説明

画像形成装置

【課題】
定着ユニットが装置本体から取り外された状態で、加圧ローラによる加圧がされないようにする構成を低コストで実現する。
【解決手段】
被記録材Sに圧力を加えるための加圧ローラ62を有し、画像形成装置の本体1に着脱可能な定着ユニット14と、定着ユニット14が本体1に装着されているときに、加圧ローラ62に被記録材Sに圧力を加えるための力を付与し、定着ユニット14が本体1から取り外されているときには、加圧ローラ62から被記録材Sに圧力を加えるための力を解除する加圧バネユニット40とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム加熱方式・圧接部材駆動タイプの加熱装置の改善に関する。また該加熱装置を像加熱手段として備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11〜図13は従来のフィルム加熱方式・圧接部材駆動タイプの加熱装置としての画像加熱定着ユニットを示す図である。図11(A)は圧接状態にある定着ユニットの側面図、図11(B)は圧接解除状態にある定着ユニットの側面図である。図12は圧接状態にある定着ユニットの途中部分省略・一部切り欠き縦断正面図である。図13は図12の(10)-(10)線に沿う要部の拡大横断面模型図である。
【0003】
64は定着フレーム、58はこの側板64の上側に配設した上板であり、側板64に対して支点65を中心に開閉回動自由である。
【0004】
62は圧接部材としての弾性加圧ローラであり、該加圧ローラの芯金62Aの両端部を側板64の手前側と奥側の側板間に軸受け63を介して回転自由に支持させて定置配設してある。140(図12)は芯金62Aの奥側端部に固定して取り付けた加圧ローラギアである。141はこの加圧ローラギア140に噛合させた、不図示の駆動系のアイドラギアである。
【0005】
50は上記の加圧ローラ62の上側に加圧ローラ62に並行に配設したフィルムガイドユニット(加熱アセンブリ)である。このフィルムガイドユニット50は、フィルムガイド部材52を有している。このフィルムガイド部材52の下面にフィルムガイド部材52の長手に沿って固定保持させた加熱体としてのセラミックヒータ53が設けられている。フィルムガイド部材52に円筒状の耐熱性のフィルム(シート)54がルーズに外嵌されている。フィルムガイド部材52の内側には横断面下向きU字型のヒータステイ51が挿通されている。このヒータステイ51の手前側と奥側の外方張り出し部51a,51aに手前側と奥側のフィルム端部を規制するフランジ部材55,55が夫々嵌着されている。フィルムガイド部材52はセラミックヒータ53を保持すると共にフィルム54の移動を内側からガイドする。ヒータステイ51はフィルムガイド部材52を内側即ちセラミックヒータ保持側とは反対側から補強する剛性部材である。
【0006】
フィルムガイドユニット50は、側板64の手前側と奥側の側板間に上下方向に移動可能に配設してある。フィルム端部を規制するフランジ部材55,55の外方張り出し部55a,55aを夫々側板64の側板に設けた縦方向ガイドスリット部64a,64aに係合させている。
【0007】
56,57は上板58の手前側と奥側に夫々配設した、フィルムガイドユニット50の加圧バネと加圧部材である。加圧部材57は、縦軸部と、縦軸部下端部に設けた加圧座部と、縦軸部上端部に設けた細首部を有している。細首部を上板58に設けた孔部に下から挿通して上端部に抜け止め頭部を取り付けることで、上下の移動自由度を持たせて上板58に支持させてある。加圧バネ56はこの加圧部材57の加圧座部と上板58との間に縮設してある。
【0008】
60は上フレーム閉じ込みバネであり、上板58の支点65側とは反対側において、側板64側と上板58側とに設けたバネ掛け部64b,58b間に縮設してある。
【0009】
自由状態において、上板58はこのバネ60の引っ張り力にて支点65を中心に側板64に閉じ込まれ、図11(A)のように、側板64の手前側と奥側の側板上端部64cに受け止められた状態にある。この上フレーム閉じ込み状態において、上板58の加圧部材57,57はその加圧座部が外方張り出し部55a,55aの上面に当接して加圧バネ56の圧縮反力で加圧状態になっている。上フレーム閉じ込みバネ60は支点65をピボットの中心に上板58を加圧バネ56,56のバネ圧より強い力で閉じ込み位置に引き付けている。
【0010】
フィルムガイドユニット50は上記の加圧バネ56,56の圧縮反力で、加圧ローラ(圧接部材)62の上面に対して所定の押圧力にて圧接し、セラミックヒータ53と加圧ローラ62との間にフィルム54を挟んで所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
【0011】
不図示の駆動系の回転力がアイドラギア141、加圧ローラギア140を介して加圧ローラ62に伝達されて、加圧ローラ62が図13において矢印の反時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。
【0012】
加圧ローラ62の回転駆動により定着ニップ部Nにおいてフィルム54に回転力が作用する。そして、フィルム54の内面が定着ニップ部Nにおいてセラミックヒータ53の下表面に密着して摺動しながらフィルムガイド部材52の外回りを矢印の時計方向に従動回転状態になる。
【0013】
手前側と奥側のフランジ部材55,55はその内面側でフィルム端部を受止めて、フィルム54の回転に伴う軸線方向への寄り移動を規制する。
【0014】
セラミックヒータ53は、アルミナ等のセラミックのヒータ基板と、このヒータ基板面に形成した銀パラジューム(Ag/Pd)等の通電発熱抵抗体パターンとを基本構成とする全体に低熱容量のヒータである。通電発熱抵抗体パターンに対する通電により迅速に昇温し、サーミスタ等のヒータ温度検知素子を含む温調回路によりヒータ温度が所定の定着温度に温調されるように通電回路から通電発熱抵抗体パターンへの電力供給が制御される。
【0015】
図12において、67はフィルムガイド部材52の手前側外方張り出し部に嵌着した電気コネクタであり、セラミックヒータ53側の給電端子及び検温端子と、不図示の給電回路及び温調回路とを配線(リード線)67aを介して電気的に連絡している。
【0016】
而して、加圧ローラ62が回転駆動され、それに伴いフィルム54も従動回転し、セラミックヒータ53に給電がなされてヒータ温度が所定の定着温度に立ち上がって温調される。画像形成部側から未定着トナー画像Tが形成された被加熱材としての被記録材S(図13)が定着ユニットに搬送される。そして入り口ガイド部108に案内されて定着ニップ部Nのフィルム54と加圧ローラ62との間に導入され、定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。未定着トナー画像Tは被記録材Sが定着ニップ部Nを挟持搬送されていく過程において、フィルム54を介してセラミックヒータ53から付与される熱と、定着ニップ部Nの加圧力により被記録材Sの面に永久固着画像として熱圧定着される。
【0017】
定着ニップ部Nを出た被記録材Sは分離点でフィルム54の面から分離して、下ガイド部107に案内されて排出搬送される。
【0018】
図11において、59は加圧解除用の可動アームであり、側板64に対して支点66を中心に回動自由に配設してある。何らかの要因で、被記録材Sを定着ニップ部Nに挟み込んだまま装置が停止した場合には、可動アーム59を支点66を中心に反時計方向に上フレーム閉じ込みバネ60の引っ張り力による上フレーム閉じ込み力に抗して回動操作する。すると、図11(B)のように可動アーム59の他方の腕部59aで上板58を、支点65を中心に側板64から開き回動させる。この上板58の開き回動により、この上板58の手前側と奥側に支持させている、加圧部材57が持ち上げられる。そして加圧部材57の加圧座部がフィルムガイドユニット50の手前側と奥側のフィルム端部を規制するフランジ部材55,55の外方張り出し部55a,55aの上面から離れる。これにより、フィルムガイドユニット50の加圧ローラ62に対する圧接状態が解除される。即ち、定着ニップ部Nのニップ圧が解除される。これにより定着ニップ部Nに挟み込まれている被記録材を引き抜いて除去することができる。
【0019】
被記録材の除去後は、可動アーム59を戻し回動させることで、上板58がバネ60の引っ張り力で再び図11(A)のように側板64に対して閉じ込み状態になる。そして、上板58の手前側と奥側の加圧部材57,57の加圧座部が外方張り出し部55a,55aの上面に当接して加圧バネ56の縮設反力で加圧状態になる。即ち、フィルムガイドユニット50は再び加圧ローラ62と所定の押圧力で圧接した圧接状態に復帰する。
【0020】
【特許文献1】特開2003−140482号公報
【特許文献2】特開平8−129318号公報
【特許文献3】特開平6−32482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
前述の定着ユニットは、定着ユニット内に、加熱ユニットを加圧ローラに圧接させるための加圧バネと、ジャム処理時のその加圧力を解除する圧解除部材を備えていた。そのため、定着ユニットが取り外された状態でも、そのままでは、圧接状態が継続される。そのため、そのままユニット状態で放置されると、定着フィルム及び、加圧ローラの圧接部が圧接形状にセットされ、使用開始時に定着ムラ、回転ムラで、横線の画像ムラが出てしまうことがある。定着ユニットとしての出荷形態では、圧解除した状態を保持するよう梱包材を別途追加などで対応することの処置がとられることがあった。また、ジャム処理時に圧解除部材へアクセスしてニップ圧を解除しているが、定着ユニット内で構成しているため、操作部が小さくなりがちで、視認性が損なわれたり、操作しづらい位置にしか配置できなかったりで、操作性の向上が難しかった。操作性の向上として、定着部のニップ圧解除機構をアクセスするドアの開閉と連動させる構成があるが、リンク部材との接続が必要で、定着ユニットの着脱性を損なわずに、配置することが困難なである。このため、圧の解除は、ジャム処理時にユーザが直接、解除レバーを操作し、解除状態からの復帰だけ、ドアと連動させることで、操作性の向上をはかる場合もあった。
【0022】
そこで、本出願に係る第1の発明の目的は、定着ユニットが装置本体から取り外された状態で、加熱ユニットと加圧ローラ間で、加圧されないようにする構成を低コストで実現する機構を提供することである。
【0023】
本出願に係る第2の発明の目的は、定着部のニップ圧付与、解除の機構を、定着ユニットの着脱性を損なうことなく、ジャムアクセス時のドアと連動するリンク機構を提供することである。
【0024】
本出願に係る第3の発明の目的は、加熱装置を本体装置へしっかり固定すると同時に、着脱時は、弱い力で着脱操作ができるようにする構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決するための本発明における代表的な手段は、被記録材に画像を形成する画像形成装置であって、前記被記録材に圧接力を加えるための圧接部材を有し、前記画像形成装置の本体部に着脱可能な加圧ユニットと、前記加圧ユニットが前記本体部に装着されているときには、前記加圧ユニットが前記被記録材に圧接力を加えるための力を付与し、前記加圧ユニットが前記本体部から取り外されているときには、前記加圧ユニットが前記被記録材に加える圧接力を解除する圧力付与手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、定着ユニットが取り外された状態で、加熱ユニットと加圧ローラ間で、加圧されないようにする構成を実現できる。定着部のニップ圧付与、解除の機構を、定着ユニットの着脱性を損なうことなく提供することができる。さらに、定着ユニットを本体へしっかり固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は本発明の画像形成装置の概略構成図である。本実施形態の画像形成装置は転写式電子写真プロセス利用のレーザビームプリンタである。
【0028】
画像形成装置の本体(本体部)1において、パーソナルコンピュータやワードプロセッサ等の外部情報機器から送信された情報を基にビデオコントローラボード4が画像信号を作成する。なお、ここではビデオコントローラボード4上に設置されている各種の電子部品は図示を省略している。
【0029】
そしてこのビデオコントローラボード4で作成された画像信号に応じたレーザ光Lをレーザスキャナ5が時計方向に回転している感光ドラム6A上に照射して、感光ドラム6A上に順次静電潜像を形成する。感光ドラム6Aはプロセスユニット6に配設されている。プロセスユニット6には上記の感光ドラム6Aの他に、感光ドラム6Aを所定の極性・電位に一様に帯電する帯電器、トナー現像器、クリーニング器等も配設されているがそれらは図には省略してある。
【0030】
そして、感光ドラム6A上に形成された静電潜像は、プロセスユニット6内の現像器から供給されるトナーによって順次顕画化されて感光ドラム6Aと転写ローラ7との間の転写部位へ搬送される。
【0031】
一方、給送カセット8内に積載収納されている被記録材Sが反時計方向に1回転する半月状の給送ローラ9によって最上位の被記録材から1枚ずつ順次給送パス10へ送り出され、搬送ローラ対11によって回転停止中のレジストローラ対12に搬送される。
【0032】
レジストローラ対12に到達した被記録材Sは、被記録材Sの先端がレジストローラ対12のニップに突き当った後、所定のループを形成するまで搬送が続けられて斜行状態の矯正がなされる。
【0033】
斜行状態の矯正を終えた被記録材Sは、感光ドラム6A上のトナー像と位置を合わせるタイミングをとって回転を開始するレジストローラ対12によって転写部へ搬送され、ここで、転写ローラ7により感光ドラム6A上のトナー像がシート面上に転写される。
【0034】
トナー像の転写を終えた被記録材Sは搬送ガイド13上を通って定着ユニット14へ搬送され、ここで、転写されたトナー像がシート面に定着される。
【0035】
トナー像の定着処理を終えた被記録材Sは、印字面を下向きに積載する場合には、搬送面16とそれに対向する揺動ガイド24によって作られる搬送路を通る。そして、不図示の駆動源をそなえたフェイスダウン排出ローラ19とそれと圧接して従動するコロ25によって本体1の上部のフェイスダウン排出トレイ17上へ排出される。
【0036】
また、印字面を上向きに積載する場合は、筐体2に設けられ開閉可能なリアカバー(カバー)22を、回転中心23を支点に矢印Aのように開く。そして、駆動源を備えたフェイスアップローラ18と従動するコロ15によって、リアカバー22上に被記録材の印字面を上向きに排出する。
【0037】
次に定着ユニット(加圧ユニット)14について説明する。フィルム加熱方式の加熱装置は、セラミックヒータ等の加熱体と圧接部材との間に耐熱性のフィルムを挟ませて加熱ニップ部を形成させ、この加熱ニップ部のフィルムと圧接部材との間に被加熱材を導入してフィルムと一緒に挟持搬送させる。これにより加熱ニップ部において加熱体の熱を介して被加熱材に与えて加熱する構成のものである。加熱体とフィルムを低熱容量化して、クイックスタート性、省電力等の特長を具備させた、オンデマンドタイプの装置を構成することができる。例えば、プリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置において、被記録材上に形成担持させた未定着画像(未定着トナー画像)を加熱定着させる定着ユニットとして有効に活用できる。
【0038】
フィルムとして無端状(円筒状、エンドレスベルト状)のものを用い、圧接部材を駆動回転させて該フィルムを従動回転させる構成(圧接部材駆動タイプ)にする。これによりフィルムをテンションレス化して、フィルム回転時におけるフィルムの軸線方向への寄り移動力を小さくしフィルム寄り移動制御手段を簡単化することができる。なお、本実施形態の画像形成装置は、本体1の内部が筐体2によって覆われている。
【0039】
図2〜図4は本実施形態における画像形成装置の加熱装置部分における構成説明図である。
【0040】
図2は画像形成装置内に装着されて圧接状態にある定着ユニットの断面図、図3は画像形成装置内に装着されて圧接状態にある定着ユニットの側面図、図4は定着ユニットが画像本体装置より取りはずされ圧接解除状態にある定着ユニットの側面図である。
【0041】
バネ固定保持部材31と、ビス35と、加圧バネ56とスライド保持部材30からなる加圧バネユニット(圧力付与手段)40により、加圧力が発生し、伝達される。即ち、本体側板32にビス35で固定されているバネ固定保持部材31が加圧バネ56の上端側を固定して保持している。そして本体側板32に備えられたスリット部を上下方向にスライドするスライド保持部材30によって加圧バネ56の下端側がスライド可能に保持される。そして、F1方向に、バネ力が産み出されスライド保持部材30の突起56Aを介して、上板(受圧部材)58に伝達されている。曲げ部58Aによって、フランジ部材55を下方に押し付ける。両端より、フランジ部材55がヒータステイ51を保持しており、ヒータステイ51によって、セラミックヒータ(加熱手段、ヒータ)53を保持するフィルムガイド部材52を長手方向の全域に渡って加圧する。これによりセラミックヒータがフィルム(無端フィルム)54を介して加圧ローラ62に圧接する。加圧ローラ62は、加圧ローラギア140が本体側の駆動源につながるアイドラギア33より、回転力を与えられ、フィルムに圧接しながら回転することで、フィルムを回転させる。この回転中のフィルムと加圧ローラ間に、定着処理をするシート材が搬送される。圧接力と、セラミックヒータ53からの発熱と、加圧ローラ62とフィルム54の回転により、定着処理しながら逐次搬送され、排出されていく。
【0042】
図3、図4の側面図において、本体1に着脱可能な定着ユニット14の取り外し時の圧解除について説明する。図3は、図2の断面と同じ状態を側面方向から見た図である。加圧力は、本体側に取り付けられている加圧バネユニット40の加圧力F1が上板58へ伝達されている。加熱装置は、前後の差込部41,42によって、位置決められ、上下のビス38,39によって、固定されている。定着ユニット14は、リアカバー22を矢印A方向へ開き、ビス38,39を矢印Y2、Y3方向へ取り外すことで、図4に示すように、矢印Y4方向へ引き出し、取り外すことができる。図4に示される取り外し状態の加熱装置は、加圧バネユニット40が画像形成装置側にあるため、加圧力を受けなくなる。上板58は、フィルムガイドユニットのフランジ部より、矢印Y6に作用され、上板がY7方向へ回転移動する。上板58の開きすぎの防止として、上板58の後端部58Bが加熱装置側板44の端部44Aに突き当てることで防止される。加熱装置は、画像形成装置から取り外されると同時に、加圧バネユニット40が画像形成装置側に取り付けられているため、加圧力を受けることがなくなり、セラミックヒータ53がフィルム54及び、加圧ローラ62と圧接しない状態になる。そのため、定着ユニットが取り外された状態において、フィルム54や、加圧ローラが62が1箇所で、セラミックヒータ53に押し付けられたままで保持されることで生じる変形を防止できる。それにより、変形部と非変形部の違いで生じる定着ムラの発生を防止することができる。
【0043】
〔第2実施形態〕
図5〜図8は本発明の第2の実施形態の画像形成装置の構成図である。上述した第1の実施形態の画像形成装置と同一の部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0044】
本実施形態の画像形成装置は上述した第1の実施形態の加圧バネユニット40に、圧解除リンク機構(リンク機構)を付加したものである。図5〜8は、その圧解除リンク機構がみえるように、画像形成装置本体の側板面を取り外した状態の部分斜視図である。加圧バネ56は、バネ固定保持部材31に上端を固定され、下端は、スライド保持部材30を介して定着ユニット14の上板58を加圧している。圧解除リンク機構は、前後にアームを供えている。前側(図中右側)には、不図示の側板に固定されている支点74を中心に揺動可能に保持されているアーム72がある。そのアーム72のさらに、前側には、スリット72Bがあり、スリット72B内を移動するボス73をもつリンクアーム70は、不図示の側板に固定されている支点71と揺動可能に保持されている。
【0045】
後方側にも、アーム76が側板(不図示)に固定されている支点75を中心に揺動可能に保持されている。アーム76は、引っ張りバネ78にて、側板から出るフック77により、下側に加圧され、先端のコロ79で、リアカバー22の突き当て部80に突き当たることで、位置が規定されている。
【0046】
図6は、スライド保持部材30と本体側板32の構成を示すための部分斜視図である。本体側板32には、スリット穴32Bがある。上側のスリット幅は、下側のスリット幅より広く、スライド保持部材30は、上側スリットに挿入後、下げることで、抜け止部30Bによって、下側スリット内では、図中の奥側への規制となる。スライド保持部材30は、下側スリット内を上下に可動に保持される。スライド保持部材30の取り付け後、上側スリット部には、加圧バネ56を保持するバネ固定保持部材31を位置決めする上下のリブ31Bを挿入し、ビス35で、図中裏側より、バネ固定保持部材31が本体側板32に、固定される。
【0047】
図7は、前側(図中右側)のアーム動作による、圧解除の様子を示した部分斜視図である。リンクアーム70が、上側に持ち上げられると、B1方向に回転し、ボス73がアーム72のスリット溝をスライドしながら押し下げ、アーム72を、支点74を中心にB2方向に揺動させる。アーム72は、B2方向の揺動により、先端部72Cがスライド保持部材30をB3方向に持ち上げる。それにより、バネ力が上板58にかからなくなり、圧解除される。
【0048】
リンクアーム70には、前側のドアに接続させることで、前側ドアの開閉に連動して、ニップ圧の解除が可能となる。
【0049】
図8は、後ろ側(図中左)のリアカバー22が開きに後ろアームが連動して、圧解除動作となっている様子を示した部分斜視図である。
【0050】
リアカバー22は、支点22Aで回転可能に保持され、矢印D1方向に揺動することで、カバーが開く。そのとき、リアカバー22に取り付けられている、突き当て部80も同様に後方へ揺動する。後ろアーム76の先端に取り付けられているコロ79が、図5で示されている引っ張りバネ78により、下側に引き込まれているので、リブ面上を転がりながら移動し、後ろアーム76は、支点75を中心に、D2方向へ揺動する。それにより、アームの前側先端76Bは、D3方向に揺動するので、スライド保持部材30を持ち上げ、圧解除状態となる。このリアカバー22の開き動作に連動することで、定着ニップ部でジャムが発生した際、リアカバー22を開くだけで、定着のニップ圧が解除され、ジャム紙を容易に取り除ける。また、定着フィルムや、ヒータ、加圧ローラに紙を取り除く際の加圧力によるストレスを与えることなく、処理できるようになる。それにより、大きな強度を必要としなくなるので、定着フィルムにおいては、その膜厚を減すなどの、コストダウンが可能となる。
【0051】
〔第3実施形態〕
図9,10は本発明の第3の実施形態の定着ユニットの構成を説明する図である。上述した第1及び第2の実施形態の定着ユニットと同一の部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0052】
図9では、本実施形態の画像形成装置に定着ユニットを装着する方法を説明するために、画像形成装置側は、定着ユニット取り付け部付近のみを示した部分斜視図である。図中手手前側についてのみ説明し、本ユニットの奥側についての説明は省略するが、手前側と略対称形状をなし、取り付け部及び、加圧機構は、左右対称にとりつけられているものである。定着ユニット14の側板64には、定着ユニット14を本体1に取り付ける際に上下方向の位置を決める突起86と、前後方向の位置を決める突起(突起部)85がある。定着ユニット14の突起(突起部)86を矢印E1に示すように、本体1の本体フレーム82にある穴(挿入穴)83へ差し込むことで、上下方向を規制する。突起部85を矢印E2に示すように、本体フレーム82にある穴(挿入穴)84に差し込むことで、前後方向を規制する。その後、ビス87を矢印E3に示すように、側板64の穴88を通し、本体フレーム82の穴99に固定することで、強固に定着ユニットが固定される。穴99は、ビス87の種類によって、雌ねじをあらかじめ切っている場合や、ビス87の挿入時にビスが雌ねじを切りながら挿入するようにする。定着ユニット14は、図9に示すように、本体1より、取り出された状態では、突き当て部90が外側へ(矢印E5)へ移動させることで開き止めを解除し、上板58を側板64の切り欠き穴89を支点として、矢印E4方向に、開く。これにより定着ユニット内部の滞留したジャム紙を取り除くことができる。すなわち、加圧機構が本体1側にあり、定着ユニット14側にはないため、定着ユニット14は、本体1から取り出された状態であれば、容易に上板58を開閉することができる。このため定着ユニットのジャム処理性及び、定着ユニット内部の部品交換が容易にできるようになる。また、定着ユニット14の取りはずしにおいては、アーム76のコロ79がリアカバー22に連動して、圧解除位置に移動している。このため定着ユニット14を取りはずす際は、加圧力の影響を受けないもしくは、取り外し可能な力まで、さげた状態にすることができ、良好な定着ユニットの着脱が行えるようになる。
【0053】
図10は、定着ユニット14が本体1に装着され、加圧力を受けながら、加圧ローラ62に駆動がかかっている状態が見えるように、本体側の側板を取り除いた部分断面図である。
【0054】
定着ユニット14は、図9での説明と同様に、側板64にある突起83が、矢印E1方向より挿入して、図中縦位置を規制し、突起部85を矢印E2方向に挿入して、横方向の位置を規制している。
【0055】
本体側のギア91,92を介して、不図示の駆動源から伝達された回転力により、G6、G4方向にギアが回転している。それにより、定着ユニット14側の加圧ローラギア(第1のギア)93は、G5方向に回転し、駆動力は、その後、加圧ローラ下流側のローラへ駆動を伝達するため、ギア36を介して、ギア37を回転させている。ここで、加圧ローラギア93は、本体側のギア(第2のギア)91から駆動を伝達される際、G2方向に力を受けている。このG2方向の力は、これに略垂直方向に本体フレームに挿入された側板64の突起部85により挿入部で、受け止められている。また、加圧バネ56のバネ力の方向を示す矢印G1も、G2に対し略垂直であるため、駆動による力が加圧力に作用することがない。また、突起部85の挿入方向を示す矢印E2の方向は、加圧力方向を示す矢印G1の方向と、略平行に配置しているため、加圧力により、突起部85の抜け防止の作用がある。そのため、本図では、定着ユニット14は、本体フレーム82に対し、ビス87で固定している構成をとっているが、加圧力と定着ユニットの重要バランスによっては、ビス止めが不要にすることも可能である。これにより定着ユニット着脱時のビスレス化ができるようになり、定着ユニットのサービス性、ジャム処理性、また、ビスが不要であることによるコストダウンに効果がある。
【0056】
〔他の実施形態〕
1)セラミックヒータ53は、例えば、電磁誘導発熱部材などとすることもできる。
【0057】
2)本発明の画像形成装置は、実施形態のような画像加熱定着ユニットとしてばかりではない。例えば、画像を担持した被記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着処理する像加熱装置に適用できる。また、シート状物等の被加熱材を給送して乾燥処理・ラミネート処理・しわ取り処理する等の加熱装置、インクジェットプリンタ等に用いられる乾燥用加熱装置などにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施形態の画像形成装置の構成模型図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の加熱装置付近の部分断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の加熱装置付近において、加熱装置が装着され、圧接状態を示す側面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の加熱装置付近において、加熱装置が取り外され、圧接を解除した状態を示す側面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の加熱装置付近において、本体側板を取り除いて加圧部解除機構部が圧接している状態が見えるようにした加熱装置付近の部分斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の加熱装置付近において、図5に本体側板をつけて、加圧部解除機構部のスライド部が見える状態にした加熱装置付近の部分斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の加熱装置付近において、本体側板を取り除いて加圧部解除機構部の第1の圧接を解除した状態を見えるように加熱装置付近の部分斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の加熱装置付近において、本体側板を取り除いて加圧部解除機構部の第1と第2の圧接を解除した状態を見えるように加熱装置付近の部分斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置の加熱装置付近において、圧接を解除した状態で、加熱装置を画像形成装置に装着する様子を示す斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置の加熱装置付近において、圧接した状態で、加熱装置に駆動を伝達しているときの様子を示す側面図である。
【図11】従来例における、フィルム加熱方式・圧接部材駆動タイプの加熱装置としての定着ユニットの具体例を示した側面図であり、(A)は圧接状態にある定着ユニットの側面図、(B)は圧接解除状態にある定着ユニットの側面図である。
【図12】従来例における圧接状態にある定着ユニットの途中部分省略・一部切り欠き縦断正面図である。
【図13】図12の(10)-(10)線に沿う要部の拡大横断面模型図である。
【符号の説明】
【0059】
S …被記録材
1 …本体
2 …筐体
14 …定着ユニット
22 …カバー
40 …加圧バネユニット
53 …セラミックヒータ
54 …フィルム
58 …上板
62 …加圧ローラ
83,84 …穴
85,86 …突起部
91,92 …ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
前記被記録材に圧接力を加えるための圧接部材を有し、前記画像形成装置の本体部に着脱可能な加圧ユニットと、
前記加圧ユニットが前記本体部に装着されているときには、前記加圧ユニットが前記被記録材に圧接力を加えるための力を付与し、前記加圧ユニットが前記本体部から取り外されているときには、前記加圧ユニットが前記被記録材に加える圧接力を解除する圧力付与手段と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置の内部を覆う筐体と、
前記筐体に設けられた開閉可能なカバーと、
前記カバーの開閉に連動し、前記カバーを開いたときに前記圧力付与手段によって前記圧接部材に加えられている圧接力を解除するリンク機構と
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記加圧ユニットには、前記被記録材に熱を与える加熱手段がさらに設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記圧接部材は、加圧ローラを有し、
前記加熱手段は、熱を発生させるヒータと、前記加圧ローラと前記ヒータとによって挟持された筒状の無端フィルムとを有していることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記圧力付与手段は、前記本体に設けられた加圧バネを有し、
前記加圧ユニットは、前記本体に装着されているときに前記加圧バネからの圧力を受ける受圧部材を有し、前記受圧部材によって受けられた圧力により前記被記録材と前記無端フィルムとを前記加圧ローラと前記ヒータとによって挟持して圧接することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記加圧ユニットは、前記加圧ローラを駆動するための第1のギアを有し、
前記本体部は、前記加圧ユニットが前記本体部に装着されたときに、前記第1のギアと噛み合って駆動力を伝達する第2のギアとを有し、
前記第1のギアと第2のギアが噛み合う際に前記第2のギアが前記第1のギアを押す力の方向と、前記圧力付与手段による前記加圧ローラへの力の方向とが略垂直であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記加圧ユニットは、位置決めのための突起部を有し、
前記本体部は、前記突起部を差し込むための挿入穴を有し、
前記突起部が前記挿入穴に差し込まれる方向が前記圧力付与手段による前記加圧ローラへの圧力の方向と略平行であることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−139908(P2010−139908A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317881(P2008−317881)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】