説明

画像形成装置

【課題】製品コストの上昇、装置稼動音の悪化、消費電力の増加、製品サイズの大型化を招くことなく、風路の冷却効率を高める。
【解決手段】ケーシング53には、装置外部に対して開口して設けられた補助吸気開口部56であって、送風ファン50により空気が供給されることで発生する負圧を利用して外気を導入する補助吸気開口部56が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート等の記録材上に画像を形成する機能を備えた、例えば、複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、モータ類や各種電子部品の自己発熱や、駆動部での摩擦に伴う発熱、定着器の熱影響など、昇温を抑制したり他の要素への熱影響を防止したりすべきポイントが多く存在する。そして、それを実現する手段として、冷却風路を設け、ファンによる送風で熱源を冷却する手法が一般的に用いられる。その一方で、画像形成装置には、コンパクト化・消費電力削減・稼動音抑制といった事も要求されるため、ファンの使用個数を最小限に抑えつつ、極力、風路も共通化する事が必要となる。
【0003】
風路は、次の2つの基本構成を、必要に応じて任意に接続する事で形成される。
直列風路:送風が複数の熱源を順番に経由して冷却する。
並列風路:送風を複数の熱源へ分岐させて冷却する。
【0004】
直列風路は、一般的に熱源同士が近い場合に用いられる構成である。風路入口での風量の100%を熱源に供給できるため、発熱量の大きな熱源の冷却に向いている一方、風路の下流側ほど冷却エアの温度が上昇してくるため、冷却能力が低下する傾向にある。
【0005】
並列風路は、熱源同士が離れている場合に用いられる構成である。各熱源へ供給できる風量は、ファンの送風能力の約「1/熱源数」に低下するため、それぞれの熱源に対する冷却能力としては分岐させた分だけ低下する。
【0006】
画像形成装置では、各熱源の配置・発熱量・放熱性などを考慮した上で、その特性に応じて風路が設計される。そして、冷却効率を最大化した上で、機能を満足できる必要最小限の送風能力を有したファンが選択される。風路の入口から出口までのどの位置にファンが設けられるかは、装置構成やファンの特性などに応じて適宜判断される。
【特許文献1】特開2003−152924号公報
【特許文献2】特開2003−241624号公報
【特許文献3】特開2004−37685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、風路の最適化によって所望の冷却性能を満足できない場合、従来は、コストをかけて熱源の放熱性能を改善したり、より送風能力の高いファンへ変更する必要があった。それでも不十分な場合には、風路構成を見直して新たなファンを追加したりせざるを得なかった。
【0008】
その結果、製品コストの上昇や、装置稼動音の悪化、消費電力の増加、製品サイズの大型化といった弊害を招くことが懸念されていた。
【0009】
画像形成装置の低価格化が進むと同時に、環境対応への要求が高まっている近年、さらなる冷却効率改善手法が求められている。
【0010】
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、製品コストの上昇、装置稼動音の悪化、消費電力の増加、製品サイズの大型化を招くことなく、風路の冷却効率を高
めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
熱を発生する発熱部と、
前記発熱部に対して空気を供給する送風手段と、
前記発熱部の周囲を囲むように設けられたケーシング部材であって、前記送風手段から供給される空気を導入する送風開口部、及び、ケーシング部材内部の空気を排気する排気開口部を有し、前記送風開口部から前記排気開口部まで風路を形成するケーシング部材と、
を備え、記録材に画像を形成する画像形成装置において、
前記ケーシング部材は、装置外部に対して開口して設けられた補助吸気開口部であって、前記送風手段により空気が供給されることで発生する負圧を利用して外気を導入する補助吸気開口部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製品コストの上昇、装置稼動音の悪化、消費電力の増加、製品サイズの大型化を招くことなく、風路の冷却効率を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0014】
本発明は、画像形成装置における機内冷却エアフローの冷却効率向上に関するものである。
【実施例1】
【0015】
以下に、本発明の実施例1について説明する。
【0016】
図6は、本発明を適用可能な画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【0017】
1はプリンタ本体であり、プリンタ本体1の上部には、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラック(以下、省略してそれぞれY,M,C,Kとする)計4色の、一次画像を形成する為のエンジン部分(画像形成部)がレイアウトされている。
【0018】
PC等の外部機器から送信されてきた印刷データは、プリンタ本体1を制御するコントローラで受信され、書き込み画像データとして各色に対応したレーザスキャナ10a,10bへ出力される。レーザスキャナは感光ドラム12上へとレーザを照射し、書き込み画像データに従った光像を描く。本実施例の画像形成装置では、イエロー・マゼンタ用のレーザ照射を行う第一スキャナ10aと、シアン・ブラック用のレーザ照射を行う第二スキャナ10bの2つのレーザスキャナで、光像の書き込みを行う。
【0019】
エンジン部分は、Y,M,C,Kの各ステーションとも、トナーを供給する為のトナーカートリッジ15と、1次画像を形成する為のプロセスカートリッジ(図中Y,M,C,Kで示す)とから構成される。
【0020】
プロセスカートリッジは、感光ドラム12と、帯電器13と、現像器14と、クリーナ(図示せず)とから構成される。ここで、帯電器13は、感光ドラム12の表面に均一な
帯電を施すためのものである。また、現像器14は、帯電器13により帯電された感光ドラム12の表面にレーザスキャナ10が光像を描く事で作成された静電潜像を、中間転写ベルト34へと転写すべきトナー像へと現像するためのものである。また、クリーナは、トナー像を転写した後、感光ドラム12に残留したトナーを除去するためのものである。
【0021】
感光ドラム12の対向位置には、感光ドラム12の表面に現像されたトナー像を中間転写ベルト34に転写するための一次転写ローラ33が配置されている。
【0022】
中間転写ベルト34に転写されたトナー像(1次画像)は、中間転写ベルトの駆動ローラを兼ねる二次転写ローラ31と、対向する2次転写外ローラ24とによって、記録材上へ再転写される。2次転写部で記録材へ転写されずに中間転写ベルト34上に残留したトナーは、中間転写ベルトクリーナ18によって回収される。
【0023】
給送部20は、記録材搬送の最上流に位置し、装置の下部に設けられている。給送トレイ21に積載収納されている記録材は、給送部20によって給送されると、縦搬送パス22を通り、下流側へと搬送される。縦搬送パス22には、レジストローラ対23があり、ここで最終的な記録材の斜行補正と、画像形成部での画像書き込みと記録材搬送のタイミング合わせが行われる。
【0024】
画像形成部の下流側には、記録材上のトナー像を永久画像として定着するための定着器25が設けられており、その下流には、記録材をプリンタ本体1から排出するための排出ローラ26へと続く排出搬送パスが設けられている。排出ローラ26によって排出された記録材は、プリンタ1の外側に設けられた排出トレイ27によって受け取られる。
【0025】
さて、一般的な画像形成装置と同様に、本実施例の画像形成装置においても、プリント動作に伴って発熱する要素(発熱部、熱源)がいくつも存在し、それらの中でも製品品質に影響する箇所に対しては、冷却・断熱用の風路を設ける事で対応している。
【0026】
例えば、画像形成装置を駆動・制御する為の電源基板や制御基板、プリント画像を処理する為のビデオ基板に実装される電気素子が規格温度を超えないようにする為の冷却風路を設定している。また、YMCK各色のプロセスカートリッジが配置されているエンジン部分の雰囲気温度を所定温度以下に保つための冷却風路、定着器の発熱がトナーカートリッジに影響を与えないようにする為の断熱風路などを設定している。
【0027】
これらの風路のうち、本発明の適用例として、制御基板とビデオ基板に対する冷却風路について、詳細を説明する。
【0028】
本実施例の画像形成装置では、画像形成装置の背面下側に、制御基板とビデオ基板が左右に並んでレイアウトされており、両者を1本の風路で結んで冷却する構成を採用している。制御基板上には、画像形成装置を制御するためのCPUを始め、各種電気素子が実装されており、同様に、ビデオ基板上には、画像処理に必要なCPUや、送信されてくる画像データを蓄えるためのハードディスクなどが実装・接続されている。なお、熱源の種類は本発明の本質では無いため、以下の説明では、制御基板を第一の熱源51、ビデオ基板を第二の熱源52と一般化して表現する。ここで、第二の熱源52が発熱部に相当する。
【0029】
先述の冷却風路を模式的に表現すると、図1のようになる。図1は、本実施例の冷却風路の概略構成を示す断面図である。
【0030】
第一の熱源51と第二の熱源52の間に配置された送風ファン50により、冷却風路内には、吸気開口部54から排気開口部57へ向けた送風がなされる。ここで、送風ファン
50は、第二の熱源52に対して空気を供給する送風手段に相当する。
【0031】
送風ファン50の吸引作用によって吸気開口部54から導入された風(空気)は、まず、第一の熱源51を冷却する。第一の熱源51を冷却した風は、その後、送風ファン50に吸引され、送風開口部55に導入される。そして、送風開口部55から第二の熱源52へと供給され、第二の熱源52を冷却した後に、ケーシング53内部(ケーシング部材内部)の空気を排気する排気開口部57より機外(装置外部)へ排気される。
【0032】
図2は、本実施例において、ケーシング部材としてのケーシング53に設けられた補助吸気開口部56の概略構成を示す断面図である。
【0033】
第二の熱源52の周囲を囲んで風路を形成するケーシング53には、外気に対して開口している(装置外部に対して開口している)補助吸気開口部56が設けられている。補助吸気開口部56は、ケーシング53を構成する壁面のうち、送風ファン50により供給される空気の流れ(送風)に沿うように配設された壁面53aに設けられ、かつ、送風ファン50により供給される空気の送風方向下流近傍に設けられている。補助吸気開口部56には、送風ファン50が生み出す風の流れによって負圧空間Bが生じ、外気がケーシング53の内部へと導入されるよう、傾斜部として図2に示すような断面形状のルーバー56aを採用している。ルーバー56aは、図2に示すように、送風ファン50の送風方向に関して補助吸気開口部56の上流から下流に向かって徐々にケーシング53の内部に傾斜して設けられ、送風ファン50によって空気が供給されることで負圧を発生させる。このように、本実施例の補助吸気開口部56では、送風ファン50により空気が供給されることで発生する負圧を利用して外気を導入している。
【0034】
次に、ケーシング53に対する送風開口部55・補助吸気開口部56・排気開口部57の位置関係、およびその効果について説明する。
【0035】
ケーシング53の断面積(ケーシング53の壁面で囲まれた空間(ケーシング内部)の断面積)は、送風開口部55と略平行な断面、すなわち、送風ファン50の送風方向に略垂直な断面に関して、送風開口部55の開口面積の2倍以上を確保している。補助吸気開口部56は、先にも述べた通り、送風ファン50の送風方向下流近傍に、該送風方向に沿う面に配置される。
【0036】
一方、排気開口部57は、送風ファン50による送風方向に対して、送風開口部55の投影延長上あるいはこれに隣接するエリアCから外れた位置に配置されている。これは、送風開口部55を送風ファン50の送風方向に投影し、次のような仮想領域(エリアCに相当)を考えた場合における、仮想領域以外の位置であって、かつ、仮想領域近傍以外の位置である。仮想領域は、送風開口部55を送風ファン50の送風方向に投影した場合に、送風ファン50の送風方向下流に位置するケーシング53の内壁面に形成される投影開口部55a(図1の斜線部分)と、送風開口部55との間に形成される領域である。
【0037】
このようなレイアウトにすることにより、風の流れに次のような効果が生まれる。
【0038】
送風開口部55から供給された冷却風と、補助吸気開口部56から導入された外気とは、送風方向下流に位置するケーシング53の内壁によって行く手を遮られる。すると、排気開口部57によって内圧が低い状態を保っているケーシング上部へと流入する。この流れは、図1においてAで示す渦状の流れをケーシング内部に形成し、送風開口部55から供給された冷却風と、補助吸気開口部56から導入された外気とは、互いに攪拌混合される。外気との混合によって温度が低下した冷却風は、先述の渦状の流れを描きながら第二の熱源52を冷却し、排気開口部57から順次機外へ排気される。これら一連の過程にお
ける送風温度の変化の概略を図3に示している。
【0039】
図3からわかるように、以上説明した仕組み(構成)によって、風路の冷却効率を高めることができる。
【0040】
ここで、本実施例の画像形成装置では、送風開口部55および補助吸気開口部56と、排気開口部57とが、製品高さ方向で異なる位置に振り分けられるようにレイアウトされている。そのため、送風ファン50が駆動されていない場合は、自然対流効果によって排気開口部57から第2の熱源52によって温められた空気が吐き出され、これに伴い、補助吸気開口部56からは冷たい外気が流入する。この効果により、例えば画像形成装置がスタンバイ状態やスリープ状態の場合など、第二の熱源52の発熱が少ない状況においては、送風ファン50を駆動せずとも、第二の熱源52を規格温度以下に保つことができる。
【0041】
本実施例では、排気開口部57よりも送風開口部55と補助吸気開口部56を下側に配置しているが、これは逆であっても同様の効果を得る事ができる。ただし、通常は排気開口部57の方が補助吸気開口部56よりも開口面積が大きくなる為、本実施例の配置の方が、スムーズな自然対流を生じさせる事ができる。また、第二の熱源52の発熱が、送風開口部55を介して第一の熱源51側へ流入する事も防止できる。
【実施例2】
【0042】
実施例1では、送風開口部・補助吸気開口部・排気開口部のレイアウトとケーシング形状との相互作用を用いてケーシング内部に渦状の風の流れを作り出し、冷却風と外気を混合させる構成について説明した。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。実施例2では、別の方法で冷却風と外気とをスムーズに混合させる例を示す。発明を適用する画像形成装置の構成は同一のため省略するとともに、実施例1と機能的に同様な要素に関しては、図中において実施例1と同じ記号を付与する。
【0043】
本実施例の冷却風路を模式的に表現すると、図4のようになる。図4は、本実施例の冷却風路の概略構成を示す断面図である。
【0044】
第一の熱源51と第二の熱源52との間を結ぶ中継風路59に配置された送風ファン50により、風路内には、吸気開口部54から排気開口部57へ向けた送風がなされる。送風ファン50の吸引作用によって吸気開口部54から導入された風は、まず、第一の熱源51を冷却する。その後、中継風路59を介して、送風開口部55から第二の熱源52へと供給され、これを冷却した後に、排気開口部57より機外へ排気される。
【0045】
中継風路59には、送風ファン50の送風方向下流近傍に、外気に対して開口している補助吸気開口部56が実施例1と同様に設けられている。補助吸気開口部56には、送風ファン50が生み出す風の流れによって積極的に負圧を生じさせ、外気がケーシング内部へと導入されるよう、実施例1と同様に、図2に示すような断面形状のルーバーが設けられている。
【0046】
中継風路59において、補助吸気開口部56の更に下流位置には、送風ファン50から送られてくる冷却風と、補助吸気開口部56から導入された外気とを混合する為の攪拌手段としての攪拌部材58が設けられている。
【0047】
本実施例では、攪拌部材58としてスパイラル状の仕切り板を設置しており、これにより冷却風に送風方向の渦を生じさせ、空気の混合効果を得る。通常、軸流ファンが生み出す風は、プロペラの回転軸と同軸の緩やかな渦を巻くため、仕切り板(攪拌部材58)の
スパイラル形状を、この渦の方向と逆回転方向とすることで、攪拌効果を高めている。中継風路59の出口に当たる送風開口部55からは、混合されて温度の均一化が為された冷却風が第二の熱源52へと供給される。
【0048】
なお、以上で示した実施例2の構成では、攪拌手段としてスパイラル状の仕切り板を用いて冷却風の攪拌混合を行ったものの、本発明はこれに限定されるものではない。ある程度、風の流れに乱流を生じさせる事が可能な形状が風路の途中に設けられていれば、同様の効果を得る事が可能である。
【0049】
(その他の実施例)
図5は、その他の実施例における冷却風路の概略構成を示す断面図である。
【0050】
本発明は、上述した実施例1,2の構成に限定されるものではなく、様々な応用が考えられる。
【0051】
まず、上記実施例で述べた画像形成装置では、いずれの例でも、送風ファン50の供給する冷却風と、補助吸気開口部56から導入される外気とを攪拌混合する構成を取り入れた。
【0052】
しかしながら、送風ファンの供給する冷却風と、補助吸気開口部から導入される外気とは、必ずしも攪拌混合する必要はなく、この構成の有無は特に限定されるものではない。例えば、両者が攪拌混合されずに、略層流状態のまま第二の熱源52へ供給される構成であっても、温度の低い風が主に通過する位置に発熱量の大きな熱源を配置する事で、効率の良い冷却を実現する事ができる。ここで、発熱量の大きな熱源は、電気基板の例であれば、発熱素子のヒートシンクやコイルなどである。
【0053】
また、上記実施例では、補助吸気開口部56に図2に示すような断面形状のルーバーを採用したものの、補助吸気開口部の構成はこれに限定されるものではない。流体の一般論として、風路内圧がそれほど高くなければ、早い風の流れに沿った面に設けられた開口からは、負圧によって風路内側へ空気が流入する事が知られている。この原理に基づいていれば、同様の効果を得る事は可能であり、例えば上記実施例のルーバーではなく、図5に示すような補助風路61を追加しても良い。
【0054】
また、実施例1,2それぞれの構成を組み合わせたものであってもよい。すなわち、図4のケーシング53において、ケーシング53の断面積が、送風開口部55と略平行な断面に関して、送風開口部55の開口面積の2倍以上確保されるものであってもよい。また、図4のケーシング53において、排気開口部57が、送風ファン50による送風方向に対して、送風開口部55の投影延長上あるいはこれに隣接するエリアCから外れた位置に配置されているものであってもよい。
【0055】
最後に、上記実施例では、第一の熱源51と第二の熱源52の間に送風ファン50を配置し、二つの熱源を1本の冷却風路で冷却するケースを例に説明した。しかし、対象とする熱源の数は、二つに限定されるものではなく、熱源は一つでも複数でも構わない。
【0056】
また、送風ファン50の配置される位置は、複数の熱源間に限定されるものではなく、風路の最上流位置であっても構わない。具体例について図5を用いて以下に説明する。
【0057】
図5に示すように、送風ファン50は、吸気開口部54の直後に配置されるとともに、送風ファン50の送風方向下流には、補助風路61が接続されている。補助風路61よりも送風方向下流の風路断面積は、補助風路61が接続されるポイントより上流の断面積よ
りも大きく設定されており、送風によって極力大きな負圧が生じるよう設計されている。熱源60に対しては、送風ファン50が供給する風に、補助風路61から導入される風が合わさった冷却風が供給される。
【0058】
これにより、補助風路61が無い場合と比較して、より多くの冷却風を熱源に供給する事ができる。風路構成としては、図5に示す構成が、本発明の適用例の最も基本的な形態と言える。
【0059】
(実施例の効果について)
上記実施例で説明したような構成により、同じ送風能力を有する送風手段を用いた場合に、従来の機内冷却手法よりも冷却効率を向上させる事が可能となる。
【0060】
例えば、送風開口部→第一の熱源→送風手段→第二の熱源→排気開口部という冷却風路においては、送風手段と第二の熱源との間に補助吸気開口部を設ける事により、第一の熱源で温められた冷却風の温度を低下させた上で第二の熱源の冷却を行う事ができる。(図3参照)。
【0061】
また、送風開口部→送風手段→熱源→排気開口部という冷却風路においても、同様に送風手段と熱源の間に補助吸気開口部を設ける事により、送風手段の送風能力に補助吸気開口部から導入される風がプラスされた上で熱源へ供給される。
【0062】
いずれのケースにおいても、送風手段と熱源の間に補助吸気開口部を設ける事によって、冷却風路の冷却能力を拡張する効果が得られる。この効果により、製品で要求される所定の冷却性能を、より少ない送風能力の送風手段でも達成する事が可能になる。その結果、画像形成装置の消費電力を低減できるとともに、装置稼動音の静音化も実現することができる。また、熱源の放熱性能を改善したり、より送風能力の高いファンへ変更したり、新たなファンを追加したりする必要も無いので、製品コストの上昇、製品サイズの大型化を招くことなく、風路の冷却効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施例1における冷却風路の概略構成を示す断面図。
【図2】実施例1のケーシングに設けられた補助吸気開口部の概略構成を示す断面図。
【図3】実施例1において、ケーシング内の風路位置と送風温度との関係を示す図。
【図4】実施例2における冷却風路の概略構成を示す断面図。
【図5】その他の実施例における冷却風路の概略構成を示す断面図。
【図6】本発明を適用可能な画像形成装置の概略構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0064】
50 送風ファン
52 第二の熱源
53 ケーシング
55 送風開口部
56 補助吸気開口部
57 排気開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を発生する発熱部と、
前記発熱部に対して空気を供給する送風手段と、
前記発熱部の周囲を囲むように設けられたケーシング部材であって、前記送風手段から供給される空気を導入する送風開口部、及び、ケーシング部材内部の空気を排気する排気開口部を有し、前記送風開口部から前記排気開口部まで風路を形成するケーシング部材と、
を備え、記録材に画像を形成する画像形成装置において、
前記ケーシング部材は、装置外部に対して開口して設けられた補助吸気開口部であって、前記送風手段により空気が供給されることで発生する負圧を利用して外気を導入する補助吸気開口部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記補助吸気開口部は、前記ケーシング部材の壁面のうち前記送風手段により供給される空気の流れに沿うように配設された壁面に設けられ、かつ、前記送風手段の送風方向下流近傍に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ケーシング部材の壁面で囲まれた空間は、前記送風手段の送風方向に垂直な断面に関して、前記送風開口部の2倍以上の断面積を有するとともに、
前記排気開口部は、前記送風開口部を前記送風手段の送風方向に投影した場合に、前記送風手段の送風方向下流に位置する前記ケーシング部材の内壁面に形成される投影開口部と、前記送風開口部との間に形成される仮想領域以外の位置であって、かつ、前記仮想領域近傍以外の位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記送風手段の送風方向における前記補助吸気開口部の下流側に、前記送風手段によって供給される空気と、前記補助吸気開口部から導入された外気とを攪拌する攪拌手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記補助吸気開口部には、前記送風手段の送風方向に関して前記補助吸気開口部の上流から下流に向かって徐々に前記ケーシング部材の内部に傾斜して設けられた傾斜部であって、前記送風手段によって空気が供給されることで負圧を発生させる傾斜部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−39202(P2010−39202A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202107(P2008−202107)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】