説明

画像形成装置

【課題】所謂1パス形式の画像形成方式で両面画像を形成する画像形成装置において、高速、高信頼、低コストな画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の第一の像担持体で形成された第一のトナー像が一次転写される第一の中間転写体であって、当該第一のトナー像を担持するための中間転写体と、単色の第二のトナー像を担持するための第二の像担持体と、を備えて成り、前記中間転写体に担持された第一のトナー像が記録媒体の第一の面に静電転写され、前記第二のトナー像が、前記中間転写体の記録媒体搬送方向上流側又は下流側で、前記第一の面とは逆側の記録媒体の第二の面に直接静電転写され、前記第一の面と前記第二の面にトナー像を担持した記録媒体が定着工程に送られて、両面画像定着が一度に実施されるとともに、前記中間転写体上に担持される第一のトナー像の帯電極性と、前記第二のトナー像の帯電極性とが異なるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ、複写機あるいはこれらの少なくとも2つの機能を有する複合機などの画像形成装置の改良に関し、より詳しくは、記録紙などの記録媒体の両面に画像を形成することが可能な画像形成装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置において、記録紙などの記録媒体の両面(表面及び裏面、乃至、第一面及び第二面)に画像を形成できるように構成されたものが知られている。この種の両面画像を達成するための手段としては、像担持体上に形成した一方の面の第一のトナー画像を一旦記録媒体の第一の面に転写して定着させ、その記録媒体を反転路やスイッチバック経路を通過させて反転させた後で、再度同一の画像形成部に給送して記録媒体の第二の面乃至裏面に第二のトナー画像を転写して定着させる方式(2パス方式)が一般に使用されてきた。
【0003】
しかしながら、この種の2パス方式で両面画像形成を行うと、一旦は定着工程を実施して第一面画像を記録媒体に定着させているため、記録媒体が熱と圧力とを一旦は受けており、これに起因して第二面画像を形成させようとする際には、記録媒体にカールが発生していたり、紙粉が付着していたりする。記録媒体にカールが発生したり、紙粉が付着していると、画像形成装置内で記録媒体を転回乃至反転させるために、記録媒体の搬送方向を切換えたり、搬送用ローラ対に挟持させるなどの比較的複雑な記録媒体搬送を行う際に、搬送ジャムを引き起こしやすくなり、記録媒体搬送の信頼性確保に多くの問題を抱えていた。また、カールした記録媒体への転写不良による画像形成不良が発生することもあった。さらには、第一面画像を形成して定着工程を実施した後に、第二面画像を得るために再度同一の画像形成部を使用して第二面画像を形成して、再び定着工程を実施して両面画像形成を実施しているため、片面画像形成に比較して両面画像形成に単純に2倍の時間がかかり、昨今の画像形成装置に求められているスピードアップの問題への対応も難しいという問題もあった。
【0004】
そこで、特許文献1や特許文献2に記載されるような両面画像形成を一回の定着工程で得る技術が知られている。これら特許文献1及び特許文献2に開示される両面画像形成可能な画像形成装置では、複数の像担持体で最初に第一面画像のトナー像を形成し、これを第一中間転写ベルト上で一旦フルカラートナー像として形成した後、この第一の中間転写ベルト上のフルカラートナー像を、今度は記録媒体の搬送経路に沿って配置されている第二の中間転写ベルト上に二次転写させる。次いで、第一の中間転写ベルトに今度は第二面画像を形成し、この第一の中間転写ベルト上の第二面画像を記録媒体に二次転写させながら、第二中間転写ベルト上の第一画像を記録媒体に密着せしめて搬送させ、二次転写ニップ部よりも搬送方向下流側に設けられた、第二中間転写ベルトと対向する転写チャージャなどの第三転写手段を用いて、第二中間転写ベルト上で記録媒体に密着している第一画像を三次転写させ、その後、定着装置で熱と圧力とを記録媒体の両面から同時加えることにより、両面画像を記録媒体に定着させている。すなわち、特許文献1及び特許文献2に開示される画像形成装置では、記録媒体に対して二次転写ニップ部でその第二面に対して第二トナー像を前段転写した後で、三次転写部でその第一面に対して第一トナー像を後段転写することで、所謂1パス方式の両面画像形成を達成している。確かに、このような画像形成装置を用いれば、反転搬送路やスイッチバック搬送路を設ける必要もなくなり、且つ、記録媒体の両面に画像を形成する際に記録媒体を定着装置に通過させるのは一回だけであるので、熱と圧力とを加えられたことにより発生する記録媒体のカールに起因する転写不良の問題も解決するだけでなく、当該カールや紙粉に起因する搬送ジャムの問題も解決する。
【0005】
しかしながら、このような構成を採用したとしても、両面の画像を形成するために2回同一の画像形成部を使用することは変わらないため、画像形成速度に対するスピードアップの問題には改良の余地がある。このスピードアップの問題に関しては、例えば、片面にはグラフィックなどのフルカラー画像を形成し、他方の面には文字情報のみの単色のトナー像を形成するような比較的簡易な両面画像形成を行いたい場合に特に顕著であり、このような両面画像形成は、昨今ではダイレクトメールや、チラシなどの形態で多用される結果、多数の要望が寄せられているものである。このような片面には単色のトナー像だけが形成される比較的簡易な両面画像形成を実施する際であっても、従来から知られた1パス形式では、2回同じ画像形成部を用いて両面画像を形成しているため、特にスピードアップの改良が望まれている。また、同一の画像形成部、ひいては同一の像担持体を使用しているため、同一の極性に帯電したトナー像を記録媒体の両面に二次転写及び三次転写することになるので、二次転写されることによって中間転写体が担持している第二面トナー像が、第一面画像の三次転写時にトナー飛散を起こしてしまって画像形成装置内部を汚染してしまったり、また、当該トナー飛散に起因する記録媒体への飛散トナー付着などによる画像不良の問題が発生してしまうこともあり、形成されるべき画像の信頼性に問題がある。さらに、これら画像形成装置では、三次転写されるべきトナー像が一旦転写させられた二次転写ベルトを、記録媒体に密着させながら三次転写部まで搬送する必要があるため、無端状の第二の二次転写ベルトは少なくとも記録媒体の全面に対応する長さを有している必要があり、装置が大型化し高コストであるという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、所謂1パス形式の画像形成方式で両面画像を形成する画像形成装置において、高速、高信頼、低コストな画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、
複数の第一の像担持体で形成された第一のトナー像が一次転写される第一の中間転写体であって、当該第一のトナー像を担持するための中間転写体と、
単色の第二のトナー像を担持するための第二の像担持体と、
前記第一の中間転写体と対向する第一の転写手段であって、前記第一のトナー像を記録媒体の第一の面に静電転写するための第一の転写手段と、
前記第二の像担持体と対向する第二の転写手段であって、前記第二のトナー像を、前記第一のトナー像が静電転写される第一の面とは逆の記録媒体の第二の面に静電転写するための第二の転写手段と、を備えて成り、
前記中間転写体に担持された第一のトナー像が、前記中間転写体と前記第一の転写手段との間に転写バイアスを印加することによって、前記記録媒体の第一の面に静電転写され、
前記第二のトナー像が、前記中間転写体の記録媒体搬送方向上流側又は下流側で、前記第二の像担持体と前記第二の転写手段との間に転写バイアスが印加されることによって、前記記録媒体の第二の面に直接静電転写され、
前記第一の面と前記第二の面にトナー像を担持した記録媒体が定着工程に送られて、両面画像定着が一度に実施される画像形成装置であって、
前記中間転写体上に担持される第一のトナー像のトナー帯電極性と、前記第二のトナー像のトナー帯電極性とが異なることを特徴とする画像形成装置を提案する。
【0008】
また、本発明において、前記複数の第一の像担持体の帯電極性と前記第二の像担持体の帯電極性とが同一であり、前記第一の像担持体は、当該第一の像担持体の帯電極性と同極性の電荷を有するトナーを用いて現像される反転現像方式か又は前記帯電極性と逆極性の電荷を有するトナーを用いて現像される正規現像方式で現像され、前記第二の像担持体は、前記第一の像担持体が現像される前記反転現像方式又は前記正規現像方式とは逆の現像方式で現像されるように構成されていると好適である。
さらにまた、本発明において、前記第一の像担持体上に形成される第一のトナー像が、前記反転現像方式によって現像され、前記第二の像担持体上に形成される第二のトナー像が、前記正規現像方式により現像されるとさらに好適である。
【0009】
さらにまた、本発明において、少なくとも2つの搬送転写ベルト用ローラにかけまわされる無端状の搬送転写ベルトが前記記録媒体の搬送経路に沿って設けられ、前記少なくとも2つの搬送転写ベルト用ローラは、前記中間転写体又は前記第二の像担持体の、記録媒体の搬送方向で見て下流側に配置される一方と対向する搬送転写ベルト用転写ローラであって、前記第一の転写手段又は前記第二の転写手段の代わりに設けられる搬送転写ベルト用転写ローラと、前記搬送転写ベルト用転写ローラよりも前記記録媒体搬送経路で見て上流側に配置され、電気的にフロート状態にされる搬送転写ベルト用フロートローラとを有すると好適である。
【0010】
さらにまた、本発明において、前記第一の中間転写体を、前記第一の転写手段又は前記搬送転写ベルト用転写ローラから離間させるための離間手段を備え、前記第二の像担持体上に形成された第二のトナー像だけで画像形成を行うと好適である。
【0011】
さらにまた、本発明において、前記離間手段により、前記中間転写体が前記第一の転写手段又は前記搬送転写ベルト用転写ローラから離間させられた後に、前記中間転写体の内側で、前記中間転写体がかけまわされている支持ローラの少なくとも一つが変位して、前記中間転写体のベルト張力が維持されるように構成されていると好適である。
さらにまた、本発明において、前記離間手段により、前記中間転写体が前記第一の転写手段又は前記搬送転写ベルト用転写ローラから離間させられた後で、当該第一の転写手段又は搬送転写ベルト用転写ローラに当接するように変位するガイドローラであって、記録媒体の搬送をガイドするガイドローラが設けられていると好適である。
【0012】
さらにまた、本発明において、前記複数の第一の像担持体の一つが、単色のトナー像を担持する第三の像担持体として、前記複数の第一の像担持体及び前記中間転写体とは別個に且つ前記中間転写体が記録媒体の第一の面に静電転写を行う第一の面側に設けられ、前記中間転写体が、第三の像担持体よりも記録媒体搬送方向下流側に配置され、前記複数の第一の像担持体に担持される第一のトナー像の帯電極性及び前記第三の像担持体に担持される第三のトナー像のトナー帯電極性と、前記第二の像担持体に担持される第二のトナー像のトナー帯電極性とが異なるように構成しても好適である。
【0013】
さらにまた、本発明において、前記単色のトナー像を担持する第二の像担持体が設けられる、記録媒体の第二の面側に、さらに、複数の第四の像担持体で形成される第四のトナー像を担持する第二の中間転写体が設けられ、前記複数の第一の像担持体に担持される第一のトナー像のトナー帯電極性及び前記第三の像担持体に担持される第三のトナー像のトナー帯電極性と、前記第二の像担持体に担持される第二のトナー像のトナー帯電極性及び前記第四の像担持体に担持される第四のトナー像のトナー帯電極性とが異なるように構成しても好適である。
【0014】
さらにまた、本発明において、前記第二のトナー像及び/又は第三のトナー像が黒色トナーであると好適である。
さらにまた、本発明において、前記第一の中間転写体及び/又は前記第二の中間転写体が少なくとも2つのローラに張架された中間転写ベルトであり、当該中間転写ベルトが弾性を有する弾性中間転写ベルトであるとなお好適である。
【0015】
さらにまた、本発明において、前記第二の像担持体及び/又は第三の像担持体に担持されたトナーのうち、記録媒体に転写されずに当該第二の像担持体及び/又は第三の像担持体上に残ったトナーを回収して、再度第二の像担持体及び/又は第三の像担持体での現像に再利用すると好適である。
【0016】
さらにまた、本発明において、定着工程で両面の画像を定着させられた記録媒体を反転させるための反転搬送路がさらに設けられていても好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明による画像形成装置によれば、複数の第一の像担持体で形成された第一のトナー像が一次転写される第一の中間転写体であって、当該第一のトナー像を担持するための中間転写体と、単色の第二のトナー像を担持するための第二の像担持体と、前記第一の中間転写体と対向する第一の転写手段であって、前記第一のトナー像を記録媒体の第一の面に静電転写するための第一の転写手段と、前記第二の像担持体と対向する第二の転写手段であって、前記第二のトナー像を、前記第一のトナー像が静電転写される第一の面とは逆の記録媒体の第二の面に静電転写するための第二の転写手段と、を備えて成り、前記中間転写体に担持された第一のトナー像が、前記中間転写体と前記第一の転写手段との間に転写バイアスを印加することによって、前記記録媒体の第一の面に静電転写され、前記第二のトナー像が、前記中間転写体の記録媒体搬送方向上流側又は下流側で、前記第二の像担持体と前記第二の転写手段との間に転写バイアスが印加されることによって、前記記録媒体の第二の面に直接静電転写され、前記第一の面と前記第二の面にトナー像を担持した記録媒体が定着工程に送られて、両面画像定着が一度に実施されるように構成されているので、記録媒体の一方の面に形成されるべき単色トナー像を形成するための第二の像担持体上に形成されるトナー像が記録媒体に直接に転写される結果、画像形成装置の小型化を達成できるようになるだけでなく、この小型化された画像形成装置において、記録媒体への両面画像を同時に形成して、記録媒体のそれぞれの面へそれぞれ転写し、その後の一回の定着工程で一度に画像定着することで画像形成速度の高速化を図ることが可能となる。さらには、本発明の画像形成装置では、前記中間転写体上に担持される第一のトナー像のトナー帯電極性と、前記第二のトナー像のトナー帯電極性とが異なるように構成されているので、記録媒体の両面それぞれに転写される第一のトナー像と第二のトナー像との帯電極性が異なることにより、第一の(あるいは第二の)トナー像が転写された状態の記録媒体に第二の(あるいは第一の)トナー像を転写する際、第一の(あるいは第二の)先に記録媒体に転写されたトナーには、記録媒体に引き付けられる方向の力が働くようになるので、トナー飛散などの不具合を効果的に防止することが可能となる結果、先に記述した効果と相俟って、高速、高信頼、低コストな画像形成装置を提供することが可能となる。なお、このような画像形成装置は、特に、ダイレクトメール、チラシなどに両面画像形成を実施する際に、一方の面にはグラフィックなどのフルカラー画像を形成し、他方の面には文字情報のみというような形態で両面画像を形成するに際して、大きな効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の基本的な実施形態を示すための概略断面図である。
【図2】本発明の両面画像転写部を説明するための概略模式図である。
【図3】本発明の両面画像転写部の別の実施形態を説明するための概略模式図であり、当該図では、中間転写体に対向する搬送転写ベルトが設けられる例を示す。
【図4】本発明にかかる画像形成装置の別の実施形態を示すための概略断面図であり、当該図では、第一の中間転写体が第一の転写手段から離間させられる例を示す。
【図5】本発明の両面画像転写部のさらに別の実施形態を説明するための概略模式図であり、当該図では、複数の第一の像担持体のうちの一つが第三の像担持体として別個に設けられる例を示す。
【図6】本発明の両面画像転写部のさらに別の実施形態を説明するための概略模式図であり、当該図では、複数の第四の像担持体がさらに設けられる例を示す。
【図7】本発明にかかる画像形成装置さらに別の実施形態を示すための概略断面図であり、当該図では定着装置の後段に、記録媒体を反転するための反転搬送路が設けられる例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0020】
図1は、本発明にかかる画像形成装置の基本的な実施形態を示すための概略断面図であり、この図1に示される画像形成装置では、一例としての電子写真方式のプリンタを描いている。まずは、この図1を用いて、本発明の画像形成装置の基本的な構成について説明する。
【0021】
図1に示されるように、この画像形成装置では、第一の画像形成部100として、第一の複数の像担持体である4つのドラム状の像担持体12(Y、M、C、K)が配置されていて、この第一の画像形成部100を用いて、記録媒体の第一面(乃至表面)に転写されるべきトナー像が形成される。なお、ここに図示した4つの像担持体にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色トナー像が形成される。これら像担持体12(Y、M、C、K)は、トナー色が異なる以外は同一の構成となっており、これら像担持体12(Y、M、C、K)のまわりに、帯電部材10(Y、M、C、K)、現像装置11(Y、M、C、K)、クリーニング装置13(Y、M、C、K)及び図示しない除電装置などが配設されている。なお、これら感光体12(Y、M、C、K)では、扱うトナーの色が異なるのみでその他の構成は全て同じであるので、以下では色を表す符号(Y、M、C、K)を適宜省略して、第一の画像形成部100を説明する。
【0022】
まず、感光体12は、例えば直径30〜120mmのアルミ製円筒に、光導電性物質である有機半導体の表面層が被覆されている。アモルファスシリコン性の表面層が被覆されたものであってもよい。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであってもよい。帯電部材10は、当該感光体12の表面に圧接されていて、この帯電部材10は、感光体12の回転駆動に伴い従動回転させられる。また、この帯電部材10には、図示しない高圧電源により所定のバイアス電圧が印加され、回転駆動する感光体12の表面を一様に帯電できるようになっている。なお、ここに図示した帯電部材10は、第一の像担持体である感光体12に接触するローラ状部材を採用しているが、コロナ放電などを利用する非接触式のものを採用することも可能である。
【0023】
また、図1に示される画像形成装置では、4つの第一の感光体12の下方に平行して、第一の露光装置7が設けられている。この第一の露光装置7は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどの適宜適切な光学構成部材を有しており、各色トナー像の画像データに応じて形成された画像情報に基づいて、帯電部材10により帯電させられた各感光体12を露光し、それぞれの感光体12上に静電潜像を作り出すために設けられる。なお、かかる構成の露光装置7に代えて、LEDアレイからのLED光を照射する露光手段を採用することもできる。この露光装置7を用いて感光体12上に形成された静電潜像は、感光体12の回転により、現像装置11を通るときに各色トナーが付与されることで現像され、顕像化される。なお、当該画像形成装置の内部における上方には、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色トナーが充填されたトナーボトル20Y、20M、20C及び20Kが配置されていて、このトナーボトル20Y、20M、20C及び20Kから図示しない搬送経路を介して、所定補給量のトナーがそれぞれ各色現像装置11Y、11M、11C及び11Kに、さらには後述する第二の現像装置43や第三の現像装置、第四の現像装置に補給されるようになっている。
【0024】
さらに、これらの第一のトナー像担持体である各感光体12に対向して、第一の中間転写体8として構成される、無端ベルト状の中間転写ベルト8が配置される。図1に示した中間転写ベルト8は、複数の支持ローラ(例えば、支持ローラ15a、15b、15cなど)に巻きかけられて構成されており、これらローラ15a、15b、15cなどのうちの一つが、図示しない駆動源としての駆動モータと連結されていて、この駆動モータを駆動させることで、中間転写ベルト8は、図中半時計回りに回転移動すると共に、その他の従動回転可能な支持ローラが従動回転させられる。また、中間転写ベルト8の裏面には、そのベルトを挟んで感光体12に対向して位置する一次転写ローラ9が配置されている。この一次転写ローラ9に図示しない高圧電源から所定の電圧(図示した例ではプラス電圧)である一次転写バイアスが印加され、当該一次転写バイアスの作用によって、現像装置11で所定の極性(図示した例ではマイナス極性)に帯電させられたトナーにより顕像化されたトナー像が、中間転写ベルト8に一次転写されるようになっている。なお、一次転写されずに感光体12上に残された一次転写残トナーは、感光体12による次の画像形成動作に備えるためにクリーニング装置13により除去され、感光体12上におけるトナーが完全に除去される。
【0025】
さらにまた、図示した画像形成装置1では、一次転写ローラ9らの、中間転写ベルト8の駆動方向下流側に、第一のトナー像を記録媒体の第一面に静電転写するための第一の転写手段として、第一の二次転写ローラ18が設けられている。この第一の二次転写ローラ18は、第一の中間転写体である中間転写ベルト8を挟んで支持ローラ15bと対向しており、当該二次転写ローラ18と支持ローラ15bとで中間転写ベルト8を介して第一の静電転写ニップ部を形成している。なお、図示した例では、第一の転写手段として、(二次)転写ローラを採用しているが、本願発明はこれに限定されることなく、例えば、複数のローラに張架される転写ベルトを用いてもよいし、中間転写体である中間転写ベルト8とは非接触で転写を行う転写チャージャーなどを用いてもよい。したがって、ここに図示した転写ローラ18は、第一の転写手段の一例である。
【0026】
また、当該画像形成装置は、第一給紙ローラ28を有する第一給紙カセット25と、第二給紙ローラ29を有する第二給紙カセット26とが、鉛直方向に重なるように配設されていて、これら給紙カセット25、26のそれぞれ内部には、画像を形成されるべき用紙などの記録媒体が、複数枚重ねた記録媒体束の状態で収容されていている。また、第一給紙カセット25の図中右側方には、手差し給紙ローラ30を有する手差しトレイ27が画像形成装置本体の筐体内でなく、筐体の側面から延出するように設けられており、この上にも記録媒体束が載置できるようになっている。さらに、これら給紙カセットや手差しトレイなどの他にも、画像を形成されるべき記録媒体が給紙カセットや手差しトレイなどから搬送される際に突き当たって記録媒体のレジストレーションを実施するレジストローラ対35などに加え、画像形成部100などの後段には、定着装置50及び排紙ローラ対36が設けられている。
【0027】
さらに、本発明の画像形成装置では、両面画像形成を達成するために、先に記述した第一のトナー像を記録媒体に静電転写するための第一の中間転写体である中間転写ベルト8から見て、記録媒体搬送方向上流側に、且つ、記録媒体搬送経路で見て、中間転写ベルト8とは逆側に対向して、第二の画像形成部200として第二の像担持体40が設けられている。この第二の像担持体40は、単色のトナー像である第二のトナー像を担持して、当該第二のトナー像を記録媒体の第二面(乃至裏面)に直接静電転写するために設けられている。なお、この第二の像担持体40で使用されるトナーは、文字情報として最も一般的に用いられる黒色トナーであると好適であり、また、図示した例とは相違して、第一の画像形成部100から見て記録媒体搬送方向下流側に設けられていてもよい。
【0028】
この第二の像担持体40の周辺には、第一のトナー像担持体である感光体12と同様に、帯電部材(図示せず)、現像装置41、クリーニング装置43及び除電装置(図示せず)などが配設されている。第二の像担持体40用の図示しない帯電部材は、感光体40の表面に圧接されていて、やはり図示しない高圧電源により所定のバイアス電圧が印加され、回転駆動する感光体40の表面を一様に帯電できるようになっている。この帯電部材も帯電部材3と同様に、第二の感光体40に直接圧接される方式のものを採用することも可能であるし、コロナ放電などを利用する非接触式のものを採用することも可能である。
【0029】
また、この帯電部材により所定の極性に帯電された第二の像担持体40に静電潜像を書き込むための、図示しない露光装置も設けられている。この第二の像担持体40用の第二の露光装置もまた、第一のトナー像を形成するための露光装置7と同様に適宜適切な光学構成部材を有して構成されており、記録媒体の第二の面に形成されるべき単色のトナー像の画像データに応じて形成された画像情報に基づいて、第二の像担持体40を露光する。この第二の像担持体40上に形成された静電潜像もまた、第二の像担持体40の回転により、現像装置41を通るときに単色のトナー、好ましくは黒色のトナーが付与されることで現像される。なお、搬送されてきた記録媒体に直接転写されずに残った第二の像担持体における転写残トナーは、クリーニング装置43によって除去され、その後、やはり図示しない除電装置にて第二の像担持体40上の電荷が除去され、次の第二面画像形成動作に備えることになる。
【0030】
次に、図1に示した画像形成装置における画像形成動作について、図1及び図2を用いて説明する。図2は、本発明の両面画像転写部を説明するための概略模式図である。この画像形成動作においても、複数の第一の像担持体である各感光体12にトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト8に転写する構成は、そのトナー像の色が異なるだけで、実質的に全て同一であるため、Y,M,C及びKの添え字は必要に応じて割愛する。
【0031】
まず、図示しないパーソナルコンピュータなどから両面画像形成動作の指令を画像形成装置が受けると、上記した第一の像担持体である複数の感光体12及び第二の像担持体である感光体40が図示しない駆動源により時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ回転駆動され、このとき感光体12及び40表面にやはり図示しない除電装置からの光が照射されて表面電位が初期化される。この表面電位を初期化された第一の感光体12及び第二の感光体40の表面が、今度は第一の帯電部材10及び図示しない第二の帯電部材によって所定の極性に一様に帯電される。この後で、ここに図示した実施形態では、帯電された第一の感光体12及び第二の感光体40表面には、第一の露光装置7や図示しない第二の露光装置からのレーザ光が照射され、これによって第一の感光体12それぞれには所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及び黒の各トナー色情報にそれぞれ分解した単色の画像情報である静電潜像が形成され、一方で第二の感光体40には、記録媒体の第二の面に形成されるべき単色の静電潜像が形成される。これら第一の感光体12及び第二の感光体40に形成された静電潜像が、それぞれ現像装置11及び現像装置41を通る際に、各色トナー(現像剤)が付与され、顕像化されたトナー像として可視化される。
【0032】
また、第一のトナー像を担持するための第一の中間転写体である中間転写ベルト8は、図中反時計回りに走行駆動させられるが、上記した一次転写ローラ9には、感光体12のそれぞれに形成されたトナー像のトナー帯電極性と逆極性の一次転写電圧が印加される。これにより、第一のトナー像担持体である感光体12と中間転写ベルト8との間に転写電界が形成され、これら感光体12上のトナー像が、その感光体12と同期して回転駆動される中間転写ベルト8上に静電的に一次転写される。このように、一次転写される各色トナー像は、中間転写ベルト8の搬送方向上流側から逐次タイミングを併せて中間転写ベルト8上に重ね合わされ、所望のフルカラー画像として第一の面に転写されるべきフルカラー画像が当該中間転写ベルト8上に形成される。
【0033】
ここで、本願発明では、第一のトナー像のための複数の感光体12上に担持されるトナーの帯電極性と、第二のトナー像のための感光体40上に担持されるトナーの帯電極性とは、異なるように帯電させられている。すなわち、例えば、第一の感光体12上に担持されるために現像装置11で帯電させられるトナーの帯電極性はマイナスであり、第二の感光体40上に担持されるために現像装置41で帯電させられるトナーの帯電極性はプラスであるように構成されている(図2参照)。
【0034】
その一方で、画像を形成されるべき記録媒体は、2つの給紙カセット25、26や手差しトレイ27などに記録媒体束として積載されていて、これらの記録媒体束から給送ローラ28、29や、手差し給紙ローラ30などの適宜適切な搬送部材の作用によりレジストローラ対35まで一枚ごとに分離されて給送される。その際には、未だ回転駆動を開始していないレジストローラ対35のニップ部に、搬送された記録媒体の先端が突き当たり、所謂ループを形成することで記録媒体のレジストレーションが行われる。その後、第一のトナー像用の中間転写ベルト8に形成された第一トナー像及び第二の像担持体40上に形成された第二のトナー像とのタイミングを図って、レジストローラ対35の回転が開始され、図1に図示した例では、まずは、第二の像担持体40とこの像担持体40に対向する第二の転写手段としての転写ローラ42との間に形成された第二のトナー像用静電転写ニップ部に記録媒体が給送される。なお、この第二の転写手段も、第一の転写手段と同様に、転写ローラに限定されることなく、例えば、複数のローラに張架される転写ベルトを用いることもできるし、第二の像担持体40とは非接触で転写を行う転写チャージャーなどを用いることもできる。したがって、ここに図示した転写ローラ42もまた、第二の転写手段の一例である。この第二トナー像用静電転写ニップ部では、例えば、第二の転写手段である転写ローラ42に、第二のトナー像の帯電極性とは逆極性の、図示した例ではマイナスの転写バイアス(転写電圧)が印加されることで、第二の転写手段である転写ローラ42と第二の像担持体40との間に転写バイアス(転写電圧)が印加され、これによって第二の像担持体である感光体40上に形成された第二のトナー像が記録媒体の第二面に直接的に静電転写される。さらに、この記録媒体は、第一のトナー像のフルカラー画像が一次転写されている中間転写ベルト8とこの中間転写ベルト8に対向する第一の転写手段である二次転写ローラ18との間に形成された第一トナー像用静電転写ニップ部に搬送される。なお、この際には、中間転写ベルト8の回転は、第二のトナー像用静電転写ニップ部で第二のトナー像を静電転写された記録媒体が、所望の位置で第一のトナー像を記録媒体に静電転写できるように、記録媒体の搬送タイミングを併せられている。
【0035】
この第一のトナー像用静電転写ニップ部は、支持ローラ15bとこれに中間転写ベルト8を介して対向させられた第一の転写手段である二次転写ローラ18とで形成されており、この第一のトナー像用静電転写ニップ部では、例えば、第一の二次転写ローラ18に、中間転写ベルト8表面に担持されたトナー像とは逆極性の、図示した例ではプラスの転写バイアス(転写電圧)が印加され、これによって、中間転写ベルト8に一次転写されている第一のフルカラートナー像が一括して記録媒体に静電転写される。その後、第一面及び第二面のトナー像を静電転写された記録媒体は、そのそれぞれが加熱されている定着ローラ対51などで構成される定着装置50までさらに搬送され、当該定着装置50を通過するときに、このそれぞれ加熱されている定着ローラ対51から両面に熱と圧力とが加えられ、半永久画像として両面トナー像が記録媒体に定着させられる。画像を両面に定着させられた記録媒体は、さらに搬送されて排紙ローラ対36を介して排出トレイなどの記録媒体排出部に排出されて、画像形成動作が完了する。なお、第一の転写手段である二次転写ローラ18が配置される第一のトナー像用静電転写ニップ部で転写されずに中間転写ベルト8上に残留した残留トナーは、中間転写ベルトクリーニング手段19により取り除かれ、廃トナーボックス300に回収される。
【0036】
このように構成された本発明の画像形成装置は、記録媒体の第二の面(乃至裏面)の画像形成を単色のトナー像を用いて両面画像を実施するものであるが、このような両面画像形成は、例えば、ダイレクトメール、チラシなどに両面画像形成を実施する際に、一方の面にはグラフィックなどのフルカラー画像を形成し、他方の面には文字情報のみというような形態で両面画像を形成するに際して、これまでの画像形成装置と比較して、形成されるべき第二面のトナー像全面を担持する第二の中間転写ベルトなどを用いる必要がないので、小型化及び低コスト化を図ることが可能となる。また、この画像形成装置では、両面画像を記録媒体に定着させるに際して、第一の像担持体である感光体12と、第二の像担持体である感光体40とで同時に両面の画像を形成しており、また、これら画像を定着させるにあたり、定着装置50に記録媒体を一回だけ通過させればよいので、非常に高速に両面画像形成可能な画像形成装置を提供できるだけでなく、カールが発生したり、紙粉が付着した記録媒体を、制御が複雑な反転搬送やスイッチバックさせる必要がなくなり、搬送ジャムの問題が発生しない高信頼な画像形成装置を提供できるようになる。さらに、例えば、図2に図示したように、第二のトナー像が静電転写された後で、第一のトナー像が静電転写される際に、第二のトナー像と第一のトナー像とは帯電極性が異なるように構成されているので、先に記録媒体に静電転写された第二のトナー像は、第一のトナー像を静電転写するために第一の転写手段18に電圧(図示した例ではプラスの電圧)を印加しても、この第一の転写手段18に印加された電圧とは反発して、記録媒体側に密着するようになるので、トナー飛散の問題が発生せず、画像形成装置の汚染を防止することが可能となり、加えて、飛散したトナーに起因する画像不良も防止されて、良好な画像結果を得ることが可能になる。なお、これまで説明してきた例では、第一の転写手段の一例である第一の二次転写ローラ18及び第二の転写手段の一例である第二の転写ローラ42の側にトナー像のトナー帯電極性と異なる転写バイアスを印加することで、記録媒体のそれぞれの面にトナー像を静電転写させているが、これとは逆に、例えば、第一の転写手段18と対向している支持ローラ15bに、第一のトナー像の帯電極性と同極性の転写バイアスを印加することで、第一トナー像におけるトナーとこの第一のトナー像とは同極性の転写バイアスとの斥力を利用して、記録媒体にトナー像を静電転写させることも可能である。
【0037】
また、第一のトナー像の帯電極性と、第二のトナー像の帯電極性が異なるように構成するに当たって、第一の像担持体である感光体12と、第二の像担持体である感光体40とを、帯電極性の異なる違うタイプの感光体として用いることも可能であるが(例えば、感光体12を正極性に帯電する感光体として構成し、第一のトナー像のトナー帯電極性をマイナスに帯電させる一方で、感光体40を負極性に帯電する感光対として構成し、第二のトナー像のトナー帯電極性をプラスにする。)、図2に示すように同一の帯電極性を有する感光体12、40を用いることも可能である。
【0038】
この感光体12と40とが同一の帯電極性を有する感光体として構成される場合には、第一の像担持体である感光体12を、例えば、当該第一の像担持体の帯電極性と同極性の電荷を有するトナーを用いて現像される反転現像方式(所謂ネガ現像方式)か又は前記帯電極性と逆極性の電荷を有するトナーを用いて現像される正規現像方式(所謂ポジ現像方式)で現像されるように構成し、第二の像担持体である感光体40を、その逆の現像方式で現像されるように構成すればよい。このように、同一の感光体を用いると、第一の像担持体である感光体12と第二の像担持体である感光体40とを共通化できるようになり、その結果、画像形成装置の構成が簡易になるだけでなく、ランニングコストも含め低コストな画像形成装置を提供できるようになるため好適である。なお、ここで言うポジ現像方式とは、例えば帯電装置により感光体をマイナス帯電させた上で、露光装置により背景露光を行ってポジ静電潜像を形成し、背景部にトナーかぶりが発生しない程度の現像バイアスを用いて、感光体上の露光を受けずにマイナス電荷が残っている部分に正帯電トナーを付着させてトナー像を形成する方式であり、ネガ現像方式とは、やはりマイナスに帯電させられた感光体における画像形成部に露光を行い、ネガ静電潜像を形成し、露光を受けなかった背景部にトナーかぶりが発生せずに十分なトナー量が得られるような現像バイアスを印加することにより、所定のマイナス電位から電位減衰した部分に負帯電トナーを付着させてトナー像を形成する方式であり、両者の現像方式は当業者にはよく知られている現像方式である。
【0039】
さらに、感光体12及び感光体40を共通化する場合、図2に示すように、第一の像担持体である感光体12の現像方式には反転現像方式(所謂ネガ現像方式)を採用し、第二の像担持体である感光体40の現像方式には正規現像方式(所謂ポジ現像方式)にする方が好適である。ポジ現像方式の場合は、感光体劣化が起きたときに発生することのある露光後の感光体電位の上昇がおきたとしても、地肌汚れが発生しにくいという特性と、さらには、感光体自体に傷などの欠陥が発生した場合には、その部分にトナーが付着しなくなるので画像欠陥が目立ちにくいという特性とを有するので、単色の画像、特に文字画像が求められる第二の像担持体40側にポジ現像方式を採用した方が、文字がすっきりと表現できたり、不要な点画像などが発生しないので好適であることによる。
【0040】
これまで、図1及び図2を用いて本発明の画像形成装置の基本的な実施形態を説明してきたが、本願発明は図1に示されるような構成に限定されるものではない。例えば、図1に示した例では、中間転写体8から見て、記録媒体搬送方向上流側に第二の像担持体40を配置しているが、第二の像担持体40を、中間転写体8の搬送方向下流側に配置しても本願発明の目的を達成することが可能である。
【0041】
また、上述しているように、図1及び図2に示される本発明の基本的な構成では、第一のトナー像を記録媒体に転写するために第一の転写手段として二次転写ローラ18を採用し、第二のトナー像を記録媒体に直接転写するために第二の転写手段として転写ローラ42を採用しているが、第一の転写手段あるいは第二の転写手段として、これら第一の二次転写ローラ18及び第二の転写ローラ42の代わりに、搬送転写ベルトを採用することも可能である。この実施形態の一例を模式的に示したのが図3であり、当該図3を用いて、本発明の別の実施形態を以下に説明する。
【0042】
この図3に示される例では、第二の画像形成部200の、記録媒体搬送方向下流側に配置された第一の画像形成部100における中間転写体8に対向して搬送転写ベルト70が設けられる例を示している。ここに図示される無端状の搬送転写ベルト70は、少なくとも2つの搬送転写ベルト用ローラ71、72にかけまわされ、さらには、この無端状の搬送転写ベルト70が記録媒体の搬送経路に沿って設けられている。この少なくとも2つの搬送転写ベルト用ローラ71、72は、図示した例では、第一の中間転写体である中間転写ベルト8と対向する搬送転写ベルト用ローラ71と、搬送転写用ローラ71よりも記録媒体搬送経路で見て上流側に配置され、電気的にフロート状態にされるフロートローラ72とを有するように構成されている。また、搬送転写ベルト用ローラ71は、先に記述した第一の二次転写ローラ18又は第二の転写ローラ42の代わりに設けられるので、例えば、これに対向する中間転写体8上のトナー像とは逆の二次転写バイアスが印加される転写ローラとしても兼用されるように、すなわち、搬送転写ベルト用転写ローラとして構成されている。
【0043】
このように構成される画像形成装置では、両面画像形成を行う際に、記録媒体の搬送方向で見て上流側で先に静電転写された第二のトナー像である正帯電トナーは、電気的にフロート状態にされた搬送転写ベルト用ローラ72部分に進入し、この正帯電トナーが記録媒体と搬送転写ベルト70に挟まれた状態で、搬送転写ベルト用転写ローラ71と、支持ローラ15bとで形成される第一のトナー像用静電転写ニップ部に到達する。すなわち、先に記録媒体に転写された単色の第二のトナー像は、搬送転写ベルト70と記録媒体とに挟まれて、当該記録媒体に押圧させられながら、第一のトナー像が記録媒体の第一の面に静電転写させられることになる。したがって、第一のトナー像を記録媒体に静電転写する際に、先に転写されている第二のトナー像が搬送転写ベルト70と記録媒体に挟まれている結果、トナー飛散をより効果的に防止することができるようになるだけでなく、さらには、形成されるべきトナー画像の乱れを効果的に防止することができるようになる。なお、図示した例では、第一のトナー像を担持する中間転写ベルト8に対向して、第一の転写手段として二次転写ローラ18の代わりに搬送転写ベルト70を設けているが、本発明では、これに限定されることなく、例えば、第二の像担持体である感光体40が、中間点転写ベルト8よりも記録媒体搬送方向で見て下流側に設けられている場合には、第二像担持体用の第二の転写手段である転写ローラ42の代わりに、搬送転写ベルト70を設けることができる。すなわち、このように構成される実施形態では、少なくとも2つの搬送転写ベルト用ローラ71、72にかけまわされる無端状の搬送転写ベルト70が記録媒体の搬送経路に沿って設けられ、これら少なくとも2つの搬送転写ベルト用ローラ71、72は、中間転写体8又は第二の像担持体40の、記録媒体の搬送方向で見て下流側に配置される一方と対向する搬送転写ベルト用転写ローラ71であって、先に記述した第一の転写手段18又は第二の転写手段42の代わりに設けられる搬送転写ベルト用転写ローラ71と、当該搬送転写ベルト用転写ローラ71よりも記録媒体搬送経路で見て上流側に配置され、電気的にフロート状態にされるフロートローラとして機能する搬送転写ベルト用フロートローラ72とを有していればよく、前記した搬送転写ベルト用転写ローラ71と、第一の中間転写体8又は第二の像担持体40との間に、転写バイアスが印加されることによって第一の又は第二のトナー像が静電転写されるように構成される。なお、ここに図示した例であっても、例えば、支持ローラ15bに中間転写体8上のトナー像の帯電極性と同極性の転写バイアスを印加して、トナーとの斥力を利用することでトナー像を記録媒体に静電転写させることも可能である。
【0044】
さらに別の実施形態として、図4で白抜き矢印に示されるように、第一の転写手段である二次転写ローラ18と対向し、第一の中間転写体8を支持している支持ローラ15bを退避させて、中間転写体8が第一の転写手段18から離間できるような離間手段を設けてもよい。このように構成すれは、例えば記録媒体の第二の面に文字画像しか画像形成しない場合には、第二の像担持体である感光体40を用いて単色のトナー画像を形成するだけでよいので、中間転写体8を退避させるとともに第一の感光体12及び中間転写体8を動作させないようにしておくことで、中間転写体8及び第一の像担持体である各感光体12の劣化を防ぐことが可能になる。なお、図示はしないが、図3に示されるように第一の転写手段としての二次転写ローラ18の代わりに、搬送転写ベルト用転写ローラ71が用いられている場合には、当該中間転写体8が退避するのは、搬送転写ベルト用転写ローラ71となる。以下では、図示した例を用いて第一の転写手段である二次転写ローラ18と離間手段との間の関係を説明するが、この関係は、当然に搬送転写ベルト用転写ローラ71に置き換えられるものである。
【0045】
また、支持ローラ15bを第一の転写手段である第一の二次転写ローラ18から退避させて、当該第一の二次転写ローラ18から中間転写体8を離間させるための離間手段に関しては、従来から公知であり、当業者にはよく知られたリンク機構や、支持ローラ15bを第一の二次転写ローラ18から離間させる方向に動作する専用のソレノイドなどを用いてもよい。
【0046】
さらに、これに加えて、支持ローラ15bを退避させると同時に、第一の中間転写体である中間転写ベルト8の内側から当該中間転写ベルト8を支持する支持ローラの一つである支持ローラ25を動作乃至変位させて、中間転写ベルト8のベルト張力乃至ベルトテンションを、支持ローラ15bが退避する前と略等しく維持するようにしてもよい。これは、支持ローラ15bの退避量と支持ローラ25の変位量とを略等しくしておくことで達成可能である。このように構成すれば、支持ローラ15bが退避することで中間転写ベルト8のベルト張力が変化するのを極力防止することが可能になり、中間転写ベルト8の寿命を延ばすことが可能となるため好適である。さらにまた、やはり図3に示されるように、中間転写ベルト8の外側に当接し、中間転写ベルト8の駆動を案内している駆動案内ローラ23を、第一の転写手段である転写ローラ18に当接させるように構成して、記録媒体の搬送をガイドするガイドローラ23として働かせるようにしてもよい。このように構成しておけば、中間転写ベルト8を離間させるために、支持ローラ15bが第一の二次転写ローラ18から退避させられた後に、ガイドローラ23と第一の二次転写ローラ18とで構成されるニップ部に記録媒体を搬送することで、第一のトナー像用静電転写ニップ部での記録媒体搬送が不安定になるのを防止することが可能となり好適である。なお、図示した例では、駆動案内ローラ23をガイドローラ23として用いているが、中間転写ベルト8を退避させた際に、第一の二次転写ローラ18に当接する専用のガイドローラを設けておいても本願発明の目的は達せられる。なお、これら支持ローラ25及び駆動案内ローラ23の動作は、やはり従来公知のリンク機構や、専用のソレノイドなどを使用することで達成することが可能である。
【0047】
さらにまた、図1に示した実施形態では、単色のトナー像を担持する感光体40に担持されたトナー像のうち、記録媒体の第二の面に静電転写されずに当該感光体40上に残った第二の像担持体上転写残トナーは、廃トナー回収ボックス300に残トナー回収搬送経路を介して回収されているが、例えば、図4に示されるように、現像装置43内にこの第二の像担持体上転写残トナーを搬送するための、第二の二次転写残トナーリサイクル経路301を設け、再度現像装置41を介して感光体40へ当該転写残トナーを供給することにより再利用(所謂トナーリサイクル)することも可能である。
【0048】
次に、図5を用いて、本発明のさらなる別の実施形態を説明する。図5は、本発明の両面画像転写部のさらに別の実施形態を説明するための概略模式図であり、当該図では、複数の第一の像担持体12のうちの一つである像担持体12Kが第三の像担持体80として別個に設けられる例を示している。なお、第三の像担持体80のまわりにも、第一の像担持体12と同様に、帯電部材、露光装置、現像装置及びクリーニング装置などが設けられるが、図5では、本願発明の理解を深めるために、第一の像担持体12及び第二の像担持体40に加え、第三の像担持体80と、第一の中間転写体である中間転写ベルト8とだけを記載して、その他の構成要素は、そのそれぞれが加熱されて互いに圧接しあう定着ローラ対51を除いて省略して描かれていることに注意されたい。
【0049】
図5に示されるような構成の画像形成装置では、先に記述した複数の第一の像担持体12の一つである像担持体12Kが、単色のトナー像を記録媒体の第一の面に転写するための第三の像担持体80として、その他の複数の第一の像担持体12及び中間転写体8とは別個に独立して設けられていることに特徴がある。この第三の像担持体としての感光体80は、複数の第一の像担持体12とは記録媒体搬送方向で見て上流側で、且つ、複数の第一の像担持体12が設けられる側に配置されている。また、この第三の像担持体80には、第一の複数の像担持体12と同様に、図示しない露光装置から適宜適切な露光が行われて静電潜像が形成され、その後図示しない第三の現像装置を通過することでトナーが付与されてトナー像が形成されるが、その際、第三の像担持体80上に担持される第三のトナー像のトナー帯電極性と、第一の複数の像担持体12上に担持される第一のトナー像のトナー帯電極性とは、同一の帯電極性であるように構成されるとともに、第二の像担持体40上に担持される第二のトナー像のトナー帯電極性とは異なるように構成されている。なお、この図5に図示した例においてもまた、この第三の像担持体である感光体80上に形成されたトナー像は、第三の像担持体80とこの感光体80と対向する第三の転写ローラ(図示せず)との間に転写バイアスを印加することによって、記録媒体に静電転写される。
【0050】
この図5に図示するような実施形態において、上述したように記録媒体の第一の面にフルカラートナー像を形成し、第二の面に単色のトナー像を形成する場合には、第一の面側では、まずは第三の像担持体80上に単色のトナー像を形成して、記録媒体に静電転写した後で、第一のその他複数の像担持体12で形成されたトナー像を第一の中間転写ベルト8上に一次転写させ、この一次転写像を先に形成された第三のトナー像と記録媒体上で重ね合わせてフルカラートナー像を得るように構成されている。その際には、第三の単色トナー像と第一のトナー像とは同一の帯電極性を有するトナーで形成されているので、例えば、第一の転写手段である二次転写ローラ18に静電転写バイアスを印加したとしてもトナーが飛散したりすることがない。また、第一面のトナー像を記録媒体に静電転写するのとは逆側の第二の面側では、先に記述した実施形態同様に第二の面に単色のトナー像が静電転写され、その際には、第一のトナー像及び第三のトナー像のトナー帯電極性と、第二のトナー像のトナー帯電極性とは異なるように構成されているので、第二面のトナー像を記録媒体に静電転写する場合にも、先に記述したようにトナー飛散の問題が発生することはなく、本願発明の目的を達成することができる。さらに、両面に単色のトナー像を形成する場合には、第三の像担持体80と第二の像担持体40とを動作させるだけで、第一の像担持体12及び中間転写体8を動作させなくてすむので、第一の像担持体12及び中間転写体8の長寿命化を図ることができるため好適である。
【0051】
このように、図5に図示されるような実施形態は、フルカラー画像形成の頻度は比較的低いが、単色の画像を記録媒体の両面に形成する頻度の高いユーザーにとって、第一の像担持体12及び第一の中間転写体8の長寿命化が図れることに加え、これら像担持体12や中間転写体8を動作させないことで、画像形成速度のスピードアップを図れるので非常に有利である。なお、第三の像担持体である感光体80に担持されるトナーは、第二の像担持体である感光体40と同様に、文字などの単色トナー画像を形成するために一般的な黒色トナーであるのが好適である。
【0052】
さらに、本実施形態では、第三の像担持体80が複数のその他の第一の像担持体12から独立して別個に設けられているだけでなく、さらに、第一の中間転写体8よりも、記録媒体搬送方向上流側に配置されている。このように配置することで、当該第三の像担持体80には第一の中間転写体8からの他のトナー色が混入しないので、先に記述した第二の像担持体40と同様に、第三の像担持体クリーニング装置から第三の現像装置まで続く第三の像担持体用転写残トナーリサイクル経路を設けることで、第三の像担持体である感光体80上に残った第三の像担持体残トナーを再利用(所謂トナーリサイクル)することが可能となる。
【0053】
次いで、本願発明のさらなる実施形態が図6に示される。この図6は、本願発明の画像形成部のさらなる別の実施形態を示す概略模式図であり、当該図6では、単色のトナー像を担持する第二の像担持体40が設けられる、記録媒体の第二の面側に、複数の第四の像担持体90(Y,M,K)が設けられ、当該第四の像担持体90(Y,M,K)で形成される第四のトナー像が一次転写されて当該重ね合わされたトナー像を担持する第二の中間転写体98が設けられる実施形態を示している。なお、図6では、先に記述した図5と同様発明の理解を深めるために、複数の第一の像担持体である感光体12、第一の中間転写体8、第二の像担持体である感光体40及び定着ローラ対51に加え、第四の像担持体である複数の像担持体90(Y,M,C)及び第二の中間転写ベルト98だけを示している。
【0054】
この図6に示される画像形成装置において、複数の第四の像担持体90(Y,M,K)のまわりにも、上述した第一の像担持体12と同様に、帯電部材、現像装置、クリーニング装置及び除電装置などが配設されているとともに、これら第四の像担持体上に静電潜像を作り出すための第四の露光装置や、第二の中間転写ベルト98を介して配置される第四の一次転写ローラなども配置されていて、第一の像担持体と同様に第二の中間転写ベルト98上に重ね合わされた第四のトナー像を形成することができるようになっている。また、この中間転写ベルト98上で形成された第四のトナー像を記録媒体に静電転写するための、第四の転写手段である第四の転写ローラも第二の中間転写ベルト98に対向して設けられていて、この第四の転写手段と第二の中間転写ベルト98との間に転写バイアスが印加されることで、当該第四のトナー像が記録媒体の第二の面に静電転写されることになるが、その際には、第二の中間転写ベルト98の記録媒体搬送方向上流側に配置された第二の像担持体40上に形成される第二のトナー像と重ね合わされて、所望のフルカラートナー像を形成できるように構成されている。さらに、この第四の像担持体90(Y,M,K)に担持される第四のトナー像のトナー帯電極性は、第二の像担持体40に担持される第二のトナー像のトナー帯電極性と同一である一方で、複数の第一の像担持体12に担持される第一のトナー像のトナー帯電極性とは異なるように構成されている。なお、図示はしないが、図5に示されるように第三の像担持体80を複数の第一の像担持体12から独立させてもよい。その際には、第三の像担持体80に担持される第三のトナー像のトナー帯電極性は、第一の像担持体12に担持されるトナー像のトナー帯電極性と同一であるので、第四の像担持体90に担持されるトナー像のトナー帯電極性とは異なる。
【0055】
この図6に示されるように構成すれば、これまで記述してきた実施形態とは相違して、両面フルカラー画像を形成する場合にも対応が可能であり、その際にも、記録媒体の第一面の画像を形成するための第一の像担持体12及び第三の像担持体80にそれぞれ担持されるトナー像のトナー帯電極性と、第二面の画像を形成するための第二の像担持体40と第四の像担持体90とにそれぞれ担持されるトナー像のトナー帯電極性が異なるように構成されているので、先に記述したようにトナー飛散の問題が発生せず、また、定着工程は1回しか実施されないので、記録媒体カールや紙粉による搬送ジャムの問題が発生しないため好適である。なお、この図6に示される実施形態では、一方の面にはグラフィックなどのフルカラー画像を形成し、他方の面には文字情報のみというような形態で両面画像を形成する際には、例えば、第四の像担持体90及び第二の中間転写体98を動作させないことで対応が可能である。
【0056】
次いで、さらなる別の実施形態が図7に示される。図7に示される実施形態では、定着装置50で両面画像定着工程が完了した記録媒体を反転させるための反転搬送路500がさらに設けられている実施形態の一例を示したものである。
【0057】
この図7に示される実施形態では、先に記述した様々な実施形態で両面画像を静電転写された記録媒体が、定着装置50で定着ローラ対51を用いた定着工程を実施された後に、記録媒体を反転させて排出させるためのものであり、図示した例では、記録媒体を反転搬送路500に導入させなければ、第一面が下を向き第二面が上を向いた状態で画像形成装置機外に排出される一方で、反転搬送路500に導入させると、第一面が上を向き第二面が下を向いた状態で画像形成装置機外に排出される。なお、この反転搬送路500を用いた記録媒体の反転は、当業者には従来からよく知られているものである。
【0058】
この図7は、反転搬送路500の一例を図示したものであるが、この図示した例において、通常の排出方向から反転搬送路500への切換えは、定着装置50よりも記録媒体搬送方向で見て下流側に配設された切替爪501で行われ、当該切替爪501は、図示しないソレノイドなどの駆動源からの駆動力を受けて、記録媒体の搬送方向を通常の排出方向側又は反転搬送路500の側に切り替えることができるように変位可能に構成されている。ここで、図7に示されている切替爪501の状態においては、切替爪501は、記録媒体を反転搬送路500側に案内するように位置しており、図中矢印で示したように、記録媒体は、反転搬送路500側に導入され、当該反転搬送路500に配置された適宜な反転搬送ローラ対に挟持されながら、これらの反転搬送ローラ対の回転駆動力を受けて、さらに反転搬送路500内に進入させられる。次いで、図示しないセンサーなどを用いることで、例えば、記録媒体の後端が定着装置50における定着ローラ対51を抜け出たことを検知すると、反転搬送路500内へ記録媒体を搬送していた反転搬送ローラ対の駆動が停止されるとともに、これら反転搬送ローラ対が逆方向に回転し、反転搬送路500に進入していた記録媒体を当該反転搬送路500から排出させる。反転搬送路500を出てきた記録媒体は、再度切替爪501やガイド板などに案内されて排出ローラ対36まで搬送され、当該排出ローラ対36を介して、画像形成装置機外に排出される。
【0059】
このように反転搬送路500を通過した記録媒体は、その表裏を逆転されて機外に排出されるが、このように記録媒体を反転させれば、例えば、第二の像担持体40だけで単色の画像を片面に形成した場合に、画像が形成されている記録媒体の第二面を下側にして機外に排出させることで、ページ順をそろえることが可能となる。
【0060】
最後に、これまで、様々な本願発明の実施形態について説明してきたが、第一の中間転写体である中間転写ベルト8及び/又は第二の中間転写体である第二の中間転写ベルト98は、近年要求される高画質化への対応のために、あるいは、表面粗さの大きい紙種であってもボソツキなどの画像品質低下を効果的に防止するために、弾性を有する弾性中間転写ベルトとして構成されるのが好適である。この弾性中間転写ベルトとしては、基層上にウレタンゴムやシリコンゴムなどから構成される導電性弾性層を形成し、その表面層を保護層としてのフッ素樹脂などで覆うようにして構成されるのが一般的に知られている。なお、導電性弾性層の基材としては、シリコンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン-プロピレン-ジエン-メチレン(EPDM)、ウレタンゴムなどが用いられ、導電性保護層の材料としては、摩擦抵抗の低減、電気特性環境に対する安定性、表面粗さ低減による残留トナークリーニング性の向上といった目的を達成できるものであれば特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)などのフッ素樹脂系ポリマーを、アルコール可溶性ナイロン系、シリコーン樹脂系、シランカプラー、ウレタン樹脂系のエマルションや有機溶剤に溶解・分散した塗料を使用することができる。これら保護層は、ディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコートなどの方法で塗布することにより設けることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、所謂1パス形式で両面画像形成を実施する電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ、複写機あるいはこれらの少なくとも2つの機能を有する複合機などの画像形成装置に対して、好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
7 第一の露光装置
8 第一の中間転写体
9 第一の一次転写ローラ
11 第一の現像装置
12 第一の像担持体
18 第一の転写手段
50 定着装置
51 定着ローラ対
40 第二の像担持体
41 第二の現像装置
42 第二の転写手段
80 第三の像担持体
90 第四の像担持体
98 第二の中間転写体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2005−242169号公報
【特許文献2】特開2006−3679号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第一の像担持体で形成された第一のトナー像が一次転写される第一の中間転写体であって、当該第一のトナー像を担持するための中間転写体と、
単色の第二のトナー像を担持するための第二の像担持体と、
前記第一の中間転写体と対向する第一の転写手段であって、前記第一のトナー像を記録媒体の第一の面に静電転写するための第一の転写手段と、
前記第二の像担持体と対向する第二の転写手段であって、前記第二のトナー像を、前記第一のトナー像が静電転写される第一の面とは逆の記録媒体の第二の面に静電転写するための第二の転写手段と、を備えて成り、
前記中間転写体に担持された第一のトナー像が、前記中間転写体と前記第一の転写手段との間に転写バイアスを印加することによって、前記記録媒体の第一の面に静電転写され、
前記第二のトナー像が、前記中間転写体の記録媒体搬送方向上流側又は下流側で、前記第二の像担持体と前記第二の転写手段との間に転写バイアスが印加されることによって、前記記録媒体の第二の面に直接静電転写され、
前記第一の面と前記第二の面にトナー像を担持した記録媒体が定着工程に送られて、両面画像定着が一度に実施される画像形成装置であって、
前記中間転写体上に担持される第一のトナー像のトナー帯電極性と、前記第二のトナー像のトナー帯電極性とが異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数の第一の像担持体の帯電極性と前記第二の像担持体の帯電極性とが同一であり、
前記第一の像担持体は、当該第一の像担持体の帯電極性と同極性の電荷を有するトナーを用いて現像される反転現像方式か又は前記帯電極性と逆極性の電荷を有するトナーを用いて現像される正規現像方式で現像され、
前記第二の像担持体は、前記第一の像担持体が現像される前記反転現像方式又は前記正規現像方式とは逆の現像方式で現像されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第一の像担持体上に形成される第一のトナー像が、前記反転現像方式によって現像され、前記第二の像担持体上に形成される第二のトナー像が、前記正規現像方式により現像されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
少なくとも2つの搬送転写ベルト用ローラにかけまわされる無端状の搬送転写ベルトが前記記録媒体の搬送経路に沿って設けられ、
前記少なくとも2つの搬送転写ベルト用ローラは、前記中間転写体又は前記第二の像担持体の、記録媒体の搬送方向で見て下流側に配置される一方と対向する搬送転写ベルト用転写ローラであって、前記第一の転写手段又は前記第二の転写手段の代わりに設けられる搬送転写ベルト用転写ローラと、前記搬送転写ベルト用転写ローラよりも前記記録媒体搬送経路で見て上流側に配置され、電気的にフロート状態にされる搬送転写ベルト用フロートローラとを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第一の中間転写体を、前記第一の転写手段又は前記搬送転写ベルト用転写ローラから離間させるための離間手段を備え、前記第二の像担持体上に形成された第二のトナー像だけで画像形成を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記離間手段により、前記中間転写体が前記第一の転写手段又は前記搬送転写ベルト用転写ローラから離間させられた後に、前記中間転写体の内側で、前記中間転写体がかけまわされている支持ローラの少なくとも一つが変位して、前記中間転写体のベルト張力が維持されるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記離間手段により、前記中間転写体が前記第一の転写手段又は前記搬送転写ベルト用転写ローラから離間させられた後で、当該第一の転写手段又は搬送転写ベルト用転写ローラに当接するように変位するガイドローラであって、記録媒体の搬送をガイドするガイドローラが設けられていることを特徴とする請求項5又は6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記複数の第一の像担持体の一つが、単色のトナー像を担持する第三の像担持体として、前記複数の第一の像担持体及び前記中間転写体とは別個に且つ前記中間転写体が記録媒体の第一の面に静電転写を行う第一の面側に設けられ、
前記中間転写体が、前記第三の像担持体よりも記録媒体搬送方向下流側に配置され、
前記複数の第一の像担持体に担持される第一のトナー像の帯電極性及び前記第三の像担持体に担持される第三のトナー像のトナー帯電極性と、前記第二の像担持体に担持される第二のトナー像のトナー帯電極性とが異なるように構成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記単色のトナー像を担持する第二の像担持体が設けられる、記録媒体の第二の面側に、さらに、複数の第四の像担持体で形成される第四のトナー像を担持する第二の中間転写体が設けられ、
前記複数の第一の像担持体に担持される第一のトナー像のトナー帯電極性及び前記第三の像担持体に担持される第三のトナー像のトナー帯電極性と、前記第二の像担持体に担持される第二のトナー像のトナー帯電極性及び前記第四の像担持体に担持される第四のトナー像のトナー帯電極性とが異なるように構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第二のトナー像及び/又は第三のトナー像が黒色トナーであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第一の中間転写体及び/又は前記第二の中間転写体が少なくとも2つのローラに張架された中間転写ベルトであり、当該中間転写ベルトが弾性を有する弾性中間転写ベルトであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第二の像担持体及び/又は第三の像担持体に担持されたトナーのうち、記録媒体に転写されずに当該第二の像担持体及び/又は第三の像担持体上に残ったトナーを回収して、再度第二の像担持体及び/又は第三の像担持体での現像に再利用することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
定着工程で両面の画像を定着させられた記録媒体を反転させるための反転搬送路がさらに設けられていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−180343(P2011−180343A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44047(P2010−44047)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】