説明

画像形成装置

【課題】、トナー像形成位置よりも潜像担持体の表面移動方向上流側で潜像担持体の表面に潜像担持体被膜フィルムを巻きつける構成で、画像形成装置を大型化することなく、潜像担持体被覆フィルムの交換の負担を軽減できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】複写機500は、潜像担持体である感光体10表面から分離した該潜像担持体被覆フィルムである被覆フィルムFを再び感光体10表面に巻きつけるように、被覆フィルムFを無端ループ状に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタなどの電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式を用いた画像形成装置が広く知られている。この方式はカールソンプロセスと呼ばれ、潜像担持体表面に対して、帯電・露光・現像・転写・クリーニング・初期化の工程を繰り返すことで普通紙等の各種転写媒体にトナー像を得ている。そして転写されたトナー像を加熱溶融して当該転写媒体に定着し、最終画像を得るものである。従ってクリーニング工程は上記カールソンプロセスでは欠くことが出来ないものであった。クリーニング工程としては、潜像担持体表面に対してクリーニングブレードやクリーニングブラシ等のクリーニング部材を摺擦させることによって潜像担持体上の転写残トナーを除去するものが知られている。
このようなクリーニング部材を備える構成では、クリーニング部材の摺擦によって潜像担持体の表面が磨耗して潜像担持体の寿命が低下するという問題が生じる。また、クリーニング部材の摺擦によって潜像担持体の寿命が低下すること抑制するために、耐磨耗性の材料からなる潜像担持体を用いると、潜像担持体として光導電性を有しつつ、耐磨耗性に優れた材料を用いることになり、潜像担持体の材料選択の幅が狭まるという問題が生じる。
【0003】
近年、このクリーニング工程で捨てていたトナーを再利用するクリーナレス方式を搭載した画像形成装置も散見される。このクリーナレス方式の特徴は、転写位置を通過後の転写残トナーが存在する潜像担持体表面をそのまま帯電・露光工程を通過させて現像工程で不要なトナーを回収するところにある。そこで、この方式は現像同時クリーニング方式と呼ばれることもある。このようなクリーナレス方式の画像形成装置としては、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置がある。
このクリーナレス方式を搭載した画像形成装置ではクリーニング部材が完全に無くなった訳ではなく代替の部材を必要とするものである。すなわち、転写工程を通過した後の感光体に残留したトナーは、その帯電極性が反転したトナーや弱帯電トナーが比較的多く存在するものである。このため転写残トナーは必ずしも現像工程に対してそのまま好適に使えるトナーとは言い難い。したがって、従来のクリーナレス方式の画像形成装置では、転写残トナーの帯電極性を正常に戻すためのトナー帯電極性制御用の帯電部材をクリーニング工程の替わりに搭載したものがある。このようなクリーナレス方式では、潜像担持体上にトナー像を形成するために必要な帯電とは別にトナー帯電極性制御用の帯電部材によって帯電を行うため、潜像担持体表面は帯電による静電ハザードによって潜像担持体の寿命が低下するという問題が生じる。また、帯電によるハザードに対する耐性のある材料からなる潜像担持体を用いると、上述した耐磨耗性の材料を用いる場合と同様に、潜像担持体の材料選択の幅が狭まるという問題が生じる。
このように、潜像担持体の表面に直接トナー像を形成する構成では、潜像担持体の寿命の低下や潜像担持体の材料選択の幅が狭まるといった問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、潜像担持体の表面に直接にはトナー像を形成しない構成として、特願2008−238449号(以下、先願と呼ぶ)において、少なくとも現像によって潜像担持体上のトナー像が形成されるトナー像形成位置で潜像担持体表面を被覆するように、潜像担持体表面に潜像担持体被膜フィルムを巻きつける構成を提案している。先願に記載された構成では、潜像担持体上に形成された静電潜像は潜像担持体被覆フィルムを介して現像され、表面にトナー像が形成された潜像担持体被覆フィルムは次回のトナー像が形成される前に潜像担持体表面から分離される。このため、トナーが潜像担持体表面に直接接触することがなく画像形成を行うことができ、上述した従来の潜像担持体の表面に直接トナー像を形成する構成で生じる問題を改善することができる。
【0005】
先願に記載の画像形成装置では、潜像担持体の表面に巻きつける前の潜像担持体被覆フィルムをロール状に収容し、潜像担持体の表面に巻きつけた潜像担持体被覆フィルムは記録媒体とともに装置外に排出したり、装置内に配置された回収装置で回収したりしている。すなわち、潜像担持体の表面上に巻きつけた後、潜像担持体表面から分離した潜像担持体被覆フィルムを、再び潜像担持体表面の表面上に巻きつけない構成である。このため、潜像担持体の表面に巻きつける前の潜像担持体被覆フィルムのロールが無くなると、画像形成装置に新しい潜像担持体被覆フィルムのロールをセットする必要がある。ここで、画像形成装置にセットする新しい潜像担持体被覆フィルムのロールが小さいと、頻繁に潜像担持体被覆フィルムのロールが無くなり、メンテナンスの負担が大きくなる。一方、新しい潜像担持体被覆フィルムのロールが大きいと、新しい潜像担持体被覆フィルムのロールをセットする画像形成装置内のスペースが大きくなり、画像形成装置の大型化に繋がる。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、トナー像形成位置よりも潜像担持体の表面移動方向上流側で潜像担持体の表面に潜像担持体被膜フィルムを巻きつける構成で、画像形成装置を大型化することなく、潜像担持体被覆フィルムの交換の負担を軽減できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、表面移動する潜像担持体と、該潜像担持体表面を一様帯電する帯電手段と、該潜像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成するトナー像形成手段とを備えた画像形成装置であって、少なくとも上記トナー像形成手段によってトナー像が形成されるトナー像形成位置で潜像担持体被覆フィルムが上記潜像担持体の表面を被覆する該潜像担持体被覆フィルムを該潜像担持体表面に巻きつける被覆フィルム巻きつけ手段と、該潜像担持体被覆フィルムによって被覆された該潜像担持体表面が該被覆フィルム巻きつけ手段によって再び潜像担持体被覆フィルムを巻きつけられる位置に到達する前に、該潜像担持体表面を被覆した状態で該トナー像形成位置を通過した該潜像担持体被覆フィルムを該潜像担持体表面から分離させる被覆フィルム分離手段と、該トナー像形成位置で該潜像担持体被覆フィルム上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段とを備え、該潜像担持体表面から分離した該潜像担持体被覆フィルムを再び該潜像担持体表面に巻きつけるように、該潜像担持体被覆フィルムを無端ループ状に構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記被覆フィルム巻きつけ手段は、上記潜像形成手段によって潜像が形成される潜像形成位置よりも該潜像担持体の表面移動方向下流側で、上記トナー像形成位置よりも該潜像担持体の表面移動方向上流側の上記潜像担持体の表面に上記潜像担持体被覆フィルムを巻きつけ、上記被覆フィルム分離手段は、上記帯電手段によって一様帯電される一様帯電位置よりも該潜像担持体の表面移動方向上流側で該潜像担持体の表面から該潜像担持体被覆フィルムを分離させる構成であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、上記転写手段は、上記潜像担持体被覆フィルムを挟んで上記潜像担持体との間で転写ニップを形成する転写ローラを備え、該転写ニップの入口側では該潜像担持体被覆フィルムと記録媒体とがそれぞれ進入し、該転写ニップでは記録媒体が該潜像担持体被覆フィルムを介して該潜像担持体に当接し、該転写ニップの出口側では該潜像担持体の表面を被覆する該潜像担持体被覆フィルムに対して記録媒体が分離し、その後、該潜像担持体の表面から該潜像担持体被覆フィルムが分離することを特徴とすることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、上記転写手段は、上記潜像担持体被覆フィルムを挟んで上記潜像担持体との間で転写ニップを形成する転写ローラを備え、該転写ニップの入口側では該潜像担持体被覆フィルムと記録媒体とがそれぞれ進入し、該転写ニップでは記録媒体が該潜像担持体被覆フィルムを介して該潜像担持体に当接し、該転写ニップの出口側では該潜像担持体被覆フィルムが記録媒体とともに該潜像担持体から分離することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、記録媒体とともに上記転写ニップを通過した上記潜像担持体被覆フィルムは、記録媒体上にトナー像を加熱して定着する定着装置の定着部に記録媒体とともに進入し、該定着部を通過した後に記録媒体から分離することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置において、上記定着装置は内部に熱源を備えた加熱ローラと、該加熱ローラに接触して加圧する加圧ローラとを備え、該加熱ローラと該加圧ローラとの接触部で上記定着部としての定着ニップを形成することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項5の画像形成装置において、上記定着装置は、上記定着部で上記潜像担持体被覆フィルムに対向し、該潜像担持体被覆フィルムの移動方向に直交する方向に延在する板状の加熱体を備えることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記定着部よりも上記潜像担持体被覆フィルムの移動方向下流側、且つ、該潜像担持体被覆フィルムが記録媒体から分離する位置よりも上流側で該潜像担持体被覆フィルムを冷却するフィルム冷却手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記潜像担持体被覆フィルムが上記潜像担持体表面から分離した後、再び該潜像担持体表面に巻きつけられるまでの間の該潜像担持体被覆フィルム表面上の異物を除去するフィルムクリーニング手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記潜像担持体被覆フィルムが上記潜像担持体表面から分離した後、再び該潜像担持体表面に巻きつけられるまでの間の該潜像担持体被覆フィルム表面上に存在するトナーの帯電極性を所定の帯電極性に揃える極性制御手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10の画像形成装置において、上記極性制御手段はトナー像形成で用いられるトナーと同極性の電圧が印加されたブラシローラ状の極性制御ブラシを備えることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項10の画像形成装置において、上記帯電手段はローラ状の帯電ローラを備え、上記極性制御手段はトナー像形成で用いられるトナーと同極性の電圧が印加されたローラ状の極性制御ローラを備え、該帯電ローラと該極性制御ローラとが共通のローラ部材であることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項10または12の画像形成装置において、上記極性制御手段が上記潜像担持体被覆フィルム表面上に存在するトナーの帯電極性を所定の帯電極性に揃える位置よりも該潜像担持体被覆フィルムの移動方向下流側で、上記トナー像形成位置よりも該潜像担持体被覆フィルムの移動方向上流側で、所定の帯電極性となったトナーを回収するフィルム上トナー回収手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項13の画像形成装置において、上記フィルム上トナー回収手段は、上記トナー像形成位置に対して上記潜像担持体の表面移動方向上流側で上記潜像担持体被覆フィルムによって被覆された該潜像担持体に対向するように上記トナー像形成手段である現像装置内に配置された回転可能なスリーブ部材と、該スリーブ部材の内部に配置され複数の磁極を備えるマグネットローラと、該スリーブ部材に上記所定の帯電極性とは逆極性の電圧を印加する電圧印加手段とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項14の画像形成装置において、上記スリーブ部材が上記潜像担持体被覆フィルムによって被覆された該潜像担持体に対向する位置における該スリーブ部材の表面移動方向が、該潜像担持体被覆フィルムの表面移動方向に対して逆方向となるように該スリーブ部材が回転することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、潜像担持体被覆フィルムを無端ループ状に構成しているため、ロール状の潜像担持体被覆フィルムを潜像担持体表面上に巻きつける構成のように潜像担持体表面上に巻きつける潜像担持体被覆フィルムが無くなることは無いので、画像形成装置を大型化することなく、潜像担持体被覆フィルムの交換の負担を軽減できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態1に係る複写機全体の概略構成図。
【図2】実施形態1の複写機の画像形成部の拡大説明図。
【図3】実施形態1の複写機の画像形成部の転写位置で被覆フィルムとシートとが対向する状態の説明図。
【図4】実施形態2の複写機の画像形成部の拡大説明図。
【図5】実施形態2の複写機が備えるトナー回収ローラへの印加バイアスの一例を示す説明図。
【図6】実施形態2の複写機が備える現像ローラへの印加バイアスの一例を示す説明図。
【図7】実施形態3に係る複写機全体の概略構成図。
【図8】実施形態3の複写機の画像形成部の転写位置で被覆フィルムとシートとが対向する状態の説明図。
【図9】実施形態3の複写機が備える熱定着装置の拡大説明図。
【図10】実施形態4の複写機が備える熱定着装置の拡大説明図。
【図11】実施形態4の複写機が適用可能な冷却手段を備える熱定着装置の拡大説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明を、画像形成装置に適用した一つ目の実施形態(以下、実施形態1と呼ぶ)について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施形態は以下述べるものに限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【0011】
図1は、実施形態1に係る画像形成装置としての複写機(以下、複写機500という)全体の概略構成図である。
複写機500は画像形成を行う複写機本体部100を給紙装置としてのシートバンク300の上に載置しており、複写機本体部100の上部に画像読取装置200が取り付けられている。また、画像読取装置200の上には、背面側を支点に上下に開閉自在の自動原稿搬送装置400が取り付けられている。
【0012】
複写機本体部100には、内部に像担持体として、ドラム状の感光体10が設けられている。
図2は、実施形態1の複写機本体部100の感光体10近傍である画像形成部の拡大説明図であり、図3は、図2で示した画像形成部の転写位置Bで被覆フィルムFとシートSとが対向する状態の説明図である。
感光体10の周りには、感光体10の左側に帯電ローラ8を備える帯電装置が配置されている。感光体10の回りには、図中矢印Aで示す感光体10の表面移動方向(反時計方向)について、表面移動方向上流側から帯電ローラ8、現像装置12、及び転写装置13が順に配置されている。なお、複写機500は、感光体10をクリーニングするクリーニング装置は備えられてない。
なお、現像装置12においては、現像ローラ4を用いることにより、詳細は後述する被覆フィルムF上にトナーを付着させて感光体10上の静電潜像を可視像化する。
【0013】
また、転写装置13は上下に配置された第一張架ローラ15と第二張架ローラ16との間に転写ベルト17が張架されて構成されるとともに、転写位置Bで感光体10の周面に押圧されて当接される。なお転写位置Bでは転写ベルト17を挟んで感光体10と対向する転写ローラ7が配置されており、感光体10と転写ローラ7とが形成する転写ニップによって転写ベルト17が後述する被覆フィルムFを挟んで感光体10に当接する。
複写機本体部100には、現像ローラ4が感光体10の表面に対向する現像位置における感光体10の表面を被覆する「潜像担持体被覆フィルム」である被覆フィルムFを搬送する被覆フィルム搬送装置20が配置されている。被覆フィルム搬送装置20は、ループ状の被覆フィルムFと、第一フィルム張架ローラ201、第二フィルム張架ローラ202、第三フィルム張架ローラ203、及び、第四フィルム張架ローラ204を備え、感光体10の表面移動に合わせて被覆フィルムFを無端移動させる。なお、本実施形態1の被覆フィルム搬送装置20では第一フィルム張架ローラ201が駆動ローラであり、不図示の駆動源を駆動することによって第一フィルム張架ローラ201が回転駆動し、被覆フィルムFを無端移動させる。
【0014】
被覆フィルム搬送装置20によって搬送される被覆フィルムFは、巻きつけローラ81の表面を経て感光体10表面に密着するように巻きつけられ、感光体10の表面を被覆する。すなわち、本実施形態1では、巻きつけローラ81と感光体10とが対向する位置が潜像担持体被覆フィルム巻きつけ位置となる。被覆フィルムFはこの巻きつけローラ81の押圧力とにより、感光体10に張り付いてそのまま下流へと搬送され、感光体10の表面を被覆した状態で現像位置及び転写位置Bを通過する。
被覆フィルムFのループの内側に感光体10、帯電ローラ8、及び、レーザ書込装置47が配置され、被覆フィルムFのループの外側に現像装置12と転写装置13とが配置されている。そして、現像装置12の現像ローラ4と転写装置13の転写ベルト17とが被覆フィルムFに外接している。
【0015】
また、複写機本体部100の内部には、シートバンク300内の、後述するシートカセット61から送り出した記録媒体であるシートSを、転写位置Bを経てスタック位置まで下方から上方へと搬送するシート搬送装置Cを備える。シート搬送装置Cは、供給路R1、手差し供給路R2、および、シート搬送路Rを形成する。
【0016】
そして、シート搬送路Rにおける、感光体10に対してシートSの搬送方向上流側の位置にレジストローラ21を配置している。また、感光体10の搬送方向下流側の位置には、熱定着装置22を配置している。熱定着装置22は、内部に熱源を有する加熱部材としての加熱ローラ30と加圧部材としての加圧ローラ32とを備える。
【0017】
また、熱定着装置22のさらに搬送方向下流側には、排出ローラ35を配置し、さらにその先に、画像形成済みのシートをスタックする排出スタック部39を設ける。
【0018】
上述したように被覆フィルムFのループの内側には、レーザ書込装置47を備える。レーザ書込装置47には、不図示のレーザ光源、その他、走査用の回転多面鏡48、ポリゴンモータ49、fθレンズ等の走査光学系50などを備える。
【0019】
画像読取装置200には、光源53、複数のミラー54、結像用光学レンズ55、CCD等のイメージセンサ56などを備える。そして、上面にはコンタクトガラス57を備える。
【0020】
このコンタクトガラス57の上の自動原稿搬送装置400には、原稿の載置位置に不図示の原稿セット台を設けるとともに、排出位置に不図示の原稿スタック台を設ける。また、原稿シートを、原稿セット台から画像読取装置200のコンタクトガラス57上の読取位置を経て原稿スタック台まで搬送する不図示の原稿搬送路を有するシート搬送装置を備える。このシート搬送装置には、原稿シートを搬送する不図示のシート搬送ローラを複数備える。
【0021】
シートバンク300には、内部に、記録媒体である転写紙やOHPフィルム等のシートSを収納するシートカセット61を多段に備える。各シートカセット61には、それぞれ対応して呼出ローラ62と、供給ローラ63と、分離ローラ64とを備える。多段に備えるシートカセット61の図中右側には、複写機本体部100のシート搬送路Rへと通じる供給路R1を形成する。供給路R1にも、回転することによりシートSに搬送力を付与し、シートSを搬送する複数のシート搬送ローラ66を備える。
【0022】
複写機本体部100の図中右側面には、手差し給紙部68を備える。その手差し給紙部68には、手差しトレイ67を開閉自在に設けるとともに、その手差しトレイ67上にセットした手差しのシートSをシート搬送路Rへと導く手差し供給路R2を備える。また、手差しトレイ67にも同様に、呼出ローラ62と供給ローラ63と分離ローラ64とを配置している。
【0023】
このような構成の複写機500を用いてコピーを行うときには、まず、不図示のメインスイッチをオンにするとともに、自動原稿搬送装置400の原稿セット台に原稿をセットする。ブック原稿のような場合には、自動原稿搬送装置400を開いて画像読取装置200のコンタクトガラス57上に直接原稿をセットし、自動原稿搬送装置400を閉じて原稿を押える。
【0024】
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、自動原稿搬送装置400に原稿をセットしたときには、原稿をシート搬送ローラにより原稿搬送路を通して、コンタクトガラス57上へと移動してから画像読取装置200が駆動し、原稿内容を読み取って原稿スタック台上に排出する。一方、コンタクトガラス57上に直接原稿をセットしたときには、直ちに画像読取装置200が駆動して原稿内容を読み取る。
【0025】
画像読取装置200が駆動すると、画像読取装置200は、光源53をコンタクトガラス57に沿って移動させるとともに、光源53からの光をコンタクトガラス57上の原稿面で反射し、その反射光を複数のミラー54で反射し、結像用光学レンズ55を経て、イメージセンサ56に入れ、そのイメージセンサ56で原稿内容を読み取る。
【0026】
また、このとき同時に、静電潜像形成工程として不図示の感光体駆動モータで感光体10を回転し、帯電ローラ8を備える帯電装置によって感光体10の表面を一様に帯電する。次いで、画像読取装置200によって読み取った原稿内容に応じて書き込み光3をレーザ書込装置47から照射して書き込み工程を実行する。次に、感光体10と巻きつけローラ81との対向部で被覆フィルム搬送装置20によって搬送される被覆フィルムFを感光体10の表面に巻きつけて、感光体10の表面を被覆フィルムFで被覆する。その後、現像装置12を用いて感光体10表面上を被覆する被覆フィルムF上に被覆フィルムFの下の感光体10上に形成された潜像に応じてトナーを付着し、静電潜像の可視像化(現像)がなされる。
【0027】
一方、スタートスイッチを押したと同時に、シートバンク300中の多段のシートカセット61のうち、選択されたサイズのシートSを収容するシートカセット61内から呼出ローラ62によりシートSが送り出される。呼出ローラ62によって送り出されたシートSは、呼出ローラ62に続く、供給ローラ63と分離ローラ64とによって1枚ずつ分離して搬送され、供給路R1に送られる。供給路R1に送られたシートSは、シート搬送ローラ66で搬送されてシート搬送路Rへと導かれ、レジストローラ21に突き当てて止められる。そして、感光体10表面の被覆フィルムF上に可視像化したトナー像とシートSとの転写位置Bに到達するタイミングが一致するように、レジストローラ21が回転し、シートSが感光体10の右側へと送り込まれる。
また、手差しトレイ67上にセットされた手差しのシートSに画像を形成する場合は、手差し給紙部68の手差しトレイ67上にセットされた手差しのシートSが手差し供給路R2に送られる。そして、上述したシートカセット61内のシートSに画像形成を行う場合と同様に、レジストローラ21で感光体10の回転にタイミングが合わせられて手差しのシートSが感光体10の右側へと送り込まれる。
【0028】
感光体10の右側へと送り込まれたシートSは、転写位置Bで感光体10表面を被覆し、表面にトナー像が形成された被覆フィルムFと重なり合う。実施形態1の複写機500は、転写ローラ7には不図示のバイアス印加装置によって転写バイアスが印加されており、転写位置Bで感光体10との間に転写電界を形成している。このため、転写位置BでシートSと対向したトナー像は、図3に示すように、転写電界によって感光体10を被覆する被覆フィルムFの表面からシートSへと移動し、トナー像が被覆フィルムFの表面からシートSの表面へと転写される。トナー像が転写された後のシートSは、被覆フィルムFによって被覆された感光体10から離れて、熱定着装置22へと搬送される。
【0029】
実施形態1の複写機500では転写位置Bよりも表面移動方向下流側の感光体10表面と第三フィルム張架ローラ203との間で被覆フィルムFが張架されている。このため、被覆フィルムFはシートSの搬送方向とは異なる方向に配置された第三フィルム張架ローラ203の方向に引っ張られ、感光体10の表面に沿ってシートSから分離し、その後、感光体10の表面からも分離する。このような実施形態1の複写機500では、第三フィルム張架ローラ203と感光体10との間で被覆フィルムFを張架する構成が潜像担持体被覆フィルム分離手段として機能する。
なお、転写位置Bを通過し、被覆フィルムFが分離した感光体10の表面は不図示の除電装置によって残留電位が除去され、上述した帯電ローラ8から始まる次の画像形成に備える状態となる。
【0030】
一方、トナー像が転写され、熱定着装置22へと搬送されたシートSは、加熱ローラ30と加圧ローラ32とによって形成される定着部としての定着ニップに通されて、これらのローラに搬送されながら、熱と圧力とが印加されてシートSに対してトナー像が定着される。
その後、トナー像が定着されたシートSは排出ローラ35を通過して、排出スタック部39上に排出されてスタックされる。
なお、本実施形態1の複写機500は、感光体と現像装置とをそれぞれ一つずつ備えるモノクロの画像形成装置であるが、一つの感光体に4つの現像装置を配置したフルカラーの画像形成装置であっても、感光体表面に潜像担持体被覆フィルムを巻きつける構成は適用可能である。
【0031】
被覆フィルムFとしては、食品用ラップフィルムとして一般に使用されている食材や料理を包む為の厚さが十数[μm]程度の透明・軽量で柔軟な膜状素材のフィルムを使用することが出来る。これらのフィルムは耐熱性・耐水性に富み、摂氏マイナス60[℃]からプラス150[℃]前後までの温度に適応できるとされている。ラップフィルム材料としては、セロハン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ナイロン(NY)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルペンテン(PMP)が挙げられる。さらに複合材からなるラップフィルムとして、ポリエチレン+ポリプロピレン(PE+PP)や、ナイロン+ポリエチレン(NY+PE)なども使用することが可能である。
本実施形態1に使用できる被覆フィルムFとしては、静電気を保持出来ること、ある程度の応力に耐えることができ、引っ張られてもフィルム状態を維持できること、ある程度は水に溶けずにフィルム状態を維持できること、といった特性も求められる。これらの特性を備えているものであれば、本実施形態1に使用する被覆フィルムFとしては、先に述べた食品用ラップフィルムの例に限らないことは言うまでもない。
【0032】
本実施形態1の被覆フィルムFは、継ぎ目の無いループ状の部材である。これは例えば次のように製造したものを用いることができる。回転する円筒形の金型に、上述した被覆フィルムFの樹脂材料を流動性を持たせた状態で投入する。遠心成形により使用時よりも寸法の長い樹脂層を形成させ、溶剤揮発あるいは反応固化させる。金型から樹脂層を剥離し、樹脂層の開口部を切断して製造する方法である。ここでループ状に製造された被覆フィルムFの内側をエアー面、外側を金型面とすると、複写機500でトナー像を作成するのは金型面ということになる。ただし、ループ状の被覆フィルムFはこの限りではなく、継ぎ目のある被覆フィルムFでも構わない。
【0033】
次に、トナー像を転写した後の被覆フィルムFの搬送動作について説明する。
本実施形態1の複写機本体部100では、被覆フィルムFが感光体10から分離する位置よりも被覆フィルムFの移動方向下流側で、被覆フィルムFが再び感光体10に巻きつく潜像担持体被覆フィルム巻きつけ位置よりも被覆フィルムFの移動方向上流側の位置に、極性制御手段である現像回収補助ブラシ23が配置されている。現像回収補助ブラシ23は、不図示のバイアス印加手段によって現像装置12内の現像剤中に含まれるトナーと同極性であるマイナス極性のバイアスが印加されたブラシローラである。
【0034】
被覆フィルムFはトナー像がシートSに転写された後、感光体10から分離して、第三フィルム張架ローラ203、及び、第四フィルム張架ローラ204を通過して、現像回収補助ブラシ23と対向する位置に到達する。ここで、被覆フィルムF上に残留している転写残トナーはマイナス電荷が付与され、転写残トナーの帯電極性がマイナス極性側に揃えられる。
一方、被覆フィルムFが分離した後の感光体10表面は、不図示の除電装置によって残留電位が除去され、帯電ローラ8による帯電、続いて、レーザ書込装置47によって静電潜像の形成が施される。表面上の転写残トナーの帯電極性がマイナス極性側に揃えられた被覆フィルムFは、第一フィルム張架ローラ201及び第二フィルム張架ローラ202を通過して、巻きつけローラ81によって張架される位置に到達する。ここで、除電、帯電、及び、静電潜像の形成が済んだ感光体10の表面に被覆フィルムFが巻きつけローラ81によって再び巻きつけられ、被覆フィルムFが現像位置へと搬送される。現像位置では、被覆フィルムF上のマイナス極性に帯電極性が揃えられた転写残トナーが現像ローラ4上の現像剤に混ざり込み、現像装置12内に入っていたトナーとともに再び現像に寄与する。
現像位置を通過した被覆フィルムFは、転写位置Bへ搬送され、上述したようにシートSと重なり合い、トナー像がシートSに転写される。この工程を繰り返して作像が続けられる。
【0035】
なお、本実施形態1では、転写位置Bを通過した後の被覆フィルムFの表面上の転写残トナーを極性制御手段によって帯電極性を揃え、現像装置12で回収する構成であるが、被覆フィルムFの表面上の転写残トナーを除去する構成としてはブレードやブラシ等の機械的な摺擦によってトナーをクリーニングするクリーニング手段を備えた構成であってもよい。
【0036】
なお、本実施形態1では、極性制御手段としてブラシローラからなる現像回収補助ブラシ23を用いているが極性制御手段として用いる部材はブラシローラに限るものではなく、ローラ部材を用いてもよい。極性制御手段としてローラ部材を用いる場合は帯電ローラ8と共通のローラ部材を用いることで二箇所の部材で部品を共通化することができ、製造コストの削減を図ることができる。
【0037】
本実施形態1の複写機500では、感光体10の表面移動方向について、現像装置12の現像ローラ4と感光体10表面とが対向する現像位置から転写位置Bまでの間は、感光体10の表面を被覆フィルムFが被覆している。そして、転写位置Bを通過したあとに、感光体10表面から被覆フィルムFが分離し、現像位置よりも感光体10の表面移動方向上流側に配置された巻きつけローラ81によって現像前の感光体10の表面に被覆フィルムFを巻きつけている。このような構成により、複写機500ではトナー像は感光体10を被覆する被覆フィルムF上に形成され、感光体10の表面にトナーが直接付着することが無い。このため、感光体10の表面をクリーニングする感光体クリーニング手段が不要である。
【0038】
感光体クリーニング手段が不要な従来の画像形成装置の一例としては、特許文献1に、現像工程で不要なトナーを回収するクリーナレス方式で、転写残トナーの帯電効率を高め、かぶりトナーを効率的に除去して画像形成品質を高め得るクリーナレス方式の画像形成装置が開示されている。この装置では、感光体ドラムを囲んで帯電ローラ、現像装置、一次転写ローラ、帯電補助手段(帯電ブラシ)を配置する。現像装置は、負極性に帯電したトナーを回転スリーブからトナー像の形成領域に移動させつつ非形成領域から回転スリーブへ移動させて、現像同時クリーニングを行う。一次転写ローラの下流に帯電ブラシ帯電補助手段(帯電ブラシ)を配置して−1000[V]を印加することにより、感光体ドラム上の転写残トナーを負極性に帯電させる。感光体ドラムから中間転写ベルトへの一次転写において、トナー像が形成されない紙間スペースでは、トナー像の形成領域で印加する500[V]よりも高い700[V]の一次転写バイアス電圧を一次転写ローラに印加する、などによって 転写残トナーの不具合を防止するものである。
【0039】
電子写真方式のクリーナレス方式を搭載した画像形成装置で、特許文献1に開示されるものにあってはクリーニング部材が完全に無くなった訳ではなく代替の部材を必要としている。
この理由は、「転写残トナーは、正規な帯電極性に帯電したトナーを記録材や中間転写ベルトに引き寄せる転写装置の転写バイアス電圧に逆らって像担持体に残留している。従って、転写残トナーの多くは、帯電が不足しているか、正規な帯電極性とは逆の極性に帯電しており、正規な帯電極性に帯電したトナーのようには、動的な現像によって現像部材へ回収されない」からであり、「特に、高温高湿環境下や耐久時、画像比率の高い画像形成が連続して行われてトナー補給が多い場合、帯電が不足したトナーの割合が高まり、いわゆるかぶりトナーとして像担持体に大量に付着する。現像装置内の電荷が低い状態であるため、電荷付与が厳しい状態であるような環境下だからである。そして、かぶりトナーが像担持体に大量に付着すると、像担持体の正常な帯電や露光を妨げて画像形成品質が低下する。 そこで、クリーナレス方式の画像形成装置では、転写装置の下流側に帯電補助手段を配置して、帯電が不足した転写残トナーや逆の極性に帯電した転写残トナーを正常な帯電極性に帯電させている。」ということが必要になる。つまり、クリーナレス方式とは言ってもクリーニング部材の機能を代替する部材を必要とするのである。
【0040】
また、特許文献1のように転写装置の下流側に帯電補助手段を設ける構成では、トナー像の形成に必要な帯電及び露光とは別に潜像担持体表面に静電ハザードを与える構成となり、帯電補助手段を備えない構成に比して静電ハザードに起因する潜像担持体表面の光導電性の変化による潜像担持体の寿命の低下が生じ易い。
本実施形態1の複写機500では、従来の帯電補助手段と同様に転写残トナーを正常な帯電極性に帯電させる現像回収補助ブラシ23を備えている。しかし、現像回収補助ブラシ23によって静電ハザードを受ける対象は被覆フィルムFであるため、静電潜像が形成される潜像担持体とは異なり静電ハザードによる影響は少ない。また、本実施形態1の複写機500では、感光体10は被覆フィルムFのループの内側にあり、被覆フィルムFの周長は感光体10の周長よりも長い。このため、被覆フィルムFの周面上の一箇所が現像回収補助ブラシ23の帯電による静電ハザードの影響を受ける機会は、従来の構成の潜像担持体の周面上の一箇所が帯電補助手段の帯電による静電ハザードの影響を受ける機会よりも大幅に少なくなる。
また、クリーニング部材の機能を代替する部材を設けたとしても、一度、感光体表面に直接付着したトナーを除去することには限界がある。
【0041】
感光体クリーニング手段が不要な従来の画像形成装置の他の例としては、例えば実開平03−065146号公報にシートフィルムを繰り出して他の転写媒体と重ね合わせることで画像を得る装置が開示されている。この装置は、感光感圧紙であるマイクロカプセル紙のフィルムシートに画像露光して潜像を得た後、記録用紙となる顕色紙と重ね合わせて画像を得るものである。そして、この両者を圧力現像装置を通過させることにより、マイクロカプセル紙のマイクロカプセルが破壊されることで未露光部分の染料前躯体が記録用紙である顕色紙の表面に塗布されている顕色剤と反応して発色する。ついで熱定着装置により発色を促進して最終画像を得るという装置である。
この公報に記載の装置は、シートと記録用紙を重ね合わせて画像を得る装置の例があるが、これは電子写真方式を用いたものでは無く、トナーが残留したときのクリーニングの課題も無いため、本実施形態1の複写機500とは本質的に異なる画像形成装置である。
【0042】
一方、本実施形態1の複写機500では、フィルム層である被覆フィルムFを介して電子写真感光体である感光体10上の静電潜像を現像し、次いでこのトナー像をシートSに転写し、被覆フィルムFを感光体10から分離する工程を繰り返すことにより、本質的にトナーが感光体10に残らないようにすることができる。このため、感光体10をクリーニングするクリーニング手段が不要である。このため、感光体10に対する機械的な摩耗の影響を避けつつ、電気的な影響が増加することも無いため感光体10の耐久性が飛躍的に良くなる。
【0043】
次に、感光体10の表面に形成された静電潜像に対応したトナー像を被覆フィルムF上に形成する現像装置12について説明する。
複写機500が備える現像装置12は磁性キャリアとトナーからなる二成分現像装置である。複写機500は現像装置12で使用するトナーを収容する不図示のトナーボトルを備え、トナーボトル内のトナーは不図示のトナー補給装置によって現像装置12に供給される。
トナー補給装置によって不図示のトナー補給口から供給されたトナーは、現像装置12のケーシングである現像容器12a内の磁性キャリアとトナーとからなる現像剤の上に供給される。供給されたトナーは、現像剤とともに螺旋形状の第二搬送スクリュ2で攪拌されながら図2中の紙面奥方向に搬送される。第二搬送スクリュ2を備える搬送路と第一搬送スクリュ1を備える搬送路とは、図2中の紙面奥方向端部と紙面手前方向端部とで連通している。そして、第二搬送スクリュ2によって図2中の紙面奥方向端部まで到達した現像剤は、第一搬送スクリュ1が配置された搬送路に移動し、第一搬送スクリュ1によって図2中の紙面奥方向から手前方向への搬送される。そして、第一搬送スクリュ1によって図2中の紙面手前方向端部まで到達した現像剤は、第二搬送スクリュ2が配置された搬送路に移動する。このように、現像装置12内では現像剤が循環している。
供給されたトナーが攪拌された現像剤は、第一搬送スクリュ1によって搬送される搬送路内で、磁石が内蔵されている現像ローラ4の磁力によって、現像ローラ4の表面に汲み上げられる。図中矢印Dで示すように、図中時計回りに回転している現像ローラ4の表面に磁力で吸着した現像剤は、現像ドクタ70で一定量に規制されるとともにトナーと磁性キャリアとが摩擦帯電される。
【0044】
帯電した磁性キャリアとトナーとからなる現像剤は現像ローラ4の最大磁力強度の主極で穂立ちして感光体10の表面を被覆する被覆フィルムFに接触する。現像ローラ4にはバイアス電圧が印加されており、感光体10上の静電潜像により選択的にトナーが被覆フィルムFの表面に付着して現像される。なお、現像容器12a内の現像剤のトナー濃度は、トナー濃度センサ5によって監視している。トナー濃度が低い場合は、不図示のトナー補給装置を駆動して、不図示のトナーボトルからトナーを補給して、トナー濃度を一定に保つように制御する。
また、感光体10表面を覆う被覆フィルムF上にはトナーによって基準パターンが形成され、この基準パターンの反射濃度をパターン濃度センサ6が測定している。そしてこのパターン濃度センサ6の測定結果を基に、トナー濃度センサ5がどのような出力値の時にトナー補給動作を開始させれば良いかが自動的に選ばれるようになっている。
【0045】
図2に示すように、トナー濃度センサ5は、現像剤を搬送する第二搬送スクリュ2の下に設置されており、現像剤の透磁率から現像剤のトナー濃度を測定している。トナー濃度が低くなると磁性体キャリアが密集してくるので透磁率が高くなる。このトナー濃度センサ5が検知した透磁率の値がある所定値(閾値)を超えれば、トナー濃度が低くなったと判断されて、所定のトナー濃度になるまで不図示の制御部からトナー補給装置へトナー補給動作のための信号が送られる。
【0046】
このような補給制御によって、感光体10の表面を覆う被覆フィルムF上に形成される基準パターンの濃度を一定に保つように制御しているが、トナーボトル内のトナーがなくなった場合には、不図示の判断機構を用いて基準パターンの濃度を検知するパターン濃度センサ6とトナー濃度センサ5との両方の出力から、トナーがなくなったことを判断する。
【0047】
本実施形態1では、トナーボトルからトナーが補給されるものである。また、複写機500に使用されるトナーは、ポリエステル樹脂を含有するトナーを好適に使用する事が出来るが、これに限定されるものではない。
【0048】
次に、複写機500で用いるトナーについて説明する。
ポリエステル樹脂を含有するトナーのポリエステルは、多価アルコールと多価酸(大多数がジオール基を有する化合物と二酸(−(COOH))またはジエステル(−(COOR))を有する2酸化合物またはジエステル化合物)とを脱水(あるいは脱アルコール)縮合反応によってポリエステル化合物(未変性ポリエステル)とした未変性ポリエステル樹脂を用いる。また、ジイソシアネート(−NCO基を2個有する化合物)と活性水素化合物(特にジオール、ジオイックアシドまたはOH基とCOOH基の両方の基を有する化合物)との縮合反応によって得られる多価イソシアネート化合物とをさらに含む変性ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。
【0049】
多価イソシアネート化合物の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。
【0050】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。なお、未変性ポリエステルは、ウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
【0051】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5程度である。
プレポリマーとして用いるウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90である。
【0052】
なお、実施形態1の複写機500では、融点が約120[℃]のトナーを用い、定着温度は150[℃]に設定し、150[℃]以上に適応できる被覆フィルムFを用いる。
【0053】
次に、感光体の表面を潜像担持体被覆フィルムで被覆した状態で現像ができることを確認した実験について説明する。
〔実験1〕
実験1として、画像形成装置として、imagio MP 5000(リコー製)を用いて以下に述べる実験を行った。
潜像担持体被覆フィルムとして厚さ10[μm]のPVDCフィルム、商品名:クレラップ(登録商標)を用意した。予め帯電した感光体ドラムを暗所で取り出し、このPVDC製のフィルムを感光体ドラムに巻きつけた。画像形成装置に装着して帯電装置は機能させないで画像形成させた。用紙の供給は行わないで感光体ドラムの1周分にトナー像が形成されるタイミングを見計らって、画像形成装置を停止する。感光体ドラムを取り外し、観察したところ、画像が形成されていることを認めた。表面からラップフィルムを引き剥がしてトナー面を用紙に合わせて貼り付けたところ、鮮明な画像であることが確認できた。
【0054】
〔実験2〕
実験2として、画像形成装置として、imagio MP 5000(リコー製)を用いて以下に述べる実験を行った。
潜像担持体被覆フィルムとして厚さ7.5[μm]のポリメチルペンテン(PMP)フィルム、商品名:コープラップ(登録商標)を用意した。実験1及び実験2と同様の実験を行ったところいずれもフィルム表面上に画像形成できることが確認できた。
【0055】
なお、実験1と同様の実験としては、クレラップ(登録商標)及びコープラップ(登録商標)を含めた5種類の透明フィルムについて実施した。
実際の実験に用いた透明フィルムの各条件を表1に示す。
また、表1中の「公称値」は各透明フィルムの厚みの代表値であり、表1中の「厚み」は実際の計測値である。
【表1】

表1に示す5種類の透明フィルムのうち、厚さが100[μm]のプリンタック(登録商標)以外は画像形成が可能であることが確認された。このように、厚さが100[μm]のプリンタック(登録商標)では画像形成ができないのは、フィルムの厚みが厚すぎることによって、感光体ドラム上の静電潜像を形成する静電電荷に感応して静電潜像をその表面に保持することができないためと考えられる。
【0056】
〔実施形態2〕
上述した実施形態1の複写機500では、極性制御手段である現像回収補助ブラシ23で帯電極性が揃えられた転写残トナーを現像装置12の現像ローラ4で回収し、再び現像に寄与させる構成である。転写残トナーを現像装置12で回収して再び現像に寄与させる構成としては、現像ローラ4とは別のトナー回収部材を設けてもよい。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、ループ状の潜像担持体被覆フィルムによって少なくとも現像位置では感光体表面を被覆し、潜像担持体被覆フィルム上の転写残トナーを現像装置で回収する構成で、現像装置が現像ローラとは別にトナーの回収部材を備える本発明の二つ目の実施形態(以下、実施形態2と呼ぶ)について説明する。
図4は、実施形態2の複写機本体部100の感光体10近傍である画像形成部の拡大説明図である。
実施形態2の複写機500は、現像装置12の構成と、極性制御手段の構成とが実施形態1の複写機500と異なり、他の構成は共通するため、共通する構成についての説明は省略し、相違点について説明する。
【0057】
図4に示すように、実施形態2の複写機本体部100では、被覆フィルムFが感光体10から分離する位置よりも被覆フィルムFの移動方向下流側で、被覆フィルムFが再び感光体10に巻きつく潜像担持体被覆フィルム巻きつけ位置よりも被覆フィルムFの移動方向上流側の位置に、極性制御手段であるトナー極性制御ローラ24が配置されている。トナー極性制御ローラ24は、不図示のバイアス印加手段によって現像装置12内の現像剤中に含まれるトナーと同極性であるマイナス極性のバイアスが印加されたローラ部材である。トナー極性制御ローラ24に用いるローラ部材として帯電ローラ8と同一のものを使用することで、製品コストの低減を図ることができる。
【0058】
次に、実施形態2の複写機500が備える現像装置12について説明する。
実施形態1と同様に実施形態2の現像装置12もキャリアとトナーからなる二成分現像装置であるが、実施形態2の現像装置12は、第三搬送スクリュ41及びトナー回収ローラ40を配置している点で実施形態1の現像装置12と異なる。現像装置12の第三搬送スクリュ41及びトナー回収ローラ40を配置した現像剤の搬送路は、第一仕切り板43によって現像ローラ4及び第一搬送スクリュ1が配置された現像剤の搬送路と仕切られ、第二仕切り板44によって、第二搬送スクリュ2が配置された現像剤の搬送路と仕切られている。第一仕切り板43及び第二仕切り板44は、図4中の紙面奥方向端部と紙面手前方向端部とに開口部を備え、仕切り板を挟んで隣り合う搬送路を連通している。
【0059】
複写機500は現像装置12で使用するトナーを収容する不図示のトナーボトルを備え、トナーボトル内のトナーは不図示のトナー補給装置によって現像装置12に供給される。トナー補給装置によって不図示のトナー補給口から供給されたトナーは、現像装置12のケーシングである現像容器12a内の磁性キャリアとトナーとからなる現像剤の上に供給される。このとき、第二搬送スクリュ2によって搬送される現像剤の上に供給される。
供給されたトナーは、現像剤とともに第二搬送スクリュ2で攪拌されながら図4中の紙面奥方向に搬送される。上述したように、第二搬送スクリュ2が配置された搬送路と、第三搬送スクリュ41が配置された搬送路と、第一搬送スクリュ1が配置された搬送路とは、図4中の紙面奥方向端部と紙面手前方向端部とで連通している。そして、第二搬送スクリュ2によって図4中の紙面奥方向端部まで到達した現像剤は、第三搬送スクリュ41が配置された搬送路や第一搬送スクリュ1が配置された搬送路に移動し、第一搬送スクリュ1及び第三搬送スクリュ41によって図4中の紙面奥方向から手前方向への搬送される。そして、第一搬送スクリュ1及び第三搬送スクリュ41によって図4中の紙面手前方向端部まで到達した現像剤は、第二搬送スクリュ2が配置された搬送路に移動する。このように、現像装置12内では現像剤が循環している。
【0060】
実施形態2の現像装置12では、第一搬送スクリュ1と第三搬送スクリュ41とのスクリュピッチ、条数、軸直径、羽根直径、材質、回転数は同じである。ただし、第一搬送スクリュ1と第三搬送スクリュ41の構成はこの限りではない。また、第一搬送スクリュ1と第三搬送スクリュ41との代わりに1本の搬送スクリュを配置して、1本の搬送スクリュで現像剤を搬送しながら現像ローラ4に現像剤を供給し、後述するトナー回収ローラ40で回収されたトナーを現像剤に取り込んで攪拌して搬送する構成であってもよい。
【0061】
第三搬送スクリュ41によって搬送される搬送路内の現像剤は、磁石が内蔵されているトナー回収ローラ40の磁力によって、トナー回収ローラ40の表面に汲み上げられる。なお、現像ローラ4とトナー回収ローラ40との間は第一仕切り板43によって仕切られており、2つのローラ上に汲み上げた現像剤同士が接触しないように隔てられている。
図中矢印Eで示すように、図中反時計回りに回転しているトナー回収ローラ40の表面に磁力で吸着した現像剤は、回収ローラドクタ71で一定量に規制されるとともにトナーと磁性キャリアとが摩擦帯電される。
トナー回収ローラ40上の帯電した現像剤はトナー回収ローラ40の最大磁力強度の主極で穂立ちして感光体10の表面を被覆する被覆フィルムFに接触する。トナー回収ローラ40には現像剤中のトナーの帯電極性とは逆極性(プラス極性)のバイアス電圧が印加されており、トナー極性制御ローラ24によってマイナス極性に帯電極性が揃えられた被覆フィルムF上の転写残トナーを回収する。トナー回収ローラ40上の転写残トナーが混ざった現像剤は、剤離れ極にてトナー回収ローラ40表面から離間し、第三搬送スクリュ41によって搬送される現像剤の上方の剤面に落下する。これにより、被覆フィルムF上の転写残トナーを現像装置12内の現像剤に取り込むことができる。
【0062】
一方、第一搬送スクリュ1によって搬送される搬送路内の現像剤は、磁石が内蔵されている現像ローラ4の磁力によって、現像ローラ4の表面に汲み上げられる。図中矢印Dで示すように、図中時計回りに回転している現像ローラ4の表面に磁力で吸着した現像剤は、現像ドクタ70で一定量に規制されるとともにトナーと磁性キャリアとが摩擦帯電される。
現像ローラ4上の帯電した現像剤は現像ローラ4の最大磁力強度の主極で穂立ちして、現像位置で感光体10の表面を被覆する被覆フィルムFに接触する。現像ローラ4にはバイアス電圧が印加されており、感光体10上の静電潜像により選択的にトナーが被覆フィルムFの表面に付着して現像される。現像位置を通過した後の現像ローラ4上の現像剤は、剤離れ極にて現像ローラ4表面から離間し、第一搬送スクリュ1によって搬送される現像剤の上方の剤面に落下する。
なお、画像形成時に現像ローラ4及びトナー回収ローラ40の回転を開始させるタイミングは、被覆フィルムFの駆動ローラである第一フィルム張架ローラ201や感光体10の回転駆動を開始させるタイミングと一致する。
【0063】
次に、実施形態2の現像装置12が備えるトナー回収ローラ40及び現像ローラ4に対する印加バイアスについて説明する。
図5は、トナー回収ローラ40への印加バイアスの一例を示す説明図であり、図6は、現像ローラ4への印加バイアスの一例を示す説明図である。図5及び図6では、縦軸が感光体10、トナー回収ローラ40及び現像ローラ4の各部材の表面電位であり、横軸は経過時間を示す。横軸のt〜tはそれぞれ、tは駆動開始のタイミング、tは感光体へのバイアス印加開始のタイミング(帯電ローラによって帯電された表面の先端がローラとの対向部に到達するタイミング)、tは感光体へのバイアス印加終了のタイミング(帯電ローラによって帯電された表面の後端がローラとの対向部に到達するタイミング)、tは、駆動終了のタイミングを示している。
また、図5及び図6中の実線で示す電位の変化は感光体10の表面電位の変化を示している。また、図5及び図6中のVaは帯電された感光体10表面の非画像部の電位(以下、非画像部電位Va)を示し、Vbは帯電された感光体10表面の画像部の電位(以下、画像部電位Vb)を示す。
さらに、図5中の破線で示す電位の変化はトナー回収ローラ40の表面電位の変化を示しており、図5中の斜線の領域は、マイナス極性のトナーが感光体10側からトナー回収ローラ40へと移動するように作用する電位差を示している。
また、図6中の破線で示す電位の変化は現像ローラ4の表面電位の変化を示しており、図6中の斜線の領域は、マイナス極性のトナーが現像ローラ4から感光体10側へと移動するように作用する電位差を示している。
【0064】
図5及び図6に示すように、この一例では、感光体10の非画像部電位Vaは−650[V]、画像部電位Vbは−50[V]としている。図5に示すように、トナー回収ローラ40のバイアス印加による表面電位は+150[V]である。トナー回収ローラ40に対するバイアス印加の開始及び終了は、トナー回収ローラ40の駆動開始のタイミング(t)及び駆動終了のタイミング(t)である。このようにバイアス印加を行うことにより、被覆フィルムF上にあるマイナス極性の転写残トナーがトナー回収ローラ40側に引き付けられ、回収される。この際、主に非画像部には現像在中の磁性キャリアが感光体10側に引き付けられて被覆フィルムFに付着する電位差が生じる。これについては、トナー回収ローラ40の主極に希土類マグネットを使用することで160[mT]の強磁力とし(現像ローラ4の主極のフェライトマグネットは100[mT]程度)、キャリアの付着を抑えている。また、被覆フィルムFに磁性キャリアが付着した場合でも、トナー回収ローラ40と被覆フィルムFとが対向する位置よりも被覆フィルムFの移動方向下流側の現像位置で現像ローラ4によって被覆フィルムF上のキャリアは現像容器12a内に回収される。
【0065】
一方、図6に示すように、現像ローラ4のバイアス印加による表面電位は、−500[V]であって、プラス極性方向について、感光体10の非画像部電位Vaよりも高電位であり、感光体の画像部電位Vbよりも低電位である。現像ローラ4に対するバイアス印加の開始及び終了は、一般的な電子写真の現像バイアスのタイミングである。このようなバイアス印加を行う事により、現像ローラ4上の現像剤中のマイナス極性のトナーが感光体10の画像部(静電潜像部)に引き付けられ、被覆フィルムF越しに付着して現像される。なお、ここで説明した印加バイアスの値は固定ではなく、ユーザーの使用環境などにより制御される。なお、トナー回収ローラ40の表面電位と現像ローラ4表面電位との間には、数百[V]の電位差があるが、第一仕切り版43によって絶縁されている。
【0066】
なお、実施形態2の複写機500は、実施形態1と同様にパターン濃度センサ6やトナー濃度センサ5の出力に基づいて、現像装置12に対するトナーの補給を制御している。
【0067】
〔実施形態3〕
上述した実施形態1及び実施形態2の複写機500では、転写位置Bを通過した被覆フィルムFは記録媒体であるシートSと分離した後、感光体10の表面から分離する構成である。ループ状の被覆フィルムFを備える構成としては、転写位置Bを通過した被覆フィルムFがシートSとともに感光体10の表面から分離する構成であってもよい。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、ループ状の潜像担持体被覆フィルムによって少なくとも現像位置では感光体表面を被覆し、転写位置を通過した潜像担持体被覆フィルムが記録媒体とともに潜像担持体の表面から分離する、本発明の三つ目の実施形態(以下、実施形態3と呼ぶ)について説明する。
【0068】
図7は、実施形態3に係る複写機500全体の概略構成図である。図8は、実施形態3の複写機本体部100の感光体10近傍である画像形成部の転写位置Bで被覆フィルムFとシートSとが対向する状態の説明図である。また、図9は、実施形態3の複写機500が備える熱定着装置22の拡大説明図である。
実施形態3の複写機500は、ループ状の被覆フィルムFを熱定着装置22まで掛けまわす構成と、極性制御手段を備えていない構成とが実施形態1の複写機500と異なり、他の構成は共通するため、共通する構成についての説明は省略し、相違点について説明する。
【0069】
実施形態3の複写機500が備える被覆フィルム搬送装置20は、実施形態1及び実施形態2と同様に、ループ状の被覆フィルムFと、第一フィルム張架ローラ201、第二フィルム張架ローラ202、第三フィルム張架ローラ203、及び、第四フィルム張架ローラ204を備え、感光体10の表面移動に合わせて被覆フィルムFを無端移動させる。また、実施形態3の被覆フィルム搬送装置20でも第一フィルム張架ローラ201が駆動ローラである。
【0070】
被覆フィルム搬送装置20によって搬送される被覆フィルムFは、巻きつけローラ81の表面を経て感光体10表面に密着するように巻きつけられ、感光体10の表面を被覆する。すなわち、実施形態3も、実施形態1と同様に巻きつけローラ81と感光体10とが対向する位置が潜像担持体被覆フィルム巻きつけ位置となる。被覆フィルムFはこの巻きつけローラ81の押圧力とにより、感光体10に張り付いてそのまま下流へと搬送され、感光体10の表面を被覆した状態で現像位置及び転写位置Bを通過する。さらに、本実施形態3の複写機500は、図7及び図9に示すように転写位置Bを通過した被覆フィルムFは熱定着装置22の定着ニップも通過する。
被覆フィルムFのループの内側には感光体10、帯電ローラ8、及び、レーザ書込装置47が配置され、さらに、熱定着装置22の加熱ローラ30が配置されている。また、被覆フィルムFのループの外側には現像装置12と転写装置13とが配置され、さらに、熱定着装置22の加圧ローラ32が配置されている。そして、現像装置12の現像ローラ4、転写装置13の転写ベルト17、及び、熱定着装置22の加圧ローラ32が被覆フィルムFに外接し、熱定着装置22の加熱ローラ30が被覆フィルムFに内接している。
また、実施形態1の被覆フィルム搬送装置20では、第三フィルム張架ローラ203が被覆フィルムFに内接しているが、本実施形態3では第三フィルム張架ローラ203が被覆フィルムFに外接する構成である。
【0071】
実施形態3の複写機500を用いてコピーを行うときの原稿内容の読み込みから、感光体10表面上の被覆フィルムFの表面上にトナー像を形成するまでの工程は実施形態1の複写機500と同様である。また、シートカセット61内や手差しトレイ67上のシートSが、感光体10の右側へと送り込まれるまでの工程も実施形態1の複写機500と同様である。
【0072】
感光体10の右側へと送り込まれたシートSは、転写位置Bで感光体10表面を被覆し、表面にトナー像が形成された被覆フィルムFと重なり合う。実施形態3の複写機500は、転写ローラ7には不図示のバイアス印加装置によって転写バイアスが印加されており、転写位置Bで感光体10との間に転写電界を形成している。転写位置BでシートSと対向したトナー像は、図8に示すように、被覆フィルムFとシートSとの間に挟まれた状態となるが、静電的には転写電界によって感光体10を被覆する被覆フィルムFの表面からシートSへと移動した状態となり、シートS上のトナー像が転写された状態となる。トナー像が転写された後のシートSは、被覆フィルムFとともに感光体10から離れて、熱定着装置22へと搬送される。
【0073】
実施形態3の複写機500では感光体10表面と加熱ローラ30との間で被覆フィルムFが張架されている。このため、転写位置Bでは被覆フィルムFはシートSの搬送方向と同じ方向に配置された加熱ローラ30の方向に引っ張られ、シートSとともに感光体10の表面から分離する。このような実施形態3の複写機500では、加熱ローラ30と感光体10との間で被覆フィルムFを張架する構成が潜像担持体被覆フィルム分離手段として機能する。
なお、転写位置Bで被覆フィルムFが分離した感光体10の表面は不図示の除電装置によって残留電位が除去され、帯電ローラ8から始まる次の画像形成に備える状態となる。
【0074】
一方、トナー像が転写され、被覆フィルムFとともに熱定着装置22へと搬送されたシートSは、被覆フィルムFとともに加熱ローラ30と加圧ローラ32とによって形成される定着ニップに通される。熱定着装置22では被覆フィルムF及びシートSがこれらのローラに搬送されながら、熱と圧力とが印加されてシートSに対してトナー像が定着される。
実施形態3の複写機500では定着ニップよりも表面移動方向下流側の加熱ローラ30の表面と第三フィルム張架ローラ203との間で被覆フィルムFが張架されている。このため、被覆フィルムFはシートSの搬送方向とは異なる方向に配置された第三フィルム張架ローラ203の方向に引っ張られ、被覆フィルムFが加熱ローラ30の表面に沿ってシートSから分離する。定着ニップを通過して、被覆フィルムFと分離したシートSは排出ローラ35を通過して、排出スタック部39上に排出されてスタックされる。また、定着ニップを通過して、シートSと分離した被覆フィルムFは各張架ローラによって張架される位置を通過して、巻きつけローラ81の表面を経て再び感光体10表面に密着するように巻きつけられ、感光体10の表面を被覆する。この工程を繰り返して作像が続けられる。
【0075】
本実施形態3の複写機500では、感光体10の表面移動方向について、現像装置12の現像ローラ4と感光体10表面とが対向する現像位置からトナー像が感光体10の上からシートSに移動する転写位置Bまでの間は、感光体10の表面を被覆フィルムFが被覆している。そして、転写位置Bで被覆フィルムFは感光体10の表面からトナー像と共に分離する。また、感光体10の表面からトナー像とともに分離した被覆フィルムFは熱定着装置22を通過し、各張架ローラによる張架位置を通過した後に、潜像形成後で現像前の感光体10の表面に再び巻きつく構成である。このような構成により、複写機500ではトナー像は感光体10を被覆する被覆フィルムF上に形成され、感光体10の表面にトナーが直接付着することが無い。このため、感光体10の表面をクリーニングする感光体クリーニング手段が不要である。
なお、本実施形態3の複写機500は、感光体と現像装置とをそれぞれ一つずつ備えるモノクロの画像形成装置であるが、一つの感光体に4つの現像装置を配置したフルカラーの画像形成装置であっても、感光体表面に潜像担持体被覆フィルムを巻きつける構成は適用可能である。
【0076】
熱定着装置22では熱がかけられるため、被覆フィルムFが定着装置まで掛けまわされている構成では、被覆フィルムFとシートSとの分離性、及び、被覆フィルムFと加熱ローラ30との分離性が懸念される。
しかし、本実施形態3の複写機500では、特に対策を行わなくてもシートSや加熱ローラ30に対して良好に分離することが可能であったため、大きな懸念とはならないと考えられる。
【0077】
まず、被覆フィルムFと加熱ローラ30との分離性については、被覆フィルムFがループ上になったおり、さらに、転写等の作像工程で被覆フィルムFに対してテンションがかかっていないと画像不良が発生するため被覆フィルムFにはある程度のテンションがかかっていると考えられる。そして、加熱ローラ30よりも被覆フィルムFの移動方向下流側に配置された第三フィルム張架ローラ203からの引張力により被覆フィルムFを加熱ローラ30から物理的な力で分離させることができるものと考えられる。
また、被覆フィルムFとシートSとの分離性については、シートSが被覆フィルムFと分離するときには被覆フィルムFは上述したように作像工程内でテンションがかかった状態でループを形成しているため、シートSと被覆フィルムFとが分離する位置では被覆フィルムFが加熱ローラ30と一体となっていると考えられる。このとき、本実施形態3の被覆フィルムFと加熱ローラ30との関係は、従来の定着装置の定着ベルトと加熱ローラとの関係と同等と考えることができる。このため、本実施形態3の複写機500では被覆フィルムFとシートSとの分離は、従来の定着装置における定着ベルトと記録媒体との分離お堂ように、極率分離や分離板を利用して分離することが可能である。
【0078】
また、実施形態3の複写機500では、熱定着装置22でシートSと分離した被覆フィルムF上にオフセットトナーが残ると次の現像、帯電工程でも被覆フィルムFの表面がオフセットトナーにより汚れていることになり、現像性や帯電性等、不具合を起こす可能性がある。
ここで、熱定着装置22において、加熱ローラ30、または、加圧ローラ32の離型性が不良であると、一部のトナーが加熱ローラ30、または、加圧ローラ32に付着してオフセットが発生する。
潜像担持体被覆フィルムを備えない従来の画像形成装置の定着装置としては、定着ローラや加圧ローラで良好な離型性が得られるように、これらの外周に離型層を形成し、この離型層にシリコーンオイルを塗布するオイル塗布ローラを設けた構成が公知となっている。
しかし、このような構成ではオフセットが発生するのを完全に防止することが困難である。そして、微量なオフセットトナーが定着ローラ又は加圧ローラに残留して、オイル塗布ローラの表面がトナーや紙粉で汚損され、経時使用によってオイル塗布ローラによるオイル塗布量が低下又は表面がオフセットトナーによって汚損することがある。オイル塗布ローラの表面が汚損すると、その汚損のオフセットトナーが定着ローラ又は加圧ローラに逆転写されて記録紙に画像汚れを発生するという問題があった。
【0079】
このような問題は、特開平7-234600号公報や特開平9-6173号公報に記載された定着装置の構成により改善することができる。
特開平7-234600号公報に記載の定着装置は、オイル塗布ローラが、発泡体によって形成されたローラ基体に、定着ローラ又は加圧ローラの離型層と同質のフッ素樹脂に無数の微細な孔を設けた表層を設け、ローラ基体にシリコーンオイルを充填し、さらにオイル塗布ローラの表面をクリーニングするクリーニング部材を設けたものである。
また、特開平9-6173号公報に記載の定着装置は、オイル塗布ローラの表面をクリーニングするクリーニングローラと、このクリーニングローラの外周面に付着した異物を除去するブレードとを設けたものである。
そして、本実施形態3の複写機500の熱定着装置22は、これらの公報に記載の構成の原理を用いて検討した構成である。図9に示すように、本実施形態3の複写機500の熱定着装置22は、上述した公報の定着ローラに相当する加熱ローラ30側に被覆フィルムFが巻きついており、加圧ローラ32に微量オイル塗布ローラ82が接触し、さらに、微量オイル塗布ローラ82にクリーニングローラ83が接触する構成となっている。
このような構成により、オフセットの発生を防止することができ、経時に渡って良好な画像形成を行うことができる。
【0080】
なお、本実施形態3の複写機500では、熱定着装置22でシートSから分離した被覆フィルムFが再び感光体10に巻きつきまでの間に、被覆フィルムFの表面をクリーニングする構成は備えていない。実施形態3のように被覆フィルムFが熱定着装置22を通過する構成であってもシートSから分離した被覆フィルムFが再び感光体10に巻きつきまでの間に被覆フィルムFの表面をクリーニングするクリーニング手段を備える構成であってもよい。
このクリーニング手段の一例としては、第三フィルム張架ローラ203をクリーニングローラとして、被覆フィルムFの表面のオフセットトナーを除去するように構成してもよい。このような構成の場合、被覆フィルムF上のオフセットトナーは熱定着装置22を通過するときに柔らかくなっているため、クリーニングローラでふき取るような構成で簡単に除去することができる。なお、被覆フィルムFのクリーニング手段としては、このような構成に限るものではなく、熱定着装置22を通過した後の被覆フィルムF上のオフセットトナーを除去することができるものであれば、どのような構成であってもよい。
【0081】
〔実施形態4〕
上述した実施形態3の複写機500では、熱定着装置22の定着部をループ状の被覆フィルムFが通過する構成で、加熱部材がローラ状の加熱ローラ30を用いた構成である。定着部を構成する加熱部材としてはローラ状の部材に限るものではない。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、ループ状の潜像担持体被覆フィルムによって少なくとも現像位置の感光体表面を被覆し、転写位置を通過した潜像担持体被覆フィルムが記録媒体とともに潜像担持体の表面から分離する、潜像担持体被覆フィルムを記録媒体とともに定着装置を通過する構成で、加熱部材がローラ形状とは異なる構成である本発明の四つ目の実施形態(以下、実施形態4と呼ぶ)について説明する。
図10は、実施形態4の複写機本体部100が備える熱定着装置22の拡大説明図である。
実施形態4の複写機500は、熱定着装置22の加熱部材の構造が実施形態3の複写機500と異なり、他の構成は共通するため、共通する構成についての説明は省略し、相違点について説明する。
【0082】
本実施形態3の熱定着装置22は、図10で示すように、ヒータ支持部材92に支持された板状の加熱体91を備えるセラミックヒータ90を加熱部材として備えている。被覆フィルムFは加熱体91と対向する位置に加圧ローラ32を備え、加熱体91と加圧ローラ32との間で定着ニップ形成している。さらに、熱定着装置22は、定着ニップに対して被覆フィルムFの移動方向上流側に定着入口ローラ93を備え、定着ニップに対して被覆フィルムFの移動方向下流側に定着出口ローラ94を備える。
【0083】
被覆フィルムFは、エンドレスベルト状の耐熱フィルムであり、ヒータ支持部材92に固定支持させて配設した加熱体91に対して並列して配置された定着入口ローラ93と定着出口ローラ94とによって張架されている。被覆フィルムFは、これら2つのローラ(93、94)と、各張架ローラ(201〜204)、巻きつけローラ81、及び、感光体10によって、テンションが掛けられた状態で張架されている。また、被覆フィルムFは感光体10から未定着トナーを担持したシートSに密着してシートSとともに熱定着装置22に進入するため、未定着トナーを担持したシートSがシワや蛇行、速度遅れなく熱定着装置22を通過することができる。
加圧ローラ32はシリコンゴム等の離型性のよい弾性層を有するローラ部材であり、被覆フィルムFを挟んで加熱体91に当接し、不図示の付勢手段によって、例えば、総圧39.2[N]〜9.8[N]の当接圧をもって対向圧接させて定着ニップを形成している。
また、複写機500で用いる被覆フィルムFは、繰り返してトナー画像の加熱定着に供されるため、耐熱性、離型性、耐久性に優れ、さらに、厚みの薄いものが望ましい。
【0084】
本実施形態4の加熱体91を構成する平面基板は、アルミナ等の高熱伝導度且つ高電気抵抗率を有する材料からなっており、厚み0.6[mm]、幅10[mm]、長さ310[mm]であり、加熱体91の被覆フィルムFと接触する表面には長手方向(図10中の紙面手前奥方向)に延在する抵抗発熱体を具備する。
ヒータ支持部材92は例えばPPS(ポロフェニレンサルファイド)、PAI(ポリアミドイミド)、PI(ポリイミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、液晶ポリマー等の高耐熱性樹脂や、これらの樹脂とセラミクス、金属、ガラス等の複合材料などで構成できる。本実施形態4に係る熱定着装置22が備えるセラミックヒータ90は、立ち上がり時に最大電力を供給することによって、シートS上のトナー画像を定着させるに足る所定温度近傍まで加熱体91を加熱する。
【0085】
上述した実施形態3の複写機500が備える熱定着装置22のように加熱部材である加熱ローラ30に被覆フィルムFを張架させる構成であると、被覆フィルムFはトナーを定着させる定着ニップの領域だけでなく、加熱ローラ30に張架されるために加熱ローラ30の表面に接触している領域全体で加熱された状態となり、被覆フィルムFに対して熱による不要なダメージを与えるおそれがある。
一方、本実施形態4のセラミックヒータ90が定着ニップでのみ被覆フィルムFを加熱するように、被覆フィルムFを局所的に加熱する構成であれば、加熱に起因する被覆フィルムFに対するダメージが小さくなる。また、加熱ローラによって加熱する構成に比べて、定着の立ち上がり時間が短縮できる。
【0086】
なお、熱定着装置22としては、トナー像を加熱してシートSに定着させる定着ニップを通過した被覆フィルムFを冷却する冷却手段を備える構成であっても良い。
図11は、図10を用いて説明した実施形態4の熱定着装置22に冷却手段としてのヒートシンク95を備える構成の熱定着装置22の拡大説明図である。
図11に示す熱定着装置22では、定着ニップを通過したトナー像を担持するシートSヒートシンク95によって被覆フィルムFごと冷却する。ヒートシンク95との対向部を通過した被覆フィルムFは、定着出口ローラ94に対して被覆フィルムFの移動方向下流側に配置された第三フィルム張架ローラ203の方向に引っ張られ、定着出口ローラ94の表面に沿ってシートSから分離する。
【0087】
次に、冷却した後に被覆フィルムFとシートSとを分離させる構成についてより詳しく説明する。
加熱、加圧されてベルト状の被覆フィルムFに密着したシートSは被覆フィルムFの移動に伴い冷却部であるヒートシンク95との対向部に搬送される。冷却部では被覆フィルムFの裏面にヒートシンク95を接触させて、被覆フィルムFとともに密着しているシートSの熱エネルギーを吸収している。そして、ヒートシンク95が備えるフィン表面には空気を通し、空気中に熱エネルギーを放出する。すなわち、被覆フィルムF及びシートSからヒートシンク95へ、更に、空気中へと連続して熱エネルギーを移動させて、シートSを所定温度に冷却している。
そして被覆フィルムFとシートSとを所定温度まで冷却した後に、被覆フィルムFからシートSを分離する。このように、被覆フィルムFとシートSとを所定温度まで冷却した後に分離させる。これにより、トナー、および、用紙表面の樹脂をそれぞれのガラス転位点温度の近くまで冷却することで被覆フィルムF表面の鏡面性を写し取って高光沢なプリントに仕上げることができ、シートS上のトナー像に対して光沢化処理を施すことができる。
【0088】
一方、十分に冷却しないで被覆フィルムFからシートSを分離した場合には、分離時にトナー、および、シートS表面の樹脂が被覆フィルムFに対する付着力によって被覆フィルムFに引っ張られ、シートSの表面やトナー像の表面に微小な凹凸が連続的に発生して、光沢度が低くなってしまう。光沢度が安定する温度域では、トナー、および、シートS表面の樹脂は冷却することで凝集力が大きくなるため、被覆フィルムFからシートSを分離する際にこれらの樹脂が分断して被覆フィルムF表面に残ることもなく、被覆フィルムFの表面を常に鏡面状態に維持することができる。
以上のように、被覆フィルムFと加熱後、冷却することで高光沢画像を得ることが可能となり、さらに、冷却することでシートSと被覆フィルムFとの良好な分離が可能となる。
また、本実施形態4の複写機500では被覆フィルムFをループ状として、被覆フィルムFを繰り返し使用する構成であるため、冷却することで、定着後、再び作像部へ被覆フィルムFが到達するときに熱を持っておらず、現像装置12内の現像剤や感光体10など作像部の温度が上がって起こる不具合を防止することができる。
【0089】
実施形態4の熱定着装置22のように加熱部材がローラ状ではない構成であっても、実施形態3の熱定着装置22と同様に、加圧ローラ32に対して微量オイル塗布ローラ82やクリーニングローラ83を配置する構成であってもよい。
また、図11に示すように、定着位置を通過した後の被覆フィルムFを冷却する冷却手段を備える構成は、実施形態4のように加熱部材がセラミックヒータである構成に限らず、実施形態3のように加熱ローラの構成など、加熱定着を行う構成であれば適用可能である。
【0090】
上述した実施形態1〜4では、感光体10の表面移動方向について静電潜像が形成される潜像形成位置よりも下流側、且つ、現像位置よりも上流側となる位置に巻きつけローラ81を配置し、被覆フィルムFを感光体10の表面と密着させて、感光体10の表面を被覆する構成である。感光体10の表面を被覆する位置は、現像位置よりも上流側であればよく、帯電ローラ8によって一様帯電される一様帯電位置と静電潜像形成位置との間や、一様帯電位置よりも上流側であってもよい。しかし、上述した実施形態1〜4のように、帯電及び静電潜像の形成が成された感光体10の表面を被覆フィルムFで被覆することにより、一様帯電時や静電潜像の形成時に被覆フィルムFの影響がなく、比較的に高画質な画像形成を行うことができる。
【0091】
以上、上述した各実施形態の複写機500は、表面移動する潜像担持体である感光体10と、感光体10表面を一様帯電する帯電手段である帯電ローラ8と、感光体10上に静電潜像を形成する潜像形成手段であるとレーザ書込装置47と、感光体10上に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成するトナー像形成手段である現像装置12とを備え、少なくとも現像装置12によってトナー像が形成されるトナー像形成位置でである現像位置で、潜像担持体被覆フィルムである被覆フィルムFが感光体10表面を被覆するように被覆フィルムFを感光体10の表面に巻きつける被覆フィルム巻きつけ手段である巻きつけローラ81と被覆フィルムFによって被覆された感光体10の表面が再び巻きつけローラ81によって被覆フィルムFを巻きつけられる位置に到達する前に、感光体10の表面を被覆した状態で現像位置を通過した被覆フィルムFを感光体10表面から分離させる被覆フィルム分離手段と、現像位置で被覆フィルムF上に形成されたトナー像を記録媒体であるシートSに転写する転写手段である転写装置13とを備え、感光体10表面から分離した被覆フィルムFを再び感光体10表面に巻きつけるように、被覆フィルムFを無端ループ状に構成している。このため、ロール状の被覆フィルムFを感光体10表面上に巻きつける構成のように感光体10表面上に巻きつける被覆フィルムFが無くなることは無いので、複写機500を大型化することなく、被覆フィルムFの交換の負担を軽減できる。また、少なくとも現像位置からシートSにトナー像を転写する転写位置Bまでは感光体10の表面上を被覆フィルムFが被覆するため、感光体10の表面に直接トナーが付着することがなく、感光体10をクリーニングする構成が不要となり、感光体10の長寿命化を図ることができる。
なお、ロール状の被覆フィルムFを感光体10表面上に巻きつける構成で、被覆フィルムFをシートSに貼り付けず、トナー像が定着されたシートSのみを排出する構成では、感光体10から分離した被覆フィルムFを回収するスペースが必要であるが、本発明を適用した各実施形態の複写機500であれば、被覆フィルムFがループ状で繰り返し使用するため、被覆フィルムFを回収するスペースも不要となり、省スペースとなる。また、被覆フィルムFがループ状ではない構成に比べて、被覆フィルムFの補充や廃棄などのユーザーメンテナンスと、経済的な負担を軽減することができる。
なお、実施形態1及び実施形態2の複写機500では、第三フィルム張架ローラ203と感光体10との間で被覆フィルムFを張架する構成が潜像担持体被覆フィルム分離手段として機能する。
また、実施形態3の複写機500では、加熱ローラ30と感光体10との間で被覆フィルムFを張架する構成が潜像担持体被覆フィルム分離手段として機能し、実施形態4の複写機500では、定着入口ローラ93と感光体10との間で被覆フィルムFを張架する構成が潜像担持体被覆フィルム分離手段として機能する。
【0092】
また、上述した各実施形態の複写機500は、巻きつけローラ81は、レーザ書込装置47によって潜像が形成される潜像形成位置よりも感光体10の表面移動方向下流側で、現像位置よりも感光体10の表面移動方向上流側の感光体10の表面に被覆フィルムFを巻きつけ、被覆フィルム分離手段は、帯電ローラ8に一様帯電される一様帯電位置よりも感光体10の表面移動方向上流側で感光体10の表面から被覆フィルムFを分離させる構成である。この構成により、転写残トナーが微量に付着している可能性がある被覆フィルムFに対して、被覆フィルムF越しに感光体10を一様帯電するのではなく、被覆フィルムFが巻きつく前に感光体10を帯電することで、帯電によってトナー添加剤が被覆フィルムFに固着すること回避することができる。さらに、被覆フィルムFが巻きつく前に感光体10に書き込み光3を照射して静電潜像を形成することで、フィルム越しに露光するよりもシャープな潜像が得られる。
【0093】
また、実施形態1及び実施形態2の複写機500の転写装置13は、転写位置Bで被覆フィルムFを挟んで感光体10との間で転写ニップを形成する転写ローラ7を備え、転写ニップの入口側では被覆フィルムFとシートSとがそれぞれ進入し、転写ニップではシートSが被覆フィルムFを介して潜像担持体に当接して感光体10と転写ローラ7との間に形成される転写電界によって被覆フィルムF上のトナー像がシートSに移動し、転写ニップの出口側では感光体10の表面を被覆する被覆フィルムFに対してシートSが分離し、その後、感光体10の表面から被覆フィルムFが分離するため、被覆フィルムFが感光体10から分離するときには、被覆フィルムFがトナー像の載ったシートSから離れているので、被覆フィルムFを感光体10から分離するときの剥離放電によるトナー像の乱れを防ぐことができる。
【0094】
また、実施形態3及び実施形態4の複写機500の転写装置13は、転写位置Bで被覆フィルムFを挟んで感光体10との間で転写ニップを形成する転写ローラ7を備え、転写ニップの入口側では被覆フィルムFとシートSとがそれぞれ進入し、転写ニップではシートSが被覆フィルムFを介して潜像担持体に当接して感光体10と転写ローラ7との間に形成される転写電界によって被覆フィルムF上のトナー像がシートSに移動し、転写ニップの出口側では被覆フィルムFがシートSとともに感光体10から分離するため、被覆フィルムFが感光体10から分離するときには、トナー像の載ったシートSと被覆フィルムFとがトナー像を挟んで密着しているので、被覆フィルムFを感光体10から分離するときの剥離放電によるトナー像の乱れを防ぐことができる。
【0095】
また、実施形態3及び実施形態4の複写機500は、シートSとともに転写ニップを通過した被覆フィルムFは、シートS上にトナー像を加熱して定着する熱定着装置22の定着部である定着ニップにシートSとともに進入し、定着ニップを通過した後にシートSから分離する。特に、実施形態3の複写機500では、被覆フィルムFが感光体10から加熱ローラ30まで張架されているため、被覆フィルムFに密着して移動するシートSの転写位置から定着位置までの搬送経路が安定し、シワなどの定着異常の発生を抑制することができる。また、特に、実施形態4の複写機500では、被覆フィルムFが感光体10から定着ニップの下流側の定着出口ローラ94まで張架されているため、被覆フィルムFに密着して移動するシートSの転写位置から定着位置までの搬送経路が安定し、シワなどの定着異常の発生を抑制することができる。
【0096】
また、実施形態3の熱定着装置22は内部に熱源を備えた加熱ローラ30と、加熱ローラ30に接触して加圧する加圧ローラ32とを備え、加熱ローラ30と加圧ローラ32との接触部で定着部としての定着ニップを形成することにより、加熱ローラ30に被覆フィルムFを掛けまわして、被覆フィルムFを従来の定着装置の定着ベルトのように用いることができ、安定した定着を実現することができる。また、加熱ローラ30に被覆フィルムFを掛けまわすことで、加熱ローラ30に沿った被覆フィルムFの曲率と、シートSの腰の強さとによって従来の定着装置の定着ベルトと転写紙との分離と同様に、被覆フィルムFとシートSとを容易に分離することができる。
【0097】
また、実施形態4の熱定着装置22は、定着部である定着ニップで被覆フィルムFに対向し、被覆フィルムFの移動方向に直交する方向に延在する板状の加熱体91を備える。被覆フィルムFの移動方向の加熱体91の長さは定着ニップのニップ幅と略同じであり、加熱部材の加熱ローラ30に被覆フィルムFを掛けまわして、被覆フィルムFと加熱ローラ30とが接触する領域の全域で被覆フィルムFを加熱するローラ定着に比べて、局部的に加熱するため被覆フィルムFへのダメージが少なくてすむ。さらに、被覆フィルムFは薄いため熱容量が低く、待機時の加熱が不要となり、消費電力を抑えることができ、定着の立ち上がり時間を短縮できる。
【0098】
また、実施形態4の図11を用いて説明した熱定着装置22は、定着ニップよりも被覆フィルムFの移動方向下流側、且つ、被覆フィルムFがシートSから分離する位置よりも上流側で被覆フィルムFを冷却するフィルム冷却手段であるヒートシンク95を有するため、シートS上のトナー像が冷却され固化した後に被覆フィルムFとシートSとを分離させることができる。これにより、定着後の被覆フィルムFとシートSとの分離性の向上をはかることができる。さらに、繰り返し使用される被覆フィルムFが定着で加熱されたまま作像部へ到達することに起因する問題の発生を抑制することができる。
【0099】
また、ループ状の被覆フィルムFを備える複写機500では、実施形態1に記載のように、被覆フィルムFが感光体10表面から分離した後、且つ、シートSへのトナー像の転写が終わった後、再び感光体10表面に巻きつけられるまでの間の被覆フィルムF表面上の転写残トナー等の異物をブレードやブラシ等の機械的な摺擦によって除去するフィルムクリーニング手段を配置してもよい。フィルムクリーニング手段を設けることによって、表面に異物が付着した被覆フィルムFが作像工程や転写工程に至ることで生じる不具合を防止することができる。
また、実施形態3及び実施形態4の複写機500のように、被覆フィルムFをシートSとともに定着まで回す構成では、被覆フィルムFが感光体10表面から分離し、さらに、熱定着装置22を通過した後、再び感光体10表面に巻きつけられるまでの間の被覆フィルムF表面上のオフセットトナー等の異物を除去するフィルムクリーニング手段を配置してもよい。これにより、オフセットトナーとして被覆フィルムFに残ったトナーを除去することで、被覆フィルムFを繰り返し使用するときの不具合の発生を防止することができる。
なお、実施形態3や実施形態4の複写機500のように、被覆フィルムFをシートSとともに定着まで回す構成では、従来の定着ベルトを備えた定着装置で定着ベルトのクリーニングが不要なものがあるのと同様に被覆フィルムFのクリーニングを行わなくてよい場合があり得る。
【0100】
また、実施形態1及び実施形態2の複写機500は、被覆フィルムFが感光体10表面から分離した後、且つ、シートSへのトナー像の転写が終わった後、再び感光体10表面に巻きつけられるまでの間の被覆フィルムF表面上に存在するトナーの帯電極性を現像装置12内の現像剤に含まれるトナーと同極性のマイナス極性に揃える極性制御手段である現像回収補助ブラシ23やトナー極性制御ローラ24を備える。転写残トナーとして被覆フィルムFに残ったトナーを現像装置12内の現像剤中のトナーと同極性にすることで、現像位置で転写残トナーを回収することができ、転写残トナーとして回収したトナーを破棄することで、無駄になるトナーを無くし、ユーザーの経済的負担を低減することができる。
なお、被覆フィルムF上のトナーの極性を揃えるものであれば、現像装置12で回収する構成に限らず、被覆フィルムF上の転写残トナーを静電的に除去することができる。被覆フィルムF上の転写残トナーを静電的に除去することで、潜像に忠実な現像を行うことができる。
【0101】
また、実施形態1の複写機500は、極性制御手段として、トナー像形成で用いられるトナーである現像装置12内の現像剤中のトナーと同極性のマイナス極性の電圧が印加されたブラシローラ状の現像回収補助ブラシ23を備えることで、被覆フィルムF上のトナーの帯電極性をマイナス極性に揃えることができる。
【0102】
また、実施形態2の複写機500は、極性制御手段として、トナー像形成で用いられるトナーである現像装置12内の現像剤中のトナーと同極性のマイナス極性の電圧が印加されたローラ状のトナー極性制御ローラ24を備えることで、被覆フィルムF上のトナーの帯電極性をマイナス極性に揃えることができる。さらに、帯電手段としてローラ状の帯電ローラ8を備え、帯電ローラ8とトナー極性制御ローラ24とが共通のローラ部材であるで、製品コストが下がり、ユーザーの経済的負担を低減することができる。
【0103】
また、実施形態2の複写機500は、トナー極性制御ローラ24が被覆フィルムF表面上に存在するトナーの帯電極性を所定の帯電極性に揃える位置よりも被覆フィルムFの移動方向下流側で、現像位置よりも被覆フィルムFの移動方向上流側で、マイナスの帯電極性となったトナーを回収するフィルム上トナー回収手段を構成するトナー回収ローラ40を備えることにより、転写残トナーとして被覆フィルムF上に残ったトナーを現像前に回収することができるので、現像装置12内で良好に帯電したトナーによる潜像に忠実な現像を行うことができる。
【0104】
また、実施形態2の複写機500は、トナー回収ローラ40は、現像位置に対して感光体10の表面移動方向上流側で被覆フィルムFによって被覆された感光体10に対向するようにトナー像形成手段である現像装置12内に配置された回転可能なスリーブ部材と、スリーブ部材の内部に配置され複数の磁極を備えるマグネットローラとを備え、さらに、フィルム上トナー回収手段を構成する装置として、トナー回収ローラ40のスリーブ部材に所定の帯電極性とは逆極性のマイナス極性の電圧を印加する電圧印加手段としての不図示のトナー回収電圧印加電源を備える。このような構成では、トナー回収ローラ40のスリーブ部材のみが回転することによって、マグネットローラの磁極によって形成される汲み上げ極の磁力で該スリーブ部材表面上に汲み上げられた現像剤を被覆フィルムFとの対向部に搬送し、この対向部において、スリーブ部材に印加されたプラス極性のバイアスによって、被覆フィルムF表面上でマイナスの帯電極性となったトナーをスリーブ部材表面上の現像剤内に取り込むことができる。そして、この被覆フィルムF上のトナーを取り込んだ現像剤をスリーブ部材の回転によってマグネットローラの磁極によって形成される剤離れ極まで搬送して現像装置12内の現像剤中に落とすことで、転写残トナーを再利用する構成を実現することができる。このため、転写残トナーが再び現像に寄与し、無駄になるトナーを無くし、ユーザーの経済的負担を低減することができる。
【0105】
また、実施形態2の複写機500では、トナー回収ローラ40のスリーブ部材が被覆フィルムFによって被覆された感光体10に対向する位置におけるスリーブ部材の表面移動方向が、被覆フィルムFの表面移動方向に対して逆方向(図4中の矢印E方向)となるようにスリーブ部材が回転することにより、トナー回収ローラ40の表面上に担持される現像剤の磁気穂の移動方向が被覆フィルムFの移動方向に対して反対方向となり、トナー回収ローラ40上の現像剤がカウンタで被覆フィルムFに接触するため、被覆フィルムF上の転写残トナーの回収を良好に行うことができる。これにより、転写残トナーをより確実に回収し、潜像に忠実な現像を行うことができる。なお、実施形態2の現像装置12は現像位置での現像ローラ4のスリーブ部材の表面移動方向が、被覆フィルムFの表面移動方向に対して順方向(図4中の矢印D方向)となるようにスリーブ部材が回転することにより、現像ローラ4の表面上に担持される現像剤の磁気穂の移動方向が被覆フィルムFの移動方向に対して順方向となる。
【符号の説明】
【0106】
1 第一搬送スクリュ
2 第二搬送スクリュ
3 書き込み光
4 現像ローラ
5 トナー濃度センサ
6 パターン濃度センサ
7 転写ローラ
8 帯電ローラ
10 感光体
12 現像装置
12a 現像容器
13 転写装置
15 第一張架ローラ
16 第二張架ローラ
17 転写ベルト
20 被覆フィルム搬送装置
21 レジストローラ
22 熱定着装置
23 現像回収補助ブラシ
24 トナー極性制御ローラ
30 加熱ローラ
32 加圧ローラ
35 排出ローラ
39 排出スタック部
40 トナー回収ローラ
41 第三搬送スクリュ
43 第一仕切り板
44 第二仕切り板
47 レーザ書込装置
48 回転多面鏡
49 ポリゴンモータ
50 走査光学系
53 光源
54 ミラー
55 結像用光学レンズ
56 イメージセンサ
57 コンタクトガラス
61 シートカセット
62 呼出ローラ
63 供給ローラ
64 分離ローラ
66 シート搬送ローラ
67 手差しトレイ
68 手差し給紙部
70 現像ドクタ
71 回収ローラドクタ
90 セラミックヒータ
81 巻きつけローラ
82 微量オイル塗布ローラ
83 クリーニングローラ
91 加熱体
92 ヒータ支持部材
93 定着入口ローラ
94 定着出口ローラ
95 ヒートシンク
100 複写機本体部
200 画像読取装置
201 第一フィルム張架ローラ
202 第二フィルム張架ローラ
203 第三フィルム張架ローラ
204 第四フィルム張架ローラ
300 シートバンク
400 自動原稿搬送装置
500 複写機
B 転写位置
C シート搬送装置
F 被覆フィルム
S シート
R シート搬送路
R1 供給路
R2 手差し供給路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】
【特許文献1】特開2008−032851号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面移動する潜像担持体と、
該潜像担持体表面を一様帯電する帯電手段と、
該潜像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
該潜像担持体上に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成するトナー像形成手段とを備えた画像形成装置であって、
少なくとも上記トナー像形成手段によってトナー像が形成されるトナー像形成位置で潜像担持体被覆フィルムが上記潜像担持体の表面を被覆する該潜像担持体被覆フィルムを該潜像担持体表面に巻きつける被覆フィルム巻きつけ手段と、
該潜像担持体被覆フィルムによって被覆された該潜像担持体表面が該被覆フィルム巻きつけ手段によって再び潜像担持体被覆フィルムを巻きつけられる位置に到達する前に、該潜像担持体表面を被覆した状態で該トナー像形成位置を通過した該潜像担持体被覆フィルムを該潜像担持体表面から分離させる被覆フィルム分離手段と、
該トナー像形成位置で該潜像担持体被覆フィルム上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段とを備え、
該潜像担持体表面から分離した該潜像担持体被覆フィルムを再び該潜像担持体表面に巻きつけるように、該潜像担持体被覆フィルムを無端ループ状に構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記被覆フィルム巻きつけ手段は、上記潜像形成手段によって潜像が形成される潜像形成位置よりも該潜像担持体の表面移動方向下流側で、上記トナー像形成位置よりも該潜像担持体の表面移動方向上流側の上記潜像担持体の表面に上記潜像担持体被覆フィルムを巻きつけ、
上記被覆フィルム分離手段は、上記帯電手段によって一様帯電される一様帯電位置よりも該潜像担持体の表面移動方向上流側で該潜像担持体の表面から該潜像担持体被覆フィルムを分離させる構成であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置において、
上記転写手段は、上記潜像担持体被覆フィルムを挟んで上記潜像担持体との間で転写ニップを形成する転写ローラを備え、
該転写ニップの入口側では該潜像担持体被覆フィルムと記録媒体とがそれぞれ進入し、該転写ニップでは記録媒体が該潜像担持体被覆フィルムを介して該潜像担持体に当接し、該転写ニップの出口側では該潜像担持体の表面を被覆する該潜像担持体被覆フィルムに対して記録媒体が分離し、その後、該潜像担持体の表面から該潜像担持体被覆フィルムが分離することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または2の画像形成装置において、
上記転写手段は、上記潜像担持体被覆フィルムを挟んで上記潜像担持体との間で転写ニップを形成する転写ローラを備え、
該転写ニップの入口側では該潜像担持体被覆フィルムと記録媒体とがそれぞれ進入し、該転写ニップでは記録媒体が該潜像担持体被覆フィルムを介して該潜像担持体に当接し、該転写ニップの出口側では該潜像担持体被覆フィルムが記録媒体とともに該潜像担持体から分離することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
記録媒体とともに上記転写ニップを通過した上記潜像担持体被覆フィルムは、記録媒体上にトナー像を加熱して定着する定着装置の定着部に記録媒体とともに進入し、該定着部を通過した後に記録媒体から分離することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5の画像形成装置において、
上記定着装置は内部に熱源を備えた加熱ローラと、該加熱ローラに接触して加圧する加圧ローラとを備え、
該加熱ローラと該加圧ローラとの接触部で上記定着部としての定着ニップを形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5の画像形成装置において、
上記定着装置は、上記定着部で上記潜像担持体被覆フィルムに対向し、該潜像担持体被覆フィルムの移動方向に直交する方向に延在する板状の加熱体を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記定着部よりも上記潜像担持体被覆フィルムの移動方向下流側、且つ、該潜像担持体被覆フィルムが記録媒体から分離する位置よりも上流側で該潜像担持体被覆フィルムを冷却するフィルム冷却手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記潜像担持体被覆フィルムが上記潜像担持体表面から分離した後、再び該潜像担持体表面に巻きつけられるまでの間の該潜像担持体被覆フィルム表面上の異物を除去するフィルムクリーニング手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記潜像担持体被覆フィルムが上記潜像担持体表面から分離した後、再び該潜像担持体表面に巻きつけられるまでの間の該潜像担持体被覆フィルム表面上に存在するトナーの帯電極性を所定の帯電極性に揃える極性制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10の画像形成装置において、
上記極性制御手段はトナー像形成で用いられるトナーと同極性の電圧が印加されたブラシローラ状の極性制御ブラシを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項10の画像形成装置において、
上記帯電手段はローラ状の帯電ローラを備え、
上記極性制御手段はトナー像形成で用いられるトナーと同極性の電圧が印加されたローラ状の極性制御ローラを備え、
該帯電ローラと該極性制御ローラとが共通のローラ部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項10または12の画像形成装置において、
上記極性制御手段が上記潜像担持体被覆フィルム表面上に存在するトナーの帯電極性を所定の帯電極性に揃える位置よりも該潜像担持体被覆フィルムの移動方向下流側で、上記トナー像形成位置よりも該潜像担持体被覆フィルムの移動方向上流側で、所定の帯電極性となったトナーを回収するフィルム上トナー回収手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13の画像形成装置において、
上記フィルム上トナー回収手段は、上記トナー像形成位置に対して上記潜像担持体の表面移動方向上流側で上記潜像担持体被覆フィルムによって被覆された該潜像担持体に対向するように上記トナー像形成手段である現像装置内に配置された回転可能なスリーブ部材と、
該スリーブ部材の内部に配置され複数の磁極を備えるマグネットローラと、
該スリーブ部材に上記所定の帯電極性とは逆極性の電圧を印加する電圧印加手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項14の画像形成装置において、
上記スリーブ部材が上記潜像担持体被覆フィルムによって被覆された該潜像担持体に対向する位置における該スリーブ部材の表面移動方向が、該潜像担持体被覆フィルムの表面移動方向に対して逆方向となるように該スリーブ部材が回転することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−210689(P2010−210689A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53924(P2009−53924)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】