説明

画像形成装置

【課題】各ユニット単位での着脱作業に作業順序の制約を受け難くすることができるばかりでなく、各ユニットの転写紙幅方向両端での位置決めを容易に行うことができ、しかも、着脱作業時のガイドを容易に確保することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】転写紙に画像を転写するドラムユニットと感光体ドラムにトナーを供給する現像ユニットとを装置本体から着脱する際に、ドラムユニットから現像ユニットを接近・離間させるユニット回避レバーが各ユニットを離間させた状態にあるときに設置開口部を開閉する開閉カバー21を備え、開閉カバー21の内面側には、装置本体と係合する開閉カバー位置決め部25と、ドラムユニットと係合するドラム位置決め部26と、現像ユニットと係合する現像位置決め部27と、開閉カバー21が開放状態にあるときに現像ユニットの着脱操作をガイドするガイド部28と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に着脱可能に支持されて転写紙に画像を転写する感光体ドラムを備えたドラムユニットと、装置本体に着脱可能に支持されて感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラを備えた現像ユニットと、を備え、これら各ユニットを別々に装置本体から着脱可能とした画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、像担持体としての感光体ドラムを回転可能に備えたドラムユニットと、このドラムユニットに隣接配置されて感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラを備えた現像ユニットと、を備え、消耗等に伴う交換、メンテナンス、転写紙ジャムの解除等のために、装置本体に着脱可能(引き出し・押し入れ可能)とされた画像形成装置が周知である。
【0003】
この際、画像形成装置の断面方向(例えば、上下方向)でユニット着脱操作をする比較的小型機対応の構成では、装置本体カバーを上方に開放してユニットを着脱する構成を採用することができるため、転写紙幅方向の装置本体とユニットとの位置決めガイド機構は容易に構成することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、比較的大型な高速機等の画像形成装置の場合、例えば、自動原稿送り装置(ADF)等を搭載する等、装置本体カバーを上方に開放して上下方向でのユニット着脱作業が困難な場合には、装置本体カバーを手前に開放して前後方向(転写紙幅方向)でユニット着脱作業を行うこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−038194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述したように、前後方向でのユニット着脱作業の場合では、装置本体の正面側にユニット着脱用の設置開口部を形成する必要性があることから、特に装置本体の正面側に各ユニットの位置決め機能やガイド機能を設けることが困難であった。
【0007】
このため、ドラムユニットの装置本体奥側に現像ユニットの位置決め機構を設けるのが一般的であるが、このような構成の場合、ドラムユニットを装置本体から離脱させないと現像ユニットを取り外すことができない等、着脱順序に制約が発生するといった問題が生じていた。
【0008】
また、ドラムユニットの装置本体奥側で現像ユニットの位置決めを行った場合、装置本体正面側での現像ユニットの位置決めが困難であるという問題が生じていた。
【0009】
さらに、感光体ドラムと現像ローラとは近接状態にあるため、例えば、現像ユニットを着脱する際には、その着脱作業時に現像ローラが感光体ドラムと接触してしまい、感光体ドラムを傷付けてしまう虞があるが、ドラムユニットの装置本体奥側で現像ユニットを位置決めする構成では、現像ユニットを着脱操作する際にドラムユニットを接近・離間させることが困難であるという問題が生じていた。
【0010】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、各ユニット単位での着脱作業に作業順序の制約を受け難くすることができるばかりでなく、ドラムユニット及び現像ユニットの転写紙幅方向両端での位置決めを容易に行うことができ、しかも、着脱作業時のガイドを容易に確保することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像形成装置は、装置本体に着脱可能に支持されて転写紙に画像を転写する感光体ドラムを備えたドラムユニットと、装置本体に着脱可能に支持されて前記感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラを備えた現像ユニットと、前記いずれかのユニットを前記装置本体から着脱する際に前記ドラムユニットと前記現像ユニットとの間を接近・離間させるユニット回避手段と、前記各ユニットが離間した状態に位置しているときに前記装置本体に形成された前記各ユニットの設置開口部を開閉可能とした開閉部材と、を備えた画像形成装置において、前記開閉部材の内面側には、前記ドラムユニットと係合するドラム位置決め部と、前記現像ユニットと係合する現像位置決め部と、開閉部材が開放状態にあるときに前記各ユニットの少なくとも一方の前記装置本体との着脱操作をガイドするガイド部と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
この際、前記ドラム位置決め部又は前記現像位置決め部の少なくとも一方は、前記開閉部材が閉成状態にあるときに前記ユニット回避手段の操作によって前記各ユニットの接近・離間を許容するように接近・離間方向に延びる略長孔形状に形成されているのが好ましい。
【0013】
また、前記ドラムユニット又は前記現像ユニットの少なくとも一方には、前記ドラム位置決め部又は前記現像位置決め部と係合し且つ前記開閉部材が閉成状態にあるときに前記ユニット回避手段の操作によって前記各ユニットの接近・離間を許容するように接近・離間方向に延びる略長孔形状の被係合部が形成されているのが好ましい。
【0014】
本発明の画像形成装置によれば、各ユニットの位置決めを開閉部材で行うことによって各ユニット同士での係合による位置決め構造を廃止することができるので、各ユニット単位での着脱作業に作業順序の制約を受け難くすることができるばかりでなく、ドラムユニット及び現像ユニットの転写紙幅方向両端での位置決めを容易に行うことができ、しかも、着脱作業時のガイドを容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す複合機の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における開閉部材閉成状態の要部の正面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における開閉部材開放初期の要部の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における開閉部材開放状態の要部の斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における開閉部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の画像形成装置に係る実施例について、図面を参照して説明する。尚、以下に示す実施例は本発明の画像形成装置における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
【0017】
(画像形成装置の全体構成)
図1において、画像形成装置としての複合機11は、装置本体12の正面から引き出し可能な複数段(段数は限定されない)の給紙カセット13,14,15と、複写機・ファクシミリ・スキャナの各種機能として原稿を読み取る際に使用する自動原稿送り装置(ADF)16と、装置本体12の正面側に設置された操作パネル17と、装置本体12の正面の一部を開閉してメンテナンス(ジャム解除や部品点検・交換作業など)を行う際に開放される正面カバー18と、を備えている。
【0018】
正面カバー18を開放すると、転写紙搬送経路中で発生したジャム(紙詰まり)の解除操作や、図2乃至図4に示すように、装置本体12に着脱可能に支持されて転写紙に画像を転写する感光体ドラム(図示せず)を備えたドラムユニット19及び装置本体12に着脱可能に支持されて感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラ(図示せず)を備えた現像ユニット20の交換等が可能となる。
【0019】
この際、各ユニット19,20は、正面カバー18とは別の開閉部材21の開閉によって各ユニット19,20の着脱用の設置開口部22が開閉され、その着脱を実際に行うことができるように構成されている。また、装置本体12には、開閉部材21の開閉を可能とするとともに、ドラムユニット19に対して現像ユニット20を接近・離間させることにより、感光体ドラムに対して現像ローラを接近・離間させるユニット回避レバー23が設けられている。
【0020】
(ユニット回避レバー23の構成)
尚、このユニット回避レバー23は、図2に示すように、略起立した状態にあるときに開閉部材21の開放を阻止すると共に感光体ドラムに対して現像ローラを接近(図2の左側から右側に現像ユニット20を変位)させる。また、図3に示すように、略倒伏した状態にあるときに開閉カバー21の開閉を許容すると共に感光体ドラムに対して現像ローラを離間(図2の右側から左側に現像ユニット20を変位)させる。この際、ユニット回避レバー23は、例えば、現像ユニット20の底面を支持するトレイ24に連結支持され、このトレイ24の一部をユニット回避レバー23の回動(起立・倒伏)操作に連動してスライド変位させることでドラムユニット19に対する現像ユニット20の接近・離間を可能としている。
【0021】
(開閉カバー21の構成)
開閉部材21は、その下方側縁部を回動軸線として回動可能となるように装置本体12に支持されている。また、開閉部材21は、図5に示すように、その内面側に、装置本体12と係合する開閉部材位置決め部25と、ドラムユニット19と係合するドラム位置決め部26と、現像ユニット20と係合する現像位置決め部27と、開閉カバー21が開放状態にあるときに現像ユニット20の装置本体12との着脱操作をガイドするガイド部28と、を備えている。また、開閉部材21の表面側には、装置本体12の側面寄り縁部付近に回動可能に配置されて開閉部材21の開閉操作を行うためのノブ29が設けられている。
【0022】
開閉部材位置決め部25は、その下方側縁部寄りの片側から突出する略円柱形状の台座部25aと、台座部25aから突出して装置本体12に設けられた被係合孔12aと係合する截頭円錐形状の係合部25bと、を備えている。尚、係合部25bは、金属又は樹脂から形成するのが好ましい。
【0023】
ドラム位置決め部26は、開閉部材位置決め部25の対角線上となる上方側縁部寄りの片側から突出する略円柱形状の台座部26aと、台座部26aから突出してドラムユニット19に設けられた被係合孔19aと係合する截頭円錐形状の係合部26bと、を備えている。尚、係合部26bは、金属又は樹脂から形成するのが好ましい。
【0024】
現像位置決め部27は、ドラム位置決め部26の下方寄りに設けられており、現像ユニット20に設けられた係合突起20aが係合すると共に、開閉部材21が閉成状態にあるときにユニット回避レバー23の操作によってドラムユニット19に対する現像ユニット20の接近・離間を許容するように接近・離間方向に延びる略長孔形状に形成されている。具体的には、本実施の形態においては、ドラムユニット19に対して現像ユニット20が離間しているときにその中央付近で仮の位置決め状態となる第一係合孔部27aと、第一係合孔部27aに連通してドラムユニット19に対して現像ユニット20が接近しているときに係合突起20aが垂直方向に対して位置決め状態となる第二係合孔部27bと、を備えている。尚、本実施の形態においては、ドラムユニット19に対して現像ユニット20が接近・離間する構成を採用していることから、現像ユニット20側に接近・離間方向に延びる略長孔形状の現像位置決め部27を形成したが、現像ユニット20に対してドラムユニット19が接近・離間する構成を採用した場合には、ドラムユニット19側に接近・離間方向に延びる略長孔形状のドラム位置決め部26が形成される。さらに、上記実施の形態においては、現像位置決め部27を略長孔形状とし、現像ユニット20に係合突起20aを形成したが、現像ユニット20に略長孔形状の被係合部を形成し、現像位置決め部27を突起状としても良い。
【0025】
ガイド部28は、その一部を内壁面から突出させると共に、開閉部材21を倒した状態(開放状態)としたときに装置本体12の外側に位置する上縁部に向かって拡開するように傾斜されたガイド壁面28aを備えている。
【0026】
ノブ29は、ユニット回避レバー23がアンロック状態(倒伏状態)となっているときに操作され、その上端部内壁面側にはドラムユニット19と係合するフック29aが形成されている。
【0027】
上記の構成において、使用状態においては、図2に示すように、ユニット回避レバー23は起立状態、開閉カバー21は閉成状態にあり、開閉部材21に設けられた開閉部材位置決め部25は装置本体12の被係合孔12aと係合し、ドラム位置決め部26はドラムユニット19の被係合孔19aと係合し、現像位置決め部27は現像ユニット20の係合突起20aと係合することによって、開閉部材21は装置本体12に位置決めされ、ドラムユニット19及び現像ユニット20は開閉部材21に位置決めされる。この際、各ユニット19,20の装置本体12の奥側の端部は、装置本体12に位置決めされている。
【0028】
したがって、転写動作時に発生する感光体ドラムや現像ローラの回転に伴う振動等は、その両端側で位置決め支持されることによって、安定した画像形成処理を実現することができる。
【0029】
一方、ドラムユニット19又は現像ユニット20を交換する場合には、正面カバー18を開放し、ユニット回避レバー23を起立したロック位置から倒伏したアンロック位置へと回動させることによって、ドラムユニット19に対して現像ユニット20が離間方向に変位する。
【0030】
この状態から、ノブ29を操作して開閉部材21を開放すると、開閉部材21に設けられた開閉部材位置決め部25と装置本体12の被係合孔12aとの係合状態が解除され、ドラム位置決め部26とドラムユニット19の被係合孔19aとの係合状態が解除され、ローラ位置決め部27と現像ユニット20の係合突起20aとの係合状態が解除されることによって、ドラムユニット19又は現像ユニット20の着脱操作を行うことができる。
【0031】
この際、ドラムユニット19と現像ユニット20とは、互いに係合し合った位置決め構造を採用していないため、それぞれが順序立てられることなく、独立して着脱操作を行うことができる。
【0032】
また、現像ユニット20を引き出す際には、開閉部材21の内壁面全体が受け部(受け皿)としての機能を果たす。また、現像ユニット20を設置する際には、ガイド部28のガイド壁面28aに付き当てつつ押し入れることにより、設置開口部22の所定位置に現像ユニット20を容易に案内することができる。
【0033】
そして、各ユニット19,20を装置本体12の奥側所定位置にまで押し入れた状態を確認したらば、開閉カバー21を閉成した後、ユニット回避レバー23を倒伏したアンロック位置から起立したロック位置へと回動させるだけで、各ユニット19,20の位置決め支持を完了させることができる。
【0034】
尚、各ユニット19,20の引き出し・押し入れ時には、装置本体12の奥行き方向に延びる装着ガイド等を設ければ、その着脱操作の容易化をより一層向上することができることは勿論である。
【符号の説明】
【0035】
11…複合機(画像形成装置)
12…装置本体
18…正面カバー
19…ドラムユニット
19a…被係合孔
20…現像ユニット
20a…係合突起
21…開閉カバー
22…設置開口部
23…ユニット回避レバー
24…トレイ
25…開閉カバー位置決め部
25a…台座部
25b…係合部
26…ドラム位置決め部
26a…台座部
26b…係合部
27…現像位置決め部
27a…第一係合孔部
27b…第二係合孔部
28…ガイド部
28a…ガイド壁面
29…ノブ
29a…フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に着脱可能に支持されて転写紙に画像を転写する感光体ドラムを備えたドラムユニットと、装置本体に着脱可能に支持されて前記感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラを備えた現像ユニットと、前記いずれかのユニットを前記装置本体から着脱する際に前記ドラムユニットと前記現像ユニットとの間を接近・離間させるユニット回避手段と、前記各ユニットが離間した状態に位置しているときに前記装置本体に形成された前記各ユニットの設置開口部を開閉可能とした開閉部材と、を備えた画像形成装置において、
前記開閉部材の内面側には、前記ドラムユニットと係合するドラム位置決め部と、前記現像ユニットと係合する現像位置決め部と、前記開閉部材が開放状態にあるときに前記各ユニットの少なくとも一方の前記装置本体との着脱操作をガイドするガイド部と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ドラム位置決め部又は前記現像位置決め部の少なくとも一方は、前記開閉部材が閉成状態にあるときに前記ユニット回避手段の操作によって前記各ユニットの接近・離間を許容するように接近・離間方向に延びる略長孔形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ドラムユニット又は前記現像ユニットの少なくとも一方には、前記ドラム位置決め部又は前記現像位置決め部と係合し且つ前記開閉部材が閉成状態にあるときに前記ユニット回避手段の操作によって前記各ユニットの接近・離間を許容するように接近・離間方向に延びる略長孔形状の被係合部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−154319(P2011−154319A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17274(P2010−17274)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】