説明

画像形成装置

【課題】ユーザの利便性向上に資する画像形成装置を提供する。
【解決手段】期限延長許可文書抽出部77は、保管期限到来文書に対し、所定の期限延長ルールを適用することで、期限延長許可文書を、前記保管期限到来文書のなかから抽出する。保管管理部79は、期限延長許可文書に係る所有者情報に基づいて、前記期限延長許可文書の各所有者宛に、保管期限の延長を許可する旨の通知と共に、該当する前記期限延長許可文書の保管期限を延長するか否かに係る問い合わせを行い、当該問い合わせに従う所定の手順で延長登録がなされた期限延長許可文書に限定して、該当文書に係る保管期限情報を更新管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書管理機能を有する画像形成装置に係り、特に、記憶容量資源の適切な活用管理を指向する管理者側の要請と、必要な文書を必要な数量だけ蓄積したい利用者側の要請と、の両者を高水準で均衡させることによって、ユーザの利便性向上に資する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー、ファクシミリ、スキャナ、並びにプリンタ等の諸機能を併せ持つ、いわゆるMFP(Multi Function Peripheral)とも呼ばれる画像形成装置が提供されている。かかるMFPでは、文書管理機能を有するものが知られており、ファクシミリ受信画像、又はスキャナを介して読み取った画像に係る文書を、例えば文書ボックスと呼ばれる所定の場所に蓄積管理しておく。ユーザは、操作パネル又はネットワークを介して、所要の文書ボックスに蓄積管理されている文書にアクセスし、その内容を閲覧したり、同内容を記録紙上に印刷出力させることができる。
【0003】
こうした文書管理機能を有する画像形成装置の一例として、本願出願人は、透かしが埋め込まれた画像データをデコードすることによって透かしの存否を認識する透かしデコード手段と、前記デコードされた透かしの不存在と、印刷手段によって当該画像が印刷されたことに基づいて、画像管理者に特定の内容の通知をする通知御手段と、を備え、透かしが埋め込まれていない画像であっても、文書管理者の目が行き届く状態を形成可能とする技術を提案している(例えば特許文献1参照)。
【0004】
ところで、文書管理機能を有する画像形成装置には、文書を蓄積管理するための文書蓄積部が備えられているが、その記憶容量資源は有限である。このため、多数のユーザが各自の文書を無制限に文書蓄積部に蓄積してゆけば、瞬く間に文書蓄積部がメモリフル状態に陥ってしまう。
【0005】
かかる事態を回避するために、管理対象文書のそれぞれに保管期限を設定する運用が行われている。この運用は、記憶容量資源の適切な活用管理を指向する管理者側の要請と、必要な文書を必要な数量だけ蓄積したい利用者側の要請と、の均衡を図ることに基づく。
【0006】
しかしながら、各管理対象文書に保管期限を設定する運用を単に行う場合には、保管期限が到来した文書は管理対象から画一的に除外されてゆく。こうして管理対象から除外された文書に係るユーザは、同文書の管理対象への復帰を希望する場合、その登録操作を初めからやり直さなければならず、ユーザの利便性を損なう結果となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−258945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、各管理対象文書に保管期限を設定する運用を単に行う従来の文書管理技術では、ユーザの利便性を損なうおそれがあった点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、記憶容量資源の適切な活用管理を指向する管理者側の要請と、必要な文書を必要な数量だけ蓄積したい利用者側の要請と、の両者を高水準で均衡させることによって、ユーザの利便性向上に資する画像形成装置を提供することを目的として、管理対象となる複数の文書が蓄積されるとともに、当該複数の各文書に関連付けて、各文書に係る所有者情報並びに保管期限情報が蓄積される文書蓄積部と、前記文書蓄積部に蓄積されている複数の各管理対象文書に係る保管期限情報と、抽出時における日時情報と、に基づいて、各自の保管期限に至るまでの残期間が所定値以内である保管期限到来文書を、前記管理対象文書のなかから抽出する保管期限到来文書抽出部と、前記保管期限到来文書抽出部で抽出された保管期限到来文書に対し、予め定められる期限延長ルールを適用することで、各自の保管期限の延長を許可する期限延長許可文書を、前記保管期限到来文書のなかから抽出する期限延長許可文書抽出部と、前記期限延長許可文書抽出部で抽出された期限延長許可文書に係る所有者情報に基づいて、前記期限延長許可文書の各所有者宛に、保管期限の延長を許可する旨の通知と共に、該当する前記期限延長許可文書の保管期限を延長するか否かに係る問い合わせを行い、当該問い合わせに従う所定の手順で延長登録がなされた期限延長許可文書に限定して、該当文書に係る保管期限情報を更新管理する保管管理部と、を備えて構成されることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る画像形成装置では、保管期限が設定されている管理対象文書のうち、保管期限到来文書を管理対象から画一的に除外すると、ユーザの利便性を損なうおそれがある点に鑑みて、保管期限到来文書に対し、予め定められる期限延長ルールを適用することで、各自の保管期限の延長を許可する期限延長許可文書を、前記保管期限到来文書のなかから抽出し、こうして抽出された期限延長許可文書に係る所有者情報に基づいて、前記期限延長許可文書の各所有者宛に、保管期限の延長を許可する旨の通知と共に、該当する前記期限延長許可文書の保管期限を延長するか否かに係る問い合わせを行い、当該問い合わせに従う所定の手順で延長登録がなされた期限延長許可文書に限定して、該当文書に係る保管期限情報を更新管理することとした。
【0011】
従って、記憶容量資源の適切な活用管理を指向する管理者側の要請と、必要な文書を必要な数量だけ蓄積したい利用者側の要請と、の両者を高水準で均衡させることによって、ユーザの利便性向上に資する画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る画像形成装置(デジタルカラー複合機)周辺の概略構成図である。
【図2】本画像形成装置に搭載された操作パネル部の外観図である。
【図3】本画像形成装置の動作フローチャート図である。
【図4】文書管理者のみが閲覧可能な、保管期限到来文書一覧が表された管理者用画面例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ユーザの利便性向上に資する画像形成装置を提供するといった目的を、期限延長許可文書抽出部で抽出された期限延長許可文書に係る所有者情報に基づいて、前記期限延長許可文書の各所有者宛に、保管期限の延長を許可する旨の通知と共に、該当する前記期限延長許可文書の保管期限を延長するか否かに係る問い合わせを行い、当該問い合わせに従う所定の手順で延長登録がなされた期限延長許可文書に限定して、該当文書に係る保管期限情報を更新管理する保管管理部によって実現した。
【実施例】
【0014】
以下、本発明に係る画像形成装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下において、本発明に係る画像形成装置として、文書管理機能を有するデジタルカラー複合機を例示して説明する。
【0015】
[デジタルカラー複合機周辺の概略構成]
図1は、デジタルカラー複合機周辺の概略構成図、図2は、本機に搭載された操作パネル部の外観図である。
【0016】
本デジタルカラー複合機は、印刷出力、スキャナ、ファックス送信、メール送信、及びデータ送信を含む各種機能を利用可能であり、マイクロコンピュータ及び専用のハードウェア回路等から構成される主制御部11によって制御される。この主制御部11に接続され諸機能を担う入出力機器として、本機は、スキャナ部21、画像処理部31、エンジン部41、操作パネル部51、ファクシミリ通信部61、HDD(ハードディスクドライブ)63、並びにネットワークI/F(インタフェース)部65を備える。
【0017】
主制御部11は、スキャナ機能を実現するための動作制御を行うスキャナコントローラ13と、ファクシミリ機能を実現するための動作制御を行うファクシミリコントローラ15、プリンタ機能を実現するための動作制御を行うプリンタコントローラ17、並びに、コピー機能を実現するための動作制御を行うコピーコントローラ19を内蔵し、本機全体の動作を統括制御する。
【0018】
スキャナ部21は、図示しないスキャナを構成する画像照射ランプ23及びCCD(電荷結合素子:Charge Coupled Device)センサー25を含む。スキャナ部21は、画像照射ランプ23により原稿を照射し、その反射光をCCDセンサー25で受光することにより、原稿から画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像データを画像処理部31へ出力する。
【0019】
画像処理部31は、補正部33、画像加工部35及び画像メモリ37を含む。画像処理部31は、スキャナ部21で読み取られた画像データを必要に応じて補正部33及び画像加工部35により処理し、処理された画像データを画像メモリ37に記憶したり、エンジン部41、ファクシミリ通信部61等へ出力する。補正部33は、スキャナ部21で読み取られた画像データに対してレベル補正、ガンマ補正等の所定の補正処理を行う。画像加工部35は、画像データの圧縮又は伸張処理、及び拡大又は縮小処理等の種々の加工処理を行う。
【0020】
エンジン部41は、図示しない給紙カセットや給紙ローラ等から構成される用紙搬送部43、図示しない感光体ドラム、露光装置、現像装置等から構成される画像形成部45、図示しない転写ローラ等から構成される転写部47、及び図示しない定着ローラ等から構成される定着部49を含む。エンジン部41は、スキャナ部21で読み取られた画像データ、ネットワークI/F部65を介してLAN(Local Area Network)によりクライアントPC(パーソナルコンピュータ)等から送信された画像データ、ファクシミリ通信部61を用いて外部のファクシミリ装置等から受信したファクスデータ等の画像データを用いて画像を用紙に印刷する。具体的には、用紙搬送部43は用紙を画像形成部45へ搬送し、画像形成部45は上記の画像データに対応するトナー像を形成し、転写部47はトナー像を用紙に転写し、定着部49はトナー像を用紙に定着させて画像を形成する。
【0021】
操作パネル部51は、図2に示すように、タッチパネル部53及び操作キー部55を含む。操作パネル部51は、ユーザがスキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、コピー機能等に関する操作を行うために使用され、ユーザによる操作指令等を主制御部11に与える。
【0022】
タッチパネル部53は、タッチパネルとカラーLCD(Liquid Crystal Display)とを組み合わせたタッチパネルユニット等から構成され、種々の操作画面、例えば、コピー機能実行時には、原稿サイズ、コピーサイズ、複写部数等に関する情報を表示するとともに、ユーザが該当部分をタッチすることにより種々の操作指令を入力するための操作ボタン類を表示する。また、タッチパネル部53は、後述する通り、保管期限到来文書一覧が表された管理者用画面を表示する際などに用いられる。
【0023】
操作キー部55は、ユーザの操作入力を受付けるための複数の操作キーを備えており、例えば、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能など諸機能のなかから、所要機能のキー入力操作をユーザが選択的に実行する際に、又は、ユーザが複写部数やコピー実行指令などを操作入力する際に用いられる。また、操作キー部53は、保管期限の延長に係る入力操作を行う際などに用いられる。
【0024】
ファクシミリ通信部61は、符号化/復号化部(図示省略)、変復調部(図示省略)及びNCU(Network Control Unit)(図示省略)を含む。ファクシミリ通信部61は、スキャナ部21によって読み取られた原稿の画像データを電話回線を介してファクシミリ装置等へ送信したり、ファクシミリ装置等から送信された画像データを受信する。
【0025】
本発明で文書蓄積部としての役割を果たすHDD(ハードディスクドライブ)63は、複数の文書ボックスのための記憶領域(例えば50GB程度の記憶容量をもつ。)を有しており、スキャナ部21によって読み取られた画像データ及び同画像データに設定されている出力形式等の種々のデータ等を記憶する。HDDに記憶されている画像データは、画像形成装置、プログラム及び記録媒体内部で使用されるだけでなく、必要に応じて、ネットワークI/F部65を介してクライアントPC等から確認したり、クライアントPCやFTPサーバ等の所定のフォルダへ転送される。
【0026】
ネットワークI/F部65は、ネットワークインタフェース(10/100Base−TX)等を用い、LANを介して接続されたクライアントPC等に対する種々のデータの送受信を制御する。
【0027】
さて、保管期限が設定されている管理対象文書であっても、期限切れによる管理対象からの唐突な除外を可及的に回避して、ユーザの利便性向上に資する画像形成装置を得ることを目的として、主制御部11は、複数の文書が蓄積されるとともに、当該複数の各文書に関連付けて、各文書に係る所有者情報、保管期限情報、並びに付加情報(例えば、該当文書に係る優先度情報や機密ランク情報など)が蓄積される文書蓄積部63と、ユーザによる各種操作情報を取得する操作情報取得部71と、本装置の元にアクセスしてきたユーザに係る識別情報と、予め登録されている正規ユーザに係る識別情報と、に基づいて、当該アクセスユーザの正当性に係る認証を行うユーザ認証部73と、文書蓄積部63に蓄積されている複数の各管理対象文書に係る保管期限情報と、抽出時における日時情報と、に基づいて、各自の保管期限に至るまでの残期間が所定値以内である保管期限到来文書を、前記管理対象文書のなかから抽出する保管期限到来文書抽出部75と、保管期限到来文書抽出部75で抽出された保管期限到来文書に対し、予め定められる期限延長ルールを適用することで、各自の保管期限の延長を許可する期限延長許可文書を、前記保管期限到来文書のなかから抽出する期限延長許可文書抽出部77と、期限延長許可文書抽出部77で抽出された期限延長許可文書に係る所有者情報に基づいて、前記期限延長許可文書の各所有者宛に、保管期限の延長を許可する旨の通知と共に、該当する前記期限延長許可文書の保管期限を延長するか否かに係る問い合わせを行い、当該問い合わせに従う所定の手順で延長登録がなされた期限延長許可文書に限定して、該当文書に係る保管期限情報を更新管理する保管管理部79と、を備えて構成されている。
【0028】
[本発明実施例に係る画像形成装置の動作]
次に、本発明実施例に係る画像形成装置の動作について、図3〜図4を参照して説明する。図3は、本画像形成装置の動作フローチャート図、図4は、文書管理者のみが閲覧可能な、保管期限到来文書一覧が表された管理者用画面例を示す説明図である。
【0029】
図3に示すように、主制御部11は、自身に内蔵されているRAM(不図示)の記憶領域に記憶された文書抽出処理に係るタイムスケジュール(例えば、毎日24:00ちょうどに、文書抽出バッチ処理を自動実行する等の、適宜設定変更可能なタイムスケジュール)と、現在の日時を参照することで、保管期限到来文書の抽出処理に係るスタート時期が到来したか否かを常時監視している(ステップS11)。
【0030】
この監視中に、保管期限到来文書の抽出処理に係るスタート時期が到来した旨の判定が下されたとき(ステップS11の”Yes”)、主制御部11は、その旨を保管期限到来文書抽出部75宛に知らせる。これを受けて保管期限到来文書抽出部75は、文書蓄積部63に蓄積されている複数の各管理対象文書に係る保管期限情報と、抽出時における日時情報と、に基づいて、各自の保管期限に至るまでの残期間が所定値(例えば、保管期限に至るまでの残期間があと2日等の、適宜変更可能な値)以内である保管期限到来文書を、前記管理対象文書のなかから抽出し(ステップS12)、その抽出結果を期限延長許可文書抽出部77宛に送る。
【0031】
次いで、期限延長許可文書抽出部77は、保管期限到来文書抽出部75で抽出された保管期限到来文書に対し、予め定められる期限延長ルールを適用することで、各自の保管期限の延長を許可する期限延長許可文書を、前記保管期限到来文書のなかから抽出し(ステップS13)、その抽出結果を保管管理部79宛に送る。
【0032】
ステップS13で適用される期限延長ルールでは、例えば、保管期限到来文書に対し各自の保管期限の延長を許可すべきか否かに係る決定権限を有する文書管理者の許可決定操作を経て期限延長許可文書が抽出されるように構成することができる。具体的には、例えば図4に示すように、保管期限到来文書が一覧表示された管理者画面91にて、文書管理者が延長許可に係る決定操作を行うことを通じて、期限延長許可文書を抽出する。この期限延長許可に係る決定操作に併せて、延長期間に係る決定操作を行うようにしてもよい。
【0033】
また、上述の例に代えて、ステップS13で適用される期限延長ルールでは、例えば、文書に予め付加された付加情報に基づく優先度が高い期限延長許可文書が自動的に抽出される構成を採用することができる。さらに、例えば、文書に予め付加された付加情報に基づく機密ランクが高い期限延長許可文書が自動的に抽出される構成を採用してもよい。なお、各文書に付加される付加情報の内容は、上述した例に限定されることなく、例えば、該当文書に係る所有者の延長希望意図を反映した内容を適宜採用することができる。
【0034】
さて、期限延長許可文書抽出部77での抽出結果を受けた保管管理部79は、この抽出結果に基づいて、保管期限の延長許可対象となる該当文書の有無に係る判定を行う(ステップS14)。
【0035】
ステップS14における判定の結果、保管期限の延長許可対象となる該当文書が抽出されない旨の判定が下されたとき(ステップS14の”No”)、保管管理部79は、一連の処理の流れを終了させる。
【0036】
一方、ステップS14における判定の結果、該当文書が抽出された旨の判定が下されたとき(ステップS14の”Yes”)、保管管理部79は、保管期限の延長許可対象となる該当文書の各所有者宛に、該当文書の保管期限の延長を許可する旨を電子メール経由で通知(ステップS15)すると共に、該当文書の保管期限延長を登録するか否かについての問い合わせを行う(ステップS16)。
【0037】
ステップS15の通知乃至ステップS16の問い合わせを受けた該当文書に係る所有者は、その保管期限に至るまでの残期間が残り少ない文書の存在、及び、同文書についての保管期限の延長が許可されている旨を知悉した上で、その延長を希望するときには所定の手続を行う一方、希望しないときには同手続を行わないことによって、同文書の保管期限を延長するか否かの取捨選択を、自らの意向に沿って行うことができる。
【0038】
従って、該当文書に係る所有者が保管期限の延長を希望しないものについては、無駄な保管期限延長が排除される結果として、記憶容量資源の適切な活用管理を指向する管理者側の要請と、必要な文書を必要な数量だけ蓄積したい利用者側の要請と、の両者を高水準で均衡させることによって、ユーザの利便性向上に資する画像形成装置を得ることができる。
【0039】
なお、ステップS16の問い合わせは、例えば、ステップS15における通知メッセージ中に、本装置の保管管理部79の管理ページにアクセス可能なハイパーリンクを設けておき、該当文書の保管期限延長の登録を希望するのであれば、そのハイパーリンク経由で保管管理部79の管理ページにアクセスすべき旨を促すことを通じて行うことができる。
【0040】
この管理ページへのアクセスに際しては、限定したユーザにのみ保管期限延長の登録を認める必要がある点に鑑みて、パスワードの入力を求めるようにするのが好ましい。そこで、保管期限の延長許可対象となる該当文書の各所有者宛に、各自が管理ページへアクセスする際に求められるパスワードを、ステップS15の通知とは別の電子メールにて、適宜の暗号化処理を施した状態で通知する。
【0041】
ステップS15〜S16における通知乃至問い合わせを受けた該当者は、保管期限の延長許可対象となる該当文書について、保管期限延長の登録を望む場合には、前述したような所定の手順に従う保管期限延長登録を行うことになる。なお、かかる保管期限延長登録に併せて、希望する延長期間を登録可能に構成してもよい。すると、かかる保管期限延長登録の旨が、管理ページ経由で保管管理部79宛に通知される。
【0042】
保管管理部79は、保管期限延長登録の通知を受領したか否かに基づいて、保管期限の延長許可対象となる該当文書の各所有者が、保管期限延長登録を行ったか否かに係る判定を行う(ステップS17)。
【0043】
ステップS17の判定の結果、該当文書の所有者が保管期限延長登録を行った旨の判定が下されたとき(ステップS17の”Yes”)、保管管理部79は、該当文書に係る保管期限延長登録情報に従って、該当文書に係る保管期限情報を更新管理し(ステップS18)、この更新管理後に、一連の処理の流れを終了させる。
【0044】
[実施例の効果]
以上述べたように、本発明実施例に係る画像形成装置では、まず、保管期限到来文書抽出部75は、文書蓄積部63に蓄積されている複数の各管理対象文書に係る保管期限情報と、抽出時における日時情報と、に基づいて、各自の保管期限に至るまでの残期間が所定値以内である保管期限到来文書を、前記管理対象文書のなかから抽出する。次いで、期限延長許可文書抽出部77は、保管期限到来文書抽出部75で抽出された保管期限到来文書に対し、予め定められる期限延長ルールを適用することで、各自の保管期限の延長を許可する期限延長許可文書を、前記保管期限到来文書のなかから抽出する。そして、保管管理部79は、期限延長許可文書抽出部77で抽出された期限延長許可文書に係る所有者情報に基づいて、前記期限延長許可文書の各所有者宛に、保管期限の延長を許可する旨の通知と共に、該当する前記期限延長許可文書の保管期限を延長するか否かに係る問い合わせを行い、当該問い合わせに従う所定の手順で延長登録がなされた期限延長許可文書に限定して、該当文書に係る保管期限情報を更新管理する。
【0045】
要するに、本発明に係る画像形成装置では、保管期限が設定されている管理対象文書のうち、保管期限到来文書を画一的に管理対象から除外すると、ユーザの利便性を損なうおそれがある点に鑑みて、保管期限到来文書に対し、予め定められる期限延長ルールを適用することで、各自の保管期限の延長を許可する期限延長許可文書を、前記保管期限到来文書のなかから抽出し、こうして抽出された期限延長許可文書に係る所有者情報に基づいて、前記期限延長許可文書の各所有者宛に、保管期限の延長を許可する旨の通知と共に、該当する前記期限延長許可文書の保管期限を延長するか否かに係る問い合わせを行い、当該問い合わせに従う所定の手順で延長登録がなされた期限延長許可文書に限定して、該当文書に係る保管期限情報を更新管理することとした。
【0046】
具体的には、ステップS15の通知乃至ステップS16の問い合わせを受けた該当文書に係る所有者は、その保管期限に至るまでの残期間が残り少ない文書の存在、及び、同文書についての保管期限の延長が許可されている旨を知悉した上で、その延長を希望するときには所定の手続を行う一方、希望しないときには同手続を行わないことによって、同文書の保管期限を延長するか否かの取捨選択を、自らの意向に沿って行うことができる。
【0047】
従って、該当文書に係る所有者が保管期限の延長を希望しないものについては、無駄な保管期限延長が排除される結果として、記憶容量資源の適切な活用管理を指向する管理者側の要請と、必要な文書を必要な数量だけ蓄積したい利用者側の要請と、の両者を高水準で均衡させることによって、ユーザの利便性向上に資する画像形成装置を得ることができる。
【0048】
また、ステップS13で適用される期限延長ルールとして、保管期限到来文書に対し各自の保管期限の延長を許可すべきか否かに係る決定権限を有する文書管理者の許可決定操作を経て期限延長許可文書が抽出される構成を採用した場合には、文書管理者の許可決定操作を経て保管期限の延長許可を柔軟に運用することができる。
【0049】
さらに、ステップS13で適用される期限延長ルールとして、文書に予め付加された付加情報に基づく優先度が高い期限延長許可文書が自動的に抽出される構成を採用した場合には、文書管理者の手間を省いて、優先度が高い文書に係る保管期限の延長許可を現実的に運用することができる。
【0050】
しかも、ステップS13で適用される期限延長ルールとして、文書に予め付加された付加情報に基づく機密ランクが高い期限延長許可文書が自動的に抽出される構成を採用した場合には、文書管理者の手間を省いて、機密ランクが高い文書に係る保管期限の延長許可を現実的に運用することができる。
【0051】
[その他]
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う画像形成装置もまた、本発明における技術的範囲の射程に包含されるものである。
【0052】
最後に、本発明における「所有者」とは、個人ユーザを含むことは当然として、例えば、ある部署の所属員を包括して意味する部門ユーザをも、その概念に含むことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0053】
11 主制御部
53 タッチパネル部
63 HDD(文書蓄積部)
71 操作情報取得部
73 ユーザ認証部
75 保管期限到来文書抽出部
77 期限延長許可文書抽出部
79 保管管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象となる複数の文書が蓄積されるとともに、当該複数の各文書に関連付けて、各文書に係る所有者情報並びに保管期限情報が蓄積される文書蓄積部と、
前記文書蓄積部に蓄積されている複数の各管理対象文書に係る保管期限情報と、抽出時における日時情報と、に基づいて、各自の保管期限に至るまでの残期間が所定値以内である保管期限到来文書を、前記管理対象文書のなかから抽出する保管期限到来文書抽出部と、
前記保管期限到来文書抽出部で抽出された保管期限到来文書に対し、予め定められる期限延長ルールを適用することで、各自の保管期限の延長を許可する期限延長許可文書を、前記保管期限到来文書のなかから抽出する期限延長許可文書抽出部と、
前記期限延長許可文書抽出部で抽出された期限延長許可文書に係る所有者情報に基づいて、前記期限延長許可文書の各所有者宛に、保管期限の延長を許可する旨の通知と共に、該当する前記期限延長許可文書の保管期限を延長するか否かに係る問い合わせを行い、当該問い合わせに従う所定の手順で延長登録がなされた期限延長許可文書に限定して、該当文書に係る保管期限情報を更新管理する保管管理部と、
を備えて構成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記期限延長ルールでは、前記保管期限到来文書に対し各自の保管期限の延長を許可すべきか否かに係る決定権限を有する文書管理者の許可決定操作を経て前記期限延長許可文書が抽出される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記期限延長ルールでは、前記文書に予め付加された付加情報に基づく優先度が高い前記期限延長許可文書が抽出される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記期限延長ルールでは、前記文書に予め付加された付加情報に基づく機密ランクが高い前記期限延長許可文書が抽出される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記問い合わせに従う所定の手順で延長登録するとは、該当文書の保管期限延長登録に際し予め通知しておいたパスワード情報の操作入力を求めるものである、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記保管期限の延長を許可する旨は、該当する前記期限延長許可文書の各所有者宛に電子メール経由で通知される、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−244198(P2010−244198A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90374(P2009−90374)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】