説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置を再利用するための技術において、制御基板を交換する際に、基板そのものを装置本体から取り外すためには、カバー部材などの遮蔽手段を外し、ケーブルなどの複数の接続手段を外したのちに、基板の固定手段を解除するという作業が必要となる。取り外し作業は、組み込み作業に比べて、最使用する部分に傷付けたりしないよう配慮しなければいけないため、工数が多く掛かり、再生製品のコストが高くなる。
【解決手段】 画像形成装置に、予め新しい制御基板を取り付ける空間を用意しておくとともに、古い制御基板と新しい制御基板を切り換える手段を備えておくことによって、古い制御基板を外すことなく、新しい制御基板を取り付け、新しい制御基板による制御を行うことができる画像形成装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙などのシート材に画像を形成する画像形成装置の構成、および該画像形成装置を再利用するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式などによってシート材に画像を形成する画像形成装置においては、装置各部を電気的に制御する制御回路をPCB上に形成した制御基板を備え、装置各部の電気的制御を行っている。該制御基板は、装置本体に対して、固定手段により固定されているとともに、装置各部の被制御デバイスなどと電気的な接続を有するために、リード線などのケーブルを介した複数の接続手段を備えている。また、装置本体の外部からユーザーなどが不用意に触れてしまうことが無いよう、カバー部材などで覆う遮蔽手段を備えている。遮蔽手段は、制御基板から発生する電磁波が装置外に漏れる量を減らす電磁的な遮蔽手段を兼ねる場合もある。
【0003】
一方、省資源や廃棄物削減の観点から、一旦市場に出荷され、ユーザーの下で使用された後の製品を数年後に回収し、再利用する形態のひとつとして、最低限の消耗品交換や清掃などを行い、装置本体の大部分をそのまま使用する再生(REM:Remanufactuaring)という方法がある。この再生の際に、前記制御基板を最新の制御基板に交換することで、新機能など性能向上のための付加価値を追加するのが従来技術である。装置の再生に関する先行技術文献としては、特許文献1があり、また、性能向上を伴う部品交換や増設に関する先行技術文献としては、特許文献2〜特許文献6などがある。
【0004】
なお、再利用の形態には、前記装置本体の大部分をそのまま使用する再生(REM)の他に、ユニットや部品単位で再使用するリユース(Reuse)、材質ごとに分類して材料レベルで再資源化した後に別の用途にも用いるリサイクル(Recycle)などがある。再利用できないものについては、廃却処分を行うことになるが、一般的に、環境負荷の大きさの順番を不等号で表すと、廃却>リサイクル>リユース>再生(REM)という順番になり、再生(REM)が最も環境負荷が小さく、社会的に望ましい方法であると言われている。
【0005】
図7は、従来の画像形成装置において、新しい制御基板との交換を伴う再生(REM)を行う場合の手順を表すフローチャートであり、S−200で手順を開始し、S−201で使用済みの装置本体を市場から回収、S−202で再生(REM)が可能かを判断する。ここで、汚損が酷いとか高負荷で稼動した痕跡のある装置については、再生(REM)不可として、S−203へ進む。S−203では、ユニットや部品のレベルで再使用可能かを判断し、再使用可能なユニットや部品がある場合は、S−204へ進み、装置を分解して再使用可能なユニットや部品を取り出し、再使用する。S−203で再使用できないと判断された部分については、S−205で材料レベルのリサイクルが可能かを判断する。リサイクル可能であれば、S−206へ進み、装置を分解して材質ごとに分類し、リサイクルを行う。S−205でリサイクルできないと判断された部分については、S−207で廃却処分とする。
【0006】
一方、S202で再生可能と判断された装置については、S−211へ進み、汚れた部分の清掃や、ゴムローラーなどの消耗品の交換等を行い、次にS−212で、その装置に適用可能な新しい制御基板があるかを判断する。適用可能な新しい基板が無い場合は、S−215へ進み、初期状態にする設定や動作確認などを行い、S−216で再生処理が終了するが、S−212でその装置に適用可能な新しい制御基板がある場合は、S−213で古い制御基板を機械的な固定と電気的な接続の解除作業を行って取り外し、S−214で新しい制御基板に機械的な固定と電気的な接続の作業を行って取り付ける。新しい制御基板を取り付けた後は、S−215へ進み、必要な設定や動作確認を行い、S−216で再生処理を終了する。
【特許文献1】特開平10−216689号公報
【特許文献2】特開平8−221154号公報
【特許文献3】特開平11−54951号公報
【特許文献4】特開平11−313275号公報
【特許文献5】特開2000−158748号公報
【特許文献6】特開2004−045659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記背景技術においては、制御基板を交換する際に、基板そのものを装置本体から取り外すためには、カバー部材などの遮蔽手段を外し、ケーブルなどの複数の接続手段を外したのちに、基板の固定手段を解除するという作業が必要となる。取り外し作業は、組み込み作業に比べて、最使用する部分に傷付けたりしないよう配慮しなければいけないため、一般的に工数が多く掛かり、再生製品のコストが高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては、上記課題を解決するために、画像形成装置に、予め新しい制御基板を取り付ける空間を用意しておくとともに、古い制御基板と新しい制御基板を切り換える手段を備えておくことによって、古い制御基板を外すことなく、新しい制御基板を取り付け、新しい制御基板による制御を行うことができる画像形成装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
このような手段をもって構成された画像形成装置においては、古い制御基板を外すことなく、新しい制御基板を取り付け、新しい制御基板による制御を行うことができることによって、制御基板を交換する従来の方法に比べて低コストで再生製品を仕上げることができるため、販売価格の低価格化が実現でき、消費者にとって魅力ある製品を提供することにより、社会としての省資源化や廃棄物削減に貢献するという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0011】
以下、図を参照しながら本発明の実施例について詳細を説明する。
【0012】
図1、図2は本発明を実施した画像形成装置の再生後の形態を表す背面側外観斜視図であり、図3、図8、図9は同じく本発明を実施した画像形成装置の再生前の形態を表す外観斜視図である。図10、図11は図1、図2に対応した画像形成装置の再生後の形態におけるシステム構成を表すブロック図であり、図4は図3、図8、図9に対応した画像形成装置の再生前の形態におけるシステム構成を表すブロック図である。図5は本発明を実施した画像形成装置全体の内部構成の概要を表わす正面縦断面図であり、図6は本発明を実施した画像形成装置の再生手順を表すフローチャートである。
【0013】
説明は、大きく、図1〜図5と図8〜図11を参照しながら、本発明を実施した画像形成装置の構成について行う説明と、図6を参照しながら、本発明を実施した画像形成装置の再生手順について行う説明に分かれる。
【0014】
[画像形成装置の構成についての説明]
まず、図4を参照しながら、再生前の形態における画像形成装置全体のシステム構成について概要を説明する。
【0015】
図4において、4200は商用電源等とコンセントなどを介して接続し、装置各部を動作させるために必要な電力を供給する電源部であり、4100は装置各部を電気的に制御する制御部である。3000は原稿等の読取対象物に光を当て、その反射光を電気信号に変換することにより、読取対象物表面の色彩や濃淡などを画像データとして読み取る画像読取部であり、1000はシート状の記録媒体であるところのシート材を数十枚から数千枚程度、積載状態で収納し、該積載状態のシート材を1枚ずつに分離、および搬送するシート材供給部、2000は該シート材供給部1000から送られてきたシート材に画像データを視覚的に再現する画像形成部である。
【0016】
制御部4100には、制御プログラムなどが格納されているROM4102や、該制御プログラムに従って演算処理を行うCPU4101、データを一時的、あるいは書き換え可能な状態で格納するRAM4103、装置各部の制御対象とコネクタ4106を介して接続し、その入出力を制御するI/O4105などがプリント基板(PCB)4110上に備えられており、これらのCPU4101、ROM4102、RAM4103、I/O4105などはデータ信号の伝送回路であるバス4104によって繋がっている。4107は制御部4100のCPU4101、ROM4102、RAM4103などをI/O4105から電気回路的に切り離す切り換えスイッチである。制御部4100は、画像読取部3000で電気信号に変換された画像データに画像処理を施したり、画像データを保存したりしておく手段なども備えている。
【0017】
4400は読み取った画像データを電話回線等を介して他のファクシミリ装置等へ送信したり、他のファクシミリ装置等から送られてきた画像データ等を受信したりする電話回線通信部である。4500はコンピューターネットワークと接続し、ネットワーク経由で画像データや文字データ等の送受信を行ったり、装置をリモートコントロールしたりするためのネットワーク通信部である。4300は装置の状態を表示したり、装置の操作者が装置を操作するための入力等を行ったりする操作部である。
【0018】
このように構成された画像形成装置においては、画像読取部3000によって読み取った画像情報をシート材給送部1000から給送されたシート材に、画像形成部2000で出力する複写機能を備えていると共に、ネットワークを介してコンピューター等のスキャナーやプリンターとして機能することもできる。
【0019】
次に、図5を参照しながら画像形成装置全体の内部構成について概要を説明する。
【0020】
図5において、シート材供給部1000には、装置本体から引き出したりできる箱状のカセットに、記録媒体であるところのシート材を収納するカセット給送部と、随時、任意のサイズや種類のシート材をセットし記録媒体とする手差し給送部1300とが備えられており、前記カセット給送部においては、サイズなどが異なる2種類のシート材を収納、および供給できるように、上段カセット給送部1100と、下段カセット給送部1200が備えられている。
【0021】
上段カセット給送部1100において、1101は積載状態のシート材、1102はシート材1101を載置すると共にシート材をシート材1101の量に応じて所定の高さに持ち上げる載置板、1103はシート材1101の後端位置を規制する後端規制板である。1106は前記シート材1101を含む、載置板1102、後端規制板1103、および図示していないシート材1101の両側端位置を規制する一対のサイド規制板などが収納されているカセットおけであり、該カセットおけ1106はシート材の補給などの際に装置本体から引き出すことができる。
【0022】
矢印Aは上段カセット給送部1100からシート材を供給する場合のシート材搬送方向であり、1121は積載状態で収納されている前記シート材1101の最も上のシート材に圧接し、シート材を矢印A方向に送り出すピックアップローラー、1122は該ピックアップローラー1121によって送り出されたシート材を更に矢印A方向へ送るフィードローラー、1123は該フィードローラー1122に対して所定の押圧力で圧接すると共に、シート材を矢印A方向へ送るのとは反対の方向へ所定のトルクを発生するように回転力が与えられているリタードローラー、1124はシート材を画像形成部2000へ向けて搬送するための回転力を与えられている搬送ゴムローラー、1125は該搬送ゴムローラー1124に圧接、および従動回転する搬送コロであり、搬送ゴムローラー1124と搬送コロ1125とで搬送ローラー対を成している。
【0023】
カセットおけ1106内で載置板1102の上に積載状態で載置されて収納されているシート材1101は、ピックアップローラー1121がシート材1101の最も上のシート材に圧接、および回転することによって送り出され、送り出されたシート材は、リタードローラー1123によって1枚ずつに分離されると共に、フィードローラー1122によって搬送ゴムローラー1124と搬送コロ1125から成る搬送ローラー対へ送られ、該搬送ローラー対はシート材を更に搬送方向下流側の画像形成部2000に向かって搬送する。
【0024】
下段カセット給送部1200については、上段カセット給送部1100と同じ構成については省略するが、上段カセット給送部1100における搬送コロ1125に相当する搬送コロ1225は、搬送ゴムローラー1224に対して圧接可能なように下扉1091に支持されており、該下扉1091はシート材の搬送経路において、搬送コロ1225近傍でのシート材の搬送をガイドし、また、シート材が詰まった場合などには、搬送ローラー1224の軸線方向と平行な回動支点を中心にして、搬送コロ1125の搬送ゴムローラー1224に対する圧接を解除する方向へ開閉可能な扉である。
【0025】
1300は装置本体の側面に配置され、数枚から百枚程度のシート材を適宜、任意にセットすることができ、セットされたシート材を1枚ずつに分離して画像形成部2000に向かって供給する手差し給送部である。該手差し給送部1300において、矢印Bは手差し給送部1300からシート材を供給する場合のシート材搬送方向であり、1304はシート材を載置する載置トレイ、1301は図示していない駆動元から所定のタイミングで回転駆動力を伝えられて回転する給送ローラー、1303は前記載置トレイ上に載置されたシート材のシート材搬送方向先端部を給送ローラー1301に押圧する中板、1302は前記給送ローラー1301に対して所定の圧力で押圧され、高摩擦抵抗力を生じる分離パッドである。載置トレイ1304の上に載置されたシート材は先端部が中板1303によって給送ローラー1301に押圧され、所定のタイミングで給送ローラー1301が回転すると、シート材先端が給送ローラー1301と分離パッド1302の間に侵入し、その時、侵入したシート材が2枚以上の場合は、分離パッド1302と接する側のシート材はシート材と分離パッド1302との間に生じる摩擦力によって進行が阻止され、給送ローラー1301と接しているシート材のみが搬送されることで、シート材は1枚ずつに分離される。
【0026】
1304aは載置トレイ1304の回動中心であり、手差し給送部1300を使用する場合には、図5において実線で表わされているように、シート材搬送方向Bにおいてシート材搬送方向後端側が装置側面から突出し、かつシート材載置面のシート材搬送方向先端側よりシート材搬送方向後端側が水平より若干高い姿勢の位置で保持され、手差し給送部1300を使用しない場合には、図5において破線で表わすように、シート材載置面が略垂直の姿勢の位置へ、回動中心1304aを回動中心として回動した後、保持されることにより、装置側面からの突出量が小さくなるように収納することができる。
【0027】
画像形成部2000において、2012は画像を形成する位置のシート材搬送方向上流側に配置され、シート材を画像形成のタイミングに合わせて搬送するレジストローラー対のうち、ゴムローラーであるところのレジストゴムローラー、2013は前記レジストローラー対のうちのもう一方で、ローラー部が金属などの硬度の高い材質で形成されているところのレジストハードローラーである。2011は前記レジストローラー対の搬送方向上流側に配置され、該レジストローラーによるシート材搬送開始タイミングを制御するために、シート材給送部から送られてきたシート材先端が通過するタイミングを検知するレジ前センサーである。
【0028】
シート材給送部から送られてきたシート材は、レジ前センサー2011によって先端を検知され、該検知タイミングを元にレジストゴムローラー2012とレジストハードローラー2013とから成るレジストローラー対によって画像形成のタイミングに合わせた所定のタイミングで画像形成位置に向けて搬送が行われる。
【0029】
画像形成部2000においては、画像データに応じてレーザーダイオードの発光をON/OFFさせ、発光されたレーザー光を6面体ミラー2101に入射させる。6面体ミラー2101は一定速度で一定の方向に回転しており、6面体ミラー2101から反射されたレーザー光は、6面体ミラー2101の前方に配置された結像レンズ2102a,2102b、および反射ミラー2103a,2103bを経て筒状の感光ドラム2001の表面に焦点を結ぶ。感光ドラム2001は光が照射された部位の電位が変化する性質を持ち、6面体ミラー2101が一定速度で回転すると、感光ドラム2001に照射されたレーザー光は一定速度で感光ドラム2001の表面を感光ドラム2001の軸線方向であるところの主走査方向を走査する。レーザー光で主走査方向への走査を連続的に繰り返しながら、感光ドラム2001をレーザー光による主走査と同期した所定の速度で矢印Kの方向に回転させることによって副走査が行われ、感光ドラム2001の面上に画像データの静電潜像が形成される。2100は6面体ミラー2101や、結像レンズ2102a、2102b、反射ミラー2103a、2103b、図示していなレーザーダイオードなどの光学系を一体的に構成したレーザースキャナーである。
【0030】
静電潜像が形成された感光ドラム2001の表面の静電潜像部に、静電気に吸着する性質と熱を加えることによって溶融する性質をもった微粒子状の有色熱溶融性トナーが吸着することによってトナー像が現像される。感光ドラム2001の表面上に現像されたトナー像は、前記カセット給送部1000や前記手差し給送部1300から送られてきたシート材を感光ドラム2001と転写ローラー2002の間に挟持しながら搬送することによって、該シート材の表面に静電気的に吸着された状態で転写されながら定着器2200へ向かって搬送される。定着器2200においては、シート材表面に静電気的に吸着された状態で転写されているトナー像に、シート材を搬送しながら熱と圧力を加えることによってトナー像をシート材表面に定着させる。定着器2200から送り出されたシート材は排出ローラー2004によって、シート材排出方向であるところの矢印Cの方向へ、画像形成部2000の上方に配置された排出トレイ2005の上に排出される。
【0031】
同じく図5において、画像読取部3000においては、原稿台ガラス3101の上に載置した原稿などの被読み取り対象物の原稿台ガラスと接触する側の面を光源3102で照らしながらミラーやレンズなどからなる光学系を通して走査することで、原稿表面の光学的画像をCCD3103などの光電変換素子によって電気信号に変換することによって読み取りを行うフラットベッドスキャナー部3100と、該フラットベッドスキャナー部3100の光学系および光電変換素子部等を用いて、複数枚の原稿を1枚ずつに分離搬送して読み取りを行う自動原稿給送部3200が備えられている。
【0032】
図4で説明した制御部4100のRAM4103には、画像形成部2000のレーザースキャナー2100における感光ドラム2001の露光感度などに合わせたレーザー光の光量調節値や、レジストゴムローラー2012とレジストハードローラー2013とから成るレジストローラー対によって画像形成のタイミングに合わせたシート材の搬送を行う搬送タイミングの調整値、定着器2200における温度調節設定値、画像読取部3000における光源3102の光量調整値などの各種設定値や調整値のデータ、また、記録媒体となるシート材の種類やサイズごとの記録動作が行われた枚数や、ジャムなどの搬送不良が発生した回数とその場所などの履歴データが保存されている。
【0033】
図3、図8、図9は、図4で説明した再生前の形態のシステム構成を備え、図5で説明した内部構成の画像形成装置の外観斜視図であり、図3は正面側外観斜視図、図8は背面側外観斜視図である。図8において、制御部4100のプリント基板4110は、一部に開口部のある箱状の制御部カバー大4111に覆われており、制御部カバー大4111の開口部は、図9のように、制御部カバー小4112によって塞ぐことができる。図8のように、制御部カバー小4112を制御部カバー大4111から外すと、制御部カバー大4111の開口部から、コネクタ4106にアクセスすることができる。
【0034】
なお、本実施例においては、シート材給送部と画像読取部、画像形成部とが一体的に構成された画像形成装置について説明したが、シート材給送部、画像読取部、画像形成部のそれぞれの関係については、この形態に限定されるものではなく、シート材給送部と画像形成部とが別体であったり、画像読取部と画像形成部とが独立した形態であったりしてもかまわない。また、一体的に構成した場合の配置についても、図5の配置に限定されるものではない。
【0035】
続いて、図10、図11を参照しながら、再生後の形態における画像形成装置全体のシステム構成について説明する。なお、図4と同じ番号を付したものは、同じものであるので説明を省略する。
【0036】
図11において、5100は、制御部4100とは異なる別の制御部であり、制御部4100と同様に、制御プログラムなどが格納されているROM5102や、該制御プログラムに従って演算処理を行うCPU5101、データを一時的、あるいは書き換え可能な状態で格納するRAM5103を備えており、制御部4100のコネクタ4106を介して装置各部の制御対象と接続するコネクタ5106や、その入出力を制御するI/O5105などと共にプリント基板(PCB)5110上に実装されていて、これらのCPU5101、ROM5102、RAM5103、I/O5105などはデータ信号の伝送回路であるバス5104によって繋がっている。
【0037】
制御部5100は、制御部4100のI/O4105を制御し、制御部4100のRAM4103に格納されているデータの中から、制御部4100で装置を制御していた時の各種設定値や調整値のデータと履歴データなど、引き継ぐべきデータを、制御部5100のRAM5103に移し替える。必要なデータをRAM5103へ移し替えた後は、制御部4100に不要な電力が供給されないように、図10のごとく、切り換えスイッチ4107によって制御部4100の電気回路を切り離し、制御部5100が装置各部の被制御対象を制御するように回路が形成される。
【0038】
図1、図2は、図10、図11で説明した再生後の形態のシステム構成を備えた画像形成装置の背面側外観斜視図であり、図1において、制御部5100は制御部4100に隣接して装置本体に取り付けられ、制御部5100のプリント基板5110は、コネクタ5106を介して制御部4100のプリント基板4110と電気的に接続している。制御部5100のプリント基板5110の大部分は制御部カバー大5111によって、装置の外部と遮蔽されており、該制御部カバー大5111の一部に設けられた開口は、図2のように、制御部カバー小5112によって塞ぐことができる。
【0039】
[画像形成装置の再生手順についての説明]
図6を参照しながら、本発明を実施した画像形成装置の再生手順について説明する。
【0040】
図6において、S−100で手順を開始し、S−101で使用済みの装置本体を市場から回収、S−102で装置本体を再生(REM)可能かを判断する。ここで、汚損が酷いとか高負荷で稼動した痕跡のある装置については、再生(REM)不可として、S−103へ進む。S−103では、ユニットや部品のレベルで再使用可能かを判断し、再使用可能なユニットや部品がある場合は、S−104へ進み、装置を分解して再使用可能なユニットや部品を取り出し、再使用する。S−103で再使用できないと判断された部分については、S−105で材料レベルのリサイクルが可能かを判断する。リサイクル可能であれば、S−106へ進み、装置を分解して材質ごとに分類し、リサイクルを行う。S−105でリサイクルできないと判断された部分については、S−107で廃却処分とする。
【0041】
一方、S102で再生可能と判断された装置については、S−111へ進み、汚れた部分の清掃や、ゴムローラーなどの消耗品の交換等を行い、次にS−112で、その装置に適用可能な新しい制御基板があるかを判断する。適用可能な新しい基板が無い場合は、S−114へ進み、初期状態にする設定や動作確認などを行い、S−115で再生処理が終了するが、S−112でその装置に適用可能な新しい制御基板がある場合は、S−113で古い制御基板を取り外すことなく、新しい制御基板の機械的な固定と電気的な接続の作業を行うことで、追加の取り付けを行った後に、S−114へ進み、古い制御基板から新しい制御基板へ引き継ぐべき設定値や調整値などのデータと履歴データを古い制御基板から新しい制御基板へ移し、必要な設定や動作確認を行って、S−115で再生処理を終了する。
【0042】
なお、本実施例においては、制御部4100と制御部5100が装置本体背面側に突出する外観形状で説明を行ったが、制御部4100、5100の配置や形状については、本説明の配置や形状に限定されるものではなく、装置本体の側面に配置されていたり、外観面から突出しない内部に収納される形態であってもよい。
【0043】
また、切り換えスイッチ4107やコネクタ4106が、プリント基板4110上に実装されている形態に限定されるものではなく、他のプリント基板上に実装される形態であったり、プリント基板上に実装されない形態であってもよい。
【0044】
さらに、本実施例においては、制御部4100と制御部5100の切り換えをスイッチ4107によって行う形態について説明したが、このスイッチは、手動で操作するようなハードウェア的なスイッチであることに限定するものではなく、例えば、操作部4300からソフトウェア的に切り換えを行う方式であっても、あるいは制御部5100を取り付けることにより自動的に制御部5100を認識し、制御の切り換えや必要なデータの移行をソフトウェアプログラムの制御に従って行う方式であってもよい。
【0045】
さらに、本実施例においては、画像形成装置に適用した場合について説明したが、画像形成装置に限らない、制御部を備えた電子機器に適用することも可能である。
【0046】
このように構成された画像形成装置においては、市場から回収された装置本体を再生する際、古い制御基板を取り外す作業を行うことなく、新しい制御基板を取り付けるための作業を行うことができるため、古い制御基板を取り外さなければいけない従来の構成に比べて、取り外し作業に要する労力や時間を省略することができる。
【0047】
また、古い制御部が持っていた設定値や調整値などのデータと履歴データを、直接、新しい制御部へ移すことができるため、データ移行の作業に要する労力や時間も削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明を実施した画像形成装置の再生後の形態を表す背面側外観斜視図
【図2】本発明を実施した画像形成装置の再生後の形態を表す背面側外観斜視図
【図3】本発明を実施した画像形成装置の再生前の形態を表す外観斜視図
【図4】本発明を実施した画像形成装置の再生前の形態におけるシステム構成を表すブロック図
【図5】本発明を実施した画像形成装置の内部構成の概要を表わす正面縦断面図
【図6】本発明を実施した画像形成装置の再生手順を表すフローチャート
【図7】従来の画像形成装置における再生手順を表すフローチャート
【図8】本発明を実施した画像形成装置の再生前の形態を表す外観斜視図
【図9】本発明を実施した画像形成装置の再生前の形態を表す外観斜視図
【図10】本発明を実施した画像形成装置の再生後の形態におけるシステム構成を表すブロック図
【図11】本発明を実施した画像形成装置の再生後の形態におけるシステム構成を表すブロック図
【符号の説明】
【0049】
A シート材搬送方向
B シート材搬送方向
C シート材排出方向
K 感光ドラム回転方向
1000 シート材供給部
1091 ジャム処理扉
1100 上段カセット給送部
1101 シート材
1102 載置板
1103 後端規制板
1106 カセットおけ
1121 ピックアップローラー
1122 フィードローラー
1123 リタードローラー
1124 搬送ゴムローラー
1125 搬送コロ
1200 下段カセット給送部
1300 手差し給送部
1301 給送ローラー
1302 分離パッド
1303 中板
1304 載置トレイ
1304a 載置トレイ回動中心
2000 画像形成部
2001 感光ドラム
2002 転写ローラー
2004 排出ローラー
2005 排出トレイ
2011 レジ前センサー
2012 レジストゴムローラー
2013 レジストハードローラー
2100 レーザースキャナー
2101 6面体ミラー
2102a 結像レンズ
2102b 結像レンズ
2103a 反射ミラー
2103b 反射ミラー
2200 定着器
3000 画像読取部
3100 フラットベッドスキャナー部
3101 原稿台ガラス
3102 光源
3103 CCD
3200 自動原稿給送部
4100 制御部−A
4101 CPU−A
4102 ROM−A
4103 RAM−A
4104 バス−A
4105 I/O−A
4106 コネクタ−A
4107 切り換えスイッチ
4110 プリント基板−A
4111 制御部カバー大−A
4112 制御部カバー小−A
4200 電源部
4300 操作部
4400 電話回線通信部
4500 ネットワーク通信部
5100 制御部−B
5101 CPU−B
5102 ROM−B
5103 RAM−B
5104 バス−B
5105 I/O−B
5106 コネクタ−B
5110 プリント基板−B
5111 制御部カバー大−B
5112 制御部カバー小−B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材に画像を形成する画像形成装置において、
該画像形成装置は装置各部の制御対象を電気的に制御するための制御機能を有する制御基板(A)を少なくとも1つ備えており、
該制御基板(A)が制御する制御対象と少なくとも一部は共通の制御対象に対して同等以上、または追加の制御機能を備えた別の制御基板(B)を追加して取り付けることのできる空間と、
機械的に取り付ける取付手段と、
および電気的に接続する接続手段と、
共通の制御対象の制御を前記制御基板(A)から前記制御基板(B)へ切り換える切換手段とを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御基板(A)が保持している画像形成装置の設定データや履歴データを前記制御基板(B)へ転送する転送手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御基板(A)から前記制御基板(B)へ移行されるデータの中に、光量調整値、温度調整値、搬送タイミング調整値、シート材の搬送枚数、シート材のジャム回数のいずれかに関わるデータが少なくとも1つは含まれていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置が市場に出た後に回収され、再び市場へ出すために再生(Remanufacturing)を行う場合において、前回市場に出た時に取り付けられていた制御基板(A)を取り外すことなく、新しい制御基板(B)を追加で取り付け、前記画像形成装置各部の制御を該新しい制御基板(B)に切り換えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−145496(P2010−145496A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319743(P2008−319743)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】