説明

画像形成装置

【課題】プリンタコントローラを使用せずトンボを印刷する。
【解決手段】画像形成装置1は、画像データとプリント情報を取得して画像形成を行う。画像形成装置1が取得した画像データは、プリンタコントローラ10によってRIP処理が施され、画像メモリ52aに記憶される。プリント情報には、付加画像の各種設定値が含まれており、RIP後画像データに対して付加画像を合成して画像形成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において両面印刷やツーインワン印刷を行う場合、用紙に形成する画像の位置合わせを正確に行う必要がある。位置合わせを行って断裁を行う際の目印にするために、用紙の画像領域外の余白部分に位置合わせ用の目印(以下、トンボという)を印刷することがある。
【0003】
画像形成装置のプリンタコントローラにおいては、PC(Personal Computer)等から送信される画像を印刷用の画像に変換するためのRIP(Raster Image Processor)処理が実行される。その際には、画像データにトンボの画像データを合成する画像合成処理も行われる。
【0004】
特許文献1には、印刷データに付随する印刷用紙のサイズ情報等に基づいて、トンボを作成し、データ量の増加や処理の複雑化を招くことなく、画像又は文書に合成して印刷する技術が記載されている。
特許文献2には、面付けの方法に応じて原稿データの配置を決定し、より効率的に原稿データの面付け処理を実行することができる情報処理装置が記載されている。
特許文献3には、配置すべき原稿データの中央位置を合わせて、より効率的に原稿データの面付け処理を実行することができる情報処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−216935号公報
【特許文献2】特開2007−272782号公報
【特許文献3】特開2007−272783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、画像合成をした後にトンボを印刷すべき位置を変える場合、特許文献1の技術では、再度プリンタコントローラで画像を作成して、プリンタに再送する必要があった。特許文献2及び3の技術では、原稿データの面付け処理を効率よく実行することはできるが、トンボを印刷すべき位置を変える場合には、同様にプリンタコントローラでの画像処理を行う必要があった。
【0007】
ユーザ操作によって、白紙のページを挿入する旨の指示がなされた場合においても、ページの順序が入れ替わりトンボを印刷すべきページが変更されるため、再度プリンタコントローラでの画像処理を行う必要がある。また、プリンタ側のメモリは、トンボデータを含んだサイズのメモリ領域が必要となり、さらに、プリンタ側の装置の特性をプリンタコントローラで判断することは難しく、この特性を反映させたトンボ位置を決定することは困難であった。また、コピー機能においては、プリンタコントローラを使用しないため、トンボを印刷することができなかった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてされたものであり、その目的とするところは、プリンタコントローラを使用せずトンボを印刷することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
画像データ及び当該画像データに合成させる付加画像を生成するための設定値を含むプリント情報を取得し、当該取得した画像データに基づいて画像形成を行う画像形成装置であって、
前記プリント情報に含まれる設定値に基づいて付加画像を生成し、当該生成した付加画像と前記画像データとを合成して画像形成を実行する制御部を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記プリント情報は、前記画像データの画像領域を示す画像領域情報を含み、
前記制御部は、当該画像領域情報に基づいて用紙に形成される画像の領域の中央を示す位置を判断し、付加画像として画像の中心を示す付加画像を合成して画像形成することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記制御部は、前記画像領域情報に基づいて用紙に形成される画像の中央に対応する位置に前記付加画像を合成して画像形成することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記制御部は、前記画像データの面付け処理を行い、前記画像領域情報に基づいて用紙に形成される面付け画像全体の領域の中央位置に前記付加画像を合成して画像形成することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4の何れか一項に記載の発明において、
前記制御部が合成する付加画像は、用紙の折位置に形成されることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記プリント情報は、前記画像データの画像領域を示す画像領域情報と前記画像領域周囲に付加画像を合成させる際の画像領域の幅を示す断裁代情報とを含み、
前記制御部は、前記画像データの面付け処理を行い、前記画像領域情報及び前記断裁代情報に基づいて前記面付け処理された画像に対して付加画像を合成して画像形成することを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記制御部は、面付けされる画像データのそれぞれの画像領域の四隅に前記付加画像を合成して画像形成することを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記制御部は、面付け後の画像データに対応する画像領域の四隅に前記付加画像を合成して画像形成することを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記制御部は、前記画像領域情報及び前記断裁代情報に基づいて前記付加画像を合成する位置を判断し、面付けされる複数の画像データのそれぞれに対応する画像領域の四隅又は面付けされた後の画像データに対応する画像領域の四隅に前記付加画像を合成することを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項6〜9の何れか一項に記載の発明において、
前記制御部が合成する付加画像は、画像が形成された用紙を断裁すべき位置を示すコーナートンボであることを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項6〜10の何れか一項に記載の発明において、
前記プリント情報は、付加画像を形成させるべき位置を特定する特定情報を更に含み、
前記制御部は、当該特定情報に基づいて複数の付加画像を前記画像領域の周囲に余白を含ませた状態で合成して画像形成することを特徴とする。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11の何れか一項に記載の発明において、
前記制御部は、複数の前記画像データの面付け処理を行う場合、用紙に形成される画像が一つの場合は前記付加画像を合成しないことを特徴とする。
【0021】
請求項13に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記制御部は、複数の用紙に対して一連の画像形成を行う場合、当該用紙のうち画像領域が最大となる用紙の画像領域の四隅に付加画像を合成して画像形成することを特徴とする。
【0022】
請求項14に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記制御部は、前記画像データの面付け処理を行って複数の用紙に対して一連の画像形成を行う場合、当該用紙のうち面付け後の画像領域が最大となる用紙の当該画像領域の四隅に付加画像を合成して画像形成することを特徴とする。
【0023】
請求項15に記載の発明は、請求項13又は14に記載の発明において、
前記制御部は、前記画像形成される複数の用紙のうち最初の用紙に対してのみ前記付加画像を合成して画像形成することを特徴とする。
【0024】
請求項16に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記制御部は、前記画像データの面付け処理を行う場合、用紙に形成すべき付加画像が画像領域に含まれる場合、当該画像領域内の付加画像は合成させないことを特徴とする。
【0025】
請求項17に記載の発明は、請求項1〜16の何れか一項に記載の発明において、
前記画像形成装置は、所定周期で信号を発生するカウンタを備え、
前記制御部は、前記カウンタが発生させる信号に基づいて線形データで構成された付加画像を作成して前記画像データに合成することを特徴とする。
【0026】
請求項18に記載の発明は、請求項1〜17の何れか一項に記載の発明において、
前記制御部は、複数の付加画像を合成する場合、当該付加画像毎に異なる色彩の付加画像を合成することを特徴とする。
【0027】
請求項19に記載の発明は、請求項1〜18の何れか一項に記載の発明において、
用紙に形成される画像の表裏の変倍率を入力するための操作部を更に備え、
前記操作部によって入力された変倍率に基づいて付加画像を形成すべき位置を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、プリンタコントローラを使用せずトンボを印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施の形態における画像形成システムのシステム構成図である。
【図2】図1に示す画像形成装置のブロック図である。
【図3】本実施の形態における画像形成システムの処理の流れを示す図である。
【図4】画像形成装置において実行される画像出力動作のフローチャートである。
【図5】画像形成装置において実行される面付け処理のフローチャートである。
【図6】長辺を基準として2分割された用紙の模式図である。
【図7】画像形成装置において実行されるトンボ位置計算処理のフローチャートである。
【図8】画像形成装置において実行されるコーナートンボ位置計算処理のフローチャートである。
【図9】画像の左上に印刷されるコーナートンボの拡大図である。
【図10】コーナートンボ位置計算処理によって計算されて印刷されるコーナートンボの位置を示す模式図である。
【図11】画像形成装置において実行されるコーナートンボ画像侵食チェック処理のフローチャートである。
【図12】画像形成装置において実行されるセンタートンボ位置計算処理のフローチャートである。
【図13】画像の中央に印刷されるセンタートンボの拡大図である。
【図14】画像形成装置において実行される画像出力処理の詳細を説明するための説明図である。
【図15】複数画像が面付けされる場合において、最終ページに印刷される画像が一面のみであった場合に画像が印刷される用紙を示す模式図である。
【図16】コーナートンボオフセット情報が反映されて、コーナートンボを付与すべき座標が算出された場合を説明するための説明図である。
【図17】第3の実施の形態において選択できるトンボの形状の一例を示す図である。
【図18】(a)は、ワンインワン印刷において全ページの中で最大となる領域をトンボ描画位置計算の結果とした場合の用紙の一例を示す図であり、(b)は、ツーインワン印刷において全ページの中で最大となる領域をトンボ描画位置計算の結果とした場合の用紙の一例を示す図である。
【図19】コーナートンボの位置に応じて印刷する色を変えた場合における用紙を示す模式図である。
【図20】第7の実施の形態における画像形成装置1の制御系のブロック図である。
【図21】(a)は、表裏の倍率を設定しない場合における用紙に形成される画像を示す模式図であり、(b)は、表裏の画像全体領域の最大値に合わせてトンボ描画位置を計算した場合における模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1の実施の形態)
まず、本発明を適用した画像形成装置1の構成について説明する。
図1に、PC100と画像形成装置1から構成される画像形成システムSの模式図を示す。図1に示すように、PC100と画像形成装置1は、ネットワークNを介してデータ送受信可能に接続される。
【0031】
PC100は、ユーザ操作により、画像形成に必要な各種情報を画像形成装置1に対して入力する。例えば、用紙に形成する画像データ、この画像のサイズ、画像の形成位置を示す画像貼り付け位置(以下、画像データ、サイズ、及び画像貼り付け位置をまとめて画像情報という。)、画像を形成する用紙のサイズ情報、面付けの内容を識別するための面付け情報、用紙に印刷すべきトンボに関する各種情報(以下、単にトンボ情報という。)等がある。
【0032】
面付けとは、用紙に形成すべき画像データの数のことをいう。画像形成装置1は、面付け情報によって用紙に形成すべき画像データの数を識別し、例えば、ツーインワン印刷(面付けが2面)やワンインワン印刷(面付けが1面)等を実行する。面付けされる画像データの数は任意の数が選択できるが、本実施の形態においては、ツーインワン印刷として説明する。
【0033】
PC100において入力されるトンボ情報には、断裁代、断裁位置を示すコーナートンボの有り/無しを示すコーナートンボ有無情報、コーナートンボ及びセンタートンボをページ毎に印刷するか用紙毎に印刷するかを示すコーナートンボ描画方法、トンボを全ページに印刷するか最初のページ(フロントページ)にのみ印刷するかを示すトンボ出力ページ設定、画像や用紙の中央位置を示すセンタートンボの有り/無しを示すセンタートンボ有無情報が含まれる。
【0034】
画像形成装置1は、主にプリンタコントローラ10とプリンタエンジン20から構成される。プリンタコントローラ10は、PC100から受信したプリントデータに基づいて画像データを変換するRIP処理等、プリンタエンジン20に画像形成を実行させるための各種処理を実行する。プリンタコントローラ10の制御により、画像形成装置1はネットワークプリンタとして機能する。
【0035】
プリンタエンジン20は、プリンタコントローラ10を介してPC100から入力された画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成装置1の本体部である。
【0036】
図2に、画像形成装置1の制御系のブロック図を示す。
図2に示すように、画像形成装置1は、プリンタコントローラ10、プリンタエンジン20、エンジン制御部21、スキャナ部70、操作部80等から構成される。
【0037】
エンジン制御部21は、画像形成装置1の内部を統括して制御し、通信部30、不揮発メモリ40、画像処理部50、プリンタ部60等から構成される。
【0038】
通信部30は、NIC(Network Interface Card)やモデム等のLAN等のプリンタコントローラ10やプリンタコントローラ10を介してPC1とネットワーク接続をするための通信インターフェイスである。
【0039】
不揮発メモリ40は、HDD(Hard Disk Drive)やプログラムメモリであるROMを備え、画像形成に係る各種処理プログラム及びデータ等を記憶する。また、不揮発メモリ40は、PC100から入力された画像情報やトンボ情報、面付け情報、用紙サイズ、後述する画像出力動作の際に必要な各設定値、ジョブ実行のための各種条件等に関するデータを記憶する。
【0040】
画像処理部50は、メイン制御部51、画像編集部52、信号部53等から構成され、用紙に形成すべき画像の各種処理を実行する。
【0041】
メイン制御部51は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)等から構成され、エンジン制御部21の各部を統括制御する。メイン制御部51は、不揮発メモリ40に記憶されたプログラムとの協働により、後述する画像出力動作を実行することにより、トンボ位置計算部51a及びトンボ描画部51bとして機能する。
【0042】
画像編集部52は、画像メモリ52a等から構成され、プリンタコントローラ10を介してPC100から入力された画像データに対し、メイン制御部51の制御により画像データの圧縮・伸長等の各種画像処理を行う。画像メモリ52aは、HDD等から構成され、PC100やスキャナ部70から入力された画像データを記憶する。
【0043】
信号部53は、プリンタ部60における画像形成の際に必要な信号を生成するための同期信号生成部53aとカウンタ53b等から構成される。
【0044】
プリンタ部60は、入力された画像データに基づいて、電子写真方式の画像形成処理を行うものであり、画像形成する用紙を格納する給紙トレイ、給紙トレイに用紙を搬送するための搬送ローラ、画像形成された用紙を搬出するための搬出部、用紙に画像を形成するための感光ドラムや圧着ローラ等を備える画像形成部等(いずれも図示せず)を備えて構成される。また、プリンタ部60は、メイン制御部51の制御により、RIP後画像データに対して変倍処理を行う表裏変倍処理部60aを備える。
【0045】
スキャナ部70は、ADF(Auto Document Feeder)によって送られた原稿の画像を読み取る。スキャナ部70の原稿トレイに載置された原稿は、読取位置であるコンタクトガラス上に搬送され、光学系により原稿の片面又は両面の画像が走査され、CCD(Charge Coupled Device)により原稿の画像が読み取られて画像データが取得される。
【0046】
操作部80は、LCD(Liquid Crystal Display)、LCDを覆うように設けられたタッチパネルや操作キー等から構成され、ユーザからの指示を受け付けその操作信号をエンジン制御部21に出力する。操作部80は、エンジン制御部21から入力される表示信号に従って、各種操作指示や設定情報を入力するための各種設定画面や各種処理結果等を表示する。
【0047】
次に、画像形成システムSの動作について説明する。
図3に、本実施の形態における画像形成システムSの処理の流れを示す。
【0048】
まず、図3に示すように、PC100においてプリント指示等が入力される(ステップS1)。プリント指示は、PC100のマウス等によるユーザ入力によって指示され、画像情報、面付け情報、用紙サイズ情報、トンボ情報等(以下、これらをまとめてプリント情報という。)とともに入力される。例えば、画像情報としては、画像データが5枚分と、この画像データの大きさがA5(148.5mm×210mm)のサイズを示す旨の情報、及び画像の形成位置が中央を示す旨の値である。面付け情報として、ツーインワンモードの印刷での出力指示を示す情報が送信される。用紙サイズ情報として、画像を形成する用紙の原稿サイズがA3(420mm×297mm)である旨を示す値が送信される。トンボ情報として、コーナートンボ有り、断裁代が3mm、コーナートンボをページ毎に印刷、センタートンボ有り、及びトンボを全ページに印刷を示す値が送信される。
【0049】
次いで、プリント指示及びプリント情報がネットワークNを介してプリンタコントローラ10に対して送信される(ステップS2)。プリンタコントローラ10においては、RIP処理が実行される(ステップS3)。RIP処理とは、PC100から受信した画像データに基づいて画像形成を行う際において、プリンタ部60において出力可能な画像データ(Videoデータ)にするための画像変換処理のことである。このRIP処理は、公知の様々な手法を用いてよい。
【0050】
RIP処理によって生成された一又は複数の画像データ(以降では、RIP後画像データという。)とPC100から入力されたプリント情報(画像データを除く)が、エンジン制御部21に対して送信される(ステップS4)。具体的には、PC100から入力された画像情報に画像データが複数含まれる場合には、RIP処理によって生成された各RIP後画像データが、エンジン制御部21の通信部30を介して画像処理部50に対して送信される。画像データ以外のプリント情報(面付け情報等)は画像データの送信が全て終わった後に、プリンタコントローラ10からエンジン制御部21に対して送信される。なお、プリント情報は、任意のタイミングでプリンタコントローラ10からエンジン制御部21に対して送信されればよく、例えば、各ページ毎に送信されてもよいし、画像データの送信が開始される前に送信されてもよい。
【0051】
エンジン制御部21は、プリンタコントローラ10から受信されたRIP後画像データを画像メモリ52aに記憶する(ステップS5)。受信したプリント情報(画像データを除く)は図示しないRAM等に一時的に記憶される。
次いで、画像メモリ52aに記憶したRIP後画像データを読み出し、このRIP後画像データに対してトンボを付与して画像形成を行うための画像出力動作が実行されてプリンタ部60において画像が形成される(ステップS6)。
【0052】
以下、ステップS6において実行される画像出力動作について詳細に説明する。
図4に、画像出力動作のフローチャートを示す。画像出力動作は、プリント指示に基づいて画像形成を開始する際にメイン制御部51と不揮発メモリ40に記憶されたプログラムとの協働により実行される。画像出力動作では、プリンタコントローラ10を介してPC100から受信したプリント情報に基づいて、画像メモリ52aに記憶されたRIP後画像データに付加画像(コーナートンボ及びセンタートンボ)を合成させて印刷する。
【0053】
まず、図4に示すように、画像メモリ52aに記憶されたRIP後画像データが読み出される(ステップS10)。次いで、面付け処理が実行される(ステップS12)。
【0054】
図5に、ステップS11において実行される面付け処理のフローチャートを示す。
まず、図5に示すように、プリンタコントローラ10を介して受信した面付け情報に基づいて面付け数が判断される(ステップS121)。面付け数が2面であると判断された場合(ステップS121;2面)、用紙の長辺を基準として領域が2分割される(ステップS122)。具体的には、不揮発メモリ40に用紙の大きさ毎にこの用紙に対応する領域に含まれる2次元の座標が記憶されており、プリンタコントローラ10を介して受信した用紙情報に基づいて用紙の大きさが判断されて座標が2分割される。
【0055】
図6に、ステップS122において長辺を基準として2分割された用紙の模式図を示す。図6では、A3サイズの用紙が2分割された場合の例を示す。長辺を上下に配置した際における用紙の左上の端を座標O、右上の端を座標O、左下の端を座標O、右下の端を座標Oとする。用紙の4つの端の座標O〜座標Oは、用紙の大きさと対応付けられて不揮発メモリ40に記憶されている。例えば、用紙サイズがA3であった場合、座標Oは(0、0)、座標Oは(9920、0)、座標Oは(0、7014)、座標O(9920、7014)等のように記憶されている。以降では、座標一つ分をdotという。
【0056】
図6に示す例では、用紙の長辺は、座標Oと座標Oを結ぶ線分及び座標Oと座標Oを結ぶ線分である。長辺は、座標Oと座標Oを結ぶ線分と座標Oと座標Oを結ぶ線分との長さが比較されることによって判断されてもよいし、予め長辺に対応する座標を識別する情報が不揮発メモリ40に記憶されていてもよい。用紙の長辺を2分割した場合、これら2つの長辺の中点(それぞれを座標O12、座標O34とする。)を結ぶ線分で2分割される。上述した座標例の場合、座標O12(4960、0)、座標O34は(4960、7014)となる。
【0057】
次いで、画像張り合わせ処理が実行される(ステップS123)。画像張り合わせ処理は、用紙に形成すべき画像の位置を決定する処理であり、画像情報と面付け情報とに基づいて画像の位置が算出されることにより決定される。例えば、A3用紙にA5の大きさの画像をセンタリング(中央揃え)でツーインワン印刷をする際には、図6に示す座標例の場合、ツーインワン印刷の左面は座標Os1(725、1025)とOE1(4233、5987)を対角線とする長方形の領域、ツーインワン印刷の右面はOs2(5686、1027)とOE2(9194、5987)を対角線とする長方形の領域に対して画像が形成される。ステップS123においては、この2つの領域を算出する。面付けが1面である場合は、1つの領域が算出され、面付けが2面の場合は2つの領域が算出される。これらの対角線によって表される、画像を形成すべき領域のことを各面付け画像領域という。
【0058】
画像張り合わせ処理が実行されると、上記のように算出された各面付け画像領域がメイン制御部51のRAMに記憶される(ステップS123)。ステップS123においては、各面付け画像領域を示す対角線を構成する座標が、メイン制御部51のRAMに記憶される。
【0059】
図4に戻り、プリンタコントローラ10から受信したトンボ情報に基づいてトンボ出力設定があるか否かが判断される(ステップS13)。トンボ出力設定があると判断された場合(ステップS13;YES)、トンボ出力ページ設定が判断される(ステップS14)。一方、トンボ出力設定があると判断されない場合(ステップS13;NO)、処理は後述するステップS26に移行する。
【0060】
トンボ出力ページ設定が全ページ出力を示していると判断された場合(ステップS14;全ページ出力)、面付けの設定があるか否かが判断される(ステップS16)。面付けの設定があると判断された場合(ステップS16;YES)、画像形成をすべき用紙に2面画像(用紙に画像を2つ形成することを示す。)があるか否かが判断される(ステップS18)。面付けが2面で設定されているが、最終ページで画像を1つしか形成しない場合には、ステップS18において、2面画像がないと判断される。
【0061】
面付けの設定があると判断されない場合(ステップS16;NO)、2面画像があると判断された場合(ステップS18;YES)、トンボ位置計算処理が実行される(ステップS20)。
【0062】
図7に、ステップS20において実行されるトンボ位置計算処理のフローチャートを示す。トンボ位置計算処理を実行することにより、メイン制御部51は、トンボ位置計算部51aとして機能する。
【0063】
まず、図7に示すように、面付け後の全体画像領域(以下、面付け画像全体領域という。)が計算される(ステップS201)。面付け画像全体領域とは、一枚の用紙に配置されている画像領域の最大領域のことであり、図6に示す例では、座標OS1と座標OE2を対角線とする長方形で囲まれる領域のことである。面付けが一面の場合には、全体画像領域は各面付け画像領域と一致する。ステップS201においては、これらの座標がメイン制御部51のRAMに記憶される。
【0064】
プリンタコントローラ10から受信した面付け情報に基づいて面付け数が判断される(ステップS202)。面付け数が2面であると判断された場合(ステップS202;2面)、プリンタコントローラ10から受信したトンボ情報に基づいてコーナートンボの描画方法が判断される(ステップS203)。
【0065】
面付け数が1面であると判断された場合(ステップS202;1面)、コーナートンボの描画方法がシート毎であった場合(ステップS203;シート)、ステップS201において計算された面付け画像全体領域が仕上がり画像領域としてそのまま設定されてメイン制御部51のRAMに記憶される(ステップS204)。仕上がり画像領域とは、コーナートンボ又はセンタートンボを付与すべき画像の単位を示す領域のことである。次いで、コーナートンボ位置計算処理(詳細後述)が実行される(ステップS205)。
【0066】
一方、コーナートンボの描画方法がページ毎であった場合(ステップS203;ページ)、各面付け画像領域が仕上がり画像領域として設定されてメイン制御部51のRAMに記憶される(ステップS206)。次いで、コーナートンボ位置計算処理が実行される(ステップS207)。
【0067】
図8に、ステップS205及びステップS207において実行されるコーナートンボ位置計算処理のフローチャートを示す。まず、図8に示すように、画像の左上(図6の例では座標OS1)に対応する位置に描画されるコーナートンボの座標が計算される(ステップS2051)。
【0068】
図9に、画像の左上に印刷されるコーナートンボの拡大図を示す。本実施の形態におけるコーナートンボは、ラインL1〜L4の4つのラインによって構成される。
画像の左上の座標をOS1(XStart1、YStart1)とすると、ラインL1は、(XStartL1、YStartL1)=(XStart1−トンボ一辺長、YStart1−トンボ線幅)と(XENDL1、YENDL1)=(XStart1+断裁代+トンボ線幅、YStart1)を対角線とする長方形の領域となる。トンボ一辺長はトンボの長さを示す値である。トンボ線幅はラインL1〜L4の太さを示す値(例えば、4dot:座標4つ分)である。トンボ一辺長とトンボ線幅は、ともに不揮発メモリ40に記憶されており、操作部80からの入力により値は可変である。
【0069】
ラインL2は、(XStartL2、YStartL2)=(XStart1−トンボ一辺長、YStart1+断裁代)と(XENDL2、YENDL2)=(XStart1、YStart1+断裁代+トンボ線幅)を対角線とする長方形の領域となる。
【0070】
ラインL3は、(XStartL3、YStartL3)=(XStart1−トンボ線幅、YStart1−トンボ一辺長)と(XENDL3、YENDL3)=(XStart1、YStart1+断裁代+トンボ線幅)を対角線とする長方形の領域となる。
【0071】
ラインL4は、(XStartL4、YStartL4)=(XStart1+断裁代、YStart1−トンボ一辺長)と(XENDL4、YENDL4)=(XStart1+断裁代+トンボ線幅、YStart1)を対角線とする長方形の領域となる。
【0072】
画像の右上に描画されるコーナートンボの座標が計算される(ステップS2052)。画像の左下に描画されるコーナートンボの座標が計算される(ステップS2053)画像の右下に描画されるコーナートンボの座標が計算される(ステップS2054)。これらステップS2052〜2054における処理は、仕上がり画像領域を構成する各座標、トンボ一辺長、トンボ線幅、及び断裁代に基づいてステップS2051と同様に算出されるので説明を省略する。4つのコーナートンボの合計16つのラインに対応する座標が配列等に格納されてメイン制御部51のRAMに記憶される。
【0073】
図10に、コーナートンボ位置計算処理によって計算されたコーナートンボの位置を模式的に示す。図10(a)は、面付けが1面である場合に描画されるコーナートンボであり、画像の四隅にコーナートンボが付与される。図10(b)は、面付けが2面であり、コーナートンボ描画方法がシート毎である場合に描画されるコーナートンボであり、2つの画像全体を一つの単位として四隅にコーナートンボが付与される。図10(c)は、面付けが2面であり、コーナートンボ描画方法がページ毎である場合に描画されるコーナートンボであり、2つの画像のそれぞれをトンボの描画単位として四隅にコーナートンボが付与される。
【0074】
図7に戻り、片方の画像に付与されたコーナートンボが他方の画像領域内にあるか否かを判別するためのコーナートンボ画像侵食チェック処理が実行される(ステップS208)。
【0075】
図11に、ステップS208において実行されるコーナートンボ画像侵食チェック処理のフローチャートを示す。図11に示すように、片方の画像のあるコーナートンボのラインLn(Lnの「n」は1〜4の何れかの整数。以降においても同様。)のXENDLnが、同一の用紙に形成される他画像のXStart(XStartL1〜XStartL4の全てが比較されることを示す。)より小さいか否かが判断される(ステップS2081)。
【0076】
小さいと判断されない場合(ステップS2081;NO)、ステップS2081で比較されたラインと同一のライン(以下、単に、同一のラインという。)のXStartLnが、同一の用紙に形成される他画像のXEND(XENDL1〜XENDL4の全てが比較されることを示す。)より大きいか否かが判断される(ステップS2082)。
【0077】
大きいと判断されない場合(ステップS2082;NO)、同一のラインのYENDLnが、同一の用紙に形成される他画像のYStart(YStartL1〜YStartL4の全てが比較されることを示す。)より小さいか否かが判断される(ステップS2083)。
【0078】
小さいと判断されない場合(ステップS2083;NO)、同一のラインのYStartLnが、同一の用紙に形成される他画像のYEND(YENDL1〜YENDL4の全てが比較されることを示す。)より大きいか否かが判断される(ステップS2084)。
【0079】
大きいと判断されない場合(ステップS2084;NO)、同一のラインのXStartLnが、同一の用紙に形成される他画像のXStartより小さいか否かが判断される(ステップS2085)。
【0080】
小さいと判断された場合(ステップS2085;YES)、同一のラインのXENDLnに、小さいと判断された際の他画像のXStartに予め定められた定数α(例えば、1)を減算した数値が代入される(ステップS2086)。この場合、ラインの右端が他画像に侵食していると判断されている。
【0081】
小さいと判断されない場合(ステップS2085;NO)、同一のラインのXENDLnが、同一の用紙に形成される他画像のXENDより大きいか否かが判断される(ステップS2087)。
【0082】
大きいと判断された場合(ステップS2087;YES)、同一のラインのXStartLnに、大きいと判断された際の他画像のXENDに予め定められた定数αを加算した数値が代入される(ステップS2088)。この場合、ラインの左端が他画像に侵食していると判断されている。
【0083】
大きいと判断されない場合(ステップS2087;NO)、同一ラインのYStartLnが、同一の用紙に形成される他画像のYStartより小さいか否かが判断される(ステップS2089)。
【0084】
小さいと判断された場合(ステップS2089;YES)、同一のラインのYENDLnに、小さいと判断された際の他画像のYStartに予め定められた定数αを減算した数値が代入される(ステップS2088)。この場合、ラインの下端が他画像に侵食していると判断されている。
【0085】
小さいと判断されない場合(ステップS2089;NO)、同一のラインのYENDLnが、同一の用紙に形成される他画像のYENDより大きいか否かが判断される(ステップS2091)。
【0086】
大きいと判断された場合(ステップS2091;YES)、同一のラインのYStartLnに、大きいと判断された際の他画像のYENDに予め定められた定数αを加算した数値が代入される(ステップS2092)。この場合、ラインの上端が他画像に侵食していると判断されている。
【0087】
大きいと判断されない場合(ステップS2091;NO)、ラインの全領域が他画像に侵食していると判断されており、XStartLn、XENDLn、YStartLn、及びYENDLnの全てに0が代入される(ステップS2093)。
【0088】
一方、小さいと判断された場合(ステップS2081;YES)、ラインが他画像に侵食しておらず、かつ、他画像の画像領域の左側にあることを示しており、処理はステップS2094に移行する。
【0089】
一方、大きいと判断された場合(ステップS2082;YES)、ラインが他画像に侵食しておらず、かつ、他画像の画像領域の右側にあることを示しており、処理はステップS2094に移行する。
【0090】
一方、小さいと判断された場合(ステップS2083;YES)、ラインが他画像に侵食しておらず、かつ、他画像の画像領域の上側にあることを示しており、処理はステップS2094に移行する。
【0091】
一方、大きいと判断された場合(ステップS2084;YES)、ラインが他画像に侵食しておらず、かつ、他画像の画像領域の下側にあることを示しており、処理はステップS2094に移行する。
【0092】
このコーナートンボの全てのラインLnのチェックが終了したか否かが判断される(ステップS2094)。
【0093】
終了したと判断されない場合(ステップS2094;NO)、処理はステップS2081に戻り、次のラインのチェックが実行される。つまり、nが1加算され、ラインL1をチェックした後であれば、ラインL2のチェックが実行される。
終了したと判断された場合(ステップS2094;YES)、この画像の全てのコーナートンボのチェックが終了したか否かが判断される(ステップS2095)。
【0094】
終了したと判断されない場合(ステップS2095;NO)、処理はステップS2081に戻り、まだ本処理によってチェックされていないコーナートンボのラインLnのチェックが実行される。終了したと判断された場合(ステップS2095;YES)、トンボ画像侵食チェック処理は終了する。
【0095】
図7に戻り、面付けされた全ての画像のコーナートンボの描画が終了したか否かが判断される(ステップS209)。全て終了したと判断されない場合(ステップS209;NO)、処理はステップS206に戻り、次の画像(つまり、同一の用紙に形成された他方の画像)のコーナートンボの位置計算がなされる。
【0096】
全て終了したと判断された場合(ステップS209;YES)、面付け画像全体領域が仕上がり画像領域に設定されてメイン制御部51のRAMに記憶される(ステップS210)。次いで、センタートンボ位置計算の処理が実行される(ステップS211)。
【0097】
図12に、ステップS211において実行されるセンタートンボ位置計算処理のフローチャートを示す。図12に示すように、まず、仕上がり画像領域の辺が比較される(ステップS2111)。
【0098】
X方向の方が長いと判断された場合(ステップS2111;X方向が長い)、センタートンボの左側の描画座標が計算される(ステップS2112)。
具体的には、図13に示すように、センタートンボの左側の描画は、(XcStart1、YcStart1)=(XStart1−余白量−トンボ一辺長/2−トンボ線幅/2、YStart1+(YEND1−YStart1)/2−(トンボ一辺長/2))と(XcEND1、YcEND1)=(XStart1−余白量−トンボ一辺長/2+トンボ線幅/2、YStart1+(YEND1−YStart1)/2+(トンボ一辺長/2))で囲まれた領域をラインCL1とし、(XcStart2、YcStart2)=(XStart1−余白量−トンボ一辺長、YStart1+(YEND1−YStart1)/2−トンボ線幅/2)と(XcEND2、YcEND2)=(XStart1−余白量、YStart1+(YEND1−YStart1)/2+トンボ線幅/2)で囲まれた領域をラインCL2とし、この2つのラインによって構成される。余白量とは、センタートンボと画像の間の余白のことであり、予め余白量を示す値が不揮発メモリ40に記憶されている。
【0099】
次いで、右側のセンタートンボについて描画座標が計算される(ステップS2113)。ステップS2113における算出方法は、ステップS2112と同様に、座標S1(XStart1、YStart1)、座標E1(XEND1、YEND1)、余白量、トンボ一辺長、及びトンボ線幅に基づいて算出される。
【0100】
一方、Y方向の方が長いと判断された場合(ステップS2111;Y方向が長い)、センタートンボの上側の描画座標が計算される(ステップS2114)。次いで、センタートンボの下側の描画座標が計算される(ステップS2115)。ステップS2114及びステップS2115における算出方法もステップS2112及びステップS2113と同様である。
【0101】
ステップS205又はステップS207において計算されたコーナートンボの座標、及びステップS211において計算されたセンタートンボの座標がトンボ描画部51bの所定領域にセットされる(ステップS22)。
【0102】
一方、トンボ出力ページ設定がフロントページのみ出力すると判断された場合(ステップS14;フロントページのみ出力)、フロントページの画像形成中であるか否かが判断される(ステップS24)。フロントページの画像形成中であると判断された場合(ステップS24;YES)、処理はステップS16に移行する。フロントページの画像形成中であると判断されない場合(ステップS24;NO)、プリンタ部60において画像出力処理が実行される(ステップS26)。
【0103】
図14に、ステップS26において実行される画像出力処理の詳細を説明するための説明図を示す。画像処理部50には、図示しないクロック生成部より、用紙のX方向の画素単位で発生するCLK信号と、Y方向のライン単位で発生するINDEX信号が入力されている。これらの信号に基づいて、同期信号生成部53aにおいて画像描画に使用されるHV信号及びVV信号が生成される。カウンタ53bによって、用紙のどの位置を描画しているかをメイン制御部51は把握することができる。トンボ描画に際しても同様の処理が行われる。図14に示すように、トンボ描画部51bは、RAMに記憶されているトンボの位置情報を設定するレジスタがあり、カウンタがトンボ描画位置に達した場合に、トンボが画像データとして出力される。
【0104】
全ページの出力が完了したか否かが判断される(ステップS28)。全ページの出力が完了したと判断されない場合(ステップS28;NO)、処理はステップS10に戻る。
全ページの出力が完了したと判断された場合は(ステップS28;YES)、処理は終了する。
【0105】
以上のように、本実施の形態における画像形成装置によれば、プリンタエンジン側においてRIP後画像に対して付加画像(コーナートンボ及びセンタートンボ)を合成させて画像形成を実行させることができる。プリンタコントローラによるRIP処理が行われた後に、ページ挿入等によって付加画像の形成位置が変更になった場合でも、プリンタエンジン側の処理で付加画像を合成することができるため、再度RIP処理を実行させる必要がなくなる。
【0106】
また、プリンタエンジンにおいて合成されるセンタートンボは用紙に形成される画像の中心を示す位置に印刷されるため、折り加工の際に必要なセンタートンボをプリンタコントローラにおける処理で合成する必要がなくなる。断裁の際に必要なコーナートンボも同様である。
【0107】
また、付加画像は、状況に応じてフロントページのみに印刷したり、画像毎又はページ毎に印刷することができる。複数画像が面付けされる場合において、最終ページに印刷される画像が一面のみであった場合、ステップS18の処理により、図15に示すように、最終ページには付加画像は形成されない。
【0108】
なお、上述した本実施の形態における記述は、本発明に係る好適な画像形成装置の一例であり、これに限定されるものではない。例えば、本実施の形態のトンボ画像侵食チェック処理においては、画像の縁を基準としてコーナートンボが画像と重なっているか否かを判断したが、予め不揮発メモリ40等に余白幅を記憶しておき、画像と余白幅を合わせた領域にコーナートンボが入り込んでいるか否かによって判断されるようにしてもよい。また、センタートンボ位置計算処理においては、長辺側にセンタートンボを付与することとしたが、センタートンボは短辺に付与してもよいし、長辺と短辺の両方に付与してもよい。
【0109】
また、コーナートンボ及びセンタートンボを付与するか否かを、ユーザが切り替えることを可能としてもよい。コーナートンボを付与しない設定の場合には、コーナートンボの位置計算処理をスキップしてセンタートンボのみの位置計算が行われるようにしてもよい。
【0110】
また、本実施の形態におけるROM以外のその他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、SD(Secure Digital)カードやUSB(Universal Serial Bus)メモリのようなフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータや音声データ等の各種データを、搬送波(キャリアウェーブ)に重畳させて通信回線を介して提供することも可能である。
【0111】
その他、画像形成システムの細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0112】
(第2の実施の形態)
次に本発明に係る画像形成装置の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態においては、用紙に形成されるコーナートンボと画像の間に余白(オフセット)があるという点で第1の実施の形態と異なるため、以下、第1の実施の形態と異なる点についてのみ説明する。
【0113】
第2の実施の形態においては、トンボ情報にコーナートンボ位置オフセット情報が含まれる点で第1の実施の形態と異なる。コーナートンボ位置オフセット情報は、画像の縁とコーナートンボとの間の余白幅のことである。例えば、コーナートンボ位置オフセット量が5mmである旨を示す情報がトンボ情報に含まれる。ステップS20におけるトンボ位置計算処理において、コーナートンボオフセット情報が反映されて、コーナートンボを付与すべき座標が算出される。
【0114】
図16に、コーナートンボオフセット情報が考慮されて、コーナートンボを付与すべき座標が算出された場合の例を示す。図16に示すように、第2の実施の形態における画像形成装置1によれば、用紙に形成される画像の縁から所定の距離の余白(コーナートンボ位置オフセット量)を挟んで、コーナートンボを印刷することができる。
【0115】
(第3の実施の形態)
次に本発明に係る画像形成装置の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態においては、トンボの形状が選択できるという点でのみ第1の実施の形態と異なる。
【0116】
図17に、第3の実施の形態において選択できるトンボの形状の一例を示す。図17に示すように、第3の実施の形態における画像形成装置1によれば、タイプ1〜3のうち何れかを操作部80からの入力によって選択できる。選択されたトンボのタイプは不揮発メモリ40等に記憶される。トンボ描画位置算出処理においては、第1の実施の形態と同様に算出される。ただし、トンボ線幅等の各種設定値はタイプによって異なり、不揮発メモリ40に記憶されている。
【0117】
(第4の実施の形態)
次に本発明に係る画像形成装置の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態においては、入力画像領域や合成後画像領域の最大領域に対してコーナートンボを描画する設定の場合、トンボ位置計算処理において実行されている面付け画像全体領域の計算は行わない点でのみ第1の実施の形態と異なる。
【0118】
ステップS12における面付け処理が実行される前に、印刷指示がなされた全ページの面付け画像全体領域を計算する。この計算方法は、ステップS201と同様なので省略する。全ページの中で最大となる領域をトンボ描画位置計算処理(図7)の結果とし、この位置をステップS22で設定する。
【0119】
図18(a)に、ワンインワン印刷において全ページの中で最大となる領域をトンボ描画位置計算の結果とした場合の用紙の一例を示す。図18(b)に、ツーインワン印刷において全ページの中で最大となる領域をトンボ描画位置計算の結果とした場合の用紙の一例を示す。図18(a)及び図18(b)に示すように、第4の実施の形態における画像形成装置1によれば、一連の画像形成の中で最大となる画像領域に対応する位置にコーナートンボが印刷される。
【0120】
(第5の実施の形態)
次に本発明に係る画像形成装置の第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態においては、コーナートンボの位置に応じて印刷する色を変える点でのみ第1の実施の形態と異なる。
【0121】
図19に示すように、コーナートンボの位置に応じて印刷する色を変える(例えば、左上は赤、右上は青等)ことによって、コーナートンボが重なった場合においても、どのコーナートンボかを判断することが容易になる。
【0122】
(第6の実施の形態)
次に本発明に係る画像形成装置の第6の実施の形態について説明する。第6の実施の形態においては、スキャナ部70で読み込まれた画像データと操作部80から入力されたトンボ情報等に基づいて画像出力動作が実行される点でのみ第1の実施の形態と異なる。
【0123】
スキャナ部70で原稿を読みとって得られた画像データに基づいて画像形成を行う際においても、画像メモリ52aに画像データが記憶され、メイン制御部51のRAMにトンボ情報等が記憶される。これらの情報に基づいて画像出力動作を実行することができる。
【0124】
(第7の実施の形態)
次に本発明に係る画像形成装置の第7の実施の形態について説明する。第7の実施の形態においては、RIP後画像データに対して表裏変倍処理がなされない点でのみ第1の実施の形態と異なる。
【0125】
第7の実施の形態は、プリンタ部60が表裏変倍処理部60aを備えない点において第1の実施の形態と異なる。図20に、第7の実施の形態における画像形成装置1の制御系のブロック図を示す。図20に示すように、第7の実施の形態においては、プリンタ部60に、表裏変倍処理部60aは含まれない。
【0126】
また、第7の実施の形態においては、トンボ位置計算処理が第1の実施の形態と異なる。第1の実施の形態においては、用紙の表面と裏面で同じ面付け画像全体領域を用いたが、第7の実施の形態においては、表面と裏面で面付け画像全体領域は異なる。
【0127】
図21(a)に、表裏の倍率を設定しない場合における用紙に形成される画像の例を示す。実線で示す領域は表面の面付け画像全体領域であり、点線で示す領域は裏面の画像全体領域である。図21(a)に示すように、表裏の倍率を設定しない場合では、表面と裏面で大きさの違う画像が形成されてしまい、断裁の際にコーナートンボが残ってしまう可能性がある。
【0128】
図21(b)に、表裏の画像全体領域の最大値に合わせてトンボ描画位置を計算した場合の例を示す。図21(b)に示す例では、変倍の基準点を用紙の搬送方向の先端左の点とする。予め操作部80から入力された縮小率を1%とし、変倍前の面付け画像全体領域を座標O1S(1027、725)と座標O1E(5987、9285)を結ぶ線を対角線とする長方形の領域とする。表面が最初に描画される場合には、表面の画像が裏面に対して小さくなるので、座標O1Sは、縮小されるため裏面の画像領域の外側となり、補正は行わない。座標O1Eは縮小されるため裏面の画像領域の内側となり、縮小倍率を計算して、座標O1E=(5928+5928*0.01、9194+9194*0.01)=(5987、9285)と面付け画像全体領域が補正される。
【0129】
一方、裏面が最後に描画される場合は、裏面の画像に対して表面の画像が小さくなるので、上記の例の場合、座標O1Sは縮小されるため裏面の画像領域の内側となり、縮小倍率を計算して、座標O1S=(725−725*0.01、1027−1027*0.01)=(718、1016)と面付け画像全体領域が補正される。座標O1Sは、縮小されるため裏面の画像領域の外側となり、補正は行わない。
【0130】
以上のように、第7の実施の形態における画像形成装置1によれば、変倍率を考慮して付加画像を合成することができる。一般的な画像形成装置において用紙に画像を形成すると定着の際の熱が冷めるので用紙が収縮する傾向があるため、収縮した用紙に対応した付加画像を印刷することができる。なお、図21(a)及び図21(b)に一点鎖線で示す領域は、収縮した用紙の領域である。この用紙の領域に応じた変倍率を指定することにより、付加画像を自由に形成させることができる。
【符号の説明】
【0131】
S 画像形成システム
N ネットワーク
1 画像形成装置
10 プリンタコントローラ
20 プリンタエンジン
21 エンジン制御部
30 通信部
40 不揮発メモリ
50 画像処理部
51 メイン制御部
51a トンボ位置計算部
51b トンボ描画部
52 画像編集部
52a 画像メモリ
53 信号部
53a 同期信号生成部
53b カウンタ
60 プリンタ部
100 PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データ及び当該画像データに合成させる付加画像を生成するための設定値を含むプリント情報を取得し、当該取得した画像データに基づいて画像形成を行う画像形成装置であって、
前記プリント情報に含まれる設定値に基づいて付加画像を生成し、当該生成した付加画像と前記画像データとを合成して画像形成を実行する制御部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記プリント情報は、前記画像データの画像領域を示す画像領域情報を含み、
前記制御部は、当該画像領域情報に基づいて用紙に形成される画像の領域の中央を示す位置を判断し、付加画像として画像の中心を示す付加画像を合成して画像形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記画像領域情報に基づいて用紙に形成される画像の中央に対応する位置に前記付加画像を合成して画像形成することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像データの面付け処理を行い、前記画像領域情報に基づいて用紙に形成される面付け画像全体の領域の中央位置に前記付加画像を合成して画像形成することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部が合成する付加画像は、用紙の折位置に形成されることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記プリント情報は、前記画像データの画像領域を示す画像領域情報と前記画像領域周囲に付加画像を合成させる際の画像領域の幅を示す断裁代情報とを含み、
前記制御部は、前記画像データの面付け処理を行い、前記画像領域情報及び前記断裁代情報に基づいて前記面付け処理された画像に対して付加画像を合成して画像形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、面付けされる画像データのそれぞれの画像領域の四隅に前記付加画像を合成して画像形成することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、面付け後の画像データに対応する画像領域の四隅に前記付加画像を合成して画像形成することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記画像領域情報及び前記断裁代情報に基づいて前記付加画像を合成する位置を判断し、面付けされる複数の画像データのそれぞれに対応する画像領域の四隅又は面付けされた後の画像データに対応する画像領域の四隅に前記付加画像を合成することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部が合成する付加画像は、画像が形成された用紙を断裁すべき位置を示すコーナートンボであることを特徴とする請求項6〜9の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記プリント情報は、付加画像を形成させるべき位置を特定する特定情報を更に含み、
前記制御部は、当該特定情報に基づいて複数の付加画像を前記画像領域の周囲に余白を含ませた状態で合成して画像形成することを特徴とする請求項6〜10の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、複数の前記画像データの面付け処理を行う場合、用紙に形成される画像が一つの場合は前記付加画像を合成しないことを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、複数の用紙に対して一連の画像形成を行う場合、当該用紙のうち画像領域が最大となる用紙の画像領域の四隅に付加画像を合成して画像形成することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記画像データの面付け処理を行って複数の用紙に対して一連の画像形成を行う場合、当該用紙のうち面付け後の画像領域が最大となる用紙の当該画像領域の四隅に付加画像を合成して画像形成することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記画像形成される複数の用紙のうち最初の用紙に対してのみ前記付加画像を合成して画像形成することを特徴とする請求項13又は14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記画像データの面付け処理を行う場合、用紙に形成すべき付加画像が画像領域に含まれる場合、当該画像領域内の付加画像は合成させないことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記画像形成装置は、所定周期で信号を発生するカウンタを備え、
前記制御部は、前記カウンタが発生させる信号に基づいて線形データで構成された付加画像を作成して前記画像データに合成することを特徴とする請求項1〜16の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記制御部は、複数の付加画像を合成する場合、当該付加画像毎に異なる色彩の付加画像を合成することを特徴とする請求項1〜17の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項19】
用紙に形成される画像の表裏の変倍率を入力するための操作部を更に備え、
前記操作部によって入力された変倍率に基づいて付加画像を形成すべき位置を算出することを特徴とする請求項1〜18の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−11367(P2011−11367A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155166(P2009−155166)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】