説明

画像形成装置

【課題】回転型の現像装置を備える画像形成装置において、回転型現像装置の回転体を駆動する時に発生する動作音を低減することと、トナー補給容器を交換するための交換口の小形化とを同時に実現する。
【解決手段】トナー補給容器40を交換する交換口5を、いずれかの現像器32が現像位置38で停止したときに、この現像器32と隣接し、該現像器と異なる現像器にトナーを補給するトナー補給容器40を交換することができる位置に設ける。また、トナー補給容器40のそれぞれが備える記憶媒体42から情報を読み取る情報読取装置46も、現像器のいずれかが現像位置にある時に記憶媒体から情報を読み取るものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
像保持体上の静電潜像にトナーを転移して可視像を形成する画像形成装置には、複数の異なる色のトナーを収容した現像器が順次に像保持体と対向する位置に移動し、各色のトナー像を一つの像保持体上に形成するものがある。そして、上記現像器は、軸線回りに回転可能となった回転体に支持され、回転体の回転によりそれぞれが像保持体と対向するものが広く知られている。
【0003】
このような回転型の現像装置を備えた画像形成装置として、例えば特許文献1に記載されているように、トナー補充容器を回転体に搭載したものがある。このトナー補充容器は、画像の形成にともなって消費される現像器内のトナーを補充するものであり、トナー補充容器内に収容するトナーのほぼ全量が現像器に補給されると、画像形成装置から取り出され、新しいトナー補充容器と交換されるようになっている。
【0004】
また、トナー補給容器には、当該トナー補充容器に関する情報、例えばトナーの色、トナーの種類、トナー容器の使用履歴、製造会社等が記憶された記憶媒体を備えるものがある。この記憶媒体は、画像形成装置に装着された状態で記憶媒体に記憶されている情報の読み取り、又は新たな情報の書き込みが行われるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−212791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、本構成を有さない装置と比較して、回転型現像装置の回転体を駆動する時に発生する動作音を低減することと、トナー補給容器を交換するための交換口の小形化とを同時に実現する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 帯電電位の差による静電潜像が形成される像保持体と、 前記像保持体上に形成された静電潜像にトナーを転移して可視像を形成する現像ユニットと、 前記可視像を、記録シート上へ転写する転写装置と、 前記像保持体及び前記現像ユニットを支持する支持構造体と、を有し、 前記現像ユニットは、 前記支持構造体に支持軸の両端が支持され、前記支持軸の軸線回りに回転が可能となった回転体と、 該回転体に周方向に配列して支持され、前記像保持体の静電潜像を現像する現像剤を保持する現像剤保持体を備えた複数の現像器と、 前記現像器のそれぞれについて、トナーを補給するように設けられ、前記回転体に対して着脱が可能となったトナー補給容器と、を備え、前記回転体の周方向に複数の前記現像器と前記トナー補給容器とが交互に配列され、複数の前記トナー補給容器の少なくとも一つは、他のトナー補給容器より前記回転体の回転方向の大きさが大きくなっており、 前記支持構造体は、前記トナー補給容器を前記回転体の軸線方向に差し入れ又は引き出して交換を可能とする交換口を備えており、 前記交換口は、前記現像剤保持体の一つが前記像保持体と対向して現像を行う位置に停止したときに、該現像剤保持体を備えた前記現像器と隣接し、該現像器と異なる現像器にトナーを補給するトナー補給容器の交換が可能な位置に設けられていることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、 前記トナー補給容器のそれぞれは、該トナー補給容器の固有の情報を記録した記憶媒体を備え、 前記支持構造体又は該支持構造体に支持された部材には、前記記憶媒体と対向し、非接触で該記憶媒体に記憶された情報を読み取る情報読取装置が備えられ、 該情報読取装置は、前記現像器のいずれかが前記像保持体と対向する現像位置にある時に前記記憶媒体から情報を読み取るものとする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、 前記支持構造体に設けられた前記交換口には、開閉扉が設けられており、 前記開閉扉に前記情報読取装置が取り付けられ、 該情報読取装置は、交換可能な位置にある前記トナー補給容器が有する記憶媒体から情報を読み取るものとする。
【0010】
請求項4に係る発明は、 帯電電位の差による静電潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体上に形成された静電潜像にトナーを転移して可視像を形成する現像ユニットと、 前記可視像を、記録シート上へ転写する転写装置と、 前記像保持体及び前記現像ユニットを支持する支持構造体と、を有し、 前記現像ユニットは、 前記支持構造体に支持軸の両端が支持され、前記支持軸の軸線回りに回転が可能となった回転体と、 該回転体に周方向に配列して支持され、前記像保持体の静電潜像を現像する現像剤を保持する現像剤保持体を備えた複数の現像器と、 前記現像器のそれぞれについて、トナーを補給するように設けられ、前記回転体に対して着脱が可能となったトナー補給容器と、を備え、前記回転体の周方向に複数の前記現像器と前記トナー補給容器とが交互に配列され、複数の前記トナー補給容器の少なくとも一つは、他のトナー補給容器より前記回転体の回転方向の大きさが大きくなっており、 前記支持構造体は、前記トナー補給容器を前記回転体の軸線方向に差し入れ又は引き出して交換を可能とする交換口を備えており、 前記交換口は、前記現像剤保持体の一つが前記像保持体と対向して現像を行う位置に停止したときに、該現像器にトナーを補給する前記トナー補給容器と隣接する他の現像器にトナーを補給するトナー補給容器の交換が可能な位置に設けられていることを
特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る画像形成装置では、本構成を備えていない装置と比較して、回転型現像装置の回転体駆動時に発生する動作音を低減することと、トナー補給容器を交換するための交換口の小形化とを同時に実現することが可能となる。
【0012】
請求項2に係る画像形成装置では、現像器が現像位置にないときにトナー補給容器に設けられた記憶媒体から情報を読み込む装置に比較して、情報を読み取るための動作時における動作音を低減することができる。
【0013】
請求項3に係る画像形成装置では、トナー補給容器に備えられた記憶媒体に記憶された情報をトナー補給容器の交換後に回転体を駆動することなく読み取ることが可能となる。
【0014】
請求項4に係る画像形成装置では、本構成を備えていない装置と比較して、回転型現像装置の回転体駆動時に発生する動作音を低減することと、トナー補給容器を交換するための交換口の小形化とを同時に実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本願に係る発明の一実施形態である画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す画像形成装置に備えられた現像ユニットと該現像ユニットが有するトナー補給容器の交換口の位置を示す概略構成図である。
【図3】図1に示す画像形成装置に備えられた現像ユニット及び感光体ドラムを示す概略平断面図である。
【図4】図2に示す現像ユニットに装着されるトナー補給容器の概略斜視図である。
【図5】図2に示す現像ユニットに装着されるトナー補給容器の概略斜視図である。
【図6】図1に示す画像形成装置の前面パネルが開放された状態を示す概略斜視図である。
【図7】トナー補給容器とその交換口とを示す概略平断面図である。
【図8】図1に示す画像形成装置に備えられた現像ユニットとトナー補給容器の交換口の位置とを示す概略構成図である。
【図9】本願に係る発明の他の実施形態である画像形成装置に備えられた現像ユニットとトナー補給容器の交換口の位置とを示す概略構成図である。
【図10】図9に示す現像ユニットとトナー補給容器の交換口の位置とを示す概略構成図である。
【図11】図9に示す現像ユニットとトナー補給容器の交換口の位置とを示す概略構成図である。
【図12】図9に示す現像ユニットとトナー補給容器の交換口の位置とを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願に係る発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本願に係る発明の一実施形態である画像形成装置の概略構成図である。
この画像形成装置1は、帯電電位の差による静電潜像が形成される像保持体の一例として導電性材料からなる円筒状部材の外周面に光導電性層が形成された感光体ドラム10を備えており、この感光体ドラム10の周囲に、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる帯電装置11と、帯電された感光体ドラム10に像光を照射して表面に潜像を形成する露光装置12と、感光体ドラム10上の潜像にトナーを転移させてトナー像を形成する回転型の現像ユニット30と、感光体ドラム10と対向し、周面が周回可能に支持される無端ベルト状の中間転写体14と、転写装置の一例として中間転写体上に転写したトナー像を記録シート上へ転写する転写ロール21と、トナー像が転写された後の感光体ドラム10に残留するトナーを除去するクリーニング装置15とを備えている。
本実施例では、転写装置の一例として、中間転写体14を介して記録シートに転写する態様を採用しているが、感光体ドラム10から記憶シートに直接転写する態様を採用することもできる。
【0017】
上記中間転写体14は、二つの支持ロール16a,16bと二次転写を行うための転写対向ロール20とによって周回可能に張架されており、上記中間転写体14の内側の感光体ドラム10と対向する位置には、感光体ドラム上に形成されたトナー像を中間転写体14に一次転写する転写帯電器17が設けられている。転写対向ロール20と中間転写体14を介して対向する位置には、中間転写体14上のトナー像を記録用紙に二次転写する転写ロール21が配設されており、該転写対向ロール20と転写ロール21との圧接部に、用紙トレイ25から搬送路26を経て記録用紙が送り込まれるようになっている。
なお、中間転写体14の周回移動方向における二次転写位置の下流には、中間転写体上に残留するトナーを除去するクリーニング装置24が設けられている。
【0018】
記録用紙の搬送方向における二次転写位置の下流側には、記録用紙上の未定着トナー像を加熱して記録用紙に圧着する定着装置22と、記録用紙を排紙トレイ28へ円滑に排出する排出ロール23とが設けられている。上記定着装置22から排紙トレイ28までの搬送経路には分岐が設けられ、記録用紙の表裏を反転して転写ロール21が設けられた位置の上流側へ再送する両面搬送路27が備えられている。
また、この画像形成装置1の上部には原稿画像を読み取る画像情報読取装置2と、側方には手差しトレイ29とが設けられている。
【0019】
上記現像ユニット30は、図2に示すように、回転可能に駆動される回転ホルダ31と,シアン,マゼンタ,イエロー及びブラックの各トナーを収容する4台の現像器32C,32M,32Y,32Kと、これらの現像器32のそれぞれが消費したトナーを補充するためのトナーが収容された4つのトナー補給容器40C,40M,40Y,40Kと、を有するものであり、回転ホルダ31が回転駆動されることにより、各現像器32C,32M,32Y,32Kを感光体ドラム10との対向領域、つまり現像位置38に選択的に配置するものとなっている。
本実施の形態では、回転ホルダ31及び感光体ドラム10は図2中に矢印で示す方向にそれぞれ回転するものであり、この回転方向にシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナーを収容した現像器32C,32M,32Y,32Kが順に配列されている。
【0020】
各現像器32C,32M,32Y,32Kは、トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を収容するハウジング33と、現像剤保持体の一例として感光体ドラム10と近接対向するように配置された現像ロール35と、ハウジング内で二成分現像剤を撹拌するとともに軸線方向に搬送する搬送部材(図示しない)とを備えている。
上記ハウジング33は、感光体ドラム10に対向する位置が開口しており、この部分に現像ロール35が感光体ドラム10と近接・対向するように配設されている。二成分現像剤はハウジング33内で搬送部材によって搬送され、現像ロール35の周面上に供給されるようになっている。
【0021】
現像ロール35の支持軸36の両端部には、図3に示すように、トラッキングロール37が支持されている。一方、このトラッキングロール37と対向する位置には、感光体ドラム10の径とほぼ同じ大きさのロール状に形成された対向部材10bが感光体ドラム10の支持部材10aに支持されており、感光体ドラム10の回転とともに周回移動するようになっている。
トラッキングロール37は現像ロール35よりも外径が大きく形成され、現像ロール35が感光体ドラム10と対向する位置、つまり現像位置38に支持されたときにトラッキングロール37と対向部材10bとが接触し、トラッキングロール37は対向部材10bの回転に従動して回転する。これにより、現像位置38にある現像ロール35は、感光体ドラム10と一定の間隙を維持して対向することとなる。この間隔は、感光体ドラム上の静電潜像に安定してトナーを転移させ、良好な現像が可能となるように予め定められており、この値に基づいてトラッキングロール37の径が定められている。
【0022】
上記トナー補給容器40C,40M,40Y,40Kは、回転ホルダ31の周方向に現像器32C,32M,32Y,32Kと交互に配列され、現像によってトナーが消費されるのにともない、対応する現像器32C,32M,32Y,32Kにトナーを補給するものである。これにより、二成分現像剤中のトナー濃度がほぼ一定となるように制御される。そして、トナー補給容器40に収容されたトナーのほぼ全量が現像器に補給されると回転ホルダ31から該回転ホルダ31の軸線方向に引き抜かれ新しいトナー補給容器と交換されるようになっている。
【0023】
ブラックのトナーを収容するトナー補給容器40Kは、他のトナー補給容器40C,40M,40Yよりも周方向に大きく形成され、ブラック以外の他のトナーを収容する3個のトナー補給容器40C,40M,40Yはほぼ同じ大きさに形成されている。
本実施の形態では、現像ユニット30の回転方向にブラックの現像器32K、ブラックのトナー補給容器40K、シアンの現像器32C、シアンのトナー補給容器40C、マゼンタの現像器32M、マゼンタのトナー補給容器40M、イエローの現像器32Y、およびイエローのトナー補給容器40Yの順で配列されている。
ブラックのトナー補給容器40Kの大きさが他のトナー補給容器40C,40M,40Yと異なることから、現像器32及びトナー補給容器40は回転ホルダ31の回転中心に関して非対称に配列されることになる。
【0024】
各トナー補給容器40は、図4及び図5に示すように、回転ホルダ31の外周部に沿った部分40cが曲面となり、断面がほぼ扇形に形成されており、内部にはトナーを撹拌する撹拌翼(図示しない)が設けられている。
【0025】
トナー補給容器40の回転ホルダ31へ装着する方向の先端40aは、撹拌翼と連動する駆動伝達部となっており、回転ホルダ31に設けられた駆動部(図示しない)に連結されて回転駆動力が伝達されるものとなっている。したがって、トナー補給容器40を回転ホルダ31に装着した状態で撹拌翼が回転駆動される。
【0026】
各トナー補給容器40C,40M,40Y,40Kの装着方向の後端には、後方側に突き出した支持部材43によりICチップ保持部42が支持され、このICチップ保持部42に記憶媒体であるICチップ(図示しない)が備えられている。ICチップには、トナーの色、トナーの種類、トナー補給容器の使用履歴、トナーの使用量、製造会社等の当該トナー補給容器固有の情報が記憶されており、これらの情報はICチップと非接触に配置された情報読取装置と交信可能となっている。
ICチップ保持部42とトナー補給容器40の後端40bとの間は空間となっており、操作者はこの空間に手を差し入れてICチップ保持部42を把持し、トナー補給容器40を引き出すことができるようになっている。つまり、ICチップ保持部42はトナー補給容器40を抜き出すときの取っ手としても機能するものである。
【0027】
上記現像ユニット30及び感光体ドラム10は、図3に示すように支持構造体4に支持されており、支持構造体4の前方側つまり操作者が操作を行う側には、図6及び図7に示すようにトナー補給容器40の交換口5が設けられている。そして、この交換口5には開閉扉6が取り付けられ、開閉扉6を開けるとトナー補給容器40の一つにアクセスできるようになっており、交換口5からこのトナー補給容器40の着脱が可能となっている。
なお、支持構造体4の外側には、図6に示すように支持構造体4及び交換口5を覆うように前面パネル3が設けられ、開閉が可能となっている。
【0028】
上記交換口5は、一つの現像器32が感光体ドラム10と対向する位置つまり現像位置38にあるときに、当該現像器32に隣接して配置されているトナー補給容器40であって、他の現像器にトナーを補給するトナー補給容器を交換できる位置に設けられている。
例えば、図2に示すように、イエロートナーを収容した現像器32Yが現像位置38にあるときに、この現像器32Yと隣接したトナー補給容器はイエロートナー補給容器40Y及びマゼンタトナー補給容器40Mであって、他の現像器、つまりマゼンタの現像器32Mにトナーを補給するマゼンタトナー補給容器40Mを着脱できる位置に交換口5が設けられている。現像位置38にある現像器にトナーを補給するトナー補給容器つまり図2に示す状態でイエロートナー補給容器40Yを交換すると、トナー補給路の切り離し及び接合が行われ、イエロー用の現像器32Yに振動及び変位が生じる。このような振動又は変位によって現像器32Yが感光体ドラム10と接触し、感光体層を傷つけるおそれがある。したがって現像位置にある現像器にトナーを補給するトナー補給容器を避け、これ以外のトナー補給容器を交換することによって感光体ドラム10が損傷するリスクを低減することができる。
【0029】
一方、イエロートナー補給容器40Yを交換するときには、ブラックトナーを収容した現像器32Kを感光体ドラム10と対向させた状態で交換することができる。この状態でイエロートナー補給容器40Yは交換口5が設けられた位置に停止し、交換口5から回転ホルダ31の軸線方向に引き出して交換することができる。また、シアントナー補給容器40Cを交換するときは、マゼンタトナーを収容した現像器32Mが現像位置に停止しているときに交換することができる。
【0030】
ブラックトナーを収容するトナー補給容器40Kは他のトナー補給容器40C,40M,40Yより断面が大きくなっており、回転ホルダ31上で周方向に占める領域が大きくなっている。しかし、このブラックトナー補給容器40Kを交換するときにも図8に示すように隣接する現像器つまりシアントナーを収容する現像器32Cが現像位置にあるときに交換することができる。交換口5は、ブラックトナー補給容器40Kの寸法が大きくなっていることに鑑みて、このブラックトナー補給容器40Kを着脱することができる大きさに設定されている。ただし、ブラックトナー補給容器40Kが停止する位置は他のトナー補給容器40C,40M,40Yが交換のために停止する位置と重複しており、交換口5は、ブラックトナー補給容器40Kの断面形状よりやや大きく設定すれば全てのトナー補給容器が交換可能となり、交換口5が大きくなることによる支持構造体4の強度低下が低減されている。
【0031】
図7は、交換口5と対応する位置に停止したトナー補給容器40、及び交換口5に設けられた開閉扉6を示す概略平断面図である。
この図に示すように、上記開閉扉6は支持構造体4に支持軸4aを介して支持されており、この支持軸回りに外側へ回転して交換口5を閉鎖した状態から該交換口を開放するものとなっている。
この開閉扉6の裏面には、トナー補給容器に設けられたICチップの情報を読み取る情報読取装置46が取り付けられており、この開閉扉6が交換口5を閉鎖した状態で前記情報読取装置46がトナー補給容器40のICチップ保持部42と対向するものとなっている。そして、ICチップ保持部42とは非接触でICチップに保存された情報を読み取り及び書き込みができるようになっている。
【0032】
情報読取装置46は、ICチップ保持部42のほぼ全領域と対向することが望ましく、
図2及び図8に示すように大きさの異なるブラックトナー補給容器40K及びその他のトナー補給容器40C,40M,40Yが交換口5と対応する位置に停止したときのいずれにおいてもICチップ保持部42C,42M,42Y,42Kと対向して情報の読み取り及び書き込みが可能となっている。
なお、ICチップ(図示せず)、情報読取装置46は公知のものを用いることができる。
【0033】
次に、トナー補給容器40の交換口5の位置と動作音との関係、ICチップからの情報読み取り位置と動作音との関係及び交換口の位置と交換口の大きさとの関係について説明する。
トナー補給容器40を交換するときには、トナー補給容器40を交換口5と対向する位置つまり交換位置に到達するまで回転ホルダ31を回転させる。交換位置に到達するまでの回転途中に現像位置38を通過する現像器32があると現像ロール35の支持軸36に備えられたトラッキングロール37が感光体ドラム10の支持軸10aに備えられた対向部材10bに通過時の速度で衝突し衝突音が発生する。
【0034】
本実施の形態では、いずれかの現像器32が現像位置38にあるときにトナー補給容器40が交換可能となっているため、トナー補給容器40の交換位置で回転ホルダ31が停止すると現像器32は感光体ドラム10と対向する位置で停止する。このとき、トラッキングロール37は対向部材10bと接触する瞬間に停止し、衝突音の発生が抑止される。そして、現像器32が感光体ドラム10と対向する位置で停止してトナー補給容器40が交換されると、現像器が現像位置にない状態でトナー補給容器を交換する装置に比べて、現像器32が現像位置を通過する回数が低減される。したがって、トラッキングロール37と対向部材10bとの衝突による衝撃音が発生する回数が低減されることとなる。
【0035】
一方、トナー補給容器40が備えている情報を情報読取装置46が読み取るときには、現像器32が感光体ドラム10と対向する現像位置にない装置では、情報の読み取り位置まで回転ホルダ31を回転するときの衝突音が、上記トナー補給容器40の交換位置の場合と同様に、現像器32が現像位置にあるときに情報を読み取る装置よりも増加する。
また、トナー補給容器40が有している情報を読み取る位置がトナー補給容器40の交換位置と異なっている装置では、交換された新しいトナー補給容器40の情報を読み取るために回転ホルダ31を駆動して新しいトナー補給容器40を情報読取装置46と対向する位置まで移動させなければならない。この回転途中に現像位置を通過する現像器があると、トラッキングロール37が対向部材10bに衝突し衝突音が増加する。
【0036】
本実施の形態では、上記のように交換されたトナー補給容器40のICチップに記憶された情報は交換口5に設けられた開閉扉6に支持された情報読取装置46によって読み取られる。つまり、情報の読み取り位置では現像器32の一つが現像位置にあり、さらに読み取り位置と交換位置とが同じ位置となっている。これにより、情報の読み取りのために回転ホルダ31を駆動したときの衝突音及びトナー補給容器を交換したときの衝撃音を低減することができる。
【0037】
また、画像形成装置1の起動時等に、すべてのトナー補給容器40C,40M,40Y,40Kの固有の情報を順次読み込むように設定されている場合には、回転ホルダ31は1つのトナー補給容器40が読み込み位置に到達するまで回転し、停止して情報を読み込むという動作を、それぞれのトナー補給容器40について4回繰り返す。このとき、回転ホルダ31の停止位置で現像器32が現像位置38に無いと、回転ホルダ31が駆動されているときに現像器32が現像位置38を少なくとも4回通過し、現像器32に備えられたトラッキングロール37は対向部材10bに4回衝突することになる。したがって、トラッキングロール37と対向部材10bとの衝突音が少なくとも4回発生する。
【0038】
これに対して本実施の形態では、トナー補給容器40が有する情報の読み込み位置はトナー補給容器40の交換位置であり、トナー補給容器40が交換位置にあるときには、いずれかの現像器32が現像位置38にある。したがって、全てのトナー補給容器40の情報を読み込むために回転ホルダ31が回転しても、読み込み位置では一旦回転を停止して情報を読み込むため、トラッキングロール37が対向部材10bと接触する瞬間にトラッキングロール37の移動が停止され、衝突音はほとんど発生しない。これにより、画像形成装置の起動時の衝撃音を大きく低減することができる。
【0039】
上記のように、いずれかの現像器32が現像位置38にあるときにトナー補給容器40を交換できるように交換位置を設定しようとすると、回転ホルダ31に装着されるトナー補給容器40の大きさが異なることによって、トナー補給容器によって停止する位置つまり交換位置がずれることがある。位置がずれるトナー補給容器40の全てについて交換が可能となるように交換口5を設けると、大きな開口が必要となり、支持構造体4の強度が低下するおそれが生じる。
【0040】
これに対し、本実施の形態では、トナー補給容器40を交換位置に停止したときにいずれかの現像器32が現像位置にあることを前提として交換口5をできるだけ小さく形成するために、現像位置38にある現像器32に隣接して配置されたトナー補給容器40を交換するように交換口5を設けている。つまり、現像位置38を基準としてこれに最も近い位置に配置されているトナー補給容器40は、現像位置にある現像器がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを収容するいずれとなっても位置のずれは小さく、トナー補給容器の大きさに対応する交換口を設けることによって全てのトナー補給容器40を交換することができる。したがって、交換口5を小さく形成することが可能となる。
ただし、現像位置38にある現像器32にトナーを補充するトナー補給容器40を現像ユニット30から引き抜いたり差し入れたりすると、この衝撃によって感光体ドラム10に損傷を与えるおそれがある。このため、現像位置38にある現像器32と隣接するトナー補給容器40であって、当該現像器32にトナーを補給するものでないトナー補給容器40と対応する位置に交換口5を設けるのがよい。
【0041】
したがって、図2に示すように、イエロートナーを収容した現像器32Yが現像位置38にあるときには、このイエロー現像器32Yと隣接したトナー補給容器はイエロートナー補給容器40Y及びマゼンタトナー補給容器40Mであるが、他の現像器、つまりマゼンタの現像器32Mにトナーを補給するマゼンタトナー補給容器40Mの停止している位置に対応して交換口5が設けられている。
【0042】
次に本願発明の第2の実施形態について説明する。
この実施形態は、トナー補給容器を交換する交換口の位置が第1の実施の形態と異なっているが、その他の構成は同じであるので、同じ構成については説明を省略するとともに同じ符号を付す。
この画像形成装置は、いずれかの現像器32が現像位置38にあるときに、この現像器32にトナーを補給するトナー補給容器40に隣接する他の現像器32にトナーを補給するトナー補給容器40を交換できる位置に交換口50が設けられている。
【0043】
例えば、図9に示すように、イエローのトナーを収容する現像器32Yが現像位置38にあるとき、この現像器32Yにイエローのトナーを補給するトナー補給容器40Yに隣接する他の現像器はブラックトナー用の現像器32Kである。この現像器32Kにトナーを補給するブラックトナー補給容器40Kの交換ができる位置に交換口50が設けられている。つまり、現像位置にあるイエロー用の現像器32Kからイエロートナー補給容器40Yとブラックトナーを収容する現像器32Kとを隔てた位置にあるブラックトナー補給容器40Kを交換するようになっている。そして、ブラックトナー補給容器40Kは他のトナー補給容器40C,40M,40Yより回転ホルダ31の周方向に占める領域が大きくなっているが、これに対応してこのブラックトナー補給容器40Kを交換することができる大きさに設定されている。
【0044】
この交換口50は、図10に示すようにマゼンタトナーを収容した現像器32Mが現像位置にあるときにはイエロートナー補給容器40Yを交換することができるものとなっており、図11に示すようにシアントナーを収容した現像器32Cが現像位置にあるときにはマゼンタトナー補給容器40Mを交換することができるものとなっている。また、図12に示すようにブラックトナーを収容した現像器32Kが現像位置にあるときには、このブラックトナー用の現像器32Kからブラックトナー補給容器40Kとシアントナーを収容した現像器32Cを隔てて配置されているシアントナー補給容器40Cを交換できるものである。ブラックトナーを収容した現像器32Kが現像位置にあるときにはシアントナー補給容器40Cとの間にあるブラックトナー補給容器40Kが大きく、シアントナー補給容器40Cの位置がずれることになるが、このシアントナー補給容器40Cをも交換できるように交換口50の大きさが設定されている。
【0045】
この交換口50には開閉扉(図示しない)が設けられており、開閉扉の裏面に各トナー補給容器40C,40M,40Y,40Kが有しているICチップ保持部42C,42M,42Y,42Kと対向する大きさの情報読取装置52を備えている。トナー補給容器40は、ブラックトナー補給容器40Kのサイズが大きくなっており、またシアントナー補給容器40Cの交換位置はイエロートナー補給容器40Y及びマゼンタトナー補給容器40Mの交換位置とずれているが、上記情報読取装置52はいずれのトナー補給容器40C,40M,40Y,40Kについても、交換位置に停止したときにICチップ保持部42C,42M,42Y,42Kと対向できるようになっている。
【0046】
このような画像形成装置でも、トナー補給容器40の交換口50は、現像器32の一つが感光体ドラム10と対向する現像位置に停止したときに、トナー補給容器40を交換するように設けられ、トナー補給容器40に備えられた記憶媒体から情報を読み取る位置も、現像器32の一つが感光体ドラム10と対向する現像位置にあるように設定されている。これにより、トラッキングロール37と感光体側の対向部材10bとの衝突による衝撃音を低減することができるものとなっている。
【符号の説明】
【0047】
1:画像形成装置、 2:画像情報読取装置、 3:前面パネル、 4:支持構造体、 5:交換口、 6:交換扉、
10:感光体ドラム、 10a:感光体ドラムの支持軸、 10b:対向部材、 11:帯電装置、 12:露光装置、 14:中間転写体、 15:クリーニング装置、 16a,16b:支持ロール、 17:転写帯電器、
20:転写対向ロール、 21:転写ロール、 22:定着装置、 23:排出ロール、 24:中間転写体のクリーニング装置、 25:用紙トレイ、 26:記録用紙の搬送路、 27:両面搬送路、 28:排紙トレイ、 29:手差しトレイ、
30:現像ユニット、 31:回転ホルダ、 32C,32M,32Y,32K:現像器、 33:現像器のハウジング、 35:現像ロール、 36:現像ロールの支持軸、 37:トラッキングロール、 38:現像位置、
40C,40M,40Y,40K:トナー補給容器、 42:ICチップ保持部、 43:支持部材、 46:情報読取装置、
50:交換口、 52:情報読取装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電電位の差による静電潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体上に形成された静電潜像にトナーを転移して可視像を形成する現像ユニットと、
前記可視像を、記録シート上へ転写する転写装置と、
前記像保持体及び前記現像ユニットを支持する支持構造体と、を有し、
前記現像ユニットは、 前記支持構造体に支持軸の両端が支持され、前記支持軸の軸線回りに回転が可能となった回転体と、 該回転体に周方向に配列して支持され、前記像保持体の静電潜像を現像する現像剤を保持する現像剤保持体を備えた複数の現像器と、 前記現像器のそれぞれについて、トナーを補給するように設けられ、前記回転体に対して着脱が可能となったトナー補給容器と、を備え、前記回転体の周方向に複数の前記現像器と前記トナー補給容器とが交互に配列され、複数の前記トナー補給容器の少なくとも一つは、他のトナー補給容器より前記回転体の回転方向の大きさが大きくなっており、
前記支持構造体は、前記トナー補給容器を前記回転体の軸線方向に差し入れ又は引き出して交換を可能とする交換口を備えており、
前記交換口は、前記現像剤保持体の一つが前記像保持体と対向して現像を行う位置に停止したときに、該現像剤保持体を備えた前記現像器と隣接し、該現像器と異なる現像器にトナーを補給するトナー補給容器の交換が可能な位置に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー補給容器のそれぞれは、該トナー補給容器の固有の情報を記録した記憶媒体を備え、
前記支持構造体又は該支持構造体に支持された部材には、前記記憶媒体と対向し、非接触で該記憶媒体に記憶された情報を読み取る情報読取装置が備えられ、
該情報読取装置は、前記現像器のいずれかが前記像保持体と対向する現像位置にある時に前記記憶媒体から情報を読み取るものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記支持構造体に設けられた前記交換口には、開閉扉が設けられており、
前記開閉扉に前記情報読取装置が取り付けられ、
該情報読取装置は、交換可能な位置にある前記トナー補給容器が有する記憶媒体から情報を読み取るものであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
帯電電位の差による静電潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体上に形成された静電潜像にトナーを転移して可視像を形成する現像ユニットと、
前記可視像を、記録シート上へ転写する転写装置と、
前記像保持体及び前記現像ユニットを支持する支持構造体と、を有し、
前記現像ユニットは、 前記支持構造体に支持軸の両端が支持され、前記支持軸の軸線回りに回転が可能となった回転体と、 該回転体に周方向に配列して支持され、前記像保持体の静電潜像を現像する現像剤を保持する現像剤保持体を備えた複数の現像器と、 前記現像器のそれぞれについて、トナーを補給するように設けられ、前記回転体に対して着脱が可能となったトナー補給容器と、を備え、前記回転体の周方向に複数の前記現像器と前記トナー補給容器とが交互に配列され、複数の前記トナー補給容器の少なくとも一つは、他のトナー補給容器より前記回転体の回転方向の大きさが大きくなっており、
前記支持構造体は、前記トナー補給容器を前記回転体の軸線方向に差し入れ又は引き出して交換を可能とする交換口を備えており、
前記交換口は、前記現像剤保持体の一つが前記像保持体と対向して現像を行う位置に停止したときに、該現像器にトナーを補給する前記トナー補給容器と隣接する他の現像器にトナーを補給するトナー補給容器の交換が可能な位置に設けられていることを特徴とする画像形成装置。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−204566(P2010−204566A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52417(P2009−52417)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】