6】
【0049】
〔4.判定基準〕
ハーフトーン潜像とソリッド潜像をそれぞれ現像したハーフトーン画像とべた画像の濃度むらを判定した。濃度むらの判定は、視覚的判断に基づいて行った。
【0050】
〔5.理論計算結果〕
表6の条件と数式(17)に基づいて計算した理論上の現像条件は、表7の通りである。
【表7】
【0051】
〔6.実験の結果〕
トナーA〜Dを用いて各電圧条件で現像したハーフトーン画像とべた画像の濃度むらの判定結果を図14〜図17の表に示す。表において、記号「○」は濃度むらがなかったことを示す。また、図14(a)〜図17(a)はハーフトーン画像を現像した際の判定結果、図14(b)〜図17(b)はベタ画像を現像した際の判定結果、図14(c)〜図17(c)はハーフトーン画像とべた画像の両方について良好な結果が得られたものを示す。これらの図から明らかなように、数式(17)で得られた現像条件であれば、トナーの現像ローラに対する付着量が種々異なっていても、常に良好な画像が得られることが検証された。
【0052】
〔7.適正電圧条件〕
上述の数式(17)は最も好ましい現像条件を得るための式であり、最も好ましい1つの条件の組み合わせを示す。しかし、実際にはその組み合わせを中心としてある程度の範囲であれば十分に良好な結果を得ることができる。この範囲を特定するために次の実験を行った。
【0053】
具体的には、最適ポンピングデューティ比を±5%変化させて、その範囲で濃度むらの無いハーフトーン画像とべた画像が得られるか否か又適正画像濃度(0.9〜1.1の範囲の濃度)の画像が得られるかを確認した。この実験では、以下の表7に示すように、感光体電位Vを235ボルト、直流電圧VDCを320ボルトに固定し、ピーク・ツー・ピーク電圧VPPを1200〜1800ボルトの範囲で変化させて、作成されたハーフトーン画像、ベタ画像に濃度むらがあったか否か目視で確認するとともに、上述の濃度計を用いて画像濃度が適正画像濃度の範囲にあるか否か判定した。結果を表8に示す。表中、「○」はハーフトーン画像とべた画像のいずれにも濃度むらが無く、かつ、画像濃度が適正画像濃度の範囲にあったことを示す。
【表8】
【0054】
以上のことから、最適デューティ比(ADR)は、最適ポンピングデューティ比を中心とする±5%の範囲を含み、その範囲では確実に濃度むらの無いハーフトーン画像とべた画像が得られることがわかった。したがって、適正デューティ比(ADR)は、以下の数式25,26で与えられる。
【数25】
【数26】
【0055】
以上で説明したように、画像形成装置の電圧条件を式23、24が満足されるように設定することで、上述した最適条件又は適正条件が満足されているものと考えられ、濃度むらの無いハーフトーン画像とべた画像が得られると共に適正濃度が画像が得られる。
【0056】
以上、第1の現像剤担持体である現像ローラ第2の現像剤担持体である感光体の間の電圧条件について説明したが、上述の条件式は2つの現像剤担持体の一方から他方に現像剤を供給する形式のすべての画像形成装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図。
【図2】感光体上の電位と現像ローラに印加される電圧との関係を示す図。
【図3】現像領域におけるトナーの挙動を説明する図。
【図4】感光体電位と交番電圧の最大及び最小電圧との関係を示す図。
【図5】ピーク・ツー・ピーク電圧1300ボルトにおける感光体電位と最適ポンピングデューティ比との関係を示すグラフ。
【図6】ピーク・ツー・ピーク電圧1500ボルトにおける感光体電位と最適ポンピングデューティ比との関係を示すグラフ。
【図7】ピーク・ツー・ピーク電圧1700ボルトにおける感光体電位と最適ポンピングデューティ比との関係を示すグラフ。
【図8】最適ポンピングデューティ比を得るフィッティングを説明するグラフ。
【図9】最適ポンピングデューティ比を得るフィッティングを説明するグラフ。
【図10】最適ポンピングデューティ比を得るフィッティングを説明するグラフ。
【図11】遠心分離法を説明する図。
【図12】トナーの平均粒子径と付着力との関係、トナーの円形度と付着力との関係を示すグラフ。
【図13】ドット画像とべた画像に対応する静電潜像を説明する図。
【図14】トナーAを用いて現像した画像における濃度むら有無及び画像濃度を判定した結果を示す表。
【図15】トナーBを用いて現像した画像における濃度むら有無及び画像濃度を判定した結果を示す表。
【図16】トナーCを用いて現像した画像における濃度むら有無及び画像濃度を判定した結果を示す表。
【図17】トナーDを用いて現像した画像における濃度むら有無及び画像濃度を判定した結果を示す表。
【符号の説明】
【0058】
10:画像形成装置、12:感光体(第2の現像剤担持体)、18:現像装置、32:トナー、34:現像ローラ、40:電源、42:グランド、44:直流電源、46:交流電源。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をあけて対向する第1の現像剤担持体と第2の現像剤担持体を備え、電荷を有する粉体現像剤を上記第1の現像剤担持体から上記第2の現像剤担持体に移動させる画像形成装置において、
上記第1の現像剤担持体と第2の現像剤担持体との間に電界を形成する電界形成部を備えており、
上記電界形成部は、
上記第1の現像剤担持体と第2の現像剤担持体との間に、上記現像剤を上記第1の現像剤担持体から上記第2の現像剤担持体に向けて電気的に付勢する第1の電界を形成する第1の電圧と、上記第1の現像剤担持体と第2の現像剤担持体との間に上記現像剤を上記第2の現像剤担持体から上記第1の現像剤担持体に向けて電気的に付勢する第2の電界を形成する第2の電圧を、交互に且つ周期的に出力し、
上記第1の電圧の出力時間と第2の電圧の出力時間は、上記第1の電界に基づいて上記第1の現像剤担持体から上記第2の現像剤担持体に向けて移動した上記現像剤が上記第2の電界に基づいて上記第2の現像剤担持体から上記第1の現像剤担持体に向けて引き戻されて上記第1の現像剤担持体に保持されている上記現像剤に衝突して弾き出し、上記第1の現像剤担持体から弾き出された上記現像剤が上記第1の電界に基づいて上記第1の現像剤担持体から上記第2の現像剤担持体に向けて付勢されるように決められていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記第2の現像剤担持体は、上記第1及び第2の電圧と協働して上記現像剤を上記第1の現像剤担持体から上記第2の現像剤担持体に電気的に付勢する第1の電圧部と、上記第1及び第2の電圧と協働して上記現像剤を上記第2の現像剤担持体から上記第1の現像剤担持体に電気的に付勢する第2の電圧部が形成されることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
上記第1の電圧と第2の電圧の電位差VPP(V)と、
上記第1の電圧と第2の電圧の平均電圧のグランドに対する電位差VDC(V)と、
上記第1の電圧部の電位と上記第2の電圧部の電位との平均電圧V(V)と、
上記第1の電圧の出力時間と第2の電圧の出力時間の合計出力時間に対する上記第1の電圧の出力時間の比率ADR(%)が数式1、2
【数1】
【数2】
の関係を有することを特徴とする請求項2の画像形成装置。
【請求項1】
間隔をあけて対向する第1の現像剤担持体と第2の現像剤担持体を備え、電荷を有する粉体現像剤を上記第1の現像剤担持体から上記第2の現像剤担持体に移動させる画像形成装置において、
上記第1の現像剤担持体と第2の現像剤担持体との間に電界を形成する電界形成部を備えており、
上記電界形成部は、
上記第1の現像剤担持体と第2の現像剤担持体との間に、上記現像剤を上記第1の現像剤担持体から上記第2の現像剤担持体に向けて電気的に付勢する第1の電界を形成する第1の電圧と、上記第1の現像剤担持体と第2の現像剤担持体との間に上記現像剤を上記第2の現像剤担持体から上記第1の現像剤担持体に向けて電気的に付勢する第2の電界を形成する第2の電圧を、交互に且つ周期的に出力し、
上記第1の電圧の出力時間と第2の電圧の出力時間は、上記第1の電界に基づいて上記第1の現像剤担持体から上記第2の現像剤担持体に向けて移動した上記現像剤が上記第2の電界に基づいて上記第2の現像剤担持体から上記第1の現像剤担持体に向けて引き戻されて上記第1の現像剤担持体に保持されている上記現像剤に衝突して弾き出し、上記第1の現像剤担持体から弾き出された上記現像剤が上記第1の電界に基づいて上記第1の現像剤担持体から上記第2の現像剤担持体に向けて付勢されるように決められていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記第2の現像剤担持体は、上記第1及び第2の電圧と協働して上記現像剤を上記第1の現像剤担持体から上記第2の現像剤担持体に電気的に付勢する第1の電圧部と、上記第1及び第2の電圧と協働して上記現像剤を上記第2の現像剤担持体から上記第1の現像剤担持体に電気的に付勢する第2の電圧部が形成されることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
上記第1の電圧と第2の電圧の電位差VPP(V)と、
上記第1の電圧と第2の電圧の平均電圧のグランドに対する電位差VDC(V)と、
上記第1の電圧部の電位と上記第2の電圧部の電位との平均電圧V(V)と、
上記第1の電圧の出力時間と第2の電圧の出力時間の合計出力時間に対する上記第1の電圧の出力時間の比率ADR(%)が数式1、2
【数1】
【数2】
の関係を有することを特徴とする請求項2の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−309964(P2008−309964A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156772(P2007−156772)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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