説明

画像形成装置

【課題】転写ベルトやベルト張架のためのローラを小型化したり、さらに(或いは)ローラ本数を低減し、ローラとして継ぎ目或いはウエルド部のあるようなベルトを採用しても、ベルトにおける作像に適しない部分を少なく抑制してそれだけ良好な画像を形成できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】転写ベルト3を用いて画像形成する画像形成装置Aであって、ベルト3は長手方向に沿って作像適格領域及び継ぎ目やウエルド部といった部分を含む作像不適格領域を有しているとともに位置識別基準部RFが設定されており、検出器SEによる基準部RFの検出に基づいて作像適格領域にトナー像が1次転写され、ベルト3の停止時には作像不適格領域が複数のベルト張架ローラのうちベルト停止時に張架ローラ上ベルト部分のクリープ変形が最も大きくなるローラ31上に位置するようにベルト3が停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ機、これらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置、特に転写ベルトを用いて記録媒体に画像形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式等の画像形成装置では、静電潜像担持体(以下、単に「像担持体」ということがある。)の表面を帯電装置で帯電させ、該帯電域に画像露光装置或いは静電記録装置などの静電潜像形成装置で形成しようとする画像に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置により現像してトナー像を形成し、該トナー像を最終的に記録媒体に転写し、該転写されたトナー像を定着装置で加熱加圧下に記録媒体に定着させる。
【0003】
かかる画像形成装置は、モノクロ画像形成装置と2色以上のトナーを用いて画像形成できるカラー画像形成装置(代表的なものはフルカラー画像形成装置)に大別できる。
モノクロ画像形成装置では、像担持体上に形成されるトナー像は、転写装置を用いて直接記録媒体上に転写されるか、或いは1次転写装置により中間転写体に1次転写され、該中間転写体から記録媒体上に2次転写装置により転写され、定着装置により定着される。像担持体上に形成されるトナー像が転写体に保持された記録媒体に転写され、その後該記録媒体に定着される場合もある。
【0004】
カラー画像形成装置としては、所謂4サイクル型カラー画像形成装置やタンデム型カラー画像形成装置等が知られている。
【0005】
4サイクル型カラー画像形成装置は、感光体のような像担持体表面を帯電させ、その帯電域に画像露光を施すなどして静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成する。かかるトナー像形成においては、互いに異なる色のトナーを収容した複数の現像器を順次用いて、順次異なる色のトナー像を像担持体上に形成する。さらに、像担持体上に形成されるトナー像を、1次転写装置を用いて順次、重ねて中間転写体上に1次転写し、かくして形成される中間転写体上の多重トナー像を2次転写装置で記録媒体に2次転写し、定着装置で定着させて、カラー画像を得ることができる。現像器を一つだけ或いは現像器全数よりは少ない複数の現像器を用いて画像形成することもできる。
【0006】
タンデム型のカラー画像形成装置では、感光体のような像担持体、その表面を帯電させる帯電装置、画像露光装置等の静電潜像形成装置、像担持体上の静電潜像を現像する現像装置等を含む画像形成部が、トナーの色に応じて複数、中間転写体に沿って順次配置されており、各画像形成部において像担持体上に形成されるトナー像は1次転写装置により中間転写体に重ねて1次転写され、該中間転写体上の多重トナー像が2次転写装置により記録媒体に2次転写され、定着装置で定着される。画像形成部を一つだけ或いは画像形成部全数よりは少ない複数の画像形成部を用いて画像形成することもできる。
【0007】
また、上記いずれのカラー画像形成装置の場合でも、像担持体上に形成されるトナー像が転写体に保持された記録媒体に転写され、その後該記録媒体に定着される場合もある。
【0008】
モノクロ画像形成装置であれ、カラー画像形成装置であれ、中間転写体や記録媒体を保持する転写体のような転写体を用いて画像形成する画像形成装置における該転写体には、複数のベルト張架ローラに巻き掛けられて回転駆動される転写ベルトが採用されることが多い。
【0009】
ところが転写ベルトのベルト張架ローラに巻き掛かっている部分は、転写ベルトが長期間停止されると、その間にベルトテンション力によりクリープ変形し易く、その後の画像形成においてクリープ変形したベルト部分にトナー像を1次転写したり、また、クリープ変形したベルト部分に形成された1次転写トナー像を記録媒体上に2次転写したり、該転写ベルトに保持された記録媒体にトナー像を転写すると、転写時、転写に係わる部材間、すなわち、1次転写の場合は像担持体と転写ベルト間、2次転写の場合は転写ベルトと記録媒体間、転写体上の記録媒体への転写の場合は像担持体と記録媒体間に密着不良が発生しやすく、これが画像抜けを招くことがある。
【0010】
この点、例えば特開平9−222802号公報には、中間転写ベルトをベルト張架ローラに巻き掛けた転写ユニットにおいて、隣り合うベルト張架ローラ間が最大記録媒体のためのベルト上画像形成領域の長さ以上となる部分を設け、ベルト停止時にはその部分に画像形成するベルト部分を位置させ、それによりクリープ変形が起こり得る停止時ベルトのローラ巻き掛け部分には画像形成されないようにすることが記載されている。
【0011】
また、特開平2000−305417号公報には、中間転写ベルトの使用頻度を記憶手段に記憶させ、記憶手段に記憶されている使用頻度に応じて中間転写ベルトへのトナー像転写開始位置を選択し、それによりクリープ変形の少ないベルト部分に画像形成すること、さらに、画像形成待機中に中間転写ベルトを少しずつ回転させることが記載されている。
【0012】
【特許文献1】特開平9−222802号公報
【特許文献2】特開平2000−305417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特開平9−222802号公報に記載された画像形成装置は、近年急激に進みつつある画像形成装置の小型化や低コスト化の要求に対応できない。画像形成装置の小型化、低コスト化には転写ユニット自体の小型化も必要になり、そのためには、転写ベルトやベルト張架ローラの小型化が求められるが、特開平9−222802号公報に記載された画像形成装置では、隣り合うベルト張架ローラ間が最大記録媒体のためのベルト上画像形成領域の長さ以上となる部分を転写ユニットに設けなければならないので、このことが転写ベルトの小型化の妨げとなり、またそのためベルト張架ローラの小型化も妨げられる。
【0014】
画像形成装置の小型化や低コスト化のためには、転写ベルトとベルト張架ローラの小型化が求められるほか、ベルト張架ローラの本数の低減が求められることもある。例えば、ベルト張架ローラとして小径の2本のローラを採用する場合、各ローラの半径は小さく、しかもローラに対する転写ベルトの巻き掛け中心角度は略180度となり、ベルトのローラに巻き掛けられた部分のベルト停止時のクリープ変形はそれだけ大きくなる。
【0015】
このように転写ベルトとベルト張架ローラを小型化し、さらに(或いは)ベルト張架ローラの本数を低減するような場合には、特開平2000−305417号公報に記載されているように、中間転写ベルトの使用頻度に応じて中間転写ベルトへのトナー像転写開始位置を選択したり、画像形成待機中に中間転写ベルトを少しずつ回転させたとしても、画像抜けなどの画像不良が発生する恐れがある。
【0016】
転写ベルトのクリープ変形を発生させない機構を追加することも考えられるが、それでは画像形成装置のコストアップを招く。
【0017】
また、転写ベルトについては、以上説明したベルトのクリープ変形に関する問題の他、次のような問題もある。
すなわち、画像形成装置の低コスト化のために、シート材を円筒形に曲げてシート材両端を継ぎ合わせた転写ベルトを採用する場合のように継ぎ目のある転写ベルトや、樹脂材料等を金型に流し込んで成形した転写ベルトのように、金型内を樹脂材料等が別方向から流れ込んで突き合わされ交わる部分であるウェルド部のある転写ベルトでは、そのような継ぎ目やウエルド部は、特性(代表的には抵抗率、厚み、表面粗さ)の点でベルトの他の部分に対し変化している場合が多い。このような特性の変化した継ぎ目やウエルド部を用いてトナー像が転写されると、画像不良が発生し易い。従ってそのような継ぎ目やウエルド部のあるベルト領域にはトナー像を転写しないことが望まれる。
【0018】
しかし、画像形成装置の小型化や低コスト化のために、転写ベルトやベルト張架ローラを小型化したり、さらには(或いは)ベルト張架ローラの本数を低減すると、前記のクリープやベルトの継ぎ目或いはウエルド部による作像には適しないベルト部分が増してしまう。
【0019】
そこで本発明は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像してトナー像を形成し、該トナー像を複数のベルト張架ローラに巻き掛けられた転写ベルトを用いて記録媒体に転写する画像形成装置であって、画像形成装置の小型化、低コスト化のために転写ベルトやベルト張架ローラを小型化したり、さらには(或いは)ベルト張架ローラの本数を低減し、転写ベルトとして継ぎ目或いはウエルド部のあるような転写ベルトを採用しても、転写ベルトにおける作像に適しない部分が少なく抑制されるようにして(換言すれば、作像に適する部分が狭められないようにして)、それだけ良好な画像を形成できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【0020】
本発明は前記課題を解決するため、次の第1、第2の画像形成装置を提供する。これら画像形成装置はいずれも静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像してトナー像を形成し、該トナー像を複数のベルト張架ローラに巻き掛けられた転写ベルトを用いて記録媒体に転写する画像形成装置である。
【0021】
(1)第1の画像形成装置
静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像してトナー像を形成し、該トナー像を該静電潜像担持体から複数のベルト張架ローラに巻き掛けられた転写ベルトに1次転写し、該転写ベルト上の1次転写トナー像を該転写ベルトから記録媒体に2次転写する画像形成装置であり、該転写ベルトは長手方向に沿って作像適格領域及び作像不適格領域を有しているとともに位置識別基準部が設定されており、該位置識別基準部を検出する検出器が設けられており、該検出器による該位置識別基準部の検出に基づいて前記作像適格領域に前記静電潜像担持体上のトナー像が1次転写されるように画像形成動作開始タイミングが制御されるとともに該転写ベルトの停止時には前記作像不適格領域が前記複数の張架ローラのうち転写ベルト停止時に張架ローラ上ベルト部分のクリープ変形が最も大きくなるローラ上に位置するように該転写ベルト停止が制御される画像形成装置。
【0022】
(2)第2の画像形成装置。
静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像してトナー像を形成し、該トナー像を該静電潜像担持体から複数のベルト張架ローラに巻き掛けられた転写ベルトに保持された記録媒体に転写する画像形成装置であり、該転写ベルトは長手方向に沿って前記記録媒体を保持させるべき作像適格領域及び作像不適格領域を有しているとともに位置識別基準部が設定されており、該位置識別基準部を検出する検出器が設けられており、該検出器による該位置識別基準部の検出に基づいて前記作像適格領域に保持させた記録媒体に前記静電潜像担持体上のトナー像が転写されるように画像形成動作開始タイミングが制御されるとともに該転写ベルトの停止時には前記作像不適格領域が前記複数の張架ローラのうち転写ベルト停止時に張架ローラ上ベルト部分のクリープ変形が最も大きくなるローラ上に位置するように該転写ベルト停止が制御される画像形成装置。
【0023】
第1、第2のいずれの画像形成装置においても、転写ベルトの「作像不適格領域」とは、例えば、ベルトの抵抗率、厚み及び表面粗さ等のベルト特性のうち少なくとも一つが該転写ベルトの他の領域(作像適格領域)に対し変化している領域である。そのような作像不適格領域は典型的には、例えば低コストの転写ベルトに見られる継ぎ目或いはウエルド部を含む領域であり、さらに言えば、該継ぎ目或いはウエルド部及びそれに続く該継ぎ目或いはウエルド部の近傍領域である。ここで「継ぎ目」とは、例えばシート材を円筒形に曲げてシート材両端を継ぎ合わせたような転写ベルトにおける該継ぎ合わせ部分であり、「ウエルド部」とは、例えば樹脂材料等を金型に流し込んで成形した転写ベルトのように、金型内を樹脂材料等が別方向から流れ込んで突き合わされ交わる部分である。
【0024】
本発明に係る第1の画像形成装置によると、検出器によるベルトの位置識別基準部の検出に基づいて作像適格領域に静電潜像担持体上のトナー像が1次転写されるように画像形成装置の画像形成動作開始タイミングが制御されるとともに該転写ベルトの停止時には前記作像不適格領域が前記複数の張架ローラのうち転写ベルト停止時に張架ローラ上ベルト部分のクリープ変形が最も大きくなるローラ上に位置するように該転写ベルト停止が制御される。
【0025】
本発明に係る第2の画像形成装置によると、検出器によるベルトの位置識別基準部の検出に基づいて作像適格領域に保持させた記録媒体に静電潜像担持体上のトナー像が転写されるように画像形成装置の画像形成動作開始タイミングが制御されるとともに該転写ベルトの停止時には前記作像不適格領域が前記複数の張架ローラのうち転写ベルト停止時に張架ローラ上ベルト部分のクリープ変形が最も大きくなるローラ上に位置するように該転写ベルト停止が制御される。
【0026】
このように、第1、第2のいずれの画像形成装置においても、ベルトの作像不適格領域がベルト停止時にクリープ変形が最も大きくなるローラ上に配置されるので、それだけ画像形成に適さないベルト部分が作像不適格領域に集中せしめられ、これにより、ベルト全体としてみた場合、転写ベルトにおける作像に適しない部分が少なく抑制され、それだけ良好な画像を形成できる。
【0027】
画像形成装置の小型化、低コスト化のために転写ベルトやベルト張架ローラを小型化したり、さらには(或いは)ベルト張架ローラの本数を低減し、転写ベルトとして継ぎ目或いはウエルド部等のあるような低コストの転写ベルトを採用しても、転写ベルトにおける作像に適しない部分を少なく抑制してそれだけ良好な画像を形成できる。
【0028】
第1第2のいずれの画像形成装置においても、前記転写ベルトの位置識別基準部は例えば転写ベルトの耳部に光学式センサで検出可能の孔を形成したり、光学式センサで検出可能の光反射マークを形成する等して設けてもよいが、転写ベルトの他の部分に対して厚み、抵抗率、表面粗さ等が異なる前記作像不適格領域自身に設定してもよい(すなわち、位置識別基準部は作像不適格領域自身でもよい。)。
【0029】
第1、第2のいずれの画像形成装置においても、前記複数の張架ローラのうち転写ベルト停止時に張架ローラ上ベルト部分のクリープ変形が最も大きくなるローラとしては、例えば該複数のベルト張架ローラのうち最もローラ径が小さいローラ又は該複数のベルト張架ローラのうち最もベルト巻き掛け中心角度の大きいローラを挙げることができる。
最もローラ径が小さく且つ最もベルト巻き掛け中心角度の大きいローラもクリープ変形が最も大きくなるローラとして例示できる。
【0030】
第1、第2のいずれの画像形成装置も既述の4サイクル型やタンデム型等のカラー画像形成装置であってもよく、モノクロ専用の画像形成装置であってもよい。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように本発明によると、静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像してトナー像を形成し、該トナー像を複数のベルト張架ローラに巻き掛けられた転写ベルトを用いて記録媒体に転写する画像形成装置であって、画像形成装置の小型化、低コスト化のために転写ベルトやベルト張架ローラを小型化したり、さらには(或いは)ベルト張架ローラの本数を低減し、転写ベルトとして継ぎ目或いはウエルド部のあるような転写ベルトを採用しても、転写ベルトにおける作像に適しない部分が少なく抑制されるようにして(換言すれば、作像に適する部分が狭められないようにして)、それだけ良好な画像を形成できる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置の1例を示している。図1の画像形成装置Aは4サイクル型のカラー画像形成装置である。画像形成装置Aは、回転駆動されるドラム型の感光体11を備えている。感光体11の周囲に帯電装置12、現像装置14、中間転写ベルト3及びクリーニング装置15がこの順序で配置されている。
【0033】
現像装置14は、イエロー現像器Y、マゼンタ現像器M、シアン現像器C及びブラック現像器Kを備えており、これら現像器は回転駆動される現像器ラック140に等中心角度間隔で搭載されている。各現像器は、現像ローラ141を有している。
【0034】
中間転写ベルト3は、ベルト張架ローラ31、32、33、34及びベルト張架ローラを兼ねる1次転写ローラ2に巻き掛けられている。ローラ31は駆動ローラであり、ローラ32は駆動ローラ31に対向する従動ローラであり、ローラ33はベルトに張力を与えるテンションローラであり、ローラ34は1次転写ローラ2とともにベルト3を感光体11に接触させるローラである。
【0035】
中間転写ベルト3はベルト駆動部30により回転駆動されるローラ31により図中反時計方向まわり(図中の矢印方向)に回転することができる。これらベルト3及びベルト張架ローラ(ローラ31等)は転写ユニット300を構成している。転写ユニット300についてはさらに後述する。
【0036】
駆動ローラ31に巻き掛けられたベルト部分に対して2次転写ローラ5が設けられており、従動ローラ32に巻き掛けられたベルト部分に対してクリーニング装置4が設けられている。
【0037】
2次転写ローラ6の下方にはタイミングローラ対6が、上方には定着装置8が設けられている。現像装置14等の下方に記録媒体(本例では記録紙S)を収容するカセット7が、また、カセット7の上方には画像露光装置13がそれぞれ配置されている。
【0038】
この画像形成装置Aによると、四つの現像器のうちいずれか一つを用いてモノクロ画像を形成でき、2以上の現像器を用いてカラー画像を形成できる。以下に四つの現像器Y、M、C及びKを用いてフルカラー画像形成する例を説明する。
【0039】
先ず、現像器ラック140を回動させてイエロー現像器Yの現像ローラ141を感光体11に臨ませ、感光体11を図示省略の感光体駆動モータで回転駆動させてその表面を帯電装置12で帯電させる。さらに該感光体表面の帯電域に、図示省略のコンピュータ等から提供される画像情報に基づいて画像露光装置13からイエロー静電潜像形成のための画像露光を施す。それにより感光体11上にイエロー静電潜像を形成し、これを図示省略の電源から現像バイアスが印加された現像器Yの現像ローラ141で現像してイエロートナー像を形成する。該イエロートナー像を図示省略の電源から1次転写電圧が印加された1次転写ローラ2により、回転駆動される中間転写ベルト3上に1次転写する。
【0040】
同様にして、マゼンタ現像器Mを用いてマゼンタトナー像を形成し、ベルト3に転写し、シアン現像器Cを用いてシアントナー像を形成し、ベルト3に転写し、ブラック現像器Kを用いてブラックトナー像を形成し、ベルト3に転写する。これら各色トナー像の形成及びベルト3への1次転写のタイミングは、ベルト3上にこれらトナー像が重ねて転写されるタイミングである。なお、かかるベルト3上への多重トナー像形成中は、2次転写ローラ5及びクリーニング装置4はベルト3から離反される。
【0041】
一方、カセット7に収容された記録紙Sが給紙ローラ71により引き出され、タイミングローラ6へ送られる。タイミングローラ対6は、ベルト3上の多重トナー像の2次転写領域への移動に合わせて記録紙Sを2次転写領域へ供給する。2次転写領域では、かかる記録紙の到来に先立って2次転写ローラ5がベルト3側へ移動せしめられ、かくしてベルト4上の多重トナー像は、図示省略の電源から2次転写電圧が印加された2次転写ローラ5により記録紙Sに2次転写される。記録紙Sはその後定着装置8を通過することでトナー像が加熱加圧下に定着され、排紙トレイTへ排出される。
【0042】
1次転写後感光体11上に残留する転写残トナー等はクリーニング装置15により除去清掃され、2次転写後ベルト3上に残留する転写残トナー等はクリーニング装置4により除去清掃される。
【0043】
前記の中間転写ベルト3には位置識別基準部RF(図2参照)が設けられており、基準部RFの走行軌道に臨むように基準部の検出器SEが設けられている。位置識別基準部RFとその検出器SEとしては、例えば図2(A)に示すように、基準部RFとしてベルト3の耳部に形成した貫通孔hを、検出器SEとして、該ベルト耳部を間にして耳部両側に配置された投光素子とそれからの光を受ける受光素子とからなる光学式センサを挙げることができる。
【0044】
この他、図2(B)に示すように、基準部RFとしてベルト3の耳部表面に形成した光反射マークrsを、検出器SEとして、該マークrsの走行軌道に臨んで該マークrsに投光できる投光素子と該マークrsからの反射光を受ける受光素子とからなる光学式センサを例示できる。
【0045】
位置識別基準部RFの検出器SEによる検出情報は画像形成装置動作(ベルト駆動部30の動作も含む)を制御する制御部9に入力されるようになっており、制御部9は、検出器SEによる基準部RF検出のタイミングから所定の時間後に画像形成を開始したり、転写ベルト3の回転を停止することにより転写ベルト3上の画像形成位置や転写ベルト3の停止位置を常に一定に保つことができる。また、ベルト3上の画像形成位置を一定化することで、転写ベルト3上の回転方向における画像形成領域と非画像形成領域を明確に区別することも可能となる。このことについては後ほど説明する。
【0046】
中間転写ベルト3についてさらに説明すると、ここでは中間転写ベルト3として例えば継ぎ目のある低コストのベルト3が採用される。すなわち、シート状材料を円筒形に曲げ、シート材料の両端を重ね合わせて加圧、加熱処理して接着したり、接着剤を用いて接着する等により接合したものであり、該接合部が継ぎ目となっているものである。
【0047】
このベルト3における継ぎ目とそれに続くその近傍領域は、厚み、抵抗率、表面粗さ等のベルト特性のうち少なくとも一つがベルト3の他の領域に対して大きく変化していることが多々あり、継ぎ目とそれに続くその近傍領域は作像不適格領域であり、その領域にはトナー像を転写しない方がよい。そのような領域にトナー像が転写されると、画像不良が発生し易い。
【0048】
中間転写ベルト3としては、シート材からの形成ではなく、樹脂等を成形したものでもよい。例えば円筒形の金型に樹脂材料等を流し込んで成型したベルトも採用可能である。 しかし、そのようなベルトの成形においては、金型に注入された材料が金型に沿って流れ込んでいくが、金型の材料注入口から円周方向で最も遠い位置にある部分は金型内を二方向から流れてきた材料が最後に交わってウェルド部となる。複数の材料注入口を設けた金型を用いるベルト成形においても、材料が交わるウェルド部はできてしまう。
【0049】
このようなウエルド部及びそれに続くその近傍領域もベルトの特性(厚み、抵抗率、表面粗さ等)のうち少なくとも一つがベルトの他の部分に対して大きく変化していることが多々あり、従って、作像不適格領域であり、その領域にはトナー像を転写しない方がよい。そのような領域にトナー像が転写されると、画像不良が発生し易い。
【0050】
なお、ウェルド部の特性値変動を抑えるために金型内の温度管理精度や冷却時間を厳密に管理することが考えられるが、それではベルトのコストアップや生産性の低下を招く。またウェルド部の特性値変動の大きいものを不良品とする場合も、工場での歩留りが低下し、ベルトの生産性低下、コストアップを招く。従って、ウエルド部のある転写ベルトでも使用できることが望ましい。
【0051】
いずれにしても、転写ベルト3の材質としては、ポリフエニレンサルファイド(PPS)樹脂にカーボンを分散させて、表面抵抗率を1×107 Ω/□〜1×1012Ω/□程度の範囲に調整したものを例示できる。
【0052】
このほか、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ナイロン系樹脂等の樹脂や、シリコンゴム、ウレタンゴム等の弾性材、またこれらに導電性粉体やカーボンを分散させることで抵抗調整を行った材料を用いてもよい。
【0053】
また、ベルト張架ローラとしては、アルミニウムや鉄を主体とする金属ローラか、芯金の外周面をEPDM、NBR、ウレタンゴム、シリコンゴムなどの弾性材料に導電性粉体やカーボンを分散させて抵抗値を1×109 Ω・cm以下に調整した材料で被覆したものを例示できる。
【0054】
現像器で使用するトナーとしては、粒径7μm以下、より好ましくは粒径4.5μm以上6.5μm以下の重合トナーを例示できる。粉砕トナーでもよい。
各現像器の現像方式はトナーを主体とする現像剤を用いる所謂一成分現像方式でも、トナー及びキャリアを主体とする現像剤を用いる所謂二成分現像方式であってもよい。
【0055】
ところで、一般的に言って、転写ユニットは画像形成装置の小型化、低コスト化のために容積を小さくして小型化、低コスト化することが望ましい。そのためには、張架ローラ本数を減らしたり小径化する方法が最も有効である。しかし、転写ベルトが転写ユニット内のベルト張架ローラ(駆動ローラ、従動ローラ、テンションローラ等)に巻き掛かっている部分では、ベルトテンション力により転写ベルトがローラの外周形状に沿って変形する力が加わっており、画像形成装置が長期間停止されるときには転写ベルトがクリープ変形したままになってしまい、次の使用時に転写部での密着不良を生じ画像抜けなどが発生する可能性がある。
【0056】
クリープ変形はベルト張架ローラが小径になるほど、また、ローラへのベルトの巻き掛け中心角度が大きくなるほど大きくなるため、転写ユニットの小型化は転写ベルトのクリープには不利な方向となる。
【0057】
画像形成装置Aにおいても、転写ユニット300の小型化、低コスト化のためにベルト張架ローラ31等はできるだけ小さく形成してある。従って、転写ベルト3のクリープには不利な方向となっている。
しかも、画像形成装置Aにおける転写ベルト3のように、継ぎ目(或いはウエルド部等)を有していることで作像適格領域と作像不適格領域が明確に区別される転写ベルトでは、ベルト張架ローラを小径化し巻き掛け中心角度を増やした場合、作像不適格領域以外のベルト領域にもクリープが発生し、該クリープ部分が原因で転写抜けによる画像不良の発生の可能性があり、従って、ベルト3の継ぎ目(或いはウエルド部等)による作像不適格領域の存在及びこのクリープのために作像には適しないベルト部分が増してしまう。
【0058】
そこで、画像形成装置Aでは、制御部9が、検出器SEによる位置識別基準部RFの検出に基づいてベルト3のこのような作像不適格領域以外の作像適格領域に感光体11上のトナー像が1次転写されるように装置Aの画像形成動作開始タイミング、ひいては感光体11から転写ベルト3へのトナー像の1次転写のタイミングを制御し、さらに、ベルト3停止時には作像不適格領域が張架ローラ上ベルト部分のクリープ変形が最も大きくなる駆動ローラ31上に位置するようにベルト3の停止を制御するようにしている。
【0059】
このように画像形成装置Aでは、ベルト3の作像不適格領域がベルト停止時にクリープ変形が最も大きくなる駆動ローラ31上に配置されるので、それだけ画像形成に適さないベルト部分が作像不適格領域に集中せしめられ、これにより、ベルト全体としてみた場合、作像に適しないベルト部分が少なく抑制され、それだけ良好な画像を形成できる。
【0060】
ここでは、ベルト停止時には、ベルト3の継ぎ目(或いはウエルド部等)と該継ぎ目(或いはウエルド部等)の両側近傍領域を作像不適格領域として、それをクリープ変形が最も大きくなるローラ(本例では駆動ローラ31)に巻き掛けることが望ましい。
【0061】
例えば、図3に示すように、ベルト継ぎ目(或いはウェルド部)のベルト走行方向における幅がL〔mm〕、最大クリープ発生ローラの外径がD〔mm〕、該ローラへのベルト巻き掛け中心角度がθとすると、作像不適格領域のベルト進行方向の幅は最低でも〔L+(D×Π×θ÷360)〕とすることが望ましい。制御部9はこの作像不適格領域のベルト進行方向の幅のうち少なくとも一部が該ローラに巻き掛かった状態で転写ベルトを停止させる。
例えば、L=20mm、D=20mm、θ=160度とすると、作像不適格領域のベルト進行方向の幅は最低でも76mm〔=20+(20×Π×160÷360)〕とすることが望ましい。制御部9はこの76mmの幅のうち少なくとも一部がローラ31に巻き掛かった状態でベルト3を停止させる。
【0062】
転写ベルト3における位置識別基準部RFの位置及び検出器SEの設置位置及びベルト停止方法等は任意に定めることができるが、本例では制御部9が、例えばベルト3に設定された位置識別基準部RFが検出器SEにて検出されてから、作像不適格領域のうち少なくとも一部が上記のようにローラ31に巻き掛かるまでに要する時間の経過を待ってベルト駆動部30を制御してベルト3を停止させる。
【0063】
画像形成装置Aにおいては、駆動ローラ31が最大クリープ量を発生させるベルト張架ローラであるが、場合によっては、クリープ量が最大になる張架ローラが変わってくる。 ここでクリープ量とは、図4に示すように、クリープによるベルト延びによりベルト表面が正規のベルト表面から変位し得るときの該変位高さである。
【0064】
クリープ量が最大になる張架ローラは、外径がより小さい方、またベルトの巻き掛け量(巻き掛け中心角度)がより大きい方となる(但しベルトテンションが一定の場合)。具体例として、外径で30mm以下且つ巻き掛け角度で90度以上の張架ローラが対象となる場合を挙げることができる。この条件に含まれない張架ローラは実用上クリープの影響を考慮しなくてもよい場合が多い。また、そのようなローラは画像形成装置の小型化に対応しているものとは言いがたい場合が多い。
【0065】
ローラが外径で30mm以下且つ巻き掛け角度で90度以上の条件に当てはまる場合には、外径が同じローラについては巻き掛け量の大きい方、巻き掛け量が同じローラについては外径が小さい方を最大クリープ量を発生させるベルト張架ローラとして選択すればよい。外径も巻き掛け量も異なるローラ同士については、各張架ローラにおけるクリープ量の実測値を求めることが望ましいが、より外径の小さい張架ローラを選択してもよい。また、場合によっては金属ローラと弾性材料被覆ローラとでは、金属ローラの方を選択してもよい。
【0066】
なお、位置識別基準部RFについては、ベルトの継ぎ目(或いはウエルド部等)が厚み、抵抗率及び表面粗さ等のベルト特性のうち少なくとも一つにおいて作像適格領域におけるそれとは異なっていることを利用して、該継ぎ目(或いはウエルド部等)それ自身を位置識別基準部とし、検出器として継ぎ目(或いはウエルド部等)での作像適格領域とは異なる抵抗率、厚み、表面粗さ等を検出できるものを採用してもよい。
【0067】
抵抗率変動を検出する場合は、例えば転写ベルトに通電させる部材を設けそれに定電流を印加し、そのときの電圧値の変動をモニタし、ある電圧値を閾値として変動を検出した場合にその部分が継ぎ目(或いはウエルド部等)と判断し、それに基づき既述のような制御を行えばよい。この場合、転写ベルト3への通電は、それ専用の部材を採用して行ってもよいし、1次転写ローラ2又は2次転写ローラ5を用いる等して行ってもよい。
図5はベルト走行方向におけるベルト位置とベルトの表面抵抗との関係を例示する図である。継ぎ目(或いはウエルド部)の表面抵抗がベルトの他の部分に対して大きく変化していることが分かる。
【0068】
厚み変動を検出する場合は、例えば図6に示すようにベルト張架ローラ(図6ではローラ32)上方に変位センサを設けて厚み変動を検出すればよい。
表面粗さを検出する場合は、例えば前記マークrsを検出する場合と同様に、ヘルト3表面の反射率変動を光学的センサで検出すればよい。
【0069】
以上4サイクル型カラー画像形成装置に例をとって説明してきたが、本発明は中間転写ベルトを用いたタンデム型等のカラー画像形成装置にも適用でき、転写ベルトを用いたモノクロ画像形成装置にも適用できる。さらに、転写ベルト上に記録媒体を保持させ、この記録媒体にトナー像を転写するカラー画像形成装置にも適用できる。
【0070】
図7にタンデム型カラー画像形成装置例Bを、図8にタンデム型カラー画像形成装置の他の例Cを示しておく。
図7の装置Bは、駆動ローラ31’とこれに対向するローラ32’に巻き掛けられた無端中間転写ベルト4’を有している。転写ベルト4’は、図示省略のベルト駆動部により駆動される駆動ローラ31’により図中反時計方向(図中矢印方向)に回転させることができる。
【0071】
対向ローラ32’上のベルト部分には転写ベルト4’上の2次転写残トナー等を清掃するクリーニング装置8’が臨んでいる。駆動ローラ31’上のベルト部分には、2次転写ローラ5’が臨んでいる。
【0072】
2次転写ローラ5’の表層部は弾性材料で形成されており、図示省略の押圧手段にて中間転写ベルト4’に押圧され、中間転写ベルト4’との間にニップ部を形成し、中間転写ベルト4’の回転に従動して、或いは、後述するように該ニップ部に送り込まれる記録媒体Sの移動に従動して回転する。2次転写ローラ5’には、図示省略の2次転写バイアス電源装置から2次転写バイアスを印加することができる。
【0073】
2次転写ローラ5’の下方には、タイミングローラ対9’が配置されており、さらにその下方に、図示省略の、記録媒体を収容した記録媒体収容カセットが配置されている。
転写ローラ5’の上方には定着装置6’が配置されている。
【0074】
記録媒体収容カセットに収容された記録媒体(ここでは記録紙S)は、図示省略の媒体供給ローラにて1枚ずつ引き出してタイミングローラ対9’へ供給することができる。
【0075】
中間転写ベルト4’を巻き掛けたローラ31’、32’の間には、転写ベルト4’に沿って、ローラ32’から31’に向けて、イエロー画像形成部Y’、マゼンタ画像形成部M’、シアン画像形成部C’及びブラック画像形成部K’がこの順序で配置されている。
【0076】
Y’、M’、C’、K’の各画像形成部は、静電潜像担持体としてドラム型の感光体11’を備えており、該感光体の周囲に帯電装置12’、画像露光装置13’、現像装置14’、1次転写ローラ2’、感光体上の1次転写残トナーを除去清掃するクリーニング装置15’等がこの順序で配置されている。
【0077】
1次転写ローラ2’は転写ベルト4’を間にして感光体11’に対向しており、ベルトの走行に従動回転する。1次転写ローラ2’には、感光体11’上に形成されるトナー像をベルト4’へ1次転写するための1次転写バイアスを図示省略の1次転写バイアス電源装置から印加できる。
露光装置13’は、図示省略のパーソナルコンピュータ等から提供される画像情報に応じて、レーザービームを用いて感光体11’に画像露光を施せるものである。
【0078】
各画像形成部における感光体11’は、図示省略の感光体駆動モータにて図中時計方向回りに回転駆動できる。
各画像形成部における帯電装置12’には、図示省略の帯電用電源装置から所定のタイミングで帯電電圧を印加できる。
【0079】
各画像形成部における現像装置14’は感光体11’上に形成される静電潜像を、図示省略の現像バイアス印加電源装置から現像バイアス電圧が印加される現像ローラ141’で現像することができる。
【0080】
画像形成装置Bによると、画像形成部のうち1又は2以上を用いて画像を形成することができる。
画像形成部のすべてを用いてフルカラー画像を形成する場合を例にとると、先ず、イエロー画像形成部Y’においてイエロートナー像を形成し、これを転写ベルト4’に1次転写する。
【0081】
すなわち、イエロー画像形成部Y’において、感光体11’が図中時計方向に回転駆動され、帯電装置12’にて表面が一様に所定電位に帯電せしめられた感光体11’の該帯電域に画像露光装置13’からイエロー画像用の画像露光が施され、感光体11’上にイエロー用静電潜像が形成される。この静電潜像はイエロートナーを有する現像装置14’の現像バイアスが印加された現像ローラ141’にて現像されて可視イエロートナー像となり、該トナー像が1次転写ローラ2’にて転写ベルト4’上に1次転写される。このとき、1次転写ローラ2’には図示省略の電源装置から1次転写バイアス電圧が印加される。
【0082】
同様にして、マゼンタ画像形成部M’においてマゼンタトナー像が形成されて転写ベルト4’に転写され、シアン画像形成部C’においてシアントナー像が形成されて転写ベルト4’に転写され、ブラック画像形成部K’においてブラックトナー像が形成されて転写ベルト4’に転写される。
【0083】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像はこれらが中間転写ベルト4’上に重ねて転写されるタイミングで形成される。転写ベルト4’上に形成された多重トナー像は転写ベルト4’の回動により2次転写ローラ5’へ向け移動する。
【0084】
一方、記録紙Sが図示省略の記録媒体収容カセットから媒体供給ローラにて引き出され、タイミングローラ対9’へ供給され、待機している。
【0085】
タイミングローラ対9’のところで待機する記録紙Sは、中間転写ベルト4’にて送られてくる多重トナー像に合わせて、転写ベルト4’と2次転写ローラ5’とのニップ部に供給され、図示省略の電源装置から2次転写バイアスが印加された2次転写ローラ5’にて該多重トナー像が記録紙S上に2次転写される。
【0086】
その後記録媒紙Sは定着装置6’に通され、そこで多重トナー像が加熱加圧下に記録紙Sに定着される。記録紙Sはひき続き、図示省略の排出ローラ対等にて排出トレイに排出される。
【0087】
各画像形成部の感光体上の転写残トナー等はクリーニング装置15’により、中間転写ベルト4’上の転写残トナー等はクリーニング装置8’によりそれぞれ除去清掃される。
【0088】
この画像形成装置Bにおいては、ベルト張架ローラが駆動ローラ31’と対向ローラ32’の2本だけであり、それだけこれらローラとベルト4’を含む転写ユニットが小型化されている。
【0089】
この画像形成装置Bにおいても、転写ベルト4’は継ぎ目(或いはウエルド部等)を有する低コストのベルトであり、画像形成装置Aにおける転写ベルト3と同様に長手方向に沿って作像適格領域及び該継ぎ目(或いはウエルド部等)を含む作像不適格領域を有しているとともに、位置識別基準部(図示省略)が設定されており、該位置識別基準部を検出する検出器SEが図7に例示するように設けられている。
【0090】
そして、検出器SEによる位置識別基準部の検出に基づいて作像適格領域に画像形成部の感光体11’上のトナー像が1次転写されるように装置Bの画像形成動作開始タイミングが、ひいては感光体11’から転写ベルト4’へのトナー像転写のタイミングが制御される。
【0091】
さらに、ベルト4’上の画像形成に適する部分を狭めてしまわないように、ベルト4’を停止させるときには、検出器SEによる位置識別基準部の検出に基づいてベルト4’の作像不適格領域がローラ31’上に位置するように該転写ベルトが停止される。
【0092】
張架ローラ31’、32’は本例では同外径のローラであり、いずれのローラもベルト巻き掛け中心角度は同じ(略180度)であり、いずれのローラ上でもベルト停止時のベルトクリープ変形は最も大きくなり且つ同じである。ここでは、ベルトの作像不適格領域がローラ31’上に位置するように転写ベルト4’を停止させる。
【0093】
図8の装置Bも、駆動ローラ31”、対向ローラ32”及びこれらに巻き掛けられた無端転写ベルト4”を有している。転写ベルト4”は図中反時計方向(図中矢印方向)に回転させることができる。対向ローラ32”上のベルト部分に2次転写残トナー等清掃用のクリーニング装置8”が臨んでいる。
【0094】
対向ローラ32”には後述するようにベルト4”上に送り込まれてくる記録媒体Sをベルト4”に吸着させるための電圧を印加する電圧印加ローラ7”が臨んでいる。ローラ7”より記録媒体搬送方向において上流側にはタイミングローラ対9”が配置さており、さらにその下方に、図示省略の、記録媒体を収容した記録媒体収容カセットが配置されている。また、駆動ローラ31”より下流側に定着装置6”が配置されている。
【0095】
そして、装置Bと同様に、ベルト4”に沿ってイエロー画像形成部Y”、マゼンタ画像形成部M”、シアン画像形成部C”及びブラック画像形成部K”がこの順序で配置されている。
【0096】
各画像形成部は、ドラム型の感光体11”を備えており、該感光体の周囲に帯電装置12”、画像露光装置13”、現像装置14”、転写ローラ2”、感光体上の転写残トナーを除去清掃するクリーニング装置15”等がこの順序で配置されている。
【0097】
転写ローラ2”は転写ベルト4”を間にして感光体11”に対向しており、ベルトの走行に従動回転する。転写ローラ2”には、感光体11”上に形成されるトナー像をベルト4”上の記録媒体へ転写するための転写バイアスを図示省略の電源から印加できる。
【0098】
画像形成装置Cにおいても、画像形成部のうち1又は2以上を用いて画像を形成することができる。以下、画像形成部のすべてを用いてフルカラー画像を形成する場合を例にとって説明する。
【0099】
画像形成装置Cでは、記録媒体Sはタイミングローラ対9”にて所定のタイミングでベルト4”上に送り込まれ、その途中で電圧印加ローラ7”にて吸着用電圧が印加されてベルト4”に吸着保持され、ベルト4”とともに各画像形成部下を定着装置6”へ向け搬送される。
【0100】
一方、イエロー画像形成部Y”において、装置Bの画像形成部Yにおけると同様にして感光体11”上にイエロートナー像が形成され、該トナー像が転写ローラ2”にて転写ベルト4”上に保持されて移動する記録媒体S上に転写される。
【0101】
同様にして、マゼンタ画像形成部M”においてマゼンタトナー像が形成されて記録媒体Sに転写され、シアン画像形成部C”においてシアントナー像が形成されて媒体Sに転写され、ブラック画像形成部K”においてブラックトナー像が形成されて媒体Sに転写される。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像はこれらが記録媒体S上に重ねて転写されるタイミングで形成される。
【0102】
このようにして多重トナー像が転写形成された記録媒体Sは定着装置6”に通され、そこで多重トナー像が加熱加圧下に記録紙Sに定着される。記録媒体Sはひき続き、図示省略の排出ローラ対等にて排出トレイに排出される。
【0103】
各画像形成部の感光体上の転写残トナー等はクリーニング装置15”により、転写ベルト4”上のトナー等はクリーニング装置8”によりそれぞれ除去清掃される。
【0104】
この画像形成装置Cにおいては、ベルト張架ローラが駆動ローラ31”と対向ローラ32”の2本だけであり、それだけこれらローラとベルト4”を含む転写ユニットが小型化されている。
【0105】
この画像形成装置Cにおいても、転写ベルト4”は継ぎ目(或いはウエルド部等)を有する低コストのベルトであり、画像形成装置Aにおける転写ベルト3と同様に長手方向に沿って作像適格領域及び該継ぎ目(或いはウエルド部等)を含む作像不適格領域を有しているとともに、位置識別基準部(図示省略)が設定されており、該位置識別基準部を検出する検出器SEが図8に例示するように設けられている。
【0106】
そして、検出器SEによる位置識別基準部の検出に基づいて作像適格領域に保持された記録媒体S上に各画像形成部の感光体11”上のトナー像が転写されるように装置Cの画像形成動作開始タイミングが制御される。
【0107】
さらに、ベルト4”上の画像形成に適する部分を狭めてしまわないように、ベルト4”を停止させるときには、検出器SEによる位置識別基準部の検出に基づいてベルト4”の作像不適格領域がローラ31”上に位置するように該転写ベルトが停止される。
【0108】
張架ローラ31”、32”は本例では同外径のローラであり、いずれのローラもベルト巻き掛け中心角度は同じ(略180度)であり、いずれのローラ上でもベルト停止時のベルトクリープ変形は最も大きくなり且つ同じである。ここでは、ベルトの作像不適格領域がローラ31”上に位置するように転写ベルト4”を停止させる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、転写ベルトを用いて記録媒体に画像形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ機、これらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置を提供することに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明に係るカラー画像形成装置の1例の概略構成を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置における転写ユニットの転写ベルトにおける位置識別基準部及びその検出器の例を示す図である。
【図3】最大クリープ量の発生するローラとそれに巻き掛けられた転写ベルト部分を示す図である。
【図4】クリープ量を説明する図である。
【図5】継ぎ目(或いはウエルド部)のある転写ベルトの各位置とベルト表面抵抗との関係を例示する図である。
【図6】転写ベルトにおける継ぎ目(或いはウエルド部)の厚み変化の検出例を示す図である。
【図7】タンデム型カラー画像形成装置例を示す図である。
【図8】タンデム型カラー画像形成装置の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0111】
A 画像形成装置
11 感光体
12 帯電装置
13 画像露光装置
14 現像装置
Y イエロー現像器
M シアン現像器
M マゼンタ現像器
K ブラック現像器
140 現像器ラック
141 現像ローラ
15 クリーニング装置
2 ベルト張架ローラを兼ねる1次転写ローラ
300 転写ユニット
3 中間転写ベルト
31 駆動ローラ
32 従動ローラ
33 テンションローラ
34 ベルト当接用ローラ
30 ベルト駆動部
4 クリーニング装置
5 2次転写ローラ
6 タイミングローラ対
7 給紙カセット
8 定着装置
RF ベルト3に設けられた位置識別基準部
SE 位置識別基準部を検出する検出器
h ベルト耳部の孔(位置識別基準部の例)
rs 光反射マーク(位置識別基準部の例)
B、C 画像形成装置
Y’、Y” イエロー画像形成部
M’、M” マゼンタ画像形成部
C’、C” シアン画像形成部
K’、K” ブラック画像形成部
11’、11” 感光体
12’、12” 帯電装置
13’、13” 画像露光装置
14’、14” 現像装置
141’ 現像ローラ
15’、15” クリーニング装置
2’、2” 1次転写ローラ
31’、31” 駆動ローラ
32’、32” 対向ローラ
4’、4” 中間転写ベルト
5’ 2次転写ローラ
6’、6” 定着装置
8’、8” クリーニング装置
9’、9” タイミングローラ対
S 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像してトナー像を形成し、該トナー像を該静電潜像担持体から複数のベルト張架ローラに巻き掛けられた転写ベルトに1次転写し、該転写ベルト上の1次転写トナー像を該転写ベルトから記録媒体に2次転写する画像形成装置であり、該転写ベルトは長手方向に沿って作像適格領域及び作像不適格領域を有しているとともに位置識別基準部が設定されており、該位置識別基準部を検出する検出器が設けられており、該検出器による該位置識別基準部の検出に基づいて前記作像適格領域に前記静電潜像担持体上のトナー像が1次転写されるように画像形成動作開始タイミングが制御されるとともに該転写ベルトの停止時には前記作像不適格領域が前記複数の張架ローラのうち転写ベルト停止時に張架ローラ上ベルト部分のクリープ変形が最も大きくなるローラ上に位置するように該転写ベルト停止が制御されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像してトナー像を形成し、該トナー像を該静電潜像担持体から複数のベルト張架ローラに巻き掛けられた転写ベルトに保持された記録媒体に転写する画像形成装置であり、該転写ベルトは長手方向に沿って前記記録媒体を保持させるべき作像適格領域及び作像不適格領域を有しているとともに位置識別基準部が設定されており、該位置識別基準部を検出する検出器が設けられており、該検出器による該位置識別基準部の検出に基づいて前記作像適格領域に保持させた記録媒体に前記静電潜像担持体上のトナー像が転写されるように画像形成動作開始タイミングが制御されるとともに該転写ベルトの停止時には前記作像不適格領域が前記複数の張架ローラのうち転写ベルト停止時に張架ローラ上ベルト部分のクリープ変形が最も大きくなるローラ上に位置するように該転写ベルト停止が制御されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記転写ベルトの位置識別基準部は該転写ベルトの前記作像不適格領域に設定されている請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の張架ローラのうち前記転写ベルト停止時に張架ローラ上ベルト部分のクリープ変形が最も大きくなるローラは、該複数のベルト張架ローラのうち最もローラ径が小さいローラである請求項1、2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の張架ローラのうち前記転写ベルト停止時に張架ローラ上ベルト部分のクリープ変形が最も大きくなるローラは、該複数のベルト張架ローラのうち最もベルト巻き掛け中心角度の大きいローラである請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写ベルトの作像不適格領域は該転写ベルトの抵抗率、厚み及び表面粗さのうち少なくとも一つが該転写ベルトの作像適格領域に対して変化している領域である請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写ベルトは継ぎ目及びウエルド部のうちいずれかを有しており、前記転写ベルトの作像不適格領域は該継ぎ目及びウエルド部のうちのいずれかを含んでいる請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−70619(P2008−70619A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249422(P2006−249422)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】