説明

画像形成装置

【課題】シャント回路の制御遅れに起因する、電圧制御の精度低下を抑制することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、制御部65を備え、この制御部65は、第1電気的負荷51の第1電圧V1と第1目標レベルVT1との間における差が大きいほど、電圧生成回路67に対する第2制御での単位時間当たりの制御量を小さくする処理、及び、実行時間間隔を長くする処理のうち少なくとも一方を含む電圧変動抑制処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、例えばシート材を搬送するためのベルトと、クリーニング機構とを備えたものがある(下記特許文献1)。このクリーニング機構は、例えば上記ベルトに接触するクリーニングローラ、クリーニングシャフト、シャント方式の電圧生成回路及び制御部を備える。このシャント方式の電圧生成回路は、例えば変圧器及びシャント回路を有し、第1クリーニング電圧及び第2クリーニング電圧を出力する。そして、クリーニングローラは、上記第1クリーニング電圧を与えられることでベルト上の付着物(着色剤やシート材の破片など)を電気的に吸引し、クリーニングシャフトは上記第2クリーニング電圧を与えられることでクリーニングローラの付着物を電気的に吸引する。制御部は、第2クリーニング電圧が所定の第2目標レベルに近づくように変圧器の生成電圧を変更しつつ、第1クリーニング電圧が所定の第1目標レベルに近づくようにシャント回路に流れる電流レベルを変更する。
【特許文献1】特開2008−58475公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述したシャント方式の電圧生成回路では、一般に、変圧器の制御に対して、シャント回路の制御が遅れる。このため、特に電圧生成回路の起動時には、第1クリーニング電圧が第2クリーニング電圧に引きずられるようにして第1目標レベルをオーバーシュートしてしまい、電圧制御の精度低下を招くという問題があった。なお、第1クリーニング電圧のオーバーシュートの大きさによっては、クリーニングローラとベルトとの間に過電流が流れてベルトが損傷してしまうなどの問題が生じ得る。
【0004】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、シャント回路の制御遅れに起因する、電圧制御の精度低下を抑制することが可能な画像形成装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、第1発明に係る画像形成装置は、第1電気的負荷と、第2電気的負荷と、前記第2電気的負荷に印加する第2電圧を生成する電圧生成回路と、前記電圧生成回路の出力側と前記第1電気的負荷との間に電気的に接続されるシャント回路と、前記シャント回路から前記第1電気的負荷に印加される第1電圧を第1目標レベルに近付けるように前記シャント回路を制御する第1制御と、前記第2電圧を第2目標レベルに近付けるように前記電圧生成回路を制御する第2制御と、を実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1電圧と前記第1目標レベルとの間における差が大きいほど前記第2制御での単位時間当たりの制御量を小さくする処理、及び、前記差が大きいほど前記第2制御の実行時間間隔を長くする処理のうち少なくとも一方を含む電圧変動抑制処理を実行する。
【0006】
本発明によれば、第1電圧と第1目標レベル(本発明でいう「レベル」には、ある1点の「目標値」という意味だけでなく、幅を有する「目標範囲」という意味も含まれる)との間における差が大きいほど、第2制御での単位時間当たりの制御量を小さくしたり、第2制御の実行時間間隔を長くしたりする。これにより、第2制御による第2電圧の変動が小さくなるので、当該第2制御(電圧生成回路に対する制御)に対する第1制御(シャント回路に対する制御)の遅れに起因する、電圧制御の精度低下を抑制することが可能である。
【0007】
第2の発明は、第1の発明の画像形成装置であって、前記制御部は、前記電圧変動抑制処理において、前記第2電圧と前記第2目標レベルとの間における差が基準量を上回る場合、当該差が前記基準量以下である場合に比べて、前記第2制御での単位時間当たりの制御量を小さくする処理、及び、前記第2制御の実行時間間隔を長くする処理のうち少なくとも一方を実行する。
本発明によれば、第2制御による第2電圧の変動が小さくなるので、当該第2制御に対する第1制御の遅れに起因する、電圧制御の精度低下を抑制することが可能である。
【0008】
第3の発明に係る画像形成装置は、第1電気的負荷と、第2電気的負荷と、前記第2電気的負荷に印加する第2電圧を生成する電圧生成回路と、前記電圧生成回路の出力側と前記第1電気的負荷との間に電気的に接続されるシャント回路と、前記シャント回路から前記第1電気的負荷に印加される第1電圧を第1目標レベルに近付けるように前記シャント回路を制御する第1制御と、前記第2電圧を第2目標レベルに近付けるように前記電圧生成回路を制御する第2制御と、を実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2電圧と前記第2目標レベルとの間における差が基準量を上回る場合、当該差が前記基準量以下である場合に比べて、前記第2制御での単位時間当たりの制御量を小さくする処理、及び、前記第2制御の実行時間間隔を長くする処理のうち少なくとも一方を含む電圧変動抑制処理を実行する。
本発明によれば、第2制御による第2電圧の変動が小さくなるので、当該第2制御に対する第1制御の遅れに起因する、電圧制御の精度低下を抑制することが可能である。
【0009】
第4の発明は、第1から第3のいずれか一つの発明の画像形成装置であって、前記制御部は、前記第1制御を停止し、且つ、前記第2目標レベルを、絶対値が前記第1目標レベル以下である仮目標レベルに設定して前記第2制御を実行する立ち上げ処理を実行し、遅くとも前記第2電圧が前記仮目標レベルに達するまでに、前記第1制御の停止を解除し、前記第2目標レベルを、前記第2電気的負荷に印加すべき本目標レベルに設定し、その後に、前記電圧変動抑制処理を実行する。
この発明によれば、立ち上げ処理を行わずに、第1目標レベル及び第2目標レベルを、第1電気的負荷及び第2電気的負荷に印加すべき本目標レベルに一気に設定して電圧変動抑制処理を実行する構成に比べて、第1電圧が第1目標レベルをオーバーシュートすることを抑制することが可能である。
【0010】
第5の発明に係る画像形成装置は、第1電気的負荷と、第2電気的負荷と、前記第2電気的負荷に印加する第2電圧を生成する電圧生成回路と、前記電圧生成回路の出力側と前記第1電気的負荷との間に電気的に接続されるシャント回路と、前記シャント回路から前記第1電気的負荷に印加される第1電圧を第1目標レベルに近付けるように前記シャント回路を制御する第1制御と、前記第2電圧を第2目標レベルに近付けるように前記電圧生成回路を制御する第2制御と、を実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1制御を停止し、且つ、前記シャント回路に流れる電流レベルを前記第1制御の実行時よりも小さいレベルに保持しつつ、前記第2制御を実行し、遅くとも前記第2電圧が前記第2目標レベルに達するまでに前記第1制御の停止を解除する。
【0011】
この発明によれば、遅くとも第2電圧が第2目標レベルに達するまでは、シャント回路に流れる電流レベルが第1制御の実行時(換言すれば第1電気的負荷の作動時)よりも小さいレベルに保持される分だけ、第1電圧が第1目標レベルをオーバーシュートすることを抑制できる。これにより、第2制御に対する第1制御の遅れに起因する、電圧制御の精度低下を更に抑制することが可能である。
【0012】
第6の発明に係る画像形成装置は、第1電気的負荷と、第2電気的負荷と、前記第2電気的負荷に印加する第2電圧を生成する電圧生成回路と、前記電圧生成回路の出力側と前記第1電気的負荷との間に電気的に接続されるシャント回路と、前記シャント回路から前記第1電気的負荷に印加される第1電圧を第1目標レベルに近付けるように前記シャント回路を制御する第1制御と、前記第2電圧を第2目標レベルに近付けるように前記電圧生成回路を制御する第2制御と、を実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2電気的負荷に印加すべき本第2目標レベルよりも絶対値が小さい仮第2目標レベルを、前記第2目標レベルとして前記第2制御を実行し、前記仮第2目標レベルよりも絶対値が小さい仮第1目標レベルを、前記第1目標レベルとして前記第1制御を実行し、前記第2電圧が前記仮第2目標レベルに達し、且つ、前記第1電圧が前記仮第1目標レベルに達した場合に、前記第2目標レベルを前記本第2目標レベルに設定し、且つ、前記シャント回路に流れる電流レベルを固定しつつ前記第1制御を停止し、前記第2電圧が前記本第2目標レベルに達した場合に、前記第1電気的負荷に印加すべき本第1目標レベルを、前記第1目標レベルとする前記第1制御を実行する。
【0013】
本発明によれば、絶対値レベルが低い仮第1目標レベルで、第1電圧を意図的にオーバーシュートさせて、その後、シャント回路に流れる電流レベルを固定しつつ第1制御を停止する。このため、第1電圧は、第1制御ではなく、第2制御に依存して本第1目標レベル側へと向かう。従って、第2制御に対する第1制御の遅れによる第1クリーニング電圧のオーバーシュートを抑制できる。
【0014】
第7の発明は、第6に記載の画像形成装置であって、前記仮第1目標レベルと前記仮第2目標レベルとの間における差分は、前記本第1目標レベルと前記本第2目標レベルとの間における差分と略同量である。
本発明によれば、第1電圧を、本第1目標レベルに円滑に到達させることができる。
【0015】
第8の発明は、第1から第7のいずれか一つの発明の画像形成装置であって、被クリーニング体を備え、前記第1電気的負荷は、前記被クリーニング体上の付着物をクリーニングするための第1クリーニング部材であり、前記第2電気的負荷は、前記第1クリーニング部材の付着物をクリーニングするための第2クリーニング部材である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シャント回路の制御遅れに起因する、電圧制御の精度低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1〜図5を参照しつつ説明する。
(プリンタの全体構成)
図1は、本実施形態のプリンタ1(本発明の「画像形成装置」の一例)の内部構成を表す概略断面図である。以下の説明では、各構成要素について、色毎に区別する場合は各部の符号にY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),B(ブラック)の添え字を付し、区別しない場合は添え字を省略する。
【0018】
プリンタ1は、給紙部3と、画像形成部5と、搬送機構7と、定着部9と、高圧制御装置11、を備え、例えば外部から入力される画像データに応じた1または複数色(本実施形態ではイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色)のトナーTからなるトナー像を、シート材15(用紙、OHPシートなど)に形成する。更に、プリンタ1は、クリーニング機構13を備える。
【0019】
給紙部3は、プリンタ1の最下部に設けられており、シート材15を収容するトレイ17と、ピックアップローラ19とを備える。トレイ17に収容されたシート材15は、ピックアップローラ19により1枚ずつ取り出され、搬送ローラ21,レジストレーションローラ23を介して搬送機構7に送られる。
【0020】
搬送機構7は、シート材15を搬送するためのものである。この搬送機構7は、ベルト27が、駆動ローラ29と従動ローラ31との間に架け渡された構成になっている。駆動ローラ29が回動すると、ベルト27は、感光体39と対向する側の表面が、図1中の右方向から左方向へ移動する。これにより、レジストレーションローラ23から送られてきたシート材15が、画像形成部5下へと搬送される。また、搬送機構7は、4つの転写ローラ33を備える。
【0021】
画像形成部5は、4個の現像ユニット37Y,37M,37C,37Bを有する。各現像ユニット37は、感光体39、帯電器41と、露光装置43と、ユニットケース45とを備える。
【0022】
感光体39は、例えば、アルミニウム製の基材上に、正帯電性の感光層が形成されたものであり、このアルミニウム製の基材がプリンタ1のグランドラインに接地されている。帯電器41は、感光体39の表面を正極性(例えば+700V)に帯電させる。
【0023】
露光装置43は、感光体39の回転軸方向に沿って一列状に並んだ複数の発光素子(例えばLED)を有し、これらの複数の発光素子を、外部より入力される画像データの1色分に応じて発光制御することにより、感光体39の表面に静電潜像を形成する。
【0024】
ユニットケース45は、各色のトナーT(本実施形態では、例えば正帯電性の非磁性1成分トナー)を収納するとともに、現像手段としての現像ローラ47を有する。現像ローラ47が、トナーTを「+」(正極性)に帯電させ、均一な薄層として感光体39上へ供給することにより上記静電潜像を現像してトナー象を形成する。
【0025】
上記各転写ローラ33は、上記各感光体39との間でベルト27を挟む位置に配置されている。各転写ローラ33は、図示しない負電圧の電源により、感光体39との間にトナーTの帯電極性とは逆極性の転写電圧(例えば−10〜−15μA)が印加されて、感光体39上に形成された上記トナー像をシート材15に転写する。その後、当該シート材15は、搬送機構7により定着部9へと搬送され、この定着部9にてトナー像が熱定着され、プリンタ1の上面に排出される。
【0026】
(クリーニング機構の構成)
図2は、クリーニング機構13の構成図である。クリーニング機構13は、搬送機構7の下方に設けられ、ベルト27(本発明の「被クリーニング体」の一例)上の付着物(ベルト27に残存したトナーTやシート材の破片(紙粉)など)をクリーニングする。以下、付着物としてトナーTを例に挙げて説明する。クリーニング機構13は、クリーニングローラ51(本発明の「第1電気的負荷、第1クリーニング部材」の一例)、回収ローラ53(本発明の「第2電気的負荷、第2クリーニング部材」の一例)、バックアップローラ55、クリーニングブレード57、貯留ボックス59を有する。
【0027】
クリーニングローラ51は、ベルト27の幅方向に延びた軸部材51Aの周囲にシリコーンからなる発泡材が設けられた構成になっている。バックアップローラ55は、金属製であって、クリーニングローラ51との間でベルト27を挟んで対向するように配置されていると共に、グランドライン側に電気的に接続されている。
【0028】
クリーニングローラ51は、ベルト27に接触しながら、その接触部分においてベルト27とは反対方向に移動するように回転駆動される。そして、クリーニングローラ51に与えられる第1クリーニング電圧V1(トナーTの極性とは逆極性の電圧 本発明の「第1電圧」の一例)が、本第1目標レベルVT1(例えば−1200V)になると、ベルト27に付着したトナーTをクリーニングローラ51に電気的に吸引し、ベルト27表面をクリーニングすることができる。
【0029】
また、回収ローラ53は、金属製(例えば、鉄材にNiメッキが施された構成、あるいはステンレス材からなる構成等)であって、クリーニングローラ51に接触している。回収ローラ53に与えられる第2クリーニング電圧V2(絶対値が上記第1クリーニング電圧V1よりも大きい 本発明の「第2電圧」の一例)が、本第2目標レベルVT2(例えば−1600V)になると、クリーニングローラ51に付着したトナーTを回収ローラ53に電気的に吸引し、当該トナーTを回収することができる。
【0030】
クリーニングブレード57は、例えばゴム製であって、回収ローラ53に当接しており、回収ローラ53に付着しているトナーTを掻き取る。掻き取られたトナーTは貯留ボックス59に貯留される。
【0031】
(高圧制御装置の構成)
上記高圧制御装置11は、転写ローラ33、現像ローラ47、帯電器41、クリーニング機構13など、プリンタ1に備えられた各電気的負荷への印加電圧を生成する。
【0032】
図3は、高圧制御装置11のうち、クリーニング機構13への印加電圧(第1クリーニング電圧V1,第2クリーニング電圧V2)を生成する構成部分が図示されている。高圧制御装置11は、印加回路63と、PWM(Pulse Width Modulation。パルス幅変調)制御回路65を備える。なお、PWM制御回路65は、CPUを内蔵して構成されたものでも、特定用途向け集積回路(ASIC)として構成されたものでもよい。
【0033】
印加回路63は、シャント方式を採用した2出力タイプであり、上述した第1クリーニング電圧V1と第2クリーニング電圧V2とを出力する。具体的には、印加回路63は、主として、電圧生成回路67とシャント回路69とを有する。
【0034】
(1)電圧生成回路
電圧生成回路67は、回収ローラ53に印加する第2クリーニング電圧V2を生成する電源回路であり、PWM信号平滑回路71、トランスドライブ回路73、昇圧・平滑整流回路75を備えている。PWM信号平滑回路71は、PWM制御回路65のPWMポート65AからのPWM信号S1を受けて平滑しトランスドライブ回路73に与える。トランスドライブ回路73は、自励巻線73Aを有し、受けたPWM信号S1に基づき、昇圧・平滑整流回路75の1次側巻線77Aに発振電流を流すよう構成されている。
【0035】
昇圧・平滑整流回路75は、トランス(変圧器)77、ダイオード79、平滑コンデンサ81などを備えている。トランス77は、1次側巻線77A,2次側巻線77Bを備えている。2次側巻線77Bの一端は、ダイオード79及び第2出力端子TB2を介して回収ローラ53のローラ軸に電気的に接続される。また、平滑コンデンサ81及び放電抵抗83がそれぞれ2次側巻線77Bに並列に接続されている。このような構成により、1次側巻線77Aの発振電圧が、昇圧・平滑整流回路75にて昇圧及び整流され、回収ローラ53のローラ軸に第2クリーニング電圧V2として印加される。
【0036】
また、電圧生成回路67には、その第2クリーニング電圧V2を検出するためのフィードバック抵抗R1、R2が設けられており、この分圧電圧に応じた検出信号S2がPWM制御回路65のA/Dポート65Bに与えられる。PWM制御回路65は、この検出信号S2に基づき、第2クリーニング電圧V2が設定された目標レベル(第2目標レベル)になるように上記PWM信号S1のデューティ比を適宜変更して、定電圧制御を実行する。以下、このように、第2クリーニング電圧V2を、第2目標レベル(後述する本第2目標レベルVT2、仮目標レベル等)になるように電圧生成回路67を制御することを、「第2制御」という。なお、フィードバック抵抗R2は、グランドラインではなく正極性電位(本実施形態ではプラス5[V])ラインに電気的に接続されている。これにより、上記A/Dポート65Bに負極性電圧が与えられることを防止できる。
【0037】
(2)シャント回路
シャント回路69は、クリーニングローラ51に印加する第1クリーニング電圧V1を、上記第2クリーニング電圧V2に基づき生成する。シャント回路69は、主として、電流制御回路91及びフォトカプラ93を備える。
【0038】
電流制限回路91は、クリーニングローラ51に電気的に接続される第1出力端子TB1と上記第2出力端子TB2との間に接続された、電流調整素子としてのトランジスタ95を有する。より具体的には、トランジスタ95は、pnp型であり、コレクタが第2出力端子TB2側に接続され、エミッタがツエナーダイオード94を介して第1出力端子TB1側に接続され、ベースが入力抵抗97を介してフォトカプラ93に接続されている。これにより、フォトカプラ93がオフのときトランジスタ95はオンし、フォトカプラ93がオンするとトランジスタ95はオフする。
【0039】
また、トランジスタ95のエミッタ側には、第1クリーニング電圧V1を検出するためのフィードバック抵抗R3,R4が設けられており、この分圧電圧に応じた検出信号S3がPWM制御回路65のA/Dポート65Dに与えられる。なお、フィードバック抵抗R4は、グランドラインではなく正極性電位(本実施形態ではプラス5[V])ラインに電気的に接続されている。これにより、上記A/Dポート65Dに負極性電圧が与えられることを防止できる。
【0040】
電流制御回路91は、フォトカプラ93を介してPWM制御回路65のPWMポート65Cに接続されている。電流制御回路91は、このPWMポート65Cから出力されるPWM信号S4に応じてトランジスタ95のベース電位を変更することで、トランジスタ95に流れる電流(本発明の「シャント回路に流れる電流」の一例 以下、「シャント電流IR1」という)の電流レベル、換言すれば、トランジスタ95の抵抗値を調整する。PWM制御回路65は、上記検出信号S3に基づき、第1クリーニング電圧V1が設定された目標レベル(第1目標レベル)になるように上記PWM信号S4のデューティ比を適宜変更して、定電圧制御を実行する。以下、このように、第1クリーニング電圧V1を、第1目標レベル(例えば本第1目標レベルVT1等)になるようにシャント回路69を制御することを、「第1制御」という。
【0041】
(PWM制御回路による電圧制限処理)
図4は、電圧制限処理を示すフローチャートである。図5は、この電圧制限処理中における第1クリーニング電圧V1、第2クリーニング電圧V2の変化を示すグラフである。プリンタ1に電源が投入されると、PWM制御回路65は、電圧生成回路67を起動させて、まず電圧制限処理を実行する。これにより、第2制御(電圧生成回路67に対する制御)に対する第1制御(シャント回路69に対する制御)の遅れに起因する、電圧制御の精度低下を抑制することができる。このとき、PWM制御回路65は「制御部」として機能する。
【0042】
(1)立ち上げ処理
具体的には、PWM制御回路65は、S101で、PWM信号S1を出力しないようにしてフォトカプラ93をオフ状態に保持して第1制御を停止する一方で、第2制御を実行する。このとき、フォトカプラ93がオフ状態に保持されているため、トランジスタ95はオンして抵抗値(シャント抵抗値)がほぼゼロになっている。また、このときの第2制御では、第2目標レベルを、絶対値が上記本第1目標レベルVT1以下である仮目標レベル(本実施形態では本第1目標レベルVT1と同じレベル)に設定し、実行時間間隔を時間T2A(例えば1[ms])に設定し、PWM信号S1のデューティ比の単位時間当たりの変更量(本発明の「単位時間当たりの制御量」の一例 以下、「単位変更量」という)を変更量D2Aに設定する。つまり、PWM制御回路65は、検出信号S2レベルに基づき、第2クリーニング電圧V2が本第1目標レベルVT1に近づく方向に変更量D2A分だけPWM信号S1のデューティ比を変更する処理を、時間T2Aごとに実行する。これにより、図5の期間(1)に示すように、第2クリーニング電圧V2は本第1目標レベルVT1に近づいていく一方で、第1クリーニング電圧V1もそれに追従するように本第1目標レベルVT1へと近づいていく。
【0043】
そして、第2クリーニング電圧V2が本第1目標レベルVT1の第1許容範囲(上限値VT1max、下限値VT1min)に入った場合に(S103:YES)、S105で第1制御の実行を開始する。このときの第1制御では、第1目標レベルを本第1目標レベルVT1に設定し、実行時間間隔を時間T1(例えば1[ms])に設定し、PWM信号S4のデューティ比の単位変更量を変更量D1に設定する。一方、第2制御については、第2目標レベルを、本第1目標レベルVT1から本第2目標レベルVT2に変更する。これにより、図5の期間(2)に示すように、第2クリーニング電圧V2は本第2目標レベルVT2に近づいていく一方で、第1クリーニング電圧V1は、第2制御に対する第1制御の遅れによる影響を受けて、本第1目標レベルVT1付近で変動し得る。
【0044】
(2)電圧変動抑制処理
そこで、S107で第2クリーニング電圧V2が第2基準範囲(上限値VT4max、下限値VT4min)内にあるかどうかを判定する。この第2基準範囲は、図5に示すように、本第2目標レベルVT2が中心値になるように設定されている。要するに、S107では、第2クリーニング電圧V2と本第2目標レベルVT2との間における差が第2基準量(第2基準範囲幅の半分)以下かどうかを判定しているのである。なお、第2基準範囲は、本第2目標レベルVT2の第2許容範囲(上限値VT2max、下限値VT2min)よりも広い。
【0045】
S105の実行直後は、まだ第2クリーニング電圧V2が第2基準範囲外にある(S107:NO)ため、S109で第1クリーニング電圧V1が上記第1許容範囲内にあるかどうかを判定する。第1許容範囲内にあれば(S109:YES)、S111で第1抑制処理を実行しS107に戻る。この第1抑制処理では、第2制御について、PWM信号S1のデューティ比の単位変更量を変更量D2B(<D2A 本実施形態ではD2Aの2分の1)に変更すること、実行時間間隔を時間T2B(>時間T2A 例えば2[ms])に変更すること、の少なくともいずれか一方を行う。これにより、上記単位変更量が変更量D2A、実行時間間隔が時間T2Aのまま(本電圧制限処理後の通常処理時の設定内容と同じ)の場合に比べて、第2制御による第2クリーニング電圧V2の変動が小さくなる(図5の期間(2)参照)ので、当該第2制御に対する第1制御の遅れに起因する、電圧制御の精度低下を抑制することができる。
【0046】
S109で第1クリーニング電圧V1が上記第1許容範囲外にあれば(S109:NO)、S113で第1クリーニング電圧V1が上記第1基準範囲(上限値VT3max、下限値VT3min)内にあるかどうかを判定する。この第1基準範囲は、図5に示すように、本第1目標レベルVT1が中心値になるように設定されている。要するに、S113では、第1クリーニング電圧V1と本第1目標レベルVT1との間における差が第1基準量(第1基準範囲幅の半分)以下かどうかを判定しているのである。なお、第1基準範囲は、本第1目標レベルVT1の第1許容範囲よりも広い。
【0047】
第1クリーニング電圧V1が第1基準範囲内にあれば(S113:YES)、S115で第2抑制処理を実行しS107に戻る。この第2抑制処理では、第2制御について、PWM信号S1のデューティ比の単位変更量を変更量D2C(<D2B 本実施形態ではD2Aの3分の1)に変更すること、実行時間間隔を時間T2C(>時間T2B 例えば3[ms])に変更すること、の少なくともいずれか一方を行う。これにより、第1抑制処理時に比べて、第2制御による第2クリーニング電圧V2の変動が小さくなるので、当該第2制御に対する第1制御の遅れに起因する、電圧制御の精度低下を抑制することができる。
【0048】
一方、S113で第1クリーニング電圧V1が第1基準範囲外にあれば(S113:NO)、S117で第3抑制処理を実行しS107に戻る。この第3抑制処理では、第2制御について、PWM信号S1のデューティ比の単位変更量を変更量D2D(<D2C 本実施形態ではD2Aの5分の1)に変更すること、実行時間間隔を時間T2D(>時間T2C 例えば5[ms])に変更すること、の少なくともいずれか一方を行う。これにより、第2抑制処理時に比べて、さらに、第2制御による第2クリーニング電圧V2の変動が小さくなるので、当該第2制御に対する第1制御の遅れに起因する、電圧制御の精度低下を抑制することができる。
【0049】
その後、第2クリーニング電圧V2が第2基準範囲内になると(S107:YES)、S119で、第2制御について、電圧変動抑制処理の実行前の初期設定状態(S105の設定状態)に戻し、図4に示す電圧制限処理を終了する。これ以降は、原則として、初期設定状態(S105の設定状態)で第1制御及び第2制御を続行し(通常処理)、ベルト27のクリーニング動作を実行する。なお、電圧制限処理は、プリンタ1の電源投入時以外に、例えば、所定の条件(シート材の画像形成枚数が規定枚数に達したこと、クリーニングローラ51の回転数が規定回数に達したことなど)を満たした場合にも実行される。
【0050】
(本実施形態の効果)
(1)本実施形態によれば、S107では、第2クリーニング電圧V2と本第2目標レベルVT2との間における差が第2基準量を上回る場合(S107::NO)、当該差が第2基準量以下である場合(S107:YES)に比べて、第2制御について、PWM信号S1のデューティ比の単位変更量を小さくする処理、及び、実行時間間隔を長くする処理のうち少なくとも一方を実行する。これにより、S105の初期設定時や通常処理時に比べて、第2制御による第2クリーニング電圧V2の変動が小さくなるので、当該第2制御に対する第1制御の遅れに起因する、電圧制御の精度低下を抑制することができる。
【0051】
(2)更に、図4のS109〜S117に示すように、第1クリーニング電圧V1と本第1目標レベルVT1との間における差が大きいほど、第2制御について、PWM信号S1のデューティ比の単位変更量を小さくする処理、及び、実行時間間隔を長くする処理のうち少なくとも一方を実行する。これにより、第2制御による第2クリーニング電圧V2の変動が小さくなるので、第1クリーニング電圧V1と本第1目標レベルVT1との間における差の大小にかかわらず、当該第2制御に対する第1制御の遅れに起因する、電圧制御の精度低下を抑制することが可能である。
【0052】
なお、第1クリーニング電圧V1と本第1目標レベルVT1との間における差の大小にかかわらず、デューティ比の単位変更量や実行時間間隔を一律の値に変更する構成も考えられる。しかし、この構成では、第2クリーニング電圧V2が本第2目標レベルVT2に到達する時間が必要以上に長くなるなどの問題が生じ得る。従って、本実施形態のように、第1クリーニング電圧V1と本第1目標レベルVT1との間における差に応じて、デューティ比の単位変更量や実行時間間隔を調整することが好ましい。
【0053】
(3)また、電圧制限処理において電圧変動抑制処理の前に、立ち上げ処理を実行するようにしたので、電圧制限処理の当初から第1目標レベル及び第2目標レベルを、本目標レベルVT1、VT2に設定して第1制御及び第2制御を実行する構成に比べて、第1クリーニング電圧V1が本第1目標レベルVT1をオーバーシュートすることを抑制することが可能である。
【0054】
<実施形態2>
図6,図7は実施形態2を示す。前記実施形態1との相違は、電圧変動抑制処理の内容にあり、その他の点は前記実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
【0055】
図6は、電圧変動抑制処理を示すフローチャートである。図7は、この電圧変動抑制処理中における第1クリーニング電圧V1、第2クリーニング電圧V2の変化を示すグラフである。プリンタ1に電源が投入されると、PWM制御回路65は、電圧生成回路67を起動させて、電圧変動抑制処理を実行する。
【0056】
PWM制御回路65は、S201で、フォトカプラ93を完全オン状態に保持する信号を出力しつつ第1制御を停止する一方で、第2制御(第2目標レベル:本第2目標レベルVT2、実行時間間隔:時間T2A、PWM信号S1のデューティ比の単位変更量:変更量D2A)を実行する。このとき、フォトカプラ93がオン状態に保持されているため、トランジスタ95はオフして抵抗値(シャント抵抗値)が、電圧変動抑制処理後の通常処理(第1制御の実行時)に比べて極めて大きくなっている。換言すれば、シャント回路69(トランジスタ95)に流れる電流レベルが小さくなっている。
【0057】
これにより、図7の期間(1)に示すように、第2クリーニング電圧V2は本第2目標レベルVT2に近づいていく。その一方で、第1クリーニング電圧V1は、シャント抵抗値が大きい分だけ、第2クリーニング電圧V2に引きずられる量が少なくなり、緩やかに変化していく。
【0058】
そして、第2クリーニング電圧V2が、本第2目標レベルVT2の第2許容範囲に達したときに(S203:YES)、S205で、シャント抵抗値の固定状態(フォトカプラ93を完全オン状態)を解除し、第1制御(第1目標レベル:本第1目標レベルVT1、実行時間間隔:時間T1、PWM信号S4のデューティ比の単位変更量:変更量D1)の実行を許可する。これにより、図7の期間(2)に示すように、第1クリーニング電圧V1は、本第1目標レベルVT1に近づいていく。
【0059】
ここで、第1クリーニング電圧V1が本第1目標レベルVT1に到達する頃、第2クリーニング電圧V2は既に本第2目標電圧VT2に達しており、その変動量が小さくなっている。このため、第1クリーニング電圧V1が第2クリーニング電圧V2に引きずられて本第1目標レベルVT1をオーバーシュートすることを抑制できる。S205の後、図6に示す電圧変動抑制処理を終了し、これ以降、第1制御及び第2制御を続行し(通常処理)、ベルト27のクリーニング動作を実行する(図7の期間(3)参照)。
【0060】
<実施形態3>
図8,図9は実施形態3を示す。前記実施形態1との相違は、電圧変動抑制処理の内容にあり、その他の点は前記実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
【0061】
図8は、電圧変動抑制処理を示すフローチャートである。図9は、この電圧変動抑制処理中における第1クリーニング電圧V1、第2クリーニング電圧V2の変化を示すグラフである。プリンタ1に電源が投入されると、PWM制御回路65は、電圧生成回路67を起動させて、電圧変動抑制処理を実行する。
【0062】
PWM制御回路65は、S301で、第1制御(第1目標レベル:仮第1目標レベルVT5、実行時間間隔:時間T1、PWM信号S4のデューティ比の単位変更量:変更量D1)、及び、第2制御(第2目標レベル:仮第2目標レベルVT6、実行時間間隔:時間T2A、PWM信号S1のデューティ比の単位変更量:変更量D2A)を実行する。
【0063】
仮第2目標レベルVT6は、絶対値が本第2目標レベルVT2よりも小さく、且つ、絶対値が本第1目標レベルVT1以下のレベル(例えば−1000[v])である。また、仮第1目標レベルVT5は、絶対値がその仮第2目標レベルVT6よりも小さいレベル(例えば−600[v])である。本実施形態では、仮第2目標レベルVT6と仮第1目標レベルVT5との間における差分は、本第1目標レベルVT1と本第2目標レベルVT2との間における差分とほぼ同量ΔV(例えば400[v])に設定されている。
【0064】
そうすると、図9の期間(1)に示すように、第2クリーニング電圧V2は仮第2目標レベルVT6に近づいていく。その一方で、第1クリーニング電圧V1は、第2制御に対する第1制御の遅れにより、第2クリーニング電圧V2に引きずられて、仮第1目標レベルVT5をオーバーシュートする(図9の時間X参照)。しかし、上述したように、この仮第1目標レベルVT5は、絶対値が本第1目標レベルVT1よりも小さいレベルであるから、ベルト27に流れる電流レベルを抑制し、ベルト27を保護できる。
【0065】
その後、第2クリーニング電圧V2が仮第2目標レベルVT6の許容範囲(上限値VT6max、下限値VT6min)内に達し(S303:YES)、且つ、第1クリーニング電圧V1が仮第1目標レベルVT5の許容範囲(上限値VT5max、下限値VT5min)内に達して(S305:YES)、定常状態になるのを待つ。そして、S307で第1制御を停止し、第1クリーニング電圧V1が仮第1目標レベルVT5の許容範囲内にあったときのデューティ比に固定したPWM信号S4を出力し続けて、シャント抵抗値を固定する。また、第2制御については、第2目標レベルを、仮第2目標レベルVT6から本第2目標レベルVT2に変更しつつ続行する。
【0066】
そうすると、図9の期間(2)に示すように、第2クリーニング電圧V2は本第2目標レベルVT2に近づいていく。一方、第1クリーニング電圧V1は、シャント抵抗値が固定されているため、第2クリーニング電圧V2に対して、シャント抵抗値に応じた電圧差(本第1目標レベルVT1と本第2目標レベルVT2との間における差分とほぼ同量ΔV)を保ったまま平行移動するように変化する。このとき、第1クリーニング電圧V1は、シャント回路69による第1制御ではなく、電圧生成回路67による第2制御によって制御されることになるため、第2制御に対する第1制御の遅れによる影響はない。従って、図9の期間(3)に示すように、第2クリーニング電圧V2が本第2目標レベルVT2の許容範囲内に達したときに(S309:YES)、第1クリーニング電圧V1を、オーバーシュートすることなく本第1目標レベルVT1付近に近付けることができる。
【0067】
その後、S311で、第1制御について、本第1目標レベルVT1を、第1目標レベルとして再開し、図8に示す電圧変動抑制処理を終了し、これ以降、第1制御及び第2制御を続行し(通常処理)、ベルト27のクリーニング動作を実行する(図9の期間(3)参照)。
【0068】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。特に、各実施形態の構成要素のうち、最上位の発明の構成要素以外の構成要素は、付加的な要素なので適宜省略可能である。
(1)上記実施形態1では、第2クリーニング電圧V2と本第2目標レベルVT2との間における差が第2基準量を上回る場合(S107:NO)に、第1抑制処理等(S111)を実行したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1クリーニング電圧V1と本第1目標レベルVT1との間における差が第1基準量を上回る場合に、第1抑制処理等(S111)を実行するようにしてもよい。
【0069】
(2)上記実施形態2では、第2クリーニング電圧V2が、本第2目標レベルVT2の第2許容範囲に達したときに第1制御の実行を許可したが、本発明はこれに限定されない。第2制御を実行(S201)後、第2クリーニング電圧V2が第2許容範囲に達する前(例えば上述の第2基準範囲に達したとき)、第1制御の実行を許可するようにしてもよい。要するに、第1クリーニング電圧V1が本第1目標レベルVT1に達する前に、第2クリーニング電圧V2が本第2目標レベルVT2に達するようにすればよい。
【0070】
(3)上記実施形態3では、仮第2目標レベルVT6と仮第1目標レベルVT5との間における差分は、本第1目標レベルVT1と本第2目標レベルVT2との間における差分とほぼ同量ΔVに設定されていたが、本発明はこれに限られない。仮第1目標レベルVT5は、絶対値がその仮第2目標レベルVT6よりも小さいレベルであればよい。但し、上記実施形態3の構成であれば、第1クリーニング電圧V1レベルを、本第1目標レベルVT1に円滑に到達させることができる。
【0071】
(4)更に、上記実施形態3では、電圧変動抑制処理の当初から、第1制御と第2制御の目標レベルを異なるようにした(S301)が、本発明はこれに限られない。当初は第1制御と第2制御とを共通の目標レベル(例えば仮第2目標レベルVT6)に設定し、第2クリーニング電圧V2が当該共通の目標レベルVT6に達した場合に、図8のS301に進む構成であってもよい。これにより、図9の時間Xで生じたようなオーバーシュートを抑制できる。
【0072】
(5)上記実施形態では、電圧生成回路67は、トランス77を備えて高電圧を出力する構成であったが、例えば、チャージポンプ回路を備える構成であってもよい。要するに、高電圧を出力できる電源回路であればよい。
【0073】
(6)上記実施形態では、ベルト27をクリーニングするクリーニング機構13を例に挙げて説明したが、本発明は、例えば転写後、感光体39上に残存したトナーをクリーニングするクリーニング機構にも適用することができる。この場合、感光体39の表面部材が本発明の「被クリーニング体」の一例である。更に、帯電器41が有する帯電ワイヤ(本発明の「第2電気的負荷」の一例)とグリッド(本発明の「第1電気的負荷」の一例)とに印加電圧を与える、シャント方式の印加回路に適用してもよい。要するに、画像形成装置が備える2つの電気的負荷に対し、シャント方式により電圧を印加する印加回路であれば、本発明を適用できる。
【0074】
(7)上記実施形態では、クリーニング機構13は、負極性のクリーニング電圧を利用する構成であったが、例えばトナーが負帯電性であれば、正極性のクリーニング電圧を利用する構成になる。このような構成でも本発明を適用することができる。
【0075】
(8)上記実施形態のプリンタ1は、複数色のトナーを有するカラープリンタであったが、1色のトナーのみを有する単色(例えばモノクロ)プリンタであってもよい。また、プリンタ1は、複数の発光素子を発光制御することにより感光体39を露光する露光装置43を備える構成であったが、例えばレーザ光によって露光するレーザプリンタであってもよい。要するに、電子写真方式の画像形成装置であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態1に係るプリンタの概略断面図
【図2】クリーニング機構の構成図
【図3】クリーニング機構への印加電圧を生成する部分の構成図
【図4】電圧制限処理を示すフローチャート
【図5】第1クリーニング電圧、第2クリーニング電圧の変化を示すグラフ
【図6】実施形態2の電圧変動抑制処理を示すフローチャート
【図7】第1クリーニング電圧、第2クリーニング電圧の変化を示すグラフ
【図8】実施形態3の電圧変動抑制処理を示すフローチャート
【図9】第1クリーニング電圧、第2クリーニング電圧の変化を示すグラフ
【符号の説明】
【0077】
1...プリンタ(画像形成装置)
27...ベルト(被クリーニング体)
51...クリーニングローラ(第1電気的負荷、第1クリーニング部材)
53...回収ローラ(第2電気的負荷、第2クリーニング部材)
65...PWM制御回路(制御部)
67...電圧生成回路
69...シャント回路
V1...第1クリーニング電圧(第1電圧)
V2...第2クリーニング電圧(第2電圧)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電気的負荷と、
第2電気的負荷と、
前記第2電気的負荷に印加する第2電圧を生成する電圧生成回路と、
前記電圧生成回路の出力側と前記第1電気的負荷との間に電気的に接続されるシャント回路と、
前記シャント回路から前記第1電気的負荷に印加される第1電圧を第1目標レベルに近付けるように前記シャント回路を制御する第1制御と、前記第2電圧を第2目標レベルに近付けるように前記電圧生成回路を制御する第2制御と、を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1電圧と前記第1目標レベルとの間における差が大きいほど前記第2制御での単位時間当たりの制御量を小さくする処理、及び、前記差が大きいほど前記第2制御の実行時間間隔を長くする処理のうち少なくとも一方を含む電圧変動抑制処理を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、前記電圧変動抑制処理において、前記第2電圧と前記第2目標レベルとの間における差が基準量を上回る場合、当該差が前記基準量以下である場合に比べて、前記第2制御での単位時間当たりの制御量を小さくする処理、及び、前記第2制御の実行時間間隔を長くする処理のうち少なくとも一方を実行する。
【請求項3】
第1電気的負荷と、
第2電気的負荷と、
前記第2電気的負荷に印加する第2電圧を生成する電圧生成回路と、
前記電圧生成回路の出力側と前記第1電気的負荷との間に電気的に接続されるシャント回路と、
前記シャント回路から前記第1電気的負荷に印加される第1電圧を第1目標レベルに近付けるように前記シャント回路を制御する第1制御と、前記第2電圧を第2目標レベルに近付けるように前記電圧生成回路を制御する第2制御と、を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第2電圧と前記第2目標レベルとの間における差が基準量を上回る場合、当該差が前記基準量以下である場合に比べて、前記第2制御での単位時間当たりの制御量を小さくする処理、及び、前記第2制御の実行時間間隔を長くする処理のうち少なくとも一方を含む電圧変動抑制処理を実行する、画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、前記第1制御を停止し、且つ、前記第2目標レベルを、絶対値が前記第1目標レベル以下である仮目標レベルに設定して前記第2制御を実行する立ち上げ処理を実行し、
遅くとも前記第2電圧が前記仮目標レベルに達するまでに、前記第1制御の停止を解除し、前記第2目標レベルを、前記第2電気的負荷に印加すべき本目標レベルに設定し、その後に、前記電圧変動抑制処理を実行する。
【請求項5】
第1電気的負荷と、
第2電気的負荷と、
前記第2電気的負荷に印加する第2電圧を生成する電圧生成回路と、
前記電圧生成回路の出力側と前記第1電気的負荷との間に電気的に接続されるシャント回路と、
前記シャント回路から前記第1電気的負荷に印加される第1電圧を第1目標レベルに近付けるように前記シャント回路を制御する第1制御と、前記第2電圧を第2目標レベルに近付けるように前記電圧生成回路を制御する第2制御と、を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1制御を停止し、且つ、前記シャント回路に流れる電流レベルを前記第1制御の実行時よりも小さいレベルに保持しつつ、前記第2制御を実行し、遅くとも前記第2電圧が前記第2目標レベルに達するまでに前記第1制御の停止を解除する、画像形成装置。
【請求項6】
第1電気的負荷と、
第2電気的負荷と、
前記第2電気的負荷に印加する第2電圧を生成する電圧生成回路と、
前記電圧生成回路の出力側と前記第1電気的負荷との間に電気的に接続されるシャント回路と、
前記シャント回路から前記第1電気的負荷に印加される第1電圧を第1目標レベルに近付けるように前記シャント回路を制御する第1制御と、前記第2電圧を第2目標レベルに近付けるように前記電圧生成回路を制御する第2制御と、を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第2電気的負荷に印加すべき本第2目標レベルよりも絶対値が小さい仮第2目標レベルを、前記第2目標レベルとして前記第2制御を実行し、前記仮第2目標レベルよりも絶対値が小さい仮第1目標レベルを、前記第1目標レベルとして前記第1制御を実行し、
前記第2電圧が前記仮第2目標レベルに達し、且つ、前記第1電圧が前記仮第1目標レベルに達した場合に、前記第2目標レベルを前記本第2目標レベルに設定し、且つ、前記シャント回路に流れる電流レベルを固定しつつ前記第1制御を停止し、
前記第2電圧が前記本第2目標レベルに達した場合に、前記第1電気的負荷に印加すべき本第1目標レベルを、前記第1目標レベルとする前記第1制御を実行する、画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置であって、
前記仮第1目標レベルと前記仮第2目標レベルとの間における差分は、前記本第1目標レベルと前記本第2目標レベルとの間における差分と略同量である。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
被クリーニング体を備え、
前記第1電気的負荷は、前記被クリーニング体上の付着物をクリーニングするための第1クリーニング部材であり、前記第2電気的負荷は、前記第1クリーニング部材の付着物をクリーニングするための第2クリーニング部材である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−39452(P2010−39452A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205893(P2008−205893)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】