説明

画像形成装置

【課題】 現像ACクロック信号をパラレル/シリアル変換する際に、現像ACクロック信号のデューティ比に経時変動(ジッタ)が発生することを防止し、画像濃度ムラの発生を防止する。
【解決手段】 現像ACクロック生成回路202により生成された現像ACクロック信号を含む複数の信号を所定のサンプリング周期でパラレル/シリアル変換するパラレル/シリアル変換回路205と、パラレル/シリアル変換回路205から出力された信号を所定のサンプリング周期でシリアル/パラレル変換するシリアル/パラレル変換回路212から出力された複数の信号のうち現像ACクロック信号に対応する信号に応じた周期及びデューティ比の交流電圧を直流電圧に重畳させて現像器4に印加する現像高圧基板223と、を有し、所定のサンプリング周期の周波数は、現像ACクロック信号の周波数の整数倍である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電圧に交流電圧を重畳させた電圧を現像手段または帯電手段に印加する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、感光ドラム上の静電潜像をトナーにより現像する現像方法として、感光ドラムと現像器の現像スリーブとの間に振動電界を形成することが知られている。振動電界の付勢電界によって感光ドラムの画像部分にトナーが十分付着し、感光ドラムの非画像部分に付着したトナーは振動電界の逆付勢電界によって感光ドラムから引き離される。この振動電界を形成するためには、現像スリーブに直流電圧に交流電圧を重畳させた現像電圧を印加する。感光ドラムの非画像部分にトナーが残留しないようにするために、付勢電界と逆付勢電界の比率を制御することが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
付勢電界と逆付勢電界の比率の制御は、現像スリーブに印加する交流電圧を矩形波とし、この矩形波のハイレベルとローレベルのデューティ比を制御することにより容易に実現できる。具体的には、現像スリーブに印加する交流電圧の周期とデューティ比を表す現像ACクロック信号と、現像スリーブに印加する交流電圧の振幅を表す現像AC振幅制御信号をメイン制御基板が生成する。メイン制御基板は、現像ACクロック信号と現像AC振幅制御信号を現像高圧基板に伝送する。現像高圧基板は、現像ACクロック信号と現像AC振幅制御信号に応じた交流電圧を直流電圧に重畳させた現像電圧を現像スリーブに印加する。
【0004】
ところで、画像形成装置のメイン制御基板は、画像形成装置内のモータやクラッチを動作させるドライバ基板にも信号を伝送している。メイン制御基板とドライバ基板や現像高圧基板との間はそれぞれの信号を伝送する信号線で接続されている。画像形成装置の高精度化、高速化、多機能化に伴って、メイン制御基板からの信号線数が増加する傾向にある。メイン制御基板と各基板は離れて設けられる場合も多いため、メイン制御基板と各基板との間を多数の信号線で接続すると、画像形成装置の小型化を阻害するとともに、画像形成装置の組み立て時の作業性もよくない。
【0005】
そこで、これらの複数の信号をメイン制御基板でパラレル/シリアル変換して各制御基板にシリアル伝送し、各基板は受信したシリアル信号をシリアル/パラレル変換することで、メイン制御基板と各基板の間の信号線数を減らすことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−356076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、一定のデューティ比の現像ACクロック信号をパラレル/シリアル変換を介して伝送すると、パラレル/シリアル変換を行うサンプリング周期との関係で、シリアル/パラレル変換後の現像ACクロック信号のデューティ比に経時変動(ジッタ)が発生してしまう場合がある。現像ACクロック信号のデューティ比の経時変動が現れると、感光ドラムの回転方向に帯状の画像濃度ムラが発生してしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、感光体を帯電させる帯電手段と、前記感光体に画像に応じた露光を行う露光手段と、前記露光手段により露光された前記感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像手段と、交流電圧の周期とデューティ比を表すACクロック信号を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記ACクロック信号を含む複数の信号を所定のサンプリング周期でパラレル/シリアル変換するパラレル/シリアル変換手段と、前記パラレル/シリアル変換手段から出力された信号を前記所定のサンプリング周期でシリアル/パラレル変換するシリアル/パラレル変換手段と、前記シリアル/パラレル変換手段から出力された複数の信号のうち前記ACクロック信号に対応する信号に応じた周期及びデューティ比の交流電圧を直流電圧に重畳させて前記現像手段または前記帯電手段に印加する電圧印加手段と、を有し、前記所定のサンプリング周期の周波数は、前記ACクロック信号の周波数の整数倍であることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、直流電圧に重畳させて現像手段または帯電手段に印加するべき交流電圧の周期とデューティ比を表すACクロック信号をパラレル/シリアル変換する際に、ACクロック信号のデューティ比に経時変動(ジッタ)が発生することを防止でき、画像濃度ムラの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の断面図。
【図2】第1実施形態のメイン制御基板とドライバ基板のブロック構成図。
【図3】現像ACクロック信号を示す図。
【図4】パラレル/シリアル変換回路の入力ポートとシリアル/パラレル変換回路の出力ポートに割り当てられた信号名を示す図。
【図5】パラレル/シリアル変換回路のブロック構成図。
【図6】パラレル/シリアル変換回路に対する入出力信号のタイミングチャート。
【図7】シリアル/パラレル変換回路のブロック構成図。
【図8】シリアル/パラレル変換回路に対する入出力信号のタイミングチャート。
【図9】現像高圧基板の回路構成図。
【図10】パラレル/シリアル変換回路に入力される現像ACクロック信号とシリアル/パラレル変換回路から出力される現像ACクロック信号の関係を示すタイミングチャート。
【図11】第2実施形態のメイン制御基板とドライバ基板のブロック構成図。
【図12】帯電ACクロック信号を示す図。
【図13】帯電高圧基板の回路構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の断面図である。画像形成装置100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナーによりカラー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置100は、各色のトナー像をそれぞれ形成するための画像形成ユニット50Y、50M、50C、50Kを備える。画像形成ユニット50Y〜50Kは、画像信号に基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像をそれぞれ形成する。画像形成ユニット50Y〜50Kはそれぞれ、感光ドラム1Y〜1K(感光体)、帯電ローラ2Y〜2K、レーザ露光部3Y〜3K、現像器4Y〜4K、一次転写ローラ5Y〜5Kを有する。以下の説明では、Y〜Kの添え字を省略する。
【0012】
帯電ローラ2は、感光ドラム1に接触して設けられ、感光ドラム1の回転に従動して回転する。帯電ローラ2には直流電圧(例えば−1000V〜−1500Vの所定の直流電圧)が帯電電圧として印加され、感光ドラム1の表面は帯電ローラ2により所定の電位(マイナス電位)に均一に帯電される。なお、感光ドラム1に対する帯電電圧付与は帯電ローラ以外の帯電部材によって行われてもよい。また、帯電部材と感光ドラム1との間で帯電電圧付与のための放電が行われるのであれば、帯電部材と感光ドラム1とを微小な間隙(例えば10μm程度)を空けて配置してもよい。
【0013】
レーザ露光部3は、画像信号に基づいてレーザ光を変調する。レーザ露光部3により変調されたレーザ光は、主走査方向に偏向され、回転する感光ドラム1上(感光体上)に照射される。このように、画像に応じた露光が行われることにより、感光ドラム1上には静電潜像が形成される。
【0014】
現像器4は、回転する現像スリーブ4aによりトナーを感光ドラム1に供給する。現像スリーブ4aには、−150V〜−700Vの所定の直流電圧に、1000V〜2000Vの所定の交流電圧が重畳された電圧が現像電圧として印加される。これにより、マイナス電位に帯電されたトナーが感光ドラム1に供給され、感光ドラム1上に形成された静電潜像がトナーにより現像される。
【0015】
一次転写ローラ5は、中間転写ベルト6の移動に従動して回転する。一次転写ローラ5には、トナーの電位と逆電位(プラス電位)の直流電圧が一次転写電圧として印加される。これにより、感光ドラム1上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト6に転写される。
【0016】
画像形成ユニット50Y〜50Kによりそれぞれ形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト6上に重ねて転写(一次転写)される。これにより、中間転写ベルト6上には、フルカラーのトナー像が形成されて担持される。中間転写ベルト6に担持されたトナー像は、+500V〜+7000Vの所定の直流電圧が印加されている二次転写ローラ8により、給紙カセット10から給紙され、二次転写ローラ8と中間転写ベルト6との間に搬送された用紙P上に転写(二次転写)される。
【0017】
トナー像が転写された用紙Pは、定着器11に送られる。定着器11は、用紙P上を加熱及び加圧し、トナー像を用紙P上に定着させる。トナー像が定着された用紙Pは、搬送パス12および排紙ローラ13を経て、排紙トレイ14上に排紙される。
【0018】
図2は、画像形成装置100のメイン制御基板201と画像形成ユニット1のドライバ基板211のブロック構成図である。ドライバ基板211は画像形成ユニット50Y〜50Kのそれぞれに設けられているが、説明の簡略化のため、図2では1つのドライバ基板のみを示す。ドライバ基板211は、画像形成ユニット1の現像スリーブ4aに交流電圧を印加する現像高圧基板223と接続されている。また、ドライバ基板211は、クラッチ221を駆動するクラッチ駆動回路213、及び、ステッピングモータ222を駆動するステッピングモータ駆動回路214を有する。ステッピングモータ222は、画像形成ユニット50Y〜50K内のそれぞれの現像スリーブ4aを回転駆動する。クラッチ221は、ステッピングモータ222とスリーブ4aとの間の駆動力伝達系を接離する。
【0019】
メイン制御基板201は、CPU206a、ROM206b、RAM206c、専用IC(以下ASIC)208を有する。CPU206aは、ROM206bに格納されているプログラムに従い、RAM206cを作業領域として用いながら画像形成装置100の制御を行う。CPU206a、ROM206b、RAM206c、ASIC208はバスで接続されている。メイン制御基板201は、現像器4に現像電圧印加を行う現像高圧基板223を制御する信号を出力する。現像高圧基板223を制御する信号は、現像DCオン信号、現像DC電圧制御信号、現像ACオン信号、現像AC振幅制御信号、現像ACクロック信号を含み、ドライバ基板211を介して現像高圧基板223に供給される。
【0020】
メインクロック発振回路207は、12MHzのメインクロック信号(基準クロック信号ともいう)を生成し、メインクロック信号をCPU206a及びASIC208に供給する。ASIC208は、現像ACクロック生成回路202、出力ポートレジスタ203、モータクロック生成回路204、パラレル/シリアル変換回路205、D/A変換回路209を有する。現像ACクロック生成回路202、モータクロック生成回路204、パラレル/シリアル変換回路205、D/A変換回路209はメインクロック信号に同期して動作する。また、ASIC208に含まれるこれらの回路は、CPU206aがそれぞれの動作を設定するためのレジスタを有する。
【0021】
現像ACクロック生成回路202は、CPU206aにより設定された現像器4に印加する交流電圧の周波数及びデューティ比に応じて、メインクロック発振回路207が出力するメインクロック信号を分周して、現像ACクロック信号を生成する。現像ACクロック信号は、図3に示すような矩形波のクロック信号であり、本実施形態では、周波数は3kHz、デューティ比はハイレベル幅を67%、ローレベル幅を33%としている。D/A変換回路209は、CPU206aにより設定された現像DC電圧制御信号及び現像AC振幅制御信号をデジタル信号からアナログ信号に変換して、ドライバ基板211を経由して現像高圧基板223に入力する。
【0022】
出力ポートレジスタ203は、CPU206aの設定に従って各種出力ポートの制御を行う。出力ポートレジスタ203は、現像DCオン信号、現像ACオン信号、クラッチオン信号、モータ電流設定信号(モータ電流設定1信号、モータ電流設定0信号)を出力する。現像DCオン信号及び現像ACオン信号は、現像AC電圧および現像DC電圧の出力のオンを指示する。クラッチオン信号は、クラッチ221のオンを指示する。モータ電流設定1信号及びモータ電流設定0信号は、ステッピングモータ222の駆動電流を設定する。モータクロック生成回路204は、メインクロック発振回路207が出力するメインクロック信号を分周して、ステッピングモータ222を駆動するクロック信号を生成する。ステッピングモータ222は、駆動電流とクロック信号に応じた速度で回転する。
【0023】
パラレル/シリアル変換回路205は、現像ACクロック生成回路202、出力ポートレジスタ203、モータクロック生成回路204からパラレルに入力された信号をシリアルにパラレル/シリアル変換して、ドライバ基板211のシリアル/パラレル変換回路212に転送する。パラレル/シリアル変換回路205は、所定の周期でパラレル信号のサンプリングを行ってシリアル信号に変換する。シリアル/パラレル変換回路212は、パラレル/シリアル変換回路205から転送されたシリアル信号をパラレル信号に変換する。このように、メイン制御基板201で複数の信号をパラレル/シリアル変換してドライバ基板211にシリアルで伝送することにより、メイン制御基板201とドライバ基板211の間の信号線の本数を減らすことができる。これにより、画像形成装置の小型化に寄与するとともに、画像形成装置の組み立て時の作業性を向上させることができる。メイン制御基板201とドライバ基板211及び現像高圧基板223とが離れて設けられる画像形成装置には特に効果的である。パラレル/シリアル変換回路205は、現像ACクロック信号の周波数の整数倍の周波数でパラレル信号のサンプリングを行ってシリアル信号に変換する。本実施形態では、現像ACクロック信号の周波数3kHzの20倍の60kHzでサンプリングを行う。
【0024】
パラレル/シリアル変換回路205は、メインクロック発振回路207から入力されるメインクロック信号に同期してパラレル/シリアル変換を行う。パラレル/シリアル変換回路205は、サンプリング信号XLOAD、転送クロックSCLK、データSDATAをシリアル/パラレル変換回路212に送信する。サンプリング信号XLOADは、パラレル変換/シリアル変換及びシリアル/パラレル変換のタイミングを決める信号である。転送クロックSCLKは、パラレル/シリアル変換後のシリアル信号をシリアル/パラレル変換回路212に転送する際の同期をとる信号である。シリアル/パラレル変換回路212は、サンプリングサンプリング信号XLOAD、転送クロック信号SCK、データSDATAを受信し、シリアル信号であるデータSDATAを転送クロック信号SCKに同期してパラレル信号に変換する。
【0025】
図4は、パラレル/シリアル変換回路205の入力ポートとシリアル/パラレル変換回路212の出力ポートに割り当てられた信号名を示す図である。パラレル/シリアル変換回路205の入力ポートPi7〜1にはそれぞれ、クラッチオン信号、モータ電流設定1信号、モータ電流設定0信号、モータクロック信号、現像DCオン信号、現像ACオン信号、現像ACクロック信号が割り当てられ、これらの信号が入力されるよう接続されている。シリアル/パラレル変換回路212の出力ポートPo7〜1にはそれぞれ、クラッチオン信号、モータ電流設定1信号、モータ電流設定0信号、モータクロック信号、現像DCオン信号、現像ACオン信号、現像ACクロック信号が割り当てられ、これらの信号が各回路に出力されるよう接続されている。
【0026】
クラッチ駆動回路213は、出力ポートPo7から入力されたクラッチオン信号に応じてクラッチ221をオンする。ステッピングモータ駆動回路214は、出力ポートPo6及びPo5から入力されたモータ電流設定1信号及びモータ電流設定0信号に応じた駆動電流をステッピングモータ222に供給する。また、ステッピングモータ駆動回路214は、出力ポートPo4から入力されたクロック信号をステッピングモータ222に供給する。現像高圧基板223は、出力ポートPo3から入力された現像DCオン信号に応じた期間中、D/A変換回路209から入力された現像DC電圧制御信号により示される値の直流電圧を現像器4に供給する。また、現像高圧基板223は、出力ポートPo2から入力された現像ACオン信号に応じた期間中、D/A変換回路209から入力された現像AC振幅制御信号に示される振幅の交流電圧を現像器4に供給する。現像高圧基板223は、現像DCオン信号及び現像ACオン信号がオンを示すとき、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を現像器4に供給する。現像高圧基板223は、出力ポートPo1から入力された現像ACクロック信号により示される周期及びデューティ比の矩形波の交流電圧を現像器4に供給する。
【0027】
図5は、パラレル/シリアル変換回路205のブロック構成図である。図6は、パラレル/シリアル変換回路205に対する入出力信号のタイミングチャートである。パラレル/シリアル変換回路205は、ラッチ回路2051、シフトレジスタ回路2052、制御回路2053、タイミング信号生成回路2054を有する。タイミング信号生成回路2054は、メインクロック信号を10分周した1.2MHzのSCK信号と、パラレル/シリアル変換及びシリアル/パラレル変換のタイミングを決めるサンプリング信号XLOADを生成する。図6に示すように、XLOAD信号の立下りがパラレル/シリアル変換のサンプリングタイミングを示す。タイミング信号生成回路2054は、XLOAD信号を60kHzの周期で出力する。パラレル信号Pi7〜0はラッチ回路2051に入力されている。制御回路2053は、XLOAD信号の立下りに応じてラッチ回路2051に対してラッチ信号を出す。ラッチ回路2051は、ラッチ信号に応じて入力信号Pi7〜0をラッチ(保持)し、ラッチした入力信号Pi7〜0をシフトレジスタ回路2052に出力する。制御回路2053は、XLOAD信号がローレベルの期間中、SCK信号の立下りに応じてシフトレジスタ回路2052にシフト信号を出力する。シフトレジスタ回路2052は、入力信号Pi7〜0をシフト信号に応じて順次Pi7、Pi6、・・・、Pi0と切り替えてSDATAに出力する。これにより、転送クロック信号SCKに同期して複数の信号Pi7〜0がシリアル/パラレル変換回路212に順次送信される。パラレル/シリアル変換回路205の動作は、サンプリング信号XLOADの立下りに応じたタイミングで複数の信号のラッチを行っているが、サンプリング信号XLOADの立上りに応じるようにしてもよい。
【0028】
図7は、シリアル/パラレル変換回路212のブロック構成図である。図8は、シリアル/パラレル変換回路212に対する入出力信号のタイミングチャートである。シリアル/パラレル変換回路212は、シフトレジスタ回路2121、ラッチ回路2122、制御回路2123を有する。制御回路2123は、XLOAD信号がローレベルの期間中、SCK信号の立ち上がり毎にシフトレジスタ回路2121にシフト信号を出力する。シフトレジスタ回路2121は、SDATAから順次入力される信号Pi7、Pi6、・・・、Pi0を、シフト信号に応じて信号Po7、Po6、・・・、Po0として取り込む。これにより、転送クロック信号SCKに同期して複数の信号Pi7〜0がパラレル/シリアル変換回路205から順次受信される。XLOAD信号は、信号Po7〜0の全てがシフトレジスタ回路2121に取り込まれたタイミングでハイレベルになるよう制御される。制御回路2123は、XLOAD信号の立上りに応じてラッチ信号をラッチ回路2122に出力する。ラッチ回路2122は、ラッチ信号に応じてシフトレジスタ回路2121に保持されている信号Po7〜0をラッチする。ラッチ回路2122がラッチした信号がシリアル/パラレル変換回路212の出力ポートPo7〜0の出力となる。シリアル/パラレル変換回路212の動作は、サンプリング信号XLOADの立上りに応じたタイミングで複数の信号のラッチを行っているが、サンプリング信号XLOADの立下りに応じるようにしてもよい。この場合、パラレル/シリアル変換回路205の動作は、サンプリング信号XLOADの立上りに応じるようにする。
【0029】
図9は、現像高圧基板223の回路構成図である。現像AC振幅制御信号及び現像DC電圧制御信号は、メイン制御基板201上のD/A変換回路209で生成され、現像高圧基板223に入力される。現像ACオン信号及び現像DCオン信号は、出力ポートレジスタ203で生成され、パラレル/シリアル変換回路205及びシリアル/パラレル変換回路212を介して現像高圧基板223に入力される。現像ACクロック信号は、現像ACクロック生成回路202で生成され、パラレル/シリアル変換回路205とシリアル/パラレル変換回路212を介して現像高圧基板223に入力される。現像高圧基板223は、現像DC高圧回路231と現像AC高圧回路232を有する。現像DC高圧回路には、その出力をオンする現像DCオン信号と、出力電圧を設定する現像DC電圧制御信号が入力される。現像AC高圧回路232は、現像AC振幅制御回路234及び現像ACゲート駆動回路233を有する。現像AC振幅制御回路234は、現像AC振幅制御信号に応じた印加電圧を、現像ACトランス235の一次側を駆動するブリッジ回路236に印加することにより、現像AC高圧の振幅を制御する。現像ACゲート駆動回路233には現像ACオン信号と現像ACクロック信号が入力される。現像ACゲート駆動回路233は、現像ACオン信号がハイレベルであって、現像ACクロック信号がハイレベルの時に、ゲート1信号をオン、ゲート2信号をオフし、現像ACオン信号がハイレベルであって、現像ACクロック信号がローレベルの時にゲート1信号をオフ、ゲート2信号をオンする。現像ACゲート駆動回路233は、現像ACオン信号がローレベルの間はゲート1信号とゲート2信号の両方をオフする。
【0030】
図10は、パラレル/シリアル変換回路205に入力される現像ACクロック信号Pi1とシリアル/パラレル変換回路212から出力される現像ACクロック信号Po1の関係を示すタイミングチャートである。パラレル/シリアル変換回路205は、現像ACクロック信号Pi1が含まれるパラレル信号Pi7〜0を、予め決められた周波数のシリアル変換タイミングでシリアル信号に変換する。ここで、シリアル変換タイミングの周波数は現像ACクロック信号の周波数の整数倍とする。本実施形態では、パラレル/シリアル変換回路205のサンプリング周期を、現像ACクロック信号の周波数3kHzの20倍である60kHzとする。シリアル変換タイミングの周波数を現像ACクロック信号の周波数の整数倍にする理由を図10を用いて説明する。
【0031】
図10(a)は、シリアル変換タイミングの周波数を現像ACクロック信号の周波数の整数倍としない場合の不具合例を説明するタイミングチャートである。図10(a)は、現像ACクロック信号が3kHz、シリアル変換タイミングの周波数が50kHzの場合のタイミングチャートである。前述したように、パラレル/シリアル変換回路205は、サンプリング信号XLOADの立下りに応じてパラレル信号のサンプリングを行い、シリアル/パラレル変換回路212は、サンプリング信号XLOADの立上りに応じてパラレル信号を出力する。図10(a)のシリアル変換タイミングは、サンプリング信号XLOADの立下りに対応する。図10(a)に示されるように、現像ACクロック信号Pi1はシリアル変換タイミングに同期していないが、シリアル変換を経た現像ACクロック信号Po1はシリアル変換タイミングに同期している。これによって、現像ACクロック信号のデューティ比がハイレベル67%、ローレベル33%からハイレベル64%、ローレベル36%に若干変化してしまうが、画像形成ユニット1において帯電電位と現像電位のコントラストを制御すればよいので問題ない。図10(a)の場合における問題は、現像ACクロック信号Po1のデューティ比が経時変動し、現像器4における現像濃度が変動してしまうことである。図10(a)の現像ACクロック信号Po1のデューティ比の大半はハイレベル64%、ローレベル36%であるが、ときどきデューティ比がハイレベル68%、ローレベル32%となるジッタが周期的に現れてしまう。このジッタの周期が視認可能な周期の場合、感光ドラム1の回転方向に周期的な帯状の画像濃度ムラ(バンディング)が発生し、画質が低下する。例えば、画像形成ユニット1のプロセススピードが400mm/sの場合、ジッタの周波数が400Hzなら1mmピッチ、ジッタの周波数が1kHzなら0.4mmピッチの画像濃度ムラが発生してしまう。
【0032】
このような画像濃度ムラの原因となるジッタを防止するため、本実施形態では、パラレル/シリアル変換回路205のシリアル変換タイミングの周波数を現像ACクロック信号の周波数の整数倍とする。図10(b)は、シリアル変換タイミングの周波数を現像ACクロック信号の周波数の整数倍とした場合の好適例を説明するタイミングチャートである。図10(b)は、現像ACクロック信号が3kHz、シリアル変換タイミングの周波数が60kHzの場合のタイミングチャートである。図10(b)に示されるように、現像ACクロック信号Pi1はシリアル変換タイミングに同期していないが、シリアル変換を経た現像ACクロック信号Po1はシリアル変換タイミングに同期している。これによって、現像ACクロック信号のデューティ比がハイレベル67%、ローレベル33%からハイレベル70%、ローレベル30%に若干変化してしまうが、画像形成ユニット1において帯電電位と現像電位のコントラストが制御されるので問題ない。ここで、図10(a)の不具合例と異なるのは、シリアル変換タイミングの周波数を現像ACクロック信号の周波数の整数倍としているので、現像ACクロック信号Po1のデューティ比の経時変動が全くないことである。従って、上述したようなパラレル/シリアル変換回路205でのパラレル/シリアル変換に起因するジッタが現像ACクロック信号に対応する信号に発生せず、これによる画像濃度ムラの発生を防止できる。よって、画像品質を維持しながら、シリアル通信により信号線の本数を減らすことができ、コストとスペースの削減ができる。
【0033】
なお、上述の効果を確実に得るためには、本実施形態のように現像ACクロック信号を生成する回路とパラレル/シリアル変換する回路を同じ基準クロックで動作させることが望ましい。また、本実施形態では、現像ACクロック生成回路202、出力ポートレジスタ203、モータクロック生成回路204、パラレル/シリアル変換回路205がASICに含まれる回路として説明したが、それぞれを個別のIC等で構成してもよい。
【0034】
上述した第1実施形態では、現像器4に交流電圧を印加する構成について説明したが、第2実施形態として、帯電ローラ2に交流電圧を印加する構成に本発明を適用してもよい。第2実施形態においては、帯電高圧として直流電圧(例えば−300V〜−900Vの所定の直流電圧)に、正弦波の交流電圧(1300V〜2000Vの所定の交流電圧)が重畳された電圧が帯電電圧として帯電ローラ2に印加される。AC帯電以外の画像形成装置の構成は、第1実施形態において説明したとおりである。
【0035】
図11は、画像形成装置100のメイン制御基板201と画像形成ユニット1のドライバ基板211のブロック構成図である。図2との相違点は、メイン制御基板201上のASIC308が帯電ACクロック生成回路302を有する点、ドライバ基板211に帯電高圧基板323が接続されている点である。また、第1実施形態の現像関係の信号が、第2実施形態では帯電関係の信号に置き換わった点が相違する。帯電ACクロック生成回路302が生成する帯電ACクロック信号は、図12に示すような矩形波のクロック信号であり、周波数は1.5kHz、デューティ比はハイレベル幅50%、ローレベル幅50%である。
【0036】
図13は、帯電高圧基板323の回路構成図である。帯電AC振幅制御信号及び帯電DC電圧制御信号は、メイン制御基板201上に配置されたD/A変換回路206で生成され、帯電高圧基板323に入力される。帯電ACオン信号及び帯電DCオン信号は、出力ポートレジスタ303で生成され、パラレル/シリアル変換回路205及びシリアル/パラレル変換回路212を介して帯電高圧基板に入力される。帯電ACクロック信号は、帯電ACクロック生成回路302で生成され、パラレル/シリアル変換回路205とシリアル/パラレル回路212を介して帯電高圧基板323に入力される。帯電高圧基板323は、帯電DC高圧回路331と帯電AC高圧回路332を有する。帯電DC高圧回路には、その出力をオンする帯電DCオン信号と、出力電圧を設定する帯電DC電圧制御信号が入力される。帯電AC高圧回路332は、帯電AC振幅制御回路334、ローパスフィルタ337、アンプ回路336を有する。帯電AC振幅制御回路334は、帯電ACオン信号がオンの期間中、帯電AC振幅制御信号に応じた電圧をFETのソースに入力する。帯電ACクロック信号はFETのゲートに入力される。これにより、帯電AC振幅制御回路334とFETの接点には帯電ACの周波数の矩形波が発生し、この矩形波はローパスフィルタ337を介して正弦波に変換される。ローパスフィルタ337の出力はアンプ回路336で電流増幅され、帯電ACトランス335を介して帯電ローラ2に供給される。
【0037】
本実施形態では、パラレル/シリアル変換回路205のシリアル変換タイミングの周波数を帯電ACクロック信号の周波数の整数倍とする。本実施形態では、帯電ACクロック信号が1.5kHz、シリアル変換タイミングの周波数が60kHzである。従って、第1実施形態と同様に、パラレル/シリアル変換回路205でのパラレル/シリアル変換に起因するジッタが帯電ACクロック信号に対応する信号に発生せず、これによる画像濃度ムラの発生を防止できる。
【符号の説明】
【0038】
202 現像ACクロック生成回路
205 パラレル/シリアル変換回路
212 シリアル/パラレル変換回路
223 現像高圧基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体を帯電させる帯電手段と、
前記感光体に画像に応じた露光を行う露光手段と、
前記露光手段により露光された前記感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像手段と、
交流電圧の周期とデューティ比を表すACクロック信号を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記ACクロック信号を含む複数の信号を所定のサンプリング周期でパラレル/シリアル変換するパラレル/シリアル変換手段と、
前記パラレル/シリアル変換手段から出力された信号を前記所定のサンプリング周期でシリアル/パラレル変換するシリアル/パラレル変換手段と、
前記シリアル/パラレル変換手段から出力された複数の信号のうち前記ACクロック信号に対応する信号に応じた周期及びデューティ比の交流電圧を直流電圧に重畳させて前記現像手段または前記帯電手段に印加する電圧印加手段と、
を有し、
前記所定のサンプリング周期の周波数は、前記ACクロック信号の周波数の整数倍であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
基準クロック信号を発生し、前記基準クロック信号を前記生成手段及び前記パラレル/シリアル変換手段に供給する発振手段を有し、
前記生成手段及び前記パラレル/シリアル変換手段は、前記発振手段が発生する前記基準クロック信号に同期して動作することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記パラレル/シリアル変換手段は、前記電圧印加手段に入力すべきACオン信号と前記ACクロック信号を含む複数の信号をパラレル/シリアル変換し、
前記シリアル/パラレル変換手段は、前記パラレル/シリアル変換手段から出力された信号をシリアル/パラレル変換して、前記ACオン信号に対応する信号を前記電圧印加手段に供給し、
前記電圧印加手段は、前記ACオン信号に対応する信号に応じた期間中、交流電圧を前記現像手段または前記帯電手段に印加することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
ステッピングモータを駆動するモータ駆動手段を有し、
前記パラレル/シリアル変換手段は、前記モータ駆動手段に入力すべきモータ電流設定信号またはモータクロック信号と前記ACクロック信号を含む複数の信号をパラレル/シリアル変換し、
前記シリアル/パラレル変換手段は、前記パラレル/シリアル変換手段から出力された信号をシリアル/パラレル変換して、前記モータ電流設定信号または前記モータクロック信号に対応する信号を前記モータ駆動手段に供給し、
前記モータ駆動手段は、前記モータ電流設定信号または前記モータクロック信号に対応する信号に応じた電流またはクロックを前記ステッピングモータに供給することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
クラッチを駆動するクラッチ駆動手段を有し、
前記パラレル/シリアル変換手段は、前記クラッチ駆動手段に入力すべきクラッチオン信号と前記ACクロック信号を含む複数の信号をパラレル/シリアル変換し、
前記シリアル/パラレル変換手段は、前記パラレル/シリアル変換手段から出力された信号をシリアル/パラレル変換して、前記クラッチオン信号に対応する信号を前記クラッチ駆動手段に供給し、
前記クラッチ駆動手段は、前記クラッチオン信号に対応する信号に応じて前記クラッチをオンすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記パラレル/シリアル変換手段は、パラレル/シリアル変換のサンプリングタイミングを決めるサンプリング信号、及び、パラレル/シリアル変換した信号を前記シリアル/パラレル変換手段へ転送する際の同期をとる転送クロック信号を生成し、前記サンプリング信号の立下りまたは立上りに応じたタイミングで前記複数の信号をラッチし、前記転送クロック信号に同期して前記複数の信号を前記シリアル/パラレル変換手段に順次送信することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記パラレル/シリアル変換手段は、前記サンプリング信号、前記転送クロック、及び前記複数の信号を異なる信号線を介して前記シリアル/パラレル変換手段へ転送し、
前記シリアル/パラレル変換手段は、前記転送クロックに同期して前記複数の信号を順次受信し、前記サンプリング信号の立上りまたは立下りに応じたタイミングで前記複数の信号をラッチすることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−186231(P2011−186231A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52021(P2010−52021)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】