説明

画像形成装置

【課題】 受熱部が定着装置に近接配置された液冷方式の冷却装置を備えた画像形成装置において、故障や停電などで突発的に画像形成装置の電源が落ち、冷却装置の冷却液の循環システムがストップしたような場合や定着装置が異常に発熱したような場合などであっても、定着装置の熱から冷却液の循環システムを保護することのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 定着装置6と、定着装置6近傍の冷却対象を冷却する液冷方式の冷却装置10を備えた画像形成装置1において、熱を遮蔽する遮蔽部材23で受熱部(冷却ローラ11、冷却ニップ)と定着装置6との間を遮蔽及び開放自在な熱遮蔽機構20を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機などの電子写真方式による画像形成装置に関し、より詳しくは、定着装置を通過した記録媒体を冷却する液冷方式の冷却装置を備えた電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタなどの電子写真方式のカラー画像形成装置は、近年、色材三原色と黒色(イエロー、シアン、マゼンダ、ブラック)の各トナーに対応する画像形成ユニットを複数備えて、各画像形成ユニットで形成した単色トナー像を一旦無端ベルトからなる中間転写ベルトに転写し、中間転写ベルト上で複数の単色トナー像を重畳してフルカラーのトナー像を形成し、その中間転写ベルト上のフルカラートナー像をコピー用紙やOHPシートなどの記録媒体へ転写することにより画像を形成するタンデム型中間転写方式のカラー画像形成装置が主流となっている。
【0003】
このようなタンデム型中間転写方式の画像形成装置においては、記録媒体上のトナー量が多いので定着するためにはより大きな熱量が必要になっており、モノクロの画像形成装置よりも定着直後の記録媒体の温度も高温になる傾向がある。そして、定着装置を通過した直後の記録媒体が高温のまま排紙されると、排紙トレイ上で記録媒体どうしが張り付いてしまう所謂ブロッキング現象という問題が発生する。また、記録媒体が熱を持ったまま両面ユニットに搬送されると、その経路周辺の温度を上昇させてしまう。特に、現像手段内などのトナーが存在する箇所では、熱によるトナーの溶融・固着などが起こり、機器の信頼性・画像品質などに悪影響を及ぼすことになる。
【0004】
そこで、定着装置通過後の記録媒体を冷却する冷却装置を備えたタンデム型中間転写方式の画像形成装置が開発されるに至った。従来、このような記録媒体を冷却する冷却装置としては、記録媒体の搬送経路内にファン等で気流を発生させ、それにより記録媒体を冷却する空冷方式のものや、ヒートパイプを組み込んだヒートパイプローラを直接記録媒体に接触させて冷却するヒートパイプ方式のものなどが提案されている。
【0005】
例えば、空冷方式では、充分な冷却性能を確保するためには記録媒体と気流との熱抵抗を小さくしなければならないが、空気などの気体は熱容量が小さいという欠点があり、所望の冷却性能を得るためには、流量を大きくするために気流の速度を上げるか、又は記録媒体と気流が接する面積を大きくする必要がある。しかし、現実的には、小型化の要請からダクトスペースが取れなかったり、静音化の要請からファンの低速回転を強いられたりして、高画質・高速化が進み、発熱量が増大しているタンデム型中間転写方式の画像形成装置において、空冷方式により所望の冷却性能を得ることが難しいという問題がある。
【0006】
また、ヒートパイプ方式では、ヒートパイプが細管なので、記録媒体とヒートパイプとの接触面積及び接触圧力が限られるためその部分で熱抵抗が大きくなったり、ヒートパイプローラと放熱フィンの接続部分(通常かしめ加工や溶接)で熱抵抗が大きくなったりして、結局全体的な熱交換率が落ちて充分な冷却性能が得られないという問題がある。また、ヒートパイプ方式は、その原理上、高所の熱を低所へは伝達することができず、設計の自由度が制限されるという問題もある。
【0007】
そして、前記問題点を解決するべく、従来、液冷方式の冷却装置が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。このような液冷方式の冷却装置は、冷却対象箇所に密着或いは近接配置した受熱部(冷却ローラなど)と放熱部(ラジエータ)との間を循環する水などの冷却液の流路を形成し、受熱部から放熱部へ熱を運搬して排熱・冷却する方式の冷却装置である。水の定積熱容量は、空気の3000倍以上であり、少ない流量で大きな熱量を移送できるので、空冷方式と比べて格段に効率のよい冷却が可能である。また、ヒートパイプ方式では放熱部での熱抵抗が大きくなってしまうのに対し、液冷方式では放熱部まで冷却液を満たすことができるので、放熱部における熱抵抗を小さくすることができる。即ち、ヒートパイプ方式と比べて液冷方式の方が、放熱部での熱交換の効率が良い。
【0008】
次に、画像形成装置において、このような液冷方式の冷却装置を、定着装置を通過した記録媒体を冷却する冷却装置として適用する場合の問題点について図7を用いて説明する。図7は、記録媒体を冷却する従来の液冷方式の冷却装置の一例として挙げる冷却装置の概略構成を正面から見た状態で示す構成説明図である。図7に示すように、110は、定着装置であり、100は、この定着装置110で熱と圧力を加えられてトナー像が定着された記録媒体を冷却する従来の冷却装置を示している。この冷却装置100は、受熱部である冷却ローラ101と、放熱部であるラジエータ102と、それらの間を連結して循環する管路103と、この管路103上に設けられ、冷却液を循環させる動力源としてのポンプ104と、このポンプ104の冷却液循環方向上流側、且つ、冷却ローラ101の下流側に配置され、冷却液の体積変動の調整・緩衝の機能及び揮発等による減少を見込んだ予備液貯留機能を有するリザーブタンク105と、から主に構成されている。このラジエータ102は、蛇行状に形成された流路102aと、この流路に設けられた図示しない放熱フィンと、この流路102a及び放熱フィンに風を送って外気との熱交換を促進する冷却ファン102bなどから構成されている。また、106は、冷却ローラ101の対向ローラであり、図示しないレバー等を介して図示しない付勢手段で付勢され、冷却ローラ101に所定圧で圧接されており、冷却ローラ101と対向ローラ106との間のニップで記録媒体が搬送されて通過する際に、冷却ローラ101で記録媒体から熱を奪って、管路103内を図の矢印方向に循環する冷却液で熱をラジエータ102まで運搬して外気と熱交換して排熱し、記録媒体を冷却するように構成されている。なお、一般的に、冷却液には、水を主成分として凍結温度を下げるための凍結防止剤(例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール等)や、金属の構成部品の錆を防ぐための防錆剤(例えば、リン酸カリ塩などのリン酸塩系物質、無機カリ塩等)などを添加したものが用いられている。
【0009】
このような液冷方式の冷却装置で記録媒体を冷却する場合には、画像形成装置の小型化の制約上、或いは高温の記録媒体が搬送経路の周辺の機器の温度を上昇させて悪影響を及ぼすのを防止するため、定着装置110と冷却ローラ101はなるべく近接して配置することが望ましい。しかしながら、液冷方式の冷却装置では、他の方式の冷却装置と比べて前記メリットがある反面、定着装置110と冷却ローラ101を近くに配置した場合は、以下のような問題が生じる。即ち、通常は、前記の冷却装置100の液冷システムが稼動しているので、放熱部であるラジエータ102では冷却液と外気との熱交換が行われ、画像形成装置内部の雰囲気(空気)は所定の温度に保たれている。ところが、停電や誤操作などにより画像形成装置の主電源を突然切ったような場合には、記録媒体冷却用の前記冷却装置100をはじめ、画像形成装置の全ての冷却装置が停止し、装置稼動中に、定着装置110に蓄熱されていた熱が拡散して、定着装置110付近の温度が上昇してしまう。通常、稼動中の定着装置110内の温度は100℃以上に達しており定着装置110付近も同様の温度になる可能性があり、これにより冷却ローラ101が加熱され、冷却ローラ101及び管路103内部の冷却液の温度が上昇してしまう。また、故障により定着装置110が異常に発熱した場合にも冷却装置の処理能力を超えてしまい、前記と同様に冷却液の温度が上昇する。結果として冷却液が想定以上に上昇すると、冷却装置100の前記構成部品や冷却液の劣化が促進されてしまうという問題があり、更に、冷却液の温度が100℃に達すると、冷却液が沸騰してその体積が著しく増大し、ラジエータ102や管路103などが破裂したり、管路103のジョイント部分や管路103と他の構成要素との継手部分などが外れたりして、冷却液が漏れ出してしまう虞がある。冷却液が漏れ出すと、漏れた冷却液が画像形成装置内の電気回路や高電圧部などに侵入して、絶縁部をショートさせるなどの重大な不具合を引き起こすという問題がある。
【0010】
【特許文献1】特開2005−298109号公報
【特許文献2】特開2005−349627号公報
【特許文献3】特開2006−091095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、前記従来の問題を解決し、受熱部が定着装置に近接配置された液冷方式の冷却装置を備えた画像形成装置において、故障や停電などで突発的に画像形成装置の電源が落ち、冷却装置の冷却液の循環システムがストップしたような場合や定着装置が異常に発熱したような場合などであっても、定着装置の熱から冷却液の循環システムを保護することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、記録媒体上のトナー像に熱と圧力を加えて記録媒体にトナー像を定着する定着装置と、該定着装置近傍の冷却対象を冷却する液冷方式の冷却装置を備え、前記冷却装置は、前記冷却対象から熱を受熱する受熱部と、該受熱部から伝達された熱を外気へ放熱する放熱部と、前記受熱部と放熱部との間を結んで冷却液が循環するように構成された循環経路と、該循環経路内の冷却液に圧力を加えて循環させるポンプと、を有し、前記定着装置近傍にある冷却対象の熱を前記受熱部から受熱して冷却液で運搬し、前記放熱部で放熱することにより冷却対象を冷却する画像形成装置において、熱を遮蔽する遮蔽部材で前記受熱部と前記定着装置との間を遮蔽及び開放自在な熱遮蔽機構を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置おいて、冷却装置は、定着装置通過直後の記録媒体を冷却対象とする記録媒体冷却用の冷却装置であり、記録媒体通過時には、熱遮蔽機構は、受熱部と定着装置との間を開放していることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置おいて、熱遮蔽機構は、主電源が切れた時には、遮蔽部材で受熱部と定着装置との間を遮蔽するよう構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置おいて、熱遮蔽機構は、ポンプが停止した時には、遮蔽部材で受熱部と定着装置との間を遮蔽するよう構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置おいて、定着装置の温度を測定する定着装置用の温度測定手段が設けられており、熱遮蔽機構は、この定着装置用の温度測定手段で所定の設定温度を超える温度を測定した時には、遮蔽部材で受熱部と定着装置との間を遮蔽するよう構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置おいて、冷却液の温度を測定する冷却液用の温度測定手段が設けられており、熱遮蔽機構は、この冷却液用の温度測定手段で所定の設定温度を超える温度を測定した時には、遮蔽部材で受熱部と定着装置との間を遮蔽するよう構成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置おいて、遮蔽部材は、主板と、該主板の定着装置側に取り付けられた主板より熱伝導率の低い断熱材とを有することを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置おいて、遮蔽部材には、空気層が封入されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
この発明は、前記のようであって、請求項1に記載の発明によれば、定着装置と、該定着装置近傍の冷却対象を冷却する液冷方式の冷却装置を備えた画像形成装置において、熱を遮蔽する遮蔽部材で受熱部と定着装置との間を遮蔽及び開放自在な熱遮蔽機構を設けたので、故障や停電などで突発的に画像形成装置の電源が落ち、冷却装置の冷却液の循環システムがストップしたような場合や定着装置が異常に発熱したような場合などであっても、適宜に遮蔽部材で前記受熱部と前記定着装置との間を遮蔽することにより、冷却液が想定以上に上昇して冷却装置の構成部品や冷却液の劣化が促進されたり、冷却液が沸騰して放熱部や循環経路などが破裂したり、循環経路のジョイント部分や循環経路と他の構成要素との継手部分などが外れたりして、冷却液が漏れ出してしまう虞を低減することができる。そのため、定着装置の熱から冷却液の循環システムを保護することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の画像形成装置おいて、冷却装置は、定着装置通過直後の記録媒体を冷却対象とする記録媒体冷却用の冷却装置であり、記録媒体通過時には、熱遮蔽機構は、受熱部と定着装置との間を開放しているので、画像出力時に記録媒体が熱遮蔽機構を通過する際には、受熱部と定着装置との間を開放して記録媒体を搬送することができ、記録媒体冷却用の冷却装置に適用して前記効果を発揮することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の画像形成装置おいて、熱遮蔽機構は、主電源が切れた時には、遮蔽部材で受熱部と定着装置との間を遮蔽するよう構成されているので、即ち、電源が必要な駆動手段を用いずに遮蔽部材で受熱部と定着装置との間を遮蔽するので、故障や停電などで突発的に画像形成装置の電源が落ちた場合でも確実に熱遮蔽機構の遮蔽部材で受熱部と定着装置との間を遮蔽することができ、前記効果に加え、より確実に、定着装置の熱から冷却液の循環システムを保護することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置おいて、熱遮蔽機構は、ポンプが停止した時には、遮蔽部材で受熱部と定着装置との間を遮蔽するよう構成されているので、前記効果に加え、故障などにより冷却液の循環システムに何らかの異常が発生し、ポンプが停止したような場合でも確実に定着装置の熱から冷却液の循環システムを保護することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置おいて、定着装置の温度を測定する定着装置用の温度測定手段が設けられており、熱遮蔽機構は、この定着装置用の温度測定手段で所定の設定温度を超える温度を測定した時には、遮蔽部材で受熱部と定着装置との間を遮蔽するよう構成されているので、前記効果に加え、定着装置が故障し、異常に発熱したような場合でも、確実に定着装置の熱から冷却液の循環システムを保護することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置おいて、冷却液の温度を測定する冷却液用の温度測定手段が設けられており、熱遮蔽機構は、この冷却液用の温度測定手段で所定の設定温度を超える温度を測定した時には、遮蔽部材で受熱部と定着装置との間を遮蔽するよう構成されているので、前記効果に加え、冷却液の循環システムに何らかの異常が発生し、ポンプが停止するまでには至らないが、冷却液の温度が異常に上昇してしまったような場合でも、確実に定着装置の熱から冷却液の循環システムを保護することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置おいて、遮蔽部材は、主板と、該主板の定着装置側に取り付けられた主板より熱伝導率の低い断熱材とを有するので、前記効果に加え、定着装置からの熱が冷却装置に伝達されるまでの時間を長くすることができる。よって、定着装置の熱から冷却液の循環システムを保護する確実性が増す。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置おいて、遮蔽部材には、空気層が封入されているので、前記効果に加え、固体より遙かに熱伝導率が低い気体である空気層を設けているので、固体の断熱材より更に定着装置からの熱が冷却装置に伝達されるまでの時間を長くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。
【0029】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を正面から見た状態で示す構成説明図である。図中の符号1は、本発明の画像形成装置の一実施の形態として例示する、複写機、プリンタ、ファクシミリの機能を兼ね備えた、いわゆるカラー複合機と呼ばれるイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナーからフルカラー画像を形成する4連タンデム型中間転写方式の画像形成装置である。このカラー複合機1は、筐体である装置本体1aと、この装置本体1aの上部に配置され、原稿から文字や画像などの画像情報を読み込む読取ユニット2と、この読取ユニット2の下方に配置され、入力される画像情報に基づいて後述の感光体ドラムに静電潜像を書き込む書込ユニット3と、この書込ユニット3の下方に配置され、前記4色のトナーからフルカラーの画像を形成する画像形成部4と、この画像形成部4の下方に配置され、画像形成部4で形成された画像を記録媒体であるコピー用紙に転写する転写装置5と、この転写装置5で転写された画像に熱と圧力を加えてコピー用紙に定着させる定着装置6と、装置本体1aの下部に配置され、所定の大きさのコピー用紙を収容しており、図示しない制御手段の指示に基づいてコピー用紙を1枚ずつ給紙(供給)する給紙部7と、定着装置6で画像が定着されたコピー用紙が排紙される排紙部8などから構成されている。なお、符号9は、コピー用紙を反転させて通常の用紙搬送路Aに戻し、両面印刷を可能とする両面ユニットである。
【0030】
読取ユニット2は、図の奥行き方向(主走査方向)に長尺な蛍光管や白色LEDアレイなどからなる図示しない照明ランプから光を発し、原稿の画像に反射して戻ってきた光を光電変換素子からなるラインセンサ(例えば、CCDなどのイメージセンサ)で電気信号に変換して画像情報を読み込むよう構成されている。図の矢印で示す範囲が、照明ランプやラインセンサなどが移動して原稿から画像情報を読取可能な副走査範囲を示している。
【0031】
書込ユニット3は、図示しない発光素子やポリゴンミラーなどを有し、制御手段に入力される読取ユニット2又は他の装置(ネットワークで接続されているパソコン等)からの画像情報に基づいてレーザ光線を照射して、照射した感光体ドラムの外周面上の帯電状態を変化(例えば、低下)させ静電潜像を形成するよう構成されている。
【0032】
画像形成部4は、前記4色のトナーに対応した4つの画像形成ユニット4Y,4C,4M,4Kからなり、それぞれの画像形成ユニット4Y,4C,4M,4Kは、潜像担持体である4つの感光体ドラムY,C,M,Kを中心に、対応するトナーにより静電潜像を現像する現像手段4Ya,4Ca,4Ma,4Kaと、感光体ドラムY,C,M,Kの外周表面を一様に帯電させる図示しない帯電手段と、1次転写後も感光体ドラムY,C,M,K表面に付着する転写残トナーをクリーニングする図示しないクリーニング手段などから構成されている。各画像形成ユニット4Y,4C,4M,4Kでそれぞれの感光体ドラムY,C,M,Kに形成した単色トナー像を後述の中間転写ベルト50上に重畳して転写することによりフルカラーのトナー像を形成する。
【0033】
転写装置5は、像担持体としての無端ベルトからなる中間転写ベルト50と、この中間転写ベルト50を張架する4つの張架ローラ51,52,53,54と、張架ローラ52と中間転写ベルト50と当接して従動回転可能な2次転写ローラ55とから主に構成され、張架ローラ52と2次転写ローラ55の接触部分が2次転写ニップとなっており、後述の給紙部7から搬送されてきたコピー用紙に、この2次転写ニップで2次転写ローラ55から中間転写ベルト50に担持されたトナー像と逆極性の転写バイアスを印加して、静電引力によりコピー用紙にトナー像を転写するようになっている。また、張架ローラ51,52,54のいずれかが図示しない駆動手段との駆動力が伝達可能に構成された駆動ローラとなっており、張架ローラ53は、中間転写ベルト50を内側に湾曲させて定着装置6等の配置スペースを確保すると共に、中間転写ベルト50に適度なテンションを付与する押圧ローラとなっている。
【0034】
定着装置6は、内部に発熱体を有する定着ローラ60と、この定着ローラ60と接触し、図示しない付勢手段で定着ローラ60側へ付勢されている加圧ローラ61とから主に構成され、定着ローラ60と加圧ローラ61との接触部分が定着ニップとなっており、前記転写装置5でトナー像が転写されたコピー用紙に、この定着ニップにおいて熱と圧力を加えてトナー像を溶解・圧着してコピー用紙に定着させるようになっている。なお、符号62は、定着装置6で発生する熱が他の装置等へすぐに伝播しないように設けられた断熱材からなるハウジングである。
【0035】
給紙部7は、所定の大きさのコピー用紙が収容されている複数の給紙カセット70と、ピックアップローラ71などからなり、給紙カセット70から図示しない制御手段の指示に基づいて1枚ずつコピー用紙を破線で示す用紙搬送路Aに給紙するよう構成されている。
【0036】
排紙部8は、排紙ローラ対80と排紙トレイ81とから主に構成され、前記定着装置6でトナー像が定着されたコピー用紙を用紙搬送路Aから排紙ローラ対80で排紙して、排紙トレイ81上にスタックする機能を有する。
【0037】
(画像形成動作)
次に、カラー複合機1の画像形成動作について図1を用いて説明する。カラー複合機1を複写機として使用する場合は、先ず、読取ユニット2上部のコンタクトガラス上に下向きにセットした原稿から読取ユニット2で画像情報を読み込む。読み込んだ画像情報は、図示しない記憶手段に記憶され、その画像情報を基に、書込ユニット3からレーザ光線が照射され、各画像形成ユニット4Y,4C,4M,4Kにおいてそれぞれの感光体ドラムY,C,M,K上に単色トナー像が形成される。カラー複合機1をファクシミリやプリンタとして使用する場合は、前記原稿から読取ユニット2で画像情報を読み込む必要はなく、その代わり、パソコンなどのネットワークで結ばれる他の画像入力手段からの画像情報が前記記憶手段に記憶される。そして、複写機、プリンタ、ファクシミリのいずれに使用する場合も、それ以後の画像を形成する動作は同じなのでまとめてカラー画像を形成する場合で説明する。
【0038】
カラー複合機1において画像形成動作が開始されると、各画像形成ユニット4Y,4C,4M,4Kの各感光体ドラムY,C,M,Kが回転駆動されると共に、図示しない帯電手段によって各感光体ドラムY,C,M,Kの外周面が所定の極性(例えば、マイナス)に一様に帯電される。次いで、その帯電面に色分解された画像情報に基づいてトナー色毎に、書込ユニット3から光変調されたレーザ光が照射され、これによって各感光体ドラムY,C,M,Kの外周面上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、各現像手段4Ya,4Ca,4Ma,4Kaによって単色のトナー像として可視像化され、各色のトナー像はそれぞれ対応する図示しない1次転写ローラから供給される1次転写バイアスが印加され、中間転写ベルト50上に順次重畳されてカラートナー像が形成される。なお、単色の画像を形成する場合には、ブラックの画像形成ユニット4Kのみで前記動作が行われる。
【0039】
一方、給紙部7から用紙搬送路Aを図示しない搬送ローラ対により搬送されてきた記録媒体であるコピー用紙がレジストローラ対80により転写のタイミングを調整されて2次転写ニップに送られる。そこで、2次転写ローラ55から2次転写バイアスが印加され、中間転写ベルト50上の前記フルカラーのトナー像がコピー用紙に転写される。次に、このフルカラーのトナー像を担持したコピー用紙が定着部6の定着ローラ60と、加圧ローラ61間の定着ニップに送られ、熱と圧力が加えられ、コピー用紙に担持された未定着のトナー像がコピー用紙に定着される。このように、コピー用紙にトナー像が定着された後、排紙部8の図示しない排紙ローラ対で排紙トレイ81上に排紙されてスタックされる。なお、両面印刷をする時は、両面ユニット9で定着後のコピー用紙を反転させて2次転写ニップ前の用紙搬送路Aに戻して、前記動作を繰り返す。また、2次転写後の中間転写ベルト50の表面に付着する残トナーは、図示しないベルトクリーニングユニットで除去され、各感光体ドラムY,C,M,Kに1次転写後も付着する残トナーは、図示しないクリーニング手段で除去され、再度の画像形成動作に備えられる。そして、ベルトクリーニングユニット及びクリーニング手段で除去された転写残トナーは、図示しない廃トナー収容ボトルに運ばれ、満杯になった時点でユーザ又はサービススタッフなどにより交換・廃棄される。
【0040】
<冷却装置>
次に、本発明の特徴部分である冷却装置と熱遮蔽機構について図2及び図3を用いて説明する。図2及び図3は、図1の画像形成装置の冷却装置及び熱遮蔽機構の構成を説明するためにその概略構成を模式的に表した図1のB部部分拡大図であり、図2は、熱遮蔽機構の遮蔽時(閉鎖時)を示し、図3は、熱遮蔽機構の開放時を示している。図示する冷却装置10は、図7で示した冷却装置100と同様の構成であり、前述の定着装置6から用紙搬送路Aを通って運ばれてくるコピー用紙に後述の冷却ローラ11を接触させて、冷媒である冷却液と熱交換を行うことにより冷却する液冷方式の接触式の冷却装置である。この冷却装置10は、受熱部である冷却ローラ11と、放熱部であるラジエータ12と、それらの間を連結して循環する循環経路13と、この循環経路13上に設けられたポンプ14と、このポンプ14の冷却液循環方向上流側、且つ、冷却ローラ11の下流側に配置されたリザーブタンク15と、冷却ローラ11と当接する対向ローラ16と、から主に構成されている。
【0041】
この冷却ローラ11は、内部を冷却液が流れる流路11aが形成され、給紙部7に収容される最大のコピー用紙の幅より長いローラであり、ラジエータ12は、図示しない放熱フィンを有する熱伝導率が良好な(高い)材料からなる蛇行状の流路12aと、この流路12aに図の矢印方向に外気を吸引して冷却液との熱交換を促進する冷却ファン12bなどから構成されている。循環経路13は、パイプ材からなり、内部を図の矢印方向にポンプ14の圧力で冷却液が圧送可能となっている。リザーブタンク15は、空間の余裕を残して冷却液を所定量貯留可能な液溜まりのタンクとなっており、冷却液の温度変化による体積膨張及び縮小を吸収して循環経路13内の圧力変動を抑制する機能と、冷却液が気化して減少する分を見越して予備の冷却液を貯蔵しておく予備タンクとしての機能を有している。また、このリザーブタンク15は、大気圧に開放して循環経路13内の圧力を調整するようにしてもよい。
【0042】
対向ローラ16は、図示しないレバー等を介して図示しない付勢手段で付勢され、冷却ローラ11に所定圧で圧接されており、冷却ローラ11と搬送経路A上で接触して冷却ニップを形成する。冷却液の循環システムである前記構成の冷却装置10は、この冷却ニップにおいて、定着装置6で熱せられたコピー用紙と、冷却ローラ11内を流れる冷却液とで熱交換すると共に、その熱せられた冷却液をポンプ14で圧送して循環経路13内を図の矢印方向にラジエータ12まで運搬し、ラジエータ12の流路12aで外気に排熱する。そして、再び冷却ローラ11の流路11aに戻ってきた冷却液で記録媒体であるコピー用紙と更に熱交換することを繰り返して冷却する仕組みとなっている。
【0043】
以上のように、本実施の形態に係る冷却装置を定着装置通過直後の記録媒体を受熱部である冷却ニップで搬送しながら把持することにより冷却する接触式の冷却装置を例に挙げて説明したが、内部に流路が形成された金属ブロックと記録媒体とが摺動しながら接触する構成でもよいし、複数のローラにより張架された無端ベルトの一部が冷却ローラと接する構成にして冷却ローラと記録媒体との接触時間を大きくするようにしてもよい。また、本実施の形態に係る放熱部においては、熱伝導率が良好な(高い)材料から形成された流路と放熱フィンを強制対流熱伝達(冷却ファンあり)により冷却しているが、放熱面積を更に大きくして自然対流熱伝達(冷却ファンなし)により冷却することも可能であるし、ペルチェ素子、ペルチェ素子冷却フィン、ファンからなるペルチェモジュールを冷却液の流れる流路を形成したブロックに接触させて冷却しても構わない。なお、冷却性能は落ちるが受熱部を冷却対象近傍に設けた非接触式の冷却装置でも冷却可能である。
【0044】
<熱遮蔽機構>
図示する実施の形態に係る熱遮蔽機構20は、シャッター手段21と、このシャッター手段を制御する制御手段22とから主に構成され、このシャッター手段21は、熱を遮蔽する図の奥行き方向(冷却ローラ11の軸方向)を長手方向とする矩形状の平板からなる複数(図示する形態では4枚)の遮蔽部材23(シャッター)を有し、この遮蔽部材23を駆動手段24で鉛直方向にスライド移動させることにより、冷却装置10の前記冷却ニップと定着装置6との間を遮蔽及び開放自在となっている。つまり、画像出力時などのコピー用紙が熱遮蔽機構20を通過する時には、用紙搬送路Aを開放して定着ニップから冷却ニップに記録媒体であるコピー用紙が搬送可能であり、後述のように、定着装置からの熱を遮断したい時には、遮蔽部材23(シャッター)で遮蔽するようになっている。
【0045】
この遮蔽部材23には、錘や自重により重力で遮蔽(閉鎖)方向に常に力が加わっており、駆動手段24によりこの重力に抗して開放方向(上方)に持ち上げて開放するよう構成されている。このため、停電や故障などで画像形成装置1の主電源が落ちたような場合でも、つまり、電力が駆動手段に供給されなくても重力により冷却ニップと定着装置6との間を遮蔽部材23で遮蔽することができる。
【0046】
制御手段22は、シャッター手段21の駆動手段24と電気的に接続され、センサS1,S2,S3からの電磁的な情報を基に駆動手段24の駆動を制御して、シャッター手段21で用紙搬送路Aを開閉制御する。なお、この制御手段22は、画像形成装置1本体の制御手段と一体となっていても構わないし、又は、画像形成装置1本体の制御手段で制御されるプロセッサ等であっても構わない。
【0047】
(遮蔽部材)
遮蔽部材23は、ステンレス製の主板23aと、この主板23aの定着装置6側に図示しない樹脂ネジで螺着された断熱材23bと、からなる2層構造の部材であり、断熱材23bは、ガラス繊維を基材としてケイ酸系バインダーを含浸させたものである。このように、遮蔽部材23は、熱の発生源である定着装置6側に熱伝導率の低い断熱材23bの層があるので、定着装置6から赤外線などの光により直接受熱部である冷却ローラ11に伝達される輻射や、定着装置6付近の空気が暖まり、その空気の熱で遮蔽部材23や冷却ローラ11などが次々暖まってゆく熱伝達などによる熱移動を効果的に遅らせることができる。なお、本実施の形態では、遮蔽部材23として2層構造のものを例示したが、図4に示すように、主板23aと、断熱材23bとの間にスペーサ23cを挟んで固着させて内部に空気層を封入した変形例1に係る遮蔽部材23#としてもよい。空気層を設けることにより、固体である断熱材より遥かに熱伝導率が低い部材とすることができるため好ましいからである。また、図示しないが、熱移動をある程度遅らせることがでるので、主板23aだけや断熱材23bだけなどの1層構造とすることも可能である。しかし、主板23aだけでは、熱輻射にはある程度効果はあるものの、熱伝導率が高いので熱伝達による熱移動を遅らせることがあまりできない。また、断熱材23bだけでは、スライド移動させる上で、耐久性や剛性等に問題がある。
【0048】
(温度測定手段及びポンプ停止検知手段)
次に、各センサS1〜S3について図2及び図3を用いて説明する。センサS1は、循環経路13内を流れる冷却液の温度を測定する冷却液温度測定手段の一例である温度センサであり、センサS2は、定着装置6のハウジング62に取り付けられた定着装置の温度を測定する定着装置温度測定手段の一例である温度センサである。このセンサS1及びS2で測定した温度情報は、制御手段22に送信され、その制御手段22で図示しない記憶手段に格納されたそれぞれの設定温度と比較されて、送信されてきた温度が設定温度を超える場合は、異常事態発生と判断して、定着装置6の熱が冷却液の循環システムに悪影響を及ぼさないように、シャッター手段21の駆動手段24を駆動させて冷却ニップと定着装置6との間を遮蔽部材23により遮蔽するよう構成されている。なお、冷却液の前記設定温度は、冷却液の沸点温度及び冷却液の劣化に影響を与えない温度を基準に安全率を見込んで所定温度低い温度に設定し、定着装置の前記設定温度は、定着する時の定着温度を基準に測定誤差とセンサS2と定着ローラ60との距離を考慮し、多少の余裕を見込んで所定温度高い温度に設定するとよい。
【0049】
センサS3は、ポンプ14へ通電されているか否かを検知するセンサや、冷却液の流量や圧力を検知するセンサなど、ポンプ14が停止しているか否かを検知するポンプ停止検知手段の一例であり、このセンサS3からポンプの停止に関する情報が制御手段22に電磁的な情報として送信されるようなっている。そして、制御手段22でポンプ14が停止したと判断した時には、シャッター手段21で駆動手段24を駆動させて冷却ニップと定着装置6との間を遮蔽部材23により遮蔽するよう構成されている。
【0050】
(実施の形態1の作用効果)
以上のように、実施の形態に係る画像形成装置(カラー複合機)1によれば、定着装置6と、記録媒体冷却用の液冷方式の接触式の冷却装置10を設けた画像形成装置において、2層構造の遮蔽部材23又は更に空気層を設けた遮蔽部材23#で受熱部である冷却ニップと定着装置6との間を遮蔽及び開放自在な熱遮蔽機構20を設け、且つ、制御手段22にセンサS1〜S3を接続したので、つまり、センサS3によりポンプ14の停止を検知するので、故障などにより冷却液の循環システムに何らかの異常が発生し、ポンプが停止したような場合でも確実に定着装置の熱から冷却液の循環システムを保護することができ、また、センサS2により定着装置の異常温度を検知するので、定着装置が故障し、異常に発熱したような場合でも、確実に定着装置の熱から冷却液の循環システムを保護することができ、更に、センサS1により冷却液の異常温度を検知するので、冷却液の循環システムに何らかの異常が発生し、ポンプが停止するまでには至らないが、冷却液の温度が異常に上昇してしまったような場合でも、確実に定着装置の熱から冷却液の循環システムを保護することができる。要するに、故障や停電などで突発的に画像形成装置の電源が落ち、冷却装置の冷却液の循環システムがストップしたような場合や定着装置が異常に発熱したような場合などであっても、冷却液が想定以上に上昇して冷却装置の構成部品や冷却液の劣化が促進されたり、冷却液が沸騰して放熱部や循環経路などが破裂したり、循環経路のジョイント部分や循環経路と他の構成要素との継手部分などが外れたりして、冷却液が漏れ出してしまう虞を低減することができる。そのため、定着装置の熱から冷却液の循環システムを保護することができる。また、画像出力時に記録媒体が熱遮蔽機構を通過する際には、受熱部と定着装置との間を開放して記録媒体を搬送することができる。
【0051】
(シャッター手段の別の実施の形態)
次に、シャッター手段の別の実施の形態について図5及び図6を用いて説明する。図5は、第2の実施の形態に係るシャッター手段を示す構成説明図であり、図6は、第3の実施の形態に係るシャッター手段を示す構成説明図である。図中の実線は、遮蔽状態を示し、図中の破線は、開放状態を示している。なお、前記実施の形態と同じ構成は同じ符号を付し、説明を省略する。
【0052】
[実施の形態2]
前述のように、実施の形態1に係るシャッター手段21では、遮蔽部材23(シャッター)を鉛直方向にスライド移動させて用紙搬送路Aの定着装置6と冷却ニップとの間を開閉するものを例に挙げて説明したが、実施の形態2に係るシャッター手段21’は、図5に示すように、遮蔽部材23よりもっと高さの低い細長い矩形状の複数の平板をピン接合にて回転自在に連結した遮蔽部材23’を、駆動手段であるモータ24’で回転軸24a’に巻き上げて開放し、又は回転軸24a’から巻き降ろして遮蔽するよう構成されている。また、遮蔽部材23’の先端には、錘23a’が付いており、実施の形態1と同様に、常に重力により閉鎖方向に付勢され、モータ24’は、重力に抗して回転軸24a’に遮蔽部材23’を巻き上げることにより開放するように構成されている。なお、この遮蔽部材23’は、実施の形態1と同じく2層構造や空気層を封入した構成でもよく、また、遮蔽部材23’を可撓性を有する材料から形成し、モータ24’で回転軸24a’に巻き上げ、又は巻き降ろし可能としてもよい。
【0053】
[実施の形態3]
実施の形態3に係るシャッター手段21”は、図6に示すように、駆動手段としてソレノイド24”と、遮蔽部材として遮蔽部材23”を備え、このソレノイド24”は、非通電状態で芯24a”が捩りバネなどの図示しない付勢手段で付勢されて引っ込んでおり、通電状態でこの付勢手段に抗してソレノイド24”の芯24a”が突出するように構成され、遮蔽部材23”は、装置本体1aに軸23a”で回転自在に軸支された冷却ローラ11の軸方向に長い1枚の矩形状の平板から構成されている。この遮蔽部材23”も実施の形態1と同じく2層構造や空気層を封入した構成でも構わない。
【0054】
(実施の形態2,3の作用効果)
このように、実施の形態2,3に係るシャッター手段21’,21”(熱遮蔽機構)によれば、実施の形態1と同様に、停電や故障などで画像形成装置1の主電源が落ちたような場合でも、つまり、電力が駆動手段24’,24”に供給されなくても重力又は捩りバネなどの付勢手段により冷却ニップと定着装置6との間を遮蔽部材23’,23”で遮蔽することができ、且つ、画像出力時に記録媒体がシャッター手段21’,21”を通過する際には、受熱部である冷却ローラ11と定着装置6との間を開放して記録媒体を搬送することができる。
【0055】
以上のように、この発明の実施の形態に係る画像形成装置として4連タンデム型の間接転写方式ものを例に挙げて説明したが、本発明が適用できるのは必ずしもこのような画像形成装置に限られず、例えば、ハーフトーン用のブラックとトナーを備えた5連タンデム型の中間転写方式のものであって構わないし、各色の感光体ドラムから記憶媒体であるコピー用紙に直接転写する直接転写方式の画像形成装置であっても構わない。また、厚紙などを記録媒体とするときは、定着させるのに大量の熱量を必要とするためモノクロ用の画像形成装置であっても適用可能である。即ち、定着装置と液冷方式の冷却装置を備えた画像形成装置であればよい。また、本実施の形態に係る画像形成装置として挙げたカラー複合機1の読取ユニット、書込ユニット、画像形成部、転写装置、定着装置、給紙部、排紙部、両面ユニットなどは、あくまでも一例を示したものであって、他の既知の装置・手段などの構成を採用することができる。その場合でも、前記課題に対して同様の効果を奏することは明らかである。なお、図面で示した各構成部材の形状や構造等も、あくまでも好ましい一例を示すものであり、特許請求の範囲内で適宜設計変更可能であることは云うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を正面から見た状態で示す構成説明図である。
【図2】熱遮蔽機構の遮蔽時を示す同上の構成説明図のB部部分拡大図である。
【図3】熱遮蔽機構の開放時を示す図1の構成説明図のB部部分拡大図である。
【図4】遮蔽部材の変形例を示す構成説明図である。
【図5】実施の形態2に係るシャッター手段を示す構成説明図である。
【図6】実施の形態3に係るシャッター手段を示す構成説明図である。
【図7】記録媒体を冷却する従来の液冷方式の冷却装置の概略構成を正面から見た状態で模式的に表した構成説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1 カラー複合機(画像形成装置)
1a 装置本体(筐体)
3Y,3C,3M,3K 画像形成ユニット
10,100 冷却装置
11,101 冷却ローラ(受熱部)
11a 流路
12,102 ラジエータ(放熱部)
12a 流路
12b 冷却ファン
13,103 管路(循環経路)
14,104 ポンプ
15,105 リザーブタンク
20 熱遮蔽機構
21,21’,21” シャッター手段
22 制御手段
23,23# 遮蔽部材
23a 主板
23b 断熱材
23c スペーサ
23’ 遮蔽部材
23” 遮蔽部材
24 駆動手段
24’ モータ(駆動手段)
24” ソレノイド(駆動手段)
A 用紙搬送路
S1 センサ(冷却液温度測定手段)
S2 センサ(定着装置温度測定手段)
S3 センサ(ポンプ停止検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上のトナー像に熱と圧力を加えて記録媒体にトナー像を定着する定着装置と、該定着装置近傍の冷却対象を冷却する液冷方式の冷却装置を備え、
前記冷却装置は、前記冷却対象から熱を受熱する受熱部と、該受熱部から伝達された熱を外気へ放熱する放熱部と、前記受熱部と放熱部との間を結んで冷却液が循環するように構成された循環経路と、該循環経路内の冷却液に圧力を加えて循環させるポンプと、を有し、前記定着装置近傍にある冷却対象の熱を前記受熱部から受熱して冷却液で運搬し、前記放熱部で放熱することにより冷却対象を冷却する画像形成装置において、
熱を遮蔽する遮蔽部材で前記受熱部と前記定着装置との間を遮蔽及び開放自在な熱遮蔽機構を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記冷却装置は、前記定着装置通過直後の記録媒体を冷却対象とする記録媒体冷却用の冷却装置であり、記録媒体通過時には、前記熱遮蔽機構は、前記受熱部と前記定着装置との間を開放していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記熱遮蔽機構は、主電源が切れた時には、前記遮蔽部材で前記受熱部と前記定着装置との間を遮蔽するよう構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記熱遮蔽機構は、前記ポンプが停止した時には、前記遮蔽部材で前記受熱部と前記定着装置との間を遮蔽するよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記定着装置の温度を測定する定着装置用の温度測定手段が設けられており、
前記熱遮蔽機構は、この定着装置用の温度測定手段で所定の設定温度を超える温度を測定した時には、前記遮蔽部材で前記受熱部と前記定着装置との間を遮蔽するよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記冷却液の温度を測定する冷却液用の温度測定手段が設けられており、
前記熱遮蔽機構は、この冷却液用の温度測定手段で所定の設定温度を超える温度を測定した時には、前記遮蔽部材で前記受熱部と前記定着装置との間を遮蔽するよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記遮蔽部材は、主板と、該主板の前記定着装置側に取り付けられた主板より熱伝導率の低い断熱材と、を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記遮蔽部材には、空気層が封入されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−91746(P2010−91746A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261046(P2008−261046)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】