説明

画像形成装置

【課題】感光体と現像ローラとの表面間距離を簡易な構造で、容易かつ高精度に調整できる。
【解決手段】第1枠体31a,31cに第1支持軸11c,11eについて回転可能に支持され、かつ、感光部11aの両側に第1テーパ面11dを有するテーパ部11bを備えた感光体11と、感光体11に対向し、第2支持軸32b,32cについて回転可能に、かつ、第2支持軸32b,32cと直交する方向に感光体11に対して接離する方向に移動可能に支持された現像ローラ32と、現像ローラ32の両側に第2支持軸32b,32cと同軸に配置され、第2支持軸32b,32cの軸方向に対して移動可能であって、第1テーパ面11dに当接する第2テーパ面36aを備えるコロ部材36と、コロ部材36を第2支持軸32b,32c上で移動させる移動手段35と、現像ローラ32を感光体11に向かって付勢する付勢手段37とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、現像ローラの両端部に、現像ローラと同軸のコロ(位置決めロール)を設け、現像ローラ側を感光体側に付勢させることで、現像ローラと感光体との表面間距離Dsを一定に保つ画像形成装置が知られている。
【0003】
この方式を採用する特許文献1の画像形成装置においては、表面間距離Dsの値はコロや現像ローラの寸法精度により決定されるため、表面間距離Dsの規格が厳しくなると、各部品に要求される精度も厳しくなり、高価な部品となってしまう。また、感光体や現像ローラの歪曲も考えられ、部品精度だけで表面間距離Dsを決定するのが困難になってきている。使用によってはコロと感光体の摩耗により表面間距離Dsが変化する可能性があり、このような場合に表面間距離Dsを補正するにはコロ交換等で対応しなければならないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−30064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、感光体上に形成された潜像を現像する現像手段を備えた画像形成装置において、感光体と現像ローラとの表面間距離の調整を簡易な構造で、容易、かつ、高精度に行うことができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段として、本発明の画像形成装置は、第1枠体に第1支持軸について回転可能に支持され、かつ、感光部の両側に第1テーパ面を有するテーパ部を備えた感光体と、前記感光体に対向し、第2枠体に第2支持軸について回転可能に、かつ、前記第2支持軸と直交する方向に前記感光体に対して接離する方向に移動可能に支持された現像ローラと、前記現像ローラの両側に前記第2支持軸と同軸に配置され、前記第2支持軸の軸方向に対して移動可能であって、前記第1テーパ面に当接する第2テーパ面を備えるコロ部材と、前記コロ部材を前記第2支持軸上で移動させる移動手段と、前記現像ローラを前記感光体に向かって付勢する付勢手段とを備えるようにしている。
【0007】
この構成によれば、感光体は第1枠体に回転可能に支持されている。現像ローラは第2枠体に回転可能に支持され、感光体に向かって付勢する付勢手段により付勢された状態で感光体に対向配置される。その付勢により、感光体の感光部の両端に第1テーパ面を有するテーパ部と、第2支持軸を挿入し、第2支持軸上で移動可能な現像ローラの両側に設けられた第2テーパ面を有するコロ部材とが当接し、感光体と現像ローラの表面間距離は一定に保持される。コロ部材を第2支持軸上で移動手段を用いて移動させることにより、感光体と現像ローラの表面間距離をコロ部材の第2支持軸上での移動量とテーパの角度に応じて変化させることができる。このようにすれば、感光体と現像ローラの表面間距離の調整を容易、かつ、高精度に行うことができる。
【0008】
前記移動手段は、前記第2支持軸を支持する内周面と、前記第2枠体の内部に設けられた第1ねじ部と螺合する第2ねじ部が設けられた外周面とを有する軸受であることが好ましい。この構成によれば、現像ローラを駆動すると、感光体に向かって付勢されている第2支持軸に同軸に挿入されているコロ部材の第2テーパ面が、感光体のテーパ部の第1テーパ面に当接することにより、コロ部材が第2支持軸上で現像ローラの外側方向に力が加えられる。その結果、コロ部材は第2支持軸上を移動し軸受と当接する。第2枠体の第1ねじ部に対して第2ねじ部により軸受を進退させると、コロ部材も軸受に当接した状態で進退する。コロ部材の第2テーパ面と、テーパ部の第1テーパ面は当接するので第2ねじ部による軸受の進退量に対応して第1支持軸と第2支持軸の距離が増減する。その結果、感光体と現像ローラの表面間距離の調整を容易、かつ、高精度に行うことができる。
【0009】
前記移動手段は、前記第2支持軸に設けられた第3ねじ部と螺合する第4ねじ部が内周面に設けられた前記コロ部材自身であることが好ましい。この構成により、コロ部材と第2支持軸のみの簡易な構造によって感光体と現像ローラの表面間距離の調整を容易、かつ、高精度に行うことができる。
【0010】
前記課題を解決するための手段として、本発明の画像形成装置は、第1枠体に第1支持軸について回転可能に支持され、かつ、前記第1支持軸方向に移動可能に設けられた感光体と、前記感光体に対向し、第2枠体に第2支持軸について回転可能であって、かつ、前記第2支持軸と直交し前記感光体に対して接離する方向に移動可能に支持された現像ローラと、前記現像ローラを前記感光体に向かって付勢する付勢手段と、前記付勢手段により前記現像ローラが前記感光体に向かって付勢された状態で、前記第1枠体と前記第2枠体との間に当接しつつ挟まるように、前記第1枠体または前記第2枠体に移動可能に取り付けられ、前記当接する部分が移動方向に対して傾斜面となっている調整部材とを備えるようにしている。
【0011】
この構成によれば、調整部材は、感光体を支持する第1枠体と現像ローラを支持する第2枠体との間に当接して挟まるように、かつ、移動可能なように設けられている。また、調整部材は移動方向に対して傾斜面を有しているので、調整部材が第1枠体と第2枠体との間に当接して挟まった状態で移動させると、第1枠体と第2枠体との間隔を変更することができる。これにより、感光体と現像ローラの表面間距離の調整を容易、かつ、高精度に行うことができる。
【0012】
前記第1枠体および前記第2枠体は互いに整合可能であって、前記付勢手段による付勢方向に対して傾斜した複数の端面を有しており、前記調整部材の傾斜面および前記複数の端面は、前記付勢手段により付勢された場合に複数組の当接部分を形成し、前記付勢手段の付勢力により当接部分に発生するずれ方向の力が互いに打ち消されるような向きに傾斜した面を有していることが好ましい。この構成により、感光体と現像ローラの相対位置をより容易に、かつ、高精度に決定し、また維持することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、感光体と現像ローラの表面間距離Dsの調整を、感光体や現像ローラ、あるいは両部品間に介在する部品の精度に依存することなく、容易、かつ、高精度に行うことができる。また、感光体に現像ローラを一旦装着した後であっても、テーパ面を有するコロ部材や調整部材を移動させることで、Dsを調整することができる。すなわち、長期間にわたる使用でコロ部材が磨耗したり、調整部材のずれが生じて表面間距離Dsが変化した場合であっても、コロ部材を移動させることで、表面間距離Dsを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる画像形成装置の全体構成の一例を示す概略図。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる画像形成装置の画像形成ユニットの一部を模式的に示す側面図。
【図3a】本発明の第1実施形態にかかる画像形成装置の感光ドラムと現像ローラの拡大図。
【図3b】本発明の第1実施形態にかかる画像形成装置の軸受のトナーカートリッジの枠体への螺合を示す一部断面図。
【図4a】本発明の第1実施形態にかかる画像形成装置の感光ドラムと現像ローラの表面間距離Dsを広げる手順を示す図。
【図4b】本発明の第1実施形態にかかる画像形成装置の感光ドラムと現像ローラの表面間距離Dsを狭める手順を示す図。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる画像形成装置の感光ドラムと現像ローラの拡大図。
【図6】本発明の第3実施形態にかかる画像形成装置の感光ドラムと現像ローラの拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
まず、図1を参照して本発明の第1実施形態にかかる画像形成装置の一例についてその構成及び画像形成動作の概略を説明する。この画像形成装置10は、フルカラーのレーザプリンタとして構成したもので、従来周知の感光ドラム(感光体)11、レーザ走査光学装置12、トナーカートリッジユニット13、中間転写ベルト14、定着装置15、給紙カセット16及び排紙トレイ17等を備えている。そして、感光ドラム11の周囲に、ブラシ帯電装置18、トナーカートリッジユニット13、1次転写ローラ19及びトナーのクリーニング装置20が配置されている。
【0017】
レーザ走査光学装置12は、光源としてのレーザダイオード、偏向手段としてのポリゴンミラー及びfθ光学素子等を内蔵した周知のもので、その制御部にはY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)ごとの印字データがホストコンピュータ(図示せず)から転送される。レーザ走査光学装置12は各色ごとの印字データに基づいて順次レーザビームを変調させ、感光ドラム11上を走査露光する。
【0018】
感光ドラム11は、矢印A方向に回転駆動され、以下に詳述するブラシ帯電装置18にて所定の表面電位に均一に帯電され、レーザ走査光学装置12のレーザビームの走査露光によって静電潜像が順次形成される。
【0019】
トナーカートリッジユニット13は、Y,M,C,Kの各色のトナーを内蔵したトナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kを一体的にユニット化し、支軸13aを支点として矢印B方向に回転可能である。このトナーカートリッジユニット13は感光ドラム11上に各色に対応する静電潜像が形成されるごとに、対応する色のトナーを内蔵したトナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kが現像領域へ配置されるように回転駆動され、静電潜像を所定の色のトナーで現像する。
【0020】
各トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kは、例えば、1成分非磁性トナーを用いた非接触現像方式によるもので、いわゆる反転現像が行われる。即ち、トナーは感光ドラム11の帯電極性と同極性に帯電されており、露光によって電位が低下した画像部に付着する。トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kの構成及び現像作用については以下に詳述する。
【0021】
中間転写ベルト14は回転自在な1次転写ローラ19や支持ローラ21を含むローラ群に無端状に張り渡され、矢印C方向に回転駆動可能とされている。そして、1次転写ローラ19に1次転写電圧を印加することにより、感光ドラム11上に形成されたトナー像が中間転写ベルト14上に1次転写される。この1次転写によって各色のトナー像が重ね合わされてフルカラーの画像となる。
【0022】
また、中間転写ベルト14には支持ローラ21で支持されている部分に2次転写ローラ22が回転自在に圧接されている。そして、用紙が中間転写ベルト14と2次転写ローラ22との間を通過する際、2次転写ローラ22に2次転写電圧を印加することにより、フルカラーのトナー像が用紙上に2次転写される。
【0023】
給紙カセット16からは給紙ローラ23によって用紙が1枚ずつ送り出され、該用紙はタイミングローラ24によって前記中間転写ベルト14上のトナー像と同期をとって2次転写位置へ搬送される。
【0024】
用紙上に2次転写されたトナー像は定着装置15で加熱定着され、該用紙は排出ローラ25にて排紙トレイ17上に排出される。
【0025】
なお、フルカラーの画像形成装置としては種々の基本形態があり、図1に示したレーザプリンタは一つの感光ドラム11の周囲に4つのトナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kを配置した4サイクル型である。しかし、本発明に係る画像形成装置は4サイクル型以外にも、4つの感光ドラムを中間転写ベルトに沿って並置したタンデム型など他の形態を採用したものであってもよい。
【0026】
また、フルカラーのレーザプリンタに限らず、モノクロの画像形成装置に本発明を適用することも可能である。また、トナーのみからなる現像剤を使用する1成分現像あるいはトナーとキャリアとの混合物からなる2成分現像のいずれであっても、本発明を適用することが可能である。
【0027】
図2は、本実施形態にかかる画像形成装置10の画像形成ユニット30を模式的に示す側面図である。
【0028】
画像形成ユニット30は、感光ドラム11を備えるドラムカートリッジユニット31と、周方向に所定の間隔をもって4つのトナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kを収容するトナーカートリッジユニット13を備えている。なお、図2では、簡略化のため、ドラムカートリッジユニット31と、4つのトナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kのうちの1つのみを示しているが、本実施形態の複合機はカラー印刷が可能であり、4サイクル方式により、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4つのトナーを用いたカラー印刷が可能なように構成されている。
【0029】
ドラムカートリッジユニット31は、画像形成装置10のケーシングに設けられたラックに対して着脱自在に装着され、内部に少なくとも感光体としての感光ドラム11、静電潜像形成手段を形成する帯電手段としてのブラシ帯電装置18などを備えている。
【0030】
トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kには、現像剤担持体としての現像ローラ32、層厚規制ブレード(図示せず)、供給ローラ(図示せず)及び現像剤としてのトナーが収容されている。
【0031】
図3aは、感光ドラム11と現像ローラ32の拡大図である。感光ドラム11は、感光部11a、テーパ部11b及び支持軸(第1支持軸)11cを備えている。感光部11aは、円柱形状である。テーパ部11bは、感光部11aの両側に連続して設けられており、第1テーパ面11dを有している。支持軸11cは、感光部11aの回転に対する中心軸と同軸にテーパ部11bの外側へ突出して設けられている。感光ドラム11の回転に対する中心軸に直交するある1方向から感光ドラム11を見たときに、支持軸11cの中心軸と、テーパ部11bの第1テーパ面11dが形成する外形線とがなすテーパ角θ1は鋭角(0<θ1<90°)である。感光ドラム11の支持軸11cは、ドラムカートリッジユニット31の枠体(第1枠体)31aに回転可能に支持されている。
【0032】
現像ローラ32は、現像部32a及び支持軸(第2支持軸)32bを備えている。現像部32aは、円柱形状である。支持軸32bは、現像部32aの回転に対する中心軸と同軸に外側へ突出して設けられている。
【0033】
現像ローラ32の支持軸32bは、トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kの枠体(第2枠体)13bに、後述する軸受35を介して回転可能に支持されている。本実施形態において、軸受35は移動手段である。
【0034】
図3bに示すように、軸受35は円筒形状であり、内周面(内輪)には、現像ローラ32の支持軸32bを支持軸32bの回転に対する中心軸と同軸に挿入し、摺動可能に支持する大きさの貫通孔35bが形成されている。軸受35の外周面(外輪)には、第2ねじ部35aが設けられている。軸受35は、外周面の第2ねじ部35aと、トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kの枠体13bの内部に設けられた第1ねじ部13cとが螺合することにより、トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kの枠体13bに支持されている。トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kの枠体13bは、現像ローラ32の支持軸32bが挿入された状態での軸受35を支持する。第2ねじ部35aには、おねじが切られている。第1ねじ部13cには、めねじが切られている。トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kの枠体13bの第1ねじ部13cに対する軸受35の第2ねじ部35aの回り止めとして、ナット38が枠体13bの支持軸32bの先端側に支持軸32bに螺合されて設けられている。ナット38は、第1ねじ部13cを有する枠体13bとともに、いわゆるダブルナットとしての機能を果たす。
【0035】
現像部32aの両側の支持軸32bには、現像部32aと軸受35の間に貫通孔36bを有するコロ部材36が現像ローラ32の支持軸32bと同軸に配置され、支持軸32bの軸方向に移動可能に挿入されている。コロ部材36には、第2テーパ面36aが設けられている。現像ローラ32の回転に対する中心軸に直交するある1方向からコロ部材36を見たときに、支持軸32bの中心軸と、コロ部材36の第2テーパ面36aが形成する外形線とがなすテーパ角θ2は鋭角(0<θ2<90°)である。コロ部材36の第2テーパ面36aのテーパ角θ2は、感光ドラム11のテーパ部11bのテーパ角θ1と同じである。コロ部材36は、弾性変形をしない強度を有する材料からなっており、従動性を求めるため、静摩擦係数の大きい材料が望ましい。例えば、デルリン(登録商標)、ジュラコンなどで知られるPOM(ポリオキシメチレン(ポリアセタール))やPC(ポリカーボネート)が望ましい。また、金属など他の材料からなっているものであってもよい。
【0036】
トナーカートリッジユニット13には、トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kの枠体13bと連結された複数のばね(付勢手段)37が設けられている。トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kは、トナーカートリッジユニット13から径方向外側へ付勢されるようになっている。ばね37は、トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kの現像ローラ32を感光ドラム11に向かって、現像ローラ32の両方の支持軸32bを通じて同じ力で付勢できるように同じバネ定数のものが使用されている。また、現像ローラ32の両方の支持軸32bを付勢するばね同士を結ぶ線と直交する方向における複数のバネ37によっても支持軸32bを挿入したコロ部材36を介して現像ローラ32を感光ドラム11に向かって確実に付勢できるようになっている。
【0037】
感光ドラム11上に各色に対応する静電潜像が形成されると、トナーカートリッジユニット13は回転駆動し、対応する色のトナーを内蔵したトナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kが現像領域へ配置される。この配置では、ばね37により、トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kが径方向外側へ付勢され、感光ドラム11のテーパ部11bの第1テーパ面11dと、コロ部材36の第2テーパ面36aとが当接する。そして、感光ドラム11と現像ローラ32は対向する。
【0038】
現像ローラ32の駆動時には、ばね37によりトナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kを通じて付勢されたコロ部材36の第2テーパ面36aから感光ドラム11のテーパ部11bに力が作用する。この力に対する感光ドラム11のテーパ部11bの第1テーパ面11dからの反力は、コロ部材36の第2テーパ面36aに垂直な方向に加えられる。その反力の支持軸32b方向の成分により、コロ部材36は支持軸32b方向で現像部32aの端面から離反する方向に付勢される。その結果、コロ部材36は軸受35に当接する。また、感光ドラム11のテーパ部11bの第1テーパ面11dと、コロ部材36の第2テーパ面36aも当接する。これらの当接により、感光ドラム11と現像ローラ32の表面間距離Dsは一定に維持される。
【0039】
次に、本発明にかかる画像形成装置10の感光ドラム11と現像ローラ32の表面間距離Dsの調整方法について説明する。
【0040】
感光ドラム11と現像ローラ32の表面間距離Dsは、感光ドラム11のテーパ部11bとコロ部材36の支持軸32b方向での相対的位置関係によって決定される。
【0041】
図4a及び図4bに示すように、感光ドラム11のテーパ部11bの第1テーパ面11dと、コロ部材36の第2テーパ面36aは当接している。そのため、当接線上のある1点Eから支持軸32bと直交する方向の支持軸32bの軸中心上の点までの距離をD1とした場合、軸受35を回転させることによりコロ部材36を支持軸32b上で進退させると、点Eから支持軸32b上の点までの距離D1は距離D2へと変化する。距離D2は、コロ部材36を現像ローラ32に接近させるとD1<D2になり,コロ部材36を現像ローラ32から離反させると、D1>D2になる。
【0042】
具体的には、図4aに示すように、軸受35mを回転させてコロ部材36mを、現像ローラ32mに接近するコロ部材36nの位置へ移動させると、現像ローラ32mは現像ローラ32nの位置へ、感光ドラム11から離反する方向へと移動する。その結果、表面間距離Dsは長くなる。反対に、図4bに示すように、軸受35pを逆に回転させてコロ部材36pを、現像ローラ32pから離反するコロ部材36qの位置へ移動させると、現像ローラ32pは、現像ローラ32qの位置へ、感光ドラム11に接近する方向へと移動する。その結果、表面間距離Dsは短くなる。このようにして、現像ローラ32の支持軸32bと直交する方向に、感光ドラム11に対して現像ローラ32を接離させることができる。
【0043】
感光ドラム11と現像ローラ32の表面間距離Dsの具体的な調整方法としては、まず、Dsの測定を行う。Dsの測定方法には、計測装置により測定する方法(レーザ等)、すき間ゲージにより測定する方法等が挙げられる。
【0044】
測定値が得られると、測定値から所望の表面間距離Ds値との差分を求め、その差分に対応した値となるように、ナット38を緩めた後、両方の軸受35を第2ねじ部35aのねじピッチを利用してそれぞれ逆方向に同じ量だけ移動させ、現像部32aの両側のコロ部材36と軸受35が当接する当接面間の距離Dwを調整する。表面間距離Dsの変動量Yは、軸受35すなわちコロ部材36の移動量Xとコロ部材36の第2テーパ面36aの角度θ2によって決定される。コロ部材36の支持軸32b上での移動量(調整量)Xに対し、Dsの変化量Yは、Y=Xtanθ2となる。Dwの調整後、現像ローラ32の駆動による軸受35のともまわりを防止するためにナット38で固定する。
【0045】
上記のようにすれば、感光体11と現像ローラ32との表面間距離Dsの調整を、感光体11や現像ローラ32、あるいは両部品間に介在する部品の精度に依存することなく、容易、かつ、高精度に行うことができる。また、感光体11に現像ローラ32を一旦装着した後であっても、第2テーパ面36aを有するコロ部材36を移動させることで、Dsを調整することができる。すなわち、長期間にわたる使用でコロ部材36が磨耗して表面間距離Dsが変化した場合であっても、コロ部材36を移動させることで、表面間距離Dsを補正することができる。
【0046】
図5は、本発明の第2実施形態にかかる画像形成装置の感光ドラム11と現像ローラ32の拡大図を示す。本実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0047】
本実施形態において、現像ローラ32は、現像部32a及び支持軸(第2支持軸)32cを備えている。支持軸32cは、現像部32aの回転に対する中心軸と同軸に外側へ突出して設けられている。支持軸32cには、第3ねじ部39が設けられている。第3ねじ部39は、現像部32aと支持軸32cの接続部分からコロ部材36zを挿入しナット38を締結して、Dsを調整できるだけの長さが設けてあればよく、支持軸32c全体に設けられてなくてもよい。第3ねじ部39には、おねじが切られている。
【0048】
コロ部材36zは、第1実施形態のコロ部材36の貫通孔36bが形成される表面に、さらに第3ねじ部39と螺合する第4ねじ部40が設けられている。第4ねじ部40には、めねじが切られている。本実施形態において、コロ部材36z自身は移動手段である。
【0049】
現像ローラ32の支持軸32cの第3ねじ部39と、コロ部材36zの第4ねじ部40とが螺合するので軸受35を設ける必要はないが、現像ローラ32の駆動によるコロ部材36zのともまわりを防止するためにコロ部材36zをナット38で固定する。この場合も、第4ねじ部40を有するコロ部材36zとナット38によってダブルナットとして固定する。
【0050】
トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kの枠体(第2枠体)13dの内部には、支持軸32cが摺動可能な大きさの貫通孔13eが形成されており、現像ローラ32の支持軸32cは貫通孔13eに挿入され、トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kの枠体13dに支持されている。
【0051】
本実施形態における感光ドラム11と現像ローラ32の表面間距離Dsの具体的な調整方法は、第1実施形態と同様に、一方のコロ部材36zのナット38に接する面と、他方のコロ部材36zのそれとの間の距離Dwの調整によるが、コロ部材36zを第1実施形態のように軸受35を介して移動させるのではなく、コロ部材36z自身のねじピッチを利用してそれぞれ逆方向に同じ量だけコロ部材36zを移動する。本実施形態における調整は、構造上、一旦、感光ドラム11と現像ローラ32の当接を解除して行う必要がある。Dwの調整後、現像ローラ32の駆動によるコロ部材36zのともまわりを防止するためにナット38で固定する。
【0052】
上記のようにすれば、感光体11と現像ローラ32との表面間距離Dsの調整を、感光体11や現像ローラ32、あるいは両部品間に介在する部品の精度に依存することなく、容易、かつ、高精度に行うことができる。また、感光体11に現像ローラ32を一旦装着した後であっても、第2テーパ面36aを有するコロ部材36zを移動させることで、Dsを調整することができる。すなわち、長期間にわたる使用でコロ部材36zが磨耗して表面間距離Dsが変化した場合であっても、コロ部材36zを移動させることで、表面間距離Dsを補正することができる。
【0053】
図6は、本発明の第3実施形態にかかる画像形成装置の感光ドラム11と現像ローラ32の拡大図を示す。本実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0054】
本実施形態において、感光ドラム11は、感光部11a及び支持軸(第1支持軸)11eを備えている。感光部11aは、円柱形状である。支持軸11eは、感光部11aの回転に対する中心軸と同軸に感光部11aの外側へ突出して設けられている。感光体支持部31bは、感光ドラム11の支持軸11eの軸方向に僅かに移動でき、ドラムカートリッジユニット31の枠体(第1枠体)31cの一部となるように連結されている。感光ドラム11の支持軸11eは、ドラムカートリッジユニット31の感光体支持部31bに支持されている。
【0055】
感光部11aに対して両側に位置する感光体支持部31bのトナーカートリッジ13Y,13M,13C,13K側の端面31d及び端面31eを真横から見ると、支持軸11eの中心軸と、感光体支持部31bの端面31d又は端面31eが形成する外形線とがなすテーパ角θ3はいずれも鋭角(0<θ3<90°)である。
【0056】
トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kの枠体(第2枠体)13fの端面13gを真横から見ると、支持軸32bの中心軸と、枠体13fの端面13gが形成する外形線とがなすテーパ角θ4は鋭角(0<θ4<90°)であり、感光体支持部31bの端面31dのテーパ角θ3と同じである。
【0057】
トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kの枠体(第2枠体)13hのドラムカートリッジユニット31側の端面13jは、端面13g,31d,31eと異なり、現像ローラ32が感光ドラム11に対して付勢される方向に直交する面となっている。端面13jにはねじ孔41が設けられている。端面13jには、現像ローラ32の支持軸32bの軸方向に移動可能にする長孔の調整孔42が設けられた調整部材43が、ねじ44を調整孔42に挿通し、ねじ孔41への螺合により固定されている。現像ローラ32の支持軸32bに直交する方向における複数のバネ37により現像ローラ32の支持軸32bを支持するトナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kの枠体13hが付勢された状態で、ドラムカートリッジユニット31の感光体支持部31bとトナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kの枠体13hの一方は当接し、他方は調整部材43を介して当接する。
【0058】
調整部材43が枠体13hに固定された際、調整部材43の、枠体13hの端面13jと接する面に対して反対側の面には、調整孔42よりも現像部32aに近い部分に、現像部32aに近づくにつれて下降する傾斜面43aが設けられている。傾斜面43aを真横から見ると、枠体13hの端面13jと傾斜面43aが形成する外形線とがなすテーパ角θ5は鋭角(0<θ5<90°)であり、感光体支持部31bの端面31eと同じθ3である。
【0059】
本実施形態における感光ドラム11と現像ローラ32の表面間距離Dsの調整方法は、第1実施形態及び第2実施形態におけるコロ部材36,36zの移動による調整とは異なる。調整部材43を、現像ローラ32の支持軸32bの軸方向と同一方向に移動させることにより調整を行う。
【0060】
具体的には、調整部材43を現像ローラ32に接近する方向へ移動させると、調整部材43と当接する感光体支持部31b側のDsが増加する。次に枠体13fとそれに接触する感光体支持部31b、および、調整部材43とそれに接触する感光体支持部31bがそれぞれ整合するように、感光ドラム11が支持軸11e方向に調整される。その結果、現像ローラ32は感光ドラム11から離反する方向へと移動し、表面間距離Dsは長くなる。
【0061】
反対に、調整部材43を現像ローラ32から離反する方向へ移動させると、現像ローラ32は感光ドラム11に接近する方向へと移動する。その結果、表面間距離Dsは、短くなる。
【0062】
ここで、θ3およびθ4は同じであって、調整部材43の傾斜面および端面31e、ならびに端面31dおよび端面13gは、それぞれ当接部分を形成する。バネ37の付勢力により、それぞれの当接部分における面同士がずれる方向の力が発生する。しかし、調整部材43の傾斜面および端面31e、ならびに端面31dおよび端面13gには、感光ドラム11と現像ローラ32が平行位置になったときに、それぞれの当接部分で発生するずれる方向の力が互いに打ち消されるように傾斜面が形成されている。この構成により、感光ドラム11と現像ローラ32とを容易に平行に維持することができる。
【0063】
上記のようにして、感光ドラム11と現像ローラ32の表面間距離Dsを調整した後、調整孔42に挿入された状態のねじ44をねじ孔41に締め込んで調整部材43をトナーカートリッジ13Y,13M,13C,13Kの枠体13hに固定する。
【0064】
上記のようにすれば、感光体11と現像ローラ32との表面間距離Dsの調整を、感光体11や現像ローラ32、あるいは両部品間に介在する部品の精度に依存することなく、容易、かつ、高精度に行うことができる。また、感光体11に現像ローラ32を一旦装着した後であっても、傾斜面43aを有する調整部材43を移動させることで、Dsを調整することができる。すなわち、長期間にわたる使用で調整部材43のずれが生じて表面間距離Dsが変化した場合であっても、調整部材43を移動させることで、表面間距離Dsを補正することができる。
【0065】
以上の実施形態では、感光体支持部31bが感光ドラム11の支持軸11eの軸方向に移動できるような構成であるが、ドラムカートリッジユニット31が装着されている本体側のラックに対してドラムカートリッジユニット31が支持軸11eの軸方向に揺動可能な構成であっても良い。また、ドラムカートリッジユニット31が装着されているラック自体が画像形成装置10のケーシングに対して支持軸11eの軸方向に揺動可能な構成であっても良い。
【0066】
本発明は実施形態のものに限定されず、種々の変形が可能である。例えば、両方のコロ部材36を、一度の操作で、変位方向が互いに反対で同じ変位量だけ移動させ固定できる構造のものにより移動させてもよい。また、トナーカートリッジユニット13全体を付勢することにより、現像ローラ32を感光ドラム11に付勢してもよい。
【0067】
テーパの角度θは、45°以下であればよいが、角度θが大きいと微妙な調整は難しい。逆に角度θが小さいと、コロ部材36に加えられる力が小さくなり、コロ部材36が安定して固定されなくなる結果、表面間距離Dsを一定に保持するのが難しくなるため、5〜30°程度が望ましい。
【符号の説明】
【0068】
10 画像形成装置
11 感光ドラム(感光体)
11a 感光部
11b テーパ部
11c,11e 支持軸(第1支持軸)
11d 第1テーパ面
12 レーザ走査光学装置
13 トナーカートリッジユニット
13Y,13M,13C,13K トナーカートリッジ
13a 支軸
13b,13d,13f,13h 枠体(第2枠体)
13c 第1ねじ部
13e 貫通孔
13g,13j 端面
14 中間転写ベルト
15 定着装置
17 排紙トレイ
18 ブラシ帯電装置
19 1次転写ローラ
20 トナーのクリーニング装置
21 支持ローラ
22 2次転写ローラ
23 給紙ローラ
24 タイミングローラ
30 画像形成ユニット
31 ドラムカートリッジユニット
31a,31c 枠体(第1枠体)
31b 感光体支持部
31d,31e 端面
32,32m,32n,32p,32q 現像ローラ
32a 現像部
32b,32c 支持軸(第2支持軸)
35,35m,35n,35p,35q 軸受
35a 第2ねじ部
35b 貫通孔
36,36m,36n,36p,36q,36z コロ部材
36a 第2テーパ面
36b 貫通孔
37 ばね(付勢手段)
38 ナット
39 第3ねじ部
40 第4ねじ部
41 ねじ孔
42 調整孔
43 調整部材
43a 傾斜面
44 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1枠体に第1支持軸について回転可能に支持され、かつ、感光部の両側に第1テーパ面を有するテーパ部を備えた感光体と、
前記感光体に対向し、第2枠体に第2支持軸について回転可能に、かつ、前記第2支持軸と直交する方向に前記感光体に対して接離する方向に移動可能に支持された現像ローラと、
前記現像ローラの両側に前記第2支持軸と同軸に配置され、前記第2支持軸の軸方向に対して移動可能であって、前記第1テーパ面に当接する第2テーパ面を備えるコロ部材と、
前記コロ部材を前記第2支持軸上で移動させる移動手段と、
前記現像ローラを前記感光体に向かって付勢する付勢手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記第2支持軸を支持する内周面と、
前記第2枠体の内部に設けられた第1ねじ部と螺合する第2ねじ部が設けられた外周面と
を有する軸受であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記第2支持軸に設けられた第3ねじ部と螺合する第4ねじ部が内周面に設けられた前記コロ部材自身であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
第1枠体に第1支持軸について回転可能に支持され、かつ、前記第1支持軸方向に移動可能に設けられた感光体と、
前記感光体に対向し、第2枠体に第2支持軸について回転可能であって、かつ、前記第2支持軸と直交し前記感光体に対して接離する方向に移動可能に支持された現像ローラと、
前記現像ローラを前記感光体に向かって付勢する付勢手段と、
前記付勢手段により前記現像ローラが前記感光体に向かって付勢された状態で、前記第1枠体と前記第2枠体との間に当接しつつ挟まるように、前記第1枠体または前記第2枠体に移動可能に取り付けられ、前記当接する部分が移動方向に対して傾斜面となっている調整部材と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記第1枠体および前記第2枠体は互いに整合可能であって、前記付勢手段による付勢方向に対して傾斜した複数の端面を有しており、
前記調整部材の傾斜面および前記複数の端面は、前記付勢手段により付勢された場合に複数組の当接部分を形成し、前記付勢手段の付勢力により当接部分に発生するずれ方向の力が互いに打ち消されるような向きに傾斜した面を有していることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−217840(P2010−217840A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67656(P2009−67656)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】