説明

画像形成装置

【課題】本発明の目的は、排出トレイに排出中のシートを冷却するとともに、排出トレイに積載されたシートの熱と重みによる貼り付きを防止することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】シート上に形成されたトナー画像を加熱して定着する定着部80と、トナー画像が定着されたシートを排出する排出ローラ対20と、排出されたシートを積載し、シートの積載量の増加に伴ってシート積載面が下降する排出トレイ21と、排出ローラ対20から排出されるシートに対して風を送るファン30と、ファン30からの風を排出ローラ対20から排出されるシートへのファンダクト31から分岐させて排出トレイ21の下部に送るための開口部35hと、開口部35hを開閉するためのシャッター部材40と、を備え、シートの積載量の増加に伴う排出トレイ21のシート積載面の下降とともに開口部35hが開放されるように、シャッター部材40が移動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタ等の画像形成装置において、積載部に排出されたシート同士が貼り付くのを防止するために、積載部に排出されたシートを効率的に冷却する手段を設けた技術が知られている(特許文献1参照)。また、装置本体内の昇温により発生する画像不良を防止するために、風量を変化させる風量変化手段を設けた技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−256707号公報
【特許文献2】特開平06−003917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、排出されるシートの後端側は、それ以外の部分に比べて、冷却時間(風が当てられている時間)が短いため、冷却が不十分となってしまう。そのため、積載されたシートの下の方のシートの後端側は、熱と重みで貼り付きが発生しやすくなる。特に、積載部にシートを大量に積載する場合、下の方のシートはその上に積載されたシートの熱と重みでさらに貼り付きが発生しやすくなる。
【0005】
積載部のシート積載量が大容量になると、積載部を昇降させる構成が必要となる。すると、装置本体と昇降可能な積載部との間には、積載部を昇降させるための空間が設けられる。しかしながら、装置本体と積載部との空間が大きい状態では、特許文献1の技術によって直接積載部を冷却することができないため、前記シート後端側の冷却が不十分となってしまう。そのため、積載部へのシートの積載量が増加するほど、積載部に積載された下の方のシートは、熱と重みでさらに貼り付きが発生しやすくなる。
【0006】
本発明の目的は、積載部に排出中のシートを冷却するとともに、積載部に積載されたシートの熱と重みによる貼り付きを防止することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、シート上に形成されたトナー画像を加熱して定着する定着手段と、トナー画像が定着されたシートを排出する排出部と、排出されたシートを積載し、シートの積載量の増加に伴ってシート積載面が下降する積載部と、前記排出部から排出されるシートに対して風を送る送風手段と、を備えた画像形成装置において、前記送風手段からの風を前記排出部から排出されるシートへの送風路から分岐させて前記積載部の下部に送るための開口部と、前記開口部を開閉するための開閉部材と、を備え、シートの積載量の増加に伴う前記シート積載面の下降とともに前記開口部が開放されるように、前記開閉部材が移動されることを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シートの積載量の増加に伴って積載部が下降し、その積載部の下降とともに開閉部材が移動されて開口部が開放されるため、積載部の下部の空間を効率的に冷却することが可能となる。これにより、排出中のシートを冷却するとともに、積載部上に積載されたシートも積載部の下側から冷却し、積載シートの重みによる貼り付きを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)、(b)は第1実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
【図2】第1実施形態に係る排出部を示す斜視図である。
【図3】(a)、(b)は第1実施形態に係る排出部を示す斜視図である。
【図4】(a)、(b)は第1実施形態に係る排出部を示す断面図である。
【図5】(a)、(b)は第2実施形態に係る排出部を示す斜視図である。
【図6】(a)、(b)は第2実施形態に係る開閉部材を示す斜視図である。
【図7】(a)、(b)は第2実施形態に係る排出部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
〔第1実施形態〕
[画像形成装置の全体構成]
はじめに、画像形成装置の全体構成について、図1を参照して概要を説明する。尚、図1(a)、図1(b)は画像形成装置100の全体構成を示す縦断面図である。
【0012】
図1(a)に示す画像形成装置100は、シートに画像を形成する画像形成部を有している。ここでは、画像形成部は、以下に説明する、プロセスカートリッジ7、中間転写ベルトユニット70、二次転写ローラ16などによって構成されている。さらに画像形成装置100は、定着手段としての定着部80、排出部としての排出ローラ対20、積載部としての排出トレイ21、及び、送風手段としてのファン30を有している。以下、詳しく説明する。
【0013】
図1(a)に示す画像形成装置100には、複数個(ここでは4個)のプロセスカートリッジ(以下、カートリッジという)7a,7b,7c,7dが装着されている。また、カートリッジ7a,7b,7c,7dは、画像形成装置100に対して着脱可能に装着されている。
【0014】
ここで、各カートリッジ7a,7b,7c,7dは、同一構造であるが、異なる色のトナー(ここではイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色)による画像を形成する点で相違している。カートリッジ7a,7b,7c,7dは、現像ユニット4a,4b,4c,4dと、クリーナユニット5a,5b,5c,5dによって構成されている。このうち現像ユニット4a,4b,4c,4dは、現像ローラ24a,24b,24c,24dと、現像剤塗布ローラ25a,25b,25c,25dと、トナー容器とを有している。一方、クリーナユニット5a,5b,5c,5dは、像担持体である感光体ドラム1a,1b,1c,1dと、帯電手段(以下、帯電ローラ)2a,2b,2c,2dと、クリーニングブレード8a,8b,8c,8dと、廃トナー容器とを有している。
【0015】
感光体ドラム1a,1b,1c,1dは、中空の円筒部材(例えば金属製シリンダなど)の外周面に有機光導伝体層(OPC)を塗布して構成した感光体である。そして、その両端部をフランジによって回転自在に支持されており、一方の端部に駆動モータ(不図示)から駆動力を伝達することにより、図1(a)の矢印に示す時計回り方向に回転駆動される。
【0016】
また、帯電ローラ2a,2b,2c,2dは、ローラ状に形成された導電性ローラであり、感光体ドラム1a,1b,1c,1dの表面に当接し作用する。そして、帯電ローラ2a,2b,2c,2dを、電源(不図示)によって帯電バイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム1(1a,1b,1c,1d)の表面を一様に帯電している。
【0017】
また、露光手段であるスキャナユニット3は、カートリッジ7a,7b,7c,7dの鉛直下方に配置され、画像信号に基づく露光を感光体ドラム1a,1b,1c,1dに対して行う。現像ローラ24a,24b,24c,24dは、駆動部(不図示)により回転駆動されるとともに、現像バイアス電源(不図示)により現像バイアス電圧を印加される。
【0018】
上述の構成により、感光体ドラム1a,1b,1c,1dは、帯電ローラ2a,2b,2c,2dによって所定の負極性の電位に帯電された後、スキャナユニット3によってそれぞれ静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像ユニット4a,4b,4c,4dによって反転現像されて負極性のトナーが付着され、それぞれY,M,C,Bk色のトナー像が形成される。
【0019】
また、中間転写ベルトユニット70は、中間転写ベルト(中間転写体)71が駆動ローラ72、テンションローラ73によって張架されている。そして、テンションローラ73が矢印E方向に張力をかけている。中間転写ベルト71は、駆動ローラ72が回転駆動することにより、矢印F方向に回転される。また、各感光体ドラム1a,1b,1c,1dに対向して、中間転写ベルト71の内側に一次転写ローラ74a,74b,74c,74dが配設されており、バイアス印加手段(不図示)により転写バイアスを印加する構成となっている。
【0020】
感光体ドラム1a,1b,1c,1d上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ74a、74b、74c、74dに正極性のバイアスを印加することにより、中間転写ベルト71上に一次転写される。各感光体ドラム上のトナー像は、感光体ドラム1a上のトナー像から順次、中間転写ベルト71上に一次転写され、4色のトナー像が重なった状態で二次転写部15まで搬送される。
【0021】
給送装置13は、記録媒体であるシートSを収納する給送カセット11内からシートSを給送する給送ローラ9と、給送されたシートSを搬送する搬送ローラ対10とを有している。
【0022】
給送カセット11は、図1(a)において本体手前方向へ引き抜くことが出来る構成になっている。そして、ユーザは給送カセット11を引き抜き、画像形成装置100の装置本体から取り外した後、シートSをセットし、画像形成装置100の装置本体へ挿入することでシート補給が完了する。給送カセット11に収納されたシートSは、給送ローラ9に圧接され、分離バッド23によって一枚ずつ分離され、搬送される。そして、給送装置13から搬送されたシートSは、レジストローラ対17によって二次転写部15に搬送される。
【0023】
二次転写部15において、中間転写ベルト71を介して、駆動ローラ72に対向して、二次転写ローラ16が配設されており、バイアス印加手段(不図示)により転写バイアスを印加する構成となっている。二次転写部15において、二次転写ローラ16に正極性のバイアスを印加することにより、搬送されたシートSに、中間転写ベルト71上の4色のトナー像を二次転写する。
【0024】
定着手段である定着部80は、シートS上に形成したトナー画像に熱及び圧力を加えてトナー画像を定着させるものである。
【0025】
81は円筒状の定着ベルトであり、ヒータ等の発熱手段を接着したベルトガイド部材83にガイドされている。82は弾性加圧ローラであり、定着ベルト81を挟み、ベルトガイド部材83と所定の圧接力をもって所定幅の定着ニップ部Nを形成している。加圧ローラ82が不図示の駆動手段により回転駆動され、それに伴って円筒状の定着ベルト81が回転し、内部ヒータ(不図示)により定着ベルト81は加熱される。定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がった状態において、画像形成部から搬送された未定着トナー画像が形成されたシートSが定着ニップ部Nの定着ベルト81と加圧ローラ82との間に画像先端が上側、即ち定着ベルト面に対向するように導入される。そして、定着ニップ部Nにおいて、画像面が定着ベルト81の外面に密着して定着ベルト81と一緒にシートSが挟持搬送されていく過程において定着ベルト81内のヒータ等の熱で加熱され、シートS上の未定着トナー画像が加熱定着される。
【0026】
一方、トナー像の一次転写後に、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)表面に残ったトナー(残トナー)は、クリーニングブレード8a,8b,8c,8dによって除去される。そして、除去されたトナーは、クリーナユニット5a,5b,5c,5d内の廃トナー容器に回収される。
【0027】
また、シートSへの二次転写後に中間転写ベルト71上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニング装置22によって除去される。そして、除去されたトナーは、廃トナー搬送路(不図示)を通過し、画像形成装置100の奥側に配置された廃トナー回収容器(不図示)へと回収される。
【0028】
そして、前述の如くして定着されたシートSは、排出ローラ対20によって排出トレイ(積載部)21上に排出される。排出トレイ21は、前記画像形成部の上部の装置上面に移動可能に設けられている。排出トレイ21は、シートの積載量の増加に伴ってシート積載面が下降するように設けられている。ここでは、排出トレイ21は、トレイヒンジ33を中心に揺動可能に支持され、トレイバネ32により上方に向けて付勢支持された揺動トレイとなっている。
【0029】
排出トレイ21のシート積載面は、シート積載面上にシートSが積載されていない状態では、図1(a)に示す第1の位置(図1(a)中の最上位置21a)より上昇しないようにトレイストッパー34により位置規制されている。また、排出トレイ21は、シート積載面上にシートSが積載され、その積載量(シートSの積載枚数)が増すに連れて、トレイヒンジ33が揺動中心となりトレイバネ32が撓み、図1(b)に示すようにシート積載面が徐々に下降する。そして、排出トレイ21上がシートSで満たされてくると、排出トレイ21のシート積載面は図1(b)に示す第2の位置(図1(b)中の最下位置21b)まで下降する。
【0030】
さらに画像形成装置100の装置本体には、送風手段としてのファン30、及び、送風路としてのファンダクト31が配設されており、ファン30による風を、ファンダクト31を通して、定着部80を通り、排出ローラ対20から排出されるシートSに対して送る。これにより、排出中のシートSに対して矢印Y方向で示す風向・風量で風を当て冷却することができ、排出トレイ21上でシートS同士が貼り付くのを防止することができる。
【0031】
また、図1(a)及び図1(b)において、60は装置上面に設けた排出トレイ21の下部の空間を示している。排出トレイ21のシート積載面上のシートSの積載量、すなわち移動可能な排出トレイ21のシート積載面の位置により、前記空間60は広くなったり狭くなったり変化する。
【0032】
[エアーフロー分岐構成の説明]
次にエアーフローの分岐構成について説明する。図2及び図3は、画像形成装置における排出トレイ部を左斜め前方から示した斜視図である。
【0033】
図2は、排出トレイ21のシート積載面上にシートSが積載されていない状態を示している(以下、この状態の排出トレイの位置を21aとする)。図3(a)は、排出トレイ21のシート積載面上にシート(不図示)がいくらか積載されている状態を示している(以下、この状態の排出トレイの位置を21cとする)。図3(b)は、排出トレイ21のシート積載面上にシート(不図示)が多量に積載された状態を示している(以下、この状態の排出トレイの位置を21bとする)。
【0034】
ダクト壁35aはファンダクト31の一部である。ダクト壁35aには、排出されるシートへの送風路の途中に設けられ、ファン30からの風を排出トレイ21の下部の空間60に送るための開口部35hと、排出トレイ21を移動可能に支持するトレイスライド穴35kが設けられている。開口部35hは、排出ローラ対21へのファンダクト31の途中に設けられている。排出トレイ21の先端部に設けられたトレイ先端部21sは、トレイスライド穴35kの範囲内で上下方向に移動し、排出トレイ21のシート積載面の高さが変化する。また、トレイスライド穴35kの上部は、トレイ先端部21sの上方向への移動を制限するトレイストッパー35s(トレイストッパー34)の役目を果たしている。
【0035】
シャッター部材40は、開口部35hを開閉するための開閉部材である。シャッター部材40には、開口部40h、トレイ引掛け部40tが設けられている。そして、排出トレイ21の先端部に設けられたトレイ先端部21sが開いている。そのため、トレイ引掛け部40tの穴にトレイ先端部21sを通すことで、シャッター部材40と排出トレイ21とを直接連結している。これにより、シャッター部材40は、排出トレイ21の上下方向への移動とともに上下方向へ移動される。
【0036】
また、シャッター部材40の開口部40hとダクト壁35aの開口部35hの位置関係は、排出トレイ21上にシートSが積載されるにしたがって、図2及び図3に示すように変化する。図2に示すように、排出トレイ21上にシートSが積載されていない状態(排出トレイ21が最上位置21aのとき)は、シャッター部材40は最上位置40aであり、開口部40hと開口部35hは位相がずれている。排出トレイ21上にシートSが積載され排出トレイ21の高さが下がってくると(排出トレイが位置21cのとき)、シャッター部材40は位置40cとなり、図3(a)に示すように、開口部40hと開口部35hは位相が合い始める。即ち、開口部は徐々に開放され始める。排出トレイ21上にシートSが大量に積載され排出トレイ21の高さが最下位置付近になると(排出トレイが最下位置21bのとき)、シャッター部材40は最下位置40bとなり、図3(b)に示すように、開口部40hと開口部35hはほぼ一致する。即ち、開口部は全開放される。
【0037】
図4は排出トレイ21近傍を拡大した図である。図4(a)は、排出トレイ21上にシートSが積載されていない状態(21a,40a)の排出トレイ位置を示している。図4(b)は、排出トレイ21上にシートSが積載されている状態(位置21c、40cまたは位置21b、40b)の排出トレイの位置を示している。
【0038】
排出トレイ21上にシートSが積載されていない状態(位置21a,40a)では、図4(a)に示すように定着部80、排出ローラ対20を通った直後のシートSに対して矢印Y方向(風向)に風を当て冷却する。この状態では、ファンダクト31の途中に設けられた開口部35hはシャッター部材40によって閉じられているため、排出中のシートSに対する矢印Y方向の風の風量は最大となる。一方、排出トレイ21上にシートSが積載されている状態(位置21c、40cまたは位置21b、40b)では、図4(b)に示すようにファンダクト31内を通ってきた風を開口部35hにて分岐させ、排出トレイ21の下部の空間60に矢印W方向(風向)に送り込む。これにより、排出トレイ21の下部の空間60も冷却される。シートの積載量が増すに連れて排出トレイ21が徐々に下降し、排出トレイ21が徐々に下降するのにしたがってシャッター部材40が徐々に移動されて、前記開口部35hが徐々に開放される。この状態では、排出中のシートSに対する矢印Y方向の風の風量は、ファンダクト31の途中に設けられた開口部35hが開放された分だけ減少する。
【0039】
尚、前述したように、1つの冷却手段からの風を分岐させる構成としたことで、排出トレイ21上に積載されるシートSの積載量(S1,S2,S3,・・・Sn)が増すにつれて、矢印Y方向への風量は減少することになる。しかしながら、排出トレイ21上に積載されたシートS同士が貼り付きやすいのは、排出トレイ21上に積載されたシートSの重量・圧力を受ける、排出トレイ21に近い側のシート(S1,S2,S3,・・・)である。この排出トレイ21に近い側のシート(S1,S2,S3,・・・)が排出ローラ対20を通過する際には矢印W方向へ分岐される風の風量は少量で、相当量が矢印Y方向へ送られている。そのため、排出トレイ21に近い側のシート(S1,S2,S3,・・・)は十分に冷却されている。従って、排出トレイ21上に積載されたシートの積載量が増加し、矢印Y方向への風量が減少することになっても、矢印Y方向へ送風し、排出トレイ21上に積載されたシートS同士の貼り付きを防止するという本来の目的を損なってはいない。ここで、シートSは、S1,S2,S3,・・・Snの順で排出され、排出トレイ21に近い側からのS1,S2,S3,・・・の順であり、最上位のシートSがSnとなる。
【0040】
以上説明したように、シートの積載量が増すに連れて排出トレイ21が下降し、その排出トレイ21のシート積載面の下降とともにシャッター部材40が移動されて開口部35hが開放される。これにより、排出トレイ21の下部の空間60を効率的に冷却することが可能となる。このように、排出ローラ対20から排出中のシートSを冷却するとともに、排出トレイ21上に積載されたシートも排出トレイ21の下側から冷却することにより、シートの積載量の増加により発生するシートSの重みによる貼り付きを防止することができる。
【0041】
また、定着部80を通り、熱量の増加したシートが多数積載されて排出トレイ21の下部の空間60が高温になり、排出トレイ21の下部に位置する中間転写ベルト71が昇温することで生じる色ズレなどの画像不良を防止することが可能となる。また、排出トレイ21の下部に位置するカートリッジ7が昇温することで生じるカートリッジ内のトナーが固着するのを防止することが可能となる。
【0042】
また、排出トレイ21に排出されたシート同士の貼り付きを防止するための冷却を行うファン30及びファンダクト31を用いて、排出トレイ21の下部の空間60を効率的に冷却することができ、装置本体内の昇温を防止するための冷却も行うことができる。すなわち、部品点数を増加することなく、排出中のシートを冷却するとともに、排出トレイ21に積載されたシート同士の貼り付きを防止するための冷却も行うことができ、装置本体内の昇温を防止するための冷却も行うことができる。
【0043】
〔第2実施形態〕
本発明に係る第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。尚、画像形成装置の構成及び画像形成動作は、上述した第1実施形態と同様であり、本実施形態ではその説明を省略する。
【0044】
図5(a)は第2実施形態に係る排出トレイ周辺部を装置本体の右斜め前方から見た斜視図である。ファン30による風を排出ローラ対20に送るファンダクト31は、前述した実施形態と同様に、排出トレイ21の下部の空間60を通って排出ローラ対20から排出されるシートへの送風路である。排出トレイ21の下部の空間60における前記ファンダクト31には、ファン30による風を排出トレイ21の下部の空間60に送るための開口部31c(図6(b)参照)が排出されるシートへの送風路の途中に設けられている。なお、ダクト壁35aには、第1実施形態と異なり開口部35hは設けられていない。さらにファンダクト31の前記開口部31cの周辺には、バネ掛け部31a、スライド溝31bが設けられている。そして、前記開口部31cを開閉するための開閉部材としての開閉シャッター50が、前記スライド溝31b部をスライド移動するように設けられている。開閉シャッター50には、バネ掛け部50aが設けられており、開閉シャッターバネ53がファンダクト31側のバネ掛け部31aと前記バネ掛け部50aに掛けられている。
【0045】
そして、図5(b)に示すように、シャッターアーム52と開閉シャッター50とは、開閉シャッター50に設けられた回動軸穴50bとシャッターアーム52に設けられた回動軸52bとで回動可能に連結されている。さらに、シャッターアーム52とリンクアーム51とは、シャッターアーム52に設けられた回動軸52aとリンクアーム51に設けられた回動軸穴51bとで回動可能に連結されている。また、リンクアーム51と排出トレイ21とは、リンクアーム51に設けられた回動軸51aと排出トレイ21に設けられた回動軸穴21hとで回動可能に連結されている。すなわち、排出トレイ21と開閉シャッター50は、アーム部材としてのシャッターアーム52とリンクアーム51で連結されている。
【0046】
図6は、開閉シャッター50近傍を示した図である。図6(a)は、排出トレイ21上にシートSが積載されておらず、開閉シャッター50が閉じている状態を示した図である。図6(b)は、排出トレイ21上にシートSが積載され、開閉シャッター50が開いている状態を示した図である。
【0047】
排出トレイ21上にシートSが積載されると、図6(b)に示すようにリンクアーム51の一方の端が矢印A1方向に徐々に移動する。リンクアーム51の一方の端が矢印A1方向に徐々に移動すると、シャッターアーム52を介して、開閉シャッター50が矢印B1方向へ徐々に移動する。開閉シャッター50が矢印B1方向へ徐々に移動すると、ファンダクト31に設けられた開口部31cが徐々に拡大露出する。これにより、ファンダクト31内を流れている風の一部が矢印Zで示すように、開口部31cから排出トレイ21の下部の空間60へ流れるようになる。尚、排出トレイ21上に積載されているシートSを取り除くと、取り除いた量に応じて排出トレイ21のシート積載面の高さが変化し、リンクアーム51は、矢印A2方向へ徐々に移動する。リンクアーム51が矢印A2方向へ徐々に移動することで、開閉シャッター50は矢印B2方向へ徐々に移動し、開口部31cは狭くなる。
【0048】
図7は排出トレイ21近傍を示した図である。図7(a)は、図6(a)と同様に排出トレイ21上にシートSが積載されておらず、開閉シャッター50が閉じている状態を示した図である。図7(b)は、図6(b)と同様に排出トレイ21上に、シートSが積載され、開閉シャッター50が開いている状態を示した図である。
【0049】
排出トレイ21上にシートSが積載されていない状態(位置21a,40a)では、図7(a)に示すように定着部80、排出ローラ対20を通った直後のシートSに対して矢印Y方向(風向)に風を当て冷却する。この状態では、ファンダクト31の途中に設けられた開口部31cは開閉シャッター50によって閉じられているため、前記シートSに対する矢印Y方向の風の風量は最大となる。一方、排出トレイ21上にシートSが積載されている状態(位置21c、40cまたは位置21b、40b)では、図7(b)に示すようにファンダクト31内を通ってきた風を開口部31cにて分岐させ、排出トレイ21の下部の空間60に矢印Z方向(風向)に送り込む。これにより、排出トレイ21の下部の空間60も冷却される。シートの積載量が増すに連れて排出トレイ21が徐々に下降し、排出トレイ21が徐々に下降するのにしたがって開閉シャッター50が徐々に移動されて、前記開口部31cが徐々に開放される。この状態では、前記シートSに対する矢印Y方向の風の風量は、ファンダクト31の途中に設けられた開口部31cが開放された分だけ減少する。
【0050】
尚、前述したように、1つの冷却手段からの風を分岐する構成としたことで、排出トレイ21上に積載されるシートSの積載量(S1,S2,S3、・・・Sn)が増すにつれて、矢印Y方向への風量は減少することになる。しかしながら、排出トレイ21上に積載されたシートS同士が貼り付きやすいのは、排出トレイ21上に積載されたシートSの重量・圧力を受ける、排出トレイ21に近い側のシート(S1,S2,S3,・・・)である。この排出トレイ21に近い側のシート(S1,S2,S3,・・・)が排出ローラ対20を通過する際には矢印Z方向へ分岐される風の風量は少量で、相当量が矢印Y方向へ送られている。そのため、排出トレイ21に近い側のシート(S1,S2,S3,・・・)は十分に冷却されている。従って、排出トレイ21上に積載されたシートの積載量が増加し、矢印Y方向への風量が減少することになっても、矢印Y方向へ送風し、排出トレイ21上に積載されたシートS同士の貼り付きを防止するという本来の目的を損なってはいない。ここで、シートSは、S1,S2,S3,・・・Snの順で排出され、排出トレイ21に近い側からのS1,S2,S3,・・・の順であり、最上位のシートSがSnとなる。
【0051】
以上説明したように、シートの積載量が増すに連れて排出トレイ21が下降し、その排出トレイ21のシート積載面の下降とともに開閉シャッター50が移動されて開口部31cが開放される。これにより、排出トレイ21の下部の空間60を効率的に冷却することが可能となる。
【0052】
そのため、定着部80を通り、熱量の増加したシートが多数積載されて排出トレイ21の下部の空間60が高温になり、排出トレイ21の下部に位置する中間転写ベルト71が昇温することで生じる色ズレなどの画像不要を防止することが可能となる。また、排出トレイ21の下部に位置するカートリッジ7が昇温することで生じるカートリッジ内のトナーが固着するのも防止することが可能となる。
【0053】
また、排出トレイ21に排出されたシート同士の貼り付きを防止するための冷却を行うファン30及びファンダクト31を用いて、排出トレイ21の下部の空間60を効率的に冷却することができ、装置本体内の昇温を防止するための冷却も行うことができる。すなわち、部品点数を増加することなく、排出中のシートを冷却するとともに、排出トレイ21に積載されたシート同士の貼り付きを防止するための冷却も行うことができ、装置本体内の昇温を防止するための冷却も行うことができる。さらに、ファン追加の場合に問題となる消費電力、稼動音の増大といった諸問題の発生も防止することができる。
【0054】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、エアーフローを分岐させ、その風量を変化させる構成として、排出トレイと開閉部材とを機械的に連結して、シート積載量が増すにつれて開口部が開放される構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、フォトセンサ等の検知手段を用いて、シート積載量または排出トレイのシート積載面の高さ(位置)を検知し、シート積載量が増しまたは排出トレイのシート積載面の高さが低くなるにつれて開口部が開放される構成としても良い。このようにして、エアーフローを分岐させ、かつその風量を変化させるようにしても良い。
【0055】
また、前述した実施形態では、画像形成部として、4つのカートリッジ7、中間転写ベルトユニット70、二次転写ローラ16などによって構成されている画像形成部を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、中間転写ベルトユニット70、二次転写ローラ16の代わりに、記録媒体としてのシートを担持して搬送する記録媒体担持体を有するユニットを用いた画像形成部であっても良い。また、カートリッジの使用個数は限定されるものでもなく、必要に応じて適宜設定すれば良い。また、画像形成方法もカラーに限定されるものではなく、モノクロでも良い。さらに、画像形成方式として電子写真方式以外に、例えばインクジェット方式等の他の方式であっても良い。
【0056】
また前述した実施形態では、露光手段としてレーザースキャナ部を使用したが、これに限定されるものではなく、例えばLEDアレイ等を使用しても良い。
【0057】
また前述した実施形態では、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なカートリッジとして、感光体ドラムと、該感光体ドラムに作用するプロセス手段としての帯電手段,現像手段,クリーニング手段を一体に有するプロセスカートリッジを例示した。前記カートリッジは、これに限定されるものではなく、感光体ドラムの他に、帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうち、いずれか1つを一体に有するプロセスカートリッジであっても良い。或いは、前記カートリッジは、現像ローラを有し、前記現像ローラによって前記感光体ドラムに形成された静電潜像を現像するのに用いられる現像剤(トナー)を収納しており、前記本体に取り外し可能に装着される現像カートリッジであっても良い。尚、前記現像カートリッジの場合には、前記感光体ドラムは前記装置本体に取り付けられている。或いは、前記感光体ドラムは、前記カートリッジに設けられている(この場合には、プロセスカートリッジは、現像手段を有してはいない)。
【0058】
また前述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0059】
20 …排出ローラ対(排出手段)
21 …排出トレイ(積載部)
30 …ファン(送風手段)
31 …ファンダクト(送風路)
31c …開口部
32 …トレイバネ
33 …トレイヒンジ
35a …ダクト壁
35h …開口部
40 …シャッター部材(開閉部材)
50 …開閉シャッター(開閉部材)
51 …リンクアーム(アーム部材)
52 …シャッターアーム(アーム部材)
60 …空間
80 …定着部(定着手段)
100 …画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート上に形成されたトナー画像を加熱して定着する定着手段と、トナー画像が定着されたシートを排出する排出部と、排出されたシートを積載し、シートの積載量の増加に伴ってシート積載面が下降する積載部と、前記排出部から排出されるシートに対して風を送る送風手段と、を備えた画像形成装置において、
前記送風手段からの風を前記排出部から排出されるシートへの送風路から分岐させて前記積載部の下部に送るための開口部と、
前記開口部を開閉するための開閉部材と、を備え、
シートの積載量の増加に伴う前記シート積載面の下降とともに前記開口部が開放されるように、前記開閉部材が移動されることを特徴とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記積載部にシートが積載されていない状態では、前記開口部は前記開閉部材により閉じられており、シートの積載量が増すに連れて前記積載部が下降するのにしたがって前記開閉部材が徐々に移動されて前記開口部が徐々に開放されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記送風手段による風を前記排出部に送る送風路を有し、前記積載部は前記送風路をなす壁に移動可能に支持され、前記壁に前記開口部を設けるとともに、前記壁に支持された前記積載部と前記開閉部材とを直接連結したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記送風手段による風を前記排出部に送る送風路を有し、前記送風路は前記積載部の下部の空間を通って前記排出部に至る送風路であり、前記積載部の下部の空間における前記送風路に前記開口部を設けるとともに、前記積載部と前記開閉部材とをアーム部材で連結したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−227319(P2011−227319A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97559(P2010−97559)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】