説明

画像形成装置

【課題】重送シートを、画像形成装置本体を大型化することなく、かつジャムを発生させることなく排出することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】縦パス155から退避搬送路ERを構成する本体側エスケープパス143を分岐させ、本体側エスケープパス143が分岐する分岐点よりも上流側に装置本体側のシート給送装置5から給送されたシートの重送を検知する重送検知部160を設け、制御部は、重送検知部160によりシートの重送が検知された場合には、切換部材144を切り換えることにより、重送されたシートを退避搬送路ERに向かわせてエスケープトレイ188に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に重送シートを排出するための退避トレイ(エスケープトレイ)を備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、シートが重なって給送される場合があり、このようなシートの重送が発生した場合、シートは搬送パス内の途中で停止(滞留)したり、決められた搬送時間に遅れたり(遅延)することでジャムになる。そして、このように搬送中のシートの送り不良(ジャム)が発生すると、シートの搬送を停止して、ジャムシートを取り除くようにユーザーに対し、操作部等に設けられた表示部にメッセージを表示するようにしている。
【0003】
なお、シートの重送が発生した場合でも、重送したシートが搬送パス内でジャムにならず、画像形成まで終了してトレイに排出されることもある。この場合は、シートの搬送が停止することは無いが、画像形成された成果物に白紙、すなわち画像のないシートが混在するようになり、このように白紙ページが混在すると、シートを製本する場合等において問題になる。そこで、従来は、例えば画像形成装置に接続され、画像形成されたシートを束ねてステープル等の処理を施すシート処理装置に、重送しているシートを排出するための退避トレイ(エスケープトレイ)を設けたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、近年、電子写真方式の画像形成装置の応用分野では、パーソナルユースからプロフェッショナルユースへとその裾野が拡張されつつある。そして、このような応用分野として、軽印刷、例えば多品種、少量印刷が可能なプリント・オン・デマンド(POD)がある。このようなPODの分野で使用される画像形成装置では、多種類のシートを大量に供給できるように、給紙カセット等のシート収容部を複数備えた給紙ユニットを画像形成装置本体の側方に複数並設したものがある。そして、このような構成の画像形成装置(画像形成システム)では、これらの給紙ユニットからのシートが重送しても、できるだけ装置を停止させないようにする必要がある。そこで、複数の給紙ユニットのうちの最下流に配置されている給紙ユニットに退避トレイを設け、この退避トレイに重送したシートを排出するようにしたものが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−62956号公報
【特許文献2】特開2007−279168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような従来の画像形成装置において、画像形成装置本体の給紙カセットから送り出されたシートが重送している場合、重送シートは画像形成部を通って排出されるか、又は既述したシート処理装置に設けられている退避トレイに排出される。ここで、一般的に重送しているシートはジャムを起こしやすいため、このように重送シートを排出するようにすると、画像形成部を通過する際にジャムが発生するおそれがある。なお、この対策のために、給紙ユニットと同様に重送シートを排出する退避トレイを画像形成装置本体に設けるようにすると、画像形成装置本体の大型化を避けることができず、また低コスト化の妨げにもなる。さらに、給紙ユニットと画像形成装置本体の両方に退避トレイが存在すると、ユーザーは2ヶ所の退避トレイから重送シートを回収する必要があり、作業効率が低下する。
【0007】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、重送シートを、画像形成装置本体を大型化することなく、かつジャムを発生させることなく排出することのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成部及び前記画像形成部にシートを給送する本体シート給送部を有する画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体に接続され、前記画像形成部にシートを給送するユニットシート給送部及び重送が検知されたシートが排出される退避トレイを有するシート給送ユニットと、を備えた画像形成装置において、前記画像形成装置本体に設けられた前記本体シート給送部から給送されたシートを前記画像形成部に案内するシート搬送路と、前記シート搬送路から分岐し、前記本体シート給送部から給送されたシートを前記退避トレイに案内する退避搬送路と、前記シート搬送路の、前記退避搬送路が分岐する分岐点に設けられ、前記本体シート給送部から給送されたシートの給送方向を前記シート搬送路から前記退避搬送路に切り換える切換部材と、前記切換部材よりも上流側に設けられ、前記本体シート給送部から給送されたシートの重送を検知する重送検知部と、前記重送検知部によりシートの重送が検知された場合には、重送されたシートを前記退避搬送路に向けて案内するように前記切換部材を切り換える制御部と、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
また本発明は、シートに画像を形成する画像形成部及び前記画像形成部にシートを給送する本体シート給送部を有する画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体に接続され、前記画像形成部にシートを給送するユニットシート給送部及び重送が検知されたシートが排出される退避トレイを有するシート給送ユニットと、を備えた画像形成装置において、前記画像形成装置本体に設けられ、前記本体シート給送部から給送されたシートを前記画像形成部に案内する本体シート搬送路と、前記シート給送ユニットに設けられ、前記ユニットシート給送部から給送されたシートを前記画像形成部に案内するユニット側シート搬送路と、前記画像形成装置本体に設けられ、前記本体シート搬送路から分岐した第1搬送路と、前記シート給送ユニットに設けられ、前記第1搬送路を通過したシートを前記ユニット側シート搬送路に向けて案内する第2搬送路と、前記ユニット側シート搬送路から分岐し、前記本体シート給送部及び前記ユニットシート給送部から給送されたシートを前記退避トレイに向けて案内する退避搬送路と、前記ユニット側シート搬送路の、前記退避搬送路が分岐する分岐点に設けられ、前記本体シート給送部及び前記ユニットシート給送部から給送されたシートの給送方向を前記ユニット側シート搬送路から前記退避搬送路に切り換える切換部材と、前記切換部材と前記ユニット側シート搬送路の前記第2搬送路が合流する合流部との間に設けられ、前記本体シート給送部から給送されたシートの重送を検知する重送検知部と、前記重送検知部により前記ユニットシート給送部から給送されたシートの重送が検知された場合には、重送されたシートを前記退避搬送路に向かわせるように前記切換部材を切り換える制御部と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のように、装置本体側のシート給送部からの重送シートをシート給送ユニットに設けられた退避トレイに排出することにより、重送シートを、画像形成装置本体を大型化することなく、かつジャムを発生させることなく排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図。
【図2】上記プリンタの制御ブロック図。
【図3】上記プリンタの重送シートの除去制御動作を説明する図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るプリンタ(画像形成装置)の概略構成を示す図。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るプリンタ(画像形成装置)の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図である。図1において、1はプリンタであり、このプリンタ1は、画像形成装置本体であるプリンタ本体2と、プリンタ本体2の上面に配され、原稿を読み取るスキャナ3とを備えている。スキャナ3は、原稿を読み取る際には、プラテンガラス120の上に載置された不図示の原稿に走査光学系光源によって光を照射すると共に、反射光をCCDに入力することにより原稿画像を読み取るようにしている。そして、読み取った原稿画像は電気信号に変換されて作像手段たるレーザスキャナ100に伝送される。なお、レーザスキャナ100に、パーソナルコンピュータ等から送信されてくる画像データを入力しても良い。
【0013】
プリンタ本体2は、画像形成部4と、シートPを給送するシート給送装置5と、シート給送装置5により給送されたシートPを画像形成部4に搬送するシート搬送装置6を備えている。ここで、画像形成装置本体側の本体シート給送部であるシート給送装置5は、プリンタ本体2に引き出し可能に設けられたシート収納部5aと、ピックアップローラ5bと、リタードローラ対146を備えている。そして、シート収納部5a内のシートPは所定のタイミングで昇降/回転するピックアップローラ5bと、リタードローラ対146の作用によって1枚ずつ分離給送される。また、リタードローラ対146のシート搬送方向下流側近傍にはシートPの重送を検知する重送検知部160が設けられている。
【0014】
シート搬送装置6は、縦パス155に設けられた縦パスローラ147a,147bと、レジストローラ対148を備えている。そして、シート給送装置5から給送されたシートPは縦パスローラ147a,147bにより、停止しているレジストローラ対148に一旦突き当てられる。ここで、停止しているレジストローラ対148に一旦突き当てられることにより、シートPは、レジローラ対手前部で所定のループを作った後、剛性によりドラム軸と平行になることにより、斜行が補正される。この後、所定のタイミングでレジローラ対148を駆動させることにより、シートPは画像形成部4に搬送される。画像形成部4は、感光体ドラム102、レーザスキャナ100、現像器103、転写部を形成する転写帯電器104、一次帯電器107等を備えている。
【0015】
画像形成の際には、レーザスキャナ100からのレーザ光Lが感光体ドラム102に照射されることにより、感光体ドラム上に潜像が形成される。さらにこのようにして感光体ドラム上に形成された潜像は、この後、現像器103によってトナー像として顕像化されるようになっている。感光体ドラム上のトナー像は、この後、転写部において転写帯電器104によりシートPに転写される。なお、ドラム上の残留トナーは、クリーナ106により回収され、次の画像形成に使用される。さらに、このようにトナー像が転写されたシートPは、搬送ベルト105により定着装置150に搬送されてトナー像の定着が行われ、この後、搬送ローラ151、排出ローラ152によって排紙トレイ153に排出される。
【0016】
なお、このプリンタ1は、各種モードの設定や動作状態等の必要な情報を確認する表示部を持つ後述する図2に示す操作パネルを備え、かつ表示部にはシートの送り不良等の異常発生時、ユーザーに対して作業する内容が表示されるようになっている。また、プリンタ1は、設定された動作モードによりレーザスキャナ100、画像形成部4等を所定のプログラムで動作制御する後述する図2に示す制御部を備えている。さらに、プリンタ本体2には、製本等の処理を行う場合には、不図示のシート処理装置が接続されるようになっており、製本等の処理を行う場合には、画像形成後のシートをシート処理装置に搬送する。
【0017】
さらに、本実施の形態においては、プリンタ本体2には、オプションとして大量のシートが収納可能なシート給送ユニットである大容量のペーパーデッキ7が着脱自在に接続されている。そして、このようなペーパーデッキ7をプリンタ本体2に接続することにより、連続して大量の画像形成が可能となる。なお、このペーパーデッキ7も、シート収納部5aと、ピックアップローラ5bと、リタードローラ対181を備えてシートPを画像形成部4に搬送するシート給送装置5Aを備えている。そして、ペーパーデッキ7からシートPを給送する際は、まずピックアップローラ5bによりシート収納部5aからシートPを給送し、このシートPをリタードローラ対181の作用によって1枚ずつ分離する。次に、このように1枚ずつに分離されたシートPを搬送ローラ対182a〜182fにより、プリンタ本体内の搬送ローラ149に受け渡す。なお、この後、搬送ローラ149に受け渡されたシートPは、既述したプリンタ本体2のシート給送装置5から給送されたシートPと同様の処理により、画像形成が形成される。
【0018】
ところで、このペーパーデッキ7は、シート給送ユニット側のユニットシート給送部であるシート給送装置5Aから給送されたシートの重送を検知する重送検知部190と、重送されたシートを排出する退避トレイであるエスケープトレイ188を備えている。なお、本実施の形態において、プリンタ本体側の重送検知部160及びペーパーデッキ側の重送検知部190は、例えばシートの厚み変化を検知することにより重送を検知する構成のものである。また、このペーパーデッキ7は、シート給送装置5Aから給送されたシートをプリンタ本体2に搬送するユニット側シート搬送路であるシート搬送パス180を備えている。さらに、このペーパーデッキ7は、シート搬送パス180から分岐され、重送シートをエスケープトレイ188に搬送する第1エスケープパス183を備えている。なお、図1において、184はシート搬送パス180と第1エスケープパス183との分岐点に設けられたユニット側の切換部材である。そして、重送検知部190によりシート給送装置5Aから給送されたシートの重送が検知されると、後述する図2に示す制御部200は、重送検知部190からの信号に基づいて切換部材184を切り換え、シートを第1エスケープパス183に案内する。また、このペーパーデッキ7は、後述するようにプリンタ本体側のシート給送部5から搬送される重送シートをエスケープトレイ188に搬送する退避搬送路である第2エスケープパス193を備えている。
【0019】
一方、プリンタ本体2は、シート給送装置5からのシートを画像形成部4に向けて案内するプリンタ本体2のシート搬送路である既述した縦パス155を備えている。また、プリンタ本体2は、本体シート搬送路である縦パス155から分岐し、シート給送装置5から重送されたシートをペーパーデッキ7の第2エスケープパス193に向けて案内する本体側エスケープパス143を備えている。そして、この第1搬送路である本体側エスケープパス143と、第2搬送路であるペーパーデッキ7の第2エスケープパス193とにより、プリンタ本体側のシート給送部5から給送されたシートをエスケープトレイ188に退避搬送路ERが構成される。なお、図1において、144は縦パス155と本体側エスケープパス143との分岐点に設けられたプリンタ本体側(装置本体側)の切換部材である。そして、重送検知部160によりシートの重送が検知されると、後述する図2に示す制御部200は、重送検知部160からの信号に基づいてプリンタ本体側の切換部材144を切り換え、シートを本体側エスケープパス143に案内する。
【0020】
図2は、プリンタ1の制御ブロック図である。制御部200にはプリンタ本体側の重送検知部160、ペーパーデッキ側の重送検知部190、ペーパーデッキ側の切換部材184、プリンタ本体側の切換部材144及び不図示の表示部を備えた操作部201が接続されている。そして、制御部200は、既述したようにプリンタ本体側の重送検知部160からの信号に基づいて切換部材144を切り換え、ペーパーデッキ側の重送検知部190からの信号に基づいて切換部材184を切り換える。なお、本実施の形態において、制御部200は、プリンタ本体2に設けられているが、プリンタ本体2及びペーパーデッキ7にそれぞれ重送検知部160,190からの信号に基づいて切換部材144,184を切り換える制御部を設けても良い。
【0021】
次に、このように構成されたプリンタ1の重送シートの除去制御動作を説明する。例えば、プリンタ本体側のシート給送装置5から給送されたシートの重送を重送検知部160が検知すると、重送検知部160からの信号に基づき制御部200が切換部材144を切り換え、縦パス155を遮り、本体側エスケープパス143にシートを案内する。これにより、図3の(a)に示すように、重送シートPWはプリンタ本体内の本体側エスケープパス内の搬送ローラ対145により搬送され、ペーパーデッキ内の第2エスケープパス193に向かう。この後、重送シートPは、第2エスケープパス193内の搬送ローラ対185a、185bにより第1エスケープパス183に合流し、搬送ローラ対186,187によりエスケープトレイ188に搬送される。また、ペーパーデッキ7のシート給送装置5Aから給送されたシートの重送を重送検知部190が検知すると、この重送検知部190からの信号に基づき制御部が切換部材184を切り換える。これにより、切換部材184が画像形成部4(転写部)につながるシート搬送パス180を遮るようになり、図3の(b)に示すように、重送シートPWは給送方向を変えて第1エスケープパス183に向かう。この後、重送シートPWは、第1エスケープパス183内の搬送ローラ対186,187によりエスケープトレイ188に排出される。
【0022】
なお、このようにプリンタ本体側のシート給送装置5からの、あるいはペーパーデッキ7からの重送シートPWがエスケープトレイ188に強制的に排出されると、排出されたシートに転写されるはずの感光体ドラム上のトナー像はクリーナ106で回収される。つまり、シートの重送が検知されると、通常の転写制御を行うことなく、感光体ドラム上のトナー像をクリーナ106で回収する。さらに、重送を検知した後に、感光体ドラム上に同じトナー像を形成すると共に、新たなシートを転写部に搬送することにより、除去されたシートの代わりのシートに画像を形成する。このような制御を行うことにより、ユーザーは重送シートが発生した場合でも、重送シートの処理を行うことなく、画像形成装置を稼動することができる。
【0023】
以上説明したように、本実施の形態では、プリンタ本体2で重送シートを検知すると、重送シートをペーパーデッキ7のエスケープトレイ188に排出するようにしている。つまり、プリンタ本体側のシート給送装置5からシートが重送された場合は、重送シートをペーパーデッキ7に設けられたエスケープトレイ188に排出するようにしている。これにより、重送シートを、プリンタ本体内にエスケープトレイを設けることなく、すなわちプリンタ本体2を大型化することなく、かつジャムを発生させることなく排出することができる。また、このように構成することにより、自動で重送シートを除去できるので、搬送パス内のユーザーによるジャム処理時間を低減させ、重送による白紙ページ混在を無くすことができる。さらに、画像形成装置とシート給紙装置のどちらからの重送シートも1ヶ所のエスケープトレイで回収できるので、回収作業性アップ、低コスト化につながる。
【0024】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は本実施の形態に係るプリンタ(画像形成装置)の概略構成を示す図である。なお、図4において、既述した図1と同一符号は、同一又は相当部分を示している。図4において、188Aはエスケープトレイであり、このエスケープトレイ188Aは、ペーパーデッキ内部の、プリンタ本体2に近接する位置に設けられている。そして、プリンタ本体2のシート給送装置5から給送されたシートPの重送を重送検知部160が検知すると、制御部200が切換部材144を切り換え、これにより本体側エスケープパス143に重送シートが向かうようになる。この後、重送シートは、本体側エスケープパス内の搬送ローラ対145により搬送され、ペーパーデッキ内の第2エスケープパス193に向かう。この後、重送シートPは、第2エスケープパス193内の搬送ローラ対185により第1エスケープパス183に搬送され、搬送ローラ対187によりエスケープトレイ188Aに搬送される。また、ペーパーデッキ7のシート給送装置5Aから給送されたシートの重送を重送検知部190が検知すると、この重送検知部190からの信号に基づき制御部200が切換部材184を切り換える。これにより、切換部材184がシート搬送パス180を遮るようになり、重送シートPは第1エスケープパス183に向かう。この後、重送シートPは、第1エスケープパス183内の搬送ローラ対186,187によりエスケープトレイ188Aに排出される。ここで、本実施の形態においては、エスケープトレイ188Aをペーパーデッキ内部に設けることにより、特にペーパーデッキ内の第2エスケープパス193の長さを短くすることができ、省スペース化、低コスト化が可能となる。
【0025】
ところで、これまで説明した第1及び第2の実施の形態において、プリンタ本体2及びペーパーデッキ7に重送検知部160,190を設けたが、ペーパーデッキ7にのみ重送検知部190を設けるようにしても良い。次に、このようにペーパーデッキ7にのみに重送検知部を設けるようにした本発明の第3の実施の形態について説明する。図5は本実施の形態に係るプリンタ(画像形成装置)の概略構成を示す図である。なお、図5において、既述した図1と同一符号は、同一又は相当部分を示している。図5において、193Aはペーパーデッキ7に設けられ、プリンタ本体側のシート給送部5から搬送される重送シートをシート搬送パス180の、重送検知部190のシート搬送方向上流側に搬送する第2搬送路である第2エスケープパスである。なお、本実施の形態において、シートが重送を起こしやすい種類の場合は、予め切換部材144を切り換えてプリンタ本体側のシート給送装置5からのシートPを本体側エスケープパス143から第2エスケープパス193Aに向けて案内するようにしている。ここで、この第2エスケープパス193Aは、ユニット側シート搬送路であるシート搬送パス180に、重送検知部190の上流側で合流している。これにより、シート給送装置5からのシートPを画像形成部4に搬送するシート搬送路は、本体側エスケープパス143と、第2エスケープパス193Aと、シート搬送パス180の、第2エスケープパス193Aとの合流点よりも下流側部分により構成される。
【0026】
そして、このように構成することにより、重送されやすいシートの場合、プリンタ本体側のシート給送装置5から給送されたシートPは、本体側エスケープパス143から第2エスケープパス193Aに向かう。この後、第2エスケープパス193Aからシート搬送パス180に搬送され、切換部材184及びシート搬送パス180の第2エスケープパス193Aが合流する合流部との間に設けられている重送検知部190を通過する。この際、重送検知部190により、重送が検知されると、この重送検知部190からの信号に基づき切換部材184が切り換えられ、重送シートPは第1エスケープパス183に向かう。この後、重送シートPは、第1エスケープパス183内の搬送ローラ対186,187によりエスケープトレイ188Aに排出される。以上説明したように、本実施の形態のように、ペーパーデッキ7にのみ重送検知部190を設けることにより、重送検知部の使用個数を減らすことができ、低コスト化を図ることができる。
【符号の説明】
【0027】
1…プリンタ、2…プリンタ本体、4…画像形成部、5…シート給送装置、5A…シート給送装置、7…ペーパーデッキ、143…本体側エスケープパス、144…切換部材、155…縦パス、160…重送検知部、180…シート搬送パス、183…第1エスケープパス、184…切換部材、188…エスケープトレイ、188A…エスケープトレイ、190…重送検知部、193…第2エスケープパス、193A…第2エスケープパス、200…制御部、ER…退避搬送路、P…シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部及び前記画像形成部にシートを給送する本体シート給送部を有する画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体に接続され、前記画像形成部にシートを給送するユニットシート給送部及び重送が検知されたシートが排出される退避トレイを有するシート給送ユニットと、を備えた画像形成装置において、
前記画像形成装置本体に設けられた前記本体シート給送部から給送されたシートを前記画像形成部に案内するシート搬送路と、
前記シート搬送路から分岐し、前記本体シート給送部から給送されたシートを前記退避トレイに案内する退避搬送路と、
前記シート搬送路の、前記退避搬送路が分岐する分岐点に設けられ、前記本体シート給送部から給送されたシートの給送方向を前記シート搬送路から前記退避搬送路に切り換える切換部材と、
前記切換部材よりも上流側に設けられ、前記本体シート給送部から給送されたシートの重送を検知する重送検知部と、
前記重送検知部によりシートの重送が検知された場合には、重送されたシートを前記退避搬送路に向けて案内するように前記切換部材を切り換える制御部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記退避搬送路は、前記画像形成装置本体に設けられ、シート搬送路から分岐した第1搬送路と、前記シート給送ユニットに設けられ、前記第1搬送路を通過したシートを前記退避トレイに向けて案内する第2搬送路とを備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
シートに画像を形成する画像形成部及び前記画像形成部にシートを給送する本体シート給送部を有する画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体に接続され、前記画像形成部にシートを給送するユニットシート給送部及び重送が検知されたシートが排出される退避トレイを有するシート給送ユニットと、を備えた画像形成装置において、
前記画像形成装置本体に設けられ、前記本体シート給送部から給送されたシートを前記画像形成部に案内する本体シート搬送路と、
前記シート給送ユニットに設けられ、前記ユニットシート給送部から給送されたシートを前記画像形成部に案内するユニット側シート搬送路と、
前記画像形成装置本体に設けられ、前記本体シート搬送路から分岐した第1搬送路と、
前記シート給送ユニットに設けられ、前記第1搬送路を通過したシートを前記ユニット側シート搬送路に向けて案内する第2搬送路と、
前記ユニット側シート搬送路から分岐し、前記本体シート給送部及び前記ユニットシート給送部から給送されたシートを前記退避トレイに向けて案内する退避搬送路と、
前記ユニット側シート搬送路の、前記退避搬送路が分岐する分岐点に設けられ、前記本体シート給送部及び前記ユニットシート給送部から給送されたシートの給送方向を前記ユニット側シート搬送路から前記退避搬送路に切り換える切換部材と、
前記切換部材と前記ユニット側シート搬送路の前記第2搬送路が合流する合流部との間に設けられ、前記本体シート給送部から給送されたシートの重送を検知する重送検知部と、
前記重送検知部により前記ユニットシート給送部から給送されたシートの重送が検知された場合には、重送されたシートを前記退避搬送路に向かわせるように前記切換部材を切り換える制御部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記本体シート搬送路の、前記第1搬送路が分岐する分岐点に設けられた装置本体側の切換部材を備え、
前記制御部は、前記切換部材をシートの種類に応じてシートを前記第1搬送路に向かわせるように前記切換部材を切り換えることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記退避トレイを前記シート給送ユニットの内部に、前記画像形成装置本体に近接する位置に設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−42469(P2011−42469A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192255(P2009−192255)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】