説明

画像形成装置

【課題】確実にグリッドの表面を清掃することができ、且つグリッドへの水分の残存によるリークの発生も防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】グリッドクリーナを用いた湿式清掃が終了し、帯電器40が画像形成装置に装着され、本体側コネクタと帯電器側コネクタ47とが連結されて、モータが図示しない電源と電気的に接続されると、自動的に自動清掃機構による乾式清掃が行われるよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電器を用いて像担持体表面を帯電させる画像形成装置に関するものであり、特に、コロナワイヤと被帯電体との間にグリッドを有するスコロトロン帯電器を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタに代表される電子写真方式の画像形成装置では、帯電器によって像担持体表面を帯電させ、光照射により部分的に電位を光減衰させて原稿画像の静電潜像を形成して、この静電潜像をトナーで現像した可視トナー像を用紙に転写することにより用紙上に画像を形成し、そして、トナー像転写後、像担持体表面に残留したトナーがクリーニング装置によりクリーニングされ、新たな静電潜像の形成に備えて除電されるよう構成されている。
【0003】
このような電子写真方式の画像形成装置において、像担持体表面を帯電させるために用いられる帯電器には、導電性部材からなるブラシ、ローラ等を像担持体表面に接触させた状態で電圧を印加して、像担持体表面を一様に帯電する接触方式の帯電器や、コロナ放電を利用して像担持体に接触させることなく、像担持体表面を一様に帯電する非接触方式の帯電器がある。
【0004】
非接触方式の帯電器は、放電部材であるコロナワイヤを有しており、このコロナワイヤに高電圧を印加し放電(コロナ放電)させて像担持体表面を帯電させるものであり、コロナワイヤと被帯電体との間にグリッド電極をもつスコロトロン帯電器と、グリッド電極を持たないコロトロン帯電器とが知られている。なお、スコロトロン帯電器では、グリッドにかける電圧により帯電をコントロールできる点でコロトロン帯電器よりも優れている。
【0005】
そして、スコロトロン帯電器は、グリッドが像担持体表面近傍に位置するように配置され、コロナワイヤ及びグリッドに所定電圧を印加することにより、像担持体表面を帯電させるよう構成されている。しかし、グリッドがトナー等によって汚れると、帯電が不安定となって画像形成時に濃度むら等の画像不良が発生する。また、コロナ放電により発生するオゾンの作用により、空気中の成分が酸化されNOxやSOx等のイオン生成物が生成され、これらのイオン生成物が周囲の塵埃とともにグリッドに堆積し、この付着物は一般に絶縁体であるため帯電器の帯電特性に悪影響を及ぼすこととなる。
【0006】
特にグリッドへ付着した場合は、本来グリッドへ流入するはずの電流がグリッド開口部から像担持体に流入して像担持体表面電位が著しく上昇し、濃度低下などの問題が生じる。このため、定期的に、或いは画像不良の発生時にユーザやサービスマンによりグリッドの清掃作業を行うか、グリッド又はグリッドを含む帯電器全体を交換しなければならず、多大な手間と費用を要していた。
【0007】
そこで、簡易な方法でグリッド表面の清掃を行う方法が提案されており、特許文献1には、グリッドの長手方向に延在するように配設された、発泡弾性部材等から形成される清掃部材を、往復平行移動手段によってグリッドの表面に沿って往復移動させることにより、グリッドを清掃する方法が開示されている。これによれば、グリッドの表面を円滑かつ確実に清掃することができ、安定した放電特性が保証される。
【0008】
しかし、特許文献1に記載の清掃方法では、清掃部材によってグリッドの表面を清掃する構成であるが清掃部材が乾式であるため、帯電器に堅固に付着している汚染物を除去するのは困難であった。そこで、特許文献2には、含水スポンジを備えたグリッドクリーナを帯電器に沿って摺動させることにより、グリッドとコロナワイヤとを同時に清掃する方法が開示されている。これによれば、前述したイオン生成物は水溶性であるため、含水スポンジを備えたグリッドクリーナを用いることにより、グリッドに堅固に付着した汚染物も容易に除去することができる。
【特許文献1】特開2001−324860号公報
【特許文献2】特開2004−347661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載の清掃方法では、含水スポンジによってグリッドとコロナワイヤとを清掃することにより、水溶性のイオン生成物を除去することができ、初期の画像品質を維持することができるが、このような含水スポンジによって清掃を行う方法では、清掃後にグリッドの内面に水分が残存することがあり、かかる場合、帯電器内部に水分が残存することで過剰電流が流れ、像担持体表面の絶縁破壊(リーク跡)が発生することがあった。
【0010】
本発明においては上述の事情に鑑み、確実にグリッドの表面を清掃することができ、且つグリッドへの水分の残存によるリークの発生も防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、電圧が印加されコロナ放電を発生するコロナワイヤと、該コロナワイヤと感光体ドラムとの間に設けられたグリッドと、前記コロナワイヤと前記グリッドとを乾式清掃する自動清掃機構とを有し、装置本体に対して引き出し可能に構成された、感光体表面を帯電させる帯電器と、筐体及び該筐体から突出するグリッド清掃部材を有し、装置本体に対して着脱可能に構成された、前記グリッドを湿式清掃するグリッドクリーナと、を備え、前記グリッド表面に前記グリッド清掃部材を接触させながら、前記帯電器を引き出すことにより、前記グリッド表面の付着物を除去する画像形成装置において、装置本体には、前記帯電器が所定位置に装着されたことを検知する装着検知手段が設けられており、前記帯電器が所定位置に設置されると、少なくとも一回は前記自動清掃機構による乾式清掃が行われることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記自動清掃機構は、外周面にネジ山が形成され、前記コロナワイヤ及び前記グリッドの架設方向と平行に配設されるネジ棒と、内周面に前記ネジ山と噛合するネジ溝が形成され、前記ネジ棒を貫通支持する貫通穴を備えた支持部、及び該支持部の先端に付設され、前記コロナワイヤ及び前記グリッドに接触するクリーニングパッドから成る清掃部材と、前記ネジ棒を回転駆動させるモータと、から構成されていることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記モータは、装置本体側に配設されていることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記モータは、前記帯電器と一体に装置本体から引き出し可能に構成されており、該帯電器には装置本体から電力が供給される帯電器側コネクタが設けられ、装置本体には前記帯電器側コネクタが接続される本体側コネクタが設けられ、前記帯電器側コネクタ及び本体側コネクタによって、前記装着検知手段が構成されていることを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記グリッド清掃部材は、発泡弾性部材であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の構成によれば、グリッドクリーナを用いてグリッドの湿式清掃を行った際、グリッドの内面に水分が残存した場合でも、自動清掃機構による乾式清掃の際に、グリッドの内面に残存した水分が拭き取られるため、帯電器内部に水分が残存することによって生じる不具合を未然に防止することができる。
【0017】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、ネジ棒の外周面にネジ山を形成し、ネジ棒が貫通される清掃部材の支持部のネジ棒貫通部の内周面に、ネジ棒の外周面に形成されたネジ山と噛合するネジ溝を形成することにより、モータによってネジ棒を回転させるだけで清掃部材をコロナワイヤ及びグリッドの架設方向に摺動させることができるため、より簡単に自動清掃機構を構成することができる。
【0018】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の画像形成装置において、自動清掃機構を構成するモータを画像形成装置本体側に配設することによって、帯電器の構成を簡素化し部品点数を削減することができる。そのため、例えば、コロナワイヤ又はグリッドの不具合によって帯電器を交換する必要が生じた場合には、モータまでも交換しなくても良いため、メンテナンスコストの削減を図ることができる。
【0019】
また、本発明の4の構成によれば、上記第2の構成の画像形成装置において、帯電器側コネクタ及び本体側コネクタによって、装着検知手段を構成することにより、帯電器が画像形成装置本体に装着され、自動清掃機構を構成するモータに電力が供給されると、自動清掃が行われるよう構成することができるため、グリッドの湿式清掃後には確実に乾式清掃を行わせることができる。また、帯電器側コネクタ及び本体側コネクタによって、装着検知手段を構成することにより、別途装着検知手段を設ける必要がないため、部品点数の削減を図ることができる。
【0020】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の画像形成装置において、発泡弾性部材は、吸水性に優れ、水等を含浸させての清掃効果が極めて優れているため、より確実にグリッドの付着物を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。先ず、図1を参照して本発明に係る画像形成装置の構造及び画像出力動作について説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の構成を示す正面断面図である。なお、図中の一点鎖線矢印はレーザ光Lを示す。
【0022】
図1に示すように、画像形成装置1の下部には給紙部2が配置されている。給紙部2の内部には、印刷前のカットペーパー等の用紙Pが積載して収容され、ここから1枚ずつ分離して用紙Pが送り出される。画像形成装置1の内部であって、給紙部2の左方には、用紙搬送部3が備えられている。給紙部2から送り出された用紙Pは、用紙搬送部3により画像形成装置1の側面に沿って垂直上方に搬送され、後述する転写部30に至る。
【0023】
一方、画像形成装置1の上面には原稿送り部4が、その下方には原稿画像読み取り部5が備えられている。使用者が原稿の複写を行う場合には、原稿送り部4に、文字や図形、模様等の画像が描かれた原稿を積載する。原稿送り部4では1枚ずつ分離して原稿が送り出され、原稿画像読み取り部5によってその画像データが読み取られる。この画像データの情報は給紙部2の上方であって、画像形成装置1の中央部に配置されたレーザ照射部6に送られる。レーザ照射部6により、画像データに基づいて制御されたレーザ光Lが、後述する画像形成部20に向かって照射される。
【0024】
用紙搬送部3の上方であって、レーザ照射部6の左方には、画像形成部20及び転写部30が備えられている。画像形成部20では、レーザ照射部6によって照射されたレーザ光Lにより原稿画像の静電潜像が作られる。この静電潜像からトナー像が形成され、トナー像は、前記用紙搬送部3によって同期をとって送られてきた印刷前の用紙Pに、転写部30にて転写される。
【0025】
転写部30の上方には、定着部7が備えられている。転写部30にて未定着トナー像を担持した用紙Pは、定着部7へと送られ、熱ローラによりトナー像が加熱、溶融されて定着される。定着部7の上方には、分岐部8が備えられている。定着部7から排出された用紙Pは、両面印刷を行わない場合には、分岐部8から画像形成装置1の胴内に設けられた用紙排出トレイ9に排出される。
【0026】
分岐部8から用紙排出トレイ9に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分は、スイッチバック部10としての機能も兼ねており、両面印刷を行う場合には、このスイッチバック部10において、定着部7から排出された用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは、定着部7の左方、及び転写部30の左方を通って下方に送られ、再度用紙搬送部3を経て転写部30へと送られる。
【0027】
次に、画像形成装置1の画像形成部20周辺の詳細な構成について、図2を用いて説明する。図2は画像形成部周辺を示す部分拡大図である。なお、図2に描いた画像形成部20周辺の構造は、図1に記載のそれを、用紙搬送方向が水平となるように描き直したものであって、発明の内容を説明するにあたって、省略可能な部品については描画を省略している。
【0028】
図2に示すように、画像形成部20には、その中心に像担持体である感光体ドラム21が備えられている。そして、感光体ドラム21の近傍には、その回転方向に沿って順に、帯電器40、現像装置50、クリーニング装置60及び除電装置70が配置されている。転写部30は、感光体ドラム21の回転方向に沿って、現像装置50とクリーニング装置60との間に設けられている。
【0029】
感光体ドラム21は、アルミニウム等により構成される導電性ローラ状基体22と、その外側に設けられた感光層23とを備えている。感光層23には、真空蒸着等によって無機光導電性材料であるアモルファスシリコンを設けている。感光体ドラム21は、図示しない駆動装置によって、その周速度が用紙搬送速度と同じになるように回転せしめられている。
【0030】
帯電器40は、コロナ放電帯電器を用いたスコロトロン帯電装置である。帯電器40は、帯電器本体である金属製のシールドケース41を備えている。シールドケース41は、開口部が感光体ドラム21の方を向く樋状をなしている。このシールドケース41には、タングステンやステンレス等で構成される放電部材であるコロナワイヤ42及びグリッド43が設けられている。
【0031】
コロナワイヤ42はシールドケース41の内部に、グリッド43はシールドケース41の開口した一面の箇所に、感光体ドラム21の軸線方向に沿う形で架設されている。この帯電器40により、感光体ドラム21の表面が所定の極性及び電位で一様に帯電せしめられる。なお、帯電器40の詳細な構成については後述する。
【0032】
現像装置50には、感光体ドラム21の近傍に、感光体非接触型の現像ローラ51が設けられている。現像ローラ51には、感光体ドラム21の帯電極性と同極性のバイアスが印加される。この現像ローラ51により、現像剤であるトナーが帯電せしめられるとともに、感光体ドラム21の表面の静電潜像に飛翔せしめられ、静電潜像が現像される。トナーとしては、磁性或いは非磁性の一成分系トナーや、磁性キャリアと絶縁性トナーとを混合してなる二成分系トナーを使用する。なお、現像ローラは感光体接触型のものであっても構わない。
【0033】
転写部30には、感光体ドラム21に接触する転写ローラ31が設けられている。転写ローラ31は、芯金32と、その外側に設けられた導電性弾性層33とを備えている。導電性弾性層33は、カーボン等の導電性材料を分散させたポリウレタンゴム等で形成されている。この転写ローラ31が感光体ドラム21に圧接し、用紙Pを挿通させる転写ニップ部を形成する。転写ローラ31は、図示しない駆動装置によって、その周速度が感光体ドラム21の周速度と同じになるように回転せしめられている。また、転写ローラ31には、必要に応じて転写バイアスが印加される。
【0034】
クリーニング装置60は、感光体ドラム21の回転方向に沿って、転写ニップ部のさらに下流側に配置されている。クリーニング装置60は、クリーニング部材であるクリーニングブレード61、ハウジング62及びスクリュー(図示せず)を備えている。クリーニングブレード61は、感光体ドラム21とほぼ同じ軸線方向長さを有し、感光体ドラム21に接触するように設けられている。
【0035】
このクリーニングブレード61によって、転写後、感光体ドラム21表面に残留したトナーを除去してクリーニングする。感光体ドラム21表面から除去されたトナーは、ハウジング62内に回収され、スクリュー(図示せず)によりクリーニング装置60の外部へと搬送される。除電装置70は、LED(発光ダイオード)71で構成され、感光体ドラム21に光を照射することによりその表面の除電を行う。LED71の代わりに、EL(エレクトロルミネッセンス)光源、蛍光灯等を用いることもできる。
【0036】
ここで、上記画像形成部20及び転写部30の一連の動作について説明する。先ず、帯電器40において、コロナワイヤ42に所定の電圧を印加して、コロナ放電を発生させる。コロナ放電により生じた電子は空気中を浮遊して感光体ドラム21に向かうが、この時グリッド43に電圧を印加して電子の量をコントロールする。このようにして、帯電器40により、感光体ドラム21の表面が所定の極性及び電位で一様に帯電せしめられる。このときの帯電電位は、通常は200〜1000V程度である。
【0037】
続いて、原稿画像読み取り部5(図1参照)で読み取られた画像データに基づいて、レーザ照射部6(図1参照)により制御されるレーザ光Lが感光体ドラム21に照射され、照射部分の電位が光減衰して原稿画像の静電潜像が作られる。そして、現像装置50にて帯電せしめられたトナーが、現像ローラ51によって感光体ドラム21の表面に供給され、静電潜像からトナー像が形成される。
【0038】
一方、用紙Pは、用紙搬送部3(図1参照)によって感光体ドラム21表面のトナー像形成と同期がとられ、感光体ドラム21と転写ローラ31が接触して形成される転写ニップ部に挿通される。このとき、転写ローラ31には、感光体ドラム21やトナーとは逆極性である負極の転写バイアスが印加される。これにより、トナーが感光体ドラム21から転写ローラ31へと移動し、トナー像が用紙Pに接触転写される。
【0039】
トナー像転写後、感光体ドラム21表面に残留したトナーは、クリーニング装置60に設けられたクリーニングブレード61により掻き取るように除去される。ハウジング62内に回収されたトナーは、スクリュー(図示せず)によりクリーニング装置60の外部へと搬送される。感光体ドラム21表面のトナーがクリーニングされた後、除電装置70で感光体ドラム21表面の除電が行われることにより、次の画像形成動作のための準備が整えられる。
【0040】
次に、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置1に備えられた帯電器40の詳細な構成について、図3〜図6を用いて説明する。図3は帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態を示す左側面図であり、図4はシールドケースを取り外した状態の帯電器を示す左側面図であり、図5は帯電器の右側斜視図である。また、図6は帯電器を画像形成装置から引き出す途中の状態を示す斜視図である。なお、図3、図4及び図6において、右方が画像形成装置1の前面側、左方が背面側であり、図6では画像形成装置の一部分のみ図示している。
【0041】
図3に示すように、帯電器40には、その本体であるシールドケース41が、感光体ドラム21の軸線方向と略平行になるように設けられている。帯電器40は、画像形成装置1内に配設された2個の支持部材11により支持されている。なお、図3においては、画像形成装置1の前面側の支持部材11のみ描画し、背面側の支持部材11は描画を省略して二点鎖線で示している。
【0042】
樋状のシールドケース41の両端部には、合成樹脂製の絶縁部材45が設けられている。シールドケース41の内部にはコロナワイヤ42(図2参照)が、開口部にはグリッド43(図2参照)が、2個の絶縁部材45の間に架設されており、図3に示すように、帯電器40と感光体ドラム21との組み立てた状態において、グリッド43と感光体ドラム21表面との間隔が0.5mm程度となるように、感光体ドラム21に対して帯電器40が配置されている。
【0043】
図4に示すように、シールドケース41の内部には、コロナワイヤ42及びグリッド43を清掃するための清掃部材46とネジ棒81が備えられている。清掃部材46の先端には、コロナワイヤ42及びグリッド43に接触する発泡弾性部材や不織布部材からなるクリーニングパッド46aが設けられている。そして、ネジ棒81は、シールドケース41両端の絶縁部材45の間に渡され、清掃部材46の支持体46bを貫通している。
【0044】
また、支持体46bのネジ棒81貫通部にはネジ溝が設けられており、支持体46bとネジ棒81とがネジにより互いに係合している。これによって、ネジ棒81を回転させることにより、清掃部材46がコロナワイヤ42及びグリッド43の架設方向で、前面側の絶縁部材45と背面側の絶縁部材45との間をスライド移動して、これらを清掃することができるようになっている。なお、清掃部材46は、ネジ棒81が回転する時ネジ棒81の軸線を中心として回転しないよう構成されている。
【0045】
図5に示すように、シールドケース41の前面側の端部には、ギアケース44が備えられている。このギアケース44の内部には、ネジ棒81(図4参照)を駆動回転させるモータ82と減速ギア83とが備えられている。減速ギア83は、複数のギア群で構成され、モータ82の回転を所定の回転に減速してネジ棒81に伝達するものである。また、ギアケース44には、帯電器40が画像形成装置1本体に装着されると、画像形成装置1内に設けられた図示しない電源と接続された本体側コネクタ13(図6参照)と連結され、モータ82へと電力を供給する帯電器側コネクタ47が設けられている。
【0046】
そして、これらのネジ棒81、モータ82、減速ギア83及び清掃部材46によって、コロナワイヤ42及びグリッド43の自動清掃機構80が構成されており、使用者からの指示によって、又は、画像形成動作が所定枚数行われる毎に自動で、自動清掃機構80によって、コロナワイヤ42及びグリッド43が清掃されるようになっている。なお、クリーニングパッド46aには、水等は含浸されておらず、自動清掃機構80によるコロナワイヤ42及びグリッド43の清掃は乾式清掃となっている。
【0047】
上記のように構成された帯電器40は、メンテナンス等のために支持部材11に対して画像形成装置1の前面側、すなわち図3において右方に引き出すことが可能である。そして、図6に示すように、帯電器40の引き出し開口部12の近傍には、本体側コネクタ13が設けられており、帯電器40が画像形成装置1本体から引き出されると、本体側コネクタ13とギアケース44に設けられた帯電器側コネクタ47との連結が切断されるようになっている。
【0048】
また、図6に示すように、画像形成装置1内には、帯電器40の引き出し開口部12付近にグリッドクリーナ90が固定されるグリッドクリーナ装着部14が設けられており、グリッドクリーナ90を用いたグリッド43の清掃も行えるように構成されている。ここで、図7及び図8を参照して、グリッドクリーナ90を用いたグリッド43の清掃について説明する。図7はグリッドクリーナの構成を示す斜視図であり、図8はグリッドとグリッドクリーナとの位置関係を示す側面断面図である。
【0049】
グリッドクリーナ90は、交換用トナーコンテナやメンテナンスキットに付属しており、図7に示すように、樹脂製の筐体91と、筐体91の上面91aから突出するように設けられたグリッド清掃部材92から構成されている。グリッド清掃部材92には、水或いはアルコールを加えた水が含浸されており、グリッドクリーナ90は、使用時までグリッド清掃部材92が乾燥しないように水分不透過性のフィルム等で密封されている。また、筐体91の側面には、前述のグリッドクリーナ装着部14に差し込んで固定するための差込部91bが一体形成されている。
【0050】
なお、グリッド清掃部材92には、発泡弾性部材や不織布部材等を用いることができるが、より吸水性に優れ、水等を含浸させての清掃効果が極めて優れていることから、発泡弾性部材を用いることが好ましい。また、グリッド清掃部材92に用いられる発泡弾性部材は、多層構造であるもの、又は他の部材を積層したものであっても良く、例えば、ウレタンスポンジ層、セルローススポンジ層、不織布層及び研磨材層のうちの少なくとも一層を含むものであってもよい。研磨材層としては、硬質繊維からなるもの(例えば、金属繊維やガラス繊維等)が挙げられる。
【0051】
帯電器40が画像形成装置1に装着された状態で、グリッドクリーナ90の差込部91bをグリッドクリーナ装着部14に挿入すると、図8(a)に示すように、グリッド清掃部材92がグリッド43に対向するように画像形成装置1本体に固定される。このようにグリッドクリーナ90を固定した後、図8(a)の矢印A方向に帯電器40を摺動させて、画像形成装置1本体から引き出す。
【0052】
そして、帯電器40を画像形成装置1本体から引き出していくと、図8(b)のように、グリッド43表面にグリッド清掃部材92が接触して付着物を除去することとなる。更に、帯電器40を画像形成装置1本体内に挿入し、再度、画像形成装置1本体から引き出す操作を繰り返すことにより、グリッド43がグリッドクリーナ90のグリッド清掃部材92に繰り返し摺擦されて、グリッド43に堅固に付着した汚染物も容易に除去することができる。
【0053】
ここで、このようなグリッド清掃部材92によって清掃を行う方法では、清掃後にグリッド43の内面に水分が残存することがあり、かかる場合、帯電器内部に水分が残存することで過剰電流が流れ、像担持体表面の絶縁破壊(リーク跡)が発生することがある。そこで、本発明においては、グリッドクリーナ90を用いたグリッド43の湿式清掃を行った後、帯電器40が画像形成装置1に装着されると、少なくとも一回は前記自動清掃機構80による乾式清掃が行われることを特徴としている。
【0054】
具体的には、グリッドクリーナ90を用いてグリッド43の清掃を行う際には、前述したように、帯電器40を画像形成装置1本体前方側へと摺動させて、画像形成装置1から引き出し、グリッドクリーナ90を用いた湿式清掃が終了すると帯電器40を画像形成装置1に装着することとなるが、本発明に係る画像形成装置1では、グリッドクリーナ90を用いた湿式清掃が終了し、帯電器40が画像形成装置1に装着され、本体側コネクタ13と帯電器側コネクタ47とが連結されて、モータ82が図示しない電源と電気的に接続されると、自動的に自動清掃機構80による乾式清掃が行われるよう構成されている。
【0055】
これにより、グリッドクリーナ90を用いて、水等が含浸されたグリッド清掃部材92によるグリッド43の清掃を行った際、清掃終了後にグリッド43の内面に水分が残存した場合でも、自動清掃機構80による乾式清掃の際に、グリッド43の内面に残存した水分がクリーニングパッド46aにより拭き取られるため、帯電器内部に水分が残存することによって生じる不具合を未然に防止することができる。
【0056】
なお、上記のグリッドクリーナ90による湿式清掃終了後に行われる自動清掃機構80による乾式清掃では、清掃部材46を前面側の絶縁部材45と背面側の絶縁部材45との間を複数回往復させても良いが、清掃部材46を前面側の絶縁部材45と背面側の絶縁部材45との間を一回摺動させることで、グリッド43に残存した水分は十分に拭き取ることができ、また、使用者の待ち時間を短縮するためにも、帯電器40装着後の自動清掃機構80による乾式清掃は、一回に設定しておくことが好ましい。
【0057】
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置1に備えられた帯電器40の詳細な構成について、図9〜図11を用いて説明する。図9は帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態を示す左側面図であり、図10はシールドケースを取り外した状態の帯電器を示す左側面図である。また、図11は帯電器を画像形成装置から引き出す途中の状態を示す斜視図である。なお、図9〜図11において、右方が画像形成装置1の前面側、左方が背面側であり、図11では画像形成装置の一部分のみ図示している。なお、第1実施形態の図3〜図6と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
本実施形態においては、図9に示すように、自動清掃機構80を構成するモータ82及び減速ギア83が配設されたギアケース44は、画像形成装置1本体に配設されている。そして、図10に示すように、ネジ棒81の装置本体1背面側端部は、絶縁部材45を貫通しており、その先端部には、減速ギア83と噛合するように連結ギア84が固着され、帯電器40が画像形成装置1に装着されると、減速ギア83と連結ギア84が噛合して、モータ82の駆動がネジ棒81に伝達されるよう構成されている。
【0059】
更に、図11に示すように、画像形成装置1には、帯電器40の引き出し開口部12の近傍に、帯電器40の装着の有無を検知する装着検知手段15が配設されている。なお、装着検知手段15としては、フォトインタラプタ等の光センサやアクチュエータスイッチ等の物理センサ等、従来公知の種々のセンサを用いることができるが、中でも帯電器40の装着に連動して、所定部位への電力供給とその停止を切り替えるインターロックスイッチを用いた場合、後述するように帯電器40装着の有無の検知と同時に、自動清掃の開始を行うことができるため好ましい。
【0060】
そして、本実施形態においては、グリッドクリーナ90を用いた清掃が終了し、帯電器40が画像形成装置1に装着され、装着検知手段15が帯電器40の装着を検知すると、自動的に自動清掃機構80による乾式清掃が行われるよう構成されており、これにより、自動清掃機構80による乾式清掃の際に、グリッド43の内面に残存した水分がクリーニングパッド46aにより拭き取られるため、帯電器内部に水分が残存することによって生じる不具合を未然に防止することができる。
【0061】
また、本実施形態では、自動清掃機構80を構成するモータ82及び減速ギア83を画像形成装置1本体側に配設することによって、帯電器40の構成を簡素化し部品点数を削減することができる。そのため、例えば、コロナワイヤ42又はグリッド43の不具合によって帯電器40を交換する必要が生じた場合でも、モータ82及び減速ギア83までも交換しなくても良いため、メンテナンスコストの削減を図ることができる。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、例えば、上記第1実施形態においては、帯電器側コネクタ47と本体側コネクタ13が連結されて、モータ82が図示しない電源と電気的に接続されると自動清掃機構80が動作するよう構成されているが、これは、第2実施形態のように、別途装着検知手段を設けて、この装着検知手段が帯電器40の装着を検知した際に、自動清掃機構80が動作するよう構成しても良い。また、上記第1及び第2実施形態においては、帯電器40を、装置本体に対して摺動可能に構成することによって、装置本体から引き出し可能としているが、これは、例えばシールドケース41にコロ等を設けて、装置本体に対して転動可能に構成され、引き出し可能とされている場合であっても、本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、帯電器を用いて像担持体表面を帯電させる画像形成装置に利用することができ、特に、コロナワイヤと被帯電体との間にグリッドを有するスコロトロン帯電器を用いた画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】は、第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す正面断面図である。
【図2】は、図1に示す画像形成部周辺を示す部分拡大図である。
【図3】は、第1実施形態に係る画像形成装置に備えられた帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態を示す左側面図である。
【図4】は、図3に示す帯電器のシールドケースを取り外した状態を示す左側面図である。
【図5】は、図3に示す帯電器の右側斜視図である。
【図6】は、第1実施形態に係る画像形成装置から帯電器を引き出す途中の状態を示す斜視図である。
【図7】は、グリッドクリーナの構成を示す斜視図である。
【図8】は、グリッドとグリッドクリーナとの位置関係を示す側面断面図である。
【図9】は、第2実施形態に係る画像形成装置に備えられた帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態を示す左側面図である。
【図10】は、図9に示す帯電器のシールドケースを取り外した状態を示す左側面図である。
【図11】は、第2実施形態に係る画像形成装置から帯電器を引き出す途中の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 画像形成装置
12 引き出し開口部
13 本体側コネクタ
14 グリッドクリーナ装着部
15 装着検知手段
21 感光体ドラム
40 帯電器
41 シールドケース
42 コロナワイヤ
43 グリッド
44 ギアケース
45 絶縁部材
46 清掃部材
46a クリーニングパッド
46b 支持体
47 帯電器側コネクタ
80 自動清掃機構
81 ネジ棒
82 モータ
83 減速ギア
84 連結ギア
90 グリッドクリーナ
91 筐体
91a 上面
91b 差込部
92 グリッド清掃部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧が印加されコロナ放電を発生するコロナワイヤと、該コロナワイヤと感光体ドラムとの間に設けられたグリッドと、前記コロナワイヤと前記グリッドとを乾式清掃する自動清掃機構とを有し、装置本体に対して引き出し可能に構成された、感光体表面を帯電させる帯電器と、
筐体及び該筐体から突出するグリッド清掃部材を有し、装置本体に対して着脱可能に構成された、前記グリッドを湿式清掃するグリッドクリーナと、を備え、
前記グリッド表面に前記グリッド清掃部材を接触させながら、前記帯電器を引き出すことにより、前記グリッド表面の付着物を除去する画像形成装置において、
装置本体には、前記帯電器が所定位置に装着されたことを検知する装着検知手段が設けられており、前記帯電器が所定位置に設置されると、少なくとも一回は前記自動清掃機構による乾式清掃が行われることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記自動清掃機構は、外周面にネジ山が形成され、前記コロナワイヤ及び前記グリッドの架設方向と平行に配設されるネジ棒と、
内周面に前記ネジ山と噛合するネジ溝が形成され、前記ネジ棒を貫通支持する貫通穴を備えた支持部、及び該支持部の先端に付設され、前記コロナワイヤ及び前記グリッドに接触するクリーニングパッドから成る清掃部材と、
前記ネジ棒を回転駆動させるモータと、
から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記モータは、装置本体側に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記モータは、前記帯電器と一体に装置本体から引き出し可能に構成されており、該帯電器には装置本体から電力が供給される帯電器側コネクタが設けられ、装置本体には前記帯電器側コネクタが接続される本体側コネクタが設けられており、
前記帯電器側コネクタ及び本体側コネクタによって、前記装着検知手段が構成されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記グリッド清掃部材は、発泡弾性部材であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−83632(P2008−83632A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266505(P2006−266505)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】