説明

画像形成装置

【課題】単一の駆動源からの動力伝達経路が複数設定されている場合に、一方の駆動経路では駆動力の段接に関係なく同じ方向への駆動が維持される構成を備えた駆動装置を提供する。
【解決手段】単一駆動源Mに対して異なる動力伝達経路G,G’が設定され、該動力伝達経路の出力位置に設けられている被駆動部材9を駆動する駆動装置105において、前記動力伝達経路の一つGには常に同じ方向への移動を行う部材9が、そして該動力伝達経路の他の一つG’には前記駆動源Mの正逆駆動に応じて相反する方向に移動する部材102がそれぞれ設けられ、前記駆動源Mの正逆駆動に拘わらず、前記動力伝達経路の一つGに位置する部材9に対して同じ方向への移動を行わせる方向の動力を伝達する構成106を備えていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、さらに詳しくは、像担持体に形成されるトナー像の検知センサを対象とした遮蔽部材の駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラー画像形成装置のプリント速度の向上及び高画質化の要望が急激に高まっている。その要望を満たすために、いわゆる4連タンデム方式の画像形成装置が主流となりつつある。4連タンデム方式は、像担持体及び現像装置等からなる作像ユニットを4つ(4色分)搬送ベルトあるいは転写ベルト等のベルト装置に対向させて並べ、像担持体上のトナー像を転写紙又は転写ベルト上に順次転写させるものであり、短時間でフルカラー画像が得られることを特徴としている。とりわけ後者である転写ベルト上にトナー像を転写させた後に転写紙上へ転写させる中間転写方式がプリント速度及び高画質化を両立すべく昨今の画像形成装置において主流となっている。
【0003】
一方、4連タンデム方式は、4色の画像を正確に重ねないと色ずれが発生してしまい、画像品質を低下させるという問題がある。この問題を解決させるため転写ベルト上にトナー像を転写しそのトナー像を光学センサで検出し、その検出情報を元に書き込みタイミングを変化させる、いわゆる色ずれ補正手段が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかし機内に飛散したトナー等によってセンサが汚れてしまうと検出精度の劣化となってしまう。これを防止するため、センサをシャッターで覆いトナー像検出時のみシャッターを開くようにした構成が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2には、シャッターを開閉させるための機構として、ソレノイドを用いた構成が開示されている。
【0005】
シャッターの開閉機構として、単一の駆動モータを用い、このモータからの駆動力の伝達経路において、シャッターを開閉させるカムの駆動経路とレジストローラへの駆動経路とを設定し、各駆動経路への入力側に一方向クラッチを設けて駆動経路への伝達方向を切り換えるようにした構成が提案されている(例えば、特許文献3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シャッター開閉機構や、2次転写ローラの接離機構を動作させるために、別途メカトロパーツ(ソレノイドやブラシモータ)が必要となるため、コストアップ及び消費電力アップとなっていた。メカトロパーツの追加は信頼性の面からも不利となっていた。また、装置も大型化する虞がある。
【0007】
一方、特許文献3に開示されている構成では、異なる機能を有する部材への駆動源を必要最小限とする利点がある反面、その駆動源を用いて常に稼働状態とすべき部材への動力伝達が行えないという不具合がある。つまり、シャッターへの駆動伝達はカムの位相設定が必要であることから、位相切り換えをモータの正逆回転により設定できるが、画像形成装置に設けられている定着ローラのように、モータの正逆回転に拘わらず、常に同じ方向への回転を維持する必要がある部材への動力伝達は、一方向クラッチの段接動作によって行えなくなる虞がある。
【0008】
本発明の目的は、上記従来の駆動装置における問題に鑑み、単一の駆動源からの動力伝達経路が複数設定されている場合に、一方の駆動経路では駆動力の段接に関係なく同じ方向への駆動が維持される構成を備えた駆動装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)単一駆動源に対して異なる動力伝達経路が設定され、該動力伝達経路の出力位置に設けられている被駆動部材を駆動する駆動装置において、
前記動力伝達経路の一つには常に同じ方向への移動を行う部材が、そして該動力伝達経路の他の一つには前記駆動源の正逆駆動に応じて相反する方向に移動する部材がそれぞれ設けられ、前記駆動源の正逆駆動に拘わらず、前記動力伝達経路の一つに位置する部材に対して同じ方向への移動を行わせる方向の動力を伝達する構成を備えていることを特徴とする駆動装置。
(2)前記動力伝達経路には、複数のギヤを備えたギヤ列が設けられ、該ギヤ列の入力側には、前記駆動源の駆動方向に応じて各ギヤ列のいずれかに駆動力を伝達する伝達切り換え手段が設けられていることを特徴とする(1)に記載の駆動装置。
(3)前記各動力伝達経路の一つに設けられているギヤ列は、前記駆動源の駆動方向に拘わらず、前記同じ方向への移動を可能にする数のギヤが組み合わされていることを特徴とする(1)または(2)に記載の駆動装置。
(4)前記伝達切り換え手段は、前記駆動源に連動可能な揺動部材を備え、該揺動部材の揺動端側には、前記駆動源の駆動方向に応じた揺動方向により該駆動源側のギヤとの噛み合い状態が切り換えられる入力ギヤが設けられ、該入力ギヤは、該駆動源側のギヤと噛み合うことで前記ギヤ列のいずれかに動力伝達を行うことを特徴とする(1)または(2)に記載の駆動装置。
(5)前記ギヤ列の最終段のギヤには、前記駆動源の駆動方向のうちで一方向には所定量のみの回動を許容し、一方向と反対方向への回動時には回動停止状態を維持するクラッチに設けられた作動ギヤが噛み合わされていることを特徴とする(4)に記載の駆動装置。
(6)請求項1乃至5のうちの一つに記載の駆動装置を備えた画像形成装置において、
前記動力伝達経路の一つには、前記ギヤ列の最終段のギヤに噛み合うギヤを備えた定着装置が配置され、該動力伝達経路の他方には、前記ギヤ列の最終段に位置するギヤに噛み合うことで一方向への所定量の回転を許容されるとともに一方向と反対方向への回転を停止される作動ギヤを備えて該作動ギヤの回転方向選択により往復動可能なシャッターが配置され、前記駆動源の駆動方向に拘わらず前記定着装置に装備されている部材が同じ方向に駆動されることを特徴とする画像形成装置。
(7)前記シャッターは、濃度検知センサを対象として該濃度検知センサを外部に露呈する位置と覆う位置とに往復動可能な部材であることを特徴とする(6)に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、単一の駆動源による異種方向への動力伝達を行う際に、動力伝達経路の選択に拘わらず、常に同じ方向への駆動が必要な経路に設けられている部材に対しては、ギヤ列の切り換え選択により駆動を維持することができる。これにより、駆動源の駆動方向により正逆方向に移動する部材と常に同じ方向へ移動する部材との異種駆動形式を単一駆動源を用いて行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による駆動装置が適用される画像形成装置を示す図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジの構成を説明するための模式図である。
【図3】図1に示した画像形成装置に用いられるセンサユニットとこれのシャッター装置の配置構成を説明するための図である。
【図4】本発明による駆動装置の要部構成を説明するための図である。
【図5】図4に示した駆動装置の一態様を示す図である。
【図6】本発明による駆動装置の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】図3に示したセンサユニットの一部変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面により本発明を実施するための形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明による画像形成装置を示す図であり、同図に示されている画像形成装置1は、色毎の作像部が中間転写体として用いられる転写ベルトお展張方向に並置されたタンデム方式のカラープリンタである。
【0014】
図1においてカラープリンタ1の筐体本体1Aの内部には、複数の色画像を形成するための作像ユニット2,3,4,5が並置されている。なお、図1においては、作像ユニットの符号2,3,4,5の並び順でイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの画像がそれぞれ形成されるようになっている。
【0015】
作像ユニット2,3,4,5は、原稿画像あるいは画像情報に基づく色と補色関係にあるトナーを用いた画像を形成するためのユニットであり、並置方向に沿った展張方向を有するベルトが用いられる中間転写体6Aを有する転写装置6に対向して配置されている。
【0016】
作像ユニット2,3,4,5は、カラープリンタ1の筐体本体1Aに着脱可能に設けられていずれも同じ構成からなり、後で図2によりその詳細を説明する。
【0017】
一方、カラープリンタ1の筐体本体1A内には、各作像ユニット2,3,4,5の感光体と対向する位置に転写装置6が配置されている。
転写装置6は、作像ユニット2,3,4,5の並置方向に沿った展張部を有する中間転写体6Aと、中間転写体6Aを挟んで感光体と対向する位置に設けられている転写バイアス装置6Bとを備えている。
【0018】
転写装置6の下方には、給紙装置7が設けられており、給紙装置7は、給紙カセット7A内に収容されている記録紙Sを繰り出しローラ7Bによって繰り出し、繰り出された記録紙Sをレジストローラ8を介してレジストタイミングを設定した上で各作像ユニットに対する転写位置に向け給送するようになっている。
【0019】
筐体本体1Aの内部において作像ユニットと転写装置6との対向位置を記録紙が通過した位置には定着装置9が配置されており、記録紙上に転写されたトナー像を熱と圧力により融着するようになっている。
【0020】
定着された記録紙Sは、排紙装置10を介して筐体本体1Aに設けられている排紙トレイ1Bに向け排出される。なお、図1において符号11は、書込ユニットを示している。
【0021】
図2はイエロー画像を形成可能な作像ユニット2を対象として示す図であるが、他の作像ユニットも同じ構成である。
【0022】
図2において作像ユニット2には、図示矢印方向に回転する感光体20に形成された静電潜像を可視像処理するための現像装置30,転写後の感光体20に残存しているトナーを回収するクリーニング装置40が同一空間内に設けられている。クリーニング装置40の構成について簡単に説明すると、クリーニング装置40は、感光体20に当接して残留トナーを掻き取るクリーニングブレード40A、40Bおよび除電ローラ40Cを備え、感光体20から除去されたトナーは、回収スクリューなどの搬送部材40Dにより現像装置30の現像剤供給部35A2に向け移送されてリサイクル利用される。
【0023】
現像装置30は、表面に現像剤を担持して感光体20の現像に用いられる現像剤を担持することができる現像スリーブ31と、現像スリーブ31と当接して回転自在に設けられたローラかなる現像剤供給部材32と、現像スリーブ31の表面に担持されている現像剤の層厚を規定するドクターブレード33と、現像剤供給部材32が位置する現像剤供給部35A2内で現像剤を撹拌する回転自在のパドルなどが用いられる攪拌部材34と、現像剤補給手段35とを備えている。
【0024】
現像剤補給手段35は、現像剤供給部材32の上方に配置された縦長状の現像剤収納部に相当する現像剤貯留槽35Aの下部に形成されている排出口35A1近傍において矢印で示すように時計方向に回転可能な現像剤補給部材35Bと、現像剤貯留槽35A内に収容されている現像剤を現像剤排出口35A1に向けて移送する回転自在の現像剤搬送部材35Cとを備えている。
【0025】
現像剤補給手段35は、現像剤供給部材32に対して現像剤の負荷を軽減するようになっており、そのための構成として、現像剤補給部材35Bと排出口35A1に一体化されているシート36とが用いられる。
【0026】
一方、図1に示したカラープリンタ1には、作像される画像同士の色ずれや濃度制御の際に中間転写体に形成されるトナーパッチを検知する濃度検知センサ100が設けられている。
【0027】
濃度検知センサ100は、図1に示すように、中間転写体1Aにおける定着装置9の近傍に配置されたセンサユニット101に装備されている。
【0028】
図3は、センサユニット101の配置構成を示す図であり、同図においてセンサユニット101には、中間転写体6Aに対向する面で、中間転写体6Aの緯度方向と直角な方向に沿った長手方向に複数の濃度検知センサ100が配置されている。
【0029】
濃度検知センサ100の上方には、濃度検知センサ100の配置位置に対応して開口102Aが設けられているシャッター102が配置されている。
【0030】
シャッター102は、シャッターユニットの長手方向と直角な方向に往復動することで開口102Aを濃度検知センサ100に対向させる位置と濃度検知センサ100を遮蔽する位置とに移動できるようになっている。なお、図3において符号102Cはバネを示しており、バネ102Cは、後述する駆動装置により濃度検知センサ100を遮蔽する位置に開口102Aを移動させる習性をシャッター102に付与している。
【0031】
シャッター102には、その長手方向両端に長手方向と直角な方向にラック102Bが形成されており、ラック102Bには、メカクラッチ103の回転軸に一体化されたピニオンギヤ104が噛み合っている。なお、メカクラッチ103に関しては後で説明する。
【0032】
シャッター102は、図4,5において説明する駆動装置105により回転駆動されることで、濃度検知センサ100が外部に露呈する位置に開口102Aを移動させる場合と濃度検知センサ100を遮蔽する位置に開口102Aを移動させる場合とが選択されるようになっている。
【0033】
図4は、駆動装置105の構成を説明するための模式図である。
図4において駆動装置105は、単一の駆動モータMと、この駆動モータMからの駆動伝達経路が2経路に設定されているギヤ列G、G’とを備え、ギヤ列G、G’の入力側には、駆動モータMに連動するモータギヤG1が設けられている。
【0034】
ギヤ列は、符号Gで示す定着側ギヤ列と、符号G’で示すセンサ側ギヤ列とされており、定着側ギヤ列Gには、モータギヤG1に噛み合う第1段ギヤG2を入力側のギヤとして、定着装置の定着ローラ(図示されず)に一体の定着ギヤ9Gを出力側とし、その間に複数のアイドルギヤG3、G6が配置されている。
【0035】
センサ側ギヤ列G’には、モータギヤG1に噛み合う第1段ギヤG2’および定着ギヤ9Gに至る間に複数のアイドルギヤG3,G4が含まれており、定着ギヤ)Gに至る途中で第1段ギヤG2’の近傍には、符号G3’で示すアイドルギヤの一つと噛み合わない位置で第1段ギヤG2’との噛み合い状態が切り換えられるセンサギヤ103Gが配置されている。
【0036】
センサギヤ103Gは、図3に示したメカクラッチ103の入力側ギヤに相当しており、ピニオンギヤ104への動力伝達を行うギヤとして用いられる。
【0037】
駆動モータMの出力軸には、メカクラッチ103を介して揺動可能な伝達切り換え手段106(図4参照)が設けられている。
【0038】
伝達切り換え手段106の揺動端には、互いに噛み合うことのない位置に、ギヤ列の入力側に位置する第1段ギヤG2、G2’が支持されている。
【0039】
ギヤ列は、符号Gで示す定着側ギヤ列と、符号G’で示すセンサ側ギヤ列とされており、定着側ギヤ列Gには、モータギヤG1に噛み合う第1段ギヤG2を入力側のギヤとして、定着装置の定着ローラ(図示されず)に一体の定着ギヤ9Gを出力側とし、その間に複数のアイドルギヤG3、G6が配置されている。
【0040】
センサ側ギヤ列G’には、モータギヤG1に噛み合う第1段ギヤG2’に対して常時噛み合うアイドルギヤG3’、G4および、アイドルギヤの初段側に位置するアイドルギヤG3’と噛み合わない位置に配置されたセンサギヤ103Gが設けられている。
【0041】
センサギヤ103Gは、図3に示したメカクラッチ103の入力側に相当しており、ピニオンギヤ104への動力伝達を行うギヤとして用いられる。
【0042】
駆動モータMの出力軸M1には、メカクラッチ103を介して揺動可能な伝達切り換え手段106が設けられている。
【0043】
伝達切り換え手段106の揺動端には、互いに噛み合うことのない位置に、ギヤ列の入力側に位置する第1段ギヤG2、G2’が支持されている。
【0044】
メカクラッチ103は、詳細を図示しないが、図5に示すように、後述する伝達切り換え手段106を、定着ギヤ列Gにおける第1段ギヤG2とアイドルギヤG3とが噛み合うように揺動させる方向に回転する場合には、シャッター103に装備されているバネ102Cの付勢により上記噛み合いを維持し、図4に示すように、センサ側ギヤ列G’における初段側のアイドルギヤG3’とセンサギヤ103Gとの両方に第1段ギヤG2’が噛み合うように揺動させる方向に回転する場合には、その噛み合いが開始された角度以上になるとスリップすることでそれ以上の揺動が行われないまま噛み合いが維持される機能を有している。
【0045】
従って、伝達切り換え手段106は、図4に示すように、センサ側ギヤ列G’の第1段ギヤG2’と符号G3’で示す初段側のアイドルギヤとの両方に噛み合いが行える方向に駆動モータMからの回転力が伝達され、噛み合いが開始されるとそれ以上の揺動はスリップにより進行しないまま噛み合いを維持するようになっている。
【0046】
また、伝達切り換え手段106は、上述した方向と逆方向に揺動すると、図5に示すように、定着ギヤ列Gの第1段ギヤG1とアイドルギヤG2とが噛み合い、定着ギヤ9Gに回転が伝えられる方向に駆動モータMからの回転力が伝達され、シャッター102に設けられているバネ102Cの付勢によりその噛み合いを維持するようになっている。
【0047】
伝達切り換え手段106は、駆動モータMの回転方向に相当する駆動方向により、定着側ギヤ列Gの第1段ギヤG2がアイドルギヤのうちの入力側に位置するアイドルギヤG3に噛み合うように揺動した状態を初期状態、つまり、通常の画像形成時での状態とされており、この状態から駆動モータMの駆動方向に応じてセンサ側ギヤ列G’の第1段ギヤG2’がセンサギヤ103Gに噛み合う方向に揺動できるようになっている。
【0048】
従って、伝達切り換え手段106は、画像形成時には、図5に示すように、定着側ギヤ列Gの第1ギヤG2とアイドルギヤG3とが噛み合う状態を維持され、シャッター102の開口102Aを開口して濃度検知センサ100を露呈させる場合には、図4に示すように、センサ側ギヤ列G’の第1段ギヤG2’がセンサギヤ103Gに噛み合う状態を設定される。このため、各ギヤ列G、G’には、駆動モータMの回転方向に拘わらず、定着ギヤ9Gの回転方向が一定となるギヤ数が用いられている。
【0049】
以上のような実施例においては、画像形成時および濃度検知作業時のいずれにおいても、駆動ギヤGの駆動力が定着ギヤ9Gに伝達される。つまり、定着側ギヤ列では、第1段ギヤG2の回転がアイドルギヤG3、G6を介して定着ギヤ9Gに伝えられ、センサ側ギヤ列G’では、第1段ギヤG2’の回転がこの第1段ギヤG2’に噛み合うアイドルギヤG3’、G4およびG6を介して定着ギヤ9Gに伝えられる。
【0050】
各ギヤ列G、G’への動力伝達は、駆動モータMの回転方向を切り換えることにより行われる。つまり、画像形成時の駆動モータMの回転方向を正転とした場合、図6(A)に示すように、定着側への駆動経路を設定するべく、伝達切り換え手段106が初期位置に保持されているので、定着側ギヤ列Gの各ギヤにモータギヤG1の回転が伝えられ、定着ギヤ9Gが回転する。
【0051】
一方、濃度検知センサ100を稼働させる場合には、図示しない画像形成装置側の制御部から濃度検知タイミング指令が出力される。この場合のタイミング判別は、所定枚数の印字経過後等の情報が用いられる。
【0052】
図6(B)において、濃度検知タイミング背あると判別された場合には、駆動モータMが逆転を開始される。駆動モータMが逆転を開始すると、出力軸M1に装備されている伝達切り換え手段106が揺動してセンサ側ギヤ列G’の第1段ギヤG2をセンサギヤ103Gおよびセンサギヤ103Gの両方に対して同時に噛み合わせる。これにより、センサ側への駆動経路が設定される(S12)。
【0053】
センサ側ギヤ列G’の第1段ギヤG2’は、センサギヤ103Gに噛み合うと、センサギヤ103Gの回転がピニオンギヤ104に伝えられてシャッター102が往動させ、濃度検知センサ100の位置から開口102Aを外して濃度検知センサ100が外部に露呈する状態とする(S13)。
【0054】
濃度得検知が終了すると、駆動モータMが通常の画像形成時での回転方向に復帰する。駆動モータMが初期状態の回転方向に復帰すると、図4に示すような駆動経路が設定され、定着ギヤ9Gが回転を維持される。この場合には、駆動モータMが定着ギヤ9Gを所定方向に回転させる方向であり、このときには、シャッター102に設けられているバネ102Cの付勢により伝達切り換え部材106が定着側ギヤ列Gでのギヤの噛み合いを維持する状態とされる。なお、シャッター102の初期位置への復帰判別は、図3において符号STで示すリミットセンサなどの検知部材とシャッター102側に設けられた検知部との対応状態が用いられる。
【0055】
次に、シャッター102の要部変形例について説明する。
【0056】
シャッター102における濃度検知センサ100と対向する面には、図7に示すように、シャッター102の往復動を利用して濃度検知センサ表面を清掃できるブラシ部材BRが設けられている。これにより、特別な清掃部材駆動機構を要することなく、既存のシャッター102を利用するだけで濃度検知センサ100の清浄化が可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置
9 定着装置
9G 定着ギヤ
100 濃度検知センサ
102 シャッター
102A 開口
103 メカクラッチ
103G センサギヤ
104 シャッター側のピニオンギヤ
105 駆動装置
106 伝達切り換え手段
G,G’ ギヤ列
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2006−91904号公報
【特許文献2】特開2004−138776号公報
【特許文献3】特開2009−8816号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一駆動源に対して異なる動力伝達経路が設定され、該動力伝達経路の出力位置に設けられている被駆動部材を駆動する駆動装置において、
前記動力伝達経路の一つには常に同じ方向への移動を行う部材が、そして該動力伝達経路の他の一つには前記駆動源の正逆駆動に応じて相反する方向に移動する部材がそれぞれ設けられ、前記駆動源の正逆駆動に拘わらず、前記動力伝達経路の一つに位置する部材に対して同じ方向への移動を行わせる方向の動力を伝達する構成を備えていることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記動力伝達経路には、複数のギヤを備えたギヤ列が設けられ、該ギヤ列の入力側には、前記駆動源の駆動方向に応じて各ギヤ列のいずれかに駆動力を伝達する伝達切り換え手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記各動力伝達経路の一つに設けられているギヤ列は、前記駆動源の駆動方向に拘わらず、前記同じ方向への移動を可能にする数のギヤが組み合わされていることを特徴とする請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記伝達切り換え手段は、前記駆動源に連動可能な揺動部材を備え、該揺動部材の揺動端側には、前記駆動源の駆動方向に応じた揺動方向により該駆動源側のギヤとの噛み合い状態が切り換えられる入力ギヤが設けられ、該入力ギヤは、該駆動源側のギヤと噛み合うことで前記ギヤ列のいずれかに動力伝達を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記ギヤ列の最終段のギヤには、前記駆動源の駆動方向のうちで一方向には所定量のみの回動を許容し、一方向と反対方向への回動時には回動停止状態を維持するクラッチに設けられた作動ギヤが噛み合わされていることを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちの一つに記載の駆動装置を備えた画像形成装置において、
前記動力伝達経路の一つには、前記ギヤ列の最終段のギヤに噛み合うギヤを備えた定着装置が配置され、該動力伝達経路の他方には、前記ギヤ列の最終段に位置するギヤに噛み合うことで一方向への所定量の回転を許容されるとともに一方向と反対方向への回転を停止される作動ギヤを備えて該作動ギヤの回転方向選択により往復動可能なシャッターが配置され、前記駆動源の駆動方向に拘わらず前記定着装置に装備されている部材が同じ方向に駆動されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記シャッターは、濃度検知センサを対象として該濃度検知センサを外部に露呈する位置と覆う位置とに往復動可能な部材であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−197294(P2011−197294A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63093(P2010−63093)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】