説明

画像形成装置

【課題】登録されている出力禁止画像を含む画像を出力する際に、登録されている出力禁止画像と完全に一致しなくても、出力禁止条件に適合する画像であれば、出力を適切に禁止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿を読み取り画像データを生成する画像読取部14と、画像読取部14で読み取った第1の画像データである出力禁止画像を登録する画像登録部15と、画像登録部15に登録された前記第1の画像データの出力禁止条件を設定する条件設定部16と、画像読取部14で読み取った第2の画像データ、即ち読み取った原稿画像に、条件設定部16で設定された出力禁止条件の範囲内で前記第1の画像データ、即ち出力禁止画像が含まれるか否かを判定する画像比較解析部18と、画像比較解析部18で含まれると判定された場合には、前記第2の画像データの出力を禁止する出力制御部19とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正な画像データの出力を防止する機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラー画像処理技術の発達により、コピーした画像とオリジナルの画像とを見分けるのが容易ではなくなってきている。そのため、近年のカラー複写機には、不正利用防止の観点から、紙幣や有価証券を複写できないようにする機能が備わっている。
【0003】
即ち、新しい紙幣や個別の機密文書に対応するため、複写を禁止する文書に含まれる特定の文字列や複写禁止の画像を個々に別途登録し、複写する文書からそれらを抽出した場合には複写を禁止する機能を持つ技術がある。
【0004】
ここで、例えば特許文献1では、原稿画像データを解析して、予め任意に設定されている複数の設定文字列、設定画像と一致する文字列、画像の存在を解析し、ユーザ名およびパスワードが予め任意に設定されているユーザ名およびパスワードでない場合等には、原稿画像データの出力を禁止する画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−57895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来技術では、別途登録した複写禁止画像については、完全一致の場合しか検出できないため、少し異なっていた場合に複写禁止として検出されないという問題があった。さらに、複写禁止文書でないにもかかわらず複写禁止を示す画像と一致或いは類似した画像が本文中に含まれていたため、複写禁止と誤認識してしまい、複写されないことがあるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上述の技術的な課題に鑑み、登録されている出力禁止画像を含む画像を出力する際に、登録されている出力禁止画像と完全に一致しなくても、出力禁止条件に適合する画像であれば、出力を適切に禁止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述技術的な課題を解決するため、本発明の一態様による画像形成装置は、原稿を読み取って画像データを出力する画像形成装置において、原稿を読み取り画像データを生成する画像読取部と、画像読取部で読み取った第1の画像データを登録する画像登録部と、画像登録部に登録された第1の画像データの出力禁止条件を設定する条件設定部と、画像読取部で読み取った第2の画像データに、条件設定部で設定された出力禁止条件の範囲内で第1の画像データが含まれるか否かを判定する画像比較解析部と、画像比較解析部で含まれると判定された場合には、第2の画像データの出力を禁止する出力制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る画像形成装置によれば登録されている出力禁止画像を含む画像を出力する際に、登録されている出力禁止画像と完全に一致しなくても、出力禁止条件に適合する画像であれば、出力を適切に禁止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】出力条件管理テーブルの構成例を示す図である。
【図3】画像形成装置の入力・表示部による表示画面の構成例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置による出力禁止画像登録モード時の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置による複写時の動作を詳細に説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図7】出力条件管理テーブルの構成例を示す図である。
【図8】画像形成装置の入力・表示部による表示画面の構成例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置による出力禁止画像登録モード時の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置による複写時の動作を詳細に説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の画像形成装置に係る好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の画像形成装置は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。
【0012】
[第1の実施形態]
図1には本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示し説明する。
この図1に示されるように、画像形成装置1は、制御部11、入力・表示部12、印刷部13、画像読取部14、画像登録部15、条件設定部16、画像保存部17、画像比較解析部18、出力制御部19を備えている。
【0013】
このような構成において、制御部11は、画像形成装置1全体の制御を司るものであって、中央演算処理装置(CPU ;Central Processing Unit)11aとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ11bを備える。CPU11aは、メモリ11bに記憶されているプログラムを読み出し実行することで実際の制御や演算を行うものであり、その際にメモリ11bは一時記憶領域等としても利用される。
【0014】
入力・表示部12は、従来の入力装置と表示装置の特徴を併せ持つタッチパネル等により構成されている。ユーザが、表示画像上の所定の領域に触れると、入力・表示部12は所定の制御信号を出力し、該操作の内容を制御部11に伝達する。また、入力・表示部12は、その表示機能により、画像形成装置1の処理状況やユーザへの情報の表示、ユーザに対話的に選択させるため設定可能な印刷設定情報の表示を行う。印刷設定情報には、印刷部数、用紙・原稿サイズの指定、濃度等がある。また、入力・表示部12は、出力禁止画像の登録のための読み取りを行うか、コピーのための読み取りを行うか等といった設定のほか、通常出力のためのコピーやスキャン等の操作入力や、コピー部数、濃度、出力方法等のパラメータ設定要求を受け付けるようになっている。
【0015】
画像読取部14は、原稿台に置かれた原稿を光学的に読み取り、画像データを生成するものである。画像登録部15は、出力禁止画像として登録するために読み取られた画像の登録を行う。即ち、画像登録部15は、出力禁止画像の登録のための読み取りの際に、画像読取部14からの画像データが送られ、この送られた画像データを条件設定部16で設定された条件と対応付けて画像保存部17に保存する。
【0016】
条件設定部16は、画像登録部15で登録された画像が含まれる画像データの出力禁止条件(又は出力許可条件)を設定する。例えば、「Confidential」が赤字で書かれた画像が出力禁止条件として登録された場合、「Confidential」という文字列はインクの都合などで欠けることがある為、例えば90%以上一致していたら出力を禁止するように範囲を設定することができる。また、インクの都合や保存状態で多少色が変わっていても出力は禁止されるが、黒字のような明らかな色違いは出力を許可するといった具合に色も設定することができる。機密文書は文書の右上に「Confidential」という印を押すことになっている場合には、右上以外の「Confidential」は違う用途で使われているとして出力は許可するといった条件も登録することができる。以上の条件の一部は、図2のNo.1の条件に相当するものであるが、その詳細については後述する。尚、出力許可条件については、第2の実施形態において説明する。
【0017】
画像保存部17は登録された出力禁止画像と出力禁止条件とをペアで保存する。この保存のための出力条件管理テーブルの例は、後に図2を参照して詳述する。
【0018】
画像比較解析部18は、出力のために読み取られた画像データに出力禁止画像が含まれているか否かを解析する。より具体的には、画像比較解析部18は、画像保存部17に保存されている出力禁止画像が、出力のために読み込んだ画像データに含まれているか否かを比較・解析することになる。出力制御部19は、この画像比較解析部18の比較解析結果に基づいて画像の出力を制御するものである。即ち、出力制御部19は、画像比較解析部18で出力禁止と判断された場合には、その旨を入力・表示部12に表示し、一方、画像比較解析部18で出力可能と判断された場合には、印刷部13に印刷を指示し、画像読取部14で読み取った画像データを印刷部13に送る。印刷部13は、この画像データに印刷のための画像処理を施し、印刷を行う。
【0019】
図2には画像保存部17に保存されている画像と条件の出力条件管理テーブルの構成例を示し説明する。この図2に示される管理テーブルにおいて、番号(No.)は、管理番号であると共に保存されている画像のファイル名に対応している。従って、この番号から保存してある出力禁止画像及び出力禁止条件を一意に決定することができる。
【0020】
範囲は画像の一致している範囲を示す。100%は登録されている画像と同じ画像が含まれていることを示す。75%以上、90%以上のように段階的に一致範囲が設定されるようになっている。これは、例えば印鑑の端の方のように出力禁止画像によっては多少欠落する場合がある為、欠落しても含まれていたら出力禁止と扱うための設定である。
【0021】
ここでの出力禁止画像との一致の判定は、出力禁止画像と画像読取部14にてスキャナで読み取った画像の画素を比較することによって行う。即ち、登録されている全ての出力禁止画像と読み取った画像の画素を比較して、両者が一致しているか否かの判断を行うことになる。設定されている範囲の条件が100%の場合は、読み取った画素が1画素でも違った場合に「一致せず」と判断する。設定されている範囲の条件が100%以外の場合は、例えば70%の場合は登録画像の横幅分の画素数の30%を超える画素を読み取っても連続して一致する箇所が出現しなかった場合に「一致せず」と判断する。以上の判断は画像比較解析部16が実施するようになっている。
【0022】
これを一般的に表現すると、n%の場合は登録画像の横幅分の(100−n)%を超えても連続して一致する箇所(画素)が現れなければ「一致せず」と判断される。連続して一致する箇所(画素)が出現した場合、その後の読み取りで登録されている出力禁止画像と異なる画素が検出された瞬間に「一致せず」と判断する。つまり、印鑑の端の欠落の例のように、70%一致しているという範囲の条件が設定されている場合は、70%の部分は連続して完全一致していなければ「一致せず」と判断される。以上の判断は画像比較解析部16が実施するようになっている。
【0023】
色は色の誤差の許容範囲を示す。色と形の両方が同じ場合は○、色落ち・変色等により多少の色違いが発生する場合は△、色は関係ない場合は×として管理される。ここで、△の設定がなされた場合の多少の色違いとは、色の一致判断において各色要素の輝度の差が例えば20%未満であることを示す。但し、これには限定されない。登録画像の各画素における輝度と、読み込んだ画像のうち比較対象となる画素の輝度との差が20%以上である画素が存在した場合は、画像比較解析部16により「一致せず」と判断される。×の場合は登録画像と原稿が白黒画像として比較され一致を判定する。白黒の区別は読取り範囲を走査し、輝度分布に応じた閾値を用いる等とする。
【0024】
サイズは拡大縮小可能なサイズの許容範囲を示す。100%は多くの金券のようにサイズが異なる場合に文書としての意味が無くなってしまうものに指定される。他には75%〜150%、50%〜200%等が指定でき、この範囲に収まる拡大縮小であれば、画像比較解析部16により出力禁止として取り扱われるようになっている。
【0025】
図3には画像形成装置の入力・表示部12による表示画面の構成例を示し説明する。
【0026】
この図3に示される例では、表示画面100の表示エリアは、大きく3つに分割されている。左側はモード切替エリア101、右上はメッセージ表示エリア102、右下はパラメータ入力エリア103となっている。
【0027】
左側のモード切替エリア101では、「コピー」ボタン101a、「Scan To」ボタン101b、「FAX」ボタン101c、「登録」ボタン101dをタップすることで、コピー、Scan To、FAX、出力禁止画像登録の各モードの切り替えを行うことができる。コピーモードではコピーを行えるようになる。Scan Toモードでは、その後の画面切り替えで表示されるサブメニューで、読み取った画像データの送り先としてUSB(Universal Serial Bus)メモリ、E-mail、ネットワークPC等を指定することができる。FAXモードではFAXの送受信を行うことができるようになる。図3において網掛け示されている登録ボタン101dは、出力禁止画像を登録する出力禁止画像登録モードに設定するボタンであり、ここでは、網掛け表示により現在登録モードが選択されていることを示している。
【0028】
右上のメッセージエリア102は、この画像形成装置1の状態やユーザへのメッセージの表示と詳細なパラメータの設定、スキャン開始など制御の実行受付を行う。現在は出力禁止画像登録モードであり、画像形成装置1はユーザが登録したい出力禁止画像の原稿をセットするのを待つ状況であるため、「登録できます」のメッセージと原稿サイズや背景色指定のパラメータを設定する「詳細設定」ボタン102a、出力禁止画像の読み取り開始のための「スキャン開始」ボタン102bが表示されている。
【0029】
右下のパラメータ入力エリア103では先に図2で説明した出力禁止条件を設定することができる。例えば、範囲の下の「100%」と表示されている領域103aに触れると75%、90%などといった具合に範囲が選択可能となる。色の場合も同様に「○」と表示されている領域103bに触れると「○」、「△」、「×」を指定することができる。更にサイズの場合も同様に「100%」と表示されている領域103cに触れるとサイズを指定することができる。これらの指定がなされると、入力・表示部12から制御部11に通知がなされ、制御部11から条件設定部16に設定情報が通知さる。条件設定部16はこれら設定情報に基づいて出力禁止条件の設定を行う。
【0030】
以下、図4のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置による出力禁止画像登録モード時の処理手順を詳細に説明する。
【0031】
まず入力・表示部12より画像形成装置1を出力禁止画像登録モードに設定する(S101)。具体的には、図3に示した表示画面100のモード切替エリア101の「登録」ボタン101dがユーザによりタップされると、制御部11は出力禁止画像登録モードに移行するよう制御する。
【0032】
続いて、入力・表示部12より登録する画像に対する出力禁止条件を設定する(S102)。より具体的には、図3に示した表示画面100のパラメータ入力エリア103の各領域103a乃至103cをタップすることで、範囲、色、サイズが定められると、制御部11は、その情報を条件設定部16に出力条件管理テーブルに管理のために送出する。条件設定部16は、この情報に基づいて出力禁止条件を設定する。
【0033】
次に原稿台に置かれた原稿を画像読取部14が読み取る(S103)。このとき、原稿のサイズ指定、背景色指定などの変更があれば事前に入力・表示部12より入力する。そして、画像登録部15は、読み取った画像データを指定されたサイズ、背景色などのパラメータに応じて加工し、システムに一意に定められるファイル名を付与して登録可能な状態にする(S104)。続いて、画像登録部15は、読み取った画像データを画像保存部17に保存し、条件設定部16に該画像保存部17に保存された画像データのファイル名を通知する(S105)。この通知により、先に設定された出力禁止条件と出力禁止画像とが対応付けられることになる。即ち、条件設定部16は、S102で設定された出力禁止条件をS105で保存した画像データに関連付けて画像保存部17に記録する(S106)。こうして、出力禁止画像登録モード時における一連の処理を終了する。
【0034】
次に、図5のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置による複写時の動作を詳細に説明する。
【0035】
先ず入力・表示部12より画像形成装置1をコピーモードに設定する(S111)。より具体的には、図3に示した表示画面100のモード切替エリア101の「コピー」ボタン101aがユーザによりタップされると、制御部11はコピーモードに移行するように制御する。続いて、原稿台に置かれた原稿を画像読取部14が読み取る(S112)。このとき、コピー部数、カラー・濃度調整、出力レイアウトの指定などの変更があれば事前に入力・表示部12より入力する。
【0036】
次いで、画像比較解析部18は読み取った画像に画像保存部17に保存された出力禁止画像がないか比較・解析する(S113)。この際、画像比較解析部18は、出力条件管理テーブルに従って、含まれる画像の範囲や、色の違いなどの出力禁止条件に沿って比較する。そして、画像比較解析部18は、読み取った画像中に出力禁止画像が含まれているか否かを判断し(S114)、出力禁止条件下で、読み取った画像中に出力禁止画像として登録されている画像が見つかった場合には、出力禁止条件に合致した時点で比較・解析を中断し、出力制御部19の制御の下、原稿台の原稿に係る画像データに出力禁止画像が含まれていたため印刷できない旨のメッセージを入力・表示部12に表示する(S115)。一方、最後(例えば、最後の画素まで)まで比較・解析しても出力禁止画像が見つからなかった場合は、出力制御部19の指示に従い、印刷部13が読み取った画像の印刷を行う(S116)。こうして、複写時の一連の動作を終了する。
【0037】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態は、原稿を読み取って画像データを出力する画像形成装置において、原稿を読み取り画像データを生成する画像読取部14と、画像読取部14で読み取った第1の画像データである出力禁止画像を登録する画像登録部15と、画像登録部15に登録された前記第1の画像データの出力禁止条件を設定する条件設定部16と、画像読取部14で読み取った第2の画像データ、即ち読み取った原稿画像に、条件設定部16で設定された出力禁止条件の範囲内で前記第1の画像データ、即ち出力禁止画像が含まれるか否かを判定する画像比較解析部18と、画像比較解析部18で出力不可と判定された場合には、前記第2の画像データの出力を禁止する出力制御部19とを有することを特徴とする。
【0038】
従って、本発明の第1の実施形態によれば、登録されている出力禁止画像を含む画像を出力する際に、登録されている画像と完全に一致しなくても出力禁止条件に適合する画像であれば出力を適切に禁止することができる。
【0039】
[第2の実施形態]
図6には本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の構成を示し説明する。
この図6に示されるように、画像形成装置1は、制御部11、入力・表示部12、印刷部13、画像読取部14、画像登録部15、条件設定部20、画像保存部21、画像比較解析部22、出力判断部23、出力制御部19を備えている。ここでは、図1と同一の構成については同一符号を用いて重複した説明を省略し、第1の実施形態に係る画像形成装置と異なる構成を中心に説明する。
【0040】
このような構成において、条件設定部20は出力許可条件も設定する。即ち、条件設定部20は、画像登録部15で登録された出力禁止画像が含まれる画像データであっても出力を許可する出力許可条件を設定する。画像保存部21は登録された出力禁止画像及び出力許可条件を対応付けて保存する。保存のための出力条件管理テーブルの例は、後に図7で説明する。
【0041】
画像比較解析部22は、出力のために読み取られた画像に画像保存部21に保存されている出力禁止画像が含まれていないかを比較・解析する。出力判断部23は、出力禁止画像が含まれていた場合に出力許可条件を満たしているかを判断する。即ち、画像比較解析部22で出力禁止画像が含まれると解析された画像の出力許可条件を調べ、出力許可条件を満たしている場合には出力可と、満たしていない場合に出力不可と判断する。
【0042】
図7には画像保存部21に保存されている画像と条件の管理テーブルの構成例を示し説明する。この図7に示される管理テーブルにおいて、番号(No.)は、管理番号であると共に保存されている画像のファイル名に対応している。従って、この番号から保存してある画像及び条件を一意に決定することができるようになっている。
【0043】
場所は読み取った原稿のうち出力禁止画像が含まれても良い場所を指定する。図7のNo.1の例では四隅に含まれていない場合は出力を許可する(出力許可条件)。換言すれば四隅に配置されていた場合のみ禁止するという設定であるとも言える。No.2の「×」は画像を含んでいたらいかなる場所にあっても許可しない設定を示す。本来は右上隅のように配置は決まっているが、原稿の回転を考慮するため、両像が四隅に含まれていた場合は出力禁止となり、内部あるいは中央辺付近に配置されていた場合が出力許可となる。より具体的には、No.1の例では、四隅の所定サイズの領域に出力禁止画像が含まれている場合には出力を許可するような制御がなされることになる。
【0044】
図8には、画像形成装置の入力・表示部12の表示画面の構成例を示し説明する。この例では、表示画面110は、大きく3つに分割されており、左側はモード切替エリア111、右上はメッセージ表示エリア112、右下はパラメータ入力エリア113となっている。尚、モード切替エリア111、メッセージ表示エリア112は、先に図3に示したエリア101,102と同様であるので、重複した説明は省略する。
【0045】
右下のパラメータ入力エリア113では、図7の説明において説明した出力許可条件を設定することができる。例えば、場所の下の「四隅以外」と表示されている領域113aに触れると「四隅」、「中央」、「×」などが選択可能となる。ここで、「中央」とは、四隅の場合とは逆に原稿の中心から例えば30%以内に含まれる場合を指す。先ほどのA4縦原稿の例では、左上端を(0mm,0mm)とすると、(42mm,59.4mm)、(42mm,237.6mm)、(168mm,59.4mm)、(168mm,237.6mm)の点の内側を中央とみなす。四隅の10%、中央の30%という割合は一例であり、一般的に考慮できる範囲内で変更可能であることは勿論である。
【0046】
以下、図9のフローチャートを参照して、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置による出力禁止画像登録モード時の処理手順を詳細に説明する。
【0047】
まず入力・表示部12より画像形成装置1を出力禁止画像登録モードに設定する(S201)。具体的には、図8に示した表示画面110のモード切替エリア111の「登録」ボタン111dがユーザによりタップされると、制御部11は出力禁止画像登録モードに移行するよう制御する。ここでは、出力禁止画像登録モード時に、出力許可条件も後述するように設定することが可能となっている。詳細は後述する。
【0048】
続いて、入力・表示部12より登録する画像に対する出力禁止条件、出力許可条件を設定する(S202)。より具体的には、第1の実施形態で説明したように出力禁止条件を設定すると共に、図8の画面110のパラメータ入力エリア113の領域113aをタップすることで、「四隅」、「中央」、「×」等といった場所に係る出力許可条件を設定することが可能となっている。出力許可条件の操作入力がなされると、入力・表示部12はその情報を制御部11に通知する。制御部11は、その情報を条件設定部20に送出し、条件設定部20は該情報に基づいて出力許可条件の設定を行う。
【0049】
次に原稿台に置かれた原稿を画像読取部14が読み取る(S203)。このとき、原稿のサイズ指定、背景色指定などの変更があれば事前に入力・表示部12より入力する。そして、画像登録部15は、読み取った画像データを指定されたサイズ、背景色などのパラメータに応じて加工し、システムに一意に定められるファイル名を付与して登録可能な状態にする(S204)。続いて、画像登録部15は、読み取った画像データを画像保存部21に保存し、条件設定部20に該画像保存部21に保存された画像データのファイル名を通知する(S205)。この通知により、先に設定された出力禁止条件、出力許可条件と出力禁止画像とが対応付けられる。即ち、条件設定部20は、S202で設定された出力禁止条件及び出力許可条件をS205で登録した画像データに関連付けて記録する(S206)。こうして、出力禁止画像登録モード時における一連の処理を終了する。
【0050】
次に、図10のフローチャートを参照して、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置による複写時の動作を詳細に説明する。
【0051】
先ず入力・表示部12より画像形成装置1をコピーモードに設定する(S211)。より具体的には、図8に示した表示画面110のモード切替エリア111の「コピー」ボタン111aがユーザによりタップされると、制御部11はコピーモードに移行するように制御する。続いて、原稿台に置かれた原稿を画像読取部14が読み取る(S212)。このとき、コピー部数、カラー・濃度調整、出力レイアウトの指定などの変更があれば事前に入力・表示部12より入力する。
【0052】
次に画像比較解析部22は、読み取った画像に画像保存部21に保存された出力禁止画像がないか比較・解析する(S213)。この際、画像比較解析部22は、画像保存部21の出力条件管理テーブルに従って、含まれる画像の範囲や、色の違いなどの出力禁止条件に沿って比較する。そして出力禁止画像が含まれているか否かを判断し(S214)、出力禁止条件下で、読み取った画像中に、出力禁止画像として登録されている画像が見つかった場合は、出力判断部23が見つかった画像の出力許可条件を図7の出力条件管理テーブルを参照して判断し(S215)、出力許可条件を満たす場合は、出力制御部19の制御の下、読み取った画像の印刷を行う(S216)。一方、出力許可条件を満たさなかった場合は、出力制御部19の制御の下、原稿台の原稿の画蔵データに出力禁止画像が含まれていたため印刷できない旨のメッセージを入力・表示部12に表示する(S217)。こうして一連の処理を終了する。
【0053】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態は、条件設定部20は、出力許可条件の設定を行い、出力判断部23は出力許可条件を満たすか否かを判断し、出力制御部19は画像比較解析部22により出力禁止条件の範囲内で前記第1の画像データ、即ち出力禁止画像が含まれていると判定された場合であっても、出力許可条件を満たす場合には第2の画像データの出力を許可することを特徴とする。
【0054】
従って、本発明の第2の実施形態によれば、出力禁止でない文書を出力する際に、登録されている出力禁止画像と一致あるいは類似した画像が含まれている場合であっても、登録されている条件に適合しなければ出力することができる。
【0055】
以上、本発明の第1及び第2の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、その主旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能である。
【0056】
即ち、上記実施形態ではコピー(Scan to Print/Printer)を例に説明したが、画像形成装置に着脱可能な外部記憶装置に読み取った画像データを保存する「Scan to USB Memory」や、読み取った画像を電子メールとして送信する「Scan to E-mail」、読み取った画像をネットワーク接続されたPCに保存する「Scan to Network PC」などのように、印刷を伴わない操作にも適用可能であることは勿論である。
【0057】
さらに、上記実施形態では、画像読取部14としてフラットベッド型を採用する例を用いて説明したが、登録時は読取り原稿のサイズを設定もしくは自動検出すればADF形式でも適用可能であることは勿論であり、その他、コピー、Scan to等の利用時はフラットベッド型と同様に適用可能であることは勿論である。
【0058】
また、上記実施形態では、出力条件設定を登録時に入力装置から行ったが、登録前に予め行っても登録後に事後に行ってもよく、ローカルパーソナルコンピュータ(PC)から行ってもよい。ローカルPCから行う方法としては、例えば、画像形成装置にウェブサーバを内蔵しておき、ローカルPCのウェブブラウザから画像形成装置にアクセスすることによって行う方法がある。
【0059】
さらに、上記実施形態では、単に出力禁止画像のある場所を指定し、指定の場所を探すだけとしたが、原稿の回転を考慮した場所も探すようにしてもよい。
【0060】
また、出力禁止画像として読み取る画像は、原稿読み込み時にプレスキャンを行い、プレビューを表示するなどしてから、出力禁止とする有効範囲を指定し、指定された範囲の画像だけを出力禁止画像として登録してもよい。
【0061】
さらに、上記実施形態では、入力装置と表示装置が一体型のタッチパネルを用いて説明したが、オペレータパネルなどの表示装置と、入力ボタン・キーボードなどの入力装置の組み合わせでもよいことは勿論である。
【0062】
そして、上記実施形態では、出力禁止画像が含まれていた場合に、その旨をタッチパネルに表示する方法をとったが、これに限定されず、登録されているE-Mailアドレスにメールで通知したり、出力禁止画像が含まれていることを示す印刷(メッセージを印刷、不可能部分を真っ黒にして印刷など)を行って通知したりしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置
2 画像形成装置
11 制御部
12 入力・表示部
13 印刷部
14 画像読取部
15 画像登録部
16 条件設定部
17 画像保存部
18 画像比較解析部
19 出力制御部
20 条件設定部
21 画像保存部
22 画像比較解析部
23 出力判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取って画像データを出力する画像形成装置において、
原稿を読み取り画像データを生成する画像読取部と、
前記画像読取部で読み取った第1の画像データを登録する画像登録部と、
前記画像登録部に登録された前記第1の画像データの出力禁止条件を設定する条件設定部と、
前記画像読取部で読み取った第2の画像データに、前記条件設定部で設定された出力禁止条件の範囲内で前記第1の画像データが含まれるか否かを判定する画像比較解析部と、
前記画像比較解析部で含まれると判定された場合には、前記第2の画像データの出力を禁止する出力制御部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記出力禁止条件として、範囲、色、サイズの少なくともいずれかのパラメータを設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記出力禁止条件として、範囲のパラメータが設定されている場合、前記画像比較解析部は、当該範囲がn%である場合は登録画像の横幅分の(100−n)%を超えても連続して一致する箇所が現れなければ一致せずと判断し、連続して一致する箇所が出現した場合、その後の読み取りで登録されている出力禁止画像と異なる画素が検出されたときに一致せずと判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記条件設定部は、出力許可条件の設定を行い、
前記出力制御部は、前記画像比較解析部により前記出力禁止条件の範囲内で前記第1の画像データが含まれていると判定された場合であっても、前記出力許可条件を満たす場合には前記第2の画像データの出力を許可することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記出力許可条件とは、前記第1の画像データが、前記第2の画像データの四隅の所定範囲内にある場合は出力を許可するとの条件であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記出力許可条件とは、前記第1の画像データが、前記第2の画像データの中央の所定範囲内にある場合は出力を許可するとの条件であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−212859(P2010−212859A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54931(P2009−54931)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】