説明

画像形成装置

【課題】キャリア液にトナーを分散させた湿式現像剤を用いた画像形成装置において、現像剤保持部材に対向して配置したコロナ帯電器のキャリア液汚れによる帯電能低下を防ぎ、長期に渡り画像を安定させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像剤保持部材に対向して配置したコロナ帯電器を加熱する加熱手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーをキャリア液に分散させた湿式現像剤を用いて潜像を現像し、トナー像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体(像担持体)に静電潜像を形成し、それにトナーを付着させて、紙などに転写して定着する電子写真方式の画像形成装置が、広く使用されている。特に、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー画像の乱れもおきにくい液体現像剤を用いる湿式現像方式が用いられるようになってきている。
【0003】
近年では、シリコンオイルなどの絶縁性液体「キャリア液」中に樹脂及び顔料からなる固形分としてのトナーを高濃度に分散させることで構成される、高粘度で高濃度の液体現像剤を用いる画像形成装置が提案されるようになってきた。
【0004】
この液体現像剤を用いて現像する際には、現像ローラ等の現像剤担持体上に現像剤のミクロン単位の薄層を形成し、この薄層化された現像剤を感光体に接触させて現像するのが一般的である。
【0005】
感光体上の潜像は上記現像剤薄層により現像され、液体現像剤によるトナー像を形成した後、例えば中間転写体に一次転写され、さらに記録媒体に二次転写され、定着器で定着されるといったプロセスを辿る。
【0006】
この過程で、現像ローラ、感光体、中間転写体等の現像剤保持部材上には液体現像剤が残留し、次の画像形成等に悪影響を及ぼすことがある。そのため、適宜クリーニング装置が配置されている。
【0007】
またこの過程で、潜像を形成するため、液体現像剤中のトナーを荷電、あるいは除電するため、等で適切な箇所に1つ以上のコロナ帯電器が配置されるのが一般的である。
【0008】
コロナ帯電器が用いられるのは、感光体帯電器、現像前帯電器、現像クリーニング前帯電器、転写前帯電器、クリーニング前帯電器などがある。
【0009】
コロナ帯電器は、メッシュ、ワイヤー、シールド等からなり、ワイヤーに高電圧を印加することにより、対向して配置された部材に放電して電荷を付与する。
【0010】
これらのコロナ帯電器は汚れやすく、特に感光体帯電器、現像前帯電器、現像クリーニング前帯電器が汚れると、帯電ムラが生じ、画像ムラになりやすい。
【0011】
特許文献1には、帯電手段(コロナ帯電器)に装置外部の空気を送り込み、放電により発生する放電生成物を、前記帯電手段から排除する送風手段を設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−147962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述のように、画像形成装置には、画像プロセスにおいて適時電荷を付与するためのコロナ帯電器が配置されている。
【0014】
特に静電潜像を形成するための感光体帯電器、現像に供する現像剤薄層中のトナーを荷電する現像前帯電器、現像ローラの残留現像剤の除去を支援するため荷電する現像クリーニング前帯電器が汚れると、帯電ムラが生じ、何れも画像ムラになりやすい。
【0015】
特に液体現像剤を用いる湿式の画像形成装置では、液体現像剤のキャリア液がコロナ帯電器に付着することが起こりやすく、帯電が不安定になることがあった。
【0016】
特許文献1では送風手段を設けているが、空気中の放電生成物の付着を防ぐためであり、キャリア液による汚染に対しては、有効なものとは言い難い。
【0017】
本発明は、上記の技術的課題に鑑みてなされたものである。
【0018】
本発明の目的は、キャリア液にトナーを分散させた湿式現像剤を用いた画像形成装置において、現像剤保持部材に対向して配置したコロナ帯電器のキャリア液汚れによる帯電能低下を防ぎ、長期に渡り画像を安定させることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0020】
1.トナーをキャリア液に分散させた湿式現像剤を用いて潜像を現像し、トナー像を形成する画像形成装置において、
前記湿式現像剤の薄層を担持する現像剤保持部材と、
前記現像剤保持部材に対向して配置したコロナ帯電器と、
前記コロナ帯電器を加熱する加熱手段と、を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【0021】
2.現像されたトナー像を記録媒体に定着する定着器を有し、
前記加熱手段は、前記定着器の熱を利用して前記コロナ帯電器を加熱する
ことを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0022】
3.前記コロナ帯電器の加熱により揮発した前記キャリア液を回収するため、前記コロナ帯電器の近辺に設けた排気口を有する
ことを特徴とする前記1または2に記載の画像形成装置。
【0023】
4.前記加熱手段は、エンドシーケンスで、または所定の間隔毎に前記コロナ帯電器を加熱する
ことを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【0024】
5.前記加熱手段は、熱風を前記コロナ帯電器に当てて加熱する
ことを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【0025】
6.前記加熱手段は、加熱部材を有し、
該加熱部材を前記コロナ帯電器に接触させて加熱する
ことを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【0026】
7.前記現像剤保持部材は、表面に潜像形成するための感光体であり、
前記コロナ帯電器は、前記感光体の表面を帯電する感光体帯電器である
ことを特徴とする前記1から6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【0027】
8.前記現像剤保持部材は、現像に供する湿式現像剤を表面に担持する現像ローラであり、
前記コロナ帯電器は、前記現像ローラの表面の現像前のトナーを荷電する現像前帯電器である
ことを特徴とする前記1から6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【0028】
9.前記現像剤保持部材は、現像に供する湿式現像剤を表面に担持する現像ローラであり、
前記コロナ帯電器は、前記現像ローラの表面の現像後残留したトナーを除去しやすくするため荷電する現像クリーニング前帯電器である
ことを特徴とする前記1から6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る画像形成装置によれば、現像剤保持部材に対向して配置したコロナ帯電器を加熱する加熱手段を有する。
【0030】
これにより、キャリア液にトナーを分散させた湿式現像剤を用いた画像形成装置において、現像剤保持部材に対向して配置したコロナ帯電器に付着したキャリア液を揮発させ、キャリア液汚れによる帯電能低下を防ぎ、長期に渡り画像を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】湿式の画像形成装置の概略構成例を示す構成図である。
【図2】第1から第4の実施形態で用いた湿式の画像形成装置の概略構成を示す。
【図3】第1の実施形態に係る画像形成装置の加熱手段の構成を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る画像形成装置の加熱手段の構成を示す図である。
【図5】第3の実施形態に係る画像形成装置の加熱手段の構成を示す図である。
【図6】第4の実施形態に係る画像形成装置の加熱手段の構成を示す図である。
【図7】現像前帯電器についての現像ローラ流れ込み電流値の変化を示すグラフである。
【図8】現像クリーニング前帯電器についての現像ローラ流れ込み電流値の変化を示すグラフである。
【図9】感光体帯電器による感光体表面電位の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に図を参照して、本発明に係る画像形成装置の実施形態を説明する。
【0033】
(画像形成装置の構成と動作)
図1は、本実施形態に係る湿式の画像形成装置の概略構成例を示す概略構成図である。まず図1を用いて、本実施形態に係る湿式の画像形成装置の概略構成と画像形成動作の例を説明する。
【0034】
図1において、ドラム状の感光体(像担持体)1の周囲には、感光体帯電器2、露光装置3、現像装置4、一次転写前帯電器10、中間転写体5、感光体クリーニング装置(感光体クリーニング前帯電器81を含む)8が設置されている。
【0035】
中間転写体の周囲には、二次転写前帯電器11、転写ローラ6、中間転写体クリーニング装置(中間転写体クリーニング前帯電器91を含む)9が設けられている。
【0036】
現像装置4は、液体現像装置であり、現像剤槽42に貯留された液体現像剤が供給され、現像ローラ41上に現像剤薄層を形成している。現像ローラ41は、対向する感光体1表面の潜像を現像する。
【0037】
また現像ローラ41に対向して現像前帯電器43、現像クリーニング前帯電器44、現像クリーニング装置45が配置されている。
【0038】
上記の各帯電器は、一般的にコロナ帯電器が現像剤保持部材(感光体、中間転写体、現像ローラ等)に対向するよう配置され、必要に応じて省略してもよい。なお各帯電器の役割等については後述する。
【0039】
次に、画像形成動作の例を説明する。
【0040】
感光体1の表面を感光体帯電器2により、所定の表面電位に一様に帯電し、その後、露光装置3により画像情報の露光を行い、感光体1の表面に静電潜像を形成する。
【0041】
次いで、感光体1の静電潜像は、液体現像装置4の現像ローラ41によりトナー及びキャリア液を含む液体現像剤で現像され、感光体1の表面にトナー像が形成される。この時、トナーだけでなくキャリア液も含む液体現像剤が感光体1の表面に付着する。
【0042】
次に感光体1上のトナー像は、中間転写体5に所定の電圧が印加されることよって、中間転写体5に一次転写される。中間転写体5にはトナーと逆極性の電圧が印加され、感光体1との電位差は300V〜3kVである。
【0043】
中間転写体5に一次転写された後、感光体1上に残存した液体現像剤は、感光体クリーニング装置8により除去され、感光体1は再び上記潜像形成に供される。
【0044】
中間転写体5に転写された液体現像剤(トナー像)は、転写ローラ6で記録媒体7に二次転写される。転写ローラ6にはトナーと逆極性の電圧が印加される。
【0045】
記録媒体7上のトナー像は、定着器12の熱ローラにより定着される。
【0046】
記録媒体7に転写された後、中間転写体5上に残存した液体現像剤は、中間転写体クリーニング装置9により除去される。
【0047】
(現像剤の構成)
現像に用いる液体現像剤について説明する。液体現像剤は、溶媒であるキャリア液体中に着色されたトナー粒子を高濃度で分散している。また液体現像剤には、分散剤、荷電制御剤などの添加剤を適宜、選んで添加してもよい。
【0048】
キャリア液としては、絶縁性の溶媒が用いられる。トナー粒子は、主として樹脂と着色のための顔料や染料からなる。樹脂には、顔料や染料をその樹脂中に均一に分散させる機能と、記録材に定着される際のバインダとしての機能がある。
【0049】
トナーの体積平均粒子径は、0.1μm以上、5μm以下の範囲が適当である。トナーの平均粒子径が0.1μmを下回ると現像性が大きく低下する。一方、平均粒子径が5μmを超えると画像の品質が低下する。
【0050】
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10〜40%程度が適当である。10%未満の場合、トナー粒子の沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性に問題がある。また必要な画像濃度を得るため、多量の現像剤を供給する必要があり、紙上に付着するキャリア液が増加し、定着時に乾燥せねばならず、蒸気が発生し環境上の問題が生じる。40%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も、また取り扱いも困難になる。
【0051】
(各帯電器の構成と動作)
帯電器(コロナ帯電器)については、図1に示したように感光体帯電器2、現像前帯電器43、現像クリーニング前帯電器44、(一次、二次)転写前帯電器10、11、(感光体、中間転写体)クリーニング前帯電器81、91がある。
【0052】
各帯電器の機能と、汚れに対する影響度合いについて述べる。どの場所に対しても本発明は有効だが、特に、感光体帯電器2、現像前帯電器43、現像クリーニング前帯電器44が汚れると、画像ムラになりやすい。
【0053】
<感光体帯電器>
潜像形成のための感光体帯電用で、帯電ムラが発生すると潜像ムラになり、直ちに画像ムラを引き起こす。対向する現像剤保持部材は感光体1である。
【0054】
帯電するのは現像前であり、基本的には対向する位置に現像剤薄層はないはずだが、クリーニング後の感光体上の僅かなキャリア液残や現像器からの揮発、飛び散り液により、長期使用でキャリア液汚れが発生する。
【0055】
<現像前帯電器>
現像に供する現像剤のトナー荷電用で、帯電ムラが発生するとトナー荷電ムラになり、画像ムラを引き起こす。対向する現像剤保持部材は現像ローラ41である。
【0056】
現像ローラ上は常に現像薄層があるので、汚れやすい。
【0057】
<現像クリーニング前帯電器>
現像クリーニング前のトナー除電用で、クリーニング支援のため必要に応じて設ける。帯電能が低下するとクリーニング不良になり、画像ムラ(カブリ)を引き起こす。対向する現像剤保持部材は現像ローラ41である。
【0058】
現像ローラ上は常に現像薄層があるので、汚れやすい。
【0059】
<転写前帯電器>
トナー像転写時のトナー荷電調整用で、一次転写あるいは二次転写支援のため必要に応じて設ける。帯電能が低下すると転写不良になり、画像ムラを引き起こす。対向する現像剤保持部材は一次転写前では感光体1、二次転写前では中間転写体5である。
【0060】
現像部よりも上流側になる程液量が少なくなるため、また転写でのトナー荷電許容幅はある程度広いため、画像ムラは発生しにくいが、長期使用により徐々に汚れ、画像ムラになる。
【0061】
<クリーニング前帯電器>
クリーニング時のトナー除電調整用で、感光体あるいは中間転写体のクリーニング支援のため必要に応じて設ける。帯電能が低下するとクリーニング不良になり、画像ムラ(カブリ)を引き起こす。対向する現像剤保持部材は、感光体クリーニングでは感光体1、中間転写体クリーニングでは中間転写体5である。
【0062】
現像部よりも上流側になる程液量が少なくなるため、またクリーニングでのトナー荷電許容幅はある程度広いため、画像ムラは発生しにくいが、長期使用により徐々に汚れ、画像ムラになる。
【0063】
(各帯電器のキャリア液汚染防止)
上述のように、キャリア液にトナーを分散させた液体現像剤を用いた画像形成装置において、現像剤保持部材に対向して配置したコロナ帯電器は、それぞれキャリア液汚れが生じやすく、帯電能の低下やムラにより、長期に渡り画像を安定させることが困難であった。
【0064】
本実施形態では、それぞれのコロナ帯電器に、必要に応じて加熱手段を設け、コロナ帯電器を加熱することにより、キャリア液の付着を防止する、あるいは付着したキャリア液を揮発させる。
【0065】
これにより、現像剤保持部材に対向して配置した各コロナ帯電器のキャリア液汚れによる帯電能低下を防ぎ、長期に渡り画像を安定させることができる。
【0066】
<帯電器の加熱手段>
具体的な加熱手段について説明する。
【0067】
加熱手段は、加熱方法として、加熱部材による接触加熱、熱風送風、輻射熱などがあるが、特に加熱部材接触、または熱風送風が好ましい。
【0068】
熱風型は、風でキャリア液の揮発を促進する、またシールドだけでなくワイヤーやメッシュを同時に非接触で加熱できる等のメリットがある。
【0069】
また、帯電器近辺に揮発したキャリア液を回収する排気口を設けるのが好ましい。これにより揮発したキャリア液の再付着を防止することができる。
【0070】
後述する実施形態では、帯電器の下位置から送風し、上位置に排気口を設けたが、これに限らず、例えば図の手前側から送風し、奥側で排気口を設けてもよい。
【0071】
接触型は、周辺部材や周辺現像剤に熱が伝わりにくく、画像に悪影響を及ぼしにくいというメリットがある。それ故、画像形成中も加熱することが可能である。
【0072】
熱は帯電器近辺に熱源を設けてもいいが、定着器12の熱を利用してもよい。定着器部は周辺が加熱されるので、熱を逃がす必要があり、その熱を利用することはエネルギー効率がよい。
【0073】
定着器部の熱を利用する場合は、方法は様々であるが、例えば、送風型であればエア送風、接触型であれば、エア循環、オイル循環、熱伝導性のよい材料での接続、等がある。
【0074】
各帯電器の加熱タイミングは、画像形成のエンドシーケンスで行う、あるいは所定の時間間隔で行うのが好ましい。
【0075】
画像出力中に加熱すると周辺部材と周辺現像剤が暖まり、画像品質が変動する恐れがある。従って、定期的に、溜まったキャリア液を揮発させることが好ましい。
【0076】
加熱温度は、帯電器の温度が低すぎると効果が少なく、高すぎると周辺部材や周辺現像剤に熱が伝わり、放熱して画像形成開始するまでに時間を要する。
【0077】
また安全面から、帯電器使用時は帯電器の温度がキャリア液の引火点以下になるようにした方がよい。
【0078】
また、効果は液の揮発性にもより、キャリア液としては、炭化水素系溶剤であれば、例えばIPソルベント1620、IPソルベント2028、IPソルベント2835(出光石油製)、モレスコホワイトP−40、モレスコホワイトP−70、モレスコホワイトP−120(松村石油製)等があり、他にシリコンオイル系や動植物系オイル等がある。
【0079】
本実施形態で使用するIPソルベント2028(引火点86℃)では、帯電器停止時の加熱温度は60℃〜150℃、帯電器使用時は60℃〜80℃程度に加熱するとよい。
【0080】
帯電器のシールドは、熱風送風や揮発したキャリア液排気の空気の流れを考慮して、空気を流す隙間を設けてもよい。
【0081】
<第1の実施形態>
図2に、第1の実施形態で用いた湿式の画像形成装置の概略構成を示す。第1の実施形態では、図2における現像前帯電器43と現像クリーニング前帯電器44に、それぞれ熱風型の加熱手段を設けている。
【0082】
図3は、第1の実施形態に係る画像形成装置の加熱手段の構成を示す図である。加熱手段は、空気搬送管47、熱風送風口48、排気口49を含む。
【0083】
加熱方法は熱風送風型で、定着器熱源近辺の空気を、空気搬送管47を通ってファンで送り、各コロナ帯電器43、44の下側の熱風送風口48から熱風をあてた。
【0084】
各コロナ帯電器の上部に排気口49を設け、空気搬送管47を通って揮発したキャリア液を回収した。
【0085】
連続的に画像形成装置及び現像器を駆動し、1時間毎に3分間加熱した。加熱している間は現像器駆動とコロナ帯電器出力を停止し、加熱終了から2分後に現像器駆動とコロナ帯電器出力を開始した。また、一日の連続駆動停止後には、5分間加熱した。
【0086】
加熱終了時のシールドの温度は何れも80℃〜120℃で、現像器駆動開始時は何れも60℃以下であった。
【0087】
<第2の実施形態>
図2に、第2の実施形態で用いた湿式の画像形成装置の概略構成を示す。第2の実施形態でも、図2における現像前帯電器43と現像クリーニング前帯電器44に、それぞれ接触型の加熱手段を設けている。
【0088】
図4は、第2の実施形態に係る画像形成装置の加熱手段の構成を示す図である。加熱手段は、空気搬送管47、加熱部材46、また必要に応じて排気口49を含む。
【0089】
加熱方法は加熱部材接触型で、定着器熱源近辺から加熱部材46まで往復している空気搬送管47を通って、定着器近辺の空気をファンで送ることで加熱部材46を暖め、加熱部材46をコロナ帯電器43、44の各シールドにあてた。
【0090】
各コロナ帯電器の上部に排気口49を設け、空気搬送管47を通って揮発したキャリア液を回収した。
【0091】
連続的に画像形成装置及び現像器を駆動しながら加熱した。
【0092】
シールドに取り付けた温度センサ(不図示)で温度検知し、シールドの温度が60℃〜80℃になるよう加熱部材46の当接/離間で制御した。
【0093】
<第3の実施形態>
図2に、第3の実施形態で用いた湿式の画像形成装置の概略構成を示す。第3の実施形態では、図2における感光体帯電器2に熱風型の加熱手段を設けている。
【0094】
図5は、第3の実施形態に係る画像形成装置の加熱手段の構成を示す図である。加熱手段は、空気搬送管47、熱風送風口48、排気口49を含む。
【0095】
加熱方法は熱風送風型で、定着器熱源近辺の空気を、空気搬送管47を通ってファンで送り、感光体帯電器2の下側の熱風送風口48から熱風をあてた。
【0096】
感光体帯電器2の上部に排気口49を設け、空気搬送管47を通って揮発したキャリア液を回収した。
【0097】
連続的に画像形成装置を駆動し、1時間毎に3分間加熱した。加熱している間は画像形成装置の駆動と感光体帯電出力を停止し、加熱終了から2分後に画像形成装置の駆動と感光体帯電出力を開始した。また、一日の連続駆動停止後には、5分間加熱した。
【0098】
加熱終了時のシールドの温度は何れも80℃〜120℃で、画像形成装置の駆動開始時は何れも60℃以下であった。
【0099】
<第4の実施形態>
図2に、第4の実施形態で用いた湿式の画像形成装置の概略構成を示す。第4の実施形態でも、図2における感光体帯電器2に接触型の加熱手段を設けている。
【0100】
図6は、第4の実施形態に係る画像形成装置の加熱手段の構成を示す図である。加熱手段は、空気搬送管47、加熱部材46、また必要に応じて排気口49を含む。
【0101】
加熱方法は加熱部材接触型で、定着器熱源近辺から加熱部材46まで往復している空気搬送管47を通って、定着器近辺の空気をファンで送ることで加熱部材46を暖め、加熱部材46を感光体帯電器2のシールドにあてた。
【0102】
感光体帯電器2の上部に排気口49を設け、空気搬送管47を通って揮発したキャリア液を回収した。
【0103】
連続的に画像形成装置を駆動しながら加熱した。
【0104】
シールドに取り付けた温度センサ(不図示)で温度検知し、シールドの温度が60℃〜80℃になるよう加熱部材46の当接/離間で制御した。
【実施例】
【0105】
上記第1の実施形態から第4の実施形態について、以下のような帯電器の安定性評価を行った。
【0106】
(現像前帯電器及び現像クリーニング前帯電器の加熱と帯電安定性)
実施例1は第1の実施形態(熱風型の加熱手段)について、実施例2は第2の実施形態(接触型の加熱手段)について、それぞれ現像前コロナ帯電器と現像クリーニング前コロナ帯電器の安定性評価を行った。
【0107】
比較例1として、実施例1または実施例2と同様で、加熱手段を有しない構成について同様の安定性評価を行った。
【0108】
<評価方法>
図2の画像形成装置、図3(実施例1)または図4(実施例2)の現像装置を駆動し、現像前帯電器による現像ローラへの流れ込み電流と、現像クリーニング前帯電器による現像ローラへの流れ込み電流を、初期と耐久後で比較することで、安定性を評価した。
【0109】
但し、現像前帯電器による流れ込み電流を測定する時は現像クリーニング前帯電器の出力をOFFとし、現像クリーニング前帯電器による流れ込み電流を測定する時は現像前帯電器の出力をOFFとして、各々の流れ込み電流値を測定した。
【0110】
同時にシールドに取り付けた温度センサでシールドの温度測定を行った。
【0111】
各帯電器等の設定条件は以下の通りである。
現像前帯電器:コロトロン(ワイヤーとシールド)方式の構成であり、定電圧制御で印加電圧6kvとした。
現像クリーニング前帯電器:コロトロン(ワイヤーとシールド)方式の構成であり、定電圧制御で印加電圧5kvとした。
現像ローラ:φ4cmの弾性ローラ。体積抵抗3E+5Ω・cm。
ローラ駆動:40cm/s。
現像剤:キャリア液(IPソルベント2028)にトナー粒子(平均粒径2μm)と小量の分散剤を添加した。固形分比Tcは20%である。
【0112】
<評価結果>
上記実施例1、実施例2、及び比較例1についての安定評価結果を図7及び図8にグラフにして示す。グラフは、耐久時間(横軸)の経過により、現像ローラ流れ込み電流値が初期値1からどの程度低下したか初期比(縦軸)を示している。
【0113】
図7は現像前帯電器についての現像ローラ流れ込み電流値であり、L1が実施例1、L2が実施例2、そしてS1が比較例1についての安定評価結果を示す。
【0114】
また、図8は現像クリーニング前帯電器についての現像ローラ流れ込み電流値であり、やはりL1が実施例1、L2が実施例2、そしてS1が比較例1についての安定評価結果を示す。
【0115】
現像前帯電器による現像ローラへの流れ込み電流と、現像クリーニング前帯電器による現像ローラへの流れ込み電流の何れについても、比較例1に比べ、実施例1及び実施例2では初期からの変動(低下)が少ないことが分かる。
【0116】
200時間駆動後にBW比50%のハーフ画像を出力しても、比較例1では濃度ムラが発生していたが、実施例1及び実施例2では濃度ムラのない良好な画像となった。
【0117】
(感光体帯電器の加熱と帯電安定性)
実施例3は第3の実施形態(熱風型の加熱手段)について、実施例4は第4の実施形態(接触型の加熱手段)について、それぞれ感光体帯電器の安定性評価を行った。
【0118】
比較例2として、実施例3または実施例4と同様で、加熱手段を有しない構成について同様の安定性評価を行った。
【0119】
<評価方法>
図2及び、図5(実施例3)または図6(実施例4)の画像形成装置を駆動し、感光体帯電器による感光体表面電位を、初期と耐久後で比較することで、安定性を評価した。
【0120】
同時にシールドに取り付けた温度センサでシールドの温度測定を行った。
【0121】
帯電器等の設定条件は以下の通りである。
感光体帯電器:スコロトロン(ワイヤーとシールドとメッシュ)方式の構成であり、定電圧制御で印加電圧6.5kvとした。
感光体:アモルファスシリコン感光体。
システム速度40cm/s。
現像剤:キャリア液(IPソルベント2028)にトナー粒子(平均粒径2μm)と小量の分散剤を添加した。固形分比Tcは20%である。
【0122】
<評価結果>
上記実施例3、実施例4、及び比較例2についての安定評価結果を図9にグラフにして示す。グラフは、耐久時間(横軸)の経過により、感光体表面電位が初期値1からどの程度低下したか初期比(縦軸)を示している。
【0123】
図9は、L3が実施例3、L4が実施例4、そしてS2が比較例2についての安定評価結果を示す。
【0124】
感光体帯電器による感光体表面電位についても、比較例2に比べ、実施例3及び実施例4では初期からの変動(低下)が少ないことが分かる。
【0125】
200時間駆動後にBW比50%のハーフ画像を出力しても、比較例2では濃度ムラが発生していたが、実施例3及び実施例4では濃度ムラのない良好な画像となった。
【0126】
上述のように、本実施形態に係る画像形成装置によれば、現像剤保持部材に対向して配置したコロナ帯電器を加熱する加熱手段を有する。
【0127】
これにより、キャリア液にトナーを分散させた湿式現像剤を用いた画像形成装置において、現像剤保持部材に対向して配置したコロナ帯電器に付着したキャリア液を揮発させ、キャリア液汚れによる帯電能低下を防ぎ、長期に渡り画像を安定させることができる。
【0128】
なお、上述の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0129】
1 感光体
2 感光体帯電器
3 露光装置
4 現像装置
5 中間転写体
6 転写ローラ
7 記録媒体
8 感光体クリーニング装置
9 中間転写体クリーニング装置
10 一次転写前帯電器
11 二次転写前帯電器
12 定着器
41 現像ローラ
42 現像剤槽
43 現像前帯電器
44 現像クリーニング前帯電器
45 現像クリーニング装置
46 加熱部材
47 空気搬送管
48 熱風送風口
49 排気口
81 感光体クリーニング前帯電器
91 中間転写体クリーニング前帯電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーをキャリア液に分散させた湿式現像剤を用いて潜像を現像し、トナー像を形成する画像形成装置において、
前記湿式現像剤の薄層を担持する現像剤保持部材と、
前記現像剤保持部材に対向して配置したコロナ帯電器と、
前記コロナ帯電器を加熱する加熱手段と、を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
現像されたトナー像を記録媒体に定着する定着器を有し、
前記加熱手段は、前記定着器の熱を利用して前記コロナ帯電器を加熱する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記コロナ帯電器の加熱により揮発した前記キャリア液を回収するため、前記コロナ帯電器の近辺に設けた排気口を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記加熱手段は、エンドシーケンスで、または所定の間隔毎に前記コロナ帯電器を加熱する
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記加熱手段は、熱風を前記コロナ帯電器に当てて加熱する
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記加熱手段は、加熱部材を有し、
該加熱部材を前記コロナ帯電器に接触させて加熱する
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像剤保持部材は、表面に潜像形成するための感光体であり、
前記コロナ帯電器は、前記感光体の表面を帯電する感光体帯電器である
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記現像剤保持部材は、現像に供する湿式現像剤を表面に担持する現像ローラであり、
前記コロナ帯電器は、前記現像ローラの表面の現像前のトナーを荷電する現像前帯電器である
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記現像剤保持部材は、現像に供する湿式現像剤を表面に担持する現像ローラであり、
前記コロナ帯電器は、前記現像ローラの表面の現像後残留したトナーを除去しやすくするため荷電する現像クリーニング前帯電器である
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−197216(P2011−197216A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62110(P2010−62110)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】