説明

画像形成装置

【課題】課金装置との通信に異常が発生した場合に、ジャムを発生させずに正常な印刷物が無課金で出力されることを防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】有料複写サービスを提供する複写機は、給紙の開始後に課金装置と通信異常が発生した場合に(ステップS102)、記録紙の搬送位置と画像形成プロセスのタイミングに応じて、異常時用画像を印刷する(ステップS108)、もしくは転写バイアスをオフにするなどの非正常なプロセスで印刷を行う(ステップS110)、もしくは定着ローラに対する記録紙の案内位置を変更してシワを発生させる(ステップS112)、もしくは記録紙の排出時に異常な加工を加える(ステップS113)、といった非正常な複写印刷・出力処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部接続された課金装置により課金を行って画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有料の複写サービスなどを提供する商用の画像形成装置では、サービス利用料金の課金に関する不具合が発生しないように対策が講じられている。たとえば、特許文献1には、複数枚の記録紙を同時並行に搬送して両面印刷を処理している最中に料金が不足した場合に、装置内に記録紙が残った状態で処理停止することを防止する技術が開示されている。また特許文献2には、片面多重コピーや両面コピーの印刷処理中に中間トレイから不正に抜き取られた印刷物に対して適正に課金できるようにした技術が開示されている。
【0003】
一方、画像形成装置に外部接続した課金装置で課金を行う構成では、印刷処理中(給紙後から排紙直前の課金タイミングまでの間など)に課金装置からの信号が途切れるなどの通信異常(信号異常)が発生すると、その印刷処理中の記録紙は課金されずに正常な印刷が行われて出力される場合がある。このように、正常な印刷物が無課金で出力されてしまうと、課金サービスの提供者は不利益を被ることになる。そこで、課金装置との通信異常を検知した際には、印刷処理中の記録紙を画像形成装置内で強制的にジャムにしてしまい、出力しないようにすることで、正常な印刷物が無課金で出力されることを防止する技術などを取り入れている場合もある。
【0004】
【特許文献1】特開2003−173115号公報
【特許文献2】特開平9−190123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように画像形成装置内でジャムを発生させる技術では、ジャムになった記録紙を装置内から取り除かなければならなくなり、手間が生じる。ジャムになった記録紙を除去して装置を復旧させるまでの間は、装置を稼動できなくなる問題もある。また、特許文献1および2の技術では、このような課金装置との通信異常による課金の不具合を解消することはできない。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、課金装置との通信に異常が発生した場合に、ジャムを発生させずに正常な印刷物が無課金で出力されることを防止することができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0008】
[1]原稿画像を読み取り画像データを取得する画像読取部と、
記録紙を給紙して搬送し前記画像読取部で取得された画像データに基づく画像を前記記録紙に形成して出力する画像形成出力処理を行う画像形成部と、
課金装置と通信する通信部と、
前記通信部による前記課金装置との通信が正常に行われている場合は、前記画像形成部に前記画像形成出力処理を正常に行わせ、かつその出力された記録紙に対する課金信号を前記通信部から前記課金装置へ送信し、前記画像形成部による前記給紙の開始後に前記通信部による前記課金装置との通信に異常が発生した場合は、その給紙された記録紙に対して前記画像形成部に非正常な前記画像形成出力処理を行わせて出力させる制御部と、
を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【0009】
上記発明では、画像形成装置は画像を形成して出力した記録紙に対する課金信号を、外部接続された課金装置に送信することで、その画像の形成に対する課金が課金装置によって行われる。課金装置との通信が正常に行われている場合には、画像形成装置の画像形成部は、記録紙を給紙して搬送し、画像読取部による原稿画像の読み取りで取得された画像データに基づく画像を記録紙に形成して出力する画像形成出力処理を正常に行う。この処理により、正常な印刷物、すなわち、正常な画像が形成された正常な状態の印刷物が、利用者(課金サービスの享受者/顧客)が取り出すことのできる正常時の排出部に出力される。
【0010】
画像形成部による給紙の開始後に課金装置との通信に異常が発生した場合には、画像形成部はその給紙された記録紙に対して非正常な画像形成出力処理を行い出力する。この処理により、非正常な印刷物が上記の排出部に出力される、もしくは、印刷物が利用者には取り出すことのできない非常時の排出部に出力されるなどする。
【0011】
このように、課金装置との通信異常で印刷物が課金されずに出力されるような場合には、ジャムなどにならずに非正常な印刷物が出力されたり、利用者には印刷物を取り出すことができない非常時の排出部に出力されたりするようになるため、正常な印刷物が無課金で出力されることを防止できるようになる。
【0012】
[2]前記画像形成部は、前記給紙された前記記録紙の位置を検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部で検出された前記記録紙の位置に応じて前記非正常な画像形成出力処理の内容を変更する
ことを特徴とする[1]に記載の画像形成装置。
【0013】
上記発明では、給紙された記録紙の位置に応じて非正常な画像形成出力処理の内容が変更され、画像形成部はその変更された内容の非正常な画像形成出力処理を行う。これにより、非正常な画像形成出力処理を、記録紙の位置に応じて実施可能な内容や適切な内容などに変更し、行えるようになる。
【0014】
[3] 前記制御部は、前記異常が発生した場合に前記画像データの内容を変更し、前記画像形成部に前記非正常な画像形成出力処理として、前記内容を変更した画像データに基づく画像を前記記録紙に形成する処理を行わせる
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の画像形成装置。
【0015】
上記発明では、画像形成部は非正常な画像形成出力処理として、内容が変更された画像データに基づく画像を記録紙に形成する処理を行う。この処理により、非正常な画像が形成された印刷物が出力されるようになる。
【0016】
画像データの内容変更は、たとえば、正常な画像データ(画像読取部で取得された画像データ)を別の画像データに入れ替えたり、正常な画像データに別の画像データを合成したりするなどにより行うことができる。画像データの入れ替えや合成は、入れ替え用や合成用の画像データを画像形成装置内の記憶部に予め記憶しておくなどにより、その画像データを用いて行うことできる。この場合は、画像形成装置の製造メーカや課金サービスの提供者などが、利用者に見せたい画像などの画像データを予め作成して画像形成装置内に記憶しておくことにより、その画像データを使用して利用者に所望の画像を見せるようなことも可能になる。
【0017】
[4]前記画像形成部は、
感光体と、
前記感光体を帯電する帯電部と、
前記帯電部により帯電された前記感光体に画像データに基づいて発光制御した光を照射して潜像を形成する潜像形成部と、
前記潜像形成部により前記感光体に形成された潜像を現像して現像像を形成する現像部と、
前記現像部により前記感光体に形成された現像像を前記記録紙に転写する転写部と、
を備え、
前記正常な画像形成出力処理は、
前記帯電部が所定の処理条件で前記帯電を行う帯電処理と、
前記潜像形成部が所定の処理条件で前記潜像を形成する潜像形成処理と、
前記現像部が所定の処理条件で前記現像像を形成する現像処理と、
前記転写部が所定の処理条件で前記転写を行う転写処理と、
を含み、
前記制御部は、前記異常が発生した場合に、前記帯電処理と、前記潜像形成処理と、前記現像処理と、前記転写処理とのうちの少なくとも1つの処理の前記所定の処理条件を変更し、前記画像形成部に前記非正常な画像形成出力処理として、前記所定の処理条件を変更した前記少なくとも1つの処理はその変更した処理条件で処理を行わせる
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0018】
上記発明では、画像形成部は正常な画像形成出力処理として、電子写真方式の画像形成プロセスにおける帯電処理と、潜像形成処理と、現像処理と、転写処理とを正常に行う。すなわち、帯電部が感光体を帯電する帯電処理と、潜像形成部が画像データに基づいて発光制御した光を帯電された感光体に照射して潜像を形成する潜像形成処理と、現像部が感光体に形成された潜像を現像して現像像を形成する現像処理と、転写部が感光体に形成された現像像を記録紙に転写する転写処理とを、全て所定の処理条件で正常に行う。これにより、電子写真方式の画像形成プロセスで正常な画像が形成された印刷物が出力される。
【0019】
また非正常な画像形成出力処理として、上記の帯電処理、潜像形成処理、現像処理、転写処理のうちの少なくとも1つの処理の所定の処理条件を変更し、変更した処理については変更した処理条件で処理を行う。
【0020】
帯電処理の処理条件を変更した場合には、感光体が正常に帯電されなくなり、感光体に潜像(静電潜像)を正常に形成できなくなる。たとえば、印加する帯電電圧などを変更すれば感光体の帯電電位が正常値ではなくなり、帯電電圧を印加停止すれば感光体は無帯電状態となる。
【0021】
潜像形成処理の処理条件を変更した場合には、感光体に正常な潜像が形成されなくなる。たとえば、発光制御の条件、すなわち、感光体に照射する光の照射条件(強度)などを変更すれば、感光体に形成された潜像の電位は正常値ではなくなり、感光体への光照射を停止すれば潜像は形成されなくなる。
【0022】
現像処理の処理条件を変更した場合には、感光体に形成された潜像が正常に現像されなくなり、正常な現像像(トナー像)が形成されなくなる。たとえば、印加する現像電圧などを変更すれば現像剤が適正に供給されずに正常な画像特性が得られなくなり、現像電圧を印加停止したり現像剤を供給停止したりすれば正常な現像像は形成されなくなる。
【0023】
転写処理の処理条件を変更した場合には、現像像が記録紙に正常に転写されなくなる。たとえば、印加する転写電圧などを変更すれば現像剤が適正に転写されずに正常な画像特性が得られなくなり、転写電圧を印加停止しれば現像像は転写されなくなる。
【0024】
これにより、非正常(異常)な画像が形成された印刷物が出力されるようになる。
【0025】
[5]前記画像形成部は、
前記記録紙に圧接し回転してその記録紙を搬送しつつ画像を定着させるローラと、
前記ローラに前記記録紙を案内すると共にその案内位置を変更可能な案内部と、
を備え、
前記正常な画像形成出力処理は、前記案内部が前記ローラによる搬送でシワの発生しない位置に案内した記録紙に対して前記ローラが前記定着を行う定着処理を含み、
前記制御部は、前記異常が発生した場合に前記案内部による前記案内位置を変更し、前記画像形成部に前記非正常な画像形成出力処理として、前記案内部が前記ローラによる搬送でシワの発生する位置に案内した記録紙に対して前記ローラが前記定着を行う定着処理を行わせる
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0026】
上記発明では、電子写真方式の画像形成プロセスにおける定着処理として、加熱・加圧ローラなどのローラ(定着ローラ)が記録紙に圧接し回転して、記録紙を搬送しつつ画像を定着させる。案内部は、このローラに記録紙を案内すると共に案内位置を変更する。たとえば、案内部は移動や傾動などの変位によって案内位置を変更することができる。記録紙は、案内部の変位によってローラに対する進入位置や進入角度(進入姿勢)などが変更される。
【0027】
画像形成部は正常な画像形成出力処理として、案内部が記録紙をローラによる搬送でシワの発生しない位置に案内し、その記録紙に対してローラが上記の動作により画像を定着させる定着処理を行う。この処理により、シワの付いていない平面状の印刷物、すなわち、正常な状態の印刷物が出力されるようになる。また非正常な画像形成出力処理として、案内部が記録紙をローラによる搬送でシワの発生する位置に案内し、その記録紙に対してローラが上記の動作により画像を定着させる定着処理を行う。この処理により、シワの付いた非平面状の印刷物、すなわち、非正常(異常)な状態の印刷物が出力されるようになる。
【0028】
[6]前記画像形成部は、
前記記録紙に対して異常な加工を加える加工処理と前記異常な加工を加えない非加工処理とを切り替えて行う加工部を備え、
前記正常な画像形成出力処理は、前記加工部が行う前記非加工処理を含み、
前記制御部は、前記異常が発生した場合に前記加工部が行う処理を前記加工処理に切り替え、前記画像形成部に前記非正常な画像形成出力処理として、前記加工処理を行わせる
ことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0029】
上記発明では、画像形成部は加工部により、記録紙に対して異常な加工を加える加工処理と、異常な加工を加えない非加工処理とを切り替えて行う。加工部は、たとえば、搬送される記録紙に対して接離可能に設けられた切断部材や描画部材などを適用できる。切断部材はカッターなどの刃物が使用可能であり、描画部材はスタンプやマジックなどのインク塗布材(ペイント材)が使用可能である。切断部材の場合には、搬送される記録紙は切断部材に接触されて切断される。描画部材の場合には、搬送される記録紙は描画部材に接触されて、マーキングや落書きなどが描画される。
【0030】
画像形成部は正常な画像形成出力処理として、加工部により記録紙に異常な加工を加えない非加工処理を行う。この処理により、異常な加工が施されていない正常な状態の印刷物が出力される。また、画像形成部は非正常な画像形成出力処理として、加工部により記録紙に異常な加工を加える加工処理を行う。この処理により、異常な加工が施された非正常(異常)な状態の印刷物が出力されるようになる。
【0031】
[7]前記画像形成部は、
前記出力された記録紙が当該画像形成装置の利用者に取り出し可能な第1排出部と、
前記出力された記録紙が当該画像形成装置の利用者に取り出し不可能な第2排出部と、
前記記録紙の出力先を前記第1排出部または前記第2排出部に切り替え可能な切替部と、
を備え、
前記正常な画像形成出力処理は、前記画像形成部が前記切替部により前記記録紙を前記第1排出部に出力する処理を含み、
前記制御部は、前記異常が発生した場合に前記切替部による前記出力先を切り替え、前記画像形成部に前記非正常な画像形成出力処理として、前記切替部により前記記録紙を前記第1排出部に出力する処理を行わせる
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0032】
上記発明では、画像形成部は切替部により、記録紙の出力先を利用者の取り出し可能な第1排出部または利用者の取り出し不可能な第2排出部に切り替える。切替部は、たとえば、移動や傾動などの変位によって記録紙を第1排出部や第1排出部へ通じる通路、または、第2排出部や第2排出部へ通じる通路へ振り分ける振分部材(誘導部材)などを適用できる。
【0033】
画像形成部は正常な画像形成出力処理として、切替部により記録紙を第1排出部に出力する処理を行う。この処理により、利用者は第1排出部から正常な印刷物を取り出して取得できるようになる。また、画像形成部は非正常な画像形成出力処理として、切替部により記録紙を第2排出部に出力する処理を行う。この処理により、利用者は第2排出部から印刷物を取り出することができず、印刷物を取得できなくなる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の画像形成装置によれば、課金装置との通信に異常が発生した場合に、ジャムを発生させずに正常な印刷物が無課金で出力されることを防止できるようになる。したがって、画像形成装置による課金サービスの提供者が不利益を被ることを回避できるようになる。また、ジャムになった記録紙の除去作業が不要となり装置の復旧を迅速に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0036】
図1は、本発明の実施の形態に係る複写課金システム5の構成例を示している。複写課金システム5は、有料で複写サービスを提供するシステムであり、複写機10と課金装置100とをケーブル7で通信可能に接続して構成される。
【0037】
複写機10は、原稿のカラーコピー機能やカラープリンタ機能などを備えたデジタルカラー複写機と呼ばれる装置(画像形成装置)であり、複写課金システム5においては、複写サービスの利用者による操作を受けて複写印刷を実行する機能を果す。課金装置100は、硬貨などの投入を受け付けてサービスの利用に応じた料金を徴収するコインベンダなどの装置であり、複写課金システム5においては、複写機10で利用された複写サービスに対する課金を行う機能を果す。
【0038】
図2は、複写機10の機構系の概略構成を示している。複写機10は、自動原稿送り装置20と、画像読取部としてのスキャナ部30と、画像形成部としてのプリンタ部40と、操作表示部17とを備えている。複写機10のベース部はプリンタ部40によって構成され、プリンタ部40の上にスキャナ部30と自動原稿送り装置20とが配設されている。
【0039】
自動原稿送り装置20は、下方のスキャナ部30による読取位置Sに原稿Nを自動で送り込む機能を果たす。自動原稿送り装置20は、原稿Nが積載される原稿トレイ21と、原稿Nをスキャナ部30の読取位置Sに送り込む図示しない原稿送り機構と、スキャナ部30による読み取りの済んだ原稿Nが排出される排出トレイ22とを備えている。
【0040】
自動原稿送り装置20は、原稿トレイ21に積載された原稿Nを原稿送り機構により1枚ずつスキャナ部30の読取位置Sに送り込み、読み取りが済んだ原稿Nを排出トレイ22に排出する。両面原稿については、原稿トレイ21から読取位置Sへ送り込んで表面が読み取られた後に、原稿送り機構が表裏を反転して再び読取位置Sへ送り込み、裏面の読み取りが済んでから排出トレイ22に排出するようになっている。
【0041】
スキャナ部30は、原稿Nをカラーで読み取り画像データを取得する機能を備えている。詳細には、原稿Nの画像を光学的に読み取り、イエロー(Yellow;Y)、マゼンタ(Magenta;M)、シアン(Cyan;C)、ブラック(blacK;K)の4つの基本色について色別の画像データを出力する機能を備えている。
【0042】
スキャナ部30は上面部に、原稿Nが載置されるプラテンガラス31が設けられ、プラテンガラス31の側方に位置する上述の読取位置Sにコンタクトガラス32が設けられている。内部には、背面反射板を有する光源33とその照明光による原稿Nからの反射光Lを反射するミラー34とを備えた原稿照明部35と、原稿照明部35をプラテンガラス31の下面に沿って複写機10の幅方向(図の左右方向)に往復移動させる図示しない移動機構と、原稿Nからの反射光Lを受光しその光強度に応じた電気信号を色別に出力するカラータイプのラインイメージセンサ36と、原稿照明部35のミラー34で反射された反射光Lをラインイメージセンサ36へ導くための光路を形成する複数の反射ミラー37と、反射ミラー37によって導かれた反射光Lをラインイメージセンサ36へ集光する集光レンズ38とが設けられている。
【0043】
スキャナ部30は、プラテンガラス31上に載置された原稿Nを読み取る場合には、原稿照明部35が光源33を点灯させプラテンガラス31の下面に沿って移動しながら原稿Nを照明する。この移動する原稿照明部35に走査照明された原稿Nの反射光Lを、ミラー34、反射ミラー37、および集光レンズ38を介してラインイメージセンサ36が受光し読み取るようになっている。自動原稿送り装置20によって送り込まれた原稿Nを読み取る場合には、原稿照明部35がコンタクトガラス32の下方へ移動して停止し、光源33を点灯させて読取位置S上を通過移動する原稿Nを照明する。この移動する原稿Nの反射光Lを同様に、ミラー34、反射ミラー37、および集光レンズ38を介してラインイメージセンサ36が受光し読み取るようになっている。
【0044】
プリンタ部40は、入力された画像データに対応する画像を電子写真方式の画像形成プロセスで記録紙上に形成するタンデム方式のカラーレーザープリンタであり、スキャナ部30で読み取られた原稿Nの画像をカラーで複写印刷し出力する機能を備えている。
【0045】
プリンタ部40は、レーザーユニット(Laser Unit)41と、Y、M、C、Kの各色に対応する4つのイメージングユニット(Image Unit)50(50Y、50M、50C、50K)と、同じく4つのトナー補給装置42(42Y、42M、42C、42K)と、トナー回収部43と、転写部としての転写分離装置60と、定着部としての定着装置70と、4つの給紙装置(1段給紙装置80a、2段給紙装置80b、3段給紙装置80c、4段給紙装置80d)と、手差し給紙装置80eと、搬送装置90と、加工部としての加工装置44と、第1排出部としての排紙トレイ45と、第2排出部としての排紙ボックス46とを備えている。また搬送装置90は、反転部90aと、両面部90bとを備えている。
【0046】
レーザーユニット41は、イメージングユニット50に設けられた感光体ドラム51(51Y、51M、51C、51K)の表面をレーザビームで走査露光し、ドラム表面に静電潜像を形成する機能を果たす。
【0047】
レーザーユニット41は、Y、M、C、Kの各色に対応する図示しない4つのレーザ光源(Laser Diode;LD)を備えている。各レーザ光源は、入力される画像データに応じて発光制御(オンオフ制御)されるレーザビームを射出するようになっている。詳細な図示は省略するが、レーザーユニット41は更に、各レーザ光源から射出された4本のレーザビームLY、LM、LC、LKを反射して走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーを回転駆動するモータと、ポリゴンミラーで走査された4本のレーザビームLY、LM、LC、LKを対応する感光体ドラム51Y、51M、51C、51Kへ導く走査レンズや反射ミラーなどの光学部材を備えている。
【0048】
レーザーユニット41は、各レーザ光源が画像データに応じて発光制御されたレーザビームLY、LM、LC、LKをそれぞれ射出し、各レーザビームを回転するポリゴンミラーが反射・走査し、走査された各レーザビームを走査レンズや反射ミラーなどを介してイメージングユニット50の対応する感光体ドラム51Y、51M、51C、51Kに照射し、ドラム表面をレーザビームで走査露光するようになっている。
【0049】
イメージングユニット50は、記録紙に転写するトナー像を形成する機能を果たす。詳細には、イメージングユニット50Y、50M、50C、50KがY色、M色、C色、K色のトナー像を形成し、転写分離装置60に設けられた中間転写ベルト61の回転移動に伴い各色のトナー像をベルト上に重ね合わせて転写する機能を果たす。またイメージングユニット50Y、50M、50C、50Kは、複写機10の幅方向に沿って回転移動する中間転写ベルト61の回転移動方向に沿って上流側から下流側へ向けてその順番に配列されている。
【0050】
イメージングユニット50は、ユニット本体(ケーシング)に回転可能に支持された円筒状の感光体ドラム51(51Y、51M、51C、51K)を備えている。感光体ドラム51は、ドラム表面を中間転写ベルト61の表面に接触させて配置されている。
【0051】
イメージングユニット50は更に、帯電バイアスを印加して感光体ドラム51の表面を帯電する帯電装置52(52Y、52M、52C、52K)と、帯電された感光体ドラム51の表面にレーザビームが照射されて形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置53(53Y、53M、53C、53K)と、感光体ドラム51から中間転写ベルト61へのトナー像の転写(1次転写)後にドラム表面を除電する除電装置54(54Y、54M、54C、54K)と、除電された感光体ドラム51の表面をクリーニングするクリーニング装置55(55Y、55M、55C、55K)とを備えている。現像装置53は、感光体ドラム51と対向配置され現像ACバイアスが印加される現像ローラと、現像ローラにトナーを供給するトナー供給ローラなどを備えている。クリーニング装置55は、たとえば、感光体ドラム51の表面に圧接してドラムの回転時に摺接するブレードや、感光体ドラム51の表面に圧接してドラムの回転時に従動回転するブラシローラなどのクリーニング部材を備えている。
【0052】
イメージングユニット50は、回転する感光体ドラム51の表面に帯電装置52がトナーの帯電極性と同極性の帯電バイアスを印加してドラム表面を一様に帯電し(帯電処理)、帯電されたドラム表面にレーザーユニット41によるレーザビームのオン・オフによる走査露光を受けて、レーザビームの照射部にトナーと逆極性または電位差の有る静電潜像が形成される(潜像形成処理)。現像装置53は、トナー供給ローラが現像ローラにトナーを供給し、このトナーを現像ACバイアスの印加された現像ローラが感光体ドラム51の表面に供給する。現像ACバイアスの印加で現像ローラから剥離しやすくなったトナーは感光体ドラム51上の静電潜像に静電吸着し、静電潜像がトナーにより顕像化されドラム表面にトナー像が形成される(現像処理)。感光体ドラム51は、回転しながら1次転写位置(TY、TM、TC、TK)でトナー像を中間転写ベルト61に転写する。トナー像の転写後は、除電装置54が感光体ドラム51の表面に残留している電荷(表面電位)を除去し、さらにクリーニング装置55がドラム表面に残留するトナー(転写残トナー)をブレードやブラシローラなどで掻き落としクリーニングするようになっている。
【0053】
トナー補給装置42は、イメージングユニット50の現像装置53にトナーを供給する機能を果たす。詳細には、トナー補給装置42Y、42M、42C、42Kはプリンタ部40に交換可能に装填されたY、M、C、Kの各色のトナーカートリッジを備えており、対応する現像装置53Y、53M、53C、53Kで消費された分のトナーをトナーカートリッジから補給するようになっている。
【0054】
トナー回収部43は、イメージングユニット50から廃トナーを回収する機能を果たす。詳細には、トナー回収部43はプリンタ部40の前扉内に交換可能に設けられた廃トナーボトルなどを備え、イメージングユニット50Y、50M、50C、50Kのクリーニング装置55Y、55M、55C、55Kにより集積された転写残トナーを廃トナーボトルに回収するようになっている。
【0055】
転写分離装置60は、イメージングユニット50により形成されて転写(1次転写)されたトナー画像を記録紙に転写(2次転写)する機能を果たす。
【0056】
転写分離装置60は、無端状の中間転写ベルト61と、中間転写ベルト61を張架してベルト表面を感光体ドラム51Y、51M、51C、51Kに接触させ回転移動可能に支持する駆動ローラ62および複数の従動ローラ63と、駆動ローラ62を回転駆動させて中間転写ベルト61を所定方向(図中の矢印A方向)へ回転移動させる図示しないモータとを備えている。駆動ローラ62は、感光体ドラム51Kよりも中間転写ベルト61の回転移動方向における下流側に配置されている。
【0057】
転写分離装置60は更に、中間転写ベルト61を挟んで感光体ドラム51Y、51M、51C、51Kと対向配置され、中間転写ベルト61に従動回転しトナーの帯電極性とは逆極性の1次転写バイアスを印加する1次転写ローラ64Y、64M、64C、64Kと、中間転写ベルト61を挟んで駆動ローラ62と対向配置され、中間転写ベルト61に従動回転しトナーの帯電極性とは逆極性の2次転写バイアスを印加する2次転写ローラ65とを備えている。
【0058】
転写分離装置60では、1次転写ローラ64Y、64M、64C、64Kと感光体ドラム51Y、51M、51C、51Kとの間が、詳細には、中間転写ベルト61の表面と感光体ドラム51Y、51M、51C、51Kとの接触部が、感光体ドラム51Y、51M、51C、51Kから中間転写ベルト61にトナー像が1次転写される1次転写位置TY、TM、TC、TKとなっている。また、駆動ローラ62と2次転写ローラ65との間が、詳細には、中間転写ベルト61の表面と2次転写ローラ65との接触部が、中間転写ベルト61から記録紙にトナー像が2次転写される2次転写位置T2となっている。
【0059】
転写分離装置60は更に、2次転写後の記録紙に分離バイアスを印加する図示しない分離帯電器と、2次転写後に中間転写ベルト61を除電する図示しない除電装置と、除電された中間転写ベルト61の表面をクリーニングするクリーニング装置66とを備えている。クリーニング装置66は、たとえば、中間転写ベルト61の表面に圧接してベルトの回転移動時に摺接するブレードや、中間転写ベルト61の表面に圧接してベルトの回転移動時に従動回転するブラシローラなどのクリーニング部材を備えている。
【0060】
転写分離装置60は、イメージングユニット50Yにより形成されたY色のトナー画像と、イメージングユニット50Mにより形成されたM色のトナー画像と、イメージングユニット50Cにより形成されたC色のトナー画像と、イメージングユニット50Kにより形成されたK色のトナー画像とがその順に中間転写ベルト61に転写されて重ね合わせられ、各色のトナー画像の合成により形成されたカラーのトナー画像を中間転写ベルト61から記録紙に一括転写するようになっている(転写処理)。
【0061】
詳細には、駆動ローラ62が回転駆動して中間転写ベルト61を回転移動させ、イメージングユニット50YがY色のトナー画像を形成している所定のタイミングで1次転写ローラ64Yが転写バイアスを印加する。感光体ドラム51Y上に形成されたY色のトナー画像は、1次転写位置TYに至ると逆極性のバイアスによる静電吸着力で中間転写ベルト61上に1次転写される。同様に、イメージングユニット50MがM色のトナー画像を形成している所定のタイミングで1次転写ローラ64Mが転写バイアスを印加すると、感光体ドラム51M上に形成されたM色のトナー画像は1次転写位置TMで中間転写ベルト61上に、Y色のトナー画像に重ね合わせられて1次転写される。イメージングユニット50Cで形成されたC色のトナー画像と、イメージングユニット50Kで形成されたK色のトナー画像も同様に、1次転写位置TC、TKで中間転写ベルト61上に、既に転写されているトナー画像に順次重ね合わせられて1次転写される。これにより、中間転写ベルト61上には、Y、M、C、Kの各色のトナー画像の合成によるカラーのトナー画像が形成される。
【0062】
さらに、1次転写が行われている所定のタイミングで2次転写ローラ65が転写バイアスを印加する。中間転写ベルト61上に形成されたカラーのトナー画像は、2次転写位置T2に至ると逆極性のバイアスによる静電吸着力で記録紙上に2次転写される。2次転写後は、分離帯電器が記録紙に分離バイアスを印加し、記録紙に発生した中間転写ベルト61への静電吸着力を低下させて中間転写ベルト61から記録紙を分離しやすくする。さらに、除電装置が中間転写ベルト61に残留している電荷を除去し、クリーニング装置66がベルト表面に残留するトナー(転写残トナー)をブレードやブラシローラなどで掻き落としクリーニングするようになっている。
【0063】
定着装置70は、トナー像が転写された記録紙を加熱および加圧してトナー像を記録紙に定着させる機能を果たす。
【0064】
定着装置70は、対向配置されて装置本体(ケーシング)に回転可能に支持された一対の定着ローラ71a、71bと、定着ローラ71a、71bの一方を回転駆動する図示しないモータと、定着ローラ71a、71bへの記録紙の案内位置を変更して記録紙のシワ発生を抑制するゲート72とを備えている。定着ローラ71a、71bは、発熱する加熱ローラと、加熱ローラに圧接する加圧ローラとで構成され、モータにより一方が回転駆動されて他方が従動回転する。
【0065】
定着装置70は、トナー像が転写された記録紙をゲート72が定着ローラ71a、71bに案内し、その記録紙を定着ローラ71a、71bが回転してニップ搬送しながら加熱および加圧することにより、トナー像を記録紙上に定着するようになっている(定着処理)。
【0066】
1段給紙装置80aと、2段給紙装置80bと、3段給紙装置80cと、4段給紙装置80dとは、記録紙を積載収容し、画像形成時に1枚ずつ搬送装置90に送り出す機能を果たす。
【0067】
各給紙装置80a〜80dは、記録紙Pが積載収容される給紙トレイ81a、81b、81c、81dと、積載収容された記録紙Pをピックアップするピックアップローラ(給紙ローラ)82a、82b、82c、82dと、ピックアップされた記録紙Pを1枚ずつ送り出す一対のフィードローラ83a、83b、83c、83dおよびリタードローラ84a、84b、84c、84dとを備えている。3段給紙装置80cは更に、送り出された記録紙Pを搬送装置90まで搬送する複数対の搬送ローラ85も備えている。また図示は省略するが、各給紙装置80a〜80dは、各ローラを回転駆動するモータと、モータからピックアップローラ82への回転の伝達および解除が切り替え可能な給紙クラッチ(電磁クラッチ)とを備えている。
【0068】
各給紙装置80a〜80dは、ピックアップローラ82a〜82dがモータ(給紙モータ)の回転駆動および給紙クラッチのオン状態で所定方向へ回転され、給紙トレイ81a〜81dに積載収容された記録紙Pをピックアップしてフィードローラ83a〜83dとリタードローラ84a〜84dの間に送り込む。フィードローラ83a〜83dおよびリタードローラ84a〜84dは、重なり合って送り込まれた複数枚の記録紙Pに対し、リタードローラ84a〜84dがピックアップローラ82a〜82dと逆方向に回転して下側の記録紙Pの送り出しを抑えつつ、フィードローラ83a〜83dがピックアップローラ82a〜82dと同方向に回転して最上の1枚の記録紙Pのみを搬送装置90に送り出すようになっている。また3段給紙装置80cでは、フィードローラ83cにより送り出された記録紙Pを複数対の搬送ローラ85が挟持搬送して搬送装置90に送り出すようになっている。
【0069】
手差し給紙装置80eは、手差しされた記録紙Pを画像形成時に1枚ずつ搬送装置90に送り出す機能を果たす。
【0070】
手差し給紙装置80eは、手差しされる記録紙Pを積載可能な手差しトレイ81eを備え、更に給紙装置80と同様の機能を果すピックアップローラ(給紙ローラ)82eと、フィードローラ83eと、リタードローラ84eと、図示しないモータと、図示しない給紙クラッチとを備えている。手差し給紙装置80eは、上記の各部品が給紙装置80と同様に動作して、手差しトレイ81Eに手差しされた記録紙Pを1枚ずつ搬送装置90に送り出すようになっている。
【0071】
搬送装置90は、各給紙装置80a〜80dや手差し給紙装置80eから送り込まれた記録紙Pを搬送して転写分離装置60の2次転写位置T2および定着装置70を通過させる共に、定着装置70から送り出された記録紙P(印刷物)を排紙トレイ45または排紙ボックス46に排出する機能を果たす。
【0072】
搬送装置90は、記録紙Pの通路(搬送路)を形成する図示しない通路部材と、各給紙装置80a〜80dおよび手差し給紙装置80eから転写分離装置60までの給紙側の通路(給紙通路)に沿って所定の間隔(最小サイズの記録紙の送り方向サイズよりも短い間隔)で配置されると共に各給紙装置80a〜80dに対応して設けられた複数対の搬送ローラ91a〜91dと、同通路における転写分離装置60(2次転写位置T2)の手前に配置された一対のタイミングローラ92と、定着装置70以降の排紙側の通路(排紙通路)に配置された一対の搬送ローラ91eと、同通路から記録紙Pを排紙トレイ45に排出する一対の排出ローラ93と、同通路から記録紙Pを排紙ボックス46に排出する一対の排出ローラ94と、各ローラを回転駆動する図示しないモータと、記録紙Pの排出先を排紙トレイ45側または排紙ボックス46側に切り替える切替部としての排出切替ガイド95と、排出切替ガイド95を変位(切替動作)させるソレノイドなどの図示しない駆動源とを備えている。上記の排紙通路は、途中から排紙トレイ45に通じる通路(トレイ側排紙通路)と、排紙ボックス46に通じる通路(ボックス側排紙通路)とに分岐しており、排出切替ガイド95はこの排紙分岐部に配置されている。
【0073】
搬送装置90は、給紙通路側では、各給紙装置80a〜80dや手差し給紙装置80eから送り込まれた記録紙Pを、搬送ローラ91a〜91dが給紙通路に沿ってタイミングローラ92まで挟持搬送し、タイミングローラ92が2次転写動作に同期した所定のタイミングで回転し転写分離装置60の2次転写位置T2に送り出すようになっている。排紙通路側では、定着装置70から送り出された記録紙Pを搬送ローラ91eが挟持搬送して排紙通路に送り出し、記録紙Pを排紙トレイ45に排出する場合は、排出切替ガイド95が記録紙Pをトレイ側排紙通路に誘導して排出ローラ93が回転・挟持し排紙トレイ45に排出する。記録紙Pを排紙ボックス46に排出する場合は、排出切替ガイド95が記録紙Pをボックス側排紙通路に誘導して排出ローラ94が回転・挟持し排紙ボックス46に排出するようになっている。
【0074】
反転部90aは、両面印刷が行われる際に、片面(表面)の印刷が済んだ記録紙Pを前後反転する機能を果たす。
【0075】
反転部90aは、記録紙Pの前後を反転するための前後反転路を形成する通路部材96と、記録紙Pの送り出し方向を排出側または前後反転路側に切り替える反転切替ガイド97と、反転切替ガイド97を変位(切替動作)させるソレノイドなどの図示しない駆動源と、前後反転路に配置された一対の反転ローラ98と、反転ローラ98を回転駆動する図示しないモータとを備えている。前後反転路は、排紙通路における上記の排紙分岐部(排出切替ガイド95)の手前から分岐しており、反転切替ガイド97はこの反転分岐部に配置されている。
【0076】
反転部90aは、両面印刷時に表面の印刷が済んで定着装置70から送り出された記録紙Pを反転切替ガイド97で前後反転路に誘導し、反転ローラ98が所定方向に回転して記録紙Pの後端が反転切替ガイド97を通過するまで挟持搬送する。記録紙Pの後端が反転切替ガイド97を通過すると、反転ローラ98が逆回転して記録紙Pを逆方向に挟持搬送し、記録紙Pの前後を反転させて両面部82に送り出すようになっている。
【0077】
両面部90bは、両面印刷が行われる際に、反転部90aから送り込まれた記録紙Pを表裏反転して、給紙通路におけるタイミングローラ92の手前に戻す機能を果たす。
【0078】
両面部90bは、反転部90aの前後反転路と給紙通路との間に、記録紙Pの表裏を反転するための表裏反転路を形成する通路部材99と、表裏反転路に沿って所定の間隔で配置された複数対の搬送ローラ91f〜91iと、搬送ローラ91f〜91iを回転駆動する図示しないモータとを備えている。表裏反転路は、前後反転路との接続側から給紙通路との接続側へ向けて半周するように延設されている。
【0079】
両面部90bは、反転部90aから前後反転されて送り込まれた記録紙Pを搬送ローラ91f〜91iが表裏反転路に沿って挟持搬送しながら記録紙Pの表裏を反転させて給紙通路に送り出すようになっている。タイミングローラ92は、両面印刷における裏面印刷時に、この両面部90bから表裏反転されて送り込まれた表面印刷済みの記録紙Pを裏面の2次転写動作に同期した所定のタイミングで2次転写位置T2に送り出すようになっている。
【0080】
また、搬送装置90は、反転部90aおよび両面部90bを含め、各通路の所定箇所に記録紙Pの位置を検出するための記録紙位置検出部49(図3参照)を複数備えている。記録紙位置検出部49は、たとえば、通路を移動する記録紙Pの先端に接触して変位し、記録紙Pの通過に伴う後端の離脱で逆変位する記録紙検出部材と、記録紙検出部材の機械的な変位を電気信号に変換して出力する変位検出センサなどで構成されている。変位検出センサは、記録紙検出部材の変位に応じてオフ/オン信号またはLow/High信号を出力するスイッチ型センサなどが使用可能である。
【0081】
記録紙位置検出部49は、記録紙検出部材が定常位置にあるときには、変位検出センサがオフ信号やLow信号を出力し、記録紙検出部材が記録紙Pに接触して変位しているときには、変位検出センサがオン信号やHigh信号を出力する。この電気信号の変化から記録紙Pの先端および後端が検出可能となり、記録紙Pの位置を検出できるようになっている。
【0082】
記録紙位置検出部49は、たとえば、搬送装置90の給紙通路における各給紙装置80a〜80dや手差し給紙装置80eの出口近傍(フィードローラ83a〜83dの後側)、通路途中、タイミングローラ92の手前、排紙通路における定着装置70の後側(反転切替ガイド97の手前)、排出ローラ93の手前、排出ローラ94の手前、反転部90aの前後反転路における反転切替ガイド97の後側、両面部90bの表裏反転路における通路途中や出口近傍などに配置されている。
【0083】
加工装置44は、トレイ側排紙通路における排出ローラ93の手前に配置されており、排紙トレイ45に排出される記録紙Pに対して異常な加工を加える加工処理と異常な加工を加えない非加工処理とを切り替えて行う機能を果たす。
【0084】
加工装置44は、異常な加工を加える加工部材として、カッター、スタンプ、マジックのうちの1つ以上と、トレイ側排紙通路を通過する記録紙Pに対して加工部材を接触および離間させる接離機構と、接離機構の駆動源などを備えている。加工部材は、複数種類備えるようにしてもよく、同種類を複数備えるようにしてもよい。複数種類の加工部材を備える場合は、それらを記録紙Pに対して個別に接離させるようにしてもよい。加工部材の接触動作は、連続的に行うようにしてもよく、間欠的に行うようにしてもよい。たとえば、カッターやマジックの場合は記録紙Pに連続的に接触させ、スタンプの場合は記録紙Pに間欠的に接触させるなどしてもよい。
【0085】
加工装置44は、加工部材を離間方向へ変位させると記録紙Pに異常な加工を加えず(非加工処理)、加工部材を接触方向へ変位させると記録紙Pに異常な加工を加えるようになっている(加工処理)。異常な加工の詳細は、加工部材がカッターの場合には、搬送される記録紙Pにカッターが接触して記録紙Pを切断する切断加工である。加工部材がスタンプやマジックの場合には、搬送される記録紙Pにスタンプやマジックが接触してマーキングや落書きなどの異常な描画を行う描画加工である。
【0086】
排紙トレイ45は、プリンタ部40から排出される記録紙Pを受け止める機能を果たす。
【0087】
排紙トレイ45は、プリンタ部40の上部に設けられて周囲の一部(前側および左側)が開放されており、トレイ上から記録紙Pが取り出し自在となっている。この排紙トレイ45は、排出された記録紙Pが複写機10の利用者などに取り出し可能な排出部となっている。
【0088】
排紙ボックス46は、プリンタ部40から排出される記録紙Pを収容して保管する機能を果たす。
【0089】
排紙ボックス46は、排紙トレイ45の下側に配置され、内部に記録紙Pを収容可能な収容空間が設けられたボックス状に形成されている。排紙ボックス46は、ボックスを開放および閉塞する開閉扉47と、開閉扉47を施錠および解錠する施錠装置48とを備えており、施錠装置48を解錠して開閉扉47を開放することにより、ボックス内の記録紙Pが取り出し可能となっている。施錠装置48の解錠は、施錠装置48の鍵を保管しているサービス提供者や管理者(フィールドエンジニア)のみが行えるようになっており、複写機10の利用者などには解錠不可能となっている。この排紙ボックス46は、排出された記録紙Pが複写機10の利用者などに取り出し不可能な排出部(収容部)となっている。
【0090】
図3は、複写機10における制御系の概略構成を示している。複写機10は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11に、バス12を介してROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、不揮発メモリ15と、ハードディスク装置16(図中では「HDD」と表記)と、操作表示部17と、通信部18と、画像処理部19と、自動原稿送り装置20と、スキャナ部30、プリンタ部40とを接続して構成される。
【0091】
CPU11は、ROM13に格納されているプログラムに基づいて複写機10の動作を制御する。詳細には、上述した自動原稿送り装置20が行う原稿の自動送り込み動作と、スキャナ部30が行う原稿の読み取り動作と、プリンタ部40が行う画像形成動作(原稿の複写印刷・出力動作)などを制御する。
【0092】
RAM14はCPU11がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリとして使用されるほか、画像データを一時的に保存するための画像メモリなどにも使用される。不揮発メモリ15は、電源がオフされても記憶が保持されるメモリであり、装置固有の情報や各種の設定情報などが記憶される。
【0093】
ハードディスク装置16は、複写機10を動作させるオペレーティングシステム(Operating System;OS)や複写機10の各種機能を動作させるアプリケーションプログラム、画像形成における帯電、潜像形成、現像、転写・分離、除電、定着などの各プロセスの処理条件情報(図中では「プロセス情報」と表記)、各種の保存データなどを格納するほか、原稿の画像データや異常時に使用される後述の異常時用画像データなども保存する。画像形成プロセスの処理条件情報の詳細は、帯電印加電圧値を含む帯電制御の制御パラメータ、レーザビームの発光制御の制御パラメータ、現像印加電圧値を含む現像制御の制御パラメータ、転写印加電圧値を含む転写制御の制御パラメータ、分離制御の制御パラメータ、定着制御の制御パラメータなどである。
【0094】
操作表示部17は、複写機10による複写サービスの利用者などに各種の操作画面や案内画面を表示する表示部としての機能と、利用者などが複写機10に対して行う操作や入力を受け付ける操作部としての機能とを果たす。ここでは、操作表示部17は液晶ディスプレイとその画面上に設けられたタッチパネルと、実行ボタン(スタートボタン)などの各種のスイッチ類とで構成される。
【0095】
自動原稿送り装置20、スキャナ部30、プリンタ部40の機能や構成は、前述した通りである。プリンタ部40の記録紙位置検出部49から出力される電気信号は、CPU11に入力される。CPU11はこの入力信号に基づいて、プリンタ部40内を搬送される記録紙Pの位置を把握するようになっている。
【0096】
画像処理部19は、画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を施す機能を果たす。通信部18は、課金装置100と接続されたケーブル7を通じて課金装置100と通信する機能を果たす。
【0097】
CPU11はプログラムを実行することで、通信部18による課金装置100との通信が正常に行われている場合は、プリンタ部40に正常な画像形成出力処理(正常な複写印刷・出力処理)を行わせ、通信に異常が発生した場合は、プリンタ部40に非正常な画像形成出力処理(非正常な複写印刷・出力処理)を行わせる機能を果たす。以下では、正常な画像形成出力処理を「正常処理」、非正常な画像形成出力処理を「非正常処理」と略称する場合がある。
【0098】
正常処理の詳細は、原稿の複写印刷・出力時に、プリンタ部40がスキャナ部30の取得した画像データに基づいて記録紙に画像を形成し出力する処理と、予め設定されている所定の処理条件(制御パラメータ)で画像形成プロセスを行う処理と、定着装置70のゲート72が記録紙Pを所定の位置に案内し定着ローラ71a、71bによるニップ搬送で記録紙にシワを発生させない処理と、加工装置44で記録紙に異常な加工を加えない処理と、記録紙を排紙トレイ45に排出する処理などである。
【0099】
非正常処理の詳細は、原稿の複写印刷・出力時に、プリンタ部40がハードディスク装置16に格納されている異常時用画像データに基づいて記録紙に異常時用画像を形成し出力する処理と、処理条件を変更して画像形成プロセスを行う処理と、定着ローラ71a、71bによるニップ搬送で記録紙にシワを発生させる処理と、加工装置44で記録紙に異常な加工を加える処理と、記録紙を排紙ボックス46に排出する処理などである。画像形成プロセスで変更する処理条件は、本実施の形態では転写バイアスとしている。
【0100】
非正常処理として上記例の何れの処理を実行するかは、CPU11が記録紙位置検出部49からの入力信号に基づいて把握した記録紙の位置と画像形成プロセスのタイミングとに基づいて、何れの処理が実行可能であるかを解析し、決定するようになっている。この非正常処理の解析、決定、実行は、CPU11が行うほかに、画像処理部19が行う、もしくは画像処理部19が一部を分担して行うようにしてもよい。
【0101】
またCPU11は、複写印刷された記録紙P(印刷物)が排紙トレイ45に排出される所定のタイミングに課金信号を課金装置100に送信するようになっている。たとえば、排紙通路に配置された記録紙位置検出部49による記録紙の検出をトリガとして課金信号を送信するようになっている。
【0102】
図4は、複写機10と課金装置100との間で行われる通信の手順を示している。
【0103】
複写機10は、電源オンされ初期化が完了すると、課金装置100に対して接続を確認するためのポーリングを実施する(P1;Polling)。課金装置100は、同じく電源オンされ初期化が完了していれば、複写機10からの接続確認のポーリングに応答する(P2;Polling Answer)。複写機10は、課金装置100からの応答を受信すると、課金装置100との接続を確立し、複写サービスを実行できる状態となる。
【0104】
複写サービスの利用者などが複写機10の操作表示部17を通して、カラー/白黒、片面/両面、印刷サイズ、印刷部数などの複写モードを設定すると、複写機10はその複写モードに対応する課金モードを課金装置100に送信し、課金モードをセットする(P3;Mode Set)。また利用者などは、複写モードの設定操作の他に、自動原稿送り装置20(図2参照)の原稿トレイ21またはプラテンガラス31への原稿のセットと課金装置100へのサービス利用料金の投入も併せて行う。
【0105】
そして、操作表示部17の実行ボタン(スタートボタン)が押下されると、複写機10は複写印刷を実行し、印刷物を出力する所定のタイミングで課金信号を課金装置100に送信する(P4;Sequence Command)。課金装置100は、複写機10から課金信号を受信すると、投入されている合計金額から課金モードに応じた1枚当たりの所定の複写料金を徴収して課金を行う。複数枚の複写印刷が連続的に行われる場合には、複写機10は印刷物を1枚出力する毎に課金信号を1回送信する動作を、全枚数の複写印刷・出力が完了するまで繰り返し行う。課金装置100は課金信号を受信する度に、投入金額から1枚当たりの複写料金を徴収する課金動作を繰り返し行う。
【0106】
また複写機10は、課金装置100に対する接続確認のポーリングを所定の時間間隔などで繰り返し実施する(P5;Polling)。課金装置100は、複写機10からポーリングを受信する度に応答し、必要に応じて課金モードの返信も行う(P6;Polling Answer + Mode Answer)。
【0107】
課金装置100からの応答を連続して所定回数受信できなかった場合には、複写機10は課金装置100との接続が途切れている、すなわち、課金装置100との通信に異常が発生したと判断する。たとえば、接続確認のポーリングを10msec毎に実施し、応答を3回連続して受信できなかった場合に、通信異常が発生したと判断する。
【0108】
通信異常が複写印刷の実行前(給紙開始前)に発生した場合には、複写機10(CPU11)は複写印刷を実行せずに操作表示部17にエラーメッセージなどを表示する。複写印刷の実行中(給紙された記録紙に対する複写印刷の処理中)、詳細には給紙の開始後から課金信号の送信前までの間に通信異常が発生した場合には、給紙された記録紙Pに正常な複写画像が印刷されつつ無課金で出力されるおそれがあるため、複写機10は既に給紙された記録紙Pに対し上述した非正常処理を行う。また、複数枚の複写印刷を連続実行している最中に通信異常が発生した場合には、複写機10は通信異常の発生後に新たな給紙を行わず、最後に給紙した記録紙Pに対する非正常処理を終えると複写印刷の動作を停止し、上記のエラーメッセージなどを表示する。このような通信異常は、たとえば、課金装置100の故障や異常操作、電源プラグ抜けや通信接続用のケーブル7の外れなどにより発生する。
【0109】
次に、非正常処理の具体的な内容について説明する。
【0110】
図5は、原稿Nの画像が異常時用画像(Pa、Pb、Pc)に入れ替えられて出力された記録紙P(印刷物)の一例を示している。
【0111】
異常時用画像は、異常を利用者などに伝えるための注意や警告の画像Pa、複写機10やその製造メーカ、提供サービスなどに関する広告や宣伝の画像Pb、製造メーカやブランドなどのロゴマークの画像Pcなどである。製造メーカやサービスの提供者などは、これらの画像Pa、Pb、Pcのデータを予め作成し、前述したように異常時用画像データとして複写機10のハードディスク装置16に保存しておく。
【0112】
複写機10は、複写印刷の実行中に課金装置100との通信異常が発生し、画像形成プロセスにおける静電潜像の形成前(レーザビームの射出前)で、かつハードディスク装置16から異常時用画像データを読み出して入れ替え可能なタイミングであれば、上記の異常時用画像を印刷した印刷物を出力することができる。この場合は、正常な画像(原稿Nの画像)を複写印刷した印刷物が無課金で出力されることを防止できると共に、製造メーカやサービスの提供者などが無課金で出力される印刷物を利用して、サービスの利用者などに対し警告や宣伝などを行えるようになる。
【0113】
図6は、定着装置70が備える定着ローラ71a、71bとゲート72の概略構成を示している。
【0114】
定着ローラ71a、71bによる記録紙のニップ搬送では、記録紙がローラに挟まれて高熱および高圧力を受けながら送り出されるため、特に薄い記録紙の場合にシワが発生しやすくなる。そこで、クラウン形状のローラを使用し、記録紙の案内位置を変更可能なゲート72を設けることで、シワの発生を抑えるようにしている。
【0115】
本実施の形態では、一対の定着ローラ71a、71bは一方をクラウン状とし、他方をそれに対応する逆クラウン状としている。詳細には、図6(A)に示すように、右側の定着ローラ71aが凸曲面のクラウン状で、左側の定着ローラ71bが凹曲面の逆クラウン状であり、互いの軸心を平行にしてローラ表面を接触させると、接触部が密接して曲線状のニップ部を形成するようになっている。
【0116】
図6(B)、(C)に示すように、定着装置70は、装置本体を構成するケーシング70aを備えている。ケーシング70aには、2次転写位置T2を通過した記録紙Pを定着装置70内へ搬入するための搬入路73が転写分離装置60から連通形成されている。定着ローラ71a、71bは、左右に対向配置されニップ部が搬入路73の下流側(図の上側)に位置してケーシング70aに支持されている。搬入路73は、2次転写位置T2側から右斜め上方へ向けて延設されており、搬入路73の延長線上には、クラウン状の定着ローラ71aの左下の周面部が位置している。
【0117】
ゲート72は、傾動変位して記録紙Pの案内位置を変更する案内部としてのガイド板74と、ガイド板74を傾動可能に支持する支持軸75と、ガイド板74を傾動変位させる駆動源としてのソレノイド76と、ソレノイド76の駆動方向とは逆方向にガイド板74を付勢する付勢部材としての圧縮コイルばね77と、圧縮コイルばね77に付勢されるガイド板74の傾動位置を規制するストッパーピン78とを備えている。
【0118】
支持軸75は、ケーシング70aに形成された搬入路73の右側に設けられている。ガイド板74は、搬入路73に対応すると共に記録紙Pを案内するガイド孔74aが内部に形成されており、支持軸75に対応する支持孔74bが基端部に形成されている。ガイド板74は、先端部を定着ローラ71a、71bのニップ部側(図の上側)へ向けた姿勢で基端部の支持孔74bが支持軸75に挿入支持され、支持軸75を中心に傾動可能とされている。ガイド板74の基端部には、ストッパー部74cが搬入路73の反対側へ突設されている。ストッパーピン78は、このストッパー部74bに対応してケーシング70aに取り付けられている。
【0119】
ソレノイド76は、円筒状のコイルを内蔵したソレノイド本体76aと、ソレノイド本体76aのコイルの軸心に沿って移動自在に内挿された可動鉄心76bとで構成され、コイルへの通電により発生させた電磁力で可動鉄心76bをソレノイド本体76aに吸引固定し、通電解除により可動鉄心76bを固定解除するようになっている。ソレノイド76は、ガイド板74に対して搬入路73の反対側(図の右側)に配置されると共に、可動鉄心76bの移動方向が搬入路73およびガイド板74に対して略直交する向きにされてソレノイド本体76aがケーシング70aに取り付けられている。ソレノイド76の可動鉄心76bは、ソレノイド本体76aから突出された先端部がガイド板74の中央部近傍に連結されている。圧縮コイルばね77は、ソレノイド76の上側に配置されると共に、一端(自由端)をガイド板74の先端部に当接させて可動鉄心76bと略平行な向きに取り付けられており、自身のばね力でガイド板74を定着ローラ71b側へ付勢している。
【0120】
ガイド板74は、圧縮コイルばね77に付勢されて定着ローラ71b側へ傾動し、図6(B)に示すように、ストッパー部74bがストッパーピン78に当接して定着ローラ71b側への傾動位置が規制される。この状態では、ガイド板74は略垂直姿勢となり、先端部を定着ローラ71a、71bのニップ部側へ向けた姿勢で固定される。
【0121】
ソレノイド76が通電されて駆動すると、図6(C)に示すように、可動鉄心76bは圧縮コイルばね77のばね力(付勢力)に抗してソレノイド本体76aに吸引され、本体内の底部に挿入端部を当接させて固定される。これに伴い、ガイド板74は可動鉄心76bに引かれて定着ローラ71a側へ傾動し固定される。この状態では、ガイド板74は先端部を定着ローラ71aの左下の周面部側へ向けた傾いた姿勢となり、搬入路73に沿った姿勢となる。ソレノイド76の通電が解除されると、ガイド板74は圧縮コイルばね77に付勢されて元のニップ部側を向いた姿勢に戻る。
【0122】
このように、ゲート72は搬入路73から定着ローラ71a、71bへ送り込まれる記録紙Pのローラに対する案内位置を、ガイド板74の傾動変位によって変更するようになっている。またCPU11は、ソレノイド76の通電制御を行うようになっている。
【0123】
図7は、上記の定着ローラ71a、71bによるニップ搬送で記録紙Pにシワが発生しない場合と発生する場合を比較して示している。
【0124】
図7(A)に示すように、ガイド板74が搬入路73に沿って傾いている場合には、搬入路73に沿って定着装置70に搬入された記録紙Pは、進行方向を変えずにそのままガイド孔74aに沿って定着ローラ71a側へ案内される。記録紙Pは、先端が定着ローラ71aに当接すると、定着ローラ71aの回転により定着ローラ71bとのニップ部に引き込まれる。定着ローラ71aは凸曲面のクラウン状であるため、記録紙Pはローラの凸曲面に倣い中央部から両外側(ローラの両端部側)へ引き伸ばされ馴染ませられるようにしてニップ部に引き込まれる。これにより、記録紙Pはニップ部で加熱および加圧されながら搬送されても、図7(B)に示すように、シワの無い状態で搬送され送り出されるようになる。
【0125】
図7(C)に示すように、ガイド板74が定着ローラ71a、71bのニップ部側を向いている場合には、搬入路73から搬入された記録紙Pはガイド孔74aによってニップ部側へ案内される。記録紙Pは、ニップ部に直接進入すると上記のような引き伸ばしを受けずに引き込まれるため、ニップ部での加熱および加圧により、図7(D)に示すようにシワが発生して送り出されるようになる。このシワは、通常は紙面全体に周期性なくランダムに発生する。
【0126】
図8は、プリンタ部40におけるカラー画像形成プロセスと給紙および排紙に係る主要部の動作タイミングを示している。本図では、2段給紙装置80bからA4サイズの記録紙を横送りで給紙して搬送し排紙トレイ45へ排出すると共に、送り方向となる紙幅方向の寸法210mmを240mm/secの線速でプロセス処理する場合の動作タイミング例を示している。図中のタイミング基準は給紙開始タイミングであり、図中の目盛線は500msec間隔で記載している。また、本図に示した各部の動作制御はCPU11が行っている。
【0127】
Y、M、C、Kのトナー画像を形成するプロセスは、各色のトナー画像が中間転写ベルトへの各1次転写で位置が揃って重なり合うように、Y、M、C、Kの順にタイミングがずれて行われる。タイミングのずれ量(遅延時間)は、Y、M、C、Kの各感光体ドラムの円周長(直径)と回転速度(中間転写ベルトの回転移動速度)、1次転写位置の間隔によって理論値が求められ、誤差を考慮した設計値が予め決められている。
【0128】
2段給紙装置80bからの給紙が開始されると、図2に示す搬送装置90の給紙通路に設けられた搬送ローラ91a、91bの各モータが回転駆動され、搬送ローラ91a、91bが回転する。2段給紙装置80bに対応して設けられた搬送ローラ91bのモータは、図8では「2段縦搬送モータ」と表記している。搬送ローラ91bの回転期間はこの2段縦搬送モータの回転駆動期間となる。1段給紙装置80aに対応して設けられた搬送ローラ91aのモータは、図8では「1段縦搬送モータ」と表記している。搬送ローラ91aの回転期間はこの1段縦搬送モータの回転駆動期間となる。
【0129】
2段給紙装置80bから搬送装置90の給紙通路に送り出された記録紙Pは、搬送ローラ91bによって上方へ搬送され、更に搬送ローラ91aによって上方へ搬送されて、タイミングローラ92まで搬送される。記録紙Pの先端がタイミングローラ92に達すると、搬送ローラ91a、91bは一旦回転停止して記録紙Pを待機させる。
【0130】
この給紙・搬送に伴い、図8では記載を省略しているが、Y、M、C、Kの順に所定タイミングずれて感光体ドラムの帯電とドラム上へのレーザビームの照射とが行われ、各ドラム上に静電潜像が順次形成される。
【0131】
さらに、図中の「現像AC Y」、「現像AC M」、「現像AC C」、「現像AC K」で示すように、Y、M、C、Kの順に所定タイミングずれて現像ACバイアスが印加される。各ドラム上の静電潜像は順次現像され、各ドラム上に各色のトナー像が順次形成される。各色のトナー像は、各ドラムの回転に伴い所定タイミングずれて各1次転写位置まで搬送され、図中の「1次転写
Y」、「1次転写 M」、「1次転写 C」、「1次転写 K」で示すように、中間転写ベルトにY、M、C、Kの順に順次1次転写される。この1次転写により、各色のトナー画像は中間転写ベルト上で位置が揃って重なり合い合成される。合成されてカラーとなったトナー画像は、中間転写ベルトの回転移動に伴い2次転写位置へ搬送される。
【0132】
画像形成プロセスの進行に伴い記録紙Pを2次転写位置T2に送り込むタイミング(図中の「2次転写」開始前の所定タイミング)が到来すると、タイミングローラ92および搬送ローラ91a、91bの各モータが同期して回転駆動され、各ローラが回転する。タイミングローラ92のモータは、図8では「タイミングモータ」と表記している。タイミングローラ92の回転期間はこのタイミングモータの回転駆動期間となる。
【0133】
タイミングローラ92および搬送ローラ91a、91bが回転すると、待機されていた記録紙Pは、中間転写ベルトによるカラー・トナー画像の2次転写位置T2への搬送タイミングに合わせて、2次転写位置T2に送り込まれる。そして2次転写位置T2を通過する際に、図中の「2次転写」で示すタイミングに中間転写ベルトからカラー・トナー画像が転写される。また、図中の「除電」で示す所定タイミングに分離バイアスの印加も行われる。上記の各ローラは、給紙通路の上流側から順に記録紙Pを送り込む役割を終え次第、順次回転停止する。
【0134】
記録紙Pが2次転写位置T2を通過しつつその先端が定着装置70に搬入される前の所定タイミングが到来すると、ゲート72のソレノイド76が駆動され、ガイド板74がクラウン状の定着ローラ71a側へ切り替えられる(図6および図7参照)。ゲート72のソレノイド76は、図8では「ゲート切替SL」と表記している。ゲート72(ガイド板74)の切替期間はこのゲート切替SLの駆動期間となる。
【0135】
定着装置70に搬入された記録紙Pは、先端部がガイド板74によってクラウン状の定着ローラ71a側へ案内されつつニップ部に引き込まれる。定着ローラ71a、71bは、記録紙Pをニップ搬送しながら加熱および加圧してトナー画像を定着させ、記録紙Pをシワの無い状態で送り出す。ゲート72(ガイド板74)は、定着ローラ71a、71bへの記録紙Pの案内を終えた所定タイミングにソレノイド76が駆動停止されて切替停止される。
【0136】
記録紙Pの先端が定着装置70を通過して排出ローラ93に到達する前の所定タイミングが到来すると、排出ローラ93のモータが回転駆動され、排出ローラ93が回転する。排出ローラ93のモータは、図8では「排出モータ」と表記している。排出ローラ93の回転期間はこの排出モータの回転駆動期間となる。定着装置70を通過した記録紙Pは、排出ローラ93によって排紙トレイ45に排出される。また、この記録紙Pが排出通路の記録紙位置検出部49で検出されると、複写機10は課金装置100に課金信号を送信する(課金タイミング)。そして排出ローラ93は、記録紙Pの排出を終え次第、回転停止する。
【0137】
カラー画像形成プロセスと給紙および排紙に係る主要部の動作タイミングは、上記の通りである。この動作タイミングにおいて、図5で説明した異常時用画像をカラーで形成できるタイミングは、Y色の現像が開始される875msec前までであり、これは給紙開始から700msecまでとなる(図中のR1)。異常時用画像を白黒で形成できるタイミングは、K色の現像が開始される875msec前までであり、これは給紙開始から1.6secまでとなる(図中のR2)。
【0138】
また、これらのタイミング以降に課金装置100との通信異常が発生した場合には、2次転写が開始される875msec前まで(給紙開始から約3.3secまで)であれば、2次転写バイアスをオフすることにより、2次転写が正常に行われていない、正常な画像が印刷されていない記録紙Pを出力することができる。すなわち、中間転写ベルト61上のトナー画像が記録紙Pに正常に転写されないことにより、白紙、もしくは、一部白紙(白抜け)となった印刷物を出力することができる(図中のR3、R4、R5)。
【0139】
また、上記の2次転写前の875msec以降に通信異常が発生した場合には、記録紙Pが定着装置70に搬入される前までであれば、ゲート72の切り替えを行わず、記録紙Pを定着ローラ71a、71bのニップ部に直接進入させることにより、定着時のニップ搬送で記録紙Pにシワを発生させ、異常な状態にして出力することができる(図中のR6)。
【0140】
また、記録紙Pが定着装置70に搬入された後に通信異常が発生した場合には、前述したように、加工装置44で記録紙Pに異常な加工を加えて出力する(図中のR7)、もしくは、記録紙Pを排紙トレイ45に排出せずに排紙ボックス46に出力して収容し保管する(図中のR8)、といった対応が可能である。
【0141】
次に、複写機10の動作について説明する。
【0142】
図9は、複写機10による複写印刷・出力時の課金処理と非正常処理の流れを示している。複写機10が起動すると、CPU11は本処理を開始し(Start)、課金装置100との接続確認(Polling)を行う(ステップS101)。
【0143】
正常に接続されていることを確認できた場合には(ステップS102;No)、CPU11は、課金タイミングであるか否か判断する(ステップS103)。課金タイミングでなければ(ステップS103;No)、ステップS101へ戻る。課金タイミングであれば(ステップS103;Yes)、通常の課金処理を行う(ステップS104)。詳細には、CPU11は、複写印刷済を終えた記録紙Pを出力する所定の課金タイミングで課金信号を課金装置100に送信する。複数枚の複写印刷を連続的に行う場合には、CPU11は、複写印刷を終えた記録紙Pを1枚出力する毎に課金信号を課金装置100に1回送信する動作を、全枚数の複写印刷・出力が完了するまで繰り返し行う。課金装置100は課金信号を受信する度に、投入金額から1枚当たりの複写料金を徴収する課金動作を繰り返し行う。そしてCPU11は、課金処理を終えると本処理を終了し(End)、複写機10を待機状態にする。
【0144】
課金装置100との接続に異常があることを確認した場合には(ステップS102;Yes)、CPU11は、異常判断処理を行い(ステップS105)、記録紙Pの位置を確認する(ステップS106)。
【0145】
記録紙Pの位置を確認した結果、異常時用画像への入れ替えが可能なタイミングであれば(ステップS107;Yes)、CPU11は異常時用画像形成処理を行い(ステップS108)、本処理を終了する(End)。この場合は、異常時用画像が印刷された印刷物、たとえば、前述した注意や警告、広告や宣伝などの画像が印刷された印刷物が排出される。
【0146】
異常時用画像への入れ替えが可能なタイミングではないが(ステップS107;No)、非正常な転写処理を行えるタイミングであれば(ステップS109;Yes)、CPU11は転写バイアスをオフにして転写処理を行い(ステップS110)、本処理を終了する(End)。この場合は、白紙の印刷物が出力される。
【0147】
非正常な転写処理を行えるタイミングではないが(ステップS109;No)、非正常な定着処理を行えるタイミングであれば(ステップS111;Yes)、CPU11はゲート72を非正常な位置にして定着処理を行い(ステップS112)、本処理を終了する(End)。この場合は、シワの付いた印刷物が出力される。
【0148】
非正常な定着処理を行えるタイミングでなければ(ステップS111;No)、CPU11は加工装置44で記録紙Pに異常な加工を加える加工処理を行う、もしくは、記録紙Pを排紙ボックス46に出力して収容する収容処理を行い(ステップS113)、本処理を終了する(End)。この場合は、切断や描画などの異常な加工が施された印刷物が出力される、もしくは、出力された印刷物が排紙ボックス46に収容・保管されて利用者は印刷物を取得できなくなる。
【0149】
図8に示した動作タイミングの場合には、上記のステップS106、S108、S110の各判断ステップとタイミングの関係は以下にようになる。
【0150】
カラーの複写印刷の場合は、
(1)異常時用画像への入れ替えが可能なタイミングは(ステップS106;Yes)、給紙開始から700msecまでである(R1)。
(2)異常時用画像への入れ替えが不可能で(ステップS106;No)、非正常な転写処理(白紙)が可能なタイミングは(ステップS108;Yes)、700msec〜2500msecである(R3)。
(3)非正常な転写処理(白紙)が不可能で(ステップS108;No)、非正常な定着処理が可能なタイミングは(ステップS111;Yes)、2500msec〜3800msecである(R6)。
(4)非正常な定着処理が不可能で(ステップS111;No)、異常な加工処理または収容処理が可能なタイミングは(ステップS111;Yes)、3800msec〜である(R7/R8)。
【0151】
ステップS109の「白紙」を「白紙または白抜け」とする場合は、上記の(2)は700msec〜3300msecとなり(R3+R5)、そのうちの2500msec〜3300msecが「白抜け」となる(R5)。(3)は3300msec〜3800msecとなる。
【0152】
白黒の複写印刷の場合は、
(1)異常時用画像への入れ替えが可能なタイミングは(ステップS106;Yes)、給紙開始から1600msecまでである(R2)。
(2)異常時用画像への入れ替えが不可能で(ステップS106;No)、非正常な転写処理(白紙)が可能なタイミングは(ステップS108;Yes)、1600msec〜2500msecである(R4)。
(3)非正常な転写処理(白紙)が不可能で(ステップS108;No)、非正常な定着処理が可能なタイミング(ステップS111;Yes)、および、(4)非正常な定着処理が不可能で(ステップS111;No)、異常な加工処理または収容処理が可能なタイミング(ステップS111;Yes)は、カラーの場合と同じタイミングである。
【0153】
ステップS109の「白紙」を「白紙および白抜け」とする場合は、上記の(2)は1600msec〜3300msecとなり(R4+R5)、カラーの場合と同様にそのうちの2500msec〜3300msecが「白抜け」となる(R5)。(3)は3300msec〜3800msecとなる。
【0154】
また、記録紙のコストなどを考慮し、異常用画像の印刷出力による紙利用を重視する場合は、(1)>(2)>(3)、(4)の優先順位で動作させることが望ましい。トナーのコストを考慮した場合は、(1)を省略し、(2)>(3)、(4)の優先順位で動作させることが望ましい。この場合は更に、トナー画像を形成するタイミングに間に合えば正常なトナー画像を形成しないようにし(レーザビームの照射停止、帯電印加電圧停止、現像印加電圧停止など)、タイミングに間に合わず正常なトナー画像が形成されてしまったときに(2)以降の処理で対応するように動作させることがより望ましい。
【0155】
このように、本実施の形態に係る複写機10では、課金装置100との通信が正常に行われている場合には、正常な複写印刷・出力処理を行う。この正常処理により、正常な印刷物、すなわち、正常な複写印刷が行われた正常な状態の印刷物が、利用者などに取り出すことのできる正常時の排紙トレイ45に出力される。給紙の開始後に課金装置100との通信に異常が発生した場合には、その給紙された記録紙Pをジャムにすることなく、非正常な複写印刷・出力処理を行って出力する。この非正常処理により、非正常な印刷物が排紙トレイ45に出力される、もしくは、印刷物が利用者には取り出すことのできない排紙ボックス46に出力されるようになり、課金装置100との通信異常で印刷物が課金されずに出力されるような場合に、正常な印刷物が無課金で出力されることを防止できるようになる。したがって、複写課金システム5による複写サービスの提供者が不利益を被ることを回避できるようになる。また、ジャムになった記録紙の除去作業が不要となり複写機10の復旧を迅速に行えるようになる。
【0156】
また上記の非正常処理として、複写機10の製造メーカやサービス提供者などが予め作成しておいた警告や宣伝などの異常用画像を印刷出力する処理を行った場合には、無課金で出力される印刷物を利用して利用者などに対し警告や宣伝などを行えるようになる。
【0157】
また上記の非正常処理として、画像形成プロセスの処理条件を変更してプロセス処理を行った場合には、異常な画像の印刷物が出力されるようになる。たとえば、上述しように2次転写時に転写バイアスをオフにすれば、白紙や白抜けの印刷物を出力できるようになる。
【0158】
また上記の非正常処理として、定着装置70で記録紙Pにシワを発生させる定着処理を行った場合には、シワの付いた異常な状態の印刷物が出力されるようになる。
【0159】
また上記の非正常処理として、加工装置44で記録紙Pに異常な加工処理を行った場合には、異常な状態の印刷物が出力されるようになる。たとえば、上述しように切断したり、マーキングや落書きなどを描画して異常な加工を施した印刷物を出力できるようになる。
【0160】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0161】
たとえば、実施の形態では、非正常処理における画像データの内容変更は、正常な画像データを異常時用画像データに入れ替える場合で説明したが、正常な画像データに異常時用画像データを合成したり、別の画像データを合成したりするなどして行うようにしてもよい。また、正常な画像データに対して画像処理部19が非正常な画像処理を加えるなどして行うようにしてもよい。
【0162】
また、上記の入れ替えや合成に用いる異常時用画像データや別の画像データは、複写機10の起動時にハードディスク装置16から読み出して不揮発メモリ15に記憶し、使用時に不揮発メモリ15から読み出すようにしてもよい。また、予め不揮発メモリ15に記憶しておいたものを使用するようにしてもよい。
【0163】
また、画像形成プロセスにおける非正常処理は、実施の形態で説明した2次転写バイアスをオフにする処理に限らない。画像形成プロセスにおける帯電、潜像形成、現像、転写の少なくとも1つの処理(プロセス)を、制御パラメータを変更して行うようにしてもよい。たとえば、帯電バイアスをオフにしたり、レーザビームの発光制御を停止したり、現像ACバイアスをオフにしたり、1次転写バイアスをオフにしたりするなどしてもよい。
【0164】
また、定着装置70のゲート72についても、実施の形態で説明した構成に限らない。たとえば、トナー像の転写面を上に向けて記録紙Pを略水平方向に搬送し、上下に対向配置された一対の定着ローラに送り込んで定着処理を行うような構成であれば、上側をクラウン状で下側を逆クラウン状のローラにすると共に、記録紙Pの下面に接触して案内するガイド板を上下方向に変位(傾動)させて記録紙Pの案内位置を上下に変更するなどしてもよい。
【0165】
課金装置100は、貨幣(硬貨)や紙幣を投入して課金を行うコインベンダのほかに、プリペイドカードを投入して課金を行うカードベンダ、もしくは、印刷枚数(片面/両面の印刷枚数やカラー/モノクロの印刷枚数など)をカウントする枚数カウンタや印刷料金をカウントする料金カウンタなどのカウンタ装置などとしてもよい。
【0166】
複写機10におけるプリンタ部40は、レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを走査露光するLEDプリンタなどの他の方式のプリンタとしてもよい。さらに、画像形成プロセスも電子写真方式に限らない。インクジェット方式、熱転写方式、レーザ露光熱現像転写方式などの方式のプロセスでもかまわない。
【0167】
また本発明は、実施の形態で説明したフルカラー対応の複写機に限らず、モノクロの複写機やフルカラー対応またはモノクロの複合機(MFP;Multi Function Peripheral/Multi Function Printer)などの画像形成装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置としての複写機の機構系の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置としての複写機の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る複写機と課金装置との間で行われる通信の手順を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る異常時用画像の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る定着装置における定着ローラとゲートの概略構成を示す図である。
【図7】図6の定着装置による定着処理で記録紙にシワが発生しない場合と発生する場合を比較して示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像形成プロセスと給紙および排紙に係る主要部の動作のタイミングを示す動作タイミング図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る複写機による複写印刷・出力時の課金処理と非正常処理を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0169】
5…複写課金システム
7…ケーブル
10…複写機
11…CPU
12…バス
13…ROM
14…RAM
15…不揮発メモリ
16…ハードディスク装置
17…操作表示部
18…通信部
19…画像処理部
20…自動原稿送り装置
21…原稿トレイ
22…排出トレイ
30…スキャナ部
31…コンタクトガラス
32…プラテンガラス
33…光源
34…ミラー
35…原稿照明部
36…ラインイメージセンサ
37…反射ミラー
38…集光レンズ
40…プリンタ部
41…レーザーユニット
42…トナー補給装置
43…トナー回収部
44…加工装置
45…排紙トレイ
46…排紙ボックス
47…開閉扉
48…施錠装置
49…記録紙位置検出部
50(50Y、50M、50C、50K)…イメージングユニット
51(51Y、51M、51C、51K)…感光体ドラム
52(52Y、52M、52C、52K)…帯電装置
53(53Y、53M、53C、53K)…現像装置
54(54Y、54M、54C、54K)…除電装置
55(55Y、55M、55C、55K)…クリーニング装置
60…転写分離装置
61…中間転写ベルト
62…駆動ローラ
63…従動ローラ
64(64Y、64M、64C、64K)…1次転写ローラ
65…2次転写ローラ
66…クリーニング装置
70…定着装置
70a…ケーシング
71a、71b…定着ローラ
72…ゲート
73…搬入路
74…ガイド板
74a…ガイド孔
74b…支持孔
74c…ストッパー部
75…支持軸
76…ソレノイド
76a…ソレノイド本体
76b…可動鉄心
77…圧縮コイルばね
78…ストッパーピン
80a…第1段給紙装置
80b…第2段給紙装置
80c…第3段給紙装置
80d…第4段給紙装置
80e…手差し給紙装置
81(81a〜81d)…給紙トレイ
81e…手差しトレイ
82(82a〜82d)…ピックアップローラ
83(83a〜83d)…フィードローラ
84(84a〜84d)…リタードローラ
85…搬送ローラ
90…搬送装置
90a…反転部
90b…両面部
91(91a〜91i)…搬送ローラ
92…タイミングローラ
93…排出ローラ
94…排出ローラ
95…排出切替ガイド
97…反転切替ガイド
96…通路部材
98…反転ローラ
99…通路部材
100…課金装置
L…反射光
N…原稿
P…記録紙
S…読取位置
TY、TM、TC、TK…1次転写位置
T2…2次転写位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像を読み取り画像データを取得する画像読取部と、
記録紙を給紙して搬送し前記画像読取部で取得された画像データに基づく画像を前記記録紙に形成して出力する画像形成出力処理を行う画像形成部と、
課金装置と通信する通信部と、
前記通信部による前記課金装置との通信が正常に行われている場合は、前記画像形成部に前記画像形成出力処理を正常に行わせ、かつその出力された記録紙に対する課金信号を前記通信部から前記課金装置へ送信し、前記画像形成部による前記給紙の開始後に前記通信部による前記課金装置との通信に異常が発生した場合は、その給紙された記録紙に対して前記画像形成部に非正常な前記画像形成出力処理を行わせて出力させる制御部と、
を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部は、前記給紙された前記記録紙の位置を検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部で検出された前記記録紙の位置に応じて前記非正常な画像形成出力処理の内容を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記異常が発生した場合に前記画像データの内容を変更し、前記画像形成部に前記非正常な画像形成出力処理として、前記内容を変更した画像データに基づく画像を前記記録紙に形成する処理を行わせる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部は、
感光体と、
前記感光体を帯電する帯電部と、
前記帯電部により帯電された前記感光体に画像データに基づいて発光制御した光を照射して潜像を形成する潜像形成部と、
前記潜像形成部により前記感光体に形成された潜像を現像して現像像を形成する現像部と、
前記現像部により前記感光体に形成された現像像を前記記録紙に転写する転写部と、
を備え、
前記正常な画像形成出力処理は、
前記帯電部が所定の処理条件で前記帯電を行う帯電処理と、
前記潜像形成部が所定の処理条件で前記潜像を形成する潜像形成処理と、
前記現像部が所定の処理条件で前記現像像を形成する現像処理と、
前記転写部が所定の処理条件で前記転写を行う転写処理と、
を含み、
前記制御部は、前記異常が発生した場合に、前記帯電処理と、前記潜像形成処理と、前記現像処理と、前記転写処理とのうちの少なくとも1つの処理の前記所定の処理条件を変更し、前記画像形成部に前記非正常な画像形成出力処理として、前記所定の処理条件を変更した前記少なくとも1つの処理はその変更した処理条件で処理を行わせる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成部は、
前記記録紙に圧接し回転してその記録紙を搬送しつつ画像を定着させるローラと、
前記ローラに前記記録紙を案内すると共にその案内位置を変更可能な案内部と、
を備え、
前記正常な画像形成出力処理は、前記案内部が前記ローラによる搬送でシワの発生しない位置に案内した記録紙に対して前記ローラが前記定着を行う定着処理を含み、
前記制御部は、前記異常が発生した場合に前記案内部による前記案内位置を変更し、前記画像形成部に前記非正常な画像形成出力処理として、前記案内部が前記ローラによる搬送でシワの発生する位置に案内した記録紙に対して前記ローラが前記定着を行う定着処理を行わせる
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成部は、
前記記録紙に対して異常な加工を加える加工処理と前記異常な加工を加えない非加工処理とを切り替えて行う加工部を備え、
前記正常な画像形成出力処理は、前記加工部が行う前記非加工処理を含み、
前記制御部は、前記異常が発生した場合に前記加工部が行う処理を前記加工処理に切り替え、前記画像形成部に前記非正常な画像形成出力処理として、前記加工処理を行わせる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部は、
前記出力された記録紙が当該画像形成装置の利用者に取り出し可能な第1排出部と、
前記出力された記録紙が当該画像形成装置の利用者に取り出し不可能な第2排出部と、
前記記録紙の出力先を前記第1排出部または前記第2排出部に切り替え可能な切替部と、
を備え、
前記正常な画像形成出力処理は、前記画像形成部が前記切替部により前記記録紙を前記第1排出部に出力する処理を含み、
前記制御部は、前記異常が発生した場合に前記切替部による前記出力先を切り替え、前記画像形成部に前記非正常な画像形成出力処理として、前記切替部により前記記録紙を前記第1排出部に出力する処理を行わせる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−258518(P2009−258518A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109614(P2008−109614)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】