説明

画像形成装置

【課題】消費電力及び画像形成装置内の温度上昇を抑えつつ、温められた空気をシートに直接吹き付けること、または、定着手段よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路内に温められた空気を吹き付けること、ができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】装置内の温度上昇箇所に熱的に接するように設置された受熱手段11と、冷却液の熱を放出させる放熱手段13と、冷却液を受熱手段11と放熱手段13との間で循環させるための循環パイプ16と、循環パイプ16内の冷却液を搬送するための搬送手段12と、放熱手段13を冷却するための気流を発生させる気流発生手段14とを有する液冷手段と、シート上にトナー像を形成する画像形成手段20と、を備えた画像形成装置において、気流発生手段14が発生させた気流によって、放熱手段13から放出された熱で温められた空気をシートに直接吹き付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置として特許文献1には、シート給送装置内に積層されたシートに専用の加熱装置で温められた空気を直接吹き付けるものが記載されている。一般にシートには少なからず水分が含まれており、水分量が多くなるにつれてシート給送装置内に積層されたシート間の密着力が高まることが知られている。このように上記シート間の密着力が高まると、複数のシートが重なり合った状態でシート給送装置から画像形成装置内の給送路に給送される重送という現象が引き起こされ易くなる。そのため、特許文献1に記載の画像形成装置のように、専用の加熱装置で温めた空気をシート給送装置内に積層されたシートに直接吹き付けてシートに含まれる水分量を減らすことで、上記シート間の密着力が低下し重送が生じるのを抑制することができる。
【0003】
また、画像形成手段によってシート上に形成されたトナー像を、内部に発熱体としてのヒータが組み込まれた加熱ローラと加圧ローラとで形成する定着ニップでシート上に定着させる定着装置を備えた画像形成装置がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置では、シートに直接吹き付ける空気を温めるため専用の加熱装置を画像形成装置内に設けて空気を温めている。しかしながら、空気を温めるため専用の加熱装置を画像形成装置内に設けると、その分、画像形成装置全体で消費される消費電力が増大するため、省エネルギー化を図るのが困難となる。
【0005】
温まった空気をシートに直接吹き付けると有用な効果が得られる箇所は、上述したようなシート給送装置に限らず、例えば、定着装置よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路内など複数箇所ある。シート給送装置以外の上記複数箇所で温まった空気をシートに直接吹き付けるために、専用の加熱手段を画像形成装置内に設けた場合でも、空気を温めるため専用の加熱装置を画像形成装置内に設ける分、画像形成装置全体で消費される消費電力が増大するため、省エネルギー化を図るのが困難となる。
【0006】
一方、定着装置の定着ニップでシート上にトナー像を定着させる際にシートが加熱されると、シートに含まれていた水分が水蒸気となってシートから放出される。シートから放出された水蒸気が、定着装置よりもシート搬送方向下流側でシート搬送経路を形成するガイド板などの温度の低い部材に接触すると結露が生じる。このように結露が生じてシートに水滴が付くと、ガイド板にシートが付着してシートの搬送不良が発生するといった問題が生じる。
【0007】
この問題に対して、専用の加熱装置で空気を温め、その温められた空気を上記シート搬送経路に吹き付けて水蒸気を多く含む空気や結露などを発散させることが考えられる。
しかしながら、空気を温めるため専用の加熱装置を画像形成装置内に設けると、その分、画像形成装置全体で消費される消費電力が増大するため、省エネルギー化を図るのが困難となる。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、第1の目的は、省エネルギー化を図りつつ、温められた空気を直接シートに吹き付けることができる画像形成装置を提供することである。
第2の目的は、省エネルギー化を図りつつ、温められた空気をシート搬送経路内に吹き付けて結露などを発散させることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、装置内の温度上昇箇所に熱的に接するように設置された受熱手段と、冷却液の熱を放出させる放熱手段と、該冷却液を該受熱手段と該放熱手段との間で循環させるための循環パイプと、該循環パイプ内の冷却液を搬送するための搬送手段と、該放熱手段を冷却するための気流を発生させる気流発生手段とを有する液冷手段と、シート上にトナー像を形成する画像形成手段と、を備えた画像形成装置において、前記気流発生手段が発生させた気流によって、前記放熱手段から放出された熱で温められた空気を前記シートに直接吹き付けることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、シートを積層状態で保持するシート保持部と、前記シート保持部に積層された最上位のシートが押し当てられてシートに給送力を与える給送ローラとを備えたシート給送手段を有しており、上記温められた空気を、シート給送手段内の給送方向に対して左右に位置する側方から前記シート保持部に積層されたシートに吹き付けることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記温められた空気を、上記側方から上記積層されたシートの給送方向先端側に吹き付けることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2または3の画像形成装置において、上記温められた空気を、上記側方から上記積層されたシートの束の側面上部側に空気を送り込むことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の画像形成装置において、上記画像形成手段よりもシート搬送方向下流側に設けられ、該画像形成手段によってトナー像が形成されたシート上に、少なくとも熱でトナー像を定着させる定着手段を有しており、画像形成装置本体の電源を入れて少なくとも上記定着手段を所定の温度まで昇温させている間は、上記液冷手段の上記搬送手段は駆動させずに上記気流発生手段は駆動させ、該定着手段が該所定の温度に達した後に、該搬送手段を駆動させることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記画像形成手段よりもシート搬送方向下流側に設けられ、該画像形成手段によってトナー像が形成されたシート上に、少なくとも熱でトナー像を定着させる定着手段を有しており、前記気流発生手段が発生させた気流によって、前記放熱手段から放出された熱で温められた空気を定着後の前記シートに吹き付けることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、装置内の温度上昇箇所に熱的に接するように設置された受熱手段と、冷却液の熱を放出させる放熱手段と、該冷却液を該受熱手段と該放熱手段との間で循環させるための循環パイプと、該循環パイプ内の冷却液を搬送するための搬送手段と、該放熱手段を冷却するための気流を発生させる気流発生手段とを有する液冷手段と、シート上にトナー像を形成する画像形成手段と、該画像形成手段よりもシート搬送方向下流側に設けられ、該画像形成手段によってトナー像が形成されたシート上に、少なくとも熱でトナー像を定着させる定着手段と、を備えた画像形成装置において、前記気流発生手段が発生させた気流によって、前記放熱手段から放出された熱で温められた空気を定着手段よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路内に吹き付けることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、上記シート搬送方向下流側のシート搬送経路内には、シートの搬送をガイドするガイド部材が設けられており、上記温められた空気を少なくとも該ガイド部材に吹き付けることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記ガイド部材の上記シートをガイドするガイド面に、上記温められた空気が通過可能な1つ以上の開口が形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項7、8または9の画像形成装置において、上記シート搬送経路内で搬送されている上記シートに上記温められた空気を吹き付けることを特徴とするものである。
【0010】
従来より、冷却液を循環させて発熱体の熱によって温度が上昇する温度上昇箇所を冷却する液冷装置を用いた画像形成装置が知られている(特許文献2など)。この液冷装置は、冷却液が温度上昇箇所の熱を受ける受熱手段、冷却液の熱を放熱するための放熱手段、冷却液が受熱手段と放熱手段とを循環するように配管された循環パイプ、及び、循環パイプ内で冷却液を搬送する搬送手段を備えている。冷却液は、受熱手段へ搬送され温度上昇箇所の熱を奪い温度上昇箇所を冷やした後、放熱手段へ搬送され放熱手段から冷却液の熱が放出される。
本願発明者らは、上述したような液冷装置の構成に着目し、上記目的を達成するために、上記放熱手段から放出された熱を利用した。
【0011】
また、上記「熱的に接する」とは、上記温度上昇箇所から発した熱と接触することを意味し、温度上昇箇所に直接接するよう上記受熱手段を配置しても良いし、温度上昇箇所から離れた位置に受熱手段を設置しても良い。温度上昇箇所に熱的に接していれば、受熱手段は温度上昇箇所から熱を受けることができる。
【0012】
請求項1乃至請求項6の発明においては、上記温度上昇箇所を液冷手段で冷却した際の放熱手段から放出された熱によってシートに直接吹き付ける空気を温めるので、空気を温めるため専用の加熱手段を設ける場合よりも画像形成装置全体で消費される消費電力を低減でき省エネルギー化を図ることができる。
請求項7乃至請求項10の発明のおいては、放熱手段から放出された熱によって温められた空気を定着手段よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路内に吹き付けるので、上記シート搬送経路内の水蒸気を多く含む空気や結露などを発散させることができる。これにより、上記シート搬送経路内でシートに水滴が付くことで発生し得るシートの搬送不良を抑制することができる。また、上記温度上昇箇所を液冷手段で冷却した際の放熱手段から放出された熱によって上記シート搬送経路内に吹き付ける空気を温めるので、空気を温めるため専用の加熱手段を設ける場合よりも、画像形成装置本体で消費される消費電力を低減でき省エネルギー化を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上、請求項1乃至請求項6の発明によれば、省エネルギー化を図りつつ、温められた空気を直接シートに吹き付けることができるという優れた効果がある。
また、請求項7乃至請求項10の発明によれば、省エネルギー化を図りつつ、温められた空気をシート搬送経路内に吹き付けて結露などを発散させることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】画像形成装置の基本構成を示した概略構成図。
【図3】液冷装置の概略構成図。
【図4】シート給送装置の斜視図。
【図5】給紙コロによってピックアップされる側のシート束の側面上部側の先端部分に排気口から空気が吹き付けられている状態を示す模式図。
【図6】ON/OFFタイミングチャート。
【図7】実施形態2に係る画像形成装置の概略構成図。
【図8】(a)実施例2における画像形成装置本体下方側から見た定着装置及び定着装置よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路近傍の拡大図。(b)実施例2における画像形成装置本体正面側(図7の紙面手前側)から見た定着装置及び定着装置よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路近傍の拡大図。
【図9】(a)実施例3における画像形成装置本体下方側から見た定着装置及び定着装置よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路近傍の拡大図。(b)実施例3における画像形成装置本体正面側(図7の紙面手前側)から見た定着装置及び定着装置よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路近傍の拡大図。
【図10】(a)実施例4における画像形成装置本体下方側から見た定着装置及び定着装置よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路近傍の拡大図。(b)実施例4における画像形成装置本体正面側(図7の紙面手前側)から見た定着装置及び定着装置よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路近傍の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態1]
以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態について説明する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す構成図である。この画像形成装置は、複写機本体100と、この複写機本体100を載置する給紙テーブル200と、複写機本体100上に取り付けられたスキャナ300と、このスキャナ300上に取り付けられた原稿自動搬送装置(ADF)400とから主として構成されている。
【0016】
スキャナ300では、原稿照明用光源やミラーなどを搭載した第一走行体303と、複数の反射ミラーを搭載した第二走行体304とが往復移動するのに伴って、コンタクトガラス301上に載置された図示しない原稿の読取り走査が行われる。第二走行体304から送り出される走査光は、結像レンズ305によってその後方に設置されている読取りセンサ306の結像面に集光せしめられた後、読取りセンサ306によって画像信号として読込まれる。
【0017】
複写機本体100には、潜像担持体としてイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーに対応した感光体40Y、40C、40M、40Kが設けられている。各感光体40の周囲には帯電、現像、クリーニング等の電子写真プロセスを実行する各手段が配置され、これによって各画像形成ユニット38が形成されている。画像形成ユニット38は4つ並列されており、これによってタンデム型画像形成部20が形成されている。
【0018】
各画像形成ユニット38の現像装置61においては、それぞれ上記4色のトナーを含んだ現像剤が用いられる。現像装置61は、現像剤担持体が現像剤を担持、搬送して、感光体40との対向位置において交互電界が印加されて感光体40上の潜像を現像する。交互電界を印加することで現像剤を活性化させ、トナーの帯電量分布をより狭くすることができ、現像性を向上させることができる。また、現像装置61を感光体40と共に一体に支持し、画像形成装置本体に対して着脱自在に形成してプロセスカートリッジとすることができる。このプロセスカートリッジは、この他に帯電手段、クリーニング手段を含んだものとすることもできる。
【0019】
タンデム型画像形成部20の上部には、画像情報に基づいて感光体40をレーザ光又はLED光により露光して潜像を形成する露光装置31が設けられている。
【0020】
また、タンデム型画像形成部20の感光体40と対向する下方位置には、無端状のベルト部材からなる中間転写ベルト10が配置されている。中間転写ベルト10は支持ローラ34、35及び36によって支持されている。中間転写ベルト10を介して感光体40と相対する隣接位置には、感光体40上に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト10に転写する一次転写装置62が配置されている。
【0021】
中間転写ベルト10の下方には、中間転写ベルト10表面に重ね合わせて形成されたトナー像を、給紙テーブル200の給紙カセット44から搬送されてくる転写紙に一括転写する2次転写装置19が配置されている。2次転写装置19は、2次転写ローラ23と、この2次転写ローラ23を中間転写ベルト10に接離可能に支持する接離機構(不図示)とを備えている。2次転写装置19は2次転写ローラ23を中間転写ベルト10を介して支持ローラ36に押し当て、中間転写ベルト10上のトナー像を図示省略した転写紙に転写する。以下、支持ローラ36を2次転写バックアップローラ36と呼ぶ。
【0022】
中間転写ベルト10の表面に残留するトナーを取り除くためにクリーニング装置37が設けられている。クリーニング装置37は、例えばファーブラシ又はウレタンゴムで形成されたクリーニングブレードを中間転写ベルト10に当接させて、中間転写ベルト10に付着している2次転写残トナーを掻き取る。
【0023】
2次転写装置19に隣接するように定着装置6が設けられており、定着装置6は転写紙上の画像を定着する。定着装置6は、内部に熱源としてのヒータが組み込まれた加熱ローラ66と、この加熱ローラ66に押し当てられる加圧ローラ67とから主として構成されている。
【0024】
2次転写装置19及び定着装置6の下方には、転写紙を反転する反転装置28が配置されている。反転装置28は、転写紙の両面に画像を記録すべく転写紙を反転させる。
【0025】
次に、上記構成の画像形成装置の動作について説明する。
図2の原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットするか、または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス301上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。この状態で、図示省略した起動スイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス301上へと移動した後、他方コンタクトガラス301上に原稿をセットしたときは直ちにスキャナ300が駆動し、第一走行体303および第二走行体304を走行させる。そして、第一走行体303で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光を受け、これを第二走行体304に向けて反射し、第二走行体304のミラーで反射光を更に反射して結像レンズ305を通して読取りセンサ306に入射させ、読取りセンサ306で原稿内容を読取る。
【0026】
また、装置の起動スイッチを押すことによって、図示省略した駆動モータを駆動させて支持ローラ34、35、36の1つを回転駆動し、他の2つの支持ローラを従動回転させ、これによって中間転写ベルト10を回動させる。同時に、各画像形成ユニット38において、帯電器によって感光体40を一様に帯電し、次いでスキャナ300の読取り内容に応じて露光装置31からレーザやLED等による書込み光を照射して帯電した各感光体40上に静電潜像を形成する。静電潜像が形成された感光体40に現像装置61からトナーを供給し、静電潜像を可視像化し、各感光体40上にそれぞれブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の単色画像を形成する。単色画像を順次一次転写装置62によって中間転写ベルト10上に重なるように一次転写し、中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。画像転写後の感光体40の表面は、感光体クリーニング装置によって残留トナーを除去し、図示省略した除電装置で除電して再度の画像形成に備える。
【0027】
起動スイッチを押すことにより、また給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つが選択されて回転し、ペーパーバンク43に多段に設けられた給紙カセット44の1つから転写紙を繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に挿入し、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて停止させる。 次に、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置19との間にシートPを送り込み、2次転写装置19で転写して転写紙上にカラー画像を転写する。
【0028】
2次転写ローラ23を通過した未定着トナー像を担持した転写紙を、定着装置6へ搬送し、定着装置6で熱と圧力とを加えて転写画像を永久画像として定着する。画像定着後の転写紙は、切換爪55で切り換えて排出ローラ対56によって排出し、排紙トレイ57上にスタックするか、又は切換爪55で切り換えてシート反転装置に導入し、ここで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録し、その後、排出ローラ対56で排紙トレイ57上に排出する。このとき、画像転写後の中間転写ベルト10上に残留する残留トナーをクリーニング装置37で除去し、タンデム型画像形成部20による再度の画像形成に備える。
【0029】
図3は、液冷装置の簡単な構成について説明した図である。
被冷却体に近接または密着して吸熱を行う、吸熱体11の中には、図示しない冷却水の循環経路が設けられていて、被冷却体から吸収された熱を冷却水へ伝える。冷却水はポンプ12によって各デバイスへ循環される構造をとり、吸熱体11を循環中に温められた冷却水は放熱器13にて冷まされる。放熱器13は一般的にはよくラジエータなどが用いられ、アルミニウム等の熱伝導率の高い材質の管に無数のフィンが設けられ、空気中へ熱を放出する。また、放熱器13には、この放熱器13と対で構成されるファン14が設けられ、放熱器13付近の温められた空気を移動させ、放熱器13に冷たい空気を送る事により、放熱器13の放熱効率を上げている。また、注水用にタンク15を設ける事も多く、各デバイス間の送液にはパイプなどの管状送液部16を設けている。
【0030】
ここで、画像形成装置では機械サイズを小型化する観点から機械内部の高密度化と共に定着装置6を中間転写ベルト10の下方にもぐりこませるような配置としている。図2の画像形成装置では、中間転写ベルト10は、定着装置6の上面および右側面を覆うよう屈曲している。この構成により装置の高さ方向と幅方向をコンパクトにしている。
【0031】
しかし、中間転写ベルト10に対して定着装置6を近接させると、発熱体である定着装置6によって中間転写ベルト10が熱的影響を受け、色ずれ等の画像不具合が発生する恐れがある。これは、装置が高速化するにつれて装置内部の発熱量が増大することにより、顕著になってきている。また、両面印刷時は、定着装置6で加熱された用紙が反転装置28を通過し、再び2次転写位置にて中間転写ベルト10に接触するため、用紙からの熱伝達により、さらに中間転写ベルト10の温度が上昇して、より厳しい条件となる。また、中間転写ベルト10に接触している感光体40Y,M,C,K、さらには現像装置6Y,M,C,Kにも熱が伝わり、ベルト変形による画像不具合、及びトナーの固化等の不具合がより一層発生しやすくなる。
【0032】
[実施例1]
図1に、本発明を適用した画像形成装置の一例を示す。
画像形成装置内の被冷却体として、本実施例では定着装置6を例に挙げて説明する。画像形成装置内の温度上昇を防ぐための冷却機構として、本実施形態では定着装置6近傍に液冷装置の吸熱体11を配置し、ポンプ12によって冷却水の循環を行う機構であって、吸熱後に温められた冷却水の放熱部として放熱器13を配置している。
【0033】
放熱器13はダクト17内に設置してあり、ファン14によって、画像形成装置外からの冷たい空気を取り込み、放熱器13と放熱器13内部を循環する冷却水を冷ます。
【0034】
放熱器13及び冷却水からの熱交換を行い温められた空気は、ファン14によってさらにダクト17内を送られ、シート給送装置1内の排気口18からシート束に向かって吹き付けられる。これにより、捌き効果を得て、搬送不具合を軽減し、安定したシート給送を行うことができる。
【0035】
図4にシート給送装置1の斜視図を示す。
シート給送装置1は、図示しない昇降機構によって昇降可能な、シートPを積載する底板21と、この底板21上に積載される図示しないシートPの束の最上部のシートを一枚づつ取り出して、図1に示される給紙路46へと給紙する給紙ユニット22とを有する。
【0036】
給紙ユニット22には、給紙コロ2と、分離コロ24とが配置されている。これらの給紙コロ2、分離コロ24は、あらかじめ設定されたそれぞれの給紙タイミングによって駆動される。これらコロの回転により、底板21上に積載されるシート束の最上位の1枚が分離され、図4に示す矢印A方向へ引き出され、図1中の給紙路46へと導かれる。
【0037】
シート給送装置1は、図示しない昇降機構によって昇降可能な底板21上に積載されたシート束のシートPを最上部のものから給紙コロ2で給紙し、分離コロ24(及びセパレートローラ59)からなる分離機構で重送紙を分離して一枚のシートPのみを送り出すものである。
【0038】
また、シート給送装置1には、一対のサイドフェンス25a及びサイドフェンス25bが設けられている。これらのサイドフェンス25a及びサイドフェンス25bは、底板21上に積載されたシート束の幅方向(給紙方向と直行する方向)側面をガイドするものである。さらに、シート給送装置1には、エンドフェンス26が設けられている。このエンドフェンス26は、底板21上に積載されたシート束の後端面をガイドするものである。
【0039】
サイドフェンス25a及びサイドフェンス25bそれぞれには、ダクト17内の空気が排出される排気口18a及び排気口18bが形成されている。これら排気口18a及び排気口18bは、底板21上に積載されるシート束の側面に空気を吹き付けるために形成された開口部である。
【0040】
ここで、記録部材であるシートPとしてコート紙やアート紙など、表面の平滑性や通気性が比較的良く、且つ、吸湿性を発揮し得る用紙を用いると、複数の用紙を重ねた状態でシート給送装置1から給紙路46に供給してしまう重送という現象を引き起こし易くなる。また、この重送の一種として、複数のシートPを連ねた状態で供給してしまう連送という現象も引き起こし易くなる。これは、このようなシートPを用いた場合、高湿の環境下ではシート間の密着力が高まってシートPの分離性が悪くなるからである。
【0041】
特開2007−226078号公報には、定着装置近傍に液冷式冷却装置を備え、冷却液の放熱方法にラジエータ等の放熱器を用い、放出された熱を、ファンにより、シート収容部に流通させてシートの調湿を行い、シートに含まれる水分量の増加に伴う画像不良や用紙ジャム、しわの発生などを防止することができるとされる画像形成装置が提案されている。ところが、シートの調湿だけでは搬送品質確保に十分とは言えず、不送り、重送、ジャム等が発生することがある。
【0042】
そこで、本実施例においては、給紙に先立って底板21上のシート束に対し空気を側方から吹き付けてシート間に空気を介在せしめている。このようにシート間に空気を介在せしめてシート間の密着力を低減することで重送の発生を低減することができる。
【0043】
つまり、本実施例においては、図1に示されるファン14によってダクト17内に生成された気流が、排気口18a及び排気口18bから噴出する。この排気口18a及び排気口18bから噴出した空気が、底板21に積載されたシート束の側面上部側に吹き付けられることにより、シート間に空気が入り込んでシート束の上部のシートPが浮上するなどシート間隔が開けられてシートPが捌かれ、シート間の密着力が低下して分離性が向上し重送の発生を低減させることができる。また、シートPとして普通紙を用いた場合はもちろん、分離性能が良くないとされるコート紙やアート紙等を用いた場合においても分離性が向上する。
【0044】
また、給紙動作を行わないときなどに、上記昇降機構によって給紙コロ2から底板21上に積層されたシート束の最上紙を離間させて給紙コロ2と最上紙との間に空間をあけることで、シート束の捌きに際してのシート間隔をあけることのできる余裕空間が確保され、シート間に空気を介在させ易くなりシート束の捌き効果を高めることができる。
【0045】
なお、排気口18a及び排気口18bは、図4に示すように、できるだけサイドフェンス25a及びサイドフェンス25bの上部且つ給紙方向下流側に形成する、言い換えれば、サイドフェンス25a及びサイドフェンス25bのできるだけ給紙コロ2に近い箇所に形成するのが好ましい。これにより、図5に示すように給紙コロ2によってピックアップされる側のシート束の側面上部側先端部分に排気口18a及び排気口18bから空気を吹き付けることができるので、上記先端部分に対し吹き付けられた空気による高い捌き効果を与えることができる。
【0046】
このように、本実施形態においては、シートPの調湿にとどまらずシート束の捌き効果も得られるので、より重送などが発生するのを抑えることができる。
【0047】
また、本実施形態においては、液冷装置のファン14で取り込んだ気体(外気)で放熱器13を冷却し、その冷却に用いた気体をシート給送装置1へ送り込んでいる。これにより、放熱器13を冷却するためのファンと、シート給送装置1に気体を送り込むファンとを別に設けるものに比べて、ファンの数を削減することができ、装置の騒音を減少させることができるとともに、省エネルギー化を図ることができる。さらに、ファンの数が減ることで、装置のコストダウンや小型化を図ることができる。
【0048】
また、特許第3791581号公報や特開2005−330079号公報などのように専用の加熱装置によって温められた空気をシート給送装置1内に送り込むような構成にすると、消費エネルギーが増大し、また、熱源が増設されることで、二酸化炭素の排出量も増加する事が懸念される。これに対し、本実施例のように、液冷装置の放熱器13による排熱を利用して、温められた空気をシート給送装置1内のシート束に吹き付ける構成とすることで、空気を温めるため専用の加熱装置を増設することによる余剰なエネルギー消費や二酸化炭素の発生量を削減することができる。
【0049】
さらに、特許第3791581号公報や特開2005−330079号公報などのようにシート給送装置1内に積層されたシートに吹き付ける空気を温めるため専用のヒータなどの加熱装置が画像形成装置内に設けられ液冷装置で冷却するのが望ましくない温度上昇箇所が存在する場合よりも、液冷装置によって画像形成装置内の温度上昇が抑えられ、画像形成装置内の温度上昇に伴うトナー凝集などが生じトナー形成画像の品質低下などが発生してしまうのを抑制できる。
【0050】
また、本実施形態では、図6に示すように、画像形成装置の電源を入れてから少なくとも定着装置6の加熱ローラ66の温度が定着可能な温度に昇温するまでの間は、液冷装置のポンプ12を駆動させず液冷装置内で冷却液の循環を行わないでファン14だけを駆動させてシート給送装置1に風を送り込み、定着装置6の加熱ローラ66の温度を上げて加熱ローラ66が十分高温になった後、液冷装置のポンプ12も駆動させて液冷装置内で冷却液を循環させ、放熱器13からの放熱によって温められた空気をシート給送装置1に送り込んでいる。
【0051】
これは、画像形成装置の電源を入れたときに液冷装置のポンプ12も駆動させて液冷装置内で冷却液の循環を行うと液冷装置によって加熱ローラ66が冷却されるので、加熱ローラ66が上記定着可能な温度まで昇温するのに時間がかってしまうからである。
【0052】
そのため、画像形成装置の電源を入れてから加熱ローラ66の温度が定着可能な温度に昇温するまで、液冷装置のポンプ12を駆動させず液冷装置内で冷却液の循環を行わないことで、加熱ローラ66の上記定着可能な温度までの昇温にかかる時間を短くすることができる。
【0053】
[実施形態2]
図7に、本発明を適用した第2の実施形態の画像形成装置を示す。本実施形態に係る画像形成装置の基本的な構成は、実施形態1に係る画像形成装置と略同様であるので、その説明は省略する。
【0054】
一般にシートPは、少なからず水分を含んでおり、定着装置6の内部に熱源としてのヒータが組み込まれた加熱ローラ66と加圧ローラ67とで形成するニップ部でシートP上にトナー像を定着させる際にシートPが加熱されることで、シートPに含まれていた水分が水蒸気となってシートPから放出される。このシートPから放出された水蒸気は、定着装置6直後の排紙経路を形成するガイド板などの温度の低い部材に接触すると結露してしまう。このように結露が生じてシートPに水滴が付着すると、シートPがガイド板に付着してシートPの搬送不良が発生する確率が高くなってしまう。また、シートPに水滴が付着すると、シートPに波打ち、しわ、耳折れ、結露痕が生じる原因となる。波打ち、しわ、耳折れなどが生じたシートPは、両面印刷を行う場合や、片面印刷されたシートPを画像形成装置で再利用した場合などに搬送性能が低下するという不具合があった。さらに、両面印刷を行う場合には、シートPの水滴が付着した箇所に白抜けなどの画像不良が生じ易くなる。また、上記ガイド板として金属製のものを用いた場合、結露によってガイド板表面に錆びなどの汚れが発生する原因となるという不具合もあった。
【0055】
本実施形態の画像形成装置も実施形態1の画像形成装置と同様に図3に示すような液冷装置を有しているが、本実施形態においては放熱器13が定着装置6直後の排紙経路近傍に配置されている。ファン14によって画像形成装置外よりダクト17内に送られた冷たい空気は、放熱器13により熱交換にて温められ、定着装置6よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路内に吹き付けられる。
【0056】
本実施形態においては、温度上昇箇所である定着装置6を液冷装置で冷却した際の放熱器13から放出された熱によって、定着装置6よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路内に吹き付ける空気を温めるので、空気を温めるため専用のヒータなどの加熱装置を画像形成装置内に設ける場合よりも、画像形成装置本体で消費される消費電力を低減でき省エネルギー化を図ることができる。また、上記温度上昇箇所の一つであるヒータなどの加熱装置に対しては、加熱装置によって空気を適切な温度に温めることができなくならないように、液冷装置などによる冷却を行わないことが望ましい。そのため、画像形成装置内の加熱装置以外の上記温度上昇箇所を液冷装置によって冷却したとしても、加熱装置の熱によって画像形成装置内の温度が上昇し、画像形成装置内の温度上昇に伴うトナー凝集などが生じトナー形成画像の品質低下などの問題が生じ得る。よって、本実施形態のように、上記加熱手段を画像形成装置内に設けずに、温度上昇箇所である定着装置6を液冷装置で冷却した際の放熱器13から放出された熱によって、定着装置6よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路内に吹き付ける空気を温めることにより、上記加熱手段の熱による画像形成装置内の温度上昇がなされない分、上記加熱手段を設けた場合よりも、液冷装置によって画像形成装置内の温度上昇が抑えられ、画像形成装置内の温度上昇に伴うトナー凝集などが生じトナー形成画像の品質低下などが発生してしまうのを抑制できる。
【0057】
[実施例2]
本実施例における、画像形成装置本体下方側から見た定着装置及び定着装置よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路近傍の拡大図を図8(a)に示し、画像形成装置本体正面側(図7の紙面手前側)から見た定着装置及び定着装置よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路近傍の拡大図を図8(b)に示す。
【0058】
本実施例においては、図8(b)に示すように液冷装置の放熱器13からの放熱により温められた空気をファン14によって、定着装置6よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路内に配設された、シートPと対向するガイド面でシートPをガイドするガイド板68に吹き付けている。これにより、ガイド板68が温められるので、ガイド板68に水分を多く含んだ空気が接触したとしても、ガイド板68に温風を吹き付けずガイド板68の温度が低い場合よりもガイド板68に結露を生じ難くすることができる。このようにガイド板68に結露が生じ難くなることで、シートPに水滴が付着するのを抑えられ、上述したような、シートPに波打ち、しわ、耳折れ、結露痕などが生じるのを抑制できる。
【0059】
[実施例3]
本実施例における、画像形成装置本体下方側から見た定着装置及び定着装置よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路近傍の拡大図を図9(a)に示し、画像形成装置本体正面側(図7の紙面手前側)から見た定着装置及び定着装置よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路近傍の拡大図を図9(b)に示す。
【0060】
本実施例においては、図9(a)に示すように、ガイド板68にシート搬送方向に長尺なスリット69を形成している。そして、図9(b)に示すように、上記ガイド板68などが設けられている定着装置6と排出ローラ対56との間の空間に、液冷装置の放熱器13からの放熱によって温められた空気をファン14によりスリット69を通過させて送り込んでいる。本実施例のように、定着装置6と排出ローラ対56との間の空間に温風を通すことによって、上記空間内にある水蒸気を多く含む空気や結露を発散、解消させることができる。
【0061】
[変形例]
実施例3においては、ガイド板68に形成されたシート搬送方向に長尺なスリット69を通過させて上記空間に温風を通しているが、それに加えてガイド板68と定着装置6との間の隙間からも上記温風を通すような構成としても良い。このような構成にすることで、より上記空間内の除湿効果を得ることができる。なお、上記隙間にシートPが搬送されているときに上記隙間に上記温風が送り込まれると、その隙間にはシートPをガイドするガイド板が設けられていないので、シートPがばたつき正規の搬送経路から外れて搬送不良が生じる虞がある。そのため、上記隙間にシートPが搬送されているときには、少なくとも上記隙間に上記温風が送り込まれないようにするのが好ましい。
【0062】
[実施例4]
本実施例における、画像形成装置本体下方側から見た定着装置及び定着装置よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路近傍の拡大図を図10(a)に示し、画像形成装置本体正面側(図7の紙面手前側)から見た定着装置及び定着装置よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路近傍の拡大図を図10(b)に示す。
【0063】
本実施例においても、図10(a)に示すように、ガイド板68にシート搬送方向に長尺なスリット69を形成している。そして、本実施例においては、図10(b)に示すように、液冷装置の放熱器13からの放熱によって温められた空気をファン14によりスリット69を通して、ガイド板68のガイド面上を通過している定着後のシートPに吹き付けている。このように、温められた空気をシートPに吹き付けることで、ガイド板68に結露が生じてシートPに水滴が付着したとしても、その水滴が温風によって除去されるので、シートPに水滴が付着したままの状態に比べて、シートPに波打ち、しわ、耳折れ、結露痕などが生じるのを抑制できる。
【0064】
本実施例においては、図10(a)に示すように、ガイド板68のガイド面にシート搬送方向に長尺なスリット69を形成し、このスリット69を通して温風をシート面に対して垂直に吹き付けて、シート全体に温風が吹き付けられるように構成しているが、定着後のシートPに空気を吹き付ける構成としては、前述の構成に限定されるものではなく、シート全体に空気が吹き付けられるような構成であれば良い。
【0065】
また、本実施例のように、液冷装置の放熱器13による排熱を利用して、温められた空気をシート給送装置1内のシート束に吹き付けることができるので、空気を温める加熱装置を増設することによる余剰なエネルギー消費や二酸化炭素を削減し、重送や不給紙を抑えた信頼性の高い画像形成装置を提供することができる。
【0066】
また、放熱器13を冷やすための気体を取込むための吸気口を備え、取り込んだ気体を放熱器13へ流すとともに、放熱器13によって加熱された気体を外気へ排気するための図示しないダクトと、定着装置6直後に気体を送り込むための吸気口を備え、取り込んだ気体を定着装置6直後へ流すとともに、定着直後の気体を画像形成装置外へ排気するための図示しないダクトとを共有化することができる。これにより、部品点数を削減することができ、装置の大型化、装置のコストアップを避けることができる。
【0067】
なお、本実施形態では、被冷却体として定着装置6を例に挙げているが、温度上昇による、装置やアウトプットの不具合が懸念される箇所であれば、被冷却体としては、この限りではない。例えば、現像装置を被冷却体とした冷却装置を採用する画像形成装置にも適用可能であり、現像装置自体の温度上昇、定着装置からの熱影響、及びその周辺の温度上昇を防止することができる。これにより、現像装置の温度上昇に伴う、白スジ等の異常画像発生を防止することができる。また、特開2006−91095号公報に開示されているように被冷却体が定着装置によって加熱された定着後のシートPであってもよい。
【0068】
以上、実施形態1によれば、装置内の温度上昇箇所に熱的に接するように設置された受熱手段である吸熱体11と、冷却液の熱を放出させる放熱手段である放熱器13と、冷却液を吸熱体11と放熱器13との間で循環させるための循環パイプである管状送液部16と、管状送液部16内の冷却液を搬送するための搬送手段であるポンプ15と、放熱器13を冷却するための気流を発生させる気流発生手段であるファン14とを有する液冷手段である液冷装置と、シートP上にトナー像を形成する画像形成手段であるタンデム型画像形成部20と、を備えた画像形成装置において、ファン14が発生させた気流によって、放熱器13から放出された熱で温められた空気をシートPに直接吹き付ける。このように、温まった空気をシートPに直接吹き付けることで少なくとも上述したような有用な効果を得ることができる。また、上記温度上昇箇所を液冷装置で冷却した際の放熱器13から放出された熱によってシートPに吹き付ける空気を温めるので、空気を温めるため専用の加熱手段を設ける場合よりも画像形成装置全体で消費される消費電力を低減でき省エネルギー化を図ることができる。
また、実施形態1によれば、シートPを積層状態で保持するシート保持部である底板21と、底板21に積層された最上位のシートPが押し当てられてシートPに給送力を与える給紙ローラである給紙コロ2とを備えたシート給送手段であるシート給送装置1を有しており、上記温められた空気を、シート給送装置1内の給送方向に対して左右に位置する側方から底板21上に積層されたシートPに吹き付ける。これにより、シート給送装置1内の底板21上に積層されたシートPのシート間に空気が入り込んでシート間隔が開けられてシートPが捌かれ、シート間の密着力が低下して分離性が向上し重送の発生を低減させることができる。また、温風をシートPに吹き付けることでシートPの調湿が行われ、シートPに含まれる水分量の増加に伴う画像不良や用紙ジャム、しわの発生などを抑制することができる。
また、実施形態1によれば、上記温められた空気を、上記側方から上記積層されたシートPの給送方向先端側に吹き付けるのが望ましい。
また、実施形態1によれば、上記温められた空気を、上記側方から上記積層されたシートPの束の側面上部側に空気を吹き付けるのが望ましい。
また、実施形態1によれば、タンデム型画像形成部20よりもシート搬送方向下流側に設けられ、タンデム型画像形成部20によってトナー像が形成されたシートP上に、少なくとも熱でトナー像を定着させる定着手段である定着装置6を有しており、画像形成装置本体の電源を入れて少なくとも定着装置6を所定の温度である定着可能温度まで昇温させている間は、液冷装置のポンプ15は駆動させずにファン14は駆動させ、定着装置6が定着可能温度に達した後に、ポンプ15を駆動させる。これにより、シート給送装置1内の底板21上に積層されたシートPを捌きつつ、加熱ローラ66の定着可能な温度までの昇温にかかる時間を短くすることができる。
また、実施形態2によれば、タンデム型画像形成部20よりもシート搬送方向下流側に設けられ、タンデム型画像形成部20によってトナー像が形成されたシートP上に、少なくとも熱でトナー像を定着させる定着手段である定着装置6を有しており、ファン14が発生させた気流によって、放熱器13から放出された熱で温められた空気を定着後のシートPに吹き付ける。これにより、上述したように結露が生じてシートPに水滴が付着したとしても、その水滴が温風によって除去されるので、シートPに水滴が付着したままの状態に比べて、シートPに波打ち、しわ、耳折れ、結露痕などが生じるのを抑制できる。
また、実施形態2によれば、装置内の温度上昇箇所に熱的に接するように設置された受熱手段である吸熱体11と、冷却液の熱を放出させる放熱手段である放熱器13と、冷却液を吸熱体11と放熱器13との間で循環させるための循環パイプである管状送液部16と、管状送液部16内の冷却液を搬送するための搬送手段であるポンプ15と、放熱器13を冷却するための気流を発生させる気流発生手段であるファン14とを有する液冷装置と、シートP上にトナー像を形成する画像形成手段であるタンデム画像形成部20と、タンデム画像形成部20よりもシート搬送方向下流側に設けられ、タンデム画像形成部20によってトナー像が形成されたシートP上に、少なくとも熱でトナー像を定着させる定着手段である定着装置6と、を備えた画像形成装置において、ファン14が発生させた気流によって、放熱器13から放出された熱で温められた空気を定着装置6よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路内に吹き付ける。これにより、上記シート搬送経路内の水蒸気を多く含む空気や結露などを発散させることができるので、上記シート搬送経路内でシートPに水滴が付くことで発生し得るシートPの搬送不良を抑制することができる。また、上記温度上昇箇所を液冷装置で冷却した際の放熱器13から放出された熱によって上記シート搬送経路内に吹き付ける空気を温めるので、空気を温めるため専用の加熱手段を設ける場合よりも、画像形成装置本体で消費される消費電力を低減でき省エネルギー化を図ることができる。
また、実施形態2によれば、上記シート搬送方向下流側のシート搬送経路内には、シートPの搬送をガイドするガイド部材であるガイド板68が設けられており、上記温められた空気を少なくともガイド板68に吹き付ける。これにより、ガイド板68が温められるので、ガイド板68に水分を多く含んだ空気が接触したとしても、ガイド板68に温風を吹き付けずガイド板68の温度が低い場合よりもガイド板68に結露を生じ難くすることができる。このようにガイド板68に結露が生じ難くなることで、シートPに水滴が付着するのを抑えられ、上述したような、シートPに波打ち、しわ、耳折れ、結露痕などが生じるのを抑制できる。
また、実施形態2によれば、ガイド板68のシートPをガイドするガイド面を形成する側壁に、上記温められた空気が通過可能な1つ以上の開口であるスリット69が形成されている。上記温められた空気をガイド板68に形成したスリット69を通して、定着装置6よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路内、言い換えれば、定着装置6と排出ローラ対56との間、の空間に吹き付けることで、上記空間内にある水蒸気を多く含む空気や結露を発散、解消させることができる。これにより、シートPに水滴が付着するのを抑えられ、上述したような、シートPに波打ち、しわ、耳折れ、結露痕などが生じるのを抑制できる。
また、実施形態2によれば、上記シート搬送経路内で搬送されているシートPに上記温められた空気を吹き付ける。これにより、上述したように結露が生じてシートPに水滴が付着したとしても、その水滴が温風によって除去されるので、シートPに水滴が付着したままの状態に比べて、シートPに波打ち、しわ、耳折れ、結露痕などが生じるのを抑制できる。
【符号の説明】
【0069】
1 シート給送装置
2 給紙コロ
6 定着装置
8 分岐爪
9 排紙経路
10 中間転写ベルト
11 吸熱体
12 ポンプ
13 放熱器
14 ファン
15 タンク
16 管状送液部
17 ダクト
18a 排気口
18b 排気口
19 2次転写装置
20 タンデム型画像形成部
21 底板
22 給紙ユニット
23 2次転写ローラ
24 分離コロ
25a サイドフェンス
25b サイドフェンス
26 エンドフェンス
28 反転装置
30 原稿台
31 露光装置
34 支持ローラ
35 支持ローラ
36 支持ローラ(2次転写バックアップローラ)
37 クリーニング装置
38 画像形成ユニット
40 感光体
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ
48 給紙路
49 レジストローラ
55 切換爪
56 排出ローラ対
57 排紙トレイ
59 セパレートローラ
61 現像装置
62 一次転写装置
66 加熱ローラ
67 加圧ローラ
68 ガイド板
69 スリット
70 両面経路
100 複写機本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
301 コンタクトガラス
303 第一走行体
304 第二走行体
305 結像レンズ
306 読取りセンサ
400 原稿自動搬送装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特許第3791581号公報
【特許文献2】特開平11−174795号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内の温度上昇箇所に熱的に接するように設置された受熱手段と、
冷却液の熱を放出させる放熱手段と、
該冷却液を該受熱手段と該放熱手段との間で循環させるための循環パイプと、
該循環パイプ内の冷却液を搬送するための搬送手段と、
該放熱手段を冷却するための気流を発生させる気流発生手段とを有する液冷手段と、
シート上にトナー像を形成する画像形成手段と、を備えた画像形成装置において、
前記気流発生手段が発生させた気流によって、前記放熱手段から放出された熱で温められた空気を前記シートに直接吹き付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
シートを積層状態で保持するシート保持部と、前記シート保持部に積層された最上位のシートが押し当てられてシートに給送力を与える給送ローラとを備えたシート給送手段を有しており、
上記温められた空気を、シート給送手段内の給送方向に対して左右に位置する側方から前記シート保持部に積層されたシートに吹き付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記温められた空気を、上記側方から上記積層されたシートの給送方向先端側に吹き付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または3の画像形成装置において、
上記温められた空気を、上記側方から上記積層されたシートの束の側面上部側に空気を送り込むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の画像形成装置において、
上記画像形成手段よりもシート搬送方向下流側に設けられ、該画像形成手段によってトナー像が形成されたシート上に、少なくとも熱でトナー像を定着させる定着手段を有しており、
画像形成装置本体の電源を入れて少なくとも上記定着手段を所定の温度まで昇温させている間は、上記液冷手段の上記搬送手段は駆動させずに上記気流発生手段は駆動させ、該定着手段が該所定の温度に達した後に、該搬送手段を駆動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1の画像形成装置において、
上記画像形成手段よりもシート搬送方向下流側に設けられ、該画像形成手段によってトナー像が形成されたシート上に、少なくとも熱でトナー像を定着させる定着手段を有しており、
前記気流発生手段が発生させた気流によって、前記放熱手段から放出された熱で温められた空気を定着後の前記シートに吹き付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
装置内の温度上昇箇所に熱的に接するように設置された受熱手段と、
冷却液の熱を放出させる放熱手段と、
該冷却液を該受熱手段と該放熱手段との間で循環させるための循環パイプと、
該循環パイプ内の冷却液を搬送するための搬送手段と、
該放熱手段を冷却するための気流を発生させる気流発生手段とを有する液冷手段と、
シート上にトナー像を形成する画像形成手段と、
該画像形成手段よりもシート搬送方向下流側に設けられ、該画像形成手段によってトナー像が形成されたシート上に、少なくとも熱でトナー像を定着させる定着手段と、を備えた画像形成装置において、
前記気流発生手段が発生させた気流によって、前記放熱手段から放出された熱で温められた空気を定着手段よりもシート搬送方向下流側のシート搬送経路内に吹き付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
上記シート搬送方向下流側のシート搬送経路内には、シートの搬送をガイドするガイド部材が設けられており、
上記温められた空気を少なくとも該ガイド部材に吹き付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
上記ガイド部材の上記シートをガイドするガイド面に、上記温められた空気が通過可能な1つ以上の開口が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項7、8または9の画像形成装置において、
上記シート搬送経路内で搬送されている上記シートに上記温められた空気を吹き付けることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−197561(P2010−197561A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40488(P2009−40488)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】