説明

画像形成装置

【課題】単独で設置されている場合でも、入力操作部に故障を生じた際に、画像形成処理に関する入力操作を受け付けることができるようにする。
【解決手段】制御部5のROM52内に、入力操作部6におけるユーザの入力操作と画像形成処理に関する第1の情報との関係、センサ81〜84の検出結果と画像形成処理に関する第1の情報との関係、及びセンサ81〜84の検出結果と画像形成処理に関する第2の情報との関係を記憶したメモリエリア521〜523を設けた。制御部5のCPU51は、タッチパネル62が故障していない時にメモリエリア521及び523の記憶内容に基づいて画像形成処理を実行し、タッチパネル62が故障している時にメモリエリア522及び523の記憶内容に基づいて画像形成処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成処理に関する情報の入力操作を受け付ける入力操作部に故障を生じた場合に、他の用途のために装置に既設されているセンサを用いて画像形成処理に関する情報の入力操作を受け付けるようにした画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、画像形成処理の開始が指示された際に、モードの選択内容や画像形成条件の設定内容に基づいて画像形成処理を実行する。モードの選択内容とは、例えば、フルカラー画像を形成するカラー画像形成モード又はモノクロ画像を形成するモノクロ画像形成モードの何れかの選択である。画像形成条件の設定内容とは、例えば、原稿サイズ、用紙サイズ、画像濃度、画像形成倍率及び画像形成部数等のそれぞれについての設定である。
【0003】
このため、画像形成装置には、画像形成処理の開始の指示、並びにモードの選択内容及び画像形成条件の設定内容の変更等の画像形成処理に関する情報の入力操作を受け付ける入力操作部が備えられている。入力操作部には、画像形成処理の開始の指示を受け付けるプリントキー(スタートボタン)、モードを選択するためのボタン、及び画像形成条件に関する数値情報を設定するためのテンキー等が配置されている。
【0004】
近年、画像形成装置は、多機能化の要請に伴い、画像形成処理の開始前にユーザが入力すべき画像形成処理に関する情報が多岐にわたるため、入力操作部に操作パネルが用いられている。操作パネルは、操作キーのアイコンを表示するLCD等のディスプレイと、ディスプレイ上面におけるユーザの押下位置を検出するタッチパネルと、で構成されている。ディスプレイにおけるアイコンの表示内容を切り換えることで、多数のキーの入力操作を単一の操作パネルで受け付けることができる。
【0005】
入力操作部に故障を生じると、ユーザによる画像形成処理に関する情報の入力操作ができなくなり、画像形成部に故障を生じていない場合でも画像形成装置を動作させることができなくなる。特に、画像形成装置では、操作パネルの大型化が進展しており、テンキーやプリントキー等を含む全てのキーをディスプレイに表示させるようにしたものも提案されている。このような操作パネルを備えた画像形成装置では、タッチパネルに故障を生じると、画像形成処理の開始の指示操作も受け付けられなくなる。
【0006】
そこで、ネットワークを介して複数の画像形成装置を接続したシステムでは、複数の画像形成装置のうちの何れかに入力操作部の故障を生じた場合に、他の画像形成装置の入力操作部で代替させるようにした構成が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−073045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載された構成は、故障を生じた画像形成装置に対する画像形成処理に関する情報の入力操作をネットワーク内の他の画像形成装置を介して受け付けるものであり、単独で設置された画像形成装置に適用することができない。
【0009】
この発明の目的は、単独で設置されている場合でも、入力操作部に故障を生じた際に、画像形成処理に関する入力操作を受け付けることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の画像形成装置は、入力操作部、画像形成部、故障検出部、センサ、第1〜第3記憶部及び制御部を備えている。入力操作部は、画像形成処理に関する情報のユーザによる入力操作を受け付ける。画像形成部は、用紙に対する画像形成処理を実行する。故障検出部は、入力操作部における故障の発生を検出する。センサは、画像形成処理に関するユーザの動作を検出する。第1記憶部は、入力操作部におけるユーザの入力操作と画像形成処理に関する第1の情報との関係を記憶している。第2記憶部は、センサの検出結果と画像形成処理に関する第1の情報との関係を記憶している。第3記憶部は、センサの検出結果と画像形成処理に関する第2の情報との関係を記憶している。制御部は、故障検出部が入力操作部における故障の発生を検出していない時に第1記憶部及び第3記憶部の記憶内容に基づいて画像形成部の動作を制御し、故障検出部が入力操作部における故障の発生を検出した時に第2記憶部及び第3記憶部の記憶内容に基づいて画像形成部の動作を制御する。
【0011】
この構成においては、故障検出部が入力操作部における故障の発生を検出すると、それまで第1記憶部及び第3記憶部の記憶内容に基づいて画像形成部の動作を制御していた制御部が、第2記憶部及び第3記憶部の記憶内容に基づいて画像形成部の動作を制御する。したがって、ユーザが入力操作部の操作によって入力していた画像形成処理に関する第1の情報が、故障を発生した入力操作部を使用することなく、画像形成処理に関するユーザの動作によって入力可能になる。
【0012】
ここで、第1の情報とは、例えば、コピアモード、プリンタモード又はファックスモードの何れかの選択に係るモード選択情報、カラー画像形成処理又はモノクロ画像形成処理の何れかの選択に係るカラー選択情報、用紙サイズの選択に係る用紙サイズ選択情報、画像形成枚数の設定に係る枚数選択情報等である。また、第2の情報とは、例えば、原稿サイズの設定に係る原稿サイズ情報、装置の一部の開閉状態等を示す装置状態情報等である。
【0013】
この構成において、画像形成部は未処理の用紙を収容する用紙収容部から処理済みの用紙を収容する用紙排出部までの間に用紙を搬送する用紙搬送部を含み、センサは用紙収容部におけるユーザの用紙収容動作を検出する用紙センサを含むことが好ましい。入力操作部に故障を生じた後に、それまで入力操作部が入力操作を受け付けていた第1の情報が、用紙収容部における用紙収容動作によって入力できる状態になる。ユーザは、入力操作部に故障を生じた後に、それまで入力操作部の操作によって入力していた第1の情報を、用紙収容部における用紙収容動作によって入力することができる。
【0014】
また、画像形成部は原稿の画像を読み取る画像読取部を含み、センサは画像読取部におけるユーザの原稿載置動作を検出する原稿センサを含むことが好ましい。入力操作部に故障を生じた後に、それまで入力操作部が入力操作を受け付けていた第1の情報が、画像読取部における原稿載置動作によって入力できる状態になる。ユーザは、入力操作部に故障を生じた後に、それまで入力操作部の操作によって入力していた第1の情報を画像読取部における原稿載置動作によって入力することができる。
【0015】
さらに、第1の情報及び第2の情報を含む表示情報を表示する表示部を備え、制御部は故障検出部が入力操作部における故障の発生を検出した後にセンサが検出したユーザの動作に対応する第1の情報を第2記憶部から読み出して表示部に表示することが好ましい。入力操作部に故障を生じた後に、画像形成処理に関するユーザの動作に基づく第1の情報の入力状態が、表示部に表示される。ユーザは、表示部の表示内容を視認することにより、センサの検出結果に基づく第1の情報の入力状態を確認することができる。
【0016】
また、センサにおける検出結果の無変化状態の継続時間を計時するタイマを備え、制御部は故障検出部が入力操作部における故障の発生を検出した後にタイマの計時時間が所定時間を超えた時にはセンサが最後に検出したユーザの動作に対応する第1の情報をユーザによる設定内容として保存することが好ましい。単一のセンサによるユーザの動作の検出によって第1の情報の選択と決定とが行われる。ユーザは、第1の情報の選択と決定とを個別の動作によって行う必要がなく、入力操作部に故障を生じた後の第1の情報の入力を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、入力操作部に故障を生じた後は、ユーザが入力操作部から入力していた画像形成処理に関する情報が画像形成処理に関するユーザの動作によって入力可能になり、画像形成処理に関する情報を別の装置を用いることなく入力できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施形態に係る画像形成装置の概略の正面断面図である。
【図2】同画像形成装置の制御部のブロック図である。
【図3】同画像形成装置における原稿サイズセンサの配置状態を示す外観図である。
【図4】同画像形成装置の入力操作部の平面図である。
【図5】(A)〜(C)は、同画像形成装置の制御部の記憶内容を示す図である。
【図6】同制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】同入力操作部における操作変更画面の一例を示す図である。
【図8】同入力操作部における操作変更画面の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、この発明の実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1に示すように、画像形成装置1は、画像読取部2、画像形成部3、給紙部4、及び制御部5を備えている。画像形成装置1は、コピアモード、プリンタモード又はファックスモードの何れかの動作モードで、用紙に対して電子写真方式のカラー画像形成処理又はモノクロ画像形成処理を実行する。画像形成装置1は、前面側に後述する入力操作部6を備えている。制御部5は、画像形成装置1の全体を統括的に制御する。画像形成処理の対象である用紙には、普通紙の他、印画紙やOHPフィルム等が含まれる。
【0021】
画像読取部2は、スキャナユニット20、及び自動原稿搬送装置(ADF:AutomaticDocument Feeder)200を有している。
【0022】
スキャナユニット20は、第1原稿台21、第2原稿台22、光源ユニット23、ミラーユニット24、レンズ25、及び固体撮像素子(CCD:Charge Coupled Device)26を備え、原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取処理を行う。
【0023】
ADF200は、原稿積載トレイ201から第2原稿台22の上面を経由して原稿排出トレイ202へ至る原稿搬送路203を備え、原稿積載トレイ201上の原稿を第2原稿台22の上面に1枚ずつ搬送する。ADF200は、第1原稿台21の上面を開閉自在に被覆するように、背面側の端部を支点に回動自在に支持されている。前面側の端部が上方に移動するようにADF200を回動させて第1原稿台21の上面を露出させることにより、ADF200を用いずに手動操作によって第1原稿台21上に原稿を載置することができる。第1原稿台21及び第2原稿台22は、ともに硬質ガラス板によって構成されている。
【0024】
光源ユニット23及びミラーユニット24は、第1原稿台21及び第2原稿台22の下方において、第1原稿台21及び第2原稿台22に沿って副走査方向に移動自在に構成されている。ミラーユニット24の移動速度は、光源ユニット23の移動速度の2分の1である。光源ユニット23は、光源及び第1ミラーを搭載している。ミラーユニット24は、第2ミラー及び第3ミラーを搭載している。
【0025】
ADF200によって搬送される原稿の画像を読み取る搬送原稿読取方式では、光源ユニット23は、第2原稿台22の下方に停止している。光源の光は、第2原稿台22上を通過する原稿の画像面に照射され、原稿の画像面による反射光が第1ミラーによってミラーユニット24へ導かれる。
【0026】
第1原稿台21に載置された原稿の画像を読み取る停止原稿読取方式では、光源ユニット23及びミラーユニット24は、第1原稿台21の下方を副走査方向に移動する。光源の光は、第1原稿台21上に載置された原稿の画像面に照射され、原稿の画像面による反射光が第1ミラーによってミラーユニット24へ導かれる。
【0027】
ADF200を用いるか否かに拘らず、原稿の画像面による反射光は、光路長を一定にして、第2ミラー及び第3ミラーに導かれ、レンズ25を経由してCCD26に入射する。
【0028】
CCD26は、原稿の画像面による反射光の光量に応じた電気信号を出力する。この電気信号は、制御部5に画像データとして入力される。このようにして、画像読取部2は、原稿の画像を読み取って画像データを生成する。制御部5は、必要に応じて画像データを画像形成部3へ出力する。
【0029】
画像形成部3は、画像読取部2の下に配置され、電子写真プロセス部30、定着部60を備えている。
【0030】
電子写真プロセス部30は、感光体ドラム31、帯電装置32、露光ユニット33、現像装置34、転写装置35、クリーニングユニット36を備えている。帯電装置32は、感光体ドラム31の周面を所定の電位に均一に帯電させる。露光ユニット33は、帯電した感光体ドラム31の周面を画像データに応じて露光することによって、感光体ドラム31の周面に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置34は、感光体ドラム31の周面に形成された静電潜像を、トナー等の現像剤で顕像化し、現像剤像を形成する。転写装置35は、感光体ドラム31の周面に形成された現像剤像を、転写装置35と感光体ドラム31の周面との間に搬送されてきた用紙に転写する。クリーニングユニット36は、現像剤像が用紙に転写された後の感光体ドラム31の周面に残留した現像剤を除去及び回収する。
【0031】
定着部60は、加熱ローラ及び加圧ローラを有し、未定着の現像剤像を担持した用紙が加熱ローラと加圧ローラとの間を通過する際に、搬送しながら加熱及び加圧することで、現像剤像を用紙に定着させる。
【0032】
画像形成部3の上部に、用紙排紙部である排紙トレイ72が構成されている。排紙トレイ72は、現像剤像が定着した処理済みの用紙を収容する。
【0033】
給紙部4は、画像形成部3の下に配置され、未処理の用紙を収容する用紙収容部である複数の用紙カセット41〜44及び手差しトレイ45を備えている。
【0034】
給紙部4及び画像形成部3には、第1用紙搬送路73、第2用紙搬送路74、及び第3用紙搬送路75が設けられている。
【0035】
第1用紙搬送路73は、給紙部4から電子写真プロセス部30及び定着部60を経由するように垂直方向に延び、定着部60の上方で水平方向に湾曲して、用紙を排紙トレイ72へ排出するように形成されている。第2用紙搬送路74は、手差しトレイ45から給紙部4内で略水平方向に延び、第1用紙搬送路73内の転写位置37より上流側に合流している。第3用紙搬送路75は、両面印刷用の用紙搬送路であって、第1用紙搬送路73内の定着部60より下流側から分岐して、転写位置37の下方で第1用紙搬送路73に合流している。
【0036】
用紙カセット41,43,44に収容された用紙は、第1用紙搬送路73を通って、電子写真プロセス部30の転写位置37へ搬送される。用紙カセット42及び手差しトレイ45に収容された用紙は、第2用紙搬送路74及び第1用紙搬送路73をこの順に通って、電子写真プロセス部30の転写位置37へ搬送される。
【0037】
定着部60による加熱定着後の用紙は、第1用紙搬送路73を上方へ搬送された後、排紙トレイ72へ向けて水平方向に導かれる。その後、排紙トレイ72への排紙、又は用紙をターンバックすることで図示しない後処理装置への送出若しくは第3用紙搬送路75への供給が行われる。
【0038】
図2に示すように、制御部5は、ROM52及びRAM53を備えたCPU51に画像読取部用ドライバ54、画像形成部用ドライバ55、給紙部用ドライバ56、入力操作部用コントローラ57、故障検出部58、原稿サイズセンサ81〜84等を接続して構成されている。ROM52は、CPU51の動作を規定するプログラム等を記憶している。RAM53は、CPU51に入出力されるデータを一時記憶する。RAM53のメモリエリア531〜534は、それぞれ画像濃度、用紙サイズ、画像形成枚数及び原稿サイズの設定内容を記憶する。
【0039】
ドライバ54には、画像読取部2に含まれる図示しないモータ等の駆動機器が接続されている。ドライバ55には、画像形成部3に含まれる図示しないモータ等の駆動機器が接続されている。ドライバ56には、給紙部4に含まれる図示しないモータ等の駆動機器が接続されている。
【0040】
コントローラ57には、入力操作部6が接続されている。図3に示すように、入力操作部6は、画像形成装置1の前面側に配置されている。入力操作部6は、LCDやEL等のディスプレイ61の上面にタッチパネル62を配置して構成されている。コントローラ57は、CPU51から入力された表示データに基づいてディスプレイ61にキースイッチ等の操作部材の画像を表示する。一例として図4に示すように、ディスプレイ61に表示される操作部材には、画像形成処理の開始の指示入力を受け付けるスタートボタン611が含まれる。コントローラ57は、ユーザの入力操作によるタッチパネル62の操作位置を示す操作データをCPU51に出力する。ディスプレイ61に表示すべき表示データをROM52に階層的に格納しておき、複数の操作部材をディスプレイ61に階層的に表示することもできる。
【0041】
故障検出部58は、タッチパネル62が故障を生じているか否かを検出する。タッチパネル62は、例えば塵埃や損傷によって一部又は全部がオンされた状態のままになる場合がある。故障検出部58は、タッチパネル62から所定時間以上にわたって同一の検出信号が出力され続けている場合に、タッチパネル62に故障を生じたと判断し、故障発生信号をCPU51に出力する。
【0042】
図3に示すように、原稿サイズセンサ81〜84は、ユーザが手動動作によって第1原稿台21上に載置した原稿のサイズを検出し、検出データをCPU51に出力する。原稿サイズセンサ81〜84は、一例として、原稿台21の下方で原稿台21を透過した外部光を受光する光学センサであり、原稿台21上に載置された原稿による外部光の遮光状態によって原稿のサイズを検出する。なお、原稿サイズセンサは、第1原稿台21を上下に挟む発光部と受光部とから構成されるものであってもよい。
【0043】
CPU51は、コントローラ57から入力された操作データとコントローラ57に出力している表示データとに基づいて、ユーザによる画像形成処理に関する情報(例えば、画像濃度、用紙サイズ、画像形成枚数等)の設定内容を特定する。CPU51は、ROM52に格納されているプログラムに従って、特定した画像形成処理に関する情報の設定内容とセンサ81〜84から入力された検出データとに応じた駆動データをドライバ54〜56に出力する。ドライバ54〜56は、CPU51から入力された駆動データに基づいて各駆動機器を駆動する。
【0044】
ROM52は、メモリエリア521〜523を備えている。メモリエリア521は、この発明の第1記憶部に相当し、図5(A)に示すように、入力操作部6におけるユーザの入力操作情報と画像形成処理に関する第1の情報との関係を記憶している。入力操作部6におけるユーザの入力操作情報は、ディスプレイ61の表示画面内の座標データとしてCPU51に入力される。画像形成処理に関する第1の情報とは、ここでは、画像濃度、用紙サイズ、画像形成枚数等の画像形成条件を決定するための情報であり、画像形成処理の開始の指示情報を含む。CPU51は、入力操作部6から入力された座標データに対応する第1の情報をメモリエリア521から読み出し、RAM53のメモリエリア531〜533のそれぞれに格納する。また、CPU51は、入力操作部6から入力された座標データが画像形成処理の開始に対応する場合、メモリエリア531〜534の記憶内容に基づいてドライバ54〜56を駆動して画像形成処理を開始する。
【0045】
なお、RAM53のメモリエリア531〜534には、例えば、中間レベルの画像濃度、A4の用紙サイズ、1枚の画像形成枚数、A4の原稿サイズがデフォルト値として設定されている。
【0046】
メモリエリア522は、この発明の第2記憶部に相当し、図5(B)に示すように、センサ81〜84の検出結果と第1の情報との関係を記憶している。CPU51は、タッチパネル62に故障を生じている間に、検出信号を入力したセンサ81〜83のそれぞれに対応する第1の情報をメモリエリア522から読み出し、検出信号の入力回数に応じて対応するメモリエリア531〜533のそれぞれの記憶内容を変更する。例えば、CPU51は、センサ81から検出信号が入力される毎に画像濃度を上昇させ、センサ81及び82から検出信号が入力される毎に用紙サイズを大きくし、センサ81〜83から検出信号が入力される毎に画像形成枚数をインクリメントする。また、CPU51は、タッチパネル62に故障を生じている間に、センサ84の検出信号が入力されると、メモリエリア531〜534の記憶内容に基づいてドライバ54〜56を駆動して画像形成処理を開始する。このとき、CPU51は、画像形成処理を開始する直前におけるセンサ81〜84の検出信号に対応する原稿サイズをメモリエリア523から読み出す。
【0047】
メモリエリア523は、この発明の第3記憶部に相当し、図5(C)に示すように、センサ81〜84の検出結果と画像形成処理に関する第2の情報との関係を記憶している。画像形成処理に関する第2の情報とは、ここでは、原稿サイズである。CPU51は、タッチパネル62に故障を生じていない間に、検出信号に入力したセンサ81〜84の検出信号に対応する原稿サイズをメモリエリア523から読み出し、メモリエリア534に記憶する。また、CPU51は、タッチパネル62に故障を生じている間には、画像形成処理を開始する直前におけるセンサ81〜84の検出信号に対応する原稿サイズをメモリエリア523から読み出す。
【0048】
図6は、制御部の処理手順を示すフローチャートである。CPU51は、画像形成装置1に電源が投入されると、初期動作を実行した後、故障検出部58から故障検出信号か入力されているか否かを判別する(S1)。CPU51は、故障検出信号が入力されていない場合には、入力操作部6からの操作情報の入力及びセンサ81〜84からの検出情報の入力を待機する(S2,S3)。CPU51は、画像形成処理の開始が指示された場合には、メモリエリア531〜534の記憶内容に基づく画像形成処理を実行する(S4,S5)。CPU51は、入力操作部6から第1の情報が入力された場合には、メモリエリア521〜524を参照してメモリエリア531〜533の記憶内容を変更する(S6)。また、CPU51は、センサ81〜84から検出信号が入力された場合には、メモリエリア523を参照してメモリエリア534の記憶内容を変更する(S7)。
【0049】
CPU51は、故障検出信号が入力されている場合には、ディスプレイ61に図7に示す操作変更画面620を表示し(S8)、センサ81〜84による第1の情報の入力を受け付ける。CPU51は、メモリエリア522を参照してセンサ81〜83の検出信号に応じたメモリエリア531〜533の記憶内容を変更する(S9,S10)。このとき、CPU51は、変更後の設定内容をディスプレイ61に表示することが好ましい。CPU51は、センサ84の検出信号が入力されると(S11)、ADF200が閉じられた後のセンサ81〜84の検出信号に対応する原稿サイズをメモリエリア523から読み出してメモリエリア534に格納する(S12)。この後、CPU51は、メモリエリア531〜534の記憶内容に基づいて画像形成処理を実行する(S13)。
【0050】
以上の処理により、単独で設置されている画像形成装置1のタッチパネル62に故障を生じた場合でも、画像形成装置1に既設されているセンサ81〜84を用いて画像形成条件の設定及び画像形成処理開始の指示を受け付けることができる。
【0051】
なお、原稿サイズを検出する原稿サイズセンサ81〜84に代えて、例えば、給紙トレイ41〜44の装着状態を検出するセンサ、又は手差しトレイ45上の用紙の有無を検出するセンサ等の画像形成装置1に既設の他のセンサを用いることもできる。
【0052】
以下に、この発明の他の実施形態に係る画像形成装置として、ADFに既設の原稿有無センサを用いて第1の情報を入力する構成について説明する。この実施形態では、制御部5のRAM53内にタイマが設定されている。CPU51は、RAM53内のタイマによって原稿有無センサ204の連続操作時間を計時する。
【0053】
図1に示すように、原稿有無センサ204は、ADF200の原稿トレイ201に配置され、原稿トレイ201に原稿がセットされているか否かの状態を検出する。CPU51は、タッチパネル62に故障を生じると、図8(A)に示す操作変更画像630をディスプレイ61に表示し、用紙サイズの選択操作を促す。操作変更画面630では、原稿有無センサ204が1回操作される毎にサイズ表示部631内に表示されている4つの用紙サイズアイコン及び次画面アイコンのそれぞれを順にハイライト表示する。原稿有無センサ204の連続操作時間が所定時間を超えて長押しされると、CPU51は、その時にハイライト表示している用紙サイズを、ユーザによって決定された用紙サイズとしてメモリエリア532に格納する。
【0054】
操作変更画面630の次画面アイコンをハイライト表示している状態で用紙有無センサ204が長押しされると、CPU51は、図8(B)に示す操作変更画面640をディスプレイ61に表示し、画像形成枚数の設定操作を促す。操作変更画面640では、原稿有無センサ204が1回操作される毎に枚数表示部641内に表示されているテンキーアイコン、次画面アイコン及び前画面アイコンのそれぞれを順にハイライト表示する。原稿有無センサ204の連続操作時間が所定時間を超えて長押しされると、CPU51は、その時に設定されている枚数を、ユーザによって決定された枚数として表示部642内に表示するとともにメモリエリア533に格納する。操作変更画面640の前画面アイコンをハイライト表示している状態で用紙有無センサ204が長押しされると、CPU51は、操作変更画面630をディスプレイ61に表示する。
【0055】
操作変更画面640の次画面アイコンをハイライト表示している状態で用紙有無センサ204が長押しされると、CPU51は、図8(C)に示す操作変更画面650をディスプレイ61に表示し、画像形成処理開始の指示操作を促す。操作変更画面650では、原稿有無センサ204が1回操作される毎に開始表示部651内に表示されているスタートアイコン及び前画面アイコンのそれぞれを順にハイライト表示する。操作変更画面650の前画面アイコンをハイライト表示している状態で用紙有無センサ204が長押しされると、CPU51は、操作変更画面640をディスプレイ61に表示する。操作変更画面650のスタートアイコンをハイライト表示している状態で用紙有無センサ204が長押しされると、CPU51は、画像形成処理を開始する。
【0056】
以上の構成により、単独で設置された画像形成装置1のタッチパネル62に故障を生じた場合でも、装置に既設の単一のセンサと、センサの操作時間を計時するタイマと、を用いて画像形成条件の設定及び画像形成処理開始の指示を受け付けることができる。
【0057】
なお、図8(A)及び(B)に示した操作変更画面と同様の構成の画面で画像濃度を設定できるようにしてもよい。
【0058】
上述の実施形態の説明は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
1 画像形成装置
2 画像読取部
3 画像形成部
5 制御部
6 入力操作部
58 故障検出部
61 ディスプレイ
62 タッチパネル
81〜84 原稿サイズセンサ
204 原稿有無センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成処理に関するユーザの入力操作を受け付ける入力操作部と、
用紙に対する画像形成処理を実行する画像形成部と、
前記入力操作部における故障の発生を検出する故障検出部と、
画像形成処理に関するユーザの動作を検出するセンサと、
前記入力操作部におけるユーザの入力操作と画像形成処理に関する第1の情報との関係を記憶した第1記憶部と、
前記センサの検出結果と前記第1の情報との関係を記憶した第2記憶部と、
前記センサの検出結果と画像形成処理に関する第2の情報との関係を記憶した第3記憶部と、
前記故障検出部が前記入力操作部における故障の発生を検出していない時に前記第1記憶部及び前記第3記憶部の記憶内容に基づいて前記画像形成部を制御し、前記故障検出部が前記入力操作部における故障の発生を検出した時に前記第2記憶部及び前記第3記憶部の記憶内容に基づいて前記画像形成部を制御する制御部と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部は、未処理の用紙を収容する用紙収容部から処理済みの用紙を収容する用紙排出部までの間に用紙を搬送する用紙搬送部を含み、
前記センサは、前記用紙収容部におけるユーザの用紙収容動作を検出する用紙センサを含む請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成部は、原稿の画像を読み取る画像読取部を含み、
前記センサは、前記画像読取部におけるユーザの原稿載置動作を検出する原稿センサを含む請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の情報及び第2の情報を含む表示情報を表示する表示部を備え、
前記制御部は、前記故障検出部が前記入力操作部における故障の発生を検出した後に、前記センサが検出したユーザの動作に対応する第1の情報を前記第2記憶部から読み出して前記表示部に表示する請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記センサにおける検出結果の無変化状態の継続時間を計時するタイマを備え、
前記制御部は、前記故障検出部が前記入力操作部における故障の発生を検出した後に、前記タイマの計時時間が所定時間を超えた時に、前記センサが最後に検出したユーザの動作に対応する第1の情報をユーザによる設定内容として保存する請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−191511(P2011−191511A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57429(P2010−57429)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】