説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置の複数の駆動系をフレーム上に取り付けるときの取付構造で、画像ノイズの発生を抑制することができる取付構造を提供する。
【解決手段】 メインフレーム51から延長保持部材61及び62を使用して第1サブフレーム54を設け、第1サブフレーム54には、モータ56、ギアボックス55を構成するギア551〜553がモータ軸65と出力軸66の間に配置される。延長保持部材61及び62に高張力鋼板の使用、第1サブフレームに熱伝導及び熱放散性のよいアルミ合金材の使用、延長保持部材61及び62及びサブフレーム54に制振鋼板の使用、或いは高強度、高熱放散性、制振性に優れた繊維強化合成樹脂による一体成形等の手段により、画像ノイズの発生を抑制できる複数の駆動系の取付構造が構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子複写機やその複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子複写機やその複合機などの画像形成装置は、フルカラーの画像形成装置が広く普及して使用されるようになってきたが、このような最近の画像形成装置は多数の駆動系が使用されるようになっている。
【0003】
一方、最近は画像形成装置のコンパクト化、省スペースが求められるため、限られた画像形成装置の内部空間に、画像形成装置の多数の駆動系を密接配置しなければならなくなり、メインフレームの平面上に配置するだけでは配置スペースが不足し、メインフレーム上に配置された複数の駆動系の背面側に重畳するような形で、更に他の複数の駆動系を配置せざるを得なくなっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−258998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した画像形成装置の多数の駆動系を、メインフレームの平面上に配置するだけではなく、メインフレーム上に配置された複数の駆動系の背面側に重畳するような形で、更に他の複数の駆動系を配置するためには、メインフレームの背面側にメインフレームから延長された延長保持部材にサブフレームを設け、メインフレーム及びサブフレームにそれぞれ複数の駆動系を配置することになる。
【0005】
しかしながら、このような延長保持部材は十分な剛性をもってサブフレームを保持することができず、サブフレームに配置された駆動系の動作に伴ってサブフレームやサブフレーム上の駆動系に捩れや振動が発生しやすい等の不都合が発生する。そして、捩れや振動が発生すると、この捩れや振動に起因する画像ノイズが発生し、画像品質が低下する。このような捩れや振動の発生と画像ノイズが発生は、高速の画像形成装置になるほど顕著になる。
【0006】
振動に起因する画像ノイズとしては、記録紙が通紙ローラに突入・離脱するときに駆動トルクが変動して駆動系の機構が一時的に捩れ変形や振動が発生し、それによる画像形成を行うプロセス系に生じる速度変動により発生する色ずれや濃度むら、駆動系の機構を構成するギアの噛合いの加振により発生する画像ピッチむら等がある。
【0007】
この対策として、現在は延長保持部材の厚みを厚くして剛性を高める、延長保持部材の絞り形状を工夫して剛性を高める、駆動軸の軸径を太くして剛性を高める等の手段を講じてきたが、画像形成装置の重量増加や大型化する等の不都合が指摘されていた。
【0008】
また、駆動系の構成部材を合成樹脂材で作成する等の対策によるときは、例えばギアとギア軸を一体成型するときは部品点数の削減と重量の軽減などの効果が期待できるが、一方でギア軸の摩耗や摺動抵抗の増大などの不都合がある、
このほか、延長保持部材やサブフレームなどを通常の一般鋼板や合成樹脂材で構成した場合は、剛性の不足や、駆動系のモータ等から発生する熱の放散が劣るという不都合がある。この発明は上記課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上記課題を解決するもので、請求項1の発明は、メインフレームとサブフレームとを有する駆動系の取付構造を備えた画像形成装置であって、前記サブフレームは、前記メインフレーム上に固定された延長保持部材によりメインフレームに対して所定の間隔を隔ててメインフレームの背後に配置され、前記メインフレーム及びサブフレームにはそれぞれ複数の駆動系が装着される取付構造において、前記延長保持部材は、一般鋼板よりも強度の高い高張力鋼板で構成されていることを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
請求項2の発明は、メインフレームとサブフレームとを有する駆動系の取付構造を備えた画像形成装置であって、前記サブフレームは、前記メインフレーム上に固定された延長保持部材によりメインフレームに対して所定の間隔を隔ててメインフレームの背後に配置され、前記メインフレーム及びサブフレームにはそれぞれ複数の駆動系が装着される取付構造において、前記サブフレームは、一般鋼板よりも熱伝導及び熱放散性のよいアルミ合金材で構成されていることを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
請求項3の発明は、メインフレームとサブフレームとを有する駆動系の取付構造を備えた画像形成装置であって、前記サブフレームは、前記メインフレーム上に固定された延長保持部材によりメインフレームに対して所定の間隔を隔ててメインフレームの背後に配置され、前記メインフレーム及びサブフレームにはそれぞれ複数の駆動系が装着される取付構造において、前記サブフレーム及び前記延長保持部材は、一般鋼板よりも制振性が高い制振鋼板で構成されていることを特徴とする画像形成装置である。
【0012】
請求項4の発明は、メインフレームとサブフレームとを有する駆動系の取付構造を備えた画像形成装置であって、前記サブフレームは、前記メインフレーム上に固定された延長保持部材によりメインフレームに対して所定の間隔を隔ててメインフレームの背後に配置され、前記メインフレーム及びサブフレームにはそれぞれ複数の駆動系が装着される取付構造において、少なくとも前記サブフレーム及び前記延長保持部材は、高強度、高熱放散性、しかも制振性に優れている繊維強化合成樹脂で一体成形して構成されていることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
この発明の請求項1の発明では、サブフレームを保持する延長保持部材は一般鋼板よりも強度の高い高張力鋼板で構成されるから、延長保持部材剛性が高まり、画像ノイズの発生を抑制することができる駆動系の取付構造を提供することができる。
【0014】
請求項2の発明では、サブフレームには、一般鋼板よりも熱伝導及び熱放散性のよいアルミ合金材で構成されるから、熱源であるモータから発生する熱を効率的に放散することができ、熱源冷却用のファンの小型化が可能となり、場合によっては熱源冷却用のファンを廃止することも可能な、駆動系の取付構造を提供することができる。
【0015】
請求項3の発明では、サブフレームを保持する延長保持部材及びサブフレームが、一般鋼板よりも制振性が高い制振鋼板で構成されるから、モータのビビリやギアの噛み合いによって発生する振動や騒音などを低減することが可能な、駆動系の取付構造を提供することができる。
【0016】
請求項4の発明では、少なくとも前記サブフレーム及び前記延長保持部材が、高強度、高熱放散性、しかも制振性に優れている繊維強化合成樹脂の一体成形により構成されるから、前記請求項1乃至請求項3により得られる効果と同等の効果を備えた、駆動系の取付構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明を適用するに適したフルカラー画像形成装置の構成の概略を説明する断面図である。
【0018】
以下の説明では、フルカラー画像形成装置を、単に画像形成装置という場合がある。タンデム方式のフルカラー画像形成装置自体は公知の構成であるから、構成の概要だけを簡単に説明する。
【0019】
図1において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、および黒(K)の各色の画像を形成する作像ユニット11、12、13、14が、駆動ローラ15および従動ローラ16の間に架設された中間転写体である中間転写ベルト17の下に直列に配置され、中間転写ベルト17は、図示しないモータ及び駆動装置を経て駆動される駆動ローラ15により矢印a方向に一定の速度で移動するように構成されている。
【0020】
各作像ユニット11〜14には、それぞれ像担持体である感光体、帯電装置、露光装置、現像装置、感光体上の転写残トナーを清掃するクリーニング装置が配置されている。
【0021】
画像信号処理装置20には、図示しないスキャナから出力された画像信号、或いはパソコン等から出力された画像信号が入力され、各作像ユニット11〜14の露光装置に、形成する画像の色に対応した画像信号が出力される。また、画像信号処理装置20の下側には給紙部21が配置されている。
【0022】
各作像ユニット11〜14には転写装置は備えられておらず、これに代えて中間転写ベルト17を挟んで作像ユニット11〜14と反対側に、一次転写ローラ11T、12T、13T、14Tが配置されている。
【0023】
また、従動ローラ16と対向する位置には中間転写ベルト17を挟んで二次転写ローラ18が配置され、駆動ローラ15と対向する位置には中間転写ベルト17を挟んでベルトクリーニング装置19が配置されている。
【0024】
また、二次転写ローラ18の記録紙搬送方向下流側には、記録紙に転写されたトナー像を定着処理する定着装置22が配置され、その下流側には、排紙ローラ23、排紙トレイ24が配置されている。
【0025】
以上は、タンデム方式のフルカラー画像形成装置の構成の概略であるが、図示しないがモノクロ画像のみを形成するために1個の作像ユニット、例えば黒色作像ユニットのみを配置した画像形成装置もある。
【0026】
図2は、画像形成装置の駆動系のフレーム上の配置の一例を説明する斜視図である。画像形成装置の駆動系は複数個あり、図示した配置例では、メインフレーム51の上にギアボックス52、モータ53、その他の部材が配置されている。さらに、メインフレーム51の背後には図示しない延長保持部材を介して第1サブフレーム54が設けられ、第1サブフレーム54にはギアボックス55、モータ56、その他の部材が配置されている。
【0027】
さらに、メインフレーム51の背後には図示しない延長保持部材を介して第2サブフレーム57が設けられ、第2サブフレーム57にはギアボックス58、モータ59、その他の部材が配置されている。
【0028】
このように、複数個の駆動系を備えた画像形成装置では、メインフレームの上に駆動系を構成する各種部材を配置するだけでは配置スペースが不足するので、メインフレームの背後に延長保持部材を設けて1又は複数のサブフレームを設けて複数個の駆動系を重畳するように配置することがおこなわれている。
【0029】
図3は、サブフレームを使用して駆動系の取付構造の一例を説明する平面図で、メインフレーム51から延長保持部材61及び62を使用して第1サブフレーム54を設け、第1サブフレーム54には、モータ56と、ギアボックス55を構成する部材であるギア551、ギア552、ギア553が、モータ軸65と出力軸66の間に配置されている。なお、67は中間軸、68、69は出力軸66を支承する軸受、70は他の部材、例えばメインフレーム51の上に配置された他の駆動系を構成するギアボックスである。
【0030】
図4は、画像形成装置の駆動系の取付構造の剛性が不足したときの歪みの様子を説明する斜視図である。上記した図3に示すような、サブフレームを使用して駆動系の取付構造においては、駆動系の回転/停止の際、或いは通紙の影響でプロセス系の速度変動が発生すると、延長保持部材61及び62で保持されるサブフレームが、例えば図4で矢印A、Bで示すように振動したり歪み発生し、この結果、駆動系の速度が変動するなどして画像ノイズが発生する。
【0031】
そこで、この発明では、以下のような対策を講じている。
【0032】
第1は、サブフレーム54を保持する延長保持部材61及び62に、一般鋼板よりも強度の高い、例えば高張力鋼板を使用する。これにより延長保持部材61及び62の剛性が高まり、画像ノイズの発生を抑制することができる駆動系の取付構造を提供することができる。
【0033】
第2は、サブフレーム54には、一般鋼板よりも熱伝導及び熱放散性のよいアルミ合金材を使用することで、熱源であるモータ56から発生する熱を効率的に放散することができ、熱源冷却用のファンの小型化が可能となり、場合によっては熱源冷却用のファンを廃止することも可能な、駆動系の取付構造を提供することができる。
【0034】
第3は、前記第1、第2の対策に代えて、延長保持部材61及び62、及びサブフレーム54に、一般鋼板よりも制振性が高い、例えば制振鋼板などを使用するもので、これにより、モータ56のビビリやギア551〜553の噛み合いによって発生する振動や騒音などを低減することが可能な、駆動系の取付構造を提供することができる。
【0035】
第4は、少なくとも延長保持部材61及び62、及びサブフレーム54を、高強度、高熱放散性、しかも制振性に優れている、繊維強化合成樹脂で一体成形して構成するものである。また、繊維強化合成樹脂は、摩擦係数が低く、摩耗しにくいこと、熱収縮や熱膨張率が低いから、ギア552と中間軸67とを一体成形することも可能であり、また、サブフレーム54の軸受68をサブフレームと共に一体成形することも可能である。
【0036】
これにより、前記第1乃至第3の対策で得られる効果と同等の効果を備えた、駆動系の取付構造を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
画像形成装置の複数の駆動系を複数のフレーム上に取り付けるときの取付構造で、高張力鋼板の使用、熱伝導及び熱放散性のよいアルミ合金材の使用、制振鋼板の使用、高強度、高熱放散性、制振性に優れた繊維強化合成樹脂による一体成形等の手段により、画像ノイズの発生を抑制することができる複数の駆動系の取付構造を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】フルカラー画像形成装置の構成の概略を説明する断面図。
【図2】画像形成装置の駆動系のフレーム上の配置の一例を説明する斜視図。
【図3】駆動系の取付構造の一例を説明する平面図。
【図4】駆動系の取付構造の剛性が不足したときの歪みの様子を説明する斜視図。
【符号の説明】
【0039】
10 画像形成装置(フルカラー画像形成装置)
11、12、13、14 作像ユニット
11T、12T、13T、14T 一次転写ローラ
15 駆動ローラ
16 従動ローラ
17 中間転写ベルト
18 二次転写ローラ
19 ベルトクリーニング装置
20 画像信号処理装置
21 給紙部
22 定着装置
23 排紙ローラ
24 排紙トレイ
51 メインフレーム
52 ギアボックス
53 モータ
54 第1サブフレーム
55 ギアボックス
56 モータ
57 第2サブフレーム
58 ギアボックス
59 モータ
61、62 延長保持部材
65 モータ軸
66 出力軸
67 中間軸
68、69 軸受
551、552、553 ギア
70 他の部材(他の駆動系を構成するギアボックス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインフレームとサブフレームとを有する駆動系の取付構造を備えた画像形成装置であって、
前記サブフレームは、前記メインフレーム上に固定された延長保持部材によりメインフレームに対して所定の間隔を隔ててメインフレームの背後に配置され、前記メインフレーム及びサブフレームにはそれぞれ複数の駆動系が装着される取付構造において、
前記延長保持部材は、一般鋼板よりも強度の高い高張力鋼板で構成されていること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
メインフレームとサブフレームとを有する駆動系の取付構造を備えた画像形成装置であって、
前記サブフレームは、前記メインフレーム上に固定された延長保持部材によりメインフレームに対して所定の間隔を隔ててメインフレームの背後に配置され、前記メインフレーム及びサブフレームにはそれぞれ複数の駆動系が装着される取付構造において、
前記サブフレームは、一般鋼板よりも熱伝導及び熱放散性のよいアルミ合金材で構成されていること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
メインフレームとサブフレームとを有する駆動系の取付構造を備えた画像形成装置であって、
前記サブフレームは、前記メインフレーム上に固定された延長保持部材によりメインフレームに対して所定の間隔を隔ててメインフレームの背後に配置され、前記メインフレーム及びサブフレームにはそれぞれ複数の駆動系が装着される取付構造において、
前記サブフレーム及び前記延長保持部材は、一般鋼板よりも制振性が高い制振鋼板で構成されていること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
メインフレームとサブフレームとを有する駆動系の取付構造を備えた画像形成装置であって、
前記サブフレームは、前記メインフレーム上に固定された延長保持部材によりメインフレームに対して所定の間隔を隔ててメインフレームの背後に配置され、前記メインフレーム及びサブフレームにはそれぞれ複数の駆動系が装着される取付構造において、
少なくとも前記サブフレーム及び前記延長保持部材は、高強度、高熱放散性、しかも制振性に優れている繊維強化合成樹脂で一体成形して構成されていること
を特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−151940(P2010−151940A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327690(P2008−327690)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】